JP5711556B2 - 水硬性固化材の製造方法および耐酸性コンクリートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水硬性固化材の製造方法および耐酸性コンクリートの製造方法に関する。
本発明者等は、セメントコンクリートでは得られない耐酸性を持つ新しい水硬性固化材として、水ガラススラグコンクリート用水ガラス(特許文献1参照)、および耐酸性の水硬性硬化体(特許文献2参照)を開発している。特許文献1および2に記載の発明は、市販工業用水ガラスに苛性ソーダ(NaOH)を添加することでSiO/NaOモル比を調整して改質水ガラスとし、これに市販高炉水滓(以下、「スラグ」と称す)等とを混合して、通常のセメントコンクリート製造時とほぼ変わらないコンクリートスラリーを可能とすることにより、セメントコンクリート製造設備を使用可能とする技術を提供するものである。また、本発明者等は、スラグ中のカルシウム成分およびシリカ成分を水ガラス中のアルカリナトリウム成分が刺激し、水和反応をスタートさせ、セメントコンクリート中では全く異なるCaO(0.05〜0.5)/SiO(1.0)モル化組成を主成分とする水和生成物が、耐酸性発現およびコンクリート高強度発現に寄与していることを明らかにしている。
さらに、本発明者等は、粉末系固化材として、工業用水ガラスに代わり耐酸性の水硬性硬化体用ガラス質固化材を開発している。即ち、ソーダ灰(NaCO)とシリカ質原料とを、SiO/NaOモル比1.0近傍で混合した後、ガラス化させるものである。この場合、少なくとも加熱温度で1,000℃以上が必要であり、いわゆるケイ酸ソーダガラスまたは水ガラスカレットを製造し、これを急冷した後粉末としてスラグ水和を促進するものである。固化材となるには、プレキャスト養生が必要であり、コンクリートの圧縮強度は工業用水ガラス固化材と比較し50〜60%程度である。スラグ水和硬化は工業用水ガラスでの水和とほぼ同じであり、特にガラス固化材が水で溶出することが必須条件となり、固化材のSiO/NaOモル比が1.0近傍と制約される。
なお、NaO−SiO−HO系に関する相平衡、及びその可溶性ケイ酸ナトリウム組成物の生成相に関する報告は広く知られている(例えば、非特許文献1参照)。図2に示すように、非特許文献1では、NaO−SiO−HO系相平衡において、各種ビルダーや充填剤、グラウト剤、結合材、各種原料、漂白・洗浄剤などの有価成分となり得る物質組成につき報告が行われている。但し、スラグ等の硬化促進剤等は見られない。図2に示す平衡図の合成条件は、いわゆる水ガラス組成物のケイ酸ナトリウムカレット(1,300℃近傍合成)の水溶解、及び加圧(いわゆるオートクレーブ)での溶解であり、水成分の少ない領域についての詳細は報告されていない。
特開2004−168640号公報 特開2005−255418号公報
Helmut H. Weldes and K. RobertLange、「PROPERTIES OF OLUBLE SILICATES」、Industrial& Engineering. Chemistry、1969、61(4)、p.29−44
本発明者等により開発された特許文献1、2を基に、耐酸性コンクリート製造事業化を行う際、以下の課題が出現した。その1つは、工業用水ガラス使用では、液体であるため、既存のセメントコンクリート工場での製造時に新たな設備を準備する必要がある。即ち、タンクローリー等で搬入した後、工場内に貯蔵サイロやその輸送系パイプ等の設置、コンクリート配合・混合時での計量機の設置等に多額の投資が必要となるという課題があった。
また、工業用水ガラスの価格も、セメントと比較すると約3〜4倍と高価であり、かつ、コンクリート配合で占める価格も、セメントコンクリートの約2〜3倍程度となる。即ち、耐酸コンクリート製造は、耐酸性は得られるものの、汎用性を持つコンクリートとしては高価であるという課題があった。このため、その用途は大きく制限される。
さらに、耐酸性の水硬性硬化体用ガラス質固化材を使用する場合、出発原料としてはソーダ灰と産業廃棄物であるシリカ質原料(例えば“廃ガラス”等)とを使用するに限り、固化材の価格はセメントの数倍程度であり、コンクリート固化材ベースの価格はセメントコンクリート以下となるが、1,000〜1,200℃でのガラス化を可能とするには、既存のガラス製造設備に匹敵する設備投資が必要となる。また、既存のガラス製造プラントの転用・使用も、その連続運転という宿命から全く期待できない。即ち、事業化するためには、多額の投資が必要となるという課題があった。
本発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、耐酸性の水硬性硬化体用固化材であって設備費や原材料費を低減することができる水硬性固化材の製造方法および耐酸性コンクリートの製造方法を提供することを目的としている。
本発明者等は、まず、以下の検討を行った。
スラグの水和・硬化を促進するにはナトリウムアルカリ成分が不可欠であり、かつ、耐酸性発現にはCaO/SiOモル比が0.5〜0.6以下の水和生成物が必要である。
粉末系ケイ酸ナトリウム組成物は、粉末水ガラス(1号〜3号)、メタケイ酸ナトリウム含水塩が、JIS規格で市販されている。これらは、スラグ用硬化促進固化材としてそれなりの性能は得られるものの、大きな問題がある。即ち、水ガラス粉末は、そのSiO/NaOモル比で1号相当のみが固化材の可能性があるものの、価格が工業用水ガラスの約数倍と高価であり、対象外となる。一方、メタケイ酸ナトリウム含水塩は、強度発現に優れているものの、スラリー性状が瞬結となり、かつ、その価格も粉末水ガラスより高価となり、固化材としての使用は不可能である。
また、従来からアルカリスラグコンクリートとして苛性ソーダを添加したスラグコンクリートは知られている。強度を得るには苛性ソーダ添加量が増え、コンクリートスラリー性状は高粘性となる欠点があるものの、高強度コンクリートの実績は知られている。但し、長期安定性に問題がある。
