本発明の一実施形態に係るパチンコ機について図1〜図17を用いて説明する。なお、以下の説明において、パチンコ機の左右方向は遊技者にとっての左右方向に一致させて説明する。
図1に示すように、第1実施形態に係るパチンコ機は、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、この機枠1に開き戸状に開閉自在に取り付けられた本体枠2と、本体枠2の前面に開き戸状に開閉自在に取り付けられ、ガラス窓3aが開き戸状に開閉自在に設けられたガラス扉3(図2参照)と、本体枠2の下部に開き戸状に開閉自在に取り付けられ、遊技球を収容する受皿5を有する前面ボード4と、この前面ボード4から前方に突出して取り付けられたハンドル6とを備える。ガラス扉4の左上部と右上部とにはスピーカ50が取り付けられている。
図2に示すように、本体枠2の内側には遊技盤20が収容されている。この遊技盤20の前面には遊技領域21が形成されている。この遊技領域21は遊技球を滑走させるガイドレール22と遊技球規制レール23とによって略円形に区画形成されている。図2において遊技領域21内の構成の図示は省略した。
遊技領域21の構成の概略を図4を用いて説明する。遊技領域21内には、セグメント表示器から成り特別図柄を表示する特別図柄表示装置30と、遊技領域21の略中央に設けられてパチンコ遊技を演出する画面を表示する演出表示装置40の表示窓40aと、大入賞口61を開閉体62により開閉させて遊技球を受け入れたり拒否したりする可動入賞装置60(詳細は後述する)と、特別図柄に係る電子抽選の契機を生じさせるための始動口24と、アウト口25とが設けられている。このように構成された遊技領域21は、ガラス扉3のガラス窓3aを通じて見ることができるようになっている。なお、遊技領域21内には、遊技球の挙動に規則性を生じさせる遊技釘および風車、一般入賞口が設けられているが、それらの図示は省略した。
図2に示す遊技盤20の下方には、打撃槌(図示してない)により遊技球を打撃して発射する発射装置10(図10にブロックで示す)が設けられていて、前面ボード4に覆われている。その発射装置10には受皿5から遊技球が1個ずつ供給されるようになっている。発射装置10に遊技球が供給された状態でハンドル6(図1,図2に示す)が回動されると、発射装置10はハンドル6の回動量に応じた発射強度で遊技球をガイドレール22に向かって打ち出し、その遊技球はガイドレール22を通じて遊技領域21に導かれるようになっている。
始動口24に遊技球が入賞としたこと契機に特別図柄に係る電子抽選が行われ、その電子抽選の結果に相応する特別図柄が特別図柄表示装置30に、変動した後に停止するという態様で表示されるようになっている。特別図柄が変動を停止して所定時間(例えば0.5秒)が経過した時点で、特別図柄の停止が確定する。停止が確定した特別図柄、すなわち停止図柄は、特別図柄に係る電子抽選の当りまたはハズレと対応関係にある。第1実施形態においては、特別図柄に係る電子抽選の当りの当選確率が100%に設定されているが、その当選確率は100%未満でもよい。
演出表示装置40の表示窓40aは遊技盤3の略中央部に設けられていて、この表示窓40aの後方に演出表示装置40が設けられている。この演出表示装置40は動画の表示が可能な表示装置であり、液晶表示装置から成る。この演出表示装置40には、パチンコ遊技の演出の1つとして、特別図柄に係る電子抽選を演出するダミー図柄を含む動画が表示されるようになっている。
演出表示装置40の表示窓40aは遊技領域21の略中央に大きく設けられているのに対し、特別図柄表示装置30は遊技領域21の左下部に演出表示装置40から離れて、演出表示装置40よりも小さく設けられている。この演出表示装置40と特別図柄表示装置30位置関係は、演出表示装置40に表示された画面を見ている遊技者の視界に特別図柄が入らないことが意図されて設定されている。つまり、特別図柄よりもダミー図柄を含む動画を遊技者に見せて、遊技者を楽しませるようになっている。
可動入賞装置60の構成の詳細について図4〜図8を用いて説明する。
図4,図5に示すように、可動入賞装置60は、演出表示装置40の表示窓40aの左側方に遊技球が通過可能に設けられた大入賞口61と、大入賞口61を開閉する開閉体62(いわゆる羽根)と、表示窓40aの右斜め下方に設けられた振分体70と、大入賞口61を入口として振分体70まで延びた遊技球の通路であって振分体70に向かって遊技球を排出する出口65を有する透明なパイプ状の導入路64とを備える。
開閉体62は遊技盤20の前面に直交する軸を中心に矢印S1方向に回動可能な部材である。開閉体62は大入賞口61を開放した状態において、大入賞口61の下方から左方向に延びた姿勢をなし、これにより遊技球を大入賞口61に導き入れるようになっている。開閉体62を駆動する開閉体駆動手段はソレノイド63(図10にブロックで示す)である。
振分体70は、遊技盤20に対して軸部材81を中心に回転可能に設けられた円板状の回転体である本体71と、この本体71の回転中心(軸部材81の軸心)側から本体71の外縁部まで延びて設けられた7個の透明な第2球受入部72A〜72Gと、これらの第2球受入部72A〜72Gよりも本体71の回転中心側から本体71の外縁部まで延びて設けられた1個の透明な第1球受入部75とを備える。第2球受入部72A〜72Gのそれぞれは、本体71の外縁部に位置して開口する入口73A〜73Gのそれぞれを有し、第1球受入部75も本体71の外縁部に位置して開口する入口76を有する。入口73A〜73G,76は本体71の周方向に等間隔に並んで位置する。入口73A,73B間、入口73B,73C間、入口73C,73D間、入口73D,73E間、入口73E,73F間、入口73F,73G間、入口73G,76間、入口76,73A間のそれぞれには、本体71の回転中心と同心の円弧状に形成された壁78A〜78Hのそれぞれが設けられている。振分体70は、時計回り(矢印M方向)に一定速度で回転するよう制御される。導入路64の下り傾斜は振分体70に受け入れられる際の遊技球の挙動が、次の図6(a)〜(c),図7(a)〜(c)に示すようになるよう設定されている。
図6(a)に示すように、第1球受入部75の入口76の進行方向(矢印M方向)の前側に位置する壁78Hの外周面が、その1/3以上の範囲で導入路64の出口65に臨んだ状態において、導入路64の出口65から振分体70に向かって排出された遊技球Yは、その壁78Hに受け止められる。その後、振分体70の回転が進行し、図6(b)に示すように第1球受入部75の入口76が導入路64の出口65に臨むと、遊技球Yは壁78Hから解放され、第1球受入部75内に転がり込む。
さらに振分体70の回転が進行し、図6(c)に示すように、第1球受入部75の入口76の進行方向(矢印M方向)の後側に位置する壁78Gの外周面が、その1/3未満の範囲で導入路64の出口65に臨んだ状態において、導入路64の出口65から振分体70に向かって排出された遊技球Yは、乗り越えて第1球受入部75に転がり込む。
一方、図7(a)に示すように、壁78Gの外周面が、その1/3以上の範囲で導入路64の出口65に臨んだ状態において、導入路64の出口65から振分体70に向かって排出された遊技球Yは、その壁78Gに受け止められる。その後、振分体70の回転が進行し、図7(b)に示すように第2球受入部72Gの入口73Gが導入路64の出口65に臨むと、遊技球Yは壁78Gから解放され、第2球受入部72G内に転がり込む。このことは壁78A〜78Fのそれぞれと第2球受入部72A〜72Fのそれぞれとの関係においても同様である。
また、図7(c)に示すように、壁78Fの外周面が、その1/3未満の範囲で導入路64の出口65に臨んだ状態において、導入路64の出口65から振分体70に向かって排出された遊技球Yは、壁78Fを乗り越えて第2球受入部72G内に転がり込む。このことは壁78A〜78Fのそれぞれと第2球受入部72A〜78Fのそれぞれとの関係においても同様である。
前述のように振分体70は時計回りに一定速度で回転するよう制御されるので、図6(c)の姿勢を経てから、図7(d)に示す姿勢、すなわち、壁78Hの外周面が、その1/3未満の範囲で導入路64の出口65に臨んだ状態を経るまでの間は、振分体70は遊技球を第1球受入部75に受け入れることはない。
