JP5708827B2 - 放射線撮影装置 - Google Patents

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Description

この発明は、被検体の透視を行う放射線撮影装置に係り、特に、放射線の照射方向を制限するコリメータを備えた放射線撮影装置に関する。
医療機関には放射線を照射して被検体Mのイメージングを行う放射線撮影装置が配備されている。このような放射線撮影装置は、図9に示すように放射線を照射する放射線源53と、放射線を検出するカセッテ54とを備えている。放射線源53とカセッテ54との間には被検体Mを載置する天板52が備えられている。
放射線源53には、放射線の照射範囲を制限するコリメータ53aが付設されている。放射線源53から発した放射線は、このコリメータ53aを通過することで広がりが制限されて被検体Mに照射されることになる。
放射線源53は、放射線の照射範囲を確認する目的で光学ランプ53pを有している。光学ランプ53pは、天板52側からみてミラー65とともにコリメータ53aの裏側に設けられていて、光学ランプ53pから発生した光線は放射線と同じくコリメータ53aを通過して天板52に向かうことになる。
術者が放射線照射に先立って光学ランプ53pの点灯の指示を与えると、光学ランプ53pが点灯し、コリメータ53aにより広がりが制限された可視光線が被検体Mの一部を照らすことになる。この被検体Mが光学ランプ53pによって照らされた部分は、これから放射線が照射される部分と一致している。
放射線源53から照射される放射線は可視光線でない。したがって、コリメートされた放射線が被検体Mのどの部分に当たるかを目視で確認することはできない。そこで、術者は放射線照射に先立って光学ランプ53pを点灯させることで被検体Mにおいて放射線が照射される部分を認識する。そして、術者が光学ランプ53pを点灯させた状態でコリメータ53aの開度の調節を行えば放射線が照射される範囲を調節することができる。この様なコリメータ53aを備えた構成として特許文献1などがある。
特開2010−094212号公報
しかしながら、従来の放射線撮影装置においては、次のような問題点がある。
すなわち、従来の放射線撮影装置においては、放射線源53のスペックを考慮せずにコリメータ53aの設定がされている。これにより、被検体への無駄な被曝が招来されている。
放射線源53は、コリメータ53aを設けなくても、放射線の照射方向が制限されるように製造される。すなわち、放射線源53には、最大の照射幅が設定されており、コリメータ53aを如何に操作しようとも、これ以上放射線を広く照射できない限界がある。放射線源53における放射線の最大照射幅は、放射線源53の種類に応じて様々である。
コリメータ53aは、製造時においてどの放射線源53に組み合わされるか未定である。そこで、コリメータ53aは、どの放射線源53に組み合わされても十分に動作するように、開度に余裕を持たせるようにして製造される。
ここで、仮に、放射線の広がりが狭い放射線源53に上述のコリメータ53aを取り付けて放射線撮影装置を製造したとする。このような装置において、コリメータ53aを全開にして、放射線を照射したとすると、放射線源53から照射された放射線は、コリメータ53aをかすめずにそのままコリメータ53aを通過してしまう。放射線源53が照射する放射線の幅が全開時におけるコリメータ53aの広がり幅よりも狭いからである。
次に、この様な装置で撮影を行う場合を考える。術者は、放射線照射を行う前に、コリメータ53aに付属の光学ランプ53pを用いて放射線の広がりを確認する。この光学ランプ53pの光の広がりは、コリメータ53aの開度を忠実に表すようにする目的で、十分に余裕をもって設定される。
したがって、光学ランプ53pを点灯させると、光学ランプ53pから照射された可視光線は、全開時のコリメータ53aにより制限されて照射される。しかし、実際には、この可視光線の照射範囲で放射線が照射されることはなく、放射線はこの可視光線の照射範囲よりも狭い範囲に照射される。このように、光学ランプ53pによる可視光の照射幅と、放射線の照射幅とが一致しない現象が生じるのである。すなわち、放射線の幅が可視光の幅がよりも狭くなってしまう。
