本発明に係る単位画素及び該単位画素を有する固体撮像装置並びに該固体撮像装置を有する測距システムについて、好適な実施の形態を掲げて添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
図1は、実施の形態にかかる固体撮像装置を有する測距システム10の概略構成を示す図である。図1に示すように、測距システム10は、照射装置12、撮像部14、演算部16、制御部18、及び電源20を備える。
電源20は、測距システム10の各部に所定の電源電圧を供給するものであり、図1においては、簡単のため、電源20から各装置への電源線の表示を省略する。
照射装置12は、測距対象Wに対してパルス光Lpを照射するものであり、照射装置12は、制御部18の制御下で、パルス光Lpを出力する発光部24を有する。発光部24は、コンデンサと発光素子を有し、コンデンサが保持した電荷が発光ダイオードに供給されることで光を発光する。
発光部24は、赤外光を発光する。例えば、波長が870ナノメートル(nm)の赤外光を100ワット(W)の出力で照射可能である。発光部24は、パルス光Lpを100(ナノ秒)の出力時間(パルス幅)で出力する。
なお、発光部24は、リニアアレイ状の複数の発光点を有していてもよく、あるいは、マトリックス状に並べられた複数の発光点を有するものであってもよい。発光素子としてレーザダイオードや発光ダイオード(LED)等のその他の発光素子を用いてもよい。
この測距システム10では、照射装置12から照射されたパルス光Lpが測距対象Wで反射し、撮像部14に入射する。なお、説明の便宜のため、照射装置12から測距対象Wまでのパルス光Lpを照射光Leと、測距対象Wから撮像部14までのパルス光Lpを反射光Lrと呼ぶ。
撮像部14は、レンズ26と、固体撮像装置28とを有する。レンズ26を透過した反射光Lr及び環境光Lsは、固体撮像装置28に集光され、固体撮像装置28によって受光される。固体撮像装置28は、照射装置12が照射するパルス光Lp及び環境光Lsに対して感度を有する。演算部16は、固体撮像装置28が受光期間で取り込んだ光電子数の輝度情報に基づいて測距対象Wまでの距離を算出する。
図2は、固体撮像装置28の構成を示す図である。固体撮像装置28は、マトリックス状に単位画素30が配置された画素アレイ32と、画素駆動回路(画素駆動部)34と、サンプルホールド回路36と、水平選択回路38と、出力バッファ40と、A/D変換器42とを有する。
電源20は、画素アレイ32に対して正の電源電圧Vddを印加するとともに、リセット電圧Vrefを印加する。画素駆動回路34は、ゲート駆動回路44と、垂直選択回路46を有し、ゲート駆動回路44は、各種ゲート駆動信号を出力することにより画素アレイ32の各単位画素30の光電子の保持、転送、及び排出等を行う。垂直選択回路46は、マルチプレクサ(図示略)を有し、読み出しを行う単位画素30が属する行に対して選択的に、該単位画素30が保持した光電子に対応する電圧信号(画素信号)を出力させる。水平選択回路38は、別のマルチプレクサ(図示略)を有し、読み出しを行う単位画素30が属する列を選択する。読み出された画素信号は、サンプルホールド回路36に一端保持された後、水平選択回路38を介して出力される。そして、出力バッファ40及びA/D変換器42を介して演算部16に出力される。なお、制御部18及び演算部16は、固体撮像装置28上に形成してもよい。
図3は、図2に示す固体撮像装置28を構成する単位画素30の一部を示す平面図である。単位画素30は、複数の受光装置100を有する。本実施の形態では、単位画素30は、4つの受光装置100を有し、行列状に配置されている。図4及び図5は、図3に示す受光装置100の断面図であり、詳しくは、図4は、図3のIV−IV線矢視断面図であり、図5は、図3のV−V線矢視断面図である。
単位画素30は、行列状に配置された4つの受光装置100を有する。受光装置100は、p型(第1導電型)半導体基板102上に形成された光電変換素子104と、4つの光電子振分部106と、2つの光電子排出部108とを有する。光電変換素子104は、p型(第1導電型)半導体基板102上に絶縁体(図示略)を介して形成された電極(以下、フォトゲート110と呼ぶ)110を有するフォトゲート110構造を有している。光電変換素子104は、光を検知して、光電子(負電荷)を発生する(検知した光を光電子に変換する)フォトダイオードである。フォトゲート110には、光電変換素子104を駆動するためのゲート駆動信号Saがゲート駆動回路44から入力される。
光電子振分部106は、第1転送部112、光電子保持部114、第2転送部116、及び浮遊拡散層118を有する。第1転送部112は、光電変換素子104に発生した光電子を光電子保持部114に転送するためのものであり、p型半導体基板102上に前記絶縁体を介して形成された電極(第1転送ゲート)120を有するMOSダイオード構造を有している(図4参照)。第1転送ゲート120には、ゲート駆動回路44から第1転送部112を駆動させるためのゲート駆動信号Sbが入力される。光電子保持部114は、光電変換素子104に対して第1転送部112を挟んで反対側に配置され、光電変換素子104が発生した光電子を一時的に保持するものであり、p型半導体基板102上に前記絶縁体を介して形成された電極(保持ゲート)122を有するMOSダイオード構造を有している(図4参照)。保持ゲート122には、ゲート駆動回路44から光電子保持部114を駆動させるためのゲート駆動信号Scが入力される。
第2転送部116は、第1転送部112に対して光電子保持部114を挟んで反対側に配置され、光電子保持部114が保持した光電子を転送するものであり、p型半導体基板102上に前記絶縁体を介して形成された電極(第2転送ゲート)124を有するMOSダイオード構造を有している(図4参照)。第2転送ゲート124には、ゲート駆動回路44から第2転送部116を駆動させるためのゲート駆動信号Sdが入力される。浮遊拡散層118(FD;フローティングディフュージョン)118は、光電子保持部114に対して第2転送部116を挟んで反対側に配置され、光電子保持部114から転送されてくる光電子を取り込み、電圧に変換させるためのものであり、p型半導体基板102上にn型(第2導電型)不純物が形成されたものである。
図3に示すように、4つの光電子振分部106は、光電変換素子104を挟んで垂直方向(左右方向)に対称的に2つずつ設けられており、左右にそれぞれ上下1つずつ設けられている。また、互いに水平方向に隣り合う単位画素30の受光装置100は、その間に設けられている2つの浮遊拡散層118を共有している。つまり、受光装置100は、受光装置100の浮遊拡散層118の一部を互いに共有している。
