上記従来の車両環境サービスシステムにおいては、車載情報端末が情報管理部を備えており、この情報管理部が入力されたID照合等に基づいて、現在の運転者(ユーザ)を識別するようになっている。又、上記従来の車両情報収集システム及び方法においては、車載端末に設けられた車両情報仕様決定機能を利用して運転手(ユーザ)の操作により運転手の意思に委ねられて車両情報が選択されて送信されるようになっている。
ところで、車両によっては、ユーザからの入力操作を受け付けるためのインターフェース(例えば、タッチパネル機能付き表示ディスプレイやキーボード、テンキー、車内カメラ、生体情報照合装置等)を備えていない場合が存在する。そして、このような車両においては、ユーザによって入力されるべき事項、すなわち、ユーザ(運転者)を識別するための情報や外部のセンタに送信すべき情報の選択等の設定操作が不能であり、その結果、ユーザの意図しない情報やユーザが関与していない情報等が収集されて外部のセンタに送信されてしまうおそれがある。
本発明は、上記した問題に対処するためになされたものであり、その目的の一つは、ユーザが意図する情報やユーザが関与している情報を確実に外部に送信する車両通信装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明による車両通信装置は、車両から独立してユーザが所有する通信端末と近距離通信手段によって近距離通信することにより、前記通信端末を介して外部と通信するものである。そして、本発明による車両通信装置の特徴は、車両情報記憶手段、識別情報付与手段、選択操作手段、情報転送手段とを備えることにある。
前記車両情報記憶手段は、車両の走行に伴って取得される車両情報を順次更新可能に記憶する。前記識別情報付与手段は、前記車両情報記憶手段によって順次更新可能に記憶される前記車両情報ごとに、更新順序を識別するための識別情報を付与する。前記選択操作手段は、前記ユーザによって操作されて、前記通信端末を前記近距離通信手段と近距離通信可能な状態に登録するか、又は、前記登録された状態にある前記通信端末の登録を抹消するかを選択する。情報転送手段は、前記ユーザによって前記選択操作手段が操作されて、前記通信端末を前記近距離通信手段と近距離通信可能な状態に登録することが選択されているときに、前記車両情報記憶手段によって順次更新可能に記憶された前記車両情報及び前記識別情報付与手段によって前記車両情報に付与された前記識別情報を前記登録された状態にある前記通信端末に対して転送する。
そして、本発明による車両通信装置においては、前記ユーザによって前記選択操作手段が操作されて前記登録された状態にある前記通信端末の登録を抹消することが選択されたとき、又は、前記通信端末が前記近距離通信手段と近距離通信可能な状態に未だ登録されていない未登録状態であるとき、前記情報転送手段は前記車両情報記憶手段によって記憶された前記車両情報の転送を禁止する。尚、このとき、前記識別情報付与手段が前記識別情報の変更を禁止するようにすることも可能である。
これによれば、ユーザが選択操作手段を操作することにより、ユーザの所有する通信端末が近距離通信手段と近距離通信可能な状態に登録されている(すなわち、近距離通信手段の接続先として登録されている)ときに、車両情報記憶手段が順次更新可能に記憶している車両情報及び識別情報付与手段がこの車両情報の更新順序を識別するために付与する識別情報を登録された通信端末に転送することができる。すなわち、ユーザの意思に基づき、ユーザの所有する通信端末が近距離通信手段の接続先として登録されているときに限り、車両情報及び識別情報を通信端末に転送することができる。そして、車両情報及び識別情報の転送された通信端末においては、自身の通信機能を発揮して、外部に向けて車両情報及び識別情報を転送(送信)することができる。
従って、例えば、車両工場から出庫された車両がユーザに納車されるまでの間の走行に伴い記憶された(蓄積された)車両情報は、ユーザの所有する通信端末が登録されていない(未登録状態である)ために外部に向けて転送(送信)されることがない。すなわち、ユーザに納車されるまでの間に記憶された(蓄積された)車両情報は、原則、ユーザが意図した情報やユーザが関与した情報ではないため、これらの情報がユーザの許可なく転送(送信)されることがない。
一方、車両が納車された後に、ユーザが自らの意思によって選択操作手段を操作して通信端末を登録することにより、ユーザが車両を走行させることで記憶された(蓄積された)車両情報及び識別情報を外部に転送(送信)することができる。又、逆に、ユーザが自らの意思によって選択操作手段を操作して通信端末の登録を抹消することにより、ユーザが車両を走行させることで記憶された(蓄積された)車両情報及び識別情報の外部への転送(送信)を禁止することができる。すなわち、この場合には、ユーザの意図する情報やユーザの関与した情報を、ユーザの意図する選択操作手段の操作に基づいて、言い換えれば、ユーザが適宜選択して外部に送信することができる。
尚、ユーザによる選択操作手段の操作に関しては、例えば、選択操作手段が押下操作可能なスイッチであれば、ユーザが選択操作手段を所定時間よりも長く押し操作(長押し操作)した場合に登録された状態にある通信端末の登録を抹消するようにしたり、ユーザが選択操作手段を所定時間よりも短く押し操作(中押し操作)した場合に通信端末を登録するようにしたりすることが可能である。これにより、ユーザは、極めて容易に、自身が所有する通信端末を登録したり登録を抹消したりすることができる。
又、この場合、前記ユーザによって前記選択操作手段が操作されて前記登録された状態にある通信端末の登録を抹消することが選択されたとき、前記車両情報記憶手段は順次更新可能に記憶している前記車両情報を破棄し、前記識別情報付与手段は前記通信端末の登録が抹消された時点で付与していた前記識別情報の変更を禁止して維持することができる。