これらのことから、スラグの水和・硬化促進用粉末固化材は、SiO/NaOモル比に応じたケイ酸ナトリウム組成物とすることとした。苛性ソーダは、粉末固体およびその水溶液(一般に市販品は50%溶液である)が特有の性質を有している。即ち、粉末の苛性ソーダは、加熱時、NaOHのままで約400℃の融点で融解し、1,390℃の沸点においてNaOH蒸気として気化する。水溶液では、温度上昇に従い水を蒸発し、溶解度はモル沸点上昇に従い増大し、110℃では約78%、150℃では80%近傍、310〜320℃でほぼ100%となる。更に、水溶液の粘性(粘度)も、温度上昇に従い高流体化する特徴をもち、100℃近傍では数ポアズ程度となる。
以上の検討の結果、本発明者等は本発明に至った。
上記目的を達成するために、第1の本発明に係る水硬性固化材の製造方法は、20乃至50重量%のNaO成分と、35乃至65重量%のSiO成分とを含み、原料配合でのSiO成分とNaO成分とのモル比である設定S/Nが0.9乃至3.15になるよう、苛性ソーダとシリカ含有無機物粉末とを配合し、混合した後、加圧成形して固化材原料とし、前記固化材原料を130度乃至190度の温度の加圧蒸気下で所定時間養生した後、粉砕することを特徴とする。
また、第2の本発明に係る水硬性固化材の製造方法は、20乃至50重量%のNa O成分と、35乃至65重量%のSiO 成分とを含み、原料配合でのSiO 成分とNa O成分とのモル比である設定S/Nが0.9乃至3.15になるよう、苛性ソーダとシリカ含有無機物粉末とを配合し、混合した後、加圧成形して固化材原料とし、前記固化材原料を360度乃至450度の温度で所定時間加熱した後、粉砕することを、特徴とする。
本発明に関連する水硬性固化材は、第1または第2の本発明に係る水硬性固化材の製造方法により製造することができる。本発明に関連する水硬性固化材ならびに、第1および第2の本発明に係る水硬性固化材の製造方法では、苛性ソーダおよびシリカ含有無機物粉末に含まれる水分のほかには、水分を含まないことが好ましい。本発明に関連する水硬性固化材ならびに、第1および第2の本発明に係る水硬性固化材の製造方法では、400℃程度に加熱するなど水分がほとんどない雰囲気で使用して、スラグの硬化促進用固化材として十分に性能を発揮することができる。
本発明に関連する水硬性固化材は、粉末状であることが好ましい。第1および第2の本発明に係る水硬性固化材の製造方法では、固化材原料を粉末化するため、既存のセメントコンクリート工場の設備をそのまま利用することができる。このため、新たに設備投資をする必要がなく、設備費を低減することができる。また、NaO成分として、市販の苛性ソーダ、産業廃棄物のソーダ廃材(滓)などを使用することができ、SiO成分として、廃ガラスや廃ケイ砂、天然シリカ質鉱物などを使用することができる。このため、工業用水ガラスを使用する場合に比べて、原材料費を低減することができる。
本発明に関連する水硬性固化材は、20乃至40重量%のNaO成分と、30乃至65重量%のSiO成分と、10乃至25重量%のHO成分とを含み、原料配合でのSiO成分とNaO成分とのモル比である設定S/Nが0.9乃至3.15であることを、特徴とする。
本発明に関連する水硬性固化材の製造方法は、20乃至40重量%のNaO成分と、30乃至65重量%のSiO成分と、10乃至25重量%のHO成分とを含み、原料配合でのSiO成分とNaO成分とのモル比である設定S/Nが0.9乃至3.15になるよう、苛性ソーダ水溶液とシリカ含有無機質粉末とを配合し、混合してスラリーとした後、脱水または乾燥させて固化材原料とすることを、特徴とする。
苛性ソーダ水溶液が、100〜110℃にてシリカ含有無機質粉末と容易に反応して、粉砕・粉末化可能な固化材原料を製造することができる。固化材原料を粉末化することにより、スラグの硬化促進用固化材として十分に性能を発揮することができる。
本発明に関連する水硬性固化材は、粉砕・粉末化可能な固体であるため、既存のセメントコンクリート工場の設備をそのまま利用することができる。このため、新たに設備投資をする必要がなく、設備費を低減することができる。また、NaO成分として、市販の50%濃度程度の苛性ソーダ水溶液や、市販の苛性ソーダ、産業廃棄物のソーダ廃材(滓)などを使用することができ、SiO成分として、廃ガラスや廃ケイ砂、天然シリカ質鉱物などを使用することができる。このため、工業用水ガラスを使用する場合に比べて、原材料費を低減することができる。
本発明に関連する水硬性固化材の製造方法は、20乃至50重量%のNaO成分と、35乃至65重量%のSiO成分とを含み、原料配合でのSiO成分とNaO成分とのモル比である設定S/Nが0.9乃至3.15になるよう、苛性ソーダとシリカ含有無機質粉末とを配合し、苛性ソーダに対し5重量%以上の水を添加した後加温し、液状苛性ソーダ水溶液として混合した後、冷却することで固化材原料としてもよい。
第1および第2の本発明に係る水硬性固化材の製造方法および本発明に関連する水硬性固化材の製造方法で、前記シリカ含有無機物粉末は、廃ガラス、廃ケイ砂または天然シリカ質鉱物から成り、SiO含有量が70%以上であることが好ましい。この場合、工業用水ガラスを使用する場合に比べて、原材料費を低減することができる。
第1の本発明に係る水硬性固化材の製造方法、製造された固化材は、十分に使用可能な可使時間を有する。また、製造された固化材を使用して、十分な強度を有するモルタルやコンクリートを作成することができる。軽量発泡コンクリートの製造などに使用される既存のオートクレーブを使用して、加圧蒸気下での養生を行うことができる。このため、新たな設備投資を必要とせず、設備費を低減することができる。
第2の本発明に係る水硬性固化材の製造方法、製造された固化材の水分を減らすことができ、スラグの硬化促進用固化材として十分に性能を発揮させることができる。
第1および第2の本発明に係る水硬性固化材の製造方法および本発明に関連する水硬性固化材の製造方法は、粉砕した後、含水量が少なくとも20重量%以下になるよう脱水または乾燥させてもよい。この場合、製造された固化材の水分を減らすことにより、スラグの硬化促進用固化材として十分に性能を発揮させることができる。
第1および第2の本発明に係る水硬性固化材の製造方法および本発明に関連する水硬性固化材の製造方法では顔料、AE剤等の添加剤を添加してもよく、本発明に関連する水硬性固化材は顔料、AE剤等の添加剤を含んでいてもよい。
