JP5675476B2 - 結晶シリコン系太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は、単結晶シリコン基板表面にヘテロ接合を有する結晶シリコン系光電変換装置に関し、更に詳しくは光電変換効率に優れた結晶シリコン系太陽電池に関するものである。
結晶シリコン基板を用いた結晶シリコン太陽電池は、光電変換効率が高く、既に太陽光発電システムとして広く一般に実用化されている。中でも単結晶シリコンとはバンドギャップの異なる非晶質シリコン系薄膜を単結晶表面へ製膜し、拡散電位を形成した結晶シリコン太陽電池はヘテロ接合太陽電池と呼ばれている。
さらに、中でも拡散電位を形成するための導電型非晶質シリコン系薄膜と結晶シリコン表面の間に薄い真性の非晶質シリコン層を介在させる太陽電池は、変換効率の最も高い結晶シリコン太陽電池の形態の一つとして知られている。結晶シリコン表面と導電型非晶質シリコン系薄膜の間に、薄い真性な非晶質シリコン層を製膜することで、製膜による新たな欠陥準位の生成を低減しつつ結晶シリコンの表面に存在する欠陥(主にシリコンの未結合手)を水素で終端化処理することができる。また、導電型非晶質シリコン系薄膜を製膜する際の、キャリア導入不純物の結晶シリコン表面への拡散を防止することもできる。
この構成のヘテロ接合太陽電池、即ち、真性非晶質シリコン層を含むヘテロ接合太陽電池は、結晶シリコン基板上に、真性の非晶質シリコン層を含む非晶質シリコン層、透明導電層、導電性ペーストからなるフィンガー電極を含む集電極を形成することにより得られ、結晶系太陽電池よりも低温で形成することができ、製造コストの低減にも有効である。また、このような真性非晶質シリコン層を含むヘテロ接合太陽電池では特に、前記透明導電層の膜厚および抵抗値は、光学損(光吸収・光反射)及び抵抗損の観点から変換効率に大きな影響を与える。そして、透明導電層の抵抗値はキャリア濃度により変更可能であるが、キャリア濃度により赤外域の光吸収特性が変更するため、光学損と抵抗損とは互いに関連している。
ところで、このような結晶シリコン太陽電池で集電極として用いられるフィンガー電極については、変換効率を向上させる為に様々な検討が為されている。例えば、特許文献1は、変換効率を向上させることが可能な太陽電池セルとして、半導体基板と、半導体基板の受光面側に設けられ、A方向に延びる複数のフィンガー電極を含む受光面電極とを備えた太陽電池セルにおいて、フィンガー電極の端部に端部から所定の距離を隔てて、幅広領域が形成されており、その幅広方向であるB方向の幅が、フィンガー電極の中央部のB方向の幅よりも大きい太陽電池セルを開示している。この特許文献1で、フィンガー電極の端部に端部から所定の距離を隔てて幅広領域を形成する目的は、その部分でのアスペクト比を小さくすることで、スクリーン印刷用マスクに対する版離れ悪化を防止し、導電性ペーストの非転写および剥離を防止することである。
特開2009−295715号公報
このような真性非晶質シリコン層を含むヘテロ接合太陽電池において、光学損を抑制するため透明導電層のキャリア濃度を低下させたときに、特にセル外周部においてキャリア取り出し効率が低下することが課題としてあった。
また、上述の特許文献1の、結晶シリコン太陽電池のフィンガー電極についての、版離れ悪化を防止し、導電性ペーストの非転写および剥離を防止する、との課題についても、たんに幅広部分を設けるだけでは十分ではなく、更なる改善が求められていた。
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討した結果、一導電型単結晶シリコン基板を用い真性非晶質シリコン層を含むヘテロ接合太陽電池において、電流を低下させることなくセル外周部においてキャリア取り出し効率を向上させることが可能となる電極構造を見出し、本発明を為した。また、この本発明の電極構造を採用することで、版離れ悪化が防止可能であり、導電性ペーストの非転写および剥離が防止可能であることも見出した。
即ち本発明は、一導電型結晶シリコン基板を用い、
前記結晶シリコン基板の一面に、実質的に真性なシリコン系薄膜層と、一導電型シリコン系薄膜層と、第一透明導電層と、がこの順に積層され、