図8(b)に示すように、振分体70の後方には、基台80が重なって位置する。この基台80は遊技盤20に対して固定されている。この基台80に対し振分体70は軸部材81によって回転可能に取り付けられていることによって遊技盤20に対して回転可能となっている。基台80には、遊技球が通過可能な開口部から成る特別領域82と一般領域83とが設けられている。第1球受入部75の出口77は、振分体70の本体71を貫通した孔から成る。図8(a)に示すように第1球受入部75の入口76が導入路64の出口65に臨んだ状態において、第1球受入部75の出口77は、図8(b)に示すように特別領域82と遊技球Yが通過可能に連通するようになっている。図8(c)に示す特別領域82の前面視形状を見て分かるように、特別領域82は、振分体70の回転中心(軸部材81の軸心)と同心の円弧状に延びた長孔に形成されている。これにより、振分体70の姿勢が図6(b)に示す姿勢から図6(c)に示す姿勢に変化するまでの間、第1球受入部75に入った遊技球Yが特別領域82を通過するようになっている。振分体70の姿勢が図6(b)に示す姿勢のときに第1球受入部75の出口77は図8(c)に2点鎖線で示すP1に位置し、振分体70の姿勢が図6(c)に示す姿勢のときに第1球受入部75の出口77は図8(c)に2点鎖線で示すP2に位置する。
図9(b)に示すように、第2球受入部72A〜72Gのそれぞれの出口74A〜74Gは、本体71を貫通する孔から成る。これらの出口74A〜74Gは、本体71の径方向において第1球受入部75の出口77よりも本体71の回転中心(軸部材81の軸心)から離れて位置する。基台80には一般領域83が設けられている。この一般領域83は、特別領域82よりも本体71の回転中心から離れて位置する。図9(a)に示すように第2球受入部72Gの入口73Gが導入路64の出口65に臨んだ状態において、第2球受入部72Gの出口74Gは図9(b)に示すように一般領域83と遊技球Yが通過可能に連通するようになっている。図9(c)に示す一般領域83の前面視形状を見て分かるように、一般領域83は、振分体70の回転中心(軸部材81の軸心)と同心の円弧状に延びた長孔に形成されている。これにより、振分体70の姿勢が図7(b)に示す姿勢から図7(c)に示す姿勢に変化するまでの間、第2球受入部72Gに入った遊技球Yが一般領域83を通過するようになっている。振分体70の姿勢が図7(b)に示す姿勢のときに第2球受入部72Gの出口74Gは図9(c)に2点鎖線で示すP3に位置し、振分体70の姿勢が図7(c)に示す姿勢のときに第2球受入部72Gの出口74Gは図9(c)に2点鎖線で示すP4に位置する。第2球受入部72G以外の第2球受入部72A〜72Fのそれぞれの出口74A〜74Fと一般領域83との位置関係も、第2球受入部72Gの出口74Gと一般領域83との位置関係と同じである。
図4〜図9を用いた振分体70の説明から分かるように、振分体70は図6(a)に示す姿勢から図6(c)に示す姿勢に変化するまでの間、導入路64から排出された遊技球Yを第1球受入部75から受け入れ、その遊技球を特別領域82に導く。第1実施形態に係るパチンコ機は、特別領域82を遊技球Yが通過した場合、開閉体62により大入賞口61が所定のラウンド数だけ開放される大当り遊技を遊技者に提供するようになっていて、この大当り遊技は遊技者にとって多くの賞球を獲得できる遊技である。一方、振分体70は図7(a)に示す姿勢から図7(d)に示す姿勢に変化するまでの間、導入路64から排出された遊技球Yを第2球受入部72から受け入れ、その遊技球を一般領域83に導く。一般領域83を遊技球Yが通過してもパチンコ機の遊技状態は変化しない。つまり、図6(a)に示す姿勢から図6(c)に示す姿勢に変化するまでの間における振分体70の全ての姿勢は、遊技者にとって大当り遊技を獲得できるという点で有利な姿勢であり、図7(a)に示す姿勢から図7(d)に示す姿勢に変化するまでの間における振分体70の全ては、遊技者にとって大当り遊技を獲得できない姿勢という点で、不利な姿勢である。以下では、図6(a)に示す姿勢から図6(c)に示す姿勢に変化するまでの間における振分体70の全ての姿勢を有利姿勢といい、これ以外の姿勢、すなわち、図7(a)に示す姿勢から図7(d)に示す姿勢に変化するまでの間における振分体70の全ての姿勢を不利姿勢という。
図8(b)に示すように、振分体70の本体71の外周面には、その全周に亘って平歯車84が形成されている。この平歯車84には、平歯車85が噛み合っていて、この平歯車85はモータ86の出力軸に固着されている。つまり、振分体70の本体71の歯車84と、平歯車85と、モータ86とから振分体70を駆動する振分体駆動手段が構成されている。
図3に示すように、パチンコ機の背面側には、主制御処理部100と、副制御処理部である演出制御処理部200、特別図柄制御処理部300、および払出制御処理部600とが、遊技盤3の裏面等に支持部材等を介して設けられている。発射制御処理部700もパチンコ機の背面側に設けられている。これら主制御処理部100、演出制御処理部200、特別図柄制御処理部300、払出制御処理部600および発射制御処理部700はいずれも、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、CPUにより行われる情報処理作業の記憶領域としてのRAM(Random Access Memory)等を備えたものであり、これらの制御処理部がパチンコ機を制御するための種々の処理を行うようになっている。
始動口24、大入賞口61、一般入賞口(図示してない)、特別領域82のそれぞれには、図10に示すように、始動口検知センサ91、大入賞口検知センサ92、一般入賞口検知センサ93、特別領域検知センサ94のそれぞれが設けられている。また、特別領域82と一般領域83のそれぞれからは可動入賞装置60の外部に遊技球を排出するための遊技球の排出管路(図示してない)が延びて、これらの排出管路は合流している。合流箇所よりも下流側の排出通路の出口には排出球検知センサ95が設けられている。始動口検知センサ91、大入賞口検知センサ92、一般入賞口検知センサ93、特別領域検知センサ94および排出球検知センサ95は、遊技球の通過を検知する磁気センサであって、遊技球を検知したときに球検知信号(電気信号)を出力するようになっている。また、可動入賞装置60には、振分体70が予め設定された初期姿勢(図5に示す姿勢)となったことを検知して、姿勢検知信号(電気信号)を出力する初期姿勢検知センサ96(フォトカプラ)が設けられている。始動口検知センサ91、大入賞口検知センサ92、一般入賞口検知センサ93、特別領域検知センサ94および排出球検知センサ95から出力された球検知信号と、初期姿勢検知センサ96から出力された姿勢検知信号とは、主制御処理部100に入力されるようになっている。
副制御処理部の1つである払出制御処理部600は、CRユニット603からの信号に基づき遊技球が遊技者に貸し出されるよう賞球払出装置601を制御する他、主制御処理部100からの払出コマンドに基づき賞球払出装置601を制御し、賞球を受皿5に払い出させるものである。賞球払出装置601は、遊技球を1個ずつ保持する切欠きが形成されたスプロケット(図示してない)と、このスプロケットを回転させるモータ(図示してない)とを備え、そのモータの回転を制御することにより、必要な数だけ賞球を払い出すことができるようになっている。具体的には、始動口24、大入賞口61、一般入賞口のそれぞれに遊技球が入賞すると、すなわち、始動口検知センサ91、大入賞口検知センサ92、一般入賞口検知センサ93のそれぞれにより遊技球の入賞が検知されると、その入賞が検知された入賞口に予め対応付けられた払出コマンドが主制御処理部100から賞球払出装置601に送られ、賞球払出装置601はその払出コマンドに予め対応付けられた個数の遊技球を払い出すようになっている。なお、大入賞口61に遊技球が入賞した場合には、始動口24および一般入賞口に遊技球が入賞した場合よりも多くの賞球が払い出されるようになっている。
発射制御処理部700は、ハンドル6の回動量に応じて発射装置10を制御するものである。具体的には、打撃槌を駆動するソレノイドに対し、ハンドル6の回転量に応じた電流を供給したり、そのソレノイドへの電流の供給を停止したりする制御を行う。この発射制御処理部700は払出制御処理部600と接続されていて、この払出制御処理部600がCRユニット603と接続されていない場合に、払出制御処理部600から発射制御処理部700に発射停止信号が送信されて、発射制御処理部700が発射装置10からの遊技球の発射を停止するようになっている。
