JP5682162B2 - 電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電池製造方法に関する。詳しくは、電池素子を外装材により封止した電池の製造方法に関する。
従来、外装材としてラミネートフィルムなどを用いた電池パックは、軽量であると共にエネルギー密度が大きいため、広く使用されている。この電池パックは、正極、負極およびセパレータを含む電池素子を外装材に収容した後、外装材内に電解液を注液し、電池素子に電解液を注液、含浸させることにより作製される。
このような注液および含浸工程を有する電池パックの製造方法としては、例えば、以下に示すものが開示されている(特許文献1参照)。
まず、開口部側を所要形状および寸法よりも大きく設定した外装材に対して、電池素子を収容する。次に、電池素子を収容した外装材を、開口部側が上方となるようにして真空チャンバ内に配置する。次に、減圧下で外装材の開口部に電解液を注入した後、真空チャンバ内を常圧に戻す。これにより、外装材の開口部に注入された電解液が、電池素子より上方の空間部を一時留まり部として電池素子に注液、含浸される。次に、電池素子を収容した外装材を真空チャンバから取り出し、外装材の開口部側の電池素子に近接した領域を熱融着により封着し、封着した領域を残すようにして、外装材の開口部の余剰な部分を切断除去する。
特開2000−311661号公報
上述した特許文献1に開示された技術では、電池素子と、電解液とが混在した状態で真空引きが行われている。したがって、電解液の液量を確保するためには、電解液の沸点以下の減圧条件で脱気処理する必要があり、電池素子のガス抜きを効率よく行うことは困難である。
また、真空引きの際に、電池素子内の気泡が抜け、電池素子の上方に溜められた電解液の自由界面で気泡が膨張および崩壊し、電解液を飛散させてしまう。また、電池素子の材質の表面性状(電極活物質やセパレータ表面などの微細凹凸)によっては、電解液の沸騰が促進され、電解液の飛散量の更なる増加を招くこととなる。このように真空引きの際に電解液が飛散すると、電池素子に注液、含浸させる電解液量の減少を招くこととなる。
したがって、本発明の目的は、注液および含浸工程における電解液量の減少を抑制する共に、電池素子のガス抜きを効率よく行うことができる電池製造方法を提供することにある。
上述の課題を解決するために、第1の発明は、
外装材の素子収容部に対する電池素子の封止と、外装材の1または複数の液収容部に対する電解液の封止とを真空状態にて個別に行う工程と、
素子収容部と液収容部とを隔離する隔離部を開放し、液収容部から素子収容部に電解液を移し、電池素子に電解液を含浸させる工程と、
素子収容部と液収容部との間を封止する工程と
を備える電池の製造方法である。
第2の発明は、
外装材の素子収容部に対する電池素子の封止と、外装材の1または複数の液収容部に対する電解質用組成物の封止とを真空状態にて個別に行う工程と、
素子収容部と液収容部とを隔離する隔離部を開放し、液収容部から素子収容部に電解質用組成物を移し、電池素子に電解質用組成物を含浸させる工程と、
電池素子に含浸した電解質用組成物をゲル化する工程と、
含浸の工程後ゲル化の工程前、またはゲル化の工程後に、素子収容部と液収容部との間を封止する工程と
を備える電池の製造方法である。
第3の発明は、
電解液を含む電池素子と、
電解液を含む電池素子と、
電池素子を封止する外装材と
を備え、
電池素子は、外装材の素子収容部に対する電池素子の封止と、外装材の1または複数の液収容部に対する電解液の封止とを真空状態にて個別に行い、素子収容部と液収容部とを隔離する隔離部を開放し、液収容部から素子収容部に電解液を移し、電池素子に電解液を含浸させることより得られる電池である。
第4の発明は、
ゲル状の電解質を含む電池素子と、
電池素子を封止する外装材と
を備え、
電池素子は、外装材の素子収容部に対する電池素子の封止と、外装材の1または複数の液収容部に対する電解質用組成物の封止とを真空状態にて個別に行い、素子収容部と液収容部とを隔離する隔離部を開放し、液収容部から素子収容部に電解質用組成物を移し、電池素子に電解質用組成物を含浸させ、電池素子に含浸した電解質用組成物をゲル化することにより得られる電池である。
この発明では、素子収容部と液収容部とを個別に減圧環境下において封止するので、電解液または電解質用組成物の沸点に制約されずに素子収容部を封止することができる。したがって、電池素子のガス抜きを効率よく行うことができる。
また、液収容部と素子収容部との間の隔離部により隔離した状態で、電解液または電解質用組成物と電池素子との脱気を独立に行うことができる。したがって、電池素子から抜け出る気泡や、電池素子の表面形状に起因する電解液または電解質用組成物の飛散を回避することができる。すなわち、注液および含浸工程における電解液量または電解質用組成物量の減少を抑制することができる。
また、液収容部と素子収容部との間の隔離部を開放して、電解液または電解質用組成物を液収容部から素子収容部に移すことにより、素子収容部に収容された電池素子に対して電解液または電解質用組成物を含浸させることができる。したがって、一旦封止した素子収容部と液収容部とを外気に晒すことなく、電池素子に対する電解液または電解質用組成物の注液および含浸を行うことができる。
以上説明したように、本発明によれば、電池素子のガス抜きを効率よく行うことができる。したがって、放電容量などの電池特性を向上することができる。また、注液および含浸工程における電解液量または電解質用組成物量の減少を抑制することができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電池パックの概観の一例を示す斜視図である。 図2は、本発明の第1の実施形態に係る電池パックの構成の一例を示す分解斜視図である。 図3は、図2に示した電池素子のIII−III線に沿った断面図である。 図4A〜図4Eは、本発明の第1の実施形態に係る電池パックの製造方法の一例を示す工程図である。 図5A〜図5Eは、本発明の第1の実施形態に係る電池パックの製造方法の一例を示す工程図である。 図6A〜図6Dは、本発明の第2の実施形態に係る電池パックの製造方法の一例を示す工程図である。 図7A〜図7Eは、本発明の第2の実施形態に係る電池パックの製造方法の一例を示す工程図である。 図8A〜図8Cは、本発明の第3の実施形態に係る電池パックの製造方法の一例を示す工程図である。 図9A〜図9Cは、本発明の第3の実施形態に係る電池パックの製造方法の一例を示す工程図である。 図10A〜図10Dは、本発明の第3の実施形態に係る電池パックの製造方法の一例を示す工程図である。
本発明の実施形態について図面を参照しながら以下の順序で説明する。
1.第1の実施形態(素子収容部の一方のサイド側に液収容部を形成した例)
2.第2の実施形態(素子収容部の両サイド側に液収容部を形成した例)
3.第3の実施形態(素子収容部のボトム側に液収容部を形成した例)
<1.第1の実施形態>
[電池パックの構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電池パックの概観の一例を示す斜視図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る電池パックの構成の一例を示す分解斜視図である。この電池パックは、正極リード11および負極リード12が取り付けられた電池素子1をフィルム状の外装材2の内部に収容したものであり、小型化、軽量化および薄型化が可能となっている。本明細書では、電池素子1を外装材2により外装した外装電池を電池パックと称する。以下では、正極リード11および負極リード12が導出された電池素子1の端面側をトップ側、それとは反対側の端面側をボトム側と称する。また、トップ側とボトム側との両端部の間に位置する辺部の側をサイド側と称する。
