JP2017222125A - 繊維強化樹脂成形物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】繊維強化樹脂成形物を成形する際に、繊維の折損を低減することが可能な、繊維強化樹脂成形物の製造方法を提供する。【解決手段】所要の長さの繊維を含有する繊維含有樹脂組成物を、金型に設けられたゲートを介してキャビティー内に充填し、繊維強化樹脂成形物を成形する際に、ゲートの高さを2mm以上とする、繊維強化樹脂成形物の製造方法を選択する。【選択図】図2

Description

本発明は、繊維強化樹脂成形物の製造方法に関する。
近年、金属製の部品の代替品として、繊維を混合した合成樹脂を用いて成形した成形品(繊維強化樹脂成形物)が注目されている(特許文献1)。また、このような成形品の一般的な成形方法としては、圧縮(コンプレッション)成形(特許文献2)、移送(トランスファー)成形(特許文献3)、移送−圧縮成形、射出(インジェクション)成形、及び射出−圧縮成形(特許文献4)等が知られている。
ところで、上述した移送成形や射出成形では、繊維を混合した合成樹脂を金型に設けられたゲートを介してキャビティー内に充填する際、ゲートが狭いために、ゲート通過時に繊維が折れてしまうという課題があった。したがって、成形品の機械的強度の向上という効果が充分に得られないという課題があった。
これに対して、圧縮成形では、繊維を混合した合成樹脂を金型に設けられたキャビティー内に充填する際、ゲートがないので繊維が折れる問題はないが、繊維の分散や、繊維の開繊が不十分となりやすいという課題があった。
特開平07−290902号公報 特開平06−246771号公報 特開2006−130731号公報 特開2002−127215号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、繊維強化樹脂成形物を成形する際に、繊維の折損を低減することが可能な、繊維強化樹脂成形物の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、以下の手段を提供する。
(1) 所要の長さの繊維を含有する繊維含有樹脂組成物を、金型に設けられたゲートを介してキャビティー内に充填し、繊維強化樹脂成形物を成形する際に、前記ゲートの高さを2mm以上とする、繊維強化樹脂成形物の製造方法。
(2) 前記繊維含有樹脂組成物に圧力をかけながら、前記ゲートから前記キャビティー内に充填する、前項1に記載の繊維強化樹脂成形物の製造方法。
(3) 前記圧力が、10〜30MPaの範囲である、前項2に記載の繊維強化樹脂成形物の製造方法。
(4) 前記ゲートの高さを2mm以上とする際、型締め前の前記キャビティーの容量が、型締め後の当該容量に対して、102〜250体積%増加する、前項1乃至3のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂成形物の製造方法。
(5) 前記繊維含有樹脂組成物を前記キャビティー内に充填した後、前記ゲートの高さを2mm未満に縮小する、前項1乃至4のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂成形物の製造方法。
(6) 前記ゲートの高さを2mm未満に縮小する際、前記キャビティー容量が、当該キャビティー内に充填する樹脂量と同等体積となる、前項5に記載の繊維強化樹脂成形物の製造方法。
(7) 前記繊維含有樹脂組成物をキャビティー内に充填した後、さらに加圧する、前項1乃至6のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂成形物の製造方法。
(8) 前記繊維強化樹脂成形物中の平均繊維長が、1〜7mmである、前項1乃至7のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂成形物の製造方法。
(9) 前記樹脂は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂および不飽和ポリエステル樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種を含む、前項1乃至8のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂成形物の製造方法。
(10) 移送成形、または射出成形である、前項1乃至4のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂成形物の製造方法。
(11) 移送−圧縮成形、または射出−圧縮成形である、前項6乃至9のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂成形物の製造方法。
本発明の繊維強化樹脂成形物の製造方法は、所要の長さの繊維を含有する繊維含有樹脂組成物を、金型に設けられたゲートを介してキャビティー内に投入する際に、ゲートの高さを2mm以上とするため、繊維強化樹脂成形物を成形する際に繊維の折損を低減することができる。なお、本発明の繊維強化樹脂成形物の製造方法は、移送−圧縮成形、及び射出−圧縮成形に適用することにより、上記効果がより顕著に得られる。
