(実施形態1)
以下、本発明に係るタクシーメータの一実施形態を、図2〜図7を参照して説明する。
本実施形態のタクシーメータは、タクシー車両に乗客を乗せて輸送する営業走行(賃走)において、料金制に基づいて設定された所定の「基本距離」を超えて走行するまでは、この基本距離に対応する「基本料金」をタクシー料金(賃走料金)としている。そして、この基本距離に到達したときに、及び、この基本距離を超えた後に上記料金制に基づいて設定された所定の「後続距離」と呼ばれる単位距離(および低速走行時にはその継続時間に対応して計算される疑似的な賃走距離)を走行する毎に、この後続距離に対応する「後続料金」と呼ばれる単位料金を、上記基本料金に積算した額をタクシー料金としている。
図2に示すように、本実施形態のタクシーメータ1は、その正面部2に設けられた表示部10が乗客、運転者(即ち、乗務員)等から視認可能なように、営業車両としてのタクシー車両に搭載されている。この正面部2には、操作部15を設けており、タクシーメータ1におけるタリフ状態の切り替え等を運転者が操作可能な構成となっている。
タクシーメータ1は、図3に示すように、表示部10と、中央演算処理装置(CPU)11と、ROM(read only memory)12と、RAM(random access memory)13と、時計IC14と、操作部15と、表示操作スイッチ16と、カード挿入部17と、音声出力部18と、を有している。
また、タクシーメータ1は、複数の外部インタフェース(I/F)を有し、各外部インタフェースを介して、印字装置20、GPS(global positioning system)受信器30、ETC(electronic toll collection)車載器40の各々とCPU11との接続が可能な構成となっている。
表示部10は、液晶表示装置等が用いられCPU11からの要求に応じて各種情報の表示を行う。表示部10は、例えば、図2に示すような、料金表示エリアG11、タリフ状態表示エリアG12等を有する実車画面G1などを表示する。そして、料金表示エリアG11、タリフ状態表示エリアG12の各表示内容は、タクシー料金の変化、タリフ状態の変化等に応じたCPU11からの要求に応じて更新される。
CPU11は、タクシーメータ1における各種制御を司り、ROM12に記憶されている各種制御プログラムにしたがって本実施形態に係る制御を含む各種の処理を実行する。ROM12は、前記制御プログラムやタクシーの料金制を示す料金制情報50、タクシー車両における後述する賃走料金算出処理での部分賃走距離の判定に用いられる積算取消距離などの各種情報を記憶している。特に、ROM12は、CPU11を、賃走距離測定手段P1、賃走料金算出手段P2、賃走終了検出手段P3、部分賃走距離測定手段P4、賃走料金調整手段P5などの各種手段として機能させるためのプログラムを記憶している。また、料金制情報50に示される料金制において、「基本距離」、「基本料金」、「後続距離」、「後続料金」などが設定されている。そして、CPU11は、ROM12に記憶されたプログラムを実行することで、前述した各種手段として機能することになる。RAM13は、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ、プログラム等が適宜記憶される。
また、CPU11には、図示しない距離センサからトランスミッションの回転に応じたパルス状の距離信号が入力されている。この距離センサは、所定の計測単位距離(例えば、1m)を走行する毎に距離信号上に1パルスを発生するように構成されており、CPU11は、この距離信号に基づいてタクシー車両の走行した距離を検出する。
時計IC14は、日時、時刻等の時計データをCPU11に出力する。CPU11は、時計IC14からの時計データに基づいて各種時間の計測を行う。
操作部15は、空車、実車、累計、迎車、迎車待、3割増、高速、支払等のタリフ状態の変更操作用の各種操作ボタンを有している。そして、操作部15は、各操作ボタンの操作に応じたタリフ状態データをCPU11に出力する。操作部15において実車ボタン15aが押下されるとタリフ状態が「実車」となり、合計ボタン15bが押下されるとタリフ状態が「支払」となり、空車ボタン15cが押下されるとタリフ状態が「空車」となる。なお、タリフ状態が、「実車(3割増、高速含む)」のとき、乗客を輸送する営業走行(即ち、賃走)を行う状態にあり、これらタリフ状態が、実車状態に相当する。また、タリフ状態が「実車」から「支払」に移行すると、賃走は終了する。
