JP5707319B2 - 多層コーティングを形成する方法、光学素子および光学装置 - Google Patents

多層コーティングを形成する方法、光学素子および光学装置 Download PDF

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Description

本発明は、軟X線領域またはEUV波長領域で光線を光学素子で反射するための多層コーティングを形成するための方法、および30℃以上、好ましくは100℃以上、特に好ましくは150℃以上、特に250℃以上の作動温度で作動される光学素子に関する。本発明は、このタイプの光学素子を少なくとも1つ備える光学装置にも関する。
軟X線領域またはEUV波長領域(すなわち、概して5nm〜20nmの間の波長領域)のための光学素子は、とりわけ、半導体素子を製造するためのマイクロリソグラフィ用投影露光装置などの光学装置で使用される。この波長領域で十分な透過率を有する光学材料は知られていないので、光学素子は反射により作動され、これらの波長における光学素子の最大反射率は、概して約70%未満である。すなわち、反射光学素子に入射する光線の約1/3は反射されず、光学的な光線経路で後方に配置された光学素子には入射しない。したがって、光線経路でより前方に配置された、すなわち、EUV光線のより近くに配置された光学素子は、著しく高い光線負荷を受けやすく、光線経路で後方に位置する光学素子の場合よりも著しく強く加熱される。これにより、例えば、EUV光源に続く第1の光学素子である集光ミラーの温度は、光学装置の作動時に約200℃〜約400℃となり、またはこれを超える場合もある。照明系における後方の光学素子の温度は、200℃以上となる場合もあり、約60℃以上の温度が光学装置の投影系においても生じる場合がある。
EUV波長領域で光線を反射するために用いられる光学素子の多層コーティングは、高い屈折率および低い屈折率を有する材料からなる層、例えばモリブデンおよびケイ素からなる層を交互に配置し、これらの層の厚さは、コーティングが光学機能を果たすことができ、特に高い反射率が確保されるように相互に調整される。しかしながら、光学素子の多層コーティングは、上記のような高温に加熱された場合に、多層コーティングに熱負荷が生じる場合があり、このような熱負荷は、以下に個別に説明するように光学素子の光学特性に不利に作用する。
特許文献1(国際公開第2007/090364号)は、層材料として汎用の物質、モリブデンおよびケイ素が高温時に境界面における混合プロセスによりケイ化モリブデンを形成しやすく、これにより、層対の層厚さ不可逆的な減少による反射率の低下が生じ、これにより、入射光線のための多層コーティングの反射率最大値が短い波長に向けてずらされることを開示している。この問題を克服するために、上記特許文献1では、ケイ素の代わりにホウ化ケイ素を用い、モリブデンの代わりに窒化モリブデンを用いることを提案している。
この問題を解決するために、特許文献2(ドイツ国特許第10011547号明細書)は、ケイ素層とモリブデン層との境界面にMOCからなるバリア層を設け、これにより、これらの層間における混合を防止し、多層コーティングの熱的安定性を改善することを提案している。
出願人による特許文献3(ドイツ国特許出願公開第102004002764号公報)によれば、所定の被覆方法による被覆時に、多層コーティングの層が固体としての対応材料よりも低い密度を有する非結晶構造を有していることが知られている。初期には低い層の密度は温度上昇時に不可逆的に増大し、これにより、個々の層の厚さが減少し、これに伴い、層の周期長さが増大する。このことは同様に多層コーティングが反射率最大値をとる波長がずらされるという結果をもたらす。極端な場合、周期長さは、多層コーティングを設けた光学素子が使用不能となるほどに変化することもある。特許文献3では、この問題を解決するために、光学装置で使用する前に多層コーティングの加熱処理による層厚さの不可逆的な減少を見込んで層の被覆時に余剰分を設けることを提案している。
国際公開第2007/090364号 ドイツ国特許第10011547号明細書 ドイツ国特許出願公開第102004002764号公報
本発明の課題は、多層コーティング、光学素子および光学装置を形成するための方法において、高い作動温度においても光学特性が損なわれない方法を提案することである。
この課題は、冒頭で述べた形式の方法において、次のステップ:多層コーティングのための光学設計を決定し、この光学設計により作動温度における多層コーティングの層の光学的な目標-層厚さを規定するステップと、層の熱膨張によって被覆温度と作動温度との間に誘起される層厚さ変化が補償されるように選択した光学的な実際-層厚さを多層コーティングの層に設けるステップとを含む方法によって解決される。
