JP5713523B2 - エンドソームエスケープ能力増強組み換えbcg株類 - Google Patents

エンドソームエスケープ能力増強組み換えbcg株類 Download PDF

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Description

本発明は、免疫応答惹起能力が増強されたマイコバクテリウム株類を提供する。インビボ実験は、例えば、主要組織適合Iクラス制限CD8T細胞免疫応答を明らかにした。特に、本発明は、エンドソームからのマイコバクテリウムのエスケープを可能とするパーフリンゴライシンO(PfOA)タンパク質を発現するマイコバクテリウム株類、および前記マイコバクテリウム株類を含むワクチン調製物類を提供する。
マイコバクテリウム・チューバキュローシス(Mycobacterium tuberculosis)(M.tb)は世界人口の3分の1に感染し、800万人に激烈な疾患を引き起こしかつ毎年160万人−220万人を死亡させており、そのほとんどは、発展途上国に生活している。結核(TB)は、世界的にも流行しており、HIVの拡大と重なるとさらにいっそう致命的となっている。TBは、AIDS患者の最大の死亡原因となっている。
バシル・カルメット・ゲラン(Bacille Calmette Guerin)(BCG)はマイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)の弱毒株で現在TBワクチンとして広く使用されており、80年以上前に開発され、試験によると肺結核に対する効果比が大きく変動し、インドで行った最近の大規模治験では全く効果がなかった(Fineほか、Vaccine、16(20):1923−1928;1998;Anonymous,Indian J Med Res.,Aug;110:56−69;1999)。にもかかわらず、世界保健機構(WHO)は現在、TB高罹患率の国において(HIV疾患/AIDS症状を有するものを除き)全ての小児が出生時においてまたは最初に医療保健サービスに接触してきた際にBCGを勧めている。この方針は、BCGがTBの重篤な小児形態を防御するという知見に基づいている(Lanckrietほか、Int J Epidemiol,24(5):1042−1049;1995;Rodriguesほか、J Epidemiol Community Health 45(1):78−80;1991)。小児期を過ぎてまでTBをBCGにより防御することは論議を呼ぶ問題となっており、データは限られておりしかもさまざまな結果を示している。しかし、乳児期BCG予防接種が広く実施されている発展途上国において小児および成人でTBが高罹患率であることは、現在投与されているBCGが、ヒトがTBリスクにある長年にわたっては高い効果を有していないことを示している。したがって、BCGは、TB介入およびコントロールのための公衆衛生手段としては適切でないと考えられている。
TB菌に暴露しかつ正常な免疫系を有するヒトの約70%が感染せず、感染したヒトのうちの約5%しか最初の2年以内に発病しない。感染したヒトの大半は感染を抑制し、このことは、M.tb抗原類に対する優れた細胞免疫応答の出現と関連している。さらにもう5%が、後日、免疫が低下すると再活性化される。一次および再活性化疾患の両者ともに、HIV/AIDS患者ではるかに頻度が高く、このことは、感染予防および制御において免疫の役割を強調している。
多くのヒトはTBを制御できるので、適切な種類の長期持続免疫を導入することによって暴露後始めての感染を防御し、疾患への初期進行を予防し、潜伏状態からの再活性化を防御しかつ治療後の再燃を予防する有効なワクチン類を開発できるはずであると期待するだけの十分な理由がある。最終的には、ヒト病原体としてのM.tbを結果的に撲滅するだろう系統的ワクチン使用+化学療法介入の組み合わせとなる。
小児期BCGワクチンが急性TB予防に果たした重要な役割を考慮すれば、新しい候補TBワクチンが非常に優れた製品であるとの圧倒的証拠がなければこのTBワクチン類を評価するための治験においてBCGに取ってかわることは難しい。問題となっているのは、M.tbが元来ヒト特異的病原体であること、および動物モデルは宿主−病原体作用の一部を模倣するにすぎないことにある。したがって、新しいTBワクチンが改良された能力を有しているという明確な証拠は、ヒトでのコントロール治験からしか得られない。多くの研究者らはこうした現実を考慮して、改良TBワクチンを得るための重要なステップが、BCGの免疫原性を増強することであろうと結論することになった。
このような戦略の一例は、免疫応答を増強させるためにT細胞を誘導または活性化するBCGの能力を向上させることである。M.tbに対する免疫における主要組織適合Iクラス制限CD8T細胞の重要な役割は、β2マイクログロブリン(β2m)欠失マウスが実験的M.tb感染を制御できないことによって実証されている(Flynnほか、PNAS USA、89(24):12013−12017;1992)。主要組織適合Iクラス制限CD8T細胞の重要な役割は、β2マイクログロブリン(β2m)欠失マウスが実験的M.tuberculosis感染を制御できないことによって実証され確認されている(Flynnほか、同上、1992)。これらの変異マウスは組織適合Iクラスを欠失しているので、機能的CD8T細胞が発生できない。M.tb感染と対比して、β2m欠失マウスは、BCGワクチン株のある感染性用量を制御できる(Flynnほか、同上、1992;Ladel C.H.,Eur J Immunol,25:377−384;1995)。さらに、β2m欠失マウスにBCGをワクチン接種すると、M.tuberculosis感染後の生存を延長させ、一方、BCG免疫C57BL/6は、M.tuberculosisに抵抗した(Flynnほか、同上、1992)。
M.tuberculosisとBCGとの間でこのようにCD8T細胞依存性が異なっていることは、下記のように説明することができる:M.tuberculosis抗原が、BCG由来抗原類よりも細胞質に対して優れたアクセスを得て、組織適合Iクラス提示がより顕著になる(HessおよびKaufmann、FEMS Microbiol.Immunol 7:95−103;1993)。結論として、M.tuberculosisがより効果的なCD8T細胞応答を生じさせる。この見解は、最近、BCGよりもむしろM.tuberculosisと抗原提示細胞(APC)を同時感染させることによって、関連のない抗原である卵白アルブミンの組織適合Iクラス提示が増加することにより裏付けられた(Mazzaccaroほか、Proc Natl Acad Sci USA,Oct 15:93(21):11786−91;1996)。
したがって、M.tb抗原類は、BCG由来抗原類よりも宿主細胞質により良好にアクセスし、組織適合Iクラス提示増加(Hessほか、同上、1993)とM.tbに対するCD8T細胞応答上昇を起こす。さらに、M.tbは、抗原特異的組織適合IIクラス制限CD4Tヘルパー細胞ならびに組織適合Iクラス制限CD8細胞毒性T細胞をマウスおよびヒトにおいて刺激する(Kaufmann、Annu Rev Immunol 11:129−163;1993)。この事実は、拡大すると、M.tb感染細胞が組織適合Iクラス制限CD8細胞毒性T細胞による認識を受けることを示唆している。TB菌に暴露した免疫適格ヒトの70%が感染しないことを考慮すると、M.tb感染により誘発された免疫が大半の症例においてこの菌を制御する際に非常に有効である。したがって、既存のTBワクチン株であるBCGの有効性が、組織適合Iクラス制限CD8細胞毒性T細胞応答を誘発するBCGの能力を高めることによって改善されるだろうと確信される(Kaufmann、Fundamental Immunology、1997)。
食細胞に結合したままの病原体により発現された抗原類は、主に組織適合IIクラス分子類によってCD4T細胞に提示されるが、CD8T細胞による認識は不良であり、それらは、通常、組織適合Iクラス分子類の文脈において提示された抗原類を認識する(Kaufmann、同上、1997)。対比して、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)(例 ATCC#13932)のような細胞内細菌類は、食細胞を逃れ宿主細胞の細胞質で複製し、組織適合Iクラス抗原提示経路へのアクセスおよびCD8T細胞応答惹起において、効果的である(Bercheほか、J Immunol、138:2266−2276;1987)。Listeria monocytogenesのこのエンドソームエスケープ機能は、最近、食細胞に通常存在する弱毒サルモネラ(Salmonella)にリステリオライシン(Llo)をコードする配列を導入することによって、転移された;結果として生成した株類は、エンドソームをエスケープしCD8T細胞応答誘発においてより効果的であることが明らかになった(Bieleckiほか、Nature(London)、354:175−176;1990;Gentschevほか、Infect Immun 63(10):4202−4205;1995;Hessほか、Host Response to Intracellular Pathogens,75−90;1997)。さらに最近になって、このアプローチがBCGにも応用された;したがって、Lloを分泌するrBCG株類が構築され、組織適合Iクラス制限免疫応答を誘発するBCGの能力が改善された(Hessほか、PNAS USA,95(9):5299−5304;1998)。初期の証拠はrBCG−Llo株が、CD8T細胞惹起においてより熟練していることを示唆しているものの、この株はエンドソームエスケープができないことが証明された。したがって、このアプローチの限界はといえば、エンドソームエスケープに必要なLloの溶血機能がpH5.5においてのみ完全に活性であるが、pH7.0において不活性であることである。マイコバクテリウムはエンドソームのpHを約7.0の値に保つので、これまで報告されているrBCG−Llo株類中におけるLloが機能不全となっていること、その理由は、それらが発現する環境が、溶血活性の大きさからして最適以下であると推論することは、論理的である(Geoffroyほか、Infect Immun 55(7):1641−1646;1987)。したがって、このアプローチの免疫増強効果は、BCG作用エンドソーム中においてLloが機能できるような戦略が開発されるまで現実化されないであろう。
Fineほか、Vaccine、16(20):1923−1928;1998 Anonymous,Indian J Med Res.,Aug;110:56−69;1999 Lanckrietほか、Int J Epidemiol,24(5):1042−1049;1995 Rodriguesほか、J Epidemiol Community Health 45(1):78−80;1991 Flynnほか、PNAS USA、89(24):12013−12017;1992 Ladel C.H.,Eur J Immunol,25:377−384;1995 Mazzaccaroほか、Proc Natl Acad Sci USA,Oct 15:93(21):11786−91;1996 Kaufmann、Annu Rev Immunol 11:129−163;1993 Bercheほか、J Immunol、138:2266−2276;1987 Bieleckiほか、Nature(London)、354:175−176;1990 Gentschevほか、Infect Immun 63(10):4202−4205;1995 Hessほか、Host Response to Intracellular Pathogens,75−90;1997 Hessほか、PNAS USA,95(9):5299−5304;1998 Geoffroyほか、Infect Immun 55(7):1641−1646;1987
したがって、これまで、先行技術は、エンドソームエスケープ能力が増強されそれによって、例えば主要組織適合Iクラス制限CD8細胞毒性T細胞応答誘導を増強できるrBCGを提供することができなかった。
本発明の例示的面は、主要組織適合(MHC)Iクラス制限CD8T細胞免疫応答能力が増強された組換えBCG(rBCG)株類を提供することである。これらの新規rBCG株類は、中性に近いpH(例 約pH6−8または約6.5乃至7.5)で生物活性である機能的エンドソーム溶解性タンパク質を発現するように遺伝子工学で処理されている。このエンドソーム溶解性タンパク質は、従って、マイコバクテリア含有エンドソーム内部で活性であり、それらは、通常、中性に近い内部pHを有している。rBCGによって産生されたエンドソーム溶解性タンパク質の活性の結果、エンドソームが破壊され、rBCGがエンドソームからエスケープし、細胞の細胞質に侵入できるようになる。このrBCGは従って、細胞質に暴露され、強力なT細胞応答を惹起し、特に強力なMHC−I制限CD8細胞毒性T細胞応答を惹起する。本発明の1態様において、遺伝子工学処理によりrBCGに導入したエンドソーム溶解性タンパク質は、クロストリジウム・パーフリンゲンス(Clostridium perfringens)由来パーフリンゴライシンO(PfoA)である。
本発明は、従って、遺伝子工学処理によって中性pHで活性の機能的エンドソーム溶解性タンパク質を発現分泌するようにさせたマイコバクテリウムを提供する。いくつかの態様において、前記の機能的エンドソーム溶解性孔形成性タンパク質は、PfoAまたは配列番号3によりコードされる変異PfoAである(本文では、PfoAG137Qと称する)。マイコバクテリウムによる機能的エンドソーム溶解性タンパク質の発現は、エンドソームからのrBCGエスケープを可能とする。このように遺伝子工学処理したマイコバクテリウムは、BCGのような弱毒化マイコバクテリウムであることもできる。本発明はまた、遺伝子工学処理でPfoAを発現分泌するようにしたマイコバクテリウム、および遺伝子工学処理により配列番号3でコードされるPfoAG137Qを発現分泌するようにしたマイコバクテリウムを提供する。
本発明はさらに、マイコバクテリウム誘導体をエンドソームエスケープができるようにする方法を提供する。この方法は、前記マイコバクテリウムを遺伝子工学処理してPfoAまたは配列番号3によってコードされるもののようなPfoAG137Qのような機能的エンドソーム溶解性タンパク質を含み、発現させかつ分泌させる段階を含む。いくつかの態様において、前記マイコバクテリウムは、BCGなどの弱毒化マイコバクテリウムである。
本発明はさらに、遺伝子工学処理によって中性pHで活性の機能的エンドソーム溶解性タンパク質を発現分泌するようにさせたマイコバクテリウムを含むワクチン調製物を提供する。前記の機能的エンドソーム溶解性タンパク質は、例えば、PfoAまたは配列番号3によってコードされるようなPfoAG137Qであることもできる。マイコバクテリウムによる前記の機能的エンドソーム溶解性タンパク質の発現は、組換えマイコバクテリウムのエンドソームエスケープを可能とする。いくつかの態様において、前記マイコバクテリウムは、BCGなどの弱毒化マイコバクテリウムである。
ワクチン機能を改良した結核ワクチンなどのワクチン剤の製造を可能にする。
本発明は、エンドソームエスケープが可能で感染した細胞類の宿主細胞の細胞質にアクセスできるrBCGを提供する。結果としてrBCGに対して優れたCD8T細胞応答が細胞中で惹起される。
rBCGは、rBCGにより発現し分泌されかつrBCGのエンドソームエスケープを媒介する機能的エンドソーマライシンを含むように遺伝子工学処理されている。本明細書では、用語エンドソーマライシンとは、エンドソーム膜を十分に破壊でき菌細胞がエンドソームを通過して細胞質ゾル中に入るタンパク質を意味する。また、用語エンドソーム溶解性タンパク質は、前記破壊活性を有するタンパク質を意味する。また、エンドソーム溶解は、エンドソーム膜を十分に破壊し菌細胞がエンドソームを通過して細胞質ゾル中に入るようにさせるプロセスを意味する。前記のエンドソーム溶解性タンパク質は、マイコバクテリア感染細胞のエンドソーム内部などの中性に近いpH値の環境中で活性であり、従って、細胞質への菌エスケープを媒介する。
本発明の1態様において、本発明のrBCG株類中に導入される機能的エンドソーム溶解性タンパク質は、Clostridium perfringens由来PfoAまたはその機能的変異体である。PfoAは、Clostridium perfringensにより分泌されたサイトライシンであり、pfoA遺伝子によってコードされている(Genebank アクセス#CPE0163)。この遺伝子およびそのタンパク質配列を、図2AおよびBにそれぞれ示した。PfoAは、食細胞からの菌エスケープをClostridium中においておよびB.サブチリス(B.subtilis)により発現されたときの両方の場合において、媒介する(Portnoyほか、Infect Immun.Jul;60(7):2710−7;1992)。PfoAはLloと異なり、pH5.0およびpH7.0の両方の場合において活性であり、サイトゾル中で活性のままであり、感染した宿主細胞に傷害を及ぼす(Portnoyほか、同上、1992)。したがって、PfoAがLloの代わりにL.monocytogenes中において発現すると、それは、前記株を食細胞からエスケープさせることができた(JonesおよびPortnoy、Infect Immun.Dec;62(12):5608−13;1994)。しかし、その発現はまた、宿主細胞に対しても傷害の原因となった。Lloは、LloがpH5.5で最適活性でありpH7.0ではほとんど活性を示さないということを除いて、PfoAと同様の性質を示す。したがって、Lloは、エンドソームのpHがpH5.5までいったん低下するとエンドソームエスケープを媒介するが、宿主細胞には影響を及ぼさず、その理由は、中性に近いサイトゾルのpHがLlo活性を妨害するからである。
Portnoyらは、さらに、L.monocytogenes中でアミノ酸1個のみが変化している変異体形態としてPfoAが発現すると、PfoAの変異体形態は宿主細胞に対してもはや有毒ではなく、にもかかわらず、小胞からの菌エスケープを媒介できかつ細胞内増殖を実行できることを実証した(Portnoyほか、同上、1992)。特定の株DP−12791は、Pfo中のGly137をGln137に変化させた変異(すなわち、PfoAG137Q)を有しており、野生型と同様の方法で食細胞からエスケープできるが、宿主細胞に毒性効果をもたらさない。さらに、PfoAG137Qは、pH5.6およびpH7.4の両者で活性であり、サイトゾルの半減期が短くなる。PfoAG137Qの遺伝子配列は、図3に示した(配列番号3)。
PfoAの発現はエンドソームからのエスケープを可能とし、その理由としては、PfoAの孔形成活性が、真核細胞膜傷害につながるからである。PfoAは、コレステロール含有膜中においてそのドメインを二重層に自然挿入することによって孔を形成する。これは、レセプターとして作用するコレステロールへの結合により起こる。結合後、次に、トキシンは、モノマーモノマー界面(オリゴマーアセンブリに必要)を形成し、その構造を変化させることにより膜中でオリゴマー化しかつ分配されるが、それは、膜結合依存性である。膜結合オリゴマーの形成により膜傷害が生じ、条件次第では溶解が起こることもある(Ramachandranほか、Nature Structure and Molecular Biology,11(8)、697−705(1995)。PfoAG137Qは、このようにして小胞の溶解を媒介できるようになる。好適なPfoAG137Qは、宿主タンパク質溶解酵素に対するその感度ゆえに感染宿主細胞の細胞質で限定された活性を有している。
