JP5724249B2 - 電子楽器の鍵 - Google Patents

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Description

本発明は、表面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵に関する。
従来から、電子楽器が備える鍵の中には、高級感を出すために、木目模様や象牙模様等の凹凸を形成したものがある(例えば、特許文献1参照)。この鍵は、黒鍵を構成しており、射出成形によって成形される。そして、成形後に、鍵の上面と両側面とをサンドペーパで削り加工することにより、不規則な断面V字状の溝からなる木目調の凹凸模様が形成される。
特開2009−169361号公報
しかしながら、前述した鍵では、鍵の表面を構成する上面から両側面にかかる部分をすべてサンドペーパで削り加工することにより木目調の凹凸模様を形成しているため、凹凸模様が単調になり美観に乏しいものであった。
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、上面と側面、上面と前面および側面と前面との間にそれぞれ接続面を形成し、その接続面を凹凸模様が形成された面や鏡面で構成することにより美観を向上できる電子楽器の鍵を提供することである。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
前述した目的を達成するため、本発明に係る電子楽器の鍵の構成上の特徴は、上面(21)、側面(22)および前面(23)に、凹部からなる線状部と凸部からなる線状部(26a,27a,28a)との少なくとも一方で構成される線模様が形成され、かつ上面に形成された線模様が本体部と一体成形された電子楽器の鍵(10)において、上面と側面との間、上面と前面との間および側面と前面との間にそれぞれ接続面(24a,24b,24c,24e,24f,25a,25b)を形成し、それぞれの接続面を、それぞれ表面からの長さが0.01mm〜1mmで、直径が0.03mm〜0.5mmの複数の微小凹部と複数の微小凸部(29a)との少なくとも一方からなる接続面模様部(29)で構成したことにある。
本発明に係る電子楽器の鍵では、上面と側面との間、上面と前面との間および側面と前面との間にそれぞれ接続面を形成し、その接続面を、複数の微小凹部や複数の微小凸部からなる接続面模様部または鏡面で構成している。この場合の接続面は、両側に位置する2つの面の角部を削り平らにするための平面や、両側に位置する面を滑らかに接続する凸曲面で構成される。このため、上面と側面との間、上面と前面との間および側面と前面との間にそれぞれ接続面模様部または鏡面がくっきりと現れて、上面、側面および前面の境界が明確になり、興趣に富むものとなる。また、上面、側面および前面に線模様が形成されていることに加えて、接続面を微小凹部や微小凸部からなる接続面模様部で構成することにより、触覚においても鍵全体の凹凸を感じやすくなる。
また、本発明においては、接続面模様部(39)を、上面(31)、側面(32)および前面(33)に形成された線模様(36,37,38)とは異なる模様パターンの凹凸模様(39)で構成することが好ましい。これによると、それぞれ凹凸からなる線模様が形成された上面、側面および前面の境界部分に、上面、側面および前面の線模様とは異なる形状の接続面模様部が位置するようになるため、上面、側面および前面の輪郭が際立って現れるようになる。これによって、鍵のデザイン効果が向上する。なお、本発明に係る線模様は、連続する凸条や凹溝に限らず、複数の凸部や凹部を連ねて線状に形成したものも含むものとする。
本発明の第1実施形態に係る黒鍵を示した斜視図である。 図1に示した黒鍵のキートップ部を示した斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る黒鍵のキートップ部を示した斜視図である。 本発明の第3実施形態に係る黒鍵のキートップ部を示した斜視図である。 本発明の第4実施形態に係る黒鍵のキートップ部を示した斜視図である。 本発明の第5実施形態に係る黒鍵のキートップ部を示した斜視図である。 本発明の第6実施形態に係る黒鍵のキートップ部を示した斜視図である。 黒鍵のキートップ部に形成された接続面を示した説明図である。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る電子楽器の鍵を図面を用いて説明する。図1は、同実施形態に係る黒鍵10を示している。この黒鍵10は、電子楽器(図示せず)の上面における手前側(演奏者側)に白鍵とともに複数個並べられるもので、それぞれ長手方向を前後に向けて設置される。この黒鍵10は、硬質の合成樹脂を一体成形することにより形成されており、鍵本体部11と、キートップ部20とを備えている。鍵本体部11は、下面が開口した細長い四角枠状に形成されており、後部側の上部には本体上面部11aが形成されている。