本発明の第1の実施形態である繊維強化樹脂成形物の製造方法(移送−圧縮成形)を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態である繊維強化樹脂成形物の製造方法に適用可能な金型を説明するための断面図である。 本発明の第2の実施形態である繊維強化樹脂成形物の製造方法(射出−圧縮成形)を説明するための図である。 本発明の第2の実施形態である繊維強化樹脂成形物の製造方法に適用可能な金型を説明するための断面図である。
以下、本発明を適用した一実施形態である繊維強化樹脂成形物の製造方法について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
<第1の実施形態>
先ず、本発明を適用した第1の実施形態である繊維強化樹脂成形物(以下、単に「成形物」という)の製造方法について説明する。図1は、本発明を適用した第1の実施形態である成形物の製造方法の構成を説明するための図である。また、図2は、本実施形態の成形物の製造方法に適用可能な金型の構成を説明するための断面図である。
本実施形態の成形物の製造方法は、所要の長さの繊維を含有する繊維含有樹脂組成物を、金型に設けられたゲートを介してキャビティー内に充填し、繊維強化樹脂成形物を成形する際に、ゲートの高さを2mm以上とすることを特徴としている。なお、本実施形態の成形物の製造方法は、トランスファー−コンプレッション(移送−圧縮)成形に適用した場合を一例として、図1及び図2を参照しながら、以下に詳細に説明する。
具体的には、本実施形態の成形物の製造方法では、先ず、高周波加熱コイル等によって、例えば、90〜120℃程度に加熱(高周波予熱)することにより、繊維含有樹脂組成物U(図1(a)を参照)を得る。
ここで、繊維含有樹脂組成物Uを構成する樹脂としては、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、反応性硬化樹脂、および、嫌気硬化性樹脂等の硬化性樹脂や、熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの中でも、特に、硬化後の線膨張率や、弾性率等の機械特性が優れるため、熱硬化性樹脂であることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリフェニレンスルフィド等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイド樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シアネートエステル樹脂、シリコーン樹脂、オキセタン樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特に、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂が好ましく、フェノール樹脂がより好ましい。これにより、成形物は優れた耐熱性を発揮することができる。
フェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、アリールアルキレン型ノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;未変性のレゾール型フェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等で変性した変性レゾールフェノール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特に、フェノールノボラック樹脂、及びレゾール樹脂が好ましい。これにより、成形物を低コストかつ高い寸法精度で製造することができるとともに、得られた成形物は、特に優れた耐熱性を発揮することができる。
フェノールノボラック樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、1,000〜15,000程度(なお、レゾール樹脂の場合では、1,000〜100,000程度)が好ましい。重量平均分子量が前記下限未満であると、樹脂の粘度が低すぎて樹脂中の繊維の分散性が低下する場合があり、前記上限値を超えると、樹脂の溶融粘度が高くなるため、成形物の成形性(成形のし易さ)が低下する場合がある。フェノール樹脂の重量平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリスチレン換算の重量分子量として規定することができる。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型フェノール樹脂などのビスフェノール樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂;臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂などの臭素化型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、繊維含有樹脂組成物Uの流動性を高めることができるとともに、成形性(成形のし易さ)をさらに良好にすることができる。
ビスマレイミド樹脂としては、分子鎖の両末端にそれぞれマレイミド基を有する樹脂であれば、特に限定されないが、さらにフェニル基を有する樹脂が好ましい。具体的には、例えば、下記式(1)で表される樹脂を用いることができる。ただし、ビスマレイミド樹脂は、その分子鎖の両末端以外の位置に結合するマレイミド基を有していてもよい。
