JP5900806B2 - 光源装置およびプロジェクタ - Google Patents
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Description
一例として、本発明のプロジェクタに係わる従来のプロジェクタの一種の一部の一形態を説明する図である、図8を用いてプロジェクタの原理について述べる(参考:特開2004−252112号など)。
ここで、前記光均一化手段(FmA)として、例えば、光ガイドを使うことができ、これは、ロッドインテグレータ、ライトトンネルなどの名称でも呼ばれており、ガラスや樹脂などの光透過性の材料からなる角柱によって構成され、前記入射端(PmiA)に入力された光は、光ファイバと同じ原理に従って、前記光均一化手段(FmA)の側面で全反射を繰り返しながら、前記光均一化手段(FmA)の中を伝播することにより、仮に前記入射端(PmiA)に入力された光の分布にムラがあったとしても、前記射出端(PmoA)上の照度が十分に均一化されるように機能する。
ただし、図8においては、前記照明レンズ(Ej1A)と前記2次元光振幅変調素子(DmjA)との間にミラー(MjA)を配置してある。
そして前記2次元光振幅変調素子(DmjA)は、映像信号に従って、画素毎に光を投影レンズ(Ej2A)に入射される方向に向かわせる、あるいは入射されない方向に向かわせるように変調することにより、スクリーン(Tj)上に画像を表示する。
ここで、前記光均一化手段(FmB)は、入射側の前段フライアイレンズ(F1B)と射出側の後段フライアイレンズ(F2B)と照明レンズ(Ej1B)の組合せで構成される。
前記前段フライアイレンズ(F1B)、前記後段フライアイレンズ(F2B)ともに、同一焦点距離、同一形状の四角形のレンズを、縦横それぞれに多数並べたものとして形成されている。
一般にケーラー照明光学系とは、2枚のレンズから構成され、前段レンズが光を集めて対象面を照明するに際し、前段レンズは、対象面に光源像を結像するのではなく、後段レンズ中央の面上に光源像を結像し、後段レンズが前段レンズの外形の四角形を対象面(照明したい面)に結像するよう配置することにより、対象面を均一に照明するものである。
後段レンズの働きは、もしこれが無い場合は、光源が完全な点光源でなく有限の大きさを持つとき、その大きさに依存して対象面の四角形の周囲部の照度が落ちる現象を防ぐためで、後段レンズによって、光源の大きさに依存せずに、対象面の四角形の周囲部まで均一な照度にすることができる。
ただし、前記後段フライアイレンズ(F2B)の後段には、前記照明レンズ(Ej1B)を配置してあるため、対象面は、無限遠から前記照明レンズ(Ej1B)の焦点面上に引き寄せられる。
縦横に多数並んでいるケーラー照明光学系は、入射光軸(ZiB)に平行であり、それぞれの中心軸に対して略軸対称に光束が入力されるため、出力光束も略軸対称であるから、レンズ面に同じ角度で入射した光線は、レンズ面上の入射位置によらず、焦点面上の同じ点に向かうよう屈折される、というレンズの性質、即ちレンズのフーリエ変換作用により、全てのケーラー照明光学系の出力は、前記照明レンズ(Ej1B)の焦点面上の同じ対象面に結像される。
前記合成四角形の像の位置に2次元光振幅変調素子(DmjB)を配置することにより、前記射出端(PmoB)から出力された光によって、照明対象である前記2次元光振幅変調素子(DmjB)が照明される。
ただし、照明に際しては、前記照明レンズ(Ej1B)と前記2次元光振幅変調素子(DmjB)との間に偏光ビームスプリッタ(MjB)を配置して、これにより光が前記2次元光振幅変調素子(DmjB)に向けて反射されるようにしてある。
そして前記2次元光振幅変調素子(DmjB)は、映像信号に従って、画素毎に光の偏光方向を90度回転させる、あるいは回転させないように変調して反射することにより、回転させられた光のみが、前記偏光ビームスプリッタ(MjB)を透過して投影レンズ(Ej3B)に入射され、スクリーン(Tj)上に画像を表示する。
このような液晶デバイスの場合、規定の偏光方向の光の成分しか有効に変調できないため、普通は、規定の偏光方向に平行な成分はそのまま透過させるが、規定の偏光方向に垂直な成分のみ偏光方向を90度回転させ、結果として全ての光を有効利用できるようにするための偏光整列機能素子(PcB)が、例えば前記後段フライアイレンズ(F2B)の後段に挿入される。
また、前記2次元光振幅変調素子(DmjB)には略平行光が入射されるよう、例えばその直前に、フィールドレンズ(Ej2B)が挿入される。
これらの欠点を克服した代替光源として、近年、LEDや半導体レーザ等の固体光源が注目されている。
このうち、LEDについては、放電ランプと比較して発熱損が小さく、また長寿命であるが、放射される光に関しては、放電ランプと同様に指向性が無いため、前記したプロジェクタや露光装置等の、特定の方向の光のみが利用可能な用途においては、光の利用効率が低いという問題があった。
また、高い指向性を活かして、光ファイバによる光伝送を高効率で行えるため、半導体レーザの設置場所と、プロジェクタなど、その光を利用する場所とを分離することが可能であり、装置設計の自由度を高めることができる。
さらに累積通電時間の増加に伴う劣化に伴って発光強度が低下する現象がこれに重なる。
プロジェクタの光源として、R,G,B3原色の一部または全部に半導体レーザを用いた場合、このような変化によって、画像全体の色や明るさが変化してしまうことになる。
したがって高忠実なプロジェクタに半導体レーザを応用する場合は、色、すなわち白バランスの安定化および明るさの安定化を行う必要がある。
何となれば、色度を測定したり、後述するように、測定結果から効率的にR,G,Bそれぞれの半導体レーザへの投入電力を自動調整するためには、連立方程式を解くなどの複雑な計算が必要で、機器組込み型のマイクロプロセッサにとっては計算負荷が過大になるが、これまで、そのような計算を簡略に行う処理方法が知られていなかったからである。
例えば、特開2006−252777号には、分光感度特性の傾きが、光源の発光波長帯域において正の光センサと負の光センサとを用いて光量検出を行うことによって、発光波長が長くなる方向に変化しているか、それとも短くなる方向に変化しているか、あるいは変化が無いかの何れであるかを判別し、その結果に基づき、R,G,B各色光源の投入電力制御の基準レベルを増減する技術が記載されている。
しかし、この技術の場合、発光波長の時間的変化の方向のみを検出して制御するものであるため、光源の点灯直後の、光源自身の発熱による温度変化に伴う、比較的速い色変化は補正できるかも知れないが、非常に緩慢な環境温度の変化や長期間に亘る光源の劣化に伴う色変化には対応できない問題がある。
また、複数色の光源が同時に独立に色変化を起こす場合の、各色光源それぞれを、如何にして投入電力制御すればよいかについて未解決のままであった。
しかし、白バランスのフィードバック制御を行うに際して、3色それぞれの光源の投入電力を如何に変化させれば目標値に集束するかについて未解決のままであった。
前記発光素子(Y1a,Y1b,…,Y2a,Y2b,…)は、発光波長が複数種類の異なる波長帯域に属するものを含んでおり、
さらに前記光源装置は、前記出力光束(Fo,Fo1,Fo2,…)の総合的な出力光束(Fo,Fo1,Fo2,…)の光量に相関する量の光を受光して前記した波長帯域のそれぞれ毎に光の強度に相関する発光強度指示値を取得するとともに、前記した波長帯域の少なくとも1個の波長帯域についての基準波長からの偏差に相関する波長偏差指示値を取得するための帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)を有しており、
前記統合制御回路(Mc)は、前記帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)が生成する帯域光特性取得データ(ShR,ShG,ShB)を少なくとも間欠的に取得して前記発光強度指示値と前記波長偏差指示値とを生成し、
また前記統合制御回路(Mc)は、前記した波長帯域のそれぞれについての前記発光強度指示値とその目標値との差異が小さくなるよう、前記駆動回路(P1a,P1b,…,P2a,P2b,…)をフィードバック制御することによって、前記出力光束(Fo,Fo1,Fo2,…)の総合的な光の色に相関する色相指示値とその目標値の差異を小さくするための、想定される前記波長偏差指示値の出現態様毎に、それぞれに適する、前記した波長帯域のそれぞれ毎の前記発光強度指示値の目標値に対する変化量の決定のための発光強度指示値目標変分情報を保持しており、
前記統合制御回路(Mc)は、実際に生成した前記波長偏差指示値の態様に基づき、想定した前記した波長偏差指示値の出現態様に属する前記発光強度指示値目標変分情報に従って、前記した波長帯域のそれぞれについての前記発光強度指示値の変化量を決定することを特徴とするものである。
前記統合制御回路(Mc)は、前記した当該波長帯域における前記した第1の分光感度特性、および前記した第2の分光感度特性それぞれの、基準波長での感度値と前記した波長の変化に対する感度の変化率とからなる局所帯域分光感度情報を保有しており、前記統合制御回路(Mc)は、前記帯域光特性取得データ(ShR,ShG,ShB)たる、前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)が生成する第1光量測定データ(Sh1R,Sh1G,Sh1B)と、前記帯域光特性取得データ(ShR,ShG,ShB)たる、前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)が生成する第2光量測定データ(Sh2R,Sh2G,Sh2B)とを取得して、前記局所帯域分光感度情報を用いて、前記第1光量測定データ(Sh1R,Sh1G,Sh1B)と前記第2光量測定データ(Sh2R,Sh2G,Sh2B)とから前記した発光強度指示値と前記した波長偏差指示値とを生成して取得することを特徴とするものである。
要素光源(U1)に設けられている、少なくとも1個の発光素子(Y1a,Y1b,…)は、駆動回路(P1a,P1b,…)によって駆動されて発光する。
なお、前記発光素子(Y1a,Y1b,…)の個々については、ここでは、例えば半導体レーザや、半導体レーザの放射光を、高調波発生・光パラメトリック効果などのような非線形光学現象を利用して波長変換する光源などであり、そのような光源の複数個を直列接続、あるいは並列接続、さらには直並列接続するなどして、1個の前記駆動回路(P1a,P1b,…)によって駆動できるものとしている。
統合制御回路(Mc)は、駆動回路制御信号(J1a,J1b,…,J2a,J2b,…)を介して前記駆動回路(P1a,P1b,…,P2a,P2b,…)毎に個別にデータを送受して制御し、それぞれの前記発光素子(Y1a,Y1b,…,Y2a,Y2b,…)に規定の電力を投入することができるように構成されている。
したがって、これら要素光源(U1,U2,…)のそれぞれの出力光束(Fo1,Fo2,…)の総合的な光の特性を測定するために、出力光束(Fo1,Fo2,…)から、それぞれ一部づつを抽出して集めた、前記出力光束(Fo1,Fo2,…)の光量に相関する量の光からなる測定用出力光束(Fo’)を生成し、前記した波長帯域のそれぞれ毎に設けた、帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)に入射させる。
また、出力光束の光量に相関するとは、前記測定用出力光束(Fo’)を測定すれば、前記出力光束(Fo1,Fo2,…)の、各波長帯域毎の光量と色合いを推定可能であることを指すが、その際、相関の倍率(相関の係数)は、各波長帯域別に相違していても、予めそれを測定して補正できるから構わない。
