JP5703691B2 - ハイブリッド車両用駆動装置およびその製造方法 - Google Patents

ハイブリッド車両用駆動装置およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ハイブリッド車両用駆動装置およびその製造方法に関し、より詳細には、モータの回転角度を検出するセンサの取り付け構造に関する。
エンジンおよびモータを備えたハイブリッド車両で、各種方式の駆動装置が提案されている。例えば、エンジンに回転可能に連結される入力軸と、モータのロータに一体的に結合された出力軸と、入力軸と出力軸とを係脱可能に連結するクラッチ装置とを備える駆動装置が知られている。出力軸は、トルクコンバータを介してあるいは直接に変速機に連結され、駆動輪に至るパワートレインが構成されている。この構成により、車両はエンジン単独あるいはモータ単独で走行したり、大きな駆動力が必要なときにエンジンとモータとを併用して走行したり、さらにはモータを発電機として利用しエンジン駆動や車両制動時のエネルギ回生によりバッテリを充電したりすることができる。
上記の構成において、入力軸と出力軸とはクラッチ装置により係脱されるので、互いに独立して回転し得る。したがって、モータのロータおよび出力軸の回転角度や回転速度を検出するために、回転角度センサを使用するのが一般的になっている。回転角度センサとしては電磁誘導則を利用するレゾルバが多用され、レゾルバロータが回転する側の部材に設けられ、レゾルバステータが静止したケース側に設けられる。レゾルバロータおよびレゾルバステータの取り付けでは、検出精度低下の原因となるガタ、特に回転方向のガタをなくすことが重要である。また、レゾルバロータは、回転するとともに加減速による外力を受けるので、安定した取り付け構造とする必要がある。この種のレゾルバの取り付け構造に関する技術の例が特許文献1および特許文献2に開示されている。
特許文献1のブラシレスモータは回転センサを備え、実施形態ではレゾルバ用ロータ部を備えている。そして、レゾルバ用ロータ部に形成された係合溝にロータ軸側の介在部材の係合突起が係合することで、レゾルバ用ロータ部が取り付けられるようになっている。また、レゾルバ用ロータ部は、前述の介在部材と略円筒状のストッパとの間に挟み込まれることで軸線方向への抜け落ちが防止されている。特許文献2のレゾルバロータの固定構造では、レゾルバロータの穴部と穴部の内側の回転軸との間に樹脂を注入固化して、レゾルバロータを固定するようにしている。さらに、レゾルバロータの穴部には内周側に突出した凸形状のロータキーが設けられ、ロータキーは回転軸の凹形状の溝に嵌合している。
特開2004−222488号公報 特開2006−158005号公報
ところで、特許文献1のレゾルバ用ロータ部の係合溝および介在部材の係合突起は両方とも矩形状であり、製作寸法の公差などの理由により、両者を係合させたときのガタを無くすことは困難である。したがって、取り付け調整後にガタの分だけレゾルバ用ロータ部が相対回転してがたつき、角度検出精度が低下するおそれがある。また、レゾルバ用ロータ部は、電磁鋼板を軸線方向に積層して形成するのが一般的であり、経時使用時の熱衝撃などのストレスにより固定力が低下して軸線方向に移動するおそれもある。特許文献2においても、熱衝撃などにより耐久性能が低下して樹脂がクリープすると、レゾルバロータの固定がゆるんでロータキーと溝とのガタ分だけ相対回転するおそれがある。
本発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたもので、簡素で低廉な部材構成および固定方法により回転角度センサのセンサ回転部材が相対回転したり軸線方向に移動したりしないように確実にかつ安定して取り付け、角度検出精度低下のおそれを解消したハイブリッド車両用駆動装置およびその製造方法を提供することを解決すべき課題とする。