本発明によれば、例えば室温で行うことができる被覆時に、作動温度に加熱した場合に層の熱膨張により光学的な目標-層厚さ、ひいては作動温度における望ましい光学設計が得られるように層の光学的な実際-厚さを選択することが提案される。この場合、層の光学的な厚さとは、一般に層の屈折率nと物理的(幾何学的な)厚さdとにより生じる積である。層の物理的な厚さの他に、温度変化時には、場合によっては層の屈折率も変化する。個々の層の光学的な実測-厚さは、それぞれについて、作動温度で光学的な目標-厚さが設定されるように選択することができる。しかしながら、代替的には、簡易化のために多層コーティング全体の有効な、光学的な実際-厚さのみを選択し、これにより、多層コーティングの有効な光学的目標-厚さが設定されるようにすることもできる。さらに屈折率のばらつきは無視できることも多く、作動温度で幾何学的な目標-層厚さが設定されるように幾何学的な実際-層厚さのみを調整すればよい。
従来技術とは反対に、高い作動温度における作動時の光学素子の加熱により生じる可逆性の層厚さ変化を多層コーティングの形成時に考慮する。コーティングは概して作動温度よりも低い温度で行われるので、概して実際-層厚さは目標-層厚さよりも小さく選択される。層厚さの不可逆的な変化を補償するために付加的に従来技術による既知の上述の措置をとってもよいことは自明である。特に、100℃を超える温度で作動される光学素子の場合、中間層(英語で「バリア層」)を設けるか、または場合によってはケイ素およびモリブデンを適宜な耐熱性層材料に代替することが特に推奨される。
有利な一変化態様では、層厚さ変化を決定するために、多層コーティングの層における線形の熱膨張係数が決定されるか、または作動温度における光学素子の少なくとも1つの光学特性が測定される。被覆温度と作動温度との温度差が既知である場合、熱膨張係数の決定より、層の(物理的な)目標-厚さから層の実測-厚さを簡単に計算することができ、計算に際しては概して被覆温度と作動温度との間の温度間隔にわたって一定の線形熱膨張率を前提とする。この場合、当然ながら、簡易化のために、多層コーティング全体の一様な熱膨張係数、すなわち、個別材料について平均した熱膨張係数を決定または測定してもよい。代替的には、それぞれの層材料について個別に、または被覆方法の種類に関係した熱膨張係数を決定してもよい。代替的または付加的には、作動温度における光学素子の少なくとも1つの光学特性を測定することも可能である。特にこの場合には反射率を波長および/または入射角の関数として測定することも可能である。この場合、特に異なる実際-層厚さを有する連続した複数の光学素子を形成し、作動温度におけるこれらの光学素子の光学特性を測定し、望ましい光学設計が得られる実際-層厚さを確保することも可能である。冒頭で述べた非可逆的な密度増大の作用が生じる被覆方法では、これにより生じる層厚さ減少を同様に実際-層厚さを決定する場合に共に考慮することができる。
一般的な多層コーティングでは150Kの温度変化時における1パーミル以上の相対厚さ変化を前提とする。特に150Kの温度変化では、高い屈折率実部を有する複数層コーティングの連続した2層間の相対間隔が1パーミル以上変化する場合もある。伝統的なMo/Si多層システムでは、発明者は約0.8 10-61/Kの線形の熱膨張係数を決定した。
有利な変化態様では、光学的な実際-層厚さは、光学的に望ましい層厚さに等しく選択され、光学素子の被覆は作動温度で行われ、この場合に光学素子の温度は好ましくは作動温度に制御される。この場合、光学素子は被覆時に好ましくは一様に作動温度に加熱され、これにより、目標-層厚さに相当する実際-層厚さを有する層を得ることができる。したがって、熱膨張係数の測定を省略することができ、場合によって線形の近似により生じる不正確さにより光学設計の目標-層厚さを作動温度で正確に達成できなくなることはなくなる。この場合、例えば制御可能な加熱素子によって光学素子の温度を作動温度に保持することができる。当然ながら、被覆時に光学素子を不均一に加熱し、作動時に光学素子に生じる温度分布を模倣することもできる。
特に好ましい変化態様では、光学素子の多層コーティングの光学設計が温度に関係した少なくとも1つの光学特性、特に作動波長のための光学素子の反射率に関して作動温度で最適化される。多層コーティングの反射率は、波長に関係して著しく際立った最大値を伴う分布を有し、最大値の波長は、理想的には光学素子を作動すべき光学装置の作動波長と一致する。分布の半値幅は約0.6nmである。この場合、光学設計は作動温度で目標層厚さを有しており、目標層厚さは、反射率最大値が作動波長に位置するように選択される。上述のように、反射率最大値の作動波長は、温度上昇に伴い増大する多層コーティングの層の周期長さにより変化する。対応して、反射率の最大値はより大きい波長に向けてずらされる。したがって、被覆温度では光学設計の実際-層厚さは、目標-層厚さに関して調整され、作動温度で反射率最大値が作動波長、特に13.5nmに調整されるように選択される。
一変化態様では、光学素子の作動温度は、少なくとも一方向に光学面に沿って変化し、光学素子の被覆時には、層に少なくとも一方向に沿って変化する実際-層厚さが設けられる。光学素子の加熱によって、いわば「側方勾配」とも呼ばれる一定だが不均一な温度上昇が生じた場合、この温度上昇は、実際-層厚さを場所に関係して調整することにより目標-層厚さに対して補償することができる。当然ながら、作動温度で必ずしも一定の目標-層厚さを有する多層コーティングが生じなくてもよい。特に平均入射角が光学表面の場所に関係して変化し、これにより、光学素子における場所に関係した最大反射率を生成するための層厚さを場所に関係して最適化する必要がある場合には、むしろ目標-層厚さは側方勾配を有していてもよい。当然ながら、特に光学装置の照明系に配置した光学素子では、場所に関係した温度上昇は、それぞれの照明設定に関係し得る。この場合、「平均の」照明設定に対応した最適化を行うことができる。すなわち、光学素子の十分な特性が得られる状態で、使用する全ての照明設定の作動が確保されるように選択した最適化を行う。
