JP5726262B2 - 回転子鉄心の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、回転子鉄心に形成された磁石孔に磁石を挿入する回転子鉄心の製造方法に関する。
回転子鉄心の製造において、回転子鉄心の磁石孔へ磁石を挿入する際、磁石が磁石孔の入口付近等に当たって磁石に割れや欠けが生じないように、磁石と磁石孔との位置決めを正確に行うことが求められている。例えば、特許文献1には、複数の磁石孔を有する回転子鉄心を搭載した載置台を回転子鉄心と共に水平面から斜めに傾斜させた状態にし、磁石を載せたガイド機構を、磁石の軸心と傾斜状態の回転子鉄心の磁石孔の軸心とが一致するように傾斜した状態に保ち、傾斜した状態の磁石及び磁石孔と同一方向に伸縮するプッシャにより磁石を押圧して、磁石孔に磁石を挿入する方法が開示されている。
特開2008−113530号公報
しかしながら、ガイド機構への磁石の搭載は、ガイド機構を水平状態にして行う必要があり、一回目の磁石の挿入工程が終了した後、磁石が未挿入な磁石孔に磁石を挿入するためには、傾斜状態のガイド部材を水平状態に戻し新たな磁石を載せ、ガイド部材を再び傾斜させる必要がある。更に、回転子鉄心については、磁石が未挿入な磁石孔が、プッシャによる磁石挿入可能位置にくるように回転移動される必要があり、回転子鉄心の全ての磁石孔へ磁石を挿入するまでには、相当な時間を要する。本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、磁石に割れや欠けを生じさせることなく、かつ効率的な磁石孔への磁石の挿入を行う回転子鉄心の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係る回転子鉄心の製造方法は、磁石孔Cを外周領域に有する回転子鉄心の前記磁石孔Cに磁石を挿入する回転子鉄心の製造方法であって、前記磁石孔Cが水平状態となるように前記回転子鉄心を保持する工程と、複数の前記磁石孔Cとそれぞれ同一位置に形成される磁石孔Dを有するダミー部材の前記磁石孔Dを前記回転子鉄心の磁石孔Cに符合させる工程と、前記ダミー部材の磁石孔Dから前記磁石を水平に押し出して、前記回転子鉄心の磁石孔Cに挿入する工程とを有し、前記磁石孔Dは、出口側が前記磁石孔Cの外形寸法より小さく、前記磁石孔Dから前記磁石孔Cへの前記磁石の移動を円滑に行う。
本発明に係る回転子鉄心の製造方法において、位置決め手段を有する軸孔A、Bに嵌入するシャフトを用いて前記回転子鉄心の各磁石孔Cと前記ダミー部材の各磁石孔Dとを符合させるのが好ましい。
本発明に係る回転子鉄心の製造方法において、前記位置決め手段は線状突起であって、前記シャフトには前記線状突起が嵌入するキー溝が設けられ、該キー溝は、該シャフトの先側で徐々に拡幅しているのが好ましい。
本発明に係る回転子鉄心の製造方法において、前記磁石孔Dの少なくとも出口側は前記磁石孔Cより外形寸法が小さく、前記磁石孔Cと前記磁石孔Dとはそれぞれの軸心が一致するように位置合わせするのが好ましい。
本発明に係る回転子鉄心の製造方法において、前記磁石孔Dの入口側はテーパー状に開くガイド部が設けられているのが好ましい。
本発明に係る回転子鉄心の製造方法において、前記ダミー部材の各磁石孔Dへの前記磁石の仮配置及び前記ダミー部材の各磁石孔Dから前記回転子鉄心の各磁石孔Cへの前記磁石の移動は、それぞれ前記ダミー部材及び前記回転子鉄心を横配置した状態で行うのが好ましい。
本発明に係る回転子鉄心の製造方法において、前記磁石を前記磁石孔Dに挿入する前に、前記磁石の重量が所定範囲にあることが確認されているのが好ましい。
本発明に係る回転子鉄心の製造方法において、前記磁石は複数の磁石片からなることができる。
