(実施の形態1)
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
[検体処理システムの構成]
図1は、実施の形態1に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図である。図1に示すように、検体処理システム1は、検体発送装置2と、検体搬送装置3と、血球分析装置5と、塗抹標本作製装置6と、検体回収装置7と、システム制御装置8とを備えている。また、本実施の形態に係る検体処理システム1は、通信ネットワークを介して検査情報管理装置9と通信可能に接続されている。また、検体発送装置2、検体搬送装置3、及び検体回収装置7によって、検体搬送システム100が構成されている。
検体搬送装置3は、検体搬送ユニット3a,3b,3c及び4を有し、これらの検体搬送ユニット3a,3b,3c及び4は図中横方向に延びるように互いに直列的に接続されている。血球分析装置5は、3つの測定ユニット51,52,53と情報処理ユニット54を具備しており、検体搬送ユニット3aの後方には測定ユニット51が、検体搬送ユニット3bの後方には測定ユニット52が、検体搬送ユニット3cの後方には測定ユニット53が配置されている。また、検体搬送ユニット4の後方には塗抹標本作製装置6が配置されている。
また、検体搬送装置3は、検体搬送ユニット3a,3b,3c及び4の全てに亘って横方向に直線的に設けられ、複数の検体を保持した検体ラックを図中左方向へ搬送する搬送ライン3Fを具備している。また、検体搬送ユニット3a,3b,3c及び4のそれぞれには、測定ユニット51,52,53及び塗抹標本作製装置6へ検体を供給するために検体ラックLを搬送する測定ライン3Mが左右方向に延設されている。搬送ライン3Fと各測定ライン3Mとの間には、搬送ライン3Fから測定ライン3Mの起点へ検体ラックを移送するための移送路であって、また検体ラックを保持する領域である測定前ラック保持部33,処理前ラック保持部43と、測定ライン3Mの終点から搬送ライン3Fへ検体ラックを移送するための移送路であって、また検体ラックを保持する領域である測定後ラック保持部34,処理後ラック保持部44が設けられている。
検体ラックを発送可能な検体発送装置2は、検体搬送装置3の右端に接続されており、当該検体発送装置2により発送された検体ラックは検体搬送装置3の搬送ライン3Fにより搬送される。また、検体ラックを回収可能な検体回収装置7は、検体搬送装置3の左端に接続されている。検体ラックは搬送ライン3Fから搬送先の測定ユニット51,52,53又は塗抹標本作製装置6に対応する検体搬送ユニット3a,3b,3c又は4における測定前ラック保持部33又は処理前ラック保持部43を経由して測定ライン3Mに移送され、測定ライン3M上を搬送されて、搬送先である測定ユニット51,52,53又は塗抹標本作製装置6へ供給される。本実施の形態では、検体が測定ユニット51,52,53又は塗抹標本作製装置6に供給された後、検体ラックLが測定ライン3Mから測定後ラック保持部34又は処理後ラック保持部44を経由して再度搬送ライン3Fへ移送され、搬送ライン3Fにより左方向へ搬送されて、検体回収装置7に回収される。
また、検体回収装置7は、検体搬送装置3の左端から分離可能であり、例えば検体発送装置2の右側に接続可能である。このように、本実施の形態に係る検体回収装置7は、その配置を変更可能であり、施設に合わせて適切な位置に配置することが可能である。以下、かかる検体処理システム1の構成について詳細に説明する。
<検体発送装置2の構成>
検体発送装置2は、ラック収容ユニット21と、バーコード読取ユニット22とを備えている。当該検体発送装置2は、検体ラックに収納された複数の検体容器を載置することができる。
図2は、検体容器の外観を示す斜視図であり、図3は、検体ラックの外観を示す斜視図である。図2に示すように、検体容器Tは、管状をなしており、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部CPにより密封されている。また、検体容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。このバーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコード(検体バーコード)が印刷されている。図3に示すように、検体ラックLは、10本の検体容器Tを並べて保持することが可能である。検体ラックLでは、各検体容器Tが垂直状態(立位状態)で保持される。また、検体ラックLの保持位置1と保持位置2の間の測定ユニット側の側面には、バーコードラベルが貼付されている(図示せず)。このバーコードラベルには、ラックIDを示すバーコード(ラックバーコード)が印刷されている。
図1に示すように、ラック収容ユニット21は、上面に凹状のラック収容部201を有している。このラック収容部201は、長方形状をなしており、複数の検体ラックLを同時に収容することが可能である。なお、検体ラックLは、横方向に検体容器Tが並ぶように前記ラック収容部201に収容される。ラック収容部201には、検体ラックLを移送するための移送機構が設けられており(図示せず)、当該移送機構によってラック収容部201上で検体ラックLが後方へ移送されるようになっている。
ラック収容部201の最も奥側(後方)の位置(搬出位置)には、左側に検体ラックを送出するための送出機構が設けられており、移送機構によって当該搬出位置まで移送された検体ラックが送出機構により左側へ移送され、バーコード読取ユニット22へ搬出されるようになっている。
かかる構成のラック収容ユニット21は、CPU及びメモリ等からなる制御部(図示せず)を備えている。この制御部により、上述したラック収容ユニット21の機構が制御される。また、ラック収容ユニット21は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して他の装置(情報処理ユニット54及びシステム制御装置8)と通信するためにこれらの装置と接続可能である。またラック収容ユニット21には、操作パネル202が設けられており、ユーザはこの操作パネル202を操作してラック収容ユニット21に各種指示を与えることができる。
ラック収容ユニット21の左側には、バーコード読取ユニット22が接続されている。かかるバーコード読取ユニット22は、複数の検体ラックLを収容可能な平面視四角形状のラック載置部221を備えている。またバーコード読取ユニット22は、ラック載置部221の奥側にバーコードリーダ22bを備えている。かかるバーコードリーダ22bは、検体ラックLに収容されている複数の検体容器Tの検体バーコードを同時に読出すことが可能であり、しかも検体ラックLのラックバーコードを読出すことも可能である。かかるバーコードリーダ22bには、検体容器T検出用の光学センサが設けられており(図示せず)、検体ラックLがバーコードリーダ22bによるバーコード読取位置に到達したときに、当該光学センサによって検体容器Tの有無が検出される。また、バーコードリーダ22bは、ラック載置部221における最も奥側のバーコード読出位置の直上に、複数の検体容器Tを同時に水平回転させる水平回転機構(図示せず)を備えている。ラック収容ユニット21の搬出位置から送出された検体ラックLは、バーコード読取ユニット22に左方向へ搬入され、バーコード読出位置に到達する。その後、検体ラックLに収容される検体容器Tが水平回転機構により水平回転されながら、バーコードリーダ22bによって検体容器Tのバーコードラベルから検体IDが読み出され、検体ラックLのバーコードラベルからラックIDが読み出される。
ラック載置部221には、検体ラックLを移送するための移送機構が設けられており(図示せず)、かかる移送機構は、バーコードリーダ22bにより検体バーコード及びラックバーコードが読み取られた検体ラックLを前方へ移送する。ラック載置部221の最も前側の位置(ラック送出位置)223には、左側に検体ラックを搬出するための送出機構が設けられており(図示せず)、移送機構によって当該ラック送出位置223まで移送された検体ラックが左側へ移送され、バーコード読取ユニット22から搬出されるようになっている。このようにしてバーコード読取ユニット22から送出された検体ラックLは検体搬送装置3の搬送ライン3Fに導入される。
また、バーコード読取ユニット22のラック送出位置223の近傍には、ラックバーコード読み取り用のバーコードリーダ222aが設けられている。検体ラックLのラックIDがこのバーコードリーダ222aによって読み取られ、読み取られたラックIDはシステム制御装置8へ送信される。システム制御装置8は、後述するように、このラックIDを受信し、これによって当該検体ラックLの搬送先を決定する。
かかる構成のバーコード読取ユニット22は、CPU及びメモリ等からなる制御部(図示せず)を備えている。この制御部により、上述したバーコード読取ユニット22の機構が制御される。また、バーコード読取ユニット22は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット54及びシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。
<検体搬送装置3の構成>
次に、検体搬送装置3の構成について説明する。図1に示すように、検体処理システム1は、4つの検体搬送ユニット3a,3b,3c及び4からなる検体搬送装置3を備えている。血球分析装置5の3つの測定ユニット51,52,53の前方には、各別に検体搬送ユニット3a,3b,3cが配置されている。検体搬送ユニット3a,3b,3cのうちの隣り合う2つは互いに接続されており、検体ラックLを受渡しすることが可能である。また、最も右側の検体搬送ユニット3aは、上述した検体発送装置2に接続されており、搬送ライン3Fがバーコード読取ユニット22のラック送出位置223と直線的に連なるように配置される。これにより、検体発送装置2から搬出された検体ラックLを搬送ライン3Fに導入することが可能となっている。
検体発送装置2から検体搬送装置3へ搬出された検体ラックLは、搬送ライン3Fによって図中左方向へ搬送される。検体搬送装置3は、システム制御装置8から与えられる搬送先の指示に従って、搬送先である測定ユニット51,52,53又は塗抹標本作製装置6へと検体ラックLを搬送すべく、搬送ライン3Fを搬送されてきた検体ラックLを測定前ラック保持部33,処理前ラック保持部43において一時的に待機させ、その後測定ライン3Mへと移送することが可能である。また、各検体搬送ユニット3a,3b,3c,4は、測定ユニット51,52,53又は塗抹標本作製装置6に検体が供給された後の検体ラックLを、測定ライン3Mの終点から測定後ラック保持部34,処理後ラック保持部44へ移送して測定後ラック保持部34,処理後ラック保持部44において一時的に待機させ、その後搬送ライン3Fへ移送可能である。搬送ライン3Fに移送された検体ラックLは搬送ライン3Fに沿って搬送方向下流側(左側)へ搬送される。
つまり、検体搬送装置3における検体ラックLの搬送路は、搬送ライン3Fにおける測定前ラック保持部33(又は処理前ラック保持部44)の前側の位置において、測定前ラック保持部33(又は処理前ラック保持部44)と、搬送ライン3Fとに分岐している。後述するように、初検の場合には検体ラックLがバーコード読取ユニット22のラック送出位置223において停止している間に、当該検体ラックLの搬送先が決定される。つまり、搬送方向最上流側の検体搬送ユニット3aにおける搬送路の分岐点に検体ラックLが到達する前に、当該検体ラックLの搬送先が決定される。例えば、検体ラックLの搬送先が測定ユニット51の場合には、検体ラックLは検体搬送ユニット3aの当該分岐点から測定前ラック保持部33へと移送される。一方、検体ラックLの搬送先が測定ユニット52若しくは53又は塗抹標本作製装置6の場合には、検体ラックLは検体搬送ユニット3aの当該分岐点から搬送ライン3Fの搬送方向下流側へ搬送される。
また、初検の後、検体の追加測定が行われる場合、初検が行われた測定ユニットに対応する検体搬送ユニットの搬送ライン3Fの終端位置で、検体ラックLは停止し、その間に追加測定オーダに基づいて次の搬送先が決定される。例えば、測定ユニット51において初検が行われた検体の追加測定オーダが発生した場合、システム制御装置は、検体ラックLが検体搬送ユニット3aの搬送ライン3Fの終端位置にある間に、追加測定オーダを問い合わせ、次の搬送先を決定する。つまり、初検を実施した測定ユニット51の次の分岐点である検体搬送ユニット3bの分岐点に検体ラックLが到達する前に、検体ラックの搬送先が決定される。ここで、次の搬送先が測定ユニット52である場合には、検体ラックLは検体搬送ユニット3bに導入され、分岐点において測定前ラック保持部33へ移相される。一方、次の搬送先が測定ユニット53又は塗抹標本作製装置6である場合には、検体ラックLは検体搬送ユニット3bの分岐点から搬送ライン3Fの下流側へ搬送される。
<血球分析装置5の構成>
血球分析装置5は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血球分析装置であり、血液検体に含まれる血球に関して散乱光強度、蛍光強度等を取得し、これらに基づいて検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数する。また血球分析装置5は、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成し、これを表示する。かかる血球分析装置5は、血液検体を測定する測定ユニット51,52,53と、コンピュータから構成され、測定ユニット51,52,53から出力された測定データを処理し、血液検体の分析結果を表示する情報処理ユニット54とを備えている。