前記結晶シリコン基板の他面に、実質的に真性なシリコン系薄膜層と、前記一導電型とは逆の導電型シリコン系薄膜層と、第二透明導電層と、がこの順に積層され、
前記第一透明導電層および前記第二透明導電層のいずれか一方の上に、相互に平行に配置された複数の直線状フィンガー電極を備え
前記結晶シリコン基板の基板端辺から距離dの位置にて近接する前記フィンガー電極の端部に前記基板端辺に平行な屈曲部を、隣接フィンガー電極と離間して備えることを特徴とするシリコン系太陽電池を提供するものである。複数のフィンガー電極の端部に屈曲部が接続されている。フィンガー電極の端部以外には、屈曲部が接続されていない。
ィンガー電極間距離 と屈曲部長さの差d=d−Dが、フィンガー電極間距離の1/4以上であることが望ましい。
好ましい実施態様は、前記d、d、及びdが、d>d>dの関係を満たすシリコン系太陽電池とすることである。
好ましい実施態様は、前記透明導電層が、その膜厚が60nm以上200nm以下であり、かつ、そのシート抵抗が30Ω/□以上である、シリコン系太陽電池とすることである。
本発明のシリコン系太陽電池の製造方法によれば、高効率の太陽電池を安価に提供することができる。
本発明の結晶シリコン系太陽電池を示す模式的断面図である。 セル外周部のキャリア収集状態にういて説明する平面図である。
まず、本発明の結晶シリコン太陽電池における、一導電型単結晶シリコン基板について説明する。
一般的に単結晶シリコン基板は導電性を持たせるために、シリコンに対して電荷を供給する不純物を含有させる。単結晶シリコン基板はSi原子に対して電子を導入するリン原子を供給したn型と、ホール(正孔ともいう)を導入するボロン原子を供給したp型がある。即ち、本発明における「一導電型」とは、n型、又は、p型のどちらか一方であることを意味する。太陽電池に用いる場合、単結晶シリコン基板へ入射した光が最も多く吸収される入射側のへテロ接合を逆接合として強い電場を設けることで、電子正孔対を効率的に分離回収することができる。よって入射側のヘテロ接合は逆接合とすることが好ましい。一方で、正孔と電子を比較した場合、有効質量及び散乱断面積の小さい電子の方が一般的に移動度は大きくなる。以上の観点から、本発明において使用する単結晶シリコン半導体基板は、n型単結晶シリコン半導体基板であることが好ましい。
n型単結晶シリコン基板を用いた場合の本発明の好適な構成としては、透明導電層/p型非晶質シリコン系薄膜層/i型非晶質シリコン系薄膜層/n型単結晶シリコン基板/i型非晶質シリコン系薄膜層/n型非晶質シリコン系薄膜層/透明導電層となり、この場合は上記理由から裏面をn型非晶質シリコン系薄膜層側とすることが好ましい。
テクスチャ形成後、単結晶シリコン表面にシリコン系薄膜を製膜する。製膜方法としてはプラズマCVD法が好ましい。シリコン系薄膜の形成条件としては、基板温度100〜300℃、圧力20〜2600Pa、高周波パワー密度0.004〜0.8W/cmが好ましく用いられる。光電変換ユニット形成に使用する原料ガスとしては、SiH、Si等のシリコン含有ガスまたは、それらのガスとHを混合したものが用いられる。p型またはn型層を形成するためのドーパントガスとしては、BまたはPH等が好ましく用いられる。また、PやBといった不純物の添加量は微量でよいため、予めSiHやHで希釈された混合ガスを用いることが好ましい。また、CH、CO、NH、GeH等といった異種元素を含むガスを添加することで、合金化しエネルギーギャップを変更することもできる。
実質的に真性なi型シリコン系薄膜層はシリコンと水素で構成されるi型水素化非晶質シリコンであることが好ましい。i型水素化非晶質シリコン層のCVD製膜時に単結晶シリコン基板への不純物拡散を抑えつつ表面パッシベーションを有効に行うことができる。また、膜中の水素量を変化させることで、エネルギーギャップにキャリア回収を行う上で有効なプロファイルを持たせることができるためである。
p型シリコン系薄膜層はp型水素化非晶質シリコン層かp型非晶質シリコンカーバイド層かp型酸化非晶質シリコン層であることが好ましい。不純物拡散や直列抵抗の観点ではp型水素化非晶質シリコン層が好ましい。一方で、p型非晶質シリコンカーバイド層あるいはp型酸化非晶質シリコン層はワイドギャップの低屈折率層として光学的なロスを低減できる点において好ましい。