主制御処理部100は、制御プログラムにより設定された手段として、当否抽選手段110を備える。この当否抽選手段110は、始動口24に遊技球が入賞したことを契機に、言い換えると始動口検知センサ91が遊技球を検知したタイミングで、さらに言い換えると始動口検知センサ91からの球検知信号が主制御処理部100に入力されたタイミングで、特別図柄に係る当否を電子抽選により決定するものである。具体的には、当否抽選手段110は、周期的(例えば2ミリ秒毎)に入力される割り込み信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数である当否用乱数を生成する当否用乱数発生手段111と、始動口検知センサ91からの球検知信号が主制御処理部100に入力されたタイミングで、当否用乱数発生手段111により発生された当否用乱数のうちの1個を取得(ラッチ)する当否用乱数取得手段112と、この当否用乱数取得手段112により取得された当否用乱数の当否を、主制御処理部100のROMに予め記憶された当否テーブル(図示してない)を参照して判定する当否判定手段113と、特別図柄に係る当否用乱数の当否の判定が禁止された所定の禁止期間(後述)において当否用乱数取得手段112により当否用乱数が取得された場合に、その当否用乱数を保留球乱数として所定の上限個数まで主制御処理部100のRAMに記憶させる保留球乱数記憶手段114とを備える。第1実施形態に係るパチンコ機において、当否抽選手段110による電子抽選で当りに当選する確率は100%に設定されている。また、保留球乱数の上限個数は4個に設定されている。
禁止期間は、特別図柄の変動開始から変動の停止が確定するまでの期間と、特別図柄の変動の停止の確定時点から開閉体62による大入賞口61の開放動作が終了するまでの期間と、可動入賞装置60内に遊技球が存在する期間と、大当り遊技の期間である。
可動入賞装置60内に遊技球が存在する期間内かどうかは、大入賞口検知センサ92からの球検知信号と排出球検知センサ95からの球検知信号に基づいて判断されるようになっている。具体的には、大入賞口検知センサ92により検知された遊技球の個数(大入賞口61への遊技球の入賞個数)が、排出球検知センサ95に検知された遊技球の個数(可動入賞装置60から排出された遊技球の個数)と一致しない限りは可動入賞装置60内に遊技球が存在する期間内であり、一致した状態がその期間外であると判断されるようになっている。
主制御処理部100はさらに、制御プログラムにより設定された手段として役物制御手段130を備える。この役物制御手段130は、可動入賞装置60を制御するものであり、開閉体駆動手段であるソレノイド63を制御する開閉体制御手段131と、振分体駆動手段のモータ86を制御する振分体制御手段132とを備える。これら開閉体制御手段131と振分体制御手段132の詳細について次に説明する。
開閉体制御手段131は、当否抽選手段110による電子抽選で当りに当選した場合に特別図柄の変動の停止時点を基準とした所定のタイミングで、開閉体62が大入賞口61を開放するようソレノイド63(開閉体駆動手段)を制御するものである。その所定のタイミングは、図15(a),図16(a)に示すように、特別図柄の変動の停止時点から一定時間Tc(特別図柄の停止が確定する時間である0.5秒)が経過した時点のタイミングである。また、その所定のタイミングにおいて開閉体62により大入賞口61が開放される回数は1回であり、この1回当りの大入賞口61の開放時間はTo(1秒)に設定されている。特別図柄の変動の停止時点からの時間Tc(0.5秒)および開放時間To(1秒)は、主制御処理部100のCPUのクロック周波数に基づいて計時されるようになっている。
開閉体制御手段131はさらに、特別領域82を遊技球が通過した場合に、開閉体62が大入賞口61を所定のラウンド数だけ開放するようソレノイド63を制御するものである。ラウンド数は、大入賞口61が開放されてから大入賞口61に遊技球が所定個数入賞することと、所定個数の遊技球が大入賞口61に入賞することなく大入賞口61の連続開放時間が所定時間を超えることのうち時間的に早く達した方を1ラウンドとして計数されるようになっている。第1実施形態においては、1ラウンド当りの遊技球の入賞数の上限個数は10個に設定されていて、大入賞口61の連続開放時間は30秒に設定されている。大入賞口61への遊技球の入賞個数は、大入賞口検知センサ92からの球検知信号に基づき計数されるようになっている。大入賞口61の連続開放時間(30秒)は、主制御処理部100のCPUのクロック周波数に基づいて計時されるようになっている。
振分体制御手段132は、大当り遊技の終了の際、振分体70の姿勢が予め設定された初期姿勢(図5に示す姿勢)となるよう振分体駆動手段のモータ86を制御するものである。前述のように、初期姿勢検知センサ96は、振分体70の初期姿勢を検知して姿勢検知信号を主制御処理部100に出力する。振分体制御手段132は、その姿勢検知信号を主制御処理部100が入力したタイミングでモータ86を停止させることによって、振分体70の姿勢を初期姿勢に停止させるようになっている。振分体70の初期姿勢は、図5に示すように、第2球受入部72Bの入口73Bが導入路64の出口65に臨んだ姿勢である。
振分体制御手段132はさらに、遊技球を特別領域82に導く前述の有利姿勢を振分体70がなすことと、遊技球を一般領域83に導く前述の不利姿勢を振分体70がなすこととを含む振分体70の一定パターンの姿勢変化が、大当り遊技の終了後における最初の特別図柄の変動開始のタイミングで初期姿勢から開始されるよう振分体駆動手段のモータ86を制御するものでもある。振分体70の一定パターンの姿勢変化は、初期姿勢からの時計回り(矢印M方向)での一定速度の回転である。振分体70の1回転に要する時間はTr(8秒)に設定されている。
振分体70が図5に示す初期姿勢から時間Tr(8秒)を掛けて1回転する間の振分体70の姿勢変化の流れは、図15(c),図16(c)に示すものである。つまり、図5に示す初期姿勢(不利姿勢)から時間Tl1(1.5秒)が経過するまでの間、振分体70は不利姿勢をなす。時間Tl1(1.5秒)が経過した時点で、振分体70は図6(a)に示す有利姿勢をなす。その後、時間Th(1秒)が経過するまでの間に、振分体70は図6(a)に示す有利姿勢から図6(c)に示す有利姿勢へと変化する。そして、時間Thが経過した時点から時間Tl2(5.5秒)が経過するまでの間に、振分体70は図7(a)に示す不利姿勢から図5に示す初期姿勢(不利姿勢)に変化する。
振分体制御手段132はさらに、パチンコ機が電源に接続されると、振分体70が時計回りの一定速度で回転するようモータ86を制御するものでもある。パチンコ機に対する電源の接続後、振分体70の時計回りの一定速度の回転は、大当り遊技が終了するまで続けられることになる。
図10に示すように、主制御処理部100はさらに、制御プログラムにより設定された手段として変動時間決定手段120を備える。この変動時間決定手段120は、特別図柄の変動パターンと変動時間の組合せを電子抽選により決定するものである。具体的には、変動時間決定手段120は、周期的(例えば2ミリ秒毎)に入力される割り込み信号に基づいてループカウンタの値(0〜29の整数)を所定の範囲で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数である変動時間用乱数(変動時間用乱数)を発生させる変動時間用乱数発生手段121と、始動口検知センサ91からの球検知信号が主制御処理部100に入力されたタイミングで、変動時間用乱数発生手段121により発生された変動時間用乱数のうちの1個を取得(ラッチ)する変動時間用乱数取得手段122と、変動時間用乱数と変動パターンNo.と変動時間との対応関係を規定した複数種類のテーブル(図11〜図13に示す低確率テーブル123−1、中確率テーブル123−2および高確率テーブル123−3)のうちから1つを選択するテーブル選択手段123と、変動時間用乱数取得手段122により取得された変動時間用乱数と対応関係にある変動パターンNo.と変動時間を、テーブル選択手段123により選択されたテーブルを参照して選択する変動時間選択手段124とを備える。変動時間決定手段120は、低確率テーブル123−1、中確率テーブル123−2、高確率テーブル123−3を、主制御処理部100のROMを利用して記憶している。
