JP5720220B2 - 機能部品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、特定の機能を有する機能層とそれを補強する補強層が積層された機能部品に関するものである。
機械や装置に搭載して特定の機能を付与する機能材は、それ自身が十分な強度を有さない場合や、時間の経過と共に剥離、摩耗等により機能材の強度が減少していくような場合には、機能材をその支えとなる補強材に接着してから、機械や装置等に搭載することが行われている。例えば、ブレーキやクラッチに用いられる摩擦材は、バックプレートに接着されて車体等に搭載される。また、ブッシュやワッシャーに用いられる摺動材は、支持材に接着されて機械等に搭載される。
従来の補強材としては、強度の点から金属が用いられることが多く、機能材を樹脂で金属製の補強材に接着させていた。しかしながら、金属製の補強材は重く、搭載する機械や装置に重量的な負荷をかけてしまう。また、機能材と補強材の接着が弱い場合には、金属製の補強材から機能材が脱離してしまう恐れがあった。
そのため、金属製の補強材と比較してそん色のない強度を有する樹脂製の補強材が検討された(例えば、特許文献1)。樹脂製の補強材を用いることで、部材の軽量化を図ることができる。また、樹脂製の補強材とすることで、補強材が補強材として機能するだけでなく、接着剤の役割も担うことができるので、補強材と機能材の密着度を向上することができる。さらに、一般的に少量の樹脂を結着剤として含む無機物等の機能材料の機能材と多量の樹脂を含む補強材を、一体成形して機能層と補強層からなる機能材を形成することが可能になった(例えば、特許文献2)。これにより、製造工程を減らすことができる。
しかしながら、特許文献2に記載されたような、機能層の機能層用材料と補強層の補強層用材料がいずれも粉材で、それらを金型に充填して圧縮成形する場合には、補強層と機能層の界面の制御はされず、ランダムに補強層用材料と機能層用材料が混じり合っている界面となり、製品間において界面の形状にばらつきがあって同じ製品を繰り返し製造することができない、すなわち、製品の均一性に欠けてしまう問題がある。
また、特許文献1に記載されたような、粉材を予め圧縮成形することにより、有機摩擦材料層のプリフォーム(予備成形体)と有機後板材料層の予備成形体とをそれぞれ用意し、それらプリフオーム同士を重ねて加熱加圧する方法では、2種類のプリフォームを用意するため作業の手間及び工数が増加し、それに伴い製造コストが増加してしまう恐れがある。
特開昭54−23649号公報 特開2002−206578号公報
本発明の目的は、補強層と機能層の界面が制御され、製品の均一性が良好な機能部品の製造方法を提供することにある。
上記の目的は、下記[1]〜[2]に記載の本発明により達成される。
[1]機能層と該機能層の一方の面を裏打ちする補強層とを備えた機能部品の製造方法であって、
金型のキャビティ内に、少なくとも機能付与成分と熱硬化性樹脂を含む機能層用材料を充填し、前記金型を閉じて加熱加圧して機能層を一次成形する工程と、
前記一次成形した機能層を有する金型のキャビティ内に、少なくとも熱硬化性樹脂を含む補強層用材料を充填して、これらの一方を他方の上に積層する工程、
前記金型を閉じて加熱加圧して機能層と補強層を一体成形する工程とを含み、
前記機能付与成分は、フェライト、鉄、黒鉛、アラミド繊維、硫酸バリウム、アルミナ、炭酸カルシウム、カシューダスト、及びチタン酸カリウムからなる群より選択される成分であり、
前記機能層用材料及び前記補強層用材料が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びビスマレイミド樹脂よりなる群から選ばれるいずれかの熱硬化性樹脂を共通に含み、
前記機能層用材料の7〜15重量%が熱硬化性樹脂で、前記機能層用材料の85〜93重量%が機能付与成分であり、
前記補強層用材料の30〜50重量%が熱硬化性樹脂で、前記補強層用材料の40〜70重量%が補強繊維であり、
前記機能部品が、摺動材又は摩擦材であることを特徴とする機能部品の製造方法。
[2]前記一次成形した機能層は、前記補強層との接合面が立体形状を有している、[1]に記載の機能部品の製造方法。