そして、これらの場合、前記識別情報付与手段が付与する前記識別情報は、例えば、前記車両情報記憶手段によって順次更新可能に記憶される前記車両情報の更新順序を識別するためのカウント値であるとよく、前記カウント値は、少なくとも、前記車両が走行を開始する状態から走行を終了する状態を経るごとに増加するものであるとよい。
これらによれば、例えば、車両のオーナーが代わる状況や、ユーザの所有する通信端末が変更される状況等、これまで登録されていた通信端末の登録が抹消される状況では、記憶されている車両情報は破棄されるものの識別情報(例えば、カウント値)は変更されることなくそのまま維持される。これにより、ユーザによる選択操作手段の操作に応じて新たに通信端末が登録されて車両情報及び識別情報(例えば、増加方向に変更されたカウント値)が外部に送信される場合においても、外部に転送(送信)される識別情報の連続性が確保されているため、車両のユーザやユーザの所有する通信端末が代わっても、例えば、連続性を有する識別情報が付与されている新車時の車両情報と現在の車両情報とを容易に比較することができる。
又、識別情報としてカウント値を採用し、このカウント値を、車両が走行を開始する状態から走行を終了する状態を経るごとに増加させる、より具体的には、例えば、車両のイグニッションスイッチがイグニッションオンからイグニッションオフに操作されるまで(或いは、アクセサリオンからアクセサリオフに操作されるまで)を経るごとに増加させることができる。これにより、識別情報としてカウント値が付与される車両情報も、車両が走行を開始する状態から走行を終了する状態を経るまでに記憶された車両情報とすることができ、比較的長時間に渡る情報として収集して記憶することができる。従って、記憶される車両情報の精度を向上させることができる。
又、本発明による車両通信装置の他の特徴は、前記通信端末が、前記情報転送手段によって転送された前記車両情報のうち、外部との通信によって外部への送信が完了した車両情報を特定する情報を記憶しておき、前記情報転送手段が、次回以降に前記車両情報記憶手段によって記憶された前記車両情報を転送するときに、前記識別情報付与手段によって付与された前記識別情報と前記通信端末によって記憶されている前記外部への送信が完了した車両情報を特定する情報とに基づいて、前記外部への送信が完了した車両情報の次以降に前記車両情報記憶手段に記憶された車両情報から前記通信端末に対して転送することにもある。
この場合、前記車両情報記憶手段は、例えば、前記識別情報付与手段によって付与された前記識別情報と前記通信端末によって記憶されている前記外部への送信が完了した車両情報を特定する情報とに基づいて、前記外部への送信が完了した車両情報以前に記憶した車両情報を消去することができる。
これによれば、通信端末が転送された車両情報を外部に送信した後に(あるいは、通信端末に車両情報が転送された後に)、送信(あるいは転送)が成功した車両情報を消去することができる。これにより、車両側に設けられるメモリの容量を低減させることが可能となり、その結果、製造コストを低減することができる。
又、本発明による車両通信装置の他の特徴は、前記近距離通信手段が、前記通信端末と近距離無線通信することにもある。この場合、前記車両と近距離無線通信するための他の近距離通信手段が存在するとき、前記車両と前記通信端末とが近距離無線通信するための前記近距離通信手段は、前記車両情報記憶手段によって前記車両情報が記憶されるとともに前記識別情報付与手段によって前記識別情報が付与された後に所定の時間が経過してから前記車両と前記通信端末との近距離無線通信を確立することができる。
これによれば、所定の時間が経過した後に、車両と通信端末との間で、近距離無線通信を確立させることができる。これにより、例えば、ハンズフリー通話機能やエンタテイメント操作機能を実現するためのアプリケーション等が優先的に近距離無線通信を利用する状況を確実に終了させてから、車両情報及び識別情報を通信端末に確実に転送することができる。
更に、本発明による車両通信装置の他の特徴は、前記車両情報記憶手段によって記憶されている車両情報を暗号化状態に暗号化する暗号化処理手段を備え、前記情報転送手段は、前記暗号化処理手段によって暗号化状態に暗号化された車両情報を前記通信端末に対して転送することにもある。
これによれば、例えば、通信端末に不正なアプリケーションがインストールされていて、仮に、外部によって利用される車両情報が他の外部に送信されることになっても不正に送信された車両情報が解読されることを効果的に防止することができる。すなわち、秘匿性が高く特定の外部によってのみ利用される車両情報を適切に保護して通信することができる。
以下、本発明の実施形態に係る車両通信装置について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る車両通信装置を有する車両の情報通信システムを概略的に示した概略ブロック図である。
まず、車両の情報通信システムについて説明する。車両の情報通信システムは、車両100と、車両情報センタ200と、車両100から独立した通信端末として車両100のユーザが所有する携帯端末装置300とを通信事業者が提供する外部通信回線網400(例えば、インターネット網や専用回線網等)を介して有機的に結び付けて、ユーザに対して各種の情報やサービスを提供できるようにしたものである。なお、以下の説明においては、本実施形態における情報通信システムに適用される車両100として、バッテリの電力で走行用モータを駆動する電気自動車、或いは、走行用モータと内燃機関とを備えバッテリを充電器により充電可能なプラグイン式ハイブリッド車等が採用されるものとする。しかし、情報通信システムに適用される車両100として、走行用モータを備えずに内燃機関により走行する従来からの車両を適用可能であることは言うまでもなく、駆動形式を問うものではない。