図4に示すように、浮遊拡散層118には、浮遊拡散層118の電位を基準電位にリセットするリセット用トランジスタ126が接続されている。リセット用トランジスタ126のソースは浮遊拡散層118に接続され、ドレインには電源20からのリセット電圧Vrefが印加され、ゲートには、ゲート駆動回路44からリセット信号Rが供給される。ハイのリセット信号Rがリセット用トランジスタ126のゲートに供給されると、リセット用トランジスタ126がオンとなり、浮遊拡散層118の電位が基準電位にリセットされる。
また、浮遊拡散層118には、浮遊拡散層118が保持した光電子に応じた電圧信号を読み出すための信号読出用トランジスタ130が接続される。信号読出用トランジスタ130には、該信号読出用トランジスタ130によって読み出された電圧信号を信号読出線132に出力するかを選択するための選択用トランジスタ134が接続されている。信号読出用トランジスタ130のドレインは、電源20からの電源電圧Vddが印加され、ゲートには、浮遊拡散層118に接続され、ソースは、選択用トランジスタ134のドレインに接続される。選択用トランジスタ134に垂直選択回路46からハイの選択信号Ssが供給されると、選択用トランジスタ134がオンになり、浮遊拡散層118が保持した光電子に対応する電圧が信号読出線132から読み出される。選択用トランジスタ134のソースは、信号読出線132が接続されている。
光電子排出部108は、第3転送部140と、拡散層142とを有する。第3転送部140は、光電変換素子104が発生した光電子を拡散層142に転送するためのものであり、p型半導体基板102上に前記絶縁体を介して形成された電極(第3転送ゲート)144を有するMOSダイオード構造を有している(図5参照)。
拡散層142は、光電変換素子104に対して第3転送部140を挟んで反対側に配置され、拡散層142には、電源20からの電源電圧Vddが印加されている。ゲート駆動回路44から第3転送ゲート144に排出信号Seが入力されると、光電変換素子104が発生した光電子は、第3転送部140を介して拡散層142から排出される。
図3に示すように、2つの光電子排出部108は、光電変換素子104を挟んで垂直方向(上下方向)に対称的に1つずつ設けられている。また、互いに上下方向に隣り合う単位画素30の受光装置100は、その間に設けられている拡散層142を共有している。つまり、受光装置100は、受光装置100の拡散層142の一部を互いに共有している。
図6は、光電変換素子104、第1転送部112、光電子保持部114、及び第2転送部116による光電子の移動状態を示すポテンシャル図である。
図6Aは、光電変換素子104によって光電子が発生しているときのポテンシャル図を示すものであり、図6B、Cは、光電変換素子104が発生した光電子を光電子保持部114に転送するときのポテンシャル図を示すものであり、図6Dは、光電子保持部114で光電子を保持しているときのポテンシャル図であり、図6Eは、光電子保持部114が保持した光電子を浮遊拡散層118に転送するときのポテンシャル図を示すものである。
図6Aに示すように、フォトゲート110にハイ(High)のゲート駆動信号Saを入力することで、光電変換素子104にポテンシャル位置は下がり、発生した光電子e−が光電変換素子104に溜まっていく。そして、図6Bに示すように、第1転送ゲート120にハイのゲート駆動信号Sbを入力することで、光電変換素子104が発生した光電子e−は光電子保持部114に転送される。なお、このとき、保持ゲート122にハイのゲート駆動信号Scが入力されている。さらに、フォトゲート110にロー(Low)のゲート駆動信号Saを入力することで、光電変換素子104のポテンシャル位置が上がって(図6C参照)、光電変換素子104に発生した光電子e−は、光電子保持部114に転送され、その後、第1転送ゲート120にローのゲート駆動信号Sbを入力して、図6Dに示すように光電変換素子104が発生した光電子を光電子保持部114に保持させる。この図6A〜図6Cの状態を繰り返すことで、複数回の受光期間(光電子を発生する期間)に光電変換素子104が発生した光電子を光電子保持部114に保持させることができる。
その後、図6Eに示すように、第2転送ゲート124にハイのゲート駆動信号Sdを入力することで、第2転送部116のポテンシャル位置が下がり、保持ゲート122にローのゲート駆動信号Scを入力することで、光電子保持部114のポテンシャル位置が上がるとともに、光電子保持部114が保持した光電子e−が浮遊拡散層118に転送される。
なお、図7に示すように、受光中も第1転送ゲート120にハイのゲート駆動信号Sbを入力することで、受光及び光電変換素子104で発生した光電子の転送を同時に行ってもよい。
図8は、受光装置100の回路構成の一例を示す図である。受光装置100の光電変換素子104が保持した光電子は、転送経路146a、146b、146c、146dを介して光電子振分部106a、106b、106c、106dの浮遊拡散層118に転送される。転送経路146a、146b、146c、146dは、図3及び図4で示した光電子振分部106a、106b、106c、106dの第1転送部112、光電子保持部114、第2転送部116により構成される。光電子振分部106a、106b、106c、106dの浮遊拡散層118には、1つのリセット用トランジスタ126のソースが接続されるとともに、1つの信号読出用トランジスタ130のゲートが接続される。
各浮遊拡散層118に、光電子振分部106a、106b、106c、106dの各光電子保持部114が保持した光電子が転送される前に、リセット用トランジスタ126がオンになることによって各浮遊拡散層118が基準電位にリセットされ、そのときの各浮遊拡散層118の電圧(以下、黒レベル)が読み出される。その後、光電子振分部106a、106b、106c、106dの光電子保持部114が保持した光電子が順次浮遊拡散層118に転送される。各浮遊拡散層118に転送された光電子が順次信号読出用トランジスタ130によって電圧信号(信号レベル)に変換されて、選択用トランジスタ134を介して信号読出線132から読み出される。
