JP5682148B2 - 電流検出回路およびそれを有するインバータ回路が備えられる半導体装置 - Google Patents

電流検出回路およびそれを有するインバータ回路が備えられる半導体装置 Download PDF

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本発明は、半導体スイッチング素子からなるパワー素子に対してフリーホイールダイオード(以下、FWDという)が備えられた素子の電流検出回路およびそれを有するインバータ回路が備えられる半導体装置に関するものである。
従来、インバータのドライブ用パワー素子としてIGBTやMOSFETが用いられている。このドライブ用パワー素子の駆動に用いられるゲート駆動用回路には、保護機能として電流検出、温度検出、電源電圧低下検出という機能が搭載されている。そして、これらの保護機能のうちの電流検出は、一般的にはパワー素子に過電流が流れていることを検出する機能を意味しており、センス素子を用いた検出方式(例えば、特許文献1参照)、シャント抵抗による検出方式などがある。
また、近年、ホール素子のように電流の大きさや向きを検出できるような電流検出素子を無くして、モータ駆動用3相交流電流の電流向きを高速かつ高精度に検出し、各相の電流を正弦波に近い電流波形に制御するというセンサレス簡易正弦波制御が注目されている(例えば、特許文献2、3参照)。このような制御を行うことで、ホール素子のように別途配置しなければならない電流検出素子を備えなくても、低騒音のモータ動作を実現できることから、装置の簡素化や装置製造の際の工程簡略化を図れ、低コスト化が可能となる。
特開2009−268054号公報 特許第4140384号公報 特許第4396762号公報
しかしながら、従来の電流検出方式では、モータ駆動電流の電流値を検出することはできるものの、電流の流れる向きを検出することができない。具体的には、特許文献1に示されるような従来の電流検出方式やシャント抵抗による検出方式では、IGBTとFWDに流れる電流を合計した電流値を検出しているため、電流の流れる向きまでは検出できない。このため、センサレス簡易正弦波制御を実現できるように、電流値だけでなく電流の流れる向きまで検出できるようにすることが望まれる。
本発明は上記点に鑑みて、電流値だけでなく電流の流れる向きまで検出できる電流検出回路およびそれを有するインバータ回路が備えられる半導体装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、パワー素子(11b、11d、11f)に流れる電流と比例する電流を流す第1センス素子(11bs、11ds、11fs)と、第1センス素子(11bs、11ds、11fs)に対して直列接続された第1電流検出抵抗(18a、18c、18e)と、FWD(12b、12d、12f)に流れる電流と比例する電流を流す第2センス素子(12bs、12ds、12fs)と、第2センス素子(12bs、12ds、12fs)に対して直列接続された第2電流検出抵抗(18b、18d、18f)とを有していることを特徴としている。
このように、パワー素子(11b、11d、11f)に対して第1センス素子(11bs、11ds、11fs)を備えると共に第1電流検出抵抗(18a、18c、18e)を備え、FWD(12b、12d、12f)に対して第2センス素子(12bs、12ds、12fs)を備えると共に第2電流検出抵抗(18b、18d、18f)を備えるようにしている。このため、各センス素子(11bs、11ds、11fs、12bs、12ds、12fs)および第1、第2電流検出抵抗(18a〜18f)に基づいて、各相の電流経路に流れる電流の電流値の絶対値および向きを検出することが可能となる。
具体的には、請求項1に記載の発明では、第1センス素子(11bs、11ds、11fs)と第1電流検出抵抗(18a、18c、18e)の間の電位を第1電位とし、第2センス素子(12bs、12ds、12fs)と第2電流検出抵抗(18b、18d、18f)の間の電位を第2電位として、第1電位と第2電位とに基づいて、電流経路に流れる電流の電流値の絶対値および向きを検出している
より詳しくは、請求項1に記載の発明では、第1電位がプラスで第2電位がゼロのときには、第1電位に基づいて電流経路に流れている電流の電流値の絶対値を検出すると共に、パワー素子(11b、11d、11f)がオンされていて電流経路に対して順方向に電流が流れていることを検出し、第1電位がゼロで第2電位がマイナスのときには、第2電位に基づいて電流経路に流れている電流の電流値の絶対値を検出すると共に、パワー素子(11b、11d、11f)がオフされて電流経路に対して逆方向に電流が流れていることを検出している
このような電流検出回路は、請求項1に記載したように、インバータ回路(1)が備えられる半導体装置に対して適用されると好ましい。例えば、パワー素子(11a〜11f)およびFWD(12a〜12f)を有する上アーム(10a、10c、10e)および下アーム(10b、10d、10f)を複数相備えており、各相の上アーム(10a、10c、10e)と下アーム(10b、10d、10f)と備えられるパワー素子(11a〜11f)のオンオフを制御することにより、負荷(3)に対して交流電流を供給して負荷(3)を駆動するインバータ回路(1)が備えられる半導体装置において、複数相それぞれの上アーム(10a、10c、10e)と下アーム(10b、10d、10f)のいずれか一方のパワー素子(11b、11d、11f)およびFWD(12b、12d、12f)に対してのみ、第1センス素子(11bs、11ds、11fs)、第1電流検出抵抗(18a、18c、18e)、第2センス素子(12bs、12ds、12fs)および第2電流検出抵抗(18b、18d、18f)を備えることができる。
この場合、請求項2に記載したように、複数相それぞれの下アーム(10b、10d、10f)のパワー素子(11b、11d、11f)およびFWD(12b、12d、12f)に対してのみ、第1センス素子(11bs、11ds、11fs)、第1電流検出抵抗(18a、18c、18e)、第2センス素子(12bs、12ds、12fs)および第2電流検出抵抗(18b、18d、18f)を備えるようにすると好ましい。
すなわち、上アーム(10a、10c、10e)の場合、高電圧を基準として作動させられることから、電流検出についても高電圧を基準として行うことになり、電流検出のための基準GNDを設定する必要がある。このため、低電圧を基準として作動させられる下アーム(10b、10d、10f)に対して第1、第2センス素子(11bs、11ds、11fs、12bs、12ds、12fs)および第1、第2電流検出抵抗(18a〜18f)を備えるようにする形態とする方が、回路構成を簡素化できて好ましい。
そして、このような電流検出回路を有するインバータ回路が備えられる半導体装置が、請求項3に記載したようにインバータ回路を構成する各素子が同一の半導体基板(31)に対して形成されることで1チップとされた構造とされているとさらに好ましい。
このように、インバータ回路(1)を構成する各素子を1チップ化し、同じ基板に形成するようにすれば、インバータ回路(1)を構成する半導体装置の小型化が図れると共に、配線長を短くできることにより配線による寄生成分(寄生インダクタや寄生抵抗等)が少なくなるようにできる。これにより、高精度の電流検出を行うことが可能となる。
請求項1、4に記載の発明では、出力トランジスタ(220)をオンオフ制御することによって基準電圧生成回路(21)に充電される電圧を制御し、主電源(4)の電圧を降圧した電圧であって、パワー素子(11a〜11f)のオンオフを制御する制御回路部(6)の電源電圧となる所定電圧(Vcc)を形成するコンバータ電源回路部(8)と、電流検出回路で検出される負荷(3)への電流に基づいて、電流の位相として、第1の判定タイミングのときに電流の極性を判定する電流極性判定部(140)と、電流検出回路で検出される負荷(3)への電流に基づいて、パワー素子(11a〜11f)のオンオフに伴って検出可能になる誘起電圧の位相として、第2の判定タイミングのときに電流の変化の極性を判定する誘起電圧極性判定部(150)とを有し、電流極性判定部(140)および誘起電圧極性判定部(150)の判定結果に基づいて、電流の位相と誘起電圧の位相が一致するように、複数相それぞれの上アーム(10a、10c、10e)と下アーム(10b、10d、10f)に備えられるパワー素子(11a〜11f)のオンオフを制御しており、さらに、第1、第2の判定タイミングの際に、出力トランジスタ(220)のスイッチングを停止させるスイッチング停止手段(235)とを備えていることを特徴としている。
このように、電流極性や誘起電圧極性を判定し、負荷(3)への電流の位相と誘起電圧の位相が一致するように各相のパワー素子(11a〜11f)のオンオフを制御することにより、負荷(3)に供給される電力が最大となるようにしている。そして、このような電流極性や誘起電圧極性の判定を行うに際し、これらの判定タイミングと出力トランジスタ(220)のスイッチングタイミングとが一致しないように、電流極性や誘起電圧極性の判定タイミングには出力トランジスタ(220)のスイッチングを停止させるようにしている。したがって、電流極性や誘起電圧極性の判定タイミングと出力トランジスタ(220)のスイッチングタイミングとが一致することで電流極性や誘起電圧極性の判定が正確に行えなくなることを防止でき、正確な判定を行うことが可能となる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