車両100には、例えば、走行状態等を制御する複数の電子制御装置110(以下、車両ECU110と称呼する。)が設けられている。各車両ECU110は、CAN(Controller Area Network)通信システムのCAN通信ライン120に接続され、このCAN通信ライン120を経由して各種の信号を互いに入出力できるようになっている。そして、各車両ECU110は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータを主要構成部品とするものであり、不揮発性メモリ、入出力インターフェース及びセンサ信号を入力して各種のアクチュエータを駆動する駆動回路等を備えている。
ここで、CAN通信ライン120に接続される複数の車両ECU110のうちの1つとして、後述するように車両100に関する各種の車両情報を収集して取得するとともに携帯端末装置300を利用して取得した各種の情報を車両情報センタ200に転送する情報転送ECU110aが設けられる。そして、情報転送ECU110aの入出力インターフェースには、車両100のユーザ(運転者)によって操作されて、携帯情報端末300の登録又は抹消を設定するための選択操作手段としての登録抹消操作スイッチ130が接続されている。更に、情報転送ECU110aの駆動回路には、携帯情報端末300が登録されていることを報知するインジケータ140が接続されている。
又、CAN通信ライン120には、携帯情報端末300との近距離通信を実現する近距離通信手段としての近距離通信制御装置150が接続されている。ここで、本実施形態においては、この近距離通信制御装置150の通信方式として、後述するように、Bluetooth(登録商標)を採用して実施するが、その他の通信方式として、例えば、Wi-Fi(登録商標)やクレードルを利用する有線通信等の他の近距離通信方式を採用して実施可能であることは言うまでもない。
車両情報センタ200は、車両100から各種の車両情報を取得するとともに、車両100のユーザに対して種々のサービス情報を提供する施設である。車両情報センタ200には、マイクロコンピュータを主要構成部品とするサーバ210が設けられる。サーバ210は、外部通信回線網400と接続して通信を制御する通信制御部211と、車両情報を管理する車両情報サーバ212と、車両のユーザ情報を管理するユーザ情報サーバ213と、車両情報のデータベースを記憶する車両情報記憶部214と、ユーザ情報のデータベースを記憶するユーザ情報記憶部215とを備えている。サーバ210は、車両100を特定するID(登録番号や車台番号に相当する情報)とユーザを特定するID(ユーザ名、携帯情報端末300の電話番号、メールアドレス等)とを関連させる関連情報を記憶しており、何れか一方のIDを特定することで、他方のIDで特定される情報を抽出することができるように構成されている。
ユーザが所有する携帯情報端末300は、外部通信回線網400に接続するための通信インターフェースである外部通信制御部301と、Bluetooth(登録商標)を用いた近距離通信(より詳しくは、近距離無線通信)を実現するための通信インターフェースである近距離通信制御部302と、GPS衛星からの電波に基づいて携帯情報端末300の現在位置座標を検出するGPSユニット303と、表示器と操作器とを兼用したタッチパネル式液晶ディスプレイ304と、マイクロコンピュータを主要構成部品として通信制御及び各種のアプリケーションを実行する主制御部305と、アプリケーションプログラム等の各種のデータを記憶する不揮発性メモリ306とを備えている。ここで、携帯情報端末300としては、例えば、スマートフォン等の携帯電話を採用することができる。
次に、上記のように構成される車両の情報通信システムに適用される車両通信装置を説明する。本実施形態における車両通信装置は、車両100と携帯情報端末300とが近距離無線通信し、携帯情報端末300と車両情報センタ200とが外部通信回線網400を介して通信することにより実現されるものである。具体的には、車両100側である情報転送ECU110aは、車両100に設けられた複数の車両ECU110から出力される各種の車両情報を取得し、この取得された各種の車両情報を不揮発性メモリの所定記憶位置に順次検索可能に記憶する。そして、情報転送ECU110aは、記憶した各種の車両情報を携帯情報端末300が登録されている場合に限り、近距離通信制御装置150を介して携帯情報端末300に転送する。
ここで、本実施形態における携帯情報端末300の登録について説明しておく。本実施形態においては、上述したように、車両100に設けられた近距離通信制御装置150と携帯情報端末300とがBluetooth(登録商標)を利用して近距離無線通信可能に接続される。このように、Bluetooth(登録商標)を利用して通信する場合には、近距離通信制御装置150と携帯情報端末300との間でペアリング処理を実施することにより、近距離通信制御装置150に接続先の相手として携帯情報端末300を登録することができる。尚、Bluetooth(登録商標)を利用して通信するためのペアリング処理自体については、本発明の直接関係しないため、以下に簡単に説明しておく。
Bluetooth(登録商標)を使用するときには、接続先の相手を特定(登録)するためのペアリング処理が必要となる。例示的に、一般的な手順に従って、近距離通信制御装置150と携帯情報端末300とをペアリング処理する場合、言い換えれば、携帯情報端末300を近距離通信制御装置150の接続先として登録処理する場合を想定すると、車両100のユーザ(運転者)は、登録抹消操作スイッチ130に対して予め設定された所定の操作(例えば、1.5〜10秒程度の中押し操作)をする。これにより、情報転送ECU110aは、周囲に存在している携帯情報端末300から探索可能となるように、近距離通信制御装置150を探索可能状態に設定する。一方、車両100のユーザは、登録抹消操作スイッチ130に対する所定の操作後、携帯情報端末300において、主制御部305を介して近距離通信制御装置150を探索するように近距離通信制御部302を探索状態に設定する。このようにすることにより、携帯情報端末300は、近距離通信制御装置150を含む周囲の近距離通信機器を探索し、探索結果の一覧をタッチパネル式ディスプレイ304に表示する。尚、近距離通信機器にはそれぞれ固有の機器アドレスが割り当てられており、探索結果の一覧には、探索された機器の機器アドレス又は任意に決められた機器名称が表示される。
