JP6056709B2 - 酸化第二銅粉及び酸化第二銅微粉末の製造方法 - Google Patents

酸化第二銅粉及び酸化第二銅微粉末の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、酸化第二銅粉及び酸化第二銅微粉末の製造方法に関する。
酸化第二銅粉は、顔料、塗料、触媒、陶磁器の着色剤や銅めっき液の補給用銅源等に用いられ、その製造方法は、湿式法と乾式法に大別される。
湿式法の一例として、塩化第二銅や硫酸銅の水溶液に水酸化ナトリウムを加えて水酸化銅を生成させた後、この水酸化銅を加熱することが挙げられる(特許文献1参照)。より詳しくは、塩化第二銅を含むプリント基板のエッチング廃液を水酸化ナトリウムで中和し、その中和した銅溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを、温度40〜50℃に保持した水溶液中に同時に滴下混合して、その混合した水溶液のpHを弱酸性から弱アルカリ性の範囲に維持しながら銅の水和物を生成させる。次いで、pHを12〜13に調製し、70〜80℃の温度に30分間保持した後、水洗、固液分離して酸化第二銅を製造することが挙げられる。
湿式法の他の一例として、硫酸銅水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを30℃以下の温度で反応させて水酸化第二銅を生成し、この水酸化第二銅を60〜80℃の温度に加熱、熟成して酸化第二銅を形成することが挙げられる(特許文献2参照)。一般に、湿式法で製造された酸化第二銅粉末は、銅めっき液への溶解性が速いという利点を有する。
しかしながら、特許文献1に記載の方法で用いる原料のエッチング廃液には、プリント基板をエッチングするときに溶解した銅以外の含有成分や水酸化ナトリウムから副生した塩化ナトリウム等の塩化物が含まれる。また、特許文献2に記載の方法で用いる原料の硫酸銅には硫黄成分が含まれる。これら銅以外の含有成分や塩化物、硫黄(以下、「不純物」ともいう。)を分離するための洗浄が欠かせず、コストや排水処理の手間の増加等の点で課題を有する。そして、上記の不純物を水洗で除去するには限界がある。このため、製造した酸化第二銅をめっき液に繰り返し、廃めっき液から酸化第二銅を再生することを繰り返すにつれて、不純物がめっき液中に蓄積し、その結果めっき皮膜特性が劣化する課題を有する。
一方、乾式法の一例として、硝酸銅、硫酸銅、炭酸銅、水酸化銅等を空気中で600℃程度の温度に加熱して熱分解する方法が挙げられる(非特許文献1参照)。一般に、乾式法は、湿式法に比べ、得られる酸化第二銅の純度が高いという利点を有する。
しかしながら、乾式法では、その加熱温度が高いため、酸化第二銅粉末どうしで焼結しやすく、酸化第二銅粉末が粗大化してめっき液への溶解速度が極めて遅くなることがあり得る。粉末冶金用途としての酸化第二銅において、粒子径が5μm以下であることが求められていることからも、酸化第二銅粉末の焼結を防止することが必要である。
これは、銅をめっき液に供給するにあたり、溶解性も重要な特性であるためである。これは、めっき液への銅の供給は短時間で行われるため、高い溶解性が必要であるとともに、未溶解で残渣となる酸化第二銅粉がめっき液に残留すると、酸化第二銅の粒子がめっき基板表面に付着してめっき皮膜の異常が発生するためである。
溶解性の良好な粉末としては、微細な粉末状態であることが好ましい。しかしながら、乾式法で得られた酸化第二銅粉は、上記のように、焼結によって粒子が大きくなるため、加熱前あるいは加熱後に粉砕する処理が必要となる。特に上記のように金属銅を原料に用いた場合、金属銅は柔らかく延性を持つため、加熱処理前に細かく粉砕することは難しい。
このため、事前の粉砕なしに加熱だけで完全に酸化第二銅まで酸化するには、より高温に加熱する必要がある。しかし、高温での熱処理によって再び銅粒子の焼結が発生するため、熱処理後に粉砕する必要が生じる等効率的な方法ではなかった。
ところで、乾式法の問題点を解決するため、銅粉を350℃〜800℃の温度条件で酸化して酸化第二銅にした後に粉砕し、それをさらに350℃〜800℃の温度で処理することで高純度の酸化第二銅粉を得る方法が提案されている(特許文献3参照)。特許文献3では、粉砕方法として媒体撹拌ミルや気流式ミル等が示されており、得られる酸化第二銅粉末の比表面積が1m/g〜50m/gの範囲で平均粒子径が20nm〜1100nmの範囲であるものがめっき液への溶解性が優れていることが示されている。