正極リード11および負極リード12は、それぞれ、外装材2の内部から外部に向かい例えば同一方向に導出されている。正極リード11および負極リード12は、例えば、アルミニウム、銅、ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
外装材2は、例えば、柔軟性を有するフィルムからなる。外装材2は、例えば、熱融着樹脂層、金属層、表面保護層を順次積層した構成を有する。なお、熱融着樹脂層側の面が、電池素子1を収容する側の面となる。この熱融着樹脂層の材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)が挙げられる。金属層の材料としては、例えばアルミニウム(Al)が挙げられる。表面保護層の材料としては、例えばナイロン(Ny)が挙げられる。具体的には例えば、外装材2は、例えば、ナイロンフィルム、アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装材2は、例えば、ポリエチレンフィルム側と電池素子1とが対向するように配設され、各外縁部が融着または接着剤により互いに密着されている。外装材2と正極リード11および負極リード12との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム3が挿入されている。密着フィルム11は、正極リード11および負極リード12に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンまたは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
なお、外装材2は、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム、ポリプロピレンなどの高分子フィルムまたは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
図3は、図2に示した電池素子のIII−III線に沿った断面図である。電池素子1は、正極13と負極14とをセパレータ15および電解質層16を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ17により保護されている。以下、図3を参照しながら、電池素子1を構成する正極13、負極14、セパレータ15、および電解質層16について順次説明する。
(正極)
正極13は、例えば、正極集電体13Aの両面に正極活物質層13Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、正極集電体13Aの片面のみに正極活物質層13Bを設けるようにしてもよい。正極集電体13Aは、例えば、アルミニウム箔などの金属箔により構成されている。正極活物質層13Bは、例えば、正極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料の1種または2種以上を含んでおり、必要に応じてグラファイトなどの導電剤およびポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んで構成されている。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、リチウム酸化物、リチウムリン酸化物、リチウム硫化物あるいはリチウムを含む層間化合物などのリチウム含有化合物が適当であり、これらの2種以上を混合して用いてもよい。エネルギー密度を高くするには、リチウムと遷移金属元素と酸素(O)とを含むリチウム含有化合物が好ましく、中でも、遷移金属元素として、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)および鉄(Fe)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものであればより好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、例えば、式(1)、式(2)もしくは式(3)に示した層状岩塩型の構造を有するリチウム複合酸化物、式(4)に示したスピネル型の構造を有するリチウム複合酸化物、または式(5)に示したオリビン型の構造を有するリチウム複合リン酸塩などが挙げられ、具体的には、LiNi0.50Co0.20Mn0.302、LiaCoO2(a≒1)、LibNiO2(b≒1)、Lic1Nic2Co1-c22(c1≒1,0<c2<1)、LidMn24(d≒1)あるいはLieFePO4(e≒1)などがある。
LifMn(1-g-h)NigM1h(2-j)k ・・・(1)
(式中、M1は、コバルト(Co)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。f、g、h、jおよびkは、0.8≦f≦1.2、0<g<0.5、0≦h≦0.5、g+h<1、−0.1≦j≦0.2、0≦k≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、fの値は完全放電状態における値を表している。)
LimNi(1-n)M2n(2-p)q ・・・(2)
(式中、M2は、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。m、n、pおよびqは、0.8≦m≦1.2、0.005≦n≦0.5、−0.1≦p≦0.2、0≦q≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、mの値は完全放電状態における値を表している。)
LirCo(1-s)M3s(2-t)u ・・・(3)
(式中、M3は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。r、s、tおよびuは、0.8≦r≦1.2、0≦s<0.5、−0.1≦t≦0.2、0≦u≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、rの値は完全放電状態における値を表している。)
LivMn2-wM4wxy ・・・(4)
(式中、M4は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。v、w、xおよびyは、0.9≦v≦1.1、0≦w≦0.6、3.7≦x≦4.1、0≦y≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、vの値は完全放電状態における値を表している。)
LizM5PO4 ・・・(5)
(式中、M5は、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、タングステン(W)およびジルコニウム(Zr)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。zは、0.9≦z≦1.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、zの値は完全放電状態における値を表している。)
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、これらの他にも、MnO2、V25、V613、NiS、MoSなどのリチウムを含まない無機化合物も挙げられる。
(負極)
負極14は、例えば、負極集電体14Aの両面に負極活物質層14Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、負極集電体14Aの片面のみに負極活物質層14Bを設けるようにしてもよい。負極集電体14Aは、例えば、銅箔などの金属箔により構成されている。