本発明に係る耐酸性コンクリートの製造方法は、水3乃至20重量%と、水硬性固化材1乃至5重量%と、スラグ5乃至20重量%と、ケイ石粉1乃至5重量%と、骨材細骨材20乃至40重量%と、粗骨材40乃至70重量%とを混合し、常温又は40℃乃至80℃で2乃至8時間、蒸気養生することを特徴とする
本発明によれば、耐酸性の水硬性硬化体用固化材であって設備費や原材料費を低減することができる水硬性固化材の製造方法および耐酸性コンクリートの製造方法を提供することができる。
本発明の実施の形態の水硬性固化材の、NaOHのシリカ粒子表面近傍での反応を示す電子顕微鏡写真である。 本発明の実施の形態の水硬性固化材の組成を外挿したNaO−SiO−HO相平衡図である。
以下、本発明の実施の形態の水硬性固化材の製造方法および本発明の実施の形態の耐酸性コンクリートの製造方法について、各種試験を行い、その結果に基づいて説明する。
[水硬性固化材の出発原料固化体の性能]
水硬性固化材の固化材原料の性能を調べるために、モルタル試験を行った。
粉末非晶質のシリカ成分と苛性ソーダの50%濃度水溶液とを配合し、混合して一旦スラリーを作成し、ハンドリングを容易とし運搬可能とするため、スラリーを脱水または乾燥させて、自重に耐える固化体を作成し、これを固化材原料(以下、「出発原料固化体」という)とした。なお、苛性ソーダの特性を期待し、乾燥温度を100〜110℃の範囲とし、水溶液濃度を78〜80%程度とすることにより、高流動化(液状)苛性ソーダとシリカ成分との反応によるケイ酸ナトリウム組成物固化体を可能とした。また、シリカ成分としては、産業廃棄物である非晶質ガラス質のビンガラス(平均組成:SiOが78.5%、NaOが5.6%、Alが2.1%、CaOが12.8%)の粉末(ブレーン値:2,000cm/g程度)を使用している。
1.0〜3.05のS/N比に対応して出発原料固化体を作成し、それを使用してモルタルを作成し、これを60℃蒸気養生(プレキャスト)した後、評価を行った。モルタルは、重量部配合で粉末状の出発原料固化体30部、スラグ195部(ブレーン値で6,000cm/g)、シリカ粉末60部、標準砂400部に対し混練水105部とし、直径5cm、高さ10cmの簡易型枠に打設して作成した。なお、S/N比が1.0以下ではNaO成分が過剰となり、経済的に不利であるため、試験から外している。また、S/N比が2.10は、市販の工業用水ガラスの1号に、S/N比が2.40は2号に、S/N比が3.05は3号に対応している。出発原料固化体は、振動ミル粉砕を行ったため、4,000〜5,000ブレーン程度である。
モルタル試験結果を、表1に示す。
表1に示すように、出発原料固化体は、粉末ガラス固化材(市販水ガラス粉末)使用でのモルタル強度(水ガラス1号での46N/mm(但し純度100%))と比較しても、何ら遜色のない固化材性能を得られることが確認された。但し、モルタル打設時の可使時間が1時間程度と短くなっている。
表1に示す溶出量(%)は、出発原料固化体の10倍の水又は60℃温水中にて約4時間含漬(必要に応じて撹拌)後、固・液を濾過し、残渣を測定(1,000℃処理)して溶出量を算出したものである。S/N比は、溶出量を用いて次のようにして求めた。残渣成分は、電子顕微鏡による化学分析(フィールドエミッション型EPMA装置を使用)を行って、その酸化物組成(主に、NaO、SiO、Al、CaO)を求め、これを残渣部として割り振り、出発原料固化体の組成(110℃ベース)から差し引いてS/N値として計算した。シリカ反応(%)は、溶出成分シリカを反応したものとして原料組成の比として求めた。水は、110℃ベースでは各化学成分は反応が無いものと仮定し、NaOH−HO相平衡からNaOH水溶液中の水分が22%存在するものとして算出したものである。
出発原料固化体が性能を発揮する理由は次のように理解することが出来る。即ち、出発原料固化体が形成される過程で、ナトリウムアルカリとシリカ成分との反応が確実に進行し、原料中シリカはS/N比に対応して70〜55%程度が溶出し、S/N比で0.7〜1.6程度の範囲の可溶性ケイ酸ソーダ組成を生成し、これがモルタル強度の発現に寄与していることが確かめられた。但し、モルタル強度は、傾向として溶出量が少なくなるにつれその強度は減少するともいえる。即ち、溶出量は、基本的には原料配合(設定S/N)でのナトリウムアルカリ量が支配していると考えられる。
以上の結果をまとめると、
(1)苛性ソーダ水溶液は、高濃度(80%近傍)水溶液で、かつ、その低粘性液体として、S/N=1.0〜3.05で100〜110℃にて非晶質シリカと容易に反応し、粉砕・粉末可能な出発原料固化体を形成することができる。
(2)出発原料固化体を粉末化して、スラグの硬化促進用出発原料固化体として十分に性能を発揮することができ、反応性及び溶出量(%)を考慮しても市販粉末水ガラス(1号相当)の固化性能と何ら変わらない。
(3)出発原料固化体の生成は、苛性ソーダ成分がガラス中シリカと反応し、主にメタケイ酸ソーダ組成物を生成するためであると理解される。
[水硬性固化材の出発原料成形体の性能]
次に、顆粒状のNaOH試薬と廃ガラス粉末とを、S/N比1.0〜3.0に対応して配合し、振動ミルにて混合・粉砕した後、軽く圧縮し成形して、電気炉中にて400℃で加熱処理し、これを固化材原料(以下、「出発原料成形体」という)としてモルタル試験を行った。顆粒状のNaOH試薬は、含水量約5%を考慮すると、電気炉中加温に伴って350℃近傍で溶融化することが確かめられた。よって、350℃以上の出来るだけ低い温度として出発原料成形体を400℃にて加熱処理し、表1と同様にプレキャストモルタルを製造し、評価を行った。モルタル試験結果を、表2に示す。
表2に示す出発原料組成は、NaOHをNaOとして表示し、水分は無いものとして示した。但し、NaOHがシリカ成分と反応するので、水分は一部蒸散するとして無水成分として検討した。表1と同様に、溶出処理での残渣物を分析し、溶出成分中のS/N及びシリカ反応(%)を求めた。
表2に示すように、水分がほとんど無い雰囲気でのNaOH融液およびシリカ成分は、水分が存在する110℃雰囲気とは大きく異なることがみられた。前者は主にNaOH融液量がシリカ溶解反応を促進し、S/N設定値で2.0以下が有効と判断される。このことは特に、モルタル強度発現で明らかである。一方、モルタル強度の良い出発原料成形体のモルタル挙動は、瞬結気味となり、コンクリートでの使用は十分に留意する必要がある。
