JP5694074B2 - 多層発酵乳の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、工業的に製造される多層発酵乳の製造方法に関する。
近年、食生活の多様化に伴い、発酵乳を含む各種のデザートが市販されている。なかでも、成分組成の異なる多層デザートは、異なった食感及び風味、視覚的な楽しさを有することから、消費者の嗜好に合致し、受け入れられている。
発酵乳の多層製品では、発酵乳を上層とし、下層にフルーツソース等を充填した2層発酵乳が一般的である。ただし、この形状では開封時にソースが目視出来ないため、視覚的な楽しさには寄与できない。また、このタイプの発酵乳は、通常は、発酵前の発酵乳液を先に容器へ充填し、その上にフルーツソースを充填し、比重差でフルーツソースを沈めた後、容器ごと発酵させる製法(後発酵タイプ)となる。そのために、通常は、しっかりと容器中にセットされている発酵乳となる。
一方、近年は、フルーツヨーグルトを含む前発酵型発酵乳(あらかじめ発酵させ、形成した乳カードを破砕し、なめらかなクリーム状とした発酵乳であり、しっかりとセットされていないもの)の食感が好まれるようになってきた。しかし、一般に、前発酵型発酵乳では、後発酵タイプの発酵前ヨーグルト液に比較し粘度が高いため、比重差でソースを沈めることは困難であり、そのような手段で、ソースの上に前発酵型発酵乳を積層した製品を製造することは困難である。また、前発酵型発酵乳の上にソースを積層した製品を単純に製造しようとすると、通常の粘度の前発酵型発酵乳では、境界面が不鮮明になったり、発酵乳部への潜り込みが発生したりして、製品の品質として要求される良好な外観とすることは困難であった。
特許文献1(特開平1−222736号公報)には、ゼラチン、LMペクチンを使用して調製した粘度4000mPa・s以上の前発酵型発酵乳を充填した後に、LMペクチンを添加した上層部を添加して、2層発酵乳を製造する方法が開示されている。しかし、このような高粘度とした前発酵型発酵乳は、粘度のために食感がよくない。また、この方法では上層部にLMペクチンを多量に使用するために、のりっぽさや脆い食感となりやすい欠点がある。
特許文献2(特開2000−69918号公報)には、上層を起泡させ、積層充填した後に、上層の気泡を除去することによって、多層デザートを製造する方法が開示されている。この方法で製造される製品は良好なものであるが、起泡のためにライン中でホイッピングを実施する必要があるために工程が複雑となり、また冷却の前に生じた気泡を除去する必要があり、大量生産には適さない。
特開平1−222736号公報 特開2000−69918号公報
したがって、本発明は、発酵乳層の上にゼリー層が形成された、多層発酵乳を製造するための新規な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的が、
容器内に発酵乳層を形成する工程、
形成された発酵乳層上に、カサ型ノズルからゼリー液を充填する工程、
充填されたゼリー液を冷却して、ゼリー層を形成する工程、
を含む、多層発酵乳の製造方法、によって達成されることを見いだして、本発明に到達した。
したがって、本発明は、次の(1)〜(17)にある。
(1)
容器内に発酵乳層を形成する工程、
形成された発酵乳層上に、カサ型ノズルからゼリー液を充填する工程、
充填されたゼリー液を冷却して、ゼリー層を形成する工程、
を含む、多層発酵乳の製造方法。
(2)
発酵乳層上に、カサ型ノズルからゼリー液を充填する工程が、
発酵乳層の上方にカサ型ノズルが下向きに設置され、
発酵乳層の上面からカサ型ノズルの下端までの距離が4.0〜16.0mmであり、
カサ型ノズルから発酵乳層上に充填されるゼリー液が、発酵乳層上への充填開始の後に、最初に発酵乳層上に接触してから0.01秒後の時点で、発酵乳層の上面の面積のうち、5.9%以上の面積をゼリー液が覆って接触するように、充填される工程である、(1)に記載の製造方法。
(3)
容器内に発酵乳層を形成する工程が、
950〜4000mPa・sの粘度を有する前発酵型発酵乳を、容器内に充填して、発酵乳層を形成する工程である、(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4)
ゼリー液が、充填時の温度において、400〜1400mPa・sの粘度を有するゼリー液である、(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)
発酵乳層上に、カサ型ノズルからゼリー液を充填する工程において、
充填開始から充填終了までの充填時間が、0.7秒〜2.1秒である、(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6)
ゼリー液の比重が、発酵乳層の比重よりも大きい、(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。
(7)
ゼリー液の比重の値が、発酵乳層の比重の値と、次の式を満たす関係にある、、(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。
[ゼリー液の比重]−[発酵乳層の比重]≦0.140
(8)
ゼリー液の比重の値が、発酵乳層の比重の値と、次の式を満たす関係にある、、(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。
