JP2007269583A - 耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材、耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材の製造方法、耐酸水硬性硬化体、耐酸水硬性硬化体の製造方法、耐酸水硬性硬化体用ガラス質硬化促進材および粉末状耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材 - Google Patents
耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材、耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材の製造方法、耐酸水硬性硬化体、耐酸水硬性硬化体の製造方法、耐酸水硬性硬化体用ガラス質硬化促進材および粉末状耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】設備費や原材料費を低減することができる耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材、耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材の製造方法、耐酸水硬性硬化体、耐酸水硬性硬化体の製造方法、耐酸水硬性硬化体用ガラス質硬化促進材および粉末状耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材を提供する。
【解決手段】炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウムを含む融剤に、SiO2成分とNa2O成分とのモル比S/Nが0.4以上1.44以下となるようSiO2成分を含む無機質粉末を配合して混合し、所定の温度で加熱して融解または半融解させた後、急速に冷やしてガラス化させる。このとき、S/Nが0.54以上1.27以下であることが特に好ましい。こうして製造された耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材と、高炉水滓と、シリカ質粉末と、骨材と、水とを混合した後、常温養生または蒸気養生して耐酸水硬性硬化体を製造する。
【選択図】なし
【解決手段】炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウムを含む融剤に、SiO2成分とNa2O成分とのモル比S/Nが0.4以上1.44以下となるようSiO2成分を含む無機質粉末を配合して混合し、所定の温度で加熱して融解または半融解させた後、急速に冷やしてガラス化させる。このとき、S/Nが0.54以上1.27以下であることが特に好ましい。こうして製造された耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材と、高炉水滓と、シリカ質粉末と、骨材と、水とを混合した後、常温養生または蒸気養生して耐酸水硬性硬化体を製造する。
【選択図】なし
Description
本発明は、耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材、耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材の製造方法、耐酸水硬性硬化体、耐酸水硬性硬化体の製造方法、耐酸水硬性硬化体用ガラス質硬化促進材および粉末状耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材に関する。
従来のガラス質の固化材として、水ガラススラグコンクリート用水ガラスがある(特許文献1参照)。特許文献1には、市販工業用水ガラスに主に苛性ソーダを添加して改質することにより、セメントコンクリート並みのコンクリートスラリー性状を確保することができ、既存のセメントコンクリート用設備を使用して、耐酸性に優れた耐酸コンクリートを製造可能であることが記載されている。また、耐酸コンクリートを構成するペースト硬化体組成物及びその水和硬化組織を解析・分析し、これらが耐酸性発現と密接に関連することが報告されている(特許文献2参照)。
特許文献1および2では、改質水ガラス及び市販高炉水滓が硬化発現主要構成材料であり、特に耐酸性に優れたケイ酸カルシウム水和物(平均CaO/SiO2モル比0.05〜0.5)の微細水和組織が耐酸性発現には必須要件であり、そのためには高炉水滓スラグも含めた多価陽イオン(CaO、Al2O3など)を含むガラス質粉末の水ガラスアルカリによる刺激がスタートとなることを解明した。
しかしながら、実際にコンクリート製品製造を事業化するに当り、溶液である改質水ガラス使用につき多くの問題点が出現した。すなわち、既存のセメントコンクリート製造設備においては、溶液系固化材(改質水ガラス)を使用するために、新たに搬入時の受入設備や、コンクリート配合時の計量設備等の設備が必要であり、設備費が嵩むという課題があった。また、水ガラススラグコンクリートでの工業用水ガラスが占める原料価格が、セメントコンクリートと比較して大幅に高いため、原材料費も嵩むという課題があった。
本発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、設備費や原材料費を低減することができる耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材、耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材の製造方法、耐酸水硬性硬化体、耐酸水硬性硬化体の製造方法、耐酸水硬性硬化体用ガラス質硬化促進材および粉末状耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材を提供することを目的としている。
水ガラススラグコンクリートは、単に水和反応性の鈍い市販スラグを所定のS/Nモル比に調整した改質水ガラスにして、コンクリート打設に必要なスラリー性状を確保した上で、スラグから溶解/溶質する多価陽イオンを水ガラス中溶質シリカが捕獲して水和硬化するものであり、溶質水ガラスが絶対必要条件とは限らない。このことから、本発明者は、古来無機質ケイ酸塩分析の試料前処理として用いられてきたいわゆるアルカリ溶融法を参考に本発明に着手し、本願発明に至った。
例えば、炭酸ナトリウム溶解法では、多くのケイ酸塩は4〜20倍の炭酸ナトリウムと混合し融解すると、ケイ酸(SiO2)はケイ酸ナトリウムとなって、水又は希酸に可溶となる。一方、金属元素は炭酸塩となり、酸に可溶となる。例えば、炭酸ナトリウム0.6gとシリカ質試料0.5gとを875℃で2時間、半融するだけで、多くのシリカ成分が分解することが知られている。この際、一般には炭酸ナトリウムが融解ガラスとして若干存在することも考慮しなければならない。但し、この狙いは融解物を塩酸処理で不溶化することにあることに注目しなければならない。一方、苛性ソーダによる融解は、炭酸ナトリウムより低温で融解し、更に強アルカリ水等での分解/溶解が大きいとされているが、酸化ナトリウムを介するので反応が激しいことに注意しなければならない。
本発明者の本願発明の狙いは、改質水ガラスを使用した水ガラススラグコンクリート並みの品質を確保した上での粉末耐酸性固化材を検討することを基本としている。即ち、コンクリートスラリーの性状を確保し、かつ強度等のコンクリート品質確保が重要である。更には、固化材のコストが、コンクリート配合で少なくとも改質水ガラスを大幅にクリアすることも重要である。これにより、本発明者は、改質水ガラスに匹敵する固体粉末固化材を、主に各種廃棄物を原料として製造し、耐酸性に優れた耐酸水硬性硬化体を製造することを目的として、本願発明に至った。
上記目的を達成するために、本発明に係る耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材は、SiO2成分とNa2O成分とのモル比S/Nが0.4以上1.42以下であることを、特徴とする。本発明に係る耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材の製造方法は、炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウムを含む融剤に、SiO2成分とNa2O成分とのモル比S/Nが0.4以上1.42以下となるようSiO2成分を含む無機質粉末を配合して混合し、所定の温度で加熱して融解または半融解させた後、急速に冷やしてガラス化させることを、特徴とする。
本発明に係る耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材は、モルタルやコンクリートなどの耐酸水硬性硬化体を製造するときに配合されることにより、実際に用いるのに十分な圧縮強度を有する耐酸水硬性硬化体を得ることができる。また、本発明に係る耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材の製造方法によれば、セメント用回転窯やガラス製造用の溶融窯などの既存の設備を使用して、本発明に係る耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材を製造することができ、設備費を低減することができる。SiO2成分を含む無機質粉末として、工業用水ガラスよりも安価な廃ガラスを使用することができるため、工業用水ガラスを使用する場合に比べて、原材料費を低減することができる。
SiO2成分を含む無機質粉末は、例えば、SiO2成分を90%以上含有するシリカヒュームや、SiO2成分を80%以上含有するケイ砂、SiO2成分を70%程度含有する市販のガラスや廃ガラス、SiO2成分を50%程度含有するフライアッシュなどから成っている。
