JP5725847B2 - フィン固定部材 - Google Patents

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本発明は、熱媒体が内部に流通されるチューブの外周面にフィンをスパイラル状に巻付けたスパイラルフィンチューブの構成部材であるフィン固定部材に関するものである。
例えば冷凍庫では、庫内の後部に庫内空気が循環可能な空気流通路が画成され、冷凍機構を構成する熱交換器(エバポレータ)が該空気流通路に配設されており、冷凍機構により冷却された熱交換器に庫内空気を通過させることで、該庫内空気が冷却されるようになっている。前記熱交換器は、様々な型式のものが実用化されているが、最近では、スパイラルフィンチューブ型の熱交換器が多く採用されている。この型式の熱交換器は、図7に示すように、内部に冷媒等の熱媒体が通過するチューブ10の外周面12に、帯状のフィン20を該チューブ10の軸方向へスパイラル状に巻付けて固定したスパイラルフィンチューブSP1により構成されている。前記フィン20は、その長手方向における両端に位置する固定片22が、チューブ10の外周面12から立てて該チューブ10の軸方向に沿って延在した状態でフィン固定部材30により固定され、固定片22からチューブ10の周方向へ折曲げた巻回部24が、該チューブ10の外周面12にスパイラル状に巻付けられている。このようなフィン固定部材を備えたスパイラルフィンチューブは、例えば特許文献1に開示されている。
特許第3642368号公報
ところで、図7に示すスパイラルフィンチューブSP1の構成部材であるフィン固定部材30は、図8に示すように、チューブ10を挟持する円筒状のチューブ挟持部32と、フィン20の固定片22を挟持する一対の平板状の挟持片34A,34Bからなるフィン挟持部34とからなり、該一対の挟持片34A,34Bが拡開可能となっている。また、フィン挟持部34の各挟持片34A,34Bには、ボルトBが貫通する貫通孔36が形成されており、両貫通孔36,36に貫通させたボルトBにナットNを締結することで、チューブ挟持部32がチューブ10を挟持すると共にフィン挟持部34がフィン20の固定片22を挟持するようになっている。このため従来のフィン固定部材30は、フィン20の固定片22をチューブ10に固定するに際して前記ボルトBおよびナットNを必要とするため、部品点数が増加して製造コストが嵩む問題を内在している。また、ドライバーやスパナ等の工具を使用してボルトBとナットNとを締結する際に、フィン固定部材30がチューブ10の周方向へ回転したり軸方向へ移動し易いから、チューブ10に対するフィン20の装着精度が低下すると共にフィン固定部材30の取付作業が面倒で手間がかかるものとなっていた。
そこで本発明では、前述した従来の技術に内在している課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、チューブの外周面に対するフィンの固定を簡易かつ正確に行ない得るようにしたフィン固定部材を提供することを目的とする。
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、熱媒体流通用のチューブの外周面に、帯状に形成されたフィンを立てた状態で該チューブの軸方向へスパイラル状に巻付ける際に、前記フィンの長手方向の端部に形成されて前記チューブの軸方向へ延在する固定部を該チューブに固定するフィン固定部材であって、
金属板を中間で折返して本体が形成され、
前記本体には、
前記固定部を厚み方向から挟持する一対の板状挟持片からなるフィン挟持部と、
両板状挟持片に連設されて前記チューブを径方向から挟持する一対の弧状挟持片からなるチューブ挟持部と、
当該本体における折返し端とは反対の開放端に形成され、かしめることで前記弧状挟持片が前記チューブを挟持すると共に前記板状挟持片が前記固定部を挟持する状態に保持する係止部と
前記フィン挟持部における一方の板状挟持片に設けられ、前記チューブの軸方向へ突出して、前記フィンの前記固定部から折曲げられる巻回部の折曲部分を支持するガイド部とを備えたことを要旨とする。