本発明によれば、所望の形状を有する一次成形された機能層に接するように補強層用材料が充填されて加熱加圧されるため、機能層と補強層の接合面が所望の形状に制御された、製品間において接合面の形状にばらつきがない、すなわち、製品の均一性が良好な機能部品を製造することができる。
本発明の機能部品の製造における、一次成形工程の一例を示す概略図である。 本発明の機能部品の製造における、一体成形工程の一例を示す概略図である。 本発明の機能部品の製造における、実施例で用いた金型の押圧面の形状を示す概略図である。 本発明の機能部品の製造における、実施例1で作製した機能部品の断面図である。 比較例1で作製した機能部品の断面図である。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討したところ、機能層と補強層との接合面になる面が所望の形状になるように機能層用材料又は補強層用材料を一次成形して、機能層と補強層との接合面を制御する方法に着眼したが、仮に、補強層用材料を一次成形しようとしても、補強層用材料が多量の樹脂を含むため、熱硬化性樹脂が溶融して金型に融着してしまい、一次成形した後に機能層用材料を投入することは非常に困難であることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに到った。
本発明の製造方法は、機能層と該機能層の一方の面を裏打ちする補強層とを備えた機能部品の製造方法であって、
1.金型のキャビティ内に、少なくとも機能付与成分と熱硬化性樹脂を含む機能層用材料を充填し、前記金型を閉じて加熱加圧して機能層を一次成形する工程と、
2.前記一次成形した機能層を有する金型のキャビティ内に、少なくとも熱硬化性樹脂を含む補強層用材料を充填して、これらの一方を他方の上に積層する工程、
3.前記金型を閉じて加熱加圧して機能層と補強層を一体成形する工程とを
含むことを特徴とする機能部品の製造方法である。
本発明の製造方法によって製造される機能部品とは、機能層と該機能層の一方の面を裏打ちする補強層から構成される特定の機能を発揮する機能部品であり、例えば、摩擦材、摺動材、導電材、電磁シールド材、熱放散材、断熱材、制振材、遮音材、超耐熱材等が挙げられる。
機能部品の機能層とは、摩擦、摺動、導電、電磁シールド、熱放散、断熱、制振、遮音、超耐熱等の特定の機能を有する機能層であって、機能層用材料からなるものを意味する。
また、機能部品の補強層とは、上記機能層の強度を機能層の一方の面側から補強する(裏打ちする)ものであって、補強層用材料からなるものを意味する。
以下、本発明の機能部品の製造方法の各工程1〜3について詳細に説明する。
1.一次成形する工程
まず、少なくとも機能付与成分と熱硬化性樹脂を含む機能層用材料を、加熱加圧して、機能層を一次成形する。具体的には、まず、機能付与成分、熱硬化性樹脂等の粉体を混合して機能層用材料を調製し、その後、該機能層用材料を金型に充填して加熱圧縮成形し、一次成形した機能層を得る。
機能層用材料は、少なくとも機能付与成分と熱硬化性樹脂を含む組成物である。機能付与成分としては、目的とする機能を付与するために各種の無機材料、有機材料が使用される。機能付与成分として有機材料を用いる場合には、成形性など成形プロセスへの影響が少ない有機材料を用いる。
機能部品の用途によって選択される機能付与成分は、例えば、導電材の場合には黒鉛等、電磁シールド材の場合にはフェライト、鉄等、摺動材の場合には黒鉛、アラミド繊維等、摩擦材の場合には硫酸バリウム、アルミナ、炭酸カルシウム、カシューダスト等、熱放散材の場合にはアルミナ、チタン酸カリウム等が例示される。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いられても良い。
前記機能付与成分の含有量は、特に限定されないが、機能層用材料全体の80〜95重量%であることが好ましく、特に85〜93重量%が好ましい。機能付与成分の含有量が前記下限未満であると、一次形成で形成した機能層と補強層の接合面が一体成形の加熱加圧において変形してしまう可能性が高く、また、機能層用材料の機能が十分に発揮されないことがある。機能付与成分の含有量が前記上限値を超えると機能付与成分を結着する樹脂の強度が弱くなることがある。
