JP5693221B2 - 透析機器、透析液への空気の入り込みの監視方法、及び透析液への空気の入り込みの監視および圧力保持試験の実行方法 - Google Patents

透析機器、透析液への空気の入り込みの監視方法、及び透析液への空気の入り込みの監視および圧力保持試験の実行方法 Download PDF

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Description

本発明は、透析液を導く流路と、その透析液中の空気を検出する手段とを備える透析液回路に関する。
透析液回路に導かれる透析液中に空気が存在することは、いくつかの局面において有害である。WO96/04401に見られるように、気泡は、透析液の成分濃度の測定を妨げる。それゆえ、この文献では、濃度測定の前に透析液を脱気することが提案されている。また、気泡は、透析装置に出入りする透析液を正確に調整するためには不利であるため、一般には調整手段が用いられ、脱気された透析液が使用されている。
更に、気液分離チャンバ内の液位の測定により、システム中の多量の空気を検出することが知られている。しかしながら、これは、透析液回路の漏れを監視するには、的確で信頼できる可能性を与えるものではない。
漏れ検出用の漏れセンサが知られてはいるが、液体の漏れがあるときにのみ用いられるに過ぎない。更に、透析液回路の負圧領域において漏れを検出することは公知である。その目的のため、負圧を立ち上げるのに液体回路は停止させられ、密封性が試験されるとともに、圧力の挙動が測定される。負圧が減少した場合、これは透析回路へ空気が浸透していること、すなわち、漏れの存在を示している。この方法の場合、密封と試験領域の制限のために圧力センサとバルブが必要である。更に、漏れ試験のために、液体の循環を停止しなければならない不利がある。
本発明の主たる目的は、上述したような透析液回路を発達させ、透析液回路の負圧領域での機器の漏れによる比較的小さな消費を、信頼性と利便性をもって検出できるようにすることにある。
本目的は、次の特徴を備えた透析液回路によって解決される。
すなわち、それは、透析液中の空気を検出する手段を備え、前記手段は透析液が連続的に横切る少なくとも1つのガスセンサを含む。前記ガスセンサは、透析液中の気泡の存在に依存した少なくとも1つの透析液の属性値を測定するように構成され、そして、透析液回路における監視される領域の下流側に配置されている。前記領域では、透析液回路の運転中に大気圧に対して負圧が存在する。更に、前記手段は、ガスセンサに接続される評価ユニットを含む。この評価ユニットは、ガスセンサで測定される属性値が透析液中の気泡の存在に関して評価されるように構成されている。
透析液回路は、それゆえ、試験される負圧領域の下流側に配置され、透析液回路の運転中に透析液が通過する、ガスセンサの使用方法がベースとなっている。ガスセンサの信号は、信号の評価を実行する評価ユニットに送られる。その評価ユニットは、センサの信号によって漏れを検出することに加え、例えば、警告信号を出力したり透析液回路の所定の運転モードを開始したりすることが考えられる。本透析液回路によれば、これは、透析液中の気泡を連続的に検出し、あるいは透析液回路の漏れを連続的に監視するために備えられていて、従来のように、エラーを迅速かつ信頼性をもって検出するのとは異なっている。
本透析液回路の別の態様では、ガスセンサは透析液回路に設けられる透析装置の下流側に配置される。好ましくは、透析液を供給し、負圧の形成に影響するポンプの上流側にガスセンサは配置される。
例えば、ガスセンサは伝導率センサとすることができる。そのような伝導率センサは、透析液の組成を決定するために、透析液回路において長く用いられている。本透析液回路では、それに加えて、古くから知られるこれらセンサが、透析液回路中の気泡を検出するためのガスセンサとして用いられる。そうすることで、透析液回路の漏れの効果的な監視を僅かな労力でもって実現することができる。
液の伝導率は、例えば、フローセルが用いられた伝導率センサによって決定される。原理としては、均質な媒体の伝導率σの決定は、断面積Aの伝導性物質によって互いに接続されていて距離I離れた2つの接触体の間の電気抵抗Rを測定し、次の関係式に従うことにより実現される。

R=1/σ・I/A,σ=1/R・I/A.

