JP2011153654A - 鉄鋼圧延機用転がり軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐水性を発揮して長期間良好な軸受機能を維持できる新規な鉄鋼圧延機用転がり軸受の提供。
【解決手段】内輪10と外輪20との間に、複数の転動体30を転動自在に配設すると共に潤滑用のグリースGを封入してなる鉄鋼圧延機用転がり軸受100であって、前記グリースGは、鉱油および合成油の少なくとも1種からなる基油に、カルボン酸系防錆添加剤とカルボン酸塩系防錆添加剤とアミン系防錆剤との3種の防錆剤を配合し、グリース全量に対するそれら防錆剤の総添加量が0.2〜8質量%となるよう添加する。これによって、水が混入した場合であっても水から発生する水素を起因とした剥離および水より生じる腐食を効果的に抑制することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、特に鉄鋼設備の圧延工程などのように、多量の水が混入する可能性が高い環境下で用いられる鉄鋼圧延機用転がり軸受に関するものである。
一般に、製鉄所などの鉄鋼設備の圧延機には、設備工程上大量の圧延水が噴射され、また温度も高いことから、その周囲の湿度は極めて高い状況となっている。
そのため、このような環境下で使用される圧延機用ロールネック軸受などの圧延機用軸受には、優れた防水機能と共に、仮に水が入り込んでしまった場合でも、潤滑性の低下を回避すべくその内部に封入されるグリースには優れた耐水性が要求される。すなわち、例えば以下の非特許文献1には、潤滑油(♯180タービン油)に6%の水分が混入すると、混入しない場合に比べて転がり疲れ寿命が数分の1から20分の1にまで低下することを報告している。
また、以下の非特許文献2には、潤滑油中に僅か100ppmの水分が混入するだけで鋼の転がり強さが32〜48%の低下することが開示されている。
このような寿命低下は、混入した水分から発生した水素が軸受材料に作用し、白色組織剥離と呼ばれる金属剥離を引き起こすことが考えられるという課題があった。
この部分の改善の先行技術としては、剥離を抑制するために従来から封入グリースを改良したものが多く提案されており、例えば以下の特許文献1〜3には、亜硝酸ナトリウムなどの不動態酸化剤を添加したグリースや、有機アンチモン化合物や有機モリブデン化合物を添加したグリースや、粒径2μm以下の無機系化合物を添加したグリースなどが提案されている。
また、以下の特許文献4には、基油に合成炭化水素油、エステル油、鉱油、増ちょう剤にウレア化合物、防錆剤にカルシウムスルフォネート、バリウムスルフォネートをそれぞれ用いたものが開示されている。また、以下の特許文献5には、基油と増ちょう剤に、親水性有機インヒビターに親油性有機インヒビターまたは非イオン活性界面剤を添加することで防錆作用を有するグリースが開示されている。また、以下の特許文献6には、基油にエステル系合成油、パーフルオロポリエーテル油、第1増ちょう剤にジウレア化合物、第2増ちょう剤にフッ素樹脂を用いたものが開示されている。
一方、このような封入グリース以外の対策として、例えば以下の特許文献6に示すように軸受材料として耐食性に優れたステンレス鋼を用いたり、特許文献5の様に転動体をセラミック製にするなどの方法も提案されている。
古村恭三郎、城田伸一、平川清著「表面起点および内部起点の転がり疲れについて」NSK Bearing Journal、No636,pp.1-10、1977 P.Schatzberg、I.M.Felsen:Effects of water and oxygen during rollingcontact lubrication、wear 12,pp.331-342,1968
特許第2878749号公報 特許第3512183号公報 特開平9−169989号公報 特開平3−183747号公報 特開平4−244624号公報 特開平3−173747号公報
しかしながら、前記特許文献1〜3に示すようなグリースは、添加剤に由来する被膜を転がり軸受接触部に生成することにより、軸受材料への水素の侵入を防いでいるが被膜が形成されるまでの間に振動や速度変化による転動体の滑りなどが起こると、転がり接触部で金属剥離が起こる場合がある。
また、特許文献4〜6に示すような方法では、材料自体が高価であるため、軸受の製造コストが高くなるといった問題がある。