上記課題を解決する請求項1に係るハイブリッド車両用駆動装置の発明は、ケースに回転軸線回りに回転可能に軸承され駆動源に連結された入力軸と、前記ケースに前記回転軸線回りに回転可能に軸承された出力軸と、前記出力軸に一体的に連結されたロータおよび前記ケースに固定されたステータを有するモータと、前記入力軸に一体的に連結された、環状をなす入力側回転部材と、前記出力軸に一体的に連結された、環状をなす出力側回転部材と、前記出力側回転部材に同軸に連結されたセンサ回転部材、および前記ケースに前記回転軸線と同軸に固定されて前記センサ回転部材と成す角度を検出する固定部材を有し、前記ロータの回転角度を検出する回転角度センサと、前記センサ回転部材および前記出力側回転部材のうちの一方から半径方向に突設された突起と、前記突起が前記回転軸線方向から係入できるように前記センサ回転部材および前記出力側回転部材のうちの他方に形成された溝と、前記センサ回転部材と前記出力側回転部材との相対回転を規制する規制部と、を備えることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記回転角度センサはレゾルバ、前記センサ回転部材はレゾルバロータ、前記固定部材はレゾルバステータであり、前記レゾルバロータに前記回転軸線と同軸に嵌合穴が形成され、前記出力側回転部材の端面に環状をなす凸部が設けられ、前記凸部が前記嵌合穴に嵌合し、前記レゾルバロータには、前記突起が前記嵌合穴から半径方向内側に突設され、前記凸部には、前記突起が前記回転軸線方向から係入する溝が凹設され、前記規制部は、前記出力側回転部材の端面が前記凸部より前記回転軸線に近い位置において前記突起と前記溝との間の隙間を無くすようにカシメられて形成されることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項2において、前記凸部の頂面が複数箇所カシメられて前記レゾルバロータの前記回転軸線方向の移動が規制されることを特徴とする。
請求項4に係るハイブリッド車両用駆動装置の製造方法の発明は、ケースに回転軸線回りに回転可能に軸承され駆動源に連結された入力軸と、前記ケースに前記回転軸線回りに回転可能に軸承された出力軸と、前記出力軸に一体的に連結されたロータおよび前記ケースに固定されたステータを有するモータと、前記入力軸に一体的に連結された、環状をなす入力側回転部材と、前記出力軸に一体的に連結された、環状をなす出力側回転部材と、前記出力側回転部材に同軸に連結されたセンサ回転部材、および前記ケースに前記回転軸線と同軸に固定されて前記センサ回転部材と成す角度を検出する固定部材を有し、前記ロータの回転角度を検出する回転角度センサと、前記センサ回転部材および前記出力側回転部材のうちの一方から半径方向に突設された突起と、前記突起が前記回転軸線方向から係入できるように前記センサ回転部材および前記出力側回転部材のうちの他方に形成された溝と、を備えたハイブリッド車両用駆動装置において、前記センサ回転部材と前記出力側回転部材との相対回転を規制するように、前記出力側回転部材を前記突起または前記溝の近傍でカシメることを特徴とする。
請求項1に係るハイブリッド車両用駆動装置の発明では、センサ回転部材および出力側回転部材のうちの一方から半径方向に突設された突起が、他方に形成された溝に回転軸線方向から係入し、規制部がセンサ回転部材と出力側回転部材との相対回転を規制する。したがって、請求項1と同様で、センサ回転部材と出力側回転部材との相対回転が規制され、回転角度センサにおける角度検出精度低下のおそれを解消できる。
請求項2に係る発明では、回転角度センサはレゾルバとされ、レゾルバロータに嵌合穴が形成され、出力側回転部材の端面に環状をなす凸部が設けられ、凸部が嵌合穴に嵌合する。さらに、レゾルバロータには、突起が嵌合穴から半径方向内側に突設され、凸部には、突起が回転軸線方向から係入する溝が凹設され、規制部は、出力側回転部材の端面が凸