[ゼリー液の比重]−[発酵乳層の比重]≦0.111
(9)
カサ型ノズルが、
先端が円筒状の流路出口と、
円筒状の流路出口を開閉可能に設置された、底面を流路外部に向けた略円錐状の先端を有するストップバルブとからなり、
流路出口が開放されると、ストップバルブの略円錐状の先端に沿って同心円状にゼリー液を放出可能である、(1)〜(8)のいずれかに記載の製造方法。
(10)
ストップバルブの先端の略円錐の底面の面積が、発酵乳層の上面の面積の16.06%〜90.00%である、(9)に記載の製造方法。
(11)
ゼリー液が、ローカストビーンガムとキサンタンガムの混合物、ネイティブ型ジェランガム、グルコマンナンとキサンタンガムの混合物、からなる群から選択された1種以上をゲル化剤として含む、(1)〜(10)のいずれかに記載の製造方法。
(12)
多層発酵乳が、発酵乳層の上に積層されたゼリー層からなる2層発酵乳である、(1)〜(11)のいずれかに記載の製造方法。
(13)
(1)〜(12)のいずれかに記載の製造方法で製造された、
発酵乳層の上に、発酵乳層の比重の値と次の式を満たす関係にある比重の値を有するゼリー液が冷却されて形成されたゼリー層が積層されてなる、多層発酵乳。
0.000≦[ゼリー液の比重]−[発酵乳層の比重]≦0.140
(14)
ゼリー液が、400〜1400mPa・sの粘度を有するゼリー液である、(13)に記載の多層発酵乳。
(15)
ゼリー層が、糖類、砂糖、シロップ、カラメル、蜂蜜、ジャム、フルーツソースからなる群から選択された1種以上の原料を含み、発酵乳層の比重の値よりも0.000〜0.140大きい比重の値を有する、(13)又は(14)に記載の多層発酵乳。
(16)
発酵乳層が、950〜4000mPa・sの粘度を有する前発酵型発酵乳である、(13)〜(15)のいずれかに記載の多層発酵乳。
(17)
発酵乳層と、発酵乳層の上のゼリー層との間の境界が明瞭である、(13)〜(16)のいずれかに記載の多層発酵乳。
さらに、本発明は、次の(18)〜(20)にもある。
(18)
先端が円筒状の流路出口と、
円筒状の流路出口を開閉可能に設置された、底面を流路外部に向けた略円錐状の先端を有するストップバルブとからなり、
流路出口が開放されると、ストップバルブの略円錐状の先端に沿って同心円状にゼリー液を放出可能である、ゼリー液充填用カサ型ノズル。
(19)
(18)に記載のゼリー液充填用カサ型ノズルを備えたことを特徴とする、多層発酵乳製造装置。
(20)
(18)に記載のゼリー液充填用カサ型ノズル、及び、
多層発酵乳の容器を載せて上下可動なカップリフター、
を備えたことを特徴とする、多層発酵乳製造装置。
本発明によれば、発酵乳層の上にゼリー層が形成された、多層発酵乳を製造することができる。この発酵乳層は、前発酵型発酵乳による発酵乳層とすることができるので、従来は困難であった前発酵型発酵乳層上へのゼリー層が積層された多層発酵乳を、容易に製造することができる。そして、積層された境界は十分に鮮明である。そこで、本発明によれば、例えば、開封時にゼリーをすぐに見ることができて、美しさ楽しさを感じることができる多層発酵乳を、提供することができる。
また、本発明によれば、起泡のためのホイッピングの工程は必要なく、また、ホイッピングによって生じる気泡を除去する工程も必要がない。このために、本発明の製造方法は大量生産にも適したものである。
さらに、本発明によれば、食感のよい範囲の粘度の前発酵型発酵乳層を使用することができる。また、ゼリー層についても、食感のよい範囲の粘度を使用することができ、のりっぽさや脆い食感を感じさせないゼリー層を使用することができる。同時に、ゼリー層の比重を、前発酵型発酵乳層の比重よりも大きい比重としたまま積層することができるので、砂糖やシロップなどの甘味料を十分に使用して優れた風味のものとすることができる。そして、本発明によれば、このような前発酵型発酵乳層とゼリー層を積層した場合にも、積層の境界は十分に鮮明であり、製品品質への要求を十分に満たすことができる。このように、本発明によれば、多層発酵乳製品に対する設計の自由度は大きいものとなっている。
図1は、カサ型ノズルの形状と、ゼリー液の充填の工程を示す概略図である。 図2は、カサ型ノズルのストップバルブの先端と、容器に入った発酵乳層の上面とを拡大して、その形状を示す概略図である。
以下に実施の態様をあげて、本発明を詳細に説明する。本発明は、以下に挙げた具体的な実施の態様に限定されるものではない。
本発明は、容器内に発酵乳層を形成する工程、形成された発酵乳層上に、カサ型ノズルからゼリー液を充填する工程、充填されたゼリー液を冷却して、ゼリー層を形成する工程、を含む、多層発酵乳の製造方法として、実施することができる。
発酵乳層は、一般的な発酵乳を使用することができる。本発明の好適な実施の態様において、発酵乳層は、乳カードを破砕した前発酵型発酵乳を使用することができる。前発酵型発酵乳としては、一般的な前発酵型発酵乳を使用することができる。前発酵型発酵乳としては、攪拌型の発酵乳が例示され、例えば、ソフトヨーグルト等も含まれる。
前発酵型発酵乳は、例えば、牛乳、脱脂粉乳その他乳加工品、砂糖、糖類、香料、安定剤等を水に溶解した後、殺菌、冷却し、常法にしたがってスターターを加えてゲル化させ、ゲル状発酵乳を調製した後に、このゲル状発酵乳に対して、カードを破砕し、急冷した後、必要あればエージングを行って、調製することができる。