そこで、本発明は前記のような問題点を解決するために案出されたものであり、その目的は、優れた耐水性を発揮して長期間良好な軸受機能を維持できる新規な鉄鋼圧延機用転がり軸受を提供するものである。
前記課題を解決するために第1の発明は、内輪と外輪との間に、複数の転動体を転動自在に配設すると共に潤滑用のグリースを封入してなる鉄鋼圧延機用転がり軸受であって、前記グリースは、鉱油および合成油の少なくとも1種からなる基油に、カルボン酸系防錆添加剤とカルボン酸塩系防錆添加剤とアミン系防錆剤との3種の防錆剤を配合してなり、グリース全量に対するそれら防錆剤の総添加量が0.2〜8質量%とすることを特徴とする鉄鋼圧延機用転がり軸受である。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の鉄鋼圧延機用転がり軸受において、前記グリースは、さらに有機金属化合物及び硫黄リン系の少なくとも1種からなる摩耗防止剤を含むことを特徴とする鉄鋼圧延機用転がり軸受である。
第1の発明によれば、鉱油および合成油の少なくとも1種からなる基油に、カルボン酸系防錆添加剤とカルボン酸塩系防錆添加剤とアミン系防錆剤との3種の防錆剤を配合してなるグリースを用いたことから、水が混入した場合であっても水から発生する水素を起因とした剥離および水より生じる腐食を効果的に抑制することができる。
これによって、圧延工程のような大量の水を浴びるような環境下でも優れた耐水性を発揮できるため、長期に亘って良好な軸受機能を維持することができる。
また、ステンレスやセラミックなどのような高価な軸受部材を使用する必要がないため、製造コストも安価となる。
また、第2の発明によれば、前記グリースは、さらに有機金属化合物及び硫黄リン系の少なくとも1種からなる摩耗防止剤を含むことから、耐摩耗性がより向上する。
本発明の係る鉄鋼圧延機用転がり軸受100の実施の一形態を示す部分拡大断面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係る鉄鋼圧延機用転がり軸受100の1つである圧延機用ロールネック軸受の実施の一形態を示したものである。
図示するように、この圧延機用ロールネック軸受100は、内輪10と、外輪20との間に4列の転動体30,30,30,30が周方向に転動自在に配置された構造となっている。
この内輪10は、2個の複列内輪10a,10aから構成されていると共に、外輪20は、4個の単列外輪20a,20a,20a,20aから構成されており、複列内輪10a,10a間および単列外輪20a,20a間には、それぞれ間座40,50が設けられている。
また、各列の転動体30は、保持器70によってそれぞれ等間隔に保持されている。
そして、複列外輪20の両端部には、環状シール部材60,60がそのシールリップ部を複列内輪10の外周面に接触させた状態で装着されていると共に、内輪10,10の突き合わせ端の内周側には中間シール部材61,61が装着されている。
さらに、これら環状シール部材60,60と中間シール部材61,61でシールされた内輪10と外輪20間には、潤滑用のグリースGがそれぞれ封入されている。
以下、このような構成をした本発明の転がり軸受100に用いられるグリースGの組成について詳細に説明する。
[基油]
本発明の係るグリースGに使用可能な基油としては、特に限定されるものでなく、通常の潤滑油の基油として使用されている油であれば全て使用することが可能である。好ましくは、低温起動時の異音発生や、高温で油膜が形成され難いために起こる焼付きを避けるために、40℃における動粘度が10〜600mm/s、より好ましくは70〜250mm/s、さらに好ましくは100〜400mm/sである基油が望ましい。
具体例としては、鉱油系、合成油系または天然油系の潤滑油などが挙げられる。前記鉱油系潤滑油としては、鉱油を減圧蒸留、油剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、硫酸洗浄、白土精製、水素化精製などを適宜組み合わせて精製したものを用いることができる。
前記合成油系潤滑油基としては、炭化水素系油、芳香族系油、エステル系油、エーテル系油などが挙げられる。前記炭化水素系油としては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン、1−デセンオリゴマー、1−デセントエチレンオリゴマーなどのポリ−α−オレフィンまたはこれらの水素化物などが挙げられる。