熱硬化性樹脂は機能付与成分を結着する樹脂であって、特に限定されないが、具体的には、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂(BMI)等が挙げられる。中でも、フェノール樹脂は、幅広い用途に用いることができる点から好ましい。必要によりこれらの2種以上を組み合わせて用いることもできる。
フェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、アリールアルキレン型ノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;未変性のレゾールフェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等で変性した油変性レゾールフェノール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂が挙げられる。
これらの中でも、コスト及び成形性の観点からフェノールノボラック樹脂が好ましい。
これらの中の一種類を単独で用いることもできるし、異なる重量平均分子量を有する二種類以上を併用したりすることもできる。
フェノール樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量1,000〜15,000が好ましい。重量平均分子量が前記下限未満であると、樹脂の粘度が低すぎて成形材料化が難しい場合があり、前記上限値を超えると樹脂の溶融粘度が高くなるため成形性が低下することがある。前記フェノール樹脂の重量平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリスチレン換算の重量分子量として特定することができる。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型などのビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型などのノボラック型エポキシ樹脂;臭素化ビスフェノールA型、臭素化フェノールノボラック型などの臭素化型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂;トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、比較的分子量の低いビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、高流動性、成形材料製造時の取り扱い性や成形性をさらに良好なものにすることができる。また、耐熱性の面からフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、特にトリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂が好ましい。
これらの中の一種類を単独で用いることもできるし、異なる重量平均分子量を有する二種類以上を併用したりすることもできる。
ビスマレイミド樹脂としては、2つの分子鎖の両末端にマレイミド基を有する樹脂であれば特に限定されないが、フェニル基を有するものが好ましく、例えば、下記式(1)で表わされるものを用いることができる。ただし、前記ビスマレイミド樹脂は、分子鎖の両末端以外にマレイミド基を有していても良い。
Figure 0005720220
式(1)中、R〜Rは水素又は炭素数1〜4の置換若しくは無置換の炭化水素基であり、Rは2価の置換又は無置換の有機基である。ここで有機基とは、異種原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、異種原子としては、O、S、N等が挙げられる。Rは、好ましくはメチレン基、芳香環及びエーテル結合(−O−)が任意の順序で結合した主鎖構造を有し、主鎖上に置換基及び/又は側鎖を有していても良い炭化水素基であり、主鎖構造に含まれるメチレン基、芳香環及びエーテル結合の合計数が15個以下のものである。上記置換基又は側鎖としては、例えば、炭素数3個以下の炭化水素基、マレイミド基、フェニル基等が挙げられる。
具体的には、N,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、m−フェニレンビスマレイミド、p−フェニレンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、N,N'−エチレンジマレイミド、N,N'−ヘキサメチレンジマレイミド等のビスマレイミド樹脂が挙げられる。
