JP5692901B2 - 乗務距離管理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、タクシー等の業務用車両に車載機器として搭載される乗務距離管理装置に関する。
各種の業務用車両を運行する乗務員の労働状況に関しては、例えば過重労働に基づく交通事故の発生を未然に防止したり、乗務員の健康上の問題発生を回避する観点から管理する必要があり、規制も行われている。例えば、タクシー乗務員の乗務については、過重労働を防止するために、タクシーの1乗務、すなわち1営業日毎の業務開始時(出庫)から業務終了時(帰庫あるいは入庫)までの連続した勤務について、乗務距離の最高限度が監督官庁の指導により規制されている。
従って、各々のタクシー乗務員は、乗務距離が最高限度を超えない範囲内で乗務を行うように行動している。すなわち、適当な時点で現在の乗務距離を把握し、この距離が最高限度を超える前に当日の乗務を終了して帰庫することになる。
しかし、現在の乗務距離を把握するためには、乗務員が手作業で計算を行う必要がある。すなわち、各車両に搭載されている積算距離計(オドメータ)の表示数値を確認し、現在の表示数値と出庫時に予め確認した表示数値との差分を計算して現在の乗務距離を把握する。
また、区間距離を計測するトリップメータを利用して現在の乗務距離を把握する場合もある。すなわち、タクシーの出庫時にリセットボタンを押してトリップメータの表示数値を0にクリアすることで、出庫時から現在までの走行距離をトリップメータで表示することができる。しかし、出庫時以外の時点でリセットボタンを誤って、あるいは故意に押した場合にはトリップメータの表示がクリアされるので、現在の乗務距離を正しく表示することができなくなる。また、タクシー乗務員は帰庫した後で当日の業務内容に関する情報を乗務記録の日報として記録する必要があり、当日の全走行距離を正しく記録する必要があるので、積算距離計の表示数値に基づいて当日の全走行距離を算出することになる。
また、タクシー会社等において、多数の乗務員の業務の状況を管理している管理者は、各乗務員が乗務記録の日報により申告した乗務距離(当日の全走行距離)に基づいて乗務員の管理を行っているので、申告の内容が間違っていると状況を正しく管理することができなくなり、様々な問題の発生に繋がる。
本発明と関連のある従来技術が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1においては、日報を作成する作業の負担を軽減するための技術を提案している。具体的には、タクシー車両の積算距離計(オドメータ)の距離の変化と、タクシーメータの算出する距離の変化との関連を表す補正係数を用いて、タクシーメータの出力する営業データから乗務距離に関する代替えデータを生成し、これを日報の作成に利用している。
また、乗務員の労働状況を管理する技術として、タクシー乗務員の勤務時間の超過を防止するための技術が、例えば特許文献2に開示されている。特許文献2においては、乗務員の超過勤務を防止するための機能をタクシーメータに搭載することを提案している。
特開2008−287535号公報 特開2008−293175号公報
しかしながら、実際の乗務距離の算出に関しては様々な方法があり、地区毎に異なる算出方法が適用されているのが実情である。例えば、高速道路を利用した場合には、高速道路を走行した区間の距離について、距離を控除して計算を行う方法が適用される場合もある。このような場合は、各時点で乗務員が乗務距離の情報を得るために複雑な計算を行わざるを得ない。
また、乗務記録の日報等に記録した乗務距離の計算について、高速道路や自動車専用道路を利用した区間に関する距離の控除を適用した場合には、該当する高速自動車国道等の路線名、走行した区間、走行距離、走行した時刻、および料金の情報を乗務記録に記録することを監督官庁が指導している。従って、距離の控除を適用する場合にはこれらの情報を各乗務員が手作業で記録しなければならず、乗務員の負担が非常に大きくなる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、規制対象の乗務距離を把握するための乗務員の負担を軽減することが可能な乗務距離管理装置を提供することにある。
