JP4168774B2 - 回転センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気を用いた回転センサに関し、特にトランスファーケース及び伝動装置すなわちトランスミッションのような自動車の駆動ラインの構成要素にて使用されるシフト制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
マグネットを結合する技術は特開平5−336687号公報にて知られている。そして本公報にはマグネットを結合する場合、接着剤により接着する方法が記載されている。
【0003】
他に特開昭55−43913号公報にて知られている。そして本公報にはマグネットを結合する場合、非磁性金属材料よりなる結合部材で、磁極片を直接塑性結合する方法が記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭55−43913号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報によれば、マグネットを接着剤によって接着する際、接着剤の量の管理のことは記載されているが、接着剤を硬化させる工程が増えること、ヒートサイクル時の膨張収縮や振動によりマグネットが脱落する問題に関しては、なんら考慮されていない。
【0006】
また、上記公報によれば、非磁性金属材料よりなる結合部材で、マグネットを直接塑性結合することは記載されているが、塑性結合で発生する応力によるマグネットの割れ等の問題に関しては、なんら考慮されていない。
【0007】
本発明の目的は、ヒートサイクル時の信頼性を確保し、低コストで高精度に脆性部材であるマグネットを結合する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の一つは、回転駆動される出力シャフトと、該出力シャフトの軸方向の一端に固着された非磁性金属からなるマグネットホルダと、該マグネットホルダの軸方向の一端に固着された磁極片とを備えた回転位置センサにおいて、
前記磁極片はヨーク部とマグネット部が重ねて構成されてなり、該ヨーク部はマグネットホルダに予め形成してある嵌合穴に嵌合され、嵌合穴周囲の材料の塑性変形圧により保持されていることを特徴とした回転センサにより達成される。
【0009】
本発明の好ましくは、マグネット部はSmFeN系のボンド磁石であり、ヨーク部はフェライトであることを特徴とした回転センサにより達成される。
【0010】
本発明の好ましくは、ヨーク部材はマグネット部との境界部に結合溝を有し、塑性変形された嵌合穴周囲の材料を受け入れていることを特徴とした回転センサにより達成される。
【0011】
本発明の好ましくは、磁極片はマグネット部よりヨーク部を幅広にし、面取りをした段差を有する形状で、塑性変形された嵌合穴周囲の材料の塑性変形圧が段差部にかかることを特徴とした回転センサにより達成される。
【0012】
本発明の一つは、回転駆動される出力シャフトと、該出力シャフトの軸方向の一端に固着された非磁性金属からなるマグネットホルダと、該マグネットホルダの軸方向の一端に固着された磁極片とを備えた回転センサにおいて、前記出力シャフトは中央部に環状の嵌合穴を有し、該嵌合穴の内周面もしくは嵌合されるマグネット外周面に環状の結合溝が形成され、嵌合するいずれか一方の部材の材料が前記結合溝に流動され、塑性変形圧により結合されていることを特徴とした回転センサにより達成される。
【0013】
本発明の好ましくは、嵌合穴の環状の結合溝に直交する結合溝を有し、マグネットホルダの材料が前記結合溝に流動され、塑性変形圧により結合されていることを特徴とした回転センサにより達成される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を、図を用いて説明する。
【0015】
図1は、4輪駆動車の駆動トレーンを示す説明図である。
【0016】