これらの中の一種類を単独で用いることもできるし、異なる重量平均分子量を有する二種類以上を併用したりすることもできる。
前記機能層用材料の熱硬化性樹脂の含有量は、特に限定されないが、機能層用材料全体の5〜20重量%であることが好ましく、特に7〜15重量%が好ましい。機能層用材料の熱硬化性樹脂の含有量が前記下限未満であると、機能層用材料の機能付与成分を結着する強度が弱くなることがある。機能層用材料の熱硬化性樹脂の含有量が前記上限値を超えると一次成形において機能層用材料が金型に融着しやすくなり、また、機能層用材料の取り扱い性が悪く、機能付与成分の機能が十分に発揮されないことがある。
また、上記機能層用材料の樹脂と共に硬化剤を使用してもよい。硬化剤としては、特に限定されず、一般的にフェノール樹脂、エポキシ樹脂及びビスマレイミド樹脂に用いられている硬化剤を用いることができる。
ノボラック型フェノール樹脂の硬化剤としては、通常、ヘキサメチレンテトラミンを使用する。
エポキシ樹脂の硬化剤としては、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ジシアミンジアミドなどのアミン化合物、脂環族酸無水物、芳香族酸無水物などの酸無水物、ノボラック型フェノール樹脂などのポリフェノール化合物のほか、イミダゾール化合物などが挙げられる。中でも取り扱い作業性、環境面からもノボラック型フェノール樹脂が好ましい。
特に、エポキシ樹脂としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂を用いる場合は、硬化剤としてノボラック型フェノール樹脂が好ましい。これにより、硬化物の耐熱性を向上させることができる。
ビスマレイミド樹脂の硬化剤としては、イミダゾール化合物が挙げられる。
硬化剤、硬化促進剤の量は特に限定されない。熱硬化性樹脂の種類及び硬化剤の種類、硬化促進剤の種類によって適切な添加量は異なるため、成形性(硬化性、熱安定性)を考慮して適切な添加量を選択すればよい。
本発明の機能層用材料は、必要に応じて、上記成分以外の添加物を、特性を損なわない範囲で添加することができる。上記成分以外の成分は、例えば、エポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等のカップリング剤、離型剤、難燃剤、無機充填材、顔料等を挙げることができる。
機能層用材料を混合する手段は、攪拌機など通常用いられているものが使用される。例えば、コーン型ミキサー、モルタルミキサー、ヘンシェルミキサー等が例示される。
一次成形の加熱加圧、続いて一体成形の加熱加圧に用いられる成形手段は、特に限定されず、通常、加熱加圧成形に用いられている金型を使用した圧縮成形手段を用いることができる
金型は、機能層用材料に所望の平面又は立体形状を有する面を形成できるものであれば、特に限定されず、通常、加熱圧縮成形に用いられている金型を用いることができる。例えば、図1(a)に示すような上型10、枠型1及び下型2からなる金型が挙げられる。この場合、固定された枠型1と下型2に囲まれたキャビティ(金型空間)内に機能層用材料9を充填し、所望の平面又は立体形状を押圧面に有する上型10をキャビティ内に嵌るように下降させ(図1(b))、該押圧面を機能層用材料9に接触させて押圧し(型締め)、所定の加熱圧縮時間が経過した後に上型10を上昇させ、一次成形した機能層3を得る(図1(c))。
上記立体形状を押圧面に有する上型を用いる代わりに、上型の押圧面が平面形状や立体形状に交換可能な構造の上型を使用してもよい(例えば中駒の使用)。この方法は、立体形状を変更する場合に、上型ごと作製しなおす必要がなく、コストを抑えられる点において優れる。
機能層用材料を押圧する部材の機能層用材料と接触する面(上記例示では上型の押圧面)が平面であれば、機能層と補強層の接合面が平滑な機能部品を得ることができる。また、従来の金属製の補強材では、金属の加工が困難で実現できなかったことであるが、機能層用材料を押圧する部材の機能層用材料と接触する面を立体形状とすれば、機能層と補強層との接合面が立体形状を有する機能部品を得ることができる。機能部品の用途に合わせて界面の形状は選択すればよい。