詳しくは、リセット用トランジスタ126をオンにすることで、各浮遊拡散層118の電位がリセットされ、黒レベルが読み出される。その後、光電子振分部106aの光電子保持部114が保持している光電子が浮遊拡散層118に転送され、該転送された光電子に応じた電圧信号(信号レベル)が信号読出線132から読み出される。次に、リセット用トランジスタ126をオンにすることで、各浮遊拡散層118の電位がリセットされ、黒レベルが読み出される。その後、光電子振分部106bの光電子保持部114が保持している光電子が浮遊拡散層118に転送され、該転送された光電子に応じた電圧信号(信号レベル)が信号読出線132から読み出される。そして、リセット用トランジスタ126をオンにすることで、各浮遊拡散層118の電位がリセットされ、黒レベルが読み出される。その後、光電子振分部106cの光電子保持部114が保持している光電子が浮遊拡散層118に転送され、該転送された光電子に応じた電圧信号(信号レベル)が信号読出線132から読み出される。最後に、リセット用トランジスタ126をオンにすることで、各浮遊拡散層118の電位がリセットされ、黒レベルが読み出される。その後、光電子振分部106dの光電子保持部114が保持している光電子が浮遊拡散層118に転送され、該転送された光電子に応じた電圧信号(信号レベル)が信号読出線132から読み出される。
このように、受光装置100の光電子振分部106a、106b、106c、106dの光電子保持部114が保持した光電子に応じた電圧信号は、同一の信号読出線132から読み出されることになる。なお、図8では、光電子排出部108の図示を省略している。
図9は、図8に示す受光装置100を用いて図3に示す単位画素30を構成したときの回路図である。単位画素30は、4つの受光装置100を有し、受光装置100は、図3で示したように、1つの光電変換素子104と、4つの光電子振分部106a、106b、106c、106dと、2つの光電子排出部108とを有する。全受光装置100の光電子振分部106a、106b、106c、106dの各浮遊拡散層118は、リセット用トランジスタ126のソース、及び、信号読出用トランジスタ130のゲートに接続されている。
リセット用トランジスタ126をオンにすることで、各光電子振分部106a、106b、106c、106dの各浮遊拡散層118の電位がリセットされ、黒レベルが読み出される。その後、単位画素30の各光電子振分部106aの光電子保持部114が保持している光電子が各光電子振分部106aの浮遊拡散層118に転送され、該転送された光電子に応じた電圧信号(信号レベル)が信号読出線132から読み出される。つまり、単位画素30の各受光装置100の光電子振分部106aの浮遊拡散層118に転送された光電子を合算(加算)した光電子数に応じた電圧信号が信号読出線132から読み出される。
次に、リセット用トランジスタ126をオンにすることで、各光電子振分部106a、106b、106c、106dの各浮遊拡散層118の電位がリセットされ、黒レベルが読み出される。その後、単位画素30の各光電子振分部106bの光電子保持部114が保持している光電子が各光電子振分部106bの浮遊拡散層118に転送され、該転送された光電子に応じた電圧信号(信号レベル)が信号読出線132から読み出される。つまり、単位画素30の各受光装置100の光電子振分部106bの浮遊拡散層118に転送された光電子を合算した光電子数に応じた電圧信号が信号読出線132から読み出される。
そして、リセット用トランジスタ126をオンにすることで、各光電子振分部106a、106b、106c、106dの各浮遊拡散層118の電位がリセットされ、黒レベルが読み出される。その後、単位画素30の各光電子振分部106cの光電子保持部114が保持している光電子が各光電子振分部106cの浮遊拡散層118に転送され、該転送された光電子に応じた電圧信号(信号レベル)が信号読出線132から読み出される。つまり、単位画素30の各受光装置100の光電子振分部106cの浮遊拡散層118に転送された光電子を合算した光電子数に応じた電圧信号が信号読出線132から読み出される。
最後に、リセット用トランジスタ126をオンにすることで、各光電子振分部106a、106b、106c、106dの各浮遊拡散層118の電位がリセットされ、黒レベルが読み出される。その後、単位画素30の各光電子振分部106dの光電子保持部114が保持している光電子が各光電子振分部106dの浮遊拡散層118に転送され、該転送された光電子に応じた電圧信号(信号レベル)が信号読出線132から読み出される。つまり、単位画素30の各受光装置100の光電子振分部106dの浮遊拡散層118に転送された光電子を合算した光電子数に応じた電圧信号が信号読出線132から読み出される。このように、単位画素30の受光装置100の光電子保持部114が保持した光電子に応じた電圧信号は、全て同一の信号読出線132から読み出される。
ここで、図9に示すように、単位画素30の各受光装置100の光電子振分部106a、106b、106c、106dの転送方向は異なる。例えば、右上の受光装置100の光電子振分部106aの転送方向は右上となり、右下の受光装置100の光電子振分部106aの転送方向は右下となり、左上の受光装置100の光電子振分部106aの転送方向は左上となり、左下の受光装置100の光電子振分部106aの転送方向は、左下となる。
また、図9に示すように、右上の受光装置100の光電子振分部106c、光電子振分部106dと、左上の受光装置100の光電子振分部106b、光電子振分部106dとは互いに浮遊拡散層118を共有しており、右下の受光装置100の光電子振分部106d、106bと、左下の受光装置100の光電子振分部106d、106cとは互いに浮遊拡散層118を共有している。
なお、図10に示すように受光装置100は、2つの信号読出線132a、132bを有してもよい。この場合は、例えば、光電子振分部106a、106bの浮遊拡散層118に転送された光電子に応じた電圧信号が信号読出線132aから、光電子振分部106c、106dの浮遊拡散層118に転送された光電子に応じた電圧信号が信号読出線132bからそれぞれ読み出される。図10に示す受光装置100では、リセット用トランジスタ126a、126b、126c、126dのソースが光電子振分部106a、106b、106c、106dの浮遊拡散層118に接続され、ドレインには電源20からのリセット電圧Vrefが印加される。また、リセット用トランジスタ126a、126b、126c、126dのゲートには、リセット信号R1、R2、R3、R4が供給される。また、光電子振分部106a、106b、106c、106dの浮遊拡散層118には、信号読出用トランジスタ130a、130b、130c、130dのゲートが接続されており、選択用トランジスタ134a、134b、134c、134dのゲートには、選択信号Ss1、Ss2、Ss3、Ss4が供給される。要は、信号読出線132が受光装置100の複数の浮遊拡散層118に接続されていればよい。
このように、図10に示す受光装置100を用いて、光電子保持部114が保持している光電子を独立した信号読出用トランジスタ130を介して読み出してもよい。
