JP5704735B1 - 水冷式プレート型冷却ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】製造時間が短く、水漏れに対する信頼性を高めることができる水冷式プレート型冷却ユニット及びその製造方法の提供を図る。【解決手段】一対のプレートの空洞領域内に流路を区画するリブと、給排水用部材とから構成され、一対のプレートの縁部にはそれぞれ相互に向かい合う垂直方向へ折り返された絞り部が形成され、絞り部は相互に付き合わせ溶接にて結合され、リブは一対のプレート間に挟持される状態でスポット溶接により結合されて形成される手段を採用した。【選択図】図1

Description

本発明は、主として冷却用の熱交換器に関し、詳しくは、内部流路を有する水冷式プレート型冷却ユニットにおいて、全体を構成する構成部材の部位毎の結合手段に、溶接とスポット溶接とを使い分けることで、製造コストの軽減、並びに製造時間の短縮を図ることを可能とする水冷式プレート型冷却ユニットに関する。
熱交換器は、温度の高い物体と温度の低い物体との間で効率的に熱を移動させる機であり、温度差の異なる液体同士、液体と気体、液体と固体、或いは気体同士などの熱交換のために流体を扱うものである。構造により分類され、プレート式・スパイラル式・二重管式・多管円筒式熱交換器,その他、多種多様の熱交換器があり、冷却装置も熱交換器の一種である。
冷却装置の中でも、プレート式の冷却装置の用途は広範であり、多目的に利用されている。例えば、身近なものとして、小さなものではコンピューターのCPUであったり、もう少し大きなものでは、空調施設や給湯設備などへの利用があり、大型のものでは、冷凍機やヒートポンプなどの冷熱源機器から生じる熱や蒸気ボイラー等の温水ボイラーなどから生じる熱を空調機循環水に伝えるもので、これらに用いられる水冷式プレート型冷却ユニットは、いずれも放熱ロスを少なくして効率よく熱の伝達を行うものである。また、積極的に放熱させることで、電気設備や電子機器などから発生する熱を冷却することを目的とした利用も多い。特に、強磁場発生装置や半導体製造装置においては、発熱量が大きいため、冷却効率の高い冷却装置が必要となる。
また、近年では、あらゆる電子機器が、IC化やLSI化によって高機能・高精度化と共に小型軽量化が図られ、今後益々小型化への技術が発達することが予見される。これらの電子部品や電機部品の製造工程や製造装置においても、飛躍的な技術の進化が図られており、例えば、半導体ウエハは薄型で多層化されるようになっており、また、これに対応できる薄型で、熱の伝達に優れたプレート型冷却装置が求められるところである。さらに、ペルティエ素子モジュールを用いて電気的に熱の移動をさせて冷却する冷却装置においては、温度管理を電子的に制御しやすいという利点があるものの、冷却対象物から移動させる熱以上に、素子自体の放熱量が大きく、吸熱側で吸収した熱と、消費電力分の熱が放熱側で発熱するため、排熱側の十分な冷却を行わないまま負荷をかけ続けると、吸熱側の冷却効率が落ちるばかりでなく素子自体が破損・焼損することがあるという大きな課題を残している。
また、前記の装置以外も含め、電子機器の発熱部に水冷の冷却ユニットを用いる場合、内部の液体が外に漏れることは電気ショートの原因となり許されない。また、コイルの熱を迅速に除去するためには、熱交換ユニットの内部の液体の流速を早めなければならないので、熱交換ユニット内の圧力も高くなる。そのため、ユニット内の圧力に十分耐え、水漏れを生じないプレート型冷却ユニットが求められている。
従来、前記の内圧に十分耐え、水漏れを生じないプレート型冷却ユニットを実現するための技法として、ろう付けによる結合手段を用いて製造が行われていた。ろう付けによる結合手段の利点としては、接合する部材(母材)よりも融点の低い合金を溶かして一種の接着剤として用いるため、母材自体を溶融させずに複数の部材を接合させることができるという点である。係る特性により、平面度が重要になる水冷プレート型冷却装置において、加熱から受ける影響が少なく、平坦なプレートを形成できるという点で優れた結合方法であるといえる。また、異なる素材のプレートを組み合わせることも可能である。