部より回転軸線に近い位置において突起と溝との間の隙間を無くすようにカシメられて形成される。これにより、規制部は、レゾルバロータと出力側回転部材との相対回転を規制することができる。ここで、突起や溝の形状は簡素であり、カシメ加工も容易であるので、簡素で低廉な部材構成および固定方法によりレゾルバロータが相対回転しないように確実にかつ安定して取り付けることができる。
請求項3に係る発明では、凸部の頂面が複数箇所カシメられてレゾルバロータの回転軸線方向の移動が規制される。したがって、簡素で低廉な部材構成および固定方法により、レゾルバロータが回転軸線方向に移動しないように確実にかつ安定して取り付けることができる。
請求項4に係るハイブリッド車両用駆動装置の製造方法の発明では、センサ回転部材と出力側回転部材との相対回転を規制するように、出力側回転部材を突起または溝の近傍でカシメる工程を有する。本発明は方法としても実施可能であり、作用および効果は請求項1と同様である。
実施形態のハイブリッド車両用駆動装置を含んだハイブリッド車両用パワートレインを模式的に説明する図である。 実施形態のハイブリッド車両用駆動装置の構成を説明する側面断面図であり、回転軸線の上側半分が図示されている。 レゾルバロータをドラム(出力側回転部材)に組み付けたアッセンブリ状態を示す斜視図である。 図3中の突起および溝を含む範囲を拡大した拡大斜視図である。 実施形態のハイブリッド車両用駆動装置の製造方法を模式的に説明する図であり、(1)はカシメ工程実施前の状態、(2)はカシメ工程実施後の状態を示している。 ドラム(出力側回転部材)の凸部の頂面がカシメられて形成された軸線方向保持部を説明する断面図である。
本発明の実施形態のハイブリッド車両用駆動装置1およびその製造方法について、図1〜図6を参考にして説明する。図1は、実施形態のハイブリッド車両用駆動装置1を含んだハイブリッド車両用パワートレインを模式的に説明する図である。図1において、破線の矢印は制御の流れを示している。ハイブリッド車両用パワートレインは、駆動源であるエンジン(ENG)91、ハイブリッド車両用駆動装置1、自動変速機(A/T)92などにより構成されている。ハイブリッド車両用駆動装置1は、入力軸2、モータ3、出力軸4、クラッチ装置5、レゾルバ6、およびケース7などにより構成されている。また、レゾルバ6から検出信号を受け取るとともに、エンジン91、自動変速機92、モータ3、およびクラッチ装置5を制御する電子制御ユニット(ECU)93が設けられている。図1の左側すなわちハイブリッド車両用駆動装置1の入力軸2側が前側であり、図1の右側すなわち出力軸4側が後側となっている。
図1に示されるように、ハイブリッド車両用駆動装置1の入力軸2は、ケース7に回転軸線回りに回転可能に軸承され、かつエンジン91に連結されている。出力軸4は、ケース7に回転軸線回りに回転可能に軸承されている。モータ3は、出力軸4に一体的に連結されたロータ31を内周側に有し、ケース7に固定されたステータ32を外周側に有している。出力軸4はトルクコンバータ94に連結され、トルクコンバータ94は自動変速機92に連結されている。トルクコンバータ94は、図略のロックアップクラッチを有しており、出力軸4からの出力トルクを変換してあるいは直接に自動変速機92に伝達する。自動変速機92の出力軸は、図略の車軸を介して駆動輪に連結されている。クラッチ装置5は、入力軸2に一体的に連結された、環状をなす符号略の入力側回転部材と、出力軸4に一体的に連結された、環状をなす符号略の出力側回転部材を係脱可能に連結している。レゾルバ6は、電磁誘導則を利用してロータ31の回転角度を検出する回転角度センサである。レゾルバ6は、センサ回転部材であるレゾルバロータ61および、固定部材であるレゾルバステータ62を有している。本発明は、前段のエンジン91や後段のトルクコンバータ94および自動変速機92の形式や構造に限定されず実施できる。
