JP5722515B1 - 白金熱電対素線 - Google Patents

白金熱電対素線 Download PDF

Info

Publication number
JP5722515B1
JP5722515B1 JP2015020084A JP2015020084A JP5722515B1 JP 5722515 B1 JP5722515 B1 JP 5722515B1 JP 2015020084 A JP2015020084 A JP 2015020084A JP 2015020084 A JP2015020084 A JP 2015020084A JP 5722515 B1 JP5722515 B1 JP 5722515B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
platinum
ppm
wire
mass concentration
strand
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015020084A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015200014A (ja
Inventor
丸子 智弘
智弘 丸子
智明 宮澤
智明 宮澤
匠司 斉藤
匠司 斉藤
森田 健介
健介 森田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Furuya Metal Co Ltd
Original Assignee
Furuya Metal Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Furuya Metal Co Ltd filed Critical Furuya Metal Co Ltd
Priority to JP2015020084A priority Critical patent/JP5722515B1/ja
Priority to KR1020167027113A priority patent/KR101830562B1/ko
Priority to US15/128,826 priority patent/US10113217B2/en
Priority to PCT/JP2015/053379 priority patent/WO2015151581A1/ja
Priority to TW104107979A priority patent/TWI542861B/zh
Application granted granted Critical
Publication of JP5722515B1 publication Critical patent/JP5722515B1/ja
Publication of JP2015200014A publication Critical patent/JP2015200014A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C5/00Alloys based on noble metals
    • C22C5/04Alloys based on a platinum group metal
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22FCHANGING THE PHYSICAL STRUCTURE OF NON-FERROUS METALS AND NON-FERROUS ALLOYS
    • C22F1/00Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working
    • C22F1/14Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working of noble metals or alloys based thereon
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01KMEASURING TEMPERATURE; MEASURING QUANTITY OF HEAT; THERMALLY-SENSITIVE ELEMENTS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G01K7/00Measuring temperature based on the use of electric or magnetic elements directly sensitive to heat ; Power supply therefor, e.g. using thermoelectric elements
    • G01K7/02Measuring temperature based on the use of electric or magnetic elements directly sensitive to heat ; Power supply therefor, e.g. using thermoelectric elements using thermoelectric elements, e.g. thermocouples
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N10/00Thermoelectric devices comprising a junction of dissimilar materials, i.e. devices exhibiting Seebeck or Peltier effects
    • H10N10/80Constructional details
    • H10N10/85Thermoelectric active materials
    • H10N10/851Thermoelectric active materials comprising inorganic compositions
    • H10N10/854Thermoelectric active materials comprising inorganic compositions comprising only metals

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Thermal Sciences (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Measuring Temperature Or Quantity Of Heat (AREA)
  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Abstract

【課題】本発明の目的は、金属酸化物を分散せずにクリープによる破損を防ぐ為に、結晶成長を遅らせ、さらに結晶粒界での辷りの発生を遅らせた白金素線を提供することである。【解決手段】本発明に係る白金熱電対素線は、白金系熱電対の負極に用いる白金熱電対素線において、窒素質量濃度が10〜100ppmであり、素線長手方向の断面の組織観察によって、該素線長手方向に伸長したアスペクト比{(長軸の長さ)/(長軸に直交する短軸の長さ)}が5以上の結晶粒が素線太さ方向に複数個存在する組織が観察される。【選択図】図1