血球分析装置5は、図1に示すように、3つの測定ユニット51,52,53と、1つの情報処理ユニット54とを備えている。情報処理ユニット54は、3つの測定ユニット51,52,53と通信可能に接続されており、これらの3つの測定ユニット51,52,53の動作をそれぞれ制御可能である。また、情報処理ユニット54は、3つの測定ユニット51,52,53の前側にそれぞれ配置された3つの検体搬送ユニット3a,3b,3cとも通信可能に接続されている。
図4は、測定ユニット51の構成を示すブロック図である。図4に示すように、測定ユニット51は、検体である血液を検体容器(採血管)Tから吸引する検体吸引部511と、検体吸引部511により吸引した血液から測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部512と、試料調製部512により調製された測定試料から血球を検出する検出部513とを有している。また、測定ユニット51は、検体搬送ユニット3aの測定ライン3Mによって搬送された検体ラックLに収容された検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込むための取込口(図示せず)と、検体ラックLから検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込み、検体吸引部511による吸引位置まで検体容器Tを搬送する検体容器搬送部515と、測定ユニット51に取り込まれた検体容器Tのバーコードから検体IDを読み取るバーコードリーダ516とをさらに有している。
検出部513は、RBC(赤血球)検出及びPLT(血小板)検出をシースフローDC検出法により行うことが可能である。また、検出部513は、HGB(ヘモグロビン)検出をSLS−ヘモグロビン法により行うことが可能であり、WBC(白血球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。RBC,PLT,HGB,WBCの各測定項目は、測定項目“CBC”に含まれている。つまり、測定オーダによってCBCの測定が指示された場合には、RBC,PLT,HGB,WBCの各項目について検体の測定が行われる。
また、検出部513は、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により、白血球分類(測定項目“DIFF”)の測定を行うことができる。白血球分類測定では、白血球分類用の試薬が検体と混合され、この混合液である試料がフローサイトメータに供給され、試料中に含まれる血球に光が照射されたときに生じる光学情報(側方散乱光、前方散乱光、蛍光)が検出される。この光学情報が情報処理ユニット54に出力され、情報処理ユニットがデータ処理を行って検体中の白血球を5つのサブクラス(NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)、及びMONO(単球))に分類し、各サブクラスの血球数を計数する。
測定ユニット52は、測定ユニット51と同様の構成であり、検体吸引部、試料調製部、検出部、及び検体容器搬送部を備えている。
測定ユニット53は、上述したCBC及びDIFF以外に、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により、RET(網状赤血球)の測定が可能である。かかる測定ユニット53は、RETの測定が可能である他は、測定ユニット51と同様の構成であり、検体吸引部、試料調製部、検出部、及び検体容器搬送部を備えている。
<塗抹標本作製装置6の構成>
塗抹標本作製装置6は、血液検体を吸引し、スライドガラス上に滴下して、その血液検体をスライドガラス上で薄く引き延ばし、乾燥させた上で、当該スライドガラスに染色液を供給してスライドガラス上の血液を染色することにより、塗抹標本を作製する。
図5は、塗抹標本作製装置6の概略構成を示すブロック図である。図5に示すように、塗抹標本作製装置6は、検体分注部61と、塗抹部62と、スライドガラス搬送部63と、染色部64と、制御部65とを備えている。
検体分注部61は、吸引管(図示せず)を備えており、この吸引管を検体搬送ユニット4の測定ライン3M上を搬送された検体ラックLの検体容器Tの蓋部CPに突き刺して、この検体容器Tから血液検体を吸引する。また、検体分注部61は、吸引した血液検体をスライドガラス上に滴下するように構成されている。塗抹部62は、スライドガラス上に滴下された血液検体を塗抹して乾燥させ、さらに、スライドガラスに印字するように構成されている。
スライドガラス搬送部63は、塗抹部62によって血液検体が塗抹されたスライドガラスを図示しないカセットに収容させ、さらにそのカセットを搬送するために設けられている。染色部64は、スライドガラス搬送部63によって染色位置まで搬送されたカセット内のスライドガラスに対して、染色液を供給する。制御部65は、検査情報管理装置9から与えられる測定オーダにしたがって、検体分注部61、塗抹部62、スライドガラス搬送部63、及び染色部64を制御し、上記の塗抹標本作製動作を実行させる。
かかる塗抹標本作製装置6による塗抹標本の作製を指示する場合には、後述する測定オーダにおいて測定項目“SP”が指定される。つまり、ある検体について測定項目“SP”を含む測定オーダが検体処理システム1に与えられた場合には、塗抹標本作製装置6によって当該検体の塗抹標本が作製される。なお、塗抹標本作製装置6は、検体の塗抹標本の作製を行うものであり、検体の測定は行わないが、本実施形態では、便宜上、塗抹標本作製装置6に対する処理オーダも測定オーダと表現している。
<検体回収装置7の構成>
検体回収装置7は、複数の検体ラックLを載置することができるように構成されている。かかる検体回収装置7は、2つのラック収容ユニット71,72を接続して構成されている。ラック収容ユニット71,72は、上述した検体発送装置2のラック収容ユニット21と同様の構成であり、ラック収容部701と、ラック収容部701の前後それぞれに設けられたベルトコンベヤとを有している。ラック収容ユニット71は、検体搬送ユニット4の左端に接続され、前側のベルトコンベヤが検体搬送ユニット4の搬送ライン3Fと直線的に連なるように配置されている。また、ラック収容ユニット71及びラック収容ユニット72は互いに接続されており、後側のベルトコンベヤ同士が直線的に連なるように配置されている。これにより、検体回収装置7は、分析又は塗抹標本作製を終了した検体を収容する検体ラックLを検体搬送装置3の搬送ライン3Fから受け取り、収容する。
<システム制御装置8の構成>
システム制御装置8は、コンピュータにより構成されており、検体処理システム1の全体を制御する。このシステム制御装置8は、検体発送装置2からラックID及び検体IDを受け付け、そのラックID及び検体IDにより検査情報管理装置9へ測定オーダの問い合わせを行う。また、システム制御装置8は、検体ラックLの搬送先を決定し、搬送先を示す搬送コマンドを検体搬送装置3へ送信する。
図6は、本実施の形態に係るシステム制御装置8の構成を示すブロック図である。システム制御装置8は、コンピュータ8aによって実現される。図6に示すように、コンピュータ8aは、本体81と、画像表示部82と、入力部83とを備えている。本体81は、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hを備えており、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hは、バス81jによって接続されている。
読出装置81eは、コンピュータをシステム制御装置8として機能させるためのシステム制御プログラム84aを可搬型記録媒体84から読み出し、当該システム制御プログラム84aをハードディスク81dにインストールすることが可能である。
通信インタフェース81gは、Ethernet(登録商標)インタフェースであり、検体発送装置2、検体搬送装置3、血球分析装置5、塗抹標本作製装置6、検体回収装置7、及び検査情報管理装置9のそれぞれと通信可能に接続されている。
ハードディスク81dには、検体処理進捗データベースが設けられている。図7は、検体処理進捗データベースの構造を示す模式図である。検体処理進捗データベースDBは、リレーショナルデータベースであり、検体情報を格納するための検体情報テーブルTB1と、各測定オーダについての処理の進捗状況を示すデータを格納するための進捗状況テーブルTB2とを有している。検体情報テーブルTB1は、各レコードに検体に関する情報が格納されるようになっている。さらに詳しくは、検体情報テーブルTB1には、検体IDを格納するためのフィールドF11と、ラックIDを格納するためのフィールドF12と、検体ラックLにおける保持位置番号を格納するためのフィールドF13とが設けられている。
図7に示すように、検体情報テーブルTB1のフィールドF11には“803”、“804”等の検体IDが格納され、フィールドF12には“00251”等のラックIDが格納され、フィールドF13には“1”、“2”等の保持位置番号が格納される。
進捗状況テーブルTB2は、各レコードに検体の測定オーダ及び当該測定オーダに基づく検体処理の進捗に関する情報が格納されるようになっている。具体的には、進捗状況テーブルTB2には、検体IDを格納するためのフィールドF21と、システム制御装置8から測定オーダが要求されたときにおける検体ラックLの位置(要求位置)を示す要求位置情報を格納するためのフィールドF22と、システム制御装置8から測定オーダが要求された日時を示す要求日時情報を格納するためのフィールドF23と、CBC,DIFF,RET,SPの各項目についての測定オーダの有無、処理結果の有無、測定オーダの取消の有無、測定エラーの発生の有無を示す情報を格納するためのフィールドF24〜F27と、検体の処理が行われた場合における処理位置(処理を実行したユニット)を示す処理位置情報を格納するためのフィールドF28と、検体の処理が行われた時刻を示す処理時刻情報を格納するためのフィールドF29と、システム制御装置8が測定オーダを受け付けたときにおける搬送経路上の検体の位置を示す受付位置情報を格納するためのフィールドF210と、測定オーダの送信元、すなわち測定の依頼元を示す依頼元情報を格納するためのフィールドF211と、送信元から測定オーダが送信された日時、すなわち測定の依頼日時を示す依頼日時情報を格納するためのフィールドF212と、依頼された測定オーダの種類を示す種類情報を格納するためのフィールドF213と、検体が検体回収装置7に格納(収容)された場合における格納位置(検体を収容したユニット)を示す格納位置情報を格納するためのフィールドF214と、検体が検体回収装置7に格納された日時を示す格納日時情報を格納するためのフィールドF215とが設けられている。
図7に示すように、進捗状況テーブルTB2のフィールドF21には“803”、“804”等の検体IDが格納され、フィールドF22には“2”等の検体ラックの位置情報が格納され、フィールドF23には“2010/05/06 10:15:21”等の要求日時情報が格納される。また、フィールドF24〜F27には、測定オーダの有無、処理結果の有無、測定オーダの取消の有無、及び測定エラーの発生の有無を示す状態データが格納される。この状態データは“0”,“1”,“2”,“3”,“4”の何れかのデータであり、“0”は測定オーダがないことを示し、“1”は測定オーダがあるが処理結果がない(つまり、未処理である)ことを示し、“2”は処理結果がある(つまり、処理済である)ことを示し、“3”は測定オーダが取り消されたことを示し、“4”は測定エラーの発生を示す。フィールドF28には“3”,“4”,“5”,“6”等の処理位置情報が格納され、フィールドF29には“10:20”,“10:31”,“10:43”等の処理時刻情報が格納される。フィールドF210には“2”,“4”,“5”等の受付位置情報が格納され、フィールドF211には“HOST”等の依頼元情報が格納される。依頼元情報は、“HOST”,“IPU”,“CT−90”,“Manual”,“SP”の何れかのデータであり、“HOST”が検査情報管理装置9を示し、“IPU”が情報処理ユニット54を示し、“CT−90”がシステム制御装置8を示し、“Manual”が「手動」を示し、“SP”が塗抹標本作製装置6を示す。フィールドF212には“2010/05/06 10:15:21”等の依頼日時情報が格納され、フィールドF213には、「Rerun」、「Repeat」、「Reflex」、「Default」の測定オーダの種類情報が格納される。「Rerun」、「Repeat」、「Reflex」は、1度測定を実行した検体について再度測定を指示する測定オーダ(追加測定オーダ)の種類である。「Rerun」は、初回の検体測定における測定項目と同一の測定項目について同一検体の測定を再度行う動作を指示する測定オーダの種類であり、「Repeat」は、初回の測定と同一の測定ユニット51(52,53)において同一の測定項目について再度検体測定を行う動作を指示する測定オーダの種類である。また、「Reflex」は、初回の検体測定における測定項目とは異なる測定項目を含む測定項目について検体測定を行う動作を指示する測定オーダの種類である。また、「Default」は、バーコードの読み取りエラー等により、測定オーダの問い合わせが失敗した場合に用いられる、予め指定された測定オーダである。なお、「Rerun」、「Repeat」、「Reflex」、及び「Default」の詳細については後述する。測定オーダが通常の種類(即ち、「Rerun」、「Repeat」、「Reflex」、及び「Default」ではない測定オーダ)のとき、フィールドF213には“0”が格納される。また、測定オーダの種類が「Rerun」のとき、フィールドF213には“1”が格納され、測定オーダの種類が「Repeat」のとき、フィールドF213には“2”が格納され、測定オーダの種類が「Reflex」のとき、フィールドF213には“3”が格納され、測定オーダの種類が「Default」のとき、フィールドF213には“4”が格納される。フィールドF214には“7”等の検体ラックの格納位置情報が格納され、フィールドF215には“2010/05/06 10:52:01”等の格納日時情報が格納される。また、フィールドF22,F28,F210,F214に格納される位置情報は、検体処理システム1の搬送経路上の位置を示す情報であり、後述するユニットの位置番号が用いられる。
