JP2014125275A - タンクおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】胴体部材1および鏡板2の互いに対応する一対の開口周縁部10,20のうち、一方の開口周縁部20は、先端側ほど外径が小さくなる傾斜筒状部21を有し、この傾斜筒状部21が他方の開口周縁部10の内側に差し込まれた状態において開口周縁部10,20が溶接され、傾斜筒状部21の外周面21aと他方の開口周縁部10の内周面10aとの間に、隙間3が形成されている、タンクTであって、隙間3の奥部には、溶接のビード部4による壁面部40が存在し、外周面21aおよび内周面10aが、胴体部材1の径方向において互いに離間した状態で壁面部40に交差して繋がった2つの角部C1,C2が形成されている。
【選択図】 図1
Description
これらの文献に記載されたタンクは、筒状の胴体部材の端部に、椀状の鏡板を嵌合し、かつ溶接したものである。ただし、胴体部材の端部の開口周縁部、または鏡板の開口周縁部のいずれか一方は、先端側ほど外径が小さくなる傾斜筒状部として形成されており、この傾斜筒状部が他方の開口周縁部の内側に差し込まれている。また、溶接としては、たとえばTIG溶接が用いられ、この溶接は、胴体部材や鏡板の外側から行なわれている。
このような構成によれば、胴体部材や鏡板の外側から溶接を行なうことができるために、この溶接作業が容易化される。また、胴体部材と鏡板との開口周縁部どうしを嵌合接触させた状態で溶接することができるために、溶接品質を良好にすることも可能である。
製造することが可能なタンクの製造方法を提供することを、その課題としている。
ここで、本発明でいう「胴体部材の径方向」とは、胴体部材が円筒状の場合には、胴体部材の半径方向(直径方向)であることは勿論のこと、胴体部材が角筒状の場合には、実質的に前記半径方向に相当する方向(胴体部材の軸長方向と直交する方向)の意である。
すなわち、胴体部材および鏡板の一方に形成された傾斜筒状部と他方の開口周縁部との間に形成された隙間の奥部には、溶接のビード部による壁面部が隙間に対面して存在し、かつこの壁面部に対して交差して繋がった2つの角部が胴体部材の径方向に離間した状態で形成されている。本発明のこのような構造によれば、隙間の奥部に1つの角部のみが形成されていた従来技術と比較すると、タンク内に圧力変動が生じたり、あるいはタンクが熱膨張や熱収縮したような際に、隙間の奥部に応力集中を生じ難くする作用が得られる。したがって、タンクの耐久性を高めることが可能である。
加えて、傾斜筒状部の外周面と他方の開口周縁部の内周面との夾角を、比較的小さめにした場合であっても、前記隙間の奥部には、微小幅の領域が長い寸法で形成されないようにすることも可能となる。したがって、隙間腐食が生じ難くなる効果も得られる。隙間腐食を防止することを目的として前記夾角をさほど大きくする必要はない。その結果、一対の開口周縁部どうしを密接させた状態で溶接することが容易となり、溶接不良を生じ難くする効果も得られる。
このような構成によれば、次に述べる本発明のタンクの製造方法の効果のうち、レーザ溶接による効果、および所定の夾角を16〜24°の範囲内に設定したことによる効果と同様な効果が得られる。
提供されるタンクを適切に製造することができる。
第1に、レーザ溶接は、高速かつ低入熱での溶接が可能であり、母材の熱歪みを少なくできるといった利点を有することに加え、局所加熱による高密度エネルギ加工が可能であるため、深い溶融層を母材の所望の位置に正確に形成することが可能である。したがって、レーザ溶接を用いれば、胴体部材および鏡板の一方の傾斜筒状部と他方の開口周縁部との間に形成された隙間の奥部に、溶接のビード部による壁面部を隙間に対面させた状態で形成することが、容易かつ適切に実現できることとなる。
第2に、前記の夾角を16〜24°の範囲内に設定することにより、次のような効果が得られる。
まず、前記夾角が、16°未満である場合には、前記隙間の幅が過小となる。この場合においては、前記隙間の奥部に溶接のビード部を仮に形成したとしても、傾斜筒状部の外周面と、これに対面する開口周縁部の外周面とは、隙間の奥部において直接繋がってしまい、隙間の奥部には、実質的に1つの角部が形成されるに過ぎない状態となる。これに対し、前記夾角を16°以上とすれば、隙間の奥部に2つの角部を適切に形成することが可能となる。
一方、前記夾角が、24°を超える角度とされた場合には、傾斜筒状部と他方の開口周縁部とが隙間を介して大きく離間することとなる。この場合には、他方の開口周縁部に対してその外側からレーザ溶接を施す際に、この開口周縁部に形成された溶融池が破れ、溶接不良(開口周縁部の孔あき)が生じ易くなる。これに対し、本発明では、そのようなことも適切に防止することができる。