本発明の第1実施形態にかかるインバータ回路1の模式図である。 インバータ回路の基本構成を集積化した半導体装置2の上面レイアウト図である。 図2のA−A’断面図である。 図2のB−B’断面図である。 下アーム10b(10d、10f)の詳細な回路構成 電流値および向きの検出イメージを表した模式図である。 誘起電圧とモータ電流の位相が一致している場合とずれている場合の電力波形を示した図である。 任意の一相分のモータ電流、dI/dtおよび誘起電圧の波形図である。 モータ駆動電流やその変化の検出タイミングを説明するためのタイミングチャートである。 モータ電流の検出やその変化の検出を実現する位相検出回路100のブロック構成を示した図である。 参照電圧波形を示した図である。 コンバータ電源回路部8の詳細を示した回路図である。 コンバータ電源回路部8の各部の動作を表したタイミングチャートである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明する。
(第1実施形態)
本実施形態では、電流検出機能を有するインバータ回路を例に挙げて説明する。図1は、本実施形態にかかるインバータ回路1の模式図である。図2は、本実施形態にかかるインバータ回路1の基本構成を集積化した半導体装置2の上面レイアウト図である。また、図3−aは、図2のA−A’断面図、図3−bは、図2のB−B’断面図である。以下、これらの図を参照して、本実施形態のインバータ回路1の構成について説明する。
図1に示すインバータ回路1は、三相モータ3を駆動するためのものであり、半導体装置2は、インバータ回路1の基本構成を集積回路として1チップ化したインバータドライバICを構成するものである。
図1に示すように、インバータ回路1は、バッテリなどの主電源4から印加される高電圧(例えば288V)に基づいて三相モータ3を駆動する。三相モータ3の駆動の制御は制御マイコン5によって行われており、制御マイコン5がモータ駆動時に三相モータ3に対して各相に順番に入れ替えながら交流電流が供給されるように制御することで三相モータ3を駆動する。
半導体装置2は、直列接続した上下アーム10a〜10fが三相分並列接続たインバータ出力回路10と、三相分の上下アーム10a〜10f、つまり6個分のアーム10a〜10fを制御する制御回路部6、およびブートストラップ回路7のうちの一部が備えられた構成とされている。なお、図1中では制御マイコン5やブー7ストラップ回路7の残り等については半導体装置2に対する外付け部品として示してあるが、これらについても半導体装置2内に1チップ化した構造としても構わない。
図2に示すように、三相分の上アーム10a、10c、10eと三相分の下アーム10b、10d、10fは、紙面左右方向において交互にレイアウトされ、本実施形態では図2の紙面左から順に上アーム10a、下アーム10b、上アーム10c、下アーム10d、上アーム10e、下アーム10fの順に交互に配置されている。そして、これら各上下アーム10a〜10fに対応して制御回路部6を構成する各種回路やブートストラップ回路7のうちの一部が備えられ、高電圧側(high側)となる上アーム10a、10c、10eが制御回路6を構成する各種回路と共にトレンチ分離構造31dによって囲まれることで絶縁分離されている。これにより、高電圧による影響が低電圧側(low側)である下アーム10b、10d、10fやそれと対応する制御回路部6を構成する各種回路に及ばないようにしてある。
各アーム10a〜10fには、図1に示すように、IGBT11a〜11fおよびFWD12a〜12fが備えられている。そして、各IGBT11a〜11fのゲート電圧が制御回路部6によって制御されることで、上アーム10a、10c、10eと下アーム10b、10d、10fとの中間電位を三相モータ3のU相、V相、W相の各相に順番に入れ替えながら印加し、三相モータ3を駆動する。
本実施形態では、図3−a、bに示したように、SOI基板31を用いて各IGBT11a〜11fやFWD12a〜12fおよび制御回路部6等を形成している。SOI基板31は、シリコンなどによって構成された支持基板31a上に、埋込酸化膜(ボックス)31bを介してシリコンからなる活性層31cを形成することにより構成されている。そして、活性層31cに対してトレンチ分離構造31dが構成されることで、IGBT形成領域やFWD形成領域などに素子分離され、各IGBT11a〜11fやFWD12a〜12fおよび制御回路部6等を含むインバータ回路1の基本構成が1チップ化されている。
活性層31cは、n-型層にて構成されており、IGBT形成領域ではn-型ドリフト層32として機能する。このn-型ドリフト層32の表層部に、IGBT11a〜11fを構成する各部が形成されている。また、活性層31cはFWD形成領域ではn-型カソード層50として機能し、このn-型カソード層50内にFWD12a〜12fを構成する各部が形成されている。
図3−aに示すIGBT形成領域では、n-型ドリフト層32の表面にLOCOS酸化膜33が形成されており、LOCOS酸化膜33によってIGBT11a〜11fを構成する各部が分離されている。
-型ドリフト層32の表層部のうちLOCOS酸化膜33が形成されていない部分に、p+型コレクタ領域34が形成されている。このp+型コレクタ領域34の周囲はn-型ドリフト層32よりも高不純物濃度とされたn型バッファ層35にて囲まれている。また、n-型ドリフト層32の表層部のうち、LOCOS酸化膜33が形成されていない部分に、p+型コレクタ領域34の中心としてチャネルpウェル層36、n+型エミッタ領域37、p+型コンタクト層38およびp型ボディ層39が形成されている。
チャネルpウェル層36は、表面にチャネル領域を形成するための部分であり、p+型コレクタ領域34(および後述するコレクタ電極42)を中心とし、これらの周囲を1周囲むように同心状に配置されている。また、n+型エミッタ領域37は、チャネルpウェル層36の表層部において、チャネルpウェル層36の終端位置よりも内側で終端するように形成されている。本実施形態では、n+型エミッタ領域37がp型コンタクト層38を挟んだ両側に一本ずつ配置してある。
+型コンタクト層38は、チャネルpウェル層36をエミッタ電位に固定するためのものであり、チャネルpウェル層36よりも高不純物濃度とされている。p型ボディ層39は、コレクタからエミッタへ表面を経由して流れるホール電流により生じる電圧ドロップを低減する役割を果たす。このp型ボディ層39により、n+型エミッタ領域37とチャネルpウェル層36およびn-型ドリフト層32にて構成される寄生npnトランジスタが動作し難くなるようにでき、ターンオフ時間を改善することが可能となる。
また、チャネルpウェル層36の表面には、ゲート絶縁膜40を介してドープトPoly−Siなどで構成されたゲート電極41が配置されている。このゲート電極41に対してゲート電圧を印加することで、チャネルpウェル層36の表面部にチャネル領域が形成されるようになっている。
さらに、p+型コレクタ領域34の表面に当該p+型コレクタ領域34に対して電気的に接続されたコレクタ電極42が形成されていると共に、n+型エミッタ領域37およびp+型コンタクト層38の表面に当該n+型エミッタ領域37およびp+型コンタクト層38に対して電気的に接続されたエミッタ電極43が形成されている。
そして、コレクタ−ゲート間に形成されたLOCOS酸化膜33の表面には、ドープトPoly−Siが延設されて構成された抵抗層44が形成されており、コレクタ−ゲート間の電位勾配の偏りがなくなるようにされている。具体的には、抵抗層44は、コレクタ電極42を中心として渦巻状に巻回された構造とされ、その一端がコレクタ電極42に電気的に接続されていると共に、他端がゲート電極41に接続されている。このため、抵抗層44は、コレクタ電極42に接続された部位がコレクタ電位とされ、そこから内部抵抗によって徐々に電圧降下しながらエミッタ側に進んでいく。このため、抵抗層44の電位がコレクタ電極42からの距離に応じた電位勾配となり、LOCOS酸化膜33を介して抵抗層44の下方に位置しているn-型ドリフト層32中の電位勾配も一定に保たれるようにできる。
一方、図3−bに示すFWD形成領域でも、n-型カソード層50の表面にLOCOS酸化膜33が形成されており、LOCOS酸化膜33によってFWD12a〜12fを構成する各部が分離されている。そして、n-型カソード層50の表層部のうちLOCOS酸化膜33が形成されていない部分において、n+型コンタクト層51およびn型バッファ層52が形成されていると共に、これらn+型コンタクト層51およびn型バッファ層52を囲むようにp型アノード層53およびp+型コンタクト層54が形成されている。