本発明の別の態様が冒頭に挙げた形式の光学素子において実施され、この光学素子では、多層コーティングの光学設計が、少なくとも温度に関係した光学特性、特に作動波長における光学素子の反射率に関して、作動温度で最適化される。したがって、光学素子は、作動波長(例えば13.5nm)における反射率の最大値が室温(22℃)ではなく、30℃以上の作動温度でようやく得られる光学設計を有している。当然ながら、反射率の他に、例えば、光学素子が照明系の光路において物体平面まで保持すべき照明視野を形成する光混合装置の後方に配置されている場合には、光学素子の他の光学特性を最適化することもできる。この場合、作動温度での光学素子の光学設計は、他の光学素子の特性に関係している。すなわち、複数の光学素子の光学設計が相互に適合され、光学装置の全般的な特性、例えば光学素子の均一性またはテレセントリック性が作動温度で最適化される。「最適化」とは、本出願明細書では、概して光学特性の最大化または最小化であり、例えば光学素子の反射率の最大化である。
好ましい実施形態では、光学素子の反射率最大値の波長は作動温度で作動波長と一致し、特に光学素子の反射率最大値の波長は、作動温度で、室温で得られる光学素子の反射率最大値の波長に対して2パーミル、場合によっては4パーミルよりも大きく作動波長に対してずらされる。この場合に光学設計または層厚さは、作動温度および所定の光入射角における反射率最大値が想定されるように選択する。2パーミルを超える強度最大値のずれが、例えば従来のMo/Si層システムにおいて、室温に対して約250Kの温度差で達成され、4パーミルのずれが約500Kの温度差で達成される。このような高温は、特にEUVリソグラフィ装置の光路において光源の近傍に配置された光学素子で得られる。
好ましい実施形態では、作動温度における光学素子の反射率は、0°〜30°、好ましくは5°〜20°、特に好ましくは10°〜15°の平均的な光入射角で最大化される。この場合、平均的な光入射角は場所に関係して変化し、多層コーティングは、光学表面における場所に関係した光学素子の反射率を最大化するために側方勾配を有していてもよい。
作動温度が少なくとも一方向に光学素子の光学表面に沿って変化する場合、多層コーティングは、少なくとも1つの特性を最適化するために、好ましくは多層コーティングにおける層の層厚さに少なくとも一方向に勾配を有している。側方の層厚さ勾配を設けることにより、光学設計を光学素子の局所的な作動温度に適合されることができる。このことは、特に場所に関係した温度変化に適合させた光学設計がシステム全体の光学特性に直接的な作用を及ぼさない光学素子において有利である。このことは、例えば照明系の視野近傍のミラーでは、均一性に関してあてはまる。
好ましい一変化態様では、光学素子は、複数の個別ミラーを有するファセットミラーとして構成されており、個別ミラーのそれぞれ少なくとも1つの光学特性が作動温度で最適化されている。一般にマトリクス状の配置で多数の個別ミラーを有するファセットミラーでは、特に簡単な方法で場所に関係した温度差を、局部的な作動温度についてそれぞれの個別ミラーの被覆を最適化することにより考慮をすることができる。この場合、個別ミラーにおける複数層コーティングの層の層厚さについてそれぞれ一定の厚さを選択することができ、しかもファセットミラー全体において場所に関係した最適な光学設計を達成することができる。
本発明の別の態様が、光学装置、特にEUVリソグラフィ用投影露光装置で実施されており、この光学装置は物体視野を照明するための照明系と、物体視野を像視野に結像するための投影系と、光学装置の光路に配置した少なくとも1つの上記光学素子とを備える。この場合、少なくとも1つの光学素子は、一般的に光源によって作動温度に加熱され、続いて光学装置を作動する場合に、少なくとも1つの光学特性を最適化する実質的に一定の、場合によっては場所に関係して可変の作動温度を有する。
特に好ましい実施形態では、少なくとも1つの光学素子の光学設計は、光学装置の少なくとも1つの結像エラーが光学素子の作動温度で最適化されるように選択される。当然ながら、最適化、すなわち、一般に光学装置の結像エラーを最小限とするために、異なる作動温度を有する複数の光学素子の光学設計を共に最適化するか、または相互に調整することができる。
好ましい一改良形態では、結像エラーは、テレセントリック性、均一性、瞳楕円率および瞳アポディゼーションを含むグループから選択される。場合によっては、特に一般に選択した照明設定に関係した結像エラーであっても全ての結像エラーを一緒に最適化することができないことは自明である。結像エラーの最適化は、一般に、例えばハニカムコンデンサとして構成されていてもよい光混合装置の後方の照明系の場合のように、例えば結像すべき視野が既に提供された光学素子においてのみ行われる。
