JP5695424B2 - 穀類植物種子由来の不溶性食物繊維を含有する過敏性腸症候群抑制用物質 - Google Patents

穀類植物種子由来の不溶性食物繊維を含有する過敏性腸症候群抑制用物質 Download PDF

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Description

本発明は、植物の種子及びその発芽幼種子由来の不溶性食物繊維を含有する過敏性腸症候群抑制用物質とその製造方法に関する。本発明はまた、上記物質を有効成分とする飲食品及び医薬品に関する。
過敏性腸症候群(以下、IBSとも称する)は腸管の機能的な過敏性を特徴とするもので、腸管の運動機能、分泌機能などの亢進の結果、便秘や下痢などの便通異常、腹痛、不定愁訴などの胃腸症状を呈する症候群である。器質的疾患がなく、その症状の発現や増悪には、心理的な要因も寄与しているとされている。診断基準は世界的にはROME IIIが標準とされており、腹部症状、その病悩期間、症状発現の頻度、排便との関連などがそのパラメータとされている。正確な患者数は不明であるが、アメリカでの罹患率は10〜20%、日本では15%前後とされている(過敏性腸症候群 脳と腸の対話を求めて 佐々木大輔著、中山書店、東京、日本)。
治療法は、器質的な異常が除外されたあとで、その症状により決定される。まずは食事指導と生活習慣指導を行い、症状に応じて消化管運動調節薬、高分子重合体(コロネル)、乳酸菌製剤、下剤などを組み合わせて処方する。食事療法としては、カプサイシンなどを含む香辛料や刺激物の回避、食物繊維の摂取、アレルギーが疑われる場合はアレルゲン除去食の提案などが第一選択として行われる。IBSはその特性上腸内細菌の変化とも密接な関係にあることが報告され、プロバイオティクスやプレバイオティクスの臨床評価も進んでいるが、病因がしっかり確定していない中で、いまだ決定的な治療法や食事療法がなく、基本的には対症療法が基本である。
そのような観点からも腸内環境改善に焦点を絞ったプレバイオティクスの提供は、患者にとって副作用が少なく、臨床症状の改善を目指すうえで福音となると考えられる。
食品成分であって、尚且つ腸内環境改善に有効な素材としては、木材のチップをヘミセルラーゼ処理することで得られる酸性キシロオリゴ糖(特開2007-230998)、ガラクトマンナン及びアラビノガラクタン(特再WO05/056022)、植物由来プロアントシアニジン(特開2007-77122)、イネ科植物の発芽種子由来タンパク質及び不溶性食物センイ(特開2005-232178)が挙げられる。また、穀物をヘミセルラーゼ処理し、その不溶性残査画分に食品としての機能性付加した報告としては、ふすまをヘミセルラーゼ処理した抗潰瘍剤(特開2006-124370)、小麦ふすまをヘミセルラーゼ処理した腎臓病患者用食物繊維素材(特開平06-70720)、穀物ふすまを酵素処理及び湿式粉砕して得られた果皮画分とアロイロン画分からなる精製ふすまからアロイロンタンパク質に富む画分を得る方法、及び食品や飼料への該画分の使用(特表2004-520058)等が報告されているが、IBS抑制作用についての報告例はない。
特開2007-230998 特再WO05/056022 特開2007-77122 特開2005-232178 特開2006-124370 特開平06-70720 特表2004-520058
発明の開示
そこで本発明は、IBSに対して抑制的な作用を有する安全な素材を提供することを目的とする。また、本発明はかかる素材を含むIBS抑制用飲食品及びIBS抑制剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく検討を重ねた結果、穀類植物、好ましくはイネ科植物の種子から澱粉を除去し、残存した果皮・種皮等にヘミセルラーゼ処理を施した後の不溶性食物繊維を含有する不溶性画分が、IBS抑制作用を有することを見出し、本発明を完成した。本発明の要旨は、以下の通りである。
(1) 以下のステップ:(a) 穀類植物の種子を、粉砕することによって、又は搗精することにより生じる種子外側画分を回収することによって、原料物質を調製するステップ;(b) 原料物質を澱粉除去処理して澱粉除去画分を調製するステップ;(c) ステップ(b)で調製した画分をヘミセルラーゼ活性を有する酵素によって酵素処理するステップ;及び(d) 酵素処理液から不溶性画分を回収するステップを含む処理により製造される穀類植物の種子由来の不溶性食物繊維を含む、過敏性腸症候群抑制用物質。
(2) 穀類植物はイネ科植物であることを特徴とする上記(1)記載の物質。
(3) イネ科植物は、米、大麦、ライ麦又は小麦であることを特徴とする上記(2)記載の物質。
(4) ステップ(b)において、澱粉除去処理をアミラーゼ又はグルコアミラーゼを用いた酵素処理により実施することを特徴とする上記(1)記載の物質。
(5) ステップ(b)において、澱粉除去処理を加熱による糊化処理により実施することを特徴とする上記(1)記載の物質。
(6) ステップ(b)において、澱粉除去処理を物理的破壊処理により実施することを特徴とする上記(1)記載の物質。
(7) 物理的破壊処理をホモジナイザーにより実施することを特徴とする上記(6)記載の物質。
(8) ステップ(b)において、澱粉除去画分をさらに圧扁剥離処理に供することを特徴とする、上記(1)記載の物質。
(9) 前記澱粉除去処理に供する原料物質は米糠、小麦麦芽又は大麦麦芽であることを特徴とする上記(1)記載の物質。
(10) 前記澱粉除去処理に供する原料物質は脱脂米糠であることを特徴とする上記(1)記載の物質。
(11) 前記澱粉除去処理に供する原料物質は小麦ふすま又は大麦搗精粕であることを特徴とする上記(8)記載の物質。
(12) 前記澱粉除去画分はビール仕込み粕であることを特徴とする上記(8)記載の物質。
(13) ヘミセルラーゼ活性を有する酵素がキシラナーゼであることを特徴とする上記(1)〜(12)のいずれか記載の物質。
(14) ステップ(c)において、さらにプロテアーゼを併用することを特徴とする上記(1)〜(13)のいずれか記載の物質。
(15) ステップ(c)後に脱脂処理をさらに含むことを特徴とする上記(1)〜(14)のいずれか記載の物質。
(16) ステップ(d)の不溶性画分は、実質的に、5〜25メッシュのASTM(American Society for Testing and Materials)規格篩いを通過するが、500メッシュのASTM規格篩いを通過しない粒度の画分からなることを特徴とする上記(1)〜(15)のいずれか記載の物質。
(17) ステップ(d)の不溶性画分は、実質的に200メッシュのASTM規格篩いを通過しない粒度の画分からなることを特徴とする上記(16)記載の物質。
(18) タンパク質含量が20重量%以下であり、かつ食物繊維含量が55重量%以上であることを特徴とする上記(1)〜(17)のいずれか記載の物質。
(19) 不溶性食物繊維はアロイロン層が部分的に又は完全に除去されている、上記(1)〜(18)のいずれか記載の物質。
(20) 以下の特徴:
(i) 実質的に5〜25メッシュのASTM(American Society for Testing and Materials)規格篩いを通過するが、500メッシュのASTM規格篩いを通過しない粒度の画分からなる;
(ii) タンパク質含量が20重量%以下であり、かつ食物繊維含量が55重量%以上である;及び
(iii) 不溶性食物繊維のアロイロン層が部分的に又は完全に除去されている
を有する、穀類植物の種子由来の不溶性食物繊維を含有する過敏性腸症候群抑制用物質。
(21) 実質的に200メッシュのASTM規格篩いを通過しない画分からなることを特徴とする上記(20)記載の物質。
(22) 上記(1)〜(21)のいずれか記載の物質を有効成分として含む、過敏性腸症候群抑制用飲食品。
(23) 上記(1)〜(21)のいずれか記載の物質を有効成分として含む、過敏性腸症候群抑制用医薬組成物。
(24) 過敏性腸症候群を抑制するための飲食品又は医薬品を製造するための、上記(1)〜(21)のいずれか記載の物質の使用。
(25) 以下のステップ:(a) 穀類植物の種子を、粉砕することによって、又は搗精することにより生じる種子外側画分を回収することによって、原料物質を調製するステップ;(b) 原料物質を澱粉除去処理して澱粉除去画分を調製するステップ;(c) ステップ(b)で調製した画分をヘミセルラーゼ活性を有する酵素によって酵素処理するステップ;及び(d) 酵素処理液から不溶性画分を回収するステップを含む、穀類食物の種子由来の不溶性食物繊維を含有する過敏性腸症候群抑制用物質の製造方法。
(26) 以下のステップ:(a1) 穀類植物の種子を、粉砕することによって、又は搗精することにより生じる種子外側画分を回収することによって、原料物質を調製するステップ;(b1) 原料物質を物理的破壊によって澱粉除去処理して澱粉除去画分を調製するステップ;(c1) ステップ(b1)で調製した画分から5〜25メッシュのASTM(American Society for Testing and Materials)規格篩いを通過するが、500メッシュのASTM規格篩いを通過しない不溶性画分を回収するステップを含む、上記(20)記載の物質の製造方法。
(27) 上記(25)又は(26)記載の方法によって製造されるものである、上記(20)又は(21)記載の過敏性腸症候群抑制用物質。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2008-321496号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
