JP5714922B2 - 鉄鋼圧延機用転がり軸受 - Google Patents
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(1)内輪と外輪との間に、複数の転動体を転動自在に配設すると共に潤滑用のグリースを封入してなる鉄鋼圧延機用転がり軸受であって、
前記グリースは、鉱油および合成油の少なくとも1種からなる基油に、カルボン酸系防錆剤とカルボン酸塩系防錆剤とアミン系防錆剤との3種の防錆剤を添加し、かつ、スミアリングを防止するために混和ちょう度が300以上400以下であり、前記グリースを円すいころ軸受HR30205(内径:25mm、外径:52mm、幅:16.25mm)に封入すると共に水を1質量%封入し、120℃、ラジアル荷重98N、アキシアル荷重1470N、回転速度3500min −1 にて100時間連続回転させた時に、スミアリングが発生しないグリースであることを特徴とする鉄鋼圧延機用転がり軸受。
(2)前記グリースは、有機金属化合物及び硫黄リン系の少なくとも1種からなる摩耗防止剤を含むことを特徴とする上記(1)に記載の鉄鋼圧延機用転がり軸受。
本発明の係るグリースGに使用可能な基油としては、特に限定されるものでなく、通常の潤滑油の基油として使用されている油であれば全て使用することが可能である。好ましくは、低温起動時の異音発生や、高温で油膜が形成され難いために起こる焼付きを避けるために、40℃における動粘度が10〜600mm2/sec、より好ましくは70〜400mm2/sec、さらに好ましくは100〜250mm2/secである基油が望ましい。
増ちょう剤はゲル構造を形成し、基油をゲル構造中に保持する能力があれば、特に制約はない。例えば、Li、Naなどからなる金属石けん、Li、Na、Ba、Caなどから選択される複合金属石けんなどの金属石けん類、ベントン、シリカゲル、ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物などの非石けん類を適宜選択して使用できるが、グリースGの耐熱性を考慮するとNアルキル置換モノアミド酸のリチウム塩と二塩基酸のリチウム塩、ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物または、これらの混合物が好ましい。なお、Nアルキル置換モノアミド酸のリチウム塩と二塩基酸のリチウム塩は、例えば特公平7−30350号公報に詳細に記されている。
カルボン酸系防錆剤としては、モノカルボン酸では、ラウリン酸、ステアリン酸などの直鎖脂肪酸、ナフテン核を有する飽和カルボン酸が挙げられ、ジカルボン酸では、コハク酸、アルキルコハク酸、アルキルコハク酸ハーフエステル、アルケニルコハク酸、アルケニルコハク酸ハーフエステル、コハク酸イミドなどのコハク酸誘導体、ヒドロキシ脂肪酸、メルカプト脂肪酸、ザルコシン誘導体、またはワックスやペトロラタムの酸化物などの酸化ワックスなどを挙げることができるが、なかでもコハク酸ハーフエステルが好適である。
カルボン酸塩系防錆剤としては、脂肪酸、ナフテン酸、アビエンチ酸、ラノリン脂肪酸、アルケニルコハク酸、アミノ酸誘導体などの金属塩などが挙げられる。また、金属元素としては、コバルト、マンガン、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、バリウム、リチウム、マグネシウム、銅などが挙げられるが、なかでもナフテン酸亜鉛が好適である。
アミン系防錆剤としては、アルコキシルフェニルアミン、脂肪酸のアミン塩、二塩基性カルボン酸の部分アミドなどを挙げることができるが、脂肪酸のアミン塩が好適である。
摩耗防止剤としては、ジチオカルバミン酸亜鉛やトリフェニルホスホロチオエートジアルキルジオカルバミン酸化合物、ジアルキルジチオリン酸化合物などの有機金属化合物及び硫黄−リン系からなる1種を用いることができる。金属種にはSb、Bi、Sn、Fe、Cu、Mo、Znから選択できる。
本発明で用いるグリースGには、各種性能をさらに向上させるために、所望により種々の添加剤を混合しても良い。例えば、酸化防止剤、防錆剤、極圧剤、油性向上剤、金属不活性化剤などグリースGに一般に使用される添加剤を、単独または2種以上混合して用いることができる。
さらに、リン系、ジチオリン酸亜鉛、有機モリブデンなどの極圧剤や、ベンゾトリアゾールなどの金属不活性化剤などが使用される。