負極活物質層14Bは、負極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んで構成されており、必要に応じて正極活物質層13Bと同様の結着剤を含んで構成されている。
なお、この二次電池である電池素子1では、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の電気化学当量が、正極13の電気化学当量よりも大きくなっており、充電の途中において負極14にリチウム金属が析出しないようになっている。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維あるいは活性炭などの炭素材料が挙げられる。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスあるいは石油コークスなどがある。有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいい、一部には難黒鉛化性炭素または易黒鉛化性炭素に分類されるものもある。また、高分子材料としてはポリアセチレンあるいはポリピロールなどがある。これら炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共に、良好なサイクル特性を得ることができるので好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができ好ましい。また、難黒鉛化性炭素は、優れた特性が得られるので好ましい。更にまた、充放電電位が低いもの、具体的には充放電電位がリチウム金属に近いものが、電池の高エネルギー密度化を容易に実現することができるので好ましい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、リチウムを吸蔵および放出することが可能であり、金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料も挙げられる。このような材料を用いれば、高いエネルギー密度を得ることができるからである。特に、炭素材料と共に用いるようにすれば、高エネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるのでより好ましい。この負極材料は金属元素あるいは半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、またこれらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、この発明において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
この負極材料を構成する金属元素あるいは半金属元素としては、例えば、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)が挙げられる。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
中でも、この負極材料としては、短周期型周期表における4B族の金属元素あるいは半金属元素を構成元素として含むものが好ましく、特に好ましいのはケイ素(Si)およびスズ(Sn)の少なくとも一方を構成元素として含むものである。ケイ素(Si)およびスズ(Sn)は、リチウム(Li)を吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。
スズ(Sn)の合金としては、例えば、スズ(Sn)以外の第2の構成元素として、ケイ素(Si)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。ケイ素(Si)の合金としては、例えば、ケイ素(Si)以外の第2の構成元素として、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
スズ(Sn)の化合物あるいはケイ素(Si)の化合物としては、例えば、酸素(O)あるいは炭素(C)を含むものが挙げられ、スズ(Sn)またはケイ素(Si)に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、更に、他の金属化合物あるいは高分子材料が挙げられる。他の金属化合物としては、MnO2、V25、V613などの酸化物、NiS、MoSなどの硫化物、あるいはLiN3などのリチウム窒化物が挙げられ、高分子材料としてはポリアセチレン、ポリアニリンあるいはポリピロールなどが挙げられる。
(セパレータ)
セパレータ15は、正極13と負極14とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータ15としてしは、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンまたはポリエチレンなどの合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミック製の多孔質膜を単層で、またはそれらを複数積層したもの用いることができる。特に、セパレータ15としては、ポリオレフィン製の多孔質膜が好ましい。ショート防止効果に優れ、かつシャットダウン効果による電池の安全性向上を図ることができるからである。また、セパレータ15としては、ポリオレフィンなどの微多孔膜上に、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの多孔性の樹脂層を形成したものを用いてもよい。
(電解質層)
電解質層16は、電解液と、この電解液を保持する保持体となる高分子化合物とを含み、いわゆるゲル状となっている。ゲル状の電解質層16は高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液を防止することができるので好ましい。電解液(すなわち溶媒および電解質塩など)の構成は、第1の実施形態に係る二次電池と同様である。高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレンまたはポリカーボネートが挙げられる。特に電気化学的な安定性の点からはポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレンあるいはポリエチレンオキサイドが好ましい。
[電池パックの製造方法]
以下、図4A〜図5Eを参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る電池パックの製造方法の一例について説明する。
(外装材準備工程)
まず、図4Aに示すように、矩形状を有する外装材2を準備する。この外装材2の中央部には、その全体を2分するように線状の折り返し部22が予め形成されている。また、外装材2は、第1の領域R1と、第1の領域R1の片側に隣接して設けられた第2の領域R2とを有する。第1の領域R1および第2の領域R2は、例えば、矩形状の形状を有している。第1の領域R1は、電池素子1を収容するための素子収容部31が形成される領域であり、第2の領域R2は、液状の電解質用組成物を収容するための液収容部32が形成される領域である。電解質用組成物は、ゲル状の電解質層16の前駆体である。これらの素子収容部31および液収容部32については後述する。
(収容空間成型工程)
次に、図4Aに示すように、例えば、第1の領域R1の熱融着樹脂層側となる面のうち、折り返し部22を境にした一方の部分にエンボス成型などを施し、電池素子1を収容するための収容空間21を形成する。
(素子収容および外装材折り返し工程)
次に、図4Bに示すように、収容空間21に電池素子1を収容し、外装材2を折り返し部22で折り返す。そして、外装材2の4つの辺部のうち、対向する2つの辺部同士を、正極リード11および負極リード12を挟むようにして電池素子1のトップ側で重ね合わせる。