キートップ部20は、鍵本体部11の上部が開口した前部側部分の上部に形成されており、上面部21と、左右一対の側面部22(一方しか図示せず)と、前面部23と、後面部(図示せず)とを備えている。また、図2に示したように、上面部21と一方の側面部22(図2の手前側の側面部)との間、上面部21と他方の側面部22との間、上面部21と前面部23との間および上面部21と後面部との間には、それぞれ接続面部24a,24b,24c,24dが形成されている。各接続面部24a〜24dは、それぞれ、上面部21から徐々に下降していく凸曲面で構成されており、上面部21の縁部に沿って水平方向に延びている。
さらに、一方の側面部22と前面部23との間および他方の側面部22と前面部23との間には、それぞれ接続面部24e,24fが形成され、一方の側面部22と後面部との間および他方の側面部22と後面部との間には、それぞれ接続面部24g等(他方の側面部22と後面部との間の接続面部は図示せず)が形成されている。これらの接続面部24e〜24g等は、それぞれ隣接する二つの面を滑らかに接続する凸曲面で構成されており、上下方向に延びている。そして、接続面部24a〜24g等のうちの3つの面で囲まれ、キートップ部20の上部の四隅に位置する部分には、それぞれ略三角形の凸曲面からなる角面部25a,25b,25c,25dが形成されている。
このキートップ部20では、上面部21の表面に、上面模様部26が形成され、一対の側面部22の表面には、それぞれ側面模様部27が形成されている。また、前面部23の表面には前面模様部28が形成され、接続面部24a〜24g等および角面部25a〜25dの表面には、それぞれ接続面模様部29が形成されている。なお、後面部の表面は平滑面で構成されている。上面模様部26は、前後方向に延びる複数の線状凸部26aを左右に間隔を保って配置することによって凹凸のある柾目模様に形成されている。また、一方の側面部22に形成された側面模様部27は、前後方向に延びる複数の線状凸部27aを上下に間隔を保って配置することによって凹凸のある板目模様に形成され、他方の側面部22に形成された側面模様部27も、複数の線状凸部27aを上下に間隔を保って配置することによって凹凸のある板目模様に形成されている。
前面模様部28は、中央側が左側に凸状になって上下方向に延びる湾曲した線状凸部28aを左右に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある年輪模様に形成されている。そして、接続面部24a〜24g等および角面部25a〜25dの表面に形成された接続面模様部29は、密集して配置された複数の微小凸部29aで構成されている。
各線状凸部26a〜28aにおける上面部21、側面部22および前面部23の表面(線状凸部26a〜28aが形成されてない部分)からの突出長さは、それぞれ0.01mm〜1mm、好ましくは0.02mm〜0.5mm、さらに好ましくは0.05mm〜0.3mmに設定されている。また、各微小凸部29aにおける接続面部24a〜24g等および角面部25a〜25dの表面(微小凸部29aが形成されていない部分)からの突出長さは、それぞれ0.01mm〜1mm、好ましくは0.02mm〜0.5mm、さらに好ましくは0.05mm〜0.3mmに設定され、各微小凸部29aの直径はそれぞれ0.03mm〜0.5mm、好ましくは0.05mm〜0.3mm、さらに好ましくは0.08mm〜0.2mmに設定されている。
なお、このキートップ部20を備えた黒鍵10を一体成形する射出成形機には、固定型と可動型とからなる成形型が備わっており、成形型の成形面に、上面模様部26、側面模様部27、前面模様部28および接続面模様部29に対応する凹凸模様、すなわち、上面模様部26や接続面模様部29等と凹凸が逆になる凹凸模様が形成されている。このため、黒鍵10の成形が容易になる。また、このように構成された黒鍵10を電子楽器の本体に組付けて演奏するときには、各黒鍵10のキートップ部20を構成する各面に木目模様が見え、その木目模様を区切るようにして各面の縁部に、複数の微小凸部29aからなる接続面模様部29が見える。このため、電子楽器の美観が向上するとともに、押鍵操作の際に、上面模様部26や接続面模様部29等が変化して見えるようになり、演奏が楽しくなる。また、押鍵時に、指がキートップ部20の上面模様部26や接続面模様部29に触れることによっても、触感に変化が生じて興趣に富むものとなる。