Figure 2017222125
式(1)中、R〜Rは、水素又は炭素数1〜4の置換若しくは無置換の炭化水素基であり、Rは、2価の置換又は無置換の有機基である。ここで、有機基とは、異種原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、異種原子としては、O,S,N等が挙げられる。R5は、好ましくはメチレン基、芳香環およびエーテル結合(−O−)が任意の順序で結合した主鎖を有する炭化水素基であり、より好ましくは主鎖中において任意の順序で結合するメチレン基、芳香環およびエーテル結合の合計数が15個以下の炭化水素基である。なお、主鎖の途中には、置換基および/または側鎖が結合していても良く、その具体例としては、例えば、炭素数3個以下の炭化水素基、マレイミド基、フェニル基等が挙げられる。
具体的には、例えば、N,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、m−フェニレンビスマレイミド、p−フェニレンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、N,N‘−エチレンジマレイミド、N,N’−ヘキサメチレンジマレイミド等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
繊維含有樹脂組成物U中における樹脂の含有率は、特に限定されないが、5質量%以上70質量%以下であるのが好ましく、10質量%以上60質量%以下であるのがより好ましい。樹脂の含有率が、前記下限値未満の場合、樹脂の種類によっては、繊維含有樹脂組成物Uを構成する他の材料との結着強度が十分に得られない場合がある。また、樹脂の含有率が、前記上限値を超えたい場合、後述する繊維の量が相対的に減少し、繊維を含むことの効果が充分に発揮されないことがある。
「繊維」
本実施形態の成形物の製造方法に適用可能な繊維含有樹脂組成物U中に含まれる繊維の平均長さ(平均繊維長)は、1mm以上50mm以下であるのが好ましく、2mm以上30mm以下であるのがより好ましい。これにより、最終的に得られる成形物の機械的強度をさらに優れたものとすることができる。これに対して、繊維の平均長さが前記下限値未満の場合、繊維の構成材料やその含有率によっては、成形物の形状安定性が充分に得られない場合がある。また、繊維の平均長さが前記上限値を超えた場合には、成形物の成形時において、繊維含有樹脂組成物Uの流動性が充分に得られない場合がある。
繊維の平均径は、5μm〜20μmであるのが好ましく、6μm〜18μmであるのがより好ましく、7μm〜16μmであるのがさらに好ましい。繊維の平均径が前記下限値未満の場合、繊維の構成材料や含有率によっては、成形物の成形時に繊維が破損しやすくなる。また、繊維の平均径が、前記上限値を超えた場合、繊維の構成材料やその含有率によっては、成形性が低下する場合がある。
繊維の断面形状は、特に限定されないが、円形および楕円形等の略円形等、三角形、四角形および六角形等の多角形、扁平形、星形等の異形等のいかなる形状であってもよい。これらの中でも、繊維の断面形状は、特に、略円形または扁平形であるのが好ましい。これにより、成形物の表面の平滑性を向上することができる。また、繊維含有樹脂組成物Uの成形時の取扱性がより向上し、その成形性がさらに良好となる。
繊維としては、それぞれ、例えば、アラミド繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維(脂肪族ポリアミド繊維)およびフェノール繊維等の有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、ロックウール、チタン酸カリウム繊維およびバサルト繊維等の無機繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、アルミニウム繊維、銅繊維、黄銅繊維および青銅繊維等の金属繊維等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、繊維としては、それぞれ、特に、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維であることがより好ましい。
ガラス繊維を用いた場合には、単位体積あたりの繊維含有樹脂組成物Uの均一性が向上し、繊維含有樹脂組成物Uの成形性が特に良好となる。さらに、繊維含有樹脂組成物Uの均一性が向上することで、形成された成形物における内部応力の均一性が向上し、結果として、成形物のうねりが小さくなる。また、高負荷における成形物の耐摩耗性をさらに向上させることができる。また、炭素繊維またはアラミド繊維を用いた場合には、成形物の機械的強度をさらに高めることができるとともに、成形物をより軽量化することができる。
ガラス繊維を構成するガラスの具体例としては、例えば、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、Hガラスが挙げられる。これらの中でも、ガラス繊維を構成するガラスとしては、特に、Eガラス、Tガラス、または、Sガラスが好ましい。このようなガラス繊維を用いることにより、繊維の高弾性化を達成することができ、その熱膨張係数も小さくすることができる。