(熱融着工程)
次に、図4Cに示すように、重ね合わせた辺部同士を熱融着し、熱融着部23を形成する。これにより、電池素子1のトップ側とボトム側が外装材2により封止されると共に、折り返された外装材2の両端部にそれぞれ開口部31a、開口部32aが形成される。
(隔離部形成工程)
次に、図4Dに示すように、第1の領域R1と第2の領域R2との間に隔離部24を形成する。これにより、開口部31aを有する素子収容部31と、開口部32aを有する液収容部32とが形成される。ここで、液収容部32は、ゲル状の電解質層16の前駆体である電解質用組成物を収容するための収容部である。隔離部24の形成方法としては、例えば、第1の領域R1と第2の領域R2と間にて、折り返された外装材2の対向面同士を低融点などで熱融着させる方法、第1の領域R1と第2の領域R2と間を挟持手段により挟持する方法、第1の領域R1と第2の領域R2と間で外装材2を折り曲げる方法などが挙げられ、これらの方法を2以上組み合わせるようにしてもよい。
(素子収容部の封止工程)
次に、例えば、外装材2に収容された電池素子1を真空チャンバ(図示せず)に搬送し、真空チャンバ内を減圧し、素子収容部31およびそれに収容された電池素子1を脱気する。その後、図4Eに示すように、高真空などの減圧環境下にて外装材2の素子収容部側の開口部31aを熱融着し、熱融着部23を形成する。これにより、素子収容部31が完全に封止されて、外部から空間的に隔離される。ここで、素子収容部31を脱気および封止する際の真空度は、極限までに低くすることが好ましい。電池素子1および素子収容部31の残存ガス量を低減し、放電容量などの電池特性を向上することができるからである。
(注液工程)
次に、例えば、溶媒と、電解質塩と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む液状の電解質用組成物25を用意する。次に、図5Aに示すように、真空チャンバ内において、開口部32aから液収容部32に電解質用組成物25を注液する。注液の方法としては、例えば、開口部32aが上方となるように電池素子1を保持し、開口部32aからノズルなどの注液手段を液収容部32に導入し、注液手段により電解質用組成物25を液収容部32に供給する方法が挙げられる。また、電解質用組成物25の注液環境は、大気圧雰囲気および真空雰囲気のいずれであってもよい。また、注液環境は大気圧雰囲気および真空雰囲気に限られず、注液を加圧環境下にて行うことも可能であり、例えば、注液ユニットと真空容器内とに差圧を持たせて、注液を行うことも可能である。
(液収容部の封止工程)
次に、真空チャンバ内を減圧し、液収容部32およびそれに収容された電解質用組成物25を脱気する。その後、図5Bに示すように、高真空などの減圧環境下にて外装材2の液収容部32側の開口部32aを熱融着し、熱融着部23を形成する。これにより、液収容部32が完全に封止されて、外部から空間的に隔離される。ここで、真空度は、電解液または電解質用組成物25の変質を招くことがない範囲で最も低く設定することが好ましい。具体的には真空度は、約0.1kPa以下であることが好ましい。ここで、約0.1kPaとは、0.1±0.05kPaの範囲内のことを示す。真空度は、蒸気圧の低い電解液または電解質用組成物25を使用することにより、より低い圧力での封止が可能となり、残存ガス量を低減することも可能である。
(隔離部開放および含浸工程)
次に、図5Cに示すように、隔離部24を開放し、素子収容部31と液収容部32とを空間的に接続した後、液収容部32から素子収容部31に電解質用組成物25を移し、電池素子1に電解質用組成物25を注液、含浸させる。隔離部24の開放の方法は、隔離部24の種類に応じて異なる。隔離部24が融着部である場合、その開放の方法としては、例えば、ローラなどの加圧手段により液収容部32を加圧し、液収容部32から素子収容部31の方向に液寄せして、電解質用組成物25の圧力により融着部を開裂させる方法、ヒートローラやフラットヒータなどの加圧加熱手段により液収容部32を加圧すると共に、その対向面同士を融着させ、液収容部32から素子収容部31の方向に液寄せし、電解質用組成物25の圧力により融着部を開裂させる方法、吸着パットなどの吸着手段により外装材2を引っ張って融着部を開裂させる方法が挙げられる。隔離部24が挟持部である場合、その開放の方法としては、例えば、挟持手段による外装材2の挟持を開放する方法が挙げられる。隔離部が折り曲げ部である場合、その開放の方法としては、例えば、外装材2の折り曲げ状態を開放する方法が挙げられる。次に、必要に応じて、ローラなどの加圧手段により液収容部32から素子収容部31への電解質用組成物25への移動、すなわち電池素子1に対する電解質用組成物25の含浸を促すようにしてもよい。
(ヒートプレス工程)
次に、電解質用組成物25が含浸された電池素子1をヒートプレス(加熱および加圧)することにより、電解質用組成物25に含まれるモノマーを重合させて高分子化合物とすることによりゲル状の電解質層16を形成すると共に、電池素子1を構成する正極13、負極14、およびセパレータ15を一体化させる。
(充電およびガス逃がし処理工程)
次に、必要に応じて、電池素子1に対して充電または充放電を行う。これによりガスが発生した場合には、発生したガスを液収容部32に逃がす。この際、ローラなどの加圧手段により素子収容部31を加圧して、素子収容部31から液収容部32への発生ガスの移動を促すようにしてもよい。特に、充電または充放電時のガス発生量が大きい大型の電池パックなどでは、このガス逃がし処理工程を備えることが好ましい。
(封止工程)
次に、図5Dに示すように、素子収容部31と液収容部32との間を熱融着し、熱融着部23を形成する。これにより、電池素子1が外装材2により完全に封止される。
(切断工程)
次に、図5Eに示すように、素子収容部31のサイド側に形成された熱融着部23を残すようにして、余分な電池収容部32を切断する。
以上により、目的とする電池パックが得られる。
なお、電池パックの製造方法は、上述の工程の順序に限定されるものではない。例えば、上述の例では、素子収容部31を封止後に液収容部32を封止しているが、これらの収容部の封止の順序は任意であり、液収容部32を封止後に素子収容部31を封止してもよい。また、上述の例では、ヒートプレス工程後に封止工程を行っているが、これらの工程の順序は任意であって、封止工程後にヒートプレス工程を行うようにしてもよい。
<変形例>
第1の実施形態では、電解質としてゲル状の電解質を用いる場合を例として説明したが、電解質として液状の電解質である電解液を用いるようにしてもよい。このような電解質を備える電池パックは、注液工程において電解質用組成物25に代えて電解液を液収容部32に注液することにより作製することができる。また、電解質として電解液を用いる場合には、ゲル状電解質層16の前駆体である電解質用組成物25を重合させるヒートプレス工程は省略可能である。
第1の実施形態によれば、熱融着可能な外装材2により電池素子1を封止する電池パックにおいて、素子収容部31と液収容部32とを隔離部24によって隔離し、両収容部を個別に高真空など減圧環境下において封止する。したがって、素子収容部31の真空度を極限まで減圧可能であり、従来のように電池素子と電解液とが両方存在する状態での真空引きに比べて電池パック内の残存ガス量を低減することができる。また、この残存ガスを低減した状態において隔壁部24を開放することで、電池素子1に対する注液、含浸を行うことができる。よって、放電容量などの電池特性を向上することができる。また、従来の製造設備に大幅な変更を招くことなく電池パックを製造できるので、安価で高品質な電池パックを提供できる。