次に、ユーザによって探索結果の一覧から所望の接続相手、すなわち、近距離通信制御装置150が選択されると、携帯情報端末300と近距離通信制御装置150との間で、リンクキーの生成が行われ、このリンクキーと相手の機器アドレスを双方で記憶することにより、ペアリング処理が完了する。一方、近距離通信機器の仕様によっては、ユーザが選択した際にパスキー(PINコード)の入力が必要な場合もあり、正しいパスキーを入力することによって、上記リンクキーの生成が行われる。尚、以下の説明においては、近距離通信制御装置150が記憶する携帯情報端末300の機器アドレスとリンクキーとを「携帯情報」と称呼する。
このように、車両100(より詳しくは、近距離通信制御装置150)と携帯情報端末300との間でお互いの機器アドレスとリンクキーを共有する、すなわち、近距離通信制御装置150が携帯情報を記憶することによって、Bluetooth(登録商標)通信を利用するためのペアリング処理が完了した状態であれば、ユーザ(運転者)が携帯情報端末300を所持して車両100に乗車し、図示を省略するイグニッションスイッチを操作すると、自動的に接続が確立される。或いは、ユーザ(運転者)が携帯情報端末300を所持して車両100に乗車し、登録抹消操作スイッチ130に対して予め設定された所定の操作(例えば、1.5秒以下程度の短押し操作)をすると、接続が確立される。尚、このように近距離通信制御装置150と携帯情報端末300との間で接続(ペアリング)が確立されると、例えば、メータクラスタ内に設けられたインジケータ140が点灯し、ユーザ(運転者)に対して接続が確立していることを報知するようになっている。
一方で、後述するように、車両100のユーザ(運転者)が登録抹消操作スイッチ130に対して予め設定された所定の操作(例えば、10秒以上程度の長押し操作)をした場合には、情報転送ECU110aは、近距離通信制御装置150に対して現在記憶している携帯情報を消去(削除)させる。すなわち、情報転送ECU110aは、現在記憶している携帯情報を消去(削除)させることにより、近距離通信制御装置150と携帯情報端末300との間のペアリングを解消させる、言い換えれば、近距離通信制御装置150に接続先として登録されている携帯情報端末300を抹消させる。
そして、上記のように車両100側の近距離通信制御装置150に接続先として登録されている限り、携帯情報端末300においては、主制御部305が車両100側の情報転送ECU110aから転送された各種の車両情報を取得して不揮発性メモリ306に一時的に記憶する。そして、携帯情報端末300の主制御部305は、一時的に不揮発性メモリ306に記憶した各種の車両情報を、外部通信制御部301を介して、外部通信回線網400を利用した通信が可能であるときに車両情報センタ200に送信する。
このような車両通信装置を実現するために、車両100の情報転送ECU110aは、運転者によって図示を省略するイグニッションスイッチがイグニッションオン(或いは、イグニッションスイッチがアクセサリオン)の操作位置に操作されると、図2に示す車両情報転送プログラムの実行をステップS10にて開始する。
そして、車両情報転送プログラムの実行を開始すると、情報転送ECU110aは、ステップS11にて、後に詳述するように、現在、識別情報としてのカウント値であるトリップNo.を増加させる(カウントアップさせる)カウント値増加モードに設定しているか否かを判定する。尚、以下の説明における「トリップ」とは、一回の運転期間を表すものであり、例えば、イグニッションスイッチの操作位置がイグニッションオン(或いはアクセサリオン)の操作位置からイグニッションオフ(或いはアクセサリオフ)の操作位置に操作されるまでの進行を表すものとする。このため、「トリップNo.」とは、カウント値増加モードであるときに「トリップ」ごとに連番として付与される番号(カウント値)を表すものである。
具体的にステップS11の判定処理内容を説明すると、情報転送ECU110aは、後述するように、現在、近距離通信制御装置150が携帯情報を記憶していて携帯情報端末300が登録されており、カウント値増加モードに設定していれば、「Yes」と判定してステップS12に進む。一方、後述するように、現在、近距離通信制御装置150が携帯情報を記憶してなく(消去していて)携帯情報端末300が登録されておらず、カウント値であるトリップNo.の増加及び減少を禁止する(カウント値を維持する)カウント値増加不可モードに設定していれば、「No」と判定してステップS20に進み、車両情報転送プログラムの実行を終了する。
ステップS12においては、情報転送ECU110aは、前記ステップS11の判定処理に従い、カウント値として連番として付与されるトリップNo.を、例えば、「1」だけ増加(カウントアップ)させる。そして、情報転送ECU110aは、トリップNo.を「1」だけ増加させると、ステップS13に進む。
ステップS13においては、情報転送ECU110aは、蓄積系車両情報を取得又は演算して蓄積する。すなわち、情報転送ECU110aは、車両情報センタ200に転送する車両情報、具体的には、トリップ毎の運転情報(以下、この運転情報を「トリップ情報」と称呼する。)を取得又は演算して蓄積する。