このように、本実施形態に係る黒鍵10では、キートップ部20の上面部21、両側面部22、前面部23および後面部のうちの2つの面の間にそれぞれ接続面部24a〜24g等を形成し、各接続面部24a〜24dで形成される四角形の四隅に位置する部分に、それぞれ角面部25a〜25dを形成している。そして、上面部21、両側面部22および前面部23にそれぞれ木目模様の上面模様部26、側面模様部27および前面模様部28を形成し、接続面部24a〜24g等および角面部25a〜25dの表面に、複数の微小凸部29aからなる接続面模様部29を形成している。
このため、上面模様部26、側面模様部27および前面模様部28で、木目調の風合いを出すことができる。そして、上面部21、両側面部22、前面部23および後面部のうちの2つの面の間にそれぞれ細長い接続面模様部29がくっきりと現れるため、各面の境界が明確になり、興趣に富むものとなる。また、上面部21の表面に凹凸からなる上面模様部26を形成していることに加えて、接続面部24a〜24dおよび角面部25a〜25dの表面に、複数の微小凸部29aからなる接続面模様部29を形成しているため、触覚においても凹凸模様を感じやすくなる。
なお、本実施形態では、上面部21と後面部との間および両側面部22と後面部との間、にも接続面部24d,24g等やその表面の接続面模様部29を設け、さらに、接続面部24a,24bと接続面部24dとの間に角面部25c,25dやその表面の接続面模様部29を設けているが、これらのものは省略してもよい。また、上面模様部26、側面模様部27および前面模様部28を構成する線状凸部26a〜28aは、連続する凸条に限らず、複数の凸部を連ねて線状に形成したものであってもよい。
さらに、本実施形態では、上面模様部26、側面模様部27および前面模様部28を線状凸部26a〜28aで構成しているが、この線状凸部26a〜28aに代えて、線状凹部で上面模様部26、側面模様部27および前面模様部28を構成してもよいし、線状凸部26a〜28aと線状凹部との双方で上面模様部26、側面模様部27および前面模様部28を構成してもよい。同様に、本実施形態では、接続面模様部29を、複数の微小凸部29aで構成しているが、この微小凸部29aに代えて、複数の微小凹部で接続面模様部29を構成してもよいし、微小凸部29aと微小凹部との双方で接続面模様部29を構成してもよい。
また、本実施形態では、接続面部24a〜24g等および角面部25a〜25dの表面をそれぞれ、凸曲面で構成しているが、これらの表面は平面で構成してもよい。さらに、角面部25a〜25dの表面には、接続面模様部29を形成せずに、鏡面にしてもよい。また、黒鍵10を成形する際に、二色の樹脂材料を用いて、黒鍵10の色が部分的に異なるようにしてもよい。さらに、この上面模様部26、側面模様部27、前面模様部28および接続面模様部29を形成する鍵は、黒鍵10でなく、白鍵にしてもよいし、黒鍵10と白鍵との双方にしてもよい。
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態に係る黒鍵のキートップ部30を示している。このキートップ部30では、上面部31と一方の側面部32(図3の手前側の側面部)との間、上面部31と他方の側面部32との間および上面部31と前面部33との間に、それぞれ水平方向に延びる平面状の接続面部34a,34b等(上面部31と他方の側面部32との間の接続面部は図示せず)が形成されている。また、一方の側面部32と前面部33との間および他方の側面部32と前面部33との間に、それぞれ上下方向に延びる平面状の接続面部34c等(他方の側面部32と前面部33との間の接続面部は図示せず)が形成されている。そして、接続面部34a〜34c等のうちの3つの面で囲まれる角部に位置する部分には、それぞれ三角形の鏡面からなる角面部35(一つしか図示せず)が形成されている。
すなわち、このキートップ部30では、上面部31と後面部との間および両側面部32と後面部との間には、接続面部および角面部は形成されていない。そして、このキートップ部30では、上面部31の表面に、上面模様部36が形成され、一対の側面部32の表面には、それぞれ側面模様部37が形成されている。また、前面部33の表面には前面模様部38が形成され、各接続面部34a〜34c等の表面には接続面模様部39が形成されている。上面模様部36は、複数の曲線状の線状凸部36aを間隔を保って配置することによって凹凸のある木目模様に形成されている。
また、一方の側面部32に形成された側面模様部37は、複数の曲線状の線状凸部37aを間隔を保って配置することによって凹凸のある木目模様に形成され、他方の側面部32に形成された側面模様部37も、複数の曲線状の線状凸部37aを間隔を保って配置することによって凹凸のある木目模様に形成されている。前面模様部38は、中央側が斜め下方に凸状になって左上から右下方向に延びる湾曲した線状凸部38aを上下に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある年輪模様に形成されている。そして、接続面模様部39は、密集して配置された複数の微小凸部39aで構成されている。このキートップ部30を備えた黒鍵のそれ以外の部分の構成については、前述した黒鍵10と同一である。