参考例に係る回転子鉄心の製造装置は、線状突起又はキー溝からなる位置決め手段を内周部に形成された軸孔Aと、前記軸孔Aを中心にその外周領域に複数設けられ、磁石を挿入する磁石孔Cとを有する回転子鉄心の前記磁石孔Cに前記磁石を挿入する回転子鉄心の製造装置であって、前記軸孔Aにシャフトを挿入させて前記回転子鉄心を位置決めした状態で該回転子鉄心を載せた載置台を、該載置台を仮固定する把持台に取付けられたアームを回転して、前記載置台に載った回転子鉄心と共に水平状態から+90度位置と、−90度位置に回転移動させる振り分け機構と、前記+90度位置及び前記−90度位置に横配置された前記回転子鉄心に対向してそれぞれ設けられ、前記位置決め手段を有する軸孔Aと同一形状の軸孔Bと、前記複数の磁石孔Cとそれぞれ同一位置に形成される磁石孔Dとを有するダミー部材と、前記ダミー部材を、向かい合う前記回転子鉄心に向けて前進させ、横配置された前記載置台のシャフトに前記軸孔Bを嵌入して、前記回転子鉄心に当接又は密接配置させ、前記載置台に搭載された前記回転子鉄心の磁石孔Cに前記ダミー部材の磁石孔Dを符合させる進退移動手段と、前記磁石孔Dにある前記磁石を前記回転子鉄心の磁石孔Cに押し込む駆動手段付きの長尺部材と、前記ダミー部材が後退位置にある場合に、該ダミー部材の所定位置にある磁石孔Dに、別位置にある磁石収納マガジンから予め配送された前記磁石を挿入する押し込み挿入手段とを有する。
参考例に係る回転子鉄心の製造装置において、前記磁石は複数の磁石片からなって、前記磁石収納マガジンから取り出された前記複数の磁石片の重量を計量する計量手段が、前記磁石収納マガジンと前記押し込み挿入手段の間に設けられているのが好ましい。
本発明に係る回転子鉄心の製造方法は、回転子鉄心の複数の磁石孔Cとそれぞれ同一位置に形成された磁石孔Dを有するダミー部材の磁石孔Dに仮配置した磁石を押し出して、磁石孔Cに磁石を挿入するので、安定して確実な磁石の挿入が可能であり、更にダミー部材からの磁石の一度の押し出しで複数の磁石孔Cへの磁石の挿入ができ、磁石孔Cへの効率的な磁石の挿入が可能である。
また、磁石孔Dの出口側は磁石孔Cより外形寸法が小さいので、磁石孔Dから押し出された磁石は磁石孔Cの入口近傍に接触することなく、確実に磁石孔Cに挿入され、磁石に割れや欠けが発生するのを防止することが可能である。
本発明に係る回転子鉄心の製造方法において、磁石孔Dの入口側にテーパー状に開くガイド部が設けられている場合、磁石を磁石孔Dへ挿入する際、磁石孔Dの入口側で大きな摩擦を受けることなく磁石を円滑に挿入可能である。
本発明の一実施の形態に係る回転子鉄心の製造方法を適用した製造装置の一部省略正面図である。 同回転子鉄心の製造装置に適用される回転子鉄心の平面図である。 (A)、(B)はそれぞれ同回転子鉄心の製造装置の載置台の平面図及び正断面図である。 同回転子鉄心の製造装置の一部省略平面図である。 同回転子鉄心の製造装置の一部省略平面図である。 同回転子鉄心の製造装置の磁石の搬送を示す説明図である。 同回転子鉄心の製造装置の磁石の搬送を示す説明図である。 同回転子鉄心の製造装置の回転子鉄心への磁石の挿入を示す説明図である。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。図1、図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る回転子鉄心の製造方法を適用した製造装置10は、位置決め手段の一例である180度位置に対向して配置された断面矩形の線状突起21が内周部に形成された軸孔Aと、軸孔Aを中心にその外周領域に複数設けられ、樹脂封止される磁石17を挿入する磁石孔Cとを有する回転子鉄心12の磁石孔Cに無励磁の磁石17を挿入する装置である。
図1〜図8に示すように、この回転子鉄心の製造装置10は、軸孔Aにシャフト23を挿入させて回転子鉄心12を位置決めした状態で回転子鉄心12を載せた載置台13を、載置台13を仮固定する把持台25に取付けられたアーム40を回転して、載置台13に載った回転子鉄心12と共に水平状態から+90度位置と、−90度位置に回転移動させる振り分け機構14と、+90度位置及び−90度位置に横配置された回転子鉄心12に対向してそれぞれ設けられ、線状突起21を有する軸孔Aと同一形状(即ち、線状突起26を有する)の軸孔Bと、複数の磁石孔Cとそれぞれ同一位置に形成される磁石孔Dとを有するダミー部材15、16と、ダミー部材15、16を、向かい合う回転子鉄心12に向けて前進させ、横配置された載置台13のシャフト23に軸孔Bを嵌入して、回転子鉄心12に当接配置させ、載置台13に搭載された回転子鉄心12の磁石孔Cにダミー部材15、16の磁石孔Dを符合させる進退移動手段56と、磁石孔Dにある磁石17を回転子鉄心12の磁石孔Cに押し込む駆動手段付きの長尺部材102と、ダミー部材15、16が後退位置にある場合に、ダミー部材15、16の所定位置にある磁石孔Dに、別位置にある磁石収納マガジン57から予め配送された磁石17を挿入する押し込み挿入手段59を有している。以下、これらについて更に詳しく説明する。