ここで、各波長帯域の前記出力光束(Fo1,Fo2,…)から、それぞれ一部づつを抽出した光束をひとまとめにして測定用出力光束(Fo’)とし、また前記帯域光特性取得手段をひとまとめにして1個の帯域光特性所得手段セット(Ax)として記載してあるのは、単に便宜上の都合によるもので、各波長帯域毎の測定用出力光束を、それぞれ毎に前記帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)に個別に入力するように構成してもよい。
前記統合制御回路(Mc)は、発光強度指示値と波長偏差指示値とを取得するための情報を含む帯域光特性取得データ(ShR,ShG,ShB)を、前記帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)より読み取る。
なお、複数個の前記出射端(Eo1,Eo2,…)からの放射光の総合方法としては、最も簡単には、前記出射端(Eo1,Eo2,…)が同一平面上に位置するように揃えて、前記光ファイバ(Ef1,Ef2,…)の出射端部を束ねる事により実現することができる。
前記光ファイバ(Ef1,Ef2,…)のそれぞれが導光する前記出力光束(Fo)の光量に相関する量を測定できるよう、前記出射端(Eo1,Eo2,…)からの放射光の一部を抽出して総合した測定用出力光束(Fo’)を生成し、図1のものと同様に、帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)をひとまとめにした帯域光特性所得手段セット(Ax)に入力する構成とすることができる。
なお、ここでは、前記光ファイバ(Ef1,Ef2,…)の全ての出射端部を束ね、白色光の出力光束(Fo)を生成するものを記載したが、R,G,B各波長帯域毎に前記出射端(Eo1,Eo2,…)を分けて束ね、波長帯域別の出力光束を生成し、それぞれを前記帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)に個別に入力するように構成することもできる。
本図は、R色の波長帯域に関する光の強度に相関する発光強度指示値と基準波長からの偏差に相関する波長偏差指示値とを取得するための帯域光特性取得データ(ShR)を生成する帯域光特性取得手段(AiR)として描いてあるが、他の色の波長帯域に関するものも同様で構わない。
一方、z’軸の方向には、僅かに存在する、前記ミラー(HuR)から透過光(FoR’)が漏れ出るため、これを集光レンズ(Eb1)で開口板(Eap)のピンホール(Ea)に集め、その通過光を後方に取出す。
取出した光束は、コリメータレンズ(Eb2)によって前記ピンホール(Ea)の像を無限遠像を形成する光束に変換した上で、この光束を前記測定用出力光束として、これに含まれる光の波長に応じて進行方向を変える機能を有する、回折格子等を用いた波長分散性光学素子(Eg)で反射させた後、結像レンズ(Eb3)を通過させることにより、該結像レンズ(Eb3)の出力像面には、スペクトル分解された前記ピンホール(Ea)の像が生成される。
このとき、前記撮像素子(Ca)の画素の並び方向は、前記波長分散性光学素子(Eg)への入射光の波長変化に依存して出射光の角度が変化して投影される方向に一致させる。
以上のように構成したことにより、信号処理回路(H)は、前記撮像素子(Ca)が取得した、前記したスペクトル分解されたピンホール像における明るさの分布パターンを読出し、各画素の明るさの総和を算出して分布パターン強度を求め、さらにそのパターンの重心位置を算出して基準波長に対応する画素位置からのズレ量を求め、これらの分布パターン強度とズレ量からなる前記帯域光特性取得データ(ShR)を生成することができる。
例えば、前記波長分散性光学素子(Eg)の特性と前記結像レンズ(Eb3)の焦点距離、前記撮像素子(Ca)の画素ピッチから決まる、前記帯域光特性取得手段(AiR)の1画素あたりの波長分解能が0.1mn/画素であり、当該波長帯域における分光感度の傾き(すなわち波長が1nm増加したときの感度の増加量)が2%/nmであるとするならば、基準波長に対応する画素から数えて長波長側に n 番目の画素の実測された明るさに対しては、以下の式
Kn = 1−0.002・n
の補正係数 Kn を乗じた値を真の明るさとして評価するよう補正すればよい。
ただし、基準波長に対応する画素から数えて短波長側に n 番目の画素については、n が負であると解釈して同じ式によって補正すればよい。
そのためには、前記光ファイバ(Ef1,…)それぞれの出射端におけるコアの各点からの放射光の角度分布の中心軸、すなわち主光線は、前記光ファイバ(Ef1,…)のコアの中心軸に平行、すなわちz’軸に平行であるから、前記集光レンズ(Eb1)の入射瞳は無限遠にあるとして、該集光レンズ(Eb1)の射出瞳の中心に前記ピンホール(Ea)を設けることが好適である。
したがって、前記統合制御回路(Mc)は、R,G,B各波長帯域のそれぞれ毎に、前記した分布パターン強度から光の強度に相関する発光強度指示値 Sr,Sg,Sb を算出し、また、前記した基準波長に対応する画素位置からの分布パターンの重心位置のズレ量から、基準波長からの偏差に相関する波長偏差指示値 Δλr,Δλg,Δλb を算出することができる。
(参考文献:「色の性質と技術」1986年10月10日初版第1刷,応用物理学会・光学懇話会編,朝倉書店発行)
波長 λ をパラメータとするスペクトル S(λ) で表される被測定光束の三刺激値 X,Y,Z は、CIEにより定められている等色関数 xe(λ),ye(λ),ze(λ) を用いて、以下の式(式1)
X = ∫S(λ)・xe(λ)・dλ
Y = ∫S(λ)・ye(λ)・dλ
Z = ∫S(λ)・ze(λ)・dλ
の積分計算で求める。
ただし、積分は380nmから780nmの領域で行うとされている。
これらを用いて、被測定光束 S(λ) の色度座標 x,y は、以下の式(式2)
x = X/{X+Y+Z}
y = Y/{X+Y+Z}
のように求められる。
なお、等色関数 xe(λ),ye(λ),ze(λ) の特性は、本発明の光源装置の技術に関連する概念の概略図である図4の(a)に示すようである。
(因みに、一般文献では、等色関数は、x,y,z 各文字の上に横棒を付した記号が使用されるが、本明細書では都合により前記したように表記する。)
したがって前記仮想統合制御回路は、後述するように、R,G,B各波長帯域のそれぞれ毎に算出された前記発光強度指示値と前記波長偏差指示値とに基づき、前記局所帯域等色関数情報を利用して、前記色相指示値たる三刺激値 X,Y,Z または色度座標 x,y を近似的に算出することができる。
なお、レーザ光のような単色光は図の点線上に位置する。 (ただし、RからBに至る直線部、いわゆる純紫軌跡を除く。)
また、純白の色度座標は 1/3,1/3 である。
理由は、例えば、本光源装置をプロジェクタに応用する場合、プロジェクタ本体の光学系の光の利用効率が、R,G,B各色で同じであるとは限らないからである。
例えば、あるプロジェクタ本体の光学系ではB色の利用効率が低いとすると、目標とする色度座標は、B色成分が多めの、青色がかったものとするであろう。
したがって、目標とする色度座標は、本光源装置の出力光束(Fo,Fo1,Fo2,…)の色ではなく、本光源装置を利用する装置の出力に合わせて決めればよい。
この調整シーケンスが効率的に遂行されるための出力電力の増減量の計算方法については後述する。
したがって光の色に相関する色相指示値に加えて、R,G,B各波長帯域の全てを総合した光の明るさをも安定化制御する場合には、前記仮想統合制御回路は、算出された Y の値を明度指示値として、これと目標値とを比較し、もし Y が目標値より大きい(または小さい)場合は、前記した電力光量比例則を前提として、前記駆動回路(P1a,P1b,…,P2a,P2b,…)のなかの、Rの波長帯域の発光素子を駆動するものの出力電力の総和 Pr 、およびGの波長帯域の発光素子を駆動するものの出力電力の総和 Pg 、Bの波長帯域の発光素子を駆動するものの出力電力の総和 Pb それぞれを同じ割合で減少(または増加)させるよう、前記駆動回路制御信号(J1a,J1b,…,J2a,J2b,…)を介して制御することにより、光の色を変化させないで、光の明るさとその目標値との差異が小さくなる方向へフィードバック制御が行われ、光の明るさを調整することができる。
この調整シーケンスが効率的に遂行されるための出力電力の増減量の計算方法については後述する。
なお、これについては、前記統合制御回路(Mc)と前記仮想統合制御回路とについて共通である。
本発明では、一つの波長帯域の発光素子を駆動する駆動回路の出力電力の総和とその波長帯域の成分の光の強さとは、概ね比例的に相関する性質(本明細書では電力光量比例則と呼ぶ)、詳しく言えば、前記駆動回路(P1a,P1b,…,P2a,P2b,…)のなかの、Rの波長帯域の発光素子を駆動するものの出力電力の総和 Pr 、およびGの波長帯域の発光素子を駆動するものの出力電力の総和 Pg 、Bの波長帯域の発光素子を駆動するものの出力電力の総和 Pb それぞれが、R,G,B各波長帯域の成分の光の強さに対し、概ね比例的に相関する性質を利用しているが、その前提として、前記発光素子(Y1a,Y1b,…,Y2a,Y2b,…)それぞれについて、発光色の異なる発光素子の間では発光効率は異なっても構わないが、発光色の同じ発光素子は、全て同じ発光効率(より実際的に言えば同一メーカの同種製品)であることを仮定している。
したがって、もし、同じ色であっても発光効率の異なる複数種類が混在する等により、前記した前提が成り立たない場合は、例えば、ある発光色のもので、発光効率が高い、種類Aの発光素子と、それより発光効率が10%低い、種類Bの発光素子とがあったとして、前記駆動回路制御信号(J1a,J1b,…,J2a,J2b,…)を介して前記統合制御回路(Mc)(または仮想統合制御回路)からの電力設定指令を受信したとき、種類Bの発光素子を駆動する駆動回路は、内部的には、指令された設定電力に対し10%増しの電力を設定する、などとする構成上の工夫により、容易に解決することができる。
その理由は、電力の増加と光量の増加とが相関している限り、それが直線的な関係になくても、少しづつ電力を変化させることにより、フィードバック制御により、徐々に目標値に向けて系の状態を変化させて行けるからである。
駆動回路に対する電力設定は、例えば設定データ長が8ビットであれば256階調であるなど、その細やかさが有限である。
したがって、電力を最小単位づつ増して行く場合、全ての駆動回路の電力設定を一斉に1LSBだけ増すのではなく、例えば、1番目の駆動回路の電力設定を1LSBだけ増し、次は2番目の駆動回路の電力設定を1LSBだけ増し、…、というように、駆動回路を分けて増し、最後の駆動回路の電力設定を1LSBだけ増したら、次はまた1番目の駆動回路の電力設定を1LSBだけ増し、…、という仕方で増すようにすれば、電力設定の階調数を、駆動回路の個数倍に増すことができる利点がある。
ここで、光の強度とは、前記発光素子(Y1a,Y1b,…,Y2a,Y2b,…)のなかの一つの波長帯域に属するもの全ての光パワーに相関するもので、人間の視感度とは無関係である。
一方、光の明るさは、人間が感じる明るさであるから、同じ光パワー(密度)であっても、波長が変われば、人間の視感度の影響をうけて大きさが変化する。
例えば、R,G,B各波長帯域のそれぞれの前記発光強度指示値を全て1%増す場合、前記した出力電力の総和それぞれが、200W,300W,100Wであったならば、それぞれ202W,303W,101Wとすればよい。
Pr = kr・Srp
Pg = kg・Sgp