このように、本実施形態に係る黒鍵では、キートップ部30の上面部31の表面および両側面部32の表面に、木目模様の上面模様部36および側面模様部37を形成し、前面部33の表面に年輪模様の前面模様部38を形成することによって、キートップ部30の外観を木材の切断面のようにしている。そして、接続面部34a〜34c等の表面に微小凸部39aからなる接続面模様部39を形成し、角面部35を鏡面に形成している。このため、それぞれ木目模様や年輪模様が形成された上面部31、側面部32および前面部33の境界部分に、木目模様や年輪模様とは異なる形状の接続面模様部39や角面部35が位置するようになり、上面模様部36、側面模様部37および前面模様部38の輪郭が際立って現れるようになる。これによって、黒鍵におけるキートップ部30のデザイン効果が向上する。このキートップ部30を備えた黒鍵におけるそれ以外の作用効果については、前述した第1実施形態に係る黒鍵10と同様である。
なお、本実施形態では、前面模様部38を、湾曲して左右に延びる複数の線状凸部38aで構成しているが、これに代えて、水平方向に真っ直ぐに延びる線状凸部や、垂直方向に延びる線状凸部を間隔を保って複数配置することによって前面模様部を構成してもよい。また、径の異なる環状の線状凸部を内側から外側に向けて複数配置することによって前面模様部を年輪状に形成したり、木の導管のような凹凸模様で前面模様部を構成したりしてもよい。同様に、上面模様部36および側面模様部37も前述した凹凸模様以外の凹凸模様に形成してもよい。さらに、接続面部34a〜34cや角面部35は平面でなく凸曲面で構成してもよい。また、本実施形態は、前述した第1実施形態において説明した各変形例と同じように、変形することができる。
(第3実施形態)
図4は、本発明の第3実施形態に係る黒鍵のキートップ部40を示している。このキートップ部40では、上面部41と一方の側面部42(図4の手前側の側面部)との間、上面部41と他方の側面部42との間、上面部41と前面部43との間および上面部41と後面部との間に、それぞれ水平方向に延びる凸曲面状の接続面部44a,44b,44c,44dが形成されている。また、一方の側面部42と前面部43との間、他方の側面部42と前面部33との間、一方の側面部42と後面部との間、他方の側面部42と後面部との間に、それぞれ上下に延びる凸曲面状の接続面部44e,44f,44g等(他方の側面部42と後面部との間の接続面部は図示せず)が形成されている。そして、接続面部44a〜44g等のうちのそれぞれ3つの面で囲まれる角部に位置する部分には、それぞれ略三角形の凸曲面からなる角面部45a,45b,45c,45dが形成されている。
上面部41の表面には、上面模様部46が形成され、一対の側面部42の表面には、それぞれ側面模様部47が形成されている。そして、前面部43の表面には前面模様部48が形成され、各接続面部44a〜44g等および角面部45a〜45dの表面には接続面模様部49が形成されている。上面模様部46は、所定の領域内に複数の線状凸部46aを配置することにより、雲の形状や水面の波形状のような凹凸模様に形成されている。また、両側面模様部47は、所定の領域内に複数の線状凸部47aを配置することにより凹凸模様に形成され、前面模様部48は、所定の領域内に複数の線状凸部48aを配置することにより凹凸模様に形成されている。そして、接続面模様部49も、所定の領域内に複数の線状凸部49aを配置することにより凹凸模様に形成されている。両側面模様部47、前面模様部48および接続面模様部49も、上面模様部46と同様の、雲の形状や水面の波形状のような凹凸模様で構成されている。
このキートップ部40を備えた黒鍵のそれ以外の部分の構成については、前述した黒鍵10と同一である。このように、本実施形態に係るキートップ部40を備えた黒鍵では、上面模様部46、側面模様部47、前面模様部48および接続面模様部49が、それぞれ所定の領域内に配置された複数の線状凸部46a〜49aで構成されているため、各模様部46〜49の所定の領域を任意の形状にすることにより興趣に富んだ凹凸模様を備えた黒鍵を得ることができる。また、上面部41、両側面部42、前面部43、接続面部44a〜44g等および角面部45a〜45dの表面にそれぞれ類似した凹凸模様を形成しているため、統一感のあるデザインを実現できる。このキートップ部40を備えた黒鍵におけるそれ以外の作用効果については、前述した第1実施形態に係る黒鍵10と同様である。また、本実施形態も、前述した第1実施形態において説明した各変形例と同じように、変形することができる。