従って、プレート型冷却ユニットの製造には、ろう付けによって実現されてきたという技術背景がある。しかしながら、加熱時間やろう付け自体の作業時間、更には結合状態の非破壊検査など、完成して出荷できるまでの時間が長くなり、手間とコストがかかるという問題もあった。
そこで、薄型で、製造時間がかからず、コストを抑えられるプレート型冷却ユニットに関する技術の提案が待ち望まれている。
上記の問題を解決すべく、従来からも、種々の技術提案がされている。例えば、電磁コイルの冷却構造(特許文献1)が提案され、公知技術となっている。より具体的には、電磁コイルは、熱伝導性を有する材質からなるコイル収容部材に収容され、コイル収容部材は、複数のプレートからなり、プレートとは反対側の面には、冷却水を供給するための冷却配管が接合されている。係る技術の構造は比較的単純なので、製造時間は短く、冷却水は冷却配管内のみを通るため、水漏れ等についての信頼性は高い。しかしながら、コイルの熱が複数のプレートを経由して冷却配管に伝達されるので、放熱の効率は悪いし、コイルが均等に冷却されない。そのため、前述した問題の解決には至っていない。
また、プラズマ処理装置のコイルの冷却構造(特許文献2)も提案され、公知技術となっている。より具体的には、ソレノイドコイルが石英ブロックに接合され、石英ブロックとソレノイドコイルは、ソレノイドコイル内を流れる水によって冷却される。係る技術では、コイルを中空にして、その中を冷却水を通す方式であり、コイルの放熱については、最も適した構造であるが構造が複雑となる。また、石英ブロックとコイルの溶接は十分な固定がしにくい。そのため、前述した問題の解決には至っていない。
また、高周波給電用導体の冷却構造(特許文献3)が提案され、公知技術となっている。より具体的には、コイルを含み高電力回路を水冷で冷却するプレートにおいて、蓋部をろう付けして固定することで、水漏れを防止するものである。比較的製造時間が短く、水漏れについての信頼性も高い。しかしながら、冷却部が単純なパイプ構造であり、高圧で冷却水を扱うこともないことから、前述した問題についての解決案は記載されていない。そのため当問題の解決には至っていない。
特開2003−142456 特開平5−129139 特開2007−73450
本発明者はそれらの問題を解決しようと、一対のプレートの縁部は溶接することにより水漏れに対する信頼性を向上させ、内部のリブはスポット溶接することにより生産性の向上が図れるのではないかという点に着目し、製造時間を短縮し、低コスト化を図れる新たな水冷式プレート型冷却ユニット及びその製造方法の提案に至るものである。
水冷式のプレート型の冷却用ユニットであって、一対のプレートと、該一対のプレート間の空洞領域内に流路を区画する少なくとも1以上のリブと、吸排水用部材と、から構成され、前記一対のプレートの縁部は、端辺がそれぞれ垂直方向へと折り返し相互に向かい合う縁屈曲部を形成し、全周を連続した溶接により密封状態に結合され、前記リブは前記一対のプレート間に挟持される状態でスポット溶接により結合されて形成されることを特徴とする水冷式プレート型冷却ユニット。
また、本発明は、前記一対のプレートの縁部において、端辺がそれぞれ垂直方向へと折り返し相互に向かい合う縁屈曲部を形成し、該縁屈曲部の端辺は相互に突き合わせ溶接によって結合される構成を採用することもできる。係る突き合わせによる溶接構成は、二つの結合部材を略同一の溶け込み状態とできるため、強度が高く安定した溶接が行える。
また、本発明は、前記一対のプレートの縁部において、端辺がそれぞれ垂直方向へと折り返し相互に向かい合う縁屈曲部を形成し、一方の前記縁屈曲部の端辺と他方の前記縁屈曲部の端辺とを嵌合させ、外側から覆う前記縁屈曲部の端辺をすみ肉溶接によって結合される構成を採用することもできる。