また、基板表面には、n+型コンタクト層51に電気的に接続されるカソード電極55とp+型コンタクト層54およびp型アノード層53に電気的に接続されるアノード電極56が備えられている。さらに、アノード−カソード間に形成されたLOCOS酸化膜33の表面には、ドープトPoly−Siが延設されて構成された抵抗層57が形成されており、アノード−カソード間の電位勾配の偏りがなくなるようにされている。この抵抗層57も、カソード電極55を中心として渦巻状に巻回された構造とされ、その一端がカソード電極55に接続されていると共に、他端がアノード電極56に接続されている。このため、抵抗層57の電位がカソード電極55からの距離に応じた電位勾配となり、LOCOS酸化膜33を介して抵抗層57の下方に位置している活性層31c中の電位勾配も一定に保たれるようにできる。
また、制御回路部6は、三相分の上下アーム10a〜10fを駆動することにより三相モータ3の制御を行う。図1中には、三相分の制御回路部6のうちの一相分のみを示してあるが、実際には同様の構成の制御回路部6が備えられている。各制御回路部6には、図2に示すように、ゲート駆動回路13a〜13fと、レベルシフト素子14a〜14cと、電源回路15a〜15fと、保護回路16a〜16fおよびロジック回路17a〜17cとが備えられている。
ゲート駆動回路13a〜13fは、上アーム10a、10c、10eのIGBT11a、11c、11eを駆動するためのゲート駆動回路13a、13c、13eと、下アーム10b、10d、10fのIGBT11b、11d、11fを駆動するためのゲート駆動回路13b、13d、13fとにより構成されている。各ゲート駆動回路13a〜13fの出力するゲート電圧に基づいて各IGBT11a〜11fが駆動される。各ゲート駆動回路13a〜13fの出力するゲート電圧は、制御マイコン5によって制御されている。
レベルシフト素子14a〜14cは、基準とする電位をシフトするための素子である。すなわち、高電位を基準として作動する上アーム10a、10c、10eのIGBT11a、11c、11eを駆動するためのゲート駆動回路13a、13c、13eと、低電位を基準として作動する下アーム10b、10d、10fのIGBT11b、11d、11fを駆動するためのゲート駆動回路13b、13d、13fとが、基準とする電位が大きく異なっている。このため、基準とする電位をシフトすることが必要となる。このため、各上下アーム10a〜10fの間に、第1〜第3レベルシフト素子14a〜14cを備えている。
電源回路15a〜15fは、上アーム10a、10c、10eの駆動に用いられる高電位を基準として動作する各種回路や、下アーム10b、10d、10fの駆動に用いられる低電位を基準として動作する各種回路の電源電圧を形成している。この電源回路15a〜15fによって形成される電源電圧に基づいて、上アーム10a、10c、10e側のゲート駆動回路13a、13c、13e等は高電圧基準で動作し、下アーム10b、10d、10f側のゲート駆動回路13b、13d、13f等は低電圧基準で動作する。
保護回路16a〜16fは、電圧低下保護機能を有している。具体的には、保護回路16a〜16fは、三相モータ3の駆動電圧を形成している主電源4の電圧が低下している電圧低下状態を検出し、それに基づいてゲート駆動回路13a〜13fが出力するゲート電圧を制御している。例えば、電圧低下状態が検出された時にはIGBT11a〜11fの駆動が停止させられるようになっている。これにより、インバータ回路1および三相モータ3を誤動作から保護することが可能となる。
また、保護回路16a〜16fには、過熱保護機能も備えられている。過熱保護は、例えばダイオードの温度特性に基づいて行われる。すなわち、温度に応じて変化するダイオードのVfに基づいて半導体装置2の過熱状態を検出する。そして、半導体装置2の過熱状態が検出されると、それに伴ってゲート駆動回路12a〜12fが出力するゲート電圧を制御し、例えばIGBT11a〜11fの駆動を停止させている。これにより、インバータ回路1および三相モータ3を誤動作から保護することが可能となる。
ロジック回路17a〜17cは、制御マイコン5から伝えられる各相の上下アーム10a〜10fを駆動するための制御信号に基づいて、ゲートドライバ回路13a〜13fの出力するゲート電圧を制御するための信号を出力する。
ブートストラップ回路7は、外部に備えられたコンバータ電源回路部8が生成する電圧Vccに基づいて、フローティング電源を形成するもので、三相それぞれに対応して設けられており、ダイオード7a〜7c、抵抗7d〜7fおよびコンデンサ7g〜7iを備えている。このような構成により、始動初期状態として下アーム10b、10d、10fのIGBT11b、11d、11fをオンし、ダイオード7a〜7cおよび抵抗7d〜7fcを通じてコンデンサ7g〜7iを充電することで、コンデンサ7g〜7iによってフローティング電源を形成している。これらのうちのダイオード7a〜7cおよび抵抗7d〜7fが半導体装置2内に集積化されている。
このように、IGBT11a〜11fやFWD12a〜12fや制御回路部6およびブートストラップ回路7のうちの一部を含むインバータ回路1の基本構成が同じSOI基板31に対して集積化されることで、1チップ化がなされている。このように1チップ化することにより、インバータ回路1の基本構成が備えられる半導体装置の小型化が図れると共に、配線長を短くできることにより配線による寄生成分(寄生インダクタや寄生抵抗等)が少なくなるようにできる。
次に、本発明の特徴部分に係る構成について説明する。本実施形態のインバータ回路1では、図1中には回路構成として示していないが、電流検出機能が備えられている。電流検出機能は、各相の上下アーム10a〜10fの少なくとも一方に備えられる電流検出回路によって実現され、本実施形態では下アーム10a〜10fに対して電流検出回路を備えている。
図4に、下アーム10b(10d、10f)の詳細な回路構成を示し、この図を参照して下アーム10b、10d、10fに備えられる電流検出回路について説明する。なお、図4では、下アーム10bおよびそれに備えられる電流検出回路について図示したが、他の下アーム10d、10fやそれらに備えられる電流検出回路も同様であり、カッコ内は、下アーム10bの各部と対応する他の下アーム10d、10fの各部の符号を付したものである。
電流検出回路は、各相のIGBT11a〜11fもしくはFWD12a〜12fを通じる電流経路中を流れる電流を検出し、その電流値や電流の向きを検出すると共に、その電流が過電流状態になっているか否かを検出する。本実施形態では、各下アーム10b、10d、10fに対して電流検出回路を備えるようにし、その電流検出回路により検出する電流(具体的には当該電流に対応する電圧)を制御マイコン5に伝えている。この電流検出回路の検出結果に基づいて、ゲート駆動回路13a〜13fが出力するゲート電圧が制御され、例えば過電流検出時にはIGBT11a〜11fの駆動が停止させられるようになっている。これにより、インバータ回路1および三相モータ3を誤動作から保護することが可能となる。
具体的には、図4に示されるように、各下アーム10b、10d、10fを構成するIGBT11b、11d、11fおよびFWD12b、12d、12fをメイン素子とすると、電流検出回路を構成するセンス素子としてセンスIGBT11bs、11ds、11fsやセンスFWD12bs、12ds、12fsが備えられている。センス素子は、メイン素子に対して面積比を1/Nとした素子であり、メイン素子の面積を十分に小さくすることで面積比に応じた電流を流す。
さらに、各センスIGBT11bs、11ds、11fsやセンスFWD12bs、12ds、12fsそれぞれに対して電流検出抵抗18a〜18fが直列接続されており、これらセンスIGBT11bs、11ds、11fsやセンスFWD12bs、12ds、12fsと電流検出抵抗18a〜18fとの間の電位が制御マイコン5に入力される。これにより、電流検出回路にて検出される各相の電流経路に流れる電流の電流値および向きが制御マイコン5に伝えられる。なお、電流検出抵抗18a〜18fは、例えば数100〜数1000Ω/□程度の高抵抗としているため、電流が数μA〜数mA程度しか流れない。このため、高抵抗かつ高精度のCrSiなどで構成される金属薄膜抵抗やPoly−Si抵抗等を使用することができ、高精度の電流検出を行うことが可能である。
このように、インバータ回路の各構成要素が1チップ化された半導体装置において、各下アーム10b、10d、10fのIGBT11b、11d、11fおよびFWD12b、12d、12fに対してセンス素子を備えると共に、各センス素子に対して電流検出抵抗18a〜18fを直列接続させている。このため、以下のようにして各相の電流経路に流れる電流の電流値および向きを検出することができる。図5に、電流値および向きの検出イメージを表した模式図を示し、この図を参照して説明する。