Description

本発明は、白金系熱電対の負極(マイナス極)に用いる白金熱電対素線に関する。
白金を用いる熱電対としては、例えば、正極(プラス極)に白金ロジウム合金(ロジウム13%)からなる素線と負極に純白金からなる素線を用いたR熱電対、正極に白金ロジウム合金(ロジウム10%)からなる素線と負極に純白金からなる素線を用いたS熱電対がある。
白金ロジウム合金からなる素線と純白金からなる素線とを比較した場合、純白金素線の方が、クリープ強度が低く、早期に断線が発生してしまうため、熱電対の寿命が純白金素線の断線によって決まってしまう問題が有った。
そこで、白金素線をPt純度5N以上とし、かつ、ジルコニウム酸化物を素線中に分散させることで断線の発生を抑制しようとする技術がある(例えば特許文献1を参照。)。
特開2013−104705号公報
一般的に金属を高強度化するには他の金属元素を導入することで達成出来るが、熱電対は金属元素を導入することによる純度の低下があると熱起電力のズレが発生する問題がある。特許文献1では、この問題を解決するために白金素線中に0.02〜0.5質量%のZrの酸化物を分散させることで起電力の変化を抑えて高強度化を図っている。
しかし、ジルコニウム酸化物の導入で強化向上を図ることは可能であるものの酸化物の導入量が多い為、一般的に700μmφ以下の線径である熱電対ではジルコニウム酸化物が破壊の起点となりやすい。熱電対は、一般的に0.3〜2mmφの線径の素線が使われ、特に0.5mmφの線径の素線が使われる。このように大変細い為、掛かる荷重が小さくとも断面積当たりでは大きな荷重となりクリープ破壊を起こしやすい。また、強い還元雰囲気で長時間使用される環境では、ジルコニウム酸化物が分解する可能性が有り、起電力への影響は避けられない。
したがって、ジルコニウム酸化物を分散せずに素線の強度向上が実現できれば望ましいが、単金属を単に素線としただけでは粒成長によって竹状組織を形成しやすい。竹状組織が形成されると結晶の粒界面が素線の伸線方向を横断するため結晶粒界において辷り易くなる。これによって早期に断線することとなる。
本発明の目的は、金属酸化物を分散せずにクリープによる破損を防ぐ為に結晶成長を遅らせ、さらに結晶粒界での辷りの発生を遅らせた白金素線を提供することである。
本発明者らは、白金素線に窒素元素を所定量含有させることで上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。本発明に係る白金熱電対素線は、白金系熱電対の負極に用いる白金熱電対素線において、窒素質量濃度が10〜100ppmであり、素線長手方向の断面の組織観察によって、該素線長手方向に伸長したアスペクト比{(長軸の長さ)/(長軸に直交する短軸の長さ)}が5以上の結晶粒が素線太さ方向に複数個存在する組織が観察されることを特徴とする。
本発明に係る白金熱電対素線では、1400℃で1時間熱処理後の素線長手方向の断面の組織観察によって、該素線長手方向に伸長したアスペクト比{(長軸の長さ)/(長軸に直交する短軸の長さ)}が5以上の結晶粒が素線太さ方向に複数個存在する組織が観察される形態が包含される。
本発明に係る白金熱電対素線では、Cd、Sn、Zn、As、Sb、Pb、Bi、Se、Mo、C、S、P、Fe、Ru、Cr、Si、Ir、Ni、Rh、Cu、Pd、Ag、Auの合計質量濃度が50ppm以下であることが好ましい。Cd、Sn、Zn、As、Sb、Pb、Bi、Se、Mo、C,Si、S、Pは、微量であっても起電力だけで無く低融点化合物を作り熱電対の破損に繋がる。また、Fe、Ru、Pb、Cr,Si、Ir、Ni、Rh、Zn、Cu、Pd、Ag、Auは起電力に大きく影響する為僅かな混入でも問題となる。
本発明の白金熱電対素線は、金属酸化物を分散せずに結晶成長を遅らせ、さらに結晶粒界での辷りの発生を遅らせている。したがって、クリープによる破損が防止される。
実施例1の白金素線について、EBSD観察における長手方向(伸線方向)に垂直な断面の画像である。 実施例1の白金素線について、EBSD観察における長手方向を通る断面の画像である。 実施例1の白金素線をさらに熱処理したものについて、EBSD観察における長手方向に垂直な断面の画像である。 実施例1の白金素線をさらに熱処理したものについて、EBSD観察における長手方向を通る断面の画像である。 図3及び図4で示した白金素線をさらに熱処理したものについて、EBSD観察における長手方向に垂直な断面の画像である。 図3及び図4で示した白金素線をさらに熱処理したものについて、EBSD観察における長手方向を通る断面の画像である。 実施例1について、熱電対の精度の確認結果を示す図である。 比較例1の白金素線について、光学顕微鏡観察における長手方向に垂直な断面の画像である。 比較例1の白金素線について、光学顕微鏡観察における長手方向を通る断面の画像である。 比較例1の白金素線をさらに熱処理したものについて、光学顕微鏡観察における長手方向に垂直な断面の画像である。 比較例1の白金素線をさらに熱処理したものについて、光学顕微鏡観察における長手方向を通る断面の画像である。 比較例2のスポット溶接部の反射電子像の画像である。 実施例2の白金素線について、光学顕微鏡観察における長手方向に垂直な断面の画像である。 実施例2の白金素線について、光学顕微鏡観察における長手方向を通る断面の画像である。 実施例2の白金素線をさらに熱処理したものについて、光学顕微鏡観察における長手方向に垂直な断面の画像である。 実施例2の白金素線をさらに熱処理したものについて、光学顕微鏡観察における長手方向を通る断面の画像である。 図15及び図16で示した白金素線をさらに熱処理したものについて、光学顕微鏡観察における長手方向に垂直な断面の画像である。 図15及び図16で示した白金素線をさらに熱処理したものについて、光学顕微鏡観察における長手方向を通る断面の画像である。 実施例3の白金素線について、光学顕微鏡観察における長手方向に垂直な断面の画像である。 実施例3の白金素線について、光学顕微鏡観察における長手方向を通る断面の画像である。 実施例3の白金素線をさらに熱処理したものについて、光学顕微鏡観察における長手方向に垂直な断面の画像である。 実施例3の白金素線をさらに熱処理したものについて、光学顕微鏡観察における長手方向を通る断面の画像である。 図21及び図22で示した白金素線をさらに熱処理したものについて、光学顕微鏡観察における長手方向に垂直な断面の画像である。 図21及び図22で示した白金素線をさらに熱処理したものについて、光学顕微鏡観察における長手方向を通る断面の画像である。 実施例4の白金素線について、光学顕微鏡観察における長手方向に垂直な断面の画像である。 実施例4の白金素線について、光学顕微鏡観察における長手方向を通る断面の画像である。 実施例4の白金素線をさらに熱処理したものについて、光学顕微鏡観察における長手方向に垂直な断面の画像である。 実施例4の白金素線をさらに熱処理したものについて、光学顕微鏡観察における長手方向を通る断面の画像である。 図27及び図28で示した白金素線をさらに熱処理したものについて、光学顕微鏡観察における長手方向に垂直な断面の画像である。 図27及び図28で示した白金素線をさらに熱処理したものについて、光学顕微鏡観察における長手方向を通る断面の画像である。
次に本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本実施形態に係る白金熱電対素線は、白金系熱電対の負極に用いる白金熱電対素線において、窒素質量濃度が10〜100ppmであり、素線長手方向の断面の組織観察によって、該素線長手方向に伸長したアスペクト比{(長軸の長さ)/(長軸に直交する短軸の長さ)}が5以上の結晶粒が素線太さ方向に複数個存在する組織が観察される。