係る嵌合による溶接構成は、突き合わせに比べて強度面では落ちるものの、溶接のしやすさや、前記一対のプレートの外周部における絞りや曲げ加工の寸法精度は、突き合わせに求められるものより低くてもすむという利点がある。
また、本発明は、前記一対のプレート間における縁部において、側面リブを前記一対のプレート間に挟持させ、前記縁部の端辺のそれぞれをすみ肉溶接にて結合される構成を採用することもできる。係る構成を採用する場合には、絞りや曲げ加工といった縁部の加工が不要となり、製造時間の短縮に貢献できる構成である。
また、本発明は、前記水冷式プレート型冷却ユニットにおいて、前記一対のプレートの内側に少なくとも一以上の開口部を有し、該開口部の溶接手段は、前記縁部の溶接手段と共通する溶接手段によって、結合される構成を採用することもできる。係る構成は、コイル等の冷却に対応するものである。
また、本発明は、前記一対のプレート及び前記リブが同一素材のステンレス鋼を用いている構成を採用することもできる。
また、本発明は、前記縁部と前記開口部の溶接手段が、全周を連続したTIG溶接によって結合する溶接手段を採用した構成とすることもできる。
また、本発明は、水冷式のプレート型の冷却用ユニットの製造方法であって、一対のプレートを製造する製造工程と、前記一対のプレートにスポット溶接位置を示すためのマーキング工程と、前記一対のプレート間の空洞領域内に流路を区画するリブを製造する製造工程と、前記一対のプレート間に、前記リブと前記空洞領域内に冷却水の給排水を行う給排水用部材が適切位置になるように配置し固定する組立前工程と、前記一対のプレート間に、前記リブと前記給排水用部材を挟持した状態でスポット溶接するスポット溶接工程と、前記一対のプレートの縁部および開口部端部を溶接により密封状態に結合する溶接工程により形成して製造されることを特徴とする水冷式プレート型冷却ユニットの製造方法とすることもできる。
また、本発明は、前記マーキング工程において、予めマーキング位置が穿設されたテンプレートを用いてマーキングし、スポット溶接工程において、スポット溶接機の電極位置を確認できるように、レーザーポインターを用いて、前記のマーキング位置を確認できる方法を採用したことを特徴とする請求項8に記載の水冷式プレート型冷却ユニットの製造方法とすることもできる。
本発明に係る水冷式プレート型冷却ユニット及びその製造方法によれば、従来の技術と比較して製造時間の短縮と低コスト化を図ることができるという、優れた効果を発揮する。
破棄され本発明に係る水冷式プレート型冷却ユニット及びその製造方法によれば、水漏れ防止に対する信頼性を大幅に向上できる薄型冷却ユニットの提供を図ると共に、さらに、水冷式プレート型冷却ユニトに無用な熱ストレスを与えることが極力抑えられるので、品質も向上させることができる。
本発明に係る水冷式プレート型冷却の全体斜視図である。 本発明に係る水冷式プレート型冷却の実施例説明図である。 本発明に係るリブのプレート内配置例説明図である。 本発明に係る結合手段の説明図である。 本発明に係る水冷式プレート型冷却の製造工程図である。 本発明に係る溶接手段の説明図である。
本発明である水冷式プレート型冷却ユニットは、縁部を溶接により結合し、内部リブをスポット溶接することにより、製造時間を短くすると共に、水漏れに対する信頼性を高めたことを最大の特徴とする。以下、実施例を図面に基づいて説明する。なお、本実施例で示される水冷式プレート型冷却ユニットの全体形状及び各部の形状は、下記に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、即ち、同一の作用効果を発揮できる形状及び寸法の範囲内で変更することができるものである。