Pb = kb・Sbp
のように表すことができる。
最初、比例係数 kr,kg,kb には、未確定ではあるが適当に定めた安全な初期値が設定されているとして、未確定な kr,kg,kb に基づいて、発光強度指示値 Sr,Sg,Sb に対する適当に定めた安全な初期目標値 Srp,Sgp,Sbp を生ずるであろう Pr,Pg,Pb を、前記した式3によって仮決定する。
その Pr,Pg,Pb の値にて実際に発光素子を駆動したときの前記帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)から得た前記発光強度指示値 Sr,Sg,Sb それぞれの値と、その元となった目標値 Srp,Sgp,Sbp との比を用いて、比例係数 kr,kg,kb を、以下の式(式4)
kr ← kr・Srp/Sr
kg ← kg・Sgp/Sg
kb ← kb・Sbp/Sb
に従って補正すればよい。
(左向きの矢印 ← は、この記号の右辺の計算結果を左辺の変数に代入することを意味する。)
Srp = Sr + ΔSr
Sgp = Sg + ΔSg
Sbp = Sb + ΔSb
に従って目標値 Srp,Sgp,Sbp を更新し、前記した式3に従って電力を再設定して、前記帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)による測定の度に行うことにすればよい。
このようにすることにより、前記したように、前記比例係数 kr,kg,kb が真の比例定数ではなく、例えば飽和傾向を示すような、非直線的なものであっても、前記した式3で規定される、単なる比として補正が繰り返し行われるため、R,G,B各駆動回路の電力 Pr,Pg,Pb と、発光強度指示値 Sr,Sg,Sb (やその目標値 Srp,Sgp,Sbp )との正しい対応が維持される。
基準波長を λro,λgo,λbo と書いて、前記した式1を、いまの場合に即した実際的な形に書き改めた以下の式(式6)
X = Sr・xe(λro + Δλr) + Sg・xe(λgo + Δλg) + Sb・xe(λbo + Δλb)
Y = Sr・ye(λro + Δλr) + Sg・ye(λgo + Δλg) + Sb・ye(λbo + Δλb)
Y = Sr・ye(λro + Δλr) + Sg・ye(λgo + Δλg) + Sb・ye(λbo + Δλb)
を計算するために、前記仮想統合制御回路が保有する前記局所帯域等色関数情報のうちの、波長が基準波長から変化したときの等色関数の関数値の変化に関する情報として、例えば、前記した波長帯域のそれぞれについて、基準波長近傍において適当に選んだ離散的な波長値での等色関数値を保有しておき、測定された波長偏差指示値に相当する関数値を、補間法を援用して求めるようにすることができる。
しかし、前記した温度変化などに起因する前記発光素子(Y1a,Y1b,…,Y2a,Y2b,…)の波長の変化は、例えば数ナノメートルの程度であるため、基準波長近傍での等色関数の関数形を直線であると近似して計算しても、実用上の精度は十分に得られる。
よって以下においては、前記した波長が基準波長から変化したときの等色関数の関数値の変化に関する情報としては、波長の変化に対する関数の変化率、すなわち波長変化時の関数値変化の傾きを保有している場合を想定して説明する。
Δf = (df/dλ)・Δλ
で近似できる。
前記した等色関数 xe(λ),ye(λ),ze(λ) についてこの式を適用して、波長 λ が λro の近傍では、λ=λro +Δλr と書いて、以下の式(式8)
xe(λ) = xe(λro +Δλr) = xe(λro) + Fxro・Δλr
ye(λ) = ye(λro +Δλr) = ye(λro) + Fyro・Δλr
ze(λ) = ze(λro +Δλr) = ze(λro) + Fzro・Δλr
ただし、
Fxro = dxe/dλ(λ=λro)
Fyro = dye/dλ(λ=λro)
Fzro = dze/dλ(λ=λro)
を得る。
同様に λ が λgo の近傍では、λ=λgo +Δλg と書いて、以下の式(式9)
xe(λ) = xe(λgo +Δλg) = xe(λgo) + Fxgo・Δλg
ye(λ) = ye(λgo +Δλg) = ye(λgo) + Fygo・Δλg
ze(λ) = ze(λgo +Δλg) = ze(λgo) + Fzgo・Δλg
ただし、
Fxgo = dxe/dλ(λ=λgo)
Fygo = dye/dλ(λ=λgo)
Fzgo = dze/dλ(λ=λgo)
さらに λ が λbo の近傍では、λ=λbo +Δλb と書いて、以下の式(式10)
xe(λ) = xe(λbo +Δλb) = xe(λbo) + Fxbo・Δλb
ye(λ) = ye(λbo +Δλb) = ye(λbo) + Fybo・Δλb
ze(λ) = ze(λbo +Δλb) = ze(λbo) + Fzbo・Δλb
ただし、
Fxbo = dxe/dλ(λ=λbo)
Fybo = dye/dλ(λ=λbo)
Fzbo = dze/dλ(λ=λbo)
を得る。
S(λ) = Sr・δ(λ−λro −Δλr )
+ Sg・δ(λ−λgo −Δλg )
+ Sb・δ(λ−λbo −Δλb )
のように表せるから、この式と、前記した式8,式9,式10を、前記した式1の積分に適用することにより、三刺激値の X に関する以下の式(式12)
X = Sr・{ xe(λro) + Fxro・Δλr }
+ Sg・{ xe(λgo) + Fxgo・Δλg }
+ Sb・{ xe(λbo) + Fxbo・Δλb }
= Hxr・Sr + Hxg・Sg + Hxb・Sb
ただし、
Hxr = xe(λro) + Fxro・Δλr = Hxro + Fxro・Δλr
Hxg = xe(λgo) + Fxgo・Δλg = Hxgo + Fxgo・Δλg
Hxb = xe(λbo) + Fxbo・Δλb = Hxbo + Fxbo・Δλb
および Y に関する以下の式(式13)
Y = Sr・{ ye(λro) + Fyro・Δλr }
+ Sg・{ ye(λgo) + Fygo・Δλg }
+ Sb・{ ye(λbo) + Fybo・Δλb }
= Hyr・Sr + Hyg・Sg + Hyb・Sb
ただし、
Hyr = ye(λro) + Fyro・Δλr = Hyro + Fyro・Δλr
Hyg = ye(λgo) + Fygo・Δλg = Hygo + Fygo・Δλg
Hyb = ye(λbo) + Fybo・Δλb = Hybo + Fybo・Δλb
さらに Z に関する以下の式(式14)
Z = Sr・{ ze(λro) + Fzro・Δλr }
+ Sg・{ ze(λgo) + Fzgo・Δλg }
+ Sb・{ ze(λbo) + Fzbo・Δλb }
= Hzr・Sr + Hzg・Sg + Hzb・Sb
ただし、
Hzr = ze(λro) + Fzro・Δλr = Hzro + Fzro・Δλr
Hzg = ze(λgo) + Fzgo・Δλg = Hzgo + Fzgo・Δλg
Hzb = ze(λbo) + Fzbo・Δλb = Hzbo + Fzbo・Δλb
を得る。
なお、式12,式13,式14では、表記の簡略化のため、以下の式(式15)
Hxro = xe(λro)
Hxgo = xe(λgo)
Hxbo = xe(λbo)
Hyro = ye(λro)
Hygo = ye(λgo)
Hybo = ye(λbo)
Hzro = ze(λro)
Hzgo = ze(λgo)
Hzbo = ze(λbo)
のように定義した係数 Hxr,Hxg,Hxb,Hyr,Hyg,Hyb,Hzr,Hzg,Hzb を用いた表現も併記した。
ΔX = Hxr・ΔSr + Hxg・ΔSg + Hxb・ΔSb
ΔY = Hyr・ΔSr + Hyg・ΔSg + Hyb・ΔSb
ΔZ = Hzr・ΔSr + Hzg・ΔSg + Hzb・ΔSb
のように表すことができる。
かくして前記した波長帯域のそれぞれについての前記発光強度指示値を微小変化させたときの前記色相指示値の変化量を、前記した前記発光強度指示値の変化量を用いて、その線形演算で表すことができ、また、そのときの係数を、前記した波長帯域のそれぞれについての前記発光強度指示値および前記波長偏差指示値を用いて決定することができた。
ΔX = D・{Xp −X}
ΔY = D・{Yp −Y}
ΔZ = D・{Zp −Z}
によって ΔX,ΔY,ΔZ の値を決めれば、前記した式16は ΔSr,ΔSg,ΔSb に関する初等的な3元連立1次方程式と見ることができ、全ての係数が決まっているため、容易に解くことができて、前記発光強度指示値の微小変化量 ΔSr,ΔSg,ΔSb の値を求めることができる。
前記した式5に従って、求めた ΔSr,ΔSg,ΔSb を元の Sr,Sg,Sb に加えて発光強度指示値の新しい目標値 Srp,Sgp,Sbp を算出し、前記した式3を介して、前記駆動回路(P1a,P1b,…,P2a,P2b,…)の電力 Pr,Pg,Pb を更新することができる。
上において述べた三刺激値 X,Y,Z が、その目標値 Xp,Yp,Zp に維持されるように制御する方法の場合、光の色の目標を維持したまま、例えば Sr が所定の値となるよう、光の明るさを小さくしたい場合は、三刺激値の目標値 Xp,Yp,Zp それぞれを、適当に決めた、ある同じ比率で縮小することを試行し、フィードバックループを実際に回してみて、Sr が所定の値になるような適当な比率が見つかるまで、試行錯誤する必要がある。
以下において、制御対象を x,y,Y とし、これがその目標値 xp,yp,Yp に維持されるように制御する場合について説明する。
T = X+Y+Z
= { Hxr + Hyr + Hzr }・Sr
+ { Hxg + Hyg + Hzg }・Sg
+ { Hxb + Hyb + Hzb }・Sb
= Ir・Sr +Ig・Sg +Ib・Sb
ただし、
Ir = Hxr + Hyr + Hzr
Ig = Hxg + Hyg + Hzg
Ib = Hxb + Hyb + Hzb
を得る。
したがって、被測定光束 S(λ) に関する前記した式2の色度座標 x,y は、前記した式12,式13,式18を用いた以下の式(式19)
x = X/T
y = Y/T
の計算で求められる。
Δf = (δf/δu)・Δu + (δf/δv)・Δv + (δf/δw)・Δw
のように近似できる。
色度座標 x,y および光の明るさ Y が、前記発光強度指示値 Sr,Sg,Sb を変数とする関数であると見て、以下の式(式21)
Jxr = δx/δSr = { δX/δSr・T − X・δT/δSr }/{T・T}
= { Hxr・T − Ir・X }/{T・T}
= { Hxr − Ir・x }/T
Jxg = δx/δSg = { Hxg − Ig・x }/T
Jxb = δx/δSb = { Hxb − Ib・x }/T
Jyr = δy/δSr = { Hyr − Ir・y }/T
Jyg = δy/δSg = { Hyg − Ig・y }/T
Jyb = δy/δSb = { Hyb − Ib・y }/T
のように偏微分係数の値を具体的に決めれば、Sr,Sg,Sb を微小変化させたときの x,y,Y の変化量は、以下の式(式22)
Δx = Jxr・ΔSr +Jxg・ΔSg +Jxb・ΔSb
Δy = Jyr・ΔSr +Jyg・ΔSg +Jyb・ΔSb
ΔY = Hyr・ΔSr +Hyg・ΔSg +Hyb・ΔSb
のように表すことができる。
ただし、式22の3番目の( ΔY に関する)式は、式13から得られる次の関係に基づく。
δY/δSr = Hyr
δY/δSg = Hyg