本発明では、p型およびn型シリコン系薄膜層上に透明導電層を備えることにより構成される。透明導電層には導電性酸化物が含まれる。導電性酸化物としては、例えば、酸化亜鉛や酸化インジウム、酸化錫を単独または混合して用いることができるが、導電性、光学特性、そして長期信頼性の観点から、酸化インジウムを含んだインジウム系酸化物が好ましく用いられる。さらにこれらには導電性ドーピング剤を添加することができる。例えば、酸化亜鉛にはアルミニウムやガリウム、ホウ素、ケイ素、炭素などが挙げられる。酸化インジウムには亜鉛や錫、チタン、タングステン、モリブデン、ケイ素などが挙げられる。酸化錫にはフッ素などが挙げられる。これらの導電性酸化物は単膜で用いても良いし、積層構造でもよい。前記の透明導電層の製膜方法としては、スパッタリング法などの物理気相堆積法や有機金属化合物と酸素または水との反応を利用した化学気相堆積(MOCVD)法などが好ましい。いずれの製膜方法でも熱やプラズマ放電によるエネルギーを利用することもできる。透明導電層作製時の基板温度は適宜設定すればよいが、200℃以下が好ましい。それ以上の高温となると、非晶質シリコン層から水素が脱離し、ケイ素原子にダングリングボンドが発生し、キャリアの再結合中心となり変換効率を低下させる場合があるからである。
本発明の透明導電層の膜厚は、透明性と導電性、そしてセルの光反射低減の観点から、10nm以上300nm以下であることが好ましく、より好ましくは60nm以上200nm以下である。透明導電層の役割は、フィンガー電極へのキャリアの輸送であり、そのために必要な導電性があればよい。一方で透明性の観点から、厚すぎる透明導電層は、それ自身の吸収ロスのために透過率が減少し、その結果、光電変換効率を低下させる原因となりうる場合がある。また、透明導電層中のキャリア濃度が高すぎると赤外域の光吸収が増加するため、光電変換効率を低下させる場合も生じ得る。
ヘテロ接合太陽電池に適用し得る透明導電層の抵抗率の範囲は、これらの要因により決定し得る。具体的には、シート抵抗として1〜500Ω/□の範囲であれば、良好な特性の太陽電池特性を得ることが出来る。
公知の透明導電層の材料の抵抗率は、高々10−4Ωcmであって高抵抗であり、透明導電層のみにキャリア収集の機能を担わせると、抵抗損が著しく大きくなるため透明導電の上に低抵抗の金属材料(抵抗率:10−6Ωcmオーダー)からなるフィンガー電極が形成される。
光入射側透明導電層上には、フィンガー電極が形成される。フィンガー電極は、インクジェット法、スクリーン印刷法、導線接着法、スプレー法等の公知技術によって作製できるが、生産性の観点からスクリーン印刷法が好ましい。スクリーン印刷法では、金属粒子、樹脂バインダー、そして溶剤からなる導電ペーストとフィンガー電極パターンと対応した開口パターンを有するスクリーン版を用いて印刷し、フィンガー電極パターンを形成する工程が好ましく用いられる。なお、フィンガー電極パターンの導電性を十分低下させるためには、溶剤を取り除くだけでは不十分で、溶剤を取り除いた後に更に加熱を行う必要がある。このときの加熱条件は導電ペーストの特性に応じて決定し得るが、温度は100〜200℃の範囲に設定すればよい。
一方、アニール温度については温度が高すぎると、導電型非晶質シリコン系薄膜層から真性非晶質シリコン系薄膜層へのドーパントの拡散、透明導電層からシリコン領域への異種元素の拡散による不純物準位の形成、非晶質シリコン中での欠陥準位の形成などによって、特性が悪化してしまうことがある。そのため200℃以上の温度領域に長時間とどめることを避けることが望ましい。
なお、金属材料は不透明であるため、遮光損を抑制するため金属電極は、直線状の細線とし、シリコン基板の一辺に平行に、しかも一定間隔をおいて並べて配置するなどして、フィンガー電極による遮光面積を可能な限り小さくすることが望ましい。
セル外周部のキャリア収集について、図2を用いて説明する。
