JP4440574B2 - 二重管型熱交換器およびその製造方法 - Google Patents

二重管型熱交換器およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、EGRクーラまたはオイルクーラその他として用いる二重管型熱交換器であって、車両の配管経路に沿って曲折したものに関する。
EGRクーラは、エンジンの排気ガス用配管の途中に介装され、排気ガスを冷却水によって冷却するものである。その一例として、下記特許文献1の「2重配管式熱交換器」が存在する。
特開2000−161871号公報 これは内管と外管との二重配管構造であり、内管の軸方向の中間部に放熱フィンが一体に曲折形成されている。即ち、内管の中間部においてその断面が中心から放射方向に多数の凸条が形成されたものである。
従来のEGRクーラは、エンジンの排気ガスの配管の途中の直線部分に介装されたものである。そのため、EGRクーラを配置する位置の融通性に欠け、部品点数が多くなると共に、全体として製造コストが高くならざるを得なかった。
そこで本発明は、二重管型熱交換器自体を配管経路に合わせて容易に曲折できる、構造の簡単な二重管型熱交換器およびその製造方法を提供することを課題とする。
請求項1に記載の本発明は、内管(1) の外側に外管(2) が被嵌されてなり、
内管(1) は、その軸線に直角な断面が、中心から放射方向に等間隔に互いに連通する複数の風船状の膨出部(3) を三つ葉のクローバー状に有し、各膨出部(3) の幅は前記中心から半径方向外側の中間部が最大で両側に次第に小となると共に、中心部に三つの溝状部(10)がその外面側に軸線方向へ形成されてなり、
各膨出部(3) の軸方向断面の外周が波形に曲折され、その膨出部(3) の半径方向の最外側端部で、その波の各頂部(9) が外管(2) の内面に接触されるように、それぞれ軸線が直線状の外管(2) を内管(1) に被嵌し、
ついで、内管(1) の軸線方向の両端の開口縁部(6) のみが外管(2) に溶接された状態で、
外管(2) および内管(1)に外力加えて、それら軸線を含む全体が曲折され、
内管(1) 内に第1流体(4) が流通すると共に、内管(1) と外管(2) との間に第2流体(5) が流通する二重管型熱交換器である。
請求項2に記載の本発明は、請求項1において、
前記膨出部(3) の前記風船状の半径方向外側先端縁の中央部のみが、前記外管(2) の内面に接する二重管型熱交換器である。
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2において、
内管(1) の軸線方向の両端の開口縁部(6) が全周に渡り外管(2) の内面に接続固定され、外管(2) の両端部外面に一対の第1流体(4) の出入口(7) が設けられ、外管(2) の両端に接続用のフランジ部(8) が突設され、
第1流体(4) としてエンジンの排気ガスが流通し、第2流体(5) として冷却水が流通するEGRクーラとして用いる二重管型熱交換器である。
請求項4に記載の本発明は、請求項1または請求項2において、
内管(1) の軸線方向の両端の開口縁部(6) が全周に渡り外管(2) の内面に接続固定され、外管(2) の両端部外面に一対の第1流体(4) の出入口(7) が設けられ、外管(2) の両端に接続用のフランジ部(8) が突設され、
第1流体(4) および第2流体(5) の一方が冷却水であり、他方がオイルであるオイルクーラとして用いる二重管型熱交換器である。
請求項5に記載の本発明は、請求項1〜請求項4のいずれかにおいて、
前記内管(1) の断面は三つの前記風船状の膨出部(3) が中央で互いに連通されて、全体が三つ葉のクローバ状に形成された二重管型熱交換器である。
請求項6に記載の本発明は、請求項1〜請求項5のいずれかの二重管型熱交換器を製造する方法において、
夫々軸線を直線状態として、内管(1) を外管(2) 内に挿入し、内管(1) の各膨出部(3) の波の各頂部(9) を外管(2) の内面に接触させる工程と、
内管(1) の軸線方向の両端の開口縁部(6) のみを外管(2) に溶接する工程と、
次いで、内管(1) と共に外管(2) に外力を加えて、それらの軸線が曲折するように全体を曲折する工程と、を具備する二重管型熱交換器の製造方法である。
本発明の二重管型熱交換器は、それぞれ直線状の外管2を内管1に被嵌し、内管(1) の軸線方向の両端の開口縁部(6) のみが外管(2) に溶接された状態で、両者に外力を加えて、両者が曲折されたものである。そして、その内管1は複数の膨出部3を放射方向に等間隔三つ葉のクローバー状に有し、その膨出部3に形成された波形の最外側の頂部9が外管2の内面に接触されたものであるから、両端部のみ固定された状態で、座屈することなく、曲折の際両管の曲率半径の差に基づく伸びの差を、各頂部9の接触部が自由に相対的に移動して、円滑に湾曲される。そのため、精度の高い二重管型熱交換器となり得る。