本発明の1態様において、rBCGにより発現される機能的エンドソーム溶解性酵素は、C.perfringensに由来するかまたはそれから単離されたPfoAである。しかし、当業者は、中性または中性に近いところで活性の他のエンドソーム溶解性タンパク質類も同様に存在すると認識し、それらも本発明の用途に適切であろうということを認識するだろう。このようなエンドソーム溶解性タンパク質類の例にはニューモライシン(ストレプトコッカス・ニューモニアエ(Streptococcus pneumoniae)により産生される)、ストレプトライシンO(ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)により産生)、セロライシン(バシラス・セレウス(Bacilus cereus)により産生される)、α−ヘモライシン(スタフィロコッカス・オーレウス(Staphylococcus aureus)により産生される)等およびその機能的変異体類(variants)を含むがそれらに限定されない。
“機能的エンドソーム溶解性タンパク質”またはタンパク質(または、ある遺伝子の“機能するように発現された”遺伝子産物)の“機能的形態”とは、rBCG菌により産生されたタンパク質の形状が、天然すなわち自然の(“野生型”)タンパク質がその天然生物中で公知となっている特徴的大きさの活性を示すことを意味している。rBCGにより産生されたタンパク質の機能的形態の活性の大きさは、一般的に、当業者が認めるような標準的条件下でアッセイすると野生型タンパク質の通常活性の少なくとも約50%である。タンパク質の活性の大きさは、リガンドへの結合、rBCGのエンドソームエスケープのような効果の産生のようないかなる観察可能な物理的項目を測定することによっても、決定することもできる。好適には、活性の大きさは、当業者が認めるような標準的条件下でアッセイすると野生型タンパク質の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、100%またはそれ以上である。
発明者らは、タンパク質の“機能的変異体(variant)”とは、野生型“参考”タンパク質のアミノ酸配列に少なくとも70%相同でかつ野生型タンパク質(上に述べたとおり)の機能的大きさの活性を保持しているポリペプチドを意味していると考えている。参考野生型タンパク質のアミノ酸配列を通常、遺伝子工学により行われる変異および改変の出発点として用いる。
好適には、機能的変異体は、標準アミノ酸配列に対して約75%、80%、85%、90%、95%以上の同一性を有するアミノ酸配列のポリペプチドである。このような機能的変異体類には、1個以上の保存的アミノ酸置換が行われているポリペプチド配列類が含まれるが、それらに限定されない。保存的アミノ酸置換は当業者に周知であり、例えば、1個の陽電荷アミノ酸を別のものと置換すること、陰電荷アミノ酸を別のものと置換すること、疎水性アミノ酸を別のものと置換すること等が含まれる。変異ポリペプチド類は、生成した変異ポリペプチドが本文で記載したような機能的大きさの活性を保持する限りにおいて、このような置換を1個以上含むことができる。“機能性変異体類”はまた、問題のポリペプチドの一次配列に対する他の変化も含む。変化の例には、アミノ酸類の欠失および付加またはアミノ酸類の修飾(例 スルホン化、脱アミノ化、リン酸化、ヒドロキシル化等)等を含むが、それらに限定されない。このような変化は、参考アミノ酸配列の遺伝子工学処理の結果であることもでき、あるいは、タンパク質の翻訳後修飾の結果、またはその両者であることもできる。さらに、酵素の機能的変異体類は、ある種の異なる株類、または異なる種、またはある種内の異なるそれぞれの生物から単離された同一または類似活性を有する同族タンパク質類の間で起こる自然変異の結果であることもできる。このような自然に起こる変異体類由来のタンパク質類はまた、標準タンパク質として作用することもでき、このような天然変異体のアミノ酸配列は、標準配列として作用することもできる。いずれにせよ、標準タンパク質のこのような機能性変異体類は全て、前記タンパク質の活性強度を保持し、それについては、本明細書に記載してある。
上述のとおりの配列相同性と同一性は、標準配列以外の起源に由来しかつさまざまな他の目的のためにタンパク質のポリペプチド配列に結合させてあるかまたは含まれている非相同性アミノ酸配列類を含むことを意図していない。このような非相同性配列類の例には、ポリペプチド単離を促進する配列類(例 ヒスチジンタグ)、細胞内部においてポリペプチドの分泌または局在を促進する配列類(例 さまざまなリーダーまたは標的配列類)、およびグリコシル化部位をコードする配列類(グリコシル化配列類)等を含むが、それらに限定されない。
いずれにせよ、前記の機能的変異体は、変異体のもとであるタンパク質の活性強度を保持するだろうが、この機能性変異体は、当業者が認識しているような標準的条件下でアッセイした時、少なくとも、そのもととなるタンパク質の活性強度の少なくとも約50%、および好適には約60%、70%、80%、90%、100%以上を示す程度の変異体である。
さらに、本発明には、本発明で使用するタンパク質類およびタンパク質類の機能的変異体類をコードする核酸配列類を含む。前記核酸配列類は、デオキシリボヌクレオチド類、リボヌクレオチド類、またはいずれかの修飾形態類であることができ、さらに、一重鎖または二重鎖であることができる。本発明の核酸配列類には、本明細書で列挙したもののいずれをも含み、また、その変異体類も含むものとする。たとえば、核酸類の変異体類は列挙した配列類と同一でないこともあり、それでもなお遺伝子コードの冗長性により同一のアミノ酸配列をコードすることもできる。これとは別に、本発明の配列においていくつかの変更も行われ(例 置換、欠失または付加)、それにより、結果として、コードしたアミノ酸配列が本文で述べたような標準アミノ酸配列の機能的変異体である限り、コードしたアミノ酸配列に変化が起こる。例には、酵素に保存的アミノ酸置換を起こす変化およびアミノ酸配列類における非保存的置換、またはアミノ酸配列の欠失または付加が結果として起こるような変化を含むが、それらに限定されない。このような変化は、例えば酵素の翻訳後修飾を改変するため;溶解性を高めるためまたは低くするため;翻訳ポリペプチドにおける立体的相互作用を防止するためまたはそのポリペプチド中に導入するためなど、任意の理由のために導入できる。一般的に、本発明の核酸配列類の変異体は、標準配列類に対して少なくとも約50%、好適には、約60%、70%、80%、90%、95%または100%の相同性を示すであろうが、そのことは、当業者に周知の比較操作により決定する。このような変異体類はまた、高緊縮性の条件下で本発明で用いた配列類に結合する能力を示すことを特徴とする。高緊縮性結合アッセイは当業者に周知で、本発明の配列類の潜在的変異体類を試験するために容易に適用できる。
本明細書で述べたような配列相同性が、標準アミノ酸配列以外の起源に由来しかつさまざまな他の目的のためにタンパク質のポリペプチド配列に結合させるかまたはそれに含まれる非相同アミノ酸配列類をコードする核酸配列類を称するとは、意図していない。例えば、このような核酸配列類には、ポリペプチド単離を促進する配列類(例 ヒスチジンタグ)、細胞内部においてポリペプチドの分泌または局在を促進する配列類(例 さまざまなリーダーまたは標的配列類)、およびグリコシル化部位をコードする配列類(グリコシル化配列類)等を含むが、それらに限定されない。
本発明の核酸配列類の他の変異体類で本発明に包含することを意図している変異体類は、前記核酸配列類の遺伝子工学処理またはそれらがコードするアミノ酸配列類の発現における便宜または改善のため改変された配列類である。一般的に、このような改変は、核酸配列から最終的に翻訳されたポリペプチド配列に影響を及ぼさないであろう;または、前記ポリペプチドは、それでもなお、機能的変異体について上記で述べた基準を満たすであろう。このタイプの改変の例には、核酸配列中に便利な制限エンドヌクレアーゼ部位を含ませること(例 ベクター中に配列を挿入するため);アミノ酸配列発現に関与する配列または配列類における組み込み、欠失または他の変化(例 さまざまなプロモータおよび/またはエンハンサー配列類、停止シグナル類、スーパープロモータ類、誘導可能プロモータ類、および核酸配列の発現を修飾するさまざまな他の配列類のいずれかを組み込ませること);宿主生物の核酸配列とベクターの相互作用を促進する配列類を含ませること;等を含むが、それらに限定されない。
さらに、本発明の核酸配列類は、化学的に修飾することもできまたは当業者に周知の多くの理由のいずれかによりこれまでにない塩基類を含むことができ、例えば、核酸安定性の促進のためあるいは所望の立体構造を付与するために行われる。
“中性pHにおいて活性”および“約7.0のpHにおいて活性”とは、酵素が約6.0乃至約8.0の範囲、好適には約6.5乃至約7.5の範囲のpH値で活性であることを意味する。
本発明は、組換えマイコバクテリアを提供する。本発明の好適な態様において、BCGにより例示するとおり、前記マイコバクテリアは、弱毒化される。しかし、当業者は、他の弱毒化および非弱毒化マイコバクテリアも存在し、それらもまた本発明の用途に適しているだろうということがわかるであろう。マイコバクテリアの他のタイプの例には、M.tuberculosis CDC1551株(例えば、Griffithほか、Am.J.Respir.Crit.Care Med.Aug;152(2):808;1995を参照)、M.tuberculosis Beijing株(Soolingenほか、1995)、M.tuberculosis H37Ra株(ATCC#:25177)、M.tuberculosis H37Rv株(ATCC#:25618)、M.ボビス(M.bovis)(ATCC#:19211および27291)、M.フォーチュイツム(M.fortuitum)(ATCC#:15073)、M.スメグマチス(M.smegmatis)(ATCC#:12051および12549)、M.イントラセルラレ(M.intracellulare)(ATCC#:35772および13209)、M.カンサシイ(M.kansasii)(ATCC#:21982および35775)、M.アビウム(M.avium)(ATCC#:19421および25291)、M.ガリナルム(M.gallinarum)(ATCC#:19711)、M.ヴァカエ(M.vaccae)(ATCC#:15483および23024)、M.レプラエ(M.leprae)(ATCC#:)、M.マリナルム(M.marinarum)(ATCC#:11566および11567)、およびM.ミクロチ(M.microtti)(ATCC#:11152)が含まれるが、それらに限定されない。
弱毒化マイコバクテリウム株類の例には、M.tuberculosisパントテネート栄養素要求体株(Sambandamurthy、Nat.Med.2002 8(10):1171;2002)、M.tuberculosis rpoV変異株(Collinsほか、Proc Natl Acad Sci USA.92(17):8036;1995)、M.tuberculosisロイシン栄養素要求体株(Hondalusほか、Infect.Immun.68(5):2888;2000)、BCG Danish株(ATCC#35733)、BCG Japanese株(ATCC#35737)、BCG Chicago株(ATCC#27289)、BCG Copenhagen株(ATCC#:27290)、BCG Pasteur株(ATCC#:35734)、BCG Glaxo株(ATCC#:35741)、BCG Connaught株(ATCC#35745)、BCG Montreal株(ATCC#35746)を含むが、それらに限定されない。
さらに本発明の態様において、弱毒化マイコバクテリウム株類は、アポトーシスを増大させるために修飾され、このような株類は、強い細胞性免疫応答を誘発する。アポトーシスはプログラムされた細胞死であり、これは、その誘導と結果の観点から壊死性細胞死とは顕著に異なる。実際、抗原含有細胞のアポトーシスが結果として強烈な細胞免疫を誘導することになるプロセスは、クロスプライミングと称されてきた(Heathほか、Immunol Rev 199;2004;Gallucciほか、Nature Biotechnology.5:1249;1999;Albertほか、Nature 392:86;1998)。抗原特異的細胞媒介免疫上昇を起こすアポトーシス誘導のため、いくつか機構がある。カスパーゼ8媒介アポトーシスは、抗原特異的細胞免疫防御につながる(Sheridanほか、Science277:818;1997)。
したがって、本発明の別の態様では、増強されたプロアポトーシス性を示す弱毒化マイコバクテリウム株類が提供され、それらは、サルモネラ・エンテリダイティス(Salmonella enteriditis)(Genbankアクセス番号1068147)、エシェリシア・コリ(Escherichia coli)(Genbankアクセス番号1250070)またはシゲラ・フレクスネリ(Shigella flexneri)(Genbankアクセス番号1079977)由来のリーダー配列を欠失しているsecA1分泌SodA、またはこれとは別にListeria monocytogenes EGD−e(Genbankアクセス番号986791)由来SodAなどの天然では分泌されないSodAタンパク質などであるが、これらに限定されない。このような弱毒化マイコバクテリウム株類は細胞外Sodを産生せず、従って、宿主免疫応答を抑制しないが、それでいてなお、それらは、細胞内Sodを実際に発現しそれによって前記マイコバクテリウムの生存を可能とする(Edwardsほか、Am.J.Respir.Crit.Care Med.164(12):2213−9;2001)。これとは別に、増強されたプロアポトーシス性質を示す弱毒化マイコバクテリウム株類は、不活性化Rv3238c遺伝子を保有している。
これとは別に、宿主細胞の細胞質中においてのSalmonella SopE(Genbankアクセス#AAD54239、AAB51429またはAAC02071)またはカスパーゼ−8(Genbankアクセス#AAD24962またはAAH06737)の本発明の弱毒化マイコバクテリウムによる発現は、前記弱毒化マイコバクテリウムによって発現された抗原類という文脈でプログラムされた細胞死を誘導する強力な方法を付与し、高レベルの抗原特異的細胞免疫を惹起するだろう。
TRAIL−R2(TRAILレセプター2)またはTNFR−SF−10B(腫瘍壊死因子スーパーファミリメンバー10B)としても公知のデスレセプター−5(death receptor−5)(DR−5)もまた、カスパーゼ8媒介アポトーシスを媒介する(Sheridanほか、1997)。レオウイルス誘導アポトーシスは、TRAIL−DR5によって媒介され、このウイルスがその後クリアランスされることになる(Clarkeほか、J.Virol.74:8135;2000)。ヒトDR−5(Genbankアクセス#BAA33723)、ヘルペスウイルスー6(HHV−6)DR−5ホモログ(Genbankアクセス#CAA58423)等の本発明の弱毒化マイコバクテリウムによる発現は、Mtb抗原類に対する抗原特異的免疫誘導のため強力なアジュバント効果を付与する。
さらに、(マクロファージ類および樹状細胞類などの)宿主抗原提示細胞類もまた誘発され、Fas連結を介してアポトーシスを受けるよう誘発でき、それは、抗原特異的細胞性免疫応答の誘導に強力な刺激である(Chattergoonほか、Nat.Biotechnol.18:974;2000)。したがって、FasまたはFas細胞質ドメイン/CD4エクトドメイン融合タンパク質を発現する弱毒化マイコバクテリウムは、アポトーシスおよび加速された抗原特異的細胞性免疫応答を誘導するだろう。
要約すると、アポトーシス誘導を促進する弱毒化マイコバクテリウム株類は、Mtb感染細胞の免疫媒介細胞破壊につながる細胞性応答誘導のための強力な手段を提供するが、その後、Mtb感染が消失、低下または防御されるだろう。
本発明のさらに別の態様において、2成分TBワクチンには、少なくとも1種のマイコバクテリウム抗原を過剰発現する弱毒化マイコバクテリウム株類を含むことができ、Rv0125、Rv0203、Rv0287、Rv0288、Rv0603、Rv1196、Rv1223、Rv1271c、Rv1733c、Rv1738 Rv1804c、Rv1886、Rv2031c、Rv2032、Rv2253、Rv2290、Rv2389c、Rv2626c、Rv2627c、Rv2779c、Rv2873、Rv2875、Rv3017c、Rv3407、Rv3804c、Rv3810またはRv3841を含むがそれらに限定されない。これとは別に、過剰発現したマイコバクテリウム抗原類は、1種以上の前記マイコバクテリウム融合タンパク質類を含むMtb72f(Brandtほか、Infect.Immun.,72:6622−6632;2004;Skeikyほか、J.Immunol.,172:7618−7628;2004)、Hybrid−1(Olsenほか、Infect.Immun.,72:6148−6150;2004;Langermansほか、Vaccine,23:2740−2750;2005)、Hyvac−4(Dietrichほか、J.Immunol.174:6332−6339;2005)等の融合タンパク質の形状であることができる。
本発明は、病原性マイコバクテリウム種に対するワクチン類開発、および抗原運搬ワクチンベクター類の開発に用途を有している。マイコバクテリウムベクターとは、本明細書で、DNAまたはRNAを含みかつ抗原類、免疫制御因子類またはアジュバント類のいかなる組み合わせをもコードする少なくとも1個のパッセンジャーヌクレオチド配列(本文で“PNS”と称する)を発現するように遺伝子工学処理したいかなるマイコバクテリウム株としても定義され、これらについては、下記で述べる。前記PNSは、染色体中に導入できるかまたは当技術で周知の組成物類および方法類を用いて発現ベクターの一部として導入できる(Jacobsほか、Nature 327:532−535;1987;Barlettaほか、Res Microbiol.141:931−939;1990;Kawaharaほか、Clin Immunol.105:326−331;2002;Limほか、AIDS Res Hum Retroviruses.13:1573−1581;1997;Chujohほか、Vaccine、20:797−804;2001;Matsumotoほか、Vaccine、14:54−60;1996;Haeseleerほか、Mol Biochem Parasitol.,57:117−126;1993)。
本発明において、前記マイコバクテリウムベクターは、免疫原をコードするPNSを保有でき、それは、ウイルス、細菌および寄生病原体類由来の外来性免疫原または限定するものではないが自己免疫抗原または腫瘍抗原などの内因性免疫原のいずれかであることができる。免疫原類は、全長天然タンパク質、外来性免疫原と内因性タンパク質または模倣物、ウイルス、細菌および寄生病原体類に起源を有する免疫原の断片または断片類とのキメラ融合体であることができる。