次に、シリカ質原料中にカルシウム成分を殆ど含有しないケイ砂(市販5号ケイ砂)を用いて同様の試験を行った結果を、表3に示す。シリカ原料中SiO含有は、約90%である。
表3に示すように、出発原料成形体の水溶出量は、シリカ質原料中不純物として存在するCaO成分に大きく支配されていることが確かめられた。しかし、モルタル強度発現への寄与は、廃ガラス原料とほとんど差のないものであった。一方、S/Nが2以上(3程度まで)では、シリカ反応は殆ど変わらないにもかかわらず、出発原料成形体の性能が大幅に低下しており、これはナトリウムアルカリが少なくなるためスラグ刺激の効果が低くなるためであると考えられる。
比較として、苛性ソーダ粉末(試薬)とシリカ成分として廃ガラスとを用いて、加熱処理なしでの出発原料成形体を使用してモルタル試験を行った結果を、表4に示す。
表4に示すように、溶出量は、室温より60℃温水中の方が多くなる。モルタル試験では全て60℃蒸気養生(プレキャスト)することから、出発原料成形体の溶出量は後者の方がデータとしては有効である。室温中での出発原料成形体からの溶出は、殆どが苛性ソーダの溶出であり、シリカ成分は高々2wt%程度が溶出する。一方、60℃温水中ではシリカ成分が15〜20wt%程度溶出することから、モルタル養生中、出発原料成形体からの溶出シリカ成分がモルタル強度発現に寄与するものと解釈される。即ち、60℃プレキャスト養生時、添加苛性ソーダ成分がモルタル強度発現に寄与し、強度として約22〜25N/mmを担っている。
以上の結果をまとめると、400℃の苛性ソーダ溶融下でのシリカ質成分との反応による出発原料成形体とは、
(1)S/Nの範囲で最適値が存在し、2以下(1程度まで)で性能は向上し、モルタル強度で25〜42N/mmが確保される。
[オートクレーブ処理−事前検討]
苛性ソーダ粉末の高濃度水溶液(濃厚溶液)は、加圧蒸気下(いわゆるオートクレーブ条件下)において、容易に流体化する特徴を持つことが確かめられた。これは、オートクレーブ環境において水と乾き蒸気との2相が出現することで、後者により苛性ソーダ成分の液体化が促進され、110℃以上の温度の作用を駆動としてシリカ成分の反応が進行するものと考えられる。これに基づき、以下の検討を行った。
水ガラスの粘度挙動として、工業用水ガラス(JIS規格品)の含水量(wt%)と粘度(ポアズ)との関係を表5に示す。粘度測定は、レオペクシーアナライザー(RPX−705)で行った。
表5は、工業用水ガラスをノズルより加圧下で押し出して紡糸条件を求めたものであるが、出発原料固化体をオートクレーブで処理する際、水ガラス組成物生成を想定した場合、オートクレーブ中で生成水ガラスが流出/流下しない含水量を予想するものである。生成する水ガラス成分で1,000ポアズ程度を得るには、表5に示す含水量が必要であるものと判断される。
一方、表5の結果は室温下であり、水ガラス成分は温度によりその粘性が大幅に低下し、流動化することが知られている。1,000ポアズ程度の水ガラスは、例えば80℃近傍では粘度が大幅に低下し、10ポアズ以下に激変することも確かめられている。これら水ガラス粘度は、主に水ガラス中に存在するケイ酸ナトリウム構造によるもので、S/Nが低い(1.0〜2.0)ものは短鎖型シリカ構造(単量体)、2.0〜3.0では長鎖型シリカ構造(2量体〜3量体)によるものと理解することが出来る。
以上の検討結果より、オートクレーブ処理で生成する水ガラス組成物の流出/流下を抑えるには、特に大幅な含水率の低下が必須であり、出発原料固化体の組成につき検討した。
[オートクレーブ処理−出発原料固化体のNaO−SiO−HO組成]
以下、表1で示した50%苛性ソーダ溶液とシリカ源である廃ガラスとのS/N別スラリーからの出発原料固化体を用いてオートクレーブ処理を行う。
シリカ原料の不純物を除いたときのNaO−SiO−HO系の組成、および図2に示す相平衡図からの生成相および有価性を、表6に示す。
表6には、出発原料固化体のNaO−SiO−HO系化学組成をシリカ質原料中CaO、Al、MgOそしてNaO成分を除いたものとして示したが、実際はS/Nに応じて不純物としてCaO、Al、MgO等を含有し、これらの含有量はS/N配合に応じ10〜15%の範囲となる。水含有量は、110℃に加熱・脱水・硬化処理中にシリカ成分の40〜60%程度の反応に寄与しているので、表7に示す1,000℃での水分測定をベースとして、絶乾時の水分はNaOH水溶液中、全ての水分を含めて表示した。
表7に示す1,000℃減量(%)は、出発原料固化体をベースとしての水分減少であり、110℃絶乾時でのシリカ成分の反応を含んだものであり、当然反応に伴う水分減少を除いたものと理解できる。NaOH水溶液中の水分は、110℃での相平衡から求めた水分であり、シリカの反応が無いものとして1,000℃での水分を算出したものである。ここで、110℃をベースとする含水量を図2の相平衡図で参照するために、全水分量、即ち110℃でのNaOH水溶液中水分と、NaOHが反応してNaO成分となる際の水分を合計した水分を含水量として、表6の化学組成を決定した。
[オートクレーブ処理−予備試験]
1リットルのオートクレーブを用い、水充填を容器の15%前後にして予備試験を行った。
出発原料固化体を数cm程度の平板状(厚さ1cm以下)に解さいしたものを使用し、これをオートクレーブ容器中に水充填部から離して固定・設置して、オートクレーブ処理を行った。この際、オートクレーブ内でドレイン水を被り、濡れるのを防止するため、試料上部にテフロン(登録商標)製カバーを付け、防水処理を行った。
S/N=3.0近傍の出発原料固化体につき、従来の水ガラス製造条件である150℃を中心に130〜180℃の範囲で予備試作をし、その結果、温度として150℃、180℃を採用した。処理時間は1時間〜4時間とし、得られた固化材につき上述したモルタル試作、強度試験を行い、オートクレーブ処理時間を検討した。試験結果を、表8に示す。