また、内管1は中心から放射方向に複数の膨出部3を断面が三つ葉のクローバー状に有し、その中心部外周に3つの溝状部10が形成されたものであるから、伝熱面積が大きくなり且つ、膨出部3の波形表面によって攪拌が行われ、熱交換を促進し得る効果がある。
さらに内管1,外管2を外力を加えて曲折する際に、その断面の変形が起こり難い。即ち、内管1の各波の頂部9が外管2の内面に接触しているため、塑性変形の際、その頂部9が外管2の支えとなるからである。
そして、変形時に特別な入れ子等を必要とせず、曲折が可能である。
さらには、その曲折を容易にすることができる。そして膨出部3の軸方向断面の外周が波形に曲折され、その膨出部3の最外側の波の頂部9が外管2の内面に接触することとなるため、第2流体5の流路が分断されることがなく、第2流体5を充分攪拌して熱交換を促進することができる。
また、構造が簡単で熱交換性能の良い二重管型熱交換器を提供できる。
上記構成において、膨出部3の半径方向外側先端縁の中央部のみが、外管2の内面に接する二重管型熱交換器においては、第2流体5の流通をさらに円滑にし熱交換を促進し得る。即ち、第2流体5が膨出部3の外周を略全面に渡って流通することができる。
次に、内管1の両端の開口縁部6が全周に渡り外管2の内面に接続固定され、外管2の両端にフランジ部8が突設されて、排気ガスと冷却水が流通するEGRクーラとして用いる二重管型熱交換器においては、そのEGRクーラと配管との取付けが容易となり、省スペースのEGRクーラを提供できる。
また、同様の構成でオイルを冷却水で冷却するオイルクーラとして用いる場合には、各種配管流路に整合させた省スペースのオイルクーラを提供できる。
上記構成において、内管1の断面が三つ葉のクローバ状に形成されたものにおいては、内管1の外周の各部において均等に第2流体5が流通し、熱交換性能の高いものを提供できる。それと共に、内管1の外周が外管2の内周にバランスよく接触し、外管2の断面を異常に変形させることなく、内管1および外管2全体を曲折でき、高性能の熱交換器を提供できる。
本発明の二重管型熱交換器の製造方法は、夫々軸線を直線状態とした内管1を外管2内に挿入し、内管1の軸線方向の両端の開口縁部6のみを外管2に溶接し、次いで、内管1と共に外管2を外力を加えて曲折するものである。このようにすることにより、内管1および外管2の断面を変えることなく、全体を湾曲させた二重管型熱交換器を提供でき、それを配管の一部に兼用できる。
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
図1は本発明の二重管型熱交換器の製造工程の第1工程を示し、図2はその第2工程を示す。また、図3は図2の III− III矢視断面図であり、図4は本発明の二重管型熱交換器の第3工程を経た完成状態を示すものである。
この熱交換器は、外管2と、その外管2の内部に挿入される内管1とを有する。
内管1は、両端部を除いて図1に示す如く、断面が三つ葉のクローバ状に曲折形成されると共に、クローバ状の各膨出部3がその軸線方向に波形に曲折されたものである。そしてその波の各頂部9の最大半径が外管2の内周の半径に等しい。内管1の両端部は筒状に形成され、その外周直径は外管2の内周直径に等しい。また、内管1の中心部の外周には三つの溝状部10が形成されている。
膨出部3は、図3から明らかなように夫々膨らませた風船状に形成され、それらが軸線(内管1の中心)上で互いに連通する。そしてその膨出部3は内管1の中心から半径方向外側にいくに従って、その幅が中間部まで次第に大きくなり、次いで先端部に向かって次第に幅が小となる。そしてその先端部のみの頂部9が、外管2に接触するように挿入される。
外管2は図1から明らかなように、その両端に一対のフランジ部8が溶接固定され、軸線方向両端部には一対の出入口7が設けられ、そこにパイプ11が突設されている。
このようにしてなる内管1と外管2は、その軸線を直線状にした状態で、内管1を外管2内に挿入する。次いで、内管1の先端の開口縁部6のみを、溶接により外管2の開口端に固定する。このとき、各膨出部3の先端の頂部9が外管2の内面に接触している。この頂部9の接触部は接合されていない。
次いで、外管2の外周から外力を加えて図4の如く、内管1と共に外管2を曲折する。このとき、内管1の膨出部3の頂部9が外管2の内面に支持された状態で、その軸線が変形される。
その際、図2における各膨出部3の夫々の頂部9は、外管2の内面に接触した状態で曲折され、外管2の断面が異常に変形されるのを防止する。そして一例として、図4の如く全体が曲折される。この曲折の形状は、配管の布設経路に整合するように形成される。