図2は、実施形態のハイブリッド車両用駆動装置1の構成を説明する側面断面図であり回転軸線AXの上側半分が図示されている。ケース7は、周壁部71、入力軸2側の前側壁部72、および出力軸4側の後側壁部73で構成されている。周壁部71は、回転軸線AX方向に横向きに配置された略円筒状の部材である。図示されるように、周壁部71の前側には、半径方向外向きに拡がるフランジ部711が形成されている。また、周壁部71の後方寄りの内側から回転軸線AXと直角な半径方向内向きに後側壁部73が一体的に延在している。周壁部71の後側は後側壁部73を超えて後方に延在し、トルクコンバータ94のケース941の一部を構成している。
前側壁部72は、段差を有する略円板状の部材である。前側壁部72の外周寄りには、フランジ部721が形成されている。前側壁部72のフランジ部721と周壁部71のフランジ部711とは、対向する位置に結合穴722、712が形成され、結合ボルトの螺着により結合されている。また、前側壁部72の中心側には貫通孔723が形成され、貫通孔723の内周面と入力軸2との間にボールベアリング724が配設されている。これにより、前側壁部72は、入力軸2を回転軸線AX回りに回転可能に軸承している。さらに、貫通孔723の内周面のボールベアリング724よりも前側と入力軸2との間にオイル封止部725が配設され、油密が確保されている。
一方、後側壁部73の中心側には、回転軸線AX方向に延びる支持座731が設けられ、支持座731の内周面にボールベアリング732が配設されている。これにより、後側壁部73は、後述のドラム41を回転可能に軸承している。また、ボールベアリング732よりも後側の支持座731の内周面と出力軸4との間にオイル封止部733が配設され、油密が確保されている。周壁部71、前側壁部72、および後側壁部73によりケース7の内部空間が区画され、潤滑及び冷却とクラッチ装置5の作動を担うオイルが封入されている。
入力軸2は、エンジン91に連結される軸部21と、軸部21の後端から半径方向外向きに拡がる拡径部22と、拡径部22の外周端で回転軸線AX方向に延びるクラッチ座23とで一体に構成されている。軸部21は、前側壁部72のボールベアリング724によって、ケース7に回転軸線AX回りに回転可能に軸承されている。クラッチ座23は、入力軸2に一体的に連結された、環状をなす入力側回転部材に相当し、クラッチ装置5の一部になっている。
モータ3は、回転軸線AXを中心として概ね回転対称に構成されており、内周側に配置されたロータ31および、円筒状のステータホルダ33の内側に保持されて外周側に配置されたステータ32を有している。ステータホルダ33は、回転軸線AX方向の前端面から半径方向外向きに延在するフランジ部34を有し、フランジ部34は周壁部71のフランジ部711固定されている。これにより、ステータ32はケース7に固定されている。
一方、モータ3のロータ31は、回転軸線AX上に配置されたドラム41に一体的に連結されている。さらに、ドラム41は、回転軸線AX上に配置された出力軸4に一体的に連結されている。つまり、ロータ31およびドラム41は、回転軸線AXを共有して出力軸4に一体的に連結されている。出力軸4は、後側壁部73よりも後側に突出して、トルクコンバータ94に連結されている。ドラム41は回転断面が略S字状の部材であり、内側筒部42、内側拡径部43、中間筒部44、外側拡径部45、および外側筒部46により一体に形成されており、以降に詳述する。