従って、請求項1に係る発明によれば、ボルトおよびナット等の別部材を使用することなくフィンの固定部をチューブに固定することが可能であるから、部品点数が削減されて製造コストを抑えることができる。また、ドライバーやスパナ等の工具でボルトとナットを締結する必要がなく、本体における折返し端とは反対の開放端に形成された係止部をかしめるだけなので、フィン固定部材がチューブの周方向へ回転したり軸方向へ移動することが防止され、チューブに対するフィンの装着精度を高めることができると共にフィンの取付作業を簡易に行なうことを可能とする。また、フィン挟持部の板状挟持片に設けたガイド部により、チューブの外周面に立った状態で巻付けられる巻回部がフィン固定部材側へ倒れ込むことを防止し得る。
本願請求項に記載の発明は、前記ガイド部における前記巻回部と対向する突出端の前記チューブ側に、該チューブに近づくにつれて巻回部から離間する逃がし部が形成されていることを要旨とする。
従って、請求項に係る発明によれば、ガイド部における巻回部と対向する突出端のチューブ側に、チューブに近づくにつれて巻回部から離間する逃がし部が形成されているので、チューブの外周面に立った状態で巻付けられる巻回部がフィン固定部材と反対側へ倒れ込むことを防止し得る。
本願請求項に記載の発明は、前記ガイド部における前記巻回部と対向する突出端の前記チューブと反対側の角部をR形状としたことを要旨とする。
従って、請求項に係る発明によれば、ガイド部における巻回部と対向する突出端のチューブと反対側の角部をR形状としたので、巻回部をガイド部に沿って折曲げた際にフィンのチューブと反対側に角部が強く接触することが回避され、該フィンが裂けることを防止し得る。
本発明に係るフィン固定部材によれば、チューブの外周面に対するフィンの固定を簡易かつ正確に行なうことができる
実施例のフィン固定部材によりチューブにフィンが固定されたスパイラルフィンチューブの部分斜視図である。 (a)は、チューブに固定されたフィン固定部材の正面図であり、(b)は、チューブに固定されたフィン固定部材の側面図である。 チューブおよび該チューブの外周面に位置決めしたフィンの固定部に対して実施例のフィン固定部材をセットする状態を示す説明斜視図である。 フィン固定部材によりフィンの固定部をチューブに固定する状態を経時的に示す説明図であって、(a)は、チューブにフィン固定部材をセットした状態を示し、(b)は、フィン固定部材を固定部の厚み方向から付勢した状態を示し、(c)は、係止部をかしめた状態を示している。 固定部をチューブに固定したフィンを、実施例のフィン固定部材におけるフィン挟持部のガイド部に沿って折曲げた状態を示す斜視図である。 変更例に係るフィン固定部材を示す斜視図であって、(a)は、チューブに装着前の状態を示し、(b)は、チューブに装着した状態を示している。 従来のフィン固定部材によりチューブにフィンが固定されたスパイラルフィンチューブの部分斜視図である。 外周面にフィンの固定片を位置させたチューブに従来のフィン固定部材をセットする状態を示す説明斜視図である。
次に、本発明に係るフィン固定部材につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。実施例では、図7に示した従来のスパイラルフィンチューブSP1と、基本的に同一のチューブ40およびフィン50を備えたスパイラルフィンチューブSPを例示する。
実施例のスパイラルフィンチューブSPは、熱媒体が内部に流通されるチューブ40と、前記チューブ40の外周面42に立てた状態でスパイラル状に巻付けて固定された帯状のフィン50とを備えている。前記フィン50は、その長手方向の両端に位置する固定片(固定部)52が、チューブ40に固定されるフィン固定部材70により、該チューブ40の外周面42に固定されている。
前記チューブ40は、例えば熱伝導性に優れた銅製の円筒状のパイプであり、適宜部位での屈曲変形が可能である。チューブ40は、前記フィン50を外周面42に巻付け固定した後で、所要部位において屈曲変形することで蛇行状に形成される。
