JP5671238B2 - 複式チェーンホイスト装置 - Google Patents

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Description

本発明は、重量物の吊り下げや搬送作業などを行うホイスト装置、特に複式チェーンホイスト装置に関する。
突出した形状の荷物や曲がり易い荷物は、1本のフックとベルトを用いて吊ることができない。このような荷物は、リフティングビームを取り付ける必要がある。このリフティングビームには、荷物を取り付けるためのベルト又は、他の荷物懸架手段が吊されている。この方法は広く使用されているが、荷物の寸法が変わると、リフティングビームを、別のリフティングビームに交換しなければならないという不都合がある。
これに代えて、チェーンホイストを、いわゆる複式チェーンの形式にすることも知られている。この複式チェーンホイストでは、1本のリフティングビームに2つのチェーンホイストが吊されている。同期運転させるために、これら2つのチェーンホイストは、普通、単一の駆動モータで作動される。
このようなチェーンホイストは、フック間の間隔が固定されていて、そのため、フックの間隔が狭すぎたり、あるいは広すぎたりするという不都合がある。これらのホイストを荷物の寸法に適合させるためには、フック間の間隔を荷物の寸法に応じて拡縮するために、フックや牽引ケーブルの高さで、再度リフティングビームを使用する必要がある。
余剰長さに起因して、つまり、複式チェーンホイストを壁に向けて移動させる時に、フックと建物あるいは壁との間でとり得る最小距離に起因して、別の不都合が生じる。連結手段を用いて、2個のフックを互いに引き寄せると、この余剰長さは相当に大きくなる。
このような実情に鑑みて、本発明は、余剰長さを一定に保ちながら、フック間の間隔を変えることができる複式チェーンホイストを明らかにすることを目的とする。
本発明によれば、該目的は、請求項1に記載の特徴を有する複式チェーンホイストを用いて実現される。
新規な複式チェーンホイストは、伸縮調節可能なリフティングビームを備える。該リフティングビームは、互いに相対的な伸縮動作が可能な第1および第2のリフティングビーム部からなる。該リフティングビーム部あるいはリフティングビーム伸縮部のそれぞれは、先端部あるいは遠端部を備えるとともに、基端部あるいは他方のリフティングビーム部に対面する端部を備える。
第1のチェーンホイール群は、同軸上に配置されて、回転遊びなしに互いに接続される2個のチェーンホイールからなり、第1のリフティングビーム部の先端部に隣接して備えられる。また、第1のリフティングビーム部には、第1のチェーンホイール群に隣接してロードチェーンアンカーが備えられるとともに、調整アンカーチェーンが備えられる。また、第1のフックブロックが、第1のリフティングビーム部に割り当てられる。第2のリフティングビーム部は、第2のチェーンホイール群を備え、第2のチェーンホイール群は、その回転軸が第1のチェーンホイール群と平行になるように配置される。また、この第2のチェーンホイール群は、同軸上に配置されて、回転遊びなしに互いに接続される2個のチェーンホイールからなる。この第2のチェーンホイール群は、第2のリフティングビーム部の先端部あるいは遠端部に設けられる。加えて、第2のリフティングビーム部は、隣接する2個の偏向チェーンホイールを備える。該2個の偏向チェーンホイールの回転軸は、互いに平行に配置され、該2個の偏向ホイールは、第2のフックブロックを吊り下げるロードチェーンの1つに割り当てられる。調整チェーン用の別の偏向チェーンホイールは、第2のリフティングビーム部の基端部または内端部に備えられている。
2つのフックブロックのそれぞれには、独立したロードチェーンが割り当てられる。第1のロードチェーンは、第1のチェーンホイール群から第1のフックブロックまで延び、そこから第1のリフティングビーム部のロードチェーンアンカーまで延びる。他方のロードチェーンは、第1のチェーンホイール群から、第2のリフティングビーム部に回転軸が平行になるように配置された複数のチェーンホイールに延び、さらに、フックブロックまで延びて、最終的に、該フックブロックからこの偏向群に属する他のチェーンホイールを経由して、第2のリフティングビーム部の先端部にある第2のチェーンホイール群まで延びる。
