JP5714122B2 - ステータコアの製造方法及びステータコア - Google Patents
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Description
ステータコアは、環状のヨーク体、及びヨーク体の内周面から径方向内側に周方向に互いに間隔をあけて突出される複数の磁極ティース部を有するコア本体と、ステータ巻線が巻装される磁極ティース部の表面を含むコア本体の主要部を被覆し、ステータ巻線とコア本体の主要部との間に介装される絶縁部材とを備えている。
図11は従来の絶縁部材を備えたコアの製造方法について説明する図であり、コア本体に絶縁樹脂層を射出成形により一体に成形するために、射出成形用の金型をコア本体に対して型締めした様子を、コア本体の外周面を径方向から見た場合を示している。
コアブロック本体51は、複数のコア片54を積層したもので構成され、コアブロック本体51のそれぞれは、環状のヨーク体60の一部を構成するヨーク部52と、ヨーク部52の中間部から突出される図示しない前述の磁極ティース部を備えている。
このとき、コア片54のそれぞれは、厚みにバラツキがあるため、コア片54の積層方向に沿ったコアブロック本体51毎の厚みがバラついてしまう。
このとき、複数の金型は、コア本体50を構成する全てのコアブロック本体51に対して一度に射出成形可能なキャビティを形成可能なものを用いている。
コア本体50との間にキャビティを形成する複数の金型のうち、ヨーク体60の軸方向、言い換えれば、コア片54の積層方向について、磁極ティース部の端面との間に隙間をあけて配置される金型55a,55bは、ヨーク体60の軸方向の両端面の外周側に当接させてコア本体50の軸方向の両側に配置されることになる。
即ち、射出成型用の複数の金型が型締めされたときに、キャビティとヨーク体60の外周面(コア本体50の外周面)とを連通する隙間が生じ、絶縁樹脂の射出成形を行う際、キャビティに流し込んだ樹脂がヨーク体60の外周側に漏れてしまう場合がある。これにより、作製されたステータコアにおいては、ヨーク体60の外周側に漏れた樹脂のために、絶縁樹脂に不要なバリ等が生じてしまうという問題がある。
従って、金型とヨーク部の端面との間から樹脂が漏れることがなくなるので、絶縁樹脂層が所望する通りに成形され、絶縁樹脂層に不要なバリが形成されることを防止できる。
ここでは、コアブロック11の数は14個としているが、コアブロックの数は、このものに限定されず、2の倍数または3の倍数などの数であってもよい。
各コアブロック11は、コアブロック11の連結方向に沿って配置されるヨーク部13、及びヨーク部13から内側に突出され、ステータ巻線25が巻回される磁極ティース部15を有するコアブロック本体12と、ステータ巻線25が巻回される磁極ティース部15の表面を含むコアブロック本体12の表面の所定部位を被覆し、ステータ巻線25とコアブロック本体12との間に介装される絶縁樹脂層18とを備えている。
磁極ティース部15は、ヨーク部13の長手方向の全域に亘って、ヨーク部13の一面側の中間部から所定の幅で突出されるティース基部15aと、ティース基部15aの先端からティース基部15aの幅方向の両側に突出する一対のティース鍔部15bとを備えている。
位置決め凹部14の幅は、底部に向かって漸次狭まっている。即ち、位置決め凹部14の幅方向の両側の壁面は、底部に向かって漸次互いの間の距離が狭まる一対の第1テーパ面14aとなっている。
一対の第1テーパ面14aの互いの間の角度を位置決め凹部14のテーパ角度とする。
第2テーパ面16の互いの間の角度を磁極ティース部15のテーパ角度とする。
そして、所定数のコア片20が、厚み方向に積層されることで、コアブロック本体12が形成される。
具体的には、絶縁樹脂層18は、ティース基部15aの幅方向の両側面及びヨーク部13の一面のうち、スロット17を形成する壁面と、コア片20の積層方向について、磁極ティース部15の両端面の主要部とを被覆するようにコアブロック本体12に一体に形成されている。
図4はこの発明の一実施の形態に係るステータコアの製造方法に用いられるステータコアの製造装置を説明する図、図5は図4のV−V矢視要部断面図、図6は図4のA部拡大図である。
図4〜図6において、射出成形装置30は、台座31と、金型ユニット40とを備えている。