図11は、図3に示す単位画素と別の例を示す単位画素の平面図である。なお、図3に示す構成と同様の構成については同一の符号を付している。単位画素30は、4つの受光装置100を有し、行列状に配置されている。受光装置100は、光電変換素子104と、3つの光電子振分部106と、1つの光電子排出部108を有する。3つの光電子振分部106は、光電変換素子104を挟んで水平方向に対称的に1つずつ設けられ、光電変換素子104の上側、又は下側に1つ設けられている。また、光電子排出部108は、光電変換素子104の下側、又は上側に設けられ、光電子振分部106が設けられていない側に設けられる。単位画素30の上側2つの受光装置100は、光電変換素子104の上側に光電子振分部106が設けられ、下側に光電子排出部108が設けられる。単位画素30の下側2つの受光装置100は、光電変換素子104の下側に光電子振分部106が設けられ、上側に光電子排出部108が設けられる。このような構成を有することで、互いに上下方向で隣り合う単位画素30の受光装置100は、その間に設けられている拡散層142を共有する。また、互いに水平方向に隣り合う単位画素30の受光装置100は、その間に設けられている浮遊拡散層118を共有している。
次に、本実施の形態における測距(距離計測)の方法について説明するが、測距方法を説明する前に、測距対象Wからの反射光Lrと、受光期間との関係について説明する。図12は、各測距対象Wに同時に照射装置12から照射光Leを照射して、ある受光期間における、各測距対象Wからの反射光Lr1〜反射光Lr7が固体撮像装置28に入射するタイミングを示すタイムチャートであり、図13は、固体撮像装置28が各反射光Lr1〜Lr7を受光して得られた光電子数を示すグラフ図である。反射光Lr1〜反射光Lr7の固体撮像装置28への入射タイミングが異なるのは、固体撮像装置28から測距対象Wまでの距離が異なるからであり、測距対象Wまでの距離が遠くなればなるほど、反射光Leの固体撮像装置28への到達タイミングも遅くなる。したがって、反射光Lr1を反射した測距対象Wが最も固体撮像装置28に近く、反射光Lr7を反射した測距対象Wが最も固体撮像装置28に遠いことになる。
図12に示すように、反射光Lr1は、受光開始時に、固体撮像装置28への入射が終了しているので、図13に示すように、反射光Lr1によって得られる光電子数は0となる。図12に示すように、反射光Lr2は、受光開始前から固体撮像装置28への入射が開始され、受光が終了する前に、固体撮像装置28への入射が終了しているので、反射光Lr2によって得られる光電子数は、反射光Lr1によって得られる光電子数より多い。
図12に示すように、反射光Lr3は、受光開始前から固体撮像装置28への入射が開始され、受光が終了するときに固体撮像装置28への入射が終了しているので、図13に示すように、反射光Lr3によって得られる光電子数が反射光Lr2によって得られる光電子数より多い。この反射光Lr3は、受光期間中、固体撮像装置28に入射しているので、反射光Lr3によって得られる光電子数は最大値となる。
図12に示すように、反射光Lr4は、受光開始前から固体撮像装置28への入射が開始され、受光が終了した後に固体撮像装置28への入射が終了しているので、図13に示すように、反射光Lr4によって得られる光電子数は、反射光Lr3によって得られる光電子数と同じになる。図12に示すように、反射光Lr5は、受光開始時に固体撮像装置28への入射が開始し、受光が終了した後に固体撮像装置への入射が終了しているので、反射光Lr5によって得られる光電子数は、反射光Lr3、Lr4によって得られる光電子数と同じになる。
図12に示すように、反射光Lr6は、受光開始後、受光終了前に固体撮像装置28への入射が開始し、受光が終了した後に固体撮像装置28への入射が終了しているので、図13に示すように、反射光Lr6によって得られる光電子数は、反射光Lr3、Lr4、Lr5によって得られる光電子数より少ない。図12においては、反射光Lr6が受光期間に固体撮像装置28に入射する期間は、反射光Lr2が受光期間に固体撮像装置28に入射する期間と同じであるので、反射光Lr6によって得られる光電子数は、反射光Lr2によって得られる光電子数と同じである。
図12に示すように、反射光Lr7は、受光終了時に固体撮像装置28への入射が開始されるので、図13に示すように、反射光Lr7によって得られる光電子数は0となる。
このように、同一の受光期間で、距離が異なる測距対象Wからの反射光Lrを、測距対象W毎に受光していくと、測距対象Wの距離が徐々に遠くなるにつれ、固体撮像装置28に発生する光電子数は徐々に増加し、測距対象Wがある一定の距離範囲遠くなると、固体撮像装置28に発生する光電子数は最大となり、さらに、一定の距離範囲以上測距対象Wが遠くなると、固体撮像装置28に発生する光電子数は徐々に低下して、最後は0となる。なお、受光期間とは、受光した光に応じて光電子を発生して蓄積する期間(蓄積期間)のことをいう。
なお、図12、図13では、受光期間を固定し、反射光Lrが固体撮像装置28に入射するタイミングをずらすようにしたが、これは、受光期間のタイミングと反射光Lrの入射タイミングとの相対的なものであるので、反射光Lrが固体撮像装置28に入射するタイミングを固定し、受光期間のタイミングを徐々にずらした場合であっても、各受光期間で得られた光電子数は、図13に示すものと同様のグラフが得られる。
図14は、測距対象Wに照射装置12から照射光Leを照射し、その反射光Lrを受光する受光期間をずらしていった場合の複数の受光期間の受光タイミングを示すタイムチャートであり、各受光期間で得られた光電子数を示すグラフ図は図13と同様になる。この場合は、図13の各反射光Lr1〜7は、受光期間1〜7と読みかえることになる。
次に、測距方法について説明する。図15は、本実施の形態の距離計測における照射光Leの照射タイミング、及び、固体撮像装置28の受光タイミングを示す図である。照射装置12は、交互に第1照射タイミングと第2照射タイミングで照射光Leを所定時間照射する。つまり、第1照射タイミングと第2照射タイミングとにおける照射時間は同一時間である。第2照射タイミングは、第1照射タイミングと位相が半周期と一定時間(Δt)ずれている。図15において照射光Leは、発光強度が一定となる期間を有する。第1照射タイミング及び第2照射タイミングは所定の周期で到来する。
