JP5703963B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、操舵系にアシスト力を付与するモータを備える電動パワーステアリング装置に関する。
上記電動パワーステアリング装置として、特許文献1に記載の技術が知られている。
この種の電動パワーステアリング装置では、下記(A)式を用いてモータの回転角速度ωを算出する。そして、この回転角速度ωの大きさに基づいて各種のモータ制御を行う。
(A)式において、Vmはモータの端子間電圧、Rはモータの抵抗、Imはモータの電流、Keは逆起電圧定数(V・s/rad)を示す。モータ電流Imとモータ電圧Vmとしては測定値が用いられている。Rとしては、モータ電流Imとモータ抵抗Rmとの関係を示すマップに基づいて求められる値が用いられている。Keとしては、予め設定した固定値が用いられている。
ω=(Vm−R×Im)/Ke…(A)
特開2004−66999号公報
ところで、逆起電圧定数Keは実際には固定値ではなくモータの温度等によって変化する。このため、実際の逆起電圧定数Keと、モータの回転角速度ωを求めるときに用いられる逆起電圧定数Keとの間に差が生じることがある。この差が大きいとき、上記(A)式により算出される回転角速度ωと実際の回転角速度ωとの間に差が大きく乖離するため、算出された回転角速度ωに基づいて行われる各種制御の制御精度が低下する。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものでありその目的は、モータの回転角速度に基づいて精確にモータを制御することのできる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段およびその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、操舵系にアシスト力を付与するモータを備える電動パワーステアリング装置において、前記モータの回転角速度に対応する対応回転角速度を取得する回転角速度取得部と、前記対応回転角速度を取得する時期と同じ時期に前記モータの誘起電圧を推定誘起電圧として算出する誘起電圧演算部と、前記対応回転角速度と前記推定誘起電圧とに基づいて逆起電圧定数を算出する逆起電圧定数演算部と、前記モータの電流と前記モータの電圧と前記逆起電圧定数と前記モータの抵抗とに基づいて、前記モータの回転角速度を推定回転角速度として算出する回転角速度演算部とを備えることを要旨とする。
逆起電圧定数は誘起電圧とモータの回転角速度とに基づく値であるため、モータの回転角速度に対応する対応回転角速度と推定誘起電圧とに基づいて逆起電圧定数を算出することができる。
上記発明では、逆起電圧定数を固定値とするのではなく、実際のモータに基づくパラメータを用いて逆起電圧定数を算出しているため、実際の逆起電圧定数と、推定回転角速度の算出のときに用いられる逆起電圧定数との差の大きさを小さくすることができる。そして、上記のように求めた逆起電圧定数に基づいて推定回転角速度を算出するため、推定回転角速度と実際の回転角速度との差が大きくなる頻度を少なくすることができ、この結果、推定回転角速度に基づいて行われる各種制御の制御精度を向上させることができる。
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、前記回転角速度取得部により取得された前記対応回転角速度を第1対応回転角速度とし、前記第1対応回転角速度よりも後に取得された前記対応回転角速度を第2対応回転角速度とし、前記第1対応回転角速度に対応する前記推定誘起電圧を第1推定誘起電圧とし、前記第2対応回転角速度に対応する前記推定誘起電圧を第2推定誘起電圧とし、前記第1推定誘起電圧に対応する前記逆起電圧定数を第1逆起電圧定数とし、前記第2推定誘起電圧に対応する前記逆起電圧定数を第2逆起電圧定数として、前記逆起電圧定数演算部は、前記第1推定誘起電圧に対する前記第2推定誘起電圧との比と前記第1逆起電圧定数とに基づいて前記第2逆起電圧定数を算出することを要旨とする。
この発明によれば、推定誘起電圧の変化度合いに対応させて新たに逆起電圧定数を算出する。すなわち、所定条件下における推定誘起電圧の変化度合いを逆起電圧定数に反映させることができるため、実際の逆起電圧定数と、推定回転角速度を算出するときに用いられる逆起電圧定数との差の大きさが大きくなること抑制することができる。
(3)請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の電動パワーステアリング装置において、前記対応回転角速度の大きさが閾値よりも大きいとき前記推定誘起電圧を算出することを要旨とする。
モータの回転角速度が小さくなるとき、誘起電圧(推定誘起電圧)の値も小さくなる。一方、推定誘起電圧とモータの実際の誘起電圧との間には誤差がある。
推定誘起電圧が小さいとき、推定誘起電圧の絶対値に対して誤差の比率が大きくなるため、この推定誘起電圧に基づいて逆起電圧定数を算出すると、推定誘起電圧の絶対値が大きいときに逆起電圧定数を算出する場合と比べて、逆起電圧定数の精度が低くなる。
この点、上記発明によれば、対応回転角速度が閾値の大きさよりも大きくなるとき、すなわち誘起電圧(推定誘起電圧)が大きくなるとき、推定誘起電圧に基づいて逆起電圧定数を算出するため、モータの回転角速度が閾値以下のときの推定誘起電圧に基づいて逆起電圧定数を算出する場合と比べて、逆起電圧定数の精度を向上させることができる。