また、台座31の断面において、台形の上底により表される支持面31aには、ヨーク部13に形成された位置決め凹部14に嵌め合い可能な位置決め凸部32が突設されている。位置決め凸部32の断面形状は、図6に示されるように、突出方向の先端に向かって漸次幅の狭まる等脚台形である。即ち、当該断面等脚台形の上底と下底を結ぶ直線で表される位置決め凸部32の一対の壁面は、位置決め凸部32の先端に向かって、互いの間の間隔が漸次狭まる一対の第3テーパ面32aとなっている。
位置決め凸部32のテーパ角度と、ヨーク部13に形成された位置決め凹部14のテーパ角度は、一致するように形成されている。
ここで、位置決め凸部32の先端部の幅は、位置決め凹部14の開口部の幅より、若干狭くなっている。
そして、位置決め凸部32と位置決め凹部14とを互いに嵌め合わせたときには、相対する位置決め凸部32と位置決め凹部14との壁面同士が面接触した状態で嵌め合わされる。
また、台座31の厚み方向に関し、支持面31aの一端近傍の部位には、図5に示されるように、コアブロック本体12の一部を支持するためのコア当接部33が突出されている。台座31は、下底側を下方に向けて配置される。
また、図示しないが、第1金型41〜第5金型45のいずれかには、第1金型41〜第5金型45とコアブロック11との間に形成されるキャビティに、絶縁樹脂層18を形成するための溶融樹脂を流し込むための流路が形成されている。
コアブロック本体12の所定の射出成形位置とは、ここでは、コア当接部33にヨーク部13の一部を当て、位置決め凸部32と位置決め凹部14とを嵌め合わせた状態の位置であり、射出成形位置に配置したコアブロック本体12に対して射出成形が行われる。
なお、第4金型44は、図5に示されるように、第1分割金型部44a及び第2分割金型部44bにより構成されている。第1分割金型部44a及び第2分割金型部44bは、それぞれ、別個に移動可能になっている。
第1分割金型部44aは、所定の射出成形位置に配置されたコアブロック本体12のヨーク部13を、押圧して台座31に向けて押し付けられるように構成されている。
また、第2分割金型部44bは、第1分割金型部44aの第1金型41側に配置され、第1分割金型部44aの壁面上を摺動する。
金型側凹部41aは、ティース鍔部15bの外形形状に適合する形状であり、互いの間の幅が、開口部から底部に向かって漸次狭まる一対の第4テーパ面41bを有している。
一対の第4テーパ面41bの互いの間の角度を、第1金型41のテーパ角度とする。
ここでは、第1金型41のテーパ角度は、磁極ティース部15のテーパ角度に一致している。また、金型側凹部41aの開口部の幅は、ヨーク部13からの磁極ティース部15の突出端、言い換えれば、ティース鍔部15bの内周面側の幅より若干大きくなっている。
図7はこの発明の一実施の形態に係るステータコアの製造方法に用いられるステータコアの製造装置の要部を示す図であり、図7の(a)は、金型ユニットが型締めされる直前のコアブロック本体、第1金型、及び台座の位置関係を示し、図7の(b)は、金型ユニットが型締めされた後のコアブロック本体、第1金型、及び台座の位置関係を示している。図8はこの発明の一実施の形態に係るステータコアの製造方法の射出成形工程について説明する断面図であり、金型ユニットの型締め動作により、コアブロック本体と金型ユニットとの間にキャビティが形成された様子を示している。図9はこの発明の一実施の形態に係るステータコアの製造方法の射出成形工程について説明する断面図であり、コアブロック本体と金型ユニットとの間に形成したキャビティに絶縁樹脂層を成形した様子を示している。図10この発明の一実施の形態に係るステータコアの製造方法によりステータコアを製造した後に行うステータ巻線の巻装工程について説明する断面図である。
なお、コア片20の製造方法や、その後のコアブロック本体12同士の連結方法については、従来と同様の製造方法であるので説明は省略する。
絶縁樹脂層18の射出成形は、コアブロック本体12毎に行われる。
図4に示されるように、複数のコアブロック本体12は、互いに連結された状態で、台座31に沿って配置する。
そして、絶縁樹脂層18を一体成形する対象となるコアブロック本体12については、図7の(a)に示されるように、おおよそ磁極ティース部15の突出端と金型凹部41a、言い換えれば、ヨーク部13からの磁極ティース部15の突出方向についてのティース鍔部15bの端部と金型側凹部41aが相対し、かつ位置決め凸部32と位置決め凹部14が相対するように、第1金型41と台座31の間に配置する。
なお、磁極ティース部15の突出端面は、ステータコア10の内周側を構成するティース鍔部15bの壁面に相当する。