得られた前発酵型発酵乳は容器に充填されて、容器内に発酵乳層が形成される。好適な実施の態様において、前発酵型発酵乳の粘度は、950〜4000mPa・s、好ましくは1000〜3500mPa・s、さらに好ましくは1100〜3200mPa・s、さらに好ましくは1200〜3000mPa・s、さらに好ましくは1300〜2800mPa・s、さらに好ましくは1400〜2500mPa・s、さらに好ましくは1500〜2500mPa・s、さらに好ましくは1600〜2500mPa・s、の範囲とすることができる。粘度が950mPa・sを下回ると、上層ゼリー部充填時の突出圧により、発酵乳部にゼリー部の潜り込みが発生しやすくなり、粘度が4000mPa・sを上回ると、発酵乳の口溶けが悪く食感が不良となる。市販の前発酵型発酵乳の粘度範囲は1000〜3500mPa・sの範囲が一般的であり、本発明は、このような一般的な粘度範囲にあるために良好な食感を保持している前発酵型発酵乳を使用した場合にも、ゼリー層を積層して、多層発酵乳とすることができる。また、予め前発酵型発酵乳と果肉、果汁、フルーツプレザーブ等を混合した発酵乳を使用することも出来る。
使用される容器は、発酵乳やゼリーに一般的に使用される容器を、使用することができる。例えば、10〜1000mlの容量、30〜600mlの容量、60〜400mlの容量のカップ型の容器を使用することができる。食品衛生法で規定されている範囲であれば容器の材質には特に制限がないが、例えば、紙、ガラス、金属、合成樹脂の容器を使用することができ、好ましい実施の態様において、不透明、透明、半透明の合成樹脂の容器を使用することができる。このような合成樹脂として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを挙げることができる。好適な実施の態様において、容器は水平断面が円である容器を使用することができる。このような容器は、後述するカサ型ノズルの略円錐の底面が、鉛直方向から見て同心円状に配置されるようにして、ゼリー液の好適な充填を行うことができる。
ゼリー液は、一般的なゲル化剤・増粘剤を含有させたゼリー液を使用することができる。砂糖、糖類、ゲル化剤、増粘剤、甘味料等の配合も常法に従い調製することができる。公知のゼリーに使用される素材である果汁、果実、さのうの他、蜂蜜、ジャム、フルーツソース、クリーム、カラメル、シロップ等を使用することができる。
ゼリー液は、通常、加熱溶解及び殺菌した後に、ゲル化剤のゲル化温度帯付近まで冷却して、充填に使用される。好ましい実施の態様において、ゼリー液の粘度は、充填時の温度条件において、400〜1400mPa・s、好ましくは450〜1250mPa・s、さらに好ましくは500〜1000mPa・sの範囲とすることができる。好ましい実施の態様において、充填時の粘度が上記の範囲となるようゲル化剤の種類、濃度及び充填温度を調整することが好ましい。充填時の粘度が400mPa・sを下回ると、充填時に下層発酵乳部を巻き込み、境界が不鮮明となったり、下層発酵乳部への潜り込みが発生し易くなり、良好な外観を保つことが困難となる。充填時の粘度が1400mPa・sを上回ると、ゼリー液が高粘度となり、発酵乳表面に均一に広がり難くなる。
なお、前記の発酵乳の粘度は、試料を10℃で保持し、B型粘度計RB−80L(TOKI社)を用いて、60rpm(例えば、No.2〜No.4ローターを使用)の条件で測定して求めることができる。
また、前記のゼリー液の粘度は、試料を45℃で保持し、B型粘度計RB−80L(TOKI社)を用いて、60rpm(例えば、No.2〜No.4ローターを使用)の条件で測定して求めることができる。
ゼリー液に使用できるゲル化剤・増粘剤としては、例えば、寒天、ゼラチン、カラギーナン、ジェランガム、ローカストビーンガム、タラガム、グァーガム、キサンタンガム、グルコマンナン、タマリンドシードガム、ペクチンを挙げることができる。好ましい実施の態様において、ゲル化温度帯付近で上述の粘度となり、且つ充填するのに十分な流動性があり、更に積層後には再度ゲル化する能力を有するゲル化剤・増粘剤が好ましい。
このような好適なゲル化剤・増粘剤としては、特に、ローカストビーンガムとキサンタンガムの混合物、ネイティブ型ジェランガム、グルコマンナンとキサンタンガムの混合物、などを挙げることができる。一方、寒天やカラギーナンなど、ゲル化点付近でも十分な粘度を発現しないゲル化剤は、単独で使用するには好ましくない。
本発明によれば、発酵乳層に対して、これよりも比重の大きなゼリー液を積層することが可能となっている。好ましい実施の態様において、ゼリー液の比重は、発酵乳層の比重の値よりも、例えば0.000〜0.140大きい比重の値、あるいは、例えば0.001〜0.140大きい比重の値、あるいは、例えば0.010〜0.140大きい比重の値を有するものとすることができる。さらに好ましい実施の態様においては、ゼリー液の比重は、発酵乳層の比重の値よりも、例えば0.000〜0.111大きい比重の値、あるいは、例えば0.001〜0.111大きい比重の値、あるいは、例えば0.010〜0.111大きい比重の値を有するものとすることができる。