乾燥蒸気量がドレイン水として出発原料固化体中に固定されることが課題であるため、出発原料固化体をベースとして、表8中の重量変化(%)をオートクレーブ処理物の110℃減量として検討した。結果は、以下の様になった。
(1)ドレイン水対策は必須条件であり、この処理でほぼ2wt%以下の蒸気水分の固定に抑えることが出来た。即ち、オートクレーブ処理物は、ほぼ脱水・乾燥することなく、乾式粉砕が可能となった。
(2)オートクレーブ処理条件として、同一温度(150℃及び180℃)の場合、時間は強度発現から判断すると関係なく、少なくとも1時間処理程度で十分と判断できる。
(3)オートクレーブ温度は180℃と高温になっても、強度的には効果は見られない。
[オートクレーブ処理−本試験]
最適な出発原料固化体の配合及びオートクレーブ条件を検討するため以下の試験を行った。
オートクレーブは、モルタル固化材量を確保可能とするため13リットルのオートクレーブを使用した。処理時間は、所定温度に到達した後の保持時間であり、その後圧力が大気圧となった後、試料を取り出した。即ち、昇温で約2時間、減圧で約2時間とした。代表例として、オートクレーブ条件を、温度100〜180℃、S/N=1.0〜3.05、処理時間1時間として実施した結果を、表9に示す。
モルタル打設条件は、表1に示す配合にて作成した。表9中の絶乾温度は、出発原料固化体であり、表1を再記載したものである。モルタル性能として、モルタルスラリー作成時の作業性が重要であり、これはコンクリート打設時のコンクリートの作業性を反映するものであり、主にスラリー流動性と型枠打設への時間(表9中の可使時間)とで評価される。また、スラリーの混合時での温度上昇は、コンクリート打設時でのマスコンクリート性状に影響するものの、コンクリート打設時の温度上昇はモルタルスラリーより大幅に低下するため、本質的には出発原料固化体の性能に関わるものでは無い。
表9の結果から、オートクレーブ処理(1時間)による最適な出発原料固化体は、次のようにまとめられる。
イ)40N/mm以上の圧縮強度は、S/Nで2.40以下、少なくとも150℃以上で得られる。このとき、可使時間は、少なくとも1時間以上は確保できる。
ロ)30N/mm以上で40N/mm以下の圧縮強度は、S/Nで1.0〜3.05の範囲、オートクレーブ温度125℃以下100℃以上の条件となる。このとき、可使時間は、オートクレーブ温度が125℃より低いときに1時間以下であり、特に100℃又はオートクレーブ養生が無い場合、更に短くなる傾向がある。
以上より、オートクレーブ処理条件は、S/Nで2.4以下1.0以上の範囲で、かつ、温度が少なくとも150℃以上180℃以下が好ましい。ここで、180℃以上は、一般のオートクレーブ処理プロセス(例えば軽量発泡コンクリートなど)では対象としていないので対象外としている。
[オートクレーブ処理−高品位シリカ原料による比較試験]
シリカ成分が90%近傍である比較的高品位のシリカ原料として、表3と同じケイ砂を使用して、同様にオートクレーブ処理(150℃,1時間)を行って得た固化材のモルタル試験を行い、その結果を表10に示す。なお、表10には、備考として、オートクレーブ処理での110℃水分減少(%)とオートクレーブ処理後の固化材性状とを示している。
CaO成分を殆ど含有していないので、強さ発現は、ケイ酸ソーダ成分によるものと判断される。表10に示す結果は、以下の様になった。
(1)強度で50N/mm程度はS/Nで1.0近傍、40N/mm程度はS/Nで1.5近傍、30N/mmはS/Nで1.8近傍、そして20N/mmオーダはS/Nで2.5までとなる。但し、可使時間は、S/Nで1.0から1.5の範囲で30分以下となり、コンクリートでの使用については考慮する必要がある。
(2)オートクレーブ処理中での出発原料固化体は、S/Nが2.5〜3.1で液体化現象を起こしたり、更には生成水ガラス成分が流下/液状化したりする傾向が見られ、オートクレーブ処理として課題を残すものである。
(3)この傾向は、特にシリカ原料が高純度化、非晶質化(アエロジルやシリカヒュームなど)すると著しい。
結論として、オートクレーブ処理で安定した固化/固体処理品として製造するには、シリカ原料として廃ガラスに見られる“不純物”効果が極めて重要と判断される。
[オートクレーブ処理−出発原料成形体]
次に、出発原料成形体のオートクレーブ処理(150℃/1時間)試験を行い、その結果を表11に示す。
表11に示すように、表9に示す出発原料固化体の性能と比較しても全く遜色の無いことが確かめられた。即ち、S/Nで1.0〜2.0の範囲で、50N/mm程度からほぼ40N/mmの強度が得られた。更に、可使時間も、オートクレーブ処理で十分に確保できることも確かめられた。この結果は、オートクレーブ処理で加圧蒸気が出発原料成形体に水分として作用し、NaOH固相成分が流体化を促進し、あたかも水溶液中NaOHとして作用するためと考えられる。
出発原料成形体は、衛生上/安全上、苛性ソーダ粉体の扱いに十分留意する必要はあるものの、出発原料成形体作成中の水分蒸発に必要なエネルギーコストを考慮すると、経済上極めて有効であるといえる。
[オートクレーブ処理−固化材の化学分析]
50%濃度苛性ソーダと廃ガラスシリカ原料とのS/Nが1.0〜3.05範囲で配合したスラリーを100〜110℃にて脱水・乾燥・硬化した出発原料固化体の本質は、主に苛性ソーダ成分によるシリカ成分の溶解に伴うケイ酸ソーダを主成分とする反応による。また、出発原料固化体及び出発原料成形体は、オートクレーブ処理によりスラグ水和硬化の発現に寄与する硬化体となる。
以下、オートクレーブ処理による出発原料固化体からの固化材製造の作用・効果につき検討した。製造した固化材を、一旦110℃で乾燥した後、粉砕(ブレーン値で3,000〜4,000cm/g)し、以下の分析・解析を実施し、いわゆる固化材のキャラクタリゼーションを行った。固化材の溶出量測定は、約10倍の室温水及び60℃の加温水を用いて約4時間含漬(必要に応じて撹拌)後、これを固・液分離し、溶質部及び残渣部を測定する(1,000℃処理)ことで求めた。
次に、溶出部は、脱水・乾燥(110℃)して一旦固化物とし、一方、残渣部は1,000℃処理物をそれぞれ粉砕・微粉化し、加圧・成形し電子顕微鏡による化学分析を実施した。化学分析は、フィールド・エミッション型EPMA分析装置を使用した。これにより、オートクレーブ処理による可溶部及び残渣部(一部未反応ガラス原料)につき解析した。