まず、電流検出の具体的手法に先立ち、各アーム10a〜10fの動作について説明する。各アーム10a〜10fでは、IGBT11a〜11fをオンすると、IGBT11a〜11fのコレクタ−エミッタ間に電流を流すため、IGBT11a〜11f側ではコレクタからエミッタ側に向かう電流が流れ、FWD12a〜12f側では電流が流れない状態となる(図5(a)の状態)。次に、IGBT11a〜11fをオンからオフに切替えると、FWD12a〜12fに還流電流が流れる(図5(b)の状態)。このため、IGBT11a〜11f側では電流が流れず、FWD12a〜12fではアノードからカソード側に向かう電流が流れる状態となる。そして、還流電流が流れる期間が過ぎると、IGBT11a〜11fおよびFWD12a〜12fの両方共に電流が流れない状態となる(図5(c)の状態)。このような動作を前提として電流検出を行う。
具体的には、図5(a)に示すように、下アーム10b、10d、10fのIGBT11b、11d、11fをオンさせると、それに伴ってセンスIGBT11bs、11ds、11fsもオンさせられ、電流検出抵抗18a、18c、18eにも電流が流れる。このときのセンスIGBT11bs、11ds、11fsと電流検出抵抗18a、18c、18eの間の電位(以下、この電位を第1電位という)は、主電源4から印加される高電圧を基準としてセンスIGBT11bs、11ds、11fsのオン電圧分を差し引いた値となるため、プラスの電位となる。一方、FWD12b、12d、12fについては電流が流れないため、センスFWD12bs、12ds、12fsと電流検出抵抗18b、18d、18fとの間の電位(以下、この電位を第2電位という)はゼロになる。したがって、第1電位に基づいて電流経路に流れている電流の電流値の絶対値を検出することができると共に、第1電位がプラス、第2電位がゼロのときには電流が順方向(高電圧側から低電圧側)に流されていることを検出することができる。
また、図5(b)に示すように、下アーム10b、10d、10fのIGBT11b、11d、11fをオフさせると、センスIGBT11bs、11ds、11fsも同時にオフされるため、電流が流れず、第1電位はゼロとなる。一方、IGBT11b、11d、11fをオフさせた瞬間に、FWD12b、12d、12fおよびセンスFWD12bs、12ds、12fsに還流電流が流れる。このため、第2電位はGNDを基準として電流検出抵抗18b、18d、18fでの電圧降下分が差し引かれた値になり、マイナスの電位となる。したがって、第2電位に基づいて電流経路に流れている電流の電流値の絶対値を検出することができると共に、第1電位がゼロ、第2電位がマイナスのときには電流が逆方向(低電圧側から高電圧側)に流されていることを検出することができる。
そして、図5(c)に示すように、IGBT11b、11d、11fをオフさせてから還流電流が流れる期間が経過すると、IGBT11b、11d、11fやセンスIGBT11bs、11ds、11fsおよびFWD12b、12d、12fやセンスFWD12bs、12ds、12fsに電流が流れなくなる。このため、第1電位と第2電位が共にゼロとなり、電流が流れていないことを検出することができる。
以上説明したように、本実施形態では、下アーム10b、10d、10fのIGBT11b、11d、11fおよびFWD12b、12d、12fに対してセンス素子を備えると共に、各センス素子に対して電流検出抵抗18a〜18fが直列接続させている。このため、各センス素子および電流検出抵抗18a〜18fに基づいて、具体的には第1電位および第2電位を検出することにより、各相の電流経路に流れる電流の電流値の絶対値および向きを検出することが可能となる。
そして、このように各相の電流経路に電流の電流値の絶対値および向きを検出することが可能となることにより、特許文献2、3に示されるような各相の電流を正弦波に近い電流波形に制御するというセンサレス簡易正弦波制御を行うことが可能となる。したがって、ホール素子のように別途配置しなければならない電流検出素子を備えなくても、低騒音のモータ動作を実現できることから、装置の簡素化や装置製造の際の工程簡略化を図れ、低コスト化が可能となる。
また、本実施形態では、インバータ回路1を構成する各素子を1チップ化し、同じ基板に形成するようにしている。このように1チップ化することにより、インバータ回路1の基本構成が備えられる半導体装置の小型化が図れると共に、配線長を短くできることにより配線による寄生成分(寄生インダクタや寄生抵抗等)が少なくなるようにできる。これにより、高精度の電流検出を行うことが可能となる。
さらに、本実施形態では、電流検出回路によって過電流を検出した場合にIGBT11a〜11fの駆動を停止させることで、インバータ回路1および三相モータ3を誤動作から保護している。さらに、保護回路16a〜16fに備えられた過熱保護機能によって半導体装置2の過熱状態が検出された場合にも、同様に、IGBT11a〜11fの駆動を停止させることで、インバータ回路1および三相モータ3を誤動作から保護している。このような二重保護を行っているため、例えばセンス素子が破壊されて電流検出できなくなったとしても、インバータ回路1および三相モータ3を誤動作から保護することが可能となる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態のように構成した各相の電流経路に流れる電流の電流値の絶対値および向きの検出を行えるというセンス機能に基づく制御について説明する。
第1実施形態で説明したようなインバータ回路1においては、三相モータ3に供給される電力が最大となるように、インバータ出力回路10の駆動に伴って発生する誘起電圧の位相と三相モータ3に供給される電流(以下、モータ電流という)の位相が一致しているようにすることが望ましい。
図6は、誘起電圧とモータ電流の位相が一致している場合とずれている場合の電力波形を示した図である。この図に示されるように、誘起電力の位相とモータ電流の位相が一致している場合には、位相がずれている場合と比較して三相モータ3の出力する電力が大きくなる。このため、下アーム10b、10d、10fに備えたセンス素子を用いて誘起電圧と電流の位相を求め、制御マイコン5にて誘起電圧と電流の位相が一致するようにインバータ出力回路10に備えられるIGBT11a〜11fのオンオフを制御している。
具体的には、各相に流れるモータ電流の位相については、センス素子で検出される電流値の極性が変化したときがゼロクロス点であり、位相が0°、180°、360°のときであることを検出することができる。
また、誘起電圧の位相については、モータ電流の変化に基づいて検出することができる。すなわち、誘起電圧に関する方程式は、三相モータ3の角速度をω、巻線インダクタンスをL、鎖交磁束をφmax、誘起電圧の位相をθ、モータ電流の変化をdI/dt[A/s]とすると、次式で表される。
(数1)
ω・φmax・sinθ+L・dI/dt=0
このため、誘起電圧の位相θは、角速度ω、巻線インダクタンスL、鎖交磁束φmax、モータ電流の変化をdI/dtで表すことができ、位相θの極性の変化はモータ電流の極性変化から検出することができる。ここで、モータ電流の変化について、図7に示す任意の一相分のモータ電流、dI/dtおよび誘起電圧の波形図を参照して説明する。
各アーム10a〜10fのIGBT11a〜11fのオンオフ駆動はPWM制御によって行われるが、PWM制御によるIGBT11a〜11fのオンオフ駆動に伴ってモータ電流の変化にバラツキが生じる。具体的には、図7に示されるように、モータ電流の変化は一定にはならず、位相に応じたバラツキが生じる。例えば、モータ電流の振幅の山もしくは谷においてはモータ電流の変化が大きく、ゼロクロス点においてはモータ電流の変化がほぼ0になる。このため、モータ電流の変化に基づいて、誘起電圧の位相、より詳しくは誘起電圧のゼロクロス点についても検出することが可能となる。
このように、モータ電流の極性に基づいてモータ電流の位相を検出することができると共に、モータ電流の変化に基づいて誘起電圧の位相を検出することが可能である(このような検出原理については特許文献3に詳細に記載されている)。
ただし、モータ電流は、各相の各アーム10a〜10fのIGBT11a〜11fのオンオフ駆動によって変動するため、オンオフの切替えタイミング等にモータ電流の検出を行うと、正確な値が検出できなくなる可能性がある。このため、以下のようなタイミングでモータ駆動電流やその変化の検出を行うようにしている。この検出タイミングについて、図8に示すタイミングチャートを参照して説明する。
図8は、PWM制御の基準閾値を設定している三角波、PWM制御による各相の下アーム10b、10d、10fのIGBT11b、11d、11fのオンオフ状態、モータ電流の検出タイミングに関わる極性検出タイミング信号および電流サンプリングパルス、モータ電流の変化の検出タイミングに関わる傾き検出タイミング信号および第1、第2サンプリングパルス信号を示している。