なお、図6、図7に示すように、磁石17は複数の磁石片19からなって、磁石収納マガジン57から取り出された複数の磁石片19の重量を計量する計量手段の一例である計量器(例えば、ロードセル)90が、磁石収納マガジン57と押し込み挿入手段59の間に設けられている。ここで、図1、図4に示すように、振り分け機構14を中心として左右に磁石挿入ユニット39、38がある方向をX軸方向(磁石挿入ユニット38のある向きを正)、これに直交する水平方向をY軸方向(左右にそれぞれ磁石挿入ユニット39、38がある配置を基準にして前方を正)、X軸及びY軸に直交する方向をZ軸方向(垂直上向きを正)としてこの回転子鉄心の製造装置10を説明する。
図2に示すように、回転子鉄心12には、軸孔Aを中心にその外周領域に隙間を有して複数、例えば16個の磁石孔Cが設け
られ、磁石孔Cは、軸孔Aと平行で回転子鉄心12を貫通して断面が長方形に形成されている。磁石孔Cは、断面長方形の磁石17より僅少の範囲で大きくなって、周囲に磁石17を固定するための樹脂が充填可能な寸法となっている。断面長方形の磁石孔Cは、それぞれ120〜150度の角度で対となって、軸孔Aの周囲に軸対称に均等配置されている。即ち、軸孔Aの外周領域に形成されている一つ飛びの磁石孔Cは、半径線に対して同一角度(θ)で時計方向に傾斜配置され、他の一つ飛びの磁石孔Cは半径線に対して同一角度(θ)で反時計方向に傾斜配置されている。なお、磁石孔の配置数や形状はこれに限定されない。
この実施の形態において、回転子鉄心12は、軸孔Aに挿入されるシャフト23を中央に備える平面視して矩形の載置台13の上に搭載され、水平状態から垂直状態に回動して磁石孔Cに磁石17が挿入され、その後、再度水平状態に戻され次工程(磁石の樹脂封止工程)が行われる領域に搬送される。
図2、図3(A)、(B)に示すように、シャフト23には、外周部の180度の方向位置に軸方向に沿って回転子鉄心12の一対の線状突起21とそれぞれ対応する一対のキー溝31が形成され、載置台13は、シャフト23を軸孔Aに嵌入して、回転子鉄心12を位置決めした状態で回転子鉄心12を搬送する。シャフト23は、回転子鉄心12をシャフト23の基部まで嵌入した状態で先側が軸孔Aから突出するように、回転子鉄心12の高さ(軸心方向長さ)よりも長く形成されている。また、各キー溝31はシャフト23の先側で徐々に先端に向かって拡幅に形成されており、軸孔Aへのシャフト23の嵌入は容易にできる。
図1、図4、図5に示すように、回転子鉄心12を載せた載置台13が搬送される経路上には、水平状態で載置台13を保持して仮固定すると共に、保持状態を解放する把持台25が配置されている。把持台25は、矩形の載置台13を両側から挟持する鉤状部材33、34を有し、把持しようとする載置台13を底部から押圧して鉤状部材33、34で強固に保持する押し上げ機構35を有している。
把持台25の底部には一対のアーム40が取付けられ、各アーム40は、その基部がベース部材32に図示しない軸受台を介して回動自在に設けられた回動軸42に固定されている。この回動軸42は減速機付きの第1のモータ41の出力軸に連結されている。この回動軸42は、0度位置である垂直状態となったアーム40を基準に、図1において時計方向に90度(+90度)、及び反時計方向に90度(−90度)回動する。従って、回転子鉄心12の載った載置台13を水平状態から回動して、左右に垂直状態とすることができる。なお、回動軸42が+90度、−90度に回動したときの横配置された回転子鉄心12の位置をそれぞれ+90度位置、−90度位置とする。また、把持台25、把持台25と回動軸42を連結するアーム40、及び回動軸42を180度の範囲で回動する第1のモータ41を有して振り分け機構14が構成される。