図2Aには、従来の太陽電池における基板端近傍のフィンガー電極の配置が記されている。フィンガー電極はそれぞれ距離dを介して、等間隔で基板端と直するように配置されている。また、シリコン基板の寸法精度は、高々ミリメートルオーダーであることから、フィンガー電極が裏面側に回り込むことがないよう、フィンガー電極の終端位置と基板端との距離(d )を1〜3mmとしておくことが望ましい。フィンガー電極間の点Aにてキャリアを収集する際には、電流は最大d/2の距離だけ透明導電層を流れることになる。一方、基板端近傍の点Bにてキャリアを収集する際には、点Bから最近接のフィンガー電極端までの距離、すなわち電流の経路が長くなるため、透明導電層での抵抗損が増加することになる。また、透明導電層の抵抗値が高くなるほど、抵抗損が増加する。この影響は太陽電池特性には、FFの低下として現れる。
図2Bには、本発明のヘテロ接合太陽電池における基板端近傍のフィンガー電極の配置が示されている。フィンガー電極の端部10において、前記基板端辺に平行な屈曲部9が接続している。また、この屈曲部9の先端は隣接するフィンガー電極と距離dだけ離間して位置している。フィンガー電極の抵抗は透明導電層の抵抗よりも著しく低く、屈曲部9の抵抗は実質的に無視することができる。このため、屈曲部9を設けることにより点Bとフィンガー電極の実質的な距離が短くなるため、透明導電層での抵抗損を抑制することができ、結果としてF.F.が向上する。
本発明者による検討によれば、このような抵抗損の抑制効果は、透明導電層のシート抵抗が30Ω/□以上のときに認められ、70Ω/□以上のときに効果はより顕著に認められた。なお、屈曲部の先端と隣接するフィンガー電極端の距離(d)は、フィンガー電極間距離dの1/4以上とすればよい。これは、1/4以下にしても、FFの向上に関しては更なる効果が得られないことから、単に遮光損を増やし、変換効率を低下させる原因となるためであり、また、フィンガー電極材料の使用量が増加することから不経済であるからでもある。屈曲部に流れる電流は、フィンガー電極を流れる電流よりも少ないことから、屈曲部の幅をフィンガー電極よりも狭くしても良い。これにより、遮光損およびフィンガー電極材料の使用量を減らすことが出来る。また、同様の理由により屈曲部の膜厚を直線部よりも小さくしても良い。また、接合部・屈曲部にはたらく応力を小さくすることができ、剥離の発生を防止することができるといった効果が得られる場合がある。
以上のことから、好ましい前記d、d、及びdの関係は、d>d>dを満たすことが好ましい。
図2Cは、屈曲部形状の一例を示す図であり、フィンガー電極と屈曲部とを図2Bのように直交させるのではなく、屈曲部とフィンガー電極とを曲線部を介して接続しても良い。このような形状にすることにより、接続部にはたらく応力を緩和させることができ、フィンガー電極および屈曲部の剥離を防止することが出来る場合がある。
また、屈曲部端部でフィンガー電極と接続する必要はなく、図2Dに示すように、屈曲部の両端部の間でフィンガー電極と接続してもよい。
以上は、基板端とフィンガー電極が直交する場合について説明したが、図2Eに示すように、基板端辺とフィンガー電極とが直交しない配置を含む場合は、屈曲部を基板端辺に平行に配置することにより、効率よく基板端近傍のキャリアの回収を行うことができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1は、本発明に従う実施例1の結晶シリコン系太陽電池を示す模式的断面図である。本実施例の結晶シリコン系太陽電池はヘテロ接合太陽電池であり、n型単結晶シリコン基板1の両面にそれぞれテクスチャを備えている。n型単結晶シリコン基板1の入射面にはi型非晶質シリコン層2/p型非晶質シリコン層3が製膜されている。その上に透明導電層6−2が形成され、その上にフィンガー電極7が形成されている。一方、基板1の裏面にはi型非晶質シリコン層4/n型非晶質シリコン層5が製膜されている。さらにその上に透明導電層6−1が形成され、その上に裏面金属電極8が形成されている。
図1に示す実施例1の結晶シリコン系太陽電池を以下のようにして製造した。