<検査情報管理装置9の構成>
検査情報管理装置9は、施設内における検査に関する情報を管理する装置、所謂LIS(Laboratory Information System)であり、血球分析装置5だけでなく、他の臨床検体検査装置にも接続されている。かかる検査情報管理装置9は、操作者から入力されたり、電子カルテシステム等の他の装置から送信された測定オーダを受け付け、測定オーダを記憶、管理する。さらに、検査情報管理装置9は、システム制御装置8又は血球分析装置5からのオーダ要求を受け付け、要求された測定オーダをシステム制御装置8又は血球分析装置5へ送信する。また、検査情報管理装置9は、血球分析装置5から分析結果を受信し、この分析結果を記憶、管理する。検査情報管理装置9は、受信した測定結果が予め定められた基準から逸脱する場合に、追加測定項目を含む追加測定オーダを生成し、ハードディスクに記憶することができる。後述する情報処理ユニット54も、検査情報管理装置9と同様に、受信した測定結果が予め定められた基準から逸脱する場合に、追加測定項目を含む追加測定オーダを生成し、ハードディスクに記憶することができる。検査情報管理装置9と情報処理ユニット54のどちらが追加測定項目を含む追加測定オーダを生成するかは予め設定されている。
検査情報管理装置9は、コンピュータにより構成されており、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、通信インタフェース等を備えている。通信インタフェースは、上述したLANに接続されており、システム制御装置8、及び血球分析装置5の情報処理ユニット54と通信することが可能である。また、ハードディスクには、測定オーダが格納されている。測定オーダには、検体ID及び実施対象の測定項目の情報が含まれている。検査情報管理装置9は、他の装置から検体IDを含む測定オーダの要求データを受信したときには、この検体IDに対応する測定データをハードディスクから読み出し、要求元の装置へ送信するように構成されている。その他、検査情報管理装置9の構成は、上述した他のコンピュータの構成と同様であるので、その説明を省略する。
<検体処理システム1の配置>
上記のような構成の検体処理システム1は、各構成要素、即ち、ラック収容ユニット21,バーコード読取ユニット22,検体搬送ユニット3a,3b,3c,4,測定ユニット51,52,53,塗抹標本作製装置6,ラック収容ユニット71,72がそれぞれ分離・接続可能であり、図1に示したような配置とは異なる配置にすることも可能である。図8は、検体処理システムの他の配置例を示す平面図である。図8に示す例では、検体搬送ユニット3cと検体搬送ユニット4との間に、検体ラックLの搬送方向を90°転向させる中継ユニット30が設けられており、その他のユニットの配置は図1と同じである。このように、本実施の形態に係る検体処理システム1では、設置施設の構成に応じてユーザが自由に各ユニットの配置を決定することができる。
システム制御装置8は、検体処理システムの各ユニットの配置をハードディスク81dに記憶するようになっている。この検体処理システム1の配置を示す情報は、検体処理システム1の施設導入時にサービスマン又はユーザによって設定される。またシステム制御装置8は、設定された検体処理システムの配置を示すレイアウト図を画像表示部82に表示することができる。図9は、検体処理システムのレイアウト図の表示例を示す図である。図9に示す例では、検体処理システム1の各ユニットが図1のように配置された場合のレイアウト図を示している。図9に示すように、レイアウト画面D1では、検体処理システム1のラック収容ユニット21,バーコード読取ユニット22,検体搬送ユニット3a,3b,3c,4,測定ユニット51,52,53,塗抹標本作製装置6,ラック収容ユニット71,72のそれぞれを示す図形が実際に配置されている位置関係と同じ位置関係で描画される。検体の搬送を行うユニット、即ち、ラック収容ユニット21,バーコード読取ユニット22,検体搬送ユニット3a,3b,3c,4,ラック収容ユニット71,72には、対応する位置番号が表示される。つまり、ラック収容ユニット21の図形には位置番号“1”が、バーコード読取ユニット22の図形には位置番号“2”が、検体搬送ユニット3aの図形には位置番号“3”が、検体搬送ユニット3bの図形には位置番号“4”が、検体搬送ユニット3cの図形には位置番号“5”が、検体搬送ユニット4の図形には位置番号“6”が、ラック収容ユニット71の図形には位置番号“7”が、ラック収容ユニット72の図形には位置番号“8”がそれぞれ表示されている。これらの位置番号“1”〜“8”は、搬送経路において検体ラックLが搬送される順序を示している。これらの位置番号は、システム制御装置8のハードディスク81dに、各ユニットの装置ID(シリアル番号等のユニットを特定する情報)に対応付けられて記憶されている。つまり、例えばラック収容ユニット21の装置IDと位置番号“1”とが対応付けられて記憶され、また、バーコード読取ユニット22の装置IDと位置番号“2”とが対応付けられて記憶されている。また、レイアウト図において、測定ユニット51,52,53の図形には、血球分析装置5の機種名“AA”が表示され、塗抹標本作製装置6の図形には、塗抹標本作製装置6の機種名“SP”が表示される。
[検体処理システムの動作]
次に、本実施の形態に係る検体処理システムの動作について説明する。
[検体処理動作]
まず、検体処理システム1が検体を搬送し、検体の処理(測定又は塗抹標本の作製)を行う検体処理動作について説明する。
<測定オーダ取得処理>
オペレータは、検体容器Tを収容した検体ラックLをラック収容ユニット21に載置し、ラック収容ユニット21の操作パネルを操作して、検体処理システム1に処理開始の指示を与える。検体発送装置2の制御部は、かかる処理開始の指示を受け付け、これにより検体ラックLの移送を開始する。ラック収容ユニット21に載置された検体ラックLは、ラック収容ユニット21上を後方へ移送され、その後、検体ラックLは左方向へと移送され、バーコード読取ユニット22へと受け渡される。
バーコード読取ユニット22に導入された検体ラックLは、搬送路上を左方向へ移送される。そして、検体ラックLのラックバーコード及び検体容器Tの検体バーコードがバーコードリーダにより読み取られる。ここで、読み取られたラックID及び検体ID並びにラックの現在位置を示す情報、即ち、バーコード読取ユニット22を示す位置情報を含むID情報がシステム制御装置8へ送信される。
一方、バーコード読取ユニット22による検体バーコードの読み取りが失敗した場合には、バーコード読取エラーを示す情報(バーコード読取エラー情報)が、検体IDに代えてID情報に付加され、このID情報がシステム制御装置8へ送信される。
次いで、検体ラックLがバーコード読取ユニット22上で移送され、ラック送出位置223に到達する。その後、バーコードリーダ222aによって検体ラックLのラックバーコードからラックIDが読み出される。検体発送装置2は、当該ラックIDを含む搬出要求データをシステム制御装置8へ送信し、システム制御装置8から送信される搬出指示データを待機する。検体発送装置2は、システム制御装置8から搬出指示データを受信したときには、検体ラックLを隣接する検体搬送装置3へ搬出する。
次に、システム制御装置8の測定オーダ取得処理について説明する。
システム制御装置8は、検体発送装置2からID情報を受信し、このID情報に含まれる検体IDをキーとして検査情報管理装置9に測定オーダを問い合わせる。ここで、測定オーダとは、検体に対して分析を行うべき分析項目の指示を示すデータであり、検体ID、患者ID及び患者氏名等の検体の属性情報と、測定項目の情報とが含まれる。以下、この動作を詳しく説明する。
図10は、システム制御装置8の測定オーダ取得処理の手順を示すフローチャートである。上述したように、検体発送装置2は、バーコードリーダにより読み出した検体ID及びラックID、各検体の検体ラックにおける保持位置を示す保持位置番号、並びに位置情報(バーコード読取ユニット22のユニットID)を含むID情報をシステム制御装置8へ送信する。かかるID情報は、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS101)。CPU81aにおいて、ID情報を受信するイベントが発生すると、ステップS102の処理が呼び出される。
ステップS102において、CPU81aは、ID情報においてラックの保持位置の1つに対応する情報が、検体IDであるかバーコード読取エラー情報であるかを判定する(ステップS102)。ステップS102において、前記情報が検体IDである場合には(ステップS102においてYES)、CPU81aは、当該検体IDを含むオーダ要求データを検査情報管理装置9へ送信し、検査情報管理装置9にその検体IDに対応する測定オーダを要求する(ステップS103)。CPU81aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS104においてNO)、検査情報管理装置9から送信された測定オーダがシステム制御装置8に受信されると(ステップS104においてYES)、受信した測定オーダに基づいて、検体処理の進捗情報を作成し、これを検体処理進捗データベースDBに格納する(ステップS105)。
ステップS105の処理では、受信した測定オーダに含まれる検体ID、受信したID情報に含まれるラックID及び当該検体IDに対応する保持位置番号が検体情報テーブルTB1に格納され、受信した測定オーダに含まれる検体ID、システム制御装置8が検査情報管理装置9に測定オーダを要求した日時を示す要求日時情報、受信した測定オーダにおける各測定項目の指定の有無、測定オーダを受け付けたときの検体の位置を示す受付位置情報、測定オーダの送信元、すなわち測定の依頼元を示す依頼元情報、測定オーダを受信した日時、すなわち測定の依頼日時を示す依頼日時情報が進捗状況テーブルTB2に格納される。図11は、進捗情報が登録された進捗状況テーブルTB2の例を示す模式図である。図11の例では、受信された測定オーダにおいて測定項目CBC及びDIFFが指定され、測定項目RET及びSPが指定されていない場合の進捗状況テーブルTB2の状態が示されている。図に示すように、この場合には、進捗状況テーブルTB2のフィールドF24,F25のそれぞれには“1”が、フィールドF26,F27のそれぞれには“0”が格納される。また、この時点においては何れの測定項目についても検体処理が行われていないため、フィールドF28,F29のそれぞれには何もデータが格納されない。さらに、ステップS101において受信されたID情報にはバーコード読取ユニット22のユニットIDが位置情報として含まれているため、フィールドF210にはバーコード読取ユニット22の位置番号“2”が格納される。また、この測定オーダは検査情報管理装置9から送信されたものであるため、フィールドF211には送信元である検査情報管理装置を示す“HOST”が格納され、フィールドF212には依頼日時情報“2010/05/06 10:15:21”が格納される。また、この測定オーダは通常の測定オーダであるため、フィールドF213には測定オーダの種類情報“0”が格納される。さらに、この時点においては検体が検体回収装置7に格納されていないため、フィールドF214,F215のそれぞれには何もデータが格納されない。
一方、ステップS102において、ID情報においてラックの保持位置の1つに対応する情報がバーコード読取エラー情報であった
場合には(ステップS102においてNO)、CPU81aは、システム制御装置8において予め設定されているデフォルトの搬送先(例えば、測定ユニット51)を当該ラックの搬送先に割り当て(ステップS106)、ステップS105へ処理を移す。この場合、ステップS105の処理では、受信したID情報に含まれるラックID及び保持位置番号と、システム制御装置8が割り当てた検体IDとが検体情報テーブルTB1に格納される。ここで、この検体IDは、バーコード読取エラーが発生した検体に対して個別に割り当てられるIDであり、バーコード読取エラーが発生していない検体に対する検体IDとは区別可能なものとされる。また、進捗状況テーブルTB2には、この検体IDが格納され、これと共に、要求日時情報に代えて、システム制御装置8が当該ラックに対して搬送先を割り当てた日時を示す日時情報が格納される。また、測定オーダを受信していないため、フィールドF24〜F27には“0”が格納される。また、進捗状況テーブルTB2には、測定オーダを受け付けたときの検体の位置を示す受付位置情報として、当該ラックに対して搬送先が割り当てられたときの検体の位置を示す情報が格納され、測定の依頼元を示す依頼元情報として「システム制御装置8」を示す情報が格納され、さらに、測定の依頼日時を示す依頼日時情報として、当該ラックに対して搬送先が割り当てられたときの日時情報が進捗状況テーブルTB2に格納される。図12は、バーコード読取エラーが発生したときの進捗情報が登録された進捗状況テーブルTB2の例を示す模式図である。例えば図12に示すように、この場合には、バーコード読取エラーが発生した検体であることが識別可能な検体ID“ERR001”がフィールドF21に格納される。また、フィールドF24〜F27には“0”が格納される。また、この時点においては何れの測定項目についても検体処理が行われていないため、フィールドF28,F29のそれぞれには何もデータが格納されない。さらに、ステップS101において受信されたID情報にはバーコード読取ユニット22のユニットIDが位置情報として含まれているため、フィールドF210にはバーコード読取ユニット22の位置番号“2”が格納される。この場合、フィールドF211には依頼元情報として“CT−90”が格納され、フィールドF213には、「Default」を示す“4”が格納される。さらに、この時点においては検体が検体回収装置7に格納されていないため、フィールドF214,F215のそれぞれには何もデータが格納されない。