術者はこのような食い違いに気付かずに撮影を続行してしまう。すなわち、術者は、この可視光線で照らされた被検体の範囲に放射線が入射するものと信じて放射線の撮影を行う。すると、被検体の関心部位を所望通りに写し込んだ画像が得られないので、撮影はやり直しとなる。つまり、従来装置によれば、被検体に無用な被曝を招来させてしまう。
本発明は、この様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、被検体の無用な放射線被曝を抑制することができる放射線撮影装置を提供することにある。
本発明は上述の課題を解決するために次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係る放射線撮影装置は、放射線を照射する放射線源と、被検体を透過してきた放射線を検出する検出手段と、放射線源から照射される放射線の広がりを制限するコリメータと、コリメータを駆動して開度を変更するコリメータ駆動手段と、コリメータに設けられた可視光線を照射する可視光源と、可視光源を制御する可視光源制御手段と、コリメータの開度が放射線を照射させた状態でコリメータの開度を次第に大きくしていって、放射線の広がりがこれ以上大きくならなくなる最小の開度である上限開度よりも大きくならないようにコリメータ駆動手段を制御するコリメータ制御手段とを備えることを特徴とするものである。
[作用・効果]本発明の構成は、放射線源と、コリメータと可視光源とを備えている。コリメータは、放射線の広がりを制限する目的で設けられたものであり、可視光源は、コリメータを通過する可視光を照射することにより、目視できない放射線源に代わって放射線が照射される範囲を示す目的で設けられている。放射線源によって、コリメータを開きすぎると、コリメータを通過してきた可視光線の広がりと放射線の広がりが一致しなくなる場合がある。このような事態は、広がりが狭い放射線を発する放射線源を装置に搭載した場合に発生する。
本発明はこのような事態を避けるために、コリメータの開度の上限である上限開度を設けている。上限開度は、放射線を照射させた状態でコリメータの開度を次第に大きくしていって、放射線の広がりがこれ以上大きくならなくなる最小の開度である。本発明の構成によれば、可視光線の照射範囲と放射線源の照射範囲とが常に一致する。したがって、撮影をやり直す必要が無く、被検体に対する放射線の無用な被曝が抑制された放射線撮影装置が提供できる。
また、上述の放射線撮影装置において、術者の指示を入力させる入力手段と、術者に対して発報を行う発報手段と、発報手段に発報の指示を与える発報制御手段とを備え、発報制御手段は、入力手段を介してコリメータの開度が上限開度を超えるような制御がなされると、発報を行うように発報手段を制御すればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は本発明の放射線撮影装置の一例を示すものとなっている。すなわち、コリメータの開度が上限開度を超えるような制御がなされると発報を行うようにすれば装置はより安全となり、確実に無用被曝を抑制できる。
また、上述の放射線撮影装置において、コリメータ制御手段は、術者が行おうとしている撮影に必要なコリメータの開度である必要開度が上限開度よりも大きいとき発報を実行するように発報制御手段に通知を行えばより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は本発明の放射線撮影装置の一例を示すものとなっている。すなわち、術者が行おうとしている撮影に必要なコリメータの開度が上限開度よりも大きいときに発報するようにすれば、術者に対する通知をより的確にすることができる。