4輪駆動車の駆動トレーン1は、伝動装置すなわちトランスミッション2に接続され、且つ該伝動装置を直結駆動する電動機3を有している。伝動装置2は、オートマチック型又はマニュアル型のいずれかとすることができる。伝動装置2の出力は、トランスファーケース組立体4を直結駆動し、該トランスファーケース組立体4は、主すなわち後推進軸5と、主すなわち後差動装置6と、一対の主活車軸すなわち後車輪7と、それぞれ一対の主すなわち後タイア及び車輪の組立体8とを備える主すなわち後駆動ライン9に対して駆動力を提供する。また、トランスファーケース組立体4は、二次的すなわち前推進軸10と、二次的すなわち前差動装置組立体11と、一対の二次的活車軸すなわち前車軸12と、それぞれの一対の二次的すなわち前タイア及び車輪の組立体13とを備える、二次的すなわち前駆動ライン14に対し駆動力を選択的に提供する。前タイア及び車輪の組立体13は、対の前車輪軸12のそれぞれの一つに直接接続されることが好ましい。これと代替的に、一対の手動又は遠隔的に、作動可能な係止ハブ15を対の前車軸12とタイア及び車輪の組立体13のそれぞれ一つとの間に作用可能に配置し、これらを選択的に接続させるようにしてもよい。主駆動ライン9及び二次的駆動ライン14の双方は、適当な且つ適宜に配置された自在継手16を備えることができる。該自在継手16は、色々な軸と構成要素との間の静的及び動的なずれ及び不整合を許容する。
【0017】
車の運転者の手が容易に届く範囲内に運転者の制御盤又は組立体17が配置される。該組立体17は、トランスファーケース組立体4の複数の運転モードの一つを選択するスイッチ18を有している。
【0018】
トランスファーケース組立体4の制御をになう機電一体型コントローラをシフトコントローラ19と呼ぶ。シフトコントローラ19はトランスファーケース組立体4に付設されている。シフトコントローラ19はざぐり穴が開けられた出力軸を有し、この出力軸を介して、トランスファーケース組立体4のシフトレールと接続されている。シフトコントローラ19はモード切換スイッチ18の出力信号やエンジン制御ユニットからの車速情報・エンジン回転数情報・スロットルポジション情報を入力とし、該出力軸を目標回転角度に追従させる機能をもつ。
【0019】
図2は機電一体型シフトコントローラ19の断面図である。図2において駆動力を発生するモータ組立体20はウォームギア21を有し、ウォームギア21はギアケース22に収納されている。ウォームギア21の材料としては鉄,アルミ,樹脂等が考えられるが本発明では最も強度が高い鉄材を採用している。ホイールギア23はウォームギア21と噛み合う様配置されている。ホイールギア23の上面にはマグネットホルダ24がメタルフローにより結合されている。
【0020】
マグネットホルダ24には磁極片25がかしめにより接合されている。この磁極片25,マグネットホルダ24と出力シャフト34はすべて同期して回転する様に接合されている。
【0021】
本実施例に係わる磁極片25,マグネットホルダ24,ホイールギア23の結合方法を図3,図4を用いて説明する。図3のように磁極片25のヨーク部27の長手方向側面に、上面と水平方向の溝28が設けてある。マグネットホルダ
24の上面に、磁極片25の嵌合穴29が設けてある。ホイールギア23の上面に、マグネットホルダ24の嵌合穴30が設けてある。嵌合穴30の側面には、ホイールギア23上面に対して水平方向の溝31と、ホイールギア23上面に対して垂直方向の溝32が設けてある。また、ホイールギア23の上面には、マグネットホルダ24の嵌合穴30の外周に溝33が設けてある。
【0022】
マグネットホルダ24とホイールギア23の結合は、メタルフローを用いている。マグネットホルダ24には、塑性加工性を考慮しAlのO材が好ましい。具体的には、上記ホイールギア23の嵌合穴30にマグネットホルダ24を挿入した状態で、マグネットホルダ24挿入部の縁部上面24aを、(マグネットホルダ24)材料を塑性変形させる荷重で、マグネットホルダ24の上面から下面方向に押圧する。それにより、マグネットホルダ24材料がホイールギア23の水平方向の溝31に流れ込み、マグネットホルダ24の上下方向への移動を防止(マグネットホルダ24を固定)する。また、ホイールギア23の垂直方向の溝32にもマグネットホルダ24材料が流れ込むことより、マグネットホルダ24の(ホイールギア23上での)回転を防止する。パンチ前の溝部断面を図4(i)、パンチ後(材料が流れ込んだ状態)の溝部断面を図4(ii)に示す。パンチ時、流れ込んだマグネットホルダ24の(ホイールギア23外周方向への)力によりホイールギア23外径の変形を防止するために溝33が設けてある。ここで、ホイールギア23上面に対して平行と垂直方向の溝31,溝32は一つ又は一つ以上必要であり、溝の形状は、ローレットなどの網目の形状でも良い。溝の深さは、マグネットホルダ24の結合部(流れ込み部)の熱収縮量とホイールギア23の熱収縮量の差以上にする。これにより、熱収縮時に溝31,溝32への引っかかりシロがなくなることはなく、上下方向と回転方向に動いてしまうこと(マグネットホルダ24脱落)を防止する。
【0023】