調整チェーンが、第2のチェーンホイール群の残った利用可能なホイールに巻き回される。また、前記調整チェーンは、第2のリフティングビーム部の基端部にある偏向チェーンホイールに巻き回される。前記調整チェーンの両自由端は、第1のリフティングビーム部の調整チェーンアンカーに固定される。
2本のリフティングビーム部は自在に伸縮して長さを調整できるので、所定の操作を行えば、フックブロックを互いに接近あるいは離隔させることができる。その結果、調整可能な範囲内で、フック間隔を任意に調整できる。この調整は、第2のチェーンホイール群の回転を設定することによってなされる。これにより、2本のリフティングビーム部は、相対的に移動する。第2のロードチェーンは、リフティングビーム部が縮むのと同時に、実際に短くなる。その結果、第2のチェーンホイール群は、どのようにこの第2のフックブロックを調整しても、第2のフックブロックが一定の高さに保たれるように、調整に従って、チェーンを巻き取ったり引き出したりするので、いわば、第2のロードチェーンに対する仮想的なアンカーを形成する。双方のフックブロックは、通常同じ高さに保たれる。もっとも、特定の用途の場合には、両者の相対的な高さを調整することが妥当な場合もある。この高さ調整は、リフティングビーム幅の調整の影響を受けない。
力の大きさを詳しく調べれば、第2のロードチェーンの力の大きさは、調整チェーンのそれと全く同じであることが解る。もっとも、双方のチェーンの力は逆方向に作用するので、第2のチェーンホイール群の端部から外部に負荷されるトルクは、実質的には存在しない。その結果、第1のチェーンホイール群用の駆動装置に比べて、かなり低いトルクを発生する駆動装置を用いて、リフティングビームの長さを調整することができる。
第1のチェーンホイール群の複数のチェーンホイールと第2のチェーンホイール群の複数のチェーンホイールは、同数のチェーンポケットを有していてもよい。
各チェーンホイール群の上方で移動するチェーンあるいは同じ長さのチェーンが同じ速度で動くように、1つのチェーンホイール群の複数のチェーンホイールは、同数のチェーンポケットを有すると都合がよい。
ロードチェーンの弛み長さが絡まるのを防ぐために、第1のチェーンホイール群に隣接して、2つのチェーン収納ポケットを備えると効果的である。
複式チェーンホイストが走行レールに沿って移動されるように、各リフティングビーム部の先端部の近傍に推進機構を備えてもよい。該走行レールは、ブリッジクレーンのブリッジ部から構成されてもよい。
推進機構の少なくとも1つにモータを備えてもよい。各推進機構のそれぞれにモータを備えると、リフティングビーム長さの調整が損なわれるので、これを避けるために、このような場合は、推進機構モータを1台だけ備えるのが実用的である。
調整を確実に行うために、第2のチェーンホイール群にブレーキ機構を取り付けると好ましい。チェーンホイストの昇降装置としても使用される公知の駆動装置を、第2のチェーンホイール群を駆動するのに使用するならば、該ブレーキ機構は、予め駆動システムと構造的に一体化されている。
従属項の発明の目的は、本発明を更に改良することにある。後掲する図面上の記述は、本発明を理解するための特徴を明らかにしている。該図面に記述されていないが、該図面を補足するような詳細な事項を、当業者は該図面から推定できる。数多くの変更と組み合わせが可能であることは言うまでもない。
以下の図面は、必ずしも実寸で描かれていない。詳細を強調するために、特定の部分が誇張した寸法で描かれる場合もある。そのため、図は、さらに大幅に簡略化されるので、実施例に備えられている全てのものが図に含まれている訳ではない。「頂部」および「底部」あるいは「正面」および「背面」のような用語は、「左」および「右」と同様に、それぞれ通常使用される位置と適切な巻上歯車の用語を示している。
本発明に係る装置の一実施例が、図で示される。