本発明に係る耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材は、SiO2成分とNa2O成分とのモル比S/Nが0.54以上1.27以下であることが好ましい。この場合、本発明に係る耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材の製造方法は、炭酸ナトリウムを含む融剤に、SiO2成分とNa2O成分とのモル比S/Nが0.54以上1.27以下となるようSiO2成分を70%以上含有する無機質粉末を配合して混合し、900℃乃至1200℃の温度で加熱して融解または半融解させた後、急速に冷やしてガラス化させることを特徴とする。このS/Nの場合、特に圧縮強度が高い耐酸水硬性硬化体を得ることができる。
本発明に係る耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材の製造方法は、水酸化ナトリウムを含む融剤に、SiO2成分とNa2O成分とのモル比S/Nが0.75以上1.25以下となるようSiO2成分を含む無機質粉末を配合して混合し、600℃乃至1100℃の温度で加熱して融解または半融解させた後、急速に冷やしてガラス化させてもよい。この場合にも、製造される耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材を使用することにより、実際に用いるのに十分な圧縮強度を有する耐酸水硬性硬化体を得ることができる。
本発明に係る耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材の製造方法は、炭酸ナトリウムを含む融剤に、SiO2成分とNa2O成分とのモル比S/Nが0.4以上1.42以下となるようシリカヒュームを配合して混合し、900℃乃至1200℃の温度で加熱して融解または半融解させた後、急速に冷やしてガラス化させてもよい。また、炭酸ナトリウムを含む融剤に、SiO2成分とNa2O成分とのモル比S/Nが0.4以上1.42以下となるようケイ砂を配合して混合し、900℃乃至1200℃の温度で加熱して融解または半融解させた後、急速に冷やしてガラス化させてもよい。また、炭酸ナトリウムを含む融剤に、SiO2成分とNa2O成分とのモル比S/Nが0.54以上1.27以下となるよう廃ガラスを配合して混合し、900℃乃至1200℃の温度で加熱して融解または半融解させた後、急速に冷やしてガラス化させてもよい。また、炭酸ナトリウムを含む融剤に、SiO2成分とNa2O成分とのモル比S/Nが0.5以下となるようフライアッシュを配合して混合し、900℃乃至1200℃の温度で加熱して融解または半融解させた後、急速に冷やしてガラス化させてもよい。これらの場合にも、製造される耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材を使用することにより、実際に用いるのに十分な圧縮強度を有する耐酸水硬性硬化体を得ることができる。
本発明に係る耐酸水硬性硬化体は、本発明に係る耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材と、高炉水滓と、シリカ質粉末とを含むことを特徴とする。本発明に係る耐酸水硬性硬化体の製造方法は、本発明に係る耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材と、高炉水滓と、シリカ質粉末と、骨材と、水とを混合した後、常温養生または蒸気養生することを、特徴とする。特に、本発明に係る耐酸水硬性硬化体の製造方法は、本発明に係る耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材20乃至50重量部と、高炉水滓130乃至260重量部と、シリカ質粉末20乃至200重量部と、細骨材350乃至450、粗骨材700乃至1000重量部と、水65乃至140重量部とを混合した後、常温養生または蒸気養生することが好ましい。
本発明に係る耐酸水硬性硬化体は、本発明に係る耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材を含んでいるため、実際に用いるのに十分な圧縮強度を有している。また、本発明に係る耐酸水硬性硬化体の製造方法によれば、本発明に係る耐酸水硬性硬化体を製造することができる。
本発明に係る耐酸水硬性硬化体の製造方法は、混合の際に、さらに、酸洗い処理して乾燥させた酸処理シリカ質粉末を混合してもよい。特に、本発明に係る耐酸水硬性硬化体の製造方法は、混合の際に、さらに、5乃至30分間の酸洗い処理をして乾燥させた酸処理シリカ質粉末10乃至50重量部を混合してもよい。この場合、酸処理シリカ質粉末を混合することにより、製造される耐酸水硬性硬化体の圧縮強度を大きくすることができる。
本発明に係る耐酸水硬性硬化体用ガラス質硬化促進材は、SiO2成分とNa2O成分とのモル比S/Nが0.48以上1.42以下であることを、特徴とする。
本発明に係る耐酸水硬性硬化体用ガラス質硬化促進材は、打設直前のモルタルやコンクリートのスラリーに投入して混合することにより、耐酸水硬性硬化体の凝結時間を短縮することができる。本発明に係る耐酸水硬性硬化体用ガラス質硬化促進材は、特に凝結時間が短い本発明に係る耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材から成ることが好ましい。
本発明に係る耐酸水硬性硬化体用ガラス質硬化促進材は、打設直前のモルタルやコンクリートのスラリーに投入して混合することにより、耐酸水硬性硬化体の凝結時間を短縮することができる。本発明に係る耐酸水硬性硬化体用ガラス質硬化促進材は、特に凝結時間が短い本発明に係る耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材から成ることが好ましい。
本発明に係る粉末状耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材は、各粒子がガラス質の核と、前記核を被覆するシリカ質粉末とから成ることを特徴とする。
本発明に係る粉末状耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材は、ガラス質の核の原料となるガラス化原料をシリカ質粉末で被覆し、ガラス化原料のみを所定の温度で半融解させてガラス化させることにより、製造される。このとき、ガラス化原料をシリカ質粉末で被覆しているため、ガラス化原料が半融解しても、各粒子が互いに付着するのを防ぐことができる。本発明に係る粉末状耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材は、前述の本発明に係る耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材の製造方法により製造することができ、前述の本発明に係る耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材から成ることが好ましい。
本発明に係る粉末状耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材は、ガラス質の核の原料となるガラス化原料をシリカ質粉末で被覆し、ガラス化原料のみを所定の温度で半融解させてガラス化させることにより、製造される。このとき、ガラス化原料をシリカ質粉末で被覆しているため、ガラス化原料が半融解しても、各粒子が互いに付着するのを防ぐことができる。本発明に係る粉末状耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材は、前述の本発明に係る耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材の製造方法により製造することができ、前述の本発明に係る耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材から成ることが好ましい。
本発明によれば、設備費や原材料費を低減することができる耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材、耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材の製造方法、耐酸水硬性硬化体、耐酸水硬性硬化体の製造方法、耐酸水硬性硬化体用ガラス質硬化促進材および粉末状耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材を提供することができる。
耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材について、最適な材料およびS/Nモル比を検討するために、SiO2成分の含有量が異なる無機質粉末を使用して、以下の試験を行った。
なお、以下の試験では、それぞれ試作の粉末の耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材30重量部、市販の高炉水滓195重量部、シリカ質粉末65重量部、砂400重量部とし、混練水は出来るだけ少量のモルタル打設水量とした。直径5cm、高さ10cmのプラスチック製の簡易型枠でモルタル打設・成形した後、60℃にて保持時間4時間の蒸気養生をした後除冷し、圧縮強度として材令1日強度を測定した。さらに、モルタルスラリー挙動として、流動性を目視観察し、スラリー可使時間は凝結までの時間、硬化時間は脱型可能な時間として測定した。
なお、以下の試験では、それぞれ試作の粉末の耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材30重量部、市販の高炉水滓195重量部、シリカ質粉末65重量部、砂400重量部とし、混練水は出来るだけ少量のモルタル打設水量とした。直径5cm、高さ10cmのプラスチック製の簡易型枠でモルタル打設・成形した後、60℃にて保持時間4時間の蒸気養生をした後除冷し、圧縮強度として材令1日強度を測定した。さらに、モルタルスラリー挙動として、流動性を目視観察し、スラリー可使時間は凝結までの時間、硬化時間は脱型可能な時間として測定した。
シリカ質無機粉末は、ソーダ灰などの融剤と化学量論的に反応し、オルトケイ酸ナトリウム(Na4SiO4)やメタケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)を主要化学組成とするガラス組成を形成する。これらは水と容易に反応してオルトケイ酸(H4SiO4)やメタケイ酸(H2SiO3)などのシリカの加水物となり、SiO44面体の頂点酸素が共有されたいわゆる縮合ケイ酸イオンとなるが、これら縮合が多くなると水に不溶性のケイ酸塩になると理解される。特に、アルカリ金属元素のケイ酸塩は、水に可溶な特殊なケースと考えられる。