本明細書では、“外来性免疫原”とは、受容体動物細胞または組織で通常は発現されないタンパク質またはその断片を意味し、ウイルスタンパク質類、細菌タンパク質類、寄生体タンパク質類、サイトカイン類、ケモカイン類、免疫制御剤類、または治療剤類を含むがそれらに限定されない。
“内因性免疫原”とは、限定するものではないが内因性細胞性タンパク質、免疫制御剤、または治療剤などの受容体動物細胞または組織に天然に存在するタンパク質またはその一部を意味する。これとは別にまたはその他に、前記免疫源は、合成遺伝子によってコードすることもでき、当業者に公知の従来の組換えDNA法を用いて構築することもできる。
外来性免疫原は、動物宿主中へ入る前または入る時、またはコロニー形成または複製の前またはその間においていかなるウイルス、細菌または寄生病原体によっても発現されるいかなる分子であることもできる;前記マイコバクテリウムベクターは、ウイルス、細菌および寄生病原体類から派生した免疫原類またはその一部を発現することができる。これらの病原体類は、ヒト、家禽または野生動物宿主において感染性であることができる。
ウイルス抗原が由来するウイルス病原体類には、インフルエンザウイルス(Taxonomy ID:59771のようなオルソミキソウイルス類;RSV,HTLV−1(Taxonomy ID:39015)およびHTLV−II(Taxonomy ID:11909)などのレトロウイルス類、EBV Taxonomy ID:10295)などのヘルペスウイルス類;CMV(Taxonomy ID:10358)または単純ヘルペスウイルス(ATCC#:VR−1487);HIV−1(Taxonomy ID:12721)およびHIV−2 Taxonomy ID:11709)などのレンチウイルス類;ラビーなどのラブドウイルス類;ポリオウイルス(Taxonomy ID:12080)などのピコルノウイルス類;ワクシニア(Taxonomy ID:10245)などのポックスウイルス類;ロタウイルス(Taxonomy ID:10912);およびアデノ関連ウイルス1(Taxonomy ID:85106)などのパルボウイルス類を含むが、それらに限定されない。
ウイルス抗原の例は、ヒト免疫不全ウイルス抗原類Nef(National Institute of Allergy and Infectious Disease HIV Repository Cat.#183;GenBank accession #AF238278)、Gag,Env(National Institute of Allergy and Infectious Disease HIV Repository Cat.#2433;GenBank accession #U39362)、Tat(National Institute of Allergy and Infectious Disease HIV Repository Cat.#827;GenBank accession#M13137)、Tat−Δ31−45(Agwaleほか、Proc.Natl.Acad.Sci.印刷中、7月8日;2002)などのTatの変異誘導体類、Rev(National Institute of Allergy and Infectious Disease HIV Repository Cat.#2088;GenBank accession #L14572)、およびPol(National Institute of Allergy and Infectious Disease HIV Repository Cat.#238;GenBank accession #AJ237568)、およびgp120のTおよびB細胞エピトープ類(HankeおよびMcMichael,AIDS Immunol Lett.66:177;1999);(Hankeら、Vaccine、17:589;1999);(Palkerほか、J.Immunol.,142:3612−3619;1989)、限定するわけではないがgp120とCD4の融合体(Foutsほか、J.Virol.2000、74:11427−11436;2000)などのHIV−1 Envとgp120との間のキメラ誘導体;限定するわけではないがgp140(Stamatosほか、J Virol、72:9656−9667;1998)などの短く切断したかまたは修飾したHIV−1 envの誘導体類、またはHIV−1 Envおよび/またはそのgp140の誘導体類(Binleyほか、J Virol、76:2606−2616;2002);(Sandersほか、J.Virol、74:5091−5100;2000);(Binleyら、J Virol、74:627−643;2000)、B型肝炎表面抗原(GenBank accession #AF043578);(Wuほか、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:4726−4730;1989);VP4(GenBank accession #AJ293721);(Mackowほか、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA、87:518−522;1990)およびVP7(GenBank accession #AY003871);(Greenほか、J.Virol.,62:1819−1823;1988)のようなロタウイルス抗原類、ヘマグルチニン(GenBank accession #AJ404627);(PertmerおよびRobinson、Virology,257:406;1999)などのインフルエンザウイルス抗原類、ヌクレオプロテイン(GenBank accession #AJ289872);(Linほか、Proc.Natl.Acad.Sci.,97:9654−9658;2000)、チミジンキナーゼ(GenBank accession #AB047378);(Whitleyほか、New Generation Vaccines,825−854ページ;2004)などの単純ヘルペスウイルス抗原類が含まれるが、それらに限定されない。
細菌性抗原類を誘導した細菌病原体類には、マイコバクテリウム種、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pyroli)、サルモネラ(Salmonella)種、シゲラ(Shigella)種、大腸菌、リケッチア(Rickettia)種、リステリア(Listeria)種、レジオネラ・ニューモニアエ(Legionella pneumoniae)、シュードモナス(Pseudomonas)種、ビブリオ(Vibrio)種およびボレリア・バーグドルフェリ(Borellia burgdorferi)が含まれるが、それらに限定されない。
細菌性病原体の防御性抗原類の例には、CFA/I フィンブリアル抗原(Yamamotoほか、Infect.Immun.,50:925−928;1985)および熱に不安定な毒物の非毒性Bサブユニット(Klipsteinほか、Infect.Immun.,40:888−893;1983)などのエンテロトキシン性大腸菌の全身抗原類;ボルデテラ・ペルツシス(Bordetella pertussis)のペルタクチン(Robertsほか、Vacc.,10:43−48;1992)、B.pertussisのアデニレートシクラーゼ−ヘモライシン(Guisoほか、Micro.Path.,11:423−431;1991)、クロストリジウム・テトラニ(Clostridium tetrani)の破傷風毒素断片C(Fairweatherほか、Infect.Immun.,58:1323−1326;1990)、ボレリア・ブルガドルフェリ(Borellia burgdorferi)のOspA(Sikandほか、Pediatrics,108:123−128;2001);(Wallichほか,Infect Immun,69:2130−2136;2001)、リケッチア・プロワゼッキ(Rickettsia prowazekii)およびリケッチア・チフィ(Rickettsia typhi)の防御性パラクリスタリン−表面層(Carlほか、Proc Natl Acad Sci USA、87:8237−8241;1990)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)のリステリオライシン(“Llo”および“Hly“としても公知)および/またはスーパーオキサイドディスムターゼ(“SOD”および“p60”としても公知)(Hess J.ほか,Infect.Immun.65:1286−92;1997);(Hess J.ほか,Proc.Natl.Acad.Sci.93:1458−1463;1996);(Bouwerほか、J.Exp.Med.175:1467−71;1992)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)のウレアーゼ(Gornez−Duarteほか、Vaccine 16、460−71;1998);Corthesy−Theulazほか、Infection&Immunity 66,581−6;1998)、および致死的毒素のレセプター結合ドメインおよび/またはバシラス・アンスラックス(Bacillus anthrax)の防御性抗原(Priceほか、Infect.Immun.69、4509−4515;2001)を含む。
寄生抗原類を誘導する寄生病原体類には、プラスモジウム・ファルシパルム(Plasmodium falsiparum)(ATCC#30145)などのプラスモジウム種;トリパノソム・クルジ(Trypanosoma cruzi)(ATCC#50797)などのトリパノソム種;ジアルジア・インテスチナリス(Giardia intestinalis)(ATCC#30888D)などのジアルジア種;ブウフィラス(Boophilus)種、バベシア・ミクロティ(Babesia microti)(ATCC#30221)などのバベシア(Babesia)種;エンタモエバ・ヒストリティカ(Entamoeba histolytica)(ATCC#30015)などのエンタモエバ種;エイメリア・マクシマ(Eimeria maxima)(ATCC#40357)などのエイメリア種;リューシュマニア種(Taxonomy ID:38568);シストソム(Schistosome)種、ブルギア(Brugia)種、ファスシダ(Fascida)種、ディロフィラリア(Dirofilaria)種、ウチェレリア(Wuchereria)種およびオンコセレア(Onchocerea)種が含まれるが、それらに限定されない。
寄生病原体の防御性抗原類の例には、P.ベルゲリ(P.bergerii)のサーカムスポロゾイテ抗原またはP.ファルシパルム(P.falciparum)のサーカムスポロゾイテ抗原などのプラスモジウム種のサーカムスポロゾイテ抗原類(Sadoffほか、Science、240:336−337;1988);プラスモジウム種のメロゾイテ表面抗原(Spetzlerほか、Int.J.Pept.Prot.Res.,43:351−358;1994);エンタモエバ・ヒストリティカ(Entamoeba histolytica)のガラクトース特異的レクチン(Mannほか、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA、88:3248−3252;1991)、リューシュマニア(Leishmania)のgp63(Russellほか、J.Immunol.,140:1274−1278;1988);(XuおよびLiew、Immunol.,84:173−176;1995)、リューシュマニア・メジャー(Leishmania major)のgp46(Handmanほか、Vaccine,18:3011−3017;2000)、ブルジア・マライ(Brugia malayi)のパラミオシン(Liほか、Mol.Biochem.Parasitol.,49:315−323;1991)、シストソマ・マンソニ(Schistosoma mansoni)のトリオース−ホスフェートイソメラーゼ(Shoemakerほか、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA、89:1842−1846;1992);トリコストロンガイラス・コルブリホルミス(Trichostrongylus colubriformis)の分泌グロビン様タンパク質(Frenkelほか、Mol.Biochem.Parasitol.,50:27−36;1992);フラスシオラ・ヘパチカ(Frasciola hepatica)(Hillyerほか、Exp.Parasitol.,75:176−186;1992)、シストソマ・ボビス(Schistosoma bovis)およびS・ジャポニクム(S.japonicum)(Bashirほか、Trop.Geog.Med.,46:255−258;1994)のグルタチオン−S−トランスフェラーゼ;およびSchistosoma bovisおよびS.japonicumのKLH(Bashirほか、同上、1994)を含む。
先にも述べたとおり、マイコバクテリウムベクターは、内因性免疫原をコードするPNSを保有でき、それは、いかなる細胞性タンパク質、免疫制御剤または治療剤、またはその部分類であることができ、それらは、限定するわけではないが腫瘍、移植および自己免疫の免疫原類または腫瘍、移植および自己免疫原類の断片類および誘導体類を含む受容体細胞で発現できる。したがって、本発明において、マイコバクテリウムベクターは、腫瘍、移植または自己免疫の免疫原類またはその部分類または誘導体類をコードするPNSを保有できる。これとは別に、前記マイコバクテリウムベクターは、腫瘍特異的、移植または自己免疫抗原類またはその部分類をコードする合成PNS類(先に述べた)を保有することもできる。
腫瘍特異的抗原類の例には、前立腺特異的抗原(Gattusoほか、Human Pathol.,26:123−126;1995)、TAG−72およびCEA(Guadagniほか、Int.J.Biol.Markers、9:53−60;1994)、MAGE−1およびチロシナーゼ(Coulieほか、J.Immunothera.,14:104−109;1993)を含む。最近、マウスにおいて腫瘍抗原を発現する非悪性細胞による免疫でワクチン効果が得られたこと、およびそれがまた、前記動物が免疫応答を身に着け同一抗原を示す悪性腫瘍細胞を一掃するのに役立つことが明らかになった(Koeppenほか、Anal.N.Y.Acad.Sci.,690:244−255;1993)。
移植抗原類の例には、T細胞上のCD3分子が含まれる(Alegreほか、Digest.Dis.Sci.,40:58−64;1995)。CD3レセプターに対する抗体で処理すると、循環しているT細胞を迅速に一掃し、かつ、逆細胞媒介移植拒絶を一掃することが明らかになった(Alegreほか、supra、1995)。
自己免疫抗原類の例には、IAS β鎖が含まれる(Tophamほか、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,91:8005−8009;1994)。マウスをIAS β鎖由来アミノ酸18個のポリペプチドでワクチン接種すると、実験的自己免疫脳脊髄炎マウスに対して防御と処置を付与することが明確になった(Tophamほか、同上、1994)。
アジュバント発現マイコバクテリウムベクター類
免疫原およびアジュバントをコードするPNSを保有するマイコバクテリウムベクター類を構築することが可能で、それらは、前記ベクターおよびPNSがコードした免疫原に対して強化宿主応答を惹起する点で有用である。これとは別に、アジュバントをコードするPNSを保有するマイコバクテリウムベクター類を構築することが可能で、それらは、少なくとも1個の免疫原をコードするPNSを保有する他のマイコバクテリウムベクター類と混合して投与することが可能で、パートナーの前記マイコバクテリウムベクターによってコードされた前記免疫原に対する宿主応答を高める。
前記マイコバクテリウムベクター中に挿入したPNSによってコードされる特定アジュバントは、本発明において重大というわけではなく、コレラトキシンのサブユニットA(すなわち、CtxA;Genbankアクセス番号X00171,AF175708、D30053,D30052)またはその部分類および/または変異誘導体類(例 CtxのサブユニットAのA1ドメイン(すなわち、CtxA1;Genbankアクセス番号K02679))であることもでき、それらは、任意の従来のVibrio cholerae(例 V.cholerae株395、ATCC#39541)またはE1 TまたはV.cholerae(例 V.cholerae2125株、ATCC#39050)株由来である。これとは別に、細菌アデノシンジホスフェート−リボシル化エクソトキシン類のファミリメンバーである任意の細菌トキシン(KruegerおよびBarbier,Clin.Microbiol.Rev.,8:34;1995)も、CtxAの代わりに使用でき、例えば、腸毒素Escherichia coli(Genbankアクセス#35581)の熱不安定トキシンのサブユニットA(EltAと本明細書で称する)、百日咳トキシンS1サブユニット(例 ptxS1、Genbankアクセス#AJ007364,AJ007363、AJ006159、AJ006157等)である;さらにこれとは別に、前記アジュバントは、Bordetella pertussis(ATCC#8467)、Bordedetella bronchiseptica(ATCC#7773)またはBordetella parapertussis(ATCC#15237)のアデニレートシクラーゼヘモライシン類のひとつであることができ、例えばB.pertussis(Genbankアクセス番号X14199)、B.parapertussis(Genbankアクセス番号AJ249835)またはB.bronchiseptica(Genbankアクセス番号Z37112)のcyaA遺伝子である。
免疫制御剤を発現するマイコバクテリウムベクター
さらに別のアプローチでは、免疫原およびサイトカインをコードする少なくとも1個のPNSを保有するマイコバクテリウムベクターの用途を包含し、それらを用いて、PNSがコードした免疫原マイコバクテリウムベクターに対する強化宿主応答を惹起する。これとは別に、サイトカインのみをコードするPNSを保有するマイコバクテリウムベクターを構築することもでき、免疫原をコードするPNSを保有する少なくとも1個の他のマイコバクテリウムベクターとそれらを混合し用いて、パートナーであるマイコバクテリウムベクターによって発現されたPNSがコードした免疫原類に対する宿主応答を高めることもできる。
マイコバクテリウムベクターによってコードされた特定のサイトカインは本発明にとって重大というわけではなく、インタロイキン−4(本明細書で“IL−4”と称する;GenBankアクセス番号AF352783(マウスIL−4)またはNM_000589(ヒトIL―4))、IL−5(GenBankアクセス番号NM_010558(マウスIL−5)またはNM_000879(ヒトIL−5))、IL−6(GenBankアクセス番号M20572(マウスIL−6)またはM29150(ヒトIL−6))、IL−10(GenBankアクセス番号NM_010548(マウスIL−10)またはAF418271(ヒトIL−10))、IL−12p40(GenBankアクセス番号NM_008352(マウスIL−12 p40)またはAY008847(ヒトIL−12 p40))、IL−12p70(GenBankアクセス番号NM_008351/NM_008352(マウスIL−12 p35/40)またはAF093065/AY008847(ヒトIL−12 p35/40))、TGFβ(GenBankアクセス番号NM_011577(マウスTGFβ1)またはM60316(ヒトTGFβ1))、およびTNFα GenBankアクセス番号X02611(マウスTNFα)またはM26331(ヒトTNFα))を含むが、それらに限定されない。