本発明の複式チェーンホイストの簡略化された部分断面斜視図である。 図1に係る複式チェーンホイストのリフティングビーム装置の断面図である。 チェーンホイールおよび偏向ホイールの上で展張された各チェーンの状態を示す概略図である。 図1の複式チェーンホイストの左端を示す側断面図である。 図1に係る複式チェーンホイストの右端を示す頂面図である。
図1は、複式チェーンホイスト1を示している。複式チェーンホイスト1は、2個の推進機構2,3と、伸縮調節可能なリフティングビーム4と、その上にフックが取り付けられた2個のフックブロック5,6とからなる主組立体を有することを特徴とする。
図1および図2に概要を示すように、推進機構2は、互いに平行配置された2個のトロリー側面7aと7bを有することを特徴とする。トロリー側面7aには、2個のフランジ付ホイール8aおよび8bが回転支持されている。同様のフランジ付ホイールが、向かい合うトロリー側面7bの内面に、フランジ付ホイール8aおよび8bと鏡像を形成するように備えられている。
貫通ボルト12は、スペーサー要素9aと9bを介して、2個のトロリー側面7aと7bを対応するブラケット11aおよび11bにネジ止めするために使用される。推進機構ごとに、2個の側面7aと7bが、2組のスペーサー9a,9bとネジ12のセットを用いて、リフティングビーム7に装着される。
推進機構3の設計は、推進機構2の設計と共通するので、さらに説明する必要はない。
さらに、2個の推進機構2,3のうちの一方は、フランジ付ホイール8a,8bの一方または双方を駆動する1台の駆動モータを備え、それによって、クレーンブリッジに沿って、複式チェーンホイスト1を動かしている。
リフティングビーム4は、長手方向において相対的に伸縮調節可能な2つのリフティングビーム部13と14からなる。
図2に示すように、リフティングビーム部13は、2個のZ形の外郭レール部15,16を有することを特徴とする。レール部15,16のそれぞれは、短脚部あるいは短フランジ部17と、中央部18と、外側に延びる脚部あるいはフランジ19から構成される。Z形のレール部15,16は、逆U字をなして配置される。レール部15,16は、共通の取付板20によって、推進機構2の近傍、すなわち、互いに向かい合って水平に延びる短脚部17の近傍で連結される。2個のZ形のレール部15,16は、一定の間隔を空けて互いに平行に配置される。短フランジ17,19は、共通の水平面内にある。
その結果、2個のZ形のレール部15,16は、一端においては推進機構2によって接続され、他端においては板20に相当する板によって接続される。
リフティングビーム部14は、2つの平行なU形のレール部21,22によって形成される。レール部21,22は、互いに間隔を空けて、図2に示すように配置される。
U形のレール部21,22はそれぞれ、2個の平行な短脚部23,24と、背面部25から構成される。背面部25は、互いに向かい合っている。
推進機構3の近傍で、U形のレール部21,22は、Z形のレール部15,16と同じように接続される。当業者は、この種の接続を熟知しているので、この点に関して更に詳細に説明する必要はない。
複式チェーンホイスト1の基端部に相当する推進機構3から離れた端部では、2個のU形のレール部21,22が、車軸26によって互いに接続され、車軸26には、2個のチェーンホイール27と28が回転自在に配置される。これに加えて、チェーンホイール27,28の間に、剛体接続片を狭在させてもよい。
リフティングビーム部13とリフティングビーム部14の間は、固定車軸31,32に取り付けられた複数の深溝ボールベアリング29,30を用いて可動的に接続される。固定車軸31,32が図示されるように、Z形のレール部16の中央部18に接続され、中央部18に対して垂直に延びている。2個の深溝ボールベアリング29,30が脚部18の内側にあって、U形のレール部21の短脚部23,24の内側面に接触するように、所定の距離を置いて、一方が他方の上になるように配置されている。U形のレール部22の右側にも、深溝ボールベアリングが、一方が他方の上になるように取り付けられて、左側の深溝ボールベアリング29,30と鏡像をなす。