前記芳香族油としては、モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼンなどのアルキルベンゼンあるいはモノアルキルナフタレン、ジアルキルナフタレン、ポリアルキルナフタレンなどのアルキルナフタレンなどが挙げられる。
前記エステル系油としては、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジオクチルアジベート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジトリデシルグルタレート、メチル・アセチルシノレートなどのジエステル油、あるいはトリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテートなどの芳香族エステル油、さらにはトリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールベラルゴネートなどのポリオールエステル油、さらにはまた、多価アルコールと二塩基酸・一塩基酸の混合脂肪酸とのオリゴエステルであるコンプレックスエステル油などが挙げられる。
前記エーテル系油としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリプロピレングリコールモノエーテルなどのポリグルコール、あるいはモノアルキルトリフェニルエーテル、アルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、ペンタフェニルエーテル、テトラフェニルエーテル、モノアルキルテトラフェニルエーテル、ジアルキルテトラフェニルエーテルなどのフェニルエーテル油などが挙げられる。
その他の合成潤滑基油としてはトリクレジルフォスフェート、シリコーン油、パーフルオロアルキルエーテル油などが挙げられる。
前記天然油系潤滑基油としては、牛脂、豚脂、大豆油、菜種油、米ぬか油、ヤシ油、パーム油、パーム核油などの油脂系油またはこれらの水酸化物が挙げられる。
これらの基油は、単独または混合物として用いることができ、上述した動粘度に調節される。
[増ちょう剤]
増ちょう剤はゲル構造を形成し、基油をゲル構造中に保持する能力があれば、特に制約はない。例えば、Li、Naなどからなる金属石けん、Li、Na、Ba、Caなどから選択される複合金属石けんなどの金属石けん類、ベントン、シリカゲル、ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物などの非石けん類を適宜選択して使用できるが、グリースGの耐熱性を考慮するとNアルキル置換モノアミド酸のリチウム基と二塩基酸のリチウム塩、ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物または、これらの混合物が好ましい。
なお、Nアルキル置換モノアミド酸のリチウム基と二塩基酸のリチウム塩は、例えば特公平7−30350に詳細に記されている。
ウレア化合物としては、ジウレア化合物、トリウレア化合物、テトラウレア化合物、ポリウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ジウレタン化合物またはこれらの混合物が挙げられる。これらのなかでもNアルキル置換モノアミド酸のリチウム基と二塩基酸のリチウム塩、ジウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ジウレタン化合物またはこれらの混合物がより好ましい。
前記増ちょう剤量としては、グリースG全量に対して5〜40質量%であることが好ましい。ここで、増ちょう剤の配合割合が5質量%未満であると、グリースGの状態を維持することが困難になってしまい、一方、増ちょう剤の配合割合が40質量%を超えると、グリースGが硬くなり過ぎて潤滑状態を充分に発揮することができなくなってしまうため、好ましくない。
[カルボン酸系防錆剤]
カルボン酸系防錆剤としては、モノカルボン酸では、ラウリン酸、ステアリン酸などの直鎖脂肪酸、ナフテン核を有する飽和カルボン酸が挙げられ、ジカルボン酸では、コハク酸、アルキルコハク酸、アルキルコハク酸ハーフエステル、アルケニルコハク酸、アルケニルコハク酸ハーフエステル、コハク酸イミドなどのコハク酸誘導体、ヒドロキシ脂肪酸、メルカプト脂肪酸、ザルコシン誘導体、またはワックスやペトロラタムの酸化物などの酸化ワックスなどを挙げることができるが、なかでもコハク酸ハーフエステルが好適である。