具体的には、情報転送ECU110aは、例えば、対応する車両ECU110から走行時間、総走行距離等を取得し、この取得した車両情報を用いて燃費電費情報、電気自動車としてのEV走行距離やハイブリッド自動車としてのHV走行距離等を算出し、トリップ情報として不揮発性メモリの所定記憶位置に蓄積して記憶する。尚、トリップ情報を記憶するときには、このトリップ情報を識別するために前記ステップS12にて設定されたトリップNo.が対応付けて記憶される。又、情報転送ECU110aは、対応する車両ECU110から、例えば、車両100に搭載されているバッテリの充電状態(SOC)、劣化状態、最大電圧等を表すバッテリ情報や、ダイアグ情報(故障情報)等を取得し、この取得したバッテリ情報やダイアグ情報等も不揮発性メモリの所定記憶位置に蓄積して記憶する。尚、バッテリ情報や、ダイアグ情報を記憶するときにも、これらの情報を識別するために前記ステップS12にて設定されたトリップNo.が対応付けて記憶される。そして、蓄積系車両情報としてトリップ情報、バッテリ情報、ダイアグ情報及びトリップNo.等を蓄積して記憶すると、ステップS14に進む。
ステップS14においては、情報転送ECU110aは、ユーザ(運転者)によって登録抹消操作スイッチ130が所定の操作として長押し操作されており、ユーザ(運転者)が現在登録されている携帯情報端末300の抹消を意図しているか否かを判定する。すなわち、情報転送ECU110aは、登録抹消操作スイッチ130がユーザ(運転者)によって長押し操作されていれば、ユーザ(運転者)が携帯情報端末300の登録抹消を意図しているために「Yes」と判定してステップS15に進む。一方、登録抹消操作スイッチ130がユーザ(運転者)によって長押し操作されていなければ、ユーザ(運転者)によって携帯情報端末300の登録抹消が意図されていないために「No」と判定してステップS16に進む。
ステップS15においては、情報転送ECU110aは、前記ステップS14での判定処理に従い、現在、近距離通信制御装置150に記憶されている携帯情報及び接続に伴って生成される接続履歴テーブル等を消去(削除)させることにより、登録されている携帯情報端末300を抹消して初期化する。そして、情報転送ECU110aは、ユーザ(運転者)による登録抹消操作スイッチ130の操作に起因する携帯情報端末300の登録抹消に伴い、外部通信回線網400を介して車両情報センタ200に前記ステップ13にて不揮発性メモリに記憶した蓄積系車両情報(トリップ情報、バッテリ情報及びダイアグ情報)を転送する手段が存在しなくなるため、この記憶した蓄積系車両情報のうちトリップ情報を破棄して初期化する。
ここで、情報転送ECU110aは、ステップS15にて、携帯情報を消去(削除)させるとともに蓄積系車両情報のうちのトリップ情報を破棄する一方で、前記ステップS12にて設定した現在のトリップNo.は破棄することなく、そのまま維持(保持)する。すなわち、情報転送ECU110aは、カウント値であるトリップNo.を初期化することなく、トリップNo.の変更(増加又は減少)を禁止するカウント値増加不可モードに設定する。
これにより、今後、携帯情報端末300が登録されて、カウント増加モードにより変更可能(増加可能)とされたトリップNo.とともに蓄積系車両情報が車両情報センタ200に転送される場合、車両情報センタ200においては、車両100から転送(送信)される蓄積系車両情報(トリップ情報)の連続性を維持することができるとともに、例えば、車両100のユーザが代わっても過去に転送(送信)されたトリップ情報を容易に確認したり利用したりすることができる。尚、トリップNo.とともに初期化されない情報として、例示的に列記すると、Bluetooth(登録商標)を利用してCAN通信ライン120に接続された車両ECU110の通信に用いられる「CAN−BT固有情報」、ハイブリッド車における積算HV燃料削減量であるHV_FSD積算値、ダイアグ情報に関連するウォーニング履歴番号や、ウォーニングカウンタ値、ダイアグ履歴番号、バッテリ情報に関連する電池使用情報通知番号や、電池使用情報アップロード履歴、ハードテーブルや、作動要因記憶履歴、DTC等を挙げることができる。
そして、情報転送ECU110aは、ステップS15のステップ処理を実行すると、ステップS16以降の各ステップ処理を実行する。尚、ステップS15のステップ処理後にステップS16以降の各ステップ処理を実行する場合において、特に、ステップS19のステップ処理では、携帯情報端末300が登録されておらず転送する蓄積系車両情報が既に破棄されているため、情報転送ECU110aは、何らの情報も転送することなくステップS20に進んで車両情報転送プログラムの実行を終了する。
ステップS16においては、情報転送ECU110aは、ユーザ(運転者)によって登録抹消操作スイッチ130が所定の操作として中押し操作されており、ユーザ(運転者)が新たに(或いは再び)未登録状態である携帯情報端末300の登録を意図しているか否かを判定する。すなわち、情報転送ECU110aは、登録抹消操作スイッチ130がユーザ(運転者)によって中押し操作されていれば、ユーザ(運転者)が携帯情報端末300の登録を意図しているために「Yes」と判定してステップS17に進む。一方、登録抹消操作スイッチ130がユーザ(運転者)によって中押し操作されていなければ、ユーザ(運転者)によって携帯情報端末300の登録が意図されていないために「No」と判定してステップS18に進む。
ステップS17においては、情報転送ECU110aは、前記ステップS16での判定処理に従い、例えば、上述したペアリング処理を実行することによって、近距離通信制御装置150に携帯情報を記憶させて、この携帯情報を供給した携帯情報端末300を接続先として登録させる。そして、情報転送ECU110aは、携帯情報端末300の登録に伴い、今後、外部通信回線網400を介して車両情報センタ200に蓄積系車両情報(トリップ情報、バッテリ情報及びダイアグ情報)を転送する手段が存在するようになるため、この蓄積系車両情報に含まれるカウント値であるトリップNo.を増加させることを許可するカウント値増加モードに設定する。
ステップS18においては、情報転送ECU110aは、ユーザ(運転者)によってイグニッションスイッチがイグニッションオフ(或いはアクセサリオフ)の操作位置に操作されたか否かを判定する。すなわち、情報転送ECU110aは、イグニッションスイッチの操作位置がイグニッションオフ(或いはアクセサリオフ)の操作位置に操作されていれば、「Yes」と判定してステップS19に進む。一方、イグニッションスイッチの操作位置がイグニッションオフ(或いはアクセサリオフ)に操作されていなければ、言い換えれば、イグニッションスイッチの操作位置がイグニッションオン(或いはアクセサリオン)に操作された状態が維持されていれば、「No」と判定してステップS13に戻り、ステップS13以降の各ステップ処理を繰り返し実行する。
