JP2013001241A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電動モータの回転角速度に基づいて精確に電動モータを制御することのできる電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】この電動パワーステアリング装置は、モータ方程式に基づいて電動モータの回転角速度を算出する。そして、電動モータの運動状態に基づいてモータ方程式の近似式を算出し、この近似式に基づいてモータ方程式の逆起電圧定数を更新する。電動モータのトルクが付与される駆動体の動作に応じて信号を出力するセンサと、センサの出力信号に基づいて電動モータの回転角速度の演算値を算出する演算器とを備え、電動モータの電流の測定値が所定範囲内のとき、電動モータの電圧の測定値および前記回転角速度の演算値を記憶し、記憶した電圧の測定値の数または回転角速度の演算値の数が所定数以上のとき、近似式を算出する。
【選択図】図5
【解決手段】この電動パワーステアリング装置は、モータ方程式に基づいて電動モータの回転角速度を算出する。そして、電動モータの運動状態に基づいてモータ方程式の近似式を算出し、この近似式に基づいてモータ方程式の逆起電圧定数を更新する。電動モータのトルクが付与される駆動体の動作に応じて信号を出力するセンサと、センサの出力信号に基づいて電動モータの回転角速度の演算値を算出する演算器とを備え、電動モータの電流の測定値が所定範囲内のとき、電動モータの電圧の測定値および前記回転角速度の演算値を記憶し、記憶した電圧の測定値の数または回転角速度の演算値の数が所定数以上のとき、近似式を算出する。
【選択図】図5
Description
本発明は、モータ方程式に基づいて電動モータの回転角速度の演算値を算出する電動パワーステアリング装置に関する。
従来の電動パワーステアリング装置として、特許文献1に記載のものが知られている。この電動パワーステアリング装置では、下記(A)式を用いて電動モータの回転角速度を算出する。
(A)式において、「ω」は電動モータの回転角速度を、「Vm」は電動モータの端子間電圧(以下、「電圧」)を、「R」は電動モータの抵抗を、「Im」は電動モータの電流を、「K」は電動モータの逆起電圧定数を示している。モータ電流Imおよびモータ電圧Vmとしては、それぞれ対応するセンサにより検出されたものが用いられる。また、抵抗Rとしては、予め用意されたマップに基づいて算出されたものが用いられる。また、逆起電圧定数Kとしては、予め設定された固定値が用いられる。
ω=(Vm−Rm×Im)/K…(A)
そして、上記式から算出した回転角速度ωに基づいて電動モータの制御を行う。
逆起電圧定数Kは電動モータの温度等に応じて変化する。このため、逆起電圧定数Kを固定値として用いる上記電動パワーステアリング装置においては、(A)式の逆起電圧定数Kが実際の逆起電圧定数Kから大きく乖離することがある。そして、実際の逆起電圧定数Kと上記(A)式の逆起電圧定数Kとの差が大きい場合には、同(A)式により算出される回転角速度ωが実際の回転角速度ωから大きく乖離する。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものでありその目的は、電動モータの回転角速度に基づいて精確に電動モータを制御することのできる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段について記載する。
(1)第1の手段は、請求項1に記載の事項すなわち、「モータ方程式に基づいて電動モータの回転角速度を算出する電動パワーステアリング装置において、前記電動モータの運動状態に基づいて前記モータ方程式の逆起電圧定数を更新すること」を要旨とする。
(1)第1の手段は、請求項1に記載の事項すなわち、「モータ方程式に基づいて電動モータの回転角速度を算出する電動パワーステアリング装置において、前記電動モータの運動状態に基づいて前記モータ方程式の逆起電圧定数を更新すること」を要旨とする。
この発明によれば、逆起電圧定数を算出するにあたり、モータ方程式のパラメータに関連する電動モータの運動状態に基づく演算を行なうため、逆起電圧定数を適切に算出することができる。また、モータ方程式の逆起電圧定数を更新するため、同方程式の逆起電圧定数が実際の逆起電圧定数から大きく乖離することが抑制される。このため、電動モータの回転角速度を精度よく推定することができる。
(2)第2の手段は、請求項2に記載の事項すなわち、「請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、前記電動モータの運動状態に基づいて前記モータ方程式の近似式を算出し、この近似式に基づいて前記逆起電圧定数を更新すること」を要旨とする。
この発明では、近似式に基づいて逆起電圧定数を更新するため、例えば電圧の測定値、電流の測定値、抵抗の設定値、および回転角速度の演算値をモータ方程式に代入して逆起電圧定数を算出する方法と比較して、逆起電圧定数を精度よく推定することができる。
(3)第3の手段は、請求項3に記載の事項すなわち、「請求項2に記載の電動パワーステアリング装置において、前記電動モータのトルクが付与される駆動体の動作に応じて信号を出力するセンサと、同センサの出力信号に基づいて前記電動モータの回転角速度の演算値を算出する演算器とを備え、前記電動モータの電流の測定値が所定範囲内のとき、前記電動モータの電圧の測定値および前記回転角速度の演算値を記憶し、記憶した前記電圧の測定値の数または前記回転角速度の演算値の数が所定数以上のとき、前記近似式を算出すること」を要旨とする。
モータ方程式の近似式を算出する手法として、例えば、電圧、電流、および回転角速度のいずれか1つを従属変数とし、残りの2つを独立変数とし、抵抗を定数とし、そのうえで電圧の測定値、電流の測定値、および回転角速度の演算値を取得するものが挙げられる。この手法の場合には、3つの変数に基づいてモータ方程式の近似式を算出するため、演算負荷が大きくなる。
これに対して本発明では、電流の測定値が所定範囲内のとき、電圧の測定値および回転角速度の演算値を記憶するため、電流を定数と仮定することができる。すなわち、電圧および回転角速度の一方を従属変数とし、電圧または回転角速度の他方を独立変数とし、電流および抵抗を定数とし、そのうえで電圧の測定値および回転角速度の演算値を取得し、取得した電圧の測定値および回転角速度の演算値に基づいてモータ方程式の近似式を算出することができる。このため、3つの変数に基づいてモータ方程式の近似式を算出する上記の手法と比較して、演算負荷が小さくなる。