(4)請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の電動パワーステアリング装置において、前記対応回転角速度の大きさが閾値よりも大きくかつ前記対応回転角速度の変化量の大きさが判定変化量よりも小さいとき、前記推定誘起電圧を算出することを要旨とする。
所定の対応回転角速度のときに推定誘起電圧を算出する場合であっても、対応回転角速度の変化量の大きさが大きいときに算出された推定誘起電圧と、対応回転角速度の変化量の大きさが小さいときに算出された推定誘起電圧とは、推定誘起電圧が大きく異なる場合がある。これは、推定誘起電圧を算出するときと、対応回転角速度が所定値であると判定されたときとの間で、タイムラグがあるからである。すなわち、推定誘起電圧を算出するときの条件として、対応回転角速度の変化量に制限を加えないとき、一定条件下で推定誘起電圧を算出することができず、この結果、推定誘起電圧の値がばらつく。
この点、上記発明によれば、対応回転角速度の変化量の大きさが判定変化量よりも小さいときことを推定誘起電圧の算出条件としているため、推定誘起電圧の算出時における推定誘起電圧のばらつきを抑制することができる。これにより、逆起電圧定数の精度を向上させることができる。
(5)請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の電動パワーステアリング装置において、前記対応回転角速度の大きさが閾値よりも大きく、かつ前記対応回転角速度の変化量の大きさが判定変化量よりも小さく、かつ前記第1対応回転角速度と前記第2対応回転角速度との差の絶対値が設定値よりも小さいとき、前記推定誘起電圧を算出することを要旨とする。
第1対応回転角速度と第2対応回転角速度とに差があるとき、第1対応回転角速度と第2対応回転角速度との比、および第1推定誘起電圧と第2推定誘起電圧との比の2つの比により逆起電圧定数を算出することができる。
一方、上記発明によれば、前記第1対応回転角速度と前記第2対応回転角速度との差の絶対値が設定値よりも小さいことを推定誘起電圧の算出条件としているため、上記のように第1対応回転角速度と第2対応回転角速度との比に基づく必要がなるため、逆起電圧定数の計算を簡易なものとすることができる。
(6)請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、前記対応回転角速度はステアリングの操舵角速度またはラック軸の移動量であることを要旨とする。
ステアリングの操舵角速度またはラック軸の運動量は、モータの回転角速度と相関関係にあるため、対応回転角速度としてステアリングの操舵角速度またはラック軸の運動量を用いることができる。
対応回転角速度としては、これら以外にも例えば転舵輪の回転速度等を用いることも考えられるが、モータと転舵輪との間に介在する機械要素の数が、モータとステアリングまたはモータとラック軸との間に介在する機械的要素の数よりも多くなる場合は、両者の相関性が低下する。すなわち、ステアリングの操舵角速度またはラック軸の運動量とモータの回転角速度との相関関係は、これら要素よりもモータから離れた位置にある操舵系部品の運動量とモータの回転角速度との相関関係に比べ、高い。このため、上記発明によれば、モータから離れた位置にある操舵系部品の運動量を対応回転角速度として用いる場合と比べて、逆起電圧定数を精確に算出することができる。
本発明によれば、モータの回転角速度に基づいて精確にモータを制御することのできる電動パワーステアリング装置を提供することができる。
本発明の一実施形態の電動パワーステアリング装置について、その全体構造を模式的に示す模式図。 同実施形態の電動パワーステアリング装置について、その制御系の構成を示すブロック図。 同実施形態の電動パワーステアリング装置について、操舵角速度と、操舵角速度の変化量と、推定誘起電圧および逆起電圧定数の算出のタイミングとの関係を示すグラフ。 同実施形態の電子制御装置により実行される「推定誘起電圧の演算処理」について、その手順を示すフローチャート。
図1〜図4を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
電動パワーステアリング装置1は、ステアリング2のステアリングホイール回転を転舵輪3に伝達する操舵角伝達機構10(操舵系)と、ステアリング2の操作を補助するための力(以下、「アシスト力」)を操舵角伝達機構10に付与するEPSアクチュエータ20と、EPSアクチュエータ20を制御する電子制御装置30とを備える。さらに、電動パワーステアリング装置1には、これら装置の動作状態を検出する複数のセンサが設けられている。
操舵角伝達機構10は、ステアリング2の操作に応じて回転するステアリングシャフト11と、ステアリングシャフト11の回転をラック軸13に伝達するラックアンドピニオン機構12と、タイロッド14を操作するラック軸13と、ナックルを操作するタイロッド14とを備える。
EPSアクチュエータ20は、ステアリングシャフト11にトルクを付与するモータ21と、モータ21の回転を減速する減速機構22とを備える。モータ21としては、ブラシ付きのモータ21が採用されている。このモータ21の回転は減速機構22により減速されてステアリングシャフト11に伝達される。このときにモータ21からステアリングシャフト11に付与されるトルクがアシスト力として作用する。
操舵角伝達機構10は次のように動作する。すなわち、ステアリング2が操作されたとき、アシスト力がステアリングシャフト11に付与されて、同シャフト11が回転する。ステアリングシャフト11の回転は、ラックアンドピニオン機構12によりラック軸13の直線運動に変換される。ラック軸13の直線運動は、同ラック軸13の両端に連結されたタイロッド14を介してナックルに伝達される。そして、ナックルの動作にともない転舵輪3の舵角が変更される。