図11〜図13に示すように、低確率テーブル123−1、中確率テーブル123−2、高確率テーブル123−3は互いに、特別図柄の変動時間である不利変動時間T1と有利変動時間T2とを異なる割合で含んでいる。不利変動時間T1は、大当り遊技の終了後に開始される一定パターンの振分体70の姿勢変化において振分体70が不利姿勢をなしている期間内に遊技球が振分体70に到達するタイミングで開閉体62による大入賞口61の開放が行われる長さに設定された変動時間である。有利変動時間T2は、大当り遊技の終了後に開始される一定パターンの振分体70の姿勢変化において振分体70が有利姿勢をなしている期間内に遊技球が振分体70に到達するタイミングで開閉体62による大入賞口61の開放が行われる長さに設定された変動時間である。
低確率テーブル123−1、中確率テーブル123−2、高確率テーブル123−3の具体例を、図11〜図13を用いて次に説明する。
図11に示すように、低確率テーブル123−1において、0〜29の変動時間用乱数のそれぞれには、変動パターンNo.1〜No.30のそれぞれが対応付けられている。変動パターンNo.は、特別図柄の変動の開始から停止までの変動パターンの種類と、演出表示装置40に表示されるダミー図柄を含む動画の種類とに対応付けられて設定されたものである。また、低確率テーブル123−1においては、0〜29の変動時間用乱数のうち、0〜28には不利変動時間T1が対応付けられていて、29には有利変動時間T2が対応付けられている。つまり、変動時間決定手段120の変動時間選択手段124が低確率テーブル123−1を参照した場合、1/30の確率で有利変動時間T2が選択される。
図12に示すように、中確率テーブル123−2において、0〜29の変動時間用乱数のそれぞれには変動パターンNo.31〜No.60のそれぞれが対応付けられている。また、中確率テーブル123−2においては、0〜29の変動時間用乱数のうち、0〜19には不利変動時間T1が対応付けられていて、20〜29には有利変動時間T2が対応付けられている。つまり、変動時間決定手段120の変動時間選択手段124が中確率テーブル123−2を参照した場合、1/3の確率で有利変動時間T2が選択される。
図13に示すように、高確率テーブル123−3において、0〜29の変動時間用乱数のそれぞれには変動パターンNo.61〜No.90のそれぞれが対応付けられている。また、高確率テーブル123−3において、0〜29の変動時間用乱数のうち、0には不利変動時間T1が対応付けられていて、1〜29には有利変動時間T2が対応付けられている。つまり、変動時間決定手段120の変動時間選択手段124が高確率テーブル123−3を参照した場合、29/30の確率で有利変動時間T2が選択される。
低確率テーブル123−1中、中確率テーブル123−2中、高確率テーブル123−3中のそれぞれの有利変動時間T2の割合を比較して分かるように、低確率テーブル123−1、中確率テーブル123−2、高確率テーブル123−3の順で、有利変動時間T2の割合が高く設定されている。
図14に示すように、低確率テーブル123−1、中確率テーブル123−2および高確率テーブル123−3の3種類のテーブルにおいて、テーブルの種類は保留球乱数の個数に対応付けて設定されている。具体的には、低確率テーブル123−1が保留球乱数の個数「0〜2個」に対応付けられていて、中確率テーブル123−2が保留球乱数の個数「3個」に対応付けられていて、高確率テーブル123−3が保留球乱数の個数「4個」に対応付けられている。つまり、低確率テーブル123−1、中確率テーブル123−2、高確率テーブル123−3は、保留球乱数の個数が多いものに対応付けられたものほど、有利変動時間T2の割合が多く設定されている。
変動時間決定手段120のテーブル選択手段123は、変動時間決定手段120が変動時間を決定するとき、保留球乱数記憶手段114に記憶されている保留球乱数の個数に対応付けられたテーブルを、低確率テーブル123−1、中確率テーブル123−2、高確率テーブル123−3のうちから選択するものである。
第1実施形態における不利変動時間T1と有利変動時間T2の具体例を、図15,図16を用いて次に説明する。
図15に示すように、不利変動時間T1は、振分体70が初期姿勢(不利姿勢)から有利姿勢を経て再び不利姿勢となるまでの時間(Tl1+Th=1.5+1=2.5〔秒〕)よりも長く、再び有利姿勢となるまでの時間(Tl1+Th+Tl2+Tl1=1.5+1+5.5+1.5=9.5〔秒〕)よりも短い時間、例えば4秒に設定されている。この不利変動時間T1(4秒)に変動時間が決定された場合、大当り遊技の終了後における最初の特別図柄の変動開始のタイミングで振分体70の一定パターンの姿勢変化(初期姿勢からの時計回りでの一定速度の回転)が開始されてから、開閉体62が時間To(1秒)の大入賞口61の開放を開始するまでに要する時間は「T1+Tc=4+0.5=4.5〔秒〕」である。これに対し、振分体70が有利姿勢をなしている期間は、特別図柄の変動開始から時間Tl1(1.5秒)が経過した時点から時間Th(1秒)の間であるので、開閉体62により大入賞口61の開放が行われるタイミングは、振分体70が有利姿勢をなしている期間を既に過ぎ、振分体70が不利姿勢をなしている期間内である。したがって、変動時間が不利変動時間T1(4秒)に決定された場合、遊技者は、有利姿勢をなした状態の振分体70に遊技球を到達させることはできず、特別領域82を通過させることができない。
一方、図16に示すように、有利変動時間T2は、振分体70が初期姿勢から有利姿勢に変化するまでの時間Tl1(1.5秒)よりも短い時間、例えば0.5秒に設定されている。この有利変動時間T2(0.5秒)に変動時間が決定された場合、大当り遊技の終了後における最初の特別図柄の変動開始のタイミングで振分体70の一定パターンの姿勢変化(初期姿勢からの時計回りでの一定速度の回転)が開始されてから、開閉体62が時間To(1秒)の大入賞口61の開放を開始するまでに要する時間は「T2+Tc=0.5+0.5=1〔秒〕」である。また、導入路64は、大入賞口61に入賞した遊技球が略0.5秒で導入路64の出口65に達するよう設定されている。つまり、開閉体62により大入賞口61が開放されている間に大入賞口61に入賞した遊技球は、特別図柄の変動開始から略1.5秒〜略2.5秒の間に振分体70に到達することになる。そして、振分体70が有利姿勢をなしている期間は前述のように特別図柄の変動開始から時間Tl1(1.5秒)が経過した時点から時間Th(1秒)の間であるので、特別図柄の変動開始から1秒後〜2秒後の間に大入賞口61に遊技球が入賞し、この遊技球が略0.5秒を掛けて導入路64を通過すると、この遊技球は振分体70が有利姿勢をなしている時間Th(1秒)の期間内に振分体70に到達することになる。したがって、変動時間が有利変動時間T2に決定された場合、遊技者は、有利姿勢をなした状態の振分体70に遊技球を到達させ、特別領域82を通過させることができる。
主制御処理部100は、特別図柄制御処理部300および演出制御処理部200に対して変動開始コマンドを送出した後、当否抽選手段110による当否用乱数の当否判定の結果(第1実施形態では当りの当選確率100%)と、変動時間決定手段120により決定された変動パターンNo.および変動時間(T1またはT2)を情報として含む演出コマンドをさらに特別図柄制御処理部300および演出制御処理部200に送出するようになっている。また、主制御処理部100は、保留球乱数記憶手段114に記憶された保留球乱数の個数の情報を含む保留球コマンドを演出制御処理部200に送出するようになっている。