前述した目的を達成するために、本発明に係る乗務距離管理装置は、下記(1)〜()を特徴としている。
(1) 業務用車両に車載機器として搭載される乗務距離管理装置であって、
前記業務用車両に乗務する乗務員の1営業日毎の走行距離を把握すると共に、少なくとも1営業日毎の業務開始を表す出庫の条件を満たす時に、前記走行距離を自動的に初期化して距離の計測を再開する乗務距離算出部と、
前記乗務距離算出部が算出した前記走行距離に関する情報を前記乗務員に対して報知する乗務距離報知部と
を備え
前記乗務距離算出部は、
高速道路走行開始条件を満たしてから高速道路走行終了条件を満たすまでの高速道路走行距離を算出する高速距離算出部
を含み、前記高速道路走行距離に応じて定まる控除距離の影響を反映した値を前記乗務距離として出力すること。
(2) 上記(1)に記載の乗務距離管理装置であって、
前記乗務距離算出部が算出した前記走行距離と、予め定められた最高乗務距離とを比較し、前記走行距離と前記最高乗務距離との差が所定以内に近づいた時に警告を表す情報を出力する乗務距離警告部
を更に備えること。
) 上記(1)に記載の乗務距離管理装置であって、
前記乗務距離算出部は、乗務員に割り当てられた所定のカードが前記車載機器に装着されたことを検出した時に、出庫の条件を満たしたと認識すること。
上記(1)の構成の乗務距離管理装置によれば、タクシー等の業務用車両に乗務する乗務員は、前記乗務距離報知部の報知により、出庫時点から現在までの走行距離に相当する情報を把握できる。従って、乗務員は走行距離を把握するために手作業で計算を行う必要がなく、乗務距離の最高限度を超える前に当日の乗務を終了することができる。
なお、本明細書における「1営業日毎の走行距離」については、タクシー等の車両の出庫から帰庫又は入庫までを「1営業日」とみなす。従って、例えば深夜に営業するタクシー等のように1営業毎に2日に跨って営業する場合も、1回の出庫から帰庫までの期間を「1営業日」とみなす。
また、乗務距離の最高限度について、高速道路の走行分の距離を控除可能な場合に、乗務員が手作業で計算を行うことなく、控除距離の影響を反映した乗務距離を把握することができる。
上記(2)の構成の乗務距離管理装置によれば、当日の乗務を終了すべき状況が近づいた時に、前記乗務距離警告部から警告が出力されるので、乗務員は現在の走行距離を表す表示等を頻繁に確認する必要がなく、乗務距離の最高限度を超える前に当日の乗務を終了することができる。
上記()の構成の乗務距離管理装置によれば、乗務員が特別な入力操作を行わなくても、出庫の状態を自動的に検出し、走行距離の計測を開始できる。例えばタクシー車両の場合には、乗務員が自分のカードを車両に装着してから乗務を開始するのが一般的なので、特別な操作を追加する必要はない。
本発明によれば、規制対象の乗務距離を把握するための乗務員の負担を軽減できる。すなわち、タクシー等の業務用車両に乗務する乗務員は、前記乗務距離報知部の報知により、出庫時点から現在までの走行距離に相当する情報を把握できる。従って、乗務員は走行距離を把握するために手作業で計算を行う必要がなく、乗務距離の最高限度を超える前に当日の乗務を終了することができる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
本発明の実施形態の乗務距離管理装置の機能上の構成例を表すブロック図である。 本発明の実施形態の乗務距離管理装置を含むシステムの構成例を示すブロック図である。 図2に示した乗務距離管理装置の具体的な動作例(1)を示すフローチャートである。 図2に示した乗務距離管理装置の具体的な動作例(2)を示すフローチャートである。 図2に示した乗務距離管理装置の外観および表示例(1)を示す正面図である。 図2に示した乗務距離管理装置の外観および表示例(2)を示す正面図である。 タクシー乗務員が1日の業務終了後に作成する日報の記載例を示す正面図である。 ボタン操作を検出して高速距離を算出する場合の動作タイミングの例を示すタイムチャートである。 ETC車載器を利用して高速距離を算出する場合の動作タイミングの例を示すタイムチャートである。