BCGゲノム中へPfo遺伝子をコードする遺伝子を導入するために用いた具体的方法は、本発明の重大な特性というわけではなく、当業者に周知の方法から選択することもできる(Parishほか、Microbiology、145:3497−3503;1999)。好適な方法では、Pfo遺伝子をureC座に対して標的化し、それによって、後者遺伝子の不活性化を起こし、修飾株選択のためのマーカーを新たに作製することを含む(Oadriほか、J Clinic Micro.20(6)、1198−1199;1984)。これを達成するため、下記の実施例の章で説明したプラスミドのような合成対立遺伝子交換プラスミドを修飾して、ureC遺伝子の5−プライムおよび3−プライム末端に隣接する1kbの配列類を運搬させることができる(Genome Database#Mb1881)。PfoA遺伝子(Genome Database#CPE0163)を次に、Ag85Bプロモータの制御下に前記の隣接配列の間に挿入する。PfoAタンパク質を分泌させるため、Ag85Bリーダーペプチド配列を天然のPfoAシグナル配列の代わりに用いて、組換えBCG株類から確実に効率的に分泌されるようにする。
対立遺伝子交換プラスミド類を標的BCG株類中に導入する方法は、本発明の重大な特徴というわけではなく、マイコバクテリウムのための標準的エレクトロポレーションプロトコールによって達成できる。同様に、対立遺伝子交換に影響を及ぼしかつPfo対立遺伝子をureC座に導入する方法は、本発明の重大な特徴というわけではなく、当業者に周知の方法から選択できる。図1に示したもののような自殺ベクターは好適な方法を提供するが、このプラスミドが、2個の抗生物質選択マーカー類を含み従って自然発生抗生物質耐性変異体選択を模倣するからである。対立遺伝子交換の間に、PfoA遺伝子セグメントが、左および右隣接配列類の相同組換えの結果としてureC遺伝子に置き換わり、それによってPfoAの安定な染色体組み込みと発現が結果として生じる。このアプローチの利点は、最終産物維持に抗生物質を全く必要としないことであり、および最終株中に抗生物質耐性遺伝子型すなわち表現型が全く存在しない。このことが、ヒトでの使用のための製品にとって好適な態様である(それらは、”抗生物質非含有”である)。UreC陰性表現型は、対立遺伝子交換を受けPfoAでureCを置き換えた株類をマークするだろうが、そのことは、UreC陽性表現型もまた、ある適用では使用可能であることを示す。
本発明において、BCGにおけるpfoAの位置はureCに限定されない。他の位置にはプラスミド中に組み込まれたpfoA、および染色体上のattB部位が含まれるが、それらに限定されない。当業者は、pfoA組み込みおよび発現のための潜在的部位である他の染色体位置をわかるだろう。
本発明はまた、結核に対して免疫応答を惹起する際の用途のためのワクチン調製物類を提供する。このワクチン調製物類は、本明細書で述べたとおり少なくとも1種のrBCG株と薬理学的に適切な担体を含む。ワクチンとしての用途のためのこのような組成物類の調製は当業者に周知である。通常は、このような組成物類は、液状溶液類または懸濁液類のいずれかとして調製するが、錠剤、丸剤、粉剤等のような固体形状もまた、検討される。液体中の溶液または懸濁液に適した固体形状も、また、投与前に調製することができる。前記調製物は、また、乳化することもできる。活性成分類を、薬理学的に許容できかつ活性成分類と両立できる賦形剤類と混合することもできる。適切な賦形剤類は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、ラフィノース、グリセロール、エタノール等またはそれらの配合物類である。さらに、前記組成物は、湿潤剤または懸濁化剤、pH緩衝剤等のような助剤も少量、含むことができる。さらに、前記組成物は、他のアジュバント類も含むことができる。
前記組成物の経口形態を投与することを望むならば、さまざまな粘稠剤類、芳香剤類、希釈剤類、懸濁化剤類、分散剤類または結合剤類等を添加することもできる。本発明の組成物は、投与に適した形状で前記組成物を提供するため、任意のこのような付加的成分類をも含むことができる。前記製剤類におけるrBCG菌の最終量は、変えることができる。しかし、一般的に、前記製剤類における量は、1−99%であろう。本発明のワクチン調製物類はさらに、アジュバントを含むことができ、その適切な例は、セピック(Seppic),クイルA(Quil A),アルハイドロゲル(Alhydrogel)等を含むが、それらに限定されない。さらに、本発明のワクチン調製物類は、単一タイプのrBCGを含むこともできる。これとは別に、2種以上のrBCGをワクチンで利用することもできる。
本発明はさらに、結核に対する免疫応答を惹起する方法類および結核に対して哺乳類をワクチン接種する方法類を提供する。免疫応答を惹起するとは、本発明のワクチン調製物を投与することが(1乃至1×10、好適には1×10、さらに好適には約1×10から約1×10の範囲にあり、最も好適には1×10を超える力価の)特異的抗体類の合成および/または細胞増殖を引き起こすことを意味しており、それは、例えば、Hチミジン取り込みによって測定する。前記方法では、本発明のrBCG株を薬理学的に許容できる担体中に含む組成物を哺乳類に投与することを含む。本発明のワクチン調製物類は、当業者に周知の多くの適切な手段のいずれかによって投与することができ、それらには、注射によって、経口投与、鼻腔投与、このrBCGを含む食製品の摂取によって等が含まれるがそれらに限定されない。好適な態様においては、投与様式は、皮下または筋肉内である。
[実施例]
下記の実施例は、本発明のさまざまな面を例示するためとみなすべきであり、本発明の実施に関して限定することを意図していない。当業者は、これらとは別の材料類、条件類、および操作に変化させることもでき、それら変形が、本明細書の教示として本発明の概括的範囲から逸脱することなく可能であることを認識するであろう。
TB免疫防御におけるMHCIクラス制限CD8T細胞の重要な役割が明らかになっている(Flynnほか、同上、1992)。CD8T細胞応答を改善しようとして、組換えrBCG株を遺伝子工学的に処理し、Listeria monocytogenesのリステリオライシンを発現させた。しかし、この組換えBCG(rBCG)はエンドソームエスケープのための高い能力を示すことができなかったので、例えば、MHCIクラス制限CD8細胞毒性T細胞応答誘導を高めない。検討してみると、前記株はエンドソームから1%未満のエスケープしか示していない。このことは、リステリオライシンの活性がpHに対して極めて高い感受性を備え、従って、この酵素がエンドソーム内部において前記pHで活性でないようであるので、驚くべきことではない。この欠点にもかかわらず、この組換え株の防御および安全性は、両者ともに顕著に改善された。この観察に基づき、我々は、Clostridium perfringens由来のPfoAG137QをBCG染色体に導入することによって、新しいrBCG株を構築した。PfoAG137Qは、137位においてGからQへのアミノ酸1個の変化を有している。このアミノ酸1個の変化の結果、哺乳類細胞において野生型PfoAの毒性が失われることになり、しかし、酵素は、そのエンドソーム溶解機能を保持したままである。結果として生成した株は、マウスモデルで安全かつ免疫性であることが明らかとなった。
材料類および方法類:全般
下記の章で述べた各実験のため、制限エンドヌクレアーゼ類(本文で、“REs”);New England Biolabs Beverly,MA)、T4 DNAリガーゼ(New England Biolabs Beverly,MA)、およびTaqポリメラーゼ(Life Technologies,Gaithersburg,MD)を製造業者の指示に従い用いた;プラスミドDNAは、小型(Qiagen Miniprepキット、Santa Clara、CA)または大型(Qiagen Maxiprepキット、Santa Clara、CA)プラスミドDNA精製キット類を製造業者のプロトコール(Qiagen、Santa Clara、CA)に従い用いて、調製した;ヌクレアーゼを含まない分子生物学等級のmilli−Q水、Tris−HCl(pH7.5)、EDTA pH8.0、1M MgCl,100%(v/v)エタノール、超純粋アガロース、およびアガロースゲル電気泳動緩衝液は、Life Technologies、Gaithersburg,MDから購入した。RE消化、PCRs、DNA連結反応およびアガロースゲル電気泳動は、周知の操作に従った(Sambrookほか、Molecular Cloning:A Laboratory Manual.1,2,3;1989);(Strausほか、Proc Natl Acad Sci USA、Mar;87(5):1889−93;1990)。下記の章で述べる各組換えプラスミドのDNA配列を検証するためのヌクレオチド配列決定は、従来の自動化DNA配列決定法によりApplied Bisystems自動化シークエンサー、モデル373Aを用いて完了した。
PCRプライマー類は、Sigma(St.Louis,MO)などの市販業者から購入するかまたはApplied BiosystemsDNAシンセサイザー(モデル373A)を用いて合成した。PCRプライマー類は、濃度150−250μMで使用し、PCR反応のためのアニーリング温度は、Clone マネジャーソフトウェアバージョン4.1(Scientific and Educational Software Inc.,Durham,NC)を用いて決定した。PCRは、Strategene Robocycler、モデル400880(Strategene,La Jolla、CA)で行った。増幅のためのPCRプライマー類は、Clone Managerソフトウェアバージョン4.1(Scientific and Educational Software Inc.,Durham,NC)を用いて、作製した。このソフトウェアは、PCRプライマー類の設計ができ、操作しようとしている具体的DNA断片類と両立できるRE部位を同定する。PCRは、Strategene Robocycler、モデル400880(Strategene)などのサーモサイクラー中で行い、PCRにおけるプライマーアニーリング、伸長および変性は、標準操作に従って設定した(Strausほか、同上1990)。RE消化およびPCRは、標準操作を用いてアガロースゲル電気泳動によって、その後分析した(Strausほか、同上1990;およびSambrookほか、同上1989)。陽性クローンは、適切なREパターンおよび/またはPCRパターンを示すものと定義する。この操作により同定したプラスミド類は、さらに、上に述べたとおり標準的DNA配列決定操作を用いて評価した。
DH5αおよびSable2などの大腸菌株類は、Life Technologies(Gaithersburg,MD)から購入し、下記の実施例に述べた組み換えプラスミド類の最初の宿主として作用させる。組み換えプラスミド類は、ジーンパルサー(Gene Pulser)(BioRad Laboratories,Hercules,CA)などの高電圧電気パルス装置を周知のとおり(Strausほか、同上、1990)100−200Ω、15−25μFおよび1.0−2.5kVに設定し、これを用いるエレクロポレーションにより大腸菌株類中に導入する。最適エレクトロポレーション条件は、最大形質転換速度/DNA meg/菌をもたらす設定を定めることによって、同定する。
菌株類は、トリプチックソーイ寒天(Difco、Detroit,MI)またはトリプチックソーイ培地(Difco,Detroit、MI)で増殖させ、製造業者の指示に従い、調製する。特に断りがなければ、全ての菌は、静かに攪拌しながら5%CO(v/v)中37℃で増殖させる。適している場合には、前記培地に抗生物質類(Sigma,St.Louis、MO)を添加する。菌株類は、30%(v/v)グリセロール(Sigma,St.Louis,MO)含有(Difco)中におよそ10コロニー形成単位(本文で“cfu”と称する)/mlで懸濁させ、‐80℃で保存する。
BCGにおける対立遺伝子交換
先行技術では、マイコバクテリウム株類に改変対立遺伝子類を導入する方法を教示しており、当業者は、このような方法を理解しかつ実行できるだろう(Parishほか、Microbiology 146:1969−1975;2000)。対立遺伝子交換プラスミドを調製するための新しい方法では、合成DNAを用いることを含む。この手法の利点はといえば、調製プラスミドが極めて明らかな調製の経緯を有しており政府規制に沿ったコンプライアンスを有していることであろう。一方これまでに用いられてきた方法は効果的ではあるが、ラボでの培養記録記載は満足のいくものではなく、したがって米連邦規則に適合しているとはいえないであろう。上記規制へのコンプライアンスは、もしヒトでの使用のために製品のライセンスを米国および欧州政府当局から取得しようとするならば、必須である。
マイコバクテリウムにおける対立遺伝子交換のための自殺ベクターは、大腸菌で置き換わる能力を有しているがM.tbのようなマイコバクテリウム種およびBCGにおいて複製できないプラスミドである。本発明における対立遺伝子交換操作における用途のための特異的自殺ベクターは、学界(Parishほか、同上、2000)および市販業者から取得できるものから選択できる。対立遺伝子交換のための自殺プラスミドの好適な設計を図1に示した。このプラスミドは、下記のDNAセグメントから構成されている:大腸菌中での複製のためのプラスミド用oriE配列(GenBankアクセス番号#L09137)、大腸菌およびマイコバクテリウム両者における選択のためのカナマイシン耐性配列(GenBankアクセス番号 #AAM97345)、および追加の抗生物質選択マーカー(例 マイコバクテリウムプロモータ(例 hsp60プロモータ)の制御下にあるだろうゼオシン耐性遺伝子(GenBankアクセス番号#AAU06610))。第二の抗生物質選択マーカーは必須というわけではないが、対立遺伝子交換プロセスにおいて自然発生カナマイシン耐性単離物の過剰増殖を防止するための二重選択を可能とするために含ませる。
このような自殺ベクター類の構築は、本明細書に述べたような標準的組み換えDNA手法を用いて、行うことができる。しかし、現在の規制基準(例えば、米連邦規則)では、BSE感染物を含むウシ製品に暴露したものから得たプリオン粒子を導入してしまうという恐ろしい問題が生じている。したがって、物質(例 DNA配列類)を起源が不明の標的株に導入してしまうのを避けるため、自殺ベクター中の全てのDNAが市販業者(例 Picoscript社)により合成されることが望ましい。したがって、自殺ベクターを構築するための好適な方法は、DNAソフトウェア(例 Clone Manager)を用いてDNA配列計画を立て、その後、サービスの都度随時費用が発生する方式でこのようなサービスを行う商業的業者(例 Picoscript社)によりDNAを合成してもらうことである。この方法を用いて、下記の実施例で用いた自殺ベクターを設計作製した。
上に述べた構造の自殺ベクター(図1)は2種の抗生物質選択マーカー類を含み従って1種の抗生物質に耐性を示す自然発生変異体選択を最小とするなどの利点を有している。こうした選択は、1世代あたり約1/10で起こる。2種の抗生物質に対する自然発生的耐性は非常にまれで、1世代あたり約1/1016でしか起こらない。したがって、対立遺伝子交換操作実施に用いた培養物中における二重耐性株の発生確率は、1/10未満である。
対立遺伝子交換プロセス時における陰性選択のため、ショ糖感受性表現型を付与するsacB遺伝子(Genebankアクセス#NT01BS4354)を含ませ、最終DNA組み換え段階を受けた株類の培養物を濃厚にし、対立遺伝子交換を完了した。
マイコバクテリウムの培養
選択したBCG株類は、Middlebrook7H9またはSaulton Synthetic Mediumのような液体培地中で好適には37℃において培養する。前記株類は、静止または攪拌培養物として維持できる。さらに、BCGの増殖速度は、オレイン酸添加(0.06%v/v;Research Diagnostics カタログ番号01257)およびTyloxapolのような界面活性剤類の添加(0.05%v/v;Research Diagnosticsカタログ番号70400)によって高めることができる。BCG培養物の純度は、リン酸緩衝生理食塩水(PBSと称する)中で系列希釈(例えば、原液〜10−8の10段階)したBCG培養物のアリコット100mclを、25−30mlのMiddlebrook 7H10のような固体培地を含む3.5インチのプレート上に均等に塗擦することによって、評価できる。さらに、前記培養物の純度は、チオグリケート培地(Science Lab、カタログ番号1891)およびダイズ−カシン培地(BD、カタログ番号211768)などの市販培地を用いて、評価できる。
BCG種ロットは、密度0.1−2×10cfu/mlで−80℃で保存する。通常は、前記液体培養物を、無菌対照に対して光学密度(600nm)0.2−4.0で採取する;培養物を適当な大きさの遠心管中に入れ、菌を8、000×gで5−10分間遠心する。上清を捨て、菌を10−30%(v/v)グリセロールを含むMiddlebrook 7H9保存溶液中に再度、密度0.1−2×10cfu/mlで懸濁させる。これらの懸濁液を、アリコット1mlとして無菌の1.5mlボロンシリケートフリーザーバイアルに入れ、−80℃で置いておく。
エンドソームエスケープ可能なrBCG−PfoA株類の構築
エンドソームエスケープ可能なrBCG−PfoA株類の構築は、ureC遺伝子の隣接領域の対立遺伝子交換によって実施した。結果として、PfoA遺伝子セグメントはureC遺伝子に置き換わり、PfoAの安定な染色体発現が可能となった。具体的詳細は下記に述べる。
対立遺伝子交換プラスミドの構築
対立遺伝子交換プラスミドは、下記のDNAセグメント類から構成されている:大腸菌中でプラスミドが複製するためのoriE配列、大腸菌およびマイコバクテリウムの両者において選択するためのカナマイシン耐性遺伝子、およびHsp60プロモータによって発現される付加的抗生物質選択マーカー(ゼオシン耐性遺伝子)。第2のマーカーを用いて二重選択を行い、従って、このプロセスにおいてカナマイシン自然耐性を防止する。対立遺伝子交換プロセスにおいて陰性選択のため、ショ糖感受性遺伝子を用いた。最後に、標的BCG Danish1331株のためのureC遺伝子の1kb左および右隣接配列類を、PfoA遺伝子とともにその間に含めた。PfoA遺伝子は、Ag85Bプロモータの制御下に発現する。Ag85Bリーダーペプチド配列をPfoAオリジナル分泌シグナル配列の代わりにPfoA分泌のために用いた。最後に、これらの成分類全てを、Picoscript Inc(Houston,TX)により合成し組み立てた。生成したプラスミドはマイコバクテリウム自殺ベクターで、得られたプラスミドについてそのマップを図1に示した。生成したプラスミド構築体を、図5で示したものであると確認した。