δY/δSb = Hyb
Δx = D・{xp −x}
Δy = D・{yp −y}
ΔY = D・{Yp −Y}
によって Δx,Δy,ΔY の値を決めれば、前記した式22は ΔSr,ΔSg,ΔSb に関する初等的な3元連立1次方程式と見ることができ、全ての係数が決まっているため、容易に解くことができて、前記発光強度指示値の微小変化量 ΔSr,ΔSg,ΔSb の値を求めることができる。
Δx−Jxg・ΔSg = Jxr・ΔSr +Jxb・ΔSb
Δy−Jyg・ΔSg = Jyr・ΔSr +Jyb・ΔSb
のように組み換えた方程式を適用すればよく、これは初等的な2元連立1次方程式であるから容易に解くことができて、ΔSr,ΔSb を求めることができる。
ただし、このようにした場合は、光の明るさ Y を目標値に維持することはできなくなるが、前記仮想統合制御回路は、色度座標 x,y を目標値に維持するフィードバック制御を実行することができる。
また、前記仮想統合制御回路によるフィードバック制御のための線形方程式である前記した式16や式22の係数 Hxr,Hxg,Hxb,Hyr,Hyg,Hyb,Hzr,Hzg,Hzb および Jxr,Jxg,Jxb,Jyr,Jyg,Jyb の決定の際にも、求めた基準波長からの偏差 Δλr,Δλg,Δλb の値を使用する計算方法を提示した。
しかし、これら係数に関しては、基準波長からの偏差 Δλr,Δλg,Δλb を全て零とおく近似を行って値を決定することが可能である。
何故ならば、このように近似することにより、計算の精度は悪化するものの、係数の計算が簡略化される利点がある。
以下において、このように近似する場合の計算方法について説明する。
X = Hxro・Sr + Hxgo・Sg + Hxbo・Sb
Y = Hyro・Sr + Hygo・Sg + Hybo・Sb
Z = Hzro・Sr + Hzgo・Sg + Hzbo・Sb
のように表すことができる。
ΔX = Hxro・ΔSr + Hxgo・ΔSg + Hxbo・ΔSb
ΔY = Hyro・ΔSr + Hygo・ΔSg + Hybo・ΔSb
ΔZ = Hzro・ΔSr + Hzgo・ΔSg + Hzbo・ΔSb
を得る。
かくして前記した波長帯域のそれぞれについての前記発光強度指示値を微小変化させたときの前記色相指示値の変化量を、前記した前記発光強度指示値の変化量を用いて、その線形演算で表すことができ、また、そのときの係数を決定することができた。
なお、三刺激値 X,Y,Z の値は、前記帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)が取得した前記帯域光特性取得データ(ShR,ShG,ShB)に基づいて前記発光強度指示値 Sr,Sg,Sb と、前記波長偏差指示値たる基準波長からの偏差 Δλr,Δλg,Δλb とを求めた上で、前記した式12,式13,式14によって計算して決定すればよい。
Iro = Hxro + Hyro + Hzro
Igo = Hxgo + Hygo + Hzgo
Ibo = Hxbo + Hybo + Hzbo
および以下の式(式28)
Jxro = { Hxro − Iro・x }/T
Jxgo = { Hxgo − Igo・x }/T
Jxbo = { Hxbo − Ibo・x }/T
Jyro = { Hyro − Iro・y }/T
Jygo = { Hygo − Igo・y }/T
Jybo = { Hybo − Ibo・y }/T
のように表すことができる。
ただし、x,y および T は、前記したように、前記帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)が取得した前記帯域光特性取得データ(ShR,ShG,ShB)に基づいて前記発光強度指示値 Sr,Sg,Sb と、前記波長偏差指示値たる基準波長からの偏差 Δλr,Δλg,Δλb とを求めた上で、前記した式12,式13,式14によって計算された三刺激値 X,Y,Z の値を、前記した式18の最上段の表現、すなわち以下の式
T = X+Y+Z (再録)
および式19に適用して計算する。
Δx = Jxro・ΔSr +Jxgo・ΔSg +Jxbo・ΔSb
Δy = Jyro・ΔSr +Jygo・ΔSg +Jybo・ΔSb
ΔY = Hyro・ΔSr +Hygo・ΔSg +Hybo・ΔSb
を得る。
かくして前記した波長帯域のそれぞれについての前記発光強度指示値を微小変化させたときの前記色相指示値の変化量を、前記した前記発光強度指示値の変化量を用いて、その線形演算で表すことができ、また、そのときの係数を決定することができた。
これらの左辺の Δx,Δy,ΔY の値は、色度座標と明度指示値 Y の目標値 xp,yp,Yp と、その時点での x,y,Y の値とに基づき、前記した式23により計算すればよい。
具体的には、例えば ΔSg を別途決めるとした、前記した式24に適用する場合は、以下の式(式30)
Δx−Jxgo・ΔSg = Jxro・ΔSr +Jxbo・ΔSb
Δy−Jygo・ΔSg = Jyro・ΔSr +Jybo・ΔSb
の通りである。
しかし、本発明の光源装置のような機器組込み型のマイクロプロセッサの場合、数値計算、特に浮動小数点演算の処理能力に関して、パーソナルコンピュータ用のもののような高い性能を有するものを使えないことが多い。
そのため、前記仮想統合制御回路とは異なり、本発明の光源装置の前記統合制御回路(Mc)におけるフィードバック制御ループのなかで、前記したような連立方程式を繰り返し解く処理は、マイクロプロセッサのオーバーヘッドを招き易いという問題がある。
そして、これを回避するために、高性能なマイクロプロセッサを使用すれば、光源装置の高コスト化を招くという問題がある。
ここで、前記した前記波長偏差指示値の出現態様とは、前記波長偏差指示値が現れる際の現れ方のパターンであり、その最も簡単なものは、R,G,Bの各波長帯域の波長偏差指示値 Δλr,Δλg,Δλb の1個のみが非零かつ他の2個が零であるもので、これについては、Δλr のみが非零の場合と Δλg のみが非零の場合と Δλb のみが非零の場合の3種類の態様がある。
この3種類の態様を採用する場合は、Δλr が非零の場合について前記した連立方程式を解いて得た、前記発光強度指示値目標変分情報たる発光強度指示値の変化量の組合せ ΔSr,ΔSg,ΔSb と、Δλg が非零の場合について前記した連立方程式を解いて得た、前記発光強度指示値目標変分情報たる発光強度指示値の変化量の組合せ ΔSr,ΔSg,ΔSb と、Δλb が非零の場合について前記した連立方程式を解いて得た、前記発光強度指示値目標変分情報たる発光強度指示値の変化量の組合せ ΔSr,ΔSg,ΔSb とを予めの計算によって求め、準備しておくことになる。
また、より複雑なパターンとしては、例えば、Δλr,Δλg,Δλb の1個が零かつ他の2個が同量の非零であるもので、これについては、Δλr が零の場合と Δλg が零の場合と Δλb が零の場合の3種類の態様があり、一般的に言えば、Δλr,Δλg,Δλb の線形結合を採用することができる。
本光源装置の前記出力光束(Fo,Fo1,Fo2,…)の総合的なR,G,B各波長帯域の波長 λr,λg,λb が、それぞれ基準波長 λro,λgo,λbo に等しく、かつ、色相指示値たる色度座標 x,y および光の明るさ Y について、それぞれの目標値 xp,yp,Yp を達成している状態を標準状態とし、そのときの発光強度指示値が Sr,Sg,Sb であるとする。
いま、λr のみに規定の大きさ ΔΛ だけの波長変化が生じたとすると、当然、 x,y,Y の値は、標準状態の xp,yp,Yp から変化するが、どのような値になるかは、Δλr=ΔΛ,Δλg=Δλb=0 を前記した式6または式12,式13,式14、そして式18,式19に適用して予測することができる。
これを標準状態の xp,yp,Yp に戻すために、発光強度指示値 Sr,Sg,Sb それぞれに与えるべき変化量 ΔSrr,ΔSgr,ΔSbr は、前記したダンピング係数 D について、D=1 を前記した式23に適用し、前記した式22または式29の方程式を解くことによって得られる。
なお、D=1 とした理由は、いまの場合は、フィードバック制御によって徐々に目標値 xp,yp,Yp に漸近させる事ではなく、目標値 xp,yp,Yp を実現可能な Sr,Sg,Sb の変化量を可及的正確に予想する事が目的だからである。
ただし、D の値は、意図的に補正不足気味にしたい場合は、例えば 0.9 などとし、逆に補正過剰気味にしたい場合は、例えば 1.1 にするなど、適宜調整することができる。
さらに、前記波長偏差指示値の出現態様 Δλg=ΔΛ,Δλr=Δλb=0 に対しても、同様に方程式を解いて、前記発光強度指示値目標変分情報たる発光強度指示値の変化量の組合せ ΔSrg,ΔSgg,ΔSbg を、そして前記波長偏差指示値の出現態様 Δλb=ΔΛ,Δλr=Δλg=0 に対しても、同様に方程式を解いて、前記発光強度指示値目標変分情報たる発光強度指示値の変化量の組合せ ΔSrb,ΔSgb,ΔSbb を求めて記憶する。
なお、計算の際に使用する、前記した想定計算時の波長変化量 ΔΛ の具体的な値としては、実際に生ずる Δλr,Δλg,Δλb の最大値程度とすればよい。
また、ΔΛ をR,G,B各波長帯域に共通としたが、想定計算時の波長変化量は波長帯域毎に個別の値を設定してもよい。
以上において求めるとした、前記発光強度指示値目標変分情報 ΔSrr,ΔSgr,ΔSbr および ΔSrg,ΔSgg,ΔSbg 、ΔSrb,ΔSgb,ΔSbb の計算については、パーソナルコンピュータ等で実行し、計算結果の値を前記統合制御回路(Mc)に転送し、該統合制御回路(Mc)内で記憶するようにすることができる。
測定により、実際の前記波長偏差指示値 Δλr,Δλg,Δλb の各値が求まれば、これを、前記した、想定した3種類の前記波長偏差指示値の出現態様である、Δλr=ΔΛ,Δλg=Δλb=0 と、Δλg=ΔΛ,Δλr=Δλb=0 と、Δλb=ΔΛ,Δλr=Δλg=0 との重ね合わせと見て、前記波長偏差指示値の出現態様それぞれに所属する発光強度指示値の変化量の組合せである、前記発光強度指示値目標変分情報 ΔSrr,ΔSgr,ΔSbr と、ΔSrg,ΔSgg,ΔSbg と、ΔSrb,ΔSgb,ΔSbb とを重ね合わせることにより、前記した実際の波長偏差指示値 Δλr,Δλg,Δλb の態様に適合した、前記出力光束(Fo,Fo1,Fo2,…)の総合的な色相指示値についての、その目標値との差異の解消が可能な発光強度指示値の変化量 ΔSr,ΔSg,ΔSb を求めることが可能である。
Δf = (δf/δu)・Δu + (δf/δv)・Δv + (δf/δw)・Δw
について説明したものと同様である。
ただし、予めの計算によって求めた発光強度指示値の変化量の組合せ ΔSrr,ΔSgr,ΔSbr 、ΔSrg,ΔSgg,ΔSbg 、ΔSrb,ΔSgb,ΔSbb は、Δλr,Δλg,Δλb それぞれが想定計算時の波長変化量 ΔΛ である場合、すなわち、仮に設定した規定の大きさ ΔΛ である場合を想定して計算したものであるから、重ね合わせに際しては、Δλr,Δλg,Δλb それぞれの実際の値の、ΔΛ に対する比の値を乗じて加算する必要があり、したがって以下の式(式31)
ΔSr = ΔSrr・Δλr/ΔΛ + ΔSrg・Δλg/ΔΛ + ΔSrb・Δλb/ΔΛ
ΔSg = ΔSgr・Δλr/ΔΛ + ΔSgg・Δλg/ΔΛ + ΔSgb・Δλb/ΔΛ
ΔSb = ΔSbr・Δλr/ΔΛ + ΔSbg・Δλg/ΔΛ + ΔSbb・Δλb/ΔΛ
によって計算すればよいことが判る。
