以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
電子装置100は、主な構成要素として、金属ケース20と、金属ケース20内に収納された集積回路70(以下、IC70とも称する)と、金属線11と金属線11を被覆する誘電体12とを含み金属線11がIC70に電気的に接続された配線10と、金属ケース20の外部において誘電体12の表面に取り付けられるものであり金属線11及び誘電体12と共にキャパシタ210を構成する金属からなるキャパシタ構成部材30と、インダクタを形成するものでありキャパシタ構成部材30と金属ケース20とに電気的に接続されたフィルタ用配線(フィルタ用外部配線31,フィルタ用ターミナル52,フィルタ用パターン63)と、を備えて構成されている。なお、電子装置100で取り扱う信号は、例えば、制御信号、電源、GND信号、入力信号である。
また、電子装置100は、金属ケース20内に収納されたIC70におけるノイズ(以下、ノイズ電流とも称する)を抑制するノイズフィルタ200が搭載されている。換言すると、電子装置100は、自身に設けられているIC70の脆弱周波数や特徴周波数に対応してフィルタ特性が設定されたノイズフィルタ200が搭載されることになる。
ノイズフィルタ200は、IC70に対して、IC70の耐性が低い特定の周波数(脆弱周波数)のノイズ(外来ノイズ)が配線10から入力されるのを抑制する。つまり、ノイズフィルタ200は、配線10に外来電波が放射されることによって誘起されたノイズ(ノイズ電流)が、IC70に入力されるのを抑制する。
また、ノイズフィルタ200は、IC70が輻射するノイズであって、ノイズレベルが大きくなる特定の周波数(特徴周波数)のノイズが電子装置100外に影響することを抑制する。つまり、ノイズフィルタ200は、IC70から輻射された特徴周波数のノイズ(ノイズ電流)が配線10を介して電子装置100外に出力されることを抑制する。
このノイズフィルタ200は、金属線11と誘電体12とキャパシタ構成部材30によって構成されるキャパシタ210と、フィルタ用配線(フィルタ用外部配線31,フィルタ用ターミナル52,フィルタ用パターン63)によって構成されるインダクタ220とからなるLCフィルタである。つまり、本実施形態におけるノイズフィルタ200(電子装置100に設けられたノイズフィルタ200)は、寄生成分にて構成されたLCフィルタである。
また、電子装置100は、上述の構成要素の他にも、フィルタ用ターミナル(端子)52と回路用ターミナル(端子)51とが設けられたコネクタ40、ベース基板61に回路用パターン62とフィルタ用パターン63が形成され、且つ、IC70が実装された回路基板(プリント基板)60などを備える。この電子装置100は、自動車に搭載される電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)に適用することができる。
また、電子装置100は、図6(b)に示すように、自動車のエンジンルームや車室内に搭載される場合、例えば、金属製のブラケット700を介して、自動車における金属製のボデー(ボデーGND)に取り付けられる。ここでは、電子装置100は、一例として、金属製のブラケット700を介してエンジンブロック800に取り付けられる例を採用する。なお、自動車のエンジンルーム内においては、雰囲気温度(電子装置100の雰囲気温度)がマイナス30から95℃程度にまでなる。
また、電子装置100は、例えば配線10を介してバッテリ510やセンサ520などの外部機器と電気的に接続される。なお、外部機器としては、バッテリ510やセンサ520だけではなく、アクチュエータや電子装置100とは異なるECUなどを採用することができる。
なお、本実施形態においては、電子装置100を自動車に搭載される電子制御ユニットに適用した例を採用するが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、自動車以外の移動体(例えば、船、飛行機、鉄道)、医療機器、ロボット、産業機器、家電製品、アミューズメント機器、エレベータ、複写機などに搭載される電子装置に適用することもできる。
配線10は、図3に示すように、金属線11と金属線11を被覆する誘電体12とを含む。この配線10としては、金属線11が絶縁及び保護のために絶縁部材(ここでは誘電体12)で被覆された通常の電線(ケーブル、ワイヤーハーネス)を採用することができる。また、金属線11と誘電体12とは密着して設けられている。この配線10は、上述のように、電子装置100と、電子装置100の外部機器(バッテリ510、センサ520、アクチュエータ、電子装置100とは異なるECUなど)とを電気的に接続するものである。なお、図1や図2などに関しては、簡略化して配線10を図示している。また、図3においては、7本の配線10を束ねた状態を図示している。
金属ケース20は、図2、図4(a)に示すように、金属(例えば、Alなど)からなるものであり、回路基板60と回路基板60に実装されたIC70を収納する内部空間(換言すると収納空間)を備える。この金属ケース20としては、例えば、一部が開口した箱状のベース(すなわち、矩形状の底面と四つの側壁を有した凹状のベース)と、ベースの開口を塞ぐカバーとの二つの部材などからなるものを採用することができる。この場合、ベースをカバーで塞ぐことによって、回路基板60と回路基板60に実装されたIC70を収納するための収納空間が形成される。なお、この金属ケース20は、例えば鋳造法によって製造することができる。
なお、図2では、図面を簡略化するために、回路用ターミナル51とフィルタ用ターミナル52とは省略している。また、図4(a)では、図面を分かりやすくするために、キャパシタ構成部材30などを図示している。
この金属ケース20の内部(収納空間側)には、図4(a)に示すように、回路基板60におけるフィルタ用パターン63と電気的及び機械的に接続された柱状の金属ブロック21が設けられている。この金属ブロック21は、金属ケース20と一体的成型されたものであってもよいし、別体で製造されて金属ケース20に取り付けられたものであってもよい。なお、フィルタ用配線(ここではフィルタ用パターン63)と金属ケース20とが電気的及び機械的に接続可能であれば、金属ブロック21を設ける必要はない。
また、金属ケース20の一部(例えば、側壁の一部)にはコネクタ40が固定されている。なお、コネクタ40は、周知のものであるため詳しい説明は省略するが、回路基板60(IC70)と外部機器とを電気的に接続する金属製の回路用ターミナル(回路用コネクタピン)51や、フィルタ用配線の一部をなすフィルタ用ターミナル(フィルタ用コネクタピン)52が樹脂製のコネクタケースに固定されてなるものである。つまり、コネクタ40は、回路用ターミナル51とフィルタ用ターミナル52の一部が金属ケース20外部に配置されると共に、回路用ターミナル51とフィルタ用ターミナル52のその他の部分が金属ケース20内部(収納空間内)に配置されるように金属ケース20に固定されている。
そして、コネクタ40に設けられた回路用ターミナル51は、図4(a)に示すように、回路基板60の回路用パターン62と電気的及び機械的に接続され、且つ、配線10の金属線11と電気的及び機械的に接続されている。つまり、回路用ターミナル51は、金属ケース20の内部に配置された部位の一部が導電性接続部材(図示省略)などによって回路用パターン62に接続され、且つ、金属ケース20の外部に配置された部位の一部が導電性接続部材(図示省略)などによって金属線11と接続されている。換言すると、回路用ターミナル51は、金属ケース20の内部に配置された位置において回路用パターン62に接続され、且つ、金属ケース20の外部に配置された位置において金属線11と接続されている。
一方、コネクタ40に設けられたフィルタ用ターミナル52は、図4(a)に示すように、フィルタ用配線の一部をなすものであり、回路基板60のフィルタ用パターン63と電気的及び機械的に接続され、且つ、後ほど説明するフィルタ用外部配線31と電気的及び機械的に接続されている。つまり、フィルタ用ターミナル52は、金属ケース20の内部に配置された部位の一部が導電性接続部材(図示省略)などによってフィルタ用パターン63に接続され、且つ、金属ケース20の外部に配置された部位の一部が導電性接続部材(図示省略)などによってフィルタ用外部配線31と接続されている。換言すると、フィルタ用ターミナル52は、金属ケース20の内部に配置された位置においてフィルタ用パターン63と接続され、且つ、金属ケース20の外部に配置された位置においてフィルタ用外部配線31と接続されている。