特別図柄制御処理部300は、主制御処理部100からの変動開始コマンドおよび演出コマンドに基づき、特別図柄を変動した後に停止するという態様で表示するようになっている。主制御処理部100から特別図柄制御処理部300への変動開始コマンドの送出は、当否抽選手段110の当否判定手段113により当否用乱数の当否が判定されたときに、すなわち禁止期間以外のときに、保留球乱数が複数個存在する場合には最も古い保留球乱数に対する当否判定の結果に基づいて行われ、保留球乱数がない場合には始動口検知センサ91により遊技球が検知されたタイミングで取得された当否用乱数に対する当否判定の結果に基づいて行われる。つまり、特別図柄制御処理部300は禁止期間以外において、保留球乱数が複数個存在する場合には最も古い保留球乱数に対する当否判定の結果(当りの当選確率100%)と、その最も古い保留球乱数に基づき変動時間決定手段120により決定された変動パターンNo.および変動時間(不利変動時間T1または有利変動時間T2)とを情報として含む演出コマンドに基づいて、特別図柄表示装置30に特別図柄を表示させるようになっている。また、特別図柄制御処理部300は、保留球乱数がない場合には始動口検知センサ91により遊技球が検知されたタイミングで取得された当否用乱数に対する当否判定の結果(当りの当選確率100%)と、その当否用乱数に基づき変動時間決定手段120により決定された変動パターンNo.および変動時間(不利変動時間T1または有利変動時間T2)とを情報として含む演出コマンドに基づいて、特別図柄表示装置30に特別図柄を表示させるようになっている。
演出制御処理部200は、制御プログラムにより設定された演出表示制御手段201と保留表示制御手段202とを備える。演出表示制御手段201は特別図柄制御処理部300と同様に、主制御処理部100からの変動開始コマンドおよび演出コマンドに基づき、ダミー図柄を含む動画を演出表示装置40に表示させるものである。保留表示制御手段202は、主制御処理部100から得られる保留球乱数の個数の情報に基づき、演出表示装置40に保留球乱数の個数を表示させるものである。保留球乱数の個数は、図4に示すように、予め設定された4個の保留表示領域41〜44を保留球乱数の個数に応じて左側の領域から点灯(発色)させることにより表示される。図4において、4個の保留表示領域41〜44は全て点灯した状態であり、これによって保留球乱数の個数が上限個数の4個存在することが表示されている。保留球乱数に基づく特別図柄の変動が開始されて保留球乱数の個数が減少した場合には、保留表示領域41〜44は右側から消灯されるようになっている。
第1実施形態に係るパチンコ機において、特別図柄の表示および開閉体の動作に係る制御は、図17に示すルーチンで行われる。このルーチンについて次に説明する。
図17に示すように、主制御処理部100のRAMのクリア状態(RWMクリア状態)から遊技が開始され、始動口24に遊技球が入賞すると、始動口検知センサ91から主制御処理部100に球検出信号が出力される。主制御処理部100はその球検知信号を入力する。今回は、RWMクリア状態から遊技が開始されて最初の始動口24への遊技球の入賞であるから、この入賞のときは、特別図柄の変動開始から変動の停止が確定するまでの期間内、特別図柄の変動の停止の確定時点から開閉体62による大入賞口61の開放動作が終了するまでの期間内、可動入賞装置60内に遊技球が存在する期間内、および、大当り遊技の期間内のいずれの禁止期間内でもない。つまり、今回の始動口24への遊技球の入賞は禁止期間外に起こったことである。したがって、主制御処理部100は、今回の始動口24への遊技球の入賞を、特別図柄の変動開始のタイミングと判断する(ステップS1でYES)。
次に、主制御処理部100は、当否抽選手段110の保留球乱数記憶手段114に現在記憶されている保留球乱数の個数がいくつかを判定する(ステップS2)。今回は、前述のようにRWMクリア状態から遊技が開始されて最初の始動口24への遊技球の入賞であるから、保留球乱数は存在しない。したがって主制御処理部100は保留球乱数の個数を0個と判定するステップS2で0〜2個)。これにより、主制御処理部100の変動時間決定手段120においては、テーブル選択手段123が低確率テーブル123−1を選択し、この低確率テーブル123−1を参照して変動時間選択手段124が変動時間として不利変動時間T1または有利変動時間T2を選択する(ステップS3)。
そして、特別図柄制御処理部300は特別図柄の変動を開始し(ステップS4)、主制御処理部100の変動時間決定手段120により決定された不利変動時間T1(4秒)または有利変動時間T2(0.5秒)の経過後に、特別図柄の変動を停止させる(ステップS5)。
特別図柄制御処理部300が特別図柄の変動を停止させると、役物制御手段130の開閉体制御手段131は一定時間Tc(0.5秒)の計時を開始し(ステップS6)、この一定時間Tc(0.5秒)が経過すると(ステップS6でYES)、開閉体制御手段131はソレノイド63に時間To(1秒)だけ電力を供給して、開閉体62に大入賞口61を時間To(1秒)だけ開放させる(ステップS7)。この間に大入賞口61に入賞した遊技球は、導入路64を通じて振分体70に到達する。今回、振分体70はパチンコ機が電源に接続されてから時計回りに一定速度で回転を続けている状態であり、大当り遊技の終了後における最初の特別図柄の変動開始のタイミングで初期姿勢から時計回りに一定速度の回転を開始したのではないから、大入賞口61入賞した遊技球が振分体70に到達したときの振分体70の姿勢が不利姿勢であるか有利姿勢であるかは変動時間が不利変動時間T1(4秒)に決定されたか有利変動時間T2(0.5秒)に決定されたかではなく、偶然による。
大入賞口61に遊技球が入賞したものの残念ながらその遊技球が振分体70により一般領域83に導かれた場合、すなわち特別領域82を通過しなかった場合(ステップS8でNO)、ルーチンはステップS1に戻る。
大入賞口61に入賞した遊技球が運よく振分体70により特別領域82に導かれた場合(ステップS8でYES)、その遊技球が可動入賞装置60から排出された後、役物制御手段130の開閉体制御手段131はソレノイド63を制御して、開閉体62が大入賞口61の開放を2ラウンド行う大当り遊技を、遊技者に提供する(ステップS9)。この大当り遊技の終了のとき、役物制御手段130の振分体制御手段132は、初期姿勢検知センサ96からの姿勢検知信号の有無に基づき、モータ86を制御し、これによって振分体70の姿勢を初期姿勢に制御する(ステップS10)。そしてルーチンはステップS1に戻る。
ステップS4からステップS8までのルーチンが行われている間、または、ステップS4からステップS10までのルーチンが行われている間に、すなわち禁止期間内に、始動口24に遊技球が入賞した場合、当否抽選手段110において、当否用乱数取得手段112により取得された当否用乱数は保留球乱数として保留球乱数記憶手段114により記憶される。したがって、ルーチンがステップS1から再開されたときは、保留球乱数が存在する場合と、保留球乱数が存在しない場合とに分かれる。
ルーチンがステップS1から再開されたときに保留球乱数が存在しない場合、すなわち保留球乱数が0個の場合、主制御処理部100は、大当り遊技の終了後において最初の始動口24への遊技球の入賞を、特別図柄の変動開始のタイミングと判断する(ステップS1でYES)。これ以降のルーチンは、前述の「S2→S3→S4→S5→S6→S7→S8→S1」または「S2→S3→S4→S5→S6→S7→S8→S9→S10→S1」である。
一方、ルーチンがステップS1から再開されたときに保留球乱数が存在していた場合、主制御処理部100は、大当り遊技の終了の直後を、特別図柄の変動開始のタイミングと判断する(ステップS1でYES)。そして、ステップS2において保留球乱数の個数が1個または2個と判定された場合、前述の「S2→S3→S4→S5→S6→S7→S8→S1」または「S2→S3→S4→S5→S6→S7→S8→S9→S10→S1」のルーチンが行われる。
ルーチンがステップS1から再開された後、ステップS2において保留球乱数の個数が3個と判定された場合、主制御処理部100の変動時間決定手段120においては、テーブル選択手段123が中確率テーブル123−2を選択し、この中確率テーブル123−2を参照して変動時間選択手段124が変動時間として不利変動時間T1(4秒)または有利変動時間T2(0.5秒)を選択する(ステップS11)。これ以降のルーチンは、前述の「S4→S5→S6→S7→S8→S1」または「S4→S5→S6→S7→S8→S9→S10→S1」である。