もちろん、発酵乳層に対して、これよりも比重の小さなゼリー液を積層することは、当然に可能である。そこで、例えば、ゼリー液の比重は、発酵乳層の比重に対して、例えば、−0.300〜0.140大きい比重の値、例えば、−0.200〜0.140大きい比重の値、例えば、−0.100〜0.140大きい比重の値、例えば、−0.050〜0.140大きい比重の値、とすることができる。さらに好ましくは、ゼリー液の比重は、発酵乳層の比重に対して、例えば、−0.300〜0.111大きい比重の値、例えば、−0.200〜0.111大きい比重の値、例えば、−0.100〜0.111大きい比重の値、例えば、−0.050〜0.111大きい比重の値、とすることができる。
本発明の好ましい実施の態様において、発酵乳層の比重と、ゼリー液の比重とは、次の式を満たすものとすることができる。
[ゼリー液の比重]−[発酵乳層の比重]≦0.140
また、好ましい実施の態様において、発酵乳層の比重と、ゼリー液の比重とは、次の式を満たすものとすることができる。
−0.200≦[ゼリー液の比重]−[発酵乳層の比重]≦0.140
また、好ましい実施の態様において、例えば、次の各式を満たすものとすることができる。
−0.100≦[ゼリー液の比重]−[発酵乳層の比重]≦0.140
−0.050≦[ゼリー液の比重]−[発酵乳層の比重]≦0.140
0.000≦[ゼリー液の比重]−[発酵乳層の比重]≦0.140
このように、ゼリー液の製品設計の自由度が大きいものとなっており、例えば、砂糖やシロップなどの甘味料を十分に使用して、比重が大きく優れた味覚のゼリー層を形成することができる。
なお、本発明における比重とは、液体の質量と、それと同体積の圧力101325Paのもとにおける4℃の純粋の水の質量との比であり、本発明における発酵乳及びゼリー液の比重の測定は、浮ひょうを使用した標準的な測定によって求めることができ、例えば、比重浮ひょう(東京百木製作所)を使用して求めることができる。
ゼリー液は、充填された後に、冷却されてゼリー層を形成する。ゼリー層の上に、多層デザートで一般的な手法を使用して、さらに、前発酵型発酵乳、ゼリー、プリン、ババロアなどを、積層することができる。
カサ型ノズルは、先端が円筒状の流路出口と、円筒状の流路出口を開閉可能に設置された、底面を流路外部に向けた略円錐状の先端を有するストップバルブとからなり、流路出口が開放されると、ストップバルブの略円錐状の先端に沿って同心円状にゼリー液を放出可能である。
本発明の好適な実施の態様において、
発酵乳層上に、カサ型ノズルからゼリー液を充填する工程が、
発酵乳層の上方にカサ型ノズルが下向きに設置され、
発酵乳層の上面からカサ型ノズルの下端までの距離が4.0〜16.0mmであり、
カサ型ノズルから発酵乳層上に充填されるゼリー液が、発酵乳層上への充填開始の後に、最初に発酵乳層上に接触してから0.01秒後の時点で、発酵乳層の上面の面積のうち、5.9%以上の面積をゼリー液が覆って接触するように、充填される工程とすることができる。
図1は、カサ型ノズルの形状と、ゼリー液の充填の工程を示す概略図である。
図1の(a)は、発酵乳層上に、カサ型ノズルからゼリー液を充填する前の状態である。
図1の(a)では、カップリフター9に載せられた容器5のなかには、上側の表面(上面)の直径mである発酵乳層7が形成されている。この容器5のずっと上方には、カサ型ノズル1が設置されている。このカサ型ノズルは、ゼリー液の流路となる円筒部1aと、底面を流路外部に向けた略円錐状の先端を有するストップバルブ1bとからなっている。先端の略円錐部分の底面は、直径lの円である。図1(a)では、ストップバルブ1bの先端の略円錐部分によって、円筒部の流路出口は閉じられて、流路内のゼリー液3は、カサ型ノズル1から流出することができない。
図1の(b)は、カサ型ノズルからゼリー液が流出して、発酵乳層上に充填されつつある時の状態である。
図1の(b)では、カップリフター9に載せられた容器5は、カップリフター9によって上昇して、上方にあるカサ型ノズル1に近づいて、カサ型ノズル1のストップバルブ1bの先端の略円錐部分の底面からの距離nにまで接近している。カサ型ノズル1では、ノズル先端のストップバルブ1bが下方向に移動しており、これによって、先端の略円錐部分は円筒部1aにもはや接してはおらず、円筒部の流路出口は開放されている。開放された流路出口からは、ゼリー液3が、ストップバルブ7の先端の略円錐部分の表面に沿って流出して、鉛直方向から見ると略円錐の底面の円の法線方向へ同心円状に且つ放射状に広がっており、さらに下方では略円錐の底面の円を包み込むようにある大きさのかたまりを形成して、ある大きさの接触面積によって、発酵乳層7の上面へと接触し始めている。この接触面積は、発酵乳層の上面の面積に対してある割合を占めている。
図1の(c)は、発酵乳層上に、カサ型ノズルからゼリー液を充填した後の状態である。
図1(c)では、上昇したストップバルブ1bの先端の略円錐部分によって、円筒部の流路出口は再び閉じられて、流路内のゼリー液3は、カサ型ノズル1から流出することができない。カップリフター9に載せられた容器5は、カップリフター9によって下降して、カサ型ノズル1から離れた位置にある。容器5内には、発酵乳層7の上に、ゼリー液の層11が形成されており、これは冷却されて、ゼリー層となる。
発酵乳層の上面からカサ型ノズルの下端までの距離は、図1の(b)においては、距離nと表される。好適な実施の態様において、この距離は、4.0〜16.0mm、好ましくは5.0〜15.0mm、さらに好ましくは6.0〜14.0mmとすることができる。
図2は、カサ型ノズルのストップバルブの先端と、容器に入った発酵乳層の上面とを拡大して、その形状を示す概略図である。