白金熱電対素線において負極に用いる素線であることから、白金の純度は4N以上であることが好ましい。白金に対する不純物としては、Cd、Sn、Zn、As、Sb、Pb、Bi、Se、Mo、C、S、P、Fe、Ru、Cr、Si、Ir、Ni、Rh、Cu、Pd、Ag、Auが挙げられる。これらの不純物元素の合計質量濃度が50ppm以下であることが好ましく、35ppm以下であることが好ましい。Cd、Sn、Zn、As、Sb、Pb、Bi、Se、Mo、C,Si、S、Pは、微量であっても起電力だけで無く低融点化合物を作り熱電対の破損に繋がる。また、Fe、Ru、Pb、Cr,Si、Ir、Ni、Rh、Zn、Cu、Pd、Ag、Auは起電力に大きく影響する為僅かな混入でも問題となる。これらの不純物元素の合計質量濃度を50ppm以下とすることで、低融点化合物の生成の抑制及び起電力への悪影響を低減することができる。低融点化合物を生成すると破損の起因となる。また、本実施形態では白金熱電対素線にジルコニウム、カルシウム、イットリウム、サマリウムなどの金属酸化物微粒子を分散させた強化型白金ではないため、強い還元雰囲気で長時間使用される環境下に晒したとしても、金属酸化物微粒子が分解して起電力へ影響を与えてしまうことも無い。
ただし、白金熱電対素線において窒素元素は意図的に導入される。窒素元素の質量濃度である窒素質量濃度は10〜100ppmとし、15〜80ppmであることがより好ましく、20〜50ppmであることがさらに好ましい。窒素元素は、熱電対の起電力に影響を与えにくく熱電対の使用時における結晶の成長を抑えることが可能である。窒素元素を、100ppmを超えて含有させるとボイドが形成され、材料の強度劣化の原因となる。一方、窒素元素を10ppm未満含有させるだけでは組織の成長抑制が出来ない。
本実施形態に係る白金熱電対素線において、純度4N以上である白金中における窒素元素の存在状態は定かではないが、白金は窒化物を形成しにくいことから、窒素分子又は共有結合が不完全な窒素原子の状態にあると推測される。
本実施形態に係る白金熱電対素線において、白金中に酸素元素が含まれていてもよい。白金中における酸素元素の存在状態は定かではないが、酸素分子又は共有結合が不完全な酸素原子の状態にあると推測される。酸素元素の質量濃度である酸素質量濃度は例えば10〜50ppmである。純度4N以上である白金中における酸素元素は、熱電対の起電力に影響を与えることはなく、また低融点化合物を生成することもないので、不純物ではない。しかし、純度4N以上である白金中における酸素元素は、窒素元素のように熱電対の使用時における結晶の成長を抑え、さらに結晶粒界での辷りの発生を遅らせる作用は奏さない。
白金熱電対素線の線径は0.3〜2.0mmφの線径であることが一般的であるが、本実施形態に係る白金熱電対素線では0.1〜2.0mmφの線径であることが好ましく、0.3〜1.0mmφの線径であることがより好ましい。特に700μmφ以下の線径としても、本実施形態に係る白金熱電対素線はジルコニアなどの金属酸化物微粒子を素線中に分散させていないため、当該金属酸化物微粒子を起点とする破壊が生じない。
本実施形態に係る白金熱電対素線では、伸線処理をした後、さらにアスペクト比が大きく粗大な結晶を成長させることでその後に素線が高温で暴露されたとしても結晶成長を抑制し、高温におけるクリープ強度を得ることが出来た。結晶成長をさせて完成させた素線について素線長手方向の断面の組織観察をすると、該素線長手方向に伸長したアスペクト比{(長軸の長さ)/(長軸に直交する短軸の長さ)}が5以上の結晶粒が素線太さ方向に複数個存在する組織が観察される。より好ましくは、アスペクト比が5以上40以下であり、さらに好ましくはアスペクト比が5以上20以下である。アスペクト比が5未満であると粒界辷りを効果的に抑制できないという問題がある。なお、アスペクト比が5以上の結晶粒が素線太さ方向に1個しか存在しない組織の場合、素線は単結晶乃至単結晶に近い結晶粒子によって形成されているため、結晶方位によっては粒内辷りが発生しやすくなり、断線しやすくなるという問題がある。
そして、素線にアスペクト比が5以上の結晶粒が素線太さ方向に複数個存在する微構造を持たせると、その後の結晶成長が抑制される。具体的には上記完成させた素線をさらに1400℃で1時間の熱処理を行なったとしても、同様の素線長手方向の断面の組織観察によれば、該素線長手方向に伸長したアスペクト比{(長軸の長さ)/(長軸に直交する短軸の長さ)}が5以上の結晶粒が素線太さ方向に複数個存在する組織が観察される。つまり、竹状組織からなる素線が形成されることがない。
本実施形態に係る白金熱電対素線は、(1)窒素質量濃度を10〜100ppm含有し、(2)素線長手方向に伸長したアスペクト比{(長軸の長さ)/(長軸に直交する短軸の長さ)}が5以上の結晶粒が素線太さ方向に複数個存在する組織を有することで結晶の成長を抑制している。結晶の成長を抑える方法には金属酸化物分散による強化方法、又は金属元素を添加し、固溶硬化を図る方法がある。前者の方法は完全な安定酸化物であれば熱起電力(以降、「e.m.f.」ともいう。)に影響を与えにくいが、高温で使用される白金を用いた熱電対では使用される雰囲気により微量ながら還元される可能性も有り、e.m.f.の再現性や安定性では問題となる。また、後者の方法は不純物となる元素を添加する方法であり、これは、e.m.f.に影響を与えてしまう。本実施形態に係る白金熱電対素線では、(1)窒素質量濃度が10〜100ppmであるから起電力の影響がなく、更に、(2)アスペクト比5以上の結晶粒を素線太さ方向に複数個存在させることで高温における組織の成長を抑えることができる。
次に本実施形態に係る白金熱電対素線の製造方法について説明する。まず、精製されたPt粉末を準備する。Pt粉末は、例えば、湿式の工程を経て化学的に精製された粉末であることが好ましく、多孔質となっている。粉末のBET比表面積は0.01〜50m/gであることが好ましく、0.1〜30m/gであることがより好ましい。この多孔質粉末を真空チャンバーに入れ、10Pa以下に真空引きした後、真空チャンバー内に窒素ガスを入れ、粉末の表面に窒素ガスを吸着させる。次にその粉末を粉末焼結することで焼結体を得る。焼結法は、HIP(熱間等方圧加圧法)、CIP(冷間等方圧加圧法)、HP(熱間加圧法)、SPS(放電プラズマ焼結法)などを適用する。組織の成長を抑える為、短時間焼結が可能な方法が好ましい。好ましくはHPであり、更に好ましくはSPSを用いると良い。次に得られた焼結体を棒状に熱間鍛造して、棒状熱間鍛造物を溝ロール、スウェージング、線引きによって伸線加工して0.1〜2.0mmφの線径、例えば0.5mmφの線径の白金線を得る。その後、白金線を800〜1700℃、好ましくは900〜1600℃で0.01〜2時間、好ましくは1〜60分間の熱処理を行なうことで、アスペクト比が5以上の結晶粒が素線太さ方向に複数個存在する組織を形成する。
Pt粉末は、湿式工程において、アンモニア(NH)、アンモニアを配位子とするアンミン錯体、アンモニウムイオン(NH )を有する化合物(例えば、塩化アンモニウム)、ヒドラジン及びヒドラジン誘導体のいずれか一つ以上を用いることで窒素元素を予め吸着させたものでも良い。この場合、改めて窒素ガスを吸着させる工程を経る必要は、必ずしもない。
以下、実施例を示しながら本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されない。
(実施例1)