また、初期充電時などに素子収容部31で発生したガスを、液収容部32に逃がした後、素子収容部31と液収容部32との間を封止し、切断する工程をさらに備えることが好ましい。これにより、膨張した電池パックを一定時間放置してその収縮を待ったり、電池パックを開封してガスを逃がした後に再封止を行う必要がなくなる。上記工程の採用は、充電または充放電時のガス発生による電池パックの膨れが顕著となる大型ポリマー電池や、電解液が含浸された電池素子1を外装材2により封止した電池パックなどにおいて特に有効である。
また、隔離部24により素子収容部31と液収容部32とをそれぞれ隔離した構造としているので、両収容部を個別に高真空封止できる。また、電解液または電解質用組成物25の突沸現象を抑制し、その液量を安定に確保できる。
従来の電解液の注液および含浸工程では、外装材に電池素子と電解液とが混在する状態において真空引きを行っていたために、電解液沸点以下に真空引きの圧力が制約され、ガス抜きを効率的に行うことが困難であった。これに対して、第1の実施形態の注液および含浸工程では、素子収容部31と液収容部32とを隔離部24により隔離することで、両収容部を個別に高真引きすることが可能であり、ガス抜きを効率的に行うことが可能である。このため、電池パック内の残存ガス量を極少化することが可能となる。
<2.第2の実施形態>
図6A〜図7Eは、本発明の第2の実施形態に係る電池パックの製造方法の一例について説明する工程図である。第2の実施形態において第1の実施形態と同一または対応する箇所には同一の符号を付す。第2の実施形態は、電子収容部31の両側に2つの液収容部32、33を形成し、これらの液収容部32、33から電解質用組成物25を電池収容部31に移動させ、電池素子1に対して電解質用組成物25を注液、含浸させる点において、第1の実施形態とは異なっている。
以下、図6A〜図7Eを参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る電池パックの製造方法の一例について説明する。
(外装材準備工程)
まず、図6Aに示すように、矩形状を有する外装材2を準備する。この外装材2の中央部には、その全体を2分するように線状の折り返し部22が予め形成されている。また、外装材2は、その中央部に設けられた1つの第1の領域R1と、この第1の領域R1の両側に隣接して設けられた2つの第2の領域R2とを有する。
(収容空間成型工程)
次に、図6Aに示すように、例えば、第1の領域R1の熱融着樹脂層側となる面のうち、折り返し部22を境にした一方の部分にエンボス成型などを施し、電池素子1を収容するための収容空間21を形成する。
(素子収容および外装材折り返し工程)
次に、図6Bに示すように、収容空間21に電池素子1を収容し、外装材2を折り返し部22で折り返し、外装材2の4つの辺部のうち、対向する2つの辺部同士を、正極リード11および負極リード12を挟むようにして電池素子1のトップ側で重ね合わせる。
(熱融着工程)
次に、図6Cに示すように、重ね合わせた辺部同士を熱融着し、熱融着部23を形成する。これにより、電池素子1のトップ側が外装材2により封止されると共に、折り返された外装材2の両端部にそれぞれ開口部32a、33aが形成される。
(隔離部形成工程)
次に、例えば、外装材2に収容された電池素子1を真空チャンバ(図示せず)に搬送し、真空チャンバ内を減圧し、素子収容部31を脱気する。次に、図6Dに示すように、高真空などの減圧環境下にて、第1の領域R1と、その両側に設けられた2つの第2の領域R2との間にそれぞれ隔離部24を形成する。これにより、素子収容部31が完全に封止されて、外部から空間的に隔離される。また、開口部32aを有する第1の液収容部32と、開口部33aを有する第2の液収容部33とが、素子収容部31の両側に形成される。
(注液工程)
次に、例えば、溶媒と、電解質塩と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む液状の電解質用組成物25を用意する。次に、図7Aに示すように、真空チャンバ内において、開口部32aから液収容部32に電解質用組成物25を注液すると共に、開口部33aから液収容部33に電解質用組成物25を注液する。具体的には例えば、外装材2をその中央部から長手方向に折り返して、開口部32a、33aが上方となるように、電池素子1を封止した外装材2を保持した後、開口部32a、33aに電解質用組成物25を注液する。ここで、液収容部32、33には異なる種類の電解質用組成部25が注液される。なお、液収容部32、33のうちの一方に電解質用組成物25を注液し、他方に電解液を注液するようにしてもよい。また、電解質としてゲル状の電解質に代えて電解液を用いる場合には、液収容部32、33には異なる種類の電解液が注液される。以下では、収容部32に収容された電解質用組成物25が、収容部33に収容された電解質用組成物25よりも沸点が低い、すなわち、より低い真空度で変質する場合を例として説明する。
(液収容部の封止工程)
次に、真空チャンバ内を減圧し、第1の真空度において液収容部32およびそれに収容された電解質用組成物25を脱気した後、液収容部32の開口部32aを熱融着し、熱融着部23を形成する。これにより、液収容部32が完全に封止されて、外部から空間的に隔離される。次に、真空チャンバ内をさらに減圧し、第2の真空度において液収容部33およびそれに収容された電解質用組成物25を脱気した後、液収容部33の開口部33aを熱融着し、熱融着部23を形成する。これにより、液収容部33が完全に封止されて、外部から空間的に隔離される。ここで、第1の真空度は、第2の真空度よりも低い値であり、収容部32に収容された電解質用組成物25の変質を招くことがない範囲で最も低く設定することが好ましい。第2の真空度は、収容部33に収容された電解質用組成物25の変質を招くことがない範囲で最も低く設定することが好ましい。
(隔離部開放および含浸工程)
次に、図7Cに示すように、電池素子1の両側に設けられた隔離部24を開放し、素子収容部31と液収容部32、33とを空間的に接続する。次に、液収容部32、33から素子収容部31に向かって電解質用組成物25を移し、電解質用組成物25を混合させると共に、電池素子1に注液、含浸させる。次に、必要に応じて、ローラなどの加圧手段により液収容部32、33から素子収容部31への電解質用組成物25への移動、すなわち電池素子1に対する電解質用組成物25の含浸を促す。なお、電池素子1の両側に設けられた隔離部24の開放は同時開放に限定されるものではなく、一方の隔離部24を開放した後に、他方の隔離部24を開放するようにしてもよい。
(ヒートプレス工程)
次に、電解質用組成物25が含浸された電池素子1をヒートプレス(加熱および加圧)することにより、電解質用組成物25をゲル化させると共に、電池素子1を構成する正極13、負極14、およびセパレータ15を一体化させる。
(封止工程)
次に、図7Dに示すように、素子収容部31と液収容部32、33との間を線状に熱融着し、熱融着部23を形成する。これにより、電池素子1が完全に封止されて、外部から空間的に隔離される。
(切断工程)
次に、図7Eに示すように、素子収容部31の両サイド側に形成された熱融着部23を残すようにして、余分な電池収容部32、33を切断する。
<変形例>
第1の実施形態において、液収容部32、33のうちの一方に電解質溶組成物25を注液し、真空封止した後、他方に電解質用組成物25を注液し、真空封止するようにしてもよい。例えば、以下のように液収容部32、33を順次真空封止する。まず、真空チャンバ内を減圧し、液収容部32に電解質用組成物25を注液する。次に、液収容部32およびそれに収容された電解質用組成物25を脱気した後、液収容部32の開口部32aを熱用着し、熱用着部23を形成する。次に、真空チャンバ内の減圧し、液収容部33に電解質用組成物25を注液する。次に、液収容部33およびそれに収容された電解質用組成物25を脱気した後、液収容部33の開口部33aを熱用着し、熱用着部23を形成する。