入射面の面方位が(100)で、厚みが200μmのn型単結晶シリコン基板を2重量%のHF水溶液に3分間浸漬し、表面の酸化シリコン膜を除去し、超純水によるリンスを2回行った。次に70℃に保持した5/15重量%のKOH/イソプロピルアルコール水溶液に15分間浸漬し、基板表面をエッチングすることでテクスチャを形成した。その後に超純水によるリンスを2回行った。原子間力顕微鏡(AFM パシフィックナノテクノロジー社製)による単結晶シリコン基板1の表面観察を行ったところ、基板表面はエッチングが最も進行しており、(111)面が露出したピラミッド型のテクスチャが形成されていた。
エッチングが終了した単結晶シリコン基板1をCVD装置へ導入し、入射面にi型非晶質シリコン層2を3nm製膜した。本実施例において製膜した薄膜の膜厚は、ガラス基板上に同条件にて製膜した場合の膜厚を分光エリプソメトリー(商品名VASE、ジェー・エー・ウーラム社製)にて測定し、製膜速度を求め、同じ製膜速度にて製膜されていると仮定して算出した。i型非晶質シリコン層2の製膜条件は基板温度が150℃、圧力120Pa、SiH/H流量比が3/10、投入パワー密度が0.011W/cmであった。i型非晶質シリコン層2の上にp型非晶質シリコン層3を4nm製膜した。p型非晶質シリコン層3の製膜条件は、基板温度が150℃、圧力60Pa、SiH/B流量比が1/3、投入パワー密度が0.01W/cmであった。なお、上記でいうBガスは、B濃度を5000ppmまでHで希釈したガスを用いた。
次に裏面側にi型非晶質シリコン層4を6nm製膜した。i型非晶質シリコン層4の製膜条件は基板温度が150℃、圧力120Pa、SiH/H流量比が3/10、投入パワー密度が0.011W/cmであった。i型非晶質シリコン層4上にn型非晶質シリコン層5を4nm製膜した。n型非晶質シリコン層5の製膜条件は、基板温度が150℃、圧力60Pa、SiH/PH流量比が1/2、投入パワー密度が0.01W/cmであった。なお、上記でいうPHガスには、PH濃度を5000ppmまでHで希釈したガスを用いた。
この上に透明導電層6−1および6−2として酸化インジウムを100nm製膜した。製膜条件は、基板温度を室温とし、ターゲットとして酸化インジウムを、0.2Paのアルゴン雰囲気中で0.5W/cmのパワー密度を印加して製膜した。透明導電層6−2形成後、裏面金属電極8としてスパッタ法により銀を500nm形成した。
上記の透明導電層製膜後に、銀ペーストを用いてスクリーン印刷により、集電極を形成し、フィンガー電極7とした。フィンガー電極の幅は100μm、間隔dは2.3mmとした。また、フィンガー電極端部と基板端部との距離dは2mmとした。なお、屈曲部は、図2Bに示すように屈曲部の端部において接続するように配置し、その長さDを1.15mmとした。
その後、オーブンに導入し、150℃で20分間、大気雰囲気にて第2のアニール工程を実施した。透明導電層のシート抵抗は150Ω/□であった。
(実施例2)屈曲部の長さDを0.58mmとした点を除いて実施例1と同様にして製造した。
(実施例3)屈曲部の長さDを0.07mmとした点を除いて実施例1と同様にして製造した。
(実施例4)屈曲部の長さDを1.73mmとした点を除いて実施例1と同様にして製造した。
(比較例1)屈曲部の長さをD2.3mmとした点を除いて実施例1と同様にして製造した。屈曲部は隣接する屈曲部と接続していた。
(比較例2)屈曲部の長さDを0mm、すなわち屈曲部を設けなかった点を除いて実施例1と同様にして製造した。
上記のようにして太陽電池セルをそれぞれ10個製造し、その出力特性を、AM1.5、0.1mW/cmの光照射特性を有するソーラーシミュレータを用いて測定し、開放端電圧(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、曲線因子(F.F.)、変換効率(Eff)を評価した。同一条件で形成したセル特性の平均値を表1に示す。
Figure 0005675476
実施例1と比較例1との比較から、屈曲部と隣接するフィンガー電極との距離(d)が、フィンガー電極間隔の1/2以上であれば、F.F.の変化は飽和することが読み取ることができる。一方、実施例1〜4および比較例1、2の比較から、屈曲部の長さDが短くなるほど電流が増加することが分かる。また、dを電極間距離の1/4以上とすれば、比較例よりもフィンガー電極材料の使用量と変換効率の少なくとも一方で優位であることが分かる。