なお、本実施形態においては、フィルタ用外部配線31とフィルタ用ターミナル52とを採用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。キャパシタ構成部材30とフィルタ用パターン63とを電気的及び機械的に接続するものであれば、フィルタ用外部配線31とフィルタ用ターミナル52とを兼ねる金属部材であっても、本発明の目的を達成できる。
回路基板60は、図4(a)に示すように、ベース基板(絶縁基材)61と、ベース基板61に設けられた配線部(回路用パターン62などの配線パターンと、配線パターン間を電気的に接続するビア(図示省略))と、フィルタ用パターン63などを備えるものである。ベース基板61は、ガラス繊維製の布(クロス)を重ねたものにエポキシ樹脂を含浸させたもの、アルミナ(酸化アルミニウム)を焼成したもの、熱可塑性樹脂などを採用することができる。なお、上述のビアは、配線パターン間を電気的に接続するものであり、ベース基板61に設けられた貫通孔に導電性部材が埋設されてなるものである。
回路用パターン62やフィルタ用パターン63は、ベース基板61に設けられた導体箔(例えば銅箔など)をパターニングして形成されるものである。回路用パターン62は、べた状に設けられた(すなわち、べたパターンの)導体箔からなる電源層(図示省略)やグランド層(図示省略、基板GND)、及びグランド層に電気的に接続されたグランド用パターン(図示省略)や信号用パターン(図示省略)などを含むものである。IC70は、この回路用パターン62の一部と電気的及び機械的に接続されている。
一方、フィルタ用パターン63は、フィルタ用配線の一部をなすものであり、回路用パターン62(つまりIC70とも)と分離(電気的に絶縁)して設けられている。このフィルタ用パターン63は、フィルタ用ターミナル52と電気的及び機械的に接続されており、且つ、金属ケース20の内部表面(収納空間側の表面)に電気的及び機械的に接続されている。つまり、フィルタ用パターン63は、金属ケース20と同電位に接続されている。
このため、図4(a)では簡略化して図示しているが、フィルタ用パターン63は、例えばベース基板61の表面及び裏面に設けられており、表面側と裏面側とがビアを介して電気的及び機械的に接続されている。そして、ベース基板61の表面側のフィルタ用パターン63とフィルタ用ターミナル52とが電気的及び機械的に接続されており、ベース基板61の裏面側のフィルタ用パターン63と金属ケース20(金属ブロック21)とが電気的及び機械的に接続されている。
なお、フィルタ用パターン63は、導体箔(例えば銅箔など)をパターニングして形成されたものである。よって、フィルタ用パターン63は、比較的容易に長さを変えることができる。例えば、図5に示すように、フィルタ用ターミナル52が電気的及び機械的に接続されるターミナル接続部631と、金属ケース20と電気的及び機械的に接続される金属ケース接続部632と、このターミナル接続部631と金属ケース接続部632を繋ぐ部位とを含むフィルタ用パターン63とする。このようにすることで、フィルタ用パターン63の長さを長くすることができる。
このように、フィルタ用パターン63の長さを長くすることによって、インダクタンスを大きくすることができる。逆に、フィルタ用パターン63の長さを短くすることによって、インダクタンスを小さくすることができる。なお、図5においては、回路基板60に設けられているビアや回路基板60の裏面側のフィルタ用パターン63などの図示は省略している。
また、フィルタ用パターン63は、回路基板60の基板GND(GND層)とは電気的に分離(絶縁)されている。電子装置100を自動車に搭載される電子制御ユニットに適用した場合、回路用パターン62を金属ケース20にショートさせないようにすると好ましい。通常、自動車に搭載される電子制御ユニット(電子装置100)は、基板GNDと金属ケース20を安全上の観点で電気的に接続しない。
基板GNDは、バッテリ510のマイナス端子に接続され、バッテリ510のマイナス端子は、バッテリ510近くのボデーGNDに接地される。一方、自動車に搭載される電子制御ユニット(電子装置100)の金属ケース20は、バッテリ510と違うボデーGND(例えばエンジンブロック800)に接続される。バッテリ510に接続されるボデーGNDと、金属ケース20に接続されるエンジンブロック800に電位差が生じると、電子装置100の故障原因となる。つまり、バッテリ510に接続されるボデーGNDと、金属ケース20に接続されるボデーGND(エンジンブロック800)とが、DC電位差を持ち動作が安定しなくなるためである。このような理由によって、回路用パターン62を金属ケース20にショートさせないようにする。
これに対して、上述の従来技術におけるフィルタコネクタは、接地リード端子を介して基板グランドへ接続されている。このため、従来技術におけるフィルタコネクタは、自動車に搭載される電子制御ユニット(電子装置100)におけるフィルタとしては適用することができない。
キャパシタ構成部材30は、金属(例えばCuやAl)からなるものである。このキャパシタ構成部材30は、図1や図3などに示すように、金属ケース20の外部において誘電体12の表面に取り付けられ、金属線11及び誘電体12と共にノイズフィルタ200におけるキャパシタ210(寄生キャパシタ)を構成するものである。従って、キャパシタ構成部材30は、配線10とキャパシタ210を作り出すための電極の片側の役割がある。つまり、キャパシタ210は、誘電体12を挟む一方の電極がキャパシタ構成部材30であり、誘電体12を挟む他方の電極が配線10の金属線11である。なお、ここでは、図3に示すように、複数(ここでは7本)の配線10を束ねた配線束(複数の金属線11(ここでは7個)と、各金属線11を被覆している誘電体12を含む)に対して、キャパシタ構成部材30を設ける例を採用する。
このように、キャパシタ構成部材30は、キャパシタ210の一方の電極であるため、金属であればよく、特別な金属を使用しなくてよい。さらに、キャパシタ構成部材30の厚みも薄くてよい。配線10に対する取付位置に関しても特に限定されない。このように構成されたキャパシタ210は、キャパシタ構成部材30(及び誘電体12)の長さ、誘電体12の比誘電率(誘電体12の厚み)によってキャパシタンスを変えることができる。なお、誘電体12の厚みとは、誘電体12に密着した金属線11と誘電体12に密着したキャパシタ構成部材30とが対向する位置での厚みである。
また、キャパシタ構成部材30は、配線10とともにキャパシタ210を構成するものであるため、誘電体12に密着して設けると好ましい。つまり、キャパシタンスを精確に管理するためには、誘電体12とキャパシタ構成部材30とを隙間なく密着させることが好ましい。
また、本実施形態においては、キャパシタ構成部材30として、配線10を被覆可能な環状のものを採用している。また、このように配線10を被覆するために、キャパシタ構成部材30として、配線10に巻き付けることができる柔軟性(金属製のテープ素材)を有するものを採用することもできる。
さらに、キャパシタ構成部材30は、図1や図4(a)に示すように、例えば導電性接続部材によって、フィルタ用外部配線31が電気的及び機械的に接続される接続部32が設けられている。つまり、キャパシタ構成部材30は、接続部32にフィルタ用外部配線31が電気的及び機械的に接続されている。なお、キャパシタ構成部材30における接続部32の位置は、フィルタ用外部配線31の長さによって決まるものである。
また、フィルタ用外部配線31は、配線10と同様に、金属線が絶縁及び保護のために絶縁部材(誘電体)で被覆された通常の電線(ケーブル、ワイヤーハーネス)を採用することができる。そして、フィルタ用外部配線31は、上述のように一端がキャパシタ構成部材30の接続部32(任意の位置)に電気的及び機械的に接続され、もう一端がフィルタ用ターミナル52における金属ケース20の外部に配置された部位に電気的及び機械的に接続されている。