ところで、金属銅の粉末を加熱処理した場合、完全に酸化第二銅まで反応を終結するためには、細かな径である方が中心部分まで酸化が進行しやすい。しかしながら、細かい金属銅粉を空気雰囲気下で加熱すると、上述したように、酸化による発熱反応で銅粉どうしが焼結して粗大な粒子となり、中心部分まで酸化ができない場合がある。このように、焼結を防ぎながら酸化を進めることが必要となる。
粉末の酸化を進める手法として、ロータリーキルン内に回転子を入れて、ロータリーキルン内にある粉末を撹拌し反応ガスとの接触を良好にする方法が提案されている(特許文献4参照)。この方法は、3枚羽根の回転子をロータリーキルン内に装入し、その3枚羽根のうち2枚の羽根がロータリーキルン内壁と接触している状態でロータリーキルンが回転することで、ロータリーキルン内の粉末をかき上げ、このことで反応ガスとの接触を良好にしようとするものである。
特開平5−319825号公報 特開平3−80116号公報 特開2012−144414号公報 特開平11−139829号公報
第4版実験化学講座 無機化合物
しかし、特許文献4の方法で金属銅粉を酸化焙焼すると、容易に焼結が進行し大きな塊となって酸化が進行しないこととなる。すなわち、銅粉の場合、上述したように酸化に伴う発熱で、接触している銅粉どうしが焼結して塊となるためである。そのため、焼結が進行しても塊を細かく砕く機構も必要となる。
本発明は、高純度な酸化第二銅粉を工業的に効率良く、また低コストで製造するための問題点、すなわち、めっき液への溶解性に着目してなされたもので、その課題とするところは、酸化第二銅の純度が高く、かつ、めっき液への溶解性が高い酸化第二銅粉及び酸化第二銅微粉末を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、3枚又は4枚の羽根で構成された一定の大きさの回転子を有するロータリーキルンに電解銅粉を装入し、酸化することで上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する。
(1)本発明は、3枚又は4枚の羽根で構成された回転子を有するロータリーキルンに電解銅粉を装入し、酸化する酸化工程を含み、前記羽根が4枚である場合、前記回転子の羽根の長さをL、ロータリーキルンの内径をRとするときのL/Rが0.6以下である、酸化第二銅粉の製造方法である。
(2)また、本発明は、前記L/Rが0.1以上0.6以下である、(1)に記載の製造方法である。
(3)また、本発明は、前記ロータリーキルンが前記回転子の位置を調整する構造物を有する、(1)又は(2)に記載の製造方法である。
(4)また、本発明は、(1)から(3)のいずれかに記載の製造方法によって得られた酸化第二銅粉を平均粒径が1μm以下になるまで湿式粉砕する、酸化第二銅微粉末の製造方法である。
(5)また、本発明は、(1)から(4)のいずれかに記載の製造方法によって得られた酸化第二銅粉を平均粒径が10μm以下になるまで乾式粉砕する、酸化第二銅微粉末の製造方法である。
本発明によると、純度が高く、かつ、めっき液への溶解性が高い酸化第二銅粉を提供できる。
本発明の実施に好適なロータリーキルン1の概略斜視図である。 羽根21の枚数が3枚である場合における回転子2の概略斜視図である。 羽根21の枚数が4枚である場合における回転子2の概略斜視図である。 ロータリーキルン1の概略正面図である。 堤防3の好適な一例を示す。 堤防3の好適な他の一例を示す。 本発明の実施例で用いた電解銅粉のSEM画像の写しである。 本発明の実施例に係る酸化第二銅粉をX線回折したときの結果を示す。 本発明の比較例に係る酸化第二銅粉をX線回折したときの結果を示す。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<酸化第二銅粉の製造方法>
本発明では、3枚又は4枚の羽根で構成された一定の大きさの回転子を有するロータリーキルンに電解銅粉を装入し、酸化して酸化第二銅粉を製造する。
[ロータリーキルン1]