本発明の乗務距離管理装置に関する具体的な実施の形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
本実施形態の乗務距離管理装置を含むシステムの構成例が図2に示されている。図2に示す構成例においては、タクシー車両に搭載されるタクシーメータ本体100の内部に乗務距離管理装置の機能を備えた場合を想定している。勿論、本発明の乗務距離管理装置は、タクシーメータとは独立した別の車載器として構成することも可能である。
図2に示すように、タクシーメータ本体100は、マイクロコンピュータ(CPU)10、時間計測部20、操作部30、表示部40、車両情報格納部50、プログラム格納部60、設定値データ格納部70、メモリカードI/O部80、およびインタフェース(I/F)90を備えている。
マイクロコンピュータ10は、プログラム格納部60上に予め用意されている所定のプログラムを実行することにより、タクシーメータの機能および本発明の乗務距離管理装置に必要とされる主要な機能を実現する。マイクロコンピュータ10の処理によって実現する乗務距離管理装置の機能上の構成例が図1に示されている。図1の構成については後で詳細に説明する。
時間計測部20は、時計の機能を備えた集積回路である。すなわち、周期が一定のクロックパルスの発生したパルス数を常時計数することにより現在時刻を把握したり、時間の計測を行うことができる。
操作部30は、様々な入力操作を受け付け可能にするために、タクシー車両の乗務員が操作可能な様々な操作ボタン(スイッチ)を備えている。すなわち、一般的なタクシーメータの場合と同様に、例えば図5に示す「空車」、「実車」、「支払」、「高速」の各ボタンが操作部30に備わっている。
表示部40は、数値や文字列等の情報を画面上に表示可能な液晶表示器(LCD)である。この表示部40は、乗務員から見やすいように、タクシーメータ本体100の前面パネルに配置されており、マイクロコンピュータ10の制御により、例えば図5に示す画面40aの表示や、図6に示す画面40bの表示が可能である。
車両情報格納部50は、データの読み書きが自在なメモリ(RAM)である。マイクロコンピュータ10は、必要に応じて車両情報格納部50のメモリにアクセスし、車両の状態に関する様々な情報を一時的に保持するために利用する。
プログラム格納部60は、読み出し専用メモリ(ROM)であり、マイクロコンピュータ10が実行すべきプログラムのデータを予め保持している。
設定値データ格納部70は、不揮発性のメモリ(EEPROM)であり、タクシーメータの機能および本発明の乗務距離管理装置の機能を実現するために必要な各種の定数データを予め保持している。
メモリカードI/O部80は、所定のメモリカード85を装着可能なカードスロットを有しており、装着されたメモリカード85に対してデータの入力(読み出し)及び出力(書き込み)を行うことができる。
メモリカードI/O部80に装着されるメモリカード85は、不揮発性のメモリを搭載している。タクシー会社等においては、各々の乗務員の営業状態に関する情報を管理するために、一般的に、各々の乗務員に1枚ずつのメモリカード85を配布し、このカード上に管理に必要な情報を記録する。
各々のメモリカード85には、それを所持する乗務員を特定可能なIDコードなどの情報が予め書き込まれる。各乗務員は、タクシー車両に乗務する際には、自分に割り当てられたメモリカード85をタクシーメータ本体100のメモリカードI/O部80に装着してから営業を開始する。営業中には、タクシーメータの機能により営業情報や運行情報などが収集され、これらの情報がメモリカード85に書き込まれる。また、乗務距離管理装置の機能により、後述するように乗務距離や控除距離の情報がメモリカード85に書き込まれる。