このフィルタ用外部配線31は、上述のフィルタ用ターミナル52、フィルタ用パターン63とともに、本発明の特許請求の範囲におけるフィルタ用配線を構成している。また、このフィルタ用配線(31,52,63)は、ノイズフィルタ200のインダクタ220(寄生インダクタ)を構成するものである。換言すると、ノイズフィルタ200のインダクタ220は、キャパシタ構成部材30と金属ケース20とを電気的に接続するフィルタ用配線によって構成されている。よって、インダクタ220は、キャパシタ構成部材30から金属ケース20に導通する経路にて形成される。このインダクタ220の始点は、キャパシタ構成部材30の任意の位置であり、終点は、金属ケース20の接続された位置である。
ところで、金属ケース20の外部表面は、傷が付きにくいように保護するために、絶縁材料によってコーティングされていることが多い。一方、金属ケース20の内部表面(収納空間側の表面)は、絶縁材料によってコーティングされていないことが多い。よって、フィルタ用配線は、金属ケース20の外部表面には電気的及び機械的に接続しにくい。金属ケース20の外部表面にコーティングが設けられていた場合、例えば、そのコーティングを除去した状態で、フィルタ用配線と金属ケース20の外部表面とを電気的及び機械的に接続する必要がある。
しかしながら、本実施形態のように、フィルタ用外部配線31、フィルタ用ターミナル52、フィルタ用パターン63とでフィルタ用配線を構成することによって、金属ケース20の内部表面にフィルタ用配線を電気的に接続することができる。よって、フィルタ用配線と金属ケース20とを、電気的及び機械的に接続しやすくすることができる。
また、上述のように構成されたインダクタ220は、フィルタ用配線の長さや太さを変えることによってインダクタンスを変えることができる。また、このように、フィルタ用パターン63、フィルタ用ターミナル52、フィルタ用外部配線31を含むフィルタ用配線とすることによって、ノイズフィルタ200におけるインダクタ220のインダクタンスを調整しやすることができる。換言すると、インダクタ220は、フィルタ用パターン63、フィルタ用ターミナル52、フィルタ用外部配線31の少なくとも一つの体格(長さや太さ)を変えることによってインダクタンスを変えることができる。
つまり、本実施形態のインダクタ220は、フィルタ用外部配線31の長さや太さで、インダクタンスを変えることができる。また、フィルタ用ターミナル52の長さや太さでも、インダクタンスを変えることができる。さらに、フィルタ用パターン63の長さや太さでも、インダクタンスを変えることができる。
例えば、これら3つの構成要素のうち、フィルタ用ターミナル52とフィルタ用外部配線31の体格を変えにくい場合であっても、フィルタ用パターン63の体格を変えることで、インダクタ220のインダクタンスを変えることができる。なお、長さとは、フィルタ用配線を構成する各構成要素における電流が流れる方向に沿う方向(電流の流れる方向に対して平行な方向)の長さを示すものである。また、太さとは、フィルタ用配線を構成する各構成要素における電流が流れる方向に対して垂直に切断した切断面の断面積を示すものである。
ここまでに説明した配線10とキャパシタ構成部材30とによって構成されたキャパシタ210、及びフィルタ用配線によって構成されたインダクタ220とは、図4(b)に示すように、直列に接続されている。つまり、キャパシタ210とインダクタ220とからなるLC直列回路を構成している。そして、このキャパシタ210とインダクタ220とからなるLC直列回路は、配線10に対して並列に接続されている。つまり、ノイズフィルタ200は、金属ケース20内に収納されたIC70に電気的に接続された配線10に対して並列に接続されるものであり、キャパシタ210とインダクタ220とが直列接続されたLCフィルタである。
このキャパシタ210とインダクタ220とからなるノイズフィルタ200は、電子装置100に設けられたIC70の脆弱周波数や特徴周波数に応じてフィルタ特性が設定されている。このノイズフィルタ200のフィルタ特性は、キャパシタ210のキャパシタンスやインダクタ220のインダクタンスによって調整(変更)することができる。つまり、ノイズフィルタ200のフィルタ特性は、キャパシタ構成部材30(及び誘電体12)の長さ、誘電体12の比誘電率(誘電体12の厚み)や、フィルタ用配線の長さ、太さによって調整(変更)することができる。なお、ノイズフィルタ200は、電子装置100内部のインピーダンスよりも低いインピーダンスを持つものである。
ここで、ノイズフィルタ200が設けられた電子装置100に対して行った各種試験に関して説明する。
まず、図6及び図7に基づいて、車両ノイズ試験(車両実装試験、EMC試験)関して説明する。ここでは、ISO11451−2(路上走行車、狭帯域放射電磁エネルギーによる電気的妨害のための車両試験方法)に準拠した車両ノイズ試験を行った。この試験は、車両に対してアンテナ等を用いて電波照射を実施し誤動作なきことを確認する試験である。
具体的には、この試験では、図6(a)に示すように、車両300に電子装置100を搭載した状態で、車両300の外部に設けたアンテナ400から電波を放射する(耐ノイズ性試験)。なお、このとき、脆弱周波数のノイズが配線10に流れるようにアンテナ40から電波を放射させる。さらに、電子装置100のIC70を動作させることによって、IC70から特徴周波数のノイズを輻射させる(ノイズ輻射試験)。
なお、電子装置100は、図6(b)に示すように、金属製のブラケット700を介してエンジンブロック800に取り付けられている。また、電子装置100は、配線10を介してバッテリ510やセンサ520などの外部機器と電気的に接続されている。
そして、図6(b)に示すように、アンテナ400から電波(外来電波)を放射させた場合、電子装置100は、配線10にアンテナ400から電波(外来電波)が放射されることによって誘起されたノイズ(ノイズ電流)が流れる。つまり、脆弱周波数のノイズが配線10に流れる。しかしながら、電子装置100においては、図7(a)に示すように、このノイズの大部分がノイズフィルタ200(キャパシタ構成部材30、フィルタ用外部配線31、フィルタ用ターミナル52、フィルタ用パターン63)、金属ケース20、ブラケット700を介してエンジンブロック800に伝播されることがわかった。すなわち、IC70には、ほとんどノイズが伝播しないことがわかった。なお、IC70に伝播した微量のノイズは、配線10、回路用ターミナル51、回路用パターン62を介して伝播されたものである。
一方、IC70から特徴周波数のノイズを輻射させた場合、図7(b)に示すように、このノイズの大部分が金属ケース20(金属ブロック21)、フィルタ用パターン63、フィルタ用ターミナル52、フィルタ用外部配線31、キャパシタ構成部材30に伝播される。そして、このノイズは、キャパシタ構成部材30から配線10、回路用ターミナル51、回路用パターン62に伝播されることがわかった。つまり、IC70から輻射された特徴周波数のノイズは、キャパシタ構成部材30を介して回路用ターミナル51に戻ることになる。
次に、図8に基づいて、部品試験(BCI試験)に関して説明する。ここでは、部品イミュニティ試験の国際規格である、ISO11452−4(BCI試験、バルクカレント注入試験)を行った。つまり、ISO11452−4規格に準拠したバルクカレント注入試験を行った。なお、注入する電流の周波数は1〜400MHzを使用した。
また、この試験では、図8(a)に示すように、上述の電子装置100をブラケット700を介して基準グランド810(エンジンブロック800に相当する)に取り付けた状態で行う。また、電子装置100の配線10は、バッテリ510に接続されている。なお、ここでは、効果確認のためだけに簡略化して、図8(b)に示すような等価回路を用いた等価回路試験を行った。
