JP5720651B2 - 酸化第二銅粉及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明では、加熱工程S1に先立ち、硫酸銅溶液中で銅の電気分解を行うことによって電極表面に電解銅粉を析出させ、回収する電解銅粉回収工程S0をさらに含んでもよい。電解銅粉は、例えば、CuSO4・5H2O:5〜50g/L、遊離H2SO4:50〜250g/Lの浴組成で、電流密度5〜30A/dm2、浴温20〜60℃の条件で電解し、陰極上に電析させることによって製造できる。
本発明は、電解銅粉を空気雰囲気で加熱する加熱工程S1を含む。加熱工程により、電解銅粉が酸化され、酸化第二銅粉となる。
本発明は、加熱工程S1によって得られる酸化銅粉を15重量%以上65重量%以下のスラリー濃度に調整し、この調整後の酸化銅粉スラリーを粉砕する湿式粉砕工程S2を含む。粉砕処理には、媒体撹拌ミルを用いることが好ましい。媒体撹拌ミルを用いることで、平均粒子径を1μm以下にすることができる。粉砕後の酸化第二銅微粉末の平均粒子径が1μmを超えると、著しく溶解性が低下するため、好ましくない。
本発明は、湿式粉砕工程S2によって得られる酸化第二銅微粉末をスプレードライ法で乾燥するスプレードライ工程S3を含む。スプレードライ方式は、スラリーをスプレーノズル又は回転ディスクで液滴にし、それを熱風で乾燥させるものであり、スプレードライ方式を用いることで、熱風の温度や液滴の作製条件によって酸化第二銅微粉末を乾燥するだけでなく、ほぼ球状に造粒できる。
無作為にサンプリングした球形粒を走査電子顕微鏡で拡大した画像を撮影し、50個の球形粒について長軸の長さ(長径)と長軸の中点から垂直に引いた短軸の長さ(短径)を測定する。短径に対する長径の比(短径/長径)を求め、50個の平均値を算出する。
まず、8g/LのCuSO4・5H2Oと、55g/Lの遊離H2SO4とを含有する硫酸銅水溶液を用いて、通電電流密度10A/dm2、浴温25℃の条件で電解銅粉を調製した。この電解銅粉を十分に水洗した後、乾燥器を用いて105℃の温度で一晩乾燥した。そして、熱処理設備を用いて電解銅粉を空気雰囲気下で加熱した。
湿式粉砕で用いるビーズとして直径0.3mmのジルコニア粒子を用いたこと、該湿式粉砕においてスラリー濃度を20重量%、50重量%又は65重量%に調整したこと以外は実施例1に記載の方法と同じ方法にて、実施例2〜4に係る酸化第二銅粉を得た。
湿式粉砕で用いるビーズとして直径0.3mmのジルコニア粒子を用い、溶媒としてエタノールを使用したことそれ以外は実施例1に記載の方法と同じ方法にて、実施例5に係る酸化第二銅粉を得た。
湿式粉砕で用いるビーズとして直径0.3mmのジルコニア粒子を用いたこと、該湿式粉砕においてスラリー濃度を13重量%又は70重量%に調整したこと以外は実施例1に記載の方法と同じ方法にて、比較例1,2に係る酸化第二銅粉を得た。
湿式粉砕後におけるスラリー状の酸化第二銅微粉末を、媒体流動式乾燥装置SFD(大川原製作所社製)を用いて乾燥したこと以外は、実施例1と同じ方法にて、比較例3に係る酸化第二銅粉を得た。乾燥の際、媒体として5mmのアルミナボールを使用し、熱風温度は200℃とした。
湿式粉砕後の酸化第二銅微粉末の1次粒子平均粒子径を測定した。本明細書では、平均粒子径は、レーザー粒度分布測定器マクロトラック(日機装社製)を用いて測定した、体積球相当径によるものとする。結果を表2に示す。なお、本明細書では、湿式粉砕後であるが、乾燥前の粒子と、湿式粉砕後であり、乾燥・造粒後の粒子とを区別するため、前者を1次粒子といい、後者を2次粒子という。
湿式粉砕後の酸化第二銅微粉末スラリーの粘度は、25℃の条件下で粘度計TVB−10M(東機産業社製)を用いることによって測定した。結果を表2に示す。