振り分け機構14を中央に挟んで右側及び左側には、それぞれダミー部材15、16を有する磁石挿入ユニット38、39が設けられている。ダミー部材15、16は、それぞれ+90度位置、及び−90度位置に配置された回転子鉄心12に対向配置され、常時は、回転子鉄心12から隙間を有して配置されている。更に、磁石挿入ユニット38、39はそれぞれ、ダミー部材15、16に磁石17を押し込んで仮配置する押し込み挿入手段59と、磁石挿入ユニット38、39に設けられた磁石収納マガジン57から押し込み挿入手段59まで磁石17を配送する配送機構60とを備え、ダミー部材15、16に仮配置された磁石17を回転子鉄心12に挿入する。なお、磁石挿入ユニット38、39は、X軸の向きを反対として(左右対称となって)実質的に同じ構成になっているので、以下、磁石挿入ユニット38について説明し、磁石挿入ユニット39においては、磁石挿入ユニット38と同一の構成要素について、同一の符号を付して、その詳しい説明を省略する。
磁石挿入ユニット38には、ダミー部材ホルダ44が設けられ、横配置された(軸心を横にした)ダミー部材15は、回動可能にダミー部材ホルダ44に取付けられている。ダミー部材ホルダ44は、その下部を水平配置された固定プレート45の上部にダミー部材15の軸心方向に配置された一対のガイドレール46に移動可能に装着されている。また、ダミー部材ホルダ44には、ガイドレール46に沿って固定プレート45に固定されたシリンダ51が取付けられているので、ダミー部材15は、シリンダ51の伸縮動作によりダミー部材ホルダ44と共にガイドレール46に沿って水平移動できる。
図1、図6〜図8に示すように、磁石挿入ユニット38のダミー部材ホルダ44の外側(即ち、振り分け機構14から遠ざかる方向で、X軸の正の向き)には、ダミー部材15に固着され外周部に一定間隔で形成された溝部を有する回転リング47がダミー部材15と中心を同じくして配置されている。回転リング47の下部には、平面視してダミー部材15が回転子鉄心12と最も離れた後退位置にある状態で回転リング47の外周部に形成された溝部に噛合するローラピニオン50が配置されている。
ローラピニオン50は、ローラピニオン50に取付けられた第2のモータ52で回転駆動されて、回転リング47及びダミー部材15を同軸上で回動させ、ダミー部材15は、第2のモータ52の出力ー回(この実施の形態ではダミー部材15が45度回転)につき同一向きの磁石孔Dが1つ分移動するよう回動する。なお、第2のモータ52は、固定部材53を介して固定プレート45に固定されている。
ダミー部材15を進退させる進退移動手段56は、以上に説明したダミー部材ホルダ44、ダミー部材ホルダ44をガイドレール46に沿って移動させるシリンダ51を有している。図4、図6に示すように後退位置にあるダミー部材15の直外側(X軸正の向き)に、ダミー部材15の進退方向と直交して配置され磁石17を搬送する配送機構60の終端部が位置している。この配送機構60の始端部には、複数の磁石17を収納する長尺の磁石収納マガジン57が立設され、磁石収納マガジン57の内部には、磁石17(予め決められた数である複数の磁石片19)を1つずつ磁石収納マガジン57の上部に押し出す磁石移動シャフト58が備えられている。
磁石収納マガジン57の上方には、磁石収納マガジン57の上部に押し出された磁石17を、後退位置にあるダミー部材15の近傍に配置された押し込み挿入手段59に配送する前述の配送機構60が図示しない支持部材によって水平方向に保たれて支持されている。配送機構60は、上下に配置された一対の第1、第2の磁石搬送手段61、62を有する。図6、図7に示すように、第1、第2の磁石搬送手段61、62には、後退位置にあるダミー部材15の近傍に配置されダミー部材15の回動軸と同方向の出力軸を有する第1、第2の駆動モータ63、64がそれぞれ備えられ、第1、第2の駆動モータ63、64の出力軸には、それぞれ第1、第2の駆動モータ63、64の駆動によって回転する第1、第2の歯付プーリ65、66がそれぞれ連結されている。