ステアリング2の操舵角θsは、ステアリング2が中立位置にあるときを基準として定められる。すなわち、ステアリング2が中立位置にあるときの操舵角θsを「0」として、ステアリング2が中立位置から右方向または左方向に回転したとき、中立位置からの回転角度に応じて操舵角θsが増加する。
ステアリング2の操舵状態は、「回転状態」と「中立状態」と「保舵状態」とに区別される。「回転状態」は、ステアリング2が回転している最中の状態を示す。「中立状態」は、ステアリング2が中立位置にある状態を示す。「保舵状態」は、ステアリング2が中立位置から右方向または左方向に回転した位置にあり、かつその位置に保持されている状態を示す。更に、「回転状態」は、「切り込み状態」と「切り戻し状態」とに区別される。「切り込み状態」は操舵角θsを増大させる状態を示す。「切り戻し状態」は操舵角θsを減少させる状態を示す。
電動パワーステアリング装置1には、ステアリング2の操舵トルクを検出するトルクセンサ31と、車速に対応する値を検出する車速センサ32と、ステアリング2の操舵角θsを検出するステアリングセンサ33(回転角速度取得部)とが設けられている。これらのセンサはそれぞれ次のように被対象物の状態の変化に応じた信号を出力する。
トルクセンサ31は、ステアリング2の操作によりステアリングシャフト11に付与されたトルクの大きさに応じた信号(以下、「出力信号SA」)を電子制御装置30に出力する。車速センサ32は、転舵輪3の回転速度に応じた信号(以下、「出力信号SB」)を電子制御装置30に出力する。ステアリングセンサ33は、ステアリング2の回転量に応じた信号(以下、「出力信号SC」)を電子制御装置30に出力する。
電子制御装置30は、各センサの出力に基づいて次の演算を行う。
トルクセンサ31の出力信号SAに基づいて、ステアリング2の操作にともないステアリングシャフト11に入力されたトルクの大きさに相当する演算値(以下、「操舵トルクτ」)を算出する。また、車速センサ32の出力信号SBに基づいて、車両の走行速度に相当する演算値(以下「車速V」)を算出する。また、ステアリングセンサ33の出力信号SCに基づいてステアリング2の操舵角θsを算出する。
また、電子制御装置30は、次のモータ制御を行う。
電子制御装置30は、操舵系へのアシスト力を付与するためのモータ出力を調整するパワーアシスト制御と、ステアリング2の操舵フィーリングを調整するためにモータ出力を補正する操舵トルクシフト制御を実行する。
操舵トルクシフト制御では、操舵フィーリングを向上させるために、操舵トルクτをステアリング2の操舵状態に応じて補正する。そして、補正した値を補正トルクτaとして出力する。パワーアシスト制御では、車速Vおよび補正トルクτaに基づいて、モータ21を駆動するための電流指令値Iaを算出する。
図2を参照して、電子制御装置30の構成について説明する。
電子制御装置30は、モータ21に供給する駆動電力に対応する信号(以下、「モータ制御信号Sm」)を形成するモータ制御装置40と、モータ制御信号Smに応じた駆動電力をモータ21に供給する駆動回路50とを備えている。
駆動回路50には、モータ21の端子間電圧(以下、「モータ電圧Vm」)を検出する電圧センサ51と、モータ21に供給される電流(以下、「モータ電流Im」)を検出する電流センサ52とが設けられている。
モータ制御装置40は、モータ21に供給する電流値(以下、「電流指令値Ia」)を算出する電流指令値演算部60と、フィードバック補正部70と、モータ制御信号Smを形成するモータ制御信号出力部80と、モータ21の回転角速度ωmを推定回転角速度ωmaとして算出する回転角速度演算部90とを備えている。
フィードバック補正部70は、モータ21のモータ電流Imと電流指令値Iaとの差に基づいて電流指令値Iaを補正し、モータ電流Imが電流指令値Iaに収束するようにフィードバック制御する。モータ制御信号出力部80は、フィードバック補正部70により出力される補正電流指令値Ibに基づいてモータ制御信号Smを形成する。
電流指令値演算部60は、電流指令値Iaの基礎成分(以下、「基本制御量Ias」)を算出する基本アシスト演算部61と、車速Vおよび推定回転角速度ωmaに基づいて操舵トルクτを補正するトルクシフト演算部62とを備えている。
トルクシフト演算部62は操舵トルクτを補正する(操舵トルクシフト制御)。
具体的には、ステアリング2の状態が保舵状態および切り戻し状態のとき、操舵トルクτが増大するように補正する。また同状態(保舵状態および切り戻し状態)のとき、車速Vが小さくなるにつれて操舵トルクτを増大させる量を大きくし、かつ推定回転角速度ωmaの絶対値が大きくなるにつれて操舵トルクτを増大させる量を大きくする。
一方、ステアリング2の状態が切り込み状態のとき、操舵トルクτの補正量を「0」とする。すなわち、ステアリング2の切り込み状態のときよりも、保舵状態および切り戻し状態においてアシスト量を増大させる。これにより、操舵フィーリングを向上させる。
ステアリング2の状態が、切り込み状態および保舵状態および切り戻し状態のいずれにあるかは、次の方法により判定する。
すなわち、操舵トルクτの符号と推定回転角速度ωmaの符号とが一致するとき、切り込み状態と判定する。操舵トルクτの符号と推定回転角速度ωmaの符号とが一致しないとき、切り戻し状態と判定する。推定回転角速度ωmaの絶対値が所定値ω0よりも小さいとき、保舵状態と判定する。