(4)第4の手段は、請求項4に記載の事項すなわち、「請求項2または3に記載の電動パワーステアリング装置において、前記電動モータのトルクが付与される駆動体の動作に応じて信号を出力するセンサと、同センサの出力信号に基づいて前記電動モータの回転角速度の演算値を算出する演算器とを備え、前記回転角速度の演算値が判定値以上のとき、前記電動モータの電圧の測定値および前記回転角速度の演算値を記憶し、記憶した前記電圧の測定値の数または前記回転角速度の演算値の数が所定数以上のとき、前記近似式を算出すること」を要旨とする。
回転角速度の演算値には誤差が含まれる。また、回転角速度の演算値が小さいときには、同演算値に対する誤差の影響が大きくなる。このため、近似式を精度よく算出するためには、回転角速度の演算値の誤差の影響を小さくすることが好ましい。
本発明では、この考え方に基づいて、回転角速度の演算値が判定値以上のとき、電圧の測定値および回転角速度の演算値を記憶し、記憶した電圧の測定値および回転角速度の演算値に基づいて近似式を算出している。このため、近似式を精度よく算出することができる。
(5)第5の手段は、請求項5に記載の事項すなわち、「請求項2〜4のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、前記モータ方程式に基づいて算出された前記電動モータの抵抗値を第1抵抗値とし、前記近似式の前記電動モータの抵抗値を第2抵抗値として、前記第1抵抗値と前記第2抵抗値との差の絶対値が基準値以下のとき、前記近似式の逆起電圧定数を前記モータ方程式の逆起電圧定数として設定する第1更新処理、および前記第2抵抗値を前記モータ方程式の抵抗値として設定する第2更新処理の少なくとも一方を行なうこと」を要旨とする。
第1抵抗値と第2抵抗値との差の絶対値が基準値以下のとき、すなわち互いに異なる手法により算出された2つの値のずれが小さいとき、各抵抗値の精度が高いとみなすことができる。
本発明では、この考え方に基づいて、モータ方程式の逆起電圧定数および抵抗の少なくとも一方を更新するため、モータ方程式に基づいて算出される回転角速度の精度が高くなる。
本発明によれば、電動モータの回転角速度に基づいて精確に電動モータを制御することのできる電動パワーステアリング装置を提供することができる。
図1に示すように、電動パワーステアリング装置1は、ステアリング2の回転を転舵輪3に伝達する操舵角伝達機構10(操舵系)と、ステアリング2の操作を補助するための力(以下、「アシスト力」)を操舵角伝達機構10に付与するEPSアクチュエータ20と、EPSアクチュエータ20を制御する電子制御装置30とを備える。さらに、電動パワーステアリング装置1には、これら装置の動作状態を検出する複数のセンサが設けられている。
操舵角伝達機構10は、ステアリング2の操作に応じて回転するステアリングシャフト11(駆動体)と、ステアリングシャフト11の回転をラック軸13に伝達するラックアンドピニオン機構12と、タイロッド14を操作するラック軸13と、ナックルを操作するタイロッド14とを備える。
EPSアクチュエータ20は、ステアリングシャフト11にトルクを付与するモータ21(電動モータ)と、モータ21の回転を減速する減速機構22とを備える。モータ21としては、ブラシ付きのモータ21が採用されている。このモータ21の回転は減速機構22により減速されてステアリングシャフト11に伝達される。このときにモータ21からステアリングシャフト11に付与されるトルクがアシスト力として作用する。
操舵角伝達機構10は次のように動作する。すなわち、ステアリング2が操作されたとき、アシスト力がステアリングシャフト11に付与されて、同シャフト11が回転する。ステアリングシャフト11の回転は、ラックアンドピニオン機構12によりラック軸13の直線運動に変換される。ラック軸13の直線運動は、同ラック軸13の両端に連結されたタイロッド14を介してナックルに伝達される。そして、ナックルの動作にともない転舵輪3の舵角が変更される。
ステアリング2の操舵角θsは、ステアリング2が中立位置にあるときを基準として定められる。すなわち、ステアリング2が中立位置にあるときの操舵角θsを「0」として、ステアリング2が中立位置から右方向または左方向に回転したとき、中立位置からの回転角度に応じて操舵角θsが増加する。
ステアリング2の操舵状態は、「回転状態」と「中立状態」と「保舵状態」とに区別される。「回転状態」は、ステアリング2が回転している最中の状態を示す。「中立状態」は、ステアリング2が中立位置にある状態を示す。「保舵状態」は、ステアリング2が中立位置から右方向または左方向に回転した位置にあり、かつその位置に保持されている状態を示す。更に、「回転状態」は、「切り込み状態」と「切り戻し状態」とに区別される。「切り込み状態」は操舵角θsを増大させる状態を示す。「切り戻し状態」は操舵角θsを減少させる状態を示す。
電動パワーステアリング装置1には、ステアリング2のトルクを検出するトルクセンサ31と、車速に対応する値を検出する車速センサ32と、ステアリング2の操舵角θsを検出するステアリングセンサ33とが設けられている。これらのセンサはそれぞれ次のように被対象物の状態の変化に応じた信号を出力する。
トルクセンサ31は、ステアリング2の操作によりステアリングシャフト11に付与されたトルクの大きさに応じた信号(以下、「出力信号SA」)を電子制御装置30に出力する。車速センサ32は、転舵輪3の回転速度に応じた信号(以下、「出力信号SB」)を電子制御装置30に出力する。ステアリングセンサ33は、ステアリング2の回転量に応じた信号(以下、「出力信号SC」)を電子制御装置30に出力する。
電子制御装置30は、各センサの出力に基づいて次の演算を行う。
トルクセンサ31の出力信号SAに基づいて、ステアリング2の操作にともないステアリングシャフト11に入力されたトルクの大きさに相当する演算値(以下、「操舵トルクτ」)を算出する。また、車速センサ32の出力信号SBに基づいて、車両の走行速度に相当する演算値(以下「車速V」)を算出する。また、ステアリングセンサ33の出力信号SCに基づいてステアリング2の操舵角θsを算出する。