るために、傾斜筒状部21の外周面21aと開口周縁部10の内周面10aとの間には、隙間3が形成されている。外周面21aと内周面10aとの夾角α1は、前記した傾斜角α1と同一である。一方、隙間3の奥部には、溶接のビード部4(溶融凝固金属部)による壁面部40が隙間3に対面した状態で形成されている。外周面21aと内周面10aとは、胴体部材1の径方向に適当な寸法L1だけ互いに離間した状態で壁面部40に繋がっている。このことにより、隙間3の奥部においては、壁面部40と外周面21aとが交差した角部C1と、壁面部40と内周面10aとが交差した角部C2とが形成されている。
この組付工程の後には、図2に示すように、レーザ溶接加工ヘッド5から開口周縁部10,20の嵌合部分に外部からレーザ光を照射し、この部分に溶接を施す。この溶接に用いられるレーザは、たとえば半導体レーザであり、その波長はステンレスが吸収可能な波長域(波長1000nm近辺)である。図2の要部拡大断面図に示すように、レーザ光50は、開口周縁部10の外周面の端部周辺に照射される。レーザ溶接時には、溶接対象領域に不活性ガスがシールドガスとして供給される。また、胴体部材1および鏡板2は、適当なクランプ部材によって保持された状態でそれらの中心軸周りに回転される。このことにより、開口周縁部10,20の全周にわたってレーザ溶接が施される。このようなレーザ溶接に際し、溶加材は必要ではなく、本実施形態では、溶加材を用いていない。
前記したレーザ溶接により、図1(a)に示したビード部4を形成し、前記したタンクTを適切に製造することが可能である。
同図(a)は、隙間3を形成する傾斜筒状部21の外周面21aと開口周縁部10の内周面10aとの夾角α2が、16°未満とされた対比例1を示している。この場合には、隙間3の全体の幅がかなり微小となり、溶接のビード部4の一部が隙間3の奥部に仮に形成されたとしても、実質的には、このビード4の一部は隙間3に対面するように形成されず、外周面21aと内周面10aとが直接繋がった状態となる。このため、図1(a)で示した隙間3の奥部に2つの角部C1,C2を形成した構成を実現することは難しい。加えて、夾角α2が16°未満の場合には、傾斜筒状部21を開口周縁部10の内側に差し込む作業も難しくなる。
同図においては、溶接のビード部4が、傾斜筒状部21の内周面21b側に露出しないように形成されている。なお、図1(a)に示した構成においては、傾斜筒状部21の内周面21b側にビード部4が露出している。図3に示す本実施形態の構造は、レーザ溶接の入熱を図1(a)の場合よりも少なくすることによって実現できる。
本実施形態によれば、ビード部4が、傾斜筒状部21の内周面側に露出していない分だけ、図1(a)に示す構造と比較して、ビード部4が腐食し難くなる効果が得られる。
α1 夾角
1 胴体部材
2 鏡板
3 隙間
4 ビード部
10 開口周縁部(胴体部材の)
10a 内周面(開口周縁部10の)
20 開口周縁部(鏡板の)
21 傾斜筒状部
21a 外周面(傾斜筒状部の)
40 壁面部(ビード部による)
Claims (3)
- 筒状の胴体部材と、椀状の鏡板と、を備えており、
前記胴体部材および前記鏡板の互いに対応する一対の開口周縁部のうち、一方の開口周縁部は、先端側ほど外径が小さくなる傾斜筒状部を有する形態とされ、
前記傾斜筒状部が他方の開口周縁部の内側に差し込まれた状態において、前記一対の開口周縁部どうしが溶接され、前記傾斜筒状部の外周面と前記他方の開口周縁部の内周面との間に、隙間が形成されている、タンクであって、
前記隙間の奥部には、前記溶接のビード部による壁面部が前記隙間に対面した状態で存在し、前記傾斜筒状部の外周面および前記他方の開口周縁部の内周面が、前記胴体部材の径方向に離間した状態で前記壁面部に交差して繋がった2つの角部が形成されていることを特徴とする、タンク。 - 請求項1に記載のタンクであって、
前記溶接は、レーザ溶接であり、
前記傾斜筒状部の外周面と前記他方の開口周縁部の内周面との夾角は、16〜24°の範囲内とされている、タンク。 - 筒状の胴体部材および椀状の鏡板の互いに対応する一対の開口周縁部のうち、一方の開口周縁部に、先端側ほど外径が小さくなる傾斜筒状部を形成し、この傾斜筒状部を他方の開口周縁部の内側に差し込む組付工程と、
この組付工程の後に、前記一対の開口周縁部どうしを溶接する工程と、
を有しており、
請求項1に記載のタンクを製造するための方法であって、
前記組付工程においては、前記傾斜筒状部の外周面と他方の開口周縁部の内周面との夾角を、16〜24°の範囲内に設定し、
前記溶接は、レーザ溶接とすることを特徴とする、タンクの製造方法。
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