基本アシスト演算部61は、補正トルクτaと車速Vとに基づいて基本制御量Iasを算出する。具体的には、車速Vが小さくなるにつれて基本制御量Iasを大きくする。また、補正トルクτaが大きくなるにつれて基本制御量Iasを大きくする。
回転角速度演算部90は、モータ方程式としての下記(1)式に基づいて、推定回転角速度ωmaを算出する。推定回転角速度ωmaは上記トルクシフト演算部62で用いられる。なお、ブラシ付きモータ21にはモータ21の回転角速度ωmを検出するセンサが設けられていないため、次の(1)式によりモータ21の回転角速度ωmを推定回転角速度ωmaとして算出する。
ωma=(Vm−Im×Rm)/Ke … (1)
・「Vm」は、電圧センサ51から入力されるモータ電圧Vm(端子間電圧)を示す。
・「Im」は、電流センサ52から入力されるモータ電流Imを示す。
・「Rm」は、記憶部に予め記憶されているモータ抵抗Rmを示す。モータ抵抗Rmとしては予め設定された固定値が用いられている。
・「Ke」は、逆起電圧定数を示す。
以上の構成により、モータ制御装置40は次のように動作する。
すなわち、回転角速度演算部90により推定回転角速度ωmaを算出する。そして、この推定回転角速度ωmaと車速Vとに基づいて操舵トルクτを補正し、補正トルクτaを算出する。更に、補正トルクτaと車速Vとに基づいて基本制御量Iasを形成する。基本制御量Iasは、モータ電流Imによりフィードバック補正され、補正電流指令値Ibとされる。そして、補正電流指令値Ibに基づいてモータ制御信号Smを形成する。
図2に示すように、モータ制御装置40は、上記演算要素のほか、逆起電圧定数Keを更新する逆起電圧定数更新部100を備えている。
逆起電圧定数更新部100は、操舵角θsに基づいて操舵角速度ωsを算出する操舵角速度演算部110と、モータ21の誘起電圧Eを推定する誘起電圧演算部120と、モータ21の逆起電圧定数Keを算出する逆起電圧定数演算部130とを備えている。
誘起電圧演算部120は、外乱オブザーバにより(2)式および(3)式に基づいてモータ21の推定誘起電圧EXを算出する。外乱オブザーバは、例えば、以下の式に基づいて推定誘起電圧EXを算出する。
dξ/dt=(G/L)・{Vm+(G−Rm)・Im−ξ} … (2)
EX=ξ−G・Im … (3)
・「ξ」は、中間変数を示す。
・「G」は、オブザーバゲイン(固定値)を示す。
・「EX」は、推定誘起電圧を示す。
・「L」は、インダクタンスを示す。
・「/dt」は、時間微分を示す。
誘起電圧演算部120は、次の第1条件〜第3条件が成立するとき、推定誘起電圧EXを算出する。そして、算出した操舵角速度ωsと推定誘起電圧EXとを一組のデータとして記憶する。
・第1条件:操舵角速度ωsの絶対値が閾値HAよりも大きいこと。
・第2条件:操舵角速度ωsの変化量(変化率)の絶対値が判定変化量HBよりも小さいこと。
・第3条件:今回において推定誘起電圧EXを算出するときの操舵角速度ωsと前回において推定誘起電圧EXを算出したときの操舵角速度ωsとの差の絶対値が設定値DSよりも小さいこと。
図3を参照して、推定誘起電圧EXを算出する条件(第1条件〜第3条件)について説明する。
操舵角速度ωsは周期的に検出される。操舵角速度ωsは、ステアリング2の操作状態に応じて変化する。ステアリング2の切り込む状態のとき、操舵角速度ωsは正の方向に大きくなる。ステアリング2の保舵状態のとき、操舵角速度ωsは0に近い値をとる。ステアリング2の切り戻し状態のとき、操舵角速度ωsは負の方向に大きくなる。
例えば、図3の(a)操舵角速度ωsのグラフに示されるように、ステアリング2を切り込むとき、運転者のステアリング操作の変化に応じて操舵角速度ωsの大きさが変化する。同図では、ステアリング2を運転者のステアリング操作と同じ方向に操舵角速度ωsを変化させながら回転させている様子を示す。従って、操舵角速度ωsが正の値である状態が示されている。
このとき、図3の(b)操舵角速度ωsの変化量のグラフに示されるように、操舵角速度ωsの変化量(変化率)は、操舵角速度ωsが増大するとき正の方向に大きくなり、操舵角速度ωsが一定のときは略0の値となり、操舵角速度ωsが減少するときは負の方向に大きくなる。
このような操舵角速度ωsの変化において、推定誘起電圧EXの算出は、上記第1〜第3の条件が成立するときに行う。すなわち、図3に示されるように、操舵角速度ωsの絶対値が大きく、かつ操舵角速度ωsの変化量が小さく、かつ今回の操舵角速度ωsと前回推定誘起電圧EXを算出したときの操舵角速度ωsとの差の絶対値Dωsが設定値DSよりも小さいとき、推定誘起電圧EXを算出する。すなわち、操舵角速度ωsが安定しているとき、かつ推定誘起電圧EXが比較的大きい値のとき、推定誘起電圧EXを算出する。
図4を参照して、推定誘起電圧EXを算出する演算処理手順を説明する。なお同処理は、電子制御装置30により所定の演算周期毎に繰り返し実行される。
ステップS110では、操舵角速度ωsの絶対値が閾値HAよりも大きいか否かについて判定する。操舵角速度ωsの絶対値が閾値HA以下(S110:NO)のとき、本演算処理を終了する。操舵角速度ωsの絶対値が閾値HAよりも大きい(S110:YES)とき次のステップに移行する。
ステップS120では、操舵角速度ωsの変化量(変化率)の絶対値が判定変化量HBよりも小さいか否かについて判定する。操舵角速度ωsの変化量(変化率)の絶対値が判定変化量HB以上(S120:NO)のとき、本演算処理を終了する。一方、操舵角速度ωsの変化量(変化率)の絶対値が判定変化量HBよりも小さい(S120:YES)とき、次のステップに移行する。