タクシーメータ本体100は、図2に示すように、インタフェース90を介してETC車載器200と接続されている。ETC車載器200は、高速道路などの有料道路の入口ゲートや出口ゲート付近に設置されている道路側の通信設備との間で無線通信を行い、料金収受の処理を行ったり必要な情報を取得することができる。なお、後述するように、ETC車載器200が存在しない場合であっても、本発明の乗務距離管理装置の機能を実現することが可能である。
図2に示すタクシーメータ本体100に内蔵された乗務距離管理装置は、図1に示すような機能を有している。これらの機能はマイクロコンピュータ10の処理によって実現される。
すなわち、この乗務距離管理装置は図1に示す乗務距離算出部11、高速距離算出部12、距離比較部13、出庫検出部14、入庫検出部15、高速入口検出部16、高速出口検出部17の各機能を備えている。
乗務距離算出部11は、1営業日毎のタクシー業務の乗務開始から現時点までの間の車両の走行距離に相当する乗務距離を算出する機能を有している。基本的には、出庫検出部14が出庫状態を検出した時(営業開始時)から現在までの走行距離を測定する。一般的には、車両の車輪が所定量回転する毎にパルスが現れる車速パルス信号が車両側のセンサから出力されるので、このパルス数を計数することにより走行距離を把握できる。また、乗務距離算出部11は、計測した走行距離から高速道路の走行分だけ距離を控除した結果を乗務距離として出力することもできる。
高速距離算出部12は、タクシー車両が高速道路を走行した区間の距離を高速距離として算出する機能を有している。具体的には、タクシー車両が高速道路の入口に入ったことを高速入口検出部16が検出してから、この車両が高速道路の出口を出たことを高速出口検出部17が検出するまでの区間の走行距離を算出する。例えば、高速道路の走行距離の100%を乗務距離から控除できる場合には、算出した高速道路の走行距離をそのまま控除距離として出力する。そうでない場合は、所定の控除割合に基づき、高速道路の走行距離から控除距離を算出する。
距離比較部13は、乗務距離算出部11が出力する乗務距離の値を、閾値と比較して警報を出力するか否かを決定する。比較対象の閾値としては、「乗務距離上限値」および「警告開始距離」の値を用いる。「乗務距離上限値」は監督官庁の決定した規制値に対応し、「警告開始距離」は予め定めた前記規制値に対する余裕分を表す。「乗務距離上限値」および「警告開始距離」の値は、定数としてメモリカード85又は設定値データ格納部70に予め保持されている。このような定数データは、図2に示す後方処理装置300を用いて事前に書き込むことができる。
出庫検出部14は、1営業日毎のタクシー業務の乗務開始を自動的に検出する。具体例として、メモリカードI/O部80がカード未装着の状態から所定のメモリカード85が装着された状態に変化した時に、出庫検出部14はこれを「出庫」として検出する。
入庫検出部15は、1営業日毎のタクシー業務の乗務終了を検出する。具体例として、所定のボタン(例えば図示しない「書き込み」ボタン)操作を検出した時に、これを「入庫」あるいは「帰庫」として検出する。
高速入口検出部16は、タクシー車両が一般道路から高速道路の入口に入った時の状態の切り替わりを自動的に識別する。具体例として、タクシーメータ本体100の「高速」ボタンが押下され「高速ON」になった時に、あるいは入口ゲートに到達したことをETC車載器200が検出した時に「高速入口」として識別する。
高速出口検出部17は、タクシー車両が高速道路を出て一般道路に移る時の状態の切り替わりを自動的に識別する。具体例として、タクシーメータ本体100の「高速」ボタンが押下されて「高速OFF」になった時に、あるいは出口ゲートに到達したことをETC車載器200が検出した時に「高速出口」として識別する。
図1および図2に示した乗務距離管理装置の具体的な動作例(1)が図3に示されている。なお、図3に示す動作は主としてマイクロコンピュータ10の処理によって実現される。図3に示す動作について以下に説明する。