当然ながら、前記したように想定計算時の波長変化量 ΔΛ をR,G,B各波長帯域に共通としなかった場合は、前記した比の値は、各波長帯域における想定計算時の波長変化量に応じて計算する必要がある。
つまり、前記したように、前記統合制御回路(Mc)は、前記帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)が取得した前記帯域光特性取得データ(ShR,ShG,ShB)に基づいて取得した前記発光強度指示値 Sr,Sg,Sb と、元の目標値 Srp,Sgp,Sbp を式4に適用して比例係数 kr,kg,kb を更新する。
そして前記統合制御回路(Mc)は、前記発光強度指示値の現在の値 Sr,Sg,Sb に対し、いま求めた ΔSr,ΔSg,ΔSb を式5に適用して発光強度指示値の新しい目標値 Srp,Sgp,Sbp を算出し、式3に従って前記駆動回路(P1a,P1b,…,P2a,P2b,…)の電力 Pr,Pg,Pb を更新する。
そして前記帯域光特性取得データ(ShR,ShG,ShB)を取得する動作に戻り、以降、記載したシーケンスを繰り返すようにすることにより、フィードバック制御ループが構築される。
前記した式16、式17、式26、あるいは前記した式22、式23、式29について説明した箇所において、これらがフィードバック制御ループのなかで解くべき方程式である旨を記載したが、それはあくまでも色相指示値たる三刺激値 X,Y,Z または色度座標 x,y の値を算出する機能を有する、前記仮想統合制御回路がフィードバック制御を行う場合の事である。
一方、本発明の光源装置の前記統合制御回路(Mc)の場合は、それら色相指示値の値を算出する機能は必要でないため、それらの方程式を解くことはできず、よって方程式を解かない代わりに、想定される波長偏差指示値の出現態様に対して予めの計算によって解いておいた解である前記発光強度指示値目標変分情報を記憶しておき、フィードバック制御ループのなかでは、前記帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)が取得した前記帯域光特性取得データ(ShR,ShG,ShB)に基づいて取得した、実測の波長偏差指示値の出現態様のパターンに応じて、前記発光強度指示値目標変分情報を適宜スケーリングして合成することによって、発光強度指示値の変化量 ΔSr,ΔSg,ΔSb の実用的な解を得る点が、本発明の巧妙なところである。
解を得たその後は、前記統合制御回路(Mc)は、上で述べた前記帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)が取得した前記帯域光特性取得データ(ShR,ShG,ShB)に基づいて取得した前記発光強度指示値 Sr,Sg,Sb が、その目標値 Srp,Sgp,Sbp に近づくようにフィードバック制御するだけで、目標とする色相指示値が達成されるのである。
また、前記帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)が生成した前記帯域光特性取得データ(ShR,ShG,ShB)に対して共通に補正係数を乗算するものとして、その補正係数を調整することにより、フィードバック制御によって到達する前記出力光束(Fo)の強さを、光源装置毎に個別に調節することができる。
すなわち、光源装置各部の特性の差異に起因する光源装置の個体差は、光源装置各部のスケーリングによる調整が可能であるため、前記した標準状態に対応する明度指示値の目標値 Yp や発光強度指示値 Sr,Sg,Sb については、光源装置毎に個別に決める必要は無く、複数の光源装置において共通の値とすることができ、したがって色度座標の目標値 xp,yp が共通であれば、前記発光強度指示値目標変分情報についても、複数の光源装置において共通の値を保持するように製作することが可能である。
なお、色度座標の目標値 xp,yp に関しては、予めの計算を行う装置にしか現れないため、一般的定義通りの値を例えば浮動小数点変数を用いて表現すればよい。
一方、波長偏差指示値 Δλr,Δλg,Δλb の規格化のための定数である想定計算時の波長変化量 ΔΛ については、予めの計算を行う装置と光源装置の統合制御回路(Mc)の両方に現れるため、統合制御回路(Mc)で扱い易い値で表した値と、予めの計算を行う装置で扱う物理的な実際の値との換算のためのスケーリング係数を正確に決めておく必要がある。
また、ここでは、Δλr のみが非零の場合と Δλg のみが非零の場合と Δλb のみが非零の場合の3種類の態様からなるものについて説明したが、前記した、波長偏差指示値の線形結合を出現態様とするものについて補足すると、Δλr,Δλg,Δλb についての、ある線形結合のみが非零の場合と、別の線形結合のみが非零の場合と、さらに別の線形結合のみが非零の場合の3種類の態様からなるとして、実際の Δλr,Δλg,Δλb の各値の集合を、それぞれの線形結合の成分に分解し、前記した波長偏差指示値における Δλr/ΔΛ などのような、各成分の存在割合を乗じて重ね合わせるようにして、同様に ΔSr,ΔSg,ΔSb を求めればよい。
このような線形結合の出現態様は、例えば、基準波長からの偏差の大きさが、ある波長帯域と他の波長帯域とで相関を有している場合などに適用することができる。
前記した標準状態、すなわち本光源装置の前記出力光束(Fo,Fo1,Fo2,…)の総合的なR,G,B各波長帯域の波長 λr,λg,λb が、それぞれ基準波長 λro,λgo,λbo に等しく、かつ、色相指示値たる色度座標 x,y および光の明るさ Y について、それぞれの目標値 xp,yp,Yp を達成している状態に対し、調光を行って光の明るさ Y を Yp' にする場合は、先ず、調光に関しては無頓着に(調光を行わないとして)、標準状態に対応する発光強度指示値 Sr,Sg,Sb に対して前記した式31を適用して ΔSr,ΔSg,ΔSb を求めた上で、μ = Yp'/Yp によって算出した調光率 μ を、Sr,Sg,Sb および ΔSr,ΔSg,ΔSb のそれぞれに乗じて Sr',Sg',Sb' および ΔSr',ΔSg',ΔSb' を算出し、Sr,Sg,Sb および ΔSr,ΔSg,ΔSb の代わりに、これらに対して前記した式5を適用して目標値 Srp,Sgp,Sbp を決め、前記したようにして kr,kg,kb を介して Pr,Pg,Pb を決めればよい。
これにより、Sr,Sg,Sb の比率を変えずにスケーリングが行われるため、前記出力光束(Fo,Fo1,Fo2,…)の総合的な色相を規定のものに維持したまま、光の明るさが所期のものになるように操作すること、すなわち調光が可能となる。
しかし、本発明の場合は、前記した調光を行う場合の処理を利用する方が簡単である。
すなわち、例えば Sg を別途決める場合、前記した式5によって計算する Sg+ΔSg の値が、別途決める Sg の値 Sg" となるよう、調光率を μ = Sg"/(Sg+ΔSg) によって計算した上で、前記した調光を行う場合の処理を適用すればよい。
そのように制御することにより、所期の光の明るさは達成できない場合でも、色相を規定のものに維持することができる。
先ず、等色関数 xe(λ),ye(λ),ze(λ) に関する局所帯域等色関数情報、すなわちR,G,B各波長帯域の基準波長 λro,λgo,λbo における等色関数の関数値である係数 Hxro,Hxgo,Hxbo,Hyro,Hygo,Hybo,Hzro,Hzgo,Hzbo および基準波長における等色関数の傾きの値である、係数 Fxro,Fyro,Fzro,Fxgo,Fygo,Fzgo,Fxbo,Fybo,Fzbo と、式18の Ir,Ig,Ib の値を事前に準備した上で、標準状態における基準波長 λro,λgo,λbo および色度座標目標値 xp,yp 、光の明るさ目標値 Yp 、発光強度指示値 Sr,Sg,Sb 、さらに想定計算時の波長変化量 ΔΛ を決め、D=1 を適用した、前記した式23と前記した式22または式29の方程式を解くことによって波長偏差指示値の出現態様 Δλr=ΔΛ,Δλg=Δλb=0 、Δλg=ΔΛ,Δλr=Δλb=0 、Δλb=ΔΛ,Δλr=Δλg=0 に対する発光強度指示値目標変分情報 ΔSrr,ΔSgr,ΔSbr 、ΔSrr,ΔSgr,ΔSbr 、ΔSrb,ΔSgb,ΔSbb を、予めの計算によって計算しておく。
なお、前記したように、これらの計算はパーソナルコンピュータ等の予めの計算を行う装置で実行し、計算結果の値を前記統合制御回路(Mc)に転送し、該統合制御回路(Mc)内で記憶するように構成することができる。
そして同じく前記帯域光特性取得データ(ShR,ShG,ShB)に基づいて取得した前記波長偏差指示値たる基準波長からの偏差 Δλr,Δλg,Δλb の値を、前記した式31に適用して、発光強度指示値の変化量 ΔSr,ΔSg,ΔSb の値を求める。
前記統合制御回路(Mc)は、前記発光強度指示値の現在の値 Sr,Sg,Sb に対し、いま求めた ΔSr,ΔSg,ΔSb を式5に適用して発光強度指示値の新しい目標値 Srp,Sgp,Sbp を算出し、式3に従って前記駆動回路(P1a,P1b,…,P2a,P2b,…)の電力 Pr,Pg,Pb を更新する。
そして前記帯域光特性取得データ(ShR,ShG,ShB)を取得する動作に戻り、以降、記載したシーケンスを繰り返すようにすることにより、フィードバック制御ループが構築される。
同じ色であっても複数個の発光素子を集めた場合、発光波長のバラツキがあるため、それらを総合した光のスペクトル S(λ) は、正確には前記した式11のようなデルタ関数にはならない。
しかし、発光波長のバラツキがあっても、同じ波長帯域に属する全ての発光素子を総合し、その波長の平均値に等しい波長を有する、仮想的な単色光源に置き換えると考えれば、前記した議論が成立する。
ただし、同じ波長帯域に属する全ての発光素子を総合した場合は、波長のバラツキに起因したスペクトル幅の拡がりが存在することになり、その結果、色度座標が少しだけ白色方向に移動する。
しかし、この移動量は僅かである上、本光源装置における色度座標等の計算の目的は、正確な絶対値を確定することではなく、発光素子の温度上昇などに起因して発光波長が変化し、白バランスが崩れるものを、フィードバック制御で補正することであり、波長のバラツキに起因したスペクトル幅の拡がりは、そのような発光波長の変化が生じる前から存在していたものであるから、前記した計算の目的に照らして、実用上の問題は無い。
本発明の光源装置は、例えば、前記した波長帯域のうちの少なくとも一つの波長帯域の前記帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)は、当該波長帯域の分光感度特性についての第1の分光感度特性を有する第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)と、第2の分光感度特性を有する第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)と、によって構成されているとともに、前記した第1の分光感度特性と前記した第2の分光感度特性とは、波長の変化に対する感度の変化率、すなわち波長変化時の感度変化の傾きが相違しており、前記した当該波長帯域における前記した第1の分光感度特性、および前記した第2の分光感度特性それぞれの、基準波長での感度値と前記した波長の変化に対する感度の変化率とからなる局所帯域分光感度情報を保有しており、前記帯域光特性取得データ(ShR,ShG,ShB)たる、前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)が生成する第1光量測定データ(Sh1R,Sh1G,Sh1B)と、前記帯域光特性取得データ(ShR,ShG,ShB)たる、前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)が生成する第2光量測定データ(Sh2R,Sh2G,Sh2B)とを取得して、前記局所帯域分光感度情報を用いて、前記第1光量測定データ(Sh1R,Sh1G,Sh1B)と前記第2光量測定データ(Sh2R,Sh2G,Sh2B)とから前記した発光強度指示値と前記した波長偏差指示値とを生成して取得するように構成することも可能である。