図1は、調製試料1に含まれるアロイロン層部分の写真図を示す。 図2は、調製試料2に含まれるアロイロン層部分の写真図を示す。 図3は、調製試料3に含まれるアロイロン層部分の写真図を示す。 図4は、調製例3において、アミラーゼを65℃で作用させず冷水で澱粉のみを除去した場合のアロイロン層部分の写真図を示す。 図5は、調製試料4に含まれるアロイロン層部分の写真図を示す。 図6は、調製試料5に含まれるアロイロン層部分の写真図を示す。 図7は、調製試料6に含まれるアロイロン層部分の写真図を示す。 図8は、調製試料14に含まれるアロイロン層部分の写真図を示す。 図9は、調製試料15に含まれるアロイロン層部分の写真図を示す。 図10は、拘束ストレスモデルにおける、実験群及び比較群間の糞便排泄量の比較を示す。図中、星印は有意差(P<0.05)を示している。 図11は、拘束ストレスモデルにおける、実験群及び比較群間のバロスタット法による痛覚閾値をCRD(colorectal distension)の圧力で示した比較を示す。図中、星印は有意差(P<0.05)を示している。痛覚閾値はAWR(abdorminal withdrawal reflex; Al-Chaer ED, Kawasaki M, Pasricha PJ., Gastroenterology. 2000 Nov;119(5):1276-85)により判定した。 図12は、拘束ストレスモデルにおける、実験群及び比較群間の大腸粘膜のセロトニン含量の比較を示す。図中、星印は有意差(P<0.05)を示している。 図13は、調製試料21に含まれるアロイロン層部分の写真図を示す。 図14は、調製試料22に含まれるアロイロン層部分の写真図を示す。 図15は、調製試料23に含まれるアロイロン層部分の写真図を示す。 図16は、調製試料21、22を酵素で再分解した際の回収率を示す。 図17は、調製試料21、22を酵素で再分解した際の遊離の糖量を示す。 図18は、調製例16に従って調製した不溶性食物繊維含有物質を摂取した過敏性腸症候群ヒト患者における臨床所見改善効果を示す。
本発明のIBS抑制用物質は、穀類植物の種子由来の不溶性食物繊維を含有する不溶性画分(以下、「不溶性食物繊維含有物質」とも称する)が、IBS抑制作用を有するという知見に基づいている。
以下、本発明の不溶性食物含有物質及びその製造方法、並びに該物質を有効成分とするIBS抑制用の飲食品及び医薬品について説明する。
本発明の不溶性食物繊維含有物質は、穀類植物、好ましくはイネ科植物の種子由来の不溶性食物繊維を含有することを特徴とする。
本発明に使用することができるイネ科植物として、植物分類表において、イネ科に分類される全ての植物が挙げられる。具体的には米、大麦、小麦、ライ麦、あわ、ひえ、とうもろこし等が例示されるが、これに限定されるものではない。このうち、米、大麦、ライ麦及び小麦などを使用することが好ましい。
本発明の不溶性食物繊維含有物質は、穀類植物、好ましくはイネ科植物の種子を原料にして、澱粉等を除去した澱粉除去画分を酵素処理することにより生じる不溶性画分を回収することにより製造することができる。
具体的には、(a)穀類植物の種子を、粉砕することによって、又は搗精により生じる種子外側画分を回収することによって、原料物質を調製するステップ;(b)原料物質を澱粉除去処理して澱粉除去画分を調製するステップ;(c)ステップ(b)で調製した画分をヘミセルラーゼ活性を有する酵素によって酵素処理するステップ;及び(d)酵素処理液から不溶性画分を回収するステップを含む処理により製造することができる。
ステップ(a)は、粉砕及び/又は搗精により、穀類植物の種子から本発明の不溶性食物繊維含有物質の原料物質を得るステップである。粉砕は、例えばロールミル、ディスクミル、ハンマーミル等によって行うことができる。また搗精は、穀類植物の種子から果皮、種皮、胚芽等を除去・分離することを意味し、これは例えば、精米機または石臼のように表面を削り取る原理を有している機器によって行うことができる。搗精を行う場合には、この処理により生じる果皮、種皮、胚芽を含む種子外側画分をステップ(b)の原料物質とすることができる。このステップは、穀類植物の種子を粉砕及び/又は搗精の他、種子が穀皮を含むものである場合には脱穀処理を含んでもよい。また使用する穀類植物の種子は発芽又は未発芽のものいずれを用いてもよい。
ステップ(a)は、実質的に同等の処理が施されている材料を原料物質として使用する場合には、省略することができる。かかる材料の非限定的な例としては、小麦粉を製造した際に副次的に生成されるふすま、精米後に副次的に生成される米糠などが挙げられる。このような材料の使用は、既に穀類植物種子中の大部分の澱粉が除去されていること、及びステップの簡略化の観点から好ましい。原料物質として米糠を使用する場合には、米糠に脱脂処理を施した後に生じる脱脂米糠を使用することが好ましい。脱脂米糠は、米糠よりも安価な材料であり、香味的にも優れているからである。また等量の米糠を用いる場合に比較して、より多くの不溶性食物繊維含有物質を得ることができるという利点も有する。
ステップ(b)は、ステップ(a)で調製した原料物質から澱粉を除去し、澱粉除去画分を調製するステップである。この澱粉除去処理は、原料物質から澱粉を除去できる方法であればどのような方法を用いてもよく、例えば酵素による澱粉分解処理、加熱による糊化と糊化後の篩いによる除去、物理的破壊による澱粉除去処理などにより行うことができる。
澱粉除去処理を酵素による糖化処理により行う場合には、非限定的にアミラーゼ又はグルコアミラーゼを用いることにより行うことができる。本発明に使用することができるアミラーゼ及びグルコアミラーゼとして、これに限定されるものではないが、例えば商品名オリエンターゼ(エイチビィアイ社製)、商品名コクゲン(大和化成社製)、商品名スミチーム(新日本化学工業社製)、商品名ターマミル(ノボザイムズ社製)、商品名グルクザイム(天野エンザイム社製)などの市販の酵素製剤や、トリコデルマ属、テルモミセス属、オウレオバシヂウム属、ストレプトミセス属、アスペルギルス属、クロストリジウム属、バチルス属、テルモトガ属、テルモアスクス属、カルドセラム属、テルモモノスポラ属、フミコーラ属、リゾップス属、ペニシリウム属などの微生物により生産されるアミラーゼ、グルコアミラーゼが挙げられる。本発明で使用する上記酵素は、酵素活性を保持する限り、精製酵素、粗製酵素、固定化酵素などの任意の形態とすることができる。固定化酵素は、ポリマー、多糖類、無機物質などの担体に結合された酵素である。粗製酵素は、例えば酵素含有微生物からの酵素含有抽出物、乾燥物などの処理物を含む。また糖化処理は、一般的には、10〜90℃、好ましくは30〜60℃の温度、3〜10、好ましくは5〜7のpHで行うが、使用するアミラーゼ、グルコアミラーゼの至適温度又は至適pH近位の値にて行うことが好ましい。また酵素処理時間は、30分〜一晩、例えば3時間とすることができる。なお、酵素の添加量は、調製した原料物質の量に応じて当業者が設定することができる。
加熱による糊化は、澱粉を水中に懸濁し加熱することにより、澱粉粒が吸水して次第に膨張して最終的には粒子が崩壊し、溶解する現象を利用することによって行うことができる。その後、糊化した澱粉は篩いにより固液分離することによって除去することができる。
物理的破壊による澱粉除去処理は、例えばホモジナイザー、高速ミキサー、ホモミキサー、ホモジスターラーなどを用いた処理によって行うことができる。これらの物理的破壊による澱粉除去処理によって、澱粉の除去だけでなく、アロイロン層の一部除去を行うこともできる。
穀類植物の種子として発芽形態のものを使用する場合は、アミラーゼ又はグルコアミラーゼを外的に添加することなく、単に加熱することをもって澱粉除去処理を行うことができる。この場合には、発芽種子自身がアミラーゼを産生しているからである。
本発明の製造方法において、実質的にステップ(a)〜(b)と同等の処理が施されている材料を澱粉除去画分として以降のステップに使用してもよい。かかる材料の非限定的な例としては、ビールを製造した際に生じる大麦麦芽であるビール仕込み粕を挙げることができる。このような材料の使用は、既に大部分の澱粉が除去されていること、及びステップの簡略化の観点からも好ましい。
ステップ(b)により調製される澱粉除去画分には、アロイロン層、果皮、種皮の主要成分の他、穀皮、胚芽、その他タンパク質、脂質等が含まれていてもよい。麦芽のアロイロン層、果皮、種皮などの植物組織は、Alexander W. MacGregorら編集のBarley: Chemistry and Technology p46 Fig. 8に示されている。またJournal of Cereal Science 36 (2002) 261-284において、これらがイネ科植物の種子に共通して存在していることが示されている。
ステップ(b)は、澱粉除去画分の圧扁剥離処理をさらに含むことができる。圧扁剥離処理とは、二つのロールの回転速度が微妙に異なるロールミルの適切な隙間に多層からなる組成物を通すことで、圧扁面に平行した力が加わり層の一部を剥離させる処理を指す。圧扁剥離処理には被処理原料に圧縮力を与える構造の粉砕機であればいかなる物でも使用可能である。例えば、圧扁剥離処理には、回転速度の異なるロールミル以外にも、隙間と回転速度が制御された臼状の圧扁処理装置なども使用することができる。特にロールミルを使用することが望ましい。その際、ロール間の間隙は0.15〜0.01mm、好ましくは0.08〜0.02mmであるものとするが、剥離させる多層物に効率的な物理的破砕が施されるサイズを選択する。これにより、澱粉除去画分中に含まれるアロイロン層が露出し、ステップ(c)のヘミセルラーゼ酵素処理によるアロイロン層の除去処理をより効率的なものとすることができる。圧扁剥離処理の有無は、使用する原料物質、澱粉除去画分の種類や状態に応じて当業者が適宜選択することができる。例えば、原料物質、澱粉除去画分として小麦ふすま、大麦搗精粕及びビール仕込み粕を使用する場合に圧扁剥離処理を行うこととし、米糠、脱脂米糠、小麦麦芽及び大麦麦芽を使用する場合に圧扁剥離処理を行わないこととすることができる。また、穀類植物種子として発芽種子を使用する場合にも、かかる圧扁剥離処理を省略できるとの示唆も存在する。