ここで、極性検出タイミング信号とは、PWM制御の基準閾値を設定している三角波の山谷変化(山から谷への変化および谷から山への変化)に応じて制御マイコン5から出力される信号である。電流サンプリングパルスとは、モータ電流の検出タイミングを決めるパルス信号であり、本実施形態の場合、この信号がハイレベルになったときに電流検出を行っている。傾き検出タイミング信号は制御マイコン5から出力される信号であり、第1、第2サンプリングパルスの生成に用いられる。第1、第2サンプリングパルスとは、モータ電流の変化の検出タイミングを決める信号であり、傾き検出タイミング信号の立上りおよび立下り時に第1、第2サンプリングパルスが出力され、第1サンプリングパルスで検出するモータ電流の値を保持し、第2サンプリングパルスで検出するモータ電流の値と先述の保持したモータ電流の値を比較して、その期間中のモータ電流の変化を検出する。電流サンプリングパルスや第1、第2サンプリングパルスは、制御マイコン5の出力する極性検出タイミング信号や傾き検出タイミング信号に基づいて図示しない外部ロジック回路にて生成される。これらのうち、電流サンプリングパルスがハイレベルになるタイミングが本発明における第1の判定タイミング、第1、第2サンプリングパルスがハイレベルになるタイミングが本発明における第2判定タイミングに相当している。
図8に示されるように、各相の下アーム10b、10d、10fのIGBT11b、11d、11fのオンオフは、PWM制御によって行われるため、PWM制御の基準閾値を設定している三角波の周期に応じたものとなる。そして、オンからオフ、もしくはオフからオンへの切替えタイミングには、各相のモータ電流にスイッチングサージが乗るため、この切替えタイミングを避けてモータ電流の検出およびその変化の検出を行う必要がある。
このため、本実施形態では、各相の下アーム10b、10d、10fのIGBT11b、11d、11fがすべてオンしている期間中に、モータ電流の検出およびその変化の検出を行うようにする。
具体的には、モータ電流の検出タイミングを決める電流サンプリングパルスは、極性検出タイミング信号がハイレベルからローレベルに切り替わる立下り時、つまりPWM制御の基準閾値を設定している三角波が谷から山へ変化するタイミングにおいてハイレベルとなる。この信号をトリガとしてモータ電流の検出を行うようにしている。
また、モータ電流の変化の検出タイミングを決める傾き検出タイミング信号は、三相すべてがオンになった瞬間から所定のディレイ時間を設けたのち所定期間中ハイレベルとなり、所定期間経過後にローレベルとなる信号とされる。そして、その傾き検出タイミング信号の立上りおよび立下り時に第1、第2サンプリングパルスがハイレベルとなる。この信号をトリガとしてモータ電流を検出し、検出された各タイミングでのモータ電流の差に基づいて、モータ電流の変化の極性変化、つまり誘起電圧の極性変化を求めることができる。なお、モータ電流の変化は、検出された各タイミングでのモータ電流の差を第1、第2サンプリングパルスのパルス間隔(=傾き検出タイミング信号がハイレベルとなる期間)で割ることで求められるが、その極性については検出された各タイミングでのモータ電流の差の正負から求めることができる。
図9は、このようなモータ電流の検出やその変化の検出を実現する位相検出回路100のブロック構成を示した図である。この位相検出回路100は、第1実施形態で説明した図1の制御マイコン5の出力信号に基づいて相選択を行い、三相のうち選択された相の上述したセンス素子の第1、第2電位を入力することで、モータ電流の検出やその変化の検出を行う。
図9に示されるように、位相検出回路100は、電流検出部110、マルチプレクサ120、増幅回路130、電流極性判定部140、誘起電圧極性判定部150、ラッチ部160等を有した構成とされている。
電流検出部110は、各相に備えられたセンス素子の第1、第2電位に対応する電圧を電流検出信号として出力する部分である。マルチプレクサ120は、制御マイコン5の選択信号に基づいて、電流検出部110から入力される各相の電流検出信号のうちの1つの相の電流検出信号を選択し、その相の電流検出信号を出力している(以下、選択された1つの相の電流検出信号のことを選択電流検出信号という)。この選択電流検出信号は、増幅回路130にて増幅されたのち、電流極性判定部140や誘起電圧極性判定部150に出力される。
電流極性判定部140は、増幅された選択電流検出信号に基づいてモータ電流の極性である電流極性を判定する。例えば、選択電流検出信号が示す電圧を参照電圧と大小比較することで電流極性を判定し、判定した極性に応じた出力(例えば極性が正の場合にはハイレベル、負の場合にはローレベル)をラッチ部160に出力する。
誘起電圧極性判定部150は、選択電流検出信号に基づいて誘起電圧の極性を判定する。例えば、誘起電圧極性判定部150は、第1サンプリングパルスをトリガとして増幅された選択電流検出信号に基づいて充電を始めるコンデンサと、増幅器130で増幅された選択電流検出信号が示す電圧とを大小比較するコンパレータにて構成されている。そして、誘起電圧極性判定部150は、コンデンサの充電電圧よりも選択電流検出信号が示す電圧が大きいか否かに基づいてモータ電流の変化の極性である誘起電圧極性を判定し、判定した極性に応じた出力(例えば極性が正の場合にはハイレベル、負の場合にはローレベル)をラッチ部160に出力する。
ラッチ部160は、電流極性判定部140による電流極性や誘起電圧極性判定部150による誘起電圧極性の判定結果を保持し、それを制御マイコン5に伝えるものである。本実施形態の場合、ラッチ部160は、2つのDラッチ回路を内蔵するものとして構成されている。一方のDラッチ回路は、電流サンプリングパルスをラッチ信号として電流極性判定部140の出力を保持し、もう一方のDラッチ回路は、第2サンプリングパルスをラッチ信号として誘起電圧極性判定部150の出力を保持する。このため、ラッチ部160は、電流サンプリングパルスがハイレベルになったときに入力されている電流極性判定部140の出力を電流極性、第2サンプリングパルスがハイレベルになったときに入力されている誘起電圧極性判定部150の出力を誘起電圧極性として、制御マイコン5に出力する。したがって、電流極性は、電流サンプリングパルスがハイレベルとなるタイミング、つまりPWM制御の基準閾値を設定している三角波が谷から山へ変化するタイミングのモータ電流の極性となる。また、誘起電圧極性は、第1サンプリングパルスがハイレベルとなっている期間中にコンデンサで充電される電圧と、第2サンプリングパルスがハイレベルとなったときに増幅回路130が出力している電圧とがコンパレータにて比較され、その比較結果にて表される。
このようにして、制御マイコン5に電流極性と誘起電圧極性が入力されるため、これらに基づいて制御マイコン5から出力される各相のIGBT11a〜11fをPWM制御するための制御信号を調整する。これにより、モータ電流の位相と誘起電圧の位相が一致するように各相のIGBT11a〜11fをPWM制御することが可能となり、三相モータ3に供給される電力が最大となるようにすることが可能となる。
ただし、このような構成の位相検出回路100では、増幅回路130の参照電圧として、コンバータ電源回路部8が生成する電圧Vcc(例えば15V)から生成される定電圧(例えば5V)を使用している。電圧Vccについては、高圧バッテリの電圧(例えば288V)をコンバータ電源回路部8にて降圧することによって形成されるものであり、コンバータ電源回路部8に備えた出力トランジスタに相当する半導体パワー素子(後述するパワーMOSFET220(図11参照))をPWM制御にてオンオフ駆動することで生成している。このため、コンバータ電源回路部8に備えられている半導体パワー素子のスイッチングサージの影響を受けて電圧Vccが変動すると、それに伴って参照電圧も変動してしまう。図10は、その様子を示した参照電圧波形を示した図である。この図に示されるように、コンバータ電源回路部8に内蔵される半導体パワー素子のスイッチング周期(例えば100kHz)に同期して参照電圧が大きく変動していることが判る。この影響により、上述したようにインバータ出力回路10に備えられる各IGBT11a〜11fのオンオフ切替え時のスイッチングサージの影響を考慮したタイミングで電流極性判定や誘起電圧極性判定を行っても、正確な判定が行えなくなる可能性がある。これを防止すべく、本実施形態では、電流極性判定や誘起電圧極性判定を行うタイミングにおいてコンバータ電源回路部8に備えられる半導体パワー素子のスイッチングが行われないようにしている。
以下、この手法について、図11に示すコンバータ電源回路部8の詳細を示した回路図および図12に示すコンバータ電源回路部8の各部の動作を表したタイミングチャートを参照して説明する。
コンバータ電源回路部8は、高圧な主電源4(例えばバッテリ)から印加される高電圧(例えば288V)に基づいて出力電圧Vccを生成するDC−DCコンバータを構成する部分である。具体的には、コンバータ電源回路部8は、図2に示すように、インテリジェントパワーデバイス(Intelligent Power Device、以下、IPDという)20、基準電圧生成回路21、平滑回路22、モニタ電圧生成回路23などを備えた構成とされている。