フィン50は、図1〜図4に示すように、例えば熱伝導性に優れたアルミニウムを材質とする薄肉の帯状部材である。このフィン50は、長手方向の両端に位置する固定片52と、両固定片52間に位置してチューブ40にスパイラル状に巻付けられる巻回部54とを備えている。巻回部54は、フィン50の短手方向において巻付け時にスパライルフィンチューブSPの径方向外側となる端部(以降「外端部」という)64側において長手方向へ延在する連設部56と、この連設部56から短手方向へ延在して巻付け時にチューブ40の外周面42に当接する端部(以降「内端部」という)62側に臨み、長手方向へ横並び状に形成された複数の変形部58とを備えている。各変形部58は、フィン50の厚み方向における一方へ膨出変形するものと、該フィン50の厚み方向における他方へ膨出変形するものとが、長手方向へ交互に設けられている。従ってフィン50の巻回部54は、各変形部58の内端部62側がフィン50の厚み方向両側へ交互に膨出すると共に長手方向で潰れて蛇腹状になることで、スパイラル状に変形することが可能となっている。なお変形部58は、固定片52にも形成されている。
フィン固定部材70は、図1〜図4に示すように、所定の外部輪郭形状にプレス成形されたスチール等を材質とする金属板を、その略中間で折返して全体が略「V」字形態をなす本体71からなる単一の成形部材である。すなわち、フィン固定部材70の本体71は、折曲部76で連設されると共に該折曲部76と反対側が互いに分離して対向する第1固定片部72および第2固定片部74を備えており、第1固定片部72と第2固定片部74の折曲部76と反対側が互いに離間した状態で形成されている。そしてフィン固定部材70は、第1固定片部72および第2固定片部74の間に前記チューブ40およびフィン50の固定片52を挟み込むよう構成されている。
フィン固定部材70の本体71は、図1〜図4に示すように、前記フィン50の固定片52を該固定片52の厚み方向から挟持するフィン挟持部78と、前記チューブ40を該固定片52の厚み方向と同一の径方向から挟持するチューブ挟持部80と、第1固定片部72および第2固定片部74の開放端(折曲部76とは反対の端)に形成された係止部82とを備えている。フィン挟持部78は、第1固定片部72における前記折曲部76に連設されて平板状に形成された第1フィン挟持片(板状挟持片)78Aと、該第1フィン挟持片78Aと対をなし、第2固定片部74における該折曲部76に連設されて平板状に形成された第2フィン挟持片(板状挟持片)78Bとから構成される。チューブ挟持部80は、第1固定片部72における前記第1フィン挟持片78Aに連設されて、第2固定片部74から離間する方向へ凸となる円弧状に形成された第1チューブ挟持片(弧状挟持片)80Aと、この第1チューブ挟持片80Aと対をなし、第2固定片部74における前記第1フィン挟持片78Aに連設されて、第1固定片部72から離間する方向へ凸となる円弧状に形成された第2チューブ挟持片(弧状挟持片)80Bとから構成される。
前記係止部82は、第1固定片部72における前記第1チューブ挟持片80Aに連設されて、平板状に形成された第1係止片82Aと、第2固定片部74における前記第2チューブ挟持片80Bに連設されて、平板状に形成された第2係止部82Bと、該第2係止部82Bに連設されて、第1係止片82A側へ折曲された係止端82Cとから構成されている。係止部82は、第1固定片部72および第2固定片部74の開放端側を近接変位させて、第1係止片82Aと第2係止片82Bとが当接した状態で、該係止端82Cを該第1係止片82Aの裏側へ折曲変形することで、該第1係止片82Aにかしめることが可能となっている。そしてフィン固定部材70は、係止部82の第1係止片82Aと第2係止片82Bとを係止端82Cでかしめることで、フィン挟持部78における第1フィン挟持片78Aと第2フィン挟持片78Bとがフィン50の固定片52に圧接されて、該第1フィン挟持片78Aと第2フィン挟持片78Bとでフィン50の固定片52を挟持すると共に、チューブ挟持部80における第1チューブ挟持片80Aと第2チューブ挟持片80Bとがチューブ40に圧接されて、該第1チューブ挟持片80Aと第2チューブ挟持片80Bとでチューブ40を挟持するよう構成されている。