また、第1、第2の磁石搬送手段61、62には、それぞれ第1、第2の歯付プーリ65、66と反対側(配送機構60の始端側)に位置する第1、第2の補助歯付プーリ67、68がそれぞれ設けられている。第1の歯付プーリ65と第1の補助歯付プーリ67及び第2の歯付プーリ66と第2の補助歯付プーリ68には、それぞれ第1、第2の歯付ベルト71、72がかけ渡されているので、第1、第2の補助歯付プーリ67、68は、第1、第2の歯付プーリ65、66とそれぞれ同期して回転する。
配送機構60の終端部及び始端部には、それぞれ前方軸受部材73、後方軸受部材74が配置されており、第1、第2の磁石搬送手段61、62は、前方軸受部材73及び後方軸受部材74に回転可能に取付けられ水平配置された第1、第2のガイドロッド75、76をそれぞれ有している。また、第1、第2のガイドロッド75、76は、第1、第2のガイドロッド75、76にそれぞれ連結された第1、第2の位置調整モータ77、78の駆動によってそれぞれ回転する。
第1、第2のガイドロッド75、76には、第1、第2のガイドロッド75、76に沿って移動可能な第1、第2の磁石搬送チャック85、86が取付けられ、第1、第2の磁石搬送チャック85、86はそれぞれ磁石17を把持する第1、第2の把持部材83、84を備えている。第1、第2の磁石搬送チャック85、86は、それぞれ第1、第2の歯付ベルト71、72の一部に固定されており、第1、第2の歯付きベルト71、72の回動により、それぞれ第1のガイドロッド75(第2のガイドロッド76)に沿って移動する。また、第1、第2の磁石搬送チャック85、86は、それぞれ第1、第2のガイドロッド75、76の回転によって第1、第2の把持部材83、84をそれぞれ上昇、又は降下させる(Z軸方向の移動)ことができる。
平面視して磁石収納マガジン57と第1の位置調整モータ77の間には、計量器90が支持台89の上に載せられて配置されており、計量器90は上部に有する水平状態の計量プレート91の上に載せられた磁石17の重量を計量可能である。第1の磁石搬送チャック85は、磁石収納マガジン57と計量プレート91間を移動でき、第1の把持部材83を降下して磁石収納マガジン57の上部に押し出された磁石17を把持し、把持した磁石17を計量プレート91の上に載せることができる。
第2の磁石搬送チャック86は、計量プレート91と押し込み挿入手段59の間を移動でき、第1の磁石搬送チャック85によって計量プレート91上に載せられた磁石17を、第2の把持部材84によって把持し、押し込み挿入手段59まで磁石17を搬送(配送)する。
図4、図5に示すように、押し込み挿入手段59は、磁石17が上方から挿入可能な対となる磁石ホルダ92、93と、磁石ホルダ92、93を同期して垂直(Z軸方向)状態及び水平(X軸方向)状態に回動させる第3のモータ100と、磁石ホルダ92、93に挿入された磁石17を磁石孔Dに押し込む水平(X軸方向)移動可能な磁石供給シャフト101とを有している。磁石ホルダ92(磁石ホルダ93についても同じ)は、対向配置された対となる長尺の磁石保持部材96を有し、それぞれの磁石保持部材96の対向部には中央に長手方向に沿って磁石17を搭載する磁石搭載溝98が形成されている。なお、磁石ホルダ92が垂直状態とは、磁石保持部材96が垂直状態のことであり、磁石ホルダ92が水平状態とは、磁石保持部材96が水平(X軸方向)状態のことである。
ここで、磁石保持部材96の磁石搭載溝98の先部(垂直状態にある磁石搭載溝98の上側部分)は開口し、基部は開口しないように形成されているので、対となる磁石保持部材96は、垂直状態で先部から磁石17が挿入でき、しかも、挿入された磁石17は、磁石保持部材96の基部側から脱落しない。
磁石ホルダ92、93の磁石保持部材96が垂直状態のとき、第2の磁石搬送チャック86は、磁石ホルダ92又は磁石ホルダ93の真上に配置された状態(正確には平面視して磁石17が磁石ホルダ92又は磁石ホルダ93の対となる磁石保持部材96の間に位置する状態)から、下降して、磁石ホルダ92又は磁石ホルダ93の対となる磁石保持部材96の間に磁石17を挿入することができる。なお、磁石17は、複数の磁石片19が垂直方向に積層された状態で第2の磁石搬送チャック86の第2の把持部材84に把持されている。
ダミー部材15が有する全ての磁石孔Dの軸心は水平横方向(X軸方向)に配置してあり、磁石保持部96が水平状態のとき、対となる磁石保持部96の間に挿入された磁石17は、その