ステップS11では、出庫検出部14が出庫状態になったか否かを識別する。例えば、乗務員の所持するメモリカード85がメモリカードI/O部80に装着された時に、出庫検出部14が出庫状態を検出する。そして次のステップS12に進む。
ステップS12では、乗務距離算出部11が走行距離の計測を開始する。すなわち、走行距離を0に初期化した後、前記車速パルスのパルス数を常時計数し、パルス数の累積値に基づいて出庫時点から現在までの走行距離を算出する。
ステップS13では、高速入口検出部16が高速道路(有料道路)の入口ゲート近傍に設置された道路側ETC通信設備から送出されるデータをETC車載器200を介して受信したか否かを識別する。受信した場合、すなわちタクシー車両が高速道路の入口に到達した時に次のステップS14に進み、受信していない場合はステップS19に進む。
ステップS14では、ステップS13でETC車載器200が受信したデータを、高速距離算出部12が取り込んでETC入口データとして車両情報格納部50に記録する。
ステップS15では、高速距離算出部12が高速道路走行分の走行距離を表す高速距離および控除距離の計測を開始する。すなわち、高速距離を0に初期化した後、前記車速パルスのパルス数を常時計数し、パルス数の累積値に基づいて高速道路の入口から現在位置までの走行距離を算出する。
ステップS16では、高速出口検出部17が高速道路(有料道路)の出口ゲート近傍に設置された道路側ETC通信設備から送出されるデータをETC車載器200を介して受信したか否かを識別する。受信した場合、すなわちタクシー車両が高速道路の出口に到達した時に次のステップS17に進み、受信していない場合はステップS19に進む。
ステップS17では、ステップS16でETC車載器200が受信したデータを、高速距離算出部12が取り込んでETC出口データとして車両情報格納部50に記録する。
ステップS18では、高速距離算出部12が1回分の高速道路走行に関し計測した高速距離および控除距離を確定し、これらのデータを車両情報格納部50上に保存する。高速道路の入口および出口を複数回に渡って通過した場合には、1回の走行毎に高速距離および控除距離のデータが車両情報格納部50に記録される。なお、ステップS11で出庫を検出した時に、それまでに記録された高速距離および控除距離のデータは車両情報格納部50から自動的に消去される。つまり、当日の営業に関する高速距離および控除距離のデータが車両情報格納部50に保存される。
ステップS19では、タクシーメータ本体100に備わった「実車」ボタンが押下されたかどうかをマイクロコンピュータ10が識別する。すなわち、タクシー車両に乗客を乗せて営業を行う時に、乗務員の「実車」ボタンに対する入力操作を検出する。「実車」ボタンが押下された時はステップS20に進み、そうでない時はステップS26に進む。
ステップS20では、マイクロコンピュータ10が所定の実車処理を実施する。すなわち、一般的なタクシーメータの動作と同様に、乗客の乗車地点からの走行距離や経過時間の長さと事前に定めた料金体系とに基づいて、現在の運賃を算出し表示したり、料金の支払い等に関する処理を行う。これは一般的な処理であるので、詳細な動作の説明は省略する。
ステップS21では、タクシーメータ本体100に備わった「空車」ボタンが押下されたかどうかをマイクロコンピュータ10が識別する。すなわち、タクシー車両から乗客を降ろして営業を終了した時に、乗務員の「空車」ボタンに対する入力操作を検出する。「空車」ボタンが押下されるとステップS22に進み、そうでない時はステップS13の処理に戻る。
ステップS22では、乗務距離算出部11が次式により乗務距離を算出する。
乗務距離=(走行距離)−(控除距離) ・・・(1)
走行距離:乗務距離算出部11が計測した出庫時点から現在までの走行距離
控除距離:高速距離算出部12が計測した高速距離に対応する控除分の距離