[カルボン酸塩系防錆剤]
カルボン酸塩系防錆剤としては、脂肪酸、ナフテン酸、アビエンチ酸、ラノリン脂肪酸、アルケニルコハク酸、アミノ酸誘導体などの金属塩などが挙げられる。また、金属元素としては、コバルト、マンガン、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、バリウム、リチウム、マグネシウム、銅などが挙げられるが、なかでもナフテン酸亜鉛が好適である。
[アミン系防錆剤]
アミン系防錆剤としては、アルコキシルフェニルアミン、脂肪酸のアミン塩、二塩基性カルボン酸の部分アミドなどを挙げることができるが、脂肪酸のアミン塩が好適である。
これらの防錆剤の添加量としては,カルボン酸系防錆剤及びカルボン酸塩系防錆剤はグリースGの全量に対してそれぞれ0.1〜5質量%で、アミン系防錆剤の添加量はグリース全量の0.1〜3質量%である。このような配合量とするので防錆剤全量としては、グリース全量に対して、0.2〜8質量%とすることが好ましい。この範囲内であれば、水により生じる腐食を抑制でき、さらに軸受部材表面に封入グリースに由来する酸化膜が形成されるため、水から発生する水素を抑制できる。
添加量が下限値未満では十分な効果は得られず、反対に上限値超えて添加しても防錆効果の向上がない上、軸受部材表面への吸着量が多くなりすぎるため、グリースGに由来する酸化膜の生成を阻害する。これらを考慮すると、カルボン酸系防錆剤及びカルボン酸塩系防錆剤の添加量は夫々0.5〜3質量%とすることがより好ましい。
[摩耗防止剤]
摩耗防止剤としては、ジチオカルバミン酸亜鉛やトリフェニルホスホロチオエートジアルキルジオカルバミン酸化合物、ジアルキルジチオリン酸化合物などの有機金属化合物及び硫黄−リン系からなる少なくとも1種を用いることができる。金属種にはSb、Bi、Sn、Fe、Cu、Mo、Znから選択できる。
そしてこれらの摩擦防止剤の添加量としては、グリースGの全量に対して0.5〜5.0質量%である。添加量が0.5質量%未満では充分な効果は得られず、反対に5.0質量%を超えて添加しても効果の向上がない。これらを考慮すると、添加量は約1.0質量%が好ましい。
[その他の添加剤]
本発明で用いるグリースGには、各種性能をさらに向上させるために、所望により種々の添加剤を混合しても良い。例えば、酸化防止剤、防錆剤、極圧剤、油性向上剤、金属不活性化剤などグリースGに一般に使用される添加剤を、単独または2種以上混合して用いることができる。
酸化防止剤としては、例えばアミン系、フェノール系、硫黄系、ジチオリン酸亜鉛などが挙げられる。
アミン系酸化防止剤の具体例としては、フェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチルアミン、ジフェニルアミン、フェニレンジアミン、オレイルアミドアミン、フェノチアジンなどが挙げられる。
フェノール系酸化防止剤の具体例としては、p−t−ブチル−フェニルサリシレート、2,6−ジ−t−ブチル−p−フェニルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−オクチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−6−t−ブチル−m−クレゾール、テトラキス[メチレン−3−(3’、5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’、5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2−n−オクチル−チオ−4,6−ジ(4’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−t−ブチル)フェノキシ−1’3,5−トリアジン、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどのヒンダードフェニルなどが挙げられる。
油性向上剤としては、例えば、オレイン酸、ステアリン酸などの脂肪酸、ラウリルアルコール、オレイルアルコールなどのアルコール、ステアリルアミン、セチルアミンなどのアミン、リン酸トリクレジルなどのリン酸エステル、および動植物油などが挙げられる。
さらに、リン系、ジチオリン酸亜鉛、有機モリブデンなどの極圧剤や、ベンゾトリアゾールなどの金属不活性化剤などが使用される。