軸心が複数の磁石孔Dのうちの1つの軸心と一致する配置となる。なお、磁石保持部96が水平状態のとき、複数の磁石片19は、磁石孔Dの軸心方向に並んで配置された状態となる。
押し込み挿入手段59は、磁石保持部96が水平状態のとき、磁石供給シャフト101を磁石孔Dの軸心に沿って水平移動させ、磁石17を押圧して磁石孔Dに挿入(仮配置)することができる。なお、押し込み挿入手段59は、磁石供給シャフト101の進退手段(図示せず、シリンダー、モータ等からなる)を有し、磁石供給シャフト101は、磁石ホルダ92、93が備えるそれぞれの対となる磁石保持部材96が水平状態のときにのみ磁石孔Dに向かって移動する。また、磁石17は、複数の磁石片19が磁石孔Dの軸心方向に沿って配置され仮配置された状態となる。
磁石孔Dには、磁石17が挿入される入口側に、入口側に向かってテーパー状に磁石孔Dが開くガイド部が設けられているので、押し込み挿入手段59の磁石供給シャフト101による磁石孔Dへの磁石17の挿入は円滑に行うことができ、更に、磁石孔Dの軸心がX軸方向となるダミー部材15、16が横配置された状態で磁石17が磁石孔Dに仮配置されるため、磁石孔Dに仮配置された磁石17は、磁石孔Dから脱落しない。
なお、計量プレート91上に載せられた磁石17の重量が、予め設定された所定範囲にあることが確認された場合、第2の磁石搬送チャック86は、その磁石17を磁石ホルダ92又は磁石ホルダ93まで搬送するが、計量プレート91上に載せられた磁石17の重量が、予め設定された所定範囲にない場合、その磁石17は、磁石ホルダ92又は磁石ホルダ93まで搬送されることなく図示しない搬送手段によって計量プレート91上から取除かれ固定プレート45から離れた特定場所まで搬送されるので、欠け等により所定重量に満たない磁石17等を磁石孔Dに仮配置することを防止する。
図1、図8に示すように、ダミー部材15が後退位置から回転子鉄心12に向かって移動し、回転子鉄心12との距離が縮小すると、回転子鉄心12の軸孔Aから突出したシャフト23の先部は、ダミー部材15の軸孔Bに嵌入された状態となり、平面視してダミー部材ホルダ44が最も回転子鉄心12に近づいた状態でダミー部材15は回転子鉄心12に当接する状態となる(以下、このダミー部材15の位置を「前進位置」ともいう)。
なお、シャフト23が軸孔Bに嵌入されているとき、線状突起26は、それぞれ対応するキー溝31に嵌入された状態となる。そして、ダミー部材15が回転子鉄心12に当接する状態で、載置台13に搭載された回転子鉄心12の各磁石孔Cの軸心は、各磁石孔Dの軸心と同一位置となり、各磁石孔Cは、各磁石孔Dに符合する。
後退位置にあるダミー部材15の上方には、磁石孔Dと同数の長尺部材102が磁石孔Dの軸心方向(X軸方向)に沿って水平配置されており、長尺部材102は、長尺部材102を垂直方向(Z軸方向)に伸縮するシリンダ及び磁石孔Dの軸心方向に伸縮するシリンダと、これらの伸縮をガイドするガイド部材とを有する図示しない駆動手段に取付けられており、垂直移動及び磁石孔Dの軸心に沿った水平移動をすることができる。長尺部材102の断面は、磁石孔Dの断面の外形寸法より小さく、各長尺部材102は、最下位置にあるとき、それぞれ各磁石孔Dと対応する位置となるように配置されている。
ダミー部材15が回転子鉄心12に当接した状態(前進位置にある状態)のとき、長尺部材102は最下位置に配置された状態でダミー部材15に向かって水平移動し、先部でダミー部材15の磁石孔Dに仮配置された磁石17を押圧して回転子鉄心12の磁石孔Cへその磁石17を挿入することができる。また、ダミー部材15の磁石孔Dは、入口側から出口側に向かって断面積が徐々に縮小し、出口側で磁石孔Cの外形寸法よりも断面積が小さくなるよう形成されており、長尺部材102は、磁石孔Dから磁石孔Cへの磁石17の移動(挿入)を円滑に行うことができる。
更に、この磁石17の移動は、回転子鉄心12及びダミー部材15が横配置された状態、即ち磁石孔C及び磁石孔Dが水平配置(X軸方向の配置)された状態で行われるので、磁石17は安定状態で移動され、しかも、磁石孔Cに挿入(装着)された磁石17が磁石孔Cから脱落するのを防止可能である。