さらに、磁極片25とマグネットホルダ24との結合は、かしめを用いている。本実施例の磁極片25は圧縮成形により成形されているため、非常に脆い材料となっている。そのため、マグネット部26に直接かしめを行うとマグネット部26が破損する問題があった。そこで図3に示すように、マグネット部26とフェライトのヨーク部27に分け、ヨーク部27をかしめることによってマグネット部26の破損を防止した。ヨーク部27はマグネット部26と比較し、圧環強度は約10%高い値を示す。具体的には、上記マグネットホルダ24の嵌合穴29にヨーク部27を挿入した状態で、マグネットホルダ24上面の24a部を、(マグネットホルダ24)材料が塑性形する圧力で磁極片25の上面から下面方向にマグネットホルダ24を押圧する。それにより、マグネットホルダ24材料がヨーク部27側面の溝28に流れ込み、かしめられることにより上下方向への移動を防止(磁極片25を固定)する。次にマグネットホルダ24上面の24b部を、(マグネットホルダ24)材料が塑性形する圧力で磁極片25の上面から下面方向にマグネットホルダ24を押圧する。それにより、マグネットホルダ24の横手方向側面とヨーク部27との隙間に流れ込み、磁極片25の横手方向への移動を防止する。ここで、溝28の深さは、マグネットホルダ24の流れ込み部の熱収縮量とヨーク部27の熱収縮量の差以上にする。これにより、熱収縮時に溝28への引っかかりシロがなくなることはなく、上下方向に動いてしまうこと(磁極片25脱落)を防止する。パンチ前の溝28部断面を図5(i)、パンチ後の溝28部断面を図5(ii)に示す。
【0024】
上記のような実施例では、磁極片25は溝を設けた四角柱であるが、これに限定されず、例えば図6に示すように段差部を有する四角柱にすることにより、溝加工を省略しても磁極片25の脱落を防止することができる。パンチ前の段差部断面を図7(i)、パンチ後の段差部断面を図7(ii)に示す。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、ヒートサイクル時の信頼性を確保し、低コストで高精度に脆性部材である磁極片を結合する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における4輪駆動車の駆動トレーンを示す説明図。
【図2】上記実施例に用いるシフト制御装置の断面図。
【図3】上記シフト制御装置に用いる回転センサの分解斜視図。
【図4】上記回転センサのマグネットホルダとホイールギアの塑性結合部断面図。
【図5】上記回転センサの磁極片とマグネットホルダの塑性結合部断面図。
【図6】第2実施例のシフト制御装置に用いる回転センサの分解斜視図。
【図7】上記実施例の回転センサの磁極片とマグネットホルダの塑性結合部断面図。
【符号の説明】
24…マグネットホルダ、25…磁極片、26…マグネット部、27…ヨーク部、34…出力シャフト。

Claims (6)

  1. 回転駆動される回転シャフトと、該回転シャフトの軸方向の一端に固着された非磁性金属からなるマグネットホルダと、該マグネットホルダの軸方向の一端に固着された磁極片とを備えた回転位置センサにおいて、
    前記磁極片はヨーク部とマグネット部が重ねて構成されてなり、該ヨーク部はマグネットホルダに予め形成してある嵌合穴に嵌合され、嵌合穴周囲の材料の塑性変形圧により保持されていることを特徴とした回転センサ。
  2. 請求項1記載において、マグネット部はSmFeN系のボンド磁石であり、ヨーク部はフェライトであることを特徴とした回転センサ。
  3. 請求項1記載において、ヨーク部材はマグネット部との境界部に結合溝を有し、塑性変形された嵌合穴周囲の材料を受け入れていることを特徴とした回転センサ。
  4. 請求項1記載において、磁極片はマグネット部よりヨーク部を幅広にし、面取りをした段差を有する形状で、塑性変形された嵌合穴周囲の材料の塑性変形圧が段差部にかかることを特徴とした回転センサ。
  5. 回転駆動される回転シャフトと、該回転シャフトの軸方向の一端に固着された非磁性金属からなるマグネットホルダと、該マグネットホルダの軸方向の一端に固着された磁極片とを備えた回転センサにおいて、前記回転シャフトは中央部に環状の嵌合穴を有し、該嵌合穴の内周面もしくは嵌合されるマグネットホルダ外周面に環状の結合溝が形成され、嵌合するいずれか一方の部材の材料が前記結合溝に流動され、塑性変形圧により結合されていることを特徴とした回転センサ。
  6. 請求項5記載において、嵌合穴の環状の結合溝に直交する結合溝を有し、マグネットホルダの材料が前記結合溝に流動され、塑性変形圧により結合されていることを特徴とした回転センサ。
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