また、上述の放射線撮影装置において、複数の上限開度を放射線源の種別と関連づけて記憶する記憶手段と、放射線源を制御する放射線源制御手段を備え、放射線源制御手段は、放射線源の種別を示す種別情報をコリメータ制御手段に出力し、コリメータ制御手段は、取得した種別情報に対応する上限開度を記憶手段から読み出して動作すればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は本発明の放射線撮影装置の一例を示すものとなっている。すなわち、コリメータ制御手段が放射線の種別に応じた上限開度を読み出して動作するようにすれば、装置構成をより柔軟とすることができる。すなわち、装置に搭載される放射線源の種別を何にしようとも、それに対応した上限値に基づいて確実にコリメータ制御が行われる。
本発明の構成は、放射線源と、コリメータと可視光源とを備えている。コリメータを開きすぎると、コリメータを通過してきた可視光線の広がりと放射線の広がりが一致しなくなる場合がある。このような事態は、広がりが狭い放射線を発する放射線源を装置に搭載した場合に発生する。本発明はこのような事態を避けるために、コリメータの開度の上限である上限開度を設けている。本発明の構成によれば、撮影をやり直す必要が無く、被検体に対する放射線の無用な被曝が抑制された放射線撮影装置が提供できる。
実施例1に係るX線撮影装置の構成を説明する機能ブロック図である。 実施例1に係るコリメータの構成を説明する斜視図である。 実施例1に係る可視光源を説明する断面図である。 実施例1に係るX線管が照射するX線の広がる様子を示す模式図である。 実施例1に係るコリメータ制御部の動作を説明する模式図である。 実施例1に係るコリメータ制御部の動作を説明する模式図である。 実施例1に係るコリメータ制御部の動作を説明する模式図である。 実施例1に係るX線撮影装置の動作を説明するフローチャートである。 従来のX線撮影装置の構成を説明する図である。
以降、発明を実施するための形態として具体的な実施例について説明する。
以降、本発明の実施例を説明する。実施例におけるX線は、本発明の放射線に相当する。
<X線撮影装置の全体構成>
まず、実施例1に係るX線撮影装置1の構成について説明する。X線撮影装置1は、図1に示すように仰臥位の被検体Mを載置する天板2と、天板2の上側(一面側)に設けられたX線を照射するX線管3と、天板2の下側(他面側)に設けられたX線を検出するカセッテ4とを備えている。カセッテ4は、被検体Mの体軸方向Aまたは体側方向Sのいずれかに沿った4つの辺を有する矩形となっている。また、X線管3は、四角錐形状のX線をカセッテ4に向けて照射する。カセッテ4は、X線を全面で受光することになる。支柱5は、天板2の下側(他面側)から天板2の上側(一面側)に向けて伸びており、X線管3を支持している。X線管3は、本発明の放射線源に相当し、カセッテ4は、本発明の放射線検出手段に相当する。
X線管3には、X線の照射範囲を制限するコリメータ3aが設けられている(図1参照)。コリメータ3aは、開度の調節が可能となっている。コリメータ3aは、図2に示すように、軸Cを基準として鏡像対称に移動する1対の遮蔽羽根3bを有し、同じく軸Cを基準として鏡像対称に移動するもう1対の遮蔽羽根3bを備えている。このコリメータ3aは、遮蔽羽根3bを移動させることで、カセッテ4が有する検出面4aの全面にコーン状のX線Bを照射させることもできれば、たとえば、検出面4aの中心部分だけにファン状のX線Bを照射させることもできる。なお、軸Cは、X線Bの中心を示す軸となっている。また、遮蔽羽根3bの2対のうち一方は、4角錐形状となっているX線Bの体軸方向Aへの広がりを調整するものであり、もう一方の遮蔽羽根3bの対は、X線Bの体側方向Sへの広がりを調整するものである。X線管3を移動させるとコリメータ3aもX線管3に伴って移動する。コリメータ駆動機構7(図1参照)は、遮蔽羽根3bを駆動させてコリメータ3aの開度を変更するものである。コリメータ制御部8は、コリメータ駆動機構7を制御する目的で設けられている。コリメータ駆動機構7は、本発明のコリメータ駆動手段に相当し、コリメータ制御部8は、本発明のコリメータ駆動制御手段に相当する。なお、図2は、遮蔽羽根3bを説明するものであり、コリメータ3aが有する可視光源9やミラー15の構成については省略している。これらの構成については後述とする。