また、キャパシタ構成部材30は、Al製で直径30mm,長さ60mmのものを採用した。また、配線10の誘電体12は、PVC製で比誘電率3.0のものを採用した。そして、フィルタ用配線の長さは100mmとした。よって、キャパシタ構成部材30と配線10間の寄生容量(すなわちキャパシタ210のキャパシタンス)は200pFである。一方、フィルタ用配線のインダクタンスは100nHである。なお、このフィルタは、35.5MHz(脆弱周波数)でのノイズ抑制効果を期待するものである。つまり、狙いとする周波数が35.5MHzである。
そして、このような電子装置100に対して、ノイズ注入装置からノイズを注入する。なお、ノイズ注入装置(ノイズ源)は、信号発生器910、増幅器920、ノイズ注入用プローブ930などを備える。このノイズ注入装置にてノイズを注入する場合、信号発生器910によって発生させた信号(ノイズ電流)を増幅器920で増幅させる。そして、増幅させたノイズ電流をノイズ注入用プローブ930から配線10に注入する。
図8(b)に、この試験における電子装置100とノイズ注入装置の等価回路を示す。なお、図8(b)の等価回路中のノイズ源はノイズ注入装置に相当する。そして、図8(c)に、この試験の結果である、ノイズ電流量と周波数の関係を示すグラフを示す。
なお、図8(b)に示す等価回路においては、アクチュエータ510(又は、バッテリ、センサ、電子装置100とは異なるECUなど)や、アクチュエータ510とノイズ注入用プローブ930とを繋ぐ配線10は省略している。ここでは、効果確認のために、これらの特性は無視して、図8(b)に示すように等価回路化している。つまり、図8(b)に示す等価回路においては、アクチュエータ510や、アクチュエータ510とノイズ注入用プローブ930とを繋ぐ配線10は、ノイズ源に含まれるものとする。また、ノイズ源の大きさに大きく影響するため、解析後にノイズ源に特性を含めることができる。今回は(この試験では)定電流源で解析しており、ハーネス10、アクチュエータ510とノイズ注入用プローブ930の特性は無視して解析している。
なお、図8(b)に示す等価回路中の各符号は以下のものを示す。符号C2001はノイズフィルタ200の意図的に構成した寄生容量(200pF)を示す。つまり、ノイズフィルタ200のキャパシタ210に相当するものである。符号L2001はノイズフィルタ200の意図的に構成した寄生インダクタンス(100nH)を示す。つまり、ノイズフィルタ200のインダクタ220に相当するものである。符号R2001は金属線11の抵抗に回路基板60と金属ケース20間の接触抵抗を加えた抵抗(1Ω)を示す。
符号L101はフィルタ用ターミナル52のインダクタンス(100nH)を示す。符号L102は回路基板60と金属ケース20のインダクタンス(50nH)を示す。
符号C201は今回注目するIC70(今回着目する被害を受けるIC)と金属ケース20の結合(浮遊)容量(5pF)を示す。符号C202は今回注目しないIC(今回着目しない被害を受けないIC)と金属ケース20の結合(浮遊)容量(24.2pF)を示す。符号C203は回路基板60と金属ケース20間の浮遊容量(30pF)を示す。符号R201はフィルタ用ターミナル52から回路基板60及び金属ケース20までの接触抵抗の合成抵抗(5Ω)を示す。符号L201はフィルタ用ターミナル52から今回注目するIC70までのインダクタンス(10nH)を示す。符号L202はフィルタ用ターミナル52から今回注目しないIC(複数個)までのインダクタンス(10nH)を示す。
また、図8(b)に示す等価回路中のブラケット700に含まれるコンデンサC7001は、金属ケース20と基準グランド810(エンジンブロック800に相当)との間の浮遊容量を示すものである。また、符号L7001はブラケット700自体のインダクタンス(85nH)を示すものである。
この試験の結果、図8(c)のグラフからあきらかなように、狙いとする周波数35.5MHzにおいて、1桁以上のノイズ抑制効果を得ることができた。
さらに、ノイズフィルタ200のパラメータ(フィルタ特性、具体的にはキャパシタ210のキャパシタンス、及びインダクタ220のインダクタンス)を変更して同様の試験を行った。図9に、パラメータをかえて試験を行った際の結果である、ノイズ電流量と周波数の関係を示すグラフを示す。
図9のグラフ中の基準フィルタは、上述のノイズフィルタと同じキャパシタンス(200pF)とインダクタンス(100nH)であり、狙いとする周波数(抑制周波数、脆弱周波数)は35.5MHzである。
また、フィルタ1は、キャパシタ構成部材30の長さを短くして、寄生容量(キャパシタンス)を小さくしたものである。つまり、基準フィルタよりも狙いとする周波数(抑制周波数、脆弱周波数)を高くしたものである。このフィルタ1におけるキャパシタ構成部材30は、長さが15mmでキャパシタンスが50pFである。一方、フィルタ用配線は、長さが100mmでインダクタンスが100nHである。そして、狙いとする周波数(抑制周波数、脆弱周波数)は71MHzである。
また、フィルタ2は、フィルタ用配線の長さを長くして、インダクタンスを大きくしたものである。つまり、基準フィルタよりも狙いとする周波数(抑制周波数、脆弱周波数)を低くしたものである。このフィルタ2におけるキャパシタ構成部材30は、長さが60mmでキャパシタンスが200pFである。一方、フィルタ用配線は、長さが200mmでインダクタンスが200nHである。そして、狙いとする周波数(抑制周波数、脆弱周波数)は25MHzである。
この試験の結果、図9のグラフからあきらかなように、キャパシタ構成部材30の長さやフィルタ用配線の長さを変えることで、抑制したい狙いの周波数を変化させられることを確認できた。
次に、図10〜図13に基づいて、3次元電磁界シミュレーション(部品試験)に関して説明する。
ここでは、図10、図11(a),(b)に示すように、上述の電子装置100の3次元モデルを用いて、電子装置100に対してノイズ電流を注入するバルクカレント注入試験を行った。ノイズ注入口から配線10(キャパシタ構成部材30内に配置された配線10)に対してノイズを注入する(ノイズ電流を流す)。このノイズ電流は、図10の点線で示すように、キャパシタ構成部材30、フィルタ用配線(フィルタ用外部配線31など)、金属ケース20、ブラケット700、基準グランド810(エンジンブロック800に相当)を介してノイズ注入口に戻る。
この試験においては、図11(a),(b)に示すように、配線10に対して、一つのキャパシタ構成部材30を取り付けている。また、キャパシタ構成部材30に対して、一つのフィルタ用配線を取り付けている。よって、この図11(a),(b)に示す電子装置100は、単一フィルタの場合の3次元モデルである。
つまり、キャパシタ構成部材30は、接続部32にフィルタ用外部配線31が電気的及び機械的に接続されている。そして、このフィルタ用外部配線31に対して、フィルタ用ターミナル52が電気的及び機械的に接続されている。さらに、このフィルタ用ターミナル52に対して、フィルタ用パターン63が電気的及び機械的に接続されている。この3次元モデルで採用したノイズフィルタは、キャパシタンスが30pFで、インダクタンス85nHであり、狙いとする周波数が100MHzである。
なお、図11(a),(b)においては、図面を簡略化するために、フィルタ用ターミナル52とフィルタ用外部配線31とを一体的、すなわちフィルタ用ターミナル52とフィルタ用外部配線31とが一つの部材からなるように図示している。同様に、回路用ターミナル51と金属線11とを一体的、すなわち回路用ターミナル51と金属線11とが一つの部材からなるように図示している。
また、一つのIC70であっても、複数の周波数(脆弱周波数)のノイズに脆弱な場合や、複数の周波数(特徴周波数)のノイズを輻射する場合もある。そこで、一つのIC70に電気的に接続された配線10に対して複数のキャパシタ構成部材30を設けるようにしてもよい。また、この場合、フィルタ用配線は、キャパシタ構成部材30毎に設けられ、各キャパシタ構成部材30と金属ケース20とを電気的に接続する。つまり、電子装置100に設けられた一つのIC70に対して複数のノイズフィルタを設けるようにしてもよい。なお、ここでは、3次元電磁界シミュレーションにおける3次元モデルとして説明するが、このような構成は、実際に採用することも可能である。
そこで、図12に示すように、フィルタ特性が異なる複数(ここでは二つ)のノイズフィルタを設けた電子装置100の3次元モデルを用いて、電子装置100に対してノイズ電流を注入するバルクカレント注入試験を行った。