本発明においては、樹脂を少量含む機能層用材料を加熱加圧して一次成形するため、機能層用材料が金型の内面に融着せず、一次成形後に金型を開放して、補強層用材料を投入することが可能である。また、樹脂を少量含む機能層用材料を加熱加圧して一次成形した機能層を作製するため、その上に補強層用材料を充填して加熱加圧した後も、一次成形した機能層が金型の内面に融着したり、機能層の補強層用材料との接合面が塑性変形しない。したがって、一次成形において形成した機能層の形状を一体成形後も保つことができ、所望の機能層と補強層との接合面が形成された機能部品を製造することができる。
仮に、補強層用材料を加熱加圧して一次成形しようとしても、補強層用材料が多量の樹脂を含むため、補強層用材料の熱硬化性樹脂が溶融し、金型の内面に融着して、機能層用材料を充填する前に金型のクリーニングが必要となるなどスムーズな一体成形の作業をすることが困難である。
立体形状としては、連続した又は部分的な波形、凹凸等が挙げられる。波形、凹凸型等表面積が増える立体形状は、機能層と補強層の接触面積を増やすことができ、機能層と補強層の接着強度及びせん断強度を向上させることができる。
また、上記立体形状に機能を持たせることもできる。例えば、機能部品が摩擦材である場合、摩擦機能層と補強層の界面を波形にすることで、摩擦機能層が磨り減って使用限界に近づくと、波形の補強層の山部が露出するため、摩擦材が急速になくなることによる急激な機能の低下を防ぐことができる。
前記一次成形する条件としては、温度は、特に限定されないが、例えばフェノール樹脂の場合は150〜200℃が好ましく、特に160〜180℃が好ましい。圧力は、特に限定されないが、20〜100MPaが好ましく、特に30〜60MPaが好ましい。加熱加圧時間は、通常1〜7分である。
2.一次成形した機能層と補強層用材料を積層する工程
次に、前記一次成形した機能層を有する金型のキャビティ内に、少なくとも熱硬化性樹脂を含む補強層用材料を充填して、これらの一方を他方の上に積層する。具体的には、前記一次成形した機能層3を有する金型を開いて、そのキャビティ内に、一次成形した機能層3の平面又は立体形状を有する面と補強層用材料4とが接するように配置する。
補強層用材料は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物である。補強層用材料の熱硬化性樹脂としては、上記機能層用材料で記載した熱硬化性樹脂を用いることができる。
機能層用材料と補強層用材料の組み合わせは特に限定されないが、機能層と補強層との接合面の接着強度を向上する観点から、機能層用材料と補強層用材料に同種の樹脂を用いることが好ましい。例えば、機能層用材料と補強層用材料が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びビスマレイミド樹脂のいずれかの熱硬化性樹脂を共通に含むことが好ましい。機能層用材料と補強層用材料に共通に含まれる熱硬化性樹脂は、上記区分における同じ樹脂であれば、その中の種類、分子量、骨格等が同じであっても異なっていてもよい。具体的には、例えば、機能層用材料の熱硬化性樹脂がノボラック型フェノール樹脂のフェノールノボラック樹脂であるとすれば、補強層用材料の熱硬化性樹脂が、分子量は異なるが同じフェノールノボラック樹脂である場合、類似の骨格を有するフェノールノボラック樹脂の場合、ノボラック型フェノール樹脂のクレゾールノボラック樹脂である場合、ノボラック型以外のフェノール樹脂であるレゾール型フェノール樹脂である場合などが挙げられる。その中でも、接着強度の観点から機能層用材料と補強層用材料が全く同一の樹脂を使用する場合などが好ましい。
補強層用材料の熱硬化性樹脂の含有量は、特に限定されないが、補強層用材料全体の20〜80重量%であることが好ましく、特に30〜60重量%が好ましい。補強層用材料の熱硬化性樹脂の含有量が前記下限未満であると、補強層用材料の強度が弱くなることがあり、前記上限値を超えると補強層用材料の取扱い性が悪く、補強層用材料の機能が十分に発揮されないことがある。
補強層用材料には、補強機能を付与する補強繊維が更に含まれていてもよい。補強繊維としては、特に限定されないが、例えばガラス繊維、アラミド樹脂、ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、金属繊維、カーボン繊維、鉱物繊維等が挙げられる。これらの補強繊維は単独又は2種以上を混合して使用してもよい。