続いて、本発明の一実施の形態に係る回転子鉄心の製造方法について詳細に説明する。回転子鉄心の製造装置10を用いた回転子鉄心の製造方法は、1)ダミー部材15、16の磁石孔Dへ磁石17を仮配置する工程と、2)回転子鉄心12の各磁石孔Cとダミー部材15の各磁石孔Dとを符合させる工程と、3)ダミー部材15、16の磁石孔Dに挿入(仮配置)した磁石17を長尺部材102で押し出して回転子鉄心12の磁石孔Cに挿入する工程とを有する。
ダミー部材15(ダミー部材16についても同じ)の磁石孔Dへ磁石17を仮配置する工程は、まず磁石収納マガジン57から配送され、第2の磁石搬送チャック86によって磁石ホルダ93に挿入された状態の磁石17が磁石供給シャフ101によって押圧されて複数の磁石孔Dのうち一の磁石孔D(ダミー部材15の半径線に対し角度θで反時計方向に傾斜配置された磁石孔D)へ挿入される(ステップ1)。次に、ローラピニオン50の回転により磁石孔Dが2つ分移動するようにダミー部材15を回動させ、ステップ1で磁石17が挿入された磁石孔Dと同一角度で傾斜配置された磁石孔Dを、磁石ホルダ93によって磁石17が挿入可能な位置に配置させると共に、磁石保持部材96を垂直状態にされた磁石ホルダ93に磁石収納マガジン57から配送された別の磁石17を挿入する(ステップ2)。
そして、磁石供給シャフ101によって、磁石保持部材96を水平状態にした磁石ホルダ93に挿入されている磁石17を次の磁石孔Dに挿入する(ステップ3)。その後、ステップ1で磁石17が挿入された磁石孔Dと同一角度で傾斜配置された磁石孔D全てへの磁石17の挿入が完了するまでステップ2、3を繰り返す(ステップ4)。なお、ステップ4が終了したとき、ダミー部材15は、1つ飛びに配置された磁石孔D全てに磁石17が挿入され、この磁石17が挿入された磁石孔Dと対となる磁石孔D、即ちダミー部材15の半径線に対して角度θで時計方向に傾斜配置された磁石孔Dには磁石17が未挿入な状態となり、また、複数の磁石17が未挿入な磁石孔Dのうちの1つが磁石ホルダ92によって磁石17が挿入可能な位置に配置された状態となる。
そして、第2の磁石搬送チャック86が磁石保持部材96を垂直状態にした磁石ホルダ92に磁石収納マガジン57から配送された磁石17を挿入し、その後、磁石供給シャフ101が、磁石保持部材96を水平状態にした磁石ホルダ92に挿入されている磁石17を押圧して磁石孔Dへその磁石17を挿入する(ステップ5)。次に、ローラピニオン50の回転により磁石孔Dが2つ分移動するようにダミー部材15を回動させ、ステップ5で磁石17が挿入された磁石孔Dと同一角度で傾斜配置された磁石孔Dを、磁石ホルダ92によって磁石17が挿入可能な位置に配置させると共に、磁石保持部材96を垂直状態にされた磁石ホルダ92に磁石収納マガジン57から配送された別の磁石17を挿入する(ステップ6)。
そして、磁石保持部材96を水平状態にした磁石ホルダ92に挿入されている磁石17を次の磁石孔Dに挿入する(ステップ7)。その後、ステップ5で磁石17が挿入された磁石孔Dと同一角度で傾斜配置された磁石孔D全てへの磁石17の挿入が完了するまでステップ6、7を繰り返す(ステップ8)。ステップ8が終了したとき、ダミー部材15が有する磁石孔D全てに磁石17が挿入された状態となり、磁石孔Dへの磁石17を仮配置する工程が完了する。なお、磁石孔Dへの磁石17を仮配置する工程は、ダミー部材15が後退位置にある状態で行われる。
次に、回転子鉄心12の各磁石孔Cとダミー部材15、16の各磁石孔Dとを符合させる工程では、進退移動手段56が、回転子鉄心12をダミー部材15については+90度位置、ダミー部材16については−90度位置にそれぞれ横配置した状態で、全ての磁石孔Dに磁石17が挿入された状態のダミー部材15、16を後退位置から前進位置に移動させる。そして、シャフト23のキー溝31にダミー部材15、16の線状突起26が一致する配置でシャフト23の軸孔Aから突出した部分が、ダミー部材15、16の軸孔Bに嵌入され、回転子鉄心12とダミー部材15、16が当接配置されて回転子鉄心12の各磁石孔Cがダミー部材15、16の各磁石孔Dに符合する。