ステップ(b)は、澱粉除去画分の水の存在下での篩い分け処理をさらに含むことができる。この篩い分け処理は、穀皮やその他澱粉除去画分中に大量に含まれる非標的物質を除去し、アロイロン層、果皮及び種皮を主成分とする画分(以下、果皮・種皮画分とも称する)を粗分画することを目的とするものである。この篩い分け処理は、例えば、澱粉除去画分を適切な篩い目のサイズを有するメッシュを通過させ、メッシュ上に残った画分を除去することによって行うことができる。この篩い分け処理にて使用するメッシュの篩い目のサイズは、使用する原料物質、澱粉除去画分に応じて変化する場合があるが、典型的には、ASTM(American Society for Testing and Materials)規格篩いの5〜25メッシュ、例えば12メッシュ、16メッシュ、20メッシュを使用する。この処理は、大量の非標的物質を除去することができるため、以降の操作のハンドリングの観点からも好ましい。
ステップ(b)において、上記圧扁剥離処理と篩い分け処理とを併用することが好ましい。この場合、好ましくは、この処理の組合せを2〜5回繰り返して行う。これにより、アロイロン層、果皮及び種皮を主成分とする画分をより効率的に得ることができるからである。
上記したように、使用する穀類植物種子の種類及びその発芽状態並びに原料物質の種類などに応じて、圧扁剥離処理等の前処理の有無を決めることができる。すなわち、上記ステップ(a)〜(b)は、ステップ(c)のヘミセルラーゼ酵素処理によるアロイロン層の分解をより効率的に行うための前処理ステップとして規定することができる。したがって、ステップ(c)に供する澱粉除去画分に関し、ステップ(c)の前に、ステップ(a)〜(b)による前処理が最適になされているかを確認し、必要に応じて、圧扁剥離処理等の前処理を追加又は反復することが好ましいであろう。その際、例えばステップ(a)〜(b)により調製した澱粉除去処理画分中の組織の顕微鏡観察等又はヨウ素澱粉反応を利用した分析により、前処理が最適になされているかを判断することが考えられる。
ステップ(c)は、上記の通り、ステップ(b)で調製した澱粉除去画分又は果皮・種皮画分に含まれるアロイロン層を除去するステップである。このステップは、ヘミセルラーゼ酵素活性を有する酵素による澱粉除去画分又は果皮・種皮画分の酵素処理を含む。このステップで使用することができるヘミセルラーゼ酵素活性を有する酵素として、これに限定されるものではないが、例えばβ-グルコシダーゼ、セルラーゼ、キシロシダーゼ、キシラナーゼ、マンノシダーゼ、マンナナーゼ、アラビノシダーゼ、アラバナーゼ、ペクチナーゼ、グルカナーゼなどを挙げることができる。特にキシラナーゼを含むキシラン分解酵素を使用することが好ましい。具体的に、本発明に使用することができるヘミセルラーゼとして、これに限定されるものではないが、例えば、商品名セルロシン(エイチビィアイ社製)、商品名マルチフェクト720(ジェンコア協和社製)、商品名スミチーム(新日本化学工業社製)、商品名ペントパン(ノボザイムズ社製)、商品名ヘミセルラーゼ「アマノ」90(天野エンザイム社製)などの市販の酵素製剤や、トリコデルマ属、テルモミセス属、オウレオバシヂウム属、ストレプトミセス属、アスペルギルス属、クロストリジウム属、バチルス属、テルモトガ属、テルモアスクス属、カルドセラム属、テルモモノスポラ属、フミコーラ属、リゾップス属、ペニシリウム属などの微生物により生産されるキシラナーゼを挙げることができる。
本発明で使用する上記酵素は、酵素活性を保持する限り、精製酵素、粗製酵素、固定化酵素などの任意の形態とすることができる。固定化酵素は、ポリマー、多糖類、無機物質などの担体に結合された酵素である。粗製酵素は、例えば酵素含有微生物からの酵素含有抽出物、乾燥物などの処理物を含む。ヘミセルラーゼ酵素処理は、一般的には、10〜90℃、好ましくは30〜60℃の温度、3〜10、好ましくは5〜7のpHで行うが、使用するヘミセルラーゼ酵素の至適温度又は至適pH近位の値にて行うことが好ましい。また酵素処理時間は、30分〜一晩とすることができる。なお、酵素の添加量は、調製した澱粉除去画分又は果皮・種皮画分の量に応じて当業者が設定することができる。ヘミセルラーゼ酵素処理後、澱粉除去画分又は果皮・種皮画分中のアロイロン層が部分的に又は完全に除去されていることを蛍光顕微鏡又は電子顕微鏡などで視覚的に確認することが好ましい。蛍光顕微鏡での分析法としては、「PLANT MICROTECHNIQUE AND MICROSCOPY」STEVEN E. RUZEN著 Chapter 7(p87〜119)に記載されているような当業者に一般的な方法で確認することができる。また、電子顕微鏡での分析法としても、当業者が一般的に用いる方法で確認することができる。
ステップ(c)の酵素処理において、プロテアーゼ処理を併用することが好ましい。これにより、アロイロン層を分解するために使用するヘミセルラーゼ酵素活性を有する酵素の量を、該酵素を単独で使用するよりも1/5〜1/10倍量まで減らすことができ、コスト面で有利である。
ステップ(c)は、ヘミセルラーゼ処理後の脱脂処理を含むことが好ましい。これにより、本発明の不溶性食物繊維含有物質の味質を改善及び品質を向上することができる。脱脂の方法は、特に限定されないが、例えばエタノール、アセトン、ヘキサンなどを用いた脱脂処理により行うことができる。これらの技術は当業者に自明である。なお、上記澱粉除去処理に供する原料物質として脱脂米糠を使用する場合には、かかる脱脂処理を行わなくても上記利点が得られる点に留意する。
ステップ(d)は、ステップ(c)の酵素処理液中の不溶性画分を回収するステップである。好ましくは、このステップで5〜25メッシュのASTM規格篩いを通過するが、500メッシュのASTM規格の篩いを通過しない不溶性画分が回収される。
具体的に、この篩い分け処理は、2段階方式により行うことができる。即ち、ヘミセルラーゼ処理液を第1のメッシュにて篩い分けし、篩いを通過した画分を第1のメッシュよりも篩い目の細かい第2のメッシュにて篩い分けし、篩い上に残った不溶性食物繊維に富む不溶性画分(すなわち、不溶性食物繊維含有物質)を回収する。この篩い分け処理にて使用する第1のメッシュと第2のメッシュの篩い目のサイズは、上記粒度を有する画分を回収できるような組合せであれば特に制限されない。例えば、第1のメッシュとしてASTM規格篩いの5〜25メッシュ、例えば12メッシュ、16メッシュ、好ましくは20〜25メッシュを選択し、第2のメッシュとしてASTM規格篩いの50〜500メッシュを選択することができる。この篩い分け処理により、酵素処理液中の目的の画分を得ることができる。
或いは、ステップ(d)で回収される不溶性画分は、第2のメッシュとして50〜200メッシュのASTM規格の篩いを用いることで、200メッシュのASTM規格篩いを通過しない画分として回収してもよい。
なお、ステップ(b)において、既に果皮・種皮画分を粗分画している場合には、必ずしもステップ(d)を2段階方式にて行う必要はなく、上記第2のメッシュを用いた篩い分け処理により、篩い上に残った画分を回収すればよい。
ステップ(d)で取得した不溶性画分は、通常、凍結乾燥等により乾燥し、好ましくは微粉砕等の更なる加工を施すことなく、本発明の不溶性食物繊維含有物質として使用することができる。
このようにして製造される本発明の不溶性食物繊維含有物質は、ステップ(d)の篩い分け処理に基づき、好ましくは実質的に5〜25メッシュのASTM規格篩いを通過するが、500メッシュのASTM規格篩いを通過しない画分からなる。本明細書で使用する「実質的に」とは、上記粒度範囲外の成分がわずかながら混入している不溶性食物繊維含有物質も本発明の範囲に含まれることを意図すべく使用される。したがって、実質的に5〜25メッシュのASTM規格篩いを通過するが、500メッシュのASTM規格篩いを通過しない画分からなる本発明の不溶性食物繊維含有物質は、上記粒度の画分を少なくとも90%以上、好ましくは91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%、最も好ましくは100%含んでいる。
また、上記の製法によって得られるような本発明の不溶性食物繊維含有物質は、タンパク質の含量が、好ましくは20重量%以下、例えば15重量%以下、10重量%以下などであり、不溶性食物繊維の含量が、好ましくは55重量%以上、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、例えば75重量%以上、80重量%以上などであるという性質を有する。ここでいうタンパク質の含量とは、ケルダール法を用いて得られた窒素量に、タンパク質換算係数として6.25を乗じて得た数値から求めたものである。また、食物繊維の含量は、AOAC法に基づいて求めたものである。
また本発明の不溶性食物繊維含有物質に含まれる不溶性食物繊維は、アロイロン層が部分的に又は完全に除去されている。ここでいう「部分的に」とは、不溶性食物繊維のアロイロン層の70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上が除去されていることをいう。前記不溶性食物繊維のアロイロン層は完全に除去されていることが好ましい。