実施例及び比較例に係る酸化第二銅微粉末(湿式粉砕後であって、粉砕後乾燥前の酸化第二銅微粉末)に対し、X線回折を行った。結果の一例を図3に示す。図3は、実施例1に係る酸化第二銅微粉末のXRDパターンである。このパターンにおいてCuO単一相が確認された試料は黒色を呈した。また、電解重量分析の結果、CuO濃度は99.6重量%であった。なお、図示は省略するが、他の実施例及び比較例に係る酸化第二銅微粉末も同様のXRDパターンを示した。また、これらのパターンにおいてCuO単一相が確認された試料は黒色を呈することが確認され、電解重量分析の結果、CuO濃度が99.6重量%であることも確認された。
実施例及び比較例に係る酸化第二銅粉(湿式粉砕し、さらに乾燥した後の酸化第二銅粉)の形状を、走査顕微鏡画像(以下「SEM画像」という。)を用いて確認した。一例として、実施例1に係る酸化第二銅粉のSEM画像を図4に示し、比較例3に係る酸化第二銅粉のSEM画像を図5に示す。
実施例で形成した酸化銅の2次粒子の真球度は、無作為にサンプリングした酸化銅粉をSEMによって写真撮影し、球形粒の短軸と長軸との比とし、50個の酸化銅粉の平均値を算出することによって測定した。50個の酸化銅粉について長軸の長さ(長径)と長軸の中点から垂直に引いた短軸の長さ(短径)を測定し、短径に対する長径の比(短径/長径)を求め、50個の平均値を算出することで真球度を求めた。結果を表2に示す。
酸化第二銅粉の2次粒子平均粒子径を測定した。測定手法は、1次粒子平均粒子径の測定手法と同じである。結果を表2に示す。
酸化第二銅粉の流動性は、実施例及び比較例に係る酸化第二銅粉(湿式粉砕し、さらに乾燥した後の酸化第二銅粉)の安息角を測定することによって行った。結果を表2に示す。安息角が低いほど流動性に優れるため、本発明において、安息角は50°以下であることが好ましく、40°以下であることがより好ましい。
めっき液に対する溶解性は、実施例及び比較例に係る酸化第二銅粉(湿式粉砕し、さらに乾燥した後の酸化第二銅粉)を500℃、1時間の条件で加熱した後、加熱後の酸化第二銅粉10gを室温にてスターラーで撹拌しながらめっき液に添加してから該酸化第二銅粉が完全に溶解するまでの時間を測定することによって評価した。めっき液は、68g/LのCuSO4・5H2Oと、228g/Lの遊離H2SO4と、60mg/Lの塩化物イオンとを含有する溶液とした。結果を表2に示す。
Claims (8)
- 電解銅粉を空気雰囲気で加熱する加熱工程と、
前記加熱工程によって得られる酸化銅粉を15重量%以上65重量%以下のスラリー濃度に調整し、該調整後の酸化銅粉スラリーを粉砕する湿式粉砕工程と、
前記湿式粉砕工程によって得られる酸化第二銅微粉末をスプレードライ法で乾燥するスプレードライ工程とを含む、酸化第二銅粉の製造方法。 - 前記加熱工程に先立ち、硫酸銅溶液中で銅の電気分解を行うことによって電極表面に電解銅粉を析出させ、回収する電解銅粉回収工程をさらに含む、請求項1に記載の酸化第二銅粉の製造方法。
- 前記加熱工程において、前記電解銅粉を空気雰囲気で500℃以上、900℃以下で加熱する、請求項1又は2に記載の酸化第二銅粉の製造方法。
- 前記湿式粉砕工程において、前記酸化銅粉スラリーを1次粒子平均粒径1μm以下に粉砕する、請求項1から3のいずれかに記載の酸化第二銅粉の製造方法。
- 前記酸化第二銅微粉末スラリーの粘度が8,000mPa・s以下である、請求項1から4のいずれかに記載の酸化第二銅粉の製造方法。
- 前記酸化第二銅粉は、2次粒子平均粒子径が20μm以上100μm以下であり、真球度が0.8以上である、請求項1から5のいずれかに記載の酸化第二銅粉の製造方法。
- 前記スプレードライ工程では、スプレードライ装置のディスク回転速度を10,000rpm以上50,000rpm以下の範囲に調整する、請求項1から6のいずれかに記載の酸化第二銅粉の製造方法。
- 前記スプレードライ工程における乾燥温度は100℃以上400℃以下である、請求項1から7のいずれかに記載の酸化第二銅粉の製造方法。
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