その後、ダミー部材15、16の磁石孔Dに仮配置された磁石17を長尺部材102で押し出して回転子鉄心12の磁石孔Cに挿入する工程では、各磁石孔Cと各磁石孔Dが符合された状態で、各長尺部材102を各磁石孔Dに向かって水平移動させ、各磁石孔D内に仮配置された磁石17を押圧して磁石孔Cへ移動させ、磁石孔Cの全てに磁石17が挿入された状態とする。
ここで、ダミー部材15の磁石孔Dへ磁石17を仮配置する工程は、ダミー部材16の磁石17が仮配置された磁石孔Dを−90度位置にある回転子鉄心12の磁石孔Cに符合させる工程、及びダミー部材16の磁石孔Dから−90度位置にある回転子鉄心12の磁石孔Cへ磁石17を挿入する工程と同時に行うことができるので、回転子鉄心12の製造が効率的にでき、回転子鉄心12の生産性を上げることが可能である。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。例えば、載置台のシャフトにキー溝を設ける代わりに、線状突起を設け、この線状突起に対応するキー溝を回転子鉄心とダミー部材にそれぞれ形成して、回転子鉄心とダミー部材の位置決めを行い回転子鉄心の各磁石孔Cと回転子鉄心の各磁石孔Dを符合するようにしてもよい。
また、ダミー部材が前進位置に配置されたとき、ダミー部材を回転子鉄心に当接配置することなく密接配置の状態として、ダミー部材の磁石孔Dから回転子鉄心の磁石孔Cへ磁石の移動をすることもできる。更に、ダミー部の全部の磁石孔Dに磁石を仮配置させることなく、その一部の磁石孔Dに磁石を仮配置させた状態で、回転子鉄心の各磁石孔Cと回転子鉄心の各磁石孔Dを符合させ、磁石孔Dから磁石孔Cへの磁石の移動を行い、磁石が未挿入な磁石孔Cに対しては、別工程で磁石を挿入するようにしてもよい。
A:軸孔A、B:軸孔B、C:磁石孔C、D:磁石孔D、10:回転子鉄心の製造装置、12:回転子鉄心、13:載置台、14:振り分け機構、15、16:ダミー部材、17:磁石、19:磁石片、21:線状突起、23:シャフト、25:把持台、26:線状突起、31:キー溝、32:ベース部材、33、34:鉤状部材、35:押上部材、38、39:磁石挿入ユニット、40:アーム、41:第1のモータ、42:回動軸、44:ダミー部材ホルダ、45:固定プレート、46:ガイドレール、47:回転リング、50:ローラピニオン、51:シリンダ、52:第2のモータ、53:固定部材、56:進退移動手段、57:磁石収納マガジン、58:磁石移動シャフト、59:押し込み挿入手段、60:配送機構、61:第1の磁石搬送手段、62:第2の磁石搬送手段、63:第1の駆動モータ、64:第2の駆動モータ、65:第1の歯付プーリ、66:第2の歯付プーリ、67:第1の補助歯付プーリ、68:第2の補助歯付プーリ、71:第1の歯付ベルト、72:第2の歯付ベルト、73:前方軸受部材、74:後方軸受部材、75:第1のガイドロッド、76:第2のガイドロッド、77:第1の位置調整モータ、78:第2の位置調整モータ、83:第1の把持部材、84:第2の把持
部材、85:第1の磁石搬送チャック、86:第2の磁石搬送チャック、89:支持台、90:計量器、91:計量プレート、92、93:磁石ホルダ、96:磁石保持部材、98:磁石搭載溝、100:第3のモータ、101:磁石供給シャフト、102:長尺部材

Claims (2)

  1. 磁石孔Cを外周領域に有する回転子鉄心の前記磁石孔Cに磁石を挿入する回転子鉄心の製造方法であって、前記磁石孔Cが水平状態となるように前記回転子鉄心を保持する工程と、複数の前記磁石孔Cとそれぞれ同一位置に形成される磁石孔Dを有するダミー部材の前記磁石孔Dを前記回転子鉄心の磁石孔Cに符合させる工程と、前記ダミー部材の磁石孔Dから前記磁石を水平に押し出して、前記回転子鉄心の磁石孔Cに挿入する工程とを有し、前記磁石孔Dは、出口側が前記磁石孔Cの外形寸法より小さく、前記磁石孔Dから前記磁石孔Cへの前記磁石の移動を円滑に行うことを特徴とする回転子鉄心の製造方法。
  2. 請求項1記載の回転子鉄心の製造方法において、前記磁石孔Dの入口側にはテーパー状のガイド部が設けられていることを特徴とする回転子鉄心の製造方法。
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