JP5686434B2 - ジアセチレン構造を有する液晶性高分子 - Google Patents

ジアセチレン構造を有する液晶性高分子 Download PDF

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本発明は、屈折率異方性の大きなジアセチレン構造を有する液晶性高分子に関する。また大きい屈折率異方性を利用した光学および電子光学的デバイス、例えば偏光板、補償板、ビームスプリッター等の用途に関する。
近年、液晶表示素子の高性能化は、情報化社会の進展に伴い不可欠となっている。液晶組成物の物性の中で、より高速化、あるいは高性能化のためには、屈折率異方性の大きい材料が必要とされている。
屈折率異方性の大きい低分子量の液晶材料として、シッフ塩基やピリミジンの構造を有する化合物(非特許文献1)、トラン系化合物(特許文献1、2)やジアセチレン系化合物(非特許文献2,特許文献3,4,5,6)が知られている。しかし前記の特許文献はいずれも(ジ)アセチレン骨格の両端に、アルキル基やアルコキシ基を結合したフェニレン基やナフチレン基が結合された化合物であり、大きい屈折率異方性を利用して液晶表示素子の駆動性能を向上するための液晶材料の部材として使用することが述べられている。
一方、液晶の配向状態を容易に固定化できる液晶性高分子(重合体)は配向を固定化して前記液晶表示素子の補償板や偏光板等の光学素子等に用いられているが、液晶表示素子の薄型化や高機能化に合わせて構成部材にも高機能化が要求され、より高機能な液晶性重合体が求められている。
屈折率異方性の大きい液晶性重合体として、トラン(アセチレン)骨格を有する(メタ)アクリレートの重合体(特許文献7)が知られている。また側鎖にジアセチレン骨格を有し液晶性を示すポリシロキサン(非特許文献3)も知られているが、高融点のため成形加工性は十分とは言いがたい。
特表平01−502831号公報 特開平06−239786号公報 特開平11−001445号公報 特開平06−211704号公報 米国特許 第5338481号公報 特表2004−518608号公報 特開2002−308832号公報
松本 正一、角田市良,「液晶の基礎と応用」,初版第3刷,株式会社工業調査会発行,1996年11月15日,p.123 B. Grant, Mol. Cryst. Liq. Cryst., 1978, vol. 48, 175−182 Yong-Hong Lu, Chain-Shu Hsu, Shin-Tson Wu, Mol. Cryst. Liq. Cryst., 1993, vol. 225, 1−14
本発明は、大きい屈折率異方性を示す液晶性高分子を提供することを目的とし、さらに優れた性能を有する液晶素子や光学素子を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討を加えた結果、ジアセチレン(1,3−ブタジイン)構造を有する液晶性高分子が大きな屈折率異方性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
〔1〕下記の一般式(A)で表される化合物を反応させて得られるジアセチレン構造を有する液晶性高分子。
R1-Sp1-(Ar1)p-(Ar3)q-(Phe)r-C≡C-C≡C-(Phe)r-(Ar4)q-(Ar2)p-Sp2-R2 (A)
(式中、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、イソチオシアネート基、あるいは炭素原子1ないし15個を有して非置換又はハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基若しくは反応性基により一置換若しくは多置換されたアルキル基、炭素原子2ないし15個を有して非置換又はハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基若しくは反応性基により一置換若しくは多置換されたアルケニル基若しくはアルキニル基、または反応性基を表わし、ここで1個以上の非隣接−CH−基は−O−、−CO−、−COO−および/または−OCO−により置換されていてもよい。ただし、R1およびR2の少なくとも一方は反応性基を有する。また、Sp1およびSp2は互いに独立して、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−CO−NR3−、−NR3−CO−、−O(CH−、−(CHO−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−(CH−、−(SiR4R5−O)−または単結合であり、ここでmおよびnは独立して1〜10の整数を表し、R3、R4およびR5は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、Ar1およびAr2は、互いに独立して、非置換またはハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基、メトキシ基若しくはエトキシ基により一置換若しくは多置換された炭素数16までの芳香族の炭素環式または複素環式基であり、縮合環を含んでいてもよく、Ar3およびAr4は、互いに独立して、非置換またはハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基、メトキシ基若しくはエトキシ基により一置換若しくは多置換された炭素数16までの複素環式基であり、縮合環を含んでいてもよく、単結合で連結された複数の複素環式基でもよく、Pheは、非置換またはハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基、メトキシ基若しくはエトキシ基により一置換若しくは多置換された1,4−フェニレン基を表し、p、qおよびrは、それぞれ0または1である。)
〔2〕一般式(A)で表される化合物が、下記の一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする前記[1]に記載の液晶性高分子。