図1から図3にしたがって、本発明を説明する。図1から図3は、本発明の基本となる構成を示す基本構成説明図であり、図1(a)は矩形状のプレート面を採用した場合の全体斜視図を示し、図1(b)は矩形状のプレート面を採用した場合のプレート内におけるリブ5の配置例を示し、図2(a)は円形状のプレート面を採用した場合の全体斜視図を示し、図2(b)円形状のプレート面を採用した場合のプレート内におけるリブ5の配置例を示し、図3は円形状のプレート面を採用した場合のプレート中心付近に開口部を有する略ドーナッツ形状を採用した場合の全体斜視図を示し、図3(b)及び(c)は略ドーナッツ形状を採用した場合のプレート内におけるリブ5の配置構成を示している。但し、リブ5の配置構成については、図面に示した配置に限定されるものではなく、常に記載された配置構成のみに限定されるものではなく、あくまでも例示である。リブ5の配置は、可能な限りにおいて、流体摩擦等の損失をできるだけ小さくするように、急激なベンドや折り返し部を避けるべきである。また、冷却等をする装置が必要とする水量よりも余裕を持ったポンプの吐き出し量等から算出する。
そして、水冷式プレート型冷却ユニット1は、プレートA(2・17)、プレートB(3・18)、給排水金具4とリブ5から構成されている。水冷式プレート型冷却ユニット1は、プレートに接触した熱源からの熱を吸収し、他の場所に排出するためのものである。熱源からの熱を効率的に吸収するために、プレートの内部は液体で満たしており、液体は内部で循環し、その後外部へ排出される。プレート内は、所定の間隔をおいてリブ5が配置され、並行に列設させたり、周方向に向かって放射状や円周状に区画されて流路を形成し、液体は該リブ5によって区画された該領域を流路として流れる。但し、図1に示される水冷式プレート型冷却ユニット1では矩形形状で示されているが、本発明はこれに限定されるわけではなく、図2に示したような円形状や、図3に示すような略ドーナッツ状でも良い。例えば、コイルの冷却に用いる場合に、コイルの形状に合わせるためである。なお、コイルのみならず、電気機器や情報機器等における水漏れは、致命的なトラブルとなるので、水漏れに対する品質への信頼性はきわめて高いものが要求されるところである。
また、熱の吸収を迅速に行う必要がある場合には、プレート内の液体の流速を速めなければならず、液体の給水圧を高めることになり、プレート内の圧力が高くなる。そのため、水冷式プレート型冷却ユニット1は圧力によるストレスに耐える構造でなければならない。
図3は、本発明に係る水冷式プレート型冷却ユニット1の略中央に開口部を設けた場合の実施形態を示している。水冷式プレート型冷却1の外観を構成するプレートA2(2・17)、プレートB3(3・18)の円盤の外周、及び内周のそれぞれの縁部を絞り加工して屈曲させた縁屈曲部11を備え、中央に穴の開いた円盤状の材料からなる。略半切ドーナッツ状にし、プレートA2(2・17)、プレートB3(3・18)を合わせ、外周、内周を付き合わせ溶接することで、水冷式プレート型冷却1の筐体とする。プレートA2(2・17)には外周に近い部分に、給排水金具4が取り付けられ、給水穴401、排水穴402と接続し、外部の液体を水冷式プレート型冷却1内に循環させるためのものである。図3(a)は全体斜視図を示し、図3(b)と図3(c)は冷却水の流れる状態を示している。なお、図3(b)は給水穴401と排水穴402とを略同一位置に配置し、吸排水用金具4を一体構成品とできる構成であり、図3(c)は、給水穴401と排水穴402とがプレートの両端に分かれて構成されている状態を示している。但し、リブ5の配置構成については、前記構成の場合と同様に、図面に示した配置に限定されるものではなく、急激なベンドや折り返し部を避けるべきであり、ポンプの吐き出し量等から算出する点などは重複するので省略する。