次に、CPU81aは、ラックIDに対応している検体ID、即ち、そのラックIDの検体ラックLに収容されている全ての検体について測定オーダの問い合わせが完了したか否かを判定し(ステップS107)、測定オーダの問い合わせをしていない検体が存在する場合には(ステップS107においてNO)、ステップS102に処理を戻し、まだ測定オーダの問い合わせを行っていない検体に対応する測定オーダを検査情報管理装置9に要求する。
一方、全ての検体について測定オーダの問い合わせが完了した場合には(ステップS107においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
<搬送制御処理>
上述した様に、ラック送出位置223に到達した検体ラックLのラックバーコードからバーコードリーダ222aによってラックIDが読み出された後、検体発送装置2は、当該ラックIDを含む搬出要求データをシステム制御装置8へ送信する。システム制御装置8は、検体発送装置2から搬出要求データを受信し、この搬出要求データに含まれるラックIDを用いて、検体ラックLの搬送先を決定し、決定した搬送先へ搬送するよう各装置へ検体ラックLの搬送を指示する。以下、この動作を詳しく説明する。
図13A及び図13Bは、システム制御装置8の搬送制御処理の手順を示すフローチャートである。検体発送装置2から送信された搬出要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS201)。CPU81aにおいて、搬出要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS202の処理が呼び出される。
ステップS202において、CPU81aは、受信した搬出要求データに含まれるラックIDをキーにして、検体処理進捗データベースDBの進捗情報を検索する(ステップS202)。上述したように、この進捗情報には、各測定項目の状態データ(測定オーダの有無、処理結果の有無、測定オーダ取消の有無を示すデータ)が含まれている。CPU81aは、検索された各進捗情報における各測定項目の状態データに基づいて、この検体ラックLの搬送先を決定する(ステップS203)。このステップS203において、上述したステップS106で既に検体ラックLの搬送先が決定されている場合には、この搬送先が採用される。
ステップS203の処理について説明する。検体ラックLに保持されている全検体の測定オーダにおいて、測定項目CBC又はDIFFが指定され、測定項目RET及びSPが指定されていない場合、当該検体ラックLに保持されている全ての検体の測定は、測定ユニット51又は52において行うことができる。このため、かかる場合には、測定ユニット51又は52が搬送先として決定される。測定項目にCBC及びDIFFの何れかと、SPとが指定されており、RETが指定されていない場合には、CBC及びDIFFについての検体の測定は測定ユニット51又は52において行い、塗抹標本の作製を塗抹標本作製装置において行うことができる。つまり、この場合には、測定ユニット51又は52へ当該検体ラックLを搬送し、CBC及びDIFFについての検体の測定を行った後、塗抹標本作製装置6へ検体ラックLを搬送し、塗抹標本を作製することができる。このため、かかる場合においても、測定ユニット51又は52が搬送先として決定される。一方、検体ラックLに保持されている何れかの検体の測定オーダにおいて、測定項目RETが指定されている場合には、測定ユニット53しかRETについての検体測定を行うことができないため、測定ユニット53が搬送先として決定される。
次にCPU81aは、決定された搬送先へ検体ラックLを搬送するように、搬送コマンドを送信する(ステップS204)。この処理では、検体ラックLがバーコード読取ユニット22上に存在し、測定ユニット51,52,53の何れか又は塗抹標本作製装置6が搬送先とされている場合には、CPU81aは検体搬送装置3への検体ラックLの搬出を指示するコマンドを検体発送装置2へ送信し、搬送先の測定ユニット51,52,53又は塗抹標本作製装置6への検体ラックLの搬送を指示するコマンドを検体搬送装置3へ送信する。検体発送装置2及び検体搬送装置3は、当該搬送コマンドにしたがって検体ラックLを搬送先まで搬送する。
ここで、測定ユニット51に検体ラックLが搬送された場合における血球分析装置5の動作について説明する。検体搬送ユニット3aの測定ライン3Mまで検体ラックLが搬送された後、情報処理ユニット54のCPUの制御により、検体容器搬送部515が検体ラックLから検体容器Tを抜き出し、検体容器Tを揺動させ、内部の検体を撹拌する。情報処理ユニット54のCPUは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tをバーコード読取位置516aへ搬送し、バーコードリーダ516により検体容器Tの検体バーコードを読み取り、検体IDを取得する。さらにCPUは、検体IDを含むオーダ要求データを通信インタフェース(図示せず)に検査情報管理装置9へ送信させ、測定オーダを問い合わせる。その後、CPUは、測定オーダの受信を待機し、検査情報管理装置9から送信された測定オーダが情報処理ユニット54の通信インタフェースにより受信されると、受信した測定オーダをハードディスク(図示せず)に記憶する。
情報処理ユニット54のCPUは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tを吸引位置へ搬送し、検体吸引部511を制御し、記憶した測定オーダに含まれる測定項目に必要な量の検体を検体容器Tから吸引する。検体の吸引が完了した後には、CPUは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tを検体ラックLへ戻す。
また、情報処理ユニット54のCPUは、試料調製部512を制御し、測定項目に応じて測定試料を調製し、検出部513に測定試料を供給して、検出部513により検体の測定を行う。これにより、CPUは、検出部513から出力される測定データを取得する。CPUは、測定データの解析処理を実行し、検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成する。測定データの解析処理により生成された測定結果データは、測定オーダに含まれる患者情報等と共にハードディスクに格納され、また、システム制御装置8及び検査情報管理装置9のそれぞれへ送信される。血球分析装置5は、かかる検体測定動作を検体ラックLに保持されている各検体に対して順次実行する。
また、情報処理ユニット54のCPUは、上記のようにして生成された測定結果に基づいてその検体についての追加測定が必要か否かを判定し、必要である場合には追加測定の対象の測定項目を決定する。追加測定には、「Rerun」、「Reflex」、及び「Repeat」の3種類がある。「Rerun」は、初回の検体測定の結果が正常値ではなかった場合等ユーザが定めたリラン測定条件に適合したときに、初回の検体測定における測定項目と同一の測定項目について同一検体の測定を行う動作であり、「Repeat」は、測定ユニット51(52,53)にエラーが発生したときに、同一の測定ユニット51(52,53)において同一の測定項目について検体測定を行う動作である。ここで、「Rerun」では、エラーが発生した測定ユニット(つまり、初回の測定動作を実行した測定ユニット)のみが追加測定を実行する対象であるのに対し、「Rerun」では、初回の測定を行った測定ユニットだけでなく、初回の測定を行っていない測定ユニットも追加測定を実行する対象となり得る。また、「Reflex」は、特定の測定項目の結果が特定の範囲内に入る場合等ユーザが定めたリフレックス測定条件に適合したときに、初回の検体測定における測定項目とは異なる測定項目を含む測定項目について検体測定を行う動作である。情報処理ユニット54のCPUは、例えば、CBC及びDIFFについての測定を行った検体において、RBC項目の測定結果が予め定められた異常範囲に入る場合に、「Rerun」が選択され、CBCを含む測定オーダ(以下、「追加測定オーダ」という)を生成し、ハードディスクに記憶する。この追加測定オーダには、追加測定の種類が「Rerun」であることを示す種類情報が含まれている。また、CBCについての測定を行う際に、例えば検体吸引エラーが発生して測定が中止された場合には、「Repeat」が選択され、情報処理ユニット54のCPUが、CBCを含む追加測定オーダを生成し、ハードディスクに記憶する。この場合、当該追加測定オーダには、追加測定の種類として「Repeat」を示す種類情報が含まれる。さらに、例えば、CBC及びDIFFについての測定を行った検体において、WBC項目の測定結果が予め定められた基準から逸脱する場合に、「Reflex」が選択され、RETが追加測定項目として決定される。このようにして追加測定項目が決定された場合は、CPUは、その追加測定項目を含む追加測定オーダを生成し、ハードディスクに記憶する。この場合、当該追加測定オーダには、追加測定の種類として「Reflex」を示す種類情報が含まれる。このようにして生成された追加測定オーダは、システム制御装置8に測定結果を送信するときに、測定結果と共に送信される。
また、検体吸引エラー、試薬残料切れ等の測定エラーが発生し、検体測定が中止された場合には、測定エラーにより測定が中止されたことを示す測定結果情報が情報処理ユニット54により生成され、システム制御装置8へ送信される。この場合にも、測定結果と共に追加測定オーダがシステム制御装置8へ送信されることがある。
また、システム制御装置8が測定オーダを検査情報管理装置9に問い合わせた後、検査情報管理装置9の測定オーダが変更されることがある。例えば、検査情報管理装置9において、ある検体について測定項目CBC、DIFF、及びSPが指定された測定オーダが登録されている場合には、この検体についてシステム制御装置8が検査情報管理装置9から受け付けた測定オーダには、測定項目CBC,DIFF、及びSPが指定されていることとなる。この検体の搬送先が測定ユニット52に決定され、当該検体を収容する検体容器Tが測定ユニット52に取り込まれたとき、バーコードリーダ516によりこの検体容器Tの検体バーコードから検体IDが読み出され、情報処理ユニット54によって当該検体の測定オーダが再度問い合わせられる。情報処理ユニット54による測定オーダの問い合わせの前に、当該測定オーダの測定項目から“SP”が削除される変更が行われている場合には、情報処理ユニット54が受け付けた測定オーダにおいて指定されている測定項目は“CBC”及び“DIFF”となっている。この測定オーダにしたがって、測定ユニット51は測定項目“CBC”及び“DIFF”について検体の測定を実行し、測定項目“CBC”及び“DIFF”についての検体の測定結果が情報処理ユニット54によりシステム制御装置8へ送信される。情報処理ユニット54は、かかる測定結果と共に、測定オーダの変更内容を通知するデータ(以下、「変更通知データ」という)をシステム制御装置8へ送信する。
なお、測定ユニット52,53が搬送先とされた場合については、上記と同様であるので、その説明を省略する。
次に、塗抹標本作製装置6に検体ラックLが搬送された場合における塗抹標本作製装置6の動作について説明する。検体搬送ユニット4の測定ライン3Mまで検体ラックLが搬送された後、この検体搬送ユニット4に設けられた図示しないバーコードリーダによって、検体ラックLに保持された検体容器Tのバーコードから検体IDが読み取られる。この検体IDは、検体搬送ユニット4から塗抹標本作製装置6へ送信され、塗抹標本作製装置6が検体IDを含むオーダ要求データを検査情報管理装置9へ送信し、測定オーダを問い合わせる。その後、塗抹標本作製装置6の制御部65は、測定オーダの受信を待機し、検査情報管理装置9から送信された測定オーダが塗抹標本作製装置6により受信されると、受信した測定オーダを制御部65が記憶する。
測定オーダに測定項目“SP”が含まれている場合、塗抹標本作製装置6の制御部65は、検体分注部61に検体容器Tから検体を吸引させ、吸引した血液検体をスライドガラス上に滴下させる。続いて制御部65は、塗抹部62を制御してスライドガラス上に滴下された血液検体を塗抹して乾燥させ、さらに、スライドガラスに印字させる。制御部65は、スライドガラス搬送部63及び染色部64を制御して、塗抹部62によって血液検体が塗抹されたスライドガラスを染色位置まで搬送し、染色部64に当該スライドガラスに対して染色液を供給して、塗抹標本を作製する。
制御部65は、上記のようにして塗抹標本を作製した結果、即ち、血液検体のスライドガラス上への塗抹の結果、及び標本の染色の結果(以下、「塗抹標本作製結果」という)を取得し、塗抹標本作製結果をシステム制御装置8及び検査情報管理装置9のそれぞれへ送信する。塗抹標本作製装置6は、かかる塗抹標本作製動作を検体ラックLに保持されている検体のうち、測定オーダに項目“SP”を含む検体に対して順次実行する。