R1−Sp1−Ar1−Phe−C≡C−C≡C−Phe−Ar2−Sp2−R2 (1)
〔3〕一般式(A)で表される化合物が、下記の一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする前記[1]に記載の液晶性高分子。
R1−Sp1−Ar3−C≡C−C≡C−Ar4−Sp2−R2 (2)
〔4〕一般式(A)で表される化合物が、下記の一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする前記[1]に記載の液晶性高分子。
R1−Sp1−Phe−C≡C−C≡C−Phe−Sp2−R2 (3)
〔5〕前記の反応性基が、ヒドロキシル基、カルボキシル基、酸無水物基、マレイミド基、ビニロキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基、ビニル基、(メタ)アクリレート基、シリル基であることを特徴とする前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のジアセチレン構造を有する液晶性高分子。
〔6〕前記の反応性基が、ビニル基、(メタ)アクリレート基、オキシラニル基、オキセタニル基であることを特徴とする前記〔5〕に記載のジアセチレン構造を有する液晶性高分子。
〔7〕前記のAr1およびAr2が、チオフェン−2,5−ジイル基、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基であることを特徴とする前記〔1〕または[2]に記載のジアセチレン構造を有する液晶性高分子。
〔8〕前記のAr3およびAr4が、チオフェン−2,5−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基であることを特徴とする前記〔1〕または〔3〕に記載のジアセチレン構造を有する液晶性高分子。
〔9〕前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のジアセチレン構造を有する液晶性高分子を含む液晶性重合体組成物。
〔10〕光学用又は電気光学用として用いることを特徴とする前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の液晶性高分子。
本発明のジアセチレン構造を有する液晶性高分子は大きな屈折率異方性を有しフィルム化等の成形加工も容易であり、光学および電子光学的デバイス、例えば偏光板、補償板、ビームスプリッター等の用途に用いることができる。
実施例1で合成したアクリレートモノマーのH−NMRスペクトルを示す図である。 実施例1で合成したアクリレートモノマーのDSCチャートを示す図である。aの線は昇温時、bの線は降温時の挙動を表す。 実施例1で得た重合体のH−NMRスペクトルを示す図である。 実施例1で得た重合体のDSCチャートを示す図である。cの線は昇温時、dの線は降温時の挙動を表す。 実施例1で得た重合体の複屈折の波長依存性を示す図である。eの線およびfの線はそれぞれ、重合体(室温下)および重合体の側鎖と類似した構造を有する1,4−ビス(4−ヘキシロキシフェニル)ブタ―1,3―ジインの137.5℃の結果を示す。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、下記の一般式(A)で表される化合物を反応させて得られるジアセチレン構造を有する液晶性高分子である。
R1-Sp1-(Ar1)p-(Ar3)q-(Phe)r-C≡C-C≡C-(Phe)r-(Ar4)q-(Ar2)p-Sp2-R2 (A)
本発明の一般式(A)で表される化合物は、1,3−ブタジイン骨格にフェニレン基等の炭素環式基や複素環式基とスペーサー基Sp1およびSp2を介して置換基R1およびR2が結合された化合物であり、R1およびR2の少なくとも一方は反応性基を有する基であり、下記一般式(1)〜(3)で表わされる化合物が好ましい。
R1−Sp1−Ar1−Phe−C≡C−C≡C−Phe−Ar2−Sp2−R2 (1)
R1−Sp1−Ar3−C≡C−C≡C−Ar4−Sp2−R2 (2)
R1−Sp1−Phe−C≡C−C≡C−Phe−Sp2−R2 (3)
1,3−ブタジイン骨格部分は、本発明の一般式(A)、(1)〜(3)の化合物の特徴である。これらの化合物は反応性基の安定性を除くと、驚くほど高い化学的及び熱的安定性を持っている。一般的に、それらは高い異方性を持ち、その構造に従いネマチック液晶性および/またはスメクチック液晶性を示す。
式(A)、(1)〜(3)において、R1、R2としてはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、イソチオシアネート基、あるいは炭素原子1ないし15個を有して非置換又はハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基または反応性基により一置換若しくは多置換されたアルキル基、炭素原子2ないし15個を有して非置換又はハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基または反応性基により一置換若しくは多置換されたアルケニル基若しくはアルキニル基、または反応性基を表わし、ここで1個以上の非隣接−CH−基は−O−、−CO−、−COO−および/または−OCO−により置換されていてもよい。ただし、R1およびR2の少なくとも一方は反応性基を有することが必要である。