上述の形式の計4個のベアリングからなる配列が少なくとももう一組、Z形のレール部15とU形のレール部22の間に取り付けられる。前記配列は、リフティングビーム4に沿って、上述のベアリングの配列と一直線上に配置されるとともに、上述のベアリングの配列の反対側に置かれる。同様に、少なくとも2以上のこの形の群が推進機構3に向かう方向に距離を置いて配置される。このように構成されるので、リフティングビーム部13は、少なくとも8個のボールベアリングに支えられて、リフティングビーム部14に対して長手方向に、調整軌道の全域を移動できる。リフティングビーム部14は、上述のベアリングの配列に支えられて、2個のZ形のレール部15,16の間の溝状の窪み内を長手方向に移動できる。これによって、さらに以下で説明されるフック間あるいはフックブロック5,6間の距離と同じように、推進機構2,3の距離が拡縮される。
図3は、複式チェーンホイスト1の内部に張られたチェーンの状態を模式的に示している。この図は、チェーンホイールのみを示しており、チェーンホイールを保持する支持要素は全く示していない。
図3によれば、複式チェーンホイスト1は、2本のロードチェーン35,36と、1本の調整チェーン37を有することを特徴とする。全てのチェーン35,36,37は、同一の形状寸法を有する円環状のリンクチェーンからなる。2本のロードチェーン35,36は、駆動モータ37によって駆動される。チェーンホイール群39を形成する2個のチェーンホイールは、前記駆動モータの出力歯車軸に固定される。図3の概略図によれば、チェーンホイール群39に属する該チェーンホイールは、同軸上に配置され、回転遊びなしに互いに接続される。該チェーンホイールは、同数のポケットを有する。このチェーンホイール群39は、小型化を図るために、リフティングビーム4の僅かに下方に設けられる。
自由に回転する2個の偏向チェーンホイール40と41が、リフティングビーム部13に、例えば、リフティングビーム部13の内部の推進機構2の下方に回転自在に支持される。2つのチェーンホイール40と41は、同軸上に配置されるが、互いに独立して回転できる。チェーンホイール群39によって動かされるロードチェーン35は、チェーンホイール群39の対応するチェーンホイールから偏向歯車40まで延びて、そこからフックブロック5まで垂直下方に延びる。このフックブロック5から、ロードチェーン35は、再びリフティングビーム部13まで上方に延びる。その自由端は、リフティングビーム部13の下側でチェーンアンカー42に固定される。
ロードチェーン36は、チェーンホイール群39の別のチェーンホイールから偏向チェーンホイール41を越えて、リフティングビーム部14内の2個のU形のレール部21と22の間の空所の内部まで延びる。2個の偏向チェーンホイール42と43が、それぞれの回転軸が互いに平行になるように配置され、推進機構3の下方のリフティングビーム部14内で互いに間隔を空けて回転可能に支持される。ロードチェーン36は、偏向チェーンホイール41から偏向チェーンホイール42を越えて、リフティングビーム部14の下方に延びる。
ロードチェーン36は、偏向チェーンホイール42からフックブロック6を通り、再びリフティングビーム部14方向に向かって上方に延びる。リフティングビーム部14の内部では、ロードチェーン36は、フックブロック6から偏向チェーンホイール43を越えて、リフティングビーム4の他端にある別のチェーンホイール群44まで延びる。チェーンホイール群44は、同軸上に配置される2個のチェーンホイールを有することを特徴とする。該2個のチェーンホイールは、回転遊びなしに互いに接続される。チェーンホイール群44のチェーンホイールは、同数のチェーンポケットを有する。該チェーンホイールは、チェーンホイール群39と同数のチェーンポケットを有すると好ましいが、このことは必須ではない。チェーンホイール群44は、推進機構3に隣接して設けられる。
チェーンホイール群44を通過すると、ロードチェーン36は弛緩して、推進機構3の下方に配置されるチェーンポケットの内部まで延びる。