X線管制御部6(図1参照)は、所定の管電流、管電圧、パルス幅でX線管3を制御する目的で設けられている。X線管制御部6の制御によりX線がX線管3から発せられると、X線は、被検体Mを透過してカセッテ4の検出面4aに入射する。カセッテ4には、X線に感光するフィルムが包含されており、X線がフィルムに当たると、被検体Mの透視像がフィルムに焼き付けられる。X線管制御部6は、本発明の放射線源制御手段に相当する。
範囲設定部11は、カセッテ4におけるX線を検出する範囲である検出範囲を設定する。この範囲設定部11の構成について説明する。術者がこれから撮影に用いるカセッテ4の種別を操作卓26に入力すると、カセッテ4の種別を示す情報が範囲設定部11に送出される。範囲設定部11は、記憶部28に記憶されているカセッテ4とこれに対応するフィルムの長さとが関連づけられたテーブルを参照して、撮影に用いられようとしているカセッテ4のフィルムの長さを取得する。このフィルムの長さは、被検体Mの体軸方向についての長さであり、カセッテ4にX線を検出させる範囲となっている。範囲設定部11は、この範囲をX線を検出する検出範囲として設定する。操作卓26は、術者の指示を入力させるものである。範囲設定部11は、本発明の範囲設定手段に相当し、操作卓26は、本発明の入力手段に相当する。また、記憶部28は、本発明の記憶手段に相当する。
<可視光源について>
可視光源9は、図1に示すようにコリメータ3aに設けられている。可視光源9から照射された可視光線は、コリメータ3aの遮蔽羽根3bの隙間を通過して被検体Mの一部を照射する。X線管3から照射されるX線も同様にコリメータ3aの遮蔽羽根3bの隙間を通過して被検体Mの一部に照射されるのであるから、可視光源9が照らす被検体Mの部分と、X線管3が出力するX線ビームが照らす被検体Mの部分は一致する。可視光源9は、術者に目視されることができるのであるから、術者はX線撮影の前にX線が被検体Mを照らす部分(照射領域、または照射野)を目視することができる。可視光源制御部10は、可視光源9を制御する目的で設けられている。可視光源制御部10は、本発明の可視光源制御手段に相当する。
次に、X線管3,コリメータ3aの位置関係について説明する。図3は、各部材の位置関係を説明する模式図である。X線管3には、X線が照射する照射口3pが設けられている。コリメータ3aには、照射口3pに対して傾斜したミラー15が設けられている。そして、コリメータ3aには、被写体Mからみてミラー15によるX線管3の焦点位置の鏡像と同じ位置になるように可視光源9が設けられている。
可視光源9がオンされて、可視光線が発せられると、可視光線は、ミラー15で反射してコリメータ3a側に向かう。そして、可視光線はコリメータ3aによって広がりが制限されてコーン状の可視光線ビームとなって、被検体M側に出力される。
可視光源9がオフされて、X線管3からX線が照射されると、X線は、ミラー15を透過してコリメータ3a側に向かう。そして、X線はコリメータ3aによって広がりが制限されてコーン状のX線ビームとなって、被検体M側に出力される。コリメータ3aの遮蔽羽根3bが移動されない限り、可視光線ビームとX線ビームとは同じ広がり方で被検体Mに向かう。
<可視光線ビームとX線ビームとの不一致>
上述の説明のよれば、可視光源9が照らす被検体Mの部分と、X線管3が出力するX線ビームが照らす被検体Mの部分は一致する。しかし、常にそうであるとは限らない。すなわち、X線管3の種別によっては、可視光ビームがX線ビームよりも広く照射される場合があるのである。以降、この問題が生じる理由について説明する。
図4は、種別の異なるX線管3を表している。図4左側のX線管3は、照射口3pが大きく、幅広のX線ビームを照射することができる。一方、図4右側のX線管3は、照射口3pが小さく、幅狭のX線ビームを照射することしかできない。このように、照射できるX線の線量や、重量などの設計変更により、X線管3から照射されるX線ビームの幅は様々なものとなる。