表示操作スイッチ16は、押しボタンスイッチ等が用いられている。表示操作スイッチ16は、タクシーメータ1の正面部2から操作可能なように設けられている。そして、表示操作スイッチ16はCPU11に接続されており、CPU11に向けて押圧操作に応じた信号を出力する。表示操作スイッチ16は、例えば、後述するタクシー料金の表示画面を切り換えるときに押圧操作される。CPU11は、この押圧操作に応じた信号に基づいて、各種画面の表示を表示部10に要求する。
カード挿入部17は、CPU11に接続されている。カード挿入部17は、そこに挿入されたメモリカード、ICカード等の記憶媒体としてのカード25に指定されたデータ等の書き込み、読み込みを行う。カード25のカード挿入部17に対する挿入・抜去は手動又は自動で行う。また、カード25は、売り上げなどの営業情報や運行情報などが書き込まれ、その後、カード25はこれら各情報を解析する解析装置に取り付けられて、タクシーメータによって書き込まれた各情報が該解析装置に取り込まれる。
音声出力部18は、各種音声及び効果音を生成するための周知の図示しない音声ICと、音声ICが生成した各種音声や効果音を出力する図示しないスピーカと、で構成されている。音声出力部18は、CPU11からの出力要求に基づいて、例えば、タクシー料金を通知する音声やシートベルトの着用を促す音声等を含む各種音声及び効果音などを出力する。
印字装置20は、周知であるプリンタ等が用いられ、外部インタフェースを介してCPU11に接続されている。印字装置20は、CPU11の制御によってタクシー料金の支払い時に領収書等を出力する。本実施形態において、印字装置20は、外部機器として接続されるが、タクシーメータに組み込まれていてもよい。
GPS受信器30は、タクシー車両の現在位置を特定するために、GPSを構成する複数の人工衛星が発射する電波を受信して、このGPS受信器30の現在の位置情報を求め、この現在の位置情報を、外部インタフェースを介してCPU11に出力している。CPU11は、GPS受信器30が出力した上記現在の位置情報に基づいて、タクシー車両の現在位置を検出する。
ETC車載器40は、タクシー車両のダッシュボード等に搭載されている。ETC車載器40は、周知であるように、有料道路上のゲートに設置された無線式の料金処理装置との間で無線通信を行い、装着されたカードに記憶されている電子現金情報によって有料道路における通行料金の自動収受を行う自動料金収受システム(ETC)に用いられるものである。ETC車載器40は、路側器から電波信号を受信すると、該電波信号はデジタル情報である受信情報に変換されて受信情報としてCPU11に出力する構成となっている。
上述したタクシーメータ1は、例えば、CPU11が、ROM12に記憶している料金制情報50とタクシーの走行距離と走行時間とに基づいてタクシー料金を算出し、そのタクシー料金を図2に示すように表示する実車画面G1を表示するための運行中画面情報を生成し、該運行中画面情報の表示を表示部10に要求することで、表示部10が実車画面G1を表示する等の処理を行う。
次に、上述したCPU11が実行する本発明に係る処理(賃走料金算出処理)の一例を、図4に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
タクシーメータ1に電源が投入されると、CPU11は、タリフ状態を「空車」にするなどの所定の初期化処理を実行したのち、図4のフローチャートに示すステップS110に処理を進める。
ステップS110では、実車ボタンが押下されたか否かを判定する。具体的には、CPU11は、操作部15から「実車」を示すタリフ状態データが入力されるまで待ち(S110でN)、「実車」を示すタリフ状態データが入力されると、実車ボタン15aの操作により賃走が開始されたものとして、ステップS120に進む(S110でY)。
ステップS120では、賃走料金に基本料金を代入する。具体的には、CPU11は、RAM13に設けられた賃走料金格納領域をリセット(0円)にするとともに、当該賃走料金格納領域にROM12に記憶された料金制情報50に示される基本料金(以下、単に「基本料金」という)を格納する。また、RAM13に設けられた賃走距離格納領域をリセット(0km)にする。そして、ステップS130に進む。
ステップS130では、賃走距離の測定を行う。具体的には、CPU11は、距離信号のパルス数をカウントして、当該パルス数に上記計測単位距離を乗じた距離を賃走距離として賃走距離格納領域に格納する。そして、ステップS135に進む。