リフティングビーム4の内部でのロードチェーン36の弛みを最小にするために、ロードチェーン36を自在に回転するチェーンホイール28の上に置いてもよい。チェーンホイール28は、図を見やすくするために、図3には示されていない。チェーンホイール28は、チェーンホイール群39と偏向ホイール42の間のリフティングビーム部14の先端部に設けられる。
チェーンホイール群44は、内部ブレーキ機構を備える歯車付モータ45の出力軸に固定されるので、各チェーンホイストには、該内部ブレーキ機構が共通して作用する。したがって、ブレーキ機構について、ここでは詳細に説明する必要はない。
チェーンホイール群44は停止するとすぐに、ロードチェーン36用のチェーンアンカーとして作用する。2本のロードチェーン35と36は、歯車付モータ38を使って、チェーンホイール群39を動かすことによって、同じ調整軌道上で同調して動かされる。2本のロードチェーンの自由端は、アンカー42とチェーンホイール群44にそれぞれ固定されるので、2個のフックブロック5,6は、同じ方向に同じ距離だけ動く。フックブロック5,6の双方は、同じ大きさの力を発生させることができる。
調整チェーン37の一端は、アンカー48に固定される。アンカー48は、リフティングビーム部13の先端部に配置されて、リフティングビーム部14の2個のU形のレール21,22の間に突出している。ロードチェーンは、このアンカー48から自由に回転する偏向チェーンホイール27まで延びている。偏向チェーンホイール27は、図2に示されるように、リフティングビーム部14の先端部のU形のレール21,22の間で支持される。調整チェーン37は、チェーンホイール27の周りで180°向きを変えた後、チェーンホイール群44の対応するチェーンホイールを越えて延びて、アンカー48まで戻る。
図3において、時計回り方向にチェーンホイール群44を回して調整すれば、ロードチェーン36の作用とは関係なく、アンカー48は、チェーンホイール群44に向かって引っ張られる。これにより、2つのリフティングビーム部13,14は、相対的に動かされる。逆に、反時計回り方向にチェーンホイール群44を回転すれば、アンカー48は偏向チェーンホイール27方向に引っ張られるので、フックブロック5,6の間の距離は増加する。
本発明を更に明確にするために、ここで、複式チェーンホイスト1が、図3に模式的に示したような姿勢を取っていると仮定する。この姿勢において、チェーンホイール群44が、時計回り方向に動くとすると、アンカー48は、上述のように推進機構3方向に引っ張られる、つまり、アンカー42と偏向チェーンホイール40によってリフティングビーム部13に接続されて、推進機構2の下方に配置されたフックブロック5が、フックブロック6に向かって移動する。この動きによって、ロードチェーン36の偏向チェーンホイール41と偏向チェーンホイール42の間にある部分は過度に長くなる。もっとも、チェーンホイール群44が、ロードチェーン36用の第2のチェーンホイールを支持しているので、複式チェーンホイール44は、リフティングビームの中を通って複式チェーンホイール44の上にあるロードチェーン36の過大な部分を、2個の部分13,14が互いに近づくように動かす。調整される間は、ロードチェーン36は、いわば、フックブロック6の中を動いて、その結果、フックブロック5,6の間の距離がどのように調整されても、フックブロック6は図示された高さを最後まで保つ。このことは、反対方向に動く場合にも当て嵌まる。つまり、2個のリフティングビーム部13,14が互いに離れる場合に、チェーンホイール群39と送出チェーンホイール42の間に、ロードチェーン36の追加が必要となる場合にも当て嵌まる。モータ45が動作すると、この追加のロードチェーンは、チェーンホイール群44によって、チェーンホイール群44の下方に設けられた対応する収容部からリフティングビーム4の内部に送られる。
言い換えれば、図3の調整チェーン37の上部の長さは、偏向チェーンホイール43とチェーンホイール群44の間のロードチェーン36と同じ動作方向に同じ長さだけ移動する。