また、炭素繊維の具体例としては、例えば、引張強度3500MPa以上の高強度の炭素繊維や、弾性率230GPa以上の高弾性率の炭素繊維が挙げられる。炭素繊維は、ポリアクリロニトリル(PAN)系の炭素繊維、ピッチ系の炭素繊維のいずれであってもよいが、引張強度が高いため、ポリアクリロニトリル系の炭素繊維が好ましい。
また、アラミド繊維を構成するアラミド樹脂は、メタ型構造およびパラ型構造のいずれの構造を有していてもよい。
また、繊維は、予め表面処理が施されているのが好ましい。
予め表面処理を施すことにより、繊維は、繊維含有樹脂組成物U中での分散性を高めることや、樹脂との密着力を高めること等ができる。
このような表面処理の方法としては、例えば、カップリング剤処理、酸化処理、オゾン処理、プラズマ処理、コロナ処理、および、ブラスト処理が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特に、カップリング剤処理が好ましい。
カップリング剤処理に用いるカップリング剤は、特に限定されず、樹脂の種類によって、適宜選択することができる。
カップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いる。これらの中でも、特に、シラン系カップリング剤が好ましい。これにより、繊維は、硬化性樹脂に対する密着性が特に向上する。
シラン系カップリング剤としては、エポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、ビニルシランカップリング剤メルカプトシランカップリング剤、メタクリルシランカップリング剤、クロロシランカップリング剤、アクリルシランカップリング剤等が挙げられる。
繊維含有樹脂組成物U中における、繊維の含有率は、20質量%以上80質量%以下であることが好ましく、30質量%以上70質量%以下であることがより好ましい。これにより、得られる成形物の機械的強度をより効率よく向上させることができる。
「その他の成分」
繊維含有樹脂組成物Uは、さらに、必要に応じて、硬化剤、硬化助剤、充填材、離型剤、顔料、増感剤、酸増殖剤、可塑剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤および帯電防止剤等を含んでいてもよい。
硬化剤は、樹脂の種類等に応じて、適宜選択して用いることができ、特定の化合物に限定されない。
樹脂として、例えば、フェノール樹脂に用いる場合には、硬化剤としては、2官能以上のエポキシ系化合物、イソシアネート類、および、ヘキサメチレンテトラミン等から選択して用いることができる。
また、樹脂として、エポキシ樹脂を用いる場合には、硬化剤としては、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ジシアミンジアミドなどのアミン化合物、脂環族酸無水物、芳香族酸無水物などの酸無水物、ノボラック型フェノール樹脂などのポリフェノール化合物、イミダゾール化合物等から選択して用いることができる。これらの中でも、取扱い作業性、環境面からも、硬化剤として、ノボラック型フェノール樹脂を選択することが好ましい。
特に、エポキシ樹脂として、フェノールノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂を用いる場合には、硬化剤としては、ノボラック型フェノール樹脂を選択して用いることが好ましい。これにより、成形物の耐熱性を向上させることができる。
硬化剤を用いる場合には、繊維含有樹脂組成物Uにおける硬化剤の含有率は、使用する硬化剤や樹脂の種類等によって適宜設定されるが、例えば、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましい。これにより、成形物を任意の形状に容易に形成することができる。
また、硬化助剤としては、特に限定されないが、例えば、イミダゾール化合物、三級アミン化合物、有機リン化合物などを用いることができる。
硬化助剤を用いる場合には、繊維含有樹脂組成物Uにおける硬化助剤の含有率は、使用する硬化助剤や硬化剤の種類等によって適宜設定されるが、例えば、0.001質量%以上10質量%以下が好ましい。これにより、繊維含有樹脂組成物Uをより容易に硬化させることができるため、成形物をより容易に成形することができる。
また、充填材としては、特に限定されないが、無機充填材、有機充填材等が挙げられる。無機充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、マイカ、タルク、ワラストナイト、ガラスビーズ、ミルドカーボン、グラファイト等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、有機充填材としては、例えば、ポリビニルブチラール、アクリロニトリルブタジエンゴム、パルプ、木粉等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特に、成形物の靱性を向上させる効果がさらに高まるという観点からは、充填材(有機充填材)として、アクリロニトリルブタジエンゴムを用いることが好ましい。
充填材を用いる場合には、繊維含有樹脂組成物Uにおける充填材の含有率は、特に限定されないが、1質量%以上30質量%以下であることが好ましい。これにより、成形物の機械的強度をさらに向上することができる。