ドラム41の最内周の回転軸線AXに平行する内側筒部42は、内周面421で出力軸4に一体的に連結し、外周面422で後側壁部73側のボールベアリング732に回転可能に軸承されている。内側筒部42の前縁から半径方向外向きに内側拡径部43が延びている。内側拡径部43の前側と入力軸2の拡径部22との間にスラストニードルベアリング431が設けられて、入力軸2とドラム41とが相対回転自在になっている。内側拡径部43の外縁から後側に向けて中間筒部44が延び、中間筒部44の後縁から半径方向外向きに外側拡径部45が延びている。外側拡径部45の外縁から前側に向けて外側筒部46が延び、入力軸2のクラッチ座23の外周側にまで達している。外側筒部46の外周に、モータ3のロータ31が嵌設されている。ロータ31の後側のエンドプレート311は、半径方向内向きに延び、固定ボルト312によって外側拡径部45の後側外周寄りに固定されている。
クラッチ装置5は、ドラム41の中間筒部44、外側拡径部45、および外側筒部46と、入力軸2のクラッチ座23とによって囲まれる領域に構成された多板摩擦クラッチである。詳述すると、入力軸2のクラッチ座23から半径方向外向きに円環状の複数のクラッチプレート51が立設されている。一方、ドラム41の外側筒部46の前寄り内周側にもクラッチ座47が設けられ、クラッチ座47から半径方向内向きに円環状の複数のプレッシャープレート52が配設されている。クラッチプレート51とプレッシャープレート52とは互い違いに配置され、係脱可能となっている。クラッチ座47を有するドラム41は、出力軸に一体的に連結された、環状をなす出力側回転部材に相当する。
また、ドラム41の中間筒部44の前寄り外周側には区画部材441が設けられており、区画部材441、中間筒部44、外側拡径部45、および外側筒部46により、略環状のシリンダ空間53が区画されている。シリンダ空間53内には、符号略のシール材により油密を確保されてオイルにより回転軸線AX方向前後に作動する略環状のピストン部材54が配設されている。ピストン部材54は、外側拡径部45の前側に一端が固定された付勢ばね56により前側に向けて付勢されている。ピストン部材54の外周寄り前側の押圧部55は、オイルが供給されない図2の常態でプレッシャープレート52を押圧しており、ノーマルクローズタイプのクラッチ装置5となっている。つまり、常態で入力軸2とドラム41とが係合し、車両はエンジン91により駆動される。
クラッチ装置5を作動させるために、図略の電動オイルポンプおよび油路が設けられている。電動オイルポンプは、ケース7内のオイルを吸い込み、油路を介してシリンダ空間53に供給する。これにより、ピストン部材54が付勢ばね56に抗して後方に移動し、押圧部55による押圧が解除されて、クラッチ装置5が遮断される。つまり、入力軸2とドラム41との係合が解かれる。
レゾルバ6は、レゾルバロータ61、およびレゾルバステータ62を有している。レゾルバロータ61は、出力側回転部材であるドラム41に同軸に連結されたセンサ回転部材である。また、レゾルバステータ62は、ケース7に回転軸線AXと同軸に固定されてレゾルバロータ61と成す角度を検出する固定部材である。レゾルバロータ61およびレゾルバステータ62はともに略環状の部材であり、レゾルバロータ61の外周側にわずかに離隔してレゾルバステータ62が配置されている。レゾルバステータ62は、後側壁部73の前側の周方向複数箇所に設けられたレゾルバ支持座735に支持されている。レゾルバ支持座735は締結穴を有し、締結穴に螺着される支持ボルト736により、レゾルバステータ62の角度位置が調整されたのち固定されるようになっている。
図3は、レゾルバロータ61をドラム41に組み付けたアッセンブリ状態を示す斜視図である。レゾルバロータ61は、複数枚の環状の電磁鋼板が回転軸線方向に積層されて形成され、回転軸線AXと同軸に嵌合穴612が形成されている。レゾルバロータ61の外周面611は、滑らかな起伏が繰り返す波形の形状(図3の例では10波が繰り返している)とされ、回転角度に依存してレゾルバステータ62との距離が変化することで回転角度が検出されるようになっている。レゾルバロータ61には、矩形の突起613が嵌合穴612の回転方向の1箇所から半径方向内側に向けて突設されている。