ステップS135では、CPU11は、表示部10に対して賃走料金格納領域に格納されている賃走料金(以下、単に「賃走料金」という)の表示を要求する。これにより、表示部10が、その時点での賃走料金を表示する。そして、ステップS140に進む。
ステップS140では、合計ボタン15bが押下されたか否かを判定する。具体的には、CPUは、操作部15から「支払」を示すタリフ状態データが入力されたか否かを判定して、「支払」を示すタリフ状態データが入力されていたとき、賃走が終了したものとしてステップS180に進み(S140でY)、入力されていないときは、賃走が継続しているものとしてステップS150に進む(S140でN)。
ステップS150では、基本距離又は後続距離を走行したか否かを判定する。具体的には、CPU11は、上記賃走距離格納領域に格納されている賃走距離(以下、単に「賃走距離」という)における上記料金制で設定されている基本距離(以下、単に「基本距離」という)に到達したときに、及び、この基本距離を超えてから走行した距離が、当該料金制で設定されている後続距離(以下、単に「後続距離」という)の正の整数倍に到達する毎(即ち、後続距離を走行する毎)に、基本距離又は後続距離を走行したものとしてステップS160に進み(S150でY)、それ以外の時は、基本距離又は後続距離を走行していないものとしてステップS130に戻る(S150でN)。
ステップS160では、賃走料金に後続料金を積算する。具体的には、CPU11は、賃走料金に上記料金制で設定されている後続料金(以下、単に「後続料金」という)を加算する(即ち、料金上がりの発生)。そして、ステップS170に進む。
ステップS170では、後続料金加算時の賃走距離を記憶する。具体的には、CPU11は、賃走距離を、RAM13に設けられた加算時賃走距離格納領域にコピーする。そして、ステップS130に戻る。
ステップS180では、CPU11は、賃走距離が基本距離以下か否かを判定して、賃走距離が基本料金以下であればステップS220に進み(S180でY)、賃走距離が基本距離を超えていればステップS190に進む(S180でN)。
ステップS190では、部分賃走距離を測定する。具体的には、CPU11は、上記賃走距離格納領域に格納されている賃走距離から上記加算時賃走距離格納領域に格納されている賃走距離を減算することにより、後続料金を最後に加算した時点から賃走終了になったときまでに走行した距離を部分賃走距離として算出する。そして、ステップS200に進む。
ステップS200では、CPU11は、上記部分賃走距離が、ROM12に記憶された積算取消距離以下か否かを判定して、部分賃走距離が積算取消距離以下であれば、最後に行った後続料金の賃走料金への加算を取り消すものとして、ステップS210に進み(S200でY)、部分賃走距離が積算取消距離を超えていれば、加算の取り消しは必要ないものとして、ステップS220に進む(S200でN)。上記積算取消距離は、統計などに基づいて、乗客が乗務員に停車を申し出てからタクシー車両が停車するまでに走行する可能性のある最大距離(例えば、10m)に設定されている。勿論、積算取消距離は、他の方法を用いて定めてもよい。
ステップS210では、CPU11は、賃走料金から最後に加算した後続料金を減算して、調整後の賃走料金を算出する。そして、ステップS220に進む。
ステップS220では、CPU11は、表示部10に対して賃走料金の表示を要求する。これにより、表示部10が、乗客に請求する確定した賃走料金を表示する。そして、本フローチャートの処理を終了する。
上述したステップS130が、請求項中の賃走距離測定手段に相当し、ステップS160が、請求項中の賃走料金算出手段に相当し、ステップS140が、請求項中の賃走終了検出手段に相当し、ステップS190が、請求項中の部分賃走距離測定手段に相当し、ステップS210が、請求項中の賃走料金調整手段に相当する。また、表示部10が、請求項中の賃走料金表示手段及び調整後賃走料金表示手段に相当する。また、CPU11は、これら各ステップを実行する各種手段となり、表示部10は賃走中の賃走料金及び調整(減算)後の賃走料金を表示するので、CPU11と表示部10とで、請求項中の賃走料金算出装置を構成しており、つまり、タクシーメータ1は、賃走料金算出装置を有している。
次に、上述したタクシーメータ1における本発明に係る動作(作用)の一例について説明する。