第2実施形態では、液収容部32、33にそれぞれ異なる種類の電解質用組成物25を供給し、液収容部32、33を個別に真空封止するので、電解質用組成物25の種類に応じた圧力で液収容部32、33を真空封止することができる。
<3.第3の実施形態>
図8A〜図10Dは、本発明の第3の実施形態に係る電池パックの製造方法の一例について説明する工程図である。第3の実施形態において第1の実施形態と同一または対応する箇所には同一の符号を付す。第3の実施形態は、電池素子1のボトム側に液収容部32を形成する点において、第1の実施形態とは異なっている。
以下、図8A〜図10Dを参照しながら、本発明の第3の実施形態に係る電池パックの製造方法の一例について説明する。
(外装材準備工程)
まず、図8Aに示すように、矩形状を有する外装材2を準備する。この外装材2の中央部には、その全体を2分するように線状の折り返し部22が予め形成されている。また、外装材2は、第1の領域R1と、この第1の領域R1の両側に隣接して設けられた第2の領域R2とを有する。
(収容空間成型工程)
次に、図8Aに示すように、例えば、第1の領域R1の熱融着樹脂層側となる面のうち、折り返し部22を境にした一方の部分にエンボス成型などを施し、電池素子1を収容するための収容空間21を形成する。
(素子収容および外装材折り返し工程)
次に、図8Bに示すように、収容空間21に電池素子1を収容し、外装材2を折り返し部22で折り返し、外装材2の4つの辺部のうち、対向する2つの辺部同士を電池素子1のサイド側で重ね合わせる。
(熱融着工程)
次に、図9Aに示すように、重ね合わせた辺部同士を熱融着し、熱融着部23を形成する。これにより、電池素子1の両サイド側が外装部材2により封止されると共に、折り返された外装材2の両端部にそれぞれ開口部31a、32aが形成される。
(隔離部形成工程)
次に、図9Aに示すように、第1の領域R1と第2の領域R2との間に隔離部24を形成する。これにより、開口部31aを有する素子収容部31と、開口部32aを有する液収容部32とが形成される。
(素子収容部の封止工程)
次に、例えば、外装材2に収容された電池素子1を真空チャンバ(図示せず)に搬送し、真空チャンバ内を減圧し、素子収容部31およびそれに収容された電池素子1を脱気する。その後、図9Bに示すように、高真空などの減圧環境下にて電池素子1のトップ側の開口部31aを封止する。これにより、素子収容部31が完全に封止されて、外部から空間的に隔離される。
(注液工程)
次に、例えば、溶媒と、電解質塩と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む液状の電解質用組成物25を用意する。次に、図9Cに示すように、例えば、真空チャンバ内において、開口部32aが上方となるようにして外装材1を保持し、開口部32aから液収容部32に電解質用組成物25を注液する。なお、電解質としては、ゲル状の電解質に代えて電解液を用いることも可能である。この場合、注液工程において、電解質用組成物25に代えて電解液を液収容部32に注液するようにすればよい。
(液収容部の封止工程)
次に、真空チャンバ内を減圧し、液収容部32およびそれに収容された電解質溶組成物25を脱気する。その後、図10Aに示すように、高真空などの減圧環境下にて外装材2の液収容部32側の開口部32aを熱融着し、熱融着部23を形成する。これにより、液収容部32が完全に封止されて、外部から空間的に隔離される。
(隔離部開放および含浸工程)
次に、図10Bに示すように、隔離部24を開放し、素子収容部31と液収容部32とを空間的に接続した後、液収容部32から素子収容部31に電解質用組成物25を移し、電池素子1に対して電解質用組成物25を注液、含浸させる。
(ヒートプレス工程)
次に、電解質用組成物25が含浸された電池素子1をヒートプレス(加熱および加圧)することにより、電解質用組成物25に含まれるモノマーを重合させて高分子化合物とすることによりゲル状の電解質層16を形成すると共に、電池素子1を構成する正極13、負極14、およびセパレータ15を一体化させる。
(放電およびガス逃がし処理工程)
次に、必要に応じて、電池素子1に対して充電または充放電を行う。これによりガスが発生した場合には、発生したガスを素子収容部31から液収容部32に逃がす。
(封止工程)
次に、図10Cに示すように、素子収容部31と液収容部32との間を熱融着し、電池素子1のボトム側に熱融着部23する。これにより、電池素子1が外装材2により完全に封止される。
(切断工程)
次に、図10Dに示すように、電池素子1のボトム側に形成された熱融着部23を残すようにして、余分な電池収容部32を切断する。
以上により、目的とする電池パックが得られる。
第3の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(正極作製工程)
コバルト酸リチウム(LiCoO2)95重量%と、鱗片状黒鉛2重量%と、粉状ポリフッ化ビニリデン3重量%とを均一に混合して正極合剤を調製し、これをN−メチルピロリドンに分散させて正極合剤スラリーとした。この正極合剤スラリーを、正極集電体となるAl箔の両面に均一に塗布し、100℃で24時間減圧乾燥することにより正極活物質層を形成した。
次に、これをロールプレス機で加圧成形することにより正極シートとし、当該正極シートを帯状に切り出して正極とし、活物質の不塗布部分に幅3mmのAlリボンの正極リードを溶接した。
(負極作製工程)
人造黒鉛95重量%と、粉状ポリフッ化ビニリデン5重量%とを均一に混合して負極合剤を調製し、N−メチルピロリドンに分散させて負極合剤スラリーとした。次に、この負極合剤スラリーを負極集電体となる銅箔の両面に均一に塗布し、120℃で24時間減圧乾燥することにより負極活物質層を形成した。
次に、これをロールプレス機で加圧成形することにより負極シートとし、当該負極シートを帯状に切り出して負極とし、物質の不塗布部分に幅3mmのNiリボンの負極リードを溶接した。
(巻回工程)
次に、帯状の正極と、帯状の負極とを、セパレータを介して積層し、長手方向に巻回することにより電池素子を作製した。
(外装材準備工程)
次に、外装材として、ナイロンフィルム、アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムを準備した。
(収容空間成型工程)
次に、このアルミラミネートフィルムのポリエチレンフィルム側の面をおよそ4つに等分割したうちの1つの領域に、エンボス成型を施し、収容空間としてのエンボス成型部を形成した。
(素子収容および外装材折り返し工程)
次に、エンボス成型部に電池素子を収容し、アルミラミネートフィルムを折り返し部により折り返して、アルミラミネートフィルムの対向する辺同士を、正極リードおよび負極リードを挟むようにして重ね合わせた。
(熱融着工程)
次に、重ね合わせた辺部同士を熱融着して、電池素子のトップ側に熱融着部を形成した。これにより、アルミラミネートフィルムの両端部にそれぞれ開口部が形成された。
(隔離部形成工程)
次に、折り返したアルミラミネートフィルムのほぼ中央部を、重ね合わせた辺部と直交する方向に向かって直線状に低融点で熱融着して熱融着部(隔離部)を形成した。これにより、一端に開口部を有する素子収容部と液収容部との2つの収容部がアルミラミネートフィルムに形成された。
(素子収容部の封止工程)
次に、アルミラミネートフィルムに収容された電池素子を真空チャンバに搬送し、真空チャンバ内を減圧し、素子収容部およびそれに収容された電池素子を脱気した。その後、高真空の減圧環境下にてアルミラミネートフィルムの素子収容部側の開口部を封止した。これにより、素子収容部が外部から空間的に隔離された。