なお、本発明の光源装置においては、前記した波長帯域のうちの少なくとも一つの波長帯域の前記帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)は、当該波長帯域の分光感度特性についての第1の分光感度特性を有する第1光量測定手段と、第2の分光感度特性を有する第2光量測定手段と、によって構成されているが、ここでは、全ての波長帯域の前記帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)がいま述べたように構成されているものを想定して図示してある。
したがって、本図の光源装置においては、前記測定用出力光束(Fo’)を、前記した波長帯域のそれぞれ毎に設けた第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)に入力し、また同じ前記測定用出力光束(Fo’)を、前記した波長帯域のそれぞれ毎に設けた第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)に入力するものを描いてある。
なお、本図において、R,G,B各波長帯域の前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)をひとまとめにして第1光量測定手段グループ(Ax1)とし、R,G,B各波長帯域の前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)をひとまとめにして第2光量測定手段グループ(Ax2)として描いたのは、単に便宜上の都合によるもので、例えば、R色の第1光量測定手段と第2光量測定手段とをひとまとめにし、またG色の第1光量測定手段と第2光量測定手段とをひとまとめにし、さらにB色の第1光量測定手段と第2光量測定手段とをひとまとめにするようにしてもよい。
さらに、図においては、各波長帯域の前記出力光束(Fo1,Fo2,…)から、それぞれ一部づつを抽出した光束をひとまとめにした前記測定用出力光束(Fo’)から分割して前記帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)に入力するものを描いてあるが、ひとまとめにせずに、各波長帯域毎の測定用出力光束を、それぞれの波長帯域用の前記帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)に直接入力するように構成してもよい。
前記光センサ(C1R,C1G,C1B)からの光検出信号(Sg1R,Sg1G,Sg1B)は、信号処理回路(H1R,H1G,H1B)によって増幅やAD変換等の必要な処理を行い、R,G,Bそれぞれの波長帯域での光量の情報からなる第1光量測定データ(Sh1R,Sh1G,Sh1B)を生成する。
当然ながら、前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)の分光感度特性には、前記特性フィルタ(Et1)および前記帯域フィルタ(Et1R,Et1G,Et1B)に起因するものに加えて、前記光センサ(C1R,C1G,C1B)自身の分光感度特性が反映される。
なお、前記特性フィルタ(Et1)は、前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)のそれぞれに共通のものを設けるように構成するものを記載してあるが、前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)のそれぞれに対して個別のものを設けるように構成してもよい。
また、前記信号処理回路(H1R,H1G,H1B)は、前記光検出信号(Sg1R,Sg1G,Sg1B)のそれぞれに対して個別のものを設けるように構成するものを記載してあるが、選択信号に従って前記光検出信号(Sg1R,Sg1G,Sg1B)のうちから1個を選択するアナログマルチプレクサを設けた上で、前記光検出信号(Sg1R,Sg1G,Sg1B)のそれぞれに共通のものを設けるように構成してもよい。
そして前記統合制御回路(Mc)は、前記第1光量測定データ(Sh1R,Sh1G,Sh1B)と前記第2光量測定データ(Sh2R,Sh2G,Sh2B)を読み取ることができる。
また、前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)または前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)の何れか一方の前記特性フィルタが素通しであるようにしてもよい。
また当然ながら、例えば先に図1のものについて説明したように、前記出力光束(Fo1,Fo2,…)をR,G,B各色毎に分けて各色独立に使用する場合は、前記光センサ(C1R,C1G,C1B)のそれぞれは、前記した1個の光センサ回路部(Ah1)にまとめて実装するのではなく、別体として構成すればよい。
(詳細に言うと、後述する式35,式36,式37をそれぞれ Sr と Sr・Δλr , Sg と Sg・Δλg , Sb と Sb・Δλb に関する2元連立1次方程式と見たとき、各方程式の行列式が零でない状態が実現できればよい。)
ここで、分光感度特性とは、いまの場合、R色波長帯域の分光感度特性とG色波長帯域の分光感度特性とB色波長帯域の分光感度特性とからなる組を指す。
ただし、一つの波長帯域における波長の変化に対する感度の変化率の相違の仕方として、一方が正で他方が負、あるいは一方が実質的に零で他方が非零(有限の値)、さらに両方とも同じ符号であるが絶対値が相違する、などの形態があり得るが、その何れでもよい。
前記発光素子(Y1a,Y1b,…,Y2a,Y2b,…)のうち一つの波長帯域のために使用するものを、同じメーカの同じ型式の製品に統一するならば、前記した帯域幅は、通常は数ナノメートルから十ナノメートル程度に過ぎないが、前記した第1の分光感度特性、および前記した第2の分光感度特性それぞれについて、この帯域幅内における波長の変化に対する感度の変化率の変化は少ないことが望ましい。
したがって、前記統合制御回路(Mc)は、以下で述べるように、前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)および前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)から読み取った前記第1光量測定データ(Sh1R,Sh1G,Sh1B)と前記第2光量測定データ(Sh2R,Sh2G,Sh2B)に基づき、前記局所帯域分光感度情報を利用して、R,G,B各波長帯域のそれぞれ毎に、光の強度に相関する発光強度指示値と基準波長からの偏差に相関する波長偏差指示値とを近似的に算出することができる。
Rm = ∫S(λ)・rm(λ)・dλ
Gm = ∫S(λ)・gm(λ)・dλ
Bm = ∫S(λ)・bm(λ)・dλ
のように表せる。
同様に、前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)がR,G,B各波長帯域における分光感度特性 rn(λ),gn(λ),bn(λ) を有するとすると、前記第2光量測定データ(Sh2R,Sh2G,Sh2B)に含まれるR,G,B各波長帯域における光量測定データ値 Rn,Gn,Bn は、以下の式(式33)
Rn = ∫S(λ)・rn(λ)・dλ
Gn = ∫S(λ)・gn(λ)・dλ
Bn = ∫S(λ)・bn(λ)・dλ
のように表せる。
なお、これらの積分領域は、少なくとも被測定光束 S(λ) のスペクトルが存在する波長帯域を覆う領域とする。
S(λ) = Sr・δ(λ−λro −Δλr )
+ Sg・δ(λ−λgo −Δλg )
+ Sb・δ(λ−λbo −Δλb )
のように表せる。
ここで、R,G,Bそれぞれの基準波長を λro,λgo,λbo とし、前記波長偏差指示値たる基準波長からの偏差を Δλr,Δλg,Δλb 、また、R,G,B各波長帯域のそれぞれの前記発光強度指示値を Sr,Sg,Sb とした。
Δf = (df/dλ)・Δλ
で近似できる。
よって λ が λro の近傍では、λ=λro +Δλr と書けば、前記した分光感度特性は、以下の式(式34)
rm(λ) = rm(λro+Δλr) = rm(λro) + Ermo・Δλr
rn(λ) = rn(λro+Δλr) = rn(λro) + Erno・Δλr
のように書ける。
ただし Ermo および Erno は、rm(λ) および rn(λ) の微分係数の、λ が λro であるときの値である。
前記した式11,式34を前記した式32,式33それぞれの第1式に適用すると、以下の式(式35)
Rm = Sr・∫δ(λ−λro −Δλr)・rm(λ)・dλ
= Sr・rm(λro +Δλr)
= Sr・{ rm(λro) + Ermo・Δλr }
Rn = Sr・{ rn(λro) + Erno・Δλr }
ただし、
Ermo = drm/dλ(λ=λro)
Erno = drn/dλ(λ=λro)
を得る。
これらは、以下のよう
Rm = rm(λro)・Sr + Ermo・Sr・Δλr
Rn = rn(λro)・Sr + Erno・Sr・Δλr
に書き改めれば判るように、Sr と Sr・Δλr に関する2元連立1次方程式であるから、それは初等計算によって解けて Sr と Sr・Δλr の値を、したがって Sr と Δλr の値を求めることができる。
Gm = Sg・{ gm(λgo) + Egmo・Δλg }
Gn = Sg・{ gn(λgo) + Egno・Δλg }
ただし、
Egmo = dgm/dλ(λ=λgo)
Egno = dgn/dλ(λ=λgo)
さらに λ が λbo の近傍では、λ=λbo +Δλb と書いて、以下の式(式37)
Bm = Sb・{ bm(λbo) + Ebmo・Δλb }
Bn = Sb・{ bn(λbo) + Ebno・Δλb }
ただし、
Ebmo = dbm/dλ(λ=λbo)
Ebno = dbn/dλ(λ=λbo)
を得るから、これらによって Sg と Δλg 、および Sb と Δλb の値を求めることができる。
前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)に関する局所帯域分光感度情報、すなわちR,G,B各波長帯域の基準波長 λro,λgo,λbo における分光感度特性 rm(λ),gm(λ),bm(λ) の値 rm(λro),gm(λgn),bm(λbn) と分光感度特性の波長の変化に対する感度の変化率の値 Ermo,Egmo,Ebmo 、および前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)に関する局所帯域分光感度情報、すなわちR,G,B各波長帯域の基準波長 λro,λgo,λbo における分光感度特性 rn(λ),gn(λ),bn(λ) の値 rn(λro),gn(λgn),bn(λbn) と分光感度特性の波長の変化に対する感度の変化率の値 Erno,Egno,Ebno を事前に準備しておく。