具体的には、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル、ドデシニル、エチニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、2−メチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、3−メチルペンチル、2−メチルヘキシル、2−メチルデシル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、6−フルオロヘキシル、4,4−ジフルオロブチル、6,6−ジフルオロヘキシル、2−クロロエチル、3−クロロプロピル、4−クロロブチル、6−クロロヘキシル、ペルフルオロエチル、ペルフルオロブチル、1−シアノエチル、1−シアノブチル、2−シアノブチル、1−トリフルオロメチルエチル、1−トリフルオロメチルブチル、メトキシ、エトキシ、ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、トリフルオロメトキシ、2−フルオロブチルオキシ、2−フルオロヘキシルオキシ、2−フルオロブチルオキシカルボニルやこれらの基に後述の反応性基を結合した基、水素原子、フッ素原子、トリフロロメチル基、シアノ基、イソチオシアネート基や反応性基等が挙げられる。
式(A)、(1)におけるAr1、Ar2としては、それぞれ独立に、非置換またはハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基、メトキシ基若しくはエトキシ基により一置換若しくは多置換された炭素数16までの芳香族の炭素環式または複素環式基であり、縮合環を含んでいてもよい。好ましくは芳香族基または5員もしくは6員の複素環式基、あるいは2個または3個の縮合芳香族環または複素環の5員環もしくは6員環を含む基であり、これらの環は2個以上のヘテロ原子、特にN、OおよびSから選択されるヘテロ原子を含んでいてもよい。
Ar1およびAr2の好ましい基の例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、フェニレン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、インダン、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン、アントラセンおよびフェナントレン等が挙げられる。
特に好ましいAr1およびAr2は、フラン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、ピロール−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、インダン−2,5−ジイルである。
これらのすべての基は無置換、または、F、Cl、CN、OH、NO、CH、C、OCH、OC、COCH、COC、COOCH、COOC、CF、OCF、OCHFまたはOCにより単置換もしくは多置換されることもできる。
式(A)、(1)および(3)におけるPheは、非置換またはハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基、メトキシ基若しくはエトキシ基により一置換若しくは多置換された1,4−フェニレン基を表す。例えば、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−クロロ−1,4−フェニレン、2−シアノ−1,4−フェニレン、2−メチル−1,4−フェニレン、3−メチル−1,4−フェニレンなどの基を挙げることができる。
また、式(A)、(2)におけるAr3、Ar4としては、それぞれ独立に、非置換またはハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基、メトキシ基若しくはエトキシ基により一置換若しくは多置換された炭素数16までの複素環式基であり、縮合環を含んでいてもよくまた単結合で連結された複数の複素環式基でもよい。好ましくは5員もしくは6員の複素環式基、あるいは複素環式基を含む2個または3個の縮合環を含む基であり、複素環式基を構成する原子は1個または2個以上のヘテロ原子、特にN、OおよびSから選択されるヘテロ原子が好ましい。
Ar3およびAr4の好ましい基の例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン等から誘導される基を挙げることができる。
特に好ましいAr3およびAr4は、フラン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、ピロール−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイルである。
これらのすべての基は無置換、または、F、Cl、CN、CH、C、OCH、OC、CF、OCF、OCHFまたはOCにより単置換もしくは多置換されることもできる。
Sp1およびSp2はスペーサー基とも呼ばれる基であり、当業者にこの目的のために知られているすべての基を使用することができる。
Sp1およびSp2は互いに独立して、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−CO−NR3−、−NR3−CO−、−O(CH−、−(CHO−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−(CH−、−(SiR4R5−O)−または単結合であり、ここでmおよびnは独立して1〜10の整数を表し、R3、R4およびR5は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。
好ましいスペーサー基としては、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレン−N−メチル−イミノエチレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンなどを挙げることができる。
前記の反応性基とは、適宜な条件を選択することにより反応して高分子を形成することのできる基であり、ヒドロキシル基、カルボキシル基、酸無水物基、マレイミド基、ビニル基、ビニロキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基、(メタ)アクリレート基、シリル基などが挙げられ、これらの中でも重合や縮合の容易な基が好ましく、例えば、好ましくはCH=CW−COO−、