IPD20は、高電圧に基づいて出力電圧Vcc(例えば15V)を安定的に生成するための制御を行うものである。このIPD20の詳細構造については後述するが、このIPD20が内蔵している半導体パワー素子をオンオフ制御することによって出力電圧Vccが一定となるようにする。本実施形態では、半導体パワー素子としてパワーMOSFET220を使用しており、スイッチ投入に基づいてパワーMOSFET220のドレインが高圧な主電源4に接続されると、ソースが基準電圧生成回路21に接続される。このため、IPD20のD端子は、パワーMOSFET220のドレイン端子と同義であり、半導体パワー素子の電源端子を意味しており、S端子は、パワーMOSFET220のソース端子と同義であり、半導体パワー素子の出力端子を意味している。また、IPD20は、C端子を通じてモニタ電圧生成回路23で生成されるモニタ電圧を入力し、そのモニタ電圧に基づいてパワーMOSFET220を制御することで出力電圧Vccが一定となるようにしている。このため、C端子は、出力電圧Vccに制御するためのコントロール端子を意味している。
基準電圧生成回路21は、コンデンサ21aにて構成されており、IPD20のS端子に繋がる電源供給ライン8aに対してコンデンサ21が接続されている。IPD20が起動されるときに基準電圧生成回路21に備えられたコンデンサ21aがチャージされることで基準電圧を生成し、IPD20のC端子に入力されるモニタ電圧の基準電圧を安定化させると共に、IPD20の電源電圧としている。
平滑回路22は、電源供給ライン8aに直列接続されたインダクタ22aと電源供給ライン8に対して並列接続されたコンデンサ22bとを有したLC回路にて構成されている。この平滑回路22により、電源供給ライン8aの電圧の平滑化を行い、電源供給ライン8aの電圧がノイズによって変動することを抑制している。また、この平滑回路22のコンデンサ22bに電荷がチャージされることで出力電圧Vccを生成している。なお、インダクタ22aのハイサイド側とGNDラインとの間に接続されたダイオード25は、整流用ダイオードである。
また、モニタ電圧生成回路23は、ツェナーダイオード23aとダイオード23bとによって構成され、IPD20のC端子の電位であるモニタ電圧を生成している。モニタ電圧は、出力電圧Vccに対応する電圧であり、出力電圧Vccをツェナーダイオード23aの電圧降下分およびダイオード23bの順方向電圧Vf分だけ降圧した電圧(例えば6.2V)とされる。このモニタ電圧に基づいて、IPD20が出力電圧Vccが所定の電圧(例えば15V)になっているか否かを検出し、その検出結果に基づいてパワーMOSFET220のオンオフ制御を行っている。なお、本実施形態では、ダイオード23bをIPD20内に備えるようにしているが、勿論、IPD20外に備えるようにしても良い。
このような構成により、コンバータ電源回路部8は、主電源4からの電圧印加に基づいて出力電圧Vccが所望の電圧となるようにしたDC−DCコンバータとしての役割を果たしている。
続いて、IPD20の詳細構造について説明する。IPD20は、起動回路210、半導体パワー素子としてのパワーMOSFET220およびPWMチョッパ制御回路230を有した構成とされている。
起動回路210は、起動時にD端子に印加される主電源4の高電圧に基づいて所定電圧を生成し、IPD20を起動させるものである。具体的には、起動回路210は、内蔵された定電流源からの電流供給に基づいて、IPD20のC端子とS端子の間に備えられた基準電圧生成回路21のコンデンサ21aをチャージすることで基準電圧を形成している。この基準電圧が所望の電圧値に達すると、C端子に所望の電圧値の電圧が印加された状態となる。このため、起動回路210は、C端子に所望の電圧値の電圧が印加されると同時に定電流源からの電流供給を解除し、C端子の電位を内部電源として供給する。この内部電源がIPD20の各部の電源VCSとして用いられる。
パワーMOSFET220は、PWMチョッパ制御回路230によってオンオフが制御される。具体的には、パワーMOSFET220のゲート電圧がPWMチョッパ制御回路230によって制御されることで、パワーMOSFET220の出力電流、つまりS端子を通じて流れる電流を変化させる。これにより、出力電圧Vccが所定電圧(例えば15V)となるように制御される。
PWMチョッパ制御回路230は、パワーMOSFET220をPWM制御(もしくはデューティ制御)するときのパルス幅(もしくはデューティ比)を調整してPWM制御することによりS端子を通じた電源供給ライン8aの出力電圧Vccを定電圧にする。具体的には、PWMチョッパ制御回路230のC端子に入力されるモニタ電圧が所定の電圧(例えば6.2V)となるようにパワーMOSFET220のパルス幅(もしくはデューティ比)を調整する。例えば、インダクタ22aに流れる電流が直線的に上昇していくが、そのピークの電流を検知してパルス幅(もしくはデューティ比)を決定するという、公知の電流変換モードのフィードバックによってパルス幅(もしくはデューティ比)を決めることができる。
具体的には、PWMチョッパ制御回路230には、発振器231と、過電流保護部232、ロジック部233、過熱保護部234およびスイッチング停止指令部235が備えられている。
発振器231は、PWM制御の周期を設定する所望の周期のパルス信号を出力する。このパルス信号が後述するSRラッチ233aのセット信号として用いられる。PWM制御時には、発振器231が出力するパルス信号の周期に応じてパワーMOSFET220が駆動される。
過電流保護部232は、パワーMOSFET220の出力電流が過電流になったことが検出された場合に、パワーMOSFET220をオフする役割を果たす。本実施形態では、過電流保護部232は、C端子に入力される基準電圧に基づいて過電流と想定される電位を設定し、パワーMOSFET220に流れる電流に対応する電位と比較して、過電流になったことを検出する。
ロジック部233は、発振器231、過電流保護部232、過熱保護回路234およびスイッチング停止指令部235の出力の論理を取り、パワーMOSFET220のゲート電圧を制御する制御信号を出力する。
過熱保護部234は、過熱状態であることを検出したときにパワーMOSFET220をオフすると共に、過熱状態が解除されたときに再びパワーMOSFET220を通常のPWM制御にて制御できるようにするものである。本実施形態の場合、上述したように過熱状態であるときに過熱保護部234がローレベルを出力することで、パワーMOSFET220をオフする。
スイッチング停止指令部235は、制御マイコン5からのスイッチング停止信号に基づいて、パワーMOSFET220のスイッチングを停止するための信号を出力する。後述する位相検出回路100にて電流極性や誘起電圧極性を判定しているが、その判定タイミングとコンバータ電源回路部8に備えられるパワーMOSFET220のスイッチングタイミングとが一致すると、スイッチングサージの影響により正確な判定が行えなくなる。このため、電流サンプリングパルスや第1、第2サンプリングパルスと同タイミングに制御マイコン5からスイッチング停止指令部235に対してスイッチング停止信号を出力し、スイッチング停止指令部235からパワーMOSFET220のスイッチングを停止するための信号を出力させている。本実施形態の場合、スイッチング停止指令部235の出力をローレベルにすることで、パワーMOSFET220のスイッチングを停止させている。なお、スイッチング停止指令部235には、レベルシフト回路235aが備えられ、スイッチング停止信号を反転させたのち、パワーMOSFET220のソース基準の電位にレベルシフトすることで、IPD20に適用できるようにしてある。
このように構成されるIPD20では、C端子に入力される基準電圧が分圧抵抗232a、232bによって分圧されたのち、それがエラーアンプ232cによって変換され、基準電圧に応じた電位(以下、この電位をエラーアンプ側電位という)が形成される。分圧抵抗232a、232bによって分圧された基準電圧(以下、分圧電圧という)は、エラーアンプ232cの反転入力端子側に入力されているため、この分圧電圧が低下すると、それに伴ってエラーアンプ側電位が上昇するようになっている。このエラーアンプ側電位がコンパレータ232dの非反転入力端子に入力されている。
一方、コンパレータ232dの反転入力端子側の電位は、パワーMOSFET220に流れる電流に応じて変化する(以下、この電位をパワーMOSFET側電位という)。パワーMOSFET側電位は、定電流源232eで生成される定電流が抵抗232fに流れ込むことにより、基本的には、抵抗232fの両端電圧によってコンパレータ232dの反転入力端子側の電位が決められる。ただし、パワーMOSFET220のセンス素子として備えられたMOSFET232gにパワーMOSFET220に流れる電流と比例した電流が流されるようにしており、かつ、この電流が抵抗232fに流れ込むように構成してある。このため、MOSFET232gのオンオフ動作、つまりパワーMOSFET220のオンオフ動作に伴ってパワーMOSFET側電位が変動する。
そして、コンパレータ232dにて、エラーアンプ側電位とパワーMOSFET側電位とが大小比較され、エラーアンプ側電位の方が大きければハイレベル、パワーMOSFET側電位の方が大きければローレベルが出力される。したがって、パワーMOSFET側電位がエラーアンプ側電位に到達すると、コンパレータ232dの出力がハイレベルとなることで過電流になったことを検出する。