また、離型剤としては、特に限定されないが、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等を用いることができる。
離型剤を用いる場合には、繊維含有樹脂組成物U中における離型剤の含有率は、特に限定されないが、0.01質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。これにより、成形物を任意の形状により容易に形成することができる。
次に、本実施形態の成形物の製造方法では、繊維含有樹脂組成物Uを、金型に設けられたゲートを介してキャビティー内に充填し、成形物(繊維強化樹脂成形物)を成形する。なお、図1(a)及び図2(a)に示すように、金型10は、固定側10Aと可動側10Bとを備えて構成される、2プレート金型を一例として説明するが、これに限定されることはない。
具体的には、先ず、図1(a)及び図2(a)に示すように、プランジャー30によって、加熱した繊維含有樹脂組成物Uを金型10に移送する。
次いで、プランジャー30によって金型10内に移送された繊維含有樹脂組成物Uを、金型10に設けられたゲート11を介してキャビティー12内に押し出して充填する。
なお、本実施形態の成形物の製造方法において、キャビティー12とは、金型10を構成する固定側10Aと可動側10Bとの間に設けられた空間のうちゲートを介して樹脂が充填し成形品の形状を形成する空洞部分をいうものとする。
また、ゲート11とは、キャビティー12に樹脂が流れ込む入口をいうものとする。なお、ゲート11の形状は、成形物の形状によって大きく変化することがある。
また、金型10に設けられたゲート高さとは、通常、固定側10Aと可動側10Bとが接した(型締めした)状態で開口している樹脂の流入口の上下間隔を言う。ここで、本実施形態では、型締めを途中で止めて固定側10Aと可動側10Bとの間隔を樹脂が漏れない程度に開けた状態で、圧縮前の繊維含有樹脂組成物Uの移送を行うため、最終的に型締め(圧縮)した状態でのゲート高さがH(図2(b)を参照)であり、圧縮前の移送、及び射出時のゲート高さがH(図2(a)を参照)とすれば、「H−H」が固定側10Aと可動側10Bとの間隔となる。
ここで、本実施形態の成形物の製造方法では、図1(a)及び図2(a)に示すように、繊維含有樹脂組成物Uをゲート11からキャビティー12内に押し出す際に、ゲート11の高さHを2mm以上とする。これにより、キャビティー12内に押し出す際に、ゲート11の高さHを2mm以上と、従来よりも大きくとっているため、繊維の折れ(折損)を抑制することができる。また、ゲート11で発生したせん断応力によって繊維含有樹脂組成物U中の繊維をキャビティー12内に充填するまでに、充分に開繊及び分散することができる。
また、本実施形態の成形物の製造方法では、繊維含有樹脂組成物Uに圧力をかけながら、ゲート11からキャビティー12内に押し出して充填することが好ましい。繊維含有樹脂組成物Uに圧力をかける方法としては、例えば、プランジャー30を用いて金型10内に注入する際、繊維含有樹脂組成物Uに圧力をかけながら、金型10内に注入する方法が挙げられる。また、上記圧力としては、具体的には、10〜30MPaの範囲が好ましく、15〜25MPaの範囲がより好ましい。上記好ましい範囲の圧力によれば、繊維の開繊効果と繊維の折損低減とのバランスに優れる。
なお、繊維含有樹脂組成物Uに圧力をかけながら、繊維含有樹脂組成物Uをゲート11からキャビティー12内に押し出して充填する際、ゲート11の高さHを2mm以上とするのに伴い、型締め前のキャビティー12の容量は、型締めした後の該容量に対して、102〜250体積%増加する。繊維含有樹脂組成物Uに圧力をかけながら、ゲート11からキャビティー12内に押し出して充填する際、キャビティー12の容量が十分に拡充されているため、キャビティー12内の樹脂中の配向状態や分散状態を改善する効果が得られる。
次に、図1(b)及び図2(b)に示すように、繊維含有樹脂組成物Uをキャビティー12内に充填した後、型締めにより、ゲート11の高さHを2mm未満とし、樹脂を圧縮、加熱硬化させる。これにより、成形後に不要となる部分の樹脂量の低減や、成形物の切断し易さの向上をはかることができる。
ここで、圧縮成形の条件としては、例えば、金型温度、圧縮成形時圧力、硬化時間等が挙げられる。金型温度としては、樹脂の硬化温度に応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、フェノール樹脂成形材料の場合には、150〜190℃の範囲が好ましく、160〜185℃の範囲がより好ましく、170〜180℃の範囲がさらに好ましい。また、圧縮成形時圧力としては、例えば、10〜40MPaの範囲が好ましく、20〜40MPaの範囲がより好ましく、30〜40MPaの範囲がさらに好ましい。また、硬化時間としては、例えば、1〜10分の範囲が好ましく、3〜8分の範囲がより好ましく、5〜6分の範囲がさらに好ましい。
以上説明したように、本発明の第1の実施形態である成形物の製造方法によれば、移送−圧縮成形において、繊維含有樹脂組成物Uを、金型10に設けられたゲート11を介してキャビティー12内に充填する際に、ゲート11の高さHを2mm以上とする構成であるため、繊維強化樹脂成形物を成形する際の繊維の折損を低減することができる。