そして、実施例のフィン固定部材70は、図2、図3および図5に示すように、前記フィン挟持部78の第1フィン挟持片78Aおよび第2フィン挟持片78Bに、前記チューブ40の軸方向へ突出するガイド部84を備えている。このガイド部84は、フィン50における前記固定片52から折曲げられる巻回部54の折曲部分を支持すると共に、チューブ40の外周面42に立った状態の該巻回部54がフィン固定部材70側へ倒れることを防止するためのものである。なおガイド部84は、第1フィン挟持片78Aおよび第2フィン挟持片78Bの両方に設ける必要はなく、少なくとも固定片52に対して巻回部54が折曲げられる側に位置するフィン挟持片に設ければよい。
また、実施例のフィン固定部材70は、図2、図3および図5に示すように、前記ガイド部84における前記巻回部54と対向する突出端に、該チューブ40に近づくにつれて該巻回部54から離間する傾斜状の逃がし部86が形成されている。この逃がし部86は、前記ガイド部84に沿って折曲げられたフィン50の巻回部54をチューブ40の外周面42に巻付ける際に、該フィン50の厚み方向へ膨出変形した変形部58が該ガイド部84と干渉するのを回避するためのものである。
更に、実施例のフィン固定部材70は、図2、図3および図5に示すように、前記ガイド部84における前記巻回部54と対向する突出端の前記チューブ40と反対側の角部88が、円弧状をなすR形状に形成されている。この角部88は、固定片52がフィン固定部材70のフィン挟持部78に挟持された状態のフィン50をガイド部84に沿って折曲げる際に、フィン50におけるチューブ40と反対側の外端部64側と接触することを回避して、該フィン50の外端部64側が突張って裂けることを防止するためのものである。
なおフィン固定部材70は、図4(a)に示すように、チューブ40への装着前には、係止部82の第1係止片82Aの先端と係止端82Cの先端との間隔L1が、チューブ40の外径以上に設定されている。また、チューブ挟持部80における第1チューブ挟持片80Aと第2チューブ挟持片80Bとの間隔L2も、チューブ40の外径以上に設定されている。従ってフィン固定部材70は、チューブ40に対して該チューブ40の軸方向からのセットが可能であると同時に、該チューブ40の径方向からのセットも可能である。更に、フィン挟持部78における第1フィン挟持片78Aと第2フィン挟持片78Bとの間隔L3は、変形部58が形成された固定片52を挿入するに充分な大きさに設定されている。
次に、前述のように構成された実施例のスパイラルフィンチューブSPの製造方法について説明する。
先ず、図3に示すように、フィン50の長手方向の端部に位置する固定片52を、チューブ40の外周面42の所定位置に内端部62を当接させ、該チューブ40の径方向へ立てると共に該チューブ40の軸方向へ延在した状態で位置させる。そして、チューブ40の外周面に立った固定片52の立設方向から、前記フィン固定部材70を、その拡開した係止部82側からチューブ40にセットし、該固定片52をフィン挟持部78の第1フィン挟持片78Aおよび第2フィン挟持片78Bの間に挿入させると共に、該チューブ40をチューブ挟持部80の第1チューブ挟持片80Aおよび第2チューブ挟持片80Bの間に位置決めする(図4(a))。
次に、図4(b)に示すように、フィン固定部材70の第1固定片部72および第2固定片部74を互いに近接する方向へ付勢し、係止部82の第1係止片82Aと第2係止片82Bとを当接させる。更に、図4(c)に示すように、係止部82の係止端82Cを第1係止部82の裏側へ折曲げて、該第2係止片82Bを該第1係止部82Aにかしめる。これにより、チューブ40がチューブ挟持部80の第1チューブ挟持片80Aおよび第2チューブ挟持片80Bで径方向から挟持されると共に、フィン50の固定片52がフィン挟持部78の第1フィン挟持片78A,78Bで厚み方向から挟持される。すなわち、チューブ40に固定されたフィン固定部材70のフィン挟持部78で、フィン50の固定片52が位置決め保持される。
なお、フィン固定部材70の第1固定片部72および第2固定片部74を互いに近接する方向へ付勢する作業工程と、係止部82をかしめる作業工程とは、図示省略した専用の治具を使用することで同時に行なうようになっている。この治具は、フィン固定部材70の第1固定片部72および第2固定片部74を互いに近接する方向へ付勢する際に、前記折曲部76を押し潰すようにして、フィン挟持部78の第1フィン挟持片78Aおよび第2フィン挟持片78Bを互いに近接させ得る。従って、フィン固定部材70をチューブ40に固定する前では、フィン挟持部78の第1フィン挟持片78Aおよび第2フィン挟持片78Bの間隔を、フィン50の固定片52の厚みの数倍程度まで大きく設定して、フィン固定部材70のセット作業を容易にし得る。