Mycobacterium bovis BCG Danish1331株中への対立遺伝子交換プラスミド導入
対立遺伝子交換プロセスを図4に概略示し、本操作の主要段階を概略示している。それらの段階について、詳細に説明する。
BCG Danish1331は、10%OADC(オレイン酸―アルブミン−デキストロース−カタラーゼ)(BD Gibco)および0.05%(v/v)Tyloxapol(Research and Diagnostic Lab)を添加した7H9培地で培養した。培養物がlog相に到達した時、菌を採取しエレクトロポレーションについて先に述べたと同じく調製した(Sunら、2004)。対立遺伝子交換プラスミド5μgを、標準的方法を用いて、調製したばかりのエレクトロコンピタント細胞中に導入した。
上記で構築した対立遺伝子交換プラスミドを、マイコバクテリウムのための標準的マイコバクテリウムエレクトロポレーションプロトコールによってM.bovis BCG Danish1331株に導入した。エレクトロポレーション後、細胞を、10%OADCおよび0.05%(v/v)Tyloxapolを添加した7H9培地中で一晩培養した。次に細胞を、カナマイシンおよびゼオシンを両者ともに50μg/mlで含む7H10プレート上に接種した。生成したコロニーを摘み上げ、10%(v/v)ショ糖を含む7H9培地中で培養した。得られた培養物を、クローニング用7H10プレート上に接種し、それぞれのコロニーを得て、それらは、ureCの代わりにPfoA遺伝子の存在について同定識別した。この操作の主要段階を概説したフローチャートを、図4に示し、表1は、自殺ベクターpAF102を説明し、それも同様に図1に示してある。
Figure 0005713523
実施例1は、マイコバクテリウムBCG株を遺伝子工学処理して、中性pHで活性の選択したエンドソーム溶解性タンパク質を発現させ、エンドソームから細胞の細胞質へのマイコバクテリウムのエスケープを可能としたことを示している。
rBCG−PfoA株の証明
実施例2のための材料類および方法類
マイコバクテリウムの培養
下記の実験のため、BCG株類を、10%OADC添加Middlebrook 7H9培地(BD biosciences)中37℃で培養した。Tyloxapol(0.05%v/v、Research Diagnostics,カタログ番号70400)を用いて、菌を分散させた。増殖を異なる株間で比較する実験において、接種後異なる時点で光学密度(600nm)を測定した。カナマイシンに対する感受性を試験するため、培養物を調製し増殖を上記のように測定したが、ただし、カナマイシンを最終濃度50μg/mlで添加した。固体培地を用いて菌を培養する時、Middlebrook 7H10寒天(BD biosciences)を用いた。適切である時には、カナマイシンを最終濃度50μg/mlで添加し、ショ糖を最終濃度3%で添加した。
ウレアーゼ活性試験
実施例1に述べたショ糖プレートから生成したコロニーを最初に、ウレアーゼ活性欠損について、ウレアーゼ試験キット(BD Difico)を用いて製造業者の指示に従いスクリーニングした。簡単に述べると、1ループの菌を透明試験管中の製造業者供給試験緩衝液中に再懸濁させた。BCG Danish1331株をウレアーゼ陽性コントロールとして用いた。緩衝液単独は、陰性コントロールとして用いた。反応混合物を室温で30分間、インキュベーションし、結果を、製造業者の指示に従い判定した。
ΔureC:pfoAを保有するrBCG株類の遺伝子型の分析
フォワードプライマー〔acggctaccgtctggacat〕(配列番号4)およびリバースプライマー〔cgatggcttcttcgatgc〕(配列番号5)によるPCRを行い、Pfo特異的挿入対立遺伝子のDNA配列とureC遺伝子に隣接するBCGゲノムDNA配列類を増幅した。PCRパラメータは下記のようであった:段階1:95℃で4分間を1サイクル;段階2:95℃で1分間、60℃で1分間、およびその後72℃で1分間を総計30サイクル;段階3:72℃で10分間を1サイクル;段階4:4℃で保存。生成したPCR生成物はアガロースゲル電気泳動で分析し、自動化ジデオキシヌクレオチド配列決定法により配列を決定し、ureC遺伝子の代わり全長PfoA遺伝子の存在(すなわち、ΔureC::PfoA)を確認した。
マクロファージ中におけるAFV102の増殖
rBCG AFV102株のインサイチュにおける増殖を、感染マクロファージ中におけるマイコバクテリウムコロニー形成単位(CFU)を定量することによって、J774A.1マクロファージ様細胞中で試験した。マイコバクテリウム貪食の効果は、J774A.1細胞の感染3時間後、細胞内CFUを試験することによって、決定した。その後の長期細胞内生存は、先行文献にも説明されているとおり(Sunほか、2004)PBSで5回洗浄後、細胞を溶解させ細胞内菌を放出させ、CFUを計数することによって実行した。
AFV102による発現Pfoの溶血活性の分析
AFV102によるPfoAの分泌を評価するため、本株を上記のように、対数相中期になるまで増殖させた。次に、培養上清と菌を採取した。AFV102菌ペレットを、96ウェルのV底プレート中0.1%BSA含有PBS(pH7.0)100μl中に再懸濁させた。PfoAタンパク質が培養上清に分泌されたかどうかを試験するため、液体培養物を回転して落とし、この上清を試験に用いた。発現PfoAをそのpH非依存性溶血活性について試験するため、サンプルを上記のように調製したが、ただし、反応緩衝液として異なるpH値のPBS緩衝液を用いた。1%洗浄ヒツジ赤血球100μlを各ウェルに添加した。反応物をゆっくりと混合し、37℃で1時間、攪拌しながらインキュベーションした。BCG Danish1331株の菌を、溶血陰性コントロールとして用いた。ヘモライシン活性が公知単位となっているα−ヘモライシン(Sigma)を、溶血陽性コントロールとして系列希釈して用いた。インキュベーション終了時点で、反応物を500gで15分間遠心しペレットとし、次に、V底プレートからの上清を平底96ウェルプレートの同じ位置に移し、光学密度を測定した(450nmの吸光度マイナス540nmにおける吸光度)。PfoA分子の溶血活性は、赤血球溶解後の色変化の光学密度を測定することによって、定量した。測定した色の強度は、赤血球溶解量に比例しており、それは、ヘモライシンの量に比例することになる。公知標準を用いることで、サンプルの値を標準曲線で読み取る。溶血単位は、ヒツジ赤血球の50%が溶解したサンプル希釈度として定義した。
AFV102のマクロファージに対する細胞毒性:
組換え株のJ774A.1マクロファージ(ATCC番号A TIB−67)の細胞毒性を、“Cell Titer 96 Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay”キット(Promega,カタログ番号G3580)を製造業者の指示に従い用いて、感染細胞から放出された乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)を測定することによって、求めた。簡単に述べると、細胞にAFV102菌を感染多重度10で感染させた。感染後異なる時点で、上清について細胞から放出されたLDH量を測定し、それを、BCG Danish 1331株の値と比較した。非感染正常細胞は、陰性コントロールとして用いた。生細胞の百分率は、陰性コントロール細胞(100%細胞生存)から放出されたLDH量に対する感染細胞からのそれに基づいて、計算した。
実施例2の結果
AFV102構築:
AFV102構築時において、ノックアウトプラスミドとの相同DNAセグメントの対立遺伝子交換によりその染色体上に全ノックアウトプラスミドを保有している選択メロジプロイド菌を、ショ糖含有Middlebrook 7H10プレート上で培養し、最終的な対立遺伝子交換を行い、ureC遺伝子をPfoA発現カセットにより置き換えた。ショ糖プレート上で産生されたコロニーのうち、コロニー1個Pfo−105−5(AFV102と再度命名)がウレアーゼ陰性で、このことは、ureC遺伝子がPfoA発現カセットにより置き換えられたことを示唆している。この菌コロニーをさらにPCRにより、ΔureC::ΩpfoA遺伝子型について遺伝子型分析に供した。生成したPCR反応物を、1.2%アガロースゲル上でゲル電気泳動により分析し、その結果を図6に示した。明らかであろうが、この菌をテンプレートとして用いたPCRにより、予測した大きさのPCR産物が産生され、それは、親BCG Danish1331株のそれよりも大きい。ΔureC::ΩpfoA遺伝子型についてDNAバンドについて予測した大きさは、2180bpsであり、親BCG Danish1331株についての大きさは、1967bpsである。コロニー105−5についてのPCR産物をさらにゲルで精製し、Johns Hopkins University(Baltimore,MD)の市販配列決定機器で配列を決定した。配列決定結果は、このコロニーが予測したΔureC::ΩpfoA遺伝子型を有していることを明らかに示した。さらに、AFV102株由来のカナマイシン遺伝子およびsacB遺伝子を増幅することを目的としたPCRは、いかなるPCR産物も産生できなかった(データを示さず)。これらの知見は、AFV102が最終的対立遺伝子交換段階を受けたこと、そして所望のΔureC::ΩpfoA遺伝子型を有していることを示唆している。
AFV102についての増殖特性解析とカナマイシン感受性:
ウレアーゼ活性試験と遺伝子型決定結果に基づき、クローン105−5(AV102と再度命名)が、予測した表現型と所望のΔureC::ΩpfoA遺伝子型を示した。AFV102をさらに、親BCG Danish1331株と比較して7H9増殖培地で増殖する能力について試験した。結果を図7に示した。明らかであるように、AFV102構築体は、7H9増殖培地中で親株と非常に類似した増殖曲線を有している。さらに、カナマイシン存在下において、AFV102増殖は、親BCG Danish1331株と同程度に低下し、このことは、予測したとおり、それがカナマイシンに対して同様の感受性を有していることを示唆している。
AFV102の細胞毒性:
PfoAタンパク質における1個のアミノ酸置換(コドン137のGlyをコードするggaからのGlnをコードするcagへの置換変異)の結果、哺乳類細胞に対する毒性が消失した。しかしながら、前記タンパク質は、小胞から菌エスケープを媒介する能力を保持したままである(Portnoy同上、1996)。AFV102から発現したタンパク質の毒性は、J7741A細胞にAFV102菌を感染させることによって評価した。感染後異なる時点で非感染正常細胞コントロールと比較すると、AFV102は、現在使用されているBCG Danish1331ワクチン株よりも優れた有意な細胞死を起こすことはなかった(図8)。
肺胞マクロファージ細胞株中における生存:
前記構築体がマクロファージ内部で生存できるかどうかを調べるため、対数相中期の培養物を用いて、J774A.1肺胞マクロファージに感染させた。細胞は、1:1の感染多重度(MOI)で感染させた。マイコバクテリウムの細胞内生存を、感染後さまざまな時点で菌をプレート計数し、モニタリングした。図9からわかるように、AFV102構築体は、親株のそれと同様の持続的表現型を示し、このことは、J774A.1細胞中においてこの構築体の細胞内生存に全く傷害がないことを示している。
AFV102によるPfoAタンパク質の分泌:
AFV102構築体を含む菌によるPfoAタンパク質の分泌は、BCG Danish1331株と比較して溶血活性が増強されているか、菌培養上清を測定することによって、試験した。AFV102およびBCG Danish1331株両者の培養上清を、同一光学密度で採取し、それらの赤血球溶解能力を比較した。結果を図10に示した。これまでの報告と同じく、BCG培養上清は、増殖時における菌放出代謝物の結果として溶血活性が基準値レベルを示し、それが赤血球溶解を起こすことになるだろう(Grodeほか、Journal of Clinical Investigation,115:2472−2479;2005)。対比して、AFV102培養上清は、BCG Danish1331株と比較して有意に高いレベルの溶血活性を示し、それは、培養上清中PfoA分子の分泌と一致していた。さらに、PfoAのpH非依存性溶血活性をさらに試験し、pH5.5と7.0の両者で比較し、結果を図10に示した。この図から理解されるとおり、AFV102由来上清は、pH5.5と7.0の両者で同様の溶血能力を有しており、このことは、pfoAタンパク質によって分泌された溶血活性が予測どおりpH非依存性であることを示唆している。
実施例2は、構築株が予測した生物活性を有していること、およびこの株が産生したPfoが分泌されpH非依存性の活性を有していることを示している。
rBCG−PfoAエンドソームエスケープおよび動物免疫試験
マイコバクテリウム病原体の中心的パラダイムは食細胞成熟の停止である。ArmstrongおよびHart(1971)は、M.tuberculosis食細胞がフェリチン標識リソソームと混合しないことを確立し、そのことは、食細胞−リソソーム融合阻害と称されている。ワクチン株M.bovis(BCG)はまた、食細胞コンパートメント中に存在していることが見出され、このコンパートメントは、末端エンドサイトーシスオルガネラから隔離されている(Clemens and Horwitz,1995;Hasanほか、1997;Viaほか、1997)。ClemensおよびHowitz(1995)は、マイコバクテリウム食細胞が形質膜上のものと同等の密度でトランスフェリンレセプター(TfR)を持続的に染色することを見出した。トランスフェリンレセプターは、一般的に、エンドソームから迅速に除去され(半減期t1/2は分単位)、形質膜に再度運ばれる;しかし、マイコバクテリウム食細胞中において、このプロセスが停止し、食細胞がトランスフェリンレセプターを含有するだろう。発明者らがマイコバクテリアを含む食細胞を可視化できたのは、この現象による。食細胞をトランスフェリンレセプターに対する抗体で染色した。同時に、このマイコバクテリアを、食細胞内部にいったん入った後の菌のその後を可視的にモニタリング可能とする蛍光色素により染色した。結果は、rBCG−Pfo構築体が細胞感染後、エンドソームエスケープができるようになったことを明らかに示している。
エンドソームエスケープ試験のための材料および方法:
菌および細胞:BCG Danish1331およびrBCG−ΔureC::ΩpfoAG137Q(AFV102)を、10%(v/v)OADCおよび0.05%(v/v)Tyloxapol(を増殖培地に)添加した7H9培地中でOD600が約0.8−1.0になるまで増殖させた。感染後、菌体をPBS中Alexa Flour568スクシンイミジルエステル(Molecular Probes、Eugene,OR)で製造業者の指示に従い、室温で1−1.5時間標識した。この色素は、菌表面上のタンパク質に局在する一級アミン類に対して非常に安定なアミド結合を形成する。簡単に述べると、菌培養物10mlをペレットとし、PBS中0.625μg/mlのAlexa Flour568 25mL中に再懸濁させ、室温で1−1.5時間インキュベーシンし、菌を標識した。標識した菌体を次にPBSで3回洗浄、7H9増殖培地中に再懸濁後、冷蔵庫で一晩保存した。J774A.1細胞は、文献既出のとおり(Sunほか、2004)、ヒトフィブロネクチン塗布カバースリップを有する6ウェル細胞培養プレート中DMEM培地中で培養した。細胞を3×10細胞/ウェルの密度で塗布し、5%COおよび湿度を有する37℃のインキュベーター中で2日間、培養した。感染中標識菌はペレット化し、DMEM+10%FBS培地中に再懸濁させ、各細胞について感染多重度(MOI)10でJ774A.1に直接添加した。20分、8時間および24時間後、細胞を室温(RT)でリン酸緩衝生理食塩水(PBS,pH7.2)により洗浄した。細胞を次に、RTでPBS(pH7.2)中2%パラホルムアルデヒドで20分間、固定した。固定細胞を次に、PBS(pH7.2)中0.1%Triton X−100でRTにおいて10分間、透析し、次に、PBS(pH7.2)で2回洗浄した。RTで少なくとも2時間ブロッキングを行うかまたは4℃でPBS(pH7.2)中3%ウシ血清アルブミン(BSA)、5%健常ヤギ血清(NGS)および0.5%アジ化ナトリウムにより一晩、ブロッキングを行った。ブロッキング緩衝液を除去後、ラット抗マウストラスフェリンレセプター−FITC(US Biological,Swampscott,MA)を、1%BSA,3%NGSおよび0.5%アジ化ナトリウム含有PBS(pH7.2)による1:50希釈で添加し、その後、RTで少なくとも1時間、インキュベーションした。細胞を次にPBSで2−3回洗浄し、ガラススライド上のヴェクトシールド(vectsheild)マウンティングメディアにより載せた。分析は、Retiga EXI Monoを付属させたNikon TE2000倒立顕微鏡、12ビット冷却IRフィルター付きデジタルカメラを用いて、倍率1500倍でイメージングを行った。
結果:
顕微鏡で調べると、BCGおよびrBCG−PfoA菌の両者ともに感染15分後に宿主細胞によって取り入れられたことがわかった。しかし、感染8時間後において、BCG菌と対比してrBCG−PfoA菌がエンドソーム外部で観察され、それらは、ほとんどが宿主食細胞内部に局在していることがわかった。これらの結果を図11A−Dに概略示したが、それらは、マクロファージの菌侵入(図11A)、エンドソーム内部におけるBCGの持続(図11B)、初期エンドソーム内部におけるAFV102菌(図11C)および、組換えPfoAの分泌によるエンドソームからのAFV102菌の細胞の細胞質へのエスケープ(図11D)を示している。菌の計数は、138個中100個(72%)のAFV102が感染後8時間でエンドソームをエスケープし、一方、100個中29個(26%)のBCGが食細胞をエスケープしたことを示していた。感染サンプル24時間後において菌を調べ、同様の結果が得られた。この知見は、PfoA発現が、食細胞からのAFV102放出を増加させることを示している。
さらにこの結果は、pH感受性色素を用いて上記と同様の実験設定と操作によりエンドソームおよびリソソーム(Lysotracker−Red,Molecular Probes,catalog number L−7528)を標識する異なるシステムを用いて、確認した。菌は、波長放出568で可視化し、一方、食細胞は、波長放出488で可視化した。この結果は、上記観察と矛盾していなかった。
実施例3は、組換え株AFV102がエンドソームをエスケープでき、一方、BCG株はエンドソームエスケープ効率がはるかに低いことを示している。したがって、株AFV102は、BCGよりも組織適合Iクラス免疫応答を惹起する可能性が高く、ワクチン適用で有用であろう。
実施例3のための参考文献
Armstrong J,Hart PD.1971.Response of cultured macrophages to Mycobacterium tuberculosis,with observations on fusion of lysosomes with phagosomes.(マイコバクテリウム・チューバキュローシスに対する培養マクロファージの応答ならびに食細胞とリソソームの融合についての観察)J.Exp.Med.134:713−40.