不溶性食物繊維のアロイロン層が部分的に又は完全に除去されていることは、上記のように蛍光顕微鏡又は電子顕微鏡などで視覚的に確認することによる他、例えば、本発明の不溶性食物繊維含有物質をヘミセルラーゼ酵素処理に供し、当該処理後の回収率を評価することによって確認することができる。本発明の不溶性食物繊維含有物質は上記の通りアロイロン層の大部分が除去されている画分であるため、再度のヘミセルラーゼ酵素処理に供しても当該処理後の回収率が非常に高いものである。具体的に、本発明の不溶性食物繊維含有物質は、50mM酢酸緩衝液中(pH4.5、50℃)4.0%ヘミセルラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームNX)で一晩の再度のヘミセルラーゼ酵素処理に供した際に、少なくとも約70%以上、好ましくは少なくとも約80%以上の回収率を有することによって特徴付けることができる。なお、ここでいう「回収率」とは、取得された不溶性食物繊維含有物質の重量を100%として、これに再度酵素処理(4.0%ヘミセルラーゼ、pH4.5、50℃、一晩)を行った後に、凍結乾燥により得られた物質重量の相対的な値をいう。
本発明の不溶性食物繊維含有物質が有するその他の特徴として、膨潤能を挙げることができる。ここで膨潤能とは、不溶性食物繊維含有物質内(植物組織の間)に水分子を取り込み、粒子が膨らんで大きくなる特性をいう。本発明の不溶性食物繊維含有物質が膨潤能を有することは、例えば、不溶性食物繊維含有物質を一定量メスシリンダーに計り取り、それに一定量の水を入れて一定時間置き、メスシリンダーの目盛りにより膨らみを定量することによって確認することができる。本発明の不溶性食物繊維含有物質の膨潤能は、1g当たり20ml〜35mlの容積にまで膨らむことで特徴付けることができる。
以下、澱粉除去画分としてビール仕込み粕を、原料物質として小麦ふすま、米糠を使用した場合の本発明の不溶性食物繊維含有物質の製造について具体的に説明する。
本発明の不溶性食物繊維含有物質の製造は、上記の通り、ビールを製造した際に生じる大麦麦芽であるビール仕込み粕、小麦粉を製造した際に副次的に生成されるふすま、精米後に副次的に生成される米糠など利用することが経済的に好ましい。
本発明の不溶性食物繊維含有物質の製造にビール仕込み粕を使用する場合、本発明の不溶性食物繊維含有物質を得る具体的な方法の例として、特公平4-31666号公報に記載された方法を用いることができる。すなわち、湿体状態にあるビール仕込み粕を圧扁粉砕処理し、得られた圧扁粉砕処理物を水の存在下において、篩い分け処理にて果皮・種皮及びアロイロン層を大量に含む画分を調製し、それをヘミセルラーゼにて処理すればよい。
より具体的には、大麦特有の穀皮を除去するために、湿体状態のビール仕込み粕を圧扁剥離処理する。ビール仕込み粕の圧扁剥離処理には被処理原料に圧縮力を与える構造の粉砕機であればいかなる物でも使用可能であるが、特にロールミルの使用が望ましい。ロール間の間隙は0.15〜0.01mm、好ましくは0.08〜0.02mmであるものとするが、剥離させる多層物が効率的に物理的破砕が行われるサイズを選択する。ビール仕込み粕を圧扁剥離処理する際に、ビール仕込み粕中の水分を65%以上に調整することが望ましい。次に、得られた圧扁剥離処理物を水の存在下において篩い分け処理する。この篩い分け処理により、穀皮画分が篩い上に残り、アロイロン層に富む果皮・種皮画分が篩いを通過する。篩い目の寸法はASTM規格篩いの5〜20メッシュ、好ましくは16〜20メッシュとする。以上の作業により、大麦特有の穀皮を多量に含む画分を除去することができる。また、果皮・種皮画分を効率よく得るためには、更に、先の篩いより目の細かい篩いを用いて篩い分けを行う。その際に、果皮・種皮画分は篩いの上に残り、果皮・種皮画分を調製することができる。後者の篩い目の寸法は、ASTM規格篩いの50〜200メッシュとする。前記の圧扁剥離処理とこの篩い分け処理とを2〜5回繰り返して行うのが好ましい。上記のようにして得られた果皮・種皮画分にヘミセルラーゼ処理を行い、再度ASTM規格篩いの50〜200メッシュにて篩い分けし、ヘミセルラーゼによる分解物を除去し、篩いの上に残った不溶性画分が、目的の不溶性食物繊維含有物質である。こうして取得した不溶性食物繊維含有物質は、通常、乾燥させてから用いる。乾燥方法は特に限定されないが具体例としては、凍結乾燥による方法などが挙げられる。
本発明の不溶性食物繊維含有物質の製造に小麦ふすまを使用する場合、まず澱粉を除去するために、乾燥状態の小麦ふすまをアミラーゼ又はグルコアミラーゼを含んだ溶液に懸濁することにより、澱粉を分解させる処理を施す。長時間(例えば30分〜一晩)アミラーゼ反応を施した後、ヘミセルラーゼ酵素処理の効率化のために、例えばロールミルによる圧扁剥離処理を行う。ロール間の間隙は、0.15〜0.01mm、好ましくは0.08〜0.02mmであるものとするが、剥離させる多層物が効率的に物理的破砕が行われるサイズを選択する。次に、篩い目がASTM規格篩いの50〜200メッシュ、好ましくは200メッシュにて篩い分けし、アミラーゼによる分解物を除去し、篩いの上に残った果皮・種皮画分を回収する。次に、本画分をヘミセルラーゼを含んだ溶液に懸濁し、長時間(例えば30分〜一晩)反応後、同様に、篩い目がASTM規格篩いの50〜200メッシュ、好ましくは200メッシュにて篩い分けし、ヘミセルラーゼによる分解物を除去し、篩いの上に残った不溶性画分を回収することにより、本発明の不溶性食物繊維含有物質を得ることができる。こうして取得した不溶性食物繊維含有物質は、通常、乾燥させてから用いられる。乾燥方法は特に限定されないが具体例としては、凍結乾燥による方法などが挙げられる。
本発明の不溶性食物繊維含有物質の製造に米糠を使用する場合、まず澱粉を除去するために、乾燥状態の米糠をアミラーゼ又はグルコアミラーゼを含んだ溶液に懸濁することにより、澱粉を分解させる処理を施す。長時間(例えば30分〜一晩)アミラーゼ反応を施した後に、篩い目がASTM規格篩いの50〜200メッシュ、好ましくは200メッシュにて篩い分けし、アミラーゼによる分解物を除去し、篩いの上に残った果皮・種皮画分を回収する。次に、本画分をヘミセルラーゼを含んだ溶液に懸濁し、長時間(例えば30分〜一晩)反応後、同様に、篩い目がASTM規格篩いの50〜200メッシュ、好ましくは200メッシュにて篩い分けし、ヘミセルラーゼによる分解物を除去し、篩いの上に残った画分を回収することにより本発明の不溶性食物繊維含有物質を得ることができる。こうして取得したこの不溶性食物含有物質は、通常、乾燥させてから用いられる。乾燥方法は特に限定されないが、凍結乾燥による方法などが挙げられる。
以上、本発明の不溶性食物繊維含有物質及びその製造方法を説明してきたが、本発明の不溶性食物繊維含有物質の製造方法は上記方法に限定されるものではない。すなわち、穀類植物の種子から、以下の特徴(i)〜(iii)を有する不溶性食物繊維含有物質を製造することができるものであれば、他の製造方法を採用してもよい:(i) 実質的に、5〜25メッシュのASTM規格篩いを通過するが、500メッシュのASTM規格篩いを通過しない粒度の画分からなり;(ii) タンパク質含量が20重量%以下であり、かつ食物繊維含量が55重量%以上であり;かつ(iii) 不溶性食物繊維のアロイロン層が部分的に又は完全に除去されている。
上記特徴を有する本発明の不溶性食物繊維含有物質の代替的な製造方法の例として、以下のステップ:(a1) 穀類植物の種子を、粉砕することによって、又は搗精することにより生じる種子外側画分を回収することによって、原料物質を調製するステップ;(b1) 原料物質を物理的破壊を含む澱粉除去処理に供するステップ;(c1) ステップ(b1)で調製した画分から5〜25メッシュのASTM規格篩いを通過するが、500メッシュのASTM規格篩いを通過しない不溶性画分を回収するステップを含む方法が挙げられる。
この方法は、物理的破壊を含む澱粉除去処理に供する点、及びヘミセルラーゼ活性を有する酵素による酵素処理ステップを含まない点を除き、上記方法と同様にして行うことができる。
この方法において、物理的破壊による澱粉除去処理は、例えばホモジナイザー、高速ミキサー、ホモミキサー、ホモジスターラーなどを用いた処理によって行うことができる。これにより澱粉除去処理に併せてアロイロン層の除去を行うことができる。
上記澱粉除去処理は、上記方法のステップ(b)で説明した篩い分け処理を併用して複数回、例えば2〜5回実施することが好ましい。これにより澱粉除去処理とこれに伴うアロイロン層の除去をより効率的に行うことができる。
上記澱粉除去処理は、物理的破壊以外の他の澱粉除去処理、例えば酵素による澱粉分解処理、加熱による糊化、糊化後の篩いによる除去を併用してもよい。
上記のようにして製造した本発明の不溶性食物繊維含有物質は、IBS抑制のために摂取・投与されるものであることを特徴とする。IBSは、過敏性大腸症候群とも称され、主として大腸の運動及び内臓知覚の異常の結果として生じる疾患の総称である。IBSにおいては、炎症や潰瘍など目に見える異常は認められないが、下痢や便秘などの便通の異常や、ガス過多による下腹部の張りなどの症状が認められる。症状の現れ方によって、不安定型、慢性下痢型、分泌型、ガス型の4種に分けることができるが、本発明の不溶性食物繊維含有物質はいずれのIBS型に対して使用してもよい。本明細書で使用する「IBSを抑制する」という用語は、IBSに関連する症状の1つ以上を改善又は予防すること、及びIBSに関連するパラメータ値の1つ以上を改善又は維持することをいう。前記症状としては、便秘、下痢、腹痛、腹部膨満感、便意切迫感、残便感などが挙げられ、「症状を改善する」とはそれら症状の重症度、病悩期間、発現頻度を改善することをいう。また、前記パラメータ値としては、大腸粘膜のセロトニン含量、大腸での痛覚閾値、ストレス負荷時の糞便排泄量などが挙げられ、「パラメータ値を改善する」とは、それらのパラメータ値をストレス負荷の有無で同等の状態にまで回復させることをいう。