Figure 0005686434
CH=CW−(O)k1−、CH−CH=CH−O−、(CH=CH)CH−OCO−、(CH=CH−CHCH−OCO−、(CH=CH)CH−O−、(CH=CH−CHN−、HO−CW−、HS−CW−、HWN−、HO−CW−NH−、CH=CW−CO−NH−、CH=CH−(COO)k−Phe−(O)k−、Ph−CH=CH−、HOOC−、OCN−およびWSiから選択される。
ここで、WはH、Cl、CN、フェニルまたは炭素原子1〜5個を有するアルキルであり、特にH、ClまたはCHであり、WおよびWは相互に独立して、Hまたは炭素原子1〜5個を有するアルキルであり、特にメチル、エチルまたはn−プロピルであり、W、WおよびWは、相互に独立してCl、炭素原子1〜5個を有するオキサアルキルもしくはオキサカルボニルアルキルであり、Phはフェニル、Pheは1,4−フェニレンであり、ならびにkは0,1または2であり、kおよびkは相互に独立して0または1である。殊に好ましい基は、ビニル基、(メタ)アクリレート基、オキシラニル基またはオキセタニル基であり、最も好ましくは(メタ)アクリレート基である。
次に、式(1)〜(3)で表される化合物の合成方法について説明する。
式(1)〜(3)で表される化合物は、それ自体公知の非常に簡単な方法で製造することができる。例えば有機化学の標準的学術書であるHouben-Weyl, “ Methoden der Organischen Chemie ”, Thime-Verlag, Stuttgartなどに記載されている方法またはそれと類似の方法により合成することができる。より具体的には、例えばL.Brandsma,“ Preparative Acetylenic Chemistry ”2nd Ed. Elsevier, Amsterdam NL, (1988) や Cadiot-Chodkiewicz(G.Eglinton,W.Mc Grae in Raphael, Taylor and Wynberg(eds) “ Advances in Organic Chemistry ”, Vol.4, Interscience publishers, N.Y. (1963) に記載されたように、銅錯体の存在下に末端アルキンをハロアルキン誘導体とカップリングさせることにより製造することができる。
それぞれカップリングの相手として必要な末端アルキン類及びハロアルキン類は、公知であるか、又は公知化合物と類似であり、それ自体公知の方法により製造することができる。例えば、アルデヒドはCBr/PPhを用いるウィッティヒ反応、続く脱離反応により必要なアルキンに変換することができる。必要ならば、それらのアルキンはそれ自体公知の方法、金属化、続いてハロゲン化により相当するハロアルケンから変換することができる。R1またはR2がキラルである場合には、本発明の誘導体はキラルな添加物(dopant)として用いることができる。
反応性基の導入は、反応性基を結合した化合物とジアセチレン基を有する化合物との反応や反応性基を結合したアセチレン化合物と他のアセチレン化合物とのカップリングなど、目的とするジアセチレン基を有する化合物の合成に支障のないように行えばよい。
本発明のジアセチレン構造を有する液晶性高分子は、前記の式(1)〜(3)が有する反応性基の反応に適した条件で反応させて得ることができる。反応の条件は特に制限はなく、例えば重合性基を有する場合は当該重合性基の反応性に応じてアニオン重合、カチオン重合、ラジカル重合を行う、他の反応性基、例えばヒドロキシル基やカルボキシル基を有する場合はエステル化等の縮合反応を行う、水素―ケイ素結合に炭素―炭素二重結合の付加(ヒドロシリル化)、などにより容易に液晶性高分子を得ることができる。
反応性基を有する前記の式(1)〜(3)で表される化合物は、保存安定性を向上させるために、各種の酸化防止剤、紫外線吸収剤や光安定剤を添加してもよい。さらに、得られる高分子の液晶性の発現を妨げない範囲で他の添加物、例えば連鎖移動剤、共重合可能な化合物(反応性希釈剤等)、界面活性剤、流動性向上剤、消泡剤、着色剤、顔料等を添加してもよい。
前記の重合は式(1)〜(3)で表される化合物および生成する重合体を溶解しうる溶媒中で行うことが好ましく、前記溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリジノン、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル、乳酸エチル、安息香酸エチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エタノール、プロパノール、ブトキシエタノール、ヘキシルオキシエタノール、クロロホルム、クロルベンゼン等やこれらの混合物を挙げることができる。生成した重合体(高分子)は、例えば、溶媒の減圧留去やメタノール等の貧溶媒への再沈等で回収することができる。
また、重合は光重合で行うこともできる。光重合は公知の方法や条件から適宜選択して行えばよい。使用される光は、紫外線、赤外線、可視光、X線などを挙げることができる。例えば、紫外線を使用する場合は、好ましくは実質的に酸素や水分の不在下に照射する紫外線の波長および重合する式(1)〜(3)の化合物に適した光重合開始剤を0.05〜20質量%、好ましくは0.2〜10質量%添加した組成物を後述する配向能を有する基板上に塗布した状態や2枚の基板間に挟持させた状態で適宜な光源からの紫外線を照射すればよい。光重合開始剤の添加量が前記の範囲外では重合が不十分になる、光重合後にも残存して着色しやすくなるなどして好ましくない。
前記の光重合開始剤としては、例えばベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アシルフォスフィンオキシド類、トリハロメチルトリアジン類、芳香族ヨードニウム塩類、芳香族スルホニウム塩類、芳香族ホスホニウム塩類、ジアゾジスルホン系化合物等を挙げることができる。