図5は、図4で示した2種類のX線管3から照射されるX線ビームがコリメータ3aを通過する様子を示している。なお、図5はコリメータ3aを全開とした場合を示している。まず、図5左側のX線管3は、幅広のX線ビームを照射することができる。このX線ビームは、全てがコリメータ3aを通過するには幅広すぎる。したがって、X線管3から照射されたX線ビームは、広がりに制限を受けながら全開のコリメータ3aを通過する。一方、図5右側のX線管3は、幅狭のX線ビームしか照射することができない。このX線ビームは、全てがコリメータ3aを通過するのに十分に幅狭である。すると、X線管3から照射されたX線ビームは、広がりに制限を受けないでそのまま全開のコリメータ3aを通過する。この様に、X線管3の種別によっては、X線管3から出射したX線ビームは全開のコリメータ3aをかすめずに素通りする場合があるのである。
図6は、可視光線が可視光源9より照射される場合を表している。この図においては、説明の便宜上、X線管3は省略している。図6左側は、可視光が広がりに制限を受けて全開のコリメータ3a通過している。このように、可視光線は、コリメータ3aが全開であっても、広がりが制限される。この様な事情は、X線撮影装置に配備されるX線管3の種別によらない。したがって、X線ビームの幅狭のX線管3を使用した場合、全開のコリメータ3aを通過する可視光線の幅が、X線ビームの幅よりも広くなる現象が起こってしまう。図6右側は、この様子を具体的に表している。すなわち、図6右側において、可視光線の照射状況は実線で、X線ビームの照射状況は破線で表されている。
この様な現象は、コリメータ3aが全開のときのみに起こるとは限らない。図7は、コリメータ3aの開度と、可視光線およびX線ビームの広がりとの関係を示している。グラフ中の実線は、可視光線の広がりを表している。開度が0のとき、可視光線は全く広がらない。この状況から、開度を次第に上げていくと、可視光線の広がりはこれに伴って単調に増加し、開度100%のとき、可視光線の広がりは最大となる。
図7の破線は、X線ビームの広がりを表している。開度が0のとき、視光線は全く広がらない。この状況から、開度を次第に上げていくと、X線ビームの広がりは可視光線の場合と全く同じように単調に増加する。しかし、コリメータ3aの開度があるところまで大きくなると、これ以上コリメータ3aの開度を増加させてもX線ビームの広がりは増加せず一定となる。X線ビームの広がりが変化しなくなるのは、これ以上X線管3が幅広のX線ビームを出力できないからである。コリメータ3aの開度を次第に大きくしていって、X線ビームの広がりがこれ以上大きくならなくなる最小の開度を飽和開始開度と呼ぶことにする。
可視光ビームとX線ビームとが不一致となると、次のような問題が生じる。すなわち、術者が撮影をしようとして、可視光線を照射させると、このときの可視光線の広がりが、X線ビームの広がりを表していないことになる。つまり、術者は、所望の撮影を行うことができないのである。このような現象は、無用なX線被曝を防止する観点から避けるべきである。
<ビーム広がりの不一致の抑制>
そこで、実施例1の構成によれば、コリメータ制御部8に工夫が加えられている。すなわち、コリメータ制御部8は、X線管3が出射できるX線ビームよりもコリメータ3aの開度が広くならないようにコリメータ駆動機構7を制御するのである。
すなわち、コリメータ制御部8は、記憶部28に記憶されているコリメータの上限開度を示す上限開度情報を読み出して、コリメータ3aの開度がこの上限開度よりも大きくならないようにコリメータ3aの開度を制御するのである。上限開度は、装置に備えられたX線管3が照射するX線ビームの広がりと、X線管3の焦点からコリメータ3aの遮蔽羽根3bまでの距離とから幾何学的計算により求めることができる。上限開度とは、上述の飽和開始開度と一致する。具体的には、上限開度は、図7におけるX線ビームの広がりが一定となるコリメータ開度のうちの最小のものであり、a%で表されている。つまり、上限開度は、X線管3でX線ビームを照射させながらコリメータ3aの開度を次第に大きくしていって、X線の広がりがこれ以上大きくならなくなる最小の開度である。この上限開度は、記憶部28に記憶されている。
実施例1の構成によれば、コリメータ制御部8によりコリメータ3aの開度は0%から上限開度a%まで変化する。従って、実施例1の構成においては、コリメータ3aから照射される可視光線の幅が、X線ビームの幅よりも広くなる現象が生じない。
<コリメータ制御部の実際>