この作用の点から見て、チェーンホイール群44に、2個のチェーンホイール、つまり、調整チェーン37用とロードチェーン36用を備えればよいことは明らかである。2個のチェーンホイールが同数のチェーンポケットを有すれば、この操作上の要件は満たされる。チェーンホイール群44は、各チェーンホイールのチェーンポケットに関して、チェーンホイール群39と同一である必要はない。もっとも、製造技術の面では、双方のチェーンホイール群が同一であると好都合である。
また、力の大きさを試験すれば、駆動モータ45は、駆動モータ38と比べてかなり低い定格を有することが解る。フックブロック6に吊された荷物は、偏向チェーンホイールとチェーンホイール群44の間のロードチェーン36のチェーン部を、図3において左に向かうように引っ張る傾向がある。これによって、チェーンホイール群44には反時計回り方向のトルクが生じる。同時に、この力は、2個のリフティングビーム部13,14を互いに他方に引き寄せる傾向があるが、導入されるトルクのために、この力は、調整チェーン37には反対方向に作用する。つまり、チェーンホイール群44の反時計回り方向のトルクは、調整チェーン37が、アンカー48を引っ張って、チェーンホイール群44から引き離すように、調整チェーン37の下方長さに張力を作用させる。言い換えれば、これらの長手方向の力は、チェーンホイール群44の近傍で互いに相殺されるので、このチェーンホイール群は、調整する力を発生するに足りる駆動装置であって、摩擦に起因する非対称による意図しない調整を避ける僅かな減速効果をもつ駆動装置で駆動されれば十分である。
完璧を期すために、駆動装置の構造設計に関するいくつかの詳細を、以下に示す。
図4は、複式チェーンホイスト1の左端を示している。この図は、リフティングビーム4の垂直な中心面に平行な断面を示している。この図に示すように、チェーンホイール40は車軸51に取り付けられていて、その車軸51はZ形のレール15と16の間に保持されている。外側のチェーンホイール41は、この断面図では視認できない。チェーンホイール40は、Z形のレール15の脚部18に設けられたチェーン案内要素52によって、一部が囲まれる。
チェーン案内板52は、ロードチェーン35の長さ方向に揃えられた開口53および54を備えて、チェーンホイール40の下方に配置されている。
腕部55は、左側に向かって延びて、斜め下方に曲げられる。この腕部には、駆動装置38が取り付けられる。駆動装置38は、駆動モータ56を備えていて、駆動モータ56は、歯車を介して出力歯車軸57を動かす。チェーンホイール群39に属する2個のチェーンホイールは、出力歯車軸に対して回転軸が平行になるように固定される。もっとも、断面図なので、ロードチェーン35が巻き回された後部チェーンホイール58だけが、この図中に見える。
チェーンホイール群39は、チェーンホイールハウジング59によって囲まれており、該ハウジングは、2本のロードチェーン35および36用の共通のチェーン案内経路60を含んでいる。
図によれば、ロードチェーン35のチェーン案内経路60は、斜め下方に伸びている。チェーン収納ポケット61が、チェーン案内経路60の出口の下方に設けられる。
ロードチェーン36に割り当てられるチェーンホイール群39のチェーンホイールと同様に、チェーン収納ポケット61と同様の別のチェーン収納ポケットを投影面上に思い描くことができる。
チェーン案内経路60の他端は、チェーンホイール57から偏向チェーンホイール40の間で、チェーンが鋭く曲がらないように配置される。
ロードチェーン35の自由端は、平板52の開口53に固定される。この開口は、同時にアンカー42でもある。
図5は、複式チェーンホイスト1の右端の頂面図を示している。この図は、ほぼガイドローラーベアリング29の軸の高さで切断している。この図に示すように、2個の偏向チェーンホイール42および43は、2本の平行軸63と64に回転自在に取り付けられる。ロードチェーン36は、これらのチェーンホイールの間の隙間の中で、投影面に垂直に下方に延びる。これに対して、調整チェーン37は、2個のチェーンホイール42および43を通って横に延びる。駆動モータ45は、右の自由端に配置される。チェーンホイール群44を形成する2個のチェーンホイール66および67は、互いに隣接されて、この駆動モータの出力歯車軸65に回転遊びなしに固定される。