(第4実施形態)
図5は、本発明の第4実施形態に係る黒鍵のキートップ部50を示している。このキートップ部50では、上面部51と一方の側面部52(図5の手前側の側面部)との間、上面部51と他方の側面部52との間、上面部51と前面部53との間および上面部51と後面部との間に、それぞれ水平方向に延びる凸曲面状の接続面部54a,54b,54c,54dが形成されている。また、一方の側面部52と前面部53との間、他方の側面部52と前面部53との間、一方の側面部52と後面部との間および他方の側面部52と後面部との間に、それぞれ上下方向に延びる凸曲面状の接続面部54e,54f,54g等(他方の側面部52と後面部との間の接続面部は図示せず)が形成されている。そして、接続面部54a〜54g等のうちのそれぞれ3つの面で囲まれる角部に位置する部分に、それぞれ略三角形の凸曲面からなる角面部55a,55b,55c,55dが形成されている。
上面部51の表面に上面模様部56が形成され、両側面部52の表面にそれぞれ側面模様部57が形成され、前面部53の表面に前面模様部58が形成されている。そして、接続面部54a〜54dおよび角面部55a〜55dの表面に接続面模様部59aが形成され、接続面部54e〜54g等に接続面模様部59bが形成されている。上面模様部56は、キートップ部50の後部から前部に延びたのちに湾曲して後部に戻る湾曲した線状凸部56aを前後に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある板目模様に形成されている。すなわち、上面模様部56においては、上面部51の左右方向の中央側に位置する線状凸部56aの湾曲部よりも外部側に位置する線状凸部56aの湾曲部の方が前方に位置するようにして複数の線状凸部56aが配置されている。
そして、接続面模様部59aは、上面部51の縁部に到達している線状凸部56aに繋がるようにして複数の線状凸部59cを、それぞれ接続面部54a〜54dおよび角面部55a〜55dの表面に形成することにより構成されている。したがって、上面模様部56と接続面模様部59aとは、一体となって突き板のように見える。この場合、接続面部54a〜54dおよび角面部55a〜55dの部分は、突き板の厚みとして認識される。また、一方の側面模様部57は、キートップ部50の前方下部から後方上部に延びる線状凸部57aを上下に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある柾目模様に形成され、他方の側面模様部57も、キートップ部50の前方下部から後方上部に延びる線状凸部57aを上下に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある柾目模様に形成されている。
そして、前面模様部58は、前面部53の左上から右下に延びる線状凸部58aを上下に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある年輪模様に形成されており、各線状凸部58aは、中央側が左下方に凸状になる湾曲した線状に形成されている。また、後面部にも前面模様部58と同様の凹凸模様が形成されている。接続面模様部59bは、それぞれ接続面部54e〜54g等の両側に位置する側面部52、前面部53および後面部の線状凸部57a,58a等を延長する複数の線状凸部59dで構成されている。
また、接続面模様部59aを構成する複数の線状凸部59cと、側面模様部57の線状凸部57a、前面模様部58の線状凸部58a、後面部の凹凸模様を構成する線状凸部および接続面模様部59bの線状凸部59dとはいずれも繋がっていない。このため、接続面部54a〜54dおよび角面部55a〜55dと、側面部52、前面部53、後面部および接続面部54e〜54g等とは、別体からなる木材を組付けたかのように見える。このキートップ部50を備えた黒鍵のそれ以外の部分の構成については、前述した黒鍵10と同一である。
このように、本実施形態に係るキートップ部50を備えた黒鍵では、上面模様部56と接続面模様部59aとは模様パターンが連続し、接続面模様部59aと、側面模様部57、前面模様部58、後面部に形成された凹凸模様および接続面模様部59bとはそれぞれ模様パターンが不連続になっている。このため、上面模様部56と接続面模様部59aとは、一体となって突き板のように見え、上面模様部56および接続面模様部59aと、側面模様部57、前面模様部58、後面部に形成された凹凸模様および接続面模様部59bとは、別体からなる木材を組付けたように見える。これによって、キートップ部50の上面に突き板の風合いを表現できる。このキートップ部50を備えた黒鍵におけるそれ以外の作用効果については、前述した第1実施形態に係る黒鍵10と同様である。また、本実施形態も、前述した第1実施形態において説明した各変形例と同じように、変形することができる。