上記のようにして送信された処理結果、即ち、血球分析装置5から送信された測定結果又は塗抹標本作製装置6から送信された塗抹標本作製結果は、システム制御装置8及び検査情報管理装置9によって受信される。検査情報管理装置9は、処理結果を受信すると、受信した処理結果に基づいてその検体についての追加測定が必要か否かを判定し、必要である場合には追加測定を行う測定項目を決定する。上述した情報処理ユニット54と同様に、追加測定には、「Rerun」、「Reflex」、及び「Repeat」の3種類がある。例えば、CBC及びDIFFについての測定を行った検体において、所定の項目の測定結果が予め定められた基準から逸脱する場合に、「Reflex」が選択され、RET又はSPが追加測定項目として決定される。このようにして追加測定項目が決定された場合は、検査情報管理装置9は、その追加測定項目を含む測定オーダを生成し、ハードディスクに記憶する。この場合、当該追加測定オーダには、追加測定の種類として「Reflex」を示す種類情報が含まれる。
システム制御装置8のCPU81aは、処理結果を受信したか否かを判別し(ステップS205)、処理結果を受信していない場合には(ステップS205においてNO)、処理結果を受信するまでステップS205の処理を繰り返す。一方、ステップS205において処理結果を受信した場合には(ステップS205においてYES)、CPU81aは、当該処理結果に基づいて、又は、追加測定オーダ若しくは変更通知データが処理結果と共に受信された場合には、処理結果及び追加測定オーダ若しくは変更通知データに基づいて、検体処理進捗データベースDBに進捗情報を登録する(ステップS206)。
ステップS206の処理について詳しく説明する。図14は、進捗情報が更新された進捗状況テーブルTB2の一例を示す模式図である。この例では、図11に示した状態から測定ユニット52によって測定項目CBC及びDIFFについて検体測定が行われ、その測定結果が得られた場合を示している。システム制御装置8が受信した測定結果にはCBC及びDIFFについてのデータが含まれているため、図11に示した進捗状況テーブルTB2のレコードR1において、フィールドF24,25の状態データが“1”から“2”に変更される。また、フィールドF28には、測定ユニット52に接続された検体搬送ユニット3bを示す位置番号“4”が格納され、フィールドF29には測定時刻“10:20”が格納される。
また、上述したように、システム制御装置8が測定結果と共に追加測定オーダを情報処理ユニット54から受信する場合がある。この場合には、システム制御装置8が測定結果及び追加測定オーダに基づいて検体処理進捗データベースDBにデータを登録する。図15は、血球分析装置5により追加測定オーダが生成された場合の進捗状況テーブルTB2の更新を説明する模式図である。ここでは、検査情報管理装置9において、ある検体について測定項目CBC及びDIFFが指定された測定オーダが登録されており、測定ユニット52が測定項目CBC及びDIFFについて検体測定を行った結果、情報処理ユニット54により測定項目RETについて当該検体の「Reflex」の追加測定を指示する追加測定オーダが発行された場合を例に挙げて説明する。まず、この検体についての測定オーダを検査情報管理装置9から受け付けたシステム制御装置8は、進捗状況テーブルTB2に新規のレコードR11を作成し、フィールドF24,F25に状態データ“1”を格納し、フィールドF210にバーコード読取ユニット22の位置番号“2”を格納し、フィールドF211に送信元である検査情報管理装置を示す“HOST”を格納し、フィールドF212に依頼日時情報“2010/09/12 12:32:43”を格納する。当該検体が測定ユニット52に搬送された後、情報処理ユニット54から当該検体の測定結果及び追加測定オーダが送信される。この測定結果には、測定項目CBC及びDIFFの測定データが含まれており、前記追加測定オーダには、測定オーダの種類Reflex及び測定項目RETが指定されている。かかる測定結果及び追加測定オーダを受信したシステム制御装置8は、進捗状況テーブルTB2のレコードR11において、フィールドF24,F25の状態データを“1”から“2”に変更し、測定ユニット52に接続された検体搬送ユニット3aを示す位置番号“3”をフィールドF28に格納し、測定時刻“12:34”をフィールドF29に格納する。また、システム制御装置8は、受信した追加測定オーダに対応する新規レコードR12を作成し、フィールドF26に状態データ“1”を格納し、フィールドF210に受付位置情報である検体搬送ユニット3aの位置番号“3”を格納し、フィールドF211に送信元である情報処理ユニット54を示す“IPU”を格納し、フィールドF212に依頼日時情報“2010/09/12 12:36:21”を格納し、フィールドF213に測定オーダの種類情報“3”を格納する。
また、上述したように、システム制御装置8が測定結果と共に変更通知データを情報処理ユニット54から受信した場合には、測定結果及び変更通知データに基づいて検体処理進捗データベースDBにデータが登録される。図16は、測定オーダが変更された場合の進捗状況テーブルTB2の更新を説明する模式図である。ここでは、検査情報管理装置9において、ある検体について測定項目CBC、DIFF、及びSPが指定された測定オーダが登録されており、変更通知データによって測定オーダからSPが削除される変更が行われたことが通知された場合を例に挙げて説明する。まず、この検体についての測定オーダを検査情報管理装置9から受け付けたシステム制御装置8は、進捗状況テーブルTB2に新規のレコードR21を作成し、フィールドF24,F25,F27に状態データ“1”を格納し、フィールドF210にバーコード読取ユニット22の位置番号“2”を格納し、フィールドF211に送信元である検査情報管理装置を示す“HOST”を格納し、フィールドF212に依頼日時情報“2010/09/13 10:08:18”を格納する。また、この測定オーダは通常の測定オーダであるため、システム制御装置8は、フィールドF213に測定オーダの種類情報“0”を格納する。当該検体が測定ユニット51に搬送された後、情報処理ユニット54から当該検体の測定結果及び前記変更通知データが送信される。この測定結果には、測定項目CBC及びDIFFの測定データが含まれており、前記変更通知データには、測定項目SPが測定オーダから削除される変更が行われた旨が示されている。かかる測定結果及び変更通知データを受信したシステム制御装置8は、進捗状況テーブルTB2のレコードR21において、フィールドF24,25の状態データを“1”から“2”に変更し、測定ユニット51に接続された検体搬送ユニット3aを示す位置番号“3”をフィールドF28に格納し、測定時刻“10:09”をフィールドF29に格納する。また、システム制御装置8は、測定オーダにおいて測定項目SPの指定取消を反映させるため、フィールドF27の状態データを“1”から“3”に変更する。
システム制御装置8のCPU81aは、検体ラックLに保持された検体のうち、搬送先の測定ユニット又は塗抹標本作製装置6において処理すべき全ての検体の処理が完了したか否かを判定し(ステップS207)、未処理の検体が残っている場合には(ステップS207においてNO)、ステップS205に処理を戻し、さらに処理結果の受信を待機する。検体ラックLの全ての検体について測定ユニット51,52,53又は塗抹標本作製装置6による処理が完了した後、検体搬送ユニット3a,3b,3c,4は、その検体搬送ユニットの測定ライン3Mから搬送ライン3Fへ検体ラックを移送し、検体ラックLを搬送ライン3Fの終端位置で停止させる。つまり、検体搬送ユニット3a,3b,3c,4は、システム制御装置8から搬送コマンドが与えられるまで、次のユニットへの検体ラックLの搬出を待機する。
ステップS207において全ての検体の処理が完了したと判定された場合には(ステップS207においてYES)、CPU81aは、搬出を待機している検体ラックLに保持されている検体の検体IDのうちの1つを含むオーダ要求データを検査情報管理装置9へ送信し、検査情報管理装置9にその検体IDに対応する追加測定オーダを要求する(ステップS208)。検査情報管理装置9は、要求された追加測定オーダを検索し、追加測定オーダが存在する場合には当該追加測定オーダをシステム制御装置8へ送信する。追加測定オーダが存在しない場合、即ち、検体について追加測定が必要ない場合には、検査情報管理装置9は、追加測定オーダが存在しないことを示す追加測定不要通知データをシステム制御装置8へ送信する。システム制御装置8のCPU81aは、追加測定オーダ又は追加測定不要通知データの受信を待機し(ステップS209においてNO)、検査情報管理装置9から送信されたデータがシステム制御装置8に受信されると(ステップS209においてYES)、受信したデータが追加測定オーダであるか、追加測定不要通知データであるかを判定する(ステップS210)。システム制御装置8が追加測定オーダを受信した場合には(ステップS210において「追加測定オーダ」)、CPU81aは、受信した追加測定オーダに基づいて、検体処理の進捗情報を作成し、これを検体処理進捗データベースDBに格納する(ステップS211)。
ステップS211の処理について説明する。図17は、追加測定オーダに基づいて進捗情報が更新された進捗状況テーブルTB2の一例を示す模式図である。この例では、図14に示した状態から検査情報管理装置9により測定項目RETが指定された「Reflex」の追加測定オーダが生成され、当該追加測定オーダがシステム制御装置8に受信された場合を示している。かかる追加測定オーダを受信したシステム制御装置8は、受信した追加測定オーダに対応する新規レコードR2を作成し、フィールドF26に状態データ“1”を格納し、フィールドF210に受付位置情報である検体搬送ユニット3bの位置番号“4”を格納し、フィールドF211に送信元である検査情報管理装置9を示す“HOST”を格納し、フィールドF212に依頼日時情報“2010/05/06 10:20:30”を格納し、フィールドF213に測定オーダの種類情報“3”を格納する。
ステップS211の処理を完了した後、CPU81aはステップS202へ処理を戻し、当該検体ラックLのラックIDをキーにして、検体処理進捗データベースDBの進捗情報(図17に示す場合においてはレコードR1,R2)を検索する(ステップS202)。さらにCPU81aはステップS203の処理を実行し、検体の処理を未実施の測定項目について検体の処理を行うために、検体ラックLの搬送先を決定する。測定ユニット51〜53の何れかによって検体の測定が行われたとき、検体ラックLは測定が行われた測定ユニットに対応する検体搬送ユニットの搬送ライン3Fの終端位置において停止したままである。つまり、次の検体搬送ユニットの分岐点に検体ラックが到達する前に、搬送先が決定される。搬送先が決定され、システム制御装置8から検体搬送ユニット3a,3b,3c,4に搬送コマンドが送信されると、後段の検体搬送ユニットへ検体ラックLが送出され、搬送コマンドにしたがって、当該後段の検体搬送ユニットの分岐点から測定前ラック保持部33又は処理前ラック保持部44及び搬送ライン3Fの下流側の何れかに検体ラックが搬送される。
一方、ステップS210においてシステム制御装置8が追加測定不要通知データを受信した場合には(ステップS210において「追加測定不要通知データ」)、CPU81aは、受信した追加測定不要通知データに基づいて、検体処理の進捗情報を作成し、これを検体処理進捗データベースDBに格納する(ステップS212)。この場合、システム制御装置8は、追加測定不要通知データを受信したときの検体ラックLの位置情報を進捗状況テーブルTB2のフィールドF211に追加測定不要通知データの送信元である検査情報管理装置9を示す“HOST”を、フィールドF212に依頼日時情報をそれぞれ格納する。
さらにCPU81aは、検体ラックLの搬送先として検体回収装置7を指定した搬送コマンドを送信する(ステップS213)。検体搬送ユニット3a,3b,3c,4の何れかの搬送ライン3Fの終端位置において待機していた検体ラックLは、検体搬送装置3の搬送ライン3Fに沿って搬送され、検体回収装置7に収容される。検体回収装置7の制御部は、検体ラックLを収容したときに、システム制御装置8へ収容完了通知データを送信する。システム制御装置8のCPU81aは、収容完了通知データを受信したか否かを判定し(ステップS214)、収容完了通知データを受信するまで待機する(ステップS214においてNO)。システム制御装置8が収容完了通知データを受信した場合には(ステップS214においてYES)、CPU81aは検体処理進捗データベースDBに格納位置情報及び格納日時情報を登録し(ステップS215)、処理を終了する。
<進捗状況表示処理>
システム制御装置8は、検体処理進捗データベースDBに蓄積した進捗情報にしたがって、検体処理の進捗状況を表示する。以下、この進捗状況表示処理について説明する。
図18は、進捗状況表示処理の手順を示すフローチャートである。ユーザはシステム制御装置8の入力部83を操作して、システム制御装置8に検体処理の進捗状況画面の表示指示を与えることができる。CPU81aは、かかる進捗状況画面の表示指示の入力を受け付ける(ステップS301)。CPU81aにおいて、進捗状況画面の表示指示を受け付けるイベントが発生すると、ステップS302の処理が呼び出される。