一方、図2に示されるように、ドラム41の外側拡径部45の後側内周寄りの端面に、後側に突出するように環状をなす凸部451が設けられている。凸部451の外周面が嵌合外周面452になる。凸部451よりも小径側で軸線AX方向に低い部分が環状基部455である。図3に示されるように、凸部451の回転方向の1箇所には、レゾルバロータ61の突起613が回転軸線AX方向から係入する溝453が凹設されている。溝453は、環状基部455まで延長されている。
図4は、図3中の突起613および溝453を含む範囲を拡大した拡大斜視図である。図3および図4に示されるように、紙面手前側からレゾルバロータ61をドラム41に組み付けると、ドラム41の凸部451の嵌合外周面452がレゾルバロータ61の嵌合穴612に嵌合する。また、レゾルバロータ61の突起613が、回転軸線AX方向からドラム41の溝453に係入する。ここで、図5に示されるカシメ工程を実施する。図5は、実施形態のハイブリッド車両用駆動装置1の製造方法を模式的に説明する図であり、(1)はカシメ工程実施前の状態、(2)はカシメ工程実施後の状態を示している。
図5(1)の矢印Jで示されるように突起613が溝453に係入した状態で、突起613の両側と溝453の溝壁面との間に回転方向の隙間Gが生じている。ここで、図5(2)に矢印Kで示されるように、凸部451より回転軸線AXに近い位置において、環状基部455の溝453の近傍の端面を打突してカシメる。すると、カシメた中央に窪み456が生じるとともに、端面が溝453に向かって突出変形して規制部457が形成される。規制部457は突起613に当接し、前述の隙間Gが無くなる。なお、図5では、環状基部455の両側の端面をカシメているが、隙間Gを確実に無くせるのであれば片側の端面のみをカシメるようにしてもよい。
また、図3に示されるように、凸部451の頂面が複数箇所(図3の例では8箇所)カシメられて複数の軸線方向保持部458a〜458hが形成される。図6は、ドラム41(出力側回転部材)の凸部451の頂面がカシメられて形成された軸線方向保持部458aを説明する断面図である。図示されるように、回転軸線AX方向を向いていた凸部451の頂面が半径方向外向きに折れ曲がるようにカシメられて軸線方向保持部458aが形成される。これにより、軸線方向保持部458aは、レゾルバロータ61の嵌合穴612の内周側からレゾルバロータ61の側面にかけて延在し、レゾルバロータ61の回転軸線AX方向の移動を規制することができる。
次に、上述のように構成された実施形態のハイブリッド車両用駆動装置1の効果について説明する。本実施形態によれば、環状基部455の端面をカシメて形成した規制部457が、突起613と溝453との間の回転方向の隙間Gを無くす。これにより、レゾルバロータ61とドラム41との相対回転が規制され、レゾルバ6おける角度検出精度低下のおそれを解消できる。また、突起613や溝453の形状は簡素であり、環状基部455の端面や環状凸部451の頂面のカシメ加工も容易である。したがって、簡素で低廉な部材構成および固定方法により、レゾルバロータ61が相対回転しないようにかつ回転軸線AX方向に移動しないように、確実にかつ安定して取り付けることができる。
なお、本実施形態とは逆に、ドラム41から半径方向外側に向けて突起を突設し、レゾルバロータ61に溝を凹設して、突起と溝との間に規制部を備えるようにしてもよい。また、本実施形態では、回転角度センサとしてレゾルバ6を例示したが、別のセンサを適用することもできる。さらに、内周側にロータ31を配置したモータ3を例示し、出力側回転部材として断面が略S字状のドラム41を例示したが、これらの構造も限定されない。その他、本発明は様々な応用、変形が可能である。
1:ハイブリッド車両用駆動装置
2:入力軸 21:軸部 22:拡径部 23:クラッチ座(入力側回転部材)
3:モータ 31:ロータ 32:ステータ
4:出力軸
41:ドラム(出力側回転部材)