次に、コリメータ制御部8の動作の実際を説明する。コリメータ制御部8には、範囲設定部11が設定した検出範囲が送出される。この検出範囲は、カセッテ4の体軸方向Aにおけるフィルムの長さを表している。そして、コリメータ制御部8は、検出範囲の全面にX線を到達させるには、体軸方向Aにおけるコリメータ3aの開度をどの程度にしなければならないかを幾何学的な計算により算出する。このとき、コリメータ制御部8は、記憶部28に記憶されたX線管3からカセッテ4までの距離、およびX線管3から天板2までの距離を幾何学計算に用いる。こうして、コリメータ制御部8は、術者が指定したカセッテ4を用いて撮影を行うには、どの程度のコリメータ3aの開度が必要かを算出するのである。このとき算出された開度を必要開度と呼ぶことにする。必要開度は、カセッテ4の検出範囲の全域を照らすのに必要な最小の開度が選択される。これにより、X線ビームがカセッテ4の端部からはみ出すことがなく、被検体Mの無用な被曝が避けられる。この必要開度は、術者が行おうとしている撮影に必要なコリメータ3aの開度である。
コリメータ制御部8は、必要開度と上限開度とを比較する。そして、必要開度が上限開度に等しいか小さい場合は、コリメータ制御部8は、コリメータ3aを必要開度まで開くようにコリメータ駆動機構7を制御する。また、必要開度が上限開度よりも大きい場合は、コリメータ制御部8は、コリメータ3aを上限開度まで開くようにコリメータ駆動機構7を制御する。そして、コリメータ制御部8は、発報制御部14に対して発報を実行するように通知を行う。発報制御部14は、本発明の発報制御手段に相当する。
<アラーム機能について>
次に、実施例1の構成に係るアラーム機能について説明する。アラーム13は、術者に対し音を発することで発報を行う目的で設けられている。これにより、術者は、X線管3が出力できるX線ビームの最大幅以上にX線の照射が必要な撮影を行おうとしたことに気がつくことになる。アラーム13の制御について説明する。発報制御部14は、コリメータ3aの開度が上限開度を超えるような制御がなされると、発報を行うようにアラーム13を制御する。この発報制御部14は、コリメータ制御部8の通知に従ってこの発報制御を行う。すなわち、コリメータ制御部8は、必要開度が上限開度よりも大きい場合にその旨を発報制御部14に送出し、発報制御部14は、この通知に基づいてアラーム13の発報を実行する。アラーム13は、本発明の発報手段に相当する。
操作卓26(図1参照)は、術者によるX線照射開始などの指示を入力させる目的で設けられている。また、主制御部27(図1参照)は、各制御部を統括的に制御する目的で設けられている。この主制御部27は、CPUによって構成され、各種のプログラムを実行することによりX線管制御部6および各部を実現している。また、上述の各部は、それらを担当する演算装置に分割されて実行されてもよい。記憶部28(図1参照)は、上限開度情報などの装置制御に関するパラメータの一切を記憶する。
<X線撮影装置の動作>
次に、X線撮影装置1の動作について説明する。X線撮影装置1で被検体Mの撮影を行うには、図8に示すように、まず、被検体Mが装置に載置され(載置ステップS1),操作卓26を通じて撮影様式が選択される(選択ステップS2)。続いて、選択された撮影様式に応じてコリメータ3aの開度が自動調整され(コリメータ制御ステップS3),X線管3に設けられた光源より可視光が点灯される(可視光点灯ステップS4)。最後に、X線管3からX線が照射され、撮影が実行される(X線照射ステップS5)。以降、各ステップの詳細について順を追って説明する。
<載置ステップS1,選択ステップS2>
まず、X線撮影装置1に被検体Mが載置される(図1参照)。その後、術者がこれから撮影に用いるカセッテ4の種別を操作卓26に入力する。
<コリメータ制御ステップS3>
術者の操作卓26を通じた入力が終了すると、コリメータ制御部8は、コリメータ3aの開度を調節する。すなわち、コリメータ制御部8は、指定されたカセッテ4を用いた撮影に必要な必要開度が上限開度以下の場合は、コリメータ3aの開度を必要開度とする。また、コリメータ制御部8は、必要開度が上限開度を超えている場合は、コリメータ3aの開度を上限開度とし、発報制御部14に発報を実行させる。このときのコリメータ制御部8の動作の詳細は既に説明済みである。