Mycobacterium tuberculosis and Legionella pneumophila phagosomes exhibit arrested maturation despite acquisition of Rab7[マイコバクテリウム・チューバキュローシス(Mycobacterium tuberculosis)およびレジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)食細胞は、Rab7取得にもかかわらず、停止成熟を示す]。 Infect Immun.68(9):5154−66.Hasan Z,Schlax C,Kuhn L,Lefkovits I,Young D,Thole J,Pieters J.1997.
Isolation and characterization of the mycobacterial phagosome;segregation from the endosomal/lysosomal pathway(マイコバクテリウム食細胞の単離と特性解析;エンドソーム/リソソーム経路からの分離).Mol Microbiol 25(2):427 Via LE,Deretic D,Ulmer RJ,Hibler NS,Huber LA,Deretic V.
Arrest of mycobacterial phagosome maturation is caused by a block in vesicle fusion between stages controlled by rab5 and rab7(マイコバクテリウム食細胞成熟の停止がrab5およびrab7により制御される段階の間の小胞融合ブロックにより引き起こされる).J Biol Chem.1997.272(20):13326−31.
Sun R,Converse PJ,Ko C,Tyagi S,Morrison NE,Bishai WR.2004.Mycobacterium tuberculosis ECF sigma factor sigC is required for lethality in mice and for the conditional expression of a defined gene set.(Mycobacterium tuberculosis ECFシグマファクターsigCがマウス致死および規定の遺伝子セットの条件付発現のために必要である。)Mol Microbiol.52(1):25−38
処方およびワクチン戦略
ワクチン処方の戦略は、製造プロセス全てにおいて、最大の生存度と安定性を求めるための研究に基づいて、作成する。これには、マイコバクテリウム菌の培養のために一般的に用いられるさまざまな培地を利用した培養時において、最大菌生存度(生きているか死んでいるか)を調べることが含まれ、培養には、グリセロール、糖類、アミノ酸類、および界面活性剤類または塩類の添加を含む。培養後、遠心分離または接線フローろ過により培養細胞を採取した後、凍結または凍結乾燥プロセスにおいて細胞を保護できる安定化培地に再懸濁する。一般的に用いられる安定化剤には、グルタミン酸ナトリウム、またはアミノ酸またはアミノ酸誘導体類、グリセロール、糖類または一般的に使用される塩類が挙げられる。最終処方は、筋肉内、経皮注入、潅流または経口投与により運搬されるだけの十分な生存菌を提供し、それらは、維持のための十分な安定性と市販および使用のための適切な保存期間を有しているだろう。
TBワクチン類の前臨床評価
一般的安全性試験
1群6匹のBALB/cマウスを、問題のrBCG株(類)および同族の親株類2×10CFUで腹腔内感染させる。感染後14日間、前記動物を全身健康と体重についてモニタリングする。BCGおよびrBCG株類を投与した動物は健康のままであり、観察期間中体重減少を起こすこともなく、あるいは病気の明らかな症状も示さない。
免疫能力を有するマウスにおける新規rBCG株類の毒性
BALB/cマウス15匹を1群とし、これらに静注でそれぞれrBCGおよびBCG親株 2×10CFUを感染させる。感染第1日において、各群のマウス3匹を屠殺し、脾臓、肺および肝臓におけるCFUを分析し、各動物が同等の感染量であるようにする。感染後第4、8、12および16週において、各群のマウス3匹を屠殺し、脾臓、肝臓および肺におけるCFUを得て、親BCG株と比較してrBCG株類のインビボ増殖を評価する。
免疫妥協マウスにおける厳密な安全試験
各群10匹としてSCID(重症複合免疫不全症)を有する免疫妥協マウスに、静注でそれぞれrBCGおよびBCG親株 2×10cfuを感染させる。感染後第1日において、各群のマウス3匹を屠殺し、脾臓、肝臓および肺におけるcfuを分析し、接種用量を確認する。各群7匹の残りの動物は、全身状態および体重をモニタリングする。これらのマウスの生存を追跡し、全観察期間において親株感染動物とrBCG感染マウスの生存を比較する。
モルモット安全性試験
rBCG株類の安全性をまた、ヒトにおける十分に確立された安全性を有している親BCGワクチンと比較しモルモットモデルで評価する。最初に、動物の全般健康状態に及ぼすワクチンの効果を検討するが、それには、体重も含める。モルモットは、組み換えおよび親株類を10(ワクチン用量の100倍)CFUだけ筋肉注射で免疫し、6週間、全般健康状態と体重をモニタリングする。この6週間という期間の前に死亡した動物については、死後検査も行う。感染後6週間の期間が終わった時点で、動物は全て屠殺し、総合病理検査を行う。この試験中確認すると体重減少および異常行動は全くなく、この6週時剖検において全ての臓器は正常のように見え、rBCG−PfoAワクチンについて、全く健康に対する悪影響が見られず、しかも、親株を接種した動物に比較してrBCG−PfoAワクチン接種動物は、正常速度で動物が体重を増やしている。
同時に、動物臓器における細菌レベルをモニタリングする。親または組み換えワクチンのいずれかで免疫したモルモットを、接種後さまざまな時点で安楽死させ、その後、肺、脾臓および局所(鼠径部)リンパ節について、BCGまたはrBCGのCFUをアッセイする。
毒性試験
rBCG株類の毒性を評価するため、(各群12匹の)モルモットを、それぞれ、ヒト用rBCG株類、BCG親株または生理食塩水の単回投与量よりも4倍の1回投与量または4分の1の1回投与量で、筋肉内投与によりワクチン接種する。ワクチン後第3日において、動物6匹を屠殺し、これらの動物に及ぼすワクチンの急性効果を評価する。ワクチン後第28日において、残りの動物6匹を屠殺し、動物に及ぼす慢性効果を評価する。両方の時点で各動物の体重を調べ、全般病理状態と注射部位の様子を調べる。血液を採取し、血液検査を行い、内臓および注射部位の組織病理を調べる。
マウス防御研究
1群13匹としたC57Bl/6マウス(雌性、5−6週齢)を、皮下から10CFUのrBCG、親BCGまたは生理食塩水で免疫する。別のマウス群は、健常対照として使用する。免疫後8週時点で、マウスに対して、M.tb Erdman株(または、H37Rv Kan耐性株)を総計10CFU含む10mlの単細胞懸濁液から作製したエアゾールとして、このチャレンジ株によりチャレンジするが、この量は、文献に既出のとおり(Brodinほか、J Infect Dis.190(1):115−122;2004)各動物の肺におよそ100個の生きている菌を伝播する。チャレンジしていない動物とともに、実験動物の生存をモニタリングする。チャレンジ後、体重減少と全般健康状態についても動物をモニタリングする。チャレンジ後第1日において、各群3匹のマウスを屠殺し、肺におけるCFUを調べ、チャレンジ用量を確認し、動物1匹は、脾臓および肺の組織病理検査のために屠殺する。チャレンジ後第5週において、各群の動物9匹を屠殺し、動物の組織病理検査と顕微鏡検査を行う。マウス6匹の肺と脾臓組織を、CFU計測のために評価する(選択サプリメントを有するプレートを用いて、チャレンジ株からワクチン株を識別する)。もしH37Rv−kan耐性株でチャレンジするならば、KanまたはTCH(チオフェン−2−カルボン酸ヒドラジド)を用いてワクチン株からチャレンジ株を識別する。もしM.tb Erdman株をチャレンジに使用するならば、TCHを用いてチャレンジ株からワクチン株を識別する(BCGは感受性であるが、M.tbは本来耐性である)。
皮膚遅延型過敏症(DTH)の誘導
SPFモルモットを、rBCGまたは親BCG株10により筋肉注射で免疫する。免疫後9週で、動物背部の毛を剃り、リン酸緩衝生理食塩水100μl中PPD(タンパク質精製誘導体)10μgを筋肉注射する。24時間後、硬い硬変部の直径(DTH)を測定する。rBCG株は、親BCG株類で誘導したものに等しいかそれよりも大きいDTHを誘発する。
モルモットチャレンジ研究
M.tbチャレンジに対してのrBCGワクチン類の有効性を調べるため、各群12匹のモルモット(若い成熟SPFハートレイ(Hartley)、250−300グラム、雄性)を、それぞれ、rBCG、親BCG株または生理食塩水で免疫する。ワクチン類および対照は、10cfuを筋肉注射で投与する。免疫後10週時点で、rBCG免疫動物、BCG免疫動物および偽免疫動物に対して、M.tbを総計10CFU含む10mlの単細胞懸濁液から作製したエアゾールでチャレンジする;この操作では、文献に既出のとおり(Brodinほか、2004)各動物の肺に約100個の生きている菌を伝播する。チャレンジ後、ワクチン接種していない未チャレンジの健常群とともに、動物の生存、体重減少および全般健康状態をモニタリングする。各群から6匹のマウスをチャレンジ後第10週で屠殺し、各群中残りの6匹は、チャレンジ後第70週で長期評価のため屠殺した。両方の時点において、動物の組織病理検査と顕微鏡検査を行う。肺および脾臓組織を、組織病理検査とCFU計測のために評価する(選択サプリメントを有するプレートを用いて、チャレンジ株からワクチン株を識別する)。もしH37Rv−kan耐性株でチャレンジするならば、KanまたはTCHを用いてワクチン株からチャレンジ株を識別する。もしM.tb Erdman株をチャレンジに使用するならば、TCHを用いてチャレンジ株からワクチン株を識別する(BCGは感受性であるが、M.tbは本来耐性である)。チャレンジ後偽免疫動物が最も早く死亡し、一方、rBCG免疫動物がBCG親株免疫動物よりも長く生存すれば、チャレンジ研究が成功したことになる。
霊長類安全性とチャレンジ研究
さらに最近になって非ヒト霊長類を用いてM.tbに対するワクチン接種の評価が行われた。ヒトと非ヒト霊長類の進化上の関係とこれらの種における結核の臨床および病理的表れ方が似ていることにより、TBとワクチン効果についての実験的研究にとってこの非ヒト霊長類モデルが魅力的となっている。
このモデルは肺空洞形成が進行することを特徴とし、ヒトTBに適用できるように思われる。感染と疾病の過程を、X線および体重減少、ならびに赤沈速度(ESR)、末梢血単核球(PBMC)増殖およびサイトカイン産生、細胞毒性Tリンパ球(CTL)活性、および抗体応答を含むさまざまな血液検査により追跡する。感染後、カニクイザルは特徴的病巣を有する肺病理を示し、チャレンジ用量に応じて急性呼吸器感染による死が、感染後4乃至6ヶ月以内に起こる。低感染用量では、ヒトと非常によく似て慢性感染を起こすが、病状はでない。
本研究では、組み換えBCG単独投与またはrBCG構築物中に過剰発現される配列類を含むワクチンをその後2回追加接種する投与を、さまざまな用量のBCG親株投与と直接比較するだろう。後者は、適当なアジュバント処方に基づく組み換えタンパク質、DNAまたはAd35構築物類を含むがそれらに限定されない、いくつかの公知手段のいずれかにより運搬される。
最初の研究では、ブースターを行わず親BCG対rBCG構築物類の防御効果を評価する。本研究では10匹1群とした3群を含むが、各群には、それぞれBCG,rBCGおよび生理食塩水を割り当てた。各群中2匹は、rBCG構築物類中における過剰発現抗原により皮膚試験を行い、さらに、対照として標準的PPDと生理食塩水で皮膚試験する。BCGに比較してrBCG群における陽性でかつ大きな硬変部は、インビボにおけるワクチン取り込みと免疫応答惹起を示唆する。各群中残りの8匹について、低用量M.tb Erdman株でエアゾールチャレンジし、防御を、チャレンジ後16週において菌負荷の減少または終点における生存により、測定する。
追跡BCGプライムプロトコールは上記と本質的に同一であるが、ただし、動物を最初にBCG,rBCGおよび生理食塩水でワクチンし、その後、過剰発現抗原で2回、追加接種する。
非ヒト霊長類モデルにおける免疫原性および防御研究では、rBCG構築物についての有効性を研究するためのアカゲザルにおいて、結核の免疫生物学的側面および免疫病理側面を調べることを目的とするだろう。この動物は、実験開始前に十分に体調を調整し平均体重2乃至3kgの閉じ込めて育てた若年アカゲザル乃至若いが大人のアカゲザルである。接種前研究は、通常の血液検査と赤沈速度ならびにリンパ球増殖アッセイを含む標準血液検査で構成する。皮膚試験はPPDで行い、ツベルクリンに対する感受性がないことを確認し、胸部X線を感染前プロフィールの一部として得る。免疫期間は総計21週間とし、0週におけるBCGまたはrBCGによる最初のワクチン接種、第12週および第16週における抗原追加接種を含むであろう。抗原特異的免疫性は、リンパ球刺激試験において増殖およびインタフェロンγ(IFNγ)分泌を測定することによって評価する。IFNγ産生リンパ球の出現頻度は、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISPOT)または蛍光活性化セルソーター(FACS)により求める。この目的のため、血液サンプルを最初のワクチン接種後第0、4、8、12、16および20週で採取する。
最終免疫後第4乃至6週において、同日に同一処方でM.tuberculosis Erdmanを3ml(1,000cfu)、気管内留置によりチャレンジさせる。感染過程は、体重減少、発熱、ESR上昇、PPDに対するDTH、PPD刺激PBMCのインビトロ増殖性応答、およびrBCG中に過剰発現した抗原類について評価し、その後、IFN−g産生レベルを測定する。胸部X線は、肺TBと一致する異常を検出するために行い、剖検は、チャレンジ後第12−16週に行う。
TBベクターとワクチン類の臨床評価
安全性と毒性試験
規制ガイドラインにより規制されている前臨床安全性および毒性試験を、上記のような前臨床毒性および安全性試験として行う。これらを調べた後、ヒト安全性試験を行う。これらの研究は、健常クアンティフェロン(Quantiferon)陰性成人で当初行い、その後、小児および新生児に年齢を低下させて行う。
免疫原性研究
マウスおよび霊長類における免疫原性研究では、INFγのような細胞免疫評価のための標準的手法類、ELISPOTおよび/またはフローサイトメトリを短期および長期抗原またはペプチド刺激とともに用いるが、これらに限定されない。同様の方法論は、ヒト応答を評価するために利用する。テトラマー研究を、ヒトワクチン後のCD4およびCD8応答を評価するために用いる。
プライム−ブースト戦略の最適化
rBCGは、TBまたは関連トランスジーン類を発現するように遺伝子工学的に作製した他の疾患に対する単独ワクチンとしても、良好に作用する。本文でTBに対するワクチンとしてまたは他の疾患に対する防御のための抗原類を発現するワクチンとして述べたrBCGは、また、アジュバントまたはウイルスまたは細菌ベクター抗原類と混合した組み換えタンパク質類による追加免疫のための免疫系をプライムするためにも、非常によく作用する。動物前臨床研究およびヒト前臨床研究の両者において、BCGプライムとその後の組み換えタンパク質/アジュバントまたはベクターブーストを、投与法および用量の観点から最適化する。これらのプライムブースト戦略は、特に本発明の態様にあるBCGのプライム能力のゆえにヒトにおいて免疫を誘発するためおよびその後組み換えタンパク質またはベクターが免疫系のブースター応答を集束させ増強させるための最も強力な手段である。