この試験においては、図12に示すように、配線10に対して、二つのキャパシタ構成部材30a,30bを取り付けている。つまり、キャパシタ構成部材は、配線10の上下にキャパシタ構成部材30aとキャパシタ構成部材30bとにわかれている。また、キャパシタ構成部材30a,30bの夫々に対して、一つのフィルタ用配線を取り付けている。よって、この図12に示す電子装置100は、複数フィルタの場合の3次元モデルである。
つまり、キャパシタ構成部材30aは、接続部32aにフィルタ用外部配線31aが電気的及び機械的に接続されている。そして、このフィルタ用外部配線31aに対して、フィルタ用ターミナル52aが電気的及び機械的に接続されている。さらに、このフィルタ用ターミナル52aに対して、フィルタ用パターン63が電気的及び機械的に接続されている。このキャパシタ構成部材30と配線10とで構成されるキャパシタ、及びフィルタ用外部配線31a、フィルタ用ターミナル52a、フィルタ用パターン63とで構成されるインダクタからなるノイズフィルタは、IC70における一つ目の狙いとする周波数(第一脆弱周波数)用のフィルタ(第一ノイズフィルタ)である。
同様に、キャパシタ構成部材30bは、接続部32bにフィルタ用外部配線31bが電気的及び機械的に接続されている。そして、このフィルタ用外部配線31bに対して、フィルタ用ターミナル52bが電気的及び機械的に接続されている。さらに、このフィルタ用ターミナル52bに対して、フィルタ用パターン63が電気的及び機械的に接続されている。このキャパシタ構成部材30と配線10とで構成されるキャパシタ、及びフィルタ用外部配線31b、フィルタ用ターミナル52b、フィルタ用パターン63とで構成されるインダクタからなるノイズフィルタは、IC70における二つ目の狙いとする周波数(第二脆弱周波数)用のフィルタ(第二ノイズフィルタ)である。
この3次元モデルで採用した第一ノイズフィルタは、キャパシタンスが18pFで、インダクタンス550nHであり、狙いとする周波数が50MHzである。一方、第二ノイズフィルタは、キャパシタンスが13pFで、インダクタンス85nHであり、狙いとする周波数が150MHzである。
なお、図12においても、図11(a),(b)と同様に、フィルタ用ターミナル52aとフィルタ用外部配線31aとを一体的、すなわちフィルタ用ターミナル52aとフィルタ用外部配線31aとが一つの部材からなるように図示している。また、フィルタ用ターミナル52bとフィルタ用外部配線31bとを一体的、すなわちフィルタ用ターミナル52bとフィルタ用外部配線31bとが一つの部材からなるように図示している。さらに、回路用ターミナル51と金属線11とを一体的、すなわち回路用ターミナル51と金属線11とが一つの部材からなるように図示している。
この試験の結果、図13のグラフからあきらかなように、単一フィルタのみならず、複数フィルタにおいても、狙いとする周波数でノイズ抑制効果を得ることができた。
なお、図12を用いて説明したように、フィルタ特性が異なる複数のノイズフィルタを設けることによって、複数の周波数(脆弱周波数)のノイズに脆弱なIC70であっても、配線10からIC70に対して、脆弱周波数のノイズが入力されることを抑制できる。さらに、複数の周波数(特徴周波数)のノイズを輻射するIC70であっても、IC70から輻射された特徴周波数のノイズが配線10から電子装置100外に出力されることを抑制できる。
次に、図14に基づいて、部品試験(ノイズ輻射試験、エミッション試験)に関して説明する。ここでは、国際無線障害特別委員会が作成した規格であるCISPR25(部品やモジュールからの伝導エミッション−電圧法)に準拠したエミッション試験を行った。つまり、電子装置100のIC70を動作させたときに、IC70から輻射されるノイズ電流を計測するシミュレーションを行った。
ここでのキャパシタ構成部材30は、Al製で直径30mm,長さ60mmのものを採用した。また、配線10の誘電体12は、PVC製で比誘電率3.0のものを採用した。そして、フィルタ用配線の長さは100mmとした。よって、キャパシタ構成部材30と配線10間の寄生容量(すなわちキャパシタ210のキャパシタンス)は200pFである。一方、フィルタ用配線のインダクタンスは100nHである。なお、この試験は、35.5MHz(脆弱周波数)でのノイズ抑制効果を期待するものである。つまり、狙いとする周波数が35.5MHzである。
図14(a)に、この試験における電子装置100と擬似電源回路網940との等価回路を示す。そして、擬似電源回路網940によって、上述のようなキャパシタ構成部材30などを備える電子装置100に対して電源を供給して、電子装置100を動作させる。なお、この図14(a)に示す等価回路では、GND配線に対してのみに簡略化して電圧法を解析している。
なお、図14(a)に示す等価回路は、上述の図8(b)に示す等価回路と同等な箇所が多い。よって、同等の箇所に関しては同じ符号を付与して説明を省略する。また、擬似電源回路網940においては、インダクタL9401として5μH、キャパシタC9401として0.1μF、キャパシタC9402として1μF、抵抗R9401として50Ωを採用している。なお、CISPR25第3版のP65、FigureE.2を参考にしたものである。
また、図14(a)に示す等価回路における電流源I5(70)は、IC70が金属ケース20に対して流す高周波電流(ノイズ)を示している。また、図14(a)に示す等価回路におけるL101とL9401との間にあるインダクタンス(1μH、[1m相当])は、擬似電源回路網940とノイズフィルタ200とを繋ぐ金属線11(ハーネス)のインダクタンスを示すものである。
この試験の結果(計算した結果)、図14(b)のグラフからあきらかなように、狙いとする周波数35.5MHzにおいて、1桁以上のノイズ抑制効果を得ることができた。
ここで、本発明におけるノイズフィルタ200、ノイズフィルタ200が搭載された電子装置100の主な作用効果に関して説明する。
上述のように、ノイズフィルタ(LCフィルタ)200のキャパシタ210は、金属ケース20の外部において配線10の誘電体12の表面に金属からなるキャパシタ構成部材30を取り付けることによって構成されている。このように構成されたキャパシタ210は、誘電体12の厚みやキャパシタ構成部材30の長さを変えることによってキャパシタンスを変えることができる。
一方、ノイズフィルタ(LCフィルタ)200のインダクタ220は、キャパシタ構成部材30と金属ケース20とを電気的に接続するフィルタ用配線によって構成されている。このように構成されたインダクタは、フィルタ用配線の長さや太さを変えることによってインダクタンスを変えることができる。
よって、ノイズフィルタ200は、誘電体12の厚みやキャパシタ構成部材30の長さを変えることでフィルタ特性を調整することができるとともに、フィルタ用配線の長さや太さを変えることでフィルタ特性を調整することができる。つまり、ノイズフィルタ200は、IC70における脆弱周波数や特徴周波数に応じて、キャパシタ構成部材30の長さや、フィルタ用配線の長さなどを調整(設定)することで、脆弱周波数や特徴周波数に対してインピーダンスを低くすることができる。よって、配線10からIC70に外来ノイズが入力されることを抑制できるとともに、IC70が輻射したノイズが配線10を介して電子装置100外に出力されることを抑制できる。
なお、この配線10、キャパシタ構成部材30、フィルタ用配線は、従来技術のように導電性遮蔽板の開口部に挿入する必要がない。つまり、ノイズフィルタ200は、従来技術のように導電性遮蔽板の開口部の大きさを変更したりすることなくフィルタ特性を調整することができる。よって、フィルタ特性の自由度を高いノイズフィルタとすることができる。
また、ノイズフィルタ200は、フィルタ特性の自由度が高いので、脆弱周波数や特徴周波数に対応するフィルタ特性を設定しやすい。よって、ノイズフィルタ200は、フィルタ特性を調整(設定)することで、様々な脆弱周波数や特徴周波数のノイズに対して効果を得ることができる。