ステップS302において、CPU81aは進捗情報画面を画像表示部82に表示させる(ステップS302)。この場合の進捗状況画面においては、表示すべき進捗情報が指定されていないため、進捗情報を表示する領域には何も表示されない。進捗状況画面では、検体IDの入力が可能であり、ユーザは検体IDを入力することで、当該検体IDに対応する検体の進捗情報の検索指示をシステム制御装置8に与えることができる。CPU81aは、検体IDの入力を待機し(ステップS303においてNO)、検体IDの入力を受け付けると(ステップS303においてYES)、当該検体IDに対応する進捗情報を検体処理進捗データベースDBから検索する(ステップS304)。
次にCPU81aは、検索された進捗情報を表示するように、進捗状況画面を更新する(ステップS305)。図19A〜図20Fは、進捗状況画面の例を示す模式図である。図19Aは、検体処理進捗データベースDBに図11に示す進捗情報が格納されている場合の進捗状況画面を示している。図19Aに示すように、進捗状況画面D1は、複数のアイコンが並べて表示されているツールバー領域A1と、進捗情報が表示される情報表示領域A2とが設けられている。ツールバー領域A1には、検体IDを入力するための入力ボックスを呼び出すための検索アイコンC1が設けられている。ユーザは、この検索アイコンをマウスのクリック操作によって選択することで、検体IDの入力ボックスを表示させることができる。また、他のアイコンにもそれぞれ機能が割り当てられており、例えばツールバーの左側に設けられたアイコン群は、それぞれ選択されることによって対応する画面に表示を切り替える機能が割り当てられている。
情報表示領域A2の上部には、検体IDを表示する領域A21、ラックIDを表示する領域A22、検体ラックLにおける検体の保持位置を表示する領域A23、検体の格納位置(格納ユニット)を表示する領域A24、及び格納日時を表示する領域A25が設けられている。図19Aに示す例では、検体は検体回収装置7に格納されていないため、領域A24、A25は空欄とされる。また、これらの領域A21〜A25の下方には、検体の処理の進捗状況を一覧表示する領域A26が設けられている。かかる領域A26は、検体についてシステム制御装置8が取得した測定オーダ毎に、測定オーダについての検体処理の進捗状況が一覧表示される領域であり、測定オーダの要求が発生したときの検体の位置(要求位置情報)、測定オーダの要求日時、CBC,DIFF,RET,SPの各測定項目の処理の状態(測定オーダの有無、検体の処理位置及び処理時刻、測定オーダの取消の有無、並びに測定ユニットの異常発生の有無)、測定オーダをシステム制御装置8が受け付けたときの検体の位置(受付位置情報)、測定オーダの送信元(測定の依頼元)、測定オーダの種類、測定オーダの依頼日時の各項目を表示するようになっている。図19Aに示す例では、図11に示す進捗状況テーブルTB2のレコードR1に対応する行L1が作成され、この行L1に、レコードR1に格納されている各情報が表示される。
進捗状況画面において、測定オーダの取得状況及び処理結果の有無(処理が実施されたかどうか)の情報はアイコンにより表示される。図19Aの例では、測定項目CBC、DIFFについてシステム制御装置8により測定オーダ(初検オーダ)を受付済であり、且つ検体が未測定であるので、測定オーダ受付済且つ未処理の状態を示すアイコンC2が測定項目CBC,DIFFの欄に表示される。一方、測定項目RET、SPについてはシステム制御装置8が測定オーダを受け付けていないため、RET、SPの欄には測定オーダが存在しないことを示す情報「−−−」が表示される。
図11のレコードR1にしたがって、行L1の受付位置情報表示欄には位置番号"2"が表示され、依頼元表示欄には検査情報管理装置を示す"HOST"が表示され、依頼日時表示欄には依頼日時情報"2010/05/06 10:15:21"が表示される。上記のような表示により、ユーザは当該検体が検体処理工程上どのような状態であるか、つまり、当該検体においては測定項目CBC及びDIFFが指定された初検オーダが存在していること、まだその検体の処理(初検)が行われていないこと、初検オーダは検査情報管理装置9から送信されていること、依頼日時、初検オーダをシステム制御装置8が受け付けたとき検体がバーコード読取ユニット22に位置していたこと、及びその受付日時を容易に把握することができる。
次に、上記の図19Aに示す状態から、検体処理工程が進捗した場合について説明する。図19Bは、検体処理進捗データベースDBに図14に示す進捗情報が格納されている場合の進捗状況画面を示している。この場合、進捗状況テーブルTB2のレコードR1において、フィールドF24,F25の状態データが"2"とされており、フィールドF28には、測定ユニット52に接続された検体搬送ユニット3bを示す位置番号"4"が格納されており、フィールドF29には測定時刻"10:20"が格納されている。したがって、この場合の進捗状況画面D2では、行L1の測定項目CBC及びDIFFの欄に、検体処理済であることを示すアイコンC3が表示され、検体を処理した位置として検体搬送ユニット3bの位置番号"4"及び測定時刻"10:20"が表示される。このような表示により、ユーザは当該検体が検体処理工程上どのような状態であるか、および今までのどのような工程を経てきたかを知ることができる。即ち、当該検体においては測定項目CBC及びDIFFが指定された初検オーダにより、CBC及びDIFFの測定が行われたこと、その検体測定は測定ユニット52により行われたこと、その測定日時、初検オーダは検査情報管理装置9から送信されていること、依頼日時、初検オーダをシステム制御装置8が受け付けたとき検体がバーコード読取ユニット22に位置していたこと、及びその受付日時を容易に把握することができる。
図19Cは、検体処理進捗データベースDBに図17に示す進捗情報が格納されている場合の進捗状況画面を示している。この場合、進捗状況テーブルTB2にレコードR2が作成されている。このレコードR2において、フィールドF26に状態データ"1"が格納され、フィールドF210に追加測定オーダの受付位置情報である検体搬送ユニット3bの位置番号"4"が格納され、フィールドF211に追加測定オーダの送信元である検査情報管理装置9を示す"HOST"が格納され、フィールドF212に依頼日時情報"2010/05/06 10:20:30"が格納され、フィールドF213に測定オーダの種類情報“3”が格納されている。したがって、この場合の進捗状況画面D2では、上記の図19Bに示す行L1の表示に加え、レコードR2に対応する行L2が表示される。行L2の測定項目RETの欄には、測定オーダ受付済且つ未処理の状態を示すアイコンC2が表示され、測定項目SPの欄には測定オーダが存在しないことを示す情報「−−−」が表示される。また、図17のレコードR2にしたがって、行L2の受付位置情報表示欄には位置番号"4"が表示され、依頼元表示欄には検査情報管理装置を示す"HOST"が表示され、依頼日時表示欄には依頼日時情報"2010/05/06 10:20:30"が表示される。また依頼元表示欄には、上記の“HOST”と共に測定オーダの種類を示す“Reflex”が表示される。このような表示により、ユーザは、どのような測定項目が指定された測定オーダをいつ、どこから送信されたか、検体処理が行われたかを初検オーダ及び追加測定オーダのそれぞれについて知ることができる。つまり、行L2の表示により、ユーザは、当該検体においては測定項目RETが指定された追加測定オーダが存在していること、まだその検体の追加測定が行われていないこと、追加測定オーダは検査情報管理装置9から送信されていること、当該追加測定オーダにより「Reflex」の測定が依頼されていること、追加測定オーダの依頼日時を容易に把握することができる。
図19Dは、図19Cに示す状態からさらに検体処理工程が進んだ結果、検体処理が完了したときの進捗状況画面を示している。この進捗状況画面D4には、4つの行L1〜L4が設けられている。行L1は図19Cに示したものと同じであるので説明を省略する。行L2には、測定項目RETの欄において検体処理済であることを示すアイコンC3が表示されており、検体を処理した位置として検体搬送ユニット3cの位置番号"5"及び測定時刻"10:31"が表示されている。これにより、測定項目RETについて追加測定が行われたこと、その追加測定は測定ユニット53により行われたこと、及びその追加測定時刻が把握される。
また、行L3には、測定項目SPの欄においてアイコンC3が表示されており、検体を処理した位置として検体搬送ユニット4の位置番号"6"及び測定時刻"10:35"が表示されている。また、行L3には、受付位置情報表示欄に位置番号"5"が表示されており、依頼元表示欄に検査情報管理装置を示す"HOST"が表示されており、依頼日時表示欄に依頼日時情報"2010/05/06 10:31:21"が表示されている。これにより、当該検体においては測定項目SPが指定された2つ目の追加測定オーダが存在していること、測定項目SPについて検体処理が完了していること、その検体処理は測定ユニット53の位置により行われたこと、その検体処理時刻、検体が検体搬送ユニット3bに位置しているときにシステム制御装置8が追加測定オーダを受け付けたこと、その追加測定オーダは検査情報管理装置9から送信されていること、追加測定オーダの依頼日時が把握される。
また、行L4には、測定オーダが存在しないことを示す「−−−」が全ての測定項目の欄に表示されており、このことから追加測定が不要となったことが理解される。また、行L3には、受付位置情報表示欄に位置番号"6"が表示されており、依頼元表示欄に検査情報管理装置を示す"HOST"が表示されており、依頼日時表示欄に依頼日時情報"2010/05/06 10:40:01"が表示されている。これにより、検体が検体搬送ユニット4に位置しているときにシステム制御装置8が追加測定不要通知データを受け付けたこと、その追加測定不要通知データは検査情報管理装置9によって発行されていること、その受付日時が把握される。
さらに、進捗状況画面D4には、領域A24において、格納位置としてラック収容ユニット71を示す位置番号"7"が表示されており、領域A25において、格納日時"2010/05/06 10:42:01"が表示されている。これにより、この検体については既に検体処理工程の全てが完了しており、ラック収容ユニット71に格納されていること、その格納日時が把握される。
図20A〜図20Fには、検体処理工程の進捗に合わせて進捗状況画面の遷移を示している。図20Aの例では、バーコード読取ユニット22による検体バーコードの読み取りに失敗した検体の処理の進捗状況が表示されており、このため、領域A21にはバーコード読取エラーに係る検体であることが判別できる検体ID“ERR001”が表示される。また、この場合、バーコード読取エラーにより正しい検体IDが取得されなかったため、測定オーダの問い合わせが行われていない。即ち、全測定項目CBC、DIFF、RET、SPについてシステム制御装置8が測定オーダを受け付けていないため、行L11におけるCBC、DIFF、RET、SPの欄には測定オーダが存在しないことを示す情報「−−−」が表示される。
図12のレコードR10にしたがって、行L11の受付位置情報表示欄には位置番号“2”が表示され、依頼元表示欄にはシステム制御装置を示す“CT−90”が表示される。また、行L11の依頼元表示欄には、デフォルトの搬送先が決定されたことを示す種類情報“Default”が表示される。さらに行L11の依頼日時表示欄には依頼日時情報“2010/09/13 11:27:30”が表示される。上記のような表示により、ユーザは当該検体が検体処理工程上どのような状態であるか、つまり、当該検体においてはバーコード読取エラーにより検体IDが正常に取得されなかったこと、このためすべての測定項目について測定オーダが存在していないこと、検体の処理(初検)が行われていないこと、搬送先がシステム制御装置8のデフォルト設定により決定されたこと、依頼日時(この場合は検体ラックに対して搬送先が割り当てられたときの日時)、検体ラックに対して搬送先が割り当てられたとき検体がバーコード読取ユニット22に位置していたこと、及びその日時を容易に把握することができる。
次に、上記の図20Aに示す状態から、検体処理工程が次のように進捗した場合を想定する。即ち、図12に示した状態から検体ラックLがデフォルトの搬送先である測定ユニット51へ搬送される。その後、測定ユニット51の内部に検体容器が取り込まれ、測定ユニット51のバーコードリーダ516により検体バーコード“1234−1236”が正しく読み取られる。このようにして検体IDが取得され、情報処理ユニット54がこの検体IDをキーとして当該検体の測定オーダを検査情報管理装置へ問い合わせ、測定オーダを取得する。この測定オーダには、測定項目CBC及びDIFFの指定を含んでおり、この結果測定ユニット51によって測定項目CBC及びDIFFについて検体測定が行われる。測定ユニット51が測定オーダにしたがって検体測定を実行しようとしたところ、測定エラー(検体吸引エラー)が発生し、検体の測定が中止され、この測定中止の情報が測定結果として情報処理ユニット54からシステム制御装置8へ送信される。また、情報処理ユニット54は、測定エラーの発生により、「Repeat」の追加測定オーダを発行する。この追加測定オーダには、測定項目CBC及びDIFFの指定が含まれる。当該追加測定オーダは、上記の測定結果と共に情報処理ユニット54からシステム制御装置8へと送信される。