解析結果を、表12に示す。表12には、表9に示す配合の内、オートクレーブ処理150℃、1時間での分析例を示す。なお、分析条件は、加速電圧15KV、ビーム径5μとして行った。
分析は、全て酸化物/無水ベース表示であり、溶出量も実測値(110℃ベース)を1,000℃減量から補正し無水ベースとした。可溶性部分の分析では、水ガラス組成物の乾燥処理に伴うシリカ成分の移動で、正確な分析値は困難と判断し、残渣成分の分析値を採用することとした。従って可溶性部、即ち生成する水ガラス成分は、残渣部化学組成を原料配合化学成分から差し引いて求めた。以上の手順とする理由は、図1の電子顕微鏡観察に示すように、NaOHのシリカ粒子表面近傍での反応で、シリカ表面でのナトリウムアルカリによる溶脱作用およびガラス表面の溶存構造(いわゆるスケルトン構造)から、恐らくガラス粒子は、一部ガラス不溶成分を残すものの、一様に溶出するものと考えられるためである。
表12に示すように、オートクレーブ処理(150℃,1時間)を行った結果、表1に示す出発原料固化体の反応生成相に対し、シリカ成分の反応が促進され、S/Nで1.0〜1.75の範囲では約20%も向上し、生成相中S/Nも設定S/Nに対応して増加している。また、S/Nが2.10〜3.05の範囲では、シリカ成分の反応は数%程度と、反応促進が著しく低下している。但し、生成相中S/Nの向上は、設定S/Nに対応して増加している。この効果により、表9に示すように、S/Nが2.10以下でモルタル強度は大幅に増加し、かつ、可使時間も延びるものと理解される。
以上の結果は、固化材の水溶出量試験を反映するもので、特にオートクレーブ処理により固化材生成相のS/N値がシリカ溶出を伴うことが重要である。
残渣成分の化学組成分析結果から、ガラス原料のオートクレーブ処理における溶出過程はCaO成分反応率(%)に基づいて以下の様に考えられる。
イ)設定S/Nが増加するに従い溶出が減少し、S/Nが2.10〜3.05ではほぼ全て未反応ガラス及び残渣部に存在する。
ロ)一方、S/Nが1.0〜1.75ではCaO成分が生成相中に数パーセントオーダで溶出している。
[オートクレーブ処理−生成相モル比による検討]
生成相モル比を算出し、ケイ酸ソーダ組成物及び不純成分につき検討する。生成相中のモル比を、表13に示す。
表13に示すように、生成相はNaO−SiO系で占められ、少量のCaO成分及び極めて少量のAl成分を含有する。但し、表13に示すモル組成以外に、ガラス成分からのKO、MgOも微量存在するものと予想される。
以上の結果を基に、オートクレーブ処理固化材の110℃絶乾をベースとして、図2に示すNaO−SiO−HO系相平衡図と比較・検討を行った。表13に示すオートクレーブ生成相のSiO、NaO化学組成、及び1,000℃における水分量測定からHO組成を求め、図2に示すSiO−NaO−HO平衡図へ外挿し、併せて、表6に示す絶乾の出発原料固化体の結果と生成相および有価性とを、表14に示す。
図2に示すように、出発原料固化体での生成相は、オートクレーブ処理を行うことでそれぞれ移動し、S/N=1.0での結晶性ケイ酸ナトリウムを除いて極めて狭い領域、即ちSiOで50〜58%、NaOで32〜42%、そしてHOで9〜10%の範囲に押し込められている。生成相の殆どが、一部結晶化混合相として固化性能を発揮し、一部固相を含む相や水和ガラス相では性能が低下すると考えられる。
但し、図2に示す相平衡は純正なNaO−SiO−HO系に関するものであり、本発明の実施の形態では廃ガラス原料を使用するため、相平衡データは参考にとどめる。
結果として、S/N=1.0以外のS/N配合原料は、オートクレーブ処理を行う結果、極めて小さいSiO及びNaO範囲内で、可溶性ケイ酸ナトリウム組成を主要とする固体組成物を生成することが確かめられた。
[オートクレーブ処理−アルカリ骨材反応試験]
セメントコンクリートでは、セメント中の全アルカリ量(NaOeq=NaO+0.658KO)が0.75以下と規定されている。これは、コンクリートのアルカリ骨材反応を抑制するものである。アルカリ骨材反応試験は、JIS A 1164−2001で規格されており、一般にこの方式に従っている。しかし、ここでは、JIS A 1804−2001に従って、アルカリ骨材反応試験を実施した。
固化材として、表2に示す400℃熱処理物(S/N=1.5)、表9に示すオートクレーブ150℃処理物(S/N=1.75)、および、比較例として改質水ガラス(S/N=2.4)を用い、表15に示す配合でモルタルを打設し、アルカリ骨材反応の有害性を判定した。アルカリ骨材反応促進用ガラスカレットも、粒度調整して使用した。試験結果を、表15に示す。
表15中、改質水ガラス中固形分は、52.5重量部となる。スラグは、ブレーン粉末値である。表15に示すように、アルカリ骨材反応は、すべての固化材使用で無害と評価された。判定基準は、モルタル硬化体の相対動弾性係数の変化が85%以上、長さ変化が0.1%未満の場合に無害となる。相対動弾性係数は、室温1日養生後、127℃1日養生のため、全て硬化促進となり不適当である。長さ変化は、ガラスカレットの有無にかかわらず大幅に小さく、十分クリアすることが出来た。
[水硬性固化材の出発原料固化体の性能−苛性ソーダ液化時スラリー作成固化]
水硬性固化材を製造するときの出発原料スラリーの脱水・乾燥工程を削除し、常温でスラリー固化させ、直ちにオートクレーブ投入する方法、及びオートクレーブ処理固化材を乾燥脱水工程無しで直ちに粉砕又は粗砕を可能とする方法につき検討を行った。
一般に市販されている苛性ソーダ溶液(50%溶液)を用いてスラリーを作成する出発原料の常温固化のためには市販スラグ添加が有効であるが、固化するには原料配合固形(シリカ原料+NaOH)に対し20〜30%以上のスラグが必要であり、その結果固化材性能(主に強度発現)が大幅に低下(約50%以下)することがわかっている。
スラグ添加を極力少なくして固化するには、スラリー中水分を吸着して見掛け上含水量を少なくする吸水材につき検討したところ、既にオートクレーブ処理反応(180℃/10気圧)を受けている軽量発泡コンクリート(例えばALCパネル)製造過程で排出するミーリング粗粒分が有効であることが判明した。