また、ノイズフィルタ200のキャパシタ210は、配線10にキャパシタ構成部材30を取り付けるだけなので、特別な金属を用いる必要がない。つまり、従来技術に記載されたフィルタコネクタのように、フェライトを用いる必要がない。なお、フェライト板は、高周波の信号に対しては抵抗成分として機能するため、フィルタ特性がなまるという問題がある。これに対して、ノイズフィルタ200のキャパシタ210は、フェライトを用いる必要がないので、フィルタ特性がなまるという問題も生じにくい。
また、ノイズフィルタ200は、配線10に対してキャパシタ構成部材30を取り付けるとともに、このキャパシタ構成部材30を金属ケース20に電気的に接続するものであるため、電子装置100の製造段階で取り付ける必要がない。従って、ノイズフィルタ200は、電子装置100を被取付体(例えば車両など)に取り付けた後であっても、電子装置100に取り付けることができる。つまり、電子装置100の搭載環境に適したノイズフィルタ200を取り付けることができる。
また、本発明の電子装置100は、このようなノイズフィルタが搭載されたものである。よって、電子装置100は、フィルタ特性の自由度が高いノイズフィルタ付き電子装置とすることができる。従って、この電子装置100に設けられたIC70に対して配線10から脆弱周波数のノイズが入力されること、及びこのIC70から輻射された特徴周波数のノイズが配線10を介して電子装置100外に出力されることを抑制することができる。
なお、配線10とキャパシタ構成部材30とによってキャパシタ210を構成するとともに、フィルタ用配線(フィルタ用外部配線31、フィルタ用ターミナル52、フィルタ用パターン63)によってインダクタ220を構成することによって、電子装置100と外部機器との結合部付近にキャパシタ210とインダクタ220を設けることができる。
また、本実施形態においては、フィルタ用配線として、フィルタ用外部配線31、フィルタ用ターミナル52、フィルタ用パターン63を採用した。このようにすることによって、金属ケース20の内部表面(すなわち収納空間側の表面)にフィルタ用配線を電気的に接続することができるため、フィルタ用配線と金属ケース20とを電気的及び機械的に接続しやすくすることができる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、フィルタ用配線として、フィルタ用外部配線31のみを用いるものであっても採用することができる。つまり、キャパシタ構成部材30と金属ケース20(外部表面)とをフィルタ用外部配線31で電気的及び機械的に接続するものであっても、本発明の目的を達成することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。
(変形例1)
ここで、変形例1に関して説明する。ノイズフィルタ200のインダクタ220を構成するフィルタ用配線(例えばフィルタ用配線をフィルタ用外部配線31、フィルタ用ターミナル52、フィルタ用パターン63)の体格を変えにくい場合もありうる。つまり、インダクタ220のインダクタンスを低くしたい場合は、例えばフィルタ用配線を短くすれば良いが、出来ない場合もある。
このような場合は、図15に示す変形例1のように、一つのキャパシタ構成部材30に対して複数(ここでは二つ)のフィルタ用配線が電気的に接続するようにしてもよい。つまり、フィルタ用配線を並列に設けて、インダクタ220のインダクタンスを下げるようにしてもよい。
ここでは、キャパシタ構成部材30は、接続部32aにフィルタ用外部配線31aが電気的及び機械的に接続され、且つ、接続部32bにフィルタ用外部配線31bが電気的及び機械的に接続されている。なお、図15においては、図面を簡略化するために、フィルタ用配線のうちフィルタ用外部配線31a,31bのみを図示している。しかしながら、実際には、フィルタ用外部配線31a,31bの夫々は、フィルタ用ターミナル52、フィルタ用パターン63を介して金属ケース20に接続されている。また、変形例1においては、二つのフィルタ用外部配線と二つの接続部を有している例を採用しているため、便宜上、これらの部材に対して、上述の実施形態(3次元モデル)と同じ符号を付与している。
つまり、変形例1におけるノイズフィルタ200は、配線10と、キャパシタ構成部材30と、複数のフィルタ用配線(フィルタ用外部配線31a,31bなどを含む)によって構成されている。従って、変形例1における電子装置100は、このノイズフィルタ200を含んで構成されている。なお、上述の実施形態と変形例1とは、フィルタ用配線の本数が異なる点以外は同じである。
このようにすることによって、ノイズフィルタ200(LCフィルタ)におけるインダクタ220のインダクタンスを下げることができる。
(変形例2)
次に、変形例2に関して説明する。フィルタ用配線によって構成されるインダクタ220のインダクタンスで狙いとするフィルタ特性が得られる場合もあれば、狙いとするフィルタ特性が得られない場合もある。つまり、フィルタ用配線のインダクタンスを狙いとするフィルタ特性が得られるインダクタンスにできる場合もあれば、できない場合もある。
このような場合は、図16(a),(b)に示す変形例2のように、金属ケース20(具体的には金属ブロック21)によって、インダクタンスを調整するようにしてもよい。このように、金属ブロック(21a,21b)を設けることによって、金属ケース20を用いてインダクタンスを調整することもできる。つまり、フィルタ特性を調整することができる。
例えば、フィルタ用配線によって構成されるインダクタ220のインダクタンスで狙いとするフィルタ特性が得られた場合は、金属ケース20にはインダクタンスを持たせたくない。この場合、例えば図16(a)に示すように、金属ブロック21aの長さを短くしたり、太さを太くしたりする。つまり、狙いとするフィルタ特性が得られた場合の金属ブロックよりも、金属ブロック21aの長さを短くしたり、太さを太くしたりする。
逆に、フィルタ用配線によって構成されるインダクタ220のインダクタンスで狙いとするフィルタ特性が得られず、インダクタンスを大きくしたい場合は、金属ケース20にインダクタンスを持たせる。この場合、例えば図16(b)に示すように、金属ブロック21bの長さを長くしたり、太さを細くする。つまり、狙いとするフィルタ特性が得られなかった場合の金属ブロックよりも、金属ブロック21bの長さを長くしたり、太さを細くしたりする。
(変形例3)
次に、変形例3に関して説明する。電子装置100には、複数のIC70が設けられることもある。つまり、金属ケース20には、複数のIC70が収納されることもある。そして、各IC70によって脆弱周波数や特徴周波数が異なることもある。
このような場合、図17(a),(b)に示す変形例3のように、各IC(ここでは第1IC〜第3IC70)に電気的に接続された配線10毎(すなわち金属線11a,11b、金属線11c,11d、金属線11e,11f毎)にキャパシタ構成部材30c,キャパシタ構成部材30d,キャパシタ構成部材30eを設けるようにしてもよい。なお、ここでは、図17(a)に示すように、複数の配線10を束ねた配線束(金属線11a〜11fと、各金属線11a〜11fを被覆している誘電体12を含む)に対して、キャパシタ構成部材30c〜30eを設ける例を採用する。
さらに、この場合、フィルタ用配線は、キャパシタ構成部材30c,キャパシタ構成部材30d,キャパシタ構成部材30e毎に設けられ、各キャパシタ構成部材30c,キャパシタ構成部材30d,キャパシタ構成部材30eと金属ケース20とを電気的に接続する。
なお、図17(a)は、上述の実施形態における図3に相当する断面図である。また、図17(b)においては、配線10を簡略化して図示している。また、図17(a),(b)においては、第1IC〜第3IC、フィルタ用ターミナル(フィルタ用外部配線31c〜31e以外)、電子装置などは図示を省略している。
変形例3においては、電子装置100に脆弱周波数や特徴周波数が異なる第1〜第3IC70が設けられている例を採用する。また、金属線11a,11bは、第1IC70に電気的に接続されている。すなわち、金属線11a,11bは、第1IC専用の金属線である。金属線11c,11dは、第2IC70に電気的に接続されている。すなわち、金属線11c,11dは、第2IC専用の金属線である。金属線11e,11fは、第3IC70に電気的に接続されている。すなわち、金属線11e,11fは、第3IC専用の金属線である。