高純度の白金粉末(白金純度4N、BET比表面積0.195m/g、多孔質粉末、フルヤ金属製)を1000g準備し、この白金粉末を真空チャンバーに入れ、10Pa以下に真空引きした後、真空チャンバー内に窒素ガス(窒素ガス純度:4N)を入れ、白金粉末の表面(孔内の表面を含む)に窒素ガスを吸着させた。このとき、ガス分析装置による窒素質量濃度が97ppmであった。また、酸素質量濃度は383ppmであった。この白金粉末を、放電プラズマ焼結法を用いて真空中で焼結し、白金インゴット(40mmφ×40mmh)を製作した。このインゴットの表面を切削や王水による薬品処理で清浄して不純物を取り除いた。この白金インゴットの窒素質量濃度は80ppmであった。また、酸素質量濃度は87ppmであった。その後、大気中にて熱間鍛造して同様に白金インゴットの表面を切削や王水による薬品処理で表面を清浄した。この白金インゴットの窒素質量濃度は17ppmであった。また、酸素質量濃度は39ppmであった。次に大気中・室温にて溝ロール及びスウェージングをした。このとき、窒素質量濃度は26ppmであった。また、酸素質量濃度は36ppmであった。次に線引き機を用い0.5mmφの線径を有する線材を作製した。このとき、線材の窒素質量濃度は26ppmであった。また、酸素質量濃度は29ppmであった。次に加工時の歪み応力を除去するために、この線材を大気雰囲気中1000℃にて1時間熱処理を行ない、実施例1の白金素線を得た。この白金素線の窒素質量濃度は、26ppmであった。ちなみに、酸素質量濃度は29ppmであった。また、実施例1で得られた白金素線についてGD−MASS分析装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、ELEMENT GD)を用いて不純物元素の混入について分析したところ、Cdが0.4ppm、Znが0.1ppm、Cが0.9ppm、Feが7.8ppm、Ruが13.1ppm、Crが1.8ppm、Siが6.9ppm、Irが5.7ppm、Niが0.2ppm、Rhが1.8ppm、Cuが0.3ppm、Pdが2.4ppm、Auが0.7ppmでこれらの不純物の合計が42.1ppm(質量濃度)であり、他の不純物を含めた不純物総合計は43.6ppm(質量濃度)であった。次に組織のサイズを詳細に判別する為に電子線後方散乱回折法(EBSD,Electron Backscatter Diffraction)を用いて、断面、長手方向の結晶面方位を現出させた。図1に断面EBSD観察の画像、図2に長手方向EBSD観察の画像を示した。図1の断面では結晶が等軸晶に近似しており粗大となっている。一方、図2の長手方向を見ると非常に大きなアスペクト比{(長軸の長さ)/(長軸に直交する短軸の長さ)}の有る組織となっており、5以上であることが観察できる。アスペクト比は、具体的には小さいもので6.3であった。また、結晶粒が素線太さ方向に複数個存在していた。
ガス分析装置による窒素質量濃度及び酸素質量濃度は、次の通りの方法で測定した。すなわち、LECO CORPORATION製 TC-600型 酸素窒素同時分析装置を用い、窒素は不活性ガス融解−熱伝導度法、酸素は不活性ガス融解−赤外線吸収法によって測定した。測定にはキャリアガスとしてHe、るつぼとして黒鉛製のるつぼ(商品名称:高温るつぼ、パーツナンバー782−720)、フラックスとしてNiカプセルを用い、1回の測定に使用するサンプルの量は0.2gとした。粉末以外のサンプルは、機械加工やニッパーでの切断により採取し、測定前にアセトンによる脱脂を行った。各工程における窒素質量濃度及び酸素質量濃度は、任意の3カ所からサンプルを採取し、3回の測定の平均値を示したが、サンプルの採取場所や採取する数量は限定されない。
実施例1で得られた白金素線をさらに大気雰囲気中1000℃、1時間の熱処理を行なった(白金素線1‐Aという。)。このとき、窒素質量濃度は26ppmであった。ちなみに、酸素質量濃度は29ppmであった。また、同様に組織観察を行なった。図3に断面EBSD観察の画像、図4に長手方向EBSD観察の画像を示した。図1及び図2と、図3及び図4とを比較すると、結晶には大きな変化は無かったことがわかった。アスペクト比は、具体的には小さいもので5.1であった。
実施例1で得られた白金素線をさらに大気雰囲気中1400℃、1時間の熱処理を行なった(白金素線1‐Bという。)。このとき、窒素質量濃度は26ppmであった。ちなみに、酸素質量濃度は29ppmであった。また、同様に組織観察を行なった。図5に断面EBSD観察の画像、図6に長手方向EBSD観察の画像を示した。図1及び図2と、図3及び図4と、図5及び図6とを三者間で比較すると、結晶には大きな変化は無かったことがわかった。長手方向からは、結晶粒は素線太さ方向に若干の成長がみられた。アスペクト比は、具体的には小さいもので5.0であった。
実施例1の白金素線と白金素線1‐Aと白金素線1‐Bとを比較することで次のことがわかる。すなわち、一般的な金属の多結晶体の場合、熱処理温度が高いほど、また、熱処理時間が長いほど結晶粒は成長し、大きくなる傾向がある。三者を比較すると、この傾向から外れており、結晶粒の大きさがほぼ同じであり、熱処理がなされても結晶粒成長が抑えられるということがわかる。
次に、実施例1の白金素線についてクリープ破断時間の測定を行った。条件は1000℃、15MPa、大気雰囲気とした。この条件では、650時間を超えても破断しなかった。そこで、実施例1の白金素線について1400℃、15MPa、大気雰囲気の条件でクリープ破断時間を測定した。その結果、41分で破断した。実施例1の白金素線は1400℃においても十分な強度を有することがわかった。
さらに、実施例1の白金素線について、1100℃、15MPa、大気雰囲気の条件で、クリープ破断時間の測定を行った。この条件では、229時間で破断した。実施例1の白金素線は1100℃においても十分な強度を有することがわかった。
実施例1の白金素線を用いて比較校正試験を行い、熱電対の精度を確認した。また、実施例1の白金素線を1400℃、100時間暴露した後(白金素線1‐Cという。)、同様の比較校正を行い、ドリフトを確認した。なお、白金素線の対となる素線はPt‐13Rh 0.5mmφとした。その結果を図7に示した。図7によれば、JIS C 1602:1995の規定によるClass1の精度を十分満足し、ドリフトも問題のない高精度な熱電対であることが確認された。図7において、0Hrは実施例1の白金素線のデータであり、100Hrは白金素線1‐Cのデータである。
(比較例1)
高純度の白金粉末(白金純度4N)を5000g準備し、この白金粉末を真空溶解にて溶解して白金インゴット(90×28×68mm)を製作した。このインゴットの表面を切削や王水による薬品処理で清浄して不純物を取り除いた。このとき白金インゴットのガス分析装置による窒素質量濃度は検出限界以下であった。その後、大気中にて熱間鍛造して同様に白金インゴットの表面を切削や王水による薬品処理で表面を清浄した。この白金インゴットの窒素質量濃度は検出限界以下であった。次に大気中・室温にて溝ロール及びスウェージングをした。このとき、窒素質量濃度は検出限界以下であった。次に線引き機を用い0.5mmφの線径を有する線材を作製した。このとき、線材の窒素質量濃度は検出限界以下であった。次に加工時の歪み応力を除去するために、この線材を大気雰囲気中1000℃にて1時間熱処理を行ない、比較例1の白金素線を得た。この白金素線の窒素質量濃度は、検出限界以下であった(検出限界は9ppm未満である。)。また、比較例1で得られた白金素線について、GD−MASS分析装置を用いて不純物元素の混入について分析したところ、Znが0.1ppm、Feが1.8ppm、Ruが0.6ppm、Crが0.1ppm、Siが0.5ppm、Irが2.4ppm、Rhが1.9ppm、Pdが1.1ppm、Auが2.4ppmでこれらの不純物の合計が10.9ppm(質量濃度)であり、他の不純物を含めた総合計は14.2ppm(質量濃度)であった。また、同様に組織観察を行なった。図8に断面の光学顕微鏡観察の画像、図9に長手方向光学顕微鏡観察の画像を示した。図8及び図9によれば、比較例1の白金素線は組織のアスペクト比が小さく、いわゆる等軸晶となっている。図9の長手方向を見ると、アスペクト比は具体的には大きいものでも3.6であった。