また、プレートA(2・17)、プレートB(3・18)とも除熱する対象物に密着する必要があることから、高い平坦度が求められる。平坦度が悪いと、対象物との間に隙間が出来て十分な熱吸収が出来ないからである。プレートA(2・17)、プレートB(3・18)の材質は、耐食性や強度の面からはステンレス製が好適であるが、これに限定されるものではなく、冷却又は加熱するための伝熱対象及び熱の伝達媒体となる流体の種類によっては、例えばコスト面と加工性からスチール製であってもよく、非放熱特性と高熱伝導特性からアルミニウム製、軽量化と比強度の面からチタン製なども、それぞれの利用に応じて選択する。なお、ステンレスの場合であれば、フェライト系やマルテンサイト系よりも、良好な耐食性を示すオーステナイト系がよい。
給排水金具4は、水冷式プレート型冷却ユニット1内に、熱の伝達媒体の流入と排出を行うため、外部ホース等と接続するためのジョイント金具であり、冷却用液体、または保熱・加熱用の熱の伝達媒体となる液体を流通させる部分である。なお、図1(a)に示されるように、給水口、排水口を別の位置に配置してもよく、また、他方、図2・図3に示されているように。一カ所にまとめなくとも耐腐食性や強度の高いものを選択する。
リブ5は、水冷式プレート型冷却ユニット1内に設置され、水冷式プレート型冷却ユニット1内を区画し、液体の流れる流路を形成し、該流路の壁部となる。
また、スポット溶接により、該リブ5を介してプレートを組み合わせる部材となるため、リブ5の寸法誤差や歪みなどによる平面度のみだれは水冷式プレート型冷却ユニット1の冷却面の歪となるおそれがある。そこで、リブ5を円状やオーバル形状等とする場合において、ロール成型機等により無理な変形を加えた場合、その変形のオーダーによっては、その後に表面仕上げ等の機械加工を施す必要があることに注意する。図1(b),図2(b)、図2(c)、図3(b)に示されているリブ5の配置も例示であり、係る配置構成に特段限定されるものではない。但し、前記した通り急激なベンドや折り返し部は極力避けることが望ましい。
液体は、直線リブ5に導かれ、水冷式プレート型冷却1の内周付近に移動する。プレートA2面から見て、円周方向、反時計回りに流れ、1周後、直線リブ5に導かれて、中段の円周を時計回りに流れる。1周後、直線リブ5に導かれて、外周を反時計回りに流れ、排水穴402から、排出される。給水穴401からまず、内周付近に直線的に液体を導くのは、液体の流速を極力下げないようにするためである。また、内周から、徐々に外周に流すのは、液体が遠心力で外方向に流れようとする力を利用するためである。リブ5の材質は、プレートA2、プレートB3と同様にステンレスであることが望ましいが、これに限定されるものではなく、アルミやチタン等でもよい。
図4は、従来の固定手段と本発明に係る水冷式プレート型冷却1の固定手段との対比説明図である。図4(a)は本発明に係る水冷式プレート型冷却ユニット1による部位毎の結合手段を示し、図4(b)は、従来のろう付けによる結合手段を示している。
ろう付けとは、前記の通り、部品と部品の間に溶解したろう材15を流し込み、部品と部品を固定する加工である。部品を熔かすことなく接合するのが溶接と異なる点である。ろう材15は、比較的融点の低い材料が用いられる。接合する部品間にろう材15を配置し、ろう材15の溶ける温度まで、部品全体を熱し、部品間にろう材15を浸透させるものである。ろう付けによって高強度の接合や耐気密・水密性の接合を多数箇所,同時に速く安価に作製することができる点がメリットである。
従来技術では、図4(b)に示すように、部材は、プレートA(2・17)、プレートB(3・18)、リブ5に加えて,側面リブ10を用い、プレートA(2・17)と側面リブ10の接合点、プレートB(3・18)と側面リブ10の接合点、プレートA(2・17)、プレートB(3・18)とリブ5の接合点にろう材15を配置し、ろう材15が溶ける温度まで炉で加熱することで、ろう材15が溶け、接合部に浸透する。冷却することで、ろう付けは完了する。そのため、外周、リブ5の接合を一度に行うことができ、作業性がよい。しかしながら、いくつか課題がある。ひとつは接合強度である。ろう付けによる強度は、ろう材15が接合部に十分浸透しているか否かに左右される。図4(b)に示すように、プレートA(2・17)と側面リブ10の接合部において、接している面がゆがんでいたり、不均一である場合には、十分な接合強度を発揮できない。側面リブ10及び、リブ5とも、帯材を曲げ加工により成形するのが一般的であると考えるが、幅方向の面の平坦度が不均一になりやすい。接合が十分かの確認のため、超音波による確認が必要であった。超音波による確認は、水冷式プレート型冷却1の外周全周と内周全周行う必要があり手間である。