更に、補強繊維は長繊維であることが好ましい。特に、長繊維は前記熱硬化性樹脂と組み合わせて使用すると耐熱性に優れ、金属よりも軽量で、高い比強度、高い耐腐食性及び制振性を有する点で優れる。また、補強繊維として短繊維を使用する場合に比べ、長繊維は高い機械強度、特に高温時の機械強度、耐クリープ性などを有する点で優れる。ガラス繊維長が10mm前後の長繊維とガラス繊維長が0.3mm前後の短繊維とで機械強度を比較すると、長繊維又は短繊維と組み合わせる樹脂がフェノール樹脂の場合は、長繊維材の曲げ強さ、シャルピー衝撃強さはそれぞれ400MPa、100kJ/mであり、短繊維材の曲げ強さ、シャルピー衝撃強さはそれぞれ200MPa、3kJ/mである。また、長繊維又は短繊維と組み合わせる樹脂がエポキシ樹脂の場合は、長繊維材の曲げ強さ、シャルピー衝撃強さはそれぞれ250MPa、55kJ/mであり、短繊維材の曲げ強さ、シャルピー衝撃強さはそれぞれ120MPa、3kJ/mである。更に、繊維又は短繊維と組み合わせる樹脂がビスマレイミド樹脂の場合は、長繊維材の曲げ強さ、シャルピー衝撃強さはそれぞれ330MPa、50kJ/mであり、短繊維材の曲げ強さ、シャルピー衝撃強さはそれぞれ150MPa、3kJ/mである。
ここで、長繊維とは、長さ1〜50mmの繊維をいい、短繊維とは、長さ0.1〜0.5mmの繊維をいう。
補強繊維の含有量は、特に限定されないが、補強層用材料全体の20〜80重量%であることが好ましく、特に40〜70重量%が好ましい。補強層用材料の補強繊維の含有量が前記下限未満であると、補強層用材料の機能が十分に発揮されないことがあり、前記上限値を超えると補強層用材料の取り扱い性が悪く、補強層用材料の強度が弱くなることがある。
本発明の補強層用材料は、必要に応じて、機能層用材料と同様に、上記成分以外の添加物を、特性を損なわない範囲で添加することができる。
補強層用材料を調製する方法としては、通常以下の方法が採用される。すなわち、熱硬化性樹脂、硬化剤、補強繊維の他、無機充填材、離型剤、硬化助剤、顔料等を加えて、攪拌機で均一に混合後、加熱ロール、コニーダ、二軸押出し機等の混練機単独又はロールと他の混合機との組合せで溶融混練し、粉砕して、補強層用材料を得る。
また、特に繊維長を長く残す場合には、例えば熱硬化性樹脂を溶剤に溶解し、適当な硬化剤および硬化助剤を他の添加物と共に加えた混合物を含浸槽に入れ、ここに繊維ストランドを浸漬して延伸させ、その後乾燥する方法(湿式法)や、上記の溶剤を使用する代わりに熱硬化性樹脂など繊維以外の成分を微粉末状にして、得られた粉末を繊維ストランドに付着させ、その後加熱溶融させる方法(乾式法)などが使用される。
3.一体成形する工程
次に、前記金型を閉じて加熱加圧して機能層と補強層を一体成形する。この場合、図2(a)及び(b)に示すように、枠型1と下型2に囲まれたキャビティ内に一体成形した機能層3が存在し、その上に補強層用材料4が充填されており、平らな押圧面を有する上型5をキャビティ内に嵌るように下降させ、該押圧面を補強層用材料4に接触させて押圧し(型締め)、ガス抜き、硬化の所定時間が経過した後に脱型し、機能層6と補強層7を有する機能部品8を得る。
前記加熱加圧成形する条件としては、温度は、特に限定されないが、例えばフェノール樹脂の場合は150〜200℃が好ましく、特に160〜180℃が好ましい。圧力は、特に限定されないが、20〜100MPaが好ましく、特に30〜60MPaが好ましい。圧縮時間は、通常1〜10分である。
尚、機能部品は複数の機能層を有してもよい。例えば、補強層の両面に機能層が設けられてもよい。
上述したように、本発明の機能部品の製造方法は、所望の形状を有する一次成形した機能層に補強層用材料を充填して加熱加圧する。これにより、機能層と補強層の界面が所望の形状に制御された、製品の均一性が良好な機能部品を製造することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
<補強層用材料の成分>
樹脂系(熱硬化性樹脂、硬化剤:フェノールノボラック、ヘキサメチレンテトラミン):37重量部
ガラス繊維:60重量部(繊維長12mm)