そして前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)による光量測定データ値 Rm,Gm,Bm と前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)による光量測定データ値 Rn,Gn,Bn とが得られれば、前記した式35,式36,式37からなる方程式の解により、簡単に前記発光強度指示値 Sr,Sg,Sb と、前記波長偏差指示値たる基準波長からの偏差 Δλr,Δλg,Δλb を求めることができる。
この帯域光特性取得手段は、一つの波長帯域について、前記測定用出力光束(Fo’)の光量を検出する光量検出器の他に、当該波長帯域の光を供給する前記発光素子の温度を検出する温度検出器を具備し、前記光量検出器によって検出された光量データと、前記温度検出器によって検出された温度データとを含むように前記帯域光特性取得データを生成し、一方、前記統合制御回路(Mc)は、前記発光素子の温度と発光波長の変化との相関データを保持するように構成することにより、温度の変化と発光波長の変化の相関が直線的でない場合も含め、前記統合制御回路(Mc)は、前記帯域光特性取得手段から取得した前記帯域光特性取得データに基づいて、当該波長帯域についての、光の強度に相関する発光強度指示値と基準波長からの偏差に相関する推定の波長偏差指示値とを取得することができる。
当然ながら、いま述べた前記帯域光特性取得手段を構成する前記光量検出器と前記温度検出器とを一体に構成する必要はない。
また前記温度検出器としては、サーミスタや熱電対、半導体温度センサ等を使用することができる。
なお、一つの波長帯域に属する前記発光素子が1個または複数個あって、複数個の前記温度検出器を設ける場合、前記した発光波長のバラツキに関して説明した理由により、定めた基準温度における前記発光素子それぞれの発光波長と、その発光素子についての基準温度からの温度の変化量とによって、基準温度のおける同じ波長帯域に属する全ての発光素子を総合した波長の平均値からの、温度変化に伴う波長の平均値の変化を算出することができ、したがって総合の波長偏差指示値を推定することができる。
ただし、前記温度検出器それぞれが温度検出を担当する発光素子の電力に、温度検出器毎に相違がある場合は、それぞれの温度検出器の検出温度に基づいて推定した波長偏差指示値を、担当発光素子電力に相関する量、例えば電流値によって重み付けした加重平均計算によって、総合の波長偏差指示値を算出することが望ましい。
なお、最も簡単には、前記温度検出器それぞれの検出温度の平均値(発光素子電力に相関する量によって重み付けした加重平均)を算出して総合の波長偏差指示値を推定することができる。
例えば、当該波長帯域における分光感度の傾きが2%/nmであり、算出された総合の波長偏差指示値が3nmであるとするならば、この総合の波長偏差指示値に前記した分光感度の傾きを乗じた値を1から減じて算出した0.94を、前記光量検出器によって検出された光量データに対して乗じることにより、光量データを補正すればよい。
この帯域光特性取得手段は、一つの波長帯域について、前記測定用出力光束(Fo’)の光量を検出する光量検出器の他に、当該波長帯域の光を供給する前記発光素子の電力を検出する電力検出器を具備し、前記光量検出器によって検出された光量データと、前記電力検出器によって検出された電力データとを含むように前記帯域光特性取得データを生成し、一方、前記統合制御回路(Mc)は、前記発光素子の電力と発光波長の変化との相関データを保持するように構成することにより、電力の変化と発光波長の変化の相関が直線的でない場合も含め、前記統合制御回路(Mc)は、前記帯域光特性取得手段から取得した前記帯域光特性取得データに基づいて、当該波長帯域についての、光の強度に相関する発光強度指示値と基準波長からの偏差に相関する推定の波長偏差指示値とを取得することができる。
当然ながら、いま述べた前記帯域光特性取得手段を構成する前記光量検出器と前記電力検出器とを一体に構成する必要はない。
したがってこのときは、前記駆動回路(P1a,P1b,…,P2a,P2b,…)は、前記帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)の機能の一部を兼ねており、前記統合制御回路(Mc)は、前記帯域光特性取得データ(ShR,ShG,ShB)の一部を前記駆動回路制御信号(J1a,J1b,…,J2a,J2b,…)を介して前記駆動回路(P1a,P1b,…,P2a,P2b,…)から受け取る。
当然ながら、前記発光素子に流される電流値や、電流を流した際に発生する電圧値も前記発光素子に投入される電力に相関するため、これらの電流値や電圧値を、波長偏差指示値を取得するために検出する電力の値として代替することができる。
例えば、前記した発光波長のバラツキに関して説明した理由により、定めた基準電力における前記発光素子それぞれの発光波長と、その発光素子についての基準電力からの電力の変化量とによって、基準電力のおける同じ波長帯域に属する全ての発光素子を総合した波長の平均値からの、電力変化に伴う波長の平均値の変化を算出することができ、したがって総合の波長偏差指示値を推定することができると言えるし、前記光量検出器の分光感度特性が当該波長帯域において平坦でない場合の処理も同様に行えばよい。
また、発光素子の発光波長は、自己発熱量に加えて環境温度によっても変化するため、環境温度を検出する温度検出器をさらに備え、この検出温度によって電力に基づく波長偏差指示値の推定値に補正を加えるようにすることができる。
なお、複数ある前記発光素子の電力値と波長偏差指示値との相関関係が直線的であるならば、検出電力値の平均値によって総合の波長偏差指示値を推定すればよい
この光量検出器としては、光量の大小を検出するものだけでなく、撮像素子が使用可能である。
特にカラー撮影用の撮像素子には、R,G,Bのカラーフィルタが画素に設けられているため、前記測定用出力光束(Fo’)がR,G,Bが混合された白色光であっても、分光フィルタを追加することなく、1個の撮像素子によって、R,G,B各波長帯域の光量データを生成することができる利点がある。
光ファイバが破断すると、破断箇所から光パワーが漏洩して光ファイバを機械的に保護するために設けた被覆材に吸収され、被覆材が焼損に至る可能性があるため、光ファイバの破断が起きれば、それを検知して発光素子を消灯する安全対策が必要となる。
全体として大きなパワーを伝送する場合は、同じ色の光に対しても複数本の光ファイバに分割することが、光学系の構成上も、安全性の面からも有利であるが、その場合は、全光ファイバからの総合光量を監視するだけではなく、光ファイバ1本づつの光量を監視し、個別に破断を検知できることが望ましい。
前記したように、前記出射端(Eo1,Eo2,…)が同一平面上に位置するように揃えて、前記光ファイバ(Ef1,Ef2,…)の出射端部を束ねたものの場合、前記出射端(Eo1,Eo2,…)が位置する平面の像を、レンズ等を用いて撮像素子に投影することにより、光ファイバ1本づつを識別して光量を監視し、個別に破断を検知することが可能となる。
降圧チョッパ回路を基本とした前記駆動回路(P1a)は、ノード(T10,T11)に接続されたDC電源(Uv)より電圧の供給を受けて動作し、前記発光素子(Y1a)への給電量調整を行う。
なお、前記発光素子(Y1a)は、ここでは複数個の半導体レーザを直列接続して構成する場合を想定した。
前記駆動回路(P1a)においては、FET等のスイッチ素子(Qx)によって前記DC電源(Uv)よりの電流のオン・オフの切換えを行い、チョークコイル(Lx)を介して平滑コンデンサ(Cx)に充電が行われ、この電圧がノード(T20,T21)から前記発光素子(Y1a)に印加され、前記発光素子(Y1a)に電流を流すことができるように構成されている。
このような降圧チョッパ型の前記駆動回路(P1a)においては、前記スイッチ素子(Qx)の動作周期に対する、前記スイッチ素子(Qx)がオン状態の期間の比、すなわちデューティサイクル比により、前記発光素子(Y1a)への給電量を調整することができる。
ここでは、あるデューティサイクル比を有するゲート駆動信号(Sg)が駆動制御回路(Fx)によって生成され、ゲート駆動回路(Gx)を介して、前記スイッチ素子(Qx)のゲート端子を制御することにより、前記DC電源(Uv)よりの電流のオン・オフが制御される。
前記出力電流検出手段(Ix)と、前記出力電圧検出手段(Vx)とによってそれぞれ検出された出力電流信号(Si)と出力電圧信号(Sv)とは、前記駆動制御回路(Fx)によって読み取られる。
前記駆動制御回路(Fx)は、駆動回路制御信号(J1a)を介して前記統合制御回路(Mc)とデータを送受して、前記発光素子(Y1a)に投入する電力、あるいは電力に相関する、前記発光素子(Y1a)に流す電流の目標値を保持するとともに、前記出力電流信号(Si)と前記出力電圧信号(Sv)とに基づき測定された前記発光素子(Y1a)の電力(前記出力電流信号(Si)と前記出力電圧信号(Sv)の積に基づき算出)あるいは電流の値と、前記した目標値とを比較して、その差異が小さくなるように前記したデューティサイクル比をフィードバック制御する。
前記統合制御回路(Mc)は、前記した前記発光素子(Y1a)の電力あるいは電流の値を、前記駆動回路制御信号(J1a)を介して読み取り、前記した波長偏差指示値を取得するための量として利用する。
本光源装置は、R,G,B3原色に対応して、各色複数本の光ファイバ、すなわちR色光源用光ファイバ(EfR1,EfR2,…)、G色光源用光ファイバ(EfG1,EfG2,…)、B色光源用光ファイバ(EfB1,EfB2,…)は、それぞれ出射端を揃えて束ねられた、ファイババンドルとして構成され、これら3本のファイババンドルの出射端を、それぞれコリメータレンズ(EsR,EsG,EsB)で無限遠の像に変換した光束を、ミラー(HuR)およびダイクロイックミラー(HuG,HuB)を用いて色合成して、本光源装置の出力光束(Fo)を生成するように構成してある。
前記光均一化手段(Fm)の射出端(Pmo)以降の光学系については、先に図8に関して述べたものと同様である。
当然ながら、本発明の光源装置は、フライアイインテグレータによる光均一化手段を用いた、先に図9に関して述べたプロジェクタにおいても利用できる。
前記測定用出力光束(Fo’)はレンズからなる結像光学系(Eh)に入射され、前記ファイババンドルのR色出射端(EoR1,EoR2,…)およびG色出射端(EoG1,EoG2,…)、B色出射端(EoB1,EoB2,…)と共役な実像がカラー映像用撮像素子(C)の撮像面上に結像される。
前記カラー映像用撮像素子(C)によって撮影されたこれらの像の映像信号(Sf)は、前記したR,G,B各波長帯域の光量データ(ShR’,ShG’,ShB’)を生成するために、信号処理回路(H’)に送られる。
また、前記カラー映像用撮像素子(C)の映像に基づき、前記R色出射端(EoR1,EoR2,…),前記G色出射端(EoG1,EoG2,…),前記B色出射端(EoB1,EoB2,…)それぞれの光量を別々に測定し、何れかに光量低下の異常が発生しないかどうかを調べて光ファイバの破断を監視する。
また、R,G,B各波長帯域の前記帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)として、全て同じ方式の帯域光特性取得手段を使用してもよいし、波長帯域によって異なる方式の帯域光特性取得手段を混合して使用してもよい。
しかし、前記した波長帯域のうちの何れかに、実質的に波長の変化が生じない、あるいは無視できる前記発光素子が含まれる場合、その波長帯域については、帯域光特性取得手段は光の強度に相関する発光強度指示値のみの取得のためのものでよく、前記した式8〜式14における前記波長偏差指示値 Δλr,Δλg,Δλb のうちの当該波長帯域に対応するものの値を0とおいて計算すればよい。