<可視光点灯ステップS4>
コリメータ3aの開度が調節されると、X線管制御部6は、X線管3に付属の可視光源9をオンする。可視光源から放射される可視光線は、X線管3に付属のミラー15により反射され、X線管3の焦点を中心として広がり、コリメータ3a側に出射する。そして、可視光はコリメータ3aにより広がりが制限されて、被検体Mの一部を照らす。術者は、この可視光の照射範囲を視認することで目視できないX線の照射範囲をX線照射前に知ることができる。
<X線照射ステップS5>
術者が操作卓26を通じてX線照射の開始を指示すると、X線管制御部6は、X線管3に付属の可視光源をオフするとともにX線管3にX線を照射させる指示を与える。このとき、X線管制御部6は、選択された被検体の部位に対応したX線管制御条件でX線管3を制御することになる。X線管3から照射されたX線は、コリメータ3aによりコリメートされたあと被検体Mを透過しカセッテ4に入射する。これにより、撮影動作は終了となる。
以上のように、本発明の構成は、X線管3と、コリメータ3aと可視光源9とを備えている。コリメータ3aは、X線の広がりを制限する目的で設けられたものであり、可視光源9は、コリメータ3aを通過する可視光を照射することにより、目視できないX線管3に代わってX線が照射される範囲を示す目的で設けられている。X線管3によって、コリメータ3aを開きすぎると、コリメータ3aを通過してきた可視光線の広がりとX線の広がりが一致しなくなる場合がある。このような事態は、幅狭のX線を発するX線管3を装置に搭載した場合に発生する。
本発明はこのような事態を避けるために、コリメータ3aの開度の上限である上限開度を設けている。上限開度は、X線を照射させた状態でコリメータ3aの開度を次第に大きくしていって、X線の広がりがこれ以上大きくならなくなる最小の開度である。本発明の構成によれば、可視光線の照射範囲とX線管3の照射範囲とが常に一致する。したがって、撮影をやり直す必要が無く、被検体Mに対するX線の無用な被曝が抑制されたX線撮影装置が提供できる。
また、上述のように、コリメータ3aの開度が上限開度を超えるような制御がなされると発報を行うようにすれば装置はより安全となり、確実に無用被曝を抑制できる。
また、術者が行おうとしている撮影に必要なコリメータ3aの開度が上限開度よりも大きいときに発報するようにすれば、術者に対する通知をより的確にすることができる。
本発明は上述の構成に限られず、下記のように変形実施することができる。
(1)上述の構成は、カセッテ4の種別を識別して、これに基づいてコリメータ3aの開度を調節する構成としていたが、本発明はこの構成に限られない。すなわち、術者が操作卓26を通じてコリメータ3aの開度を調節するようにしても良い。このとき、術者が指定したコリメータ3aの開度を指定開度とする。この変形例の場合、コリメータ制御部8は、必要開度の代わりに指定開度を用いて動作する。すなわち、コリメータ制御部8は、指定開度と上限開度とを比較する。そして、指定開度が上限開度に等しいか小さい場合は、コリメータ制御部8は、コリメータ3aを指定開度まで開くようにコリメータ駆動機構7を制御する。また、指定開度が上限開度よりも大きい場合は、コリメータ制御部8は、コリメータ3aを上限開度まで開くようにコリメータ駆動機構7を制御する。そして、コリメータ制御部8は、発報制御部14に対して発報を実行するように通知を行う。この様な構成とすれば、より制御が柔軟となり、撮影が容易なX線撮影装置が提供できる。