トルクセンサ31の出力信号SAに基づいて、ステアリング2の操作にともないステアリングシャフト11に入力されたトルクの大きさに相当する演算値(以下、「操舵トルクτ」)を算出する。また、車速センサ32の出力信号SBに基づいて、車両の走行速度に相当する演算値(以下「車速V」)を算出する。また、ステアリングセンサ33の出力信号SCに基づいてステアリング2の操舵角θsを算出する。
また、電子制御装置30は、次のモータ制御を行う。
電子制御装置30は、操舵系へのアシスト力を付与するためのモータ出力を調整するパワーアシスト制御と、ステアリング2の操舵フィーリングを調整するためにモータ出力を補正する操舵トルクシフト制御を実行する。
電子制御装置30は、操舵系へのアシスト力を付与するためのモータ出力を調整するパワーアシスト制御と、ステアリング2の操舵フィーリングを調整するためにモータ出力を補正する操舵トルクシフト制御を実行する。
操舵トルクシフト制御では、操舵フィーリングを向上させるために、操舵トルクτをステアリング2の操舵状態に応じて補正する。そして、補正した値を補正トルクτaとして出力する。パワーアシスト制御では、車速Vおよび補正トルクτaに基づいて、モータ21を駆動するための電流指令値Iaを算出する。
図2を参照して、電子制御装置30の構成について説明する。
電子制御装置30は、モータ21に供給する駆動電力に対応する信号(以下、「モータ制御信号Sm」)を形成するモータ制御装置40と、モータ制御信号Smに応じた駆動電力をモータ21に供給する駆動回路50とを備えている。
電子制御装置30は、モータ21に供給する駆動電力に対応する信号(以下、「モータ制御信号Sm」)を形成するモータ制御装置40と、モータ制御信号Smに応じた駆動電力をモータ21に供給する駆動回路50とを備えている。
駆動回路50には、モータ21の端子間電圧を検出する電圧センサ51と、モータ21に供給される電流を検出する電流センサ52とが設けられている。なお、以降では、電圧センサ51により測定されたモータ21の端子間電圧を「モータ電圧Vma」とし、電流センサ52により測定されたモータ21の電流を「モータ電流Ima」する。
モータ制御装置40は、モータ21に供給する電流値(電流指令値Ia)を算出する電流指令値演算部60と、フィードバック補正部70と、モータ制御信号Smを形成するモータ制御信号出力部80と、モータ21の回転角速度ωmを推定回転角速度ωmaとして算出する回転角速度演算部90とを備えている。これらの構成要素に加えて、モータ制御装置40は、測定したデータを記憶する記憶部41を備えている。
フィードバック補正部70は、モータ電流Imaと電流指令値Iaとの差に基づいて電流指令値Iaを補正し、モータ電流Imaが電流指令値Iaに収束するようにフィードバック制御する。モータ制御信号出力部80は、フィードバック補正部70により出力される補正電流指令値Ibに基づいてモータ制御信号Smを形成する。
電流指令値演算部60は、電流指令値Iaの基礎成分(以下、「基本制御量Ias」)を算出する基本アシスト演算部61と、車速Vおよび推定回転角速度ωmaに基づいて操舵トルクτを補正するトルクシフト演算部62とを備えている。
トルクシフト演算部62は操舵トルクτを補正する(操舵トルクシフト制御)。
具体的には、ステアリング2の状態が保舵状態および切り戻し状態のとき、操舵トルクτが増大するように補正する。また同状態(保舵状態および切り戻し状態)のとき、車速Vが小さくなるにつれて操舵トルクτを増大させる量を大きくし、かつ推定回転角速度ωmaの絶対値が大きくなるにつれて操舵トルクτを増大させる量を大きくする。
具体的には、ステアリング2の状態が保舵状態および切り戻し状態のとき、操舵トルクτが増大するように補正する。また同状態(保舵状態および切り戻し状態)のとき、車速Vが小さくなるにつれて操舵トルクτを増大させる量を大きくし、かつ推定回転角速度ωmaの絶対値が大きくなるにつれて操舵トルクτを増大させる量を大きくする。
一方、ステアリング2の状態が切り込み状態のとき、操舵トルクτの補正量を「0」とする。すなわち、ステアリング2の切り込み状態のときよりも、保舵状態および切り戻し状態においてアシスト量を増大させる。これにより、操舵フィーリングを向上させる。
ステアリング2の状態が、切り込み状態および保舵状態および切り戻し状態のいずれにあるかは、次の方法により判定する。
すなわち、操舵トルクτの符号と推定回転角速度ωmaの符号とが一致するとき、切り込み状態と判定する。操舵トルクτの符号と推定回転角速度ωmaの符号とが一致しないとき、切り戻し状態と判定する。推定回転角速度ωmaの絶対値が所定値ω0よりも小さいとき、保舵状態と判定する。
すなわち、操舵トルクτの符号と推定回転角速度ωmaの符号とが一致するとき、切り込み状態と判定する。操舵トルクτの符号と推定回転角速度ωmaの符号とが一致しないとき、切り戻し状態と判定する。推定回転角速度ωmaの絶対値が所定値ω0よりも小さいとき、保舵状態と判定する。
基本アシスト演算部61は、補正トルクτaと車速Vとに基づいて基本制御量Iasを算出する。具体的には、車速Vが小さくなるにつれて基本制御量Iasを大きくする。また、補正トルクτaが大きくなるにつれて基本制御量Iasを大きくする。
回転角速度演算部90は、モータ方程式としての下記(1)式に基づいて、推定回転角速度ωmaを算出する。推定回転角速度ωmaは上記トルクシフト演算部62で用いられる。なお、ブラシ付きモータ21にはモータ21の回転角速度ωmを検出するセンサが設けられていないため、次の(1)式によりモータ21の回転角速度ωmを推定回転角速度ωmaとして算出する。
具体的には、当該算出時の直前に検出されたモータ電流Ima、当該算出時の直前に検出されたモータ電圧Vma、記憶部41に記憶されている逆起電圧定数K、および記憶部41に記憶されているモータ抵抗Rmを(1)式に代入して、推定回転角速度ωmaを算出する。
以上の構成により、モータ制御装置40は次のように動作する。
すなわち、回転角速度演算部90により推定回転角速度ωmaを算出する。そして、この推定回転角速度ωmaと車速Vとに基づいて操舵トルクτを補正し、補正トルクτaを算出する。更に、補正トルクτaと車速Vとに基づいて基本制御量Iasを形成する。基本制御量Iasは、モータ電流Imによりフィードバック補正され、補正電流指令値Ibとされる。そして、補正電流指令値Ibに基づいてモータ制御信号Smを形成する。