このように曲折された二重管型熱交換器は、エンジンの排気ガスの取出し配管の一部としてフランジ部8を介し連結される。そして、一対のパイプ11の一方から第2流体5として冷却水が流入し、それが内管1と外管2との間を流通して他方のパイプ11から流出する。また、内管1の内部に第1流体4として排気ガスが流通し、その排気ガスを冷却水によって冷却するものである。排気ガスは比較的流通し易い各膨出部3内をうねるように流通する。同様に、冷却水も内管1の外面側をうねるように流通する。また、内管1の中心部には冷却水が溝状部10に沿って流通する。
上記実施の形態はEGRクーラとして説明したが、それに代えてこの二重管型熱交換器をオイルクーラとして利用することができる。その場合、内管1と外管2との間にオイルを流通させ、内管1の内部に冷却水を流通させることができる。或いはそれに代えて、内管1と外管2との間に冷却水を流通させ、内管1内にオイルを流通させてもよい。
本発明の二重管型熱交換器の第1製造工程を示す説明図。 同熱交換器の第2製造工程を示す要部縦断面図。 図2の III− III矢視断面図。 同第3製造工程により完成した二重型型熱交換器の斜視説明図。
符号の説明
1 内管
2 外管
3 膨出部
4 第1流体
5 第2流体
6 開口縁部
7 出入口
8 フランジ部
9 頂部
10 溝状部
11 パイプ
12 溶接部

Claims (6)

  1. 内管(1) の外側に外管(2) が被嵌されてなり、
    内管(1) は、その軸線に直角な断面が、中心から放射方向に等間隔に互いに連通する複数の風船状の膨出部(3) を三つ葉のクローバー状に有し、各膨出部(3) の幅は前記中心から半径方向外側の中間部が最大で両側に次第に小となると共に、中心部に三つの溝状部(10)がその外面側に軸線方向へ形成されてなり、
    各膨出部(3) の軸方向断面の外周が波形に曲折され、その膨出部(3) の半径方向の最外側端部で、その波の各頂部(9) が外管(2) の内面に接触されるように、それぞれ軸線が直線状の外管(2) を内管(1) に被嵌し、
    ついで、内管(1) の軸線方向の両端の開口縁部(6) のみが外管(2) に溶接された状態で、
    外管(2) および内管(1)に外力加えて、それら軸線を含む全体が曲折され、
    内管(1) 内に第1流体(4) が流通すると共に、内管(1) と外管(2) との間に第2流体(5) が流通する二重管型熱交換器。
  2. 請求項1において、
    前記膨出部(3) の前記風船状の半径方向外側先端縁の中央部のみが、前記外管(2) の内面に接する二重管型熱交換器。
  3. 請求項1または請求項2において、
    内管(1) の軸線方向の両端の開口縁部(6) が全周に渡り外管(2) の内面に接続固定され、外管(2) の両端部外面に一対の第1流体(4) の出入口(7) が設けられ、外管(2) の両端に接続用のフランジ部(8) が突設され、
    第1流体(4) としてエンジンの排気ガスが流通し、第2流体(5) として冷却水が流通するEGRクーラとして用いる二重管型熱交換器。
  4. 請求項1または請求項2において、
    内管(1) の軸線方向の両端の開口縁部(6) が全周に渡り外管(2) の内面に接続固定され、外管(2) の両端部外面に一対の第1流体(4) の出入口(7) が設けられ、外管(2) の両端に接続用のフランジ部(8) が突設され、
    第1流体(4) および第2流体(5) の一方が冷却水であり、他方がオイルであるオイルクーラとして用いる二重管型熱交換器。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかにおいて、
    前記内管(1) の断面は三つの前記風船状の膨出部(3) が中央で互いに連通されて、全体が三つ葉のクローバ状に形成された二重管型熱交換器。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかの二重管型熱交換器を製造する方法において、
    夫々軸線を直線状態として、内管(1) を外管(2) 内に挿入し、内管(1) の各膨出部(3) の波の各頂部(9) を外管(2) の内面に接触させる工程と、
    内管(1) の軸線方向の両端の開口縁部(6) のみを外管(2) に溶接する工程と、
    次いで、内管(1) と共に外管(2) に外力を加えて、それらの軸線が曲折するように全体を曲折する工程と、を具備する二重管型熱交換器の製造方法。
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