図1は、本発明の実施に好適なロータリーキルン1の概略斜視図である。ロータリーキルン1には、回転子2が挿入されている。また、必須の構成ではないが、図1に示すように、回転子2が複数挿入されている場合、回転子2がロータリーキルン1の長手方向に移動(ずり落ち)することを防止するため、ロータリーキルン1は、回転子2の位置を調整する構造物(堤防3)を備えることが好ましい。
回転子2の材質は、電解銅粉の加熱温度(400℃から900℃)に対して耐食性を有するものであれば特に限定されず、工業的にはステンレス製等が適している。
図2は、羽根21の枚数が3枚である場合における回転子2の概略斜視図であり、図3は、羽根21の枚数が4枚である場合における回転子2の概略斜視図である。回転子2は、3枚又は4枚の羽根21で構成される。羽根21の枚数が5枚以上であると、回転子2の回転は良好であるが、電解銅粉を粉砕するエネルギーが小さくなり、結果として電解銅粉の粉砕効率が下がるため、好ましくない。
図4は、ロータリーキルン1の概略正面図である。回転子2の羽根21の長さをLとし、ロータリーキルン1の内径をRとしたときのL/Rの大きさは特に限定されるものでないが、特に羽根21が4枚であるとき、L/Rは0.6以下であることが好ましい。
また、羽根21が3枚であっても4枚であっても、L/Rは0.1以上0.6以下であることがより好ましい。L/Rが大きすぎると、回転子2が大きすぎる結果、ロータリーキルン1の内部における回転子2の回転が良好でなくなり、結果として電解銅粉の粉砕効率が下がる。L/Rが小さすぎると、回転子2が小さすぎる結果、この場合も電解銅粉の粉砕効率が下がる。
図1に戻る。対象物の処理量を多くするため、一般的にロータリーキルン1は長い加熱ゾーンを持つ。そして、対象物を効率よく酸化するため、ロータリーキルン1は複数に区切られた加熱ゾーンを持つ。対象物を最適かつ効率的に酸化するため、ロータリーキルン1における炉内の温度分布を均一に保つとは限らない。回転子2の長さがロータリーキルン1の全長と略同じ長さであり、1つの回転子2がロータリーキルン1に挿入されている場合、ロータリーキルン1の動きと回転子2の動きとの間にズレが生じ、回転子2がねじれたようになり、ロータリーキルン1の内部における回転子2のさらなる回転が阻害されることがある。
そこで、回転子2の長さは、ロータリーキルン1の全長を数分割した長さとし、その回転子2をロータリーキルン1に複数装入することが好ましい。このようにすることで、ロータリーキルン1の長さ方向におけるねじれの影響で回転子2の回転が阻害されることを抑制でき、結果として電解銅粉を効率よく酸化できる。
ロータリーキルン1に挿入される回転子2の数や間隔は特に限定されるものでなく、ロータリーキルン1の長さや処理量等によって適宜選択すればよい。また、複数の回転子2は、ロータリーキルン1の内部において揃って回転する必要はない。
ところで、電解銅粉又は酸化第二銅粉を一定の速度で流動させるため、ロータリーキルン1は、一定の角度で傾斜された状態で載置されることが好ましい。この場合、高い位置の端部から処理前の原料(電解銅粉)が供給され、低い位置の端部から処理後物(酸化第二銅粉)が排出される。
回転子2が好適に回転できるようにするため、複数の回転子2は互いに一定の距離をおいて設けられることが好ましいが、上述のようにロータリーキルン1は一定の角度で傾斜された状態で載置されているため、回転子2が複数挿入されていると、ロータリーキルン1の傾斜に沿って回転子が下がり、それぞれの回転子2が接触する可能性がある。そこで、回転子2が複数挿入されている場合、ロータリーキルン1は、回転子2の位置を調整する構造物(堤防3)を備えることが好ましい。
堤防3の材質は、電解銅粉の加熱温度(400℃から900℃)に対して耐食性を有する金属であれば特に限定されないが、ロータリーキルン1と同じ材質であることを考慮すると、ロータリーキルン1の内壁の材質と同じにすることが好ましい。
また、堤防3の厚さ(幅)は特に限定されるものでないが、複数の回転子2が互いに接触しない程度であることが好ましい。
ところで、従来から、対象物がショートパスしないようにするため、ロータリーキルン1の内部に堤防3を設けることはあったが、回転子2がロータリーキルン1の長手方向に移動(ずり落ち)することを防止するために堤防3を設けることはなかった。本発明において、堤防3は、回転子2がロータリーキルン1の長手方向に移動(ずり落ち)することを防止するための構造物であり、この点で本発明は新規である。