操作部15の実車ボタンが押下されて賃走が開始されると(S110でY)、賃走料金の演算及び賃走距離の計測を開始する(S120、S130)。そして、賃走距離が基本距離に到達したときに、及び、当該賃走距離における基本距離を超えてから走行した距離が後続距離の整数倍になる毎に、つまり、基本距離又は後続距離を走行したときに、賃走料金に後続料金を加算するとともに加算時点の賃走距離を一時的に保持して(S150、S160、S170)、さらに、加算後の賃走料金を表示部10に表示する。これにより、料金上がりが生じる毎に、表示部10のタクシー料金(運賃)の表示が変更される。
そして、操作部15の合計ボタンが押下されて賃走が終了した場合に(S140でY)、賃走距離が基本距離以下であれば、料金上がりは発生しておらず、賃走料金を調整することなく表示部10に表示する(S180でY、S220)。
または、賃走が終了した場合に(S140でY)、賃走距離が基本距離を超えていれば、後続料金を最後に加算した時点以降に走行した距離としての部分賃走距離を求める(S180でN、S190)。そして、この部分賃走距離が、積算取消距離以下であれば、賃走料金から最後に加算した後続料金を減算した調整後の賃走料金を表示部10に表示し(S210、S220)、積算取消距離を超えていれば、賃走料金をそのまま表示部10に表示する(S220)。
タクシーメータ1において、一例として、「基本距離」が2000m、「基本料金」が1000円、「後続距離」が100m、「後続料金」が100円、「積算取消距離」が10mに設定されている場合における、賃走距離及び賃走料金について、図5、図6を参照して説明する。
図5(a)、図6(a)に模式的に示すように、例えば、賃走距離が1800mだった場合、賃走距離が基本距離以下であるので、賃走料金は基本料金のみとなり、表示部10には「1000円」(運賃欄)が表示され、そして、合計ボタンが押下されると、この賃走料金がそのまま用いられて、表示部10には、乗客に請求する確定した賃走料金として「1000円」(合計欄)が表示される。
また、図5(b)、図6(b)に模式的に示すように、例えば、賃走距離が2005mだった場合、賃走距離が基本距離を超えているため基本料金に後続料金が加算されて、即ち、料金上がりが生じて賃走料金として表示部10には「1100円」(運賃欄)が表示されるが、合計ボタンが押下されると、基本距離を超えた時点から料金上がりが生じる前に賃走終了になったときまでに走行した距離(部分賃走距離)が5mであり積算取消距離以下であるので、この賃走料金から最後に加算された後続料金が減算されて、表示部10には、乗客に請求する確定した賃走料金として「1000円」(合計欄)が表示される。
また、図5(c)、図6(c)に模式的に示すように、例えば、賃走距離が2030mだった場合、賃走距離が基本距離を超えているため基本料金に後続料金が加算されて賃走料金として表示部10には「1100円」(運賃欄)が表示され、そして、合計ボタンが押下されると、基本距離を超えた時点から料金上がりが生じる前に賃走終了になったときまでに走行した距離(部分賃走距離)が30mであり積算取消距離を超えているので、この賃走料金がそのまま用いられて、表示部10には、乗客に請求する確定した賃走料金として「1000円」(合計欄)が表示される。
また、図5(d)、図6(d)に模式的に示すように、例えば、賃走距離が2110mだった場合、賃走距離が基本距離を超えているため基本料金に後続料金が加算されて賃走料金として表示部10には「1100円」(図示なし)が表示され、さらに、基本距離を超えた時点から走行した距離が110mであり後続距離を超えているため再度後続料金が加算されて、即ち、料金上がりが生じて賃走料金として表示部10には「1200円」(運賃欄)が表示されるが、合計ボタンが押下されると、最後に料金上がりが生じた時点から賃走終了になったときまでに走行した距離(部分賃走距離)が10mであり積算取消距離以下であるので、この賃走料金から最後に加算された後続料金が減算されて、表示部10には、乗客に請求する確定した賃走料金として「1100円」(合計欄)が表示される。
また、図5(e)、図6(e)に模式的に示すように、例えば、賃走距離が2115mだった場合、賃走距離が基本距離を超えているため基本料金に後続料金が加算されて賃走料金として表示部10には「1100円」(図示なし)が表示され、さらに、基本距離を超えた時点から走行した距離が115mであり後続距離を超えているため再度後続料金が加算されて、即ち、料金上がりが生じて賃走料金として表示部10には「1200円」(運賃欄)が表示され、そして、合計ボタンが押下されると、最後に料金上がりが生じた時点から賃走終了になったときまでに走行した距離(部分賃走距離)が15mであり積算取消距離を超えているので、この賃走料金がそのまま用いられて、表示部10には、乗客に請求する確定した賃走料金として「1200円」(合計欄)が表示される。