固体撮像装置28の受光装置100は、第1受光期間〜第4受光期間で、光電変換素子104に入射した反射光Lrを受光する(光電変換素子104に入射した反射光Lrに応じた光電子数を発生する)。第1受光期間及び第2受光期間の受光タイミングは、第1照射タイミングに対して予め決められた受光期間であり、第3受光期間及び第4受光期間の受光タイミングは、第2照射タイミングに対して予め決められた受光期間である。第1受光期間〜第4受光期間の長さは同じであり、第1受光期間〜第4受光期間は、照射装置12が照射光Leを照射する前記所定時間以下の時間である。第1受光期間〜第4受光期間は、前記所定の周期で到来する。第3受光期間は、第1受光期間と位相が半周期ずれており、第4受光期間は、第2受光期間と位相が半周期ずれている。第1照射タイミング及び第2照射タイミングと、第1受光期間〜第4受光期間とは、測距検知範囲に基づいて決められている。測距検知範囲とは、距離を計測することができる距離範囲(例えば、5m先から20m先までの範囲)のことである。
光は、1nsec(ナノセック)で、30cm進むので、往復を考慮して片道で15cmとなる。したがって、受光期間が100nsecの場合はは、15(cm)×100(nsec)の測距検知範囲となるが、前記一定時間(Δt)の設定によって、Δt(nsec)×15(cm)だけ測距検知範囲は短くなる。このように、測距検知範囲にしたがって、受光期間とΔtの設定値が決定され、制御部18によって設定される。
図15に示すように照射光Leがパルス光Lpの場合は、第1受光期間及び第3受光期間は、反射光Lrが固体撮像装置28に到達するタイミングを含む期間であり、第2受光期間及び第4受光期間は、反射光Lrが固体撮像装置28に到達してから所定時間経過後のタイミングを含む期間であり、反射光Lrの固体撮像装置28への到達が終了するタイミングを含む期間である。
なお、図16に示すように、実際は、発光部24のデバイス特性等により照射光Leが矩形波のパルス光Lpとならない可能性が高く、照射光Leが矩形パルス光Lpでない場合は、第1受光期間及び第3受光期間は、反射光Lrが固体撮像装置28に到達してから該反射光Lrの強度が最大になるまでのタイミングを含む時間である。照射光Leがパルス光Lpの場合は、反射光Lrが固体撮像装置28に到達するタイミングと、該反射光Lrの強度が最大になるまでのタイミングは同時である。照射光Leが矩形波のパルス光Lpでない場合は、第2受光期間及び第4受光期間は、固体撮像装置28に到達する反射光Lrの強度が減少してから反射光Lrの固体撮像装置28への到達が終了するまでのタイミングを含む時間である。照射光Leがパルス光Lpの場合は、固体撮像装置28に到達する反射光Lrの強度が減少するタイミングと、反射光Lrの固体撮像装置28への到達が終了するタイミングは同時である。
図17は、単位画素30の駆動動作を示すタイムチャートである。図17に示すように、1枚の輝度画像を撮像する1フレーム期間は、露光期間と読出期間を有し、露光期間は、光電変換素子104に受光を行わせ、読出期間は、露光期間によって得られた光電子を信号読出線132から読み出すための期間である。
露光期間は、光電変換素子104のフォトゲート110にゲート駆動信号Saを供給することで、光電変換素子104に入射光量に応じた光電子を発生させる期間である。露光期間に照射装置12が発光信号を発光部24に供給することで発光部24を駆動させ、照射光Leを測距対象Wに照射するとともに、フォトゲート110にゲート駆動信号Saを供給して、光電変換素子104に受光を行わせる。照射装置12は、第1照射タイミング及び第2照射タイミングで照射光Leを照射するように発光部24を駆動させ、ゲート駆動回路44は、第1受光期間〜第4受光期間で受光するようにゲート駆動信号Saをフォトゲート110に供給する。1フレーム期間の露光期間中に、第1照射タイミング及び第2照射タイミングでの照射、及び、第1受光期間〜第4受光期間での受光が所定回数(例えば、100回)繰り返し行われ、受光期間中に発生した光電子が光電子振分部106a、106b、106c、106dによって光電子保持部114に転送される。
例えば、第1受光期間で光電変換素子104に発生した光電子数Qaは、光電子振分部106aの光電子保持部114に転送され、第2受光期間で光電変換素子104に発生した光電子数Qbは、光電子振分部106bの光電子保持部114に転送され、第3受光期間で光電変換素子104に発生した光電子数Qcは、光電子振分部106cの光電子保持部114に転送され、第4受光期間で光電変換素子104に発生した光電子数Qdは、光電子振分部106dの光電子保持部114に転送される。この光電子振分部106a、106b、106c、106dの駆動は、上述したようにゲート駆動回路44から送られてくるゲート駆動信号によって行われる。
そして、受光期間が終了し、読出期間に入ると、光電子振分部106a、106b、106c、106dの光電子保持部114が保持した光電子が、信号読出線132から順次読み出される。
なお、第1受光期間〜第4受光期間以外の期間に、光電変換素子104に入射した光により発生した光電子は、ゲート駆動回路44から第3転送ゲート144に排出信号Seが入力され、第3転送部140を介して拡散層142から排出される。
演算部16は、信号読出線132を介して読み出された各画素の光電子振分部106aの光電子保持部114が保持した光電子数Qaに応じた電圧信号VQaと、光電子振分部106bの光電子保持部114が保持した光電子数Qbに応じた電圧信号VQbと、光電子振分部106cの光電子保持部114が保持した光電子数Qcに応じた電圧信号VQcと、光電子振分部106dの光電子保持部114が保持した光電子数Qdに応じた電圧信号VQdとを用いて、測距対象Wまでの距離を算出する。
詳しくは、演算部16は、第1受光期間で得られた光電子数Qaに応じた電圧信号VQaと、第3受光期間で得られた光電子数Qcに応じた電圧信号VQcとから第1回帰直線を求めるとともに、第2受光期間で得られた光電子数Qbに応じた電圧信号VQbと、第4受光期間で得られた光電子数Qdに応じた電圧信号VQdとから第2回帰直線を求める。そして、演算部16は、第1回帰直線と第2回帰直線との交点から測距対象Wまでの距離を算出する。
図18は、演算部16による測距対象Wまでの距離の算出方法を説明する図であり、図18Aは、ある測距対象W1までの距離の算出方法を示す図であり、図18Bは、該ある測距対象W1より遠い距離の測距対象W2までの距離の算出方法を示す図である。
図18Aに示す参照符号150は、第1受光期間で得られた光電子数Qaに応じた電圧信号VQaと、第3受光期間で得られた光電子数Qcに応じた電圧信号VQcとから求められた第1回帰直線を示しており、参照符号152は、第2受光期間で得られた光電子数Qbに応じた電圧信号VQbと、第4受光期間で得られた光電子数Qdに応じた電圧信号VQdとから求められた第2回帰直線を示している。また、図18Aに示す点Aは、第1回帰直線150と第2回帰直線152との交点を示す。この交点Aが測距対象W1までの距離情報を示している。