また、金型10に設けられたゲート11を介してキャビティー12内に充填する際に、繊維を充分に開繊させて溶融した樹脂中に均一に分散することができる。したがって、機械的強度の向上が充分であり、品質が安定した繊維強化樹脂成形物を製造することができる。
また、本実施形態の成形物の製造方法では、プランジャー30を用いて金型10内に繊維含有樹脂組成物Uを注入する際、繊維含有樹脂組成物Uに圧力をかけながら、ゲート11からキャビティー12内に押し出して充填するため、繊維の開繊、分散効果と繊維の折損低減とのバランスに優れる。
また、ゲート11の高さHを2mm以上とするのに伴って、型締め前のキャビティー12の容量が十分に拡充されるため、キャビティー12内に充填する時の繊維含有樹脂組成物U中の繊維と金型面との引っ掛かりが低減されて、繊維を分散させることができる。したがって、機械的特性が優れた成形物が得られる。
<第2の実施形態>
次に、本発明を適用した第2の実施形態である繊維強化樹脂成形物(以下、単に「成形物」という)の製造方法について説明する。図3は、本発明を適用した第2の実施形態である成形物の製造方法の構成を説明するための図である。また、図4は、本実施形態の成形物の製造方法に適用可能な金型の構成を説明するための断面図である。
本実施形態の成形物の製造方法は、繊維含有樹脂組成物U中の繊維の束を開繊する工程(第1の工程)と、金型に設けられたゲートを介して繊維含有樹脂組成物Uをキャビティー内に投入し、繊維強化樹脂成形物を成形する工程(第2の工程)とを含んで、概略構成されている。なお、本実施形態の成形物の製造方法は、インジェクション−コンプレッション(射出−圧縮)成形に適用した場合を一例として、図3及び図4を参照しながら、以下に詳細に説明する。また、上述した第1の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付すとともに、説明を省略する。
(第1の工程)
第1の工程では、射出機20を用いて繊維含有樹脂組成物Uを加熱し、繊維含有樹脂組成物U中の繊維を開繊する。なお、射出機20は、図3に示すように、シリンダー21と、シリンダー21内で回転可能なスクリュー22と、シリンダー21とスクリュー22との間の空間に樹脂原料を投入するための投入口23と、シリンダー21を介して樹脂原料を加熱するヒータ42と、を備えて、概略構成されている。
具体的には、先ず、図3に示すように、加熱している射出機20に原料となる樹脂及び繊維を供給して、繊維を開繊した後、先端口から繊維含有樹脂組成物Uを押し出す。なお、本発明では本工程で開繊することは必須ではないものの、本実施形態における第1工程では、上述した第1の実施形態と比較して、繊維の開繊が進む場合があり、それに伴い折損も生じるため、繊維長が短くなる傾向がある。また、射出成型機20を用いて開繊した後の繊維長は、スクリュー22の形状や、ノズルの形状等によっても変化する。したがって、繊維の折損を防ぐのに適した形状を適宜選択して用いることが好ましい。
(第2の工程)
第2の工程では、金型に設けられたゲートを介して繊維含有樹脂組成物Uをキャビティー内に投入し、成形物(繊維強化樹脂成形物)を成形する。なお、図3及び図4(a)に示すように、金型10は、固定側10Aと可動側10Bとを備えて構成される、2プレート金型を一例として説明するが、これに限定されることはない。
具体的には、先ず、図3に示すように、射出機20の先端口から押し出された繊維含有樹脂組成物Uを金型10に注入する。次いで、図4(a)に示すように、金型10内に注入された繊維含有樹脂組成物Uを、ゲート11を介してキャビティー12内に押し出して充填する。
ここで、本実施形態の成形物の製造方法でも同様に、図4(a)に示すように、繊維含有樹脂組成物Uをゲート11からキャビティー12内に押し出す際に、ゲート11の高さHを2mm以上とする。このように、キャビティー12内に押し出す際に、ゲート11の高さHを2mm以上と、従来よりも大きくとっているため、繊維の折れ(折損)を抑制することができる。また、ゲート11で発生したせん断応力によって繊維含有樹脂組成物U中の繊維をキャビティー12内に充填するまでに充分に開繊、分散することができる。
また、本実施形態の成形物の製造方法でも同様に、繊維含有樹脂組成物Uに圧力をかけながら、ゲート11からキャビティー12内に押し出して充填することが好ましい。繊維含有樹脂組成物Uに圧力をかける方法としては、例えば、射出機20を用いて金型10内に注入する際、スクリュー22のトルクを調節して繊維含有樹脂組成物Uに圧力をかけながら、金型11内に注入する方法が挙げられる。
また、繊維含有樹脂組成物Uに圧力をかけながら、ゲート11からキャビティー12内に押し出して充填する際も同様に、ゲート11の高さHを2mm以上とするのに伴い、型締め前のキャビティー12の容量が、型締めした後の該容量に対して、102〜250体積%増加することになる。
次に、図4(b)に示すように、繊維含有樹脂組成物Uをキャビティー12内に充填した後、型締めにより、ゲート11の高さHを2mm未満とし、樹脂を圧縮、加熱硬化させる。