ステップS19においては、情報転送ECU110aは、携帯情報端末300が近距離通信制御装置150の接続先として登録されている状況下においてのみ、登録されている携帯情報端末300に対して、蓄積系車両情報であるトリップ情報、バッテリ情報、ダイアグ情報及びトリップNo.を転送する。そして、登録されている携帯情報端末300は、転送されたトリップ情報、バッテリ情報、ダイアグ情報及びトリップNo.を、外部通信回線網400を介して車両情報センタ200に転送(送信)する。以下、このステップS19のステップ処理を具体的に説明する。
まず、トリップ情報、バッテリ情報、ダイアグ情報及びトリップNo.すなわち蓄積系車両情報の携帯情報端末300への転送から説明する。近距離通信制御装置150は、情報転送ECU110aの指令により、ペアリング済みの携帯情報端末300に対してリンク接続を行い、次にSPP(Serial Port Profile)に従ったシリアル通信ポートを開いて蓄積系車両情報の転送を行う。ところが、ユーザがハンズフリー通話を行うため、或いは、携帯情報端末300に記憶されている音楽情報を車両100の図示省略のスピーカから聞くと言ったエンタテイメント操作のために、近距離通信制御装置150とは異なる通信機器、例えばナビゲーション装置と携帯情報端末300とを接続する場合も考えられる。このような場合、携帯情報端末300の仕様によっては、複数の機器(この例示においては、近距離通信制御装置150とナビゲーション装置)との同時接続を禁止している場合があり、一般的には後から接続しようとした機器は接続を拒絶されることになる。
このため、蓄積系車両情報の転送に際して、情報転送ECU110aは、イグニッションスイッチの操作位置がイグニッションオフ(或いはアクセサリオフ)に操作されることに起因した蓄積系車両情報の記憶処理が完了するとともに、携帯情報端末300(具体的にはスマートフォン)を利用したハンズフリー通話機能やエンタテイメント操作機能等を実行するための接続が確実に遮断されるまでの所定時間(例えば、5秒程度)が経過するまで待ち処理を実行する。このように、所定時間が経過するまで待つことにより、携帯情報端末300と接続している他の機器(例えば、ナビゲーション装置等)との接続が確実に終了し、近距離通信制御装置150との接続が許可されるようになる。又、所定時間が経過するまで待つことにより、今回の車両100のトリップが確定し、確定したトリップにおける車両情報の記憶処理が完了する。これにより、今回の車両100のトリップが確定しているため、情報転送ECU110aは今回のトリップ情報を作成することができる。すなわち、情報転送ECU110aは、走行時間、総走行距離、燃費電費情報、プラグイン式ハイブリッド自動車におけるEV走行距離やHV走行距離等からなるトリップ情報を作成することができる。
そして、情報転送ECU110aは、Bluetooth(登録商標)通信を利用して、トリップ情報、バッテリ情報、ダイアグ情報及びトリップNo.すなわち蓄積系車両情報を登録された携帯情報端末300に転送する。ここで、情報転送ECU110aは、前回の蓄積系車両情報の転送処理によって既に転送されたトリップ情報、バッテリ情報、ダイアグ情報に関連付けられたトリップNo.に対して、次以降に記憶されて蓄積されたトリップNo.+1以降を順次携帯情報端末300に転送する。そして、情報転送ECU110aは、トリップ情報、バッテリ情報、ダイアグ情報及びトリップNo.の転送が成功すると、この成功したトリップNo.を更新し、不揮発性メモリの所定記憶位置に更新したトリップNo.を記憶する。
次に、トリップ情報、バッテリ情報、ダイアグ情報及びトリップNo.の転送された携帯情報端末300による車両情報センタ200への転送(送信)を説明する。トリップ情報、バッテリ情報、ダイアグ情報及びトリップNo.の転送された携帯情報端末300においては、主制御部305が、例えば、不揮発性メモリ306の所定記憶位置に前記転送された蓄積系車両情報を一時的に記憶する。そして、ユーザ(運転者)によって予め起動される、あるいは、主制御部305が自動的に起動する所定のアプリケーションプログラムの実行により、主制御部305は、不揮発性メモリ306の所定記憶位置に一時的に記憶した前記蓄積系車両情報を車両情報センタ200に送信する。具体的には、主制御部305は、前記所定のアプリケーションプログラムの実行により、一時的に記憶した前記蓄積系車両情報を外部通信制御部301に供給する。外部通信制御部301は、外部通信回線網400を介して車両情報センタ200の通信制御部211との間で接続を確立し、供給された前記常時系車両情報を車両情報センタ200に送信する。
この場合、携帯情報端末300においては、例えば、ユーザが車両100から降車した後、外部通信制御部301が外部通信回線網400を介して車両情報センタ200と通信し、上述したように情報転送ECU110aから複数の蓄積系車両情報が転送されていれば、主制御部305は複数の蓄積系車両情報に対応するトリップNo.に従って順次送信する。そして、主制御部305は、車両情報センタ200のサーバ210(具体的には、車両情報サーバ212)から、例えば、送信した蓄積系車両情報のうち、サーバ210によって受信できた蓄積系車両情報に対応するトリップNo.を表す情報(以下、この情報を「送信完了トリップNo.情報」と称呼する。)を受信すると、この送信完了トリップNo.情報を不揮発性メモリ306の所定記憶位置に記憶する。