次に、図5に示すように、フィン固定部材70のフィン挟持部78に設けたガイド部84で、前記フィン50の巻回部54を該チューブ40の周方向へ折曲げる。この際に、フィン50の外端部64側に前記角部88が強く接触しないので、該フィン50の外端部64側が突張ることが防止される。
フィン50の折曲作業が完了したら、該フィン50の巻回部54を、チューブ40の軸方向へ所定ピッチでスパイラル状に順次巻付ける。この際に、ガイド部84により巻回部54が立った状態に保持され、該巻回部54がフィン固定部材70側へ倒れることが防止される。また、ガイド部84に設けた逃がし部86により、フィン50の厚み方向へ膨出変形した変形部58が該ガイド部84と干渉するのは回避され、巻回部54がフィン固定部材70と反対側へ押されて倒れることも防止される。
そして、巻回部54の巻付け作業が完了したら、フィン50の長手方向の他端に設けた固定片(図示せず)を、別のフィン固定部材70によりチューブ40に固定することで、実施例のスパイラルフィンチューブSPの製造作業が完了する。
従って、実施例のスパイラルフィンチューブSPの構成部材であるフィン固定部材70によれば、ボルトおよびナット等の別部材を使用することなくフィン50の固定片52をチューブ40に固定することが可能であるから、部品点数が削減されて製造コストを抑えることができる。また、ドライバーやスパナ等の工具でボルトとナットを締結する必要がなく、第1固定片部72および第2固定片部74を近接変位させて係止部82をかしめるだけなので、フィン固定部材70がチューブ40の周方向へ回転したり軸方向へ移動することが防止され、チューブ40に対するフィン50の装着精度を高めることができると共にフィン50の取付作業を簡易に行ない得る。
実施例のフィン固定部材70では、フィン挟持部78における第1フィン挟持片78Aおよび第2フィン挟持片78Bに、チューブ40の軸方向へ突出するガイド部84を備えているので、固定片52から折曲げられてチューブ40の外周面42に立った状態に巻付けられる巻回部54がフィン固定部材70側へ倒れ込むことを防止して、該巻回部54をチューブ40の外周面42から立った状態に保持することができる。また、実施例のフィン固定部材70では、ガイド部84における巻回部54と対向する突出端のチューブ40側に、該チューブ40に近づくにつれて巻回部54から離間する逃がし部86が設けられているので、固定片52から折曲げられてチューブ40の外周面42に立った状態に巻付けられる巻回部54がフィン固定部材70と反対側へ倒れ込むことを防止して、該巻回部54をチューブ40の外周面42から立った状態に保持することができる。更に、実施例のフィン固定部材70は、ガイド部84における巻回部54と対向する突出端のチューブ40と反対側の角部88をR形状としたので、巻回部54をガイド部84に沿って折曲げた際にフィン50の外端部64側に角部88が強く接触することは回避され、該フィン50の外端部64が裂けることを防止し得る。
一方、実施例のスパイラルフィンチューブSPの製造方法によれば、ボルトおよびナット等の別部材を使用することなく、フィン固定部材70でフィン50の固定片52をチューブ40に固定することが可能であるから、部品点数が削減されて製造コストを抑えることができる。また、フィン固定部材70をチューブ40に固定する際にドライバーやスパナ等の工具でボルトとナットを締結する必要がなく、第1固定片部72および第2固定片部74を近接変位させて係止部82をかしめるだけで、フィン挟持部78でフィン50の固定片52を挟持すると共にチューブ挟持部80でチューブ40を挟持して該固定片52を該チューブ40に固定できる。従って、フィン固定部材70がチューブ40の周方向へ回転したり軸方向へ移動することが防止され、チューブ40に対するフィン50の装着精度を高めることができると共にフィン固定部材70の取付作業を簡易に行ない得る。