図20Bは、上記の場合における進捗状況画面を示している。この場合、測定ユニット51のバーコードリーダ516により検体IDが正しく読み出されているので、進捗状況画面における検体IDが“ERR001”から正式な検体IDである“1234−1236”に変更される。また、この場合、測定に用いられた測定オーダは検査情報管理装置8から送信されたものであるため、進捗状況画面D12には、行L11の下に新たな行L12が追加される。システム制御装置8が受信した測定結果にはCBC及びDIFFの測定エラーによる測定中止のデータが含まれているため、進捗状況テーブルTB2において、フィールドF24,25の状態データが“4”となっている(図示せず)。進捗状況画面において、測定オーダの取得状況、処理結果の有無(処理が実施されたかどうか)、測定エラーの発生の有無の情報はアイコンにより表示される。このため、行L12のCBC及びDIFFの欄には、測定エラーの発生を示すアイコンC4が表示される。一方、測定項目RET、SPについては測定オーダにおいて指定されていないため、RET、SPの欄には測定オーダが存在しないことを示す情報「−−−」が表示される。また、行L12のCBC、DIFFの欄には、検体処理を実行した位置(測定エラーが発生した位置)として検体搬送ユニット3bの位置番号“3”及び測定時刻(エラー発生時刻)“11:29”が表示される。また、測定結果と共に当該測定オーダがシステム制御装置8に受信されたため、システム制御装置8がこの測定オーダを受信した時点において、検体は検体搬送ユニット3aに位置している。したがって、行L12の受付位置情報表示欄には位置番号“3”が表示される。また、当該測定オーダは、検査情報管理装置8から送信されているため、行L12の依頼元の欄には“HOST”が表示される。このような表示により、ユーザは当該検体が検体処理工程上どのような状態であるか、および今までのどのような工程を経てきたかを知ることができる。即ち、当該検体においてはバーコード読取ユニット22におけるバーコード読取エラーにより検体IDの取得に失敗していること、測定項目CBC及びDIFFが指定された初検オーダにより、CBC及びDIFFの測定が行われたこと、その検体測定は測定ユニット51により行われたこと、検体の測定が測定エラーにより中止されたこと、その測定日時、初検オーダは検査情報管理装置9から送信されていること、依頼日時、初検オーダをシステム制御装置8が受け付けたとき検体が検体搬送ユニット3aに位置していたこと、及びその受付日時を容易に把握することができる。
また、上記のように、情報処理ユニット54から測定結果と共に追加測定オーダがシステム制御装置8に送信されたため、進捗状況画面D12の行L12の下には、追加測定オーダに係る行L13が追加される。追加測定オーダには、CBC及びDIFFが指定されているため、行L13の測定項目CBC及びDIFFの欄には、測定オーダ受付済且つ未処理の状態を示すアイコンC2が表示され、測定項目RET及びSPの欄には測定オーダが存在しないことを示す情報「−−−」が表示される。また、システム制御装置8が追加測定オーダを受け付けたときに当該検体は検体搬送ユニット3aに位置していたことから、行L13の受付位置情報表示欄には位置番号“3”が表示され、依頼元表示欄には情報処理ユニット54を示す“IPU”が表示される。また、当該追加測定オーダの種類は「Repeat」であるため、行L13の依頼元表示欄には、“IPU”と共に測定オーダの種類情報“Repeat”が表示される。さらに、行L13の依頼日時表示欄には依頼日時情報“2010/09/13 11:29:20”が表示される。このような表示により、ユーザは、どのような測定項目が指定された測定オーダをいつ、どこから受け付けたか、検体処理が行われたかを初検オーダ及び追加測定オーダのそれぞれについて知ることができる。つまり、行L13の表示により、ユーザは、当該検体においては測定項目CBC及びDIFFが指定された「Repeat」の追加測定オーダが存在していること、まだその検体の追加測定が行われていないこと、追加測定オーダは情報処理ユニット54から送信されていること、及び追加測定オーダの依頼日時を容易に把握することができる。
次に、上記の図20Bに示す状態から、検体処理工程が次のように進捗した場合を想定する。即ち、図20Bに示した状態から、「Repeat」の追加測定オーダに基づいて、測定ユニット51によって測定項目CBC及びDIFFについて検体測定が行われる。検体の測定は正常に行われ、測定結果がシステム制御装置8及び検査情報管理装置9へ送信される。また、「Repeat」の追加測定オーダに基づく測定結果に基づいて、情報処理ユニット54が「Reflex」の追加測定オーダを発行する。この追加測定オーダには、測定項目RETの指定が含まれる。当該「Reflex」の追加測定オーダは、「Repeat」の追加測定オーダに基づく測定結果と共に、情報処理ユニット54からシステム制御装置8へ送信される。
図20Cは、上記の場合における進捗状況画面を示している。この場合の進捗状況画面D13では、行L13の測定項目CBC及びDIFFの欄に、検体処理済であることを示すアイコンC3が表示され、検体を処理した位置として検体搬送ユニット3aの位置番号"3"及び測定時刻"11:31"が表示される。このような表示により、ユーザは、当該検体においては測定項目CBC及びDIFFが指定された「Repeat」の追加測定オーダにより、CBC及びDIFFの測定が行われたこと、その検体測定は測定ユニット51により行われたこと、その測定日時、当該追加測定オーダは情報処理ユニット54から送信されていること、依頼日時、当該追加測定オーダをシステム制御装置8が受け付けたとき検体が検体搬送ユニット3aに位置していたこと、及びその受付日時を容易に把握することができる。
また、上記のように、情報処理ユニット54から測定結果と共に「Reflex」の追加測定オーダがシステム制御装置8に送信されたため、進捗状況画面D13の行L13の下には、当該追加測定オーダに係る行L14が追加される。当該追加測定オーダには、RETが指定されているため、行L14の測定項目RETの欄には、測定オーダ受付済且つ未処理の状態を示すアイコンC2が表示され、測定項目CBC、DIFF及びSPの欄には測定オーダが存在しないことを示す情報「−−−」が表示される。また、システム制御装置8が当該追加測定オーダを受け付けたときに当該検体は検体搬送ユニット3aに位置していたことから、行L14の受付位置情報表示欄には位置番号“3”が表示され、依頼元表示欄には情報処理ユニット54を示す“IPU”が表示される。また、当該追加測定オーダの種類は「Reflex」であるため、行L14の依頼元表示欄には、“IPU”と共に測定オーダの種類情報“Reflex”が表示される。さらに、行L14の依頼日時表示欄には依頼日時情報“2010/09/13 11:31:30”が表示される。ユーザは、行L14の表示により、当該検体においては測定項目RETが指定された「Reflex」の追加測定オーダが存在していること、まだその検体の追加測定が行われていないこと、追加測定オーダは情報処理ユニット54から送信されていること、及び追加測定オーダの依頼日時を容易に把握することができる。
次に、上記の図20Cに示す状態から、検体処理工程が次のように進捗した場合を想定する。即ち、図20Cに示した状態から、「Reflex」の追加測定オーダに基づいて、システム制御装置8が検体ラックLの搬送先を測定ユニット53に決定し、測定ユニット53によって測定項目RETについて検体測定が行われる。検体の測定は正常に行われ、測定結果がシステム制御装置8及び検査情報管理装置9へ送信される。
図20Dは、上記の場合における進捗状況画面を示している。この場合の進捗状況画面D14では、行L14の測定項目RETの欄に、検体処理済であることを示すアイコンC3が表示され、検体を処理した位置として検体搬送ユニット3cの位置番号“5”及び測定時刻“11:35”が表示される。このような表示により、ユーザは、当該検体においては測定項目RETが指定された「Reflex」の追加測定オーダにより、RETの測定が行われたこと、その検体測定は測定ユニット53により行われたこと、その測定日時、当該追加測定オーダは情報処理ユニット54から送信されていること、依頼日時、当該追加測定オーダをシステム制御装置8が受け付けたとき検体が検体搬送ユニット3aに位置していたこと、及びその受付日時を容易に把握することができる。
次に、上記の図20Dに示す状態から、検体処理工程が次のように進捗した場合を想定する。即ち、図20Dに示した状態から、「Reflex」の追加測定オーダに基づく測定結果に基づいて、検査情報管理装置9がSPを指定した追加測定オーダを発行する。検体搬送ユニット3cの搬送ライン3Fの終端位置で、検体ラックLは停止し、その間にシステム制御装置8が検査情報管理装置9へ追加測定オーダを問い合わせ、処理項目SPを指定した追加測定オーダが検査情報管理装置9からシステム制御装置8へ送信される。
図20Eは、上記の場合における進捗状況画面を示している。この場合の進捗状況画面D15では、検査情報管理装置9から処理項目SPを指定した追加測定オーダがシステム制御装置8に送信されたため、進捗状況画面D15の行L14の下には、当該追加測定オーダに係る行L15が追加される。当該追加測定オーダには、SPが指定されているため、行L15の処理項目SPの欄には、測定オーダ受付済且つ未処理の状態を示すアイコンC2が表示され、測定項目CBC、DIFF及びRETの欄には測定オーダが存在しないことを示す情報「−−−」が表示される。また、システム制御装置8が当該追加測定オーダを受け付けたときに当該検体は検体搬送ユニット3cに位置していたことから、行L15の受付位置情報表示欄には位置番号“5”が表示され、依頼元表示欄には検査情報管理装置9を示す“HOST”が表示される。また、当該追加測定オーダの種類は「通常」であるため、行L15の依頼元表示欄には、“HOST”のみが表示され、測定オーダの種類情報は表示されない。さらに、行L15の依頼日時表示欄には依頼日時情報“2010/09/13 11:36:30”が表示される。ユーザは、行L15の表示により、当該検体においては処理項目SPが指定された「通常」の追加測定オーダが存在していること、まだその検体のSPに係る処理が行われていないこと、追加測定オーダは検査情報管理装置9から送信されていること、及び追加測定オーダの依頼日時を容易に把握することができる。
次に、上記の図20Eに示す状態から、検体処理工程が次のように進捗した場合を想定する。即ち、図20Eに示した状態から、処理項目SPを指定した追加測定オーダに基づいて、システム制御装置8が検体ラックLの搬送先を塗抹標本作製装置6に決定し、塗抹標本作製装置6によって当該検体の塗抹標本の作製が行われる。塗抹標本は正常に作製され、処理結果が塗抹標本作製装置6からシステム制御装置8及び検査情報管理装置9へ送信される。検査情報管理装置9は、受信した処理結果に基づいて、追加測定不要通知データを生成し、システム制御装置8へ送信する。この後、検体が検体回収装置7に回収され、検体処理が終了する。
図20Fは、上記の場合における進捗状況画面を示している。この場合の進捗状況画面D16では、行L15の処理項目SPの欄に、検体処理済であることを示すアイコンC3が表示され、検体を処理した位置として検体搬送ユニット4の位置番号“6”及び処理時刻“11:37”が表示される。このような表示により、ユーザは、当該検体においては処理項目SPが指定された追加測定オーダにより、SPの処理が行われたこと、その検体処理は塗抹標本作製装置6により行われたこと、その処理日時、当該追加測定オーダは検査情報管理装置9から送信されていること、依頼日時、当該追加測定オーダをシステム制御装置8が受け付けたとき検体が検体搬送ユニット3cに位置していたこと、及びその受付日時を容易に把握することができる。
また、行L15の下には、行L16が追加されている。行L16には、測定オーダが存在しないことを示す「−−−」が全ての測定項目の欄に表示されており、このことから追加測定が不要となったことが理解される。また、行L16には、受付位置情報表示欄に位置番号“6”が表示されており、依頼元表示欄に検査情報管理装置を示す“HOST”が表示されている。これにより、検体が検体搬送ユニット4に位置しているときにシステム制御装置8が追加測定不要通知データを受け付けたこと、及びその追加測定不要通知データは検査情報管理装置9によって発行されていることが把握される。
次にCPU81aは、検体処理進捗データベースDBにおいて進捗情報が更新されているか否か、即ち、当該検体IDに対応する新たなデータが登録されているか否かを判別し(ステップS306)、進捗情報が更新されている場合には(ステップS306においてYES)、新たな進捗情報にしたがって進捗状況画面を更新し(ステップS307)、ステップS306へ処理を戻す。この結果、例えば検体処理進捗データベースDBの進捗情報が図11に示す状態から図14へ示す状態へと更新された場合には、進捗状況画面が図19Aに示す状態から図19Bに示す状態へと遷移する。
一方、ステップS306において進捗情報が更新されていない場合には(ステップS306においてNO)、CPU81aは進捗状況画面の表示終了指示を受け付けたか否かを判定し(ステップS308)、表示終了指示を受け付けていない場合には(ステップS308においてNO)、ステップS306へ処理を戻す。一方、ステップS308において、進捗状況画面の表示終了指示を受け付けた場合には(ステップS308においてYES)、CPU81aは、進捗状況画面の表示を終了し(ステップS309)、処理を終了する。
以上に詳述した如く、本実施の形態に係る検体処理システム1においては、システム制御装置8によって進捗状況画面が表示され、システム制御装置8が受け付けた測定オーダ毎に、測定オーダの依頼元情報を含む処理進捗情報を表示するため、それぞれの測定オーダがどこで発行されたものであるのかをユーザが容易に把握することができる。
また、測定オーダの種類を示す情報を、処理進捗情報において測定オーダの依頼元の情報と共に表示するので、それぞれの測定オーダがどのような種類のものであるかをユーザが容易に把握することができる。