本実施形態では、タクシーメータ1において、CPU11(賃走距離測定手段P1)が、タクシー車両の賃走距離を測定し、CPU11(賃走料金算出手段P2)が、賃走距離が基本距離に到達したときに、及び、この基本距離を超えて後続距離増加する毎に、基本距離に対応した基本料金に後続距離に対応した後続料金を積算して賃走料金を算出し、表示部10(賃走料金表示手段Q1)が、CPU11によって算出された賃走中の賃走料金を表示する。そして、CPU11(賃走終了検出手段P3)が、タクシー車両の賃走終了を検出し、CPU11(部分賃走距離測定手段P4)が、後続料金を最後に積算した時点から賃走終了が検出された時点までの部分賃走距離を測定して、CPU11(賃走料金調整手段P5)が、部分賃走距離が積算取消距離以下のとき、CPU11によって算出された賃走料金から最後に積算した後続料金を減算して調整後の賃走料金を算出して、表示部10(調整後賃走料金表示手段Q2)が、CPU11によって算出された調整後の賃走料金を表示する。
以上より、本実施形態によれば、タクシー車両の賃走終了を検出した場合において、単位料金を最後に積算した時点から賃走終了が検出された時点までに走行した部分賃走距離が所定の積算取消距離以下のとき、賃走料金から最後に積算した上記単位料金を減算した調整後賃走料金を表示するので、この積算取消距離を、例えば、統計などに基づいて、乗客が乗務員に停車を申し出てからタクシー車両が停車するまでに走行する可能性のある最大距離等に設定することで、タクシー車両の停車直前の走行によって料金上がりが発生しても、当該走行により進んだ距離、即ち、部分賃走距離が、上記積算取消距離以下であれば、最後の料金上がりを取り消すことができ、そのため、タクシー車両の停車直前の走行によって生じた料金上がりによる乗客にとって不都合で不快な状況を防いで、乗客とのトラブルを防止できる。
上述した本実施形態では、合計ボタン15bが押下されたのち、部分賃走距離が積算取消距離以下であったときに、最後に加算した後続料金を減算した調整後の賃走料金のみ表示するものであったが、これに限定されるものでない。例えば、図7(a)に示すように、合計ボタン15bの押下後に、調整後の賃走料金(合計欄)とともに後続料金を割引額(割引欄)として同時に表示したり、又は、図7(b)に示すように、調整後の賃走料金(合計欄)を表示している画面において、表示操作スイッチ16が押下されると、調整前の賃走料金(運賃欄)とこの調整前の賃走料金から減算した後続料金(割引欄)とを表示する画面に切り換えたり、してもよい。このように調整前の賃走料金及びこの調整前の賃走料金から減算された後続料金のうち少なくとも一方をさらに表示することで、乗客が最後の料金上がりが取り消されたことを確実に認識することができ、そのため、そのため、タクシー車両の停車直前の走行によって生じた料金上がりによる乗客にとって不都合で不快な状況をより防ぐことができる。
(実施形態2)
以下、本発明に係るタクシーメータシステムの一実施形態を、図8〜図12を参照して説明する。
図8に示すように、タクシーメータシステム100は、タクシーメータ1Aと、印字装置20と、GPS受信器30と、ETC車載器40と、外部端末装置としてのハンディターミナル60と、を有している。
タクシーメータ1Aは、後述するハンディターミナルを接続するための外部I/Fが設けられていることと、CPUの処理が異なること以外は、上述した実施形態1のタクシーメータ1と同一であるので、同一部位には同一符号を付して説明を省略する。また、印字装置20と、GPS受信器30と、ETC車載器40と、についても上述した実施形態1のものと同一であるので説明を省略する。
CPU11Aは、タクシーメータ1Aにおける各種制御を司り、ROM12Aに記憶されている各種制御プログラムにしたがって本実施形態に係る制御を含む各種の処理を実行する。ROM12Aは、前記制御プログラムやタクシーの料金制を示す料金制情報50などの各種情報を記憶している。特に、ROM12Aは、CPU11Aを、賃走距離測定手段、賃走料金算出手段などの各種手段として機能させるためのプログラムを記憶している。これら以外については、実施形態1のCPU11と同一である。