図5は、堤防3の好適な一例を示し、図6は、堤防3の好適な他の一例を示す。本発明では、回転子2の一部が堤防3に引っかかるか、堤防3をまたぐ構造としている。堤防3は、電解銅粉又は酸化第二銅粉がロータリーキルン1内部での流動性を阻害するものであってはならない。このため、ロータリーキルン1の内壁と堤防3との間には隙間4を設けられている。隙間4の広さは、電解銅粉又は酸化第二銅粉が滞留することなく、ロータリーキルン1の下流に向けて流れることができる程度であれば、特に限定されるものではない。
[電解銅粉]
電解銅粉の種類は特に限定されるものでないが、例えば、硫酸銅5水和物が5〜50g/Lであり遊離硫酸濃度が50〜250g/Lである浴組成とし、電流密度5〜30A/dm、浴温度が20〜60℃の条件で電解し、陰極上に銅を粉状に電析させたもの等が挙げられる。
電解銅粉をロータリーキルン1に供給する方法として、酸素又は空気雰囲気の気流とともに電解銅粉をロータリーキルン1に導入してもよいし、窒素ガスをはじめとした不活性なガスを混ぜたキャリアガスとともに電解銅粉をロータリーキルン1に導入してもよい。
[加熱条件]
電解銅粉は、空気又は純酸素等の酸素を含有する雰囲気下において400℃から900℃の温度条件で加熱することで酸化し、酸化第二銅粉とする。電解銅粉は完全に酸化第二銅に酸化する必要があるが、加熱処理する設備の形態等によっては温度を徐々に上昇させても良いし、短時間で上記温度に維持された炉内に投入しても良い。
本発明では、電解銅粉を酸化する際、3枚又は4枚の羽根21を有する回転子2が装入されたロータリーキルン1を用いていることを特徴とする。本発明では、ロータリーキルン1の回転と同時に回転子2が回転し、回転子2の羽根21が回転子2の回転に伴って動くことで、羽根21によって銅粉を救い上げて撹拌する。この撹拌が電解銅粉の酸化の進行を補助し、さらに羽根21の先端がロータリーキルン1の内壁に接した際に酸化第二銅粉を粉砕することで、酸化第二銅粉が焼結することを防止する。これにより、電解銅粉が完全な酸化第二銅粉になるまで反応を進行させることができる。
<酸化第二銅微粉末の製造方法>
上記の酸化第二銅粉を湿式又は乾式で粉砕することにより、酸化第二銅微粉末を得ることができる。
[湿式粉砕]
〔粉砕〕
湿式粉砕は、より細かい酸化第二銅微粉末を得たい場合に好適である。酸化第二銅粉を平均粒径が1μm以下になるまで湿式粉砕することで、めっき用銅補加用として好適な酸化第二銅微粉末を得ることができる。
湿式粉砕する場合、媒体撹拌ミルを用いることが好ましい。この媒体撹拌ミルを用いることで、平均粒子径を1μm以下にすることができる。媒体撹拌ミルは、ビーズ等の粉砕媒体と粉砕する酸化第二銅粉と溶媒を含むスラリーに撹拌により運動エネルギーを与え、酸化第二銅粉どうしの衝突や粉砕媒体と酸化第二銅粉のせん断応力により微粉末を得る装置である。
媒体撹拌ミルの撹拌機構は、ビーズのせん断応力が酸化第二銅粗粉末に効率よく伝達されれば良く、その機構や形状は特に限定されない。
粉砕媒体であるビーズ径は、目的とする酸化第二銅微粉末の最終粒子径によって選択することが一般的であるが、好ましくは直径1mm以下である。直径1mm以下であれば、粒子を微細に砕く効率が高くなる。
ビーズ径は、小さいほど粉砕スピードが速く、粉砕される酸化第二銅粉末の粒子径も小さくなる。特に、めっき液への溶解性が高い粒子径に粉砕することを考えると、直径0.5mm以下のビーズを用いることが好ましい。
ビーズの材質は特に限定されないが、例えば比重が小さいガラスビーズや、比重が大きいZrO2ビーズ、YSZビーズが挙げられる。中でも比重が大きいビーズは、粉末砕効率が高く、摩耗が少ない等の特徴があり特に好ましい。
媒体撹拌ミルは、特に限定されず、例えばビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、超音波ホモジナイザー等が挙げられる。なお、粉砕条件は、特に限定されるものではなく、得られる酸化第二銅微粉が所望の平均粒子径となるように適宜選択すればよい。