なお、これ添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない程度であれば特に限定されるものではないが、通常はグリースGの組成物全体に対して0.1〜20質量%である。0.1質量%未満では、添加剤の添加効果が乏しく、また、20質量%を超えて添加しても添加効果の向上が望めない上、基油の量が相対的に少なくなるため、潤滑性が低下するおそれがあるので好ましくない。
これらの組成からなるグリースGの製法としては、特に限定されるものではないが、一般的には基油中で増ちょう剤を反応させて得られる。また、カルボン酸系防錆添加剤、カルボン酸塩系防錆添加剤、アミン系防錆剤は、ニーダやロールミルなどで前記添加剤を添加した後に充分攪拌し、均一分散させる必要がある。この処理を行うときは、加熱するものも有効である。なお、前記製法において、酸化防止剤などの添加剤は前記添加剤と同時に添加することが工程上好ましい。そして、このような組成のグリースGを封入した本発明の鉄鋼圧延機用転がり軸受100にあっては、以下の実施例からも明らかなように、優れた防錆性能と共に、優れた酸化膜形成性により軸受部材表面に封入グリースに由来する酸化膜が形成されるため、水から発生する水素を抑制できるためはく離防止効果を発揮して、優れた信頼性と長寿命の転がり軸受を得ることができる。
[耐水試験]
次に、本発明の実施例および比較例の耐水試験について説明する。
(実施例1)
以下の表1に示すように、鉱油からなる基油(動粘度200mm/s)に増ちょう剤としてジウレア化合物を配合し、これに防錆剤として、ナフテン酸亜鉛(カルボン酸塩系防錆剤)と、コハク酸ハーフエステル(カルボン酸系防錆剤)と、脂肪酸のアミン塩(アミン系防錆剤)を4質量(mass)%の割合で添加した試験グリースを調整した。そして、この試験グリースを鉄鋼圧延機用転がり軸受に使用される円錐ころ軸受の1つである、NSK製円すいころ軸受「HR30205(内径:25mm、外径52mm、幅:16.25mm)」に封入すると共に水を1質量%封入し、90℃、ラジアル荷重98N、アキシアル荷重1470N、回転速度3500rpmにて100時間連続回転させて錆の発生(防錆試験)および剥離の発生(剥離試験)の有無を確認した。さらに、試験後軸受外輪に生成した酸化膜厚さをオージェ電子分光装置により測定し、比較例1の酸化膜厚さを1とした酸化膜厚比を算出し、比較した(酸化膜形成性試験)。この結果、表1の下欄に示したように、本発明に係る実施例1では錆や剥離が発生することなく、厚い酸化膜を形成して良好な特性を発揮した。
(実施例2)
以下の表1に示すように、基油としてポリαオレフィン(動粘度160mm/s)を用いると共に防錆剤の添加量を2質量(mass)%とし、さらに有機金属化合物(有機化合物塩)からなる摩耗防止剤としてジチオカルバミン酸亜鉛1質量(mass)%添加した他は、実施例1と同様な組成の試験グリースを調整した。そして、この試験グリースを実施例1と同様な軸受に封入し、同様な条件で防錆試験および剥離試験、酸化膜形成性試験を行った。この結果、表1の下欄に示したように、本発明に係る実施例2でも錆や剥離が発生することなく、厚い酸化膜を形成して良好な特性を発揮した。
(実施例3)
以下の表1に示すように、基油としてポリオールエステル(動粘度120mm/s)を用いると共に防錆剤の添加量を3質量(mass)%とし、さらに有機金属化合物(有機化合物塩)からなる摩耗防止剤としてジチオカルバミン酸亜鉛1質量(mass)%添加した他は、実施例1と同様な組成の試験グリースを調整した。そして、この試験グリースを実施例1と同様な軸受に封入し、同様な条件で防錆試験および剥離試験、酸化膜形成性試験を行った。この結果、表1の下欄に示したように、本発明に係る実施例3でも錆や剥離が発生することなく、厚い酸化膜を形成して良好な特性を発揮した。
(実施例4)
以下の表1に示すように、増ちょう剤としてリチウム複合石けんを用いると共に防錆剤の添加量を1.5質量(mass)%とした他は、実施例1と同様な組成の試験グリースを調整した。そして、この試験グリースを実施例1と同様な軸受に封入し、同様な条件で防錆試験および剥離試験、酸化膜形成性試験を行った。この結果、表1の下欄に示したように、本発明に係る実施例4でも錆や剥離が発生することなく、厚い酸化膜を形成して良好な特性を発揮した。
(実施例5)