ステップS130では、前回演算において推定誘起電圧EXを算出したときの操舵角速度ωs1(第1操舵角速度ωs1、第1対応回転角速度に対応する。)と、今回の操舵角速度ωs2(第2操舵角速度ωs2、第2対応回転角速度に対応する。)との差の絶対値Dωsが設定値DSよりも小さいか否かについて判定する。これが否定されるとき(S130:NO)は、本演算処理を終了する。一方、上記判定が肯定される(S130:YES)とき、ステップS140において推定誘起電圧EXを算出する。
次に、逆起電圧定数演算部130について説明する。
逆起電圧定数演算部130は(4)式に基づいて新たな逆起電圧定数Keを算出する。
Ke2 = EX2/EX1×Ke1 … (4)
・「EX1」は、操舵角速度ωs1のときの第1推定誘起電圧を示す。
・「EX2」は、操舵角速度ωs2のときの第2推定誘起電圧を示す。
・「Ke1」は、操舵角速度ωs1のときの第1逆起電圧定数を示す。
・「Ke2」は、操舵角速度ωs2のときの第2逆起電圧定数を示す。すなわち、今回の算出する逆起電圧定数を示す。
・操舵角速度ωs1と操舵角速度ωs2との差の絶対値は設定値DSよりも小さい。
(4)式の導き出し方について説明する。
一般に、モータ21の誘起電圧Eと逆起電圧定数Keとモータ21の回転角速度ωmとは次の関係にある。
「誘起電圧E」=「逆起電圧定数Ke」×「モータの回転角速度ωm」 … (5)
(5)式により次の(51)式および(52)式が成立する。
「誘起電圧E1」=「第1逆起電圧定数Ke1」×「回転角速度ωm1」…(51)
「誘起電圧E2」=「第2逆起電圧定数Ke2」×「回転角速度ωm2」…(52)
誘起電圧E1、第1逆起電圧定数Ke1、モータ21の回転角速度ωm1は、第1の時期における誘起電圧E、逆起電圧定数Ke、モータ21の回転角速度ωmを示す。誘起電圧E2、第2逆起電圧定数Ke2、モータ21の回転角速度ωm2は、第2の時期における誘起電圧E、逆起電圧定数Ke、モータ21の回転角速度ωmを示す。
なお、以降の説明では、誘起電圧E1を「E1」とし、誘起電圧E2を「E2」とし、第1逆起電圧定数Ke1を「Ke1」とし、第2逆起電圧定数Ke2を「Ke2」とし、モータ21の回転角速度ωm1を「ωm1」とし、モータ21の回転角速度ωm2を「ωm2」とする。
ここで、「ωm1=ωm2」が同じ値のとき、(6)式が成立する。
Ke2=E2/E1×Ke1 … (6)
すなわち、第1の時期に取得されたモータ21の回転角速度ωm1と、第2の時期に取得されたモータ21の回転角速度ωm2との値が一致するとき、第1の時期の第1逆起電圧定数Ke1と各時期の誘起電圧Eの比に基づいて第2の時期の第2逆起電圧定数Ke2を算出することができる。
ブラシ付きモータ21の場合では、モータ21の回転角速度ωmの実際の値を取得することができない。また、一般的に、モータ21の誘起電圧Eの実際の値を取得することもできない。そこで、(6)式のパラメータ、すなわちモータ21の回転角速度ωmと誘起電圧Eとを次のように置き換える。
モータ21の回転角速度ωmと操舵角速度ωsとは相関関係にあるため、モータ21の回転角速度ωmに代えて操舵角速度ωsを用いる。また、誘起電圧Eに代えて、外乱オブザーバにより算出される推定誘起電圧EXを用いる。外乱オブザーバによれば、推定誘起電圧EXを精確に算出することができるため、この置き換えによる誤差は小さい。
以上のようにして、上記(4)式が導かれる。
(4)式により新たに算出された逆起電圧定数Keは、最新の逆起電圧定数Keの値として記憶される。そして、最新の逆起電圧定数Keがモータ21の推定回転角速度ωmaのために用いられる。
図3の(c)逆起電圧定数Keのグラフを参照して、逆起電圧定数Keの更新について説明する。
第1の時刻t1のとき操舵角速度ωsが第1条件〜第3条件を満たす。このとき、第1逆起電圧定数Ke1が算出される。そして、第1逆起電圧定数Ke1が新たな逆起電圧定数Keとして記憶される。
第2の時刻t2のとき操舵角速度ωsが第1条件〜第3条件を満たす。このとき、第2推定誘起電圧EX2が算出される。そして、前回操舵角速度ωsが第1条件〜第3条件を満たすときの第1推定誘起電圧EX1が参照され、(4)式に基づいて新たに第2逆起電圧定数Ke2が算出される。そして、第2逆起電圧定数Ke2が新たな逆起電圧定数Keとして記憶される。
次に、(4)式に基づいて新たに逆起電圧定数Keを算出することの作用効果について、説明する。
従来、ブラシ付きのモータ21すなわち回転角速度検出装置(レゾルバ)が付けられていないモータ21について、そのモータ21の回転角速度ωmを算出するために上記(1)式に示すモータ方程式を用いていた。そして、逆起電圧定数Keとして固定値を用いていた。
しかし、モータ21の回転角速度ωmを精確に求めるためには逆起電圧定数Keについて補正する必要があることが判明した。すなわち、逆起電圧定数Keは、温度およびモータ21の構成要素の磨耗等により変化することが明らかとなり、逆起電圧定数Keの変化は、回転角速度ωmを精確に算出するためには無視することができない大きさにあることが判明した。
そこで、モータ21の実際の物理量に基づいて逆起電圧定数Keを算出する。
具体的には、上記の(4)式により逆起電圧定数Keを算出する。そして、この値が、モータ21の推定回転角速度ωmaの算出のために用いられる。このため、推定回転角速度ωmaは、モータ21の状態に応じた逆起電圧定数Keに基づいて算出されることになるため、精度が高くなる。すなわち、推定回転角速度ωmaと実際の回転角速度ωmとの差が小さくなる。これにより、推定回転角速度ωmaに基づく操舵トルクシフト制御の制御精度が高くなるため、ステアリング操作のフィーリングが向上する。
