JP5690560B2 - ホットスタンプ方法 - Google Patents
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また、周縁部が面取り処理された凹部が転写面に形成されていると、この凹部の周縁部(面取り処理部)に箔が転写できないという問題があった。
本発明に係るホットスタンプ方法は、凹部を有する転写面に箔を転写するホットスタンプ方法であって、前記凹部を覆う前記箔を前記転写面に配置し、加熱したスタンプ部材により前記箔を前記転写面に対して押圧する押圧工程と、前記押圧工程よりも高圧状態で前記スタンプ部材の押圧を解除する押圧解除工程と、を有することを特徴とする。
図1は、レドーム10が設けられたラジエータグリル1(モール本体11)の前面図である。図2は、図1のA−A断面図である。
また、ラジエータグリル1は、中央から上側はモール本体11で構成されており、その中央部にレドーム10を備えている。なお、レドーム10の背面側にはレーダ20(図2参照)が設置されている。
ベース部材16は、エンブレム5より広い範囲を覆うように、モール本体11の背面に貼り合わされる。また、ベース部材16は、レーダ20が出射した電波が透過する領域(面積)よりもやや広い範囲を覆うように、モール本体11の背面に貼り合わされる。
つまり、レーダ20が出射した電波は、ベース部材16及びモール本体11の一部からなるレドーム10を透過し、この透過領域の一部にエンブレム5が含まれている。
モール本体11は、透明部材にて形成され、その中央には、透明部材を介して前面から見た場合に金属調を呈する山形突状に立体視認される金属部5A(文字F及び文字Fを取り囲む円形枠)と黒色を呈する平坦な黒色部5B(文字Fと枠の間及び円形枠の外周縁)が形成される。この金属部5Aと黒色部5Bが上述したエンブレム5である。
モール本体11は、例えばポリカーネート(PC基材)等の透明部合成樹脂で形成され、その厚みは3mm〜10mmである。
第一着色層12は、黒色以外の色であってもよい。
なお、黒色の黒色箔51を転写面11Pに転写する方法(ホットスタンプ方法)については、後述する。
金属蒸着層13は、モール本体11の背面の全面に亘って配置される。この金属蒸着層13は、インジウムを真空蒸着して形成される。金属蒸着層13の膜厚は、約0.05μm程度である。これにより、上述した黒色部5B以外の部分が、前面側から見た場合に、金属蒸着層13により金属調(本実施形態ではクロム調)を呈することになる。
さらに、金属蒸着層13の背面には、クリアー層13Bが塗布される。
第二着色層14は、金属蒸着層13の最背面に灰黒色の合成樹脂を塗布して形成される。第二着色層14の膜圧は、40μmm〜90μmmである。
なお、第二着色層14は、灰黒色以外の色であってもよい。
ベース部材16は、スチレン系樹脂、例えばABS(アクロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)、AES(アクロニトリル・エチレン・スチレン共重合合成樹脂)等の合成樹脂からなり、その部材厚みは1mm〜10mmである。
ベース部材16には、その前面にモール本体11の凹部11Aに嵌め込まれる凸部16Aと、凹部11Bに嵌め込まれる凸部16Bが形成される。
接着剤充填溝17Aは、モール本体11とベース部材16との接着強度を得るために必要な接着剤層15の膜厚を確保するために設けられる。また、モール本体11とベース部材16との間に配置される接着剤層15がベース部材16の前面の全域行き亘るようにするために設けられる。はみ出し防止溝17Bは、ベース部材16の前面の最外周部位に形成された枠形の溝であり、接着剤充填溝17Aよりも、幅、深さが共に大きく形成される。
図3は、モール本体11の背面図であり、スタンプ箔50を配置した図である。
図4、図5は、本実施形態に係るホットスタンプによる転写工程を模式的に示す工程図である。特に、スタンプ箔50を模式的に図示している。
このホットスタンプ方法は、モール本体11の転写面11Pに凹部11A,11Bを覆うスタンプ箔50を配置し、減圧状態において加熱したスタンプ部材62によりスタンプ箔50を押圧する押圧工程と、大気圧状態においてスタンプ治具62を解除する押圧解除工程と、からなる。
下チャンバー60Aの底面には、モール本体11を湾曲した背面を上向きにして固定する固定治具61が取り付けられる。
スタンプ治具62の下面は、モール本体11の背面に対応する凸型湾曲面が形成されており、この凸型湾曲面にはスタンプ版62Bが貼付されている。このスタンプ版62Bは、厚さが2.0〜3.0mmで硬度が約80度のシリコンラバー製の板材で構成されている。
また、上方のスタンプ治具62のヒータコイル64Bは、230℃の加熱温度でスタンプ版62Bを加熱できる。この加熱温度では、スタンプ版62Bの表面温度は190℃となる。
なお、スタンプ箔50は、転写面11Pを完全に覆う大きさ(広さ)に予め形成されている。
チャンバー60の内部を減圧状態にする目的は、モール本体11の転写面11Pとスタンプ箔50(黒色箔51)の間への気泡の混入を防止するためである。また、転写面11Pに形成された凹部11A,11Bとスタンプ箔50(黒色箔51)により密閉される空間Sを減圧状態にするためである。
この状態において、ヒータコイル64A,64Bには電流がれており、固定治具61及びスタンプ治具62は加熱されている。