比較例1で得られた白金素線をさらに大気雰囲気中1400℃、1時間の熱処理を行なった(白金素線1‐Dという。)。このとき、窒素質量濃度は検出限界以下であった。また、同様に組織観察を行なった。図10に断面の光学顕微鏡観察の画像、図11に長手方向の光学顕微鏡観察の画像を示した。図8及び図9と、図10及び図11とを比較すると、結晶粒が非常に大きく粗大化し、単結晶の如く成長していることがわかった。著しく結晶粒が粗大化しているためアスペクト比の測定はできなかった。
比較例1の白金素線と白金素線1‐Dとを比較することで次のことがわかる。すなわち、比較例1の白金素線では、実施例1の場合とは異なり熱処理がなされると結晶粒成長が抑えられていないことがわかる。
次に、比較例1の白金素線についてクリープ破断時間の測定を行った。条件は1000℃、15MPa、大気雰囲気とした。この条件では50分(0.8時間)で破断した。また、比較例1の白金素線について1400℃、15MPa、大気雰囲気の条件でクリープ破断時間を測定した。その結果、3分で破断した。比較例1の白金素線は強度が不十分であることがわかった。
(比較例2)
線径0.5mmφのジルコニア酸化物分散型強化白金の素線を準備した。白金素線の対となる素線をPt‐13Rh 0.5mmφとし、これらの素線の先端同士を、スポット溶接をした。図12に比較例2のスポット溶接部の反射電子像の画像を示した。画像中、丸い穴の中にジルコニア酸化物が凝集していることが分かった。すなわち、溶接によってジルコニア酸化物が凝集していることが観察された。このような凝集は、破壊の起点となるので、溶接部が破断しやすくなる。
(実施例2)
高純度の白金粉末(白金純度4N、BET比表面積0.195m/g、多孔質粉末、フルヤ金属製)を1000g準備し、この白金粉末を真空チャンバーに入れ、10Pa以下に真空引きした後、真空チャンバー内に窒素ガス(窒素ガス純度:4N)を入れ、白金粉末の表面(孔内の表面を含む)に窒素ガスを吸着させた。このとき、ガス分析装置による窒素質量濃度が103ppmであった。また、酸素質量濃度は389ppmであった。この白金粉末を、放電プラズマ焼結法を用いて真空中で焼結し、白金インゴット(40mmφ×40mmh)を製作した。このインゴットの表面を切削や王水による薬品処理で清浄して不純物を取り除いた。この白金インゴットの窒素質量濃度は84ppmであった。また、酸素質量濃度は73ppmであった。その後、大気中にて熱間鍛造して同様に白金インゴットの表面を切削や王水による薬品処理で表面を清浄した。この白金インゴットの窒素質量濃度は32ppmであった。また、酸素質量濃度は47ppmであった。次に大気中・室温にて溝ロール及びスウェージングをした。このとき、窒素質量濃度は47ppmであった。また、酸素質量濃度は48ppmであった。次に線引き機を用い0.5mmφの線径を有する線材を作製した。このとき、線材の窒素質量濃度は52ppmであった。また、酸素質量濃度は31ppmであった。次に加工時の歪み応力を除去するために、この線材を大気雰囲気中1000℃にて1時間熱処理を行ない、実施例2の白金素線を得た。この白金素線の窒素質量濃度は、52ppmであった。ちなみに、酸素質量濃度は31ppmであった。また、実施例2で得られた白金素線についてGD−MASS分析装置を用いて不純物元素の混入について分析したところ、Cdが0.1ppm、Znが0.1ppm、Cが2.0ppm、Feが4.2ppm、Ruが6.9ppm、Crが0.8ppm、Siが4.6ppm、Irが3.7ppm、Niが0.1ppm、Rhが1.1ppm、Cuが0.1ppm、Pdが1.5ppm、Auが0.3ppmでこれらの不純物の合計が25.5ppm(質量濃度)であり、他の不純物を含めた不純物総合計は26.8ppm(質量濃度)であった。次に組織のサイズを判別する為に組織観察を行った。図13に断面の光学顕微鏡観察の画像、図14に長手方向光学顕微鏡観察の画像を示した。図13の断面では結晶が等軸晶に近似しており粗大となっている。一方、図14の長手方向を見ると非常に大きなアスペクト比{(長軸の長さ)/(長軸に直交する短軸の長さ)}の有る組織となっており、5以上であることが観察できる。アスペクト比は、具体的には小さいもので6.8であった。また、結晶粒が素線太さ方向に複数個存在していた。
実施例2で得られた白金素線をさらに大気雰囲気中1000℃、1時間の熱処理を行なった(白金素線2−Aという。)。このとき、窒素質量濃度は51ppmであった。ちなみに、酸素質量濃度は31ppmであった。また、同様に組織観察を行なった。図15に断面の光学顕微鏡観察の画像、図16に長手方向光学顕微鏡観察の画像を示した。図13及び図14と、図15及び図16とを比較すると、結晶には大きな変化は無かったことがわかった。アスペクト比は、具体的には小さいもので6.2であった。
実施例2で得られた白金素線をさらに大気雰囲気中1400℃、1時間の熱処理を行なった(白金素線2‐Bという。)。このとき、窒素質量濃度は50ppmであった。ちなみに、酸素質量濃度は30ppmであった。また、同様に組織観察を行なった。図17に断面の光学顕微鏡観察の画像、図18に長手方向光学顕微鏡観察の画像を示した。図13及び図14と、図15及び図16と、図17及び図18とを三者間で比較すると、結晶には大きな変化は無かったことがわかった。長手方向からは、結晶粒は素線太さ方向に若干の成長がみられた。アスペクト比は、具体的には小さいもので5.7であった。
実施例2の白金素線と白金素線2‐Aと白金素線2‐Bとを比較することで次のことがわかる。すなわち、一般的な金属の多結晶体の場合、熱処理温度が高いほど、また、熱処理時間が長いほど結晶粒は成長し、大きくなる傾向がある。三者を比較すると、この傾向から外れており、結晶粒の大きさがほぼ同じであり、熱処理がなされても結晶粒成長が抑えられるということがわかる。
次に、実施例2の白金素線についてクリープ破断時間の測定を行った。条件は1100℃、15MPa、大気雰囲気とした。この条件では、410時間を超えても破断しなかった。実施例2の白金素線は十分な強度を有することがわかった。
実施例2の白金素線を用いて比較校正試験を行い、熱電対の精度を確認した。なお、白金素線の対となる素線はPt‐13Rh 0.5mmφとした。その結果、JIS C 1602:1995の規定によるClass1の精度を十分満足することが確認された。
(実施例3)
高純度の白金粉末(白金純度4N、BET比表面積0.195m/g、多孔質粉末、フルヤ金属製)を1000g準備し、この白金粉末を真空チャンバーに入れ、10Pa以下に真空引きした後、真空チャンバー内に窒素ガス(窒素ガス純度:4N)を入れ、白金粉末の表面(孔内の表面を含む)に窒素ガスを吸着させた。このとき、ガス分析装置による窒素質量濃度が109ppmであった。また、酸素質量濃度は375ppmであった。この白金粉末を、放電プラズマ焼結法を用いて真空中で焼結し、白金インゴット(40mmφ×40mmh)を製作した。このインゴットの表面を切削や王水による薬品処理で清浄して不純物を取り除いた。この白金インゴットの窒素質量濃度は84ppmであった。また、酸素質量濃度は64ppmであった。その後、大気中にて熱間鍛造して同様に白金インゴットの表面を切削や王水による薬品処理で表面を清浄した。この白金インゴットの窒素質量濃度は7ppmであった。また、酸素質量濃度は46ppmであった。次に大気中・室温にて溝ロール及びスウェージングをした。このとき、窒素質量濃度は15ppmであった。また、酸素質量濃度は25ppmであった。次に線引き機を用い0.5mmφの線径を有する線材を作製した。このとき、線材の窒素質量濃度は15ppmであった。また、酸素質量濃度は22ppmであった。