図2の(a)の上部には、カサ型ノズルのストップバルブ1bの略円錐の先端が、斜視図によって示されている。図2の(a)の下部には、容器5に入った発酵乳層7が、同じく斜視図によって示されている。上記略円錐の底面は,下側を向いており、容器5に入った発酵乳層7に向かい合っている。容器5は、水平断面が円である容器であり、上部に向けて徐々にその断面の円が大きくなってゆく形状をしており、一般的なカップの形状をしている。発酵乳層7は、静置されており、その上面は水平面となって、略円錐の底面に、向かい合っている。図2ではゼリー液が表示されていないが、この状態は、ちょうど図1の(b)に示されるような、カサ型ノズルが開放されて、ストップバルブ1bが、円筒部1aから離れて突出した状態である。図2では図示されていないゼリー液は、ストップバルブの先端の略円錐の錐面に沿って、放射状に流出して、略円錐の底面の円の円周を包み込んで、流れ落ちる。略円錐の錐面の形状は、ゼリー液の流出を好適に誘導できるものであればよく、その垂直断面は、略二等辺三角形の形状となっているものを好適に使用できるが、その形状に限られず、略二等辺三角形の斜面が、凸状あるいは凹状の曲面を描くものとなっていてもよい。
図2の(b)の上部には、カサ型ノズルのストップバルブ1bの略円錐の先端が、垂直断面図によって示されている。図2の(b)の下部には、容器5に入った発酵乳層7が、同じく垂直断面図によって示されている。上記略円錐の底面の円は、直径lであり、容器5に入った発酵乳層7の上面の円は、直径mであり、上記略円錐の底面と発酵乳層7の上面とは、距離nをあけて、向かい合っている。図2では図示されていないゼリー液は、図1の(b)で示されるように、上記略円錐の底面を包み込むように流出して、発酵乳層7の上面の面積に対してある割合の接触面積を占める。
好適な実施の態様において、カサ型ノズルから発酵乳層上に充填されるゼリー液が、発酵乳層上への充填開始の後に、最初に発酵乳層上に接触してから0.01秒後の時点で、発酵乳層の上面の面積のうち、5.9%以上、好ましくは6.0%以上、さらに好ましくは6.1%以上、さらに好ましくは7.0%以上、さらに好ましくは8.0%以上の割合の面積をゼリー液が覆って接触するように、充填されることが好ましい。この割合(0.01秒後の接触面積割合%)が上記下限より小さい場合には、発酵乳層の上に充填されたゼリー液が、発酵乳層に潜り込んでしまう状態となり、良好な積層状態を形成することができない。この割合(0.01秒後の接触面積割合%)には、特に上限はないが、食感が良好な粘度の範囲とするためには、例えば、30.0%以下、20.0%以下、15.0%以下、14.0%以下とすることができる。この0.01秒後の接触面積割合は、例えば、カサ型ノズルからのゼリー液の充填を、横方向から観察できるように設置された高フレームレートのビデオカメラによる撮影によって、ゼリー液が最初に発酵乳層上に接触してから0.01秒後の時点で、ゼリー液のかたまりが発酵乳層に接している長さ(かたまりの接触円の直径)を測定し、これから算出することができる。
好適な実施の態様において、カサ型ノズルのストップバルブの先端の略円錐部分の底面の面積は、容器内に形成された発酵乳層の上面の面積に対して、例えば、12.25〜90.0%、例えば、16.06%〜90.00%、とすることができる。
好適な実施の態様において、発酵乳層上に、カサ型ノズルからゼリー液を充填する工程での充填開始から充填終了までの充填時間は、0.7秒〜3.5秒、好ましくは0.7〜2.1秒とすることができる。
以下に実施例をあげて、本発明を詳細に説明する。本発明は、以下にあげた実施例に限定されるものではない。
[試験例1]
(目的)
本試験は、下層発酵乳部と上層ゼリー部の充填時の適性粘度を調べる目的で実施した。
(試料の調製)
a.下層発酵乳部の調製
脱脂粉乳、全脂粉乳(いずれも森永乳業製)、砂糖(東洋精糖製)、WPI(フォンテラ製)、水を表1に示す割合で混合後、65℃に加温して溶解し、15Mpaの圧力で均質化し、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃に冷却した。この殺菌調乳液に乳酸菌スターター[クリスチャン・ハンセン社製。ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)及びラクトバシラス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)からなる。]0.6kgを接種し、37℃で6時間発酵させ、のち生成したカードを破砕し、10℃に冷却し、発酵乳約100kgを調製した。
得られた発酵乳は、10℃において、表1に示す粘度であった。
b.上層ゼリー部の調製
砂糖(東洋精糖製)、酸味料、ローカストビーンガム、キサンタンガム(いずれも三栄原エフ・エフ・アイより購入)、水を表2に示す割合で混合して均一に溶解後、95℃で3分間加熱殺菌し、45℃まで別容器でそれぞれ冷却した。
c.多層発酵乳の調製
a.で調製した各発酵乳を245ml容の合成樹脂製容器(シンギ製、96φ×64.6h)に10℃で142g充填し、b.で調製した各ゼリー液61gを、カサ型ノズル及びカップリフター(ともにトーワテクノ製、カサ型ノズルの直径30mm、)を用いて、下層発酵乳の上に充填し、アルミ箔製蓋材で容器に密封した後、10℃に冷却し、各試料を得た。なお、上層ゼリー部充填時は、カサ型ノズル開放時のノズル先端から下層発酵乳液面距離16.0mm、充填時間は0.7秒であった。