(第5実施形態)
図6は、本発明の第5実施形態に係る黒鍵が備えるキートップ部60を示している。このキートップ部60では、上面部61と一方の側面部62(図6の手前側の側面部)との間、上面部61と他方の側面部62との間および上面部61と前面部63との間に、それぞれ水平方向に延びる平面状の接続面部64a,64b等(上面部61と他方の側面部62との間の接続面部は図示せず)が形成されている。また、一方の側面部62と前面部63との間および他方の側面部62と前面部63との間に、それぞれ上下方向に延びる平面状の接続面部64c等(他方の側面部62と前面部63との間の接続面部は図示せず)が形成されている。そして、接続面部64a〜64c等のうちのそれぞれ3つの面で囲まれる上方前部両側の角部に位置する部分には、それぞれ三角形の平面からなる角面部65(一方しか図示せず)が形成されている。
上面部61の表面に、上面模様部66が形成され、両側面部62の表面には、それぞれ側面模様部67が形成されている。そして、前面部63の表面には前面模様部68が形成され、接続面部64a〜64cの表面には接続面模様部69が形成されている。上面模様部66は、キートップ部60の前部から後部に向かって右側に緩やかに湾曲しながら延びる線状凸部66aを左右に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある板目模様に形成されている。また、一対の側面部62に形成された側面模様部67は、ともにキートップ部60の前部から後部に向かって上方に緩やかに湾曲しながら延びる線状凸部67aを上下に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある板目模様に形成されている。
前面模様部68は、前面部63の左上から右下に延びる線状凸部68aを左右に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある年輪模様に形成されており、各線状凸部68aは、中央側が左下方に凸状になる湾曲した線状に形成されている。そして、接続面模様部69は、それぞれ線状凸部66aと線状凸部67aとの近傍に位置する端部どうし、線状凸部66aと線状凸部68aとの近傍に位置する端部どうし、線状凸部67aと線状凸部68aとの近傍に位置する端部どうしをそれぞれ接続する複数の線状凸部69aで構成されている。このキートップ部60を備えた黒鍵のそれ以外の部分の構成については、前述したキートップ部30を備えた黒鍵と同一である。
このように、本実施形態に係るキートップ部60を備えた黒鍵では、上面模様部66、側面模様部67、前面模様部68および接続面模様部69のすべてで連続した模様パターンが形成される。このため、キートップ部60は、あたかも一体からなる無垢材のように見える。このキートップ部60を備えた黒鍵におけるそれ以外の作用効果については、前述した第2実施形態に係るキートップ部30を備えた黒鍵と同様である。また、本実施形態も、前述した第1実施形態において説明した各変形例と同じように、変形することができる。
(第6実施形態)
図7は、本発明の第6実施形態に係る黒鍵が備えるキートップ部70を示している。このキートップ部70では、上面部71の表面が、上面部71の左右方向の中央側が両側よりも上方に盛り上がった凸曲面で構成されている。そして、上面部71と一方の側面部72(図7の手前側の側面部)との間、上面部71と他方の側面部72との間、上面部71と前面部73との間および上面部71と後面部との間に、それぞれ水平方向に延びる凸曲面状の接続面部74a,74b,74c,74dが形成されている。
また、一方の側面部72と前面部73との間、他方の側面部72と前面部73との間、一方の側面部72と後面部との間、他方の側面部72と後面部との間に、それぞれ上下方向に延びる凸曲面状の接続面部74e,74f,74g等(他方の側面部72と後面部との間の接続面部は図示せず)が形成されている。そして、接続面部74a〜74g等のうちのそれぞれ3つの面で囲まれる上部の角部に位置する部分には、それぞれ略三角形の凸曲面からなる角面部75a,75b,75c,75dが形成されている。