本発明の不溶性食物繊維含有物質は、IBS抑制用物質としてそのまま又は飲食品若しくは医薬中の有効成分として摂取・投与することで、IBSを抑制することができる。また、日常的に摂取・投与することによりIBSに罹ることを予防することができる。この目的のために、本発明の不溶性食物繊維含有物質を1日あたり1g以上、2g以上、3g以上、4g以上、5g以上、6g以上、7g以上、8g以上、9g以上、好ましくは10g以上、12g以上、14g以上、16g以上、18g以上、20g以上、30g以上摂取・投与することが望ましい。
本発明の不溶性食物繊維含有物質は、穀類植物の種子から食品用酵素により処理して得られた成分であるので、日常の食生活に取り入れることができる。また、投与ないしは摂取の時期は、食前、食間及び食後のいずれの時期でもよい。
本発明の不溶性食物繊維含有物質を飲食品に配合してIBS抑制用飲食品を提供する場合、あらゆる食品形態に加工することが可能である。本発明の不溶性食物繊維含有物質を配合することのできる飲食品としては、天然物及びその加工品を含む飲食物等を挙げることができる。またその配合量は、飲食品の形態に応じて異なるが、100gに対し、本発明の不溶性食物繊維含有物質を0.1〜90g、好ましくは1〜50g程度配合することができる。
飲食品の例としては、これに限定されるものではないが、錠剤形、粉末状、顆粒状、カプセル状、ゼリー状等の機能性食品、パン類、菓子類、クッキー、ビスケット等の穀類加工品、牛乳、ヨーグルト、アイスクリーム等の乳製品類、炭酸飲料、清涼飲料、果汁入り飲料、薬系ドリンク等の飲料、惣菜や加工食品等が挙げられる。
本発明の不溶性食物繊維含有物質を医薬品(医薬組成物)中の有効成分として配合する場合には、IBS抑制剤として製剤化することができる。製剤の投与形態は特に限定されないが、例えば投与経路として、経口投与、経腸投与等を挙げることができる。経口投与又は経腸投与の場合、本発明のIBS抑制用物質をそのまま投与してもよいが、医薬的に許容できる賦形剤とともに、液剤、懸濁剤、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤などの形態で投与してもよい。
医薬的に許容できる賦形剤としては、これに限定されるものではないが、乳糖、ショ糖、ブドウ糖などの糖類、デンプン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等の無機物、結晶セルロース、蒸留水、精製水、ゴマ油、ダイズ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油等の一般に使用されているものを例示することができる。また賦形剤の他、結合剤、滑沢剤、分散剤、懸濁剤、乳化剤、希釈剤、緩衝剤、抗酸化剤、細菌抑制剤などの添加剤を使用することができる。他の医薬品と混合、或いは併用することも可能である。なお、上記の製剤は殺菌処理を行なってもよい。
本発明の医薬を適用する対象は特に限定されず、健常者、IBS患者、IBSの治療中の患者、IBSの予防を検討している健常者等のいずれであってもよい。またその対象はヒトに限らず、ヒト以外の動物に適用してもよい。
本発明の医薬品の投与量は、被験者の年齢、体重、性別、肥満の程度など、様々な要因に応じて変化するが、典型的には、本発明の不溶性食物含有物質を1日あたり、1g以上、2g以上、3g以上、4g以上、5g以上、6g以上、7g以上、8g以上、9g以上、好ましくは10g以上、12g以上、14g以上、16g以上、18g以上、20g以上、30g以上投与する量とし、投与間隔は特に制限されない。
本発明の不溶性食物繊維含有物質は、効率的にIBSを抑制することができ、かつ、穀類植物の種子から食品用酵素により処理して得られた成分であるので、安全性が高く、飲食品又は医薬における使用に有用である。
さらに、本発明の不溶性食物繊維含有物質は、米糠や小麦ふすまといった、比較的安価な原料から製造することが可能であるため、コスト面にも優れている。
飲食品又は医薬品組成物に、本発明の不溶性食物繊維含有物質が含まれている場合は、以下の方法で検出することができる。すなわち、最初に飲食品又は医薬品組成物を水に懸濁した後、水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、不溶性画分を回収する。そして、ナイルブルー又はその他の疎水性物質の染色等に適した染色試薬で前記不溶性画分を染色し、蛍光顕微鏡などで観察することにより、本発明の不溶性食物繊維含有物質を検出することができる。その際、本発明の不溶性食物繊維含有物質は、染色される層と染色されない層が重なっているという特徴により、他の不溶性組成物と区別することができる。染色に適したその他の試薬としては、ズダンIII、ズダンブラック、オイルレッド、フルオロルイエロー088などが挙げられる。
以下の調製例及び試験例により、本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の範囲はこれらの具体例により限定されるものではない。調製例及び試験例中、特に断らない限り、%表示は重量基準によるものとする。また、分析により求める各成分値について、粗タンパク質はケルダール法を(窒素のタンパク質換算係数は6.25とした。)用いて、粗脂肪はジエチルエーテルを抽出溶媒としたソックスレー抽出法を用いて測定した。食物繊維の含量は、AOAC法に基づいて求めた。
〔調製例1〕(ビール仕込み粕⇒ロールミル)
湿体状態のビール仕込み粕(水分:77.6重量%)をロールミル(ロール回転数:100rpm、ロール間隙:0.08mm)で圧扁剥離処理後、水中で16メッシュ篩い(ASTM規格:篩い目開き1.18mm)を用いて篩い分けし、通過画分をさらに50メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.300mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収して凍結乾燥に供した後、不溶性食物繊維含有物質を得た。これを調製試料1とした。この分析値は下記表1に示すとおりである。また、調製試料1に含まれるアロイロン層部分の走査型電子顕微鏡写真像を図1に示す。
〔調製例2〕(ビール仕込み粕⇒ロールミル+ヘミセルラーゼ)
湿体状態のビール仕込み粕(水分:77.6重量%)をロールミル(ロール回転数:100rpm、ロール間隙:0.08mm)で圧扁剥離処理後、水中で16メッシュ篩い(ASTM規格:篩い目開き1.18mm)を用いて篩い分けし、通過画分をさらに50メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.300mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収した。回収した画分にヘミセルラーゼ製剤(新日本化学工業社(日本)製スミチームNX)1.0%を50mM酢酸緩衝液中(pH4.5、50℃)で1晩反応させて、植物組織のアロイロン層を完全に分解した後、水中で200メッシュ(篩い目開き:0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収して凍結乾燥に供した後、不溶性食物繊維含有物質を得た。これを調製試料2とした。この分析値は下記表1に示すとおりである。また、調製試料2に含まれるアロイロン層部分の走査型電子顕微鏡写真像を図2に示す。
〔調製例3〕(裸麦芽⇒澱粉分解)
発芽した裸大麦(裸麦芽)を原料とした。佐竹製作所製の醸造用テスト精米機TDB2A(使用回転数500rpm)により穀皮を除去した後に、それをディスクミルにより粉砕した。その後、加水して65℃で3時間保持して、裸麦芽の持つアミラーゼを利用して澱粉を分解した。澱粉分解後、水中で12メッシュ篩い(ASTM規格:篩い目開き1.68mm)を用いて篩い分けし、通過画分をさらに200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収して凍結乾燥に供した後、不溶性食物繊維含有物質を得た。これを調製試料3とした。この分析値は下記表2に示すとおりである。また、調製試料3に含まれるアロイロン層部分の走査型電子顕微鏡写真像を図3に示す。ちなみにアミラーゼを65℃で作用させず冷水で澱粉のみを除去した場合のアロイロン層は、図4のような状態となる。
〔調製例4〕(裸麦芽⇒澱粉分解+ロールミル+ヘミセルラーゼ)
発芽した裸大麦(裸麦芽)を原料とした。佐竹製作所製の醸造用テスト精米機TDB2A(使用回転数500rpm)により穀皮を除去した後に、それをディスクミルにより粉砕した。その後、加水して65℃で3時間保持して、裸麦芽の持つアミラーゼを利用して澱粉を分解した。澱粉分解後、水中で12メッシュ篩い(ASTM規格:篩い目開き1.68mm)を用いて篩い分けし、通過画分をさらに200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収した。次に、回収した画分を湿体状態でロールミル(ロール回転数:100rpm、ロール間隙:0.08mm)で圧扁剥離処理後、水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収し、ヘミセルラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームNX)1.0%を50mM酢酸緩衝液中(pH4.5、50℃)で1晩反応させて、植物組織のアロイロン層を完全に分解した。再度、水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収して凍結乾燥に供した後、不溶性食物繊維含有物質を得た。これを調製試料4とした。この分析値は下記表2に示すとおりである。また、調製試料4に含まれるアロイロン層部分の走査型電子顕微鏡写真像を図5に示す。