また、コンパレータ232dの出力がSRラッチ233aのリセット信号として用いられる。つまり、基本的には、エラーアンプ側電位よりもパワーMOSFET側電位が高くなったときにSRラッチ233aをリセットすることで、電圧Vccが所望の電圧(例えば15V)となるようにパワーMOSFET220をオンするときのパルス幅(もしくはデューティ比)が設定される。
そして、SRラッチ233aの出力と過熱保護部234およびスイッチング停止指令部235の出力がNAND回路233bに入力され、これら各出力に基づいてNAND回路233bの出力が決まる。
すなわち、通常時には、過熱保護部234やスイッチング停止指令部235の出力はハイレベルとなっているため、SRラッチ233aの出力に応じてNAND回路233bの出力が決まる。このため、NOT回路にて構成されたドライバ回路233cがNAND回路233bの出力を反転させた出力を発生させ、これに基づいてパワーMOSFET220が駆動される。したがって、SRラッチ233aの出力に応じてパワーMOSFET220がオンオフ駆動させられることになる。
一方、過熱保護部234もしくはスイッチング停止指令部235の出力がローレベルになると、SRラッチ233aの出力に拘わらず、NAND回路233bの出力がハイレベルになる。このため、ドライバ回路233cの出力は常にローレベルとなり、パワーMOSFET220はオフされる。したがって、SRラッチ233aの出力に拘わらず、パワーMOSFET220がオフさせられることになる。
次に、図12を参照して上記のように構成されたコンバータ電源回路部8の動作例を説明する。
まず、定常動作状態では、以下のように動作する。すなわち、時点T1において発振器231のパルス信号がハイレベルになった瞬間には、エラーアンプ側電位よりもパワーMOSFET側電位が低いためコンパレータ232dの出力がローレベルになっている。このため、過熱検出がなされていなければ、発振器231の出力に伴うSRラッチ233aの出力に基づいて、NAND回路233bの出力がローレベルとなる。したがって、ドライバ回路233cの出力がハイレベルとなってパワーMOSFET220がオンさせられる。これにより、パワーMOSFET220に流れる電流が増大していく。
そして、時点T2においてパワーMOSFET220に流れる電流の増大に伴ってエラーアンプ側電位よりもパワーMOSFET側電位が大きくなると、コンパレータ232dの出力がハイレベルに切り替わる。これがSRラッチ233aのリセット信号として入力され、SRラッチ233aの出力がローレベルとなる。したがって、SRラッチ233aの出力がハイレベルの期間がパワーMOSFET220がオンされる期間として設定され、パワーMOSFET220が駆動される。
一方、期間T3において、制御マイコン5からのスイッチング停止信号に基づいて、スイッチング停止指令部235からパワーMOSFET220のスイッチングを停止するための信号が出力されると、SRラッチ233aの出力に拘わらずNAND回路233bの出力がローレベルになる。このため、パワーMOSFET220がオフとなる。これにより、電流極性や誘起電圧極性の判定タイミングとパワーMOSFET220のスイッチングタイミングとが一致しないように、パワーMOSFET220のスイッチングを停止させることが可能となる。
なお、このようにパワーMOSFET220のスイッチングを停止させるようにすると、電圧Vccの低下に繋がる。しかしながら、このようなときには電圧Vccの低下に伴ってC端子の電圧が低下し、エラーアンプ側電位が上昇させられるため、スイッチング停止の期間T3が解除されてからパワーMOSFET220がオンさせられたときに、パワーMOSFET側電位がエラーアンプ側電位に達するまでの期間が長くなり、パワーMOSFET220がオンさせられる時間が長くなる。これにより、電圧Vccの低下分がキャンセルされて電圧Vccの平均値が所望電圧となり、パワーMOSFET220のスイッチングを停止させたことによる影響が生じないようにされる。
以上説明したように、本実施形態では、電流極性や誘起電圧極性を判定し、モータ電流の位相と誘起電圧の位相が一致するように各相のIGBT11a〜11fをPWM制御することにより、三相モータ3に供給される電力が最大となるようにしている。そして、このような電流極性や誘起電圧極性の判定を行うに際し、判定タイミングとパワーMOSFET220のスイッチングタイミングとが一致しないように、電流極性や誘起電圧極性の判定タイミングにはパワーMOSFET220のスイッチングを停止させるようにしている。したがって、電流極性や誘起電圧極性の判定タイミングとパワーMOSFET220のスイッチングタイミングとが一致することで電流極性や誘起電圧極性の判定が正確に行えなくなることを防止でき、正確な判定を行うことが可能となる。
(他の実施形態)
(1)上記実施形態では、各下アーム10b、10d、10fのIGBT11b、11d、11fおよびFWD12b、12d、12fそれぞれのセンス素子に対して電流検出抵抗18a〜18fが直列接続させた。しかしながら、これに限るものではなく、上アーム10a、10c、10eのIGBT11a、11c、11eおよびFWD12a、12c、12eそれぞれに対してセンス素子を備えると共に、そのセンス素子に対して電流検出抵抗18a〜18fが直列接続されるようにしても良い。
ただし、上アーム10a、10c、10eの場合、高電圧を基準として作動させられることから、電流検出についても高電圧を基準として行うことになり、電流検出のための基準GNDを設定する必要がある。このため、低電圧を基準として作動させられる下アーム10b、10d、10fに対してセンス素子を設けると共に、センス素子に対して電流検出抵抗18a〜18fを直列接続する形態とする方が、回路構成を簡素化できて好ましい。
また、上記実施形態では、IGBT11b、11d、11fおよびFWD12b、12d、12fそれぞれのセンス素子のローサイド側に電流検出抵抗18a〜18fを接続させたが、ハイサイド側に接続させるようにしても良い。
(2)上記実施形態では、電流経路のオンオフを制御するパワー素子としてIGBT11a〜11fを例に挙げて説明したが、他のパワー素子、例えばパワーMOSFETとしても構わない。また、IGBT11a〜11fを横型素子とする場合について例に挙げたが、縦型素子としても構わない。勿論、パワーMOSFETについても、横型素子に限らず縦型素子としても良い。
(3)上記実施形態では、負荷として三相モータ3への電流供給を行う電流経路のオンオフを制御するパワー素子やインバータ回路1について説明したが、電流経路のオンオフを制御するパワー素子に対してFWDが並列的に接続されるようなものであれば、他の回路であっても本発明を適用することができる。
(4)上記第2実施形態では、第1実施形態に示したセンス素子を備えた場合について説明した。しかしながら、各相に流れるモータ電流を検出することができるセンス機能が備えられた構成であれば、どのようなものについても第2実施形態に示したような電流極性や誘起電圧極性の判定タイミングとパワーMOSFET220のスイッチングタイミングとが一致しないようにする技術を適用することが可能である。
(5)上記第2実施形態では、各相のモータ電流およびその変化に基づいて電流極性や誘起電圧極性(モータ電流や誘起電圧の位相)を検出していた。しかしながら、これも一例を示したに過ぎず、三相のうちの二相のモータ電流の差である線間電流(U相−V相の電流差、V相−W相の電流差、W相−U相の電流差)やその変化に基づいて電流極性や誘起電圧極性を検出することもできる(この線間電流に基づくモータ電流や誘起電圧の位相の検出についても、特許文献3に記載されている)。
(6)さらに、上記実施形態では、インバータ回路1を構成するコンバータ電源回路部8や制御マイコン5を半導体装置2とは別構成とした場合について説明したが、これらを1チップ化することもできるし、そのうちの主要部分のみを1チップ化することもできる。
1 インバータ回路
2 半導体装置
3 三相モータ
4 主電源
5 制御マイコン
6 制御回路部
7 ブートストラップ回路
10a、10c、10e 上アーム
10b、10d、10f 下アーム
11a〜11f IGBT(パワー素子)
11bs〜11fs センスIGBT(第1センス素子)
12a〜12f FWD
12bs〜12fs センスFWD(第2センス素子)
13a〜13f ゲート駆動回路
14a〜14c レベルシフト回路
15a〜15f 電源回路
16a〜16f 保護回路
17a〜17c ロジック回路
18a〜18f 電流検出抵抗
20 IPD
100 位相検出回路
110 電流検出部
120 マルチプレクサ
130 増幅回路
140 電流極性判定部
150 誘起電圧極性判定部
160 ラッチ部
210 起動回路
220 パワーMOSFET
230 PWMチョッパ制御回路

Claims (4)

  1. 負荷(3)に対して電流供給を行う電流経路に設けられ、該電流経路のオンオフを制御するパワー素子(11a〜11f)と、
    前記電流経路に配置され、前記パワー素子(11a〜11f)に対して並列接続されることで前記パワー素子(11a〜11f)がオンからオフに切替えられたときに該パワー素子(11a〜11f)とは逆方向の電流を流すフリーホイールダイオード(12a〜12f)と、を有し、