これにより、図7の(b)に示されるように、磁極ティース部15の突出端側と金型側凹部41aとが嵌め合わされ、また、位置決め凸部32と位置決め凹部14とが嵌め合わされ、第1金型41の移動力により、コアブロック本体12が、台座31に向けて押し込まれる。
このため、磁極ティース部15は、金型側凹部41aに嵌め合わされたときに、磁極ティース部15の突出端と金型側凹部41aの底部との間に隙間をあけて配置され、かつコア片20の積層方向からみて、金型側凹部41aの幅方向の両側面に面接触される。
このため、位置決め凹部14は、位置決め凸部32に嵌め合わされたときに、位置決め凹部14の底部と位置決め凸部32の先端との間に隙間をあけて配置され、かつ、コア片20の積層方向からみて、位置決め凸部32の幅方向の両側面に面接触する。
このとき、キャビティ48の一部を形成する第4金型44の第1分割金型部44a及び第5金型45は、コア片20の積層方向(以下、コアブロック本体12の厚み方向とする)について、ヨーク部13の一端面及び他端面に押し当てられるように配置される。
そして、樹脂を冷却して硬化することで、絶縁樹脂層18が、コアブロック本体12に一体に成形され、これにより、コアブロック11が得られる。
そして、第1金型41〜第5金型45を、コアブロック本体12から離すことで、コアブロック11を、絶縁樹脂層18の射出成形前のコアブロック本体12とともに、台座31の壁面に沿ってずらすことが可能となる。
コアブロック本体12毎に絶縁樹脂層18を成形するので、金型ユニット40の型締め時、第4金型44及び第5金型45の一部を、コア片20の積層方向についてのヨーク部13の両端面に確実に押し当てた状態にできる。このため、仮にコアブロック本体12毎の厚みに、バラツキがあっても、第4金型44及び第5金型45とヨーク部13との間に隙間が形成されることがない。
以上により、ステータコア10を得ることができる。
さらに、ステータ巻線25を巻装したコアブロック11を環状に連結することで、ステータ1を得ることができる。
従って、射出成形時に、キャビティ48に樹脂を流し込んだ際、第4金型44または第5金型45とヨーク部13との間から樹脂が漏れることがなくなるので、絶縁樹脂層18が所望する通りに成形され、絶縁樹脂層18が、ヨーク部13の外側に突出するなどして、不要なバリが形成されることを防止できる。
コアブロック本体12は、金型側凹部41aと磁極ティース部15の突出端側を嵌め合わせるとともに、位置決め凸部32と位置決め凹部14を嵌め合わせて、第1金型41と台座31とに挟みこまれる所定位置に配置させることが可能となる。
これにより、第1金型41の型締め動作時に、スムーズに磁極ティース部15の突出端側と第1金型41の金型側凹部41aとを嵌め合わせることができる。
これにより、第1金型41の型締め動作時に、スムーズに位置決め凸部14と位置決め凸部32とを嵌め合わせることができる。
つまり、ヨーク部13に位置決め凸部及び位置決め凹部の一方を形成し、コアブロック本体12を支持する台座31に位置決め凸部及び位置決め凹部を嵌め合わせるとともに、磁極ティース部15のヨーク部13からの突出端側の部位(ティース鍔部15b)と第1金型41とを嵌め合わせて、コアブロック本体12を射出成形位置に位置決めするようにすればよい。
さらには、磁極ティース部15の突出端側、及び位置決め凹部14のそれぞれが、金型側凹部41aの両側面または位置決め凸部32の両側面のそれぞれに面接触するものでなくても、磁極ティース部15の突出端側と金型側凹部41aとの嵌め合わせ、及び位置決め凸部32と位置決め凹部14との嵌め合わせにより、コアブロック本体12が射出成形位置に位置決めされるという効果は残る。
Claims (8)
- 複数のコアブロックを環状に連結して構成されたステータコアであって、
上記コアブロックはそれぞれ、コアブロック本体と、絶縁樹脂層とを備え、
上記コアブロック本体は、複数枚のコア片を軸方向に積層することで構成され、
上記コアブロック本体同士は、隣接する上記コアブロック本体の連結部のそれぞれを通過する軸であって上記コア片の積層方向に平行である当該軸まわりに回動可能に連結され、上記コアブロック本体は、上記コアブロックの連結方向に沿って配置されるヨーク部と、上記ヨーク部から突出されてステータ巻線が巻回される磁極ティース部とを有している、ステータコアの製造方法であって、
複数の上記コアブロック本体同士を互いに連結して形成する工程と、
上記連結して形成する工程の後に、上記コアブロック本体同士を互いに上記軸まわりに回動させて上記コアブロック本体毎に金型に型締めし、上記絶縁樹脂層を射出成形により上記コアブロック本体に一体成形する射出成形工程と
