JP5700444B2 - キチン粉砕物生産方法および装置 - Google Patents
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しかし、キチン分解酵素が有効に働くためには、キチンが溶媒中に分散していることが必要であるが、キチンは溶解性が乏しいため、塩酸に溶解させた上で大量の水を使ったり、有機溶媒を使ったりする必要があった。また、キチンを抽出する工程で酸、アルカリ、有機溶媒を使用する必要があった。
特許文献2には、複数個の粉砕媒体ボールと粉体とを収納した反応容器を回転させることにより反応容器壁面に付着する粉体に粉砕媒体ボール及び粉体を衝突させて粉体を微粒子化するコンバージミルと呼ばれる高速粉体反応装置を用いて、キチン原料を粉砕し、適度の結晶化度を持ったキチン粉砕物を生成するメカノケミカル粉砕手段が開示されている。
(A−B)/A
で求められる値で表したX線回折法による結晶化度で、70%以下になるまで粉砕している。
この式によって算出された結晶化度は、その値が小さいほど結晶構造が破壊され、無定化が進んだ状態であると考えられる。
開示方法では、複数の粉砕媒体ボールと粉体とを収納した反応容器を回転することにより微粒子化する高速粉体反応装置を用いたメカノケミカル粉砕により、効率よくキチン原料を微粉砕するようにしている。
キチン原料は、高速粉体反応装置におけるメカノケミカル粉砕により、たとえば、X線回折法による結晶化度が84.0%から35.7%(以下、結晶化度の数値はX線回折法による。)の範囲で、平均粒子径D50が30.5μmから16.4μmの範囲にある粉砕粉体原料に変成される。
粉砕機の型式に基づいて、粉砕機の回転速度、キチン原料の仕込量、粉砕媒体ボールを選択することにより、メカノケミカル粉砕における処理温度を脱水脱タンパク反応温度領域に維持させることができる。
冷却装置は、ミストを吹き付けて反応容器表面を冷却する構成を有するものであってもよい。
試験によると、加温処理を施していないキチン粉砕物では糖化率が50%から55%程度であるのに対して、加温処理をすることにより糖化率が65%から72%程度に向上する結果を得ている。
特に、容量の大きなコンバージミル装置においては、小容量機と比べて放熱面積が相対的に小さいのに粉砕に伴う発熱量が大きくなって材料が高温になりやすいので、反応容器内部の発熱に伴う容器表面の温度状況を把握して高温時には容器表面にミストを吹き付け冷却して過熱をふせぐなど適宜な温度管理をすることにより、反応容器内のキチン粉砕物を目的の温度に保持することができる。
さらに、特許文献4に開示されたキチン結晶化度測定装置を利用することによりキチン粉砕物の性状を測定して、本発明のキチン粉砕物生産装置における生産条件を調整し所望の特性を有するキチン粉砕物を生産することができる。
また、メカノケミカル粉砕により発生するエネルギーを利用して所望の処理温度にするようにすると、既存のコンバージミルに僅かな改変を施すことにより高品質のキチン粉砕物を生産することができるので、装置費用や運転費用を節減することができる。
コンバージミル10は、高速回転する円筒形粉砕用容器11の内壁とクリアランス17をあけて空間に固定したガイドベーン12を備えたものである。内部に粉砕対象の材料15と粉砕媒体ボール13を一緒に入れて粉砕用容器11を回転させると、対象材料は遠心力で粉砕用容器11の壁に押し付けられて薄い材料粉体層14を形成し、粉砕媒体ボール13と対象材料15の一部はガイドベーン12によって運動方向を変えられ、衝突部16に向かって、壁の材料粉体層14に激突して、局部的に発生する高いエネルギーを利用したメカノケミカル作用により対象材料を微細な結晶化度の低い粉体に変態させる。
このミスト装置18は、粉砕用容器11内部の材料粉体層14や対象材料15の温度を調整するために利用することができる。