なお、同じ営業日に複数回に渡って高速道路を走行した場合には、空車状態、営業状態の区分とは無関係に、複数回の全ての高速道路走行分の総和に応じた控除距離が適用される。例えば、図9に示す例では、時刻t11でETC入口ゲートを通過し、時刻t12でETC出口ゲートを通過し、時刻t21でETC入口ゲートを通過し、時刻t22でETC出口ゲートを通過した場合を想定している。この場合、時刻t11−t12の区間の走行距離d1に対応する控除距離1と、時刻t21−t22の区間の走行距離d2に対応する控除距離2との和が前記第(1)式の控除距離として適用される。
ステップS23では、距離比較部13が次式の比較を行い、この条件を満たす時にはステップS24に進み、満たさない時はステップS25に進む。
(乗務距離)>(最高乗務距離)−(警告開始距離)
乗務距離:控除後の乗務距離算出部11の出力
最高乗務距離(乗務距離上限値):規制値に対応する定数
警告開始距離:余裕分に対応する予め定めた定数
ステップS24では、距離比較部13が警報用出力信号を出力する。これにより、例えば図6に示す画面40b中の「乗務距離に注意して下さい」のようなメッセージが表示部40に表示される。なお、警告表示の代わりに、ブザーなどの警報音や疑似音声による警告を出力しても良い。
ステップS25では、乗務距離算出部11が控除後の乗務距離の情報を表示部40に出力する。これにより、例えば図5に示す画面40a中の「乗務距離 135km」のような文字情報及び数値が表示される。
ステップS26では、タクシーメータ本体100の操作部30に備わっている「表示読みだし」ボタン(図示せず)の状態をマイクロコンピュータ10が識別する。「表示読みだし」ボタンの押下を検出した時にはステップS27に進み、検出しない時にはステップS31に進む。
ステップS27では、前述のステップS22と同様に乗務距離を乗務距離算出部11が算出する。また、次のステップS28では、前述のステップS23と同様の比較を距離比較部13が行う。ステップS28の条件を満たす時にはステップS29に進み、満たさない時はステップS30に進む。
ステップS29では、前述のステップS24と同様に警告を表示する。また、次のステップS30では、前述のステップS25と同様に乗務距離を表示部40に表示する。
ステップS31では、入庫検出部15が入庫を検出したか否かを識別し、入庫を検出した時はステップS32に進み、検出していない時はステップS13の処理に戻る。すなわち、1日の営業が終了し、これ以降は当日に営業を行わない状態になった時に、乗務員が所定のボタンを操作すると「入庫」あるいは「帰庫」と見なしてステップS32に進む。
ステップS32では、該当する乗務員の業務の状況を把握するために必要な様々な情報をマイクロコンピュータ10がメモリカード85に書き込む。ここでメモリカード85に書き込む情報には、乗務距離算出部11が算出した最終的な(現在の)乗務距離や、高速距離算出部12が算出した控除距離や、ETC車載器200が受信した情報に基づいて生成されるETC情報が含まれる。ETC情報としては、高速道路の走行について控除を行った路線の名称、走行した区間、控除した距離、走行した時刻などが含まれる。
ステップS33では、マイクロコンピュータ10が所定の入庫処理を行う。すなわち、一般的なタクシーメータの場合と同様に、当日の営業中にタクシーメータ本体100が収集した各種情報、例えば賃走毎の乗車位置、乗車時刻、降車位置、降車時刻、走行距離、運賃などの情報をメモリカード85上に書き込む。
従って、タクシー車両の状態が「実車」から「空車」に切り替わった時や、乗務員が「表示読みだし」ボタンを押下した時には、図5に示す画面40aのように、現在の乗務距離が表示されるので、この乗務距離に基づき、乗務員は当日の営業を終了すべきか否かを容易に判断できる。また、計測された乗務距離が(最高乗務距離−警告開始距離)を超えると、例えば図6に示す画面40bのように警告が表示されるので、最高乗務距離を超えて営業することがないように注意することができる。