ここで、圧縮成形の条件としては、例えば、金型温度、圧縮成形時圧力、硬化時間等が挙げられる。金型温度としては、樹脂の硬化温度に応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、フェノール樹脂成形材料の場合には、150〜190℃の範囲が好ましく、160〜185℃の範囲がより好ましく、170〜180℃の範囲がさらに好ましい。また、圧縮成形時圧力としては、例えば、10〜40MPaの範囲が好ましく、20〜40MPaの範囲がより好ましく、30〜40MPaの範囲がさらに好ましい。また、硬化時間としては、例えば、1〜10分の範囲が好ましく、3〜8分の範囲がより好ましく、5〜6分の範囲がさらに好ましい。
次に、圧縮成形が完了した後、金型10を開放して、成形物(繊維強化樹脂成形物)を取り出す。
以上説明したように、本発明の第2の実施形態である成形物の製造方法によれば、上述した第1の実施形態の成形物の製造方法と同様の効果が得られる。
また、本実施形態の成形物の製造方法では、射出機20を用いるため、繊維含有樹脂組成物U中の繊維を開繊する効果が得られる条件を選択することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上述した第1及び第2の実施形態では、移送−圧縮成形および射出−圧縮成形と、いずれも圧縮成形と組み合わせた場合を一例として説明したが、移送成形および射出成形に適用してもよい。
また、上述した第1及び第2の実施形態では、原料となる繊維含有樹脂組成物Uは樹脂及び繊維を含有するものであれば、その形態は特に限定されるものではない。具体的には、繊維含有樹脂組成物Uとして、所要の長さの繊維の束を樹脂で固定してペレット状としてもよいし、ペレットをさらに固めた集合物として用いてもよい。また、ワニスにより繊維に連続的にコーティング、乾燥する方法や長めのチョップドストランド(予め所定の長さに切断した繊維束)と樹脂等を混練して組成物としてもよいし、チョップドストランドと樹脂等を少量の溶剤を添加してミキサーにかけて団子状の粒子としてもよい。
また、繊維含有樹脂組成物U中において、繊維の開繊状態は特に限定されるものではない。繊維含有組成物U中において、繊維が開繊されていてもよいし、開繊されていなくてもよい。いずれの場合であっても、繊維の折損を低減することができる。
また、上述した第1実施形態では、別々に用意された樹脂及び繊維を、オーブンや高周波予熱機等によって加熱したものを繊維含有樹脂組成物Uとして用いてもよい。
また、上述した第2の実施形態では、射出機20を用いた場合を一例として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、単軸押出機を用いてもよいし、二軸以上の押出機を用いてもよい。
以下、本発明の効果を実施例及び比較例を用いて詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<ペレットの調製>
以下のようにして、ペレットを調製した。
まず、繊維の原繊維としてのシランカップリング剤により表面処理が施されたガラス繊維(PPG社製ガラス繊維ロービング1084、平均径:15μm)を用意した。
次いで、樹脂としてのフェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製スミライトレジンPR−51470、重量平均分子量:2800)を36.0質量%と、硬化剤としてのヘキサメチレンテトラミンを6.0質量%と、硬化助剤としての酸化マグネシウムを1.0質量%と、離型剤としてのステアリン酸カルシウムを1.0質量%と、顔料としてのカーボンブラックを1.0質量%とを混合して、樹脂混合物を得た。
次に、流動床技術を使用して、表面処理が施されたガラス繊維に55質量%となるように、得られた樹脂混合物をコーティングし、400℃に加熱されたヒータにより溶融・固着させ、その後、冷却した。
次に、ストランドカッターにより、樹脂混合物がコーティングされたガラス繊維を、平均長さ20mmの繊維が得られるように切断した。これにより、ペレットを得た。
<集合物の調製>
得られたペレットを用いて集合物を製造した。
まず、温度70〜100℃に加熱したオーブン内に、ペレットを10分載置、予熱し、その後金型に投入して圧力80〜150MPa、加圧時間10〜50secで加圧し、集合物を得た。
なお、集合物のサイズは、直径35mm、高さ25mm、重量15gであった。
<成形物の作製>
(実施例1)
移送−圧縮成形工法によって、実施例1の成形物を成形した。
具体的には、前記で調製した集合物を高周波予熱器で予熱した後、ポットに投入し、金型温度170〜180℃、成形加工20〜30MPa、硬化時間3分にて成形し、長さ170mm×幅20mm×厚み4mmの成形物を得た。
なお、ゲートを通じて繊維含有樹脂組成物をキャビティー内に充填する際の型開き量は、5mm(ゲートの高さ:6.5mm)とし、金型内に繊維含有樹脂組成物を充填した後の型締め量は、5mmとした。
(実施例2)
ゲートを通じて繊維含有樹脂組成物をキャビティー内に充填する際の型開き量は、15mm(ゲートの高さ:16.5mm)とし、金型内に繊維含有樹脂組成物を充填した後の型締め量は、15mmとした以外は、上記実施例1と同様にして、成形物を得た。
(比較例1)
ペレットを直接金型に投入し、加圧し加熱硬化(すなわち圧縮成形)せしめ、長さ170mm×幅20mm×厚み4mmの成形物を得た。
成形条件は、金型温度170〜180℃、成形加工20〜30MPa、硬化時間3分であった。
(比較例2)