コンバージミル10を用いる場合には、特に、粉砕用容器11の回転数と処理時間を変化させることにより、容易に、望む程度に粉砕された粉体試料を得ることができる。
たとえば、結晶化度が90.9%のキチン材料を500rpm、700rpm、800rpmの回転数を選んで、30分、60分、120分など異なる時間処理することで、結晶化度が84.0%から35.7%の範囲で、平均粒子径D50が30.5μmから16.4μmの範囲にあるキチンを含む粉砕粉体試料、すなわちキチン粉砕物を得ることができた。
キチン粉砕物は、たとえば40℃など比較的低温の状態でキチン分解酵素を使って酵素処理することにより糖化し、時間が経つにつれて糖化率が上昇する。糖化率が高いほど単糖等の収率が高く、産業的な効用が高い。
なお、ここで糖化率は、酵素反応前のキチン粉砕物の質量に対して生成した単糖等の合算質量の相対割合をいう。
しかし、キチンをメカノケミカル粉砕した場合に、粒子径が10数μmから20μm程度になったキチン粒子が凝集することにより実質的な粒子径が大きくなるため、糖化酵素の作用面積が却って減少して糖化率が下がる過粉砕の現象が起こって、十分に生産性が向上しないことがあった。
図2に示す表は、高速粉体反応装置により粉砕した後に酵素処理して得られたキチン粉砕物の糖化率を示す。表は、高速粉体反応装置により得られた粉砕粉体試料(キチン粉砕物)について、酵素反応による糖化率を加熱処理の種類ごとに表して加熱の効果を確認するもので、キチン粉砕物における平均粒子径(D50)と結晶化度も一緒に記載してある。
このように、粉砕粉末を加熱することにより、後処理で酵素加水分解反応をさせたときの糖化率が大幅に向上し、さらに、粒子径を小さくする効果と相乗させることにより、糖化率を大幅に向上させることができることが明らかになった。
測定は、コンバージミルの粉砕材料については、11.427mgを採り、基準材料をアルミナとして、20℃から600℃まで毎分20℃の割合で昇温させて行った。なお、カッターミルで粉砕した材料については6.856mgを採って分析したが、コンバージミルの粉砕材料と同じサンプル量に換算したグラフを描いて比較し易くしてある。
TG−DTA図に基づいて、脱水脱タンパク反応の温度範囲に保持することによりキチン材料の反応面積が増大して、酵素反応を促進し糖化率の向上に寄与することが推定され、図2の表において観察されたメカノケミカル粉砕したキチン材料を加熱処理することにより糖化率が向上する事実を裏付けることできた。
すなわち、たとえば、反応容器の回転速度を調整して粉砕エネルギーを加減したり、キチン材料の充填量により発熱量や蓄熱量を加減したりして、材料温度を調整することができる。なお、キチン材料の温度が上昇しすぎる場合は、たとえば、反応容器の外壁にミストを吹き付けて冷却することにより、キチン材料を適当な温度範囲に調整すればよい。
キチン粉砕物生産装置1は、キチン粉末をメカノケミカル粉砕して加熱処理し、結晶化度が所定値より小さいことを確認してキチン粉砕物として回収する設備である。キチン粉砕物生産装置1は、後工程で酵素糖化によりキチン粉末から高い収量でたとえばN−アセチルグルコサミンなどのキチン分解物を生産するために使用するキチン粉砕物を生産する。なお、ここでは、特許文献4に開示されたオンラインで測定できるキチン結晶化度測定装置37を用いて、キチン粉砕物の品質を保証するようにしている。
また、粉砕機10には、ミスト装置18を付属し、反応容器が過熱したときに反応容器の外壁にミストを吹き付けて反応容器内を冷却することができるようにしている。