有利な実施形態では、照明系に配置した少なくとも1つの光学素子の多層コーティングにおける層の層厚さの勾配は、光学素子の作動温度で光学装置の物体平面における均一性が少なくとも1方向に5%未満、好ましくは2%、特に1%未満となるように選択される。これは、特に光学素子が少なくとも1方向に視野近傍の光学素子である場合、すなわち、光学表面における空間座標が物体視野の空間座標に対応する光学素子である場合に達成することができる。当然ながら、単一の光学素子が第1方向に視野に近く、一般に第1方向に対して垂直な第2方向に瞳に近くてもよい。すなわち、第2方向では、光学表面における場所は光学装置の物体視野における角度に対応している。
特に好ましくは、作動波長についてそれぞれの作動温度で光学素子を作動した場合に、光学装置は、好ましくは、室温における光学素子の作動に対して2%以上、特に3%以上増大された最大限の総透過率を有している。上記のような、コーティングにおける層厚さの適宜な規定により、光学装置は、作動温度で最大限の総透過率を有している。これにより、特に光学素子を作動波長のためのそれぞれの作動温度で作動した場合に、光学装置は、特に室温で光学素子を作動した場合に作動波長のために最大限の総透過率を有する、すなわち、室温で作動するために最適化された(他の点では同一の)光学装置に対して2%以上、特に3%以上増大された最大限の総透過率を有する。
光学装置の総透過率は、照明系の透過率と投影系の透過率の積として生じる。これらの照明系および投影系は配置された光学素子のそれぞれの個別素子の反射率を最大化することによりそれぞれ最適化することができる。このようにして、理想的には、作動波長で共通の最大値を有する光学装置の全ての光学素子について完全に等しい反射率曲線が生じる。
この場合、総透過率は、例えば作動波長の+/-1%の波長領域で決定される(いわゆる「帯域内」)。当然ながら、光学装置のできるだけ均一な透過率も達成されるべきであり、すなわち、それぞれの第1像視野点における総透過率は、総透過率のより大きい値に関して2%未満だけ、それぞれの第2像視野点における総透過率と異なるべきである。
一実施形態では、光路で連続した少なくとも2つの光学素子は、光学装置の作動時に異なる作動温度を有している。上述のように光路において光学素子の異なる作動温度が生じ、この場合、光学素子は入射光線のそれぞれ約70%のみを反射し、光学表面に入射する光線の強度は光源から離間されているほど減少する。当然ながら、特に2つの光学素子の光学設計がそれぞれの作動温度のために最適化されており、したがって、2つの光学素子の層の実際-層厚さは室温で一般に相互に異なっている。
特に有利な実施形態では、少なくとも1つの反射光学素子の光学表面を作動温度に、好ましくは均一に加熱するために、好ましくは制御可能な少なくとも1つの加熱素子が設けられている。光学素子のために光学的に設計した作動温度は、概して、例えば約30分の光学装置の作動時間後にようやく得られるので、光学素子を迅速に作動温度にもたらすために、例えば、加熱ワイヤ、ペルティエ素子などによって光学素子を加熱することができる。この場合、加熱素子のための制御部を設け、作動温度に到達した場合に加熱素子を作動停止するか、場合によっては露光時の条件を変更する場合、特に照明設定を変更する場合に選択した作動温度を保持することが提案される。
本発明の他の特徴および利点が、以下の本発明に本質的な詳細を示す図面に基づいた本発明の実施形態の説明および特許請求の範囲により明らかである。個々の特徴は、それぞれ個別に、または本発明の変化態様において複数の特徴を任意に組み合わせて実施してもよい。
本発明の実施の形態を概略図に示し、以下に詳細に説明する。
本発明によるEUVリソグラフィシステムを示す概略図である。 図2aは、被覆温度における多層コーティングを有する光学素子を第1方向で示す概略図であり、図2bは、作動温度における多層コーティングを有する光学素子を第1方向で示す概略図である。 図3aおよび図3bは、光学素子を第2方向で示す対応した図である。 図4aは、熱補償がない場合の図1に示した照明系の光学素子の反射率、図4bは、これにより生じる照明系の透過率、および図4cは、熱補償がある場合または熱補償がない場合のEUVリソグラフィシステムの層透過率をそれぞれ波長に関係して示すグラフである。 第2方向に沿って図1に示した照明系における光学素子の角度付与を示す概略的なグラフである。 図6aは、作動温度で熱補償がない場合、図6bは、室温で熱補償を保持した場合の照明系の物体平面における均一性を示すグラフである。
図1には、EUVリソグラフィ用の投影露光装置1の概略図が示されている。この投影露光装置1は、真空生成ユニット1b(真空ポンプ)に対応したハウジング1aを有している。ハウジング1aは、このハウジング内に配置された構成素子の光学機能に対応して、図1に示していない3つのハウジング部分に分割される。まず第1ハウジング部分は光生成ユニット2を有し、光生成ユニット2は、例えば、(図示しない)プラズマ光源および照明光線を集束するためのEUV集光ミラー2aを備える。