以下の表1に示すように、動粘度400mm/sの基油を用いると共に、防錆剤の添加量を4質量(mass)%とし、有機金属塩として1質量(mass)%のトリフェニルホスホロチオエートを用いた他は、実施例4と同様な組成の試験グリースを調整した。そして、この試験グリースを実施例1と同様な軸受に封入し、同様な条件で防錆試験および剥離試験、酸化膜形成性試験を行った。この結果、表1の下欄に示したように、本発明に係る実施例5でも錆や剥離が発生することなく、厚い酸化膜を形成して良好な特性を発揮した。
Figure 2011153654
(比較例1)
以下の表2に示すように、防錆剤としてバリウムスルフォン酸塩を2質量(mass)%添加とした他は、実施例1と同様な組成の試験グリースを調整し、この試験グリースを実施例1と同様な軸受に封入して同様な条件で防錆試験および剥離試験、酸化膜形成性試験を行った。この結果、表2の下欄に示したように防錆結果は良好であったが、剥離が発生し、酸化膜も薄かった。
(比較例2)
以下の表2に示すように、基油としてポリ-α-オレフィン(動粘度80mm/s)を用いると共に防錆剤を一切添加しない他は実施例2と同様な組成の試験グリースを調整し、この試験グリースを実施例1と同様な軸受に封入して同様な条件で防錆試験および剥離試験、酸化膜形成性試験を行った。この結果、表2の下欄に示したように剥離が発生することはなかったが、錆が発生し、酸化膜も薄かった。
(比較例3)
以下の表2に示すように、防錆剤としてナフテン酸亜鉛(カルボン酸塩系防錆剤)と、コハク酸ハーフエステル(カルボン酸系防錆剤)のみを2質量(mass)%添加とした他は、実施例1と同様な組成の試験グリースを調整し、この試験グリースを実施例1と同様な軸受に封入して同様な条件で防錆試験および剥離試験、酸化膜形成性試験を行った。この結果、表2の下欄に示したように防錆結果は良好であったが、剥離が発生し、酸化膜も薄かった。
(比較例4)
以下の表2に示すように、防錆剤としてナフテン酸亜鉛(カルボン酸塩系防錆剤)と、脂肪酸のアミン塩(アミン系防錆剤)のみを2質量(mass)%添加とした他は、実施例1と同様な組成の試験グリースを調整し、この試験グリースを実施例1と同様な軸受に封入して同様な条件で防錆試験および剥離試験、酸化膜形成性試験を行った。この結果、表2の下欄に示したように防錆結果は良好であったが、剥離が発生し、酸化膜も薄かった。
(比較例5)
以下の表2に示すように、防錆剤を9質量(mass)%添加とした他は、実施例5と同様な組成の試験グリースを調整し、この試験グリースを実施例1と同様な軸受に封入して同様な条件で防錆試験および剥離試験、酸化膜形成性試験を行った。この結果、表2の下欄に示したように防錆結果は良好であったが、剥離が発生し,酸化膜も薄かった。
Figure 2011153654
これらの実施例および比較例からも分かるように、鉱油および合成油の少なくとも1種からなる基油に、カルボン酸系防錆剤とカルボン酸塩系防錆剤とアミン系防錆剤との3種の防錆剤をグリース全量に対するそれら防錆剤の総添加量が0.2〜8質量%となるように添加してなるグリースGを軸受内に封入することで、優れた防錆性能と共に、優れた酸化膜形成性により軸受部材表面に封入グリースに由来する酸化膜が形成されるため、水から発生する水素を抑制できるため、はく離防止効果を発揮して、極めて優れた長寿命の転がり軸受を得ることができる。
鉄鋼圧延機用転がり軸受として利用できる。
10 内輪
10a 複列内輪
20 外輪
20a 複列外輪
30 転動体
40、50 間座
60 環状シール部材
61 中間シール部材
70 保持器
G グリース

Claims (2)

  1. 内輪と外輪との間に、複数の転動体を転動自在に配設すると共に潤滑用のグリースを封入してなる鉄鋼圧延機用転がり軸受であって、前記グリースは、鉱油および合成油の少なくとも1種からなる基油に、カルボン酸系防錆剤とカルボン酸塩系防錆剤とアミン系防錆剤との3種の防錆剤を、グリース全量に対するそれら防錆剤の総添加量が0.2〜8質量%となるよう添加することを特徴とする鉄鋼圧延機用転がり軸受。
  2. 請求項1に記載の鉄鋼圧延機用転がり軸受において、前記グリースは、さらに有機金属化合物及び硫黄リン系の少なくとも1種からなる摩耗防止剤を含むことを特徴とする鉄鋼圧延機用転がり軸受。
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