本願発明では、ソーダ灰使用が経済的に成り立たないオルトケイ酸塩は除いて、メタケイ酸塩を対象にすることとした。即ち、水溶解の化学量論的モデルとして、
2Na2SiO3+水 → Na2Si2O5+2NaOH
を経由して、{Si2O5}2−層が縮合ケイ酸イオンとなって多価陽イオンと結合し、薄膜状ケイ酸カルシウム水和物を生成すると想定する。特に、縮合ケイ酸イオンができるだけ単独に存在するような水可溶性ガラスを作成することがポイントと考えられる。
2Na2SiO3+水 → Na2Si2O5+2NaOH
を経由して、{Si2O5}2−層が縮合ケイ酸イオンとなって多価陽イオンと結合し、薄膜状ケイ酸カルシウム水和物を生成すると想定する。特に、縮合ケイ酸イオンができるだけ単独に存在するような水可溶性ガラスを作成することがポイントと考えられる。
シリカ源としての出発原料は、大別してSiO2結晶(石英など)、SiO2ガラス(シリカヒューム、市販ガラス、石炭灰(フライアッシュ)、各種スラグ)などが対象となるが、本願発明ではシリカ成分の含有量を考慮してシリカヒューム(SiO290%以上)、ケイ石(SiO280%以上)、市販ガラス(SiO270%程度)、そしてフライアッシュ(SiO2で50%程度)を出発原料として使用することにした。特に、ガラス質シリカ原料は、SiO44面体構造を基本とする無規則3次元網目構造が特徴であり、アルカリ酸化物やアルカリ土類酸化物を構造間中に網目修飾酸化物として介存させたSi−O結合を一部切断した非架橋酸素を含むものと言われている。このようなシリカ質出発原料をソーダ灰で融解又は半融解すると、非架橋酸素にナトリウム元素がイオン的(Na+)に作用し、SiO2/Na2Oモル比に対応して、局所的には水可溶性Na2SiO3組成(SiO2/Na2O=1.0近傍)が形成されるものと理解される。一方、本来ガラス中に網目修飾酸化物として存在するNa2O、CaOを囲むガラス、及びAl2O3等の中間酸化物を含むガラス周辺は、CaO・SiO2やNa2O・2CaO・3SiO2ガラスやアルミノケイ酸ナトリウム組成(例えばNaAlSi3O8やNa2Al2Si2O8)となり、水不溶性ガラスが生成するものと考えられる。
さらに、メタケイ酸ナトリウム組成以外での生成ガラスは、そのSiO2/Na2Oモル比に応じてモノケイ酸イオンやポリケイ酸塩(コロイドSiO2粒子)などの可溶性シリカ成分にそれぞれ溶解すると考えられる。
固化材の出発原料は、主に廃棄物再利用を目的とするものであり、ソーダ灰は、廃苛性ソーダ液やその灰さいである廃アルカリ利用を主眼としている。即ち、主成分は、最終的に炭酸ナトリウムとなり、基本的にはソーダ灰融剤作用と同じものと考えられる。
特に、これらの融解ガラスは、加熱温度でそのガラス構造も大きく影響され、特に、水可溶性は十分に検討されねばならない。
特に、これらの融解ガラスは、加熱温度でそのガラス構造も大きく影響され、特に、水可溶性は十分に検討されねばならない。
[ガラス化予備試験]
ガラス配合をシリカ原料に対し、融剤のソーダ灰を当重量部として配合し、十分混合した後、所定の温度で加熱して融解又は半融解させ、急速に冷やして急冷ガラスを作成し、ガラス化予備試験を行った。予備試験の試験結果を表1に示す。
ガラス配合をシリカ原料に対し、融剤のソーダ灰を当重量部として配合し、十分混合した後、所定の温度で加熱して融解又は半融解させ、急速に冷やして急冷ガラスを作成し、ガラス化予備試験を行った。予備試験の試験結果を表1に示す。
まず、シリカ含有量72%の廃ガラス原料で作成したガラス粉末(ブレーン値で2,000cm2/g程度)を、室温水及びプレキャストを想定した60℃温水中にて約4時間撹拌した後の溶解量(%)を測定し、その結果を表1の試作No.1〜No.5に示す。
溶解過程は、室温及び温水では異なり、ガラス化温度上昇に伴い前者の溶解量は減少し、かつ温水での合計溶解量も若干減少する傾向を示す。この結果は、以下の様に説明される。
溶解過程は、室温及び温水では異なり、ガラス化温度上昇に伴い前者の溶解量は減少し、かつ温水での合計溶解量も若干減少する傾向を示す。この結果は、以下の様に説明される。
1.ガラスの水溶解は、ガラス配合S/Nをもつガラスが全て溶解すると考えた計算結果(表1の計算値1)ではなく、実測した溶解量は次のようになる。
2.ガラス化は、S/N=1.0近傍の組成で進行し、シリカ成分過剰ではこれに対応するNa2O成分を消費し、シリカ成分は未反応として残存する。その結果、表1の計算値2で示す値となり、実測値を満足することが出来る。
2.ガラス化は、S/N=1.0近傍の組成で進行し、シリカ成分過剰ではこれに対応するNa2O成分を消費し、シリカ成分は未反応として残存する。その結果、表1の計算値2で示す値となり、実測値を満足することが出来る。
3.一方、ガラス化温度上昇に伴う溶解量減少は、特にガラス中に含有するCaO成分(一般に10%前後)の挙動を考慮して、以下の2つの場合が想定される。
比較的低温(1,200℃近傍)で生成するヴォラストナイト系(CaO・SiO2)ガラスの生成の場合、シリカの約10重量部を消費し、その結果溶解は66.3%程度に計算され、ガラス化温度上昇に伴う溶解量減少が説明される。
また、メタケイ酸ナトリウムの固溶体(Na2O、2CaO、3SiO2)としてCaOによるシリカの消費が想定され、この場合、溶解量は62.1%と計算される。
以上のモデル計算から、廃ガラスのようにシリカ以外の成分を含有する場合、そのガラス化過程は複雑に作用し、各々の場合につき検討する必要がある。
比較的低温(1,200℃近傍)で生成するヴォラストナイト系(CaO・SiO2)ガラスの生成の場合、シリカの約10重量部を消費し、その結果溶解は66.3%程度に計算され、ガラス化温度上昇に伴う溶解量減少が説明される。
また、メタケイ酸ナトリウムの固溶体(Na2O、2CaO、3SiO2)としてCaOによるシリカの消費が想定され、この場合、溶解量は62.1%と計算される。
以上のモデル計算から、廃ガラスのようにシリカ以外の成分を含有する場合、そのガラス化過程は複雑に作用し、各々の場合につき検討する必要がある。
4.次に、水溶解が常温及び加温水で異なる点について以下の様に考えられる。
表1の比較例No.1〜No.7に示すように、試薬メタケイ酸ナトリウム9水塩を各温度で仮焼・ガラス化し、廃ガラスの場合と同様に水溶解した結果を示す。
イ)ガラス化温度(200〜1,200℃)に関係なく、水溶解は、室温又は加温水に関係なくほぼ理論値(ほぼ100%)通り溶解する。これは、廃ガラス原料とソーダ灰とから生成したガラスの水溶解とは大きく異なる。
ロ)その理由は、恐らく化学成分(S/N=1.0)の違いよりも、ガラス生成に至る出発原料の構造の差によるものと考えられる。即ち、メタケイ酸ナトリウム9水塩の構造(斜方晶系類似)が結晶性を持ち(恐らく局所的構造)、加熱しガラス化されても、元の構造が保存されるためと考えられる。一方、廃ガラス原料とソーダ灰とから生成したガラスは、出発原料中に廃ガラス構造が残され(特に網目修飾イオン群)、室温での水溶解は結合の弱い部分、そして加温水では結合の強い部分の溶解によることがその理由と考えられる。換言すれば、室温水・加温水での溶解は、ガラス構造(メタケイ酸ナトリウム組成)が均質の場合はその差は見られず、不均質性が増大するとその差が見られてくると考えられる。以降、室温溶解を一段目溶解、加温水溶解を二段目溶解と称し、これを二段溶解と称す。
(ハ)特に、ガラス固化材として使用する場合、溶解挙動は重要で、コンクリート打設時は、可使時間(コンクリートスラリー挙動)を必要とし、二段溶解するガラスは極めて有効と考えられる。
表1の比較例No.1〜No.7に示すように、試薬メタケイ酸ナトリウム9水塩を各温度で仮焼・ガラス化し、廃ガラスの場合と同様に水溶解した結果を示す。
イ)ガラス化温度(200〜1,200℃)に関係なく、水溶解は、室温又は加温水に関係なくほぼ理論値(ほぼ100%)通り溶解する。これは、廃ガラス原料とソーダ灰とから生成したガラスの水溶解とは大きく異なる。
ロ)その理由は、恐らく化学成分(S/N=1.0)の違いよりも、ガラス生成に至る出発原料の構造の差によるものと考えられる。即ち、メタケイ酸ナトリウム9水塩の構造(斜方晶系類似)が結晶性を持ち(恐らく局所的構造)、加熱しガラス化されても、元の構造が保存されるためと考えられる。一方、廃ガラス原料とソーダ灰とから生成したガラスは、出発原料中に廃ガラス構造が残され(特に網目修飾イオン群)、室温での水溶解は結合の弱い部分、そして加温水では結合の強い部分の溶解によることがその理由と考えられる。換言すれば、室温水・加温水での溶解は、ガラス構造(メタケイ酸ナトリウム組成)が均質の場合はその差は見られず、不均質性が増大するとその差が見られてくると考えられる。以降、室温溶解を一段目溶解、加温水溶解を二段目溶解と称し、これを二段溶解と称す。
(ハ)特に、ガラス固化材として使用する場合、溶解挙動は重要で、コンクリート打設時は、可使時間(コンクリートスラリー挙動)を必要とし、二段溶解するガラスは極めて有効と考えられる。
以上の試作No.1〜No.5の予備試験を基に、特にソーダ灰が過剰に配合された場合及び過剰でない場合につき検討し、表2に示す。表2では、ソーダ灰が過剰に配合された場合を試作No.1〜3に、過剰でない場合を試作No.4〜6に示す。但し、溶解は、すべて加温水中にて行った。表2には、ガラス配合別(ガラス化温度1,000℃)での、ガラスが全て溶解すると考えた場合の計算値、及び、ガラスがS/N=1.0組成で生成すると考え、過剰のソーダ灰が存在する場合はソーダ灰ガラスとなり、過剰でない場合はシリカ成分を未反応として計算した場合の算出結果を示す。
単にSiO2とソーダ灰中のNa2Oとで、それぞれS/Nの異なるガラス化になることは、実測値と比較して十分に説明できるものではないことは既に述べた。一方、S/N=1.0組成ガラス生成し、過剰のソーダ灰は溶解性成分として混存するという考えは、溶解計算値から、ソーダ灰配合が減少配合での説明は良い傾向が見られるが、数値的に溶解10%程度の誤差を含むものと理解される。