次に加工時の歪み応力を除去するために、この線材を大気雰囲気中1000℃にて1時間熱処理を行ない、実施例3の白金素線を得た。この白金素線の窒素質量濃度は、15ppmであった。ちなみに、酸素質量濃度は22ppmであった。また、実施例3で得られた白金素線についてGD−MASS分析装置を用いて不純物元素の混入について分析したところ、Cdが0.1ppm、Znが0.1ppm、Cが9.1ppm、Feが4.9ppm、Ruが7.5ppm、Crが0.8ppm、Siが7.2ppm、Irが4.3ppm、Niが0.2ppm、Rhが1.2ppm、Cuが0.2ppm、Pdが1.9ppm、Auが0.2ppmでこれらの不純物の合計が37.7ppm(質量濃度)であり、他の不純物を含めた不純物総合計は38.9ppm(質量濃度)であった。次に組織のサイズを判別する為に組織観察を行った。図19に断面の光学顕微鏡観察の画像、図20に長手方向光学顕微鏡観察の画像を示した。図19の断面では結晶が等軸晶に近似しており粗大となっている。一方、図20の長手方向を見ると非常に大きなアスペクト比{(長軸の長さ)/(長軸に直交する短軸の長さ)}の有る組織となっており、5以上であることが観察できる。アスペクト比は、具体的には小さいもので5.6であった。また、結晶粒が素線太さ方向に複数個存在していた。
実施例3で得られた白金素線をさらに大気雰囲気中1000℃、1時間の熱処理を行なった(白金素線3−Aという。)。このとき、窒素質量濃度は16ppmであった。ちなみに、酸素質量濃度は23ppmであった。また、同様に組織観察を行なった。図21に断面の光学顕微鏡観察の画像、図22に長手方向光学顕微鏡観察の画像を示した。図19及び図20と、図21及び図22とを比較すると、結晶には大きな変化は無かったことがわかった。アスペクト比は、具体的には小さいもので5.4であった。
実施例3で得られた白金素線をさらに大気雰囲気中1400℃、1時間の熱処理を行なった(白金素線3‐Bという。)。このとき、窒素質量濃度は15ppmであった。ちなみに、酸素質量濃度は20ppmであった。また、同様に組織観察を行なった。図23に断面の光学顕微鏡観察の画像、図24に長手方向光学顕微鏡観察の画像を示した。図19及び図20と、図21及び図22と、図23及び図24とを三者間で比較すると、結晶には大きな変化は無かったことがわかった。長手方向からは、結晶粒は素線太さ方向に若干の成長がみられた。アスペクト比は、具体的には小さいもので5.2であった。
実施例3の白金素線と白金素線3‐Aと白金素線3‐Bとを比較することで次のことがわかる。すなわち、一般的な金属の多結晶体の場合、熱処理温度が高いほど、また、熱処理時間が長いほど結晶粒は成長し、大きくなる傾向がある。三者を比較すると、この傾向から外れており、結晶粒の大きさがほぼ同じであり、熱処理がなされても結晶粒成長が抑えられるということがわかる。
次に、実施例3の白金素線についてクリープ破断時間の測定を行った。条件は1100℃、15MPa、大気雰囲気とした。この条件では、15時間で破断した。実施例3の白金素線は十分な強度を有することがわかった。
実施例3の白金素線を用いて比較校正試験を行い、熱電対の精度を確認した。なお、白金素線の対となる素線はPt‐13Rh 0.5mmφとした。その結果、JIS C 1602:1995の規定によるClass1の精度を十分満足することが確認された。
(実施例4)
塩化白金酸溶液に塩化アンモニウム及びヒドラジンを用いて、強制的に窒素を含有させた白金粉末(白金純度4N、BET比表面積0.137m/g、多孔質粉末、フルヤ金属製)を1000g準備した。このとき、ガス分析装置による窒素質量濃度が123ppmであった。また、酸素質量濃度は173ppmであった。この白金粉末を、放電プラズマ焼結法を用いて真空中で焼結し、白金インゴット(40mmφ×40mmh)を製作した。このインゴットの表面を切削や王水による薬品処理で清浄して不純物を取り除いた。この白金インゴットの窒素質量濃度は99ppmであった。また、酸素質量濃度は56ppmであった。その後、大気中にて熱間鍛造して同様に白金インゴットの表面を切削や王水による薬品処理で表面を清浄した。この白金インゴットの窒素質量濃度は18ppmであった。また、酸素質量濃度は18ppmであった。次に大気中・室温にて溝ロール及びスウェージングをした。このとき、窒素質量濃度は30ppmであった。また、酸素質量濃度は12ppmであった。次に線引き機を用い0.5mmφの線径を有する線材を作製した。このとき、線材の窒素質量濃度は39ppmであった。また、酸素質量濃度は24ppmであった。次に加工時の歪み応力を除去するために、この線材を大気雰囲気中1000℃にて1時間熱処理を行ない、実施例4の白金素線を得た。この白金素線の窒素質量濃度は、39ppmであった。ちなみに、酸素質量濃度は24ppmであった。また、実施例4で得られた白金素線についてGD−MASS分析装置を用いて不純物元素の混入について分析したところ、Cが3.8ppm、Feが0.1ppm、Ruが0.1ppm、Siが0.1ppm、Irが3ppm、Rhが3.1ppm、Pdが0.3ppm、Auが1.1ppmでこれらの不純物の合計が11.6ppm(質量濃度)であり、他の不純物を含めた不純物総合計は12.8ppm(質量濃度)であった。次に組織のサイズを判別する為に組織観察を行った。図25に断面の光学顕微鏡観察の画像、図26に長手方向光学顕微鏡観察の画像を示した。図25の断面では結晶が等軸晶に近似しており粗大となっている。一方、図26の長手方向を見ると非常に大きなアスペクト比{(長軸の長さ)/(長軸に直交する短軸の長さ)}の有る組織となっており、5以上であることが観察できる。アスペクト比は、具体的には小さいもので17.5であった。また、結晶粒が素線太さ方向に複数個存在していた。
実施例4で得られた白金素線をさらに大気雰囲気中1000℃、1時間の熱処理を行なった(白金素線4−Aという。)。このとき、窒素質量濃度は40ppmであった。ちなみに、酸素質量濃度は28ppmであった。また、同様に組織観察を行なった。図27に断面の光学顕微鏡観察の画像、図28に長手方向光学顕微鏡観察の画像を示した。図25及び図26と、図27及び図28とを比較すると、結晶には大きな変化は無かったことがわかった。アスペクト比は、具体的には小さいもので7.3であった。
実施例4で得られた白金素線をさらに大気雰囲気中1400℃、1時間の熱処理を行なった(白金素線4‐Bという。)。このとき、窒素質量濃度は37ppmであった。ちなみに、酸素質量濃度は22ppmであった。また、同様に組織観察を行なった。図29に断面の光学顕微鏡観察の画像、図30に長手方向光学顕微鏡観察の画像を示した。図25及び図26と、図27及び図28と、図29及び図30とを三者間で比較すると、結晶には大きな変化は無かったことがわかった。長手方向からは、結晶粒は素線太さ方向に若干の成長がみられた。アスペクト比は、具体的には小さいもので6.5であった。
実施例4の白金素線と白金素線4‐Aと白金素線4‐Bとを比較することで次のことがわかる。すなわち、一般的な金属の多結晶体の場合、熱処理温度が高いほど、また、熱処理時間が長いほど結晶粒は成長し、大きくなる傾向がある。三者を比較すると、この傾向から外れており、結晶粒の大きさがほぼ同じであり、熱処理がなされても結晶粒成長が抑えられるということがわかる。
次に、実施例4の白金素線についてクリープ破断時間の測定を行った。条件は1100℃、15MPa、大気雰囲気とした。この条件では、503時間を超えても破断しなかった。実施例4の白金素線は十分な強度を有することがわかった。
実施例4の白金素線を用いて比較校正試験を行い、熱電対の精度を確認した。なお、白金素線の対となる素線はPt‐13Rh 0.5mmφとした。その結果、JIS C 1602:1995の規定によるClass1の精度を十分満足することが確認された。