なお、高速距離算出部12が計測する高速距離については、車速パルスを計数しなくても把握可能である。すなわち、ETC車載器200を利用する場合には、高速道路を走行した時の入口の場所と出口の場所とを確実に特定することができるし、入口と出口との間の区間の距離は一定であるので、この距離については予め用意可能な定数データにより、あるいは道路側のETC通信設備から送出される情報に基づいて特定できる。
メモリカード85上については、タクシー車両の入庫後にタクシーメータ本体100から取り外し、図2に示すようにタクシー会社の事務所等に設置された後方処理装置300に装着することができる。後方処理装置300は、メモリカード85に記録されたデータを読み取り、その内容を表示したり保存して乗務員の管理に利用することができる。
また、1日の営業の終了後に、各乗務員は例えば図7に示すような業務日報を作成する必要がある。この業務日報の作成の際に、メモリカード85に記録されたデータを利用できる。すなわち、当日の乗務距離(最高乗務距離)、控除距離(除外高速走行の距離)、控除した各高速道路の通行に関する入口料金所および出口料金所の情報等がメモリカード85に記録されているので、これらの情報を後方処理装置300で表示して日報に記入することができる。日報の作成を自動化することも可能である。
図1および図2に示した乗務距離管理装置の動作例(2)が図4に示されている。この動作例では、ETC車載器200を利用せずに乗務距離を管理する場合を想定している。図4に示す動作について以下に説明する。
ステップS41では、出庫検出部14が出庫状態になったか否かを識別する。例えば、乗務員の所持するメモリカード85がメモリカードI/O部80に装着された時に、出庫検出部14が出庫状態を検出する。そして次のステップS42に進む。
ステップS42では、乗務距離算出部11が走行距離の計測を開始する。すなわち、走行距離を0に初期化した後、前記車速パルスのパルス数を常時計数し、パルス数の累積値に基づいて出庫時点から現在までの走行距離を算出する。
ステップS43では、高速入口検出部16がタクシーメータ本体100の操作部30に設けられた「高速」ボタン(図5参照)の状態を監視して、押下された状態(高速ON)か否かを識別する。「高速」ボタン押下を検出するとステップS44に進み、これを検出しない時はステップS47に進む。
タクシー車両の乗務員は、乗客を乗せて営業している時に高速道路を利用する時には、高速道路に対応した料金体系を適用して運賃を算出する必要があるので、高速道路の入口で「高速」ボタンを押下し、高速道路の出口でこれを解除(高速OFF)するように操作する必要がある。また、本実施形態のタクシーメータにおいては、正しい控除距離を検出するために、「空車」状態であっても「高速」ボタンの操作を受け付ける。すなわち、タクシー車両が高速道路の入口に到達した時にステップS44に進む。
ステップS44では、高速距離算出部12が高速道路走行分の走行距離を表す高速距離および控除距離の計測を開始する。すなわち、高速距離を0に初期化した後、前記車速パルスのパルス数を常時計数し、パルス数の累積値に基づいて高速道路の入口から現在位置までの走行距離を算出する。
ステップS45では、高速入口検出部16が前記「高速」ボタンの状態を監視して、「高速」状態が解除されたか否かを識別する。「高速」ボタンが解除された時はステップS46に進み、解除されていない時はステップS47に進む。すなわち、タクシー車両が高速道路の出口に到達した時にステップS46に進む。
ステップS46では、高速距離算出部12が1回分の高速道路走行に関し計測した高速距離および控除距離を確定し、これらのデータを車両情報格納部50上に保存する。高速道路の入口および出口を複数回に渡って通過した場合には、1回の走行毎に高速距離および控除距離のデータが車両情報格納部50に記録される。なお、ステップS41で出庫を検出した時に、それまでに記録された高速距離および控除距離のデータは車両情報格納部50から自動的に消去される。つまり、当日の営業に関する高速距離および控除距離のデータが車両情報格納部50に保存される。