これは、シリカ成分が廃ガラス中に含有するCaO成分とともに、融解時に比較的低温(1,200℃以下)で生成(ガラス)するCaO・SiO2(いわゆるヴォラストナイト)や、Na2O・2CaO・3SiO2(メタケイ酸ナトリウムのCaO固溶体)ガラスなどの不溶性物質を生成することにより、シリカ成分が固定/消費されて溶解性が低下するためである。例えば、試作No.4のヴォラストナイト組成の場合、ガラス中シリカを約10重量部固定するため、溶解は76.5%となり、ほぼ実測値に近い値となる。また、メタケイ酸ナトリウム固溶体ガラス生成では、ガラス中シリカを16重量部消費するため、溶出量は約74%と計算される。
以上の結果から、廃ガラス原料のガラス化とは、
1)S/N=1.0組成近似ガラスが生成する。
2)他に、CaO等と反応するため、シリカ成分が消費され溶解は低下する。このとき、ガラスS/Nは若干低下すると考えられる。
以上の結果から、廃ガラス原料のガラス化とは、
1)S/N=1.0組成近似ガラスが生成する。
2)他に、CaO等と反応するため、シリカ成分が消費され溶解は低下する。このとき、ガラスS/Nは若干低下すると考えられる。
次に、シリカを95%含有し、高純度で、かつ、平均1μm程の微粒子であるシリカヒュームを用いたガラス作成について、表1の試作No.6〜No.8に示す。
水溶解挙動は二段溶解であり、かつ、溶解量はガラス設計S/Nモル比に応じて全溶する。これは、前述した廃ガラスでの説明とは大きく異なっている。即ち、ガラス化はS/N=1.0近傍で進行すると考えて溶解量を計算すると、表中に示す様に72.6%となる。この結果は、以下の様に説明される。
水溶解挙動は二段溶解であり、かつ、溶解量はガラス設計S/Nモル比に応じて全溶する。これは、前述した廃ガラスでの説明とは大きく異なっている。即ち、ガラス化はS/N=1.0近傍で進行すると考えて溶解量を計算すると、表中に示す様に72.6%となる。この結果は、以下の様に説明される。
イ)メタケイ酸ナトリウムの水との反応式によると、以下の化学量論式がモデルとして想定される。
2Na2O・SiO3+水 → Na2Si2O9+2NaOH
ここで、ガラス化はS/N=1.0近傍で進行し、未反応シリカを約15〜16重量部残すが、上式の反応から溶出/生成するナトリウムアルカリ成分(NaOH)が、このシリカ成分と反応し、可溶性化し、結果的には二段溶解となると考えられる。但し、一段目の溶解は、Na2Si2O9の縮合ケイ酸イオン化も併せて進行するので、計算から求めることは困難である。
ロ)以上の溶解挙動は、シリカ原料が特に微粒子であることに原因し、実用的な固化材とするには、その原料コスト等から十分検討する必要がある。
2Na2O・SiO3+水 → Na2Si2O9+2NaOH
ここで、ガラス化はS/N=1.0近傍で進行し、未反応シリカを約15〜16重量部残すが、上式の反応から溶出/生成するナトリウムアルカリ成分(NaOH)が、このシリカ成分と反応し、可溶性化し、結果的には二段溶解となると考えられる。但し、一段目の溶解は、Na2Si2O9の縮合ケイ酸イオン化も併せて進行するので、計算から求めることは困難である。
ロ)以上の溶解挙動は、シリカ原料が特に微粒子であることに原因し、実用的な固化材とするには、その原料コスト等から十分検討する必要がある。
以上の予備試験結果及び比較例から、固化材としてのガラス化条件とは、
(1)ガラス化配合条件に関係なく、S/N=1.0近傍の化学組成でメタケイ酸ナトリウム組成を持つガラスを、少なくとも融剤の溶融温度以上の加熱条件で作成することができる。融剤は、ソーダ灰が有効である。
(2)ガラスの水溶解は、二段溶解することが特徴であり、その本質は、ガラスの一段目溶解に伴うナトリウムアルカリ溶出であり、二段目溶解は、縮合ケイ酸イオン化である。
(3)シリカ原料にシリカ以外の不純物成分を含む場合は、シリカ成分を消費し不溶性ガラス組成物を生成する。特に、ガラス化温度上昇はこの効果を大きくし、結果として水溶解性を低下させる。
(4)よって、固化材用ガラスとは、出発シリカ原料の構造を大きく反映したS/N=1.0近傍のメタケイ酸ナトリウム組成を持つものと考えられる。他に、ソーダ灰成分のガラスも混在する。
(1)ガラス化配合条件に関係なく、S/N=1.0近傍の化学組成でメタケイ酸ナトリウム組成を持つガラスを、少なくとも融剤の溶融温度以上の加熱条件で作成することができる。融剤は、ソーダ灰が有効である。
(2)ガラスの水溶解は、二段溶解することが特徴であり、その本質は、ガラスの一段目溶解に伴うナトリウムアルカリ溶出であり、二段目溶解は、縮合ケイ酸イオン化である。
(3)シリカ原料にシリカ以外の不純物成分を含む場合は、シリカ成分を消費し不溶性ガラス組成物を生成する。特に、ガラス化温度上昇はこの効果を大きくし、結果として水溶解性を低下させる。
(4)よって、固化材用ガラスとは、出発シリカ原料の構造を大きく反映したS/N=1.0近傍のメタケイ酸ナトリウム組成を持つものと考えられる。他に、ソーダ灰成分のガラスも混在する。
次に、ソーダ灰過剰配合について、廃ガラスの場合と同様に、シリカヒュームを原料とし、900℃にてガラス化した結果を表3に示す。SiO2の全ては、ソーダ灰中Na2O成分とともに所定のS/Nモル比のガラスを生成するとした計算値、及び、S/N=1.0モル比のガラスが生成し、ソーダ灰が過剰の場合(表3の試作No.1〜3)Na2CO3ガラスとして存在し、ソーダ灰が不足の場合(表3の試作No.4〜5)シリカを未反応で残す、という考えで計算した溶解の結果を、実測値とともに示す。
SiO2成分の全てがソーダ灰中Na2Oと反応し、S/N設定モル比別にガラスが生成するとした場合、その溶解性は98〜97%となり、殆ど変わらない。この考えは、実際の溶出結果を説明するには少々不都合である。一方、S/N=1.0近傍でガラスを生成し、ソーダ灰過剰の場合、Na2CO3ガラスとして混在し、不足の場合、シリカを未反応として残すという計算結果は、ほぼ実測した溶解性を説明する。この場合、例えばAl2O3やFe2O3などのSiO2以外の成分は、ソーダ灰を消費してガラスとして一部生成するものとした。(但し、ソーダ灰の消費は後述するモルタル強度から推測した。)但し、シリカヒュームを出発原料とするガラスの未反応シリカは、恐らく非晶質微粒子のため、溶出するナトリウムアルカリで容易に可溶化すると考えられる。なお、SiO2含有量が80%のケイ石粉も、シリカヒュームとほぼ同じ事が確かめられた。
以上のことから、比較的高純度のSiO2成分とソーダ灰のガラス化とは、
1)S/N=1.0近傍でのガラス化となり、添加するソーダ灰中Na2O量に応じて、過剰ではNa2CO3ガラス、不足では未反応シリカと共存するものである。
と考えられる。但し、シリカ原料のSiO2純度は、80%以上が必要である。
以上のことから、比較的高純度のSiO2成分とソーダ灰のガラス化とは、
1)S/N=1.0近傍でのガラス化となり、添加するソーダ灰中Na2O量に応じて、過剰ではNa2CO3ガラス、不足では未反応シリカと共存するものである。
と考えられる。但し、シリカ原料のSiO2純度は、80%以上が必要である。
[耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材による試作試験]
以上の結果から、改質水ガラス代替とする粉末系固化材の作成は、シリカ源原料の純度S/Nモル比、およびガラス化温度をパラメータとして実施することとし、更にモルタル打設を行って強度発現で判定することとした。なお、モルタルの品質は、少なくとも1時間以上の可使時間を確保し、材令1日の圧縮強度は少なくとも40N/mm2以上とする。
以上の結果から、改質水ガラス代替とする粉末系固化材の作成は、シリカ源原料の純度S/Nモル比、およびガラス化温度をパラメータとして実施することとし、更にモルタル打設を行って強度発現で判定することとした。なお、モルタルの品質は、少なくとも1時間以上の可使時間を確保し、材令1日の圧縮強度は少なくとも40N/mm2以上とする。
比較的高含有量のシリカ原料として、シリカヒュームおよびケイ砂を用い、比較的低含有量のシリカ原料として、廃ガラスダストおよびフライアッシュ(石炭灰)を用いて、以下試作試験を実施した。なお、SiO2含有量は、シリカヒュームが95%、ケイ砂が80%、廃ガラスダストが72%、フライアッシュが50%である。
融剤としての市販ソーダ灰の使用は、固化材としての原料コストを考慮して、S/N=0.4程度とし、ソーダ灰の最小使用は、ガラス化条件とした。なお、ガラス化温度は、実機製造時の制約条件から1,200℃を上限とした。
融剤としての市販ソーダ灰の使用は、固化材としての原料コストを考慮して、S/N=0.4程度とし、ソーダ灰の最小使用は、ガラス化条件とした。なお、ガラス化温度は、実機製造時の制約条件から1,200℃を上限とした。
[耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材による試作試験−その1.シリカヒュームの場合]
シリカヒュームをシリカ原料とした場合の試作試験結果を、表4に示す。但し、シリカヒュームは高純度、超微粒子(1ミクロン程度)である高価で特殊な原料であり、実用的ではないことを指摘しておく。なお、表中の流動性は×:スランプゼロ相当、△:スランプ8〜10cm相当、○:10〜15cm相当である。
シリカヒュームをシリカ原料とした場合の試作試験結果を、表4に示す。但し、シリカヒュームは高純度、超微粒子(1ミクロン程度)である高価で特殊な原料であり、実用的ではないことを指摘しておく。なお、表中の流動性は×:スランプゼロ相当、△:スランプ8〜10cm相当、○:10〜15cm相当である。
表4に示すように、
イ)S/Nモル比0.475から1.42の範囲において、ガラス化温度900℃以上1,200℃まで、40N/mm2以上のモルタル強度が得られ、特にS/N=1.0近傍では、900〜1,100℃で、ガラス化温度が80N/mm2程度の高強度固化材料となることが確かめられた。
ロ)ガラス化温度が900℃以下では半融解状態となり、ソーダ灰分解温度825℃が下限温度である。
ハ)モルタル可使時間の1時間以上確保は、全てのガラス作成条件で得られない。即ち、シリカ成分高純度原料は、モルタル/コンクリート用固化材として使用するには問題があるものと考えられる。