空気は絶縁物であるため、気泡の存在は測定経路の伝導性に影響する断面積Aを減少させる。その結果、電気抵抗Rは増大することとなり、それによって小さくなる伝導率σが検出される。
そのような伝導率センサでは、接触する電極が、透析液と直接接触するように流路の部位に配置される。伝導率は、接触する電極から透析液を通って流れる交流の強さを介して測定される点で有利である。
本透析液回路では、伝導率センサとは別に、気泡の存在によって変化する、透析液の属性値を測定する他のセンサを用いることもできる。例えば、これらには光学的センサが含まれる。気泡を検出する定容性センサの利用はDE19651355 A1で知られている。
例えば、吸光度の測定の場合であれば水によって吸光度が影響を受けるように、気泡の存在で信号の強さが増加することは幾何学や測定方法に基づいて考えることができる。同様に、例えば、光が、気泡の存在で散乱させられたり、検出器への経路で偏向させられたりする場合があるように、気泡の存在で信号の強さが減少することも考えることができる。一般に、気泡は液体に均一に分散しないので、ピーク信号の発生は気泡の存在にとって特徴的である。
平均値、例えば平均伝導率も又、気泡の存在を導き出すのに用いることができる。
同様に、ガスセンサを備え、そのガスセンサによって透析液中の個々の気泡が検出できるように構成することもできる。この場合、測定は、ガスセンサの容積中に気泡が滞留する時間よりもより短い期間で分析する必要がある。気泡が透析液と同じ速度で移動すると仮定すると、例えば、伝導率測定セルの時間分解能等、ガスセンサの時間分解能によって気泡の存在に対する反応が決定される。仮に、容量Vのセンサでの気泡の滞留時間Tよりも短い周期tでセンサの信号が採取される場合、気泡がセンサセルを通過することによって測定信号に鋭い落下が発生する。例えば、

T=V/Q,t<T,

ここで、Qはセンサセルを通る流速である。透析機器や透析液回路での典型的な値は、V=2ml、Q=500ml/min、その結果としての滞留時間T=0.2sであるが、これらは本発明を限定するものではない。
透析液の少なくとも1つの属性値の平均値が検出され、評価の基礎として用いられるようにガスセンサ及び/又は評価ユニットを構成することは同様に考えることができる。仮に、センサ信号が期間を超えて平均化される場合にはt>T、属性値の短期変化は実質的に検出されなくなる。測定される属性値、例えば伝導率の平均値は、気泡が存在しない同じ液で測定される値と異なるため、気泡の存在に対して有用である。
本透析液回路の別の態様では、評価ユニットを備え、その評価ユニットは、測定された属性値が示すガスセンサの信号の評価によって透析液中の気泡の存在が検出された時に、信号を出力する、及び/又は、透析液回路やこの透析回路を含む透析機器の所定の運転モードの開始するように構成されている。
例えば、透析液回路の圧力保持試験を行うことが考えられる。その場合、連続的な測定で透析液中の気泡が検出されたとすると、システムを停止し、例えば検査目的で圧力保持試験を経て第2の測定を行い、不必要な警告メッセージの回避やエラーの分析を行うことができる。第2の測定では、試験容積が特別の所定の圧力状態とされ、経時的な圧力変化が検出される。このような圧力保持試験は、漏れの検出の迅速性と信頼性とを保証するために、連続的な監視と効果的に組み合わせることができる。圧力保持試験のために、例えば、透析液回路は停止され、試験される部位は密閉されて、ある時間内での圧力の変化が測定される。仮に、負圧が減少した場合、透析液回路への空気の侵入、つまりは漏れを示している。公知のこの方法では、試験される領域を密閉、制限するために圧力センサとバルブとが備えられている。
更に、透析液中に気泡の存在を検出した時には、利用者に対して警告を発することができる。
本透析液回路の別の態様では、監視される領域をバイパスするバイパス流路が備えられる。そこには、少なくとも1つのバルブが設けられていて、バルブが開かれた時に参照される測定が実行されるように、透析液をバイパス流路に流すことができる。気泡の無い透析液の属性値が測定できるようにするために、監視される領域の周りにバイパス流路が案内されていて、透析液の属性値が測定される。この参照されるバルブを基準にして、透析液が監視される領域を流れた後に、透析液中に気泡が存在するか否かについての決定が行われる。