(接触面積割合の算出)
それぞれの粘度の組み合わせにおいて、カサ型ノズルから発酵乳層上に充填されるゼリー液が、発酵乳層上への充填開始の後に、最初に発酵乳層上に接触してから0.01秒後の時点で、発酵乳層の上面の面積のうち、何%の割合の面積をゼリー液が覆って接触しているかを、算出した。これは、カサ型ノズルからのゼリー液の充填を、横方向から観察できるように設置された高フレームレートのビデオカメラによる撮影によって、ゼリー液が最初に発酵乳層上に接触してから0.01秒後の時点で、ゼリー液のかたまりが発酵乳層に接している長さ(かたまりの接触円の直径)を測定し、これから算出した。
(評価方法)
10℃の温度で24時間保存した各試料について、上層と下層の境界面及び上層の下層への潜り込みを肉眼で確認し、次の評価基準により評価して試験した。
◎:境界面が明瞭であり、かつ上層の下層への潜り込みが認められない状態
○:ごくわずかな境界面の乱れや潜り込み等が認められるが、概ね良好な状態
△:境界面に乱れが生じている若しくはやや大きな潜り込みが認められる状態
×:上層と下層が不均一に混合している若しくは明確な潜り込みが認められる状態
(試験結果)
結果を表3に示す。表3では、上層及び下層が、それぞれの粘度となっている場合に得られる積層の状態、すなわち、境界面の明瞭さ及び層の潜り込みを評価してまとめた。さらに、それぞれの粘度の組み合わせにおいて、カサ型ノズルから発酵乳層上に充填されるゼリー液が、発酵乳層上への充填開始の後に、最初に発酵乳層上に接触してから0.01秒後の時点で、発酵乳層の上面の面積のうち、何%の割合の面積をゼリー液が覆って接触しているかを、算出して記載した。
この結果から、上層ゼリー部の充填時の粘度が400mPa・s以上且つ下層発酵乳部の充填時の粘度が950mPa・s以上であれば境界面は鮮明であり、潜り込みも発生しなかった。上層ゼリー部の充填時粘度が400mPa・sを下回ると、発酵乳部への潜り込み及び発酵乳部の巻き込みが発生し外観不良となった。また、粘度が上層ゼリー部の充填時粘度が1400mPa・s時は、ゼリー液の粘度が高く発酵乳表面への広がり方がやや不均一となったため、充填適正を考慮すると、400〜1250mPa・sの範囲がより望ましいことがわかった。下層発酵乳部の充填時粘度が950mPa・sを下回ると、ゼリー液を受止める抵抗力が小さくなり、発酵乳部への潜り込みが顕著となった。また、下層発酵乳部の充填時粘度が4500mPa・s時は、高粘度のためゼリー液を受止める抵抗力は大きく充填適正は良好であるが、口溶けが悪く、食感不良となった。充填適正及び発酵乳の食感を考慮すると、下層発酵乳部の充填時粘度は950〜4000mPa・sの範囲が望ましいことがわかった。
また、配合組成及び条件を変更して試験したが、同様の結果が得られた。
[試験例2]
(目的)
本試験は、上層ゼリー部と下層発酵乳部の比重差の影響を調べる目的で実施した。
(試料の調製)
a.下層発酵乳部の調製
試験例1の下層2と同様に実施した。
b.上層ゼリー部の調製
砂糖(東洋精糖製)、酸味料、ローカストビーンガムとキサンタンガムの混合物、(いずれも三栄原エフ・エフ・アイより購入)を表4の割合で水に添加し、混合して均一に溶解後、95℃で3分間加熱殺菌し、45℃まで冷却し、試料1〜6まで調製した。
c.多層発酵乳の調製
試験例1と同様に実施した。
(評価方法)
試験例1と同様に実施した。
(試験結果)
結果を次の表4に示す。この結果から明らかなとおり、充填時温度における上層の比重が1.052〜1.168、比重差が−0.005〜0.111の範囲において、いずれの試料においても本発明の方法によれば、外観は良好に保たれる(境界面が明瞭であり、かつ上層の下層への潜り込みが認められない状態である)ことが分かった。
なお、表4には示されていないが、比重差が0.120であるとき、および0.140であるときのそれぞれにおいても、ごくわずかな境界面の乱れや潜り込み等が認められるが、概ね良好な状態(試験例1の評価方法の○に相当)であること、並びに比重差が0.150であるとき、境界面に乱れが生じている若しくはやや大きな潜り込みが認められる状態(試験例1の評価方法の△に相当)であることがそれぞれ判明した。
また、比重差が-0.005より小さい場合(上層の比重から下層の比重を差し引いた値が0.005よりさらに大きい場合)については、境界面が明瞭であり、かつ上層の下層への潜り込みが認められない状態(試験例1の評価方法の◎に相当)であることも確認された。
また、配合組成及び条件を変更して試験したが、同様の結果が得られた。
[試験例3]
(目的)
本試験は、上層部充填時に開放時のノズル先端部から下層発酵乳液面までの適正距離と上層ゼリー部と下層発酵乳部との接触面積が下層発酵乳部の液面面積に占める割合との関係を調べる目的で実施した。
(試料の調製)
a.下層発酵乳部の調製
試験例1の下層2と同様に実施した。
b.上層ゼリー部の調製
試験例1の上層3と同様に実施した。
c.多層発酵乳の調製
a.で調製した発酵乳及びb.で調製したゼリー液を、容器1として390ml容(シンギ製、96φ×89h)、容器2として245ml容(シンギ製、96φ×64.6h)、容器3として134ml容(シンギ製、88φ×44h)、容器4として120ml容(生駒化学製、71φ×74h)の合成樹脂製容器に表5に示す設定充填量充填した。なお、カサ型ノズル開放時のノズル先端から下層発酵乳液面距離は表6に示すとおり設定した。上述以外は試験例1と同様に実施した。