ハンディターミナル60は、図9に示すように、各種情報を表示する表示部61、各種情報を入力させる操作部62、クレジットカードC等からカード情報を読み取るカード読取部63を備えている。このハンディターミナル60は、ケーブル64を介してタクシーメータ1Aと接続されており、タクシーメータ1A(CPU11)との間で各種情報を送受信する。また、ハンディターミナル60は、クレジットカード等の決裁カードから読み込んだ決裁カード情報とタクシーメータ1Aから受信した賃走に関する情報とに基づいて決裁を行うことが可能な構成となっている。
図10に、ハンディターミナル60の構成図を示す。ハンディターミナル60は、中央演算処理装置(CPU)71と、ROM72と、RAM73と、有し、このCPU71に、上記表示部61と、上記操作部62と、上記カード読取部63と、が接続されて構成されている。
表示部61は、液晶表示装置等が用いられCPU71からの要求に応じて各種情報の表示を行う。CPU71は、ハンディターミナル60における各種制御を司り、ROM72に記憶されている各種制御プログラムにしたがって本実施形態に係る制御を含む各種の処理を実行する。ROM72は、前記制御プログラムや、タクシー車両における後述する賃走料金算出処理Bでの部分賃走距離の判定に用いられる積算取消距離などの各種情報を記憶している。各種処理で用いられるパラメータなどの各種情報を記憶している。特に、ROM72は、CPU71を、賃走終了検出手段、部分賃走距離測定手段、賃走料金調整手段などの各種手段として機能させるためのプログラムを記憶している。そして、CPU71は、ROM72に記憶されたプログラムを実行することで、前述した各種手段として機能することになる。RAM73は、CPU71が各種の処理を実行する上において必要なデータ、プログラム等が適宜記憶される。
次に、上述したタクシーメータ1AのCPU11が実行する本発明に係る処理(賃走料金算出処理A)の一例、及び、ハンディターミナル60のCPU71が実行する本発明に係る処理(賃走料金算出処理B)の一例を、図11、図12に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
タクシーメータ1Aに電源が投入されると、CPU11Aは、タリフ状態を「空車」にするなどの所定の初期化処理を実行したのち、図11のフローチャートに示すステップT110に処理を進める。
ステップT110〜T170では、上述した実施形態1でのステップS110〜S170と同様の処理を行う。
ステップT175では、ステップT140において合計ボタンが押下されたと判定されると、賃走が終了したものとして、RAM13の賃走料金格納領域に格納されている賃走料金(即ち、賃走終了時の賃走料金)、賃走距離格納領域に格納されている賃走距離(即ち、賃走終了時の賃走距離)、加算時賃走距離格納領域に格納されている賃走距離(即ち、後続料金加算時の賃走距離)、及び、最後に加算した後続料金、を外部I/Fを通じて、ハンディターミナル60に送信する。そして、本フローチャートを終了する。
また、タクシーメータ1Aに電源が投入されると同時にハンディターミナル60にも電源が投入されて、CPU71は、所定の初期化処理を実行したのち、図12のフローチャートに示すステップU178に処理を進める。
ステップU178では、タクシーメータ1Aから送信された賃走に関する情報(賃走終了時の賃走料金、賃走終了時の賃走距離、後続料金加算時の賃走距離、及び、最後に加算した後続料金など)を受信するまで待ち(U178でN)、これら賃走に関する情報を受信すると、賃走が終了したことを検出したものとして、ステップU180に進む。
ステップU180〜U220では、上述し実施形態1でのステップS180〜S220と同様の処理を行う。そして、本フローチャートを終了する。
タクシーメータ1Aにおける上述したステップT130が、請求項中の賃走距離測定手段に相当し、ステップT160が、請求項中の賃走料金算出手段に相当する。また、ハンディターミナル60における上述したステップU178が、請求項中の賃走終了検出手段に相当し、ステップU190が、請求項中の部分賃走距離測定手段に相当し、ステップU210が、請求項中の賃走料金調整手段に相当する。また、タクシーメータ1Aの表示部10が、請求項中の賃走料金表示手段に相当し、ハンディターミナル60の表示部61が調整後賃走料金表示手段に相当する。