(実施の形態2)
図21は、実施の形態2に係る検体処理システムの全体構成を示す概略斜視図である。図21に示す検体処理システム100は、検体測定装置101と、検査情報管理装置500とを備えている。検体測定装置101は、血液の凝固・線溶機能に関連する特定の物質の量又は活性の度合いを光学的に測定して分析するための装置であり、検体(試料)としては血漿が用いられる。この検体測定装置100では、凝固時間法、合成基質法および免疫比濁法を用いて複数の測定項目について、検体の光学的な測定を行う。
検体測定装置100は、測定ユニット200と、測定ユニット200と通信可能に接続された情報処理ユニット400とを備えている。また、測定ユニット200の前面側には検体搬送ユニット300が配置されている。また、情報処理ユニット400は、ローカルエリアネットワーク(LAN)を介して、検査情報管理装置500と通信可能に接続されている。
情報処理ユニット400は、コンピュータにより構成されている。本実施の形態に係る情報処理ユニット400の構成は、実施の形態1に係る情報処理ユニット54の構成と概ね同様であるので、その説明を省略する。かかる情報処理ユニット400は、測定オーダの登録が可能である。ユーザは情報処理ユニット400を操作することにより、検体番号及び測定項目を指定して、測定オーダを登録する。こうして登録された測定オーダは、情報処理ユニット400のハードディスク(図示せず)に記憶される。かかる測定オーダにしたがって、情報処理ユニット400が測定ユニット200を制御することで、次のように検体の測定が行われる。
本実施の形態に係る測定ユニット200は、検体搬送ユニット300によって搬送される検体ラックに保持されている検体容器から、検体を吸引する1次検体分注部を有している(図示せず)。かかる1次検体分注部によって吸引された検体は、検体測定ユニット300の内部に設けられたターンテーブル上に配置されたキュベットに定量分注(1次分注)される。さらに当該キュベットに収容された検体の一部は、測定ユニット200に設けられた2次検体分注部(図示せず)により吸引され、当該キュベットとは別にターンテーブル上に配置されたキュベットへ分注(2次分注)される。このようにして検体が2次分注されたキュベットは、所定時間加温されながらターンテーブル上を回転移動し、測定ユニット200に設けられた試薬分注部(図示せず)によって測定項目に対応する血液凝固試薬が分注される。こうして血液凝固試薬と検体がキュベット内で混和され、血液凝固反応が生じる。測定ユニット200の内部に設けられた光学検出部により、検体と試薬との混合物が収容されたキュベットに対して光が照射され、その透過光が検出されることにより、検体の測定が行われる。なお、測定ユニット200の構造は、特許第3229498号に記載されたものと同様である。
測定ユニット200が上述のように検体を測定することにより得られる測定データは、情報処理ユニット400へ送信される。情報処理ユニット400は、測定データを受信し、この測定データを解析することで、検体の測定結果を得る。測定結果を生成した情報処理ユニット400は、当該測定結果を検査情報管理装置500へ送信する。
検査情報管理装置500は、コンピュータにより構成されている。本実施の形態に係る検査情報管理装置500の構成は、実施の形態1に係る検査情報管理装置9の構成と概ね同様であるので、その説明を省略する。検査情報管理装置500は、受信した測定結果を解析し、追加測定が必要か否かを判定する。追加測定が必要と判断されると、検査情報管理装置500は追加測定オーダを発行する。追加測定オーダの種類は、「Reflex」がある。検査情報管理装置500により追加測定オーダが発行されると、当該追加測定オーダが検査情報管理装置500から情報処理ユニット400へ送信される。情報処理ユニット400は、追加測定オーダを受信すると、この追加測定オーダにしたがい、測定ユニット200を制御する。これにより、追加測定の対象となる検体が1次分注されたキュベットから、追加測定に必要な分だけ検体が2次検体分注部に吸引され、別のキュベットに2次分注され、上記と同様にして検体の測定が行われる。
情報処理ユニット400は、検体測定の進捗状況を表示する機能を有している。情報処理ユニット400のハードディスクには、図示しない検体処理進捗データベースが設けられており、当該データベースにおいて検体番号、各測定項目についての測定オーダの有無、測定結果の有無、測定オーダの取消の有無、測定エラーの発生の有無、測定が行われた時刻、測定オーダの発行元(依頼元)、測定オーダの種類、測定オーダの依頼日時等の情報(進捗情報)を記憶する。情報処理ユニット400は、検体測定の過程において、かかる検体処理進捗データベースに上記の進捗情報を記憶し、検体測定の進捗を記録する。また、情報処理ユニット400は、この検体処理進捗データベースに格納された進捗情報にしたがって、検体測定の進捗状況を示す進捗状況画面をディスプレイ装置に表示することができる。
図22は、情報処理ユニット400の進捗状況画面の一例を示す模式図である。図22に示すように、進捗状況画面D100は、リスト形式で検体測定の進捗状況が表示される。進捗状況画面D100の1行は、1つの測定オーダに対応している。各行には、検体番号、測定オーダの依頼元、PT,APTT,Fbg,TTO,NT,AT3等の各測定項目についての検体測定の進捗状況のそれぞれを表示する複数の領域が設けられている。測定項目毎に検体測定の進捗状況を表示する各領域には、測定オーダが存在するが測定結果が得られていない(つまり、未測定又は測定中)の場合にはチェックマークのアイコンC100が表示され、検体測定が完了した場合にはその測定結果の数値データが表示され、測定オーダが存在しない場合には何も表示されない。例えば、行L101には、検体番号が“1”の検体に関する測定進捗情報が表示されており、測定オーダの依頼元が情報処理ユニット400であり、測定項目PT及びAPTTについては測定結果が存在する、つまり測定が完了していることが示されている。また、行L102には、検体番号“2”の検体について、情報処理ユニットから測定オーダが発行され、その測定オーダに基づいて測定項目PT及びAPTTの測定結果が得られたことが示されている。
また、進捗状況画面D100の測定オーダの依頼元の表示欄には、依頼元情報に加えて測定オーダの種類を示す種類情報が表示される。「Reflex」の追加測定オーダが発行された場合、依頼元表示欄に、依頼元情報に加えて“R”が表示される。図22の例では、行L105において、検体番号“2”の検体の追加測定オーダの測定進捗情報が表示されており、この行L105の依頼元表示欄には、依頼元情報“HOST”及び測定オーダの種類情報“R”が表示されている。これにより、検体番号“2”の検体について、「Reflex」の追加測定オーダが検査情報管理装置500から発行されたことが分かる。また、行L105では、Fbgの欄にチェックマークのアイコンC100が表示されている。これにより、当該「Reflex」の追加測定オーダによって、検体番号“2”の検体について測定項目Fbgの測定が指示されており、しかもその測定結果がまだ得られていないことが分かる。
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態1においては、検体の処理として、測定ユニット51〜53による検体の測定及び塗抹標本作製装置6による検体の塗抹標本の作製を行う場合について述べた、実施の形態2においては、検体の処理として、測定ユニット200による血液の凝固・線溶機能に関連する特定の物質の量又は活性の度合いの光学的な測定を行う場合について述べたが、これに限定されるものではない。他の検体の処理であってもよく、例えば、免疫分析装置による免疫分析、生化学分析装置による生化学分析、尿分析装置による尿分析等であってもよい。
また、実施の形態1において、進捗状況画面の依頼元表示欄に、依頼元を示す情報として“Manual”及び“SP”を表示させることも可能である。測定ユニット51,52,53の筐体前面に設けられたマニュアル測定ボタンを押下することで、マニュアル測定の測定オーダが発行され、マニュアル測定が行われる。このとき、進捗状況画面に当該測定オーダの進捗情報を示す1行が追加され、この行の依頼元表示欄に“Manual”と表示される。この“Manual”の表示は、情報処理ユニット54によりマニュアル測定の測定オーダが発行されたことを示している。かかる進捗状況画面をユーザが確認することで、当該測定オーダの依頼元が情報処理ユニット54であり、当該測定オーダがマニュアル測定の測定オーダであることが分かる。また、塗抹標本作製装置6が、塗抹標本の作製エラーが発生したときにSPの処理オーダを発行する等、処理オーダ(測定オーダ)を発行する場合がある。このように塗抹標本作製装置6が処理オーダを発行したときには、その処理オーダがシステム制御装置8へ送信され、進捗状況画面に当該処理オーダの進捗情報を示す1行が追加される。この行の依頼元表示欄には“SP”と表示される。この“SP”の表示は、塗抹標本作製装置6により処理オーダが発行されたことを示している。かかる進捗状況画面をユーザが確認することで、当該処理オーダの依頼元が塗抹標本作製装置6であることが分かる。
また、実施の形態1において、バーコードリーダ516が測定ユニット51,52,53の筐体の内部に配置されている構成について述べたが、これに限定されるものではない。バーコードリーダ516が筐体の外部に配置され、測定ライン3M上の検体ラックLに保持された検体容器Tの検体バーコードから検体IDを読み取る構成としてもよい。
また、実施の形態1において、測定ユニット51,52,53が、測定ライン3M上の検体ラックLに保持されたままの検体容器Tから直接検体を吸引する構成としてもよい。
また、上述した実施の形態1においては、検体IDが検体バーコードとしてバーコードラベルBLに印刷(記録)され、その検体IDをバーコードリーダ22b,516により読み取る構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体IDを記録したRFIDタグを検体容器に付し、受信機がそのRFIDタグから無線通信により検体IDを受信する構成としてもよい。また、検体IDを磁気コードとして記録した磁気ラベルを検体容器に付し、その検体IDを磁気コード読取装置により読み取る構成としてもよいし、検体IDを示す文字列を印刷したラベルを検体容器に付し、その文字列をカメラで撮像して画像処理により検体IDを取得する構成としてもよい。検体IDを記録した記録媒体を検体容器に付し、又は検体容器に直接検体IDを記録し、その検体IDを読出装置により読み出す構成であれば、どのような構成であってもよい。
また、上述した実施の形態1においては、検体搬送装置3がそれぞれ独立した検体搬送ユニット3a,3b,3c,4によって構成されているものについて説明したが、これに限定されるものではない。一体不可分な構成の検体搬送部が測定ユニット51,52,53及び塗抹標本作製装置6の前側に配置され、これによって各測定ユニット51,52,53及び塗抹標本作製装置6へ検体ラックLが搬送される構成としてもよい。また、本実施の形態においては、検体搬送システム100がそれぞれ独立した検体発送装置2、検体搬送装置3、及び検体回収装置7によって構成されているものについて説明したが、これに限定されるものではない。検体処理システムが、検体回収装置2、検体搬送装置3、及び検体回収装置7の機能を備えた一体不可分な構成の検体搬送システムを備える構成であってもよい。
また、上述した実施の形態1においては、測定ユニット51,52においてCBC及びDIFFについて検体の測定が可能であるがRETについて検体の測定はできず、測定ユニット53においてCBC,DIFF及びRETについて検体の測定が可能な構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、測定ユニット51,52,53の全てが同一の測定項目(CBC,DIFF,RET)について検体を測定可能な構成としてもよい。
また、上述した実施の形態1においては、進捗状況画面に測定オーダの受付位置情報と要求位置情報とを表示する構成について述べたが、これに限定されるものではない。進捗状況画面に受付位置情報及び要求位置情報のいずれか一方を表示する構成としてもよい。また、システム制御装置8が処理オーダを要求したときにおける検体の位置を示す要求位置情報を処理オーダ毎に蓄積し、進捗状況画面において、受付位置情報の代わりに要求位置情報を処理オーダ毎に表示する構成としてもよい。
また、上述した実施の形態1においては、血球分析装置5が3つの測定ユニット51,52,53及び情報処理ユニット54を備えた構成について述べ、実施の形態2においては、検体測定装置101が1つの測定ユニット200と1つの情報処理ユニット400とを備えた構成について述べたが、これらに限定されるものではない。測定ユニットは3つ以外の複数でもよく、測定ユニットと情報処理ユニットとが一体的に構成されていてもよい。また、情報処理ユニット54によって測定ユニット51,52,53の機構の制御を行うのではなく、それぞれの測定ユニットがCPU及びメモリ等からなる制御部を備え、これらの制御部によって各測定ユニットの制御が行われ、それぞれの測定ユニットによって得られた測定データを情報処理ユニットが処理して検体の分析結果を生成する構成であってもよい。
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ8aによりコンピュータプログラム84aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム84aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。