紫外線の照射量は組成物の組成や照射温度等により一概に決定できないが、10mJ/cm〜2J/cm、好ましくは50mJ/cm〜1J/cmである。この範囲外では重合が不十分になる、過剰露光で劣化しやすいなどして好ましくない。
紫外線源としては紫外線を多く発生する光源であれば特に制限はなく、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、カーボンアークランプ、無電極放電ランプ等を挙げることができる。
かくして得られる本発明の液晶性高分子は、モノマーとなる式(1)〜(3)で表される化合物や分子量により液晶相挙動(相転移温度)や光学異方性(複屈折)が異なるが、液晶相状態で測定した複屈折Δn(550nmで測定)は好ましくは0.20以上、特に0.25以上が好ましい。
本発明の液晶性高分子の分子量に特に制限はないが、通常は数平均分子量で2000〜500000、好ましくは3000〜50000である。この範囲外では成形物が脆い、十分な液晶相の発現が困難などして好ましくない。
本発明の液晶性高分子は、通常、光学異方性を利用したフィルム等の形態として、位相差フィルム等の光学素子として用いることができる。成形は好ましくは配向能を有する基板上に加熱溶融方式や、当該高分子を溶解しうる適宜な溶媒、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリジノン、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル、乳酸エチル、安息香酸エチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エタノール、プロパノール、ブトキシエタノール、ヘキシルオキシエタノール、クロロホルム、クロルベンゼン等やこれらの混合物に溶解した溶液を用いて形成する、などして行われる。使用した溶媒は乾燥除去が好ましく、当該方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱などを挙げることができる。
また、前述の光重合による方法では、モノマーである式(1)〜(3)の化合物が液晶性を示す場合は、液晶の配向を維持した状態で重合を行わせ当該配向状態を固定化することもできる。
溶液を用いる場合はスピンコーターやバーコーター、ロールコーター、ダイコーター等適宜な装置を用いて行うことができる。前記の配向能を有する基板としては、必要に応じて配向膜塗布、ラビング処理や斜方蒸着、延伸、光配向等の配向処理を施したポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ノルボルネン系樹脂、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンスルフィド等のプラスチックフィルムやガラス板、マイクログルーブ構造を付した鉄、銅、アルミニウム等の金属板・箔などが挙げられ、これらはシートや長尺フィルムであってもよい。
得られたフィルムは加熱処理して十分に配向させることが好ましい。加熱温度は用いた液晶性高分子の液晶相温度範囲や基板の耐熱性に合わせて適宜設定すればよく、配向は一般的には液晶相を形成する温度範囲、例えばネマチック相転移温度以上、等方相転移温度未満で行われるが、液晶性高分子を等方相以上の温度に加熱して等方相となした後、冷却速度を調整することにより目的とする配向を形成することもできる。配向処理時間も適宜決定できるが通常は10秒〜30分である。なお、溶融形成や溶液塗布に当たって各種の添加剤、例えばフィルムの安定性や均一性の向上を目的として酸化防止剤、紫外線吸収剤や光安定剤、濡れ性向上のために界面活性剤、消泡剤等を本発明の目的を逸脱しない範囲で添加してもよい。これらの添加量も一般的に使用される範囲から適宜決定することができる。また、コレステリック配向を形成するために液晶性の有無を問わず混和しうる光学活性基を有する各種の化合物を添加することもできる。
フィルムの厚さは用途により異なるため一概に決定できないが、通常は0.05μm〜50μm、好ましくは0.1〜20μmである。この範囲外では膜厚の均一性が悪化する、配向が不十分になる、などして好ましくない。
前記の配向能を有する基板が着色や不透明等の光学的に好ましくない場合は、加熱配向処理されたフィルムを粘着剤や接着剤を介して使用目的に適した他の基板に転写することもできる。
転写に使用される粘着剤や接着剤(以下、「粘・接着剤」という)は貼合される両界面に適度な接着力を有する光学グレードのものであれば特に制限はなく、例えば、アクリル重合体系、エポキシ樹脂系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ゴム系、ウレタン系およびこれらの混合物系や、熱硬化型および/または光硬化型、電子線硬化型等の各種反応性のものを挙げることができるが、光硬化型が処理の容易さなどから好ましい。
光硬化型のアクリル系粘・接着剤は、通常の市販されている紫外線(UV)硬化型粘・接着剤や液晶性組成物の接着性に応じて適宜変性したものを使用できる。
アクリル系粘・接着剤は、市販されている各種(メタ)アクリル系の単官能モノマーや多官能モノマー、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート等のオリゴマーや、光重合開始剤、粘度調整剤(増粘剤)、界面活性剤や分散剤等の添加剤等を適宜添加して調製してもよい。
また、転写にあたって接着性の向上のために被着される面にコロナ放電処理、紫外線照射処理や火炎処理等の表面処理を行ってもよい。
さらに光の拡散や散乱を目的としてアクリル系粘・接着剤と屈折率の異なる(微)粒子を添加してもよい。前記(微)粒子の材質としては、シリカ、アルミナ、ITO、銀や各種の(架橋)プラスチック等を挙げることができる。また、粘・接着剤層には、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤、顔料、着色剤、酸化防止剤などの粘・接着剤に添加されることのある添加剤を含有していてもよい。これらの添加量は、その種類、構成成分、機能などにより一概には決定できないが、通常は、アクリル系粘・接着剤に対して0.01質量%〜20質量%が好ましい。