イ)S/Nモル比0.475から1.42の範囲において、ガラス化温度900℃以上1,200℃まで、40N/mm2以上のモルタル強度が得られ、特にS/N=1.0近傍では、900〜1,100℃で、ガラス化温度が80N/mm2程度の高強度固化材料となることが確かめられた。
ロ)ガラス化温度が900℃以下では半融解状態となり、ソーダ灰分解温度825℃が下限温度である。
ハ)モルタル可使時間の1時間以上確保は、全てのガラス作成条件で得られない。即ち、シリカ成分高純度原料は、モルタル/コンクリート用固化材として使用するには問題があるものと考えられる。
[耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材による試作試験−その2.ケイ砂の場合]
シリカ純度は80%程度の水洗したケイ砂(市販5号ケイ砂)を出発原料とした試作試験結果を、表5に示す。なお、モルタル作成時の水/固化材(ガラス+スラグ)比は0.467であり、シリカヒューム源固化材より約10%程増量となっている。
シリカ純度は80%程度の水洗したケイ砂(市販5号ケイ砂)を出発原料とした試作試験結果を、表5に示す。なお、モルタル作成時の水/固化材(ガラス+スラグ)比は0.467であり、シリカヒューム源固化材より約10%程増量となっている。
表5に示すように、
イ)S/Nモル比0.40〜1.20、ガラス化温度900〜1,200℃の範囲で、モルタル強度はほぼ40N/mm2以上となったが、60N/mm2〜70N/mm2の高強度は、S/N=0.80で1,100〜1,200℃ガラス化温度のみであった。これはシリカヒューム原料ガラスと比較し、原料中のシリカ含有量を反映しているためと理解される。
ロ)ガラス溶出量は、シリカヒューム原料と同様、S/N比に応じたガラスでほぼSiO2含有量に対応して溶出している。その結果、モルタル可使時間を確保できるガラス化条件は、S/N=1.20、温度は1,000℃以上のみであった。シリカヒュームと比較し、シリカ原料の純度が80%と若干低下したことがその理由と考えられる。但し、モルタル強度は50N/mm2程度であった。
ハ)ガラス化温度の下限は、シリカヒュームの場合同様900℃と考えられる。
ニ)シリカ原料中での主にAl2O3やFe2O3などの不純物がガラス化に与える不都合は、ソーダ灰がこれら不純物に消費され、結果的にはメタケイ酸ソーダガラス生成量が低下することにあると考えられる。仮定として、添加したソーダ灰の35重量部程度が消費されるものと考えられる。
イ)S/Nモル比0.40〜1.20、ガラス化温度900〜1,200℃の範囲で、モルタル強度はほぼ40N/mm2以上となったが、60N/mm2〜70N/mm2の高強度は、S/N=0.80で1,100〜1,200℃ガラス化温度のみであった。これはシリカヒューム原料ガラスと比較し、原料中のシリカ含有量を反映しているためと理解される。
ロ)ガラス溶出量は、シリカヒューム原料と同様、S/N比に応じたガラスでほぼSiO2含有量に対応して溶出している。その結果、モルタル可使時間を確保できるガラス化条件は、S/N=1.20、温度は1,000℃以上のみであった。シリカヒュームと比較し、シリカ原料の純度が80%と若干低下したことがその理由と考えられる。但し、モルタル強度は50N/mm2程度であった。
ハ)ガラス化温度の下限は、シリカヒュームの場合同様900℃と考えられる。
ニ)シリカ原料中での主にAl2O3やFe2O3などの不純物がガラス化に与える不都合は、ソーダ灰がこれら不純物に消費され、結果的にはメタケイ酸ソーダガラス生成量が低下することにあると考えられる。仮定として、添加したソーダ灰の35重量部程度が消費されるものと考えられる。
[耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材による試作試験−その3.廃ガラスダストの場合]
シリカ含有量が比較的低品位である廃ガラスダストを出発原料とした試作試験結果を、表6に示す。廃ガラスダストは、資源再利用としてビン廃棄物回収されたものである。なお、SiO2成分の平均含有量は72%である。モルタル作製時の水/固化材比は0.467であった。
シリカ含有量が比較的低品位である廃ガラスダストを出発原料とした試作試験結果を、表6に示す。廃ガラスダストは、資源再利用としてビン廃棄物回収されたものである。なお、SiO2成分の平均含有量は72%である。モルタル作製時の水/固化材比は0.467であった。
表6に示すように、
イ)S/Nモル比0.54〜1.44、ガラス化温度900〜1,200℃の範囲でのモルタル強度は、S/Nモル比とガラス化温度とで大きく異なっていることが特徴である。即ち、40N/mm2以下の低強度は、900℃での全てのS/Nモル比領域、S/N=1.44での全温度域、S/N=1.26での1,200℃、そしてS/N=0.54での1,200℃で見られる。
ロ)特に、900℃ガラス化温度は、全てのS/Nモル比に対しほぼ40N/mm2以下であり、少なくともガラス化温度は900℃以上が必要である。
ハ)S/Nが1.26〜1.44域での強度低下は、主にガラス溶出(60℃)量低下に伴うものであり、シリカ成分が低下する原料でのS/N設定は重要である。
ニ)但し、廃ガラス使用固化材の特徴は、モルタル可使時間の確保が容易であり、その強度として50〜60N/mm2が期待出来る。即ち、ガラス組成がメタケイ酸ナトリウム組成近傍となっており、特にS/N=1.0以下では不溶性ガラス組成物が介在することでモルタル可使時間が確保されると考えられる。化学量論的には、S/N=1.0近傍のメタケイ酸ナトリウム組成物の5〜6重量部のシリカ成分が、常温で溶出するNa2Oを捕獲してスラグのアルカリ刺激を緩和しているものと考えられる。結論として、廃ガラスを使用してガラス作成する際、メタケイ酸ナトリウム組成で全てのNa2O成分を使用し、ガラス中のシリカ成分を残存させることが可使時間確保には有効な方法といえよう。
ホ)強度発現は、ガラス作成時のシリカ含有量をほぼ反映している。
イ)S/Nモル比0.54〜1.44、ガラス化温度900〜1,200℃の範囲でのモルタル強度は、S/Nモル比とガラス化温度とで大きく異なっていることが特徴である。即ち、40N/mm2以下の低強度は、900℃での全てのS/Nモル比領域、S/N=1.44での全温度域、S/N=1.26での1,200℃、そしてS/N=0.54での1,200℃で見られる。
ロ)特に、900℃ガラス化温度は、全てのS/Nモル比に対しほぼ40N/mm2以下であり、少なくともガラス化温度は900℃以上が必要である。
ハ)S/Nが1.26〜1.44域での強度低下は、主にガラス溶出(60℃)量低下に伴うものであり、シリカ成分が低下する原料でのS/N設定は重要である。
ニ)但し、廃ガラス使用固化材の特徴は、モルタル可使時間の確保が容易であり、その強度として50〜60N/mm2が期待出来る。即ち、ガラス組成がメタケイ酸ナトリウム組成近傍となっており、特にS/N=1.0以下では不溶性ガラス組成物が介在することでモルタル可使時間が確保されると考えられる。化学量論的には、S/N=1.0近傍のメタケイ酸ナトリウム組成物の5〜6重量部のシリカ成分が、常温で溶出するNa2Oを捕獲してスラグのアルカリ刺激を緩和しているものと考えられる。結論として、廃ガラスを使用してガラス作成する際、メタケイ酸ナトリウム組成で全てのNa2O成分を使用し、ガラス中のシリカ成分を残存させることが可使時間確保には有効な方法といえよう。
ホ)強度発現は、ガラス作成時のシリカ含有量をほぼ反映している。
[耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材による試作試験−その4.フライアッシュの場合]
シリカ含有量が高々50%程度の低品位であるフライアッシュ(石炭灰)を出発原料とした試作試験結果を、表7に示す。S/Nモル比が0.5〜1.75、ガラス化温度が900〜1,200℃で、ガラスを試作した。なお、S/N=0.5以下は、ソーダ灰を大量に使用するので、その経済性から除外した。フライアッシュは、大量に廃棄物として存在しており、いわゆるセメント用フライアッシュとは異なるものである。フライアッシュは、Al2O3成分を約20%程を含むことが特徴である。モルタルの水/固化材比は、0.467であった。
シリカ含有量が高々50%程度の低品位であるフライアッシュ(石炭灰)を出発原料とした試作試験結果を、表7に示す。S/Nモル比が0.5〜1.75、ガラス化温度が900〜1,200℃で、ガラスを試作した。なお、S/N=0.5以下は、ソーダ灰を大量に使用するので、その経済性から除外した。フライアッシュは、大量に廃棄物として存在しており、いわゆるセメント用フライアッシュとは異なるものである。フライアッシュは、Al2O3成分を約20%程を含むことが特徴である。モルタルの水/固化材比は、0.467であった。
表7に示すように、
イ)ガラスは全ての条件で作成可能であるが、S/N=0.5、ガラス化温度が1,000〜1,200℃でのみ、ほぼ40N/mm2程度のモルタル強度となった。また、モルタル可使時間も十分に確保できた。
ロ)ガラスの加温水60℃での水溶出は、ガラス化温度に関係なくS/N=0.75以上で直線的に大幅に減少し、結果として著しく強度発現が抑えられる。この理由は、例えば、S/N=0.5、1,000℃でのガラス化の可溶量が約58%であることから、ガラス中の可溶性部分のS/Nは0.76となり、少なくとも全Na2O成分の36%はフライアッシュ中のシリカ以外の成分と不溶性ガラスを作っていると算出される。
ハ)S/N=0.75、1,000℃でのガラス化溶出が38%の場合も、S/N=0.75のガラスが可溶化となり、逆に未ガラス化シリカが50%も残存する。従って、約50%もの強度低下となり、実測値をほぼ満足する。
ニ)フライアッシュを可溶性ガラスとするには、シリカ成分に対し、S/N=0.5程度の融剤を多量に必要とし、極めてコスト的に高価となり、実用的ではない。
イ)ガラスは全ての条件で作成可能であるが、S/N=0.5、ガラス化温度が1,000〜1,200℃でのみ、ほぼ40N/mm2程度のモルタル強度となった。また、モルタル可使時間も十分に確保できた。