次に、プレートA(2・17)、プレートB(3・18)の作成方法である。ろう付けは、接合面が接していないと、十分な強度が出せない。そのため、プレートA(2・17)とプレートB(3・18)の変形は、側面部10との接触量にかかわるので致命的になる。通常の打ち抜きでは、ゆがみが発生して平坦度が悪くなり、ろう付け状態のばらつきが大きくなってしまうからである。
それらを改善する製造方法として、プレートA(2・17)、プレートB(3・18)、リブ5の固定は、溶接によって行う。固定後の強度を確保できるからである。プレートA(2・17)とプレートB(3・18)は、付き合わせ溶接又はすみ肉溶接によって行う。プレートA(2・17)、プレートB(3・18)の側面リブ10、内周の絞り部202を付き合わせ、その部分を全周、溶接する。溶接方法としてTIG溶接を用いる。TIG溶接によれば、小電流でも安定したアークが得られ、薄肉のステンレスを溶接する方法として最も適しているからである。TIG溶接は、非消耗性のタングステン電極と母材との間にアークを発生させ、アルゴンやヘリウムガスなどの不活性ガスにより、溶融金属を大気から保護し、アーク熱により母材を溶融接合する溶接法である。但し、溶接方法としては、非鉄金属であるTIG溶接のみならず、イナートガスに同様の不活性ガスを用いるミグ溶接でもよい。MIG溶接を採用した場合は、半自動化ができることや、TIG溶接に比べて溶接速度が速い等のメリットがある。
また、その他の溶接手段にYAG溶接等のレーザ溶接を用いる構成もある。レーザ溶接によれば、シーム溶接やスポット溶接として使うことも可能であり、溶接熱による材料への影響や変形が少なく、ロボット等による自動化も可能であることから、プログラミングすれば、本願の課題の一つである製造時間の短縮という課題の解決を図ることが可能といえる。但し、設備は高額なため、大量生産でないと、コスト高となり、本願発明の課題解決の一つである低コスト化を図ることはできない。従って、少量生産の場合には、不向きな構成となるので、係る構成は本願発明に係る実施品が大量生産への対応が求められた時の応用例として参考までに示す。
なお、炭酸ガス中で行う炭酸ガスアーク溶接、及び、シールドガスに不活性ガスと炭酸ガスを混合して使うマグ溶接では、酸化等の問題より本願発明に使用する溶接手段としては、好ましくない。
TIG溶接を例にして、以下、説明する。プレートA(2・17)、プレートB(3・18)とリブ5の固定は、TIG溶接とスポット溶接によって行う。リブ5の端部をTIG溶接によって、プレートB(3・18)に固定し、リブ5の端部以外の場所は、リブ5をプレートA(2・17)とプレートB(3・18)で挟んだ状態で、プレートA(2・17)、プレートB(3・18)の外側から電極を当て、スポット溶接を行う。スポット溶接は、金属の接合法である溶接の一種である。 複数の母材を圧着しつつ電流を流し、その抵抗熱で金属を溶かして接合するものである。抵抗熱によって、プレートA(2・17)とリブ5、プレートB(3・18)とリブ5の接合部を同時に溶接する。