Claims (3)

  1. 白金系熱電対の負極に用いる白金熱電対素線において、
    窒素質量濃度が10〜100ppmであり、
    素線長手方向の断面の組織観察によって、該素線長手方向に伸長したアスペクト比{(長軸の長さ)/(長軸に直交する短軸の長さ)}が5以上の結晶粒が素線太さ方向に複数個存在する組織が観察されることを特徴とする白金熱電対素線。
  2. 1400℃で1時間熱処理後の素線長手方向の断面の組織観察によって、該素線長手方向に伸長したアスペクト比{(長軸の長さ)/(長軸に直交する短軸の長さ)}が5以上の結晶粒が素線太さ方向に複数個存在する組織が観察されることを特徴とする請求項1に記載の白金熱電対素線。
  3. Cd、Sn、Zn、As、Sb、Pb、Bi、Se、Mo、C、S、P、Fe、Ru、Cr、Si、Ir、Ni、Rh、Cu、Pd、Ag、Auの合計質量濃度が50ppm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の白金熱電対素線。
JP2015020084A 2014-04-04 2015-02-04 白金熱電対素線 Active JP5722515B1 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015020084A JP5722515B1 (ja) 2014-04-04 2015-02-04 白金熱電対素線
KR1020167027113A KR101830562B1 (ko) 2014-04-04 2015-02-06 백금 열전대 소선
US15/128,826 US10113217B2 (en) 2014-04-04 2015-02-06 Platinum thermocouple wire
PCT/JP2015/053379 WO2015151581A1 (ja) 2014-04-04 2015-02-06 白金熱電対素線
TW104107979A TWI542861B (zh) 2014-04-04 2015-03-12 Platinum thermocouple line