(注液工程)
次に、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤とを含む液状の電解質用組成物を用意した。電解液としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートを50:50の質量比で混合し、0.7kmol/kgのLiPF6を溶解して調製したものを用いた。次に、真空チャンバ内において、液収容部側の開口が上方となるように、アルミラミネートフィルムを保持し、液収容部側の開口部から液収容部に電解質用組成物を注液した。
(液収容部の封止工程)
次に、真空チャンバ内を減圧し、液収容部およびそれに収容された電解質用組成物を脱気した。次に、高真空の減圧環境下にてアルミラミネートフィルムの液収容部側の開口部を封止した。これにより、液収容部が外部から空間的に隔離された。
(隔離部開放および含浸工程)
次に、ローラにより、液収容部を素子収容部の方向に向かって順次押圧し、液収容部内の電解質用組成物を素子収容部側に寄せた。これにより、素子収容部と液収容部との間に形成された熱融着部が開裂され、電池素子に対して電解質用組成物が注液および含浸された。
(ヒートプレス工程)
次に、電解質用組成物が含浸された電池素子をヒートプレスすることにより、電解質用組成物をゲル化させると共に、電池素子を構成する正極、負極、およびセパレータを一体化させた。
(封止工程)
次に、素子収容部と液収容部との間を熱融着し、熱融着部を形成した。これにより、電池素子がアルミラミネートフィルムにより完全に封止された。
(切断工程)
次に、電池素子のサイド側に形成された熱融着部を残すようにして、素子収容部と液収容部との間を切断した。
以上により、目的とする電池パックが得られた。
(比較例1)
まず、隔離部形成工程を省略する以外は、正極作製工程から素子収容部の封止工程までを実施例1と同様にして、一端に開口を有するアルミラミネートフィルムに収容された電池素子を得た。
次に、所要形状および寸法よりも大きく設定された開口部側が上方となるようにしてアルミラミネートフィルムを配置した。次に、減圧下でアルミラミネートフィルムの開口部に電解質用組成物を注入した後、真空チャンバ内を常圧に戻した。これにより、アルミラミネートフィルムの開口部に注入された電解質用組成物が、電池素子より上方の空間部を電解質用組成物の一時留まり部として電池素子に注入、含浸された。電解質用組成物としては、実施例1と同様のものを用いた。次に、電池素子を真空チャンバから取り出し、アルミラミネートフィルムの開口部側の電池素子に近接した領域を熱融着により封止し、封止した領域を残すようにして、アルミラミネートフィルムの開口部の余剰な部分を切断除去した。次に、ラミネートフィルムにより封止された電池素子をヒートプレスすることにより、電解質用組成物をゲル化させると共に、電池素子を構成する正極、負極、およびセパレータを一体化させた。
以上により、目的とする電池パックが得られた。
(残存ガス量の評価)
上述のようにして得られた実施例1、比較例1の電池パックの残存ガス量を以下のようにして評価した。その結果を表1に示す。
電池パック全体を流動パラフィンの中に入れ、その中でパッケージを開封し、その時出てくるガスを捕集して、その体積を測定し、それを電池パック内に残存しているガス量とした。
また、実施例1の残存ガス量に対する比較例1の残存ガス量の減少率を以下の式により求めた。その結果を表1に示した。
残量ガス量の割合=−[((比較例1の残存ガス量)/(実施例1の残存ガス量))×100]≒−80[%]
(放電容量の評価)
上述のようにして得られた実施例1、比較例1の電池パックの放電容量を以下のようにして評価した。その結果を表1に示す。
まず、1Cの定電流で電池電圧が4.2Vに達するまで定電流充電を行ったのち、4.2Vの定電圧で充電時間の合計が2.5時間となるまで定電圧充電を行った。次に、0.2Cの定電流で電池電圧が3.0Vに達するまで定電流放電を行い、放電容量を測定した。その結果を表1に示す。
また、比較例1の放電容量に対する実施例1の放電容量の増加率を以下の式により求めた。その結果を表1に示した。
放電容量の増加率=[((実施例1の放電容量)/(比較例1の放電容量))×100]−100]≒3[%]
(電池パックの厚みの評価)
上述のようにして得られた実施例1、比較例1の電池パックの厚みを以下のようにして評価した。
まず、充電前の電池パックの厚みを測定した。その結果を表1に示す。次に、1Cの定電流で電池電圧が4.2Vに達するまで定電流充電を行ったのち、4.2Vの定電圧で充電時間の合計が2.5時間となるまで定電圧充電を行った。次に、充電後の電池パックの厚みを測定した。その結果を表1に示す。
また、実施例1の電池パックの充電後の厚みd1と、比較例1の電池パックの充電後の厚みd2との差(d1−d2)を求めた。さらに、実施例1の電池パックの放電後の厚みd1と、比較例1の電池パックの放電後の厚みd2との差(d1−d2)を求めた。それらの結果を表1に示す。
(高温保存試験)
上述のようにして得られた電池パックの高温保存試験を以下のようにして行った。
まず、1Cの定電流で電池電圧が4.2Vに達するまで定電流充電を行ったのち、4.2Vの定電圧で充電時間の合計が2.5時間となるまで定電圧充電を行った。次に、高温保存試験前の電池パックの厚みを測定した。次に、電池パックを85℃の環境下に24時間保存する高温保存試験を行ったのち、高温保存試験後の電池パックの厚みを測定した。次に、以下の式により高温保存試験により電池パックの膨らみ量を求めた。その結果を表1に示す。
膨らみ量=(高温保存試験後の電池パックの厚み)−(高温保存試験前の電池パックの厚み)[mm]
また、実施例1の電池パックの高温保存試験後の膨らみ量D1と、比較例1の電池パックの高温保存試験後の膨らみ量D2との差(D1−D2)を求めた。その結果を表1に示す。
(液飛散量の評価)
実施例1、比較例1の電池パックの作製時の液飛散量を以下のようにして評価した。
まず、電池パックに注液する電解質用組成物の質量と、注液前の電池パックの質量とを測定した。次に、注液および含浸後の電池パックの質量を測定した。次に、以下の式より電解質用組成物の飛散量を求めた。その結果を表1に示す。
液飛散量=[[(電池パックに注液する電解質用組成物の質量)+(注液前の電池パックの質量)]−(注液および含浸後の電池パックの質量)][mg]
また、実施例1の液飛散量A1と、比較例1の液飛散量A2との差(A1−A2)を求めた。その結果を表1に示す。
Figure 0005682162
表1から以下のことがわかる。
実施例1では、比較例1に比して残存ガス量を大幅に低減できる。
実施例1では、比較例1に比して放電容量を向上できる。これは、素子収容部と液収容部とを個別に減圧下で封止することで、効率よく電池パック内のガス抜をできたためと推測される。
実施例1では、充放前または充電後の電池パックの厚みを比較例1に比して薄くできる。
実施例1では、比較例1に比して高温保存試験後の電池の膨らみ量を抑制できる。
実施例1では、比較例1に比して液飛散量を抑制できる。
(実施例2)
正極作製工程からヒートプレス工程までを実施例1と同様にして、アルミラミネートフィルムにより封止した電池素子を作製した。次に、1Cの定電流で電池電圧が4.2Vに達するまで定電流充電を行ったのち、4.2Vの定電圧で充電時間の合計が2.5時間となるまで定電圧充電を行った。次に、素子収容部を押圧することにより、上記の充電により発生したガスを素子収容部から液収容部に逃がし、素子収容部と液収容部との間を熱融着した。これにより、電池素子がアルミラミネートフィルムにより完全に封止された。次に、電池素子のサイド側に形成された熱融着部を残すようにして、素子収容部と液収容部との間を切断した。以上により、目的とする電池パックが得られた。