(2)上述の構成における記憶部28は、1種類の上限開度を記憶していたが、本発明はこの構成に限られない。すなわち、記憶部28に複数の上限開度をX線管3の種別と関連づけて記憶させるようにしてもよい。この構成では、X線管制御部6がX線管3の種別を示す種別情報を保持している。X線管制御部6は、種別情報をコリメータ制御部8に出力する。コリメータ制御部8は、取得した種別情報に対応する上限開度を記憶部28から読み出して動作する。なお、コリメータ制御部8は、上限開度を記憶部28から読み出す前にはコリメータ3aの制御を行わない。すなわち、上述の種別情報の取得は、X線撮影装置1を検査室に設置する際に一度だけ行うようにすれば十分である。一度だけ種別情報の授受を行えば、以降、コリメータ制御部8は、X線管3の種別に応じた上限開度を撮影の度に記憶部28から読み出して動作することができる。本変形例のように、コリメータ制御部8がX線の種別に応じた上限開度を読み出して動作するようにすれば、装置構成をより柔軟とすることができる。すなわち、装置に搭載されるX線管3の種別を何にしようとも、それに対応した上限値に基づいて確実にコリメータ制御が行われる。
(3)上述した実施例は、カセッテ4の体軸方向Aについてのコリメータ3aの開度の調節について説明したが、同じ調節を体側方向Sについてのコリメータ3aについて行っても良い。この構成の場合、コリメータ制御部8は、体側方向Sについての上限開度を記憶部28より読み出す。そして、範囲設定部11は、術者の入力から体側方向Sについての検出範囲を決定する。その後、コリメータ制御部8は、検出範囲より求めた必要開度と上限開度とを比較して、上述と同様の動作を行う。
(4)上述した実施例は、医用の装置であったが、本発明は、工業用や、原子力用の装置に適用することもできる。
(5)上述した実施例のいうX線は、本発明における放射線の一例である。したがって、本発明は、X線以外の放射線にも適用できる。
以上のように、本発明の放射線撮影装置は、医用分野に適している。
3 X線管(放射線源)
3a コリメータ
4 カセッテ(検出手段)
6 X線管制御部(放射線源制御手段)
7 コリメータ駆動機構(コリメータ駆動手段)
8 コリメータ制御部(コリメータ制御手段)
9 可視光源
10 可視光源制御部(可視光源制御手段)
11 範囲設定部(範囲設定手段)
13 アラーム(発報手段)
14 発報制御部(発報制御手段)
26 操作卓(入力手段)
28 記憶部(記憶手段)

Claims (4)

  1. 放射線を照射する放射線源と、
    被検体を透過してきた放射線を検出する検出手段と、
    前記放射線源から照射される放射線の広がりを制限するコリメータと、
    前記コリメータを駆動して開度を変更するコリメータ駆動手段と、
    前記コリメータに設けられた可視光線を照射する可視光源と、
    前記可視光源を制御する可視光源制御手段と、
    前記コリメータの開度が放射線を照射させた状態で前記コリメータの開度を次第に大きくしていって、放射線の広がりがこれ以上大きくならなくなる最小の開度である上限開度よりも大きくならないように前記コリメータ駆動手段を制御するコリメータ制御手段とを備えることを特徴とする放射線撮影装置。
  2. 請求項1に記載の放射線撮影装置において、
    術者の指示を入力させる入力手段と、
    術者に対して発報を行う発報手段と、
    前記発報手段に発報の指示を与える発報制御手段とを備え、
    前記発報制御手段は、前記入力手段を介して前記コリメータの開度が前記上限開度を超えるような制御がなされると、発報を行うように前記発報手段を制御することを特徴とする放射線撮影装置。
  3. 請求項2に記載の放射線撮影装置において、
    前記コリメータ制御手段は、術者が行おうとしている撮影に必要なコリメータの開度である必要開度が前記上限開度よりも大きいとき発報を実行するように前記発報制御手段に通知を行うことを特徴とする放射線撮影装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の放射線撮影装置において、
    複数の上限開度を前記放射線源の種別と関連づけて記憶する記憶手段と、
    前記放射線源を制御する放射線源制御手段を備え、
    前記放射線源制御手段は、前記放射線源の種別を示す種別情報を前記コリメータ制御手段に出力し、
    前記コリメータ制御手段は、取得した前記種別情報に対応する前記上限開度を前記記憶手段から読み出して動作することを特徴とする放射線撮影装置。
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