(接触面積割合の算出)
試験例1と同様に実施した。
(評価方法)
試験例1と同様に実施した。
(結果)
結果を表7に示す。
この結果から明らかなとおり、カサ型ノズル開放時のノズル先端から下層発酵乳液面距離を少なくとも16.0mm以内且つ上層ゼリー部と下層発酵乳部との接触面積が下層発酵乳部の液面面積に占める割合が少なくとも5.9%以上であれば、良好な外観を保つことが出来た。なお、この条件を逸脱した場合は、いずれも下層発酵乳部への潜り込みが顕著であった。
また、配合組成及び条件を変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
[試験例4]
(目的)
本試験は、上層ゼリー部の充填時間(ノズルが開放されゼリー液を充填している時間)の影響を調べる目的で実施した。
(試料の調製)
a.下層発酵乳部の調製
試験例1の下層2と同様に実施した。
b.上層ゼリー部の調製
試験例1の上層3と同様に実施した。
c.多層発酵乳の調製
上層ゼリー部の充填時間を表7に示す時間で充填したことを除き、試験例1と同様に実施した。
(評価方法)
試験例1と同様に実施した。
(結果)
結果を表に示す。この結果から明らかなとおり、上層ゼリー部の充填時間が少なくとも0.7秒以上であれば、良好な外観を保つことができた。充填時間が0.7秒よりも短い場合は、下層発酵乳部への潜り込みが認められた。
なお、工場等における実際の製造現場で想定される連続充填や大量生産等の一連の作業性を考慮すると、充填時間は2.5秒以内、好ましくは2.1秒以内、特に好ましくは1.5秒以内で実施することが好ましいことが判明した。
[実施例1]
1)下層発酵乳部の調製
原乳15kg、脱脂粉乳(森永乳業製)10kg、WPI(フォンテラ製)0.3kg、砂糖(東洋精糖製)4.2kgを水69.9kgに添加し、65℃に加温して溶解し、15Mpaの圧力で均質化し、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃に冷却した。この殺菌調乳液に乳酸菌スターター[クリスチャン・ハンセン社製。ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)及びラクトバシラス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)からなる。]0.6kgを接種し、37℃で6時間発酵させ、のち生成したカードを破砕し、10℃に冷却し、発酵乳約100kgを調製した。
得られた発酵乳は、充填時の10℃の温度において比重1.051、粘度1400mPa・sであった。
2)上層の調製
ぶどう果汁(日進通商から購入)20kg、砂糖20kg(東洋精糖製)、酸味料0.54kg、香料0.10kg、グルコマンナン0.18kg、キサンタンガム0.08kg(いずれも三栄原エフ・エフ・アイ)を水59.1kgに添加し、混合して均一に溶解し、95℃で3分間加熱殺菌し、35℃まで冷却し、ぶどうゼリー液約100kgを調製した。得られたゼリー液は、充填時の35℃の温度において比重1.085、粘度1020mPa・sであった。
3)多層発酵乳の調製
前記下層発酵乳を120ml容の合成樹脂製容器(生駒化学製、71φ×74h)に、10℃で70g充填し、ゼリー液30gを35℃で、カサ型ノズル(トーワテクノ製、カサノズルの内径30mm、すなわちストップバルブの先端の略円錐の底面の直径30mm)を用いて、下層発酵乳の上に充填し、アルミ箔製蓋材で容器で密封した後、10℃に冷却し、2層からなる発酵乳1500個を得た。なお、上層ゼリー部充填時は、カサ型ノズル開放時のノズル先端から下層発酵乳液面距離13.0mm、上層ゼリー部と下層発酵乳部との接触面積が下層発酵乳部の液面面積に占める割合は、11.5%、充填時間は0.7秒であった。
得られた2層からなる発酵乳は、上下層が鮮明な境界を有し、上層部の下層部への潜り込みも見られなかった。また、下層発酵乳部には過度な硬さもなく、一般的な前発酵型発酵乳と同様な食感を保っており、上層ゼリー部も良好な風味と食感を有した。
[実施例2]
1)下層発酵乳部の調製
原乳15kg、脱脂粉乳(森永乳業製)10kg、WPI(フォンテラ製)0.3kg、砂糖(東洋精糖製)4.2kgを水69.9kgに添加し、65℃に加温して溶解し、15Mpaの圧力で均質化し、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃に冷却した。この殺菌調乳液に乳酸菌スターター[クリスチャン・ハンセン社製。ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)及びラクトバシラス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)からなる。]0.6kgを接種し、37℃で6時間発酵させ、のち生成したカードを破砕し、10℃に冷却し、発酵乳約100kgを調製した。
調整した発酵乳80kgに、ナタデココ、砂糖、香料、酸味料、増粘多糖類、水からなるナタデココプレザーブ(長谷川香料製)20kgを混合し、ナタデココヨーグルトを調製した。
得られた発酵乳は、充填時の10℃の温度において比重1.067、粘度1600mPa・sであった。
2)上層の調製