ロ)ガラスの加温水60℃での水溶出は、ガラス化温度に関係なくS/N=0.75以上で直線的に大幅に減少し、結果として著しく強度発現が抑えられる。この理由は、例えば、S/N=0.5、1,000℃でのガラス化の可溶量が約58%であることから、ガラス中の可溶性部分のS/Nは0.76となり、少なくとも全Na2O成分の36%はフライアッシュ中のシリカ以外の成分と不溶性ガラスを作っていると算出される。
ハ)S/N=0.75、1,000℃でのガラス化溶出が38%の場合も、S/N=0.75のガラスが可溶化となり、逆に未ガラス化シリカが50%も残存する。従って、約50%もの強度低下となり、実測値をほぼ満足する。
ニ)フライアッシュを可溶性ガラスとするには、シリカ成分に対し、S/N=0.5程度の融剤を多量に必要とし、極めてコスト的に高価となり、実用的ではない。
以上の結果に基づくと、耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材としての製造条件及びその使用については、以下の様になる。
1)シリカ原料として、SiO2の含有が少なくとも80%程度以上のものを使用して融剤ソーダ灰で融解又は半融解して耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材を作成するには、そのS/Nモル比を0.40〜1.42の範囲とし、ガラス化温度を少なくとも900℃以上とする必要がある。但し、95%程度の高純度原料では、S/N=1.42で1,200℃以外で、モルタル打設時の可使時間が20分以下と極めて短いことが特徴である。更に80%程度での純度でも、若干可使時間が(30分程度)伸びるものもあるが、速硬型固化が特徴である。この場合、表4に示すように、40N/mm2以上のモルタル強度得られ、実際に用いるのに十分な圧縮強度を有する耐酸水硬性硬化体を得ることができる。
2)このような耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材は、いわゆる生コン打設では使用に問題がある。2段打設工法用の硬化促進材としての使用が有望である。
3)シリカ含有量が70%程度のシリカ原料を用いる場合、S/Nモル比が0.54〜1.26、ガラス化温度900〜1,200℃の範囲で、少なくとも30分以上の可使時間の確保が自在であり、かつ強度発現も40N/mm2近傍以上と、圧縮強度が高い耐酸水硬性硬化体を得ることができ、良好な耐酸性固化材となる。但し、ガラス化温度は900℃以上が望ましい。このように、SiO2成分を含む無機質粉末として、工業用水ガラスよりも安価な廃ガラスを使用することができるため、工業用水ガラスを使用する場合に比べて、原材料費を低減することができる。
4)シリカ含有量が50%程度と劣品位な原料使用では、シリカ含有に注目したS/Nモル比は0.5程度が限界であり、特別の目的以外はコスト的に割高な製法である。
1)シリカ原料として、SiO2の含有が少なくとも80%程度以上のものを使用して融剤ソーダ灰で融解又は半融解して耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材を作成するには、そのS/Nモル比を0.40〜1.42の範囲とし、ガラス化温度を少なくとも900℃以上とする必要がある。但し、95%程度の高純度原料では、S/N=1.42で1,200℃以外で、モルタル打設時の可使時間が20分以下と極めて短いことが特徴である。更に80%程度での純度でも、若干可使時間が(30分程度)伸びるものもあるが、速硬型固化が特徴である。この場合、表4に示すように、40N/mm2以上のモルタル強度得られ、実際に用いるのに十分な圧縮強度を有する耐酸水硬性硬化体を得ることができる。
2)このような耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材は、いわゆる生コン打設では使用に問題がある。2段打設工法用の硬化促進材としての使用が有望である。
3)シリカ含有量が70%程度のシリカ原料を用いる場合、S/Nモル比が0.54〜1.26、ガラス化温度900〜1,200℃の範囲で、少なくとも30分以上の可使時間の確保が自在であり、かつ強度発現も40N/mm2近傍以上と、圧縮強度が高い耐酸水硬性硬化体を得ることができ、良好な耐酸性固化材となる。但し、ガラス化温度は900℃以上が望ましい。このように、SiO2成分を含む無機質粉末として、工業用水ガラスよりも安価な廃ガラスを使用することができるため、工業用水ガラスを使用する場合に比べて、原材料費を低減することができる。
4)シリカ含有量が50%程度と劣品位な原料使用では、シリカ含有に注目したS/Nモル比は0.5程度が限界であり、特別の目的以外はコスト的に割高な製法である。
次に、耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材の実機プラントを想定した製造法につき若干言及する。原料調合・混合及びガラス粉砕・粉末化は省略して、主にガラス化につきその製造法を述べる。
イ)融解ガラスの製造は、既存のガラス製造用各種溶融窯(1,100〜1,400℃常用運転)の利用が問題ないものと考えられる。
ロ)半融解ガラスでの量産化プロセスとして、セメント用回転窯の利用が有効と考えられる。即ち、シリカ質原料、ソーダ灰、水を加え、ガラス化原料として造粒機で一旦造粒し、次にこの表面をシリカ質粉末で再造粒し、2重造粒体としてセメント用回転窯にて所定の温度でガラス化原料部のみを半融解し、耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材とする。これを粉砕して、耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材及びシリカ質原料として使用する。
ハ)半融解ガラスの量産化製造法としては、ガラス化原料配合物を一旦フレーク状に加圧・成形し、シリカ質粉末と共に回転窯にて所定の温度でガラス化を狙う。この際、フレーク部分は、表面をシリカ質粉末で覆うことでフレーク相互の融解/付着を防止することを狙う。万が一、フレーク同士が付着・凝集化しても回転窯の回転で解滓が期待される。
ニ)融剤として苛性ソーダ水溶液を用いる場合にも、上記ロ)〜ハ)を同様に行う。恐らく比較的低温(600℃前後)で行うので、著しい付着・凝集は抑えられると考えられる。
イ)融解ガラスの製造は、既存のガラス製造用各種溶融窯(1,100〜1,400℃常用運転)の利用が問題ないものと考えられる。
ロ)半融解ガラスでの量産化プロセスとして、セメント用回転窯の利用が有効と考えられる。即ち、シリカ質原料、ソーダ灰、水を加え、ガラス化原料として造粒機で一旦造粒し、次にこの表面をシリカ質粉末で再造粒し、2重造粒体としてセメント用回転窯にて所定の温度でガラス化原料部のみを半融解し、耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材とする。これを粉砕して、耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材及びシリカ質原料として使用する。
ハ)半融解ガラスの量産化製造法としては、ガラス化原料配合物を一旦フレーク状に加圧・成形し、シリカ質粉末と共に回転窯にて所定の温度でガラス化を狙う。この際、フレーク部分は、表面をシリカ質粉末で覆うことでフレーク相互の融解/付着を防止することを狙う。万が一、フレーク同士が付着・凝集化しても回転窯の回転で解滓が期待される。
ニ)融剤として苛性ソーダ水溶液を用いる場合にも、上記ロ)〜ハ)を同様に行う。恐らく比較的低温(600℃前後)で行うので、著しい付着・凝集は抑えられると考えられる。
このように、粉末状耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材は、各粒子がガラス質の核と、前記核を被覆するシリカ質粉末とから成っており、ガラス質の核の原料となるガラス化原料をシリカ質粉末で被覆し、ガラス化原料のみを所定の温度で半融解させてガラス化させることにより、製造される。このとき、ガラス化原料をシリカ質粉末で被覆しているため、ガラス化原料が半融解しても、各粒子が互いに付着するのを防ぐことができる。また、セメント用回転窯やガラス製造用の溶融窯などの既存の設備を使用して、耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材を製造することができ、設備費を低減することができる。
廃ガラスをシリカ源とし、融剤としてソーダ灰を用い、S/N=1.27となるように配合し、これを1,100℃にて融解後、急冷してガラス化し、粉砕して耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材粉末とした。この耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材の量を変えてコンクリートを打設し、60℃で4時間の蒸気養生後、除冷してプレキャスト製品とした。なお、コンクリートの配合は、耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材0乃至50重量部と、高炉水滓195重量部と、シリカ質粉末15乃至65重量部と、砂400重量部と、砂利800重量部と、水94重量部とから成っている。コンクリート配合は、水/固化材比ができるだけ一定となるように、(固化材+シリカ粉末)重量部を配合した。
打設されたコンクリートの性状や品質を調べ、表8に示す。なお、固化材の溶解は、60℃の温水中で73.4%であった。表8の温度上昇は、室温(材料温度)からのコンクリート打設時の温度上昇である。
打設されたコンクリートの性状や品質を調べ、表8に示す。なお、固化材の溶解は、60℃の温水中で73.4%であった。表8の温度上昇は、室温(材料温度)からのコンクリート打設時の温度上昇である。
表8に示すように、試作No.1は、固化材添加ゼロの場合、即ちスラグ硬化のみであり、全く硬化は見られない。試作No.2〜No.6は、固化材の配合を増量した場合であり、少なくとも実際に用いるのに十分なコンクリート強度を発現させるには、20重量部以上40重量部程度までの固化材が必要であり、50重量部以上では強度的には効果は見られない。モルタル試験例で見られたスラリー温度の上昇は、コンクリートにおいては殆ど見られない。