前記の他の基板としては、従来から知られているものを特に制限なく使用でき、例えばポリカーボネート、ノルボルネン系樹脂、トリアセチルセルロース、アクリル系、マレイミド系やスチレン系の樹脂等のフィルムやこれらを延伸したフィルム、ポリビニルアルコール系偏光素子や屈折率の異なる複数の樹脂薄膜の積層体からなる反射型偏光素子等を挙げることができる。
得られたフィルムは、光学膜、偏光板、補償板、反射膜等に使用することができる。例えば、液晶表示素子の補償板に用いる場合の液晶表示素子としては、TN(ツイスト・ネマチック)型、STN(スーパー・ツイスト・ネマチック)型,IPS(インプレーンスイッチング)型,VA(垂直配向)型、ECB(電気制御複屈折)型、ASM(軸対称ミクロセル)型等の液晶表示素子を挙げることができる。
また本発明の液晶性高分子は、PDLC、ポリマーゲルまたはポリマーネットワークディスプレイなどに組成物として使用することができる。
液晶性高分子組成物及び電気−光学装置(液晶セル)の製造は、それ自体公知の方法で行なうことができる。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明するが本発明はこれらの例に制限されるものではない。実施例および比較例で用いた各種測定法等を説明する。
1.複屈折の測定
下記の機器を用いて測定した。
偏光顕微鏡: ECLIPSE LV 100 POL、(株)ニコン製)
光ファイバー: BIF600-VIS-NIR、Ocean optics, Inc. 製
分光器: USB4000、Ocean optics, Inc. 製
評価用液晶セル:KSRP-03/B311P1NSS05、(株)イーエッチシー製)
測定温度は等方相転移温度より10℃低い液晶相温度で、波長400〜1000nmの範囲でスペクトルを測定し、下記にしたがって求めた。
(1)セルギャップの測定
液晶を封入しない状態でセルの下から光を当て、透過干渉光を測定することにより、空気層の厚さを求め((1)式)、その空気層の厚さをセルギャップとする。
2d=mλ (1)
(2)顕微分光分析
上記(1)で求めたセルギャップがdのセルに液晶を封入しホモジニアス配向させて作成した複屈折体を、偏光軸が互いに直交する2枚の偏光子の間に挟持して測定される分光透過率が最大または最小となる波長の値((2)式)と、各波長における複屈折体のリタデーション((3)式)を、4次まで展開したコーシーの分散式((4)式)でフィッテングを行い、複屈折体の複屈折率ΔnおよびリタデーションRの波長分散を決定した。
Figure 0005686434
2.DSCの測定
Perkin−Elmer社製 DSC7を用い、窒素雰囲気下で昇降温速度10℃/minで測定した。
3.偏光顕微鏡観察(液晶相挙動の判定)
温度調節装置Mettler社製FP90セントラルプロセッサーを付したMettler社製FP82ホットステージを具備したOlympus社製偏光顕微鏡(型式BX50)により、液晶の相挙動をDSCの測定結果と合わせて調べた。
Crは結晶相を、Sはスメクチック相を、Nはネマチック相を、そしてIsoは等方相を示す。
4.NMRスペクトルの測定
テトラメチルシラン(TMS)を内標として重水素化クルロホルム、重水素化ジメチルホルムアミドまたは重水素化ジメチルスルホキシド溶媒に試料を溶解してNMR装置(JEOL LNM−EX400)によりHおよび/または13C−NMRスペクトルを測定した。
5.分子量の測定
検出器として JASCO UV-2070 detector および JASCO RI-2031 detector を付したゲル パーメーション クロマトグラフに、分離カラムとしてTOSOH TSKgel G3000HXL または G4000HXL をセットし、25℃でTHF溶媒(流量:1ml/min)で測定した。分子量の校正は標準ポリスチレンを用いた。
6.その他、必要に応じて以下の機器を用いた。
FT−IR: JASCO FT-IR 460 plus spectrometer
UV−visスペクトル: Beckman Coutler DU800 UV-vis Spectrometer
高分解能マス スペクトル:JEOL JMS700 mass spectrometer
[実施例1]
A.アクリレートモノマーの合成
Figure 0005686434
(略号)
n-BuLi n-ブチルリチウム
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMF ジメチルホルムアミド
MeOH メタノール,
MMACl メタクリロリルクロリド
Ph フェニル基
TBAF テトラブチルアンモニウム フルオライド
TBDMSCl tert-ブチルジメチルシリルクロリド
TEA トリエチルアミン
THF テトラヒドロフラン
TMS トリメチルシリル基
(1)化合物1の合成
4−ヨードフェノール(5.5g,25.1mmol),6−ブロモ−1−ヘキサノール(5.0g,27.6mmol),炭酸カリウム(4.2g,30.1mmol)およびDMF(50ml)の混合物を還流温度で18h反応させた。減圧下に溶媒を除去し、残存物をジエチルエーテルで抽出して、水洗後MgSOで乾燥し、ジエチルエーテルを留去した。残存物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン=1/3)処理して化合物1を得た(8.1g,収率:99%)。
<スペクトルデータ>
1H NMR (400 MHz, CDCl3, ppm) δ 7.54 (d, J = 8.52 Hz, 2H), 6.67 (d, J = 8.56 Hz, 2H), 3.92 (t, J = 6.40 Hz, 2H), 3.67(q, J = 6.01 Hz, 2H), 1.79 (quint, J = 6.95 Hz,, 2H), 1.64-1.1.36 ( m, 6H), 1.26 (s, 1H).