    前記パワー素子(11a〜11f)もしくは前記フリーホイールダイオード(12a〜12f)を介して前記電流経路に流れる電流の検出を行う電流検出回路であって、
    前記パワー素子(11b、11d、11f)に流れる電流と比例する電流を流す第1センス素子(11bs、11ds、11fs)と、
    前記第1センス素子(11bs、11ds、11fs)に対して直列接続された第1電流検出抵抗(18a、18c、18e)と、
    前記フリーホイールダイオード(12b、12d、12f)に流れる電流と比例する電流を流す第2センス素子(12bs、12ds、12fs)と、
    前記第2センス素子(12bs、12ds、12fs)に対して直列接続された第2電流検出抵抗(18b、18d、18f)とを有し、
    前記第1センス素子(11bs、11ds、11fs)と前記第1電流検出抵抗(18a、18c、18e)の間の電位を第1電位とし、
    前記第2センス素子(12bs、12ds、12fs)と前記第2電流検出抵抗(18b、18d、18f)の間の電位を第2電位として、
    前記第1電位と前記第2電位とに基づいて、前記電流経路に流れる電流の電流値の絶対値および向きを検出しており、
    前記第1電位がプラスで前記第2電位がゼロのときには、前記第1電位に基づいて前記電流経路に流れている電流の電流値の絶対値を検出すると共に、前記パワー素子(11b、11d、11f)がオンされていて前記電流経路に対して順方向に電流が流れていることを検出し、
    前記第1電位がゼロで前記第2電位がマイナスのときには、前記第2電位に基づいて前記電流経路に流れている電流の電流値の絶対値を検出すると共に、前記パワー素子(11b、11d、11f)がオフされて前記電流経路に対して逆方向に電流が流れていることを検出し、
    前記電流検出回路を有するインバータ回路(1)が備えられており、
    前記インバータ回路(1)は、前記パワー素子(11a〜11f)および前記フリーホイールダイオード(12a〜12f)を有する上アーム(10a、10c、10e)および下アーム(10b、10d、10f)を複数相備えており、各相の前記上アーム(10a、10c、10e)と前記下アーム(10b、10d、10f)に備えられる前記パワー素子(11a〜11f)のオンオフを制御することにより、前記負荷(3)に対して交流電流を供給して前記負荷(3)を駆動し、
    前記複数相それぞれの前記上アーム(10a、10c、10e)と前記下アーム(10b、10d、10f)のいずれか一方の前記パワー素子(11b、11d、11f)および前記フリーホイールダイオード(12b、12d、12f)に対してのみ、前記第1センス素子(11bs、11ds、11fs)、前記第1電流検出抵抗(18a、18c、18e)、前記第2センス素子(12bs、12ds、12fs)および前記第2電流検出抵抗(18b、18d、18f)を備えており、
    出力トランジスタ(220)をオンオフ制御することによって基準電圧生成回路(21)に充電される電圧を制御し、主電源(4)の電圧を降圧した電圧であって、前記パワー素子(11a〜11f)のオンオフを制御する制御回路部(6)の電源電圧となる所定電圧(Vcc)を形成するコンバータ電源回路部(8)と、
    前記電流検出回路で検出される前記負荷(3)への電流に基づいて、前記電流の位相として、第1の判定タイミングのときに前記電流の極性を判定する電流極性判定部(140)と、
    前記電流検出回路で検出される前記負荷(3)への電流に基づいて、前記パワー素子(11a〜11f)のオンオフに伴って生じる誘起電圧の位相として、第2の判定タイミングのときに前記電流の変化の極性を判定する誘起電圧極性判定部(150)とを有し、
    前記電流極性判定部(140)および前記誘起電圧極性判定部(150)の判定結果に基づいて、前記電流の位相と前記誘起電圧の位相が一致するように、前記複数相それぞれの前記上アーム(10a、10c、10e)と前記下アーム(10b、10d、10f)に備えられる前記パワー素子(11a〜11f)のオンオフを制御しており、
    さらに、前記第1、第2の判定タイミングの際に、前記出力トランジスタ(220)のスイッチングを停止させるスイッチング停止手段(235)とを備えていることを特徴とする電流検出回路を有するインバータ回路が備えられる半導体装置。
  2. 前記複数相それぞれの前記下アーム(10b、10d、10f)の前記パワー素子(11b、11d、11f)および前記フリーホイールダイオード(12b、12d、12f)に対してのみ、前記第1センス素子(11bs、11ds、11fs)、前記第1電流検出抵抗(18a、18c、18e)、前記第2センス素子(12bs、12ds、12fs)および前記第2電流検出抵抗(18b、18d、18f)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の電流検出回路を有するインバータ回路が備えられる半導体装置。
  3. 前記インバータ回路を構成する各素子が同一の半導体基板(31)に対して形成されることで1チップとされていることを特徴とする請求項1または2に記載の電流検出回路を有するインバータ回路が備えられる半導体装置。
  4. 負荷(3)に対して電流供給を行う電流経路に設けられ、該電流経路のオンオフを制御するパワー素子(11a〜11f)と、
    前記電流経路に配置され、前記パワー素子(11a〜11f)に対して並列接続されることで前記パワー素子(11a〜11f)がオンからオフに切替えられたときに該パワー素子(11a〜11f)とは逆方向の電流を流すフリーホイールダイオード(12a〜12f)と、を有し、
    前記パワー素子(11a〜11f)もしくは前記フリーホイールダイオード(12a〜12f)を介して前記電流経路に流れる電流の検出を行う電流検出回路であって、
    前記パワー素子(11b、11d、11f)に流れる電流と比例する電流を流す第1センス素子(11bs、11ds、11fs)と、
    前記第1センス素子(11bs、11ds、11fs)に対して直列接続された第1電流検出抵抗(18a、18c、18e)と、
    前記フリーホイールダイオード(12b、12d、12f)に流れる電流と比例する電流を流す第2センス素子(12bs、12ds、12fs)と、
    前記第2センス素子(12bs、12ds、12fs)に対して直列接続された第2電流検出抵抗(18b、18d、18f)とを備えた電流検出回路を有するインバータ回路(1)が備えられる半導体装置であって、
    前記インバータ回路(1)は、前記パワー素子(11a〜11f)および前記フリーホイールダイオード(12a〜12f)を有する上アーム(10a、10c、10e)および下アーム(10b、10d、10f)を複数相備えており、各相の前記上アーム(10a、10c、10e)と前記下アーム(10b、10d、10f)に備えられる前記パワー素子(11a〜11f)のオンオフを制御することにより、前記負荷(3)に対して交流電流を供給して前記負荷(3)を駆動し、
    前記複数相それぞれの前記上アーム(10a、10c、10e)と前記下アーム(10b、10d、10f)のいずれか一方の前記パワー素子(11b、11d、11f)および前記フリーホイールダイオード(12b、12d、12f)に対してのみ、前記第1センス素子(11bs、11ds、11fs)、前記第1電流検出抵抗(18a、18c、18e)、前記第2センス素子(12bs、12ds、12fs)および前記第2電流検出抵抗(18b、18d、18f)を備えており、
    さらに、出力トランジスタ(220)をオンオフ制御することによって基準電圧生成回路(21)に充電される電圧を制御し、主電源(4)の電圧を降圧した電圧であって、前記パワー素子(11a〜11f)のオンオフを制御する制御回路部(6)の電源電圧となる所定電圧(Vcc)を形成するコンバータ電源回路部(8)と、
    前記電流検出回路で検出される前記負荷(3)への電流に基づいて、前記電流の位相として、第1の判定タイミングのときに前記電流の極性を判定する電流極性判定部(140)と、
    前記電流検出回路で検出される前記負荷(3)への電流に基づいて、前記パワー素子(11a〜11f)のオンオフに伴って生じる誘起電圧の位相として、第2の判定タイミングのときに前記電流の変化の極性を判定する誘起電圧極性判定部(150)とを有し、
    前記電流極性判定部(140)および前記誘起電圧極性判定部(150)の判定結果に基づいて、前記電流の位相と前記誘起電圧の位相が一致するように、前記複数相それぞれの前記上アーム(10a、10c、10e)と前記下アーム(10b、10d、10f)に備えられる前記パワー素子(11a〜11f)のオンオフを制御しており、
    さらに、前記第1、第2の判定タイミングの際に、前記出力トランジスタ(220)のスイッチングを停止させるスイッチング停止手段(235)とを備えていることを特徴とする電流検出回路を有するインバータ回路が備えられる半導体装置。
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