また、上面部71の表面に、上面模様部76が形成され、一対の側面部72、前面部73および後面部の表面は、それぞれ平滑面で構成されている。そして、接続面部74a〜74g等および角面部75a〜75dの表面は、上面部71の表面と平滑面との間の表面粗さを備えた粗面で構成されている。上面模様部76は、左右に延びる線状凸部76aを前後に間隔を保って複数配置するとともに、複数の微小凸部76bを散在させて配置することにより形成されている。また、上面部71の表面粗さは、Ra0.50μm〜7.00μm、好ましくはRa0.50μm〜4.00μmに設定され、接続面部74a〜74g等の表面粗さは、Ra0.05μm〜6.0μm、好ましくはRa0.05μm〜3.0μmに設定されている。さらに、角面部75a〜75dの表面粗さは、Ra0.05μm〜6.0μm、好ましくはRa0.05μm〜3.0μmに設定されている。このキートップ部70を備えた黒鍵のそれ以外の部分の構成については、前述した黒鍵10と同一である。
このように、本実施形態に係るキートップ部70を備えた黒鍵では、接続面部74a〜74g等および角面部75a〜75dの表面粗さが、上面部71の表面粗さよりも小さく設定されている。このため、上面部71に、凹凸からなる上面模様部76を形成していても、黒鍵を成形する際に、黒鍵を黒鍵の上下方向に移動させるようにして成形型から抜くことにより、接続面部74a〜74g等や角面部75a〜75dにアンダーカットが生じて成形された黒鍵を成形型から抜き難くなるといったことを防止できる。この結果、成形された黒鍵を成形型から抜く操作がスムーズになり、生産性の向上と品質の確保とが図れる。このキートップ部70を備えた黒鍵におけるそれ以外の作用効果については、前述した第1実施形態に係る黒鍵10と同様である。
なお、本実施形態では、一対の側面部72、前面部73および後面部の表面を、それぞれ平滑面で構成しているが、これらの面にも成形時に、アンダーカットが生じない程度で凹凸模様を形成することができる。さらに、本実施形態は、前述した第1実施形態において説明した各変形例と同じように、変形することができる。
また、本発明においては、前述したキートップ部20,40,50,70のように、接続面部24a〜24c,44a〜44c,54a〜54c,74a〜74cがそれぞれ凸曲面で構成されている場合には、図8に示したように、上面部81に隣接する接続面部84の表面粗さが上面部81から離れるにしたがって徐々に小さくなるようにすることが好ましい。すなわち、図8において、点Oは、上面部81と接続面部84との境界線上の所定の部分を示している。
そして、L1、L2は、それぞれ接続面部84の長手方向に直交する方向に沿った位置における点Oからの距離を示しており、L2の方がL1よりも大きい。言い換えると、L2の方がL1よりも点Oから遠い位置にある。そして、接続面部84における図8に示した長い矢印Lに沿った各部分の表面粗さが、点Oから離れるにしたがって小さくなるように接続面部84は形成されている。接続面部84をこのように形成することにより、上面部81と側面部82とを自然に接続できるようになり、一体感のあるデザインを実現できる。
10…黒鍵、20,30,40,50,60,70…キートップ部、21,31,41,51,61,71,81…上面部、22,32,42,52,62,72,82…側面部、23,33,43,53,63,73…前面部、24a,24b,24c,24e,24f,34a,34b,34c,44a,44b,44c,44e,44f,54a,54b,54c,54e,54f,64a,64b,64c,74a,74b,74c,74e,74f,84…接続面部、25a,25b,35,45a,45b,55a,55b,65,75a,75b…角面部、26,36,46,56,66,76…上面模様部、26a,27a,28a,36a,37a,38a,46a,47a,48a,49a,56a,57a,58a,59c,59d,66a,67a,68a,69a,76a…線状凸部、27,37,47,57,67…側面模様部、28,38,48,58,68…前面模様部、29,39,49,59a,59b,69…接続面模様部、29a,39a…微小凸部。

Claims (2)

  1. 上面、側面および前面に、凹部からなる線状部と凸部からなる線状部との少なくとも一方で構成される線模様が形成され、かつ前記上面に形成された線模様が本体部と一体成形された電子楽器の鍵において、
    前記上面と前記側面との間、前記上面と前記前面との間および前記側面と前記前面との間にそれぞれ接続面を形成し、それぞれの接続面を、それぞれ表面からの長さが0.01mm〜1mmで、直径が0.03mm〜0.5mmの複数の微小凹部と複数の微小凸部との少なくとも一方からなる接続面模様部で構成したことを特徴とする電子楽器の鍵。
  2. 前記接続面模様部を、前記上面、前記側面および前記前面に形成された線模様とは異なる模様パターンの凹凸模様で構成した請求項1に記載の電子楽器の鍵。
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