グリースGの混和ちょう度は、300以上400以下である。混和ちょう度が300未満では流動性が十分ではなく、スミアリング防止効果が十分ではない。一方、混和ちょう度が400を超えるとグリース漏洩が起こり易くなり、潤滑寿命が低下するようになる。
以下の表1に示すように、鉱油からなる基油(動粘度200mm2/s)に増ちょう剤としてジウレア化合物を配合し、これに防錆剤として、ナフテン酸亜鉛(カルボン酸塩系防錆剤)と、コハク酸ハーフエステル(カルボン酸系防錆剤)と、脂肪酸のアミン塩(アミン系防錆剤)を、合計で4質量%の割合で添加し、更に混和ちょう度を340に調整して試験グリースを得た。
以下の表1に示すように、基油としてポリαオレフィン(動粘度160mm2/s)を用いると共に防錆剤の添加量を2質量%とし、さらに有機金属化合物(有機化合物塩)からなる摩耗防止剤としてジチオカルバミン酸亜鉛1質量%添加し、混和ちょう度を320に調整した他は、実施例1と同様にして試験グリースを得た。
以下の表1に示すように、基油としてポリオールエステル(動粘度120mm2/s)を用いると共に防錆剤の添加量を3質量%とし、さらに有機金属化合物(有機化合物塩)からなる摩耗防止剤としてジチオカルバミン酸亜鉛1質量%添加し、混和ちょう度を300に調整した他は、実施例1と同様にして試験グリースを得た。
以下の表1に示すように、増ちょう剤としてリチウム複合石けんを用いると共に防錆剤の添加量を1.5質量%とし、混和ちょう度を320に調整した他は、実施例1と同様にして試験グリースを得た。
以下の表1に示すように、動粘度400mm2/sの基油を用いると共に、防錆剤の添加量を4質量%とし、有機金属塩として1質量%のトリフェニルホスホロチオエートを用い、混和ちょう度を340に調整した他は、実施例4と同様にして試験グリースを得た。
以下の表1に示すように、混和ちょう度を380に調整した他は、実施例1と同様にして試験グリースを得た。
以下の表1に示すように、混和ちょう度を400に調整し、動粘度400mm2/sの基油を用いた他は、実施例1と同様にして試験グリースを得た。
以下の表2に示すように、防錆剤としてバリウムスルフォン酸塩を2質量%添加とした他は、実施例1と同様にして試験グリースを得た。
以下の表2に示すように、基油としてポリαオレフィン(動粘度80mm2/s)を用いると共に防錆剤を一切添加しない他は実施例2と同様にして試験グリースを得た。
以下の表2に示すように、防錆剤としてナフテン酸亜鉛(カルボン酸塩系防錆剤)と、脂肪酸のアミン塩(アミン系防錆剤)のみを2質量%添加とし、混和ちょう度を280に調整した他は、実施例1と同様にして試験グリースを得た。
以下の表2に示すように、防錆剤としてナフテン酸亜鉛(カルボン酸塩系防錆剤)と、コハク酸ハーフエステル(カルボン酸系防錆剤)のみを2質量%添加とし、混和ちょう度を280に調整した他は、実施例1と同様にして試験グリースを得た。
以下の表2に示すように、混和ちょう度を280に調整した他は、実施例1と同様にして試験グリースを得た。
以下の表2に示すように、混和ちょう度を410に調整した他は、実施例1と同様にして試験グリースを得た。
10 内輪
10a 複列内輪
20 外輪
20a 単列内輪
30 転動体
40,50 間座
60 環状シール部材
61 中間シール部材
70 保持器
G グリース
Claims (2)
- 内輪と外輪との間に、複数の転動体を転動自在に配設すると共に潤滑用のグリースを封入してなる鉄鋼圧延機用転がり軸受であって、
前記グリースは、鉱油および合成油の少なくとも1種からなる基油に、カルボン酸系防錆剤とカルボン酸塩系防錆剤とアミン系防錆剤との3種の防錆剤を添加し、かつ、スミアリングを防止するために混和ちょう度が300以上400以下であり、前記グリースを円すいころ軸受HR30205(内径:25mm、外径:52mm、幅:16.25mm)に封入すると共に水を1質量%封入し、120℃、ラジアル荷重98N、アキシアル荷重1470N、回転速度3500min −1 にて100時間連続回転させた時に、スミアリングが発生しないグリースであることを特徴とする鉄鋼圧延機用転がり軸受。 - 前記グリースは、有機金属化合物及び硫黄リン系の少なくとも1種からなる摩耗防止剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の鉄鋼圧延機用転がり軸受。
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