更に、逆起電圧定数Keの算出ために用いる推定誘起電圧EXについて、上記に示したように、第1〜第3条件を満たすことを要件としている。
すなわち、第1条件、すなわち操舵角速度ωsの絶対値が閾値HAよりも大きいとき、推定誘起電圧EXに含まれる誤差比率が小さくなるとき、逆起電圧定数Keを算出するため、逆起電圧定数Keの精度が高くなる。
また、第2条件、すなわち操舵角速度ωsの変化量(変化率)の絶対値が判定変化量HBよりも小さいとき、推定誘起電圧EXを算出するため、操舵角速度ωsに対する推定誘起電圧EXのばらつきが小さくなる。そして、この推定誘起電圧EXに基づいて逆起電圧定数Keを算出するため、逆起電圧定数Keの精度が高くなる。
すなわち、第1条件および第2条件の成立を要件としないで推定誘起電圧EXを算出する場合と比べて、推定誘起電圧EXの精度が向上する。このため、より精確な逆起電圧定数Keを算出することができる。
第3条件によれば次の効果がある。
第3条件によれば、モータ21が略同じ運動条件下にあるとき、すなわち前回推定誘起電圧EXを算出するときの操舵角速度ωs1と今回推定誘起電圧EXを算出するときの操舵角速度ωs2とが近いとき(ωs1とωs2との差の絶対値が設定値DSよりも小さいとき)、推定誘起電圧EXを算出する。そして、(4)式に示されるように、モータ21が略同じ運動条件下において算出された2つの推定誘起電圧EXの比に基づいて逆起電圧定数Keを算出する。
モータ21が異なる運動条件下で算出した2つの推定誘起電圧EXの比に基づいて逆起電圧定数Keを算出する場合は、推定誘起電圧EX以外のパラメータの逆起電圧定数Keに対する寄与を考慮する必要がある。この点、第3条件によれば、このような推定誘起電圧EX以外のパラメータの寄与について殆ど考慮する必要がなくなるため、より精確な逆起電圧定数Keを算出することが可能となる。
(変形例)
逆起電圧定数Keの算出方法の変形例を説明する。
上記説明した例では、上記(4)式により新たな逆起電圧定数Keを算出する。
この式を用いるとき、操舵角速度ωs1と操舵角速度ωs2との差の絶対値が設定値DSよりも小さいとき、これらの操舵角速度ωsに対応する第1推定誘起電圧EX1および第2推定誘起電圧EX2を用いて逆起電圧定数Keを算出する。すなわち、操舵角速度ωs1と操舵角速度ωs2との差の絶対値が設定値DSよりも小さくなったとき、逆起電圧定数Keが更新されるようになっている。
これに対し、本変形例では、操舵角速度ωs1と操舵角速度ωs2との差の絶対値が設定値DSよりも小さいことを条件としないで逆起電圧定数Keを算出する。
一般的に、(5)式、すなわち(51)式および(52)式が成立する。ここで、(51)式と(52)式とを左辺同士および右辺同士除算する。これにより、以下の(7)式が成立する。
Ke2=(E2/E1)×(ωm1/ωm2)×Ke1 … (7)
そして、上記と同様に、「誘起電圧E」に代えて「推定誘起電圧EX」を用いる。また、モータ21の回転角速度ωmと操舵角速度ωsは相関関係にあるため、「ωm1/ωm2」に代えて「ωs1/ωs2」を用いる。
このようにして、以下の式が成立する。
Ke2=(EX2/EX1)×(ωs1/ωs2)×Ke1 … (8)
すなわち、新たに算出される第2逆起電圧定数Ke2は、操舵角速度ωs1と、操舵角速度ωs2と、操舵角速度ωs1のときの第1推定誘起電圧EX1と、操舵角速度ωs2のときの第2推定誘起電圧EX2と、前回に算出された第1逆起電圧定数Ke1とに基づいて算出される。
なお、式(8)を用いて逆起電圧定数Keを算出する場合であっても、操舵角速度ωs1と操舵角速度ωs2との差の絶対値が所定の設定値DSaより小さくすることが好ましいと考えられる。操舵角速度ωs1と操舵角速度ωs2との差の絶対値が大きいときは、モータ21の運動状態が異なるため、推定誘起電圧EXおよび操舵角速度ωs以外のパラメータの逆起電圧定数Keに対する寄与が影響すると考えられるためである。
本実施形態によれば以下の作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、操舵角速度ωsと推定誘起電圧EXとに基づいて逆起電圧定数Keを算出する。
逆起電圧定数Keは誘起電圧Eとモータ21の回転角速度ωmとに基づく値であるため、モータ21の回転角速度ωmに対応する操舵角速度ωsと推定誘起電圧EXとに基づいて逆起電圧定数Keを算出することができる。
すなわち、逆起電圧定数Keを固定値とするのではなく、実際のモータ21に基づくパラメータを用いて逆起電圧定数Keを算出しているため、実際の逆起電圧定数Keと、推定回転角速度ωmaの算出のときに用いられる逆起電圧定数Keとの差の絶対値を小さくすることができる。
そして、このようにして求めた逆起電圧定数Keに基づいて推定回転角速度ωmaを算出するため、推定回転角速度ωmaと実際の回転角速度ωmとの差の絶対値が大きくなる頻度を少なくすることができ、この結果、推定回転角速度ωmaに基づいて行われる各種制御の制御精度を向上させることができる。
(2)本実施形態では、第1推定誘起電圧EX1に対する第2推定誘起電圧EX2との比と第1逆起電圧定数Ke1とに基づいて第2逆起電圧定数Ke2を算出する。