本透析液回路の別の態様では、参照される測定を行うために、透析液回路における監視される領域の上流側に、更にガスセンサが配置されている。それゆえ、例えば、気泡の無い透析液の伝導率等の属性値を測定するために、監視される領域の前で第2のガスセンサが使用される。仮に、監視される領域を通って流れることで、空気の無い透析液と比べて属性値が変化すれば、これは漏れ等、空気の入り込みを示している。上記の参照される測定に関連する伝導率等の減少があれば、空気の存在だけでなく入り込んだ空気量の推測も可能になる。
本透析液回路の別の態様では、監視される領域に配置される、圧力を変えるための手段が備えられている。生じ得る漏れは、監視される領域内で負圧を変えることによって検出される。漏れがある場合、内圧の減少が空気の侵入量の増加を導き、増加する圧力勾配とともに空気の侵入速度が増加する。負圧領域の下流側に配置された供給ポンプの流速の増加によって内圧の減少が発生した場合には、絶対的に流入する空気量は増加するが、総流量に対するその量は一定であるので、測定される属性値に変化はないという事実を導くことができる。それゆえ、特に、内圧と容積流量とを分離できるという利点がある。この目的のために、監視される領域の上流側に圧力調整器が配置される。圧力調整器は、例えば、調整可能なバルブや調整可能なポンプによって構成される。
本透析液回路の別の態様では、少なくとも1つの圧力センサが備えられている。その圧力センサは透析液の圧力を検出するために、少なくとも1つの圧力センサが透析液回路に配置されている。原理としては、透析液の内部では、気泡、又はガス泡の形成という異なった可能性が存在する。1つの可能性は、上述した漏れによる空気の入り込みによるものであり、もう1つの可能性は、透析液の残存ガスによるものである。圧力センサによって、好ましくは圧力センサの近傍において、ガス泡の形成による2つの可能性について明確にすることができる。大量の残存ガスが必要な負圧(>−350mmHg)の上方に圧力が位置しているなら、そのガス泡は、外部から侵入した空気によって形成されたものであるに違いない。しかしながら、強力な負圧の場合には、ガス泡は2つの可能性(漏れ、残存ガス)によって形成されることがある。
透析液の上記残存ガスは、主に、初期のガス抜きが不十分であった場合や、高い重炭酸塩含量のために比較的高いCOの分圧が存在する場合に発生する。
公知である補助的な気液分離装置の作動による空気の検出に対し、本透析液回路における検出は、直ちに気泡が検出され、補助的な気液分離装置における蓄積を待つ必要がないという利点がある。
先の溶液であれば、派生する空気は透析装置の下流側で分離され、空気の入り込みと残存ガスとは区別できない。先の知られた溶液は、気液分離チャンバの液位の減少が検出された場合に、バルブの開放やポンプによってチャンバから空気が取り除かれる。
更に、透析液回路を通って流れる透析液中の空気を検出する開示の方法では、透析液回路の運転中は大気圧に対して負圧が存在する、透析液回路における監視される領域の下流側において、例えばガスセンサと接するその近傍等の測定領域を通って流れる透析液における、透析液中の気泡の存在に依存した属性値が連続的に測定される。測定される属性値あるいはそれに基づく信号は、透析液中の気泡の存在と関連して評価される。特に、これは透析液回路の漏れを監視するための方法に有利である。
好ましくは、測定される属性値は透析液の伝導率である。
本方法の別の態様では、その属性値の個々のピーク信号、例えば、伝導率の個々のピーク信号が測定され、これに基づいて評価が行われる。その代わりに、属性値の平均値を求め、その平均値に基づいて評価を行うことも考えられる。
説明したように、透析液中の気泡が測定された場合には、信号が出力され、及び/又は、透析液回路の所定の運転モードが開始される。
例えば、これは、透析液回路の圧力保持試験であることができる。上述したように、試験のための補助的な測定として用いることができる。その他の運転モードとしては、例えば、透析操作の中断、及び/又は、警告に対応した出力が考えられる。
上述したように、参照される測定を実行することができ、それによって当の属性値、例えば、気泡の無い透析液の伝導率が決定される。
参照される測定は、監視される領域の周りに透析液がバイパスによって導かれることによって行うことができる。監視される領域の上流側で透析液の属性値を測定することによって行うこともできる。