しかし、スラリー常温固化のためには50%程度以上の添加が必要であり、結果として固化材性能は添加量に応じて低下することが判明した。また、ALC粗粒物の入手に当り、価格が高価(kg当に数十円)であり、この方法は中止することとした。
苛性ソーダ水溶液は、高濃度(80%近傍)水溶液で、特に温度上昇に対し大幅に粘性を下げて流動化液体は良く知られている。一方固体NaOH(主に市販顆粒状)を大気圧下で加熱しても顆粒同士表面での融着化はみられないものの、流体化は高温(350℃以上)が必要である。しかし、苛性ソーダに対し5〜10%程度の水を加え、加熱すると容易に流体化することを見出した。この現象を利用し固化材組成物のシリカ原料粉末と苛性ソーダを混合し単に冷却することで容易に出発原料常温硬化体を製造することを見出した。即ち80%溶液以上の高濃度(95〜90%)溶液を加温で実現することである。
水硬性固化材の製造に当り、シリカ源として廃ガラス粉末(SiO品質:72%)および硅砂粉末(品位:90%)(商品名;ファインサンドFS−1)の2銘柄を用い、市販顆粒状苛性ソーダでS/Nモル比1.25、1.50、1.75、2.00、2.25と設定し、常温硬化させた後、オートクレーブ処理(150℃、2時間保持)した。その後粗砕・粉砕してモルタルを作製し、主に強度試験等を行った。
製造された水硬性固化材を使用し、表16に示す配合でモルタルを作製し、常温及びプレキャスト養生(60℃/4時間)での圧縮強度を表17に示す。
表17に示す結果につき以下のように要約できる。
1)苛性ソーダ溶液の加熱流動化での原料混合は、苛性ソーダ水溶液濃度でスラリー性状は異なり濃度が高いほど(90%近傍)スラリー流動性は消失し、粉状混合となるが、十分に均質混合は可能である。
2)90%以下ではスラリーは流動化を保ち、流し込み型枠打設は可能となり、かつ容易に室温で硬化する。
3)モルタル強度発現は、上述した出発原料成形体オートクレーブ処理固化材の性能並みであり、またモルタルスラリー可使時間も2時間程度は確保することができた。
4)オートクレーブ処理後の粉末製品化は、特に乾燥・脱水の必要は無いことが確かめられ、固化材製造コスト低減に有効である。
5)但し出発原料常温固化体はオートクレーブ処理でNaOHのNaO化でNaOH当り約23%の水を放出するので、S/Nモル比に対し粉砕のため若干の乾燥処理が必要となる。
[鉄筋腐食抑制効果の検討]
モルタル及びコンクリート硬化体中での空隙水に相当する溶質成分が、鉄筋腐食の促進または抑制に関係すると考えられるため、各種溶質条件下で鉄筋の腐食情況を観察して検討を行った。
試験は、表18に示す海水組成溶液1リットル中に、市販の鉄筋(φ5mm)を浸漬し、エアーポンプで空気を吹き込みながら60℃にて観察を行った。所定材令で発色状況を観察し、併せてpH値(20℃)も測定した。その結果の概要を、表19に示す。粉末固化材には、表17第1行に記載の廃ガラス・スラグ添加6〜9%の固化材を粉末化したものを用いた。
主な結果は次のようであり、明らかにナトリウムアルカリの存在が鉄筋腐食を大幅に抑制することが確かめられた。
1)海水組成水中での鉄筋腐食は急速に進行し、材令5週ではほぼ表面全域に黒錆(主に下地)および赤錆が発錆し、明らかに鉄筋膨張が見られた。
2)海水中にカルシウムアルカリ(消石灰及び普通セメント)源が共存すると、海水中腐食は抑制される傾向を示す。即ち、消石灰添加のとき、溶液温度及び海水中塩類共存で恐らく過飽和溶液と見られるにもかかわらず、濃度1〜3%では腐食進行することが予想された。一方、普通セメント共存下では、海水溶液中では添加量にかかわらずpH値はほぼ同じ(12.3近傍)であるが、鉄筋腐食が確実に進行することが予想される。高炉スラグ添加では、カルシウムアルカリ添加と異なり、pH値が8〜9と低く、その結果、黒錆と赤錆でほぼ100%腐食され、むしろ海水中より進行することが確かめられた。
3)ナトリウムアルカリ源として、NaCO(試薬)、改質水ガラス(S/N=2.3)及び粉末固化材(S/N=1.5)を1〜5%添加した海水での鉄筋腐食は、大幅に抑制されることが確かめられた。
カルシウムアルカリ共存下では、海水中鉄筋腐食は必ず発生し、これは恐らく海水中塩素イオンがその原因と考えられる。一方、ナトリウムアルカリが共存するとpH値で10程度以上で腐食は大幅に抑えることが確かめられ、塩素イオンによる腐食には極めて有効であることが確かめられた。
表2に示す400℃熱処理固化材(S/N=1.5)を、ボールミル(内容積約10リットル)に1kg程度投入して粉砕し、ブレーン比表面積(cm/g)別にモルタルを打設し、プレキャスト養生(60℃,4時間で加温槽中放冷)した材令1日強度での粉末度の効果を検討し、その結果を表20に示す。
ボールミル粉砕時は、粉砕助剤の使用、被粉砕物のミル投入時の粒度分布、そしてボールミル配列と回転数、運転時間等、多くの要因をクリアしなければならない。また、固化材製造コストも大きく、重要な技術課題である。
表20は、被粉砕物を10mm程度に粗砕し、助剤としてメタノールを使用し、同一ボール配列で同一条件(投入量及び回転一定)で運転時間を変えて粉末調整を行ったものである。
表20に示すように、固化材の粉末程度は、モルタル強度発現に大きく影響し、ブレーン比表面積で3,000〜4,000cm/gが必要と判断される。特に、ブレーン値を4,000cm/g程度以上とするには、粉末の二次凝集やミル運転の経済性から合理的とは言えない。
表2に示す400℃熱処理固化材(S/N=1.5)を用いて、表21に示す配合にてコンクリート打設を実施し、コンクリート性能をJIS規格に従って評価した。なお、固化材ブレーン値は3,200cm/g近傍とした。60℃蒸気養生(4時間保持)で、プレキャストコンクリートを製造した。コンクリートスラリーは、100リットル強制撹拌型ミキサーで打設した。併せて、市販AE剤(ポゾリス社製:製品名「マイクロエア101」)の添加量も検討し、コンクリート中空気量の連行も検討した。
表21中、AE剤添加は、固化材+スラグ重量部に対する値(重量として使用)を示す。また、高炉スラグは、市販品でブレーン値が6,000cm/gである。水/固化材比は、固化材+スラグ重量部に対する混練水量比である。