を備えていることを特徴とするステータコアの製造方法。 - 上記射出成形工程では、上記コアブロック本体に上記絶縁樹脂層を一体成形する際、上記磁極ティース部の上記ヨーク部からの突出端面と相対する方向に移動可能な第1金型、上記磁極ティース部の幅方向の一方の側面と相対する方向に移動可能な第2金型、上記磁極ティース部の幅方向の他方の側面と相対する方向に移動可能な第3金型、上記コア片の積層方向について、上記磁極ティース部の一端面と相対する方向に移動可能な第4金型、及び上記コア片の積層方向について、上記磁極ティース部の他端面と相対する方向に移動可能な第5金型を有する金型ユニットの型締め動作時に、上記コアブロック本体を所定の射出成形位置に位置決めすることを特徴とする請求項1に記載のステータコアの製造方法。
- 上記射出成形工程において、上記金型ユニットの型締め動作を行ったときに、上記ヨーク部に形成された位置決め凸部及び位置決め凹部の一方を、上記コアブロック本体を支持する台座に形成された位置決め凸部及び位置決め凹部の他方に嵌め合わせるとともに、上記磁極ティース部の上記ヨーク部からの突出端側の部位と上記第1金型とを嵌め合わせて、上記コアブロック本体を射出成形位置に位置決めすることを特徴とする請求項2に記載のステータコアの製造方法。
- 複数のコアブロックを環状に連結して構成されたステータコアであって、
上記コアブロックはそれぞれ、コアブロック本体と、絶縁樹脂層とを備え、
上記コアブロック本体は、複数枚のコア片を軸方向に積層することで構成され、
上記コアブロック本体は、上記コアブロックの連結方向に沿って配置されるヨーク部と、上記ヨーク部から突出されてステータ巻線が巻回される磁極ティース部とを有し、
上記絶縁樹脂層は、上記ステータ巻線が巻回される上記磁極ティース部の表面を含む部位を被覆するように射出成形により形成され、上記ステータ巻線と上記コアブロック本体との間に介装され、
上記コアブロック本体毎に上記絶縁樹脂層を形成するのに用いられる射出成形用の金型ユニットを構成し、上記コアブロック本体を射出成形位置に配置したときの上記磁極ティース部の上記ヨーク部からの突出端と相対する方向に移動可能に設けられる第1金型に形成された金型側凹部に、上記磁極ティース部の突出端側が嵌め合わせ可能な形状であり、
上記ヨーク部には、上記磁極ティース部と逆側の所定部位に、上記第1金型の移動方向について上記第1金型と対向する位置に設けられる台座に形成された位置決め凸部及び位置決め凹部の一方に嵌め合わせ可能な上記位置決め凸部及び上記位置決め凹部の他方が形成され、
上記コアブロック本体は、上記第1金型の型締め動作により、上記磁極ティース部の突出端側に上記金型側凹部を嵌め合わせるとともに、上記位置決め凸部と上記位置決め凹部の他方に上記位置決め凸部と上記位置決め凹部の一方を嵌め合わせて上記射出成形位置に位置決め可能である
ことを特徴とするステータコア。 - 上記磁極ティース部の突出端側は、上記コア片の積層方向からみて、突出端に向かって漸次幅狭となるテーパ形状であり、開口部に向かって漸次幅広となるテーパ形状に形成された上記金型側凹部に嵌め合わせ可能であることを特徴とする請求項4に記載のステータコア。
- 上記位置決め凹部が、上記ヨーク部に形成されており、
上記位置決め凹部は、上記コア片の積層方向からみて、開口部に向かって漸次幅が広まるテーパ形状であり、突出端部に向かって漸次幅が狭まるテーパ形状の上記位置決め凸部に嵌め合わせ可能であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のステータコア。 - 上記磁極ティース部は、上記金型側凹部に嵌め合わされたときに、上記磁極ティース部の突出端と上記金型側凹部の底部との間に隙間をあけて配置され、かつ上記コア片の積層方向からみて、上記金型側凹部の幅方向の両側面に面接触する形状を有することを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載のステータコア。
- 上記位置決め凹部は、上記位置決め凸部に嵌め合わされたときに、上記位置決め凹部の底部と上記位置決め凸部の先端との間に隙間をあけて配置され、かつ上記コア片の積層方向からみて、上記位置決め凸部の幅方向の両側面に面接触する形状を有することを特徴とする請求項4乃至請求項7のいずれか1項に記載のステータコア。
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