45:外側拡径部 451:環状凸部 452:嵌合外周面(嵌合部)
453:溝 455:環状基部 456:窪み 457:規制部
458a〜458h:軸線方向保持部
5:クラッチ装置
6:レゾルバ(回転角度センサ)
61:レゾルバロータ(センサ回転部材) 611:外周面
612:嵌合穴 613:突起 62:レゾルバステータ(固定部材)
7:ケース
91:エンジン(駆動源) 92:自動変速機 93:電子制御ユニット
94:トルクコンバータ

Claims (4)

  1. ケースに回転軸線回りに回転可能に軸承され駆動源に連結された入力軸と、
    前記ケースに前記回転軸線回りに回転可能に軸承された出力軸と、
    前記出力軸に一体的に連結されたロータおよび前記ケースに固定されたステータを有するモータと、
    前記入力軸に一体的に連結された、環状をなす入力側回転部材と、
    前記出力軸に一体的に連結された、環状をなす出力側回転部材と、
    前記出力側回転部材に同軸に連結されたセンサ回転部材、および前記ケースに前記回転軸線と同軸に固定されて前記センサ回転部材と成す角度を検出する固定部材を有し、前記ロータの回転角度を検出する回転角度センサと、
    前記センサ回転部材および前記出力側回転部材のうちの一方から半径方向に突設された突起と、
    前記突起が前記回転軸線方向から係入できるように前記センサ回転部材および前記出力側回転部材のうちの他方に形成された溝と、
    前記センサ回転部材と前記出力側回転部材との相対回転を規制する規制部と、
    を備えることを特徴とするハイブリッド車両用駆動装置。
  2. 請求項1において、
    前記回転角度センサはレゾルバ、前記センサ回転部材はレゾルバロータ、前記固定部材はレゾルバステータであり、
    前記レゾルバロータに前記回転軸線と同軸に嵌合穴が形成され、前記出力側回転部材の端面に環状をなす凸部が設けられ、前記凸部が前記嵌合穴に嵌合し、
    前記レゾルバロータには、前記突起が前記嵌合穴から半径方向内側に突設され、
    前記凸部には、前記突起が前記回転軸線方向から係入する溝が凹設され、
    前記規制部は、前記出力側回転部材の端面が前記凸部より前記回転軸線に近い位置において前記突起と前記溝との間の隙間を無くすようにカシメられて形成されることを特徴とするハイブリッド車両用駆動装置。
  3. 請求項2において、
    前記凸部の頂面が複数箇所カシメられて前記レゾルバロータの前記回転軸線方向の移動が規制されることを特徴とするハイブリッド車両用駆動装置。
  4. ケースに回転軸線回りに回転可能に軸承され駆動源に連結された入力軸と、
    前記ケースに前記回転軸線回りに回転可能に軸承された出力軸と、
    前記出力軸に一体的に連結されたロータおよび前記ケースに固定されたステータを有するモータと、
    前記入力軸に一体的に連結された、環状をなす入力側回転部材と、
    前記出力軸に一体的に連結された、環状をなす出力側回転部材と、
    前記出力側回転部材に同軸に連結されたセンサ回転部材、および前記ケースに前記回転軸線と同軸に固定されて前記センサ回転部材と成す角度を検出する固定部材を有し、前記ロータの回転角度を検出する回転角度センサと、
    前記センサ回転部材および前記出力側回転部材のうちの一方から半径方向に突設された突起と、
    前記突起が前記回転軸線方向から係入できるように前記センサ回転部材および前記出力側回転部材のうちの他方に形成された溝と、を備えたハイブリッド車両用駆動装置において、
    前記センサ回転部材と前記出力側回転部材との相対回転を規制するように、前記出力側回転部材を前記突起または前記溝の近傍でカシメることを特徴とするハイブリッド車両用駆動装置の製造方法。
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