複式チェーンホイストは、伸縮自在なリフティングビームを有することを特徴とする。また、ロードチェーンが、前記リフティングビームを形成する2本の伸縮部の端部近傍で下方に吊り下げられた各フックブロックにそれぞれ延びている。前記伸縮部の間の距離は、別のチェーンを用いて変えることができる。リフティングビームの長さを変えるチェーンは、1個のチェーンホイールを越えて延びる。前記チェーンホイールは、別のチェーンホイールに回転遊びなしに接続される。前記別のチェーンホイールは、所定の伸縮リフティングビーム部のフックブロックのロードチェーンを固定するアンカーとして機能する。
1 複式チェーンホイスト
2,3 推進機構
4 リフティングビーム
5,6 フックブロック
7a,7b トロリー側面
8a,8b フランジ付ホイール
9a,9b スペーサー要素
11a,11b ブラケット
12 貫通ボルト
13,14 リフティングビーム部
15,16 レール部
17 短フランジ部
18 中央部
19 フランジ
20 取付板
21,22 レール部
23,24 短脚部
25 背面部
26 車軸
27,28 チェーンホイール
29,30 深溝ボールベアリング
31,32 固定車軸
35,36 ロードチェーン
37 調整チェーン
38,45 歯車付モータ
39,44 チェーンホイール群
40,41,42,43 偏向チェーンホイール
48 アンカー
51 車軸
52 チェーン案内板
53,54 開口
55 腕部
56 駆動モータ
57 出力歯車軸
58 後部チェーンホイール
59 チェーンホイールハウジング
60 チェーン案内経路
61 チェーン収納ポケット
63,64 平行軸
65 出力歯車軸
66,67 チェーンホイール

Claims (14)

  1. 長さ方向に互いに移動可能に接続されるとともに、他方に近い基端部と、他方から遠い先端部を有する第1および第2のリフティングビーム部(13,14)から構成されて、伸縮調節可能なリフティングビーム(4)と、
    同軸配置された2個のチェーンホイールを互いに回転遊びなしに接続して構成されて、前記第1のリフティングビーム部(13)の先端部に回転自在に支持された第1のチェーンホイール群(39)と、
    前記第1のチェーンホイール群(39)に隣接するロードチェーンアンカーと
    前記第1のリフティングビーム部(13)の基端部に備えられる調整チェーンアンカー(48)と、
    前記第1のリフティングビーム部(13)に割り当てられた第1のフックブロック(5)と、
    同軸配置された2個のチェーンホイールを互いに回転遊びなしに接続して構成されて、その回転軸が前記第1のチェーンホイール群(39)と平行になるように、前記第2のリフティングビーム部(14)の先端部に回転自在に支持された第2のチェーンホイール群(44)と、
    それぞれの回転軸が前記第1のチェーンホイール群(39)と平行になるように、前記第2のリフティングビーム部(14)の前記第2のチェーンホイール群(44)の近傍に、互いに間隔を空けて配置された、第1および第2の偏向チェーンホイール(42,43)と、
    前記第2のリフティングビーム部(14)の基端部に取り付けられた偏向チェーンホイール(27)と、
    前記第2のリフティングビーム部(14)に割り当てられる第2のフックブロック(6)と、
    前記第1のチェーンホイール群(39)から、前記第1のフックブロック(5)を通って、前記ロードチェーンアンカーに延びる第1のロードチェーン(35)と、
    前記第1のチェーンホイール群(39)から前記第1の偏向チェーンホイール(42)と前記第2のフックブロック(6)に延びて、更に前記第2のフックブロック(6)から前記第2の偏向チェーンホイール(43)を越えて、前記第2のチェーンホイール群(44)に延びる第2のロードチェーン(36)と、