また、図18Bに示す参照符号154は、第1受光期間で得られた光電子数Qaに応じた電圧信号VQaと、第3受光期間で得られた光電子数Qcに応じた電圧信号VQcとから求められた第1回帰直線を示しており、参照符号156は、第2受光期間で得られた光電子数Qbに応じた電圧信号VQbと、第4受光期間で得られた光電子数Qdに応じた電圧信号VQdとから求められた第2回帰直線を示している。また、図18Bに示す点Bは、第1回帰直線154と第2回帰直線156との交点を示す。この交点Bが測距対象W2までの距離情報を示している。
ここで、第1受光期間と第3受光期間とは、及び、第2受光期間と第4受光期間とは、位相が半周期ずれており、第1照射タイミングと第2照射タイミングは、半周期と一定時間(Δt)だけ位相がずれているので、第1受光期間及び第3受光期間で得られる光電子数は、同一の反射光Lrの立ち上がり(固体撮像装置28に入射するタイミングの反射光Lr)を異なる受光タイミングで受光して得られたものであり、第2受光期及び第4受光期間で得られる光電子数は、同一の反射光Lrの立ち下がり(固体撮像装置28への入射が終了するタイミングの反射光Lr)を、異なる受光タイミングで受光して得られたものであると見做すことができる。
図18A、図18Bに示す電圧信号VQaが電圧信号VQcより高いのは、図14に示すように、反射光Lrの立ち上がりを受光する受光期間においては、反射光Lrの固体撮像装置28への入射タイミングに対してより遅いほうが、より多くの光電子数を得ることができるからである。図18A、図18Bに示す電圧信号VQbが電圧信号VQdより低いのは、図14に示すように、反射光Lrの立ち下がりを受光する受光期間においては、反射光Lrの固体撮像装置28への入射タイミングに対してより遅いほうが、得られる光電子数が少なくなるからである。
図18Bに示す電圧信号VQa、VQcが図18Aに示す電圧信号VQb、VQdより低く、図18Bに示す電圧信号VQb、VQdが図18Aに示す電圧信号VQb、VQdより高いのは、固体撮像装置28から測距対象Wまでの距離がより長いほうが、反射光Lrが固体撮像装置28に到達するタイミングが遅くなるからであり、反射光Lrの立ち上がりを受光する場合は、反射光Lrが固体撮像装置28に到達するタイミングが遅くなるほど、得られる光電子数が少なくなるからであり、反射光Lrの立ち下がりを受光する場合は、反射光Lrが固体撮像装置28に到達するタイミングが遅くなるほど、得られる光電子数が多くなるからである。なお、図18A、図18Bで示す斜線で表されている台形の領域は、図14と同様に、受光タイミングが異なる複数の受光期間で得られた光電子数に応じた電圧信号を表している。
求められる交点の時間タイミングが早いほど(交点の横軸座標の値が小さいほど)測距対象Wが近いことを示しているので、図18Aの交点Aと図18Bの交点Bとをみるとわかるように、測距対象W1の反射光Lrから求めた交点Aは、測距対象W1より遠い測距対象W2の反射光Lrから求めた交点Bより時間タイミングが早くなる。この交点Aと交点Bとの時間差から、測距対象W1と測距対象W2との距離差を求めることができる。したがって、演算部16は、初期値として、固体撮像装置28から一定距離離れた基準測距対象からの反射光Lrから算出した交点の時間タイミングを基準タイミングとして記憶し、測距対象Wの反射光Lrから交点を求め、前記一定距離と、該求めた交点の時間タイミングと、基準タイミングとから、該測距対象Wまでの距離を求めることができる。詳しくは、該求めた交点の時間タイミングと基準タイミングとの時間差から、基準測距対象から測距対象Wまでの距離を求め、該求めた距離と前記一定距離とから、固体撮像装置28から測距対象Wまでの距離を求めることができる。
図18A、図18Bに示すように、交点A、交点Bの時間タイミングは、照射光Leの強度や環境光Lsに依存しないので、信頼性の高い距離情報を得ることができる。
なお、測距精度を確保するために、照射装置12は、発光強度が一定となる期間を有する照射光Leを照射する必要があるが(図15及び図16参照)、発光部24のコンデンサの電圧は、放電とともにその電位が低下するので、発光素子の発光強度も低下してしまう。したがって、本実施の形態では、図19に示すように、発光部24に、コンデンサ160と発光素子162の他にFET(電界効果トランジスタ)164をさらに備えさせることで、発光強度が一定となる期間を有する照射光Leを照射させるというものである。発光素子162は、コンデンサ160とFET164の間に介装され、FET164のソースは発光素子162に、ドレインはコンデンサ160に接続されている。
図20は、FET164のドレイン−ソース間の電圧と、ドレイン電流との関係を示す図であり、FET164の特性を示す。図20に示すように、ドレイン−ソース間の電圧がある一定値以上になると、ドレイン−ソース間の電圧にかかわらず、ドレイン電流は略一定の値となる。したがって、図19に示すコンデンサ160の放電によってコンデンサ160の電圧が低下した場合であっても、発光素子162に流れる電流(ドレイン電流)が一定となるようにドレイン−ソース間の電圧が低下するので、発光素子162にかかる電圧は略一定となり、発光素子162の発光強度を一定に保つことができる。照射装置12は、FET164のゲートにハイの発光信号を印加させることで、発光部24に光を発光させる。
実施の形態は、以下のように変形してもよい。
(変形例1)上記実施の形態では、照射光Leは、パルス光Lpとしたが、変形例1では、図21に示すように、照射光Leは、時間に比例して強度が徐々に強くなる第1期間と、時間に比例して強度が徐々に弱くなる第2期間とを含み、本変形例1においては、照射光Leは三角波である。この場合、第1受光期間及び第3受光期間は、第1期間に含まれる期間であり、第2受光期間及び第4受光期間は、第2期間に含まれる期間である。演算部16は、上述したように、この第1受光期間〜第4受光期間で得られた光電子数に応じた電圧信号を用いて測距対象Wまでの距離を算出する。変形例1でも、照射光Leの強度や環境光Lsに依存しない、信頼性の高い距離情報を得ることができる。変形例1における第1照射タイミング及び第2照射タイミングにおける照射時間(前記所定時間)は、測距検知範囲にしたがって制御部18が設定する。また、各受光期間内において光を検知できる期間に応じて測距検知範囲が定まる。
(変形例2)上記実施の形態及び上記変形例1では、第1受光期間〜第4受光期間で得られた光電子数に応じた電圧信号を用いて測距対象Wまでの距離を求めたが、変形例2においては、3つの受光期間で得られた光電子数に応じた電圧信号を用いて測距対象Wまでの距離を求めてもよい。