すなわち、回転角速度演算部90により推定回転角速度ωmaを算出する。そして、この推定回転角速度ωmaと車速Vとに基づいて操舵トルクτを補正し、補正トルクτaを算出する。更に、補正トルクτaと車速Vとに基づいて基本制御量Iasを形成する。基本制御量Iasは、モータ電流Imによりフィードバック補正され、補正電流指令値Ibとされる。そして、補正電流指令値Ibに基づいてモータ制御信号Smを形成する。
図2に示すように、モータ制御装置40は、上記演算要素のほか、逆起電圧定数Kおよびモータ抵抗Rmを更新する定数演算部100を備えている。
定数演算部100は、モータ21の回転角速度ωmに相当する演算値(以下、「対応回転角速度ωmx」)を算出する対応回転角速度演算部110(演算器)と、保舵時においてモータ抵抗Rmを算出する抵抗演算部120と、記憶部41のデータに基づいて近似式を算出する近似式演算部130とを備えている。これらの演算部に加えて、定数演算部100は、近似式演算部130により算出されるモータ抵抗Rmと、抵抗演算部120により算出されるモータ抵抗Rmとを比較する比較演算部140とを備えている。
定数演算部100は、モータ21の回転角速度ωmに相当する演算値(以下、「対応回転角速度ωmx」)を算出する対応回転角速度演算部110(演算器)と、保舵時においてモータ抵抗Rmを算出する抵抗演算部120と、記憶部41のデータに基づいて近似式を算出する近似式演算部130とを備えている。これらの演算部に加えて、定数演算部100は、近似式演算部130により算出されるモータ抵抗Rmと、抵抗演算部120により算出されるモータ抵抗Rmとを比較する比較演算部140とを備えている。
なお、以降の説明では、抵抗演算部120により保舵時に算出されたモータ抵抗Rmを「第1抵抗Ra」とする。近似式演算部130により算出された近似式のモータ抵抗Rmを「第2抵抗Rb」とする。
対応回転角速度演算部110は、ステアリングシャフト11の操舵角θsの時間変化に基づいて操舵角速度ωsを算出し、相関式に基づいて操舵角速度ωsからモータ21の回転角速度ωmに相当する対応回転角速度ωmx(回転角速度の演算値)を算出する。
相関式は、操舵角速度ωsとモータ21の回転角速度ωmとの関係を示す式であり、減速機構22のギア比に基づいて設定されている。
モータ21の回転力がステアリングシャフト11に減速機構22を介して伝達される。すなわち、ステアリングシャフト11の回転角速度(操舵角速度ωs)とモータ21の回転角速度ωmとは相関関係にある。特に、操舵角速度ωsが判定値ωk以上のとき、操舵角速度ωsとモータ21の回転角速度ωmとの相関関係が高くなる。これは、操舵角速度ωsが「0」付近にある場合、操舵角速度ωsに対する測定誤差の比率が高くなり、操舵角速度ωsの精度が低くなるためである。このため、操舵角速度ωsが判定値ωk以上のとき、操舵角速度ωsに基づいて対応回転角速度ωmxを算出する。
モータ21の回転力がステアリングシャフト11に減速機構22を介して伝達される。すなわち、ステアリングシャフト11の回転角速度(操舵角速度ωs)とモータ21の回転角速度ωmとは相関関係にある。特に、操舵角速度ωsが判定値ωk以上のとき、操舵角速度ωsとモータ21の回転角速度ωmとの相関関係が高くなる。これは、操舵角速度ωsが「0」付近にある場合、操舵角速度ωsに対する測定誤差の比率が高くなり、操舵角速度ωsの精度が低くなるためである。このため、操舵角速度ωsが判定値ωk以上のとき、操舵角速度ωsに基づいて対応回転角速度ωmxを算出する。
抵抗演算部120は、ステアリング2が保舵状態にあるとみなされるとき、すなわち対応回転角速度ωmxが閾値ωh以下のとき、測定値であるモータ電圧Vmaとモータ電流Imaとに基づいて(2)式によりモータ抵抗Rmを算出する。そして、算出したモータ抵抗Rmを第1抵抗Raとして記憶する。
すなわち、ステアリング2が保舵状態にあるときは、モータ21が殆ど回転していないため、式(2)でモータ抵抗Rmを算出することが可能となる。ステアリング2が保舵状態にあるか否かについては、ステアリングシャフト11の操舵角θsに基づいて算出される対応回転角速度ωmxにより判定される。
近似式演算部130は、測定値であるモータ電圧Vmaおよびモータ電流Imaおよび対応回転角速度ωmxに基づいて、モータ方程式に対応する近似式を算出する。
以下、近似式の算出方法について説明する。
以下、近似式の算出方法について説明する。
モータ方程式は(3)式で与えられる。この式は(1)式と同等な式である。
「Rm」と「K」は定数である。パラメータは、「Vm」、「Im」、および「ωm」の3個である。近似式を求める場合、計算速度の観点から、パラメータ数が少ない方が好ましい。そこで、計算速度を向上させるため、モータ電流Imの値を基準電流Imdef(基準電流)としパラメータ数を2個とする。これにより、「Vm」は「ωm」の1次式として表される。このため、「K」および「Rm・Im」は定数となる。なお、基準電流Imdefは、モータ電流Imaの初回測定値に基づいて決定する。
「Vm」と「ωm」の測定値に基づいて、モータ方程式に対応する近似式を求める。
最小2乗法によれば、モータ方程式の「K」および「Rm・Im」は、(4)式〜(8)式で与えられる。
最小2乗法によれば、モータ方程式の「K」および「Rm・Im」は、(4)式〜(8)式で与えられる。
・「Φ」は、「K」と「R・Imdef」の行列である。
・「X」は、N行2列の行列である。
・「X」の第1列ベクトルはN個の「ωm」を成分とする。
・「X」の第2列ベクトルはN個の「1」を成分とする。
・「Y」は、N個の「Vm」を成分とする行列である。
・「X−1」は、行列Xの擬似逆行列を示す。
・「X」は、N行2列の行列である。
・「X」の第1列ベクトルはN個の「ωm」を成分とする。
・「X」の第2列ベクトルはN個の「1」を成分とする。
・「Y」は、N個の「Vm」を成分とする行列である。
・「X−1」は、行列Xの擬似逆行列を示す。
近似式を算出するとき、次の2つの条件を満たすモータ電圧Vmaおよび対応回転角速度ωmxが用いられる。なお、モータ電圧Vmaは、上記行列Yのデータとして用いられる。対応回転角速度ωmxは、行列Xのデータとして用いられる。
(1)第1条件は、モータ電流Imaが基準電流Imdefにあるとみなすことができるとき、すなわちモータ電流Imaと基準電流Imdefとの差の絶対値が許容値α以下であること。(2)第2条件は対応回転角速度ωmxが判定値ωk以上であること。