粉砕時に使用する溶媒は、特に限定されるものではなく、例えば、水、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル等のエーテル類、エステル類、又はアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン等のケトン類といった各種の有機溶媒が使用可能である。
〔乾燥〕
酸化第二銅粉を湿式粉砕した場合、湿式粉砕した後に酸化第二銅微粉末を乾燥する必要がある。乾燥の手法は特に限定されるものでなく、溶媒を加熱によって蒸発させるものであればよいが、工業的にはスプレードライやスラリードライ等が適している。
[乾式粉砕]
乾式粉砕は、10μm以下の比較的大きな粒子の酸化第二銅微粉末を得たい場合に好適である。酸化第二銅粉を平均粒径が10μm以下になるまで乾式粉砕することで、粉末冶金用として好適な酸化第二銅微粉末を得ることができる。
乾式粉砕としてはアルミナビーズ等のメディアを使用して粉砕する方法と、メディアを使用しないでノズルから噴射される高圧の空気や蒸気又は水を超高速ジェットとして粒子を飛ばし、粒子どうしの衝撃や衝突板に衝突させることによって10μm以下の粒子にまで粉砕する方法が利用できる。
上記のようなメディアを使用して粉砕する方法としては、媒体撹拌ミルと同様にビーズのせん断応力が酸化第二銅粗粉末に効率よく伝達されれば良く、その機構や形状は特に限定されない。また、粉砕媒体であるビーズの大きさは、目的とする酸化第二銅微粉末の最終粒子径によって選定することが一般的であるが、媒体撹拌ミルよりは直径が大きく、好ましくは1mm以上、直径10mm以下であれば、粒子を微細に砕く効率が高くできて好ましい。
一方、メディアを使用しないで粉砕する方法としてはジェットミルがあるが、その機構や条件は特に限定されるものではなく、目的とする酸化第二銅微粉末の最終粒子径によって、使用する圧力やノズル形状等選択することが一般的である。
また、高速に回転する回転羽根によって粉砕する乾式粉砕法を利用することもできる。例えば、サイクロンミルは、高速に回転するインペラ中に酸化第二銅粉を投入することで、インペラとの衝突とインペラの周りの高速旋回気流中で酸化第二銅粉が互いに衝突して粉砕が進行する方法も利用できる。
この方法においてもその機構や条件は特に限定されるものではなく、目的とする酸化第二銅微粉末の最終粒子径によって、使用するインペラの回転速度等選択することが一般的である。
なお、乾式粉砕する場合、溶媒等を用いないため、粉砕後の酸化第二銅微粉末を乾燥する必要はない。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。
<電解銅粉の調製>
硫酸銅溶液として、硫酸銅5水和物(CuSO・5HO)濃度が8g/L、遊離硫酸(HSO)濃度が55g/Lの組成の硫酸溶液を用いた。アノードには純度99.99%の電気銅を切断したものを用い、カソードにはステンレス板を用いた。アノードとカソードは濾布を隔てて電極面間が150mmになる間隔で設置した。通電電流密度は10A/dm、浴温25℃の条件として通電し、電解銅粉を作製した。回収した電解銅粉は、水洗による洗浄を十分に実施した後、乾燥器を用いて105℃の温度で一晩乾燥した。
図7は、乾燥後の電解銅粉の走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。画像から算出した乾燥した電解銅粉の平均粒径は46μmであった。
<実施例及び比較例>
[酸化第二銅粉の調製]
上記の手法で得た乾燥後の電解銅粉を直径600mm、長さ6000mmの電気炉による外熱式ロータリーキルンを用いて800℃で空気を毎分1リットルで供給しながら2時間加熱し、酸化焙焼した。ロータリーキルンの加熱ゾーンは4ゾーンに分割されており、それぞれのゾーンに回転子を挿入した。回転子は接触しないように堤防で仕切り、酸化銅が滞留せずに流動するように堤防に隙間を設けた。ロータリーキルンは毎分1回転させた。
羽根の枚数及び挿入した回転子の大きさ(L/R)は表1に示すとおりとし、電解銅粉をロータリーキルンで酸化焙焼した。これにより、実施例及び比較例に係る酸化第二銅粉を得た。
[酸化第二銅微粉末の調製]
〔湿式粉砕〕
実施例1〜7及び比較例1〜4に係る酸化第二銅粉について、媒体撹拌ミルである湿式ビーズミルRMH−03(アイメックス社製)を用いて粉砕を行った。使用したビーズは直径0.5mmのジルコニアを用い、溶媒には水を用いてスラリー濃度40wt%に調整後粉砕した。粉砕した酸化第二銅微粉末の平均粒子径は顕微鏡写真を用いて判別した値で0.3μmであった。