なお、キャパシタ構成部材30c〜30eは、上述の実施形態におけるキャパシタ構成部材30をスリット3sによって分割したものを採用することができる。また、各キャパシタ構成部材30c〜30e同士は、例えば絶縁性の接着剤で固定する。
また、キャパシタ構成部材30cは、第1IC70用のキャパシタ構成部材である。このキャパシタ構成部材30cは、図17(a)に示すように、誘電体12を挟んで金属線11a,11bと向かい合う位置に配置されている。つまり、キャパシタ構成部材30cと金属線11a,11bと誘電体12によって、第1IC用のノイズフィルタ200におけるキャパシタが構成されている。
また、図17(b)に示すように、キャパシタ構成部材30cは、接続部32cにフィルタ用外部配線31cが電気的及び機械的に接続されている。例えば、ツイストペアにする等。このフィルタ用外部配線31cは、第1IC用のフィルタ用配線の一部をなすものである。
つまり、フィルタ用外部配線31cは、例えば図18(a)に示すように、フィルタ用配線のその他の構成要素であるフィルタ用ターミナル52c、フィルタ用パターン63を介して金属ケース20に接続されている。従って、フィルタ用外部配線31c、フィルタ用ターミナル52c、フィルタ用パターン63を含むフィルタ用配線によって、第1IC用のノイズフィルタ200におけるインダクタが構成されている。なお、図18(a),(b)においては、図面を簡略化するために、ベース基板61の図示は省略している。
なお、フィルタ用外部配線31cは、直接金属ケース20に接続されていてもよい。つまり、フィルタ用外部配線31cで、第1IC用のノイズフィルタ200におけるインダクタを構成してもよい。
また、キャパシタ構成部材30dは、第2IC70用のキャパシタ構成部材である。このキャパシタ構成部材30dは、図17(a)に示すように、誘電体12を挟んで金属線11c,11dと向かい合う位置に配置されている。つまり、キャパシタ構成部材30dと金属線11c,11dと誘電体12によって、第2IC用のノイズフィルタ200におけるキャパシタが構成されている。
また、図17(b)に示すように、キャパシタ構成部材30dは、接続部32dにフィルタ用外部配線31dが電気的及び機械的に接続されている。例えば、ツイストペアにする等。このフィルタ用外部配線31dは、第2IC用のフィルタ用配線の一部をなすものである。よって、フィルタ用外部配線31dは、上述の実施形態と同様に、フィルタ用配線のその他の構成要素(フィルタ用ターミナル、フィルタ用パターン)を介して金属ケース20に接続されている。
つまり、フィルタ用外部配線31dは、例えば図18(a)に示すように、フィルタ用配線のその他の構成要素であるフィルタ用ターミナル52d、フィルタ用パターン63を介して金属ケース20に接続されている。従って、フィルタ用外部配線31d、フィルタ用ターミナル52d、フィルタ用パターン63を含むフィルタ用配線によって、第2IC用のノイズフィルタ200におけるインダクタが構成されている。
なお、フィルタ用外部配線31dは、直接金属ケース20に接続されていてもよい。つまり、フィルタ用外部配線31dで、第2IC用のノイズフィルタ200におけるインダクタを構成してもよい。
また、キャパシタ構成部材30eは、第3IC70用のキャパシタ構成部材である。このキャパシタ構成部材30eは、図17(a)に示すように、誘電体12を挟んで金属線11e,11fと向かい合う位置に配置されている。つまり、キャパシタ構成部材30eと金属線11e,11fと誘電体12によって、第3IC用のノイズフィルタ200におけるキャパシタが構成されている。
また、図示は省略するが、キャパシタ構成部材30eは、接続部にフィルタ用外部配線31eが電気的及び機械的に接続されている。例えば、ツイストペアにする等。このフィルタ用外部配線31eは、第3IC用のフィルタ用配線の一部をなすものである。よって、フィルタ用外部配線31eは、上述の実施形態と同様に、フィルタ用配線のその他の構成要素(フィルタ用ターミナル、フィルタ用パターン)を介して金属ケース20に接続されている。
つまり、フィルタ用外部配線31eは、例えば図18(a)に示すように、フィルタ用配線のその他の構成要素であるフィルタ用ターミナル52e、フィルタ用パターン63を介して金属ケース20に接続されている。従って、フィルタ用外部配線31e、フィルタ用ターミナル52e、フィルタ用パターン63を含むフィルタ用配線によって、第3IC用のノイズフィルタ200におけるインダクタが構成されている。
なお、フィルタ用外部配線31eは、直接金属ケース20に接続されていてもよい。つまり、フィルタ用外部配線31eで、第3IC用のノイズフィルタ200におけるインダクタを構成してもよい。
このように、各第1IC〜第3IC70の夫々に対応したキャパシタ構成部材30c〜30eを設けることによって、各第1IC〜第3IC70の夫々に対して、フィルタ特性が異なるノイズフィルタ200を構成することができる。よって、各第1IC〜第3IC70の脆弱周波数や特徴周波数に応じた、ノイズフィルタ200を構成することができる。
従って、脆弱周波数が異なる複数のIC(ここでは第1IC〜第3IC70)が一つの金属ケース20内に収納されていた場合であっても、図17(c)に示すように、配線10から各IC70に対して、脆弱周波数のノイズが入力されることを抑制できる。さらに、特徴周波数が異なる複数のIC70が一つの金属ケース20内に収納されていた場合であっても、各IC70から輻射された特徴周波数のノイズが配線10を介して電子装置100外に出力されることを抑制することができる。
なお、各キャパシタ構成部材30c〜eと配線10とで構成されるキャパシタのキャパシタンスは、上述の実施形態と同様に、各キャパシタ構成部材30c〜eの長さを変えて調整(変更)することができる。さらに、キャパシタ構成部材30c〜eの分離の仕方、すなわち、各キャパシタ構成部材30c〜30eと各配線10(各金属線11a,11b、金属線11c,11d、金属線11e,11f)との対向面積によって調整(変更)することもできる。例えば、第1IC70においては、キャパシタ構成部材30cと金属線11a,11bとの対向面積を狭くしたり、第3IC70においては、キャパシタ構成部材30eと金属線11e,11fとの対向面積を広くしたりすることで、調整(変更)することができる。
なお、配線10とキャパシタ構成部材30c〜30eとで構成されたキャパシタで各ノイズフィルタ200のフィルタ特性を決める場合は、フィルタ用配線は低インダクタンスにする必要がある。このような場合、例えば、図18(c)に示すように、フィルタ用コネクタ52c〜52eの近くでフィルタ用パターン63を介して金属ケース20(金属ブロック21)に電気的及び機械的に接続すると好ましい。つまり、フィルタ用パターン63のインダクタンスを低くすると好ましい。このようにすることによって、容易に各ノイズフィルタ200におけるインダクタのインダクタンスを低くすることができる。なお、このようにフィルタ用パターン63のインダクタンスを低くして、ノイズフィルタ200におけるインダクタのインダクタンスを低くする技術は、上述の実施形態や他の変形例でも適用することができる。
逆に、各ノイズフィルタ200におけるインダクタのインダクタンスを高くしたい場合は、フィルタ用パターン63の長さを長くすることによって行うことができる。つまり、フィルタ用パターン63のパターニングによって行うことができる。例えば、図18(b)に示すようすることで、フィルタ用パターン63によって各ノイズフィルタ200におけるインダクタのインダクタンスを高くすることができる。図18(b)に示す例の場合、フィルタ用パターン63として、第1IC用のフィルタ用パターン63c、第2IC用のフィルタ用パターン63d、第3IC用のフィルタ用パターン63e、インダクタンス調整用パターン64(以下、単にフィルタ用パターン64とも称する)を含む。
このフィルタ用パターン63cは、金属ブロック21に直接電気的及び機械的に接続されている。また、フィルタ用パターン63dは、フィルタ用パターン64を介してフィルタ用パターン63eに電気的及び機械的に接続されている。そして、フィルタ用パターン63eは、フィルタ用パターン64を介して金属ブロック21に電気的及び機械的に接続されている。このようにすることによって、容易に各ノイズフィルタ200におけるインダクタのインダクタンスを高くすることができる。