また、ルーチンがステップS1から再開された後、ステップS2において保留球乱数の個数が4個と判定された場合、主制御処理部100の変動時間決定手段120においては、テーブル選択手段123が高確率テーブル123−3を選択し、この高確率テーブル123−3を参照して変動時間選択手段124が変動時間として不利変動時間T1(4秒)または有利変動時間T2(0.5秒)を選択する(ステップS12)。これ以降のルーチンは、前述の「S4→S5→S6→S7→S8→S1」または「S4→S5→S6→S7→S8→S9→S10→S1」である。
ステップS1から再開されたルーチンにおいて、変動時間が不利変動時間T1(4秒)に決定された場合、開閉体62により時間To(1秒)だけ大入賞口61が開放されている間に遊技球が入賞しても、その遊技球は不利姿勢をなした振分体70に到達し、一般領域83に導かれる、すなわち特別領域82には導かれない。一方、変動時間が有利変動時間T2に決定された場合、開閉体62により時間To(1秒)だけ大入賞口61が開放されている間に遊技球が入賞すれば、その遊技球は有利姿勢をなした振分体70に到達し、特別領域82に導かれる。有利変動時間T2(4秒)を含む割合は高確率テーブル123−3、中確率テーブル123−2、低確率テーブル123−1の順で高く、保留球乱数の個数「4個」に高確率テーブル123−3が対応付けられていて、保留球乱数の個数「3個」に中確率テーブル123−2が対応付けられていて、保留球乱数の個数「0〜2個」に低確率テーブル123−1が対応付けられているから、ステップS1からのルーチンが再開されてステップS1でYESとなるときまで、すなわち、大当り遊技の終了後における最初の特別図柄の変動開始の直前までの保留球乱数の個数が4個の場合、3個の場合、0〜2個の場合の順で、前回の大当り遊技に続いて再度大当り遊技を遊技者に提供する確率、すなわち大当り遊技が連荘となる確率が高くなる。
第1実施形態に係るパチンコ機によれば次の効果を得られる。
第1実施形態に係るパチンコ機は、特別図柄に係る電子抽選の当否に確率変動を生じさせることによらずに、特別図柄の変動時間が有利変動時間T2に決定される確率を保留球乱数の個数に基づき変動させることにより、遊技者にとっての大当り遊技の獲得のしやすさを変動させることができる。この結果、羽根ものタイプの遊技性、すなわち、遊技者の技量により遊技球に特別領域82(Vゾーン)を通過させる遊技性を損なうことなく、遊技に減り張りをつくることができる。
第1実施形態に係るパチンコ機において、保留球乱数の個数と低確率テーブル123−1、中確率テーブル123−2および高確率テーブル123−3との対応関係は、保留球乱数が0〜2個の場合、3個の場合、4個の場合の順で、すなわち、保留球乱数の個数が多いほど、変動時間が有利変動時間T2に決定されやすいよう設定されている。これにより、大当り遊技の終了後における最初の特別図柄の変動開始の直前において保留球乱数の個数が多いほど、前回の大当り遊技に続いて再度大当り遊技を獲得できるかもしれないという遊技者の期待を増大させることができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係るパチンコ機について図6,図7,図18〜図22を用いて説明する。
第2実施形態に係るパチンコ機において、可動入賞装置60は、遊技盤20の前面に直交する軸を中心に回動可能に設けられ導入路64の出口65を開閉可能なストッパ800(図18に示す)と、このストッパ800を駆動するストッパ駆動手段としてのソレノイド801(図19にブロックで示す)とを備える。主制御処理部100の役物制御手段130は、開閉体62による大入賞口61の開放時点から一定時間Td(1.5秒、図20(d)参照)が経過した時点のタイミングでストッパ800により導入路64の出口65が時間Tu(1.5秒)だけ開放されるようソレノイド801(ストッパ駆動手段)を制御するストッパ制御手段802を備える。このストッパ制御手段802は、時間Td(1.5秒)および時間Tu(1.5秒)は主制御処理部100のCPUのクロック周波数に基づいて計時するようになっている。
図18に示すように、可動入賞装置60の振分体70の初期姿勢は、第2球受入部72の入口73Cが導入路64の出口65に臨む姿勢(不利姿勢)に設定されている。振分体70の一定パターンの姿勢変化は図18に示す初期姿勢からの時計回り(矢印M方向)での一定速度の回転であり、その一定速度は振分体70を時間Tr(8秒)で1回転させる速度に設定されている。
第2実施形態に係るパチンコ機において、振分体70が図18に示す初期姿勢から時間Tr(8秒)を掛けて1回転する間の振分体70の姿勢変化の流れは、図20(c),図21(c)に示すものである。つまり、図18に示す初期姿勢(不利姿勢)から時間Tl1(2.5秒)が経過するまでの間、振分体70は不利姿勢をなす。時間Tl1(2.5秒)が経過した時点で、振分体70は図6(a)に示す有利姿勢をなす。その後、時間Th(1秒)が経過するまでの間に、振分体70は図6(a)に示す有利姿勢から図6(c)に示す有利姿勢へと変化する。そして、時間Th(1秒)が経過した時点から時間Tl2(4.5秒)が経過するまでの間に、振分体70は図7(a)に示す不利姿勢から図18に示す初期姿勢(不利姿勢)に変化する。
ストッパ800により導入路64の出口65が開放されるタイミングは、変動時間決定手段120により変動時間が不利変動時間T1に決定された場合には、振分体70が不利姿勢をなしている期間内のタイミングとなるよう設定されていて、変動時間決定手段120により変動時間が有利変動時間T2に決定された場合には、振分体70が有利姿勢をなしている期間内のタイミングとなるよう設定されている。
第2実施形態における不利変動時間T1と有利変動時間T2の具体例を、図20,図21を用いて次に説明する。
図20に示すように、不利変動時間T1は、振分体70が初期姿勢(不利姿勢)から有利姿勢を経て再び不利姿勢になるまでの時間(Tl1+Th=2.5+1=3.5〔秒〕)よりも長く、再び有利姿勢となるまでの時間(Tl1+Th+Tl2+Tl1=2.5+1+4.5+2.5=10.5〔秒〕)よりも短い時間、例えば4秒に設定されている。この不利変動時間T1(4秒)に変動時間が決定された場合、大当り遊技の終了後における最初の特別図柄の変動開始のタイミングで振分体70の一定パターンの姿勢変化(初期姿勢からの時計回りでの一定速度の回転)が開始されてから、開閉体62が時間To(1秒)の大入賞口61の開放を開始するまでに要する時間は「T1+Tc=4+0.5=4.5〔秒〕」である。これに対し、振分体70が有利姿勢をなしている期間は、特別図柄の変動開始から時間Tl1(2.5秒)が経過した後の時間Th(1秒)の間であり、開閉体62により大入賞口61の開放が開始されるタイミングは、振分体70が有利姿勢をなしている期間を既に過ぎ、振分体70が不利姿勢をなしている期間内である。そして、ストッパ800により導入路64の出口65が開放されるタイミングは、開閉体62による大入賞口61の開放の開始時点から一定時間Td(1.5秒)が経過した時点のタイミングであり、この時点から時間Tu(1.5秒)だけストッパ800により導入路64の出口65の開放状態が維持される。その出口65の開放状態が維持されている期間は、振分体70が不利姿勢をなしている期間内であり、ストッパ800から解放されて振分体70に到達した遊技球は、振分体70により一般領域83に導かれ、特別領域82には導かれないことになる。したがって、変動時間が不利変動時間T1(4秒)に決定された場合、遊技者は、有利姿勢をなした状態の振分体70に遊技球を到達させることはできず、遊技球に特別領域82を通過させることができない。