第1ハウジング部分に接続する第2ハウジング部分には照明系3が配置される。この照明系は、光線経路に従って、視野走査素子5を有するミラーおよび光混合装置としての瞳走査素子6を有するミラーを備える。伸縮式対物レンズ7として作用する後続の3つのミラーは、垂直入射で作動する第1および第2ミラー8,9ならびに負の屈折力を有する第3ミラー10を備え、第3ミラーには、光はかすめ入射により入射する。照明系3は物体平面11にできるだけ均一な像視野を生成する。像視野には、縮小して結像すべきパターン(図示しない)を有するレチクル12が配置されている。
物体平面11でレチクル12に配置したパターンは、第3ハウジング部分に配置した後続の投影系4によって、感光性の層(図示しない)を有するウェーハが位置する像平面13に結像される。投影系4は、縮小して結像するために反射光学素子の形の他の6個のミラー14.1〜14.6を備える。
投影露光装置1の作動時に、光生成ユニット2の光路15に位置する照明系3の光学素子2a,5,6,8〜10および照明系4の光学素子14.1〜14.6は、照明光線によって著しく加熱され、約30分であってもよい加熱段階の後、光学素子2a,5,6,8,9,10,14.1〜14.6はそれぞれの作動温度に到達する。それぞれの光学素子の作動温度は、光学素子と光生成ユニット2との間にさらに幾つの光学素子が配置されているかに関係している。なぜなら、それぞれの光学素子2a,5,6,8,9,10,14.1〜14.6は、最適な場合でも入射光線の約70%しか反射することができないからである。
上記のように、投影露光装置1の作動時における光学素子2a,5,6,8,9,10,14.1〜14.6の温度は、停止状態における温度、典型的には室温(約22℃)とは部分的に著しく異なる。温度上昇によって、図2a,図2bに、例として伸縮式ミラー7の第1/第2ミラー8,9について示したように、光学素子2a,5,6,8,9,10,14.1〜14.6に被覆される反射性多層コーティングの層厚さは第1方向Yに沿って変化する。
図2aには、光学素子8の被覆時に温度Tに相当する室温Tにおける光学素子8,9が示されている。この場合、光学素子8,9の基板16には、薄膜被覆方法により、モリブデン層17.1またはケイ素層17.2からなる交互の層によって構成される多層コーティング17が被覆される。図2aからわかるように、光学素子8,9は、多層コーティング17に被覆されたカバー層19を備え、これにより、層17.1,17.2を酸化から保護する。カバー層19の上側には、光学素子8の光学表面19aが形成される。
約50の連続した対の層17.1,17.2は、被覆温度T/室温T(図2a参照)における光学的な実際-層厚さnを有し、この層厚さは、図2bに示した作動温度TOPにおける光学的な目標-層厚さnOPOPよりも小さく、これは、層17.1,17.2の厚さは温度に関係して増大するからである。ケイ素とモリブデンとからなる50の層17.1,17.2からなる多層コーティング17について、0.8×10−61/Kの線形の熱膨張係数α(ΔL/L×l/ΔT)が決定される。この場合、カバー層19の厚さは同様に増大するが、厚さは概して反射の一因とはならないので、厚さ変化は光学素子の特性の変化を誘起しない。また以下では、室温Tにおける屈折率nおよび作動温度TOPにおける屈折率nOPは一致し、物理的な層厚さのばらつきのみが生じるということを前提とする。
作動温度TOPに加熱した場合に層17.1,17.2の熱膨張によって、多層コーティング17の周期長さが増大する。これにより、波長に関係した多層コーティング17の反射率最大値は大きい値に向けてずらされる。照明系3の6個の光学素子2a,5,6,8〜10では、作動温度TOPと室温TとのずれΔT=TOP−T、関連した波長ずれΔλおよび13.5nmの投影露光装置1の作動波長λに対する波長ずれΔλ/λを以下の表に挙げる:
Figure 0005707319
図4aは、波長λの関数としての光学素子2a,5,6,8,9の反射率Rについての表に、光学素子2a,5,6,8,9に対する温度上昇の影響を示している。反射率の最大値は、ここではいずれの場合にも作動波長λ=13.6nmに位置するが、より高い作動温度を有する光学素子では上記最大値はより高い波長にずらされることが明らかにわかる。図4aに示した鉛直方向の線は、垂直透過率を計算する±1%の帯域の限界を示す。照明系1の透過率は、図4aの光学素子2a,5,6,8,9の反射率曲線および照明系3において最低作動温度を有する光学素子10の反射率曲線(図示しない)の積として生じる。
図4bは、波長λの関数として生じる照明系3の透過率Tの分布Iを示す。投影系4の光学素子14.1〜14.6がそれぞれ完璧に相互に調整されている、すなわち、0パーミルの調整ずれを有すると仮定した場合、図4bに示した投影系4の透過率Tの分布Pがずらされていない反射率曲線の6乗から生じる。すなわち、投影系4の透過率Tの最大値は、ちょうど13.5nmの作動波長λに位置する。これに対して照明系3の透過率分布Iの最大値は、より高い波長に対して約30pm(約2パーミル)だけずらされる。