    前記第2のチェーンホイール群(44)のチェーンホイールに巻き回されて、そこから前記第2のリフティングビーム部(14)の前記基端部の前記偏向チェーンホイール(27)に延びて、そこで前記偏向チェーンホイール(27)に巻き回される調整チェーン(37)と、を備え、
    前記調整チェーン(37)の両端は、前記調整チェーンアンカー(48)に固定されている、
    ことを特徴とする複式チェーンホイスト装置。
  2. 前記第1のチェーンホイール群(39)のチェーンホイールは、同数のチェーンポケットを有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の複式チェーンホイスト装置。
  3. 前記第2のチェーンホイール群(44)のチェーンホイールは、同数のチェーンポケットを有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の複式チェーンホイスト装置。
  4. 2個のチェーン収納ポケット(61)を、前記第1のチェーンホイール群(39)に隣接して備える、
    ことを特徴とする請求項1に記載の複式チェーンホイスト装置。
  5. チェーン収納ポケット(61)を1個だけ、前記第2のチェーンホイール群(44)に隣接して備える、
    ことを特徴とする請求項1に記載の複式チェーンホイスト装置。
  6. 前記第2のチェーンホイール群(44)は、ブレーキ機構を備える、
    ことを特徴とする請求項1に記載の複式チェーンホイスト装置。
  7. 前記第1のチェーンホイール群(39)、駆動モータ(38)を備え、
    前記第2のチェーンホイール群(44)は、駆動モータ(45)を備える、
    ことを特徴とする請求項1に記載の複式チェーンホイスト装置。
  8. 前記第2のチェーンホイール群(44)の前記駆動モータ(45)は、前記第1のチェーンホイール群の前記駆動モータ(38)よりも小さい駆動トルク定格を有する、
    ことを特徴とする請求項に記載の複式チェーンホイスト装置。
  9. 前記第1のリフティングビーム部(13)推進機構(2)を備え、
    前記第2のリフティングビーム部(14)は、推進機構(3)を備える、
    ことを特徴とする請求項1に記載の複式チェーンホイスト装置。
  10. 前記第1のリフティングビーム部(13)の前記推進機構(2)は、前記第1のリフティングビーム部(13)の先端部に隣接して配置され、
    前記第2のリフティングビーム部(14)の前記推進機構(3)は、前記第2のリフティングビーム部(14)の先端部に隣接して配置される、
    ことを特徴とする請求項に記載の複式チェーンホイスト装置。
  11. 前記推進機構(2,3)の少なくとも一方に、推進機構モータを備える、
    ことを特徴とする請求項に記載の複式チェーンホイスト装置。
  12. 前記第1のチェーンホイール群(39)は、前記第1のリフティングビーム部(13)の下方に配置され、
    前記第1および第2のロードチェーン(35,36)には、それぞれ偏向チェーンホイール(40,41)が備えられて、前記偏向チェーンホイール(40,41)は、前記第1のリフティングビーム部(13)の高さに配置される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の複式チェーンホイスト装置。
  13. 前記第1のリフティングビーム部(13)は、互いに隣接して配置されるとともに、下向きの開口溝を有する2個の平行なZ形のレール部を有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の複式チェーンホイスト装置。
  14. 前記第2のリフティングビーム部(14)は、互いに隣接して背中合わせに配置される2個の平行なU形のレール部(25)を有し、
    前記第2のロードチェーン(36)と前記調整チェーン(37)とは、これらのU形のレール部の間を通る、
    ことを特徴とする請求項1に記載の複式チェーンホイスト装置。
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