(変更例)
(1)フィン固定部材は、前記実施例に例示した形態に限定されず、例えば図6(a)に示す形態とすることも可能である。この変更例に係るフィン固定部材90は、フィン挟持部78、チューブ挟持部80および係止部82を備える点では実施例と同じであるが、第1固定片部72および第2固定片部74がチューブ挟持部80に隣接する部分で連設され、係止部82がフィン挟持部78におけるチューブ挟持部80と反対側に設けられている。このような形態のフィン固定部材70においても、図6(b)に示すように、係止部82をかしめることで、フィン挟持部78の第1フィン挟持片78Aおよび第2フィン挟持片78Bでフィン50の固定片52を厚み方向から好適に挟持し得ると共に、チューブ挟持部80の第1チューブ挟持片80Aおよび第2チューブ挟持片80Bでチューブ40を径方向から好適に挟持し得る。
(2)実施例では、変形可能な変形部58を横並び状に多数設けた所謂波板状のフィン50を例示したが、該フィン50は、短手方向に延在するスリットを長手方向へ所要間隔毎に複数形成したもの等であってもよい。そして、フィン固定部材70のフィン挟持部78は、対応のフィン50の形態により、第1フィン挟持片78Aおよび第2フィン挟持片78Bの対向間隔や大きさが変更される。
(3)フィン固定部材70におけるフィン挟持部78のガイド部84の突出端に設けた逃がし部86は、直線状に傾斜した形状に限定されず、凸曲線状または凹曲線状等の形状であってもよい。
(4)実施例のスパイラルフィンチューブSPは、チューブ40内に冷却した熱媒体を流通させて該チューブ40およびフィン50を冷却するものだけでなく、チューブ40内に加熱した熱媒体を流通させて該チューブ40およびフィン50を加熱するものも含まれる。
40 チューブ,50 フィン,52 固定片(固定部),54 巻回部
70 フィン固定部材,71 本体,78 フィン挟持部
78a 第1フィン挟持片(板状挟持片),78B 第2フィン挟持片(板状挟持片)
80 チューブ挟持部,80A 第1チューブ挟持片(弧状挟持片)
80B 第2チューブ挟持片(弧状挟持片),82 係止部,84 ガイド部
86 逃がし部,88 角部,SP スパイラルフィンチューブ

Claims (3)

  1. 熱媒体流通用のチューブ(40)の外周面に、帯状に形成されたフィン(50)を立てた状態で該チューブ(40)の軸方向へスパイラル状に巻付ける際に、前記フィン(50)の長手方向の端部に形成されて前記チューブ(40)の軸方向へ延在する固定部(52)を該チューブ(40)に固定するフィン固定部材であって、
    金属板を中間で折返して本体(71)が形成され、
    前記本体(71)には、
    前記固定部(52)を厚み方向から挟持する一対の板状挟持片(78A,78B)からなるフィン挟持部(78)と、
    両板状挟持片(78A,78B)に連設されて前記チューブ(40)を径方向から挟持する一対の弧状挟持片(80A,80B)からなるチューブ挟持部(80)と、
    当該本体(71)における折返し端とは反対の開放端に形成され、かしめることで前記弧状挟持片(80A,80B)が前記チューブ(40)を挟持すると共に前記板状挟持片(78A,78B)が前記固定部(52)を挟持する状態に保持する係止部(82)と
    前記フィン挟持部(78)における一方の板状挟持片(78A,78B)に設けられ、前記チューブ(40)の軸方向へ突出して、前記フィン(50)の前記固定部(52)から折曲げられる巻回部(54)の折曲部分を支持するガイド部(84)とを備えた
    ことを特徴とするフィン固定部材。
  2. 前記ガイド部(84)における前記巻回部(54)と対向する突出端の前記チューブ(40)側に、該チューブ(40)に近づくにつれて巻回部(54)から離間する逃がし部(86)が形成されている請求項記載のフィン固定部材。
  3. 前記ガイド部(84)における前記巻回部(54)と対向する突出端の前記チューブ(40)と反対側の角部(88)をR形状とした請求項または記載のフィン固定部材。
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