〔調製例5〕(裸大麦⇒澱粉分解)
未発芽の裸大麦(裸大麦)を原料とした。佐竹製作所製の醸造用テスト精米機TDB2A(使用回転数800rpm)により穀皮を除去した後に、それをディスクミルにより粉砕した。その後、アミラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームAS)2.0%を50mM酢酸緩衝液中(pH4.5、65℃)で3時間反応させて、裸大麦中の澱粉を分解した。澱粉分解後、水中で12メッシュ篩い(ASTM規格:篩い目開き1.68mm)を用いて篩い分けし、通過画分をさらに200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収して凍結乾燥に供した後、不溶性食物繊維含有物質を得た。これを調製試料5とした。この分析値は下記表3に示すとおりである。また、調製試料5に含まれるアロイロン層部分の走査型電子顕微鏡写真像を図6に示す。
〔調製例6〕(裸大麦⇒澱粉分解+ロールミル+ヘミセルラーゼ)
未発芽の裸大麦(裸大麦)を原料とした。佐竹製作所製の醸造用テスト精米機TDB2A(使用回転数800rpm)により穀皮を除去した後に、それをディスクミルにより粉砕した。その後、アミラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームAS)2.0%を50mM酢酸緩衝液中(pH4.5、65℃)で3時間反応させて、裸大麦中の澱粉を分解した。澱粉分解後、水中で12メッシュ篩い(ASTM規格:篩い目開き1.68mm)を用いて篩い分けし、通過画分をさらに200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収した。回収した画分を湿体状態でロールミル(ロール回転数:100rpm、ロール間隙:0.08mm)で圧扁剥離処理後、水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収した。次に、回収した画分にヘミセルラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームNX)1.0%を50mM酢酸緩衝液中(pH4.5、50℃)で1晩反応させて、植物組織のアロイロン層を完全に分解した。再度、水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収して凍結乾燥に供した後、不溶性食物繊維含有物質を得た。これを調製試料6とした。この分析値は下記表3に示すとおりである。また、調製試料6に含まれるアロイロン層部分走査型電子顕微鏡写真像を図7に示す。
〔調製例7〕(裸麦芽⇒澱粉分解+ロールミル)
発芽した裸大麦(裸麦芽)を原料とした。佐竹製作所製の醸造用テスト精米機TDB2A(使用回転数500rpm)により穀皮を除去した後に、それをディスクミルにより粉砕した。その後、加水して65℃で3時間保持して、裸麦芽の持つアミラーゼを利用して澱粉を分解した。澱粉分解後、水中で12メッシュ篩い(ASTM規格:篩い目開き1.68mm)を用いて篩い分けし、通過画分をさらに200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収した。回収した画分を湿体状態でロールミル(ロール回転数:100rpm、ロール間隙:0.08mm)で圧扁剥離処理後、水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収して凍結乾燥に供した後、不溶性食物繊維含有物質を得た。これを調製試料7とした。この分析値は下記表4に示すとおりである。
〔調製例8〕((裸麦芽⇒澱粉分解+ヘミセルラーゼ)
発芽した裸大麦(裸麦芽)を原料とした。佐竹製作所製の醸造用テスト精米機TDB2A(使用回転数500rpm)により穀皮を除去した後に、それをディスクミルにより粉砕した。その後、加水して65℃で3時間保持して、裸麦芽の持つアミラーゼを利用して澱粉を分解した。澱粉分解後に、ヘミセルラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームNX)1.0%を50mM酢酸緩衝液中(pH4.5、50℃)で1晩反応させて、植物組織のアロイロン層を完全に分解した後、水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収して凍結乾燥に供した後、不溶性食物繊維含有物質を得た。これを調製試料8とした。この分析値は下記表4に示すとおりである。
〔調製例9〕(裸麦芽⇒澱粉分解+ロールミル+ヘミセルラーゼ)
再度、調製例4と同様の処理を行い、不溶性食物繊維含有物質を得た。これを調製試料9とした。この分析値は下記表4に示すとおりである。
〔調製例10〕(米糠⇒澱粉分解+ヘミセルラーゼ)
米糠を原料とした。アミラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームAS)2.0%を50mM酢酸緩衝液中(pH4.5、65℃)で3時間反応させて、米糠中の澱粉を分解した。澱粉分解後、水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収した。次に、ヘミセルラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームNX)1.0%を50mM酢酸緩衝液中(pH4.5、50℃)で1晩反応させて、植物組織のアロイロン層を完全に分解した後、再び水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収して凍結乾燥に供した後、不溶性食物繊維含有物質を得た。これを調製試料10とした。この分析値は下記表5に示すとおりである。
〔調製例11〕(米糠⇒澱粉分解+ヘミセルラーゼ)
再度、調製例10と同様の処理を行い、不溶性食物繊維含有物質を得た。これを調製試料11とした。この分析値は下記表6に示すとおりである。
〔調製例12〕(米糠⇒澱粉分解+ヘミセルラーゼ⇒脱脂処理)
米糠を原料とした。アミラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームAS)2.0%を50mM酢酸緩衝液中(pH4.5、65℃)で3時間反応させて、米糠中の澱粉を分解した。澱粉分解後、水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収した。次に、ヘミセルラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームNX)1.0%を50mM酢酸緩衝液中(pH4.5、50℃)で1晩反応させて、植物組織のアロイロン層を完全に分解した後、再び水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収した。回収した画分をエタノールにより脱脂処理を行い、凍結乾燥に供した後、不溶性食物繊維含有物質を得た。これを調製試料12とした。この分析値は下記表6に示すとおりである。
〔調製例13〕(ふすま⇒澱粉分解+ヘミセルラーゼ)
ふすまを原料とした。アミラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームAS)2.0%を50mM酢酸緩衝液中(pH4.5、65℃)で3時間反応させて、ふすま中の澱粉を分解した。澱粉分解後、水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収した。次に、ヘミセルラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームNX)1.0%を50mM酢酸緩衝液中(pH4.5、50℃)で1晩反応させて、植物組織のアロイロン層を完全に分解した後、再び水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収して凍結乾燥に供した後、不溶性食物繊維含有物質を得た。これを調製試料13とした。この分析値は下記表7に示すとおりである。
〔調製例14〕(米糠⇒澱粉分解+ヘミセルラーゼ)
米糠を原料とした。アミラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームAS)2.0%を50mM酢酸緩衝液中(pH4.5、65℃)で3時間反応させて、米糠中の澱粉を分解した。澱粉分解後、水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収した。次に、ヘミセルラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームNX)1.0%を50mM酢酸緩衝液中(pH4.5、50℃)で1晩反応させて、植物組織のアロイロン層を完全に分解した後、再び水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収して凍結乾燥に供した後、不溶性食物繊維含有物質を得た。これを調製試料14とした。この分析値は下記表8に示すとおりである。また、調製試料14に含まれるアロイロン層部分の走査型電子顕微鏡写真像を図8に示す。
〔調製例15〕(米糠⇒ホモジナイズ攪拌による澱粉除去)
米糠を原料として水に懸濁し、特殊機化工業株式会社製(現プライミクス株式会社)攪拌機T.k.ロボミックスに常温で供した後(10,000RPM、約20分)、水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収することにより澱粉を除去した。この操作を2回繰り返し、澱粉の除去効率を高めた。また、2回目の操作時には、80℃加温という殺菌工程を組み入れた。最後に、200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、回収した通過しない画分を凍結乾燥に供した後、不溶性食物繊維含有物質を得た。これを調製試料15とした。この分析値は下記表8に示すとおりである。また、調製試料15に含まれるアロイロン層部分の走査型電子顕微鏡写真像を図9に示す。