上記第1条件は、近似式を1次式とするための要件である。
上記第2条件は、測定値または演算値であるモータ電圧Vma、モータ電流Ima、および対応回転角速度ωmxの精度を高くするための要件である。
上記第2条件は、測定値または演算値であるモータ電圧Vma、モータ電流Ima、および対応回転角速度ωmxの精度を高くするための要件である。
具体的には次の計算を実行する。
記憶部41のデータに基づいて、モータ電流Imaが基準電流Imdefとみなすことができるときのモータ電圧Vmaのデータを成分とする行列Yを形成する。
記憶部41のデータに基づいて、モータ電流Imaが基準電流Imdefとみなすことができるときのモータ電圧Vmaのデータを成分とする行列Yを形成する。
記憶部41のデータに基づいて、モータ電流Imaが基準電流Imdefとみなすことができるときの対応回転角速度ωmxのデータ列を第1列とし、各行について「1」を成分とする第2列とする行列Xを形成する。
行列Yと行列Xの同一行のデータは、略同一時刻に測定された値である。すなわち、行列Yの成分Vm(N)と行列Xの成分ωm(N)は略同じタイミングで測定されたものである。
そして、行列Xの逆行列X−1を算出し、逆行列X−1と行列Yとの積を算出することにより、行列Φすなわち「K」と「Rm・Imdef」を算出する。次いで、「Rm・Imdef」を基準電流Imdefで除算することにより「Rm」を算出する。以上により、モータ21の逆起電圧定数「K」およびモータ21のモータ抵抗「Rm」が算出される。近似式演算部130で算出されたモータ抵抗「Rm」は、第2抵抗Rbとして記憶部41に記憶される。また、逆起電圧定数「K」は、算出逆起電圧定数Kaとして記憶部41に記憶される。
比較演算部140は、近似式演算部130で算出された第2抵抗Rbと、抵抗演算部120で算出された第1抵抗Raとの差を算出し、略一致すると認められる程度に両者の差が小さいか否かを判定する。具体的には、第2抵抗Rbと第1抵抗Raとの差の絶対値が基準値β以下のとき、両者の差が小さい判定する。そして、同判定結果のとき、第2抵抗Rbによりモータ方程式のモータ抵抗Rmの値を更新することが可能であること、および近似式演算部130により算出された算出逆起電圧定数Kaによりモータ方程式の逆起電圧定数Kの値を更新することが可能である旨の指令(以下、「更新指令」)を出力する。一方、第2抵抗Rbと第1抵抗Raとの差の絶対値が基準値βよりも大きいとき、両者の差が大きい旨の判定をし、更新指令を出力しない。
基準値βは、第2抵抗Rbに基づいて算出された推定回転角速度ωmaが実際の回転角速度ωmに対して乖離し、推定回転角速度ωmaに基づく制御が不適切になることを抑制するための値である。
図3を参照して、「モータ方程式更新処理」の手順について説明する。なお同処理は、電子制御装置30により所定の演算周期毎に繰り返し実行される。この「モータ方程式更新処理」には、「抵抗演算処理」と「定数演算処理」の処理が含まれる。
ステップS110では、対応回転角速度ωmxの値が閾値ωh以下であるか否かについて判定する。ステップS120では、対応回転角速度ωmxの値が判定値ωk以上であるか否かについて判定する。
そして、これら2つの判定に基づいて次の処理を実行する。
対応回転角速度ωmxの値が閾値ωh以下のとき、ステップS200の処理すなわち「抵抗演算処理」を実行する。すなわち、「抵抗演算処理」では第1抵抗Raを更新する。このため、対応回転角速度ωmxの値が閾値ωh以下である旨判定される都度、第1抵抗Raの値を更新する。
対応回転角速度ωmxの値が閾値ωh以下のとき、ステップS200の処理すなわち「抵抗演算処理」を実行する。すなわち、「抵抗演算処理」では第1抵抗Raを更新する。このため、対応回転角速度ωmxの値が閾値ωh以下である旨判定される都度、第1抵抗Raの値を更新する。
対応回転角速度ωmxの値が閾値ωhよりも大きいとき、かつ対応回転角速度ωmxの値が判定値ωk以上のとき、ステップS300において「定数演算処理」を実行する。「定数演算処理」では、近似式に基づいて、逆起電圧定数Kおよびモータ抵抗Rmを更新する。
対応回転角速度ωmxの値が閾値ωhよりも大きく、かつ対応回転角速度ωmxの値が判定値ωk未満のとき、当該フローを終了する。すなわち、この条件が成立するときは、逆起電圧定数Kおよびモータ抵抗Rmの更新をしない。
図4を参照して、「抵抗演算処理」の手順について説明する。なお、この処理は、抵抗演算部120で実行される。
ステップS210において、モータ電流Imaおよびモータ電圧Vmaを取得する。ステップS210が実行する直前に、対応回転角速度ωmxが閾値ωh以下である旨判定されているため(ステップS110)、対応回転角速度ωmxが閾値ωh以下にあるときのモータ電流Imaとモータ電圧Vmaとが取得される。
ステップS210において、モータ電流Imaおよびモータ電圧Vmaを取得する。ステップS210が実行する直前に、対応回転角速度ωmxが閾値ωh以下である旨判定されているため(ステップS110)、対応回転角速度ωmxが閾値ωh以下にあるときのモータ電流Imaとモータ電圧Vmaとが取得される。
そして、ステップS220において、上記(2)式に基づいてモータ抵抗Rmを算出する。そして、当該演算値を第1抵抗Raとして記憶する。すなわち、第1抵抗Raの値が新たな値に更新される。
図5を参照して、「定数演算処理」の手順について説明する。なお、この処理は、近似式演算部130で実行される。
ステップS310において、モータ電流Imaの取得およびモータ電圧Vmaの取得および対応回転角速度ωmxを取得する。
ステップS310において、モータ電流Imaの取得およびモータ電圧Vmaの取得および対応回転角速度ωmxを取得する。
ステップS310が実行する直前に、対応回転角速度ωmxが判定値ωk以上である旨判定されているため(ステップS120)、対応回転角速度ωmxが判定値ωk以上のときのモータ電流Imaとモータ電圧Vmaが取得される。
ステップS320において、モータ電流Imaと基準電流Imdefとの差の絶対値が許容値α以下であるか否かを判定する。これが否定判定されるとき、当該フローは終了する。すなわち、この場合は、モータ抵抗Rmおよび逆起電圧定数Kの更新は行わない。
ステップS320において肯定判定されるとき、すなわち、モータ電流Imと基準電流Imdefとの差の絶対値が許容値α以下である旨判定されるとき、ステップS330において、モータ電流Ima、モータ電圧Vma、対応回転角速度ωmxを一組のデータとして記憶する。