図22は、本変形例2における測距計測における照射光Leの照射タイミング、及び、固体撮像装置28の受光タイミングを示す図である。照射装置12は、交互に第1照射タイミング及び第2照射タイミングで照射光Leを所定時間照射する。第2照射タイミングは、第1照射タイミングと位相が半周期と一定時間(Δt)ずれている。図22において照射光Leは、発光強度が一定となる期間を有する。第1照射タイミング及び第2照射タイミングは所定の周期で到来する。第1照射タイミング及び第2照射タイミングにおける照射時間(前記所定時間)は、第1受光期間と第3受光期間の和と同じか、もしくは、和より長い時間である。
固体撮像装置28は、第1受光期間〜第3受光期間で、光電変換素子104に入射した反射光Lrを受光する(光電変換素子104に入射した反射光Lrに応じた光電子数を発生する)。第1受光期間及び第3受光期間の受光タイミングは、第1照射タイミングに対して予め決められた受光期間であり、第2受光期間の受光タイミングは、第2照射タイミングに対して予め決められた受光期間である。第1受光期間〜第3受光期間の長さは同じであり、第1受光期間〜第3受光期間は、照射装置12が照射光Leを照射する前記所定時間以下の時間である。第1受光期間〜第3受光期間は、前記所定の周期で到来する。第2受光期間は、第1受光期間と位相が半周期ずれており、第3受光期間は、固体撮像装置28に到達する第1照射タイミングで照射された照射光Leの反射光Lrの強度が一定となる時間である。第1照射タイミング及び第2照射タイミングと、第1受光期間〜第3受光期間とは、測距検知範囲に基づいて決められている。
図22に示すように照射光Leがパルス光Lpの場合は、第1受光期間及び第2受光期間は、反射光Lrが固体撮像装置28に到達してから所定時間経過後のタイミングを含む期間であり、反射光Lrの固体撮像装置28への到達が終了するタイミングを含む期間である。
なお、実際は、発光部24のデバイス特性等により照射光Leが矩形波のパルス光Lpとならない可能性が高く、図16に示すように、照射光Leが矩形波のパルス光Lpでない場合は、第1受光期間及び第2受光期間は、固体撮像装置28に到達する反射光Lrの強度が減少してから反射光Lrの固体撮像装置28への到達が終了するまでの時間を含む。照射光Leが矩形波のパルス光Lpの場合は、固体撮像装置28に到達する反射光Lrの強度が減少するタイミングと、反射光Lrの固体撮像装置28への到達が終了するタイミングとは同時となる。
光電変換素子104は、フォトゲート110にハイのゲート駆動信号が入力されている期間だけ受光を行い、第1受光期間で光電変換素子104に発生した光電子Qaは、例えば、光電子振分部106aの光電子保持部114に転送され、第2受光期間で光電変換素子104に発生した光電子Qbは、例えば、光電子振分部106bの光電子保持部114に転送され、第3受光期間で光電変換素子104に発生した光電子Qcは、例えば、光電子振分部106cの光電子保持部114に転送される。
演算部16は、信号読出線132を介して読み出された各画素の光電子振分部106aの光電子保持部114が保持した光電子数Qaに応じた電圧信号VQaと、光電子振分部106bの光電子保持部114が保持した光電子数Qbに応じた電圧信号VQbと、光電子振分部106cの光電子保持部114が保持した光電子数Qcに応じた電圧信号VQcとを用いて、測距対象Wまでの距離を算出する。
詳しくは、演算部16は、第1受光期間で得られた光電子数Qaに応じた電圧信号VQaと、第2受光期間で得られた光電子数Qbに応じた電圧信号VQbとから回帰直線を求めるとともに、第3受光期間で得られた光電子数Qcに応じた電圧信号VQcと、該求めた回帰直線との交点から測距対象Wまでの距離を算出する。
図23は、変形例2の演算部16による測距対象Wまでの距離の算出方法を説明する図であり、図23Aは、ある測距対象W1までの距離の算出方法を示す図であり、図23Bは、該ある測距対象W1より遠い距離の測距対象W2までの距離の算出方法を説明する図である。
図23Aに示す参照符号170は、第1受光期間で得られた光電子数Qaに応じた電圧信号VQaと、第2受光期間で得られた光電子数Qbに応じた電圧信号VQbとから求められた回帰直線を示しており、参照符号172は、電圧が第3受光期間で得られた光電子数Qcに応じた電圧信号VQcとなる直線を示しており、交点Cは、回帰直線170と直線172との交点を示す。
図23Bに示す参照符号174は、第1受光期間で得られた光電子数Qaに応じた電圧信号VQaと、第2受光期間で得られた光電子数Qbに応じた電圧信号VQbとから求められた回帰直線を示しており、参照符号176は、電圧が第3受光期間で得られた光電子数Qcに応じた電圧信号VQcとなる直線を示しており、交点Dは、回帰直線174と直線176との交点を示す。
ここで、第1受光期間と第2受光期間とは、位相が半周期ずれており、第1照射タイミングと第2照射タイミングとは、半周期と一定時間(Δt)だけ位相がずれているので、第1受光期間及び第2受光期間で得られる光電子数は、同一の反射光Lrの立ち下がり(固体撮像装置28への入射が終了するタイミングの反射光Lr)を、異なる受光タイミングで受光して得られたものであると見做すことができる。
図23Bに示す電圧信号VQa、VQbが図23Bに示す電圧信号VQa、VQbより高いのは、固体撮像装置28から測距対象Wまでの距離が長いほうが、反射光Lrが固体撮像装置28に到達するタイミングが遅くなるからであり、反射光Lrの立ち下がりを受光する場合は、反射光Lrが固体撮像装置28に到達するタイミングが遅くなるほど、得られる光電子数が多くなるからである。図23Aにおける第3受光期間で得られた光電子数Qcに応じた電圧信号VQcと、図23Bにおける第3受光期間で得られた光電子数Qcに応じた電圧信号VQcとは、略同じ値である。なお、図23A、図23Bで示す斜線で表されている台形の領域は、図14と同様に、受光タイミングが異なる各受光期間で得られた光電子数に応じた電圧信号を表している。
求められる交点の時間タイミングが早いほど(交点の横軸座標の値が小さいほど)測距対象Wが近いことを示しているので、図23A及び図23Bに示すように、測距対象W1の反射光Lrから求めた交点Cは、測距対象W1より遠い測距対象W2の反射光Lrから求めた交点Dより時間タイミングが早くなる。この交点Cと交点Dとの時間差から、測距対象W1と測距対象W2との距離差を求めることができる。したがって、演算部16は、初期値として、一定距離離れた基準測距対象からの反射光Lrから算出した交点の時間タイミングを基準タイミングとして記憶し、測距対象Wの反射光Lrから交点を求め、前記一定距離と、該求めた交点の時間タイミングと、基準タイミングとから、該測距対象Wまでの距離を求めることができる。