〔調製例16〕(脱脂米糠⇒澱粉分解+ヘミセルラーゼ)
脱脂米糠(築野食品工業株式会社製)を原料とした。アミラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームAS)2.0%を50mM酢酸緩衝液中(pH4.5、65℃)で3時間反応させて、米糠中の澱粉を分解した。澱粉分解後、水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収した。次に、ヘミセルラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームNX)1.0%を50mM酢酸緩衝液中(pH4.5、50℃)で1晩反応させて、植物組織のアロイロン層を完全に分解した後、再び水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収して凍結乾燥に供した後、不溶性食物繊維含有物質を得た。これを調製試料16とした。この分析値は下記表8に示すとおりである。
〔調製例17〕(米糠⇒澱粉分解+ヘミセルラーゼ⇒200メッシュを通過しない画分)
米糠を原料とした。アミラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームAS)2.0%を50mM酢酸緩衝液中(pH4.5、65℃)で3時間反応させて、米糠中の澱粉を分解した。澱粉分解後、水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収した。次に、ヘミセルラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームNX)1.0%を50mM酢酸緩衝液中(pH4.5、50℃)で1晩反応させて、植物組織のアロイロン層を完全に分解した後、再び水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収して凍結乾燥して、不溶性食物繊維含有物質を得た。これを調製試料17とした。この分析値は下記表9に示すとおりである。
〔調製例18〕(米糠⇒澱粉分解+ヘミセルラーゼ⇒200〜500メッシュ画分)
米糠を原料とした。アミラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームAS)2.0%を50mM酢酸緩衝液中(pH4.5、65℃)で3時間反応させて、米糠中の澱粉を分解した。澱粉分解後、水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収した。次に、ヘミセルラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームNX)1.0%を50mM酢酸緩衝液中(pH4.5、50℃)で1晩反応させて、植物組織のアロイロン層を完全に分解した後、再び水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過する画分を回収してそれをさらに500メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.025mm)篩を用いて篩分けし、通過しない画分を回収して凍結乾燥して、不溶性食物繊維含有物質を得た。これを調製試料18とした。この分析値は下記表9に示すとおりである。
〔調製例19〕(米糠⇒澱粉分解+ヘミセルラーゼ⇒200メッシュを通過しない画分)
脱脂米糠(築野食品工業株式会社製)を原料とした。アミラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームAS)2.0%を50mM酢酸緩衝液中(pH4.5、65℃)で3時間反応させて、米糠中の澱粉を分解した。澱粉分解後、水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収した。次に、ヘミセルラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームNX)1.0%を50mM酢酸緩衝液中(pH4.5、50℃)で1晩反応させて、植物組織のアロイロン層を完全に分解した後、再び水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収して凍結乾燥に供した後、不溶性食物繊維含有物質を得た。これを調製試料19とした。この分析値は下記表10に示すとおりである。
〔調製例20〕(調製例19⇒微粉砕⇒500メッシュを通過画分)
調製例19において得られた不溶性食物繊維含有物質を微粉砕化(マイクロフーズジャパン株式会社加工)した後に、水に懸濁させ、水中で500メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.025mm)篩いを用いて篩い分けし、通過する画分を回収後、凍結乾燥して不溶性食物繊維含有物質を得た。これを調製試料20とした。この分析値は下記表10に示すとおりである。
〔試験例1〕 上記調製例16に従って調製した不溶性食物繊維含有物質を用いてIBSに関連する症状又はパラメータ値を改善できるかについて試験した。
下記試験に使用した対照飼料、実験飼料の組成は表11に示す通りである。
実験動物に対照飼料、実験飼料を投与し、順化したのちに、広くIBSモデル作成に使用されている方法のうち、IBS治療薬の動物評価にも使用されている拘束ストレス法(Miyata K, Kamato T, Nishida A, Ito H, Yuki H, Yamano M, Tsutsumi R, Katsuyama Y, Honda K., J Pharmacol Exp Ther. 1992; 261: 297-303.)を用いて本発明の不溶性食物繊維含有物質のIBS抑制作用について評価した。具体的には、拘束ケージを用いて動物に拘束ストレスを1日4時間、連続3日与えて、ストレス負荷時の糞便排泄量、大腸での痛覚閾値、及び大腸粘膜のセロトニン含量を評価した。
〔糞便排泄量評価〕
本試験では、5週令の雄のSDラットを各群10匹用い、群は対照群、実験群の2群とした。1週間環境順化後に、体重で組分けした。その後10日間各飼料で飼育し、各群半分の5匹をストレス負荷あり、残り半分をストレス負荷なしとした。10日の飼育後に連続3日の拘束ストレス負荷を行い、1回のストレスは4時間とし、連続3日の負荷とした。詳細は宮田らの方法(前掲)を参考にした。簡潔に説明すると、夏目製作所(日本)のラット用拘束ケージにラットを4時間保定した。その後解放して通常の飼育ケージにもどした。なお、ストレス負荷をしない個体はそのままの飼育を継続した。
本試験ではストレス負荷開始時から終了時まで、すべての個体から採便し、乾燥重量を測定し、3日分の平均値を4時間当たりの糞便排泄量とした。結果を図10に示す。
図10に示すように、拘束ストレスを負荷すると、対照群では糞便排泄が有意に増加するが、実験群ではその増加を抑制し、抗ストレス作用が確認された。
〔大腸における痛覚閾値評価〕
試験例2では、5週令の雄のSDラットを各群10匹用い、群は対照群、実験群、陽性対照としてのコロネルの3群とした。1週間環境順化後に、体重で組分けする。その後10日間各飼料で飼育し、各群半分の5匹をストレス負荷あり、残り半分をストレス負荷なしとした。10日の飼育後に連続3日の拘束ストレス負荷を行い、1回のストレスは4時間とし、連続3日の負荷とした。3日目のストレス負荷終了直後にバロスタット法により痛覚閾値の測定を行った。痛覚閾値はAWR(abdorminal withdrawal reflex; Al-Chaer ED, Kawasaki M, Pasricha PJ., Gastroenterology. 2000 Nov;119(5):1276-85)により判定した。ストレス負荷をしない個体は別の日に痛覚閾値測定を実施した。結果を図11に示す。
図11に示すように、拘束ストレスを負荷すると、対照群ではCRD(大腸の拡張による痛覚閾値)の有意な低下が確認されたが、実験群、および陽性対照のコロネルではその有意な低下が生じず、IBSで確認されている痛覚閾値の低下が抑制された。
〔大腸粘膜のセロトニン含量の評価〕
本試験では、上記と同じように飼育、ストレス負荷を行い、3日目のストレス負荷終了直後に麻酔下で解剖に供し、大腸を摘出し、大腸粘膜中のセロトニン含量を市販のELISAキット(Serotonin EIA, Labor Diagnostika Nord GmbH)で測定した。結果を図12に示す。
図12に示すように、拘束ストレスを負荷すると、対照群では大腸粘膜では消化管運動に関係するセロトニンの急激な放出が生じる。対照群ではストレスの負荷により有意な上昇が認められるが、実験群、コロネルではその上昇は有意なものではなく、抗ストレス作用が確認された。
〔調製例21〕(脱脂米糠⇒澱粉分解+ヘミセルラーゼ)
脱脂米糠を原料とし、調製例16と同様にして不溶性食物繊維含有物質を調製した。すなわち、アミラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームAS)1.0%で、乳酸を添加してpHを調製後(pH4.5、65℃)、3時間反応させて、米糠中の澱粉を分解した。澱粉分解後、水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収した。次に、ヘミセルラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームNX)0.5%で、乳酸を添加してpHを調製後(pH4.5、50℃)、1晩反応させて、植物組織のアロイロン層を分解した後、水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収して凍結乾燥に供した後、不溶性食物繊維含有物質を得た。これを調製試料21とした。この分析値は下記表12に示すとおりである。