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014077429 2014-04-04
JP2014077429 2014-04-04
JP2015020084A JP5722515B1 (ja) 2014-04-04 2015-02-04 白金熱電対素線

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP5722515B1 true JP5722515B1 (ja) 2015-05-20
JP2015200014A JP2015200014A (ja) 2015-11-12

Family

ID=53277917

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015020084A Active JP5722515B1 (ja) 2014-04-04 2015-02-04 白金熱電対素線

Country Status (5)

Country Link
US (1) US10113217B2 (ja)
JP (1) JP5722515B1 (ja)
KR (1) KR101830562B1 (ja)
TW (1) TWI542861B (ja)
WO (1) WO2015151581A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6520852B2 (ja) * 2015-09-18 2019-05-29 株式会社デンソー 温度センサ
JP6152463B1 (ja) * 2016-07-29 2017-06-21 株式会社フルヤ金属 熱電対
WO2019004273A1 (ja) * 2017-06-27 2019-01-03 株式会社C&A 金属部材
CN111155172A (zh) * 2020-01-14 2020-05-15 浙江清华柔性电子技术研究院 螺旋选晶器在制备电偶丝材料中的用途和电偶丝及其应用
JP7411190B2 (ja) 2020-03-30 2024-01-11 石福金属興業株式会社 耐熱白金

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012214874A (ja) * 2011-03-30 2012-11-08 Tanaka Kikinzoku Kogyo Kk FePt−C系スパッタリングターゲット及びその製造方法
JP2013104705A (ja) * 2011-11-11 2013-05-30 Tanaka Kikinzoku Kogyo Kk 白金系熱電対
JP2013195123A (ja) * 2012-03-16 2013-09-30 Furuya Kinzoku:Kk イリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB1139897A (en) * 1965-01-15 1969-01-15 Johnson Matthey Co Ltd Improvements in and relating to the treatment of platinum group metals and alloys
JP5187925B2 (ja) * 2008-05-28 2013-04-24 石福金属興業株式会社 導電材料
KR101047911B1 (ko) 2008-06-12 2011-07-08 임광현 용강의 온도 측정을 위한 온도센서 보호관용 질화규소계세라믹 복합재료 및 이를 이용한 온도센서용 보호관
JP2010032493A (ja) * 2008-06-25 2010-02-12 Ngk Spark Plug Co Ltd 温度センサ
DE102013203743A1 (de) * 2013-03-05 2014-09-11 Heraeus Precious Metals Gmbh & Co. Kg Verfahren zur Herstellung hochreinen Platinpulvers sowie Platinpulver erhältlich nach diesem Verfahren und Verwendung
US10281337B2 (en) * 2013-09-20 2019-05-07 Furuya Metal Co., Ltd. Thermocouple and manufacturing method for same

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012214874A (ja) * 2011-03-30 2012-11-08 Tanaka Kikinzoku Kogyo Kk FePt−C系スパッタリングターゲット及びその製造方法
JP2013104705A (ja) * 2011-11-11 2013-05-30 Tanaka Kikinzoku Kogyo Kk 白金系熱電対
JP2013195123A (ja) * 2012-03-16 2013-09-30 Furuya Kinzoku:Kk イリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対

Also Published As

Publication number Publication date
TW201546428A (zh) 2015-12-16
WO2015151581A1 (ja) 2015-10-08
TWI542861B (zh) 2016-07-21
KR101830562B1 (ko) 2018-02-20
US20170101700A1 (en) 2017-04-13
KR20160128396A (ko) 2016-11-07
US10113217B2 (en) 2018-10-30
JP2015200014A (ja) 2015-11-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5722515B1 (ja) 白金熱電対素線
JP5457018B2 (ja) 白金イリジウム合金及びその製造方法
EP3666914B1 (en) High strength/highly conductive copper alloy plate material and method for producing same
KR101627056B1 (ko) 백금계 열전대 및 Pt-PtRh계 열전대의 Pt 소선을 제조하는 방법
JP5232917B2 (ja) スパークプラグ
JP2009504917A (ja) スパークプラグ電極のための改善された表面を有する酸化物分散強化されたPt−Ir合金および他の合金からのワイヤ
KR20180125484A (ko) 구리 합금 및 그 제조 방법
EP3375897B1 (en) Copper alloy material
EP2617860A1 (en) Alloy material for high temperature service having excellent oxidation resistance properties, and process for production thereof
JP2006299410A (ja) Ni3Si−Ni3Ti−Ni3Nb系複相金属間化合物,その製造方法,高温構造材料
JP5325201B2 (ja) イリジウム含有合金からなる金属線材
EP3647441A1 (en) Metal member
Sun et al. Microstructural stability, defect structures and deformation mechanisms in a Ag 3 Sn/Cu 3 Sn alloy
US10323303B2 (en) Electrode material and electrode for ignition plug, and ignition plug
JP6308672B2 (ja) 白金ロジウム合金及びその製造方法
JP5757547B1 (ja) Rh基合金からなるプローブピン及びその製造方法
JP7411190B2 (ja) 耐熱白金
JP6604869B2 (ja) 白金パラジウムロジウム合金
JP7120389B1 (ja) 銅合金塑性加工材、銅合金線材、電子・電気機器用部品、端子
TWI818531B (zh) 塗佈圓線及其製造程序
EP4289986A1 (en) Al bonding wire for semiconductor devices
Lin et al. Failure Mechanism of R‐Type Temperature Sensor in Extreme Environments

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20150224

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150303

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150325

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5722515

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250