図2(b)、図3(b)、図3(c)において、水冷式プレート型冷却ユニット1の外周部分101及び内周部分102を付き合わせ溶接又はすみ肉溶接によって接合する場合には縁屈曲部11を設ける。プレートA2の絞り部202とプレートB3の絞り部301を付き合わせ若しくは嵌合させて端辺部を全周連続で溶接する。溶接部分が完成後平坦部分となる。内部圧力は、角部において、角を変形させる方向に働くので、溶接部分を角部から放すことで、圧力によるストレスへの耐久力を向上させることができる。また、プレートが円形の場合はプレートA(2・17)とプレートB(3・18)間の溶接は、1周にわたって、溶接する形状が同じであることから、電流量、ガス量を決めることで、均一の溶接がしやすく、安定した強度を出すことができる。そのため、超音波検査等の必要が無い。
リブ5の固定方法について説明する。リブ5のほとんどは、円状の仕切りとなっている。一部は直線リブ5である。いずれのリブ5もプレートB(3・18)に配置し、リブ5の端部をTIG溶接によってプレートB(3・18)に固定する(TIG溶接部6)。TIG溶接は、仮止めのために用いられる。円状のリブ5は、その端部をTIG溶接し、リブ5と直線リブ5が接する部分は、その両方をTIG溶接によってプレートB(3・18)に固定する。リブ5と直線リブ5の隙間は少ないほどいいが、わずかな隙間があっても問題ない。リブ5は、液体の流れを制御する目的であるので、隙間があっても、水漏れには影響がないからである。TIG溶接によるリブ5の固定後、プレートA(2・17)をプレートB(3・18)にかぶせ、外周、内周を付き合わせ溶接を行い、その後、リブ5の端部以外の位置を、スポット溶接する。スポット溶接部7はリブ5の端部以外の場所で一定間隔に配置されている。また、スポット溶接部7は多点になるが、溶接自体は、極めて短時間で完了するので、作業時間の大幅増にはならない。また、スポット溶接は、一定の間隔で行うことから、溶接してない部分はプレートA(2・17)、プレートB3とリブ5の間にわずかな隙間が出来ることもあり得る。しかし、隣接する流路へ仮に冷却水が流れ込んだとしても、水漏れが問題となるのは縁部であるから、係るスポット溶接部における流路内部間での水の行き来は問題が無く、リブ5は、液体の流れを制御する目的であるので、隙間があっても、水漏れには影響がないからである。
図5に従って、水冷式プレート型冷却1の製造工程を説明する。図5は、プレートA(2・17)、プレートB(3・18)の縁部を突き合わせ溶接する構成を採用した場合の水冷式プレート型冷却1の製造の手順を示す図である。(a)はプレート打ち抜き工程である。(b)は絞り又は曲げ加工をする工程である。(c)は給排水金具4の固定とプレートB(3・18)にリブ5を仮固定する工程である。(d)はプレートA(2・17)とプレートB(3・18)を付き合わせ溶接する工程である。(e)はプレートA(2・17)、プレートB(3・18)とリブ5をスポット溶接する工程である。(a)においてステンレス板(SUS316L)を円形や矩形、若しくは中央付近に開口部を有する穴のある矩形状又は円盤状に打ち抜くことで、プレートA(2・17)、プレートB(3・18)の元部品を作成する。(b)において、プレートA(2・17)については、長穴部201を作り、プレートA(2・17)、プレートB(3・18)とも円盤の外周、内周を円盤の面に対して垂直方向に折り返す。折り返す方法は絞りであってもよいし、折り曲げであってもよい。折り返された端部は付き合わせ溶接を行う部分であるので、折り返し量はほぼ同一である必要がある。
(c)において、プレートA(2・17)に対して、給排水金具4をTIG溶接によって固定する。溶接が不均一であるが水漏れの可能性が出るので、正確に溶接する。プレートB(3・18)に対してリブ5の端部をTIG溶接する。溶接用トーチ9によって、リブ5の端部のみを溶接する。溶接する場所は、それぞれのリブ5によって異なるが、すべて端部のみの溶接のため、容易であり、作業時間は、それほどかからない。
テンプレートによるスポット溶接の使用方法は以下の通りである。スポット溶接位置に穴(直径約3ミリ程度)を開けた同形状のプレートで、材質は軽量化のためアルミ等を使用する。外形を基準に、プレートを製品に固定し、スポット溶接位置をペン等でマーキングする。そしてつぎに、マーキング用のテンプレートを取り外し、マーキングした箇所にスポット溶接をする。