(2)化合物2の合成
アルゴンで脱気したTEA(20ml)およびトリメチルシリルアセチレン(5.5ml,40mmol)の混合物を、上記で得た化合物1(8.0g,25mmol),Pd(PPh(0.58g,0.050mmol),CuI(95mg,0.050mmol)およびPPh(0.13g,0.050mmol)の混合物に加え、45℃で2日間攪拌・反応させた。
反応混合物にジエチルエーテルを加え、不溶塩を濾過して除き塩酸水溶液、水で洗浄後、MgSOで乾燥、ジエチルエーテルを留去し残存物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン=1/2)処理して化合物2を得た(収率:99%)。
<スペクトルデータ>
1H NMR (400 MHz, CDCl3, ppm) δ 7.34 (d, J = 8.32 Jz, 2H), 6.80 (d, J = 8.08 Hz, 2H), 4.12 (q, J = 7.41 Hz, 2H), 3.95 (t, J = 6.58 Hz, 2H), 1.82-1.75 (m, 2H), 1.64-1.1.39 ( m, 6H), 1.26 (s, 1H).
(3)化合物3の合成
得られた化合物2(3.07g,14.1mmol),TBAF(16ml,16mmol)およびTHF(50ml)を15分間攪拌した後、溶媒を減圧下に除去した。残存物をジエチルエーテルで抽出し水洗、MgSO4.で乾燥してからジエチルエーテルを除去した。
残存物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン=1/3)処理して化合物3を得た(化合物2に対する収率:68%)。
<スペクトルデータ>
1H NMR (400 MHz, CDCl3, ppm) δ 7.41, (d, J = 8.76 Hz, 2H), 6.82 (d, J = 8.80 Hz, 2H), 3.96 (t, J = 6.52 Hz, 2H), 3.66 (t, J = 6.48 Hz, 2H), 2.99 (s, 1H), 1.80 (quint, J = 6.89 Hz, 2H), 1.64-1.35 (m, 6H), 1.29 (s, 1H)
(4)化合物4の合成
化合物3(1.10g,5.00mmol)およびイミダゾール(0.45g,6.50mmol)をCHCl(30mL)に溶解した溶液にtert−ブチル−ジメチル−シリルクロリド(0.98g,6.50mmol)を加え、室温で3h攪拌した。反応混合物をCHClで抽出し、水洗、MgSOで乾燥後濃縮した。
粗生成物をシリカゲルを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン=1/10)で処理し化合物4を得た(収率:99%)。
<スペクトルデータ>
1H NMR (400 MHz, CDCl3, ppm) δ 7.41, (d, J = 8.56 Hz, 2H), 6.82 (d, J = 8.76 Hz, 2H), 3.95 (t, J = 6.46 Hz, 2H), 3.61 (t, J = 6.48 Hz, 2H), 2.99 (s, 1H), 1.79 (quin, J = 6.90 Hz, 2H), 1.56-1.34 (m, 6H), 0.89 (s, 9H), 0.04 (s, 6H).
(5)化合物5の合成
0℃で、四臭化炭素(6.6g,20mmol)をPPh(10.5g,40mmol)を溶解したCHCl溶液に加え15分間攪拌後、4−ヘキシロキシベンツアルデヒド(2.10g,10mmol)を加えた。3h後、メタノールを添加して反応を停止し、クロロホルムで抽出して有機層をチオ硫酸ナトリウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液で洗浄しMgSOで乾燥した。
減圧下に溶媒を留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン=1/10)処理して化合物5を得た(1.79g,収率:49%)。
<スペクトルデータ>
1H NMR (400 MHz, CDCl3, ppm) δ 7.50, (d, J = 8.80 Hz, 2H), 7.40 (s, 1H), 6.88 (d, J = 7.68 Hz, 2H), 3.96 (t, J = 6.58 Hz, 2H), 1.78 (quin, J = 7.02 Hz, 2H), 1.49-1.29 (m, 6H), 0.91 (t, 3H).