ステップS340において、上記一組のデータを1個のデータとして、データの個数が規定個数(所定数)以上であるか否かを判定する。データの個数が規定個数未満のとき、当該フローを終了する。データの個数が規定個数以上のとき次のステップS350に移行する。
ステップS350では、モータ電圧Vma、対応回転角速度ωmx、および基準電流Imdefに基づいて、上記(4)式を用いて、モータ方程式の近似式を算出する。そして、近似式の逆起電圧定数Kとモータ抵抗Rmとを記憶する。なお、ここで算出したモータ抵抗Rmは、第1抵抗Raと区別して、第2抵抗Rbとして記憶する。
ステップS360において、第2抵抗Rbと第1抵抗Raとの差の絶対値が基準値β以下にあるか否かを判定する。当該判定が否定されるとき、当該フローを終了する。一方、ステップS360の判定が肯定されるとき、すなわち第2抵抗Rbと第1抵抗Raとの差の絶対値が基準値β以下にある旨判定されるとき、ステップS370において、近似式に基づいてモータ抵抗Rmおよび逆起電圧定数Kを更新する。すなわち、第2抵抗Rbをモータ方程式の「Rm」として設定し、かつ算出逆起電圧定数Kaをモータ方程式の「K」として設定する。
図6を参照して、モータ電流Ima、モータ電圧Vma、対応回転角速度ωmxを取得するタイミング、「定数演算処理」を実行するタイミング、および「抵抗演算処理」を実行するタイミングについて説明する。図6(a)は、対応回転角速度ωmxの時間変化の一例を示し、図6(b)は、モータ電流Imaの時間変化の一例を示す。
モータ電流Ima、モータ電圧Vma、対応回転角速度ωmxの測定は所定周期毎に実行される。そして、次の各タイミングのとき、モータ電流Ima、モータ電圧Vma、対応回転角速度ωmxが取得し、所定の処理を実行する。
(A)測定された対応回転角速度ωmxが判定値ωk以上にあること、かつモータ電流Imaと基準電流Imdefとの差の絶対値が許容値α以下であることを条件(以下、「条件A」)として、モータ電流Ima、モータ電圧Vma、および対応回転角速度ωmxを記憶する。そして、「定数演算処理」を実行する。
(B)演算された対応回転角速度ωmxが閾値ωh以下にあることを条件(以下、「条件B」)として、モータ電流Ima、モータ電圧Vma、および対応回転角速度ωmxを記憶する。そして、「抵抗演算処理」を実行する。
図6を参照し、具体的に説明する。
時刻t1のとき、条件Aおよび条件Bが成立していない。このため、モータ電流Ima、モータ電圧Vma、および対応回転角速度ωmxを記憶しない。
時刻t1のとき、条件Aおよび条件Bが成立していない。このため、モータ電流Ima、モータ電圧Vma、および対応回転角速度ωmxを記憶しない。
時刻t2のとき、条件Aが成立する。このため、モータ電流Ima、モータ電圧Vma、および対応回転角速度ωmxを記憶する。また、このときに取得したデータを含めN個のデータを用いて、モータ方程式の近似式を算出する。
時刻t3および時刻t4のとき、条件Aおよび条件Bが成立していない。このため、モータ電流Ima、モータ電圧Vma、および対応回転角速度ωmxを記憶しない。
時刻t5のとき、条件Aが成立する。このため、モータ電流Ima、モータ電圧Vma、および対応回転角速度ωmxを記憶する。また、このときに取得したデータを含めN個のデータを用いて、モータ方程式の近似式を算出する。
時刻t5のとき、条件Aが成立する。このため、モータ電流Ima、モータ電圧Vma、および対応回転角速度ωmxを記憶する。また、このときに取得したデータを含めN個のデータを用いて、モータ方程式の近似式を算出する。
時刻t6のとき、条件Aおよび条件Bが成立していない。このため、モータ電流Ima、モータ電圧Vma、および対応回転角速度ωmxを記憶しない。
時刻t7のとき、条件Bが成立する。このため、モータ電流Ima、モータ電圧Vma、および対応回転角速度ωmxを記憶する。このとき、抵抗演算部120により第1抵抗Raが算出される。
時刻t7のとき、条件Bが成立する。このため、モータ電流Ima、モータ電圧Vma、および対応回転角速度ωmxを記憶する。このとき、抵抗演算部120により第1抵抗Raが算出される。
図7を参照して、モータ方程式の近似式と「K」と「R・Idef」との関係について説明する。
上記条件Aが成立するときに取得されたデータ、すなわちモータ電圧Vma、対応回転角速度ωmxは、記憶部41に記憶される。そして、記憶部41に記憶されたデータ個数が規定個数以上のとき、近似式演算部130により近似式が算出される。この近似式は、モータ方程式すなわち(3)式との関係で、図7のように示される。
上記条件Aが成立するときに取得されたデータ、すなわちモータ電圧Vma、対応回転角速度ωmxは、記憶部41に記憶される。そして、記憶部41に記憶されたデータ個数が規定個数以上のとき、近似式演算部130により近似式が算出される。この近似式は、モータ方程式すなわち(3)式との関係で、図7のように示される。
近似式の回転角速度ωmの係数k1は、モータ方程式の逆起電圧定数Kに対応する。近似式の定数k2は、モータ方程式の「Rm・Idef」に対応する。このため、近似式に基づいてモータ方程式の逆起電圧定数Kとモータ抵抗Rmが求められる。
本実施形態によれば以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、モータ21の運動状態に基づいてモータ方程式の逆起電圧定数Kを更新する。
(1)本実施形態では、モータ21の運動状態に基づいてモータ方程式の逆起電圧定数Kを更新する。
この構成によれば、モータ方程式の逆起電圧定数Kを算出するにあたり、モータ方程式のパラメータに関連するモータ21の運動状態に基づく演算を行なうため、逆起電圧定数Kを適切に算出することができる。また、モータ方程式の逆起電圧定数Kを更新するため、同方程式の逆起電圧定数Kが実際の逆起電圧定数Kから大きく乖離することが抑制される。このため、モータ21の回転角速度ωmを精度よく推定することができる。
(2)本実施形態では、モータ21の運動状態に基づいてモータ方程式の近似式を算出し、この近似式に基づいて逆起電圧定数Kを更新する。
この構成では、近似式に基づいて逆起電圧定数Kを更新するため、例えば測定値であるモータ電圧Vma、モータ電流Ima、モータ抵抗Rmの設定値、および対応回転角速度ωmxをモータ方程式に代入して逆起電圧定数Kを算出する方法と比較して、逆起電圧定数Kを精度よく推定することができる。