既に図2aに関して説明したように、照明系3の光学素子における層17.1,17.2の熱膨張率を被覆時に既に提供することができる。すなわち、層17.1,17.2の光学設計または厚さdは、多層コーティング17の生成時に(線形の)熱膨張計数を考慮して設計され、被覆温度Tと作動温度TOPとの間の温度差がわかっている場合に熱膨張により作動温度TOPで所望の厚さDOPが得られる。当然ながら、代替的には、光学素子8,9を被覆時に作動温度TOPに加熱し、望ましい層厚さDOPに等しい実際-層厚さdBで層17.1,17.2を被覆することもできる。このために、特に光学素子8,9の温度を作動温度に保持するように制御可能な加熱素子20を被覆装置に設けることもできる。被覆は、例えば化学的または物理的なガス相析出によって薄膜を被覆するための汎用の方法を用いて行うことができる。2つの層材料(Si/Mo)のために上記のように単一の熱膨張係数を用いる代わりに、個々の層17.1,17.2の熱膨張係数を別個に決定することもでき、これにより、2つの材料のために層厚さの減少を個々に規定することができる。多層状層システム17の温度安定性を向上させるための中間層を用いる場合にも、中間層の熱膨張係数を別個に決定し、この層タイプに必要な層厚さの低減を決定することができる。光学設計が望ましい特性を有しているか否かをチェックするために作動温度で光学素子を測定することもでき、このために、例えば、波長および/または入射角に関係した反射率を測定してもよい。異なる実際-層厚さを有する複数の光学(テスト)素子を作動温度で測定することにより、作動温度で望ましい光学設計を設定するにはどの実際-層厚さを選択しなければならないかを、熱膨張係数を決定する必要なしに突き止めることができる。
図2a,図2bとの関連で説明した多層コーティング17の最適化を照明系3の全ての光学素子2a,5,6,8〜10に関して行った場合、図4bに示した透過率曲線Iは、より小さい波長に向けてずらされ、図4cに示した投影系4の透過率曲線Pとほぼ一致する。図4cは、図4bの透過率曲線Pとの積として生じる投影露光装置1の総透過率曲線E1を示す。照明系3における層の熱膨張率が提供されない場合、図4bの投影系4の透過率曲線Pと照明系3透過率曲線Iの積として補償なしに総透過率E2が生じる。補償を有する透過率曲線E1が得られた場合、透過率Tの最大値は、13.5nmの作動波長λで生じ、補償なしの透過率曲線E2の場合、最大値は約1パーミルだけ高い波長にずらされる。
温度調整により生じる透過率損失は、図4cに基づき2つの異なった形で考慮することができる。すなわち、全スペクトル幅(全領域)にわたる積分、または2つの透過率曲線E1,E2の±1%の帯域(「帯域内」)にわたる積分が相互に関連づけられる。調整ずれにより、3.5%(全領域)または3.2%(帯域内)の透過率損失が生じる。
照明光線による通常では投影露光装置1の停止段階の室温Tからそれぞれの作動温度TOPへの光路15における光学素子2a,5,6,8,9,10,14.1〜14.6の加熱は、場合によっては30分またはそれ以上かかる。作動温度TOPのために最適化された光学素子2a,5,6,8,9,10,14.1〜14.6をより早く使用できるように、例えば加熱ワイヤまたはペルティエ素子の形態の加熱素子20(図2a、図2b参照)を投影露光装置1の光学素子2a,5,6,8,9,10,14.1〜14.6に取り付けてもよい。さらに制御ユニットおよび温度センサを投影露光装置1における温度制御のために設け、作動温度TOPに到達した場合に加熱素子をスイッチオフするか、または、光学素子の温度が照明条件を変更した場合にも作動温度TOPにできるだけ近い温度で作動されるように加熱素子を制御することも提案される。
作動温度について光学素子の光学特性の最適化を反射率に関して行うことができるのみならず、代替的または付加的には他の基準に関しても、特に投影露光装置1の結像エラーに関しても最適化が可能である。このことは、特に光路15で視野走査素子を有するミラー5と瞳走査素子を有するミラー6とを組み合せて光混合装置としての役割を果たす装置の後方に配置された照明系3の光学素子についていえる。
図5は、平均入射角αAV、ならびに照明系3における垂直入射で作動される光学素子8,9の視野座標xにわたって平均入射角αAVに対して上方または下方への入射角の3σずれαおよびαを示している。図5からわかるように、光学素子は、x方向に沿った平均入射角αAVの著しいばらつき、およびこの方向における局所的な大きい入射角帯域α+またはα-を有し、これにより、光学素子8,9の中央に集中した入射光線の光線強度の分布21が生じる。光学素子8,9は、x方向に沿った視野近傍の素子である。すなわち、光学素子8,9の光学表面におけるx座標は、投影露光装置1の物体平面11におけるx座標にほぼ対応する。
図6aに示すように、多層システム17の周期長さが+2パーミル変化することにより反射率最大値の波長に熱に起因した調整ずれが生じたとした場合、物体平面11における均一性U1は視野に関係して±2%だけ低下する。−2パーミルの負の調整ずれ(すなわち、熱膨張は生じるが、照明系3は冷えた状態(室温T)で作動される)の場合、均一性U2は主に視野縁部で約−4%だけ低下する(図6b参照)。図6a、図6bにそれぞれ平均値を示したこのような均一性の変化は使用される照明設定には実質的に関係していない。他の結像特性、例えば、楕円率およびテレセントリック性が、一般に均一性の場合よりもわずかな程度にではあるが、光学素子8,9の調整ずれによって影響を受ける場合がある。