なお、ここでは、一例として、フィルタ特性が異なる三つのノイズフィルタ200を採用する例を説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。電子装置100に搭載された、脆弱周波数や特徴周波数が異なるIC70の個数に応じてノイズフィルタ200を設けることができる。換言すると、キャパシタ構成部材30の分割数(キャパシタ構成部材30の個数)は、三つに限定されるものではない。電子装置100に搭載された、脆弱周波数や特徴周波数が異なるIC70の個数に応じて、キャパシタ構成部材30の分割数(キャパシタ構成部材30の個数)を設けることができる。
例えば、図19(a)に示すように、キャパシタ構成部材30としてキャパシタ構成部材30f〜30qを設けるようにしてもよい。また、図19(b)に示すように、キャパシタ構成部材30としてキャパシタ構成部材30r〜30uを設けるようにしてもよい。なお、これらのキャパシタ構成部材30f〜30uは、上述のように夫々フィルタ用配線を介して金属ケース20に電気的に接続されている。
(変形例4)
次に、変形例4に関して説明する。変形例3においては、複数の配線10を束ねた配線束に対して、キャパシタ構成部材30c〜30eを設ける例に関して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
図20(a)に示す変形例4のように、電子装置100に設けられた脆弱周波数や特徴周波数が異なる各IC70に電気的に接続された配線10毎にキャパシタ構成部材30を設けるようにしてもよい。図20(a)において、配線10vは、第1IC70(図示省略)に電気的に接続された配線である。また、配線10wは、第2IC70(図示省略)に電気的に接続された配線である。そして、配線10xは、第3IC70(図示省略)に電気的に接続された配線である。なお、第1IC〜第3IC70は、夫々脆弱周波数や特徴周波数が異なるものである。
そして、配線10vには、キャパシタ構成部30vが取り付けられている。このキャパシタ構成部材30vは、接続部32vにフィルタ用配線の一部であるフィルタ用外部配線31vが電気的及び機械的に接続されている。
また、配線10wには、キャパシタ構成部30wが取り付けられている。このキャパシタ構成部材30wは、接続部32wにフィルタ用配線の一部であるフィルタ用外部配線31wが電気的及び機械的に接続されている。
そして、配線10xには、キャパシタ構成部30xが取り付けられている。このキャパシタ構成部材30xは、接続部32xにフィルタ用配線の一部であるフィルタ用外部配線31xが電気的及び機械的に接続されている。
このように、各IC70に電気的に接続された配線10v〜10x毎にキャパシタ構成部材30v〜30xを設けるようにしても、変形例3と同様の効果を奏することができる。
なお、電子装置100に複数の配線10が電気的に接続されているが、ノイズ対策が必要なIC70が一つである場合もある。このような場合は、図20(b)に示すように、ノイズ対策が必要なIC70に電気的に接続された配線10に対してキャパシタ構成部材30を取り付けて、このキャパシタ構成部材30をフィルタ用配線(フィルタ用外部配線31など)を介して金属ケース20に電気的に接続するようにしてもよい。このようにしても、上述の実施形態と同様の効果を奏することができる。
(変形例5)
ここで、変形例5に関して説明する。上述のように配線10(金属線11、誘電体12)とキャパシタ構成部材30によって構成されたキャパシタ210よりもキャパシタンスを小さくしたい場合もある。同様に、フィルタ用配線によって構成されたインダクタ220よりもインダクタンスを大きくしたい場合もある。
このような場合は、図21(a)に示す変形例5のように、キャパシタ210とインダクタ220とに直列に、チップ部品90を接続するようにしてもよい。具体的には、フィルタ用ターミナル52に電気的及び機械的に接続されるフィルタ用パターン63fと、このフィルタ用パターン63fとは分離して金属ケース20(金属ブロック21)に電気的及び機械的に接続されるフィルタ用パターン63gとを設ける。そして、フィルタ用パターン63f,63gとチップ部品90の電極を電気的及び機械的に接続することによって、チップ部品90を実装する。
なお、このフィルタ用パターン63f,63gの夫々にランドを設ける。そして、このランドとチップ部品90の電極を電気的及び機械的に接続することによって、チップ部品90を実装するようにしてもよい。また、図21においては、図面を簡略化するために、ベース基板61の図示は省略している。
例えば、キャパシタンスを小さくしたい場合は、キャパシタ210のキャパシタンスよりも、十分小さなキャパシタンスを有するチップ部品(ここではチップコンデンサ)90を実装する。つまり、ノイズフィルタ200のキャパシタンスを、キャパシタ210のキャパシタンスよりも小さくしたい場合は、チップ部品90で対応するようにしてもよい。この場合、図21(b)に示すように、キャパシタ210、インダクタ220、およびチップコンデンサ90の直列回路(等価回路)が構成される。
上述のように、チップコンデンサ90のキャパシタンスは、金属線11、誘電体12、キャパシタ構成部材30によって構成されるキャパシタ210のキャパシタンスよりも十分小さい。よって、キャパシタ210とインダクタ220とチップコンデンサ90とからなる直列回路では、全体としてのキャパシタンスをチップコンデンサ90のキャパシタシタンスとみなすことができる。
例えば、キャパシタ210のキャパシタンスが1000pFで、チップコンデンサ90のキャパシタンスが10pFの場合、図21(b)に示す直列回路のキャパシタンスは、10pFとみなすことができる。よって、キャパシタ210よりもキャパシタンスを小さくすることができる。つまり、このようにすることによって、共振周波数を変更することができ、狙いとする脆弱周波数又は特徴周波数を高くすることができる。なお、図21(b)に示す直列回路に、1000pFを部品として直列に実装すれば、この直列回路のキャパシタンスは500pFとみなすことができる。
一方、インダクタンスを大きくしたい場合は、インダクタ220のインダクタンスよりも、十分大きなインダクタンスを有するチップ部品(ここではチップインダクタ)90を実装する。つまり、ノイズフィルタ200のインダクタンスを、インダクタ220のインダクタンスよりも大きくしたい場合は、チップ部品90で対応するようにしてもよい。この場合、図21(c)に示すように、キャパシタ210、インダクタ220、およびチップインダクタ90の直列回路(等価回路)が構成される。
この場合、キャパシタ210とインダクタ220とチップインダクタ90とからなる直列回路では、全体としてのインダクタンスをインダクタ220のインダクタンスにチップインダクタ90のインダクタンスを加えたインダクタンスとすることができる。
例えば、インダクタ220のインダクタンスが100nHで、チップインダクタ90のインダクタンスが1000nHの場合、図21(c)に示す直列回路のインダクタンスは、1100nHとすることができる。よって、インダクタ220よりもインダクタンスを大きくすることができる。つまり、このようにすることによって、共振周波数を変更することができ、狙いとする脆弱周波数又は特徴周波数を低くすることができる。
なお、ここでは、チップ部品90として、チップコンデンサ及びチップインダクタを採用する例を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。チップ部品90として、チップ抵抗(例えば1〜5Ω程度)を採用することもできる。
上述のように、配線10とキャパシタ構成部材30とによって構成されたキャパシタ210、及びフィルタ用配線によって構成されたインダクタ220とでフィルタ200を構成している。チップ部品90としてチップ抵抗を採用するのは、このキャパシタ210とインダクタ220とによる反共振を抑えるためである。つまり、このようにチップ抵抗90を搭載することで所謂スナバ回路を構成し、反共振を抑えることができる。