同じ営業日に複数回に渡って高速道路を走行した場合には、空車状態、営業状態の区分とは無関係に、複数回の全ての高速道路走行分の総和に応じた控除距離が適用される。例えば、図8に示す例では、時刻t11で「高速」ボタンが押下され、時刻t12で「高速」ボタンが解除され、時刻t21で「高速」ボタンが押下され、時刻t22で「高速」ボタンが解除された場合を想定している。この場合、時刻t11−t12の区間の走行距離d1に対応する控除距離1と、時刻t21−t22の区間の走行距離d2に対応する控除距離2との和が前記第(1)式の控除距離として適用される。
図4に示すステップS47以降の動作については、既に説明した図3中のステップS19〜S33の動作と同様である。従って、これらの説明は省略する。
いずれにしても、上述の乗務距離管理装置をタクシー車両等に搭載することにより、高速道路の走行分について距離の控除を適用する場合であっても、乗務員が複雑な計算を手作業で行うことなく現在の乗務距離を容易に把握することができる。従って、各乗務員は1日の乗務距離が監督官庁の規制、あるいは社内の規制等によって定められた上限値を超えないように営業することができる。また、乗務距離、控除距離等の情報をメモリカード85に記録して管理できるので、日報の作成が容易になる。また、管理すべき乗務距離、控除距離等の情報を手作業で入力する必要がなくなるので、タクシー会社等で管理している情報の信頼性も高まる。
なお、上述の説明においてはタクシー車両に搭載する乗務距離管理装置を想定しているが、勿論、例えばトラック等の業務用車両に車載機器として搭載し利用することも考えられる。
以上のように、本発明の乗務距離管理装置は、タクシーあるいはその他の業務用車両に車載機器として搭載し利用することが想定できる。この乗務距離管理装置を使用することにより、乗務員は手作業で複雑な計算等を行わなくても当日の乗務距離を把握することができ、監督官庁の指導により規制されている乗務距離の上限値を超えない範囲で営業を行うための乗務員の負担を軽減するために役立てることができる。
10 マイクロコンピュータ
11 乗務距離算出部
12 高速距離算出部
13 距離比較部
14 出庫検出部
15 入庫検出部
16 高速入口検出部
17 高速出口検出部
20 時間計測部
30 操作部
40 表示部
50 車両情報格納部
60 プログラム格納部
70 設定値データ格納部
80 メモリカードI/O部
85 メモリカード
90 インタフェース(I/F)
100 タクシーメータ本体
200 ETC車載器
300 後方処理装置

Claims (3)

  1. 業務用車両に車載機器として搭載される乗務距離管理装置であって、
    前記業務用車両に乗務する乗務員の1営業日毎の走行距離を把握すると共に、少なくとも1営業日毎の業務開始を表す出庫の条件を満たす時に、前記走行距離を自動的に初期化して距離の計測を再開する乗務距離算出部と、
    前記乗務距離算出部が算出した前記走行距離に関する情報を前記乗務員に対して報知する乗務距離報知部と
    を備え
    前記乗務距離算出部は、
    高速道路走行開始条件を満たしてから高速道路走行終了条件を満たすまでの高速道路走行距離を算出する高速距離算出部
    を含み、前記高速道路走行距離に応じて定まる控除距離の影響を反映した値を前記乗務距離として出力する
    ことを特徴とする乗務距離管理装置。
  2. 前記乗務距離算出部が算出した前記走行距離と、予め定められた最高乗務距離とを比較し、前記走行距離と前記最高乗務距離との差が所定以内に近づいた時に警告を表す情報を出力する乗務距離警告部
    を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の乗務距離管理装置。
  3. 前記乗務距離算出部は、乗務員に割り当てられた所定のカードが前記車載機器に装着されたことを検出した時に、出庫の条件を満たしたと認識する
    ことを特徴とする請求項1に記載の乗務距離管理装置。
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