図5、図6aおよび図6bからわかるように、層17.1,17.2の厚さをx方向に均一に低減することは、照明視野の高い均一性を得るために十分ではない。なぜなら、光学素子における強度分布21、およびこれに伴う温度分布はx方向には不均一だからである。図3a、図3bに示すように、補償のために層17.1,17.2に側方の層厚さ勾配をこの方向(x方向)に設けることができる。すなわち、被覆時の層17.1,17.2の厚さdB,xはx方向の場所に関係しており、局所的な実際-層厚さdB,xは、層17.1,17.2の熱膨張により被覆温度Tと作動温度TOPとの間に誘起される局所的な層厚さ変化dOP,x−dB,xがちょうど補償されるように選択され、ここでも簡易化のために、室温における屈折率nB,xと作動温度における屈折率nOP,xは同一であるものとしている。層温度Tにおける実際-層厚さdB,xを決定する場合には、したがって熱膨張の全体的な割合および局所的な割合の両方を考慮する。このようにして、物体平面でx方向における均一性を得ることができ、その値は約1〜2%未満である。
作動温度TOPで得られる多層コーティング17では、層17.1,17.2は、x方向の場所に関係して望ましい目標-層厚さdOP,xを有し、この層厚さは、光学素子8,9の反射率が、図5に示したx方向に著しく変化する平均入射角αAVについて最適化される。光学表面19aの全ての場所についてx方向の平均入射角は、光学素子8,9では典型的には約10°〜15°である。
上記最適化は光学素子8,9に限定されず、例えば、投影系4の光学素子14.1〜14.6にも必要な場合があることは自明である。なぜなら、25K温度が上昇しただけでも2.7pm(0.2パーミル)の波長のずれが生じるからである。照明系3のファセットミラー5,6を最適化することも可能であり、この場合、それぞれの(図1に示さない)個別ミラーについて、個別ミラーにわたって一定の層厚さにより個別の最適化を行うことができ、これにより、異なった個別ミラーで異なった層厚さを選択した場合、ファセットミラー5,6の光学表面全体に関して局所的な最適化を行うことができる。さらに、場合によっては光学素子をそれぞれの作動温度TOPに加熱した場合に生じ得る基板16の変形も被覆時に層厚さを場所に関係して様々に適宜に選択することによって補償することができる。特に光学素子の基板は必ずしも平坦である必要はなく、楕円形または放物線状の基本形状を有していてもよい。

Claims (15)

  1. 軟X線領域またはEUV波長領域で光線を光学素子(2a, 5, 6, 8, 9, 10, 14.1-14.6)で反射するための多層コーティング(17)を形成するための方法であって、30℃以上の作動温度(TOP)で前記光学素子を作動する方法において、
    前記多層コーティング(17)の光学設計を決定し、該光学設計により作動温度(TOP)における前記多層コーティング(17)の層(17.1, 17.2)の光学的な目標-層厚さ(nOPdOP)を規定するステップと、
    前記層(17.1, 17.2)の熱膨張によって被覆温度(TB)と前記作動温度(TOP)との間に誘起された層厚さ変化(nOPdOP-nB dB)が補償されるように選択した光学的な目標-層厚さ(nBdB)を有する前記多層コーティング(17)の層(17.1, 17.2)を被覆するステップとを含み、
    作動波長(λ0)における前記光学素子(2a, 5, 6, 8, 9, 10, 14.1-14.6)の反射率に関して、前記光学素子(2a, 5, 6, 8, 9, 10, 14.1-14.6)の前記多層コーティング(17)の光学設計を前記作動温度(TOP)で最適化し、
    前記光学素子(2a, 5, 6, 8, 9, 10, 14.1-14.6)の前記作動温度(TOP)を、少なくとも一方向に光学表面(19a)に沿って変化させ、前記光学素子(2a, 5, 6, 8, 9, 10, 14.1-14.6)の被覆時に、前記層(17.1, 17.2)に、少なくとも一方向に沿って変化する前記実際-層厚さ(dB,x)を設けることを特徴とする方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、
    層厚さ変化(nOPdOP-nB dB)を検出するために、前記多層コーティング(17)の前記層(17.1, 17.2)の線形の熱膨張係数を決定するか、または前記作動温度(TOP)における前記光学素子(2a, 5, 6, 8, 9, 10, 14.1-14.6)の少なくとも1つの光学特性を測定する方法。
  3. 請求項1に記載の方法において、
    前記光学的な実際-層厚さ(nB dB)を、前記光学的な目標-層厚さ(nOP dOP)に等しく選択し、前記光学素子(2a, 5, 6, 8, 9, 10, 14.1-14.6)の被覆を前記作動温度(TOP)で行う方法。
  4. 軟X線領域またはEUV波長領域の光線を反射するための多層コーティング(17)を有し、30℃以上の作動温度(TOP)で光学装置(1)の光路(15)で作動される光学素子(2a, 5, 6, 8, 9, 10, 14.1-14.6)において、
    前記多層コーティング(17)の光学設計が、作動波長(λ0)における前記光学素子(2a, 5, 6, 8, 9, 10, 14.1-14.6)の反射率(R)に関して前記作動温度(TOP)で最適化され、