一方、図21に示すように、有利変動時間T2は、振分体70が初期姿勢から有利姿勢に変化するまでの時間(Tl1+Th=2.5+1=3.5〔秒〕)よりも短い時間、例えば0.5秒に設定されている。この有利変動時間T2(0.5秒)に変動時間が決定された場合、大当り遊技の終了後における最初の特別図柄の変動開始のタイミングで振分体70の一定パターンの姿勢変化(初期姿勢からの時計回りでの一定速度の回転)が開始されてから、開閉体62が時間To(1秒)の大入賞口61の開放を開始するまでに要する時間は「T2+Tc=0.5+0.5=1〔秒〕」である。また、導入路64は、大入賞口61に入賞した遊技球が略0.5秒で導入路64の出口65に達するよう設定されている。つまり、開閉体62により大入賞口61が開放されている間に大入賞口61に入賞した遊技球は、特別図柄の変動開始から略1.5秒〜略2.5秒の間に導入路64の出口65に到達することになる。ストッパ800により導入路64の出口65が開放されるタイミングは、開閉体62による大入賞口61の開放の開始時点から時間Td(1.5秒)が経過した時点、すなわち特別図柄の変動開始から2.5秒(T2+Tc+Td=0.5+0.5+1.5=2.5〔秒〕)が経過した時点であるから、開閉体62により大入賞口61が開放されている間に大入賞口61に入賞した遊技球は、特別図柄の変動開始から略1.5秒〜略2.5秒の間に導入路64の出口65に到達してストッパ800に堰き止められ、0.5秒後(「Td−To=1.5−1=0.5〔秒〕」の後)に開放されて振分体70に到達する。
ストッパ800により導入路64の出口65の開放状態が維持されている期間のうちその初期からの2/3までの期間は、振分体70が有利姿勢をなしている期間と並行しているため、ストッパ800から解放されて振分体70に到達した遊技球は、振分体70が有利姿勢をなしている期間内に振分体70に到達し、振分体70により特別領域82に導かれることになる。つまり、ストッパ800は、振分体70が有利姿勢をなす前には導入路64の出口65を閉鎖して遊技球を堰き止め、振分体70が有利姿勢をなしたときに導入路64の出口65を開放して、その遊技球を振分体70に到達させるようになっている。したがって、変動時間が有利変動時間T2(0.5秒)に決定された場合、遊技者は、有利姿勢をなした状態の振分体70に遊技球を到達させ、遊技球に特別領域82を通過させることができる。
ここで説明した第2実施形態に係る構成以外の点は、第1実施形態に係るパチンコ機と同じである。
第2実施形態に係るパチンコ機において、特別図柄の表示、開閉体62の動作、ストッパ800の動作に係る制御の流れは、図22に示すルーチンで行われる。このルーチンは、前出の図17に示したルーチンにステップS13とステップS14が追加されたものである。このルーチンについて、図17に示すルーチンと重複する点も含め、次に説明する。
図22に示すように、主制御処理部100のRAMのクリア状態(RWMクリア状態)から遊技が開始され、始動口24に遊技球が入賞すると、始動口検知センサ91から主制御処理部100に球検出信号が出力される。主制御処理部100はその球検知信号を入力する。今回は、RWMクリア状態から遊技が開始されて最初の始動口24への遊技球の入賞であるから、この入賞のときは、特別図柄の変動開始から変動の停止が確定するまでの期間内、特別図柄の変動の停止の確定時点から開閉体62による大入賞口61の開放動作が終了するまでの期間内、可動入賞装置60内に遊技球が存在する期間内、大当り遊技の期間内のいずれの禁止期間内でもない。つまり、今回の始動口24への遊技球の入賞は禁止期間外に起こったことである。したがって、主制御処理部100は、今回の始動口24への遊技球の入賞を、特別図柄の変動開始のタイミングと判断する(ステップS1でYES)。
次に、主制御処理部100は、当否抽選手段110の保留球乱数記憶手段114に現在記憶されている保留球乱数の個数がいくつかを判定する(ステップS2)。今回は、前述のようにRWMクリア状態から遊技が開始されて最初の始動口24への遊技球の入賞であるから、保留球乱数は存在しない。したがって主制御処理部100は保留球乱数の個数を0個と判定するステップS2で0〜2個)。これにより、主制御処理部100の変動時間決定手段120においては、テーブル選択手段123が低確率テーブル123−1を選択し、この低確率テーブル123−1を参照して変動時間選択手段124が変動時間として不利変動時間T1(4秒)または有利変動時間T2(0.5秒)を選択する(ステップS3)。
そして、特別図柄制御処理部300は特別図柄の変動を開始し(ステップS4)、主制御処理部100の変動時間決定手段120により決定された不利変動時間T1(4秒)または有利変動時間T2(0.5秒)の経過後に、特別図柄の変動を停止させる(ステップS5)。
特別図柄制御処理部300が特別図柄の変動を停止させると、役物制御手段130の開閉体制御手段131は一定時間Tc(0.5秒)の計時を開始し(ステップS6)、この一定時間Tc(0.5秒)が経過すると(ステップS6でYES)、開閉体制御手段131はソレノイド63に時間To(1秒)だけ電力を供給して、開閉体62に大入賞口61を時間To(1秒)だけ開放させる(ステップS7)。この間に大入賞口61に入賞した遊技球は、導入路64の出口65に到達し、ストッパ800により堰き止められる。
開閉体62による大入賞口61の開放が開始されると、役物制御手段130のストッパ制御手段802は一定時間Td(1.5秒)の計時を開始し(ステップS13)、この一定時間Td(1.5秒)が経過すると(ステップS13でYES)、ストッパ制御手段802はソレノイド801に時間Tu(1.5秒)だけ電力を供給して、ストッパ800に導入路64の出口65を時間Tu(1.5秒)だけ開放させる(ステップS14)。ストッパ800に遊技球が堰き止められていた場合、ステップS14でストッパ800により導入路64の出口65が開放されると、その遊技球はストッパ800から解放されて振分体70に到達する。今回、振分体70はパチンコ機が電源に接続されてから時計回りに一定速度で回転を続けている状態であり、大当り遊技の終了後における最初の特別図柄の変動開始のタイミングで初期姿勢から時計回りに一定速度の回転を開始したのではないから、大入賞口61入賞した遊技球が振分体70に到達したときの振分体70の姿勢が不利姿勢であるか有利姿勢であるかは変動時間が不利変動時間T1(4秒)に決定されたか有利変動時間T2(0.5秒)に決定されたかではなく、偶然による。
大入賞口61に遊技球が入賞したものの残念ながらその遊技球が振分体70により一般領域83に導かれた場合、すなわち特別領域82を通過しなかった場合(ステップS8でNO)、ルーチンはステップS1に戻る。
大入賞口61に入賞した遊技球が運よく遊技球が振分体70により特別領域82に導かれた場合(ステップS8でYES)、その遊技球が可動入賞装置60から排出された後、役物制御手段130の開閉体制御手段131はソレノイド63を制御して、開閉体62が大入賞口61の開放を2ラウンド行う大当り遊技を、遊技者に提供する(ステップS9)。この大当り遊技終了のとき、役物制御手段130の振分体制御手段132は、初期姿勢検知センサ96からの姿勢検知信号の有無に基づき、モータ86を制御し、これによって振分体70の姿勢を初期姿勢に制御する(ステップS10)。そしてルーチンはステップS1に戻る。
ステップS4からステップS8までのルーチンが行われている間、または、ステップS4からステップS10までのルーチンが行われている間、すなわち禁止期間内に、始動口24に遊技球が入賞した場合、当否抽選手段110において、当否用乱数取得手段112により取得された当否用乱数は保留球乱数として保留球乱数記憶手段114によって記憶される。したがって、ルーチンがステップS1から再開されたときは、保留球乱数が存在する場合と、保留球乱数が存在しない場合とに分かれる。
ルーチンがステップS1から再開されたときに保留球乱数が存在しない場合、すなわち保留球乱数が0個の場合、主制御処理部100は、大当り遊技の終了後において最初の始動口24への遊技球の入賞を、特別図柄の変動開始のタイミングと判断する(ステップS1でYES)。これ以降のルーチンは、前述の「S2→S3→S4→S5→S6→S7→S13→S14→S8→S1」または「S2→S3→S4→S5→S6→S7→S13→S14→S8→S9→S10→S1」である。
一方、ルーチンがステップS1から再開されたときに保留球乱数が存在していた場合、主制御処理部100は、大当り遊技の終了の直後を、特別図柄の変動開始のタイミングと判断する(ステップS1でYES)。そして、ステップS2において保留球乱数の個数が1個または2個と判定された場合、前述の「S2→S3→S4→S5→S6→S7→S13→S14→S8→S1」または「S2→S3→S4→S5→S6→S7→S13→S14→S8→S9→S10→S1」のルーチンが行われる。