このように、不揮発性メモリ306に送信完了トリップNo.情報を記憶している携帯情報端末300が、例えば、次回の走行時に車両100に持ち込まれ、車両100(より詳しくは、近距離通信制御装置150)と接続されると、送信完了トリップNo.情報が情報転送ECU110aに供給される。これにより、情報転送ECU110aは、例えば、自身が管理する不揮発性メモリの所定記憶位置に記憶している複数の蓄積系車両情報のうち、送信完了トリップNo.情報によって表されるトリップNo.と一致するトリップNo.以前(すなわち、トリップNo.−1,トリップNo.−2,…,トリップNo.−n)に対応するトリップ情報を消去する。言い換えれば、情報転送ECU110aは、携帯情報端末300を介して車両情報センタ200に送信することができたトリップ情報を不揮発性メモリから消去する。
なお、この転送処理においては、未だ転送されていない蓄積系車両情報を一時に携帯情報端末300に対して全て転送するように実施することも可能である。この場合には、情報転送ECU110aは、携帯情報端末300から車両情報センタ200に送信できた蓄積系車両情報を特定する情報である送信完了トリップNo.情報を取得し、この取得した情報に基づいて、転送した蓄積系車両情報に対応するトリップNo.を更新することができる。そして、情報転送ECU110aは、更新した送信完了トリップNo.情報によって表されるトリップNo.に従って次回以降にトリップNo.+1以降の蓄積系車両情報を順次携帯情報端末300に転送するとともに、トリップNo.以前(すなわち、トリップNo.−1,トリップNo.−2,…,トリップNo.−n)に対応する蓄積系車両情報のうちのトリップ情報を消去する。
そして、情報転送ECU110aは、ステップS19にて蓄積系車両情報を携帯情報端末300に転送すると、ステップS20に進む。ステップS20においては、情報転送ECU110aは、蓄積系車両情報を転送した後に車両100の電源をオフし、車両情報転送プログラムの実行を終了する。
以上の説明からも理解できるように、この実施形態によれば、ユーザ(運転者)が登録抹消操作スイッチ130を操作することにより、ユーザ(運転者)の所有する携帯情報端末300が近距離通信制御装置150と近距離通信可能な状態に登録されている(すなわち、Bluetooth(登録商標)を利用する近距離通信制御装置150の接続先として登録されている)ときに、蓄積系車両情報及びこの蓄積系車両情報の更新順序を識別するために付与するトリップNo.を登録された携帯情報端末300に転送することができる。すなわち、ユーザ(運転者)の意思に基づき、ユーザ(運転者)の所有する携帯情報端末300が近距離通信制御装置150の接続先として登録されているときに限り、蓄積系車両情報及びトリップNo.を携帯情報端末300に転送することができる。そして、蓄積系車両情報及びトリップNo.の転送された携帯情報端末300においては、外部通信制御部301を利用して、外部通信回線網400を介して車両情報センタ200に向けて蓄積系車両情報及びトリップNo.を転送(送信)することができる。
従って、例えば、車両工場から出庫された車両100がユーザ(運転者)に納車されるまでの間の走行に伴い記憶された(蓄積された)蓄積系車両情報は、ユーザ(運転者)の所有する携帯情報端末300が登録されていない(未登録状態である)ために車両情報センタ200に向けて転送(送信)されることがない。すなわち、ユーザ(運転者)に納車されるまでの間に記憶された(蓄積された)蓄積系車両情報は、原則、ユーザ(運転者)が意図した情報やユーザが関与した情報ではないため、これらの情報がユーザ(運転者)の許可なく転送(送信)されることがない。
一方、車両100が納車された後に、ユーザ(運転者)が自らの意思によって登録抹消操作スイッチ130を操作して携帯情報端末300を登録することにより、ユーザ(運転者)が車両100を走行させることで記憶された(蓄積された)蓄積系車両情報及びトリップNo.を車両情報センタ200に転送(送信)することができる。又、逆に、ユーザ(運転者)が自らの意思によって登録抹消操作スイッチ130を操作して携帯情報端末300の登録を抹消することにより、ユーザ(運転者)が車両100を走行させることで記憶された(蓄積された)蓄積系車両情報及びトリップNo.の車両情報センタ200への転送(送信)を禁止することができる。すなわち、この場合には、ユーザ(運転者)の意図する情報やユーザ(運転者)の関与した情報を、ユーザ(運転者)の意図する登録抹消操作スイッチ130の選択操作に基づいて、言い換えれば、ユーザ(運転者)が適宜選択して車両情報センタ200に送信することができる。
又、例えば、車両100のオーナー(ユーザ)が代わる状況や、ユーザ(運転者)の所有する携帯情報端末300が変更される状況等、これまで登録されていた携帯情報端末300の登録が抹消される状況では、記憶されている蓄積系車両情報は破棄されるもののトリップNo.は変更されることなくそのまま維持される。これにより、ユーザ(運転者)による登録抹消操作スイッチ130の選択操作に応じて新たに携帯情報端末300が登録されて蓄積系車両情報及びトリップNo.が車両情報センタ200に送信される場合においても、転送(送信)されるトリップNo.の連続性が確保されているため、車両100のユーザ(運転者)やユーザ(運転者)の所有する携帯情報端末300が代わっても、例えば、連続性を有するトリップNo.が付与されている新車時の蓄積系車両情報と現在の蓄積系車両情報とを容易に比較することができて、環境保全に対する貢献度(エコ度)を確認することもできる。
更に、蓄積系車両情報にトリップNo.を付与することにより、蓄積系車両情報も、車両100が走行を開始する状態から走行を終了する状態を経るまでに記憶された車両情報とすることができ、比較的長時間に渡る情報として収集して記憶することができる。従って、記憶される蓄積系車両情報の精度を向上させることができる。