(実施例3)
ガスを素子収容部から液収容部に逃がす工程を省略する以外は実施例2と同様にして電池パックを得た。
(電池パックの厚み評価)
上述のようにして得られた実施例2、3の電池パックの厚みを測定した。その結果、ガスを素子収容部から液収容部に逃がしたのち電池素子を封止した実施例2では、上記の処理を行わずに電池素子を封止した実施例3に比して電池パックの厚み増加をさらに減少できていることがわかった。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた構成、方法、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、形状、材料および数値などを用いてもよい。
また、上述の実施形態の各構成は、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
また、上述の実施形態では、1枚の外装材を折り返して電池素子を封止する場合を例として説明したが、2枚の外装材をそれらの熱融着層側の面を重ねて、電池素子を封止するようにしてもよい。この場合、一方の外装材を硬質なものとし、他方の外装材の軟質なものとする構成を採用してもよい。
また、上述の実施形態において、第2の領域R2の熱融着樹脂層側となる面のうち、折り返し部を境にした一方の部分に、深絞りなどによりエンボス成型などを施し、電解質用組成物または電解液を収容するための収容空間を形成するようにしてもよい。この場合、収容空間に電解質用組成物または電解液などを収容することができるため、液収容部のスペース、すなわち第2の領域R2のスペースを小さくすることができる。
また、上述の実施形態において、素子収容部の深絞りエッジ部と液収容部の間をVの字状に折り曲げて、液収容部側に注液した後、素子収容部と液収容部との真空シール封止を同時に行うようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、素子収容部の周縁に1個または2個の液収容部を形成する場合を例として説明したが、液収容部の構成はこの例に限定されるものではなく、3個以上の液収容部を素子収容部の周縁に形成するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、リチウムイオン二次電池に対して本発明を適用した例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、外装材により電池素子を封止する構造を有する種々の二次電池および一次電池に対して適用可能である。
また、上述の実施形態では、複数の液収容部に電解質用組成物または電解液を封止する例について説明したが、複数の液収容部のうちの一部のものに電解質用組成物を封止し、残りのものに電解液を封止するようにしてもよい。この場合、素子収容部と複数の液収容部との間に設けられた隔離部を開放することで、素子収容部にて電解質組成物と電解液とを混合、含浸させることができる。
また、上述の実施形態では、電池素子として扁平型の電池素子を用いる場合を例として説明したが、電池素子の形状はこの例に限定されるものではなく、角形および円筒型などの従来公知の種々の形状の電池素子を用いることが可能である。
また、上述の実施形態では、扁平型の巻回型電池素子を用いる場合を例として説明したが、電池素子の形状はこの例に限定されるものではなく、長尺電極板をつづら折り状に折り畳んだ電池素子や、短冊状電極板を積層した電池素子などの従来公知の種々の形状の電池素子を用いることが可能である。
また、上述の実施形態では、素子収容部と液収容部とを個別に真空封止する場合を例として説明したが、電解液、電池素子をそれぞれ液収容部、素子収容部に収容した状態で、両収容部を同時に真空封止するようにしてもよい。但し、電解液によって素子収容部の真空度が制約されるため、素子収容部を極限まで減圧する場合には、素子収容部と液収容部とは個別に真空封止することが好ましい。また、素子収容部と液収容部との真空封止の順序も特に限定されるものではなく、液収容部を真空封止した後に素子収容部を真空封止するようにしてもよい。また、素子収容部の封止工程と液収容部の封止工程との間で大気開放せずに、両工程を真空状態にて連続的に行うようにしてもよい。
1 電池素子
2 外装材
3 密着フィルム
11 正極リード
12 負極リード
13 正極
14 負極
13A 正極集電体
13B 正極活物質層
14A 負極集電体
14B 負極活物質層
15 セパレータ
16 電解質層
17 保護テープ
21 収容空間
22 折り返し部
23 熱融着部
24 隔離部
25 電解質用組成物
31 素子収容部
32、33 液収容部

Claims (10)

  1. 外装材の素子収容部に対する電池素子の封止と、上記外装材の1または複数の液収容部に対する電解液の封止とを真空状態にて個別に行う工程と、
    上記素子収容部と液収容部とを隔離する隔離部を開放し、上記液収容部から上記素子収容部に上記電解液を移し、上記電池素子に上記電解液を含浸させる工程と、
    上記素子収容部と上記液収容部との間を封止する工程と
    を備える電池の製造方法。
  2. 外装材の素子収容部に対する電池素子の封止と、上記外装材の1または複数の液収容部に対する電解質用組成物の封止とを真空状態にて個別に行う工程と、
    上記素子収容部と液収容部とを隔離する隔離部を開放し、上記液収容部から上記素子収容部に上記電解質用組成物を移し、上記電池素子に上記電解質用組成物を含浸させる工程と、
    上記電池素子に含浸した電解質用組成物をゲル化する工程と、
    上記含浸の工程後上記ゲル化の工程前、または上記ゲル化の工程後に、上記素子収容部と上記液収容部との間を封止する工程と
    を備える電池の製造方法。
  3. 上記隔離部は、上記素子収容部と上記液収容部との間を融着した融着部である請求項1または2記載の電池の製造方法。
  4. 上記隔離部は、上記素子収容部と上記液収容部との間を挟持した挟持部である請求項1または2記載の電池の製造方法。
  5. 上記封止の工程後に、上記素子収容部と上記液収容部との間を切断する工程をさらに備える請求項1から4のいずれかに記載の電池の製造方法。
  6. 上記含浸の工程後に、
    上記電池素子を充電または充放電させる工程と、
    上記充電または充放電により発生したガスを上記液収容部に移す工程と
    をさらに備える請求項1記載の電池の製造方法。
  7. 上記ゲル化の工程後に、
    上記電池素子を充電または充放電させる工程と、
    上記充電または充放電により発生したガスを上記液収容部に移す工程と
    をさらに備える請求項2記載の電池の製造方法。
  8. 上記封止の工程では、上記外装材の複数の液収容部にそれぞれ異なる種類の電解液を真空状態にて封止し、
    上記含浸の工程では、上記素子収容部と上記複数の液収容部との間の隔離部を開放し、上記複数の液収容部から上記素子収容部に上記異なる種類の電解液を移し、混合する請求項1記載の電池の製造方法。
  9. 上記封止の工程では、上記外装材の複数の液収容部にそれぞれ異なる種類の電解質組成物を真空状態にて封止し、
    上記含浸の工程では、上記素子収容部と上記複数の電解液収容部との間の隔離部を開放し、上記複数の液収容部から上記素子収容部に上記異なる種類の電解質組成物を移し、混合する請求項2記載の電池の製造方法。
  10. 上記外装材に上記隔離部を形成することにより、上記素子収容部と、上記1または複数の液収容部を形成する工程をさらに備える請求項1から9のいずれかに記載の電池の製造方法。
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