この構成によれば、推定誘起電圧EXの変化度合いに対応させて新たに逆起電圧定数Keを算出する。すなわち、所定条件下における推定誘起電圧EXの変化度合いを逆起電圧定数Keに反映させることができるため、実際の逆起電圧定数Keと、推定回転角速度ωmaを算出するときに用いられる逆起電圧定数Keとの差の絶対値が大きくなること抑制することができる。
(3)本実施形態では、図3および図4に示すように、操舵角速度ωsの絶対値が閾値HAよりも大きいとき推定誘起電圧EXを算出する。
モータ21の回転角速度ωmが小さくなるとき、誘起電圧(推定誘起電圧EX)の値も小さくなる。一方、推定誘起電圧EXとモータ21の実際の誘起電圧Eとの間には誤差がある。
推定誘起電圧EXが小さいとき、推定誘起電圧EXの絶対値に対して誤差の比率が大きくなるため、この推定誘起電圧EXに基づいて逆起電圧定数Keを算出すると、推定誘起電圧EXの絶対値が大きいときに逆起電圧定数Keを算出する場合と比べて、逆起電圧定数Keの精度が低くなる。
この点、上記構成によれば、操舵角速度ωsの絶対値が閾値HAよりも大きくなるとき、すなわち誘起電圧(推定誘起電圧EX)が大きくなるときの推定誘起電圧EXに基づいて逆起電圧定数Keを算出する。これにより、逆起電圧定数Keの精度を更に向上させることができる。
(4)本実施形態では、上記(3)の要件に加えて、操舵角速度ωsの変化量の絶対値が判定変化量HBよりも小さいとき、推定誘起電圧EXを算出する。これは、以下に示す理由による。
所定の操舵角速度ωsのときに推定誘起電圧EXを算出する場合であっても、操舵角速度ωsの変化量の絶対値が大きいときに算出された推定誘起電圧EXと、操舵角速度ωsの変化量の絶対値が小さいときに算出された推定誘起電圧EXとは、推定誘起電圧EXが異なることがある。
これは、推定誘起電圧EXを算出する時点と、操舵角速度ωsが所定値であると判定された時点との間でタイムラグがあるからである。すなわち、推定誘起電圧EXを算出するときの条件として、操舵角速度ωsの変化量に制限を加えないとき、推定誘起電圧EXの値がばらつくことがある。
この点、上記構成によれば、操舵角速度ωsの変化量の絶対値が判定変化量HBよりも小さいときことを推定誘起電圧EXの算出条件としているため、推定誘起電圧EXの算出時における推定誘起電圧EXのばらつきことを抑制することができる。これにより、逆起電圧定数Keの精度を向上させることができる。
(5)本実施形態では、上記(4)の要件に加えて、更に、前回の操舵角速度ωs1(第1操舵角速度)と今回の操舵角速度ωs2(第2操舵角速度)との差の絶対値が設定値DSよりも小さいとき、推定誘起電圧EXを算出する。
前回の操舵角速度ωs1と今回の操舵角速度ωs2とに差があるとき、変形例に示すように、前回の操舵角速度ωs1と今回の操舵角速度ωs2との比、および第1推定誘起電圧EX1と第2推定誘起電圧EX2の比に基づいて、新たな逆起電圧定数Keを算出することができる。
一方、上記構成によれば、前回の操舵角速度ωs1と今回の操舵角速度ωs2との差の絶対値が設定値DSよりも小さいことを推定誘起電圧EXの算出条件としているため、逆起電圧定数Keの計算を簡易なものとすることができる。
(6)本実施形態では、逆起電圧定数Keを算出するためには、(5)式によれば、パラメータとしてモータ21の実際の回転角速度ωmを必要とするが、これに代えて、上記構成では、モータ21の回転角速度ωmに代わる対応回転角速度として、操舵角速度ωsを用いている。
操舵角速度ωsは、モータ21の回転角速度ωmと相関関係にある。操舵角速度ωsに代えて、これら以外にも例えば転舵輪3の転舵速度等を用いることも考えられるが、モータ21と転舵輪3との間に介在する機械要素の数が、モータ21とステアリング2との間に介在する機械的要素の数よりも多くなる場合は、転舵輪3の転舵速度とモータ21の回転角速度ωmとの相関性が低下する。すなわち、操舵角速度ωsとモータ21の回転角速度ωmとの相関関係は、モータ21から離れた位置にある操舵系部品の転舵速度とモータ21の回転角速度ωmとの相関関係に比べ、高い。
このため、上記構成によれば、モータ21から離れた位置にある操舵系部品の転舵速度を対応回転角速度として用いる場合と比べて、逆起電圧定数Keを精確に算出することができる。
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記実施形態にて例示した態様に限られるものではなく、これを例えば以下に示すように変更して実施することもできる。また以下の各変形例は、上記実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
・上記実施形態では、モータ抵抗Rmを固定値としているが、モータ抵抗Rmとモータ電流Imとの間に相関性があるため、モータ電流Imに基づいてモータ抵抗Rmの値を補正してもよい。具体的には、モータ抵抗Rmとモータ電流Imとの関係を示すマップを予め設定し、このマップに基づいてモータ抵抗Rmを補正する。この構成によれば、更に、モータ21の回転角速度ωmを精確に算出することができる。
・上記実施形態では、上記外乱オブザーバを用いて推定誘起電圧EXを算出するが、外乱オブザーバは上記(2)式および(3)式に基づく構成に限定されない。すなわち、推定誘起電圧EXを外乱要素としてみなしてモータ方程式をモデル化して導かれる外乱オブザーバであれば、推定誘起電圧EXを算出する算出方法として当該外乱オブザーバを採用することができる。
・上記実施形態では、推定誘起電圧EXの算出するための第1条件〜第3条件を設けている。そして、操舵角速度ωsをパラメータとして第1条件〜第3条件の成否を判定している。