参照される測定を行わない、又は参照される測定ができない場合には、気泡はまた、好ましくは透析液の流速を変えないようにして、測定される領域の圧力を変えることによって推測することができる。
更に、透析液回路のガスセンサの使用方法に関しては、透析液回路を通って流れる透析液中の気泡を検出するためにガスセンサを使用することに特徴がある。そして、ガスセンサは、透析液中の気泡の存在に依存する、透析液の少なくとも1つの属性値を測定するように構成されている。ガスセンサは、透析液回路の運転中は大気圧に対して負圧が存在し、透析液が連続的に通過する、透析液回路における監視される領域の下流側に配置されている。特に、ガスセンサは透析液回路の漏れの監視に対して効果的に使用される。
気泡が監視される透析液は、例えば、不純物のない限外濾過液や洗浄液など、透析液回路を通って流れる透析機器の運転局面のいかなる透析液であってよい。それゆえ、これら運転局面において、透析液回路もまた漏れが監視されるようにできる。
本発明の更なる詳細及び効果は、図に表された実施例を参照して詳しく説明される。
ピーク信号の検出による伝導率測定によって漏れを検出するための配置の概略説明図である。 バイパス流路、又は第2センサによる平均伝導率の決定によって漏れを検出するための配置の概略説明図である。 圧力を変えることによる平均伝導率の決定によって漏れを検出するための配置の概略説明図である。 透析装置の上流側及び下流側における伝導度の経時変化を表した図である。
図1は、本発明に係る透析液回路の構成を概略的に表している。そこでは、透析液回路の負圧領域における漏れの検出がピーク信号の検出によって実現される。符号10は透析液回路を示しており、その領域11は、漏れが監視される透析液回路の領域を表している。監視される領域11の下流側には、本例では伝導率センサとして構成されているガスセンサ20が配置されている。伝導率センサはしばしば用いられるが、本発明では特に気泡の検出のために用いられる。
符号60は、監視される領域11及びガスセンサ20の下流側に配置されたポンプである。このポンプの運転中は、監視される領域11はポンプの吸引側に位置しているので、そこには負圧が存在している。
符号12は、監視される領域11の漏れ部位を示しており、矢印で示すように、そこを通じて監視される領域11に空気が入り込む。監視される領域11を流れる透析液中に気泡を形成するこの空気は、例えば、ピーク信号の検出によって検出することができる。
上述したように、ガスセンサ20の信号は、このセンサ20における気泡の滞留時間と比較できるサンプリング周期で記録する必要がある。気泡は、伝導率の測定におけるノイズよりも大きな伝導率の粒になったときに検出される。液体の伝導率が高くなればなるほど上述したように気泡の影響が大きくなるので、空気と透析液の混合物の伝導率は減少する。例えば透析機器の混合システムでの変動の影響など、仮に、監視される領域11の伝導率が変動によって左右される場合でも、空気の無い液体の伝導率の変動は明確に緩やかな周期で発生することから、これと空気の入ったピーク信号とは区別することができる。空気の入ったピーク信号は比較的短く、温度の変動は緩やかに伝導率に影響するので、通常、伝導率の温度による補償は必要ない。
図1に示す配置において、ピーク信号の検出を行うことができる。伝導率は経時的に検出され、気泡による伝導率の短時間の減少の結果としてピーク信号が発生する。これは、例えば、図4に示すように、ピーク信号は異なる時間に発生する。略水平に延びるライン100は、例えば、透析装置の上流側など、監視される領域の上流側の伝導率を示している。ピーク信号を含むライン110は、監視される領域の下流側の伝導率を示している。
図1に示す配置において、入り込んだ空気の量が必要な場合には、伝導率セルの大まかな調整が必要である。そうすれば、気泡の数や量はピーク信号の数や高さから推定できる。
信号とノイズの比率をより良くするには、ガスセンサの伝導率信号を、期間を延長して平均化することができる。平均化する時間をより長くすることにより、空気の入った伝導率のピーク信号は見えなくなるが、気泡の無い透析液と比較して伝導率の平均値の減少が認められる。この測定方法では、例えば、伝導率の測定期間など、それぞれの属性値を測定する時に、温度の影響に対する補償を行うか、あるいは環境の影響からガスセンサを適切に温度的に隔離するのが好ましい。