(6)化合物6の合成
化合物4(1.9g,5.7mmol)/THF(30mL)溶液を−78℃に冷却し、n−BuLi(2.2mL,2.6M,5.8mmol)を加え30分反応後、無水ZnCl(0.79g,5.8mmol)/THF(15mL) 溶液を−78℃で加えた。15分間同温度に保った後30分以上かけて0℃に戻した。
この亜鉛を含む溶液に化合物5(2.0g,5.7mmol)を加えた溶液をPd(PPh(0.33g,0.28mmol)/THF(5mL)に加えて0℃で2日間攪拌反応した。NHCl水溶液を添加して反応を停止し、ジエチルエーテルで抽出し、有機層をNaHCO水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し.MgSOで乾燥した。減圧下に濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン=1/10)処理し化合物6を得た。
<スペクトルデータ>
1H NMR (400 MHz, CDCl3, ppm) δ 7.69 (d, J = 9.04, 2H), 7.41 (d, J = 8.56 Hz, 2H), 7.21 (s, 1H), 6.89 (d, J = 8.80, 2H), 6.85 (d, J = 8.76 Hz, 2H), 3.97 (q, J = 6.35 Hz, 4H), 3.62 (t, J = 6.46 Hz, 2H), 1.86-1.73 (m, 4H).
(7)化合物7の合成
化合物6(1.60g,2.60mmol)/THF(20ml)溶液にアルゴン雰囲気下で1.0M/LのTBAF/THF溶液(4.80mL,4.80mmol)を加え、室温で1日反応させた。
有機層をクロロホルムで抽出し水洗後MgSOで乾燥した。溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/酢酸エチル/ヘキサン=1/1/1)処理し化合物7を得た(1.05g)。
<スペクトルデータ>
1H NMR (400 MHz, CDCl3, ppm) δ 7.44 (d, J = 8.80 Hz, 4H), 6.83 (d, J = 8.56 Hz, 4H),3.98-3.94 (m, 4H), 3.70-3.62 (m, 2H), 1.83-1.74 (m, 4H), 1.64-1.33 (m, 12H), 0.90 (t, J = 6.84 Hz, 3H).
(8)化合物8の合成
化合物7(0.97g,2.30mmol)およびTEA(3.00ml,3.00mmol)/CHCl(35ml)溶液にメタクリロイルクロリド(0.29ml,3.00mmol)を添加し室温で7h反応させた。
反応混合物をクロロホルムで抽出し有機層をMgSOで乾燥した後溶媒を留去し、粗生成物をシリカゲルを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン=1/2)処理し化合物8を得た。化合物8のH−NMRスペクトルを図1に、DSCチャートを図2に示す。
<スペクトルデータ>
1H NMR (400 MHz, CDCl3, ppm) δ 7.47-7.40 (m, 4H), 6.83 (dd, J = 9.04 and 2.44 Hz, 4H), 6.10 (s, 1H), 5.55 (s, 1H), 4.16 (t, J = 6.58 Hz, 2H), 3.98-3.94 (m, 4H), 1.94 (s, 3H), 1.82-1.67 (m, 6H), 1.53-1.31 (m, 10H), 0.91 (t, J = 6.72 Hz, 3H) .
B.重合体の合成
アルゴン雰囲気下で、上記(8)で得た化合物8の0.5mol/LのTHF溶液に化合物8に対して5mol%のn−BuLi溶液を添加し、−10℃で24h反応させた。
過剰量のMeOH中に重合液を滴下し、重合体を析出させた後、再沈殿により精製した。
得られた重合体の数分子量(Mn)は7990(GPCによる測定)であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.69であった。重合体のDSCの測定結果(図4)から液晶相挙動は次のようであった。
C 70.3℃ N 141.3℃ I
また、等方相温度に加熱した重合体を間隙を3μmに調整したセルに注入し、10℃/minでガラス転移温度以下まで冷却した後、室温で光学特性(複屈折の波長依存性)を測定した。結果を図5に示す。
本発明のジアセチレン構造を有する液晶性重合体は大きな屈折率異方性を有し、各種液晶表示素子の構成部材として有用であり、またフィルム化等の成形加工も容易であり光学又は電気光学の目的等に用いることができる。

Claims (3)

  1. 下記の一般式(3)で表される化合物を反応させて得られるジアセチレン構造を有する液晶性高分子。
    R1−Sp1−Phe−C≡C−C≡C−Phe−Sp2−R2 (3)
    (式中、R1は炭素数1〜12のアルキル基、Sp1は−O−、Pheは1,4−フェニレン基、Sp2は−O(CH −(nは1〜10の整数)、R2は(メタ)アクリレート基を表す。
  2. 請求項1に記載のジアセチレン構造を有する液晶性高分子を含む液晶性重合体組成物。
  3. 光学用又は電気光学用として用いることを特徴とする請求項1に記載の液晶性高分子。
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