前記スポット溶接をする際、スポット溶接機の電極位置を確認できるように、レーザーポインターを用いて、該電極の中心にレーザー光が当たるように配置し、前記のマーキング位置に該レーザー光を合わせれば、スポット溶接機の電極の中心に合わせることとなる方法を用いる製造方法も有効である。
以上、水冷式プレート型冷却1について説明したが、水冷式プレート型冷却ユニット1が対象物の熱を吸収する以外に、対象物に対して熱を発散する目的で使用することも当然に出来る。熱を発散するために用いることで、対象物に対して、均等に熱を供給することができる。
本発明に係る水冷式プレート型冷却ユニットの製造方法は、電子機器等の発展に関連するものであり、産業上の利用可能性は大きいと解する。
1 水冷式プレート型冷却ユニット
2 プレートA
3 プレートB
4 給排水金具
5 リブ
6 TIG溶接部
7 スポット溶接部
8 付き合わせ溶接部
9 溶接用トーチ
10 側面リブ
11 縁屈曲部
15 ろう材
17 直方体型プレートA
18 直方体型プレートB
101 外周部分
102 内周部分
202 絞り部
301 絞り部
401 給水穴
402 排水穴

Claims (6)

  1. 水冷式のプレート型の冷却用ユニットであって、一対のプレートと、該一対のプレート間の空洞領域内に流路を区画する少なくとも1以上のリブと、吸排水用部材と、から構成され、前記一対のプレートの縁部は、端辺がそれぞれ垂直方向へと折り返し相互に向かい合う縁屈曲部を形成し、全周を連続した溶接により密封状態に結合され、前記リブは前記一対のプレート間に挟持される状態でスポット溶接により結合されて形成されることを特徴とする水冷式プレート型冷却ユニット。
  2. 前記水冷式プレート型冷却ユニットにおいて、
    前記一対のプレートの内側に少なくとも1以上の開口部を有し、
    該開口部の溶接手段は、前記縁部の溶接手段と共通する溶接手段によって、結合されることを特徴とする請求項1に記載の水冷式プレート型冷却ユニット。
  3. 前記一対のプレート及び前記リブが同一素材のステンレス鋼を用いていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の水冷式プレート型冷却ユニット。
  4. 前記縁部と前記開口部の溶接手段が、
    全周を連続したTIG溶接によって結合する溶接手段を採用したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の水冷式プレート型冷却ユニット。
  5. 水冷式のプレート型の冷却用ユニットの製造方法であって、一対のプレートを製造する製造工程と、前記一対のプレートにスポット溶接位置を示すためのマーキング工程と、前記一対のプレート間の空洞領域内に流路を区画するリブを製造する製造工程と、前記一対のプレート間に、前記リブと前記空洞領域内に冷却水の給排水を行う給排水用部材が適切位置になるように配置し固定する組立前工程と、前記一対のプレート間に、前記リブと前記給排水用部材を挟持した状態でスポット溶接するスポット溶接工程と、前記一対のプレートの縁部および開口部端部を溶接により密封状態に結合する溶接工程により形成して製造されることを特徴とする水冷式プレート型冷却ユニットの製造方法。
  6. 前記マーキング工程において、予めマーキング位置が穿設されたテンプレートを用いてマーキングし、スポット溶接工程において、スポット溶接機の電極位置を確認できるように、レーザーポインターを用いて、前記のマーキング位置を確認できる方法を採用したことを特徴とする請求項5に記載の水冷式プレート型冷却ユニットの製造方法。
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