透析液に空気が明確に存在しない状態と、システムへの空気の入り込みが可能な状態とでの伝導率の代わりの測定によって気泡の検出は実現される。
図2に、この原理に従った漏れ検出のための配置を示す。そこでは、同一あるいは機能的に同等の構成については図1と同じ符号を付してある。
最初は、例えば、バイパス流路14によって監視される領域11をバイパスしている間に伝導率センサ20で測定するなど、循環している透析液の伝導率が気泡の無い状態で測定される。バイパス流路は、バルブ16を含み、これによりバイパス流路14は開閉することができる。参照される測定では、バルブ16が開かれ、監視される領域11の上流側と下流側とに配置されたバルブ17,18が閉じられる。気泡の無い透析液の測定された伝導率の値が利用できるようになると、バルブ16は閉じられ、監視される領域11は開くバルブ17,18で通じるようになる。そのとき、センサ20で測定される伝導率の値が参照される測定のものの下方にあれば、漏れ部位12を介して空気の入り込みが存在する。
変形例では、参照される測定は、本実施形態では伝導率センサとして示される第2のガスセンサ30でもって領域11の前方を連続的に監視することによって実現される。監視される領域11を通過しているガスセンサ20での伝導率が、ガスセンサ30で測定された、気泡の無い液体の伝導率よりも小さいとすれば、これは空気が入り込んでいることを示している。参照値に関連した伝導率の減少量から、漏れ部位12から入り込んだ空気量を評価することができる。
図3に、例えば、参照される測定ができない場合に利用できる配置を示す。この場合では、監視される領域11の負圧を変えることによって漏れを検出することができる。この装置における同一あるいは機能的に同等の部材については、図1と同じ符号が用いてある。
符号40は、圧力調整器であり、これによって監視される領域の圧力状態を変えることができる。
監視される領域11で漏れ12が発生している場合、空気の侵入速度は、領域11とその周辺との間の圧力勾配の増大によって増加する。ポンプ60の供給速度の増加は、領域11の内部圧力の低下により、空気の侵入の増加を招く。
負圧領域11の後方に位置する供給ポンプ60の流量の増加による領域11の内部圧力の低下は供給速度の増加と比例しているので、この場合、ポンプ60の供給速度が低下するほど、漏れ部位12を通じて流れ込む空気量は絶対的に大きくなるが、総流速に対する空気の流入量は一定であるため、最後の解析における伝導率に変化はない。この目的のため、領域11の上流側に、調整可能なポンプや調整可能なバルブとして設けられる圧力調整器40が設けられ、それによって内部圧力と容積流量との間の分離が可能になる。
本発明では、例えば、図1〜図3に示される配置において、供給ラインが閉じられた時に、透析液は、不純物を含まない限外濾液とすることができる。本発明であれば、それに対応する液体回路の厳密性を監視するために、その限外濾液中の気泡の検出にもまた当然に有効である。
本発明は、周辺部に対して少なくとも一部に負圧の部位が存在する、透析液回路の各部材の厳密性を監視することに利用できる点で有利である。これら負圧の領域は、透析機器内部の透析液回路の部材や透析液回路の外部の透析装置であってもよい。特に、接続する際に漏れが発生するような場合には、最初に取り扱う前に検出することはおそらくできない。
本発明における「透析液回路」という用語は、広義に解釈されるべきであり、透析液を導くための流路や、その流路に配置される部材、例えば、透析装置やポンプ等、それらに接続されるユニット、例えば、コントローラや評価ユニット等を含む。
「透析液」という用語もまた、広義に解釈されるべきである。それは、透析装置の運転状況で透析液回路を通って流れる液体であればよく、例えば、添加された透析液や、不純物を含まない限外濾過液、洗浄時に透析液回路を通って流れる洗浄液などを含む。それゆえ、本発明によれば、あらゆる運転状況で透析液回路の漏れを監視することができる。

Claims (16)

  1. 透析液が流れる透析液回路を備えた透析機器であって、
    ポンプと、
    前記ポンプの上流側に配置され、運転中に負圧になる監視領域と、
    前記監視領域への空気の入り込みを監視する手段と、
    を備え、
    前記手段は、
    透析液が横切って通過するように前記監視領域の下流側に配置されるとともに前記ポンプの上流側に配置された、1つのガスセンサと、