可使時間は、固化材の配合に関係なく、2時間程度確保でき、かつコンクリート強度もほぼ40N/mm2をクリアすることが確かめられた。これは、試作No.7で示す溶液型改質水ガラス(S/N=2.30)使用のコンクリート強度より約10N/mm2ほど低下するものの、十分な強度を持つコンクリート製造が可能であると判断される。
可使時間は、固化材の配合に関係なく、2時間程度確保でき、かつコンクリート強度もほぼ40N/mm2をクリアすることが確かめられた。これは、試作No.7で示す溶液型改質水ガラス(S/N=2.30)使用のコンクリート強度より約10N/mm2ほど低下するものの、十分な強度を持つコンクリート製造が可能であると判断される。
表8の試作No.4と同じ配合で作成したコンクリートの、材令1ヶ月までの諸品質の測定を行い、表9に示す。
表9に示すように、圧縮強度は、所定材令まで水中(室温)にて養生した。なお、室内中放置も併せて測定したが、約7%程度低い強度となっている。特に材令に伴う強度増加も見られず、コンクリート強度はほぼ蒸気養生で決定される。
耐酸性は、5%硫酸水溶中に入れて、所定材令で形状目視観察、そして質量変化等を検査して評価した。但し、5%硫酸水溶は、少なくとも1週ごとの材令でのpH測定で、酸性を保っている。コンクリート表面に剥離等は見られず、ほぼ形状を保っていた。一方、恐らく硫酸中のSO4−を硬化体中に取り入れた(表面での石膏等の析出)ために、質量増加となったが、その変化は1%以下と少なく、更なる長期での測定が必要である。
乾燥収縮は、材令1ヶ月までは0.04%程度であり、当面の目標である材令3ヶ月で0.05%以下をクリアするのは困難であると考えられる。目標をクリアするためには、3日以内の初期材令での収縮を抑える方策、例えば強度の向上などが必要と考えられる。
耐酸性は、5%硫酸水溶中に入れて、所定材令で形状目視観察、そして質量変化等を検査して評価した。但し、5%硫酸水溶は、少なくとも1週ごとの材令でのpH測定で、酸性を保っている。コンクリート表面に剥離等は見られず、ほぼ形状を保っていた。一方、恐らく硫酸中のSO4−を硬化体中に取り入れた(表面での石膏等の析出)ために、質量増加となったが、その変化は1%以下と少なく、更なる長期での測定が必要である。
乾燥収縮は、材令1ヶ月までは0.04%程度であり、当面の目標である材令3ヶ月で0.05%以下をクリアするのは困難であると考えられる。目標をクリアするためには、3日以内の初期材令での収縮を抑える方策、例えば強度の向上などが必要と考えられる。
粉末系の耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材は、溶質系改質水ガラスよりシリカ成分が約2/3程少ないので、このシリカ成分を補充するために、強度増加に効果のあるシリカ源を用いたモルタル試作例を、表10に示す。シリカ成分は、市販高炉水滓、都市ゴミ溶融灰、そして市販フライアッシュを酸洗い処理(1+10HCl)した後絶乾し、粉末(ブレーン値2,000〜3,000cm2/g)にしたものである。コンクリートの配合は、耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材30重量部と、高炉水滓195重量部と、シリカ質粉末15乃至55重量部と、砂400重量部と、水97乃至105重量部と、酸処理シリカ質粉末10乃至50重量部とから成っている。また、配合は、シリカ粉末+酸処理シリカ=65重量部となるようにした。酸処理は、処理時間5分、15分そして30分とした。
表10に示すように、試作No.1は、モルタル標準配合(水/固化材比=0.432)での試験結果である。その結果、使用したモルタル用の耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材は、S/N=1.27配合、1,100℃処理で、60℃温水での水可溶性は68%であった。
試作No.2−1〜No.4−3は、酸処理シリカ原料として市販高炉水滓(ブレーン値4,000cm2/g)を塩酸(1+10溶液)水溶液10倍水で所定時間処理し、可溶性成分を溶出したものである。処理時間にほぼ関係なく40%前後溶出することから、ほぼCaO含有量相当の成分を主成分とする成分が溶出すると予想される。なお、処理時間が長くなると溶出量が減少するのは、一旦可溶化したシリカ成分が不溶性シリカに変化するためであると考えられる。
酸処理シリカ添加では、水/固化材比が若干増加(水/固化材比=0.458)するにもかかわらず、強度は大幅に増加し、添加量10〜50重量部の全域で効果のあることが確かめられた。特に、酸処理時間が短時間(5分)でも有効であることが注目される。なお、可使時間は大幅に遅延され、硬化も1日以上となることから、蒸気養生が必須である。この理由は、耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材の水溶解が若干低いこと、及び酸洗いが不十分で多少酸性であることなどが考えられる。
試作No.2−1〜No.4−3は、酸処理シリカ原料として市販高炉水滓(ブレーン値4,000cm2/g)を塩酸(1+10溶液)水溶液10倍水で所定時間処理し、可溶性成分を溶出したものである。処理時間にほぼ関係なく40%前後溶出することから、ほぼCaO含有量相当の成分を主成分とする成分が溶出すると予想される。なお、処理時間が長くなると溶出量が減少するのは、一旦可溶化したシリカ成分が不溶性シリカに変化するためであると考えられる。
酸処理シリカ添加では、水/固化材比が若干増加(水/固化材比=0.458)するにもかかわらず、強度は大幅に増加し、添加量10〜50重量部の全域で効果のあることが確かめられた。特に、酸処理時間が短時間(5分)でも有効であることが注目される。なお、可使時間は大幅に遅延され、硬化も1日以上となることから、蒸気養生が必須である。この理由は、耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材の水溶解が若干低いこと、及び酸洗いが不十分で多少酸性であることなどが考えられる。
試作No.5〜No.7−3は、CaO含有量で38%前後の都市ゴミ溶融スラグ(MSWと表示)粉末を同様に酸処理したもので、高炉水滓の場合とほぼ同じ溶解を得た。恐らくCaO含有量が低い値(高炉スラグで約42%)であるためと考えられる。
試作No.5は、都市ゴミ溶融スラグ粉末をシリカ粉末に代替した場合であり、強度は高々35N/mm2で、モルタル標準配合と比較して若干高くなっているだけである。
試作No.5−1〜No.7−3は、シリカ処理粉末添加量及び処理時間を変えた場合のモルタル試験であり、高炉水滓スラグ酸処理とほぼ同じ結果となり、資源再利用として有効な技術であると考えられる。但し、可使時間及び硬化時間が著しく遅延される理由は、上述した通りである。
試作No.5は、都市ゴミ溶融スラグ粉末をシリカ粉末に代替した場合であり、強度は高々35N/mm2で、モルタル標準配合と比較して若干高くなっているだけである。
試作No.5−1〜No.7−3は、シリカ処理粉末添加量及び処理時間を変えた場合のモルタル試験であり、高炉水滓スラグ酸処理とほぼ同じ結果となり、資源再利用として有効な技術であると考えられる。但し、可使時間及び硬化時間が著しく遅延される理由は、上述した通りである。
試作No.8は、石炭灰として市販フライアッシュでの添加試験である。強度的にはMSW添加と同様、強度発現向上の効果は見られない。
試作No.8−1〜No.10−3は、酸処理条件及び酸処理粉末を添加したモルタル試験であり、溶出量は処理時間に関係なくほぼ13%程度である。この理由は、フライアッシュガラスは、シリカアルミノ系ガラスであり、酸に比較的溶け難いためと理解される。しかし、酸処理することで、強度は40〜50%向上する場合も確かめられた。特に短時間(5分)処理で、添加量30〜50重量部程度が有効であることが確認された。特にフライアッシュのJIS規格品(セメント用)以外の有効利用として注目される。
このように、酸処理シリカ質粉末を混合することにより、製造される耐酸水硬性硬化体の圧縮強度を大きくすることができる。
試作No.8−1〜No.10−3は、酸処理条件及び酸処理粉末を添加したモルタル試験であり、溶出量は処理時間に関係なくほぼ13%程度である。この理由は、フライアッシュガラスは、シリカアルミノ系ガラスであり、酸に比較的溶け難いためと理解される。しかし、酸処理することで、強度は40〜50%向上する場合も確かめられた。特に短時間(5分)処理で、添加量30〜50重量部程度が有効であることが確認された。特にフライアッシュのJIS規格品(セメント用)以外の有効利用として注目される。
このように、酸処理シリカ質粉末を混合することにより、製造される耐酸水硬性硬化体の圧縮強度を大きくすることができる。
融剤として苛性ソーダを用い、廃ガラス原料で耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材を製造した試作結果を、表11に示す。苛性ソーダを融剤に使用すると、ソーダ灰の場合よりガラス化温度は大幅に低下すること、及び、実機製造を想定して、出来るだけ半融解状態でのガラス化とその固化材としての性能とを検討するために実施した。
廃ガラス粉末と50%苛性ソーダ溶液とを所定のS/Nモル比で一旦混練し、110℃にて乾燥し固結した後、微粉砕して所定の温度で融解又は半融解で急冷してガラス化を行った。この粉末を耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材として所定の配合にてモルタルを作成し、強度試験等を実施した。なお、S/Nモル比は0.75乃至1.25、ガラス化温度は600℃乃至1100℃とした。
廃ガラス粉末と50%苛性ソーダ溶液とを所定のS/Nモル比で一旦混練し、110℃にて乾燥し固結した後、微粉砕して所定の温度で融解又は半融解で急冷してガラス化を行った。この粉末を耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材として所定の配合にてモルタルを作成し、強度試験等を実施した。なお、S/Nモル比は0.75乃至1.25、ガラス化温度は600℃乃至1100℃とした。
表11には、ガラス化条件及び室温と60℃加温水とにおける溶出結果を示す。表11の溶融状態は、未反応:×、半融解:△、融解:○を示す。