移送成形工法によって、比較例2の成形物を成形した。
具体的には、前記集合物の調製で記載した方法で集合物を調製し、該集合物を高周波予熱器で予熱した後、ポットに投入し、金型温度170〜180℃、成形加工20〜30MPa、硬化時間3分にて成形し、長さ170mm×幅20mm×厚み4mmの成形物を得た。
なお、ゲートを通じて繊維含有樹脂組成物をキャビティー内に充填する際の型開き量は、0mm(ゲートの高さ:1.5mm)とし、金型内に繊維含有樹脂組成物を充填した後の型締め量は、0mmとした。
<シャルピー衝撃値の測定>
各成形物の中央部から、長さ80mm×幅10mm×厚み4mmのサイズを有する部分を切り出して、シャルピー衝撃値を測定するための試験片とした。この試験片のシャルピー衝撃値を、ISO 179に準拠して測定した。
シャルピー衝撃値の測定結果を表1に示す。
Figure 2017222125
表1に示すように、圧縮成形によって成形した比較例1は、シャルピー衝撃値の平均値が最も高く、平均繊維長が最も長いことがわかった。したがって、比較例1では、ペレットを直接金型に投入して圧縮成形したために、成形時における繊維の折損が一番少ないことが示唆された。しかしながら、シャルピー衝撃値の平均値のばらつきの値が最も大きいことから、成形物中において繊維が十分に開繊しておらず、樹脂中の繊維の分散状態が最も悪いことが示唆された。
また、移送成形によって成形した比較例2は、シャルピー衝撃値の平均値が最も低く、平均繊維長が最も短いことがわかった。比較例2では、繊維含有樹脂組成物を金型内に投入する際の型開き量が0mmであり、ゲートの高さが2mm未満であったため、成形時における繊維の折損が一番多いことが示唆された。一方、シャルピー衝撃値の平均値のばらつきの値が小さいことから、成形物中において繊維の開繊、分散状態は良いことが示唆された。
これに対して、移送−圧縮成形によって成形した実施例1及び実施例2では、比較例2と比較して、シャルピー衝撃値の平均値が高く、平均繊維長が長いことがわかった。実施例1及び実施例2では、ゲートを通じて繊維含有樹脂組成物をキャビティー内に充填する際のゲートの高さが2mm以上であったため、成形時における繊維の折損が低減されることが示唆された。また、比較例1と比較して、シャルピー衝撃値の平均値のばらつきの値が小さいことから、成形物中において繊維が開繊し、樹脂中の繊維の分散状態も良いことが示唆された。
10 金型
10A 固定側
10B 可動側
11 ゲート
12 キャビティー
20 射出機
21 シリンダー
22 スクリュー
23 投入口
30 プランジャー
41 高周波加熱コイル
42 ヒータ
、H ゲート高さ
U 繊維含有樹脂組成物

Claims (11)

  1. 所要の長さの繊維を含有する繊維含有樹脂組成物を、金型に設けられたゲートを介してキャビティー内に充填し、繊維強化樹脂成形物を成形する際に、
    前記ゲートの高さを2mm以上とする、繊維強化樹脂成形物の製造方法。
  2. 前記繊維含有樹脂組成物に圧力をかけながら、前記ゲートから前記キャビティー内に充填する、請求項1に記載の繊維強化樹脂成形物の製造方法。
  3. 前記圧力が、10〜30MPaの範囲である、請求項2に記載の繊維強化樹脂成形物の製造方法。
  4. 前記ゲートの高さを2mm以上とする際、
    型締め前の前記キャビティーの容量が、型締め後の当該容量に対して、102〜250体積%増加する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂成形物の製造方法。
  5. 前記繊維含有樹脂組成物を前記キャビティー内に充填した後、前記ゲートの高さを2mm未満に縮小する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂成形物の製造方法。
  6. 前記ゲートの高さを2mm未満に縮小する際、
    前記キャビティー容量が、当該キャビティー内に充填する樹脂量と同等体積となる、請求項5に記載の繊維強化樹脂成形物の製造方法。
  7. 前記繊維含有樹脂組成物をキャビティー内に充填した後、さらに加圧する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂成形物の製造方法。
  8. 前記繊維強化樹脂成形物中の平均繊維長が、1〜7mmである、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂成形物の製造方法。
  9. 前記樹脂は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂および不飽和ポリエステル樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂成形物の製造方法。
  10. 移送成形、または射出成形である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂成形物の製造方法。
  11. 移送−圧縮成形、または射出−圧縮成形である、請求項6乃至9のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂成形物の製造方法。
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