上記実施形態においては、トリップの確定によって作成された蓄積系車両情報を登録された携帯情報端末300に転送しておき、携帯情報端末300が外部通信回線網400を介して車両情報センタ200に蓄積系車両情報を転送(送信)するように実施した。この場合、情報転送ECU110aは、常に(あるいは、リアルタイムに)車両情報センタ200に対して転送されることが必要であるとして設定されている車両情報、具体的には、プラグイン式ハイブリッド車や従来の自動車における瞬間燃費、電気自動車やプラグイン式ハイブリッド自動車における瞬間電費等の瞬間燃費電費情報、及び、車両100の車速(速度)や内燃機関の回転数等の機器作動情報を、対応する車両ECU110から常時系車両情報としてCAN通信ライン120を介して取得し、取得した常時系車両情報を逐次携帯情報端末300に転送するように実施することも可能である。
具体的に、情報転送ECU110aは、取得した常時系車両情報をCAN通信ライン120に接続された近距離通信制御装置150に出力する。近距離通信制御装置150においては、ユーザ(運転者)による登録抹消操作スイッチ130の操作に応じて、登録されている携帯情報端末300との間でBluetooth(登録商標)を用いた近距離無線通信を行い、出力された常時系車両情報を携帯情報端末300に転送する。
ここで、携帯情報端末300においては、主制御部305が、例えば、不揮発性メモリ306の所定記憶位置に前記転送された常時系車両情報を一時的に記憶する。そして、ユーザによって予め起動される、あるいは、主制御部305が自動的に起動する所定のアプリケーションプログラムの実行により、主制御部305は、不揮発性メモリ306の所定記憶位置に一時的に記憶した前記常時系車両情報を車両情報センタ200に送信する。具体的には、主制御部305は、前記所定のアプリケーションプログラムの実行により、一時的に記憶した前記常時系車両情報を外部通信制御部301に供給する。外部通信制御部301は、外部通信回線網400を介して車両情報センタ200の通信制御部211との間で接続を確立し、供給された前記常時系車両情報を車両情報センタ200に送信する。
このように、リアルタイムに常時系車両情報を転送する場合であっても、上記実施形態と同様に、携帯情報端末300が登録されている場合にのみ転送することができる。従って、上記実施形態と同様の効果が得られる。
本発明の実施にあたっては、上記実施形態及びその変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態及び変形例においては、車両100の情報転送ECU110aが図2に示した車両情報転送プログラムを実行することにより、複数の車両ECU110によって収集された各種の情報すなわち蓄積系車両情報や常時系車両情報が携帯情報端末300に転送され、携帯情報端末300が転送された蓄積系車両情報や常時系車両情報を外部通信回線網400を介して車両情報センタ200に転送(送信)するように実施した。
ところで、ユーザ(運転者)の所有する携帯情報端末300(具体的には、スマートフォン)は、情報通信システムにおいて車両100と車両情報センタ200との間の通信を実現するものであるとともに、ユーザ(運転者)が通常の携帯電話のように通話を行ったり、通常のパーソナルコンピュータのようにインターネットを介して取得した各種アプリケーションを実行させたりすることができる。この場合、特に、携帯情報端末300は外部からアプリケーションを取得して実行できるため、例えば、セキュリティーが十分に確保できない環境下では不正な(悪意を持った)アプリケーションを取得してしまう可能性がある。そして、このようなアプリケーションを誤って取得して実行した場合には、携帯情報端末300が有する種々の情報が不正に搾取されて意図しない送信により外部に流出してしまう可能性がある。
このため、携帯情報端末300(具体的には、スマートフォン)を情報通信システム内で利用して車両100と車両情報センタ200との通信を実現する場合、すなわち、上述した車両情報転送プログラムを実行することによって情報転送ECU110aが蓄積系車両情報や常時系車両情報を携帯情報端末300に転送して車両情報センタ200に送信する場合においては、車両100に関する各種の情報(具体的には、機器作動情報やトリップ情報、バッテリ情報、ダイアグ情報(故障情報)等、解析によってはユーザ(運転者)の特定が可能な情報や自動車メーカのノウハウに関連する情報等)が仮に不正に搾取されて外部に流出したときであっても、その各種の情報を容易に利用したり内容確認できないように適宜暗号化して転送(送信)するように実施することも可能である。
このように、車両情報センタ200に転送(送信)する蓄積系車両情報や常時系車両情報を適宜暗号化することにより、例えば、携帯情報端末300に不正なアプリケーションがインストールされていて、仮に、蓄積系車両情報や常時系車両情報が不正に他のセンタに送信されることになっても、送信された蓄積系車両情報や常時系車両情報が容易に解読されて利用されることを効果的に防止することができる。すなわち、暗号化処理を施すことにより、車両情報センタ200のみが利用する秘匿性の高い蓄積系車両情報や常時系車両情報を適切に保護して通信することができる。
又、上記実施形態においては、例えば、車両100のオーナー(ユーザ)が代わる状況や、ユーザ(運転者)の所有する携帯情報端末300が変更される状況等、これまで登録されていた携帯情報端末300の登録が抹消される状況では、記憶されている蓄積系車両情報のうちのトリップ情報を一旦破棄するように実施した。この場合、車両100のオーナー(ユーザ)が代わる状況や、ユーザ(運転者)の所有する携帯情報端末300が変更される状況であっても、記憶されている蓄積系車両情報(具体的に、トリップ情報)を破棄することなく常に記憶しておき、携帯情報端末300が登録されて指定されたときに、前回までのトリップNo.に基づいて、蓄積系車両情報を送信するようにすることも可能である。この場合には、車両100のオーナー(ユーザ)が代わる状況や、ユーザ(運転者)の所有する携帯情報端末300が変更される状況であっても、車両100としてのこれまでの蓄積系車両情報を比較することができて、これまでの車両100のエコ度も確認することができる。