表11に示すように、ソーダ灰を融剤とした場合と比較し、ガラス化温度は200〜300℃も低下し、かつ溶出量も大差ないことが確かめられた。一方、ガラス溶融状態は半融解で、かつ、るつぼ(磁性)への付着の無い場合(試作No.800−2,3)も見られ、十分に実機製造での可能性が予想された。但し、室温及び60℃加温水中での溶出は、ソーダ灰使用と比較し差はなく、速硬型が予想される。
表11に示すように、ソーダ灰を融剤とした場合と比較し、ガラス化温度は200〜300℃も低下し、かつ溶出量も大差ないことが確かめられた。一方、ガラス溶融状態は半融解で、かつ、るつぼ(磁性)への付着の無い場合(試作No.800−2,3)も見られ、十分に実機製造での可能性が予想された。但し、室温及び60℃加温水中での溶出は、ソーダ灰使用と比較し差はなく、速硬型が予想される。
S/Nモル比とガラス化温度との関係として、
イ)S/N=0.75では、アルカリ(Na2O表示)成分は過剰配合となり、約25%はNaOH成分及び廃ガラスのシリカ以外の成分との不溶化ガラスの生成に消費される。
ロ)S/N=1.25では、全てのNa2Oを消費し、逆に廃ガラス中シリカの22%程度を未反応として残す。その結果、メタケイ酸ナトリウム組成はイ)に対し、83%程度となり、S/N=1.0の場合と変わりない。従って、アルカリ配合は、経済性から1.25が良好と判断される。
イ)S/N=0.75では、アルカリ(Na2O表示)成分は過剰配合となり、約25%はNaOH成分及び廃ガラスのシリカ以外の成分との不溶化ガラスの生成に消費される。
ロ)S/N=1.25では、全てのNa2Oを消費し、逆に廃ガラス中シリカの22%程度を未反応として残す。その結果、メタケイ酸ナトリウム組成はイ)に対し、83%程度となり、S/N=1.0の場合と変わりない。従って、アルカリ配合は、経済性から1.25が良好と判断される。
表11で試作された耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材を用いてモルタル打設した結果を、表12に示す。配合は全て表4〜表7のモルタルと同配合(水/固化材比で0.467)とした。なお、表12のモルタルスラリー流動性での、×:スランプゼロ相当、△:スランプ5〜10cm相当、○:10〜15cm相当である。
表12に示すように、モルタルスラリーの温度上昇が10℃以上となるのは、耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材中の過剰Na2Oと、この成分がガラス中のシリカ成分以外により消費されることとの関係にあるが、詳細は不明である。
圧縮強度は、全て40N/mm2以上であり、実際に用いるのに十分な圧縮強度を有している。また、表6のソーダ灰使用でS/N=1.26以上で大幅に強度の低下が見られたようなことは、特に見られず、恐らく常温でのガラス溶出の差によるものと考えられる。
一方、モルタルの可使時間は、ガラス化温度が低いほど短くなっており、苛性ソーダ融剤とする耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材は、若干課題があると言える。
圧縮強度は、全て40N/mm2以上であり、実際に用いるのに十分な圧縮強度を有している。また、表6のソーダ灰使用でS/N=1.26以上で大幅に強度の低下が見られたようなことは、特に見られず、恐らく常温でのガラス溶出の差によるものと考えられる。
一方、モルタルの可使時間は、ガラス化温度が低いほど短くなっており、苛性ソーダ融剤とする耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材は、若干課題があると言える。
固化材として、可使時間が10〜20分と短い試作ガラスの応用例として、いわゆる1.5ショット打設工法に準じた実施例を以下に述べる。即ち、1.5ショット打設工法とは、セメントコンクリート打設時、硬化をできるだけ早く実施するため、硬化促進材をセメントコンクリートスラリー中に打設直前に添加(いわゆる2段目打設)し、天井や垂直型の場所に打設を可能とする工法である。なお、表4および表5に示すように、可使時間が10〜20分と短い試作ガラスとして、SiO2成分とNa2O成分とのモル比S/Nが0.48以上1.42以下の耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材を使用することができる。
耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材を硬化促進材とし、スラグモルタル又はコンクリートを一旦打設し、少なくとも1日程度の長時間放置した後、所定の時間で投入・混合し、型枠打設して硬化体を作成した。本打設は、主に長期距離輸送でのコンクリート打設を想定したものである。ガラス化条件及び配合を変えて作成した結果を、表13に示す。
表13に示すように、試作No.1は、ソーダ灰およびシリカヒュームからのガラス(S/N=1.00)であり、耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材の性質を反映して、1.5ショット打設でもほぼ瞬結であった。一方、試作No.2は、50%苛性ソーダ水および廃ガラス(S/N=0.75)からの耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材であり、可使時間は大幅に伸びて1時間程度となった。両者共に、常温及び60℃プレキャストでの1日強度は、40N/mm2以上となり、ほぼ目標値をクリアーすることができた。但し、打設時のスラリー温度が約10℃程度上昇し、若干問題があるものといえる。
このように、硬化促進材を、打設直前のモルタルやコンクリートのスラリーに投入して混合することにより、耐酸水硬性硬化体の凝結時間を短縮することができる。
このように、硬化促進材を、打設直前のモルタルやコンクリートのスラリーに投入して混合することにより、耐酸水硬性硬化体の凝結時間を短縮することができる。
試作No.3は、従来の溶質系改質水ガラス系固化材使用での、50%NaOH水を硬化促進材とするコンクリート打設の場合であり、材令1日の常温強度は40N/mm2を下回り、かつ可使時間も短く実行化には問題がある。特に、硬化体中のNa2O量を、本ガラス系固化材の約2倍程度必要とすることは、若干課題を残すといえる。
以上は、特に瞬結型固化材を使用した場合であり、S/Nを0.75より大きくすることで更に良好な打設が可能になると考えられる。
以上は、特に瞬結型固化材を使用した場合であり、S/Nを0.75より大きくすることで更に良好な打設が可能になると考えられる。
Claims (12)
- SiO2成分とNa2O成分とのモル比S/Nが0.4以上1.42以下であることを、特徴とする耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材。
- SiO2成分とNa2O成分とのモル比S/Nが0.54以上1.27以下であることを、特徴とする耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材。
- 炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウムを含む融剤に、SiO2成分とNa2O成分とのモル比S/Nが0.4以上1.44以下となるようSiO2成分を含む無機質粉末を配合して混合し、所定の温度で加熱して融解または半融解させた後、急速に冷やしてガラス化させることを、特徴とする耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材の製造方法。
- 炭酸ナトリウムを含む融剤に、SiO2成分とNa2O成分とのモル比S/Nが0.54以上1.27以下となるようSiO2成分を70%以上含有する無機質粉末を配合して混合し、900℃乃至1200℃の温度で加熱して融解または半融解させた後、急速に冷やしてガラス化させることを、特徴とする耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材の製造方法。
- 水酸化ナトリウムを含む融剤に、SiO2成分とNa2O成分とのモル比S/Nが0.75以上1.25以下となるようSiO2成分を含む無機質粉末を配合して混合し、600℃乃至1100℃の温度で加熱して融解または半融解させた後、急速に冷やしてガラス化させることを、特徴とする耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材の製造方法。
- 請求項1または2記載の耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材と、高炉水滓と、シリカ質粉末とを含むことを特徴とする耐酸水硬性硬化体。
- 請求項1または2記載の耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材と、高炉水滓と、シリカ質粉末と、骨材と、水とを混合した後、常温養生または蒸気養生することを、特徴とする耐酸水硬性硬化体の製造方法。
- 混合の際に、さらに、酸洗い処理して乾燥させた酸処理シリカ質粉末を混合することを、特徴とする請求項7記載の耐酸水硬性硬化体の製造方法。
- 請求項1または2記載の耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材20乃至50重量部と、高炉水滓130乃至260重量部と、シリカ質粉末20乃至200重量部と、細骨材350乃至450、粗骨材700乃至1000重量部と、水65乃至140重量部とを混合した後、常温養生または蒸気養生することを、特徴とする耐酸水硬性硬化体の製造方法。
- 混合の際に、さらに、5乃至30分間の酸洗い処理をして乾燥させた酸処理シリカ質粉末10乃至50重量部を混合することを、特徴とする請求項9記載の耐酸水硬性硬化体の製造方法。
- SiO2成分とNa2O成分とのモル比S/Nが0.48以上1.42以下であることを、特徴とする耐酸水硬性硬化体用ガラス質硬化促進材。
- 各粒子がガラス質の核と、前記核を被覆するシリカ質粉末とから成ることを特徴とする粉末状耐酸水硬性硬化体用ガラス質固化材。
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