また、調製試料21に含まれるアロイロン層部分の走査型電子顕微鏡写真像を図13に示す。
〔調製例22〕(脱脂米糠⇒澱粉分解+ヘミセルラーゼ、酵素量を調製例21より低減化)
脱脂米糠を原料として、アミラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームAS)0.5%で、乳酸を添加してpHを調製後(pH4.5、65℃)、3時間反応させて、米糠中の澱粉を分解した。澱粉分解後、水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収した。次に、ヘミセルラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームNX)0.2%で、乳酸を添加してpHを調製後(pH4.5、50℃)、1晩反応させて、植物組織のアロイロン層を分解した後、水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収して凍結乾燥に供した後、不溶性食物繊維含有物質を得た。
これを調製試料22とした。この分析値は下記表12に示すとおりである。また、調製試料22に含まれるアロイロン層部分の走査型電子顕微鏡写真像を図14に示す。
〔調製例23〕(調製試料の再ヘミセルラーゼ処理)
再度、調製試料22をヘミセルラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームNX)1.0%、乳酸を添加してpHを調整後(pH4.5、50℃)、1晩反応させ、再び水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収して凍結乾燥に供し、不溶性食物繊維含有物質を得た。これを調製試料23とした。調製試料23の分析値は下記表13に示すとおりである。また、調製試料23に含まれるアロイロン層部分の走査型電子顕微鏡写真像を図15に示す。
〔試験例2〕
調製試料21、22を、再度、ヘミセルラーゼ製剤(新日本化学工業社製スミチームNX)4.0%で、50mM酢酸緩衝液中(pH4.5、50℃)で1晩反応させ、再び水中で200メッシュ(ASTM規格:篩い目開き0.075mm)篩いを用いて篩い分けし、通過しない画分を回収して凍結乾燥に供した後、回収率を算出した。また、ヘミセルラーゼ処理の際にアロイロン層を構成する主だった糖として、アラビノース、キシロースの遊離量も調査した。
〔試験例2の結果〕
調製試料21をヘミセルラーゼで再分解した際の回収率は78%であり、調製試料22を同様に分解した際の回収率は69%であった(図16)。また、各試料を分解した際の遊離のアラビノース、キシロース量を調査した結果、いずれも調製試料22を分解した場合の方が遊離のアラビノース、キシロースが多いことが判明した(図17)。アラビノース、キシロースは、アロイロン層を構成する主要な糖であり、ヘミセルラーゼ処理によりこれらの糖が遊離しているということは、ヘミセルラーゼ処理により、アロイロン層が分解されていると推察できる。
調製試料21は、試験例1において実際にそのIBS抑制効果が立証された調製例16と同様にして調製されたものである。上記結果から、当該試験例と同様の条件下でのヘミセルラーゼ処理による再分解に供した際に、回収率が少なくとも約70%以上、好ましくは約80%以上である調製試料にはIBS抑制効果が認められると推認できる。また、この指標をもって、アロイロン層の分解度合いを表現することができる。
〔試験例3〕(過敏性腸症候群患者における臨床所見改善効果)
患者選択基準としてRome III基準に準拠したIBS患者のうち、下痢型の患者とし、16〜74歳の男女で、医師により試験参加が判断した通院患者で、上記調製例16に従って調製した不溶性食物繊維含有物質の摂取を受けることに対して十分な説明を受けた後に承諾し、摂取試験に協力する事に同意する者を対象とした。(除外基準としては、他の合併症を有する症例のうち、薬効に影響すると考えられる薬剤の摂取を必要とする症例、癌或いはdysplasiaを合併している症例、妊娠している可能性のある婦人、妊婦、胃腸管切除歴のある症例、腸管の閉塞症状が認められる症例、米に対してアレルギー症状を有する症例、その他、医師が摂取試験の対象として不適切と判断した症例とした。)当該不溶性食物繊維含有物質を1日10〜15g、4週間摂取して、摂取後の臨床所見、患者の生活印象などを以下の項目にしたがって評価した。試験参加者は男性4、女性1(平均年齢31歳)が試験に参加し、全員がIBS治療薬の摂取を受けているが、抵抗性を有する症例であった。評価方法は表14のとおりAm J Gastroenterol 101; 1581-1590, 2006に記載の方法に準じて行った。
各項目について1:著明改善、2:中等度改善、3:軽度改善、4:不変、5:悪化、6:判定不能の6段階で判定した。また、臨床所見総合改善度は上記指標に安全性に関する結果も踏まえ、総合的に勘案して試験を担当する医師が同じく6段階で評価した。結果を図18に示す。
図18に示すように、当該不溶性食物繊維含有物質の摂取を4週間継続(平均12g/日の摂取量であった)することで、全般改善度、ならびに臨床所見総合評価が改善することが確認された。さらに、この試験においては、当該不溶性食物繊維含有物質の摂取との関連性を示す有害事象は認められず、過敏性腸症候群患者においても安全性に問題となる懸念はないと考えられた。
本発明によれば、IBSを抑制するための新規な物質(以下、IBS抑制用物質とも称する)が提供される。
本発明のIBS抑制用物質は、穀類植物、好ましくはイネ科植物の種子由来の不溶性食物繊維を豊富に含み、副作用がないという利点を有するため、IBS抑制用の飲食品又は医薬における使用に有用である。
本発明の穀類植物、好ましくはイネ科植物の種子由来の不溶性食物繊維を含有する物質は、IBS抑制効果、例えばストレス負荷時の急激な糞便排泄や痛覚閾値低下などのIBSに関連する症状の1つ以上を有効に軽減することができるIBS抑制用物質として提供される。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。

Claims (11)

  1. (1)以下のステップ:
    (a)イネの種子を、粉砕することによって、又は搗精することにより生じる種子外側画分を回収することによって、米糠を調製するステップ;
    (b1)米糠を澱粉除去処理して澱粉除去画分を調製するステップ;
    (b2)澱粉除去画分から、篩い分け処理により果皮・種皮画分を回収するステップ;
    (c)ステップ(b2)で調製した画分をヘミセルラーゼ活性を有する酵素によって酵素処理するステップ;及び
    (d)酵素処理液から不溶性画分を回収するステップ
    を含む処理により製造される、イネの種子由来の不溶性食物繊維を含有する、但し、
    (1−1)ステップ(d)の不溶性画分は、5〜25メッシュのASTM(American Society for Testing and Materials)規格篩いを通過するが、200メッシュのASTM規格篩いを通過しない粒度の画分からなる;及び、
    (1−2)ステップ(d)の不溶性食物繊維のアロイロン層が90%以上又は完全に除去されている;
    (2)タンパク質含量が20重量%以下であり、かつ食物繊維含量が55重量%以上である
    とを特徴とする物質を含む、組成物であって、過敏性腸症候群抑制用飲食品又は過敏性腸症候群抑制用医薬組成物である、上記組成物
  2. ステップ(b1)において、澱粉除去処理をアミラーゼ又はグルコアミラーゼを用いた酵素処理により実施することを特徴とする請求項1記載の組成物。
  3. ステップ(b1)において、澱粉除去処理を加熱による糊化処理により実施することを特徴とする請求項1記載の組成物。
  4. ステップ(b1)において、澱粉除去処理を物理的破壊処理により実施することを特徴とする請求項1記載の組成物。
  5. 物理的破壊処理をホモジナイザーにより実施することを特徴とする請求項記載の組成物。
  6. 前記澱粉除去処理に供する米糠は脱脂米糠であることを特徴とする請求項1記載の組成物。
  7. ステップ(c)において、ヘミセルラーゼ活性を有する酵素がキシラナーゼであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の組成物。
  8. ステップ(c)において、さらにプロテアーゼを併用することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の組成物。
  9. ステップ(c)後に脱脂処理をさらに含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の組成物。
  10. 不溶性食物繊維のアロイロン層が完全に除去されている、請求項1〜のいずれか1項記載の組成物。
  11. 過敏性腸症候群を抑制するための飲食品又は医薬品を製造するための、請求項1〜10のいずれか1項に規定される物質の使用。
JP2010543029A 2008-12-17 2009-12-17 穀類植物種子由来の不溶性食物繊維を含有する過敏性腸症候群抑制用物質 Active JP5695424B2 (ja)

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