〔乾式粉砕〕
実施例8に係る酸化第二銅粉をジェットミルSJ−2500(日清エンジニアリング製)を用いて乾式粉砕した。粉砕条件は空気圧0.8MPaで3本ノズルを使用して粉砕した。粉砕した酸化第二銅微粉末の平均粒子径は2.1μmであった。
[評価]
〔酸化第二銅粉の酸化の程度〕
酸化第二銅粉の酸化の程度を確かめるため、実施例及び比較例に係る酸化第二銅粉について、X線回折で確認した。完全に酸化第二銅だけのピークを示す場合を“○”とし、一部に酸化第一銅又は金属銅のピークが含まれる場合を“△”とし、酸化第一銅又は金属銅のピークが含まれる場合を“×”とした。結果を表2に示す。なお、図8は、評価が“○”である場合のX線回折結果の例であり、図9は、評価が“×”である場合のX線回折結果の例である。
〔湿式粉砕後の酸化第二銅微粉末の溶解特性〕
実施例1〜7及び比較例1〜4について、湿式粉砕後の酸化銅微粉末をめっき液に溶解して溶解特性を評価した。めっき液組成としては、硫酸銅5水和物:68g/L、硫酸:228g/L、塩化物イオン:60mg/Lとなるように調製し、室温にてスターラーで撹拌しながら、10gの酸化銅微粉末を添加して1分間溶解し、その後溶液をろ過して溶解残渣の重量を測定した。溶解後の溶液が透明で残渣重量が0.1g未満である場合を“○”とし、溶解後の溶液にやや濁りがあり、残渣が0.1g未満である場合を“△”とし、溶解後の溶液に濁りがあり、残渣重量が0.1g以上である場合を“×”とした。結果を表2に示す。
〔乾式粉砕後の酸化第二銅微粉末の状態〕
実施例8について、仕上げ還元を行っていない鉄粉(製品名:DOWA−NC,同和鉄粉工業社製)1kgに対し、乾式粉砕後の酸化第二銅微粉末0.31gをサンプルミルで混合し、還元雰囲気の温度700℃で還元してできた鉄粉の状態をSEM観察で確認した。結果を表2に示す。
ロータリーキルンに挿入された回転子の羽根の枚数が3枚である場合、あるいは4枚であるが、回転子の羽根の長さをL、ロータリーキルンの内径をRとするときのL/Rが0.6以下である場合、電解銅粉から完全に酸化第二銅粉の形態に酸化焙焼できることが確認された(実施例)。また、この酸化第二銅粉を湿式粉砕した後の酸化第二銅微粉末をめっき液に溶解した場合、溶解残渣の少ないめっき液を得、めっき用銅補加用として利用できることが確認された(実施例1〜7)。
また、鉄粉に、乾式粉砕後の酸化第二銅微粉末を混合すると、鉄粉表面に金属銅が均一に拡散付着されることが確認された(実施例8)。これにより、本発明の酸化第二銅粉を乾式粉砕すると、粉末冶金用として好適であることが確認された。
一方、ロータリーキルンに3枚又は4枚の羽根で構成された回転子を設けなかった場合、酸化第二銅粉は不純物を含むものであった(比較例1)。また、この酸化第二銅粉を湿式粉砕した後の酸化第二銅微粉末をめっき液に溶解した場合、溶解残渣がみられた(比較例1)。また、羽根の枚数が多すぎる場合(比較例2、3)や、羽根の枚数が4枚であるが、回転子の大きさが適切でない場合(比較例4)もまた、酸化第二銅粉の純度が十分でないことが確認された。
1 ロータリーキルン
2 回転子
3 堤防
4 隙間
21 羽根

Claims (4)

  1. 3枚又は4枚の羽根で構成された回転子を有するロータリーキルンに電解銅粉を装入し、該羽根により電解銅粉を粉砕しながら酸化する酸化工程を含み、
    記回転子の羽根の長さをL、ロータリーキルンの内半径をRとするときのL/Rが0.1以上0.6以下である、酸化第二銅粉の製造方法。
  2. 前記ロータリーキルンが前記回転子の位置を調整する構造物を有する、請求項1に記載の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の製造方法によって得られた酸化第二銅粉を平均粒径が1μm以下になるまで湿式粉砕する、酸化第二銅微粉末の製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載の製造方法によって得られた酸化第二銅粉を平均粒径が10μm以下になるまで乾式粉砕する、酸化第二銅微粉末の製造方法。
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