ルーチンがステップS1から再開された後、ステップS2において保留球乱数の個数が3個と判定された場合、主制御処理部100の変動時間決定手段120においては、テーブル選択手段123が中確率テーブル123−2を選択し、この中確率テーブル123−2を参照して変動時間選択手段124が変動時間として不利変動時間T1(4秒)または有利変動時間T2(0.5秒)を選択する(ステップS11)。これ以降のルーチンは、前述の「S4→S5→S6→S7→S13→S14→S8→S1」または「S4→S5→S6→S7→S13→S14→S8→S9→S10→S1」である。
また、ルーチンがステップS1から再開された後、ステップS2において保留球乱数の個数が4個と判定された場合、主制御処理部100の変動時間決定手段120においては、テーブル選択手段123が高確率テーブル123−3を選択し、この高確率テーブル123−3を参照して変動時間選択手段124が変動時間として不利変動時間T1(4秒)または有利変動時間T2(0.5秒)を選択する(ステップS12)。これ以降のルーチンは、前述の「S4→S5→S6→S7→S13→S14→S8→S1」または「S4→S5→S6→S7→S13→S14→S8→S9→S10→S1」である。
ステップS1から再開されたルーチンにおいて、変動時間が不利変動時間T1(4秒)に決定された場合、開閉体62により時間To(1秒)だけ大入賞口61が開放されている間に遊技球が入賞しても、その遊技球は不利姿勢をなした振分体70に到達し、一般領域83に導かれる、すなわち特別領域82には導かれない。一方、変動時間が有利変動時間T2(0.5秒)に決定された場合、開閉体62により時間To(1秒)だけ大入賞口61が開放されている間に遊技球が入賞すれば、その遊技球はストッパ800に堰きとめられた後、振分体70が有利姿勢をなしている期間内にストッパ800から開放されて振分体70に到達し、特別領域82に導かれる。有利変動時間T2(0.5秒)を含む割合は高確率テーブル123−3、中確率テーブル123−2、低確率テーブル123−1の順で高く、保留球乱数の個数「4個」に高確率テーブル123−3が対応付けられていて、保留球乱数の個数「3個」に中確率テーブル123−2が対応付けられていて、保留球乱数の個数「0〜2個」に低確率テーブル123−1が対応付けられているから、ステップS1からのルーチンが再開されてステップS1でYESとなるときまで、すなわち、大当り遊技の終了後における最初の特別図柄の変動開始の直前までの保留球乱数の個数が4個の場合、3個の場合、0〜2個の場合の順で、前回の大当り遊技に続いて再度大当り遊技を遊技者に提供する確率、すなわち大当り遊技が連荘となる確率が高くなる。
第2実施形態に係るパチンコ機によれば次の効果を得られる。
第2実施形態に係るパチンコ機は、特別図柄に係る電子抽選の当否に確率変動を生じさせることによらずに、特別図柄の変動時間が有利変動時間T2に決定される確率を保留球乱数の個数に基づき変動させることにより、遊技者にとって大当り遊技の獲得のしやすさを変動させることができる。この結果、羽根ものタイプの遊技性、すなわち、遊技者の技量により遊技球に特別領域82(Vゾーン)を通過させる遊技性を損なうことなく、遊技に減り張りをつくることができる。
第2実施形態に係るパチンコ機において、保留球乱数の個数と低確率テーブル123−1、中確率テーブル123−2および高確率テーブル123−3との対応関係は、保留球乱数が0〜2個の場合、3個の場合、4個の場合の順で、すなわち、保留球乱数の個数が多いほど、変動時間が有利変動時間T2に決定されやすいよう設定されている。これにより、大当り遊技の終了後における最初の特別図柄の変動開始の直前までの保留球乱数の個数が多いほど、前回の大当り遊技に続いて再度大当り遊技を遊技者に提供する確率、すなわち大当り遊技が連荘となる確率が高くすることができる。
前述の第1実施形態に係るパチンコ機においては、大入賞口61に入賞した遊技球が導入路64の出口65に達するまでの時間は略一定するが、大入賞口61の付近での遊技球の挙動によってバラつくことがある。このため、変動時間が有利変動時間T2に決定された場合であっても、振分体70が有利姿勢をなす前に遊技球が導入路64の出口65に達してしまい、その遊技球が有利姿勢をなした状態の振分体70に取り込まれない事態が発生することが考えられる。第2実施形態に係るパチンコ機は、大当り遊技の終了後における最初の特別図柄の変動について、その変動時間が有利変動時間T2に決定された場合に、ストッパ800により導入路64の出口65を閉鎖して遊技球を堰き止め、振分体70が有利姿勢をなしたときに導入路64の出口65を開放して、その遊技球を振分体70に到達させる。これにより、振分体70が有利姿勢をなしている期間内に確実に振分体70に到達させることができる。
なお、前述の第1,第2実施形態に係るパチンコ機において、可動入賞装置60は、放射状に配列された第1球受入部75と第2球受入部72A〜72Gを備える振分体70が回転することによって遊技球の進路を振り分けるものであったが、本発明における可動入賞装置は、回転以外の動作により遊技球の進路を振り分ける構成であってもよい。
前述の第1,第2実施形態に係るパチンコ機において、有利姿勢は遊技球を特別領域82に導く振分体70の姿勢であり、不利姿勢は遊技球を一般領域83に導く振分体70の姿勢であった。つまり、有利姿勢と不利姿勢は遊技球の進路を特別領域または一般領域に確定する姿勢であった。本発明における有利姿勢と不利姿勢は、有利姿勢が不利姿勢よりも特別領域に遊技球を導きやすいという関係であればよい。
前述の第1,第2実施形態に係るパチンコ機において、振分体70の一定パターンの姿勢変化は、初期姿勢から時計回りに一定速度で回転することであったが、本発明における振分体70の一定パターンの姿勢変化は、一定パターンであれば回転速度が変化するものであってもよい。
前述の第1,第2実施形態に係るパチンコ機において、保留球乱数の個数と低確率テーブル123−1、中確率テーブル123−2および高確率テーブル123−3との関係は、保留球乱数の個数が多いほど、変動時間が有利変動時間T2に決定されやすいよう設定されていた。これにより、保留球乱数の個数が多いほど、前回の大当り遊技に続いて再度大当り遊技を獲得できるかもしれないという遊技者の期待を増大させることができる、という効果を得られる。しかし、この効果が不要な場合には、保留球乱数の個数と低確率テーブル123−1、中確率テーブル123−2および高確率テーブル123−3との関係は、保留球乱数の個数が多いほど、変動時間が有利変動時間T2に決定されやすいよう設定されている、というものでなくてもよい。
前述の第1,第2実施形態に係るパチンコ機において、不利変動時間T1は、振分体70の姿勢が初期姿勢(不利姿勢)から有利姿勢に変化した後の不利姿勢の期間内(図16(c),図20(c)の時間Tl2参照)に、振分体70に遊技球が到達するよう設定されていたが、本発明における不利変動時間は、初期姿勢(不利姿勢)から有利姿勢に変化する直前までの期間内(図16(c),図20(c)の時間Tl1参照)に振分体70に遊技球が到達するよう設定されていてもよい。
前述の第1,第2実施形態に係るパチンコ機においては、振分体70が初期姿勢から1回転する間に、開閉体62による大入賞口61の開放が行われるよう不利変動時間T1および有利変動時間T2の長さが設定されていたが、1回転以上の回転の後に開閉体62による大入賞口61の開放が行われる長さに設定されていてもよい。
前述の第1,第2実施形態に係るパチンコ機において、不利変動時間T1の種類および有利変動時間T2の種類はいずれも1種類ずつ設定されていたが、複数種類であってもよい。
前述の第1,第2実施形態に係るパチンコ機において、主制御処理部100の当否抽選手段110は可動入賞装置60内に遊技球が存在する期間(禁止期間)内かどうかを、大入賞口検知センサ92により検知された遊技球の個数(大入賞口61への遊技球の入賞個数)が、排出球検知センサ96に検知された遊技球の個数(可動入賞装置60から排出された遊技球の個数)と一致したかどうかで判断するようになっていた。この例の替わりに、当否抽選手段110は、大入賞口61に遊技球が入賞してから可動入賞装置60外に遊技球が排出されるのに要する最長時間を予め記憶し、大入賞口検知センサ92により遊技球が検知されてからの経過時間がその最長時間を超えない限りは可動入賞装置60内に遊技球が存在する期間内であり、超えた場合はその期間外であると判断するようになっていてもよい。