この構成では、近似式に基づいて逆起電圧定数Kを更新するため、例えば測定値であるモータ電圧Vma、モータ電流Ima、モータ抵抗Rmの設定値、および対応回転角速度ωmxをモータ方程式に代入して逆起電圧定数Kを算出する方法と比較して、逆起電圧定数Kを精度よく推定することができる。
(3)本実施形態では、モータ電流Imaが所定範囲内のとき、モータ電圧Vmaおよび対応回転角速度ωmxを記憶し、記憶したモータ電圧Vmaの数または対応回転角速度ωmxの数が規定個数以上のとき、近似式を算出する。
モータ方程式の近似式を算出する手法として、次の手法が挙げられる。すなわち、モータ方程式のモータ電圧Vm、モータ電流Im、および回転角速度ωmのいずれか1つを従属変数とし、残りの2つを独立変数とし、モータ抵抗Rmを定数とする。そして、モータ電圧Vma、モータ電流Ima、および対応回転角速度ωmxを取得し、取得したデータに基づいて近似式を算出する。この手法の場合には、3つの変数に基づいてモータ方程式の近似式を算出するため、演算負荷が大きくなる。
これに対し、上記構成では、モータ電流Imaが所定範囲内のとき、すなわちモータ電流Imaと基準電流Imdefとの差の絶対値が許容値α以下であるとき、モータ電圧Vmaおよび対応回転角速度ωmxを記憶する。このため、モータ電流Imを定数(基準電流Imdef)と仮定することができ、2つの変数に基づいてモータ方程式の近似式を算出することが可能となり、演算負荷を軽減することができる。
すなわち、モータ方程式のモータ電圧Vmを従属変数とし、回転角速度ωmを独立変数とし、モータ電流Imおよびモータ抵抗Rmを定数とし、そのうえで、モータ電圧Vmaおよび対応回転角速度ωmxを取得し、取得したモータ電圧Vmaおよび対応回転角速度ωmxに基づいてモータ方程式の近似式を算出することができる。このため、3つの変数に基づいてモータ方程式の近似式を算出する上記の手法と比較して、演算負荷が小さくなる。
(4)本実施形態では、対応回転角速度ωmxが判定値ωk以上のとき、モータ電圧Vmaおよび対応回転角速度ωmxを記憶し、モータ電圧Vmaの数または対応回転角速度ωmxの数が規定個数以上のとき、近似式を算出する。
対応回転角速度ωmxには誤差が含まれる。また、対応回転角速度ωmxが小さいときには、同値に対する誤差の影響が大きくなる。このため、近似式を精度よく算出するためには、対応回転角速度ωmxの誤差の影響を小さくすることが好ましい。
上記構成では、この考え方に基づいて、対応回転角速度ωmxが判定値ωk以上のとき、モータ電圧Vmaおよび対応回転角速度ωmxを記憶し、記憶したモータ電圧Vmaおよび対応回転角速度ωmxに基づいて近似式を算出している。このため、近似式を精度よく算出することができる。
(5)本実施形態では、式(2)に示すモータ方程式に基づいて算出されたモータ抵抗Rmを第1抵抗Ra(第1抵抗値)とし、近似式のモータ抵抗Rmを第2抵抗Rb(第2抵抗値)として記憶する。そして、第1抵抗Raと第2抵抗Rbとの差の絶対値が基準値β以下のとき、近似式の逆起電圧定数Kをモータ方程式の逆起電圧定数Kとして設定し(第1更新処理)、かつ第2抵抗Rbをモータ方程式のモータ抵抗Rmとして設定する(第2更新処理)。
第2抵抗Rbと第1抵抗Raとの差の絶対値が基準値β以下のとき、すなわち互いに異なる手法により算出された2つの値のずれが小さいとき、各モータ抵抗Rmの精度が高いとみなすことができる。
本構成では、この考え方に基づいて、近似式の逆起電圧定数Kおよび第2抵抗Rbによりモータ方程式の逆起電圧定数Kおよびモータ抵抗Rmを更新するため、モータ方程式に基づいて算出される推定回転角速度ωmaの推定精度が高くなる。
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記実施形態にて例示した態様に限られるものではなく、これを例えば以下に示すように変更して実施することもできる。また以下の各変形例は、上記実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
なお、本発明の実施態様は上記実施形態にて例示した態様に限られるものではなく、これを例えば以下に示すように変更して実施することもできる。また以下の各変形例は、上記実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
・上記実施形態では、モータ電圧Vmaと対応回転角速度ωmxのデータに基づいて近似式を算出し、近似式の係数k1および定数k2をモータ方程式の「K」と「Rm・Imdef」に一対一で対応付けしているが、次のように対応付けを変形してもよい。例えば、定数k2の所定補正項を加えた値とモータ方程式の「Rm・Imdef」とを対応付けすることができる。
・上記実施形態では、対応回転角速度演算部110において、ステアリングシャフト11の操舵角θsの時間変化に基づいて操舵角速度ωsを算出し、相関式に基づいて操舵角速度ωsからモータ21の回転角速度ωmに相当する対応回転角速度ωmxを算出する。これに対して、対応回転角速度ωmxを次のパラメータを用いて算出してもよい。すなわち、ステアリングシャフト11(駆動体)の操舵角θsに代えて、減速機構22のギアの回転速度、ラック軸13の移動速度等、ステアリング2の回転速度等に基づいて対応回転角速度ωmxを算出する。これらのパラメータは、モータ21の回転角速度ωmと相関関係にあるためである。
・上記実施形態では、モータ方程式の近似式を算出することにより逆起電圧定数Kを算出し、この値により、モータ方程式の逆起電圧定数Kを更新するが、この更新方法に代えて、次の方法により逆起電圧定数Kを更新することも可能である。モータ方程式に測定したモータ電流Ima、モータ電圧Vma、対応回転角速度ωmx、およびモータ抵抗Rmを代入することにより、逆起電圧定数Kを算出し、この値により、逆起電圧定数Kを更新する。
・上記実施形態では、モータ方程式のモータ抵抗Rmの値を、近似式演算部130により算出した近似式の値により更新している。これに対して、抵抗演算部120により算出した第1抵抗Raの値により、モータ方程式のモータ抵抗Rmを更新してもよい。また、次の方法を採用することもできる。すなわち、モータ21の温度とモータ抵抗Rmとの関係を示すマップを用意し、測定したモータ21の温度に基づいてモータ抵抗Rmを推定して、この推定値をモータ方程式のモータ抵抗Rmとしてもよい。