表21の配合によるコンクリートについて、コンクリートスラリー性状、材令別各種強度、寸法変化を表22に示す。
試作No.2〜3は、空気量確保(4〜6%)のためのコンクリート打設試験である。試作No.1は、モルタル強度(圧縮強度)とほぼ同じ圧縮強度を得ることが出来る。一方、材令14日における諸強度の内、静弾性係数は高い値を示し、圧縮強度(改質水ガラス系コンクリートで60N/mm近傍)の値に対し、37KN/mm(改質水ガラス系コンクリートで30KN/mm程度)は特記すべきである。一方、寸法変化も殆ど問題なく、材令4週で0.01%以下である。
表22の結果から、セメントコンクリート打設時のコンクリートスラリー性能をクリアし、かつ硬化したコンクリートの品質も十分に満足することが確かめられた。
150℃オートクレーブ処理固化材(S/N=1.75,2.0,2.40)をボールミルにて粉砕し、ブレーン値を3,200cm/g近傍としたものを用い、コンクリートを打設し、強度試験等を実施した。試験結果を、表23に示す。なお、コンクリート配合は、水/固化材比が0.45と若干低い以外、表21と同じ配合で行った。
表23に示すように、オートクレーブ処理固化材を使用しても、ほぼ問題なくコンクリート打設が可能であり、スラリー可使時間も4時間程度であった。特に、コンクリート混練時の機材(ミキサーなど)への付着が著しく抑えられ、水ガラス改質系固化材使用では機材の洗いが困難であることを考慮すると、実用上有意性が確かめられた。圧縮強度も、モルタル試験結果とほぼ同期した挙動が得られ、固化材のS/Nに対応し、強度が反映されることも確かめられた。
出発原料固化体(S/N=1.50、1.75、2.10)の粉末(ブレーン値で3,500cm/g)を使用したコンクリートにつき、表21と同様の配合にて打設し、コンクリート性状および圧縮強さの試験を実施した。試験結果を、表24に示す。なお、水/固化材比は、0.45である。
表24に示すように、コンクリート打設も、若干スラリー流動性が低下するものの、振動締固めで打設することが出来た。可使時間は、確実に2〜3時間確保できた。特に、モルタル打設でみられたスラリー温度上昇は、S/Nが1.5で約1℃程度上昇するのみであった。圧縮強度は、表1に示すモルタル強度とほぼ同じ強さであった。実施例3と同様に、コンクリート打設時機材へのスラリー付着も少なく、粉末固化材での有意性が確かめられた。
出発原料成形体を、S/Nが1.5〜3.05で配合し、これを150℃で1時間オートクレーブ処理を行った固化材粉末(ブレーン値で3,200cm/g近傍)を使用してコンクリートを打設し、その性状及び圧縮強さにつき検討し、その結果を表25に示す。コンクリート配合は、表21と同様である。
表25に示すように、表4に示す出発原料成形体での強度発現とは大幅に異なり、オートクレーブ処理効果が強度発現に有効であること、表3に示す400℃近傍での加熱処理固化材での強度発現とも大差ないこと、及び、コンクリートスラリーでの可使時間の確保への有効性などが確かめられた。即ち、表25中の備考欄に示すように、オートクレーブ処理時、出発原料成形体がオートクレーブ中の乾燥蒸気を吸収し、固化材ベースで数パーセント程度の水分を固定し、苛性ソーダ自身が流動化/液相化することでシリカとの反応を促進し、ケイ酸ソーダ系生成相を形成する結果、固化材としての性能が向上するものと理解される。このことから、特に、出発原料成形体の製造時、水分蒸発に必要な熱量経費を低減することができ、産業廃棄物である苛性ソーダ滓を再利用することができる。
本水硬性固化材を使用したモルタル中に、市販の鉄筋(φ5mm丸棒)を配置した常温養生モルタル直方体(4×3×16cm)を作製し、所定材令にてモルタルを壊し、鉄筋腐食現況を目視観察して腐食部面積比を求め、その結果を表26に示す。なお、モルタル配合は、塩素成分として塩化ナトリウム及び塩化カルシウムを添加した。これを、コンクリート配合に換算すると塩素イオン量として前者で約3.1kg/m、後者で3.2kg/mに相当する。同様に、セメントモルタル中に実施した比較例も併せて表26に示す。
本水硬性固化材を使用したモルタルでは、塩素含有量でコンクリート換算3kg/m程度でも材令40日まで未だ発錆はみられない。一方、セメントモルタルでは、塩素含有の場合、材令7日までに既にピンホール状の赤錆発生がみられ、材令に応じ漸増する傾向がうかがわれた。恐らく、ナトリウムアルカリ性が、カルシウムアルカリ性状に比較して鉄筋腐食抑制が有効であるものと判断される。

Claims (5)

  1. 20乃至50重量%のNaO成分と、35乃至65重量%のSiO成分とを含み、原料配合でのSiO成分とNaO成分とのモル比である設定S/Nが0.9乃至3.15になるよう、苛性ソーダとシリカ含有無機物粉末とを配合し、混合した後、加圧成形して固化材原料とし、前記固化材原料を130度乃至190度の温度の加圧蒸気下で所定時間養生した後、粉砕することを、特徴とする水硬性固化材の製造方法。
  2. 20乃至50重量%のNa O成分と、35乃至65重量%のSiO 成分とを含み、原料配合でのSiO 成分とNa O成分とのモル比である設定S/Nが0.9乃至3.15になるよう、苛性ソーダとシリカ含有無機物粉末とを配合し、混合した後、加圧成形して固化材原料とし、前記固化材原料を360度乃至450度の温度で所定時間加熱した後、粉砕することを、特徴とする水硬性固化材の製造方法。
  3. 前記シリカ含有無機物粉末は、廃ガラス、廃ケイ砂または天然シリカ質鉱物から成り、SiO含有量が70%以上であることを、特徴とする請求項1または2記載の水硬性固化材の製造方法。
  4. 粉砕した後、含水量が少なくとも20重量%以下になるよう脱水または乾燥させることを、特徴とする請求項1、2または3記載の水硬性固化材の製造方法。
  5. 請求項1、2、3または4記載の水硬性固化材の製造方法により水硬性固化材を製造した後、前記水硬性固化材とスラグとケイ石粉と骨材とを混合し、常温又は40℃乃至80℃で2乃至8時間、蒸気養生することを特徴とする耐酸性コンクリートの製造方法。
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