添加物:3重量部
<機能層用材料の成分>
樹脂系(熱硬化性樹脂、硬化剤:フェノールノボラック、ヘキサメチレンテトラミン):8重量部
カシューダスト:5重量部
アラミド繊維:5重量部
硫酸バリウム:40重量部
炭酸カルシウム:42重量部
まず、上記機能層用材料の成分を十分に混合して機能層用材料を調製した。別途、補強層用材料は前述の乾式方法によって調製した。一次成形で使用した金型は、最終的に得る成形品を型抜き方向に投影した時の投影面の形状とほぼ同じ形状のキャビティを有し、機能層用材料と接する下型の上面の形状が平面で、機能層用材料と接する上型の押圧面の形状は断面図でみた時に図3に示す波形である。この金型に上記機能層用材料を所定量配置し、汎用の油圧圧縮成形プレスにて圧縮成形し、一次成形した機能層を得た。成形条件は、金型温度が165℃、成形圧力は40MPa、加熱加圧時間が3分であった。
次に、一次成形した機能層の波型の面の上に上記補強層用材料を配置した。補強層用材料と接する上型の押圧面を平面形状のものにかえて金型を締め、加熱加圧して機能層と補強層を一体成形し、機能部品を得た。加熱加圧条件は、金型温度が165℃、成形圧力は40MPa、硬化時間は5分であった。
このようにして得られた機能部品の中央部の断面を図4に示す。
(比較例1)
実施例1と同様に機能層用材料及び補強層用材料を調製した。
次に、実施例1と同様の熱成形手段の金型のキャビティ内に、上記補強層用材料を、続いて機能層用材料を配置した。その後直ちに金型を締め、実施例1と同様の加熱加圧条件で、加熱加圧して機能層と補強層を一体成形し、機能部品を得た。
このようにして得られた機能部品の中央部の断面を図5に示す。
(まとめ)
実施例1は、一次成形した機能層を用いたため、図4から分かるように、機能層と補強層の接合面が所望の波形の形状であった。尚、実施例1の機能部品は、機能層が摩擦材であるため、制動用として使用されるならば、補強層の波形の形状により、急激な摩擦力の低下を防ぐことができる。
比較例1は、機能層を一次成形せず、粉体の機能層用材料と補強層用材料をそのまま充填して、補強層用材料と機能層用材料を積層したため、図5に示されているように、機能層と補強層の接合面はランダムに補強層用材料と機能層用材料が混じり合っている界面となり、制御されていないことが分かる。
実施例1と比較例1を比較すると、本発明の機能部品の製造方法によれば、機能層と補強層の接合面が所望の形状に制御された、製品の均一性がより良好な機能部品を製造できることが明らかである。
1…枠型
2…下型
3…一次成形した機能層
4…補強層用材料
5…上型
6…機能層
7…補強層
8…機能部品
9…機能層用材料
10…上型

Claims (2)

  1. 機能層と該機能層の一方の面を裏打ちする補強層とを備えた機能部品の製造方法であって、
    金型のキャビティ内に、少なくとも機能付与成分と熱硬化性樹脂を含む機能層用材料を充填し、前記金型を閉じて加熱加圧して機能層を一次成形する工程と、
    前記一次成形した機能層を有する金型のキャビティ内に、少なくとも熱硬化性樹脂を含む補強層用材料を充填して、これらの一方を他方の上に積層する工程、
    前記金型を閉じて加熱加圧して機能層と補強層を一体成形する工程とを含み、
    前記機能付与成分は、フェライト、鉄、黒鉛、アラミド繊維、硫酸バリウム、アルミナ、炭酸カルシウム、カシューダスト、及びチタン酸カリウムからなる群より選択される成分であり、
    前記機能層用材料及び前記補強層用材料が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びビスマレイミド樹脂よりなる群から選ばれるいずれかの熱硬化性樹脂を共通に含み、
    前記機能層用材料の7〜15重量%が熱硬化性樹脂で、前記機能層用材料の85〜93重量%が機能付与成分であり、
    前記補強層用材料の30〜50重量%が熱硬化性樹脂で、前記補強層用材料の40〜70重量%が補強繊維であり、
    前記機能部品が、摺動材又は摩擦材であることを特徴とする機能部品の製造方法。
  2. 前記一次成形した機能層は、前記補強層との接合面が立体形状を有している、請求項1に記載の機能部品の製造方法。
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