次に、上述したタクシーメータシステム100における本発明に係る動作(作用)の一例について説明する。
タクシーメータ1Aにおける操作部15の実車ボタンが押下されて賃走が開始されると(T110でY)、賃走料金の演算及び賃走距離の計測を開始する(T120、T130)。そして、賃走距離が、基本距離に到達したときに、及び、基本距離を超えて賃走距離における基本距離を超えてから走行した距離が後続距離の整数倍になる毎に、即ち、基本距離又は後続距離を走行したときに、賃走料金に後続料金を加算するとともに加算時点の賃走距離を一時的に保持して(T150、T160、T170)、さらに、加算後の賃走料金を表示部10に表示する。これにより、料金上がりが生じる毎に、表示部10のタクシー料金(運賃)の表示が変更される。
そして、操作部15の合計ボタン又はハンディターミナル60に設けられた当該合計ボタンに相当するボタンが押下されて賃走が終了すると(T140でY)、賃走終了時の賃走料金、賃走終了時の賃走距離、後続料金加算時の賃走距離、及び、最後に加算した後続料金などの賃走に関する情報をハンディターミナル60に送信する。
ハンディターミナル60では、タクシーメータ1Aから賃走に関する情報を受信すると、賃走が終了したことを検出する(U178でY)。
そして、賃走距離が基本距離以下であれば、料金上がりは発生しておらず、賃走料金を調整することなく表示部61に表示する(U180でY、U220)。
または、賃走が終了した場合に(U178でY)、賃走距離が基本距離を超えていれば、後続料金を最後に加算した時点以降に走行した距離としての部分賃走距離を求める(U180でN、U190)。そして、この部分賃走距離が、積算取消距離以下であれば、賃走料金から最後に加算した後続料金を減算した調整後の賃走料金を表示部61に表示し(U210、U220)、積算取消距離を超えていれば、賃走料金をそのまま表示部61に表示する(U220)。
その後、ハンディターミナル60は、表示部61に表示した賃走料金(確定した賃走料金)を、カード読取部63にてクレジットカードCから読み取った情報等に基づいて、決済処理を行う。
本実施形態では、タクシーメータシステム100において、タクシーメータ1Aには、タクシー車両の賃走距離を測定するCPU11(賃走距離測定手段)と、賃走距離が所定の基本距離に到達したときに、及び、この基本距離を超えて所定の後続距離増加する毎に、基本距離に対応した基本料金に後続距離に対応した後続料金を積算して賃走料金を算出するCPU11(賃走料金算出手段)と、CPU11によって算出された賃走料金を表示する表示部10(賃走料金表示手段)と、が設けられ、ハンディターミナル60には、タクシー車両の賃走終了を検出するCPU71(賃走終了検出手段)と、後続料金を最後に積算した時点から賃走終了が検出された時点までの部分賃走距離を測定するCPU71(部分賃走距離測定手段)と、部分賃走距離が所定の積算取消距離以下のとき、タクシーメータ1AのCPU11によって算出された賃走料金から最後に積算した後続料金を減算して調整後賃走料金を算出するCPU71(賃走料金調整手段)と、CPU71によって算出された調整後賃走料金を表示する表示部61(調整後賃走料金表示手段)と、が設けられている。
以上より、本実施形態によれば、タクシー車両の賃走終了を検出した場合において、単位料金を最後に積算した時点から賃走終了が検出された時点までに走行した部分賃走距離が所定の積算取消距離以下のとき、賃走料金から最後に積算した上記単位料金を減算した調整後賃走料金を表示するので、この積算取消距離を、例えば、統計などに基づいて、乗客が乗務員に停車を申し出てからタクシー車両が停車するまでに走行する可能性のある最大距離等に設定することで、タクシー車両の停車直前の走行によって料金上がりが発生しても、当該走行により進んだ距離、即ち、部分賃走距離が、上記積算取消距離以下であれば、最後の料金上がりを取り消すことができ、そのため、タクシー車両の停車直前の走行によって生じた料金上がりによる乗客にとって不都合で不快な状況を防いで、乗客とのトラブルを防止できる。
上述した実施形態において、タクシーメータシステム100は、タクシーメータ1Aと、印字装置20と、GPS受信器30と、ETC車載器40と、ハンディターミナル60と、を有しているものであったが、少なくとも、タクシーメータ1Aとハンディターミナル60とを有していればよい。
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。