第1条件〜第3条件の成否を判定するためのパラメータとしては、操舵角速度ωs以外の物理量を用いることができる。すなわち、推定誘起電圧EXの算出するための条件のパラメータは、モータ21の回転角速度ωmと相関関係にあるものを用いることができる。
例えば、操舵角速度ωsに代えて、ラック軸13の移動量(運動量)を用いることができる。ラック軸13の移動量は、モータ21の回転角速度ωmと相関関係にあるため、ラック軸13の移動量をパラメータとして用いても、逆起電圧定数Keを精確に算出するために必要な推定誘起電圧EXを得ることができる。また、ラック軸13の移動量のほか、例えば、減速機構22のギア回転速度、または推定回転角速度ωmaを用いることができる。
・上記実施形態では、逆起電圧定数Keの算出式として(4)式および(8)式を挙げているが、実際の逆起電圧定数Keの値に近似させるために、これらの式を所定の係数で補正してもよい。
・上記実施形態では、EPSアクチュエータ20のモータ21としてブラシ付きモータを備えた電動パワーステアリング装置1に本発明を適用しているが、EPSアクチュエータ20のモータ21としてブラシレスモータを備えた電動パワーステアリング装置1に本発明を適用することもできる。
・上記実施形態では、コラム型の電動パワーステアリング装置1に本発明を適用したが、ピニオン型およびラックアシスト型の電動パワーステアリング装置1に対して本発明を適用することもできる。この場合にも、上記実施形態に準じた構成を採用することにより、同実施形態の効果に準じた効果が得られる。
1…電動パワーステアリング装置、2…ステアリング、3…転舵輪、10…操舵角伝達機構(操舵系)、11…ステアリングシャフト、12…ラックアンドピニオン機構、13…ラック軸、14…タイロッド、20…EPSアクチュエータ、21…モータ、22…減速機構、30…電子制御装置、31…トルクセンサ、32…車速センサ、33…ステアリングセンサ、40…モータ制御装置、50…駆動回路、51…電圧センサ、52…電流センサ、60…電流指令値演算部、61…基本アシスト演算部、62…トルクシフト演算部、70…フィードバック補正部、80…モータ制御信号出力部、90…回転角速度演算部、100…逆起電圧定数更新部、110…操舵角速度演算部、120…誘起電圧演算部、130…逆起電圧定数演算部。

Claims (6)

  1. 操舵系にアシスト力を付与するモータを備える電動パワーステアリング装置において、
    前記モータの回転角速度に対応する対応回転角速度を取得する回転角速度取得部と、前記対応回転角速度を取得する時期と同じ時期に前記モータの誘起電圧を推定誘起電圧として算出する誘起電圧演算部と、前記対応回転角速度と前記推定誘起電圧とに基づいて逆起電圧定数を算出する逆起電圧定数演算部と、前記モータの電流と前記モータの電圧と前記逆起電圧定数と前記モータの抵抗とに基づいて前記モータの回転角速度を推定回転角速度として算出する回転角速度演算部とを備える
    ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記回転角速度取得部により取得された前記対応回転角速度を第1対応回転角速度とし、
    前記第1対応回転角速度よりも後に取得された前記対応回転角速度を第2対応回転角速度とし、
    前記第1対応回転角速度に対応する前記推定誘起電圧を第1推定誘起電圧とし、
    前記第2対応回転角速度に対応する前記推定誘起電圧を第2推定誘起電圧とし、
    前記第1推定誘起電圧に対応する前記逆起電圧定数を第1逆起電圧定数とし、
    前記第2推定誘起電圧に対応する前記逆起電圧定数を第2逆起電圧定数として、
    前記逆起電圧定数演算部は、前記第1推定誘起電圧に対する前記第2推定誘起電圧との比と前記第1逆起電圧定数とに基づいて前記第2逆起電圧定数を算出する
    ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  3. 請求項1または2に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記対応回転角速度の大きさが閾値よりも大きいとき前記推定誘起電圧を算出する
    ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  4. 請求項1または2に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記対応回転角速度の大きさが閾値よりも大きくかつ前記対応回転角速度の変化量の大きさが判定変化量よりも小さいとき、前記推定誘起電圧を算出する
    ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  5. 請求項2に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記対応回転角速度の大きさが閾値よりも大きく、かつ前記対応回転角速度の変化量の大きさが判定変化量よりも小さく、かつ前記第1対応回転角速度と前記第2対応回転角速度との差の絶対値が設定値よりも小さいとき、前記推定誘起電圧を算出する
    ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記対応回転角速度はステアリングの操舵角速度またはラック軸の移動量である
    ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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