動物における暴露後治療ワクチン研究
C57BL/6マウスを用いて、潜伏感染を確立し;低用量感染によって無視可能なM.tb特異的免疫性が誘発された時点およびM.tb特異的免疫性がメモリT細胞で低下され圧倒される別の時点で、治療用ワクチンをマウスに投与する。その後ワクチン類の治療上の利点が、最終処置用ワクチン投与後2ヶ月および5ヶ月にマウスで、各マウスの肺および脾臓におけるcfuを計数することにより、評価する。このcfu計数値を、マウス群で標準的統計方法により分析し、その結果を用いて治療的ワクチン接種がマウスにおいて潜伏M.tb感染を有意に低下させるかどうかを分析する。同様の方法論を、必要に応じて、他の動物の応答評価のために利用する。
BCGベクターの臨床評価:rBCGワクチンの経口投与
本発明のrBCGによる標的動物の経口ワクチン投与はまた、文献に既出の方法類を用いて行うことができる(Millerほか、Can Med Assoc J 121(1):45−54;1979)。経口投与した本発明rBCGの量は、対象の種により、ならびに治療しようとしている疾患または状態に応じて変わる。一般的に、使用した投与量は、生きている菌体約10乃至1011個であり、好適には生きている菌体約10乃至10個であろう。
rBCGは一般的に、薬学的に許容できる担体または希釈剤とともに投与する。使用した特定の薬学的に許容できる担体または希釈剤は、本発明にとって重要ではない。希釈剤類の例には、リン酸緩衝生理食塩水、ショ糖を含むクエン酸緩衝液(pH7.0)、重炭酸緩衝液(pH7.0)単独(Levineほか、J.Clin.Invest,79:888−902;1987;およびBlackほか、J.Infect.Dis.,155:1260−1265;1987)またはアスコルビン酸、ラクトースおよび適宜アスパルテームを含む重炭酸緩衝液(pH7.0)(Levineほか、Lancet、II:467−470;1988)などの胃内胃酸に対して緩衝するための緩衝液が含まれる。担体の例には、スキムミルク中にあるタンパク質類、ショ糖などの糖類、またはポリビニルピロリドンが含まれる。これらの担体類は、通常は、濃度約0.1−90%(w/v)で使用するが、好適には範囲1−10%(w/v)である。
重症複合免疫不全(SCID)マウスにおける安全性
先にも述べたとおり、BCGにおけるLloの発現は、エンドソームエスケープ促進において実質的に有効でないことが証明されており、それはおそらく、BCGが存在する修飾エンドソームというミクロな環境での中性pHでLloの活性が低いことによるのであろう(Hessほか、Proc Natl Acad Sci 95:5299;1998;Grodeほか、J.Clin.Invest.,J.Clin.Invest.,115(9):2472;2005)。にもかかわらず、Lloの発現は、エンドソームを十分に修飾し、SCIDマウスにおいてBCG−Llo+の毒性を低下させた(Grodeら、2005)。この観察は、宿主細胞の細胞質にBCGを再度標的化させることが、この昔からの生TBワクチンの免疫原性と安全性を両方ともに改善する潜在力を有していることを示唆している。本研究の目的は、従って、SCIDマウスでPfoAG137Qを発現するエンドソームエスケープ株AFV102の安全性を決定することである。
この目的のため、親株BCG Danish1331株(BCG1331)およびBCG1331の誘導体でPfoAG137Qを発現するAFV102株を、(1分当たり150回振動させ)攪拌しながら2Lのフラスコ中で対数相後期となるまで(540nmにおける光学密度6.5−7.5)増殖させた。菌を遠心分離で採取し、生理食塩水+0.05%(v/v)タイロキサポル+10%(v/v)グリセロール中−80℃で、1.5×10cfu/mlとして保存した。
接種物は、氷で上記バルクバイアルを融解させエンドトキシン非含有(<0.05EU/ml)正常生理食塩水(0.85%w/vNaCl)で系列希釈したセットを調製し、作製した。これらの希釈物を用いて、容量0.1mlとなるように懸濁した表2に示したそれぞれの用量を皮下からSCIDマウス6匹の群に接種した。
Figure 0005713523
接種後、マウスを、感染後100日の期間にわたりその生存をモニタリングした。本研究の結果は、AFV102を接種したマウスが同用量のBCG1331を投与されるマウスよりも長期生存することを明らかにしている。
BCGにより惹起された免疫を強化するための非相同ブースターワクチンの使用が、最近注目を集めている。したがって、BCGをプライムした実験動物およびヒトは、Mtb抗原85A(本文で、“Ag85A”;Rv3804cとしても公知;Vordemeierほか、Immunol.112(3):461;2004;McShaneほか、Nature Med.10(11);1240;2004)をコードする修飾ワクチニアアンカラ(Ankara)(MVA)から構成される非相同ブースト後に印象的な細胞性免疫応答を生じさせ;対比して、何もしていない各動物およびヒトは、MVA−Ag85Aベクターに対して比較的印象がない応答を生じさせる(McShaneほか、2004)。さらに、BCGでプライムしかつMVA−Ag85A(Williamsほか、Infect Immun.73(6):3814;2005)またはサブユニットワクチンMtb72f(Brandtほか、Infect.Immun.72(11):6622;2004)のいずれかでブーストした実験動物が、BCG単独でワクチン接種することで得られるものよりもMtbチャレンジに対して高レベルの耐性を示すことを明らかにしたそれぞれの研究があり、このアプローチに対する裏づけを強固にした。これらの研究は防御の相関を明確にしなかったが、非相同プライム−ブーストワクチン接種戦略が、Mtbに対して防御惹起のための効果的手段を提供することは明らかである。
これおよび下記の実施例の目標は、従って、プライム−ブーストワクチン化処方でエンドソームエスケープ株AFV102を評価することである。この実施例における実験の目的は、プライムブースト処方でプライムとしてエンドソームエスケープ株AFV102を用い、ブーストとしてサイトメガロウイルス初期プロモータ(Vogelsほか、J Virol.77(15):8263−71;2003)の制御下にMtb遺伝子類Rv3804c−Rv1886−Rv0288から構成される融合タンパク質をコードする発現カセットを保有する複製欠失アデノウイルスセロタイプ35ワクチンベクター(Vogelsほか、J Virol.77(15):8263−71;2003;Barouchほか、J.Immunol.172(10):6290;2004)を用い、このプライム−ブースト処方における間隔を最適化することである。このブーストは、鼻腔内(中)経路で投与するが、その理由は、TB抗原類を発現するアデノウイルス類は、この経路で従来の非経口投与経路よりも効果がより高いからである(Wangほか、J.Immunol.173(10):6357;2004)。
したがって、プライム−ブースト間隔14、18および21週を評価するため、SPF male Hartleyモルモット10匹(250−300グラム)を表3に示したように免疫する。
Figure 0005713523
前記プライムは、10%グリセロール0.1ml中用量10cfuで皮内投与する。コントロールマウスには、10%グリセロールのみを0.1ml投与する。プライム14週後、モルモットにAd35−TBSを含むブーストを投与し、10μlのPBSに懸濁させた10プラーク形成単位の用量(すなわち、Vogelsほか、2003;Barouchら2004)で鼻腔内に投与する。
ブースト14週後、これら動物に対して、総計10cfuのMtbを含む10mlの単一細胞懸濁液から発生させたエアゾールによりMtb株Erdmanによるエアゾールでチャレンジする;文献に既出のとおり(Brodinほか、2004)、この操作で各動物の肺におよそ100個の生細胞を運搬する。チャレンジ5週後各群の動物を屠殺し、肺および脾臓を採取し組織および微生物分析を行った。後者の例では、モルモット由来肺と脾臓組織について、cfuを計数するために評価する。Mtb Erdman株をチャレンジに用いたので、TCHを培地に添加して、チャレンジ株からTCHに感受性のワクチン株を識別する。
本研究の結果により、rBCGプライムとAd35−TBSブーストの間の最適間隔がわかる。
免疫チャレンジ
候補TBワクチン株AFV102のMtbチャレンジに対する能力を測定するため、8匹(若い大人のSPF Hartleyモルモット(250−300グラム)による群を表4に示したように免疫する。
Figure 0005713523
グループ4および5において、0.1mlの10%グリセロール中用量10cfuで皮内投与する。グループ1および3において、コントロールマウスに対して、0.1mlの10%グリセロールのみを皮内投与する。グループ2のコントロールマウスに対しては、10%グリセロール0.1ml中BCG Danish1331を10cfu、投与する。
プライム14週後、モルモットをブーストする。グループ5において、ブーストはAFV102を含み、0.1mlの10%グリセロール中用量10cfuで皮内投与する。グループ4および6において、ブーストは、Ad35−TBSを含み、10μlのPBS中に懸濁させた用量10プラーク形成単位(すなわち、Vogels、2003;Barouchほか2004)で皮内投与する。
最終免疫14週後、これら動物に対して、総計10cfuのMtbを含む10mlの単一細胞懸濁液から発生させたエアゾールによりMtbによるエアゾールでチャレンジする;この操作で、文献に既出のとおり各動物の肺におよそ100個の生細胞を運搬する(Brodinほか、2004)。チャレンジ後、動物の生存を、ワクチン非接種未チャレンジ動物の健常群とともにモニタリングする。また、体重減少と全般的健康についても、動物をモニタリングする。
本研究の結果により、偽免疫動物はチャレンジ後非常に早く死亡するが、ブーストを行わずにBCG皮内ワクチン接種した動物は、死亡までの中間的平均時間を示し、AFV102で免疫し鼻腔内にAd35−TBSをブーストした動物は、一番長く生きていることが判る。
アポトーシス
アポトーシスはプログラムされた細胞死であり、その誘導と結果という観点からして壊死性細胞死とは大きく異なる。外来性抗原類を含む細胞のアポトーシスは、このような抗原類に対する細胞性免疫の公知の強力な刺激物である。抗原含有細胞のアポトーシスが細胞性免疫につながるプロセスは、クロスプライミングと称されることもある。1,2,3抗原特異的細胞媒介免疫増強を起こすアポトーシス誘導メカニズムにはいくつかある。カスパーゼ8媒介アポトーシスは、抗原特異的細胞性免疫防御につながる。 エンドソームエスケープを行った組換えBCGによる細胞の細胞質におけるカスパーゼ8の産生は、組換えBCG発現外来性抗原という文脈において、BCGに対しておよび組換えBCGにより過剰発現した他の結核抗原類に対してならびに高レベルの抗原特異的細胞免疫につながるBCGそれ自体の抗原類に対して、プログラムされた細胞死を誘導する強力なもうひとつの方法であろう。TRAIL−R2(TRAILレセプター2)またはTNFR−SF−10B(腫瘍壊死因子−スーパーファミリメンバー10B)としても公知のデスレセプター−5(DR−5)はまた、カスパーゼ8媒介アポトーシスを媒介する。 レオウイルス誘発アポトーシスは、TRAIL−DR5により媒介され、このウイルスがその後クリアランスされることになる。組み換えBCGによるDR−5発現は、rBCG発現抗原類に対する抗原特異的細胞性免疫の誘導に対して強力なアジュバント効果を付与する。抗原発現細胞はまた、抗原特異的細胞性免疫応答の誘導に強力な刺激物であるFas連結を介してアポトーシスを受けるように誘導することができる。 FasまたはFas細胞質ドメイン/CD4エクトドメイン融合タンパク質を発現する組み換えBCGは、アポトーシスおよび抗原特異的細胞性免疫応答を誘発するであろう。
rBCGエンドソームエスケープ株類によるかまたは上記のアポトーシスの付加的増強剤を産生するrBCGエンドソームエスケープ株類による細胞性免疫の増強は、BCG抗原類またはrBCGによる過剰発現を特異的にコードされた抗原類に限定されず、上記rBCGが侵入できる真核細胞のいかなる抗原をも含む。アポトーシスが誘発された腫瘍細胞にこのようなrBCGが運搬されるならば一例として、重要な腫瘍抗原類に対する細胞性免疫が誘発され、腫瘍および/または転移の消失、低下または予防を伴うであろう。この抗腫瘍効果は、膀胱癌症例でのように局所投与されるとBCGが産生する一般的抗腫瘍効果に付加されるであろう。
さらに本発明の一つの態様において、エンドソームエスケープを有するrBCGまたはアポトーシスの特異的伝達物質の産生により増強されたエンドソームエスケープを有するrBCGは、腫瘍細胞内部または強力な細胞性免疫応答が起こる外来性抗原類をこのようなrBCGが産生する場所である他の細胞類の内部に運搬し、それらの腫瘍細胞またはこれらの抗原類を含む他の真核細胞類に対して強力な細胞性応答の産生を誘発する。これらの細胞性応答は、免疫媒介腫瘍細胞破壊、さらにクロスプライミングおよび腫瘍細胞または他の重要な抗原類に対する細胞性免疫の誘導にもつながり、腫瘍および/または転移の消失、低下または予防を伴う。このような外来性抗原の例は、宿主細胞HLAと異なるHLA抗原で、それに対して、強力な非相同細胞性応答が付与されるであろう。
エンドソームエスケープを有するrBCGまたは特異的腫瘍抗原類もまた運搬するアポトーシスの特異的伝達物質の発現により増強されるアポトーシス誘導性のエンドソームエスケープrBCGは、これらの腫瘍抗原類に対して強力な抗原特異的細胞性応答を誘導し、それらには、これらの抗原類のある寛容性を破壊し、腫瘍および/または転移の消失、低下または予防につながり、腫瘍自体に前記rBCGを直接運搬する必要はない。
DNA損傷後のアポトーシスまたはカスパーゼ9は、ある抗原類に対して寛容性を誘発する。寛容性の誘導は、限定されるわけではないが糖尿病、関節リューマチ、クローン病、炎症性腸疾患および多発性硬化症などの自己免疫疾患を制御または予防する際に重要である。限定するわけではないがβ膵細胞、結腸直腸および神経細胞を含む細胞中でエンドソームをエスケープするrBCGによるカスパーゼ9の産生または他のアポトーシス媒介寛容性誘発タンパク質類の産生は、限定されたアポトーシスをもたらし、それらの細胞中で自己免疫の抗原標的類に対する寛容性をそれが誘導し、それによって、自己免疫疾患状態を処置または予防する。自己免疫反応に関与する特異的抗原類の同定識別により、これらの両方の抗原類およびカスパーゼ9またはアポトーシス媒介寛容性を誘導できる他の分子類のエンドソームエスケープrBCG産生を介して、これらの自己免疫標的抗原類に対する寛容性誘導を可能とするであろう。このようなrBCGは、これらの自己免疫疾患を治療しおよび/または予防するであろう。
(実施例7の参考文献)
1.Heath,W.R.,G.T.Belz、G.M.Behrens、C.M.Smith、S.P.Forehan,I.A.,Parish,G.M.Davey、N.S.Wilson,F.R.CarboneおよびJ.A.Villandangos.2004。Cross−presentation, dentritic cell subsets, and the generation of immunity to cellular antigens. (クロスプレゼンテーション、樹状細胞サブセット類、および細胞性抗原類に対する免疫の発生。)Immunol.Rev 199:9.