    前記光学素子(2a, 5, 6, 8, 9, 10, 14.1-14.6)の前記作動温度(TOP)が、少なくとも一方向に光学表面(19a)に沿って変化することを特徴とする光学素子。
  5. 請求項4に記載の光学素子において、
    前記光学素子(2a, 5, 6, 8, 9, 10, 14.1-14.6)における反射率(R)の最大値の波長(λ)が前記作動温度(TOP)で前記作動波長(λ0)と一致し、前記作動温度(TOP)で前記光学素子(2a, 5, 6, 8, 9, 10, 14.1-14.6)における前記反射率(R)の最大値の波長(λ)が、室温(TR)で得られる前記光学素子(2a, 5, 6, 8, 9, 10, 14.1-14.6)における前記反射率(R)の最大値の波長(λ)に対して2パーミルよりも大きく前記作動波長(λ0)に対してずらされる光学素子。
  6. 請求項4または5に記載の光学素子において、
    前記作動温度(TOP)における前記光学素子(2a, 5, 6, 8, 9, 10, 14.1-14.6)の前記反射率(R)が、0°〜30°の平均的な光入射角で最大化される光学素子。
  7. 軟X線領域またはEUV波長領域の光線を反射するための多層コーティング(17)を有し、30℃以上の作動温度(TOP)で光学装置(1)の光路(15)で作動される光学素子(2a, 5, 6, 8, 9, 10, 14.1-14.6)において、
    前記多層コーティング(17)の光学設計が、温度に関係した少なくとも1つの光学特性に関して最適化されており、
    前記作動温度(TOP)が少なくとも一方向に前記光学素子(2a, 5, 6, 8, 9, 10, 14.1-14.6)の光学表面(19a)に沿って変化し、前記多層コーティング(17)が、少なくとも1つの光学特性を最適化するために、少なくとも一方向に前記多層コーティング(17)の前記層(17.1, 17.2)の層厚さ(dB, X)に勾配を有していることを特徴とする光学素子。
  8. 請求項7に記載の光学素子において、
    該光学素子が、複数の個別ミラーを有するファセットミラー(5, 6)として構成されており、いずれの場合にも前記個別ミラーの少なくとも1つの光学特性が前記作動温度(TOP)で最適化されている光学素子。
  9. 光学装置において、
    物体平面(11)を照明するための照明系(3)と、
    前記物体平面(11)におけるパターンを像平面(13)に結像するための投影系(4)と、
    前記光学装置の光路(15)に配置された請求項4から8までのいずれか一項に記載の少なくとも1つの光学素子(2a, 5, 6, 8, 9, 10, 14.1-14.6)と
    を備えることを特徴とする光学装置。
  10. 請求項9に記載の光学装置において、
    少なくとも1つの前記光学素子 (2a, 5, 6, 8, 9, 10, 14.1-14.6)の光学設計が、前記光学装置の少なくとも1つの像収差が前記光学素子(2a, 5, 6, 8, 9, 10, 14.1-14.6)の作動温度(TOP)で最適化されている光学装置。
  11. 請求項10に記載の光学装置において、
    前記像収差が、テレセントリック性、均一性、瞳楕円率および瞳アポディゼーションを含むグループから選択される光学装置。
  12. 請求項11に記載の光学装置において、
    前記照明系(3)に配置された少なくとも1つの前記光学素子(2a, 5, 6, 8, 9, 10, 14.1-14.6)の前記多層コーティング(17)における前記層 (17.1, 17.2)の層厚さ(dOP, X)の勾配が、前記光学素子(2a, 5, 6, 8, 9, 10, 14.1-14.6)の前記作動温度(TOP)で、前記光学装置(1)の物体平面(11)における均一性(U)の絶対値が少なくとも1方向に5%未満となるように少なくとも1方向に選択される光学装置。
  13. 請求項9から12までのいずれか一項に記載の光学装置において、
    前記作動波長(λ0)についてそれぞれの作動温度(TOP)で前記光学素子(2a, 5, 6, 8, 9, 10, 14.1-14.6)を作動した場合に、前記光学装置が、室温(TR)で前記光学素子(2a, 5, 6, 8, 9, 10, 14.1-14.6)を作動した場合に対して2%以上増大された最大限の総透過率を有している光学装置。
  14. 請求項9から13までのいずれか一項に記載の光学装置において、
    前記光路(15)で連続した少なくとも2つの前記光学素子(2a, 5, 6, 8, 9, 10, 14.1-14.6)が、前記光学装置(1)の作動時に異なる作動温度(TOP)を有している光学装置。
  15. 請求項9から14までのいずれか一項に記載の光学装置において、
    少なくとも1つの反射光学素子(2a, 5, 6, 8, 9, 10, 14.1-14.6)の前記光学表面(19a)を、前記作動温度(TOP)に加熱するために、制御可能な少なくとも1つの加熱素子(20)が設けられている光学装置。
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