実際、発振波長が安定化された半導体レーザや、体積ブラッグ回折格子で構成された共振用反射器を有する半導体レーザや非線形光学高調波発振器などにおいて、このような取扱いが可能な発光素子が存在する。
例えば、その波長帯域がG色であるならば、その波長帯域で感度を有する光センサを設け、前記測定用出力光束(Fo’)の光量を測定して取得した前記発光強度指示値 Sg と、前記波長偏差指示値 Δλg = 0 とを前記した式8〜式14に適用すればよい。
そのような、実質的に波長の変化が生じない、あるいは無視できる波長帯域は、1種類のみならず、2種類あっても本発明は適用可能であり、良好に機能する。
また、本明細書においては、「微小変化」なる用語が複数の箇所で現れているが、これは、前記した式7や式20などの近似式において、実際に近似が成立することを期待して与える λ や u,v,w の変化 Δλ や Δu,Δv,Δw を指しており、通常は、小さい値であるほど近似の精度は向上するが、要求する精度の低さによっては、相当大きな値であっても実用的である場合もあるため、本光源装置の用途に照らして許容できる大きさが決まるものである。
A1G 第1光量測定手段
A1R 第1光量測定手段
A2B 第2光量測定手段
A2G 第2光量測定手段
A2R 第2光量測定手段
Ah1 光センサ回路部
Ah2 光センサ回路部
AiB 帯域光特性取得手段
AiG 帯域光特性取得手段
AiR 帯域光特性取得手段
Ax 帯域光特性所得手段セット
Ax1 第1光量測定手段グループ
Ax2 第2光量測定手段グループ
B 青色
C カラー映像用撮像素子
C1B 光センサ
C1G 光センサ
C1R 光センサ
Ca 撮像素子
Cx 平滑コンデンサ
DmjA 2次元光振幅変調素子
DmjB 2次元光振幅変調素子
Dx フライホイールダイオード
Ea ピンホール
Eap 開口板
Eb1 集光レンズ
Eb2 コリメータレンズ
Eb3 結像レンズ
Ec1 集光光学系
Ec2 集光光学系
Edm 拡散素子
Ef1 光ファイバ
Ef2 光ファイバ
EfB1 B色光源用光ファイバ
EfB2 B色光源用光ファイバ
EfG1 G色光源用光ファイバ
EfG2 G色光源用光ファイバ
EfR1 R色光源用光ファイバ
EfR2 R色光源用光ファイバ
Eg 波長分散性光学素子
Eh 結像光学系
Ei1 入射端
Ei2 入射端
Ej1A 照明レンズ
Ej1B 照明レンズ
Ej2A 投影レンズ
Ej2B フィールドレンズ
Ej3B 投影レンズ
Eo1 出射端
Eo2 出射端
EoB1 B色出射端
EoB2 B色出射端
EoG1 G色出射端
EoG2 G色出射端
EoR1 R色出射端
EoR2 R色出射端
EsB コリメータレンズ
EsG コリメータレンズ
EsR コリメータレンズ
Et1 特性フィルタ
Et1B 帯域フィルタ
Et1G 帯域フィルタ
Et1R 帯域フィルタ
Et2 特性フィルタ
Eu 集光レンズ
F1B 前段フライアイレンズ
F2B 後段フライアイレンズ
Fm 光均一化手段
FmA 光均一化手段
FmB 光均一化手段
Fo 出力光束
Fo’ 測定用出力光束
Fo1 出力光束
Fo2 出力光束
FoR 出力光束
FoR’ 透過光
Ft1 測定用出力光束
Fx 駆動制御回路
G 緑色
Gx ゲート駆動回路
H 信号処理回路
H’ 信号処理回路
H1B 信号処理回路
H1G 信号処理回路
H1R 信号処理回路
HuB ダイクロイックミラー
HuG ダイクロイックミラー
HuR ミラー
Ix 出力電流検出手段
J1a 駆動回路制御信号
J1b 駆動回路制御信号
J2a 駆動回路制御信号
J2b 駆動回路制御信号
LCD 液晶デバイス
Lx チョークコイル
Mc 統合制御回路
MjA ミラー
MjB 偏光ビームスプリッタ
P1a 駆動回路
P1b 駆動回路
P2a 駆動回路
P2b 駆動回路
PcB 偏光整列機能素子
Pmi 入射端
PmiA 入射端
PmiB 入射端
Pmo 射出端
PmoA 射出端
PmoB 射出端
Qx スイッチ素子
R 赤色
Sf 映像信号
Sg ゲート駆動信号
Sg1B 光検出信号
Sg1G 光検出信号
Sg1R 光検出信号
Sh1B 第1光量測定データ
Sh1G 第1光量測定データ
Sh1R 第1光量測定データ
Sh2B 第2光量測定データ
Sh2G 第2光量測定データ
Sh2R 第2光量測定データ
ShB 帯域光特性取得データ
ShB’ 光量データ
ShG 帯域光特性取得データ
ShG’ 光量データ
ShR 帯域光特性取得データ
ShR’ 光量データ
Si 出力電流信号
SjA 光源
SjB 光源
Sv 出力電圧信号
T10 ノード
T11 ノード
T20 ノード
T21 ノード
Tj スクリーン
U1 要素光源
U2 要素光源
Uv DC電源
Vx 出力電圧検出手段
W 白色
Y1a 発光素子
Y1b 発光素子
Y2a 発光素子
Y2b 発光素子
ZiB 入射光軸
Claims (9)
- 狭い波長帯域で発光する発光素子(Y1a,Y1b,…)と前記発光素子(Y1a,Y1b,…)を駆動する駆動回路(P1a,P1b,…)を具備するユニットを1個の要素光源(U1,U2,…)として、該要素光源(U1,U2,…)の複数個と、前記駆動回路(P1a,P1b,…,P2a,P2b,…)を制御する統合制御回路(Mc)と、を有し、前記発光素子(Y1a,Y1b,…,Y2a,Y2b,…)からの放射光を集めた出力光束(Fo,Fo1,Fo2,…)を外部に放射する光源装置であって、
前記発光素子(Y1a,Y1b,…,Y2a,Y2b,…)は、発光波長が複数種類の異なる波長帯域に属するものを含んでおり、
さらに前記光源装置は、前記出力光束(Fo,Fo1,Fo2,…)の総合的な出力光束(Fo,Fo1,Fo2,…)の光量に相関する量の光を受光して前記した波長帯域のそれぞれ毎に光の強度に相関する発光強度指示値を取得するとともに、前記した波長帯域の少なくとも1個の波長帯域についての基準波長からの偏差に相関する波長偏差指示値を取得するための帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)を有しており、
前記統合制御回路(Mc)は、前記帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)が生成する帯域光特性取得データ(ShR,ShG,ShB)を少なくとも間欠的に取得して前記発光強度指示値と前記波長偏差指示値とを生成し、
また前記統合制御回路(Mc)は、前記した波長帯域のそれぞれについての前記発光強度指示値とその目標値との差異が小さくなるよう、前記駆動回路(P1a,P1b,…,P2a,P2b,…)をフィードバック制御することによって、前記出力光束(Fo,Fo1,Fo2,…)の総合的な光の色に相関する色相指示値とその目標値の差異を小さくするための、想定される前記波長偏差指示値の出現態様毎に、それぞれに適する、前記した波長帯域のそれぞれ毎の前記発光強度指示値の目標値に対する変化量の決定のための発光強度指示値目標変分情報を保持しており、
前記統合制御回路(Mc)は、実際に生成した前記波長偏差指示値の態様に基づき、想定した前記した波長偏差指示値の出現態様に属する前記発光強度指示値目標変分情報に従って、前記した波長帯域のそれぞれについての前記発光強度指示値の変化量を決定することを特徴とする光源装置。 - 前記統合制御回路(Mc)が保持する前記発光強度指示値目標変分情報は、前記した波長帯域のそれぞれについての前記発光強度指示値を微小変化させたときの前記色相指示値の変化量を、前記した前記発光強度指示値の変化量を用いて表現した方程式を解くことによって算出して生成されることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
- 前記統合制御回路(Mc)は、前記出力光束(Fo,Fo1,Fo2,…)の総合的な光の明るさに相関する明度指示値とその目標値の差異が小さくなるよう、前記した波長帯域のそれぞれについての前記発光強度指示値の変化量を決定することを特徴とする請求項1から2に記載の光源装置。
- 前記帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)は、受光した前記測定用出力光束(Fo’)に含まれる光の波長に応じて進行方向を変える波長分散性光学素子(Eg)と、該波長分散性光学素子(Eg)によって進行方向を変えられた光が後方で形成する分布パターンを検出する撮像素子(Ca)とを具備して前記帯域光特性取得データ(ShR,ShG,ShB)を生成することを特徴とする請求項1から3に記載の光源装置。
- 前記統合制御回路(Mc)は、前記した波長帯域のうちの少なくとも一つの波長帯域の前記帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)は、当該波長帯域の分光感度特性についての第1の分光感度特性を有する第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)と、第2の分光感度特性を有する第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)と、によって構成されているとともに、前記した第1の分光感度特性と前記した第2の分光感度特性とは、波長の変化に対する感度の変化率が相違しており、
前記統合制御回路(Mc)は、前記した当該波長帯域における前記した第1の分光感度特性、および前記した第2の分光感度特性それぞれの、基準波長での感度値と前記した波長の変化に対する感度の変化率とからなる局所帯域分光感度情報を保有しており、前記統合制御回路(Mc)は、前記帯域光特性取得データ(ShR,ShG,ShB)たる、前記第1光量測定手段(A1R,A1G,A1B)が生成する第1光量測定データ(Sh1R,Sh1G,Sh1B)と、前記帯域光特性取得データ(ShR,ShG,ShB)たる、前記第2光量測定手段(A2R,A2G,A2B)が生成する第2光量測定データ(Sh2R,Sh2G,Sh2B)とを取得して、前記局所帯域分光感度情報を用いて、前記第1光量測定データ(Sh1R,Sh1G,Sh1B)と前記第2光量測定データ(Sh2R,Sh2G,Sh2B)とから前記した発光強度指示値と前記した波長偏差指示値とを生成して取得することを特徴とする請求項1から3に記載の光源装置。 - 前記帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)は、受光した前記測定用出力光束(Fo’)の光量を検出する光量検出器と、前記発光素子の温度を検出する温度検出器を具備して前記帯域光特性取得データ(ShR,ShG,ShB)を生成し、前記統合制御回路(Mc)は、検出された前記発光素子の温度に基づいて前記した波長偏差指示値を推定することを特徴とする請求項1から3に記載の光源装置。
- 前記帯域光特性取得手段(AiR,AiG,AiB)は、受光した前記測定用出力光束(Fo’)の光量を測定する光量検出器と、前記発光素子に投入される電力に相関する量を検出する電力検出器を具備して前記帯域光特性取得データ(ShR,ShG,ShB)を生成し、前記統合制御回路(Mc)は、検出された前記発光素子に投入される電力に基づいて前記した波長偏差指示値を推定することを特徴とする請求項1から3に記載の光源装置。
- 前記光量検出器が撮像素子であることを特徴とする請求項6から7に記載の光源装置。
- 請求項1から8に記載の光源装置を利用して画像を投影表示することを特徴とするプロジェクタ。
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