    前記ガスセンサに接続される評価ユニットと、
    を含み、
    前記ガスセンサは、透析液中の気泡の存在に依存した少なくとも1つの透析液の属性値を連続的に測定し、
    前記評価ユニットが、前記属性値に基づいて前記監視領域への空気の入り込みを連続的に監視し、
    前記監視領域をバイパスし、少なくとも1つの閉止バルブを有するバイパス流路が備えられ、
    前記属性値と参照する測定を行うために、前記閉止バルブが開かれて透析液がバイパス流路を通って流動可能になる透析機器
  2. 請求項1に記載の透析機器において、
    透析装置が、前記透析液回路に配置され、
    前記ガスセンサが、前記透析装置の下流側に配置されることを特徴とする透析機器。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の透析機器において、
    前記ガスセンサが伝導率センサであることを特徴とする透析機器。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の透析機器において、
    前記属性値と参照する測定を行うために、前記監視領域の上流側に、更に、ガスセンサが配置されていることを特徴とする透析機器。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の透析機器において、
    前記監視領域の圧力を変える変圧手段が備えられていることを特徴とする透析機器。
  6. 請求項5に記載の透析機器において、
    前記変圧手段が、前記監視領域の上流側に配置された圧力調整器と、当該監視領域の下流側に配置された前記ポンプとで構成されていることを特徴とする透析機器。
  7. 請求項6に記載の透析機器において、
    前記圧力調整器が、調整可能なバルブ、又は調整可能なポンプによって構成されていることを特徴とする透析機器。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載の透析機器において、
    透析液の圧力を検出するために、少なくとも1つの圧力センサが透析液回路に配置されていることを特徴とする透析機器。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか一つの透析機器を使用して、透析液が流れる透析液回路への空気の入り込みを監視する方法であって、
    運転中に負圧になる監視領域の下流側において、透析液中の気泡の存在に依存した透析液の属性値を連続的に測定し、
    前記属性値に基づいて前記監視領域への空気の入り込みを連続的に監視する方法。
  10. 請求項9に記載の方法において、
    前記属性値が、透析液の伝導率であることを特徴とする方法。
  11. 請求項9又は請求項10に記載の方法に加えて、
    透析液中に気泡が検出された場合には、システムを停止させた後、圧力保持試験を実行することを特徴とした透析液への空気の入り込みの監視および圧力保持試験の実行方法。
  12. 請求項9〜請求項11のいずれか1つに記載の方法において、
    気泡の無い透析液の属性値を検出する参照測定が行われて、前記属性値と比較されることを特徴とする方法。
  13. 請求項12に記載の方法において、
    前記監視領域をバイパスすることにより、前記参照測定が行われることを特徴とする方法。
  14. 請求項12又は請求項13に記載の方法において、
    前記監視領域の上流側で前記属性値を連続的に測定することにより、前記参照測定が行われることを特徴とする方法。
  15. 請求項9〜請求項14のいずれか1つに記載の方法において、
    前記監視領域の圧力を変えて前記属性値が測定されることを特徴とする方法。
  16. 請求項15に記載の方法において、
    前記監視領域を流れる透析液の流速を変えずに圧力が変えられることを特徴とする方法。
JP2010518563A 2007-07-31 2008-07-30 透析機器、透析液への空気の入り込みの監視方法、及び透析液への空気の入り込みの監視および圧力保持試験の実行方法 Expired - Fee Related JP5693221B2 (ja)

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