2.Gallucci,S.,M.Lolkema、およびP.Matzinger.1999.Natural Adjuvants(ナチュラルアジュバント類):Endogenous activators of dendritic cells.(樹状細胞の内因性活性化剤類。)Nature Biotechnology.5:1249.
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5.Clarke,P.、S.M.Meintzer、S.Gibson、C.Widmann、T.P.Garrington、G.L.Johnson、およびK.L.Tyler。2000.Reovirus−induced apoptosis is mediated by TRAIL.(レオウイルス誘発アポトーシスは、TRAILにより媒介される。)J.Virol.74:8135.
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7.Hugues,S.、E.Mougneau、W.Ferlin、D.Jeske、P.Hoffman、D.Hoffman、L.Beaudoin、D.Schrike、M.Von Herrath、A.Lehuen、および N.Glaichenenhaus.2002.Tolerance to inlet antigens and prevention from diabetes induced by limited apoptosis of pancreatic beta cells.(ランゲルハンス島抗原類に対する寛容性ならびに膵β細胞の限定的アポトーシスにより誘導された糖尿病の予防)Immunity 16:169.
エンドソームエスケープ可能なrBCG株におけるワクチン抗原類の過剰発現
rBCG株AFV102中にTB抗原類を過剰発現させるため、Rv3804c(Ag85Aとしても公知)、Rv1886(Ag85Bとしても公知)、およびRv0288(TB10.4としても公知)をコードする配列類に機能的に連結させたRv3031プロモータをコードする配列類を、pAF100のPacI部位に挿入した。生成したプラスミドpAF105(図12)をその後、制限エンドヌクレアーゼNdeIにより消化し、E.coliレプリコンおよびカナマイシン耐性遺伝子を除去し、T4リガーゼにより連結により再度環状とした。このDNA(1−2μg)を、エレクトロポレーションによりrBCG株AFV102に導入した。菌は、固体培地(Middlebrook 7H10)を25−30ml含む8.75cmのプレート中で培養した。PCRによるプレスクリーニングにより抗原発現プラスミドを保有しているコロニーを検出した後、PfoA陽性でかつTB抗原発現カセットを含むrBCGコロニーを選択し、それをAFV112と命名し、37℃で攪拌液体培地(Middlebrook 7H9)により500mlに増量する。培養物が対数相後期に到達したら、グリセロールをこの500mlの培養物に添加し最終濃度10%(v/v)とし、プレマスター種を5mlのアリコットとして−80℃で保存する。
BCGおよびrBCG培養物の純度は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で系列希釈したBCG培養物のアリコット100μlを、固体培地(Middlebroook 7H10)を25−30ml含む8.75cmのプレートに均等に塗擦することによって、評価する。プラスミドDNAのPCRおよび制限エンドヌクレアーゼ分析を用いて、所望の遺伝子型が各rBCG単離物中に存在することを確認する。さらに、PCR産生DNA断片類は、自動化ジデオキシヌクエオチド配列決定法によって配列決定し、全長遺伝子類の存在を確認する。
AFV102およびTB抗原発現プラスミドを保有しているAFV112によるPfoAの分泌を評価するため、両方の株を上記に述べたようにして対数相中期まで増殖させた。これらの培養物の培養上清を採取し、先に述べられているように(Hessほか、Proc.Natl.Acad.Sci.,95:5299−304;1998)、0.2mmの膜フィルターでろ過する。次に、この培養ろ液タンパク質類について、上記に述べたように溶血活性を評価する。結果は、AFV102およびAFV112が同様の溶血活性を示すことおよびAFV112がΔureC::ΩpfoAG137Q対立遺伝子を保有しかつ機能的PfoAタンパク質を発現することを明らかにした。
最後に、TB抗原類の発現を、10−15%SDS−PAGEゲルで分離した培養上清タンパク質類で評価する。結果は、Rv3804cおよびRv1886の発現上昇を示す。Rv0288は培養上清で過剰発現するとは予測していないので、同一mRNAでRv3804cならびにRv1886として発現されたこの10kDaのタンパク質の過剰発現は、Rv3804cとRv1886が過剰発現されるという観察により推定される。
全体として眺めると、この実施例は、PfoAを発現しかつTB抗原類を過剰発現するrBCG株を産生可能であることを実証している。このような株は、第2世代のTBワクチンとして作用する潜在力を有している。
本発明を詳細にその具体的態様を参照して上に述べてきたが、当業者には、本発明の真意と範囲から逸脱することなくさまざまな変更および修飾が可能であることが明らかであろう。
結核などの病原体に対するワクチン作用を高めたワクチン剤の効率的製造に利用できる。
自殺ベクターpAF102のためのマップ。各DNAセグメントの意味は、次のとおりである:L−flankおよびR−flank:それぞれureC遺伝子の左側および右側の隣接領域である;pfoAは、パーフリンゴライシンO(gene bankアクセス番号:BA000016)の変異体でアミノ酸1個の置換137G(Q)を有する変異体をコードする遺伝子である;LPPAg85Bは、抗原85B(すなわち、Rv1886c)リーダー配列をコードするDNA配列である;PAg85Aは、抗原85A遺伝子(すなわち、Rv3804c)のプロモータ配列である;aphは、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ遺伝子(gene bankアクセス番号:X06402)であり、プラスミドにカナマイシン耐性を付与する;OriEは、pUC複製開始点である(gene bankアクセス番号AY234331);Bleは、プラスミドに対してゼオシン(Zeocin)耐性を付与する遺伝子(gene bankアクセス番号L36850)である;SacBは、レバンシュークラーゼをコードする遺伝子であり(gene bankアクセス番号Y489048)、ショ糖に対する感受性を前記菌に付与する;Phsp60は、熱ショックタンパク質遺伝子(すなわち、Rv0440)のプロモータ配列である;MCSは、示した制限酵素類の複数クローニング部位である。2個のPacI部位間のカセットが、適用可能な際には、他のエンドソーム溶解性の酵素類遺伝子で置き換えることができることに注意。 Clostridium perfringens由来PfoAの遺伝子配列(配列番号1) Clostridium perfringens由来PfoAのタンパク質配列(配列番号2)。 好適な変異体PfoAG137Qの遺伝子配列(配列番号3)。 対立遺伝子交換の主要段階のフローチャート。 対立遺伝子交換プラスミドpAF102の制限酵素消化。レーン1:1kb+DNAラダー;レーン2:制限酵素EcoRIによって消化したプラスミドpAF102;レーン3:プラスミドpAF102非消化コントロール;レーン4:制限酵素EcoRIで消化したPFOカセット挿入物を有していないベクタープラスミドpAF100。レーン5:PFOカセット挿入物非消化コントロールを有していないベクタープラスミドpAF100。この図から、プラスミドpAFが直線状となり、予測したとおり制限酵素EcoRIにより大きさが4.4kbの単一バンドを生ずることがわかる。プラスミドpAF102は、予測したとおり、制限酵素EcoRIによりそれぞれ、2.3kbと6.0kbの2個のバンドを産生した。 ΔureC::ΩpfoA遺伝子型について選択したコロニーのPCR分析。このPCRは、材料および方法で述べたように実施した。PCR産物は、1.2%アガロースゲル中でゲル電気泳動によって分析した。使用したDNAラダーは、Invitrogenから購入した1Kb+DNA標準であった。レーン1−6:コロニー番号105−1から105−6までのそれぞれのPCR;レーン7&8:コロニー番号142−7から142−10までのそれぞれのPCR。レーン9:BCG Danish1331株のPCR。 AFV102の増殖およびカナマイシン感受性。AFV102、BCG Danish1331株およびPfoA構築体メロジプロイド(Pfo105MI)由来菌を、7H9増殖培地に接種し、各株の増殖を、異なる時点で600nmにおける光学密度を測定することによって比較した。カナマイシン感受性試験のため、最終濃度50μg/mlとなるように抗生物質を添加し、増殖を上記のように測定した。図説明中の略語:Ctrl:菌を全く接種しなかったコントロール培地;+Kanまたは−Kan:培地中にカナマイシンを含むかまたは含まない。 J774A.1細胞中におけるAFV102の細胞毒性試験。細胞にAFV102またはBCG Danish1331株のいずれかを感染させた。感染後示した時点で、細胞生存を材料および方法で述べたように測定し、非感染コントロールと比較した。 マクロファージ中におけるAFV102の生存能力試験。J774A.1単層細胞に、AFV102またはBCG Danish1331を感染させ、感染後示した時点で、細胞内菌を、材料および方法で述べたようにして計数した。 pH非依存性溶血活性を有するPfoタンパク質を分泌する能力について、AFV102を試験。AFV102培養物は、先に述べたように調製し、上清の赤血球溶解性をpH7.0と5.5で試験した。溶血活性は、材料および方法で述べたように測定した。 実施例3の結果を概略示した。Aにおいて、菌(黒っぽい楕円形)は細胞(八角形)内マクロファージ(灰色楕円形)に侵入し、初期エンドソーム形成を刺激することを示している;Bにおいて、BCGがエンドソーム成熟を停止し、BCGが早期エンドソーム内で防御されることを示している;Cにおいて、PfoAを発現するAFV102菌が侵入後早期エンドソーム内で最初に見られることを示している;しかし、それらは、PfoA分泌を開始し、エンドソームエスケープを始める;Dにおいて、PfoA発現AFV102菌が、エンドソームから出てきて細胞内で遊離されることを示している。 抗原過剰発現ベクターpAF105のマップ。DNAセグメントそれぞれの記号を次に示す:PRv3130は、抗原Rv3130cのプロモータ配列である;PAg85Bは、Rv1886cのプロモータ配列である。発現カセット中遺伝子類は、Rv0288;Rv1886cおよびRv3804cである;aphは、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ遺伝子(Gene bankアクセス番号:X06402)であり、それは、前記プラスミドにカナマイシン耐性を付与する;OriEは、pUC複製開始点である(Gene Bankアクセス番号:AY234331);leuDは、3−イソプロピルマレートデハイドラターゼをコードする遺伝子である(すなわち、Rv2987c);OriMは、マイコバクテリウム中の複製開始点である(Gene bankアクセス番号:M23557)。

Claims (32)

  1. pH6−8で活性の、発現可能でかつ分泌されることができるパーフリンゴライシンO(PFO)タンパク質をコードする核酸配列を含むように遺伝子工学処理した組換えマイコバクテリウム。
  2. 問題の1種以上のタンパク質をコードする核酸配列をさらに含む請求項1記載の組換えマイコバクテリウム。
  3. 問題の前記1種以上のタンパク質がプラスモディウム(Plasmodium)抗原を含む請求項記載の組換えマイコバクテリウム。
  4. 前記組換えマイコバクテリウムが、弱毒化マイコバクテリウムである請求項1記載の組換えマイコバクテリウム。
  5. 前記弱毒化マイコバクテリウムがバシル・カルメット・ゲラン(BCG)である請求項4記載の組換えマイコバクテリウム。
  6. 前記BCGがBCG Danish 1331である請求項記載の組換えマイコバクテリウム。
  7. 前記発現可能でかつ分泌されることができるPFOタンパク質をコードする前記核酸配列が前記組換えマイコバクテリウムの染色体の中に存在する請求項記載の組換えマイコバクテリウム。
  8. 前記発現可能でかつ分泌されることができるPFOタンパク質をコードする前記核酸配列が前記組換えマイコバクテリウムの染色体の中のウレアーゼC遺伝子にとって代わる請求項1記載の組換えマイコバクテリウム。
  9. 問題の前記1種以上のタンパク質をコードする核酸配列が前記組換えマイコバクテリウムの染色体の中に存在する請求項記載の組換えマイコバクテリウム。
  10. 問題の前記1種以上のタンパク質がマイコバクテリウム・チューバキュローシス(Mtb)抗原を含む請求項2記載の組換えマイコバクテリウム。
  11. 前記Mtb抗原を、Ag85A、Ag85B、TB10.4、Rv0125、Rv0203、Rv0287、Rv0288、Rv0603、Rv1196、Rv1223、Rv1271c、Rv1733c、Rv1738、Rv1804c、Rv1886、Rv2031c、Rv2032、Rv2253、Rv2290、Rv2389c、Rv2626c、Rv2627c、Rv2779c、Rv2873、Rv2875、Rv3017c、Rv3407、Rv3804c、Rv3810およびRv3841から成る群から選んだ請求項10記載の組換えマイコバクテリウム。
  12. 問題の前記1種以上のタンパク質をコードする前記核酸配列プラスミド上に存在する請求項記載の組換えマイコバクテリウム。
  13. 前記pH6−8で活性の発現可能でかつ分泌されることができるパーフリンゴライシンO(PFO)タンパク質をコードする核酸配列を含むように遺伝子工学処理した組換えマイコバクテリウムと問題の1種以上のタンパク質をコードする核酸配列とを含む組換えマイコバクテリウムを含む組成物。
  14. 問題の前記1種以上のタンパク質が、マイコバクテリウム・チューバキュローシス(Mtb)抗原を含む請求項13記載の組成物
  15. 前記Mtb抗原を、Ag85A、Ag85B、TB10.4、Rv0125、Rv0203、Rv0287、Rv0288、Rv0603、Rv1196、Rv1223、Rv1271c、Rv1733c、Rv1738、Rv1804c、Rv1886、Rv2031c、Rv2032、Rv2253、Rv2290、Rv2389c、Rv2626c、Rv2627c、Rv2779c、Rv2873、Rv2875、Rv3017c、Rv3407、Rv3804c、Rv3810およびRv3841から成る群から選んだ請求項14記載の組換えマイコバクテリウム。
  16. 問題の前記1種以上のタンパク質をコードする前記核酸配列がプラスミド上に存在する請求項13記載の組成物
  17. 前記組換えマイコバクテリウムが弱毒化マイコバクテリウムである請求項13記載の組成物
  18. 前記弱毒化マイコバクテリウムがバシル・カルメット・ゲラン(BCG)である請求項17記載の組成物
  19. 前記BCGがBCG Danish 1331である請求項18記載の組成物
  20. 発現可能でかつ分泌されることができるPFOタンパク質をコードする前記核酸配列が前記組換えマイコバクテリウムの染色体の中に存在する請求項13記載の組成物。
  21. 前記発現可能でかつ分泌されることができるPFOタンパク質をコードする前記核酸配列が前記組換えマイコバクテリウムの染色体の中のウレアーゼC遺伝子にとって代わる請求項13記載の組成物。
  22. 問題の1種以上のタンパク質をコードする核酸配列が前記組換えマイコバクテリウムの染色体の中に存在する請求項13記載の組成物
  23. 前記組成物ワクチンである請求項18記載の組成物
  24. 前記ワクチンがマイコバクテリウム・チューバキュローシス(Mtb)に対するワクチンである請求項23記載の組成物
  25. 前記組成物がアジュバントをさらに含む請求項13記載の組成物
  26. 医薬品に適合した担体をさらに含む請求項13記載の組成物
  27. 問題の前記1種以上のタンパク質がプラスモディウム(Plasmodium)抗原を含む請求項13記載の組成物
  28. 組換えマイコバクテリウムをエンドソームからエスケープできるようにする方法であって、前記組換えマイコバクテリウムを、pH6−8で活性の、発現可能でかつ分泌されることができるパーフリンゴライシンO(PFO)タンパク質をコードする前記核酸配列を発現するように遺伝子工学処理する過程を含む方法。
  29. 前記遺伝子工学処理する過程が、問題の1種以上のタンパク質をコードする追加のヌクレオチド配列を含むように前記組換えマイコバクテリウムを遺伝子工学処理する過程をさらに含む請求項28記載の方法。
  30. 前記発現可能でかつ分泌されることができるPFOタンパク質をコードする前記核酸配列および問題の1種以上のタンパク質をコードする前記追加のヌクレオチド配列の一方または両方が前記組換えマイコバクテリウムの中のプラスミド上に存在する請求項29記載の方法。
  31. 前記発現可能でかつ分泌されることができるPFOタンパク質をコードする核酸配列が前記組換えマイコバクテリウムの染色体の中に存在する請求項28記載の方法。
  32. 前記遺伝子工学処理する過程が、マイコバクテリウムの染色体の中のウレアーゼC遺伝子を、発現可能でかつ分泌されることができるPFOタンパク質をコードする核酸配列で置換することによって行われる請求項28記載の方法。
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