・上記実施形態では、モータ方程式の近似式を算出するとき、モータ電流Imaと基準電流Imdefとの差の絶対値が許容値α以下であるときのモータ電圧Vmaおよび対応回転角速度ωmxを用いている。すなわち、モータ電流Imaが略一定値とすることにより、モータ方程式のパラメータの数を少なくし、モータ方程式をモータ電圧Vmと回転角速度ωmとの関数としている。
これに対して、近似式を求めるときに固定するパラメータを、モータ電流Imに代えて回転角速度ωmとすることもできる。この場合は、モータ方程式の「Vm」は、モータ21の電流「Im」の1次式となる。そして、モータ方程式の近似式を算出するとき、対応回転角速度ωmxと基準回転角速度ωmdefとの差の絶対値が許容値γ以下であるときのモータ電圧Vmaおよびモータ電流Imaを用いる。そして、最小2乗法により、モータ方程式の「Rm」と「K・ωmdef」とを算出する。「ωmdef」すなわち基準回転角速度ωmdefは特定の値であるため、「Rm」と「K」とが算出される。なお、基準回転角速度ωmdefは、対応回転角速度ωmxの初回値に基づいて決定する。
・上記実施形態では、近似式を求めるためのデータの条件(「条件A」)として、「対応回転角速度ωmxが判定値ωk以上にあること」を要件としているが、これを省略することもできる。この場合においても上記(1)の効果を奏する。
・上記実施形態では、EPSアクチュエータ20のモータ21としてブラシ付きモータを備えた電動パワーステアリング装置1に本発明を適用しているが、EPSアクチュエータ20のモータ21としてブラシレスモータを備えた電動パワーステアリング装置1に本発明を適用することもできる。
・上記実施形態では、コラム型の電動パワーステアリング装置1に本発明を適用したが、ピニオン型およびラックアシスト型の電動パワーステアリング装置1に対して本発明を適用することもできる。この場合にも、上記実施形態に準じた構成を採用することにより、同実施形態の効果に準じた効果が得られる。
1…電動パワーステアリング装置、2…ステアリング、3…転舵輪、10…操舵角伝達機構(操舵系)、11…ステアリングシャフト、12…ラックアンドピニオン機構、13…ラック軸、14…タイロッド、20…EPSアクチュエータ、21…モータ、22…減速機構、30…電子制御装置、31…トルクセンサ、32…車速センサ、33…ステアリングセンサ、40…モータ制御装置、41…記憶部、50…駆動回路、51…電圧センサ、52…電流センサ、60…電流指令値演算部、61…基本アシスト演算部、62…トルクシフト演算部、70…フィードバック補正部、80…モータ制御信号出力部、90…回転角速度演算部、100…定数演算部、110…対応回転角速度演算部、120…抵抗演算部、130…近似式演算部、140…比較演算部。
Claims (5)
- モータ方程式に基づいて電動モータの回転角速度を算出する電動パワーステアリング装置において、
前記電動モータの運動状態に基づいて前記モータ方程式の逆起電圧定数を更新する
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記電動モータの運動状態に基づいて前記モータ方程式の近似式を算出し、この近似式に基づいて前記逆起電圧定数を更新する
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 請求項2に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記電動モータのトルクが付与される駆動体の動作に応じて信号を出力するセンサと、同センサの出力信号に基づいて前記電動モータの回転角速度の演算値を算出する演算器とを備え、
前記電動モータの電流の測定値が所定範囲内のとき、前記電動モータの電圧の測定値および前記回転角速度の演算値を記憶し、記憶した前記電圧の測定値の数または前記回転角速度の演算値の数が所定数以上のとき、前記近似式を算出する
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 請求項2または3に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記電動モータのトルクが付与される駆動体の動作に応じて信号を出力するセンサと、同センサの出力信号に基づいて前記電動モータの回転角速度の演算値を算出する演算器とを備え、
前記回転角速度の演算値が判定値以上のとき、前記電動モータの電圧の測定値および前記回転角速度の演算値を記憶し、記憶した前記電圧の測定値の数または前記回転角速度の演算値の数が所定数以上のとき、前記近似式を算出する
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 請求項2〜4のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記モータ方程式に基づいて算出された前記電動モータの抵抗値を第1抵抗値とし、前記近似式の前記電動モータの抵抗値を第2抵抗値として、
前記第1抵抗値と前記第2抵抗値との差の絶対値が基準値以下のとき、前記近似式の逆起電圧定数を前記モータ方程式の逆起電圧定数として設定する第1更新処理、および前記第2抵抗値を前記モータ方程式の抵抗値として設定する第2更新処理の少なくとも一方を行なう
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN106990356A (zh) * | 2016-01-21 | 2017-07-28 | 珠海格力节能环保制冷技术研究中心有限公司 | 一种直线电机反电势系数的测量装置及测量方法 |
US9795943B2 (en) * | 2015-01-28 | 2017-10-24 | Korea Institute Of Geoscience And Mineral Resources | Method of preparing lithium adsorption structure having large surface area |
-
2011
- 2011-06-16 JP JP2011134330A patent/JP2013001241A/ja not_active Withdrawn
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