押圧と同時に、スタンプ箔50はスタンプ治具62及びモール本体11を介して加熱される。これにより、スタンプ箔50が軟化して、モール本体11の転写面11Pに対する追従性が向上する。さらに、スタンプ箔50の接着層が加熱される。
この状態において、モール本体11の転写面11Pの凹部11A,11Bとスタンプ箔50(黒色箔51)により密閉される空間Sは、減圧状態を維持する。転写面11Pの凹部11A,11Bを覆うようにスタンプ箔50(黒色箔51)が配置され、スタンプ箔50の接着層が溶融して空間Sが密閉されるからである。
こうして、凹部11A,11Bの内部は減圧状態が保たれる。したがって、スタンプ箔50により覆われた凹部11A,11Bの空間Sとスタンプ箔50の外側(フィルム52側)の空間には圧力差が生ずる。
スタンプ治具62をスタンプ箔50から離間しても、スタンプ箔50はモール本体11の転写面11Pに密着貼付された状態を維持する。なぜなら、スタンプ箔50により覆われた凹部11A,11Bの空間Sがスタンプ箔50の外側(フィルム52側)の空間よりも低圧となり、スタンプ箔50がモール本体11の転写面11Pに向けて吸引されるからである。
そして、モール本体11からスタンプ箔50のフィルム52を剥がす。具体的には、スタンプ箔50が転写面11Pよりも大きく(広く)形成されているので、スタンプ箔50の外縁部分を摘まんでモール本体11から容易に引き剥がすことができる。
このようにして、スタンプ箔50の黒色箔51のうち、転写面11Pに密着した部分のみが転写される。
以上の工程により、凹部11A,11Bを有するモール本体11の転写面11Pに対して良好に箔転写を行って、第一着色層12が形成される。
図6は、本実施形態に係るホットスタンプ方法の箔転写状態を示す図であって、
(a)はスタンプ箔50のフィルム52を剥がす直前、(b)はスタンプ箔50のフィルム52を剥がした後を示す図である。
図7は、凹部11Bの拡大図であり、(a)はスタンプ箔50のフィルム52を剥がす直前、(b)はスタンプ箔50のフィルム52を剥がした後を示す図である。
図8は、従来のホットスタンプ方法の箔転写状態を示す図であり、(a)はスタンプ治具62を離間した直後、(b)はスタンプ箔50のフィルム52を剥がした後の凹部11Bの拡大図である。
図6(a)に示すように、本実施形態に係るホットスタンプ方法では、スタンプ箔50はモール本体11の転写面11Pの湾曲状態に倣って密着貼付された状態を維持する。
上述したように、転写面11Pの凹部11A,11Bとスタンプ箔50により密閉された空間Sが大気圧よりも低圧であるため、スタンプ箔50がモール本体11の転写面11Pに向けて吸引されるからである。
したがって、図6(b)に示すように、スタンプ箔50のフィルム52を剥がすと、スタンプ箔50の黒色箔51が転写面11Pに良好に転写される。
したがって、転写面11Pの中央の領域には、黒色箔51が転写されない転写不良が発生してしまう。
図7(a)に示すように、スタンプ箔50は空間Sに向けて吸引された状態となる。このため、スタンプ箔50のうち、凹部11A,11Bを覆う領域の中央が空間Sに向けて凹むように変形する。また、スタンプ箔50のうち、凹部11A,11Bの周縁部11Rにも、スタンプ箔50が密着する。
このため、図7(b)に示すように、凹部11A,11Bの周縁部11Rにも、黒色箔51が良好に転写される。したがって、エンブレム5の金属部5Aとなる凹部11A,11Bとエンブレム5の黒色部5Bとなる転写面11Pの境(見切り位置P1)が凹部11A,11Bの輪郭形状に一致して、エンブレム5の意匠性が向上する。
言い換えれば、押圧工程と押圧解除工程の圧力差を調整することで、転写面11Pの見切り位置P1を調整できる。
なお、スタンプ箔50のフィルム52の材質や伸展性等の機械的強度等によってスタンプ箔50の変形量が異なるので、スタンプ箔50の種類によって空間Sの圧力を調整する必要がある。
したがって、エンブレム5の金属部5Aとなる凹部11A,11Bとエンブレム5の黒色部5Bとなる転写面11Pの境(見切り位置P2)が、本来の見切り位置P1とは異なる位置となるため、エンブレム5の意匠性が低下してしまう。
押圧工程を大気圧状態で行い、押圧解除工程を高圧状態で行ってもよい。この場合には、スタンプ箔50の接着層が完全に固化したことを確認してから大気圧状態に戻す必要がある。
Claims (3)
- 内側に湾曲する湾曲面からなると共に当該湾曲面に形成された凹部を有する転写面に箔を転写するホットスタンプ方法であって、
前記凹部を覆う前記箔を前記転写面に配置し、前記転写面に対応して湾曲する凸型湾曲面に貼付されたスタンプ部材を加熱し、前記スタンプ部材により前記箔を前記転写面に対して押圧する押圧工程と、
前記スタンプ部材の押圧を解除する押圧解除工程と、
を有し、
前記押圧工程または前記押圧解除工程の少なくとも一方を調圧可能なチャンバー内部で行うことで前記押圧解除工程を前記押圧工程よりも高圧状態で行い、前記箔と前記凹部により密閉される空間を前記箔の外側空間よりも低圧とすることで前記箔を前記転写面に向けて吸引する
ことを特徴とするホットスタンプ方法。 - 前記押圧解除工程において、前記凹部の周縁部に前記箔が密着するように、前記押圧工程との圧力差を調圧することを特徴とする請求項1に記載のホットスタンプ方法。
- 前記押圧工程を減圧状態で行い、前記押圧解除工程を大気圧状態で行うことを特徴とする請求項1または2に記載のホットスタンプ方法。
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