キチン結晶化度測定装置37は、試料に近赤外光を照射したときに試料から反射され、もしくは試料を透過する近赤外光から近赤外スペクトルを求めて、所定の変換処理を施して特定の特性値が読み取れる変換スペクトルとし、所定の複数の波長範囲における変換スペクトルの特性値を事前に生成した検量線と比較することによりキチンの結晶化度を推定するものである。
なお、切替弁38により外部に排出された品質未達のキチン粉砕物は、そのまま廃棄してもよいが、再度、粉砕するために粗粉タンク34などに戻してもよい。
また、キチン粉砕物生産装置1において、メカノケミカル粉砕で発生する熱を活用して脱水脱タンパク反応を促進する温度範囲に収まるように管理するので、別途加熱装置を必要とせず、装置費用や運転費用を節減することができる。さらに、一般的なコンバージミル等の粉砕機を活用して本実施態様に係る運転方法を実施することができる。
また、上記のキチン粉砕物生産装置1の構成では、粉砕機の反応容器には冷却装置だけが付属するが、温度管理をさらに容易にするため適宜な加熱装置を備えるようにしてもよい。
10 高速粉体反応装置(粉砕機)
11 粉砕用容器(反応容器)
12 ガイドベーン
13 粉砕媒体ボール
14 材料粉体層
15 対象材料
16 衝突部
17 クリアランス
18 ミスト装置
31 原料タンク
32 フィーダ
33 粗粉砕機
34 粗粉タンク
35 フィーダ
36 サンプラー
37 キチン結晶化度測定装置
38 切替弁
41 気流分級機
42 粗目製品タンク
43 微粉コレクタ
44 細目製品タンク
45 ブロワ
Claims (6)
- キチン含有組成物からなるキチン原料をメカノケミカル粉砕してキチン粉砕物とするときに、粉砕中もしくは粉砕後に一定時間、前記キチン原料の温度を前記粉砕されたキチンの脱水脱タンパク反応温度領域に保持することを特徴とするキチン粉砕物生産方法。
- 前記メカノケミカル粉砕するために用いる粉砕機は、複数個の粉砕媒体ボールもしくは粉砕媒体ロッドと原料粉体とを収納した反応容器を高速回転させることにより該反応容器の壁面に押し付けられて層をなす前記原料粉体に前記粉砕媒体ボールもしくは粉砕媒体ロッド及び前記原料粉体を衝突させて前記原料粉体を微粉砕する高速粉体反応装置であって、該粉砕機に前記キチン原料の粉末を供給してメカノケミカル粉砕することを特徴とする請求項1記載のキチン粉砕物生産方法。
- 前記キチン含有組成物がエビあるいはカニの甲殻を粉砕したものであって、前記脱水脱タンパク反応温度が220℃から340℃の温度範囲にあることを特徴とする請求項1または2記載のキチン粉砕物生産方法。
- 前記メカノケミカル粉砕するために用いる粉砕機の回転速度、粉砕時間、キチン原料の仕込量、粉砕媒体ボールを選択することにより、メカノケミカル粉砕における処理温度を脱水脱タンパク反応温度領域に維持させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のキチン粉砕物生産方法。
- 反応容器と該反応容器を回転させる回転駆動部と前記反応容器を冷やす冷却装置とを備え、
複数個の粉砕媒体ボールもしくは粉砕媒体ロッドと原料粉体とを前記反応容器に収納して、前記回転駆動部で前記反応容器を高速回転させることにより、前記反応容器の壁面に層状に堆積する前記原料粉体に前記粉砕媒体ボールもしくは粉砕媒体ロッド及び前記原料粉体を衝突させて前記原料粉体をメカノケミカル粉砕する、高速粉体反応装置を含むキチン粉砕物生産装置であって、
前記原料粉体がキチン原料であって、該キチン原料をメカノケミカル粉砕するときのキチン原料温度を脱水脱タンパク反応温度領域に保持できるようにしたことを特徴とするキチン粉砕物生産装置。 - 前記冷却装置は、ミストを吹き付けて前記反応容器の表面を冷却する構成を有するものであることを特徴とする、請求項5記載のキチン粉砕物生産装置。
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