図23A、図23Bに示すように、交点C、交点Dの時間タイミングは、照射光Leの強度や環境光Lsに依存しないので、信頼性の高い距離情報を得ることができる。
なお、上記変形例1のように、三角波の照射光Leを照射してもよい。また、変形例2では、固体撮像装置28に到達する第1照射タイミングで照射された照射光Leの反射光Lrの強度が一定となる時間を第3受光期間としたが、第3受光期間は、固体撮像装置28に到達する第2照射タイミングで照射された照射光Leの反射光Lrの強度が一定となる時間であってもよい。つまり、第3受光期間は、第2照射タイミングで照射された照射光Leの反射光Lrを受光する期間であり、該反射光Lrの強度が一定となる時間である。この場合は、第3受光期間の受光タイミングは、第2照射タイミングに応じて予め決められていてもよい。
(変形例3)上記実施の形態及び変形例1、2では、測距検知範囲を1つとし、該測距検知範囲に基づいて、第1照射タイミング及び第2照射タイミングと、第1受光期間〜第4受光期間又は第1受光期間〜第3受光期間とを決めるようにしたが、変形例3では、測距検知範囲を複数用意し、複数の第1照射タイミング及び第2照射タイミングと、第1受光期間〜第4受光期間又は第1受光期間〜第3受光期間が複数の測距検知範囲に対応して決められている。例えば、測距検知範囲が1〜3まであり、1照射タイミング及び第2照射タイミングと、第1受光期間〜第4受光期間又は第1受光期間〜第3受光期間とが測距検知範囲1〜3に対応してそれぞれ複数設けられている。これにより、距離を計測できる範囲を拡大することができる。
ここで、複数の測距検知範囲1〜3の第1受光期間及び第2受光期間は、互いに位相がずれないようにし、複数の測距検知範囲1〜3の第1照射タイミング及び第2照射タイミングは、一定時間(Δt)の2倍分だけ位相がずれていくようにしてもよい。つまり、各測距検知範囲の第1受光期間は互いに同位相、各測距検知範囲の第2受光期間は互いに同位相であり、各測距検知範囲の第1照射タイミングは、一定時間(Δt)の2倍分だけ位相が遅れていき、各測距検知範囲の第2照射タイミングは、一定時間の2倍分だけ位相が遅れていく。
図24は、変形例3における照射装置12が照射する照射光Leの第1照射タイミング及び第2照射タイミングの一例を示す図である。図24に示すように、測距検知範囲2の第1照射タイミングは、測距検知範囲1の第2照射タイミングより位相が2×Δt遅れており、測距検知範囲3の第1照射タイミングは、測距検知範囲2の第1照射タイミングより位相が2×Δt遅れている。また、測距検知範囲2の第2照射タイミングは、測距検知範囲1の第2照射タイミングより位相が2×Δt遅れており、測距検知範囲3の第2照射タイミングは、測距検知範囲2の第2照射タイミングより位相が2×Δt送られている。
なお、各測距検知範囲1〜3の第2照射タイミングは、各測距検知範囲1〜3の第1照射タイミングをΔtだけ位相を遅らせたタイミングである。したがって、照射装置12は、照射光Leを照射する度に、照射タイミングをΔtだけずらしていけば、各測距検知範囲の第1照射タイミング及び第2照射タイミングで照射光Leを照射していることになり、測距検知範囲が複数ある場合であっても、照射タイミングの制御が簡単になる。
また、各測距検知範囲の照射タイミングが他の測距検知範囲の照射タイミングと重複していてもよい。例えば、ある測距検知範囲の第1照射タイミングが、直前に照射した他の測距検知範囲の第2照射タイミングと重複していてもよく、該ある測距検知範囲の第2照射タイミングが、直後に照射する他の測距検知範囲の第1照射タイミングと重複していてもよい。
図25は、変形例3における照射装置12が照射する照射光Leの第1照射タイミング及び第2照射タイミングの他の例を示す図である。図25に示すように、各照射タイミング(1回目〜6回目の照射タイミング)は、一定時間ずつ位相がずれており、ある照射タイミングとその直前の照射タイミング又はその直後の照射タイミングとで、測距検知範囲が決められている。例えば、1回目の照射タイミングと2回目の照射タイミングとで測距検知範囲1が定められ、2回目の照射タイミングと3回目の照射タイミングとで測距検知範囲2が定められ、3回目の照射タイミングと4回目の照射タイミングとで測距検知範囲3が定められ、4回目の照射タイミングと5回目の照射タイミングとで測距検知範囲4が定められ、5回目の照射タイミングと6回目の照射タイミングとで測距検知範囲5が定められる。
2回目の照射タイミングは、測距検知範囲1からみれば第2照射タイミングとなるが、測距検知範囲2から見れば第1照射タイミングとなる。同様に、3回目の照射タイミングは、測距検知範囲2から見れば第2照射タイミングとなるが、測距検知範囲3から見れば第1照射タイミングとなる。4回目以降の照射タイミングも同様に、一方の測距検知範囲から見れば第2照射タイミングとなり、他方の測距検知範囲から見れば第1照射タイミングとなる。
このように、各測距検知範囲の照射タイミングを重複させることで、照射タイミングの数を増やさなくても、距離を計測できる範囲を拡大することができ、測距精度を向上させることができる。
なお、図24、および図25に示すタイミングは、図17に示す単位画素30の1フレーム期間内の露光期間における1周期の照射タイミングを記載したものであり、複数回受光と光電子の保持が繰り返された後に信号を読み出し、その後、位相が2×Δt遅れたタイミングで、次のフレームを取得する。
(変形例4)上記実施の形態及び上記変形例1〜3では、単位画素30は4つの受光装置100を有するようにしたが、単位画素30は、2つ、3つ、5つ等の複数の受光装置100を有してもよく、受光装置100を1つのみ有してもよい。また、受光装置100は、3つ、又は、4つの光電子振分部106を有するようにしたが、光電子振分部106を1つのみ有するようにしてもよい。単位画素30が1つの受光装置100のみを有し、該受光装置100が1つの光電子振分部106のみを有する場合は、第1受光期間〜第4受光期間で、それぞれ異なるフレームで取得してもよく、さらには、第1受光期間〜第4受光期間で、それぞれ受光する単位画素30を異ならせてもよい。例えば、第1受光期間で受光する単位画素30を第1画素と、第2受光期間で受光する単位画素30を第2画素と、第3受光期間で受光する単位画素30を第3画素と、第4受光期間で受光する単位画素30を第4画素とし、第1画素〜第4画素で得られた光電子数を用いて測距対象Wまでの距離を算出する。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。