1.n型単結晶シリコン基板
2.i型非晶質シリコン層
3.p型非晶質シリコン層
4.i型非晶質シリコン層
5.n型非晶質シリコン層
6−1、6−2.透明導電
7.フィンガー電極
8.裏面金属電極
9.屈曲部
10.屈曲部とフィンガー電極の接続部

Claims (8)

  1. 一導電型結晶シリコン基板を用いた結晶シリコン系太陽電池であって、
    前記結晶シリコン基板の一面に、実質的に真性なシリコン系薄膜層と、一導電型シリコン系薄膜層と、第一透明導電層と、がこの順に積層され、
    前記結晶シリコン基板の他面に、実質的に真性なシリコン系薄膜層と、前記一導電型とは逆の導電型シリコン系薄膜層と、第二透明導電層と、がこの順に積層され、
    前記第一透明導電層および前記第二透明導電層のいずれか一方の上に、相互に平行に配置された複数の直線状フィンガー電極を備え、
    前記フィンガー電極の端部は、前記結晶シリコン基板の基板端辺から離間しており、
    記フィンガー電極の全ては、その端部に、前記結晶シリコン基板の基板端辺の中で当該フィンガー電極の端部に最近接の端辺に平行でかつ隣接フィンガー電極と離間して設けられた屈曲部が接続されており、
    前記フィンガー電極の端部以外には屈曲部が接続されていないことを特徴とする結晶シリコン系太陽電池。
  2. 一導電型結晶シリコン基板を用いた結晶シリコン系太陽電池であって、
    前記結晶シリコン基板の一面に、実質的に真性なシリコン系薄膜層と、一導電型シリコン系薄膜層と、第一透明導電層と、がこの順に積層され、
    前記結晶シリコン基板の他面に、実質的に真性なシリコン系薄膜層と、前記一導電型とは逆の導電型シリコン系薄膜層と、第二透明導電層と、がこの順に積層され、
    前記第一透明導電層および前記第二透明導電層のいずれか一方の上に、相互に平行に配置された複数の直線状フィンガー電極を備え、
    前記フィンガー電極の端部は、前記結晶シリコン基板の基板端辺から離間しており、
    2以上の前記フィンガー電極の端部には、前記結晶シリコン基板の基板端辺の中で当該フィンガー電極の端部に最近接の端辺に平行でかつ隣接フィンガー電極と離間して設けられた屈曲部が接続されており、
    前記屈曲部の膜厚は、前記フィンガー電極の膜厚よりも小さく、
    前記フィンガー電極の端部以外には屈曲部が接続されていないことを特徴とする結晶シリコン系太陽電池。
  3. 前記複数のフィンガー電極の少なくとも1つは、前記結晶シリコン基板の端辺の中で当該フィンガー電極の端部に最近接の端辺と直交しておらず、
    当該フィンガー電極の端部に設けられた屈曲部は、前記最近接の端辺と平行に設けられている、請求項1または2に記載の結晶シリコン系太陽電池。
  4. フィンガー電極間距離dと、屈曲部長さDとの差d=d−Dが、フィンガー電極間距離dの1/4以上である請求項1〜3のいずれかに記載の結晶シリコン系太陽電池。
  5. 隣接するフィンガー電極間の距離d;前記結晶シリコン基板の基板端辺から前記フィンガー電極の端部までの距離d;および前記dと前記屈曲部の長さDとの差d=d−Dが、d>d>dの関係を満たす、請求項1〜4のいずれかに記載の結晶シリコン系太陽電池。
  6. 前記結晶シリコン基板と前記フィンガー電極との間に設けられた透明導電層の膜厚が60nm以上200nm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の結晶シリコン系太陽電池。
  7. 前記結晶シリコン基板と前記フィンガー電極との間に設けられた透明導電層のシート抵抗が30Ω/□以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の結晶シリコン系太陽電池。
  8. 前記屈曲部の幅が、前記フィンガー電極の幅よりも小さい、請求項1〜7のいずれかに記載の結晶シリコン系太陽電池。
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