みかんさのう(サンヨーフーズ)20kg、砂糖20kg(東洋精糖製)、酸味料0.50kg、香料0.20kg、ジェランガム(いずれも三栄原エフ・エフ・アイ)0.10kgを水59.2kgに添加し、混合して均一に溶解し、95℃で3分間加熱殺菌し、60℃まで冷却し、みかんさのう入りゼリー液約100kgを調製した。得られたゼリー液は、充填時の60℃の温度において比重1.076、粘度480mPa・sであった。
3)多層発酵乳の調製
前記下層発酵乳を200ml容の合成樹脂製容器(大日本印刷社製、90φ×60h)に、10℃で116g充填し、ゼリー液50gを60℃で、カサ型ノズル(トーワテクノ製、カサ型ノズルの内径30mm、すなわちストップバルブの先端の略円錐の底面の直径30mm)を用いて、下層発酵乳の上に充填し、アルミ箔製蓋材で容器で密封した後、10℃に冷却し、2層からなる発酵乳800個を得た。なお、上層ゼリー部充填時は、カサ型ノズル開放時のノズル先端から下層発酵乳液面距離9.7mm、上層ゼリー部と下層発酵乳部との接触面積が下層発酵乳部の液面面積に占める割合10.8%、充填時間は1.0秒であった。
得られた2層からなる発酵乳は、上下層が鮮明な境界を有し、上層部の下層部への潜り込みも見られなかった。また、下層発酵乳部には過度な硬さもなく、一般的な前発酵型発酵乳と同様な食感を保っており、上層ゼリー部も良好な風味と食感を有した。
本発明によれば、発酵乳層、特に前発酵型発酵乳層の上にゼリー層が形成された、多層発酵乳を、容易に製造することができる。本発明によれば、多層発酵乳製品に対する設計の自由度は大きいものとなっている。本発明は、産業上有用な発明である。
1 カサ型ノズル
1a カサ型ノズルの円筒部
1b カサ型ノズルの、略円錐状の先端を有するストップバルブ
3 ゼリー液
5 容器
7 発酵乳層
9 カップリフター
11 ゼリー液の層
l ストップバルブ1bの先端の略円錐の底面の円の直径
m 発酵乳層7の上面の円の直径
n ストップバルブ1bの先端の略円錐の底面から発酵乳層7の上面までの距離

Claims (9)

  1. 950〜4000mPa・sの粘度を有する前発酵型発酵乳を、容器内に充填して、発酵乳層を形成する工程、
    形成された発酵乳層上に、下向きに設置されたカサ型ノズルから、充填時の温度において、400〜1400mPa・sの粘度を有するゼリー液を充填する工程、
    充填されたゼリー液を冷却して、ゼリー層を形成する工程、
    を含む、多層発酵乳の製造方法であって、
    カサ型ノズルが、
    先端が円筒状の流路出口と、
    円筒状の流路出口を開閉可能に設置された、底面を流路外部に向けた略円錐状の先端を有するストップバルブとからなり、
    流路出口が開放されると、ストップバルブの略円錐状の先端に沿って同心円状にゼリー液を放出可能であり、
    ストップバルブの先端の略円錐の底面の面積が、発酵乳層の上面の面積の16.06%〜90.00%である、製造方法
  2. 発酵乳層上に、カサ型ノズルからゼリー液を充填する工程が、
    発酵乳層の上方にカサ型ノズルが下向きに設置され、
    発酵乳層の上面からカサ型ノズルの下端までの距離が4.0〜16.0mmであり、
    カサ型ノズルから発酵乳層上に充填されるゼリー液が、発酵乳層上への充填開始の後に、最初に発酵乳層上に接触してから0.01秒後の時点で、発酵乳層の上面の面積のうち、5.9%以上の面積をゼリー液が覆って接触するように、充填される工程である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 発酵乳層上に、カサ型ノズルからゼリー液を充填する工程において、
    充填開始から充填終了までの充填時間が、0.7秒〜2.1秒である、請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  4. ゼリー液の比重が、発酵乳層の比重よりも大きい値である、請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  5. ゼリー液の比重の値が、発酵乳層の比重の値と、次の式を満たす関係にある、請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
    [ゼリー液の比重]−[発酵乳層の比重]≦0.140
  6. ゼリー液の比重の値が、発酵乳層の比重の値と、次の式を満たす関係にある、請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
    [ゼリー液の比重]−[発酵乳層の比重]≦0.111
  7. ゼリー液が、ローカストビーンガムとキサンタンガムの混合物、ネイティブ型ジェランガム、グルコマンナンとキサンタンガムの混合物、からなる群から選択された1種以上をゲル化剤として含む、請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  8. 多層発酵乳が、発酵乳層の上に積層されたゼリー層からなる2層発酵乳である、請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  9. 前発酵型発酵乳が、950〜3500mPa・sの粘度を有する前発酵型発酵乳である、請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
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