JP5665416B2 - 強化繊維用サイジング剤およびその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、強化繊維用サイジング剤およびその用途に関する。詳細には、熱可塑性マトリックス樹脂を補強するために用いられる強化繊維用サイジング剤、これを用いた合成繊維ストランド、合成繊維ストランドの製造方法および繊維強化複合材料に関する。さらに詳しくは、本発明は、熱可塑性マトリックス樹脂との優れた接着性を合成繊維ストランドに付与することができる強化繊維用サイジング剤、これを用いた合成繊維ストランド、合成繊維ストランドの製造方法および繊維強化複合材料に関する。
自動車用途、航空・宇宙用途、スポーツ・レジャー用途、一般産業用途等に、プラスチック材料(マトリックス樹脂と称される)を各種合成繊維で補強した繊維強化複合材料が幅広く利用されている。これらの複合材料に使用される繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維などの各種無機繊維、アラミド繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維などの各種有機繊維が挙げられる。これら各種合成繊維は通常、フィラメント形状で製造され、その後ホットメルト法やドラムワインディング法等により一方向プリプレグと呼ばれるシート状の中間材料に加工されたり、フィラメントワインディング法による加工や、場合によっては織物またはチョップドファイバー形状に加工されたりする等、各種高次加工工程を経て、強化繊維として使用されている。
上記のマトリックス樹脂のうち、成型が容易でリサイクル面でも有利な為注目されているポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂、ポリフェニレンサルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂などのいわゆる熱可塑性樹脂を用いた繊維強化複合材料の場合、補強繊維は一般的に1〜15mm長に切断されたチョップドファイバー形状で使用されることが多い。このチョップドファイバーと熱可塑性樹脂とを混練したペレットを製造する際には、チョップドファイバーの集束性が重要で、これが不適切であると、チョップドファイバーの供給量の不安定化、ストランド切れなどが発生し、得られた複合材料の物性が低下することがある。これを防止するため、繊維に適切な集束性を付与する目的で、各種熱可塑性樹脂を主剤とするサイジング剤を付与する技術が多数提案され(特許文献1〜4参照)、工業的に広く利用されている。
また一方、近年においては、補強剤として用いる繊維の引張強度などの特性をより効果的に得るため、長繊維ペレットと呼ばれる形態や、熱硬化性樹脂をマトリックスとする複合材料の様に、繊維を一方向シートやテープ状、織物の状態で熱可塑性樹脂を含浸させて成型するケースも増加している。このような場合には、コンポジット成型時に熱溶融した熱可塑性樹脂が速やかに繊維ストランド内部、具体的に繊維−繊維間に含浸することが、成型工程時間の短縮化、得られた複合材料の物性向上の面で重要である。
しかしこの様な、繊維強化複合材料の用途・用法の多様化、さらなる機械的強度向上が望まれる昨今において、従来技術に記載されたサイジング剤の適用では、満足され得るレベルに達しないという問題があった。
よって、熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とする繊維強化複合材料の分野において、より繊維とマトリックス樹脂との親和性を高め、強固に接着し得るサイジング剤の開発が望まれている。
特開平06−2274号公報 特開2002−138370号公報 特開2003−165849号公報 国際公開WO2008/143325号
かかる従来の技術背景に鑑み、本発明の目的は、熱可塑性マトリックス樹脂を補強するために用いられる強化繊維に対して、優れた接着性を付与できる強化繊維用サイジング剤と、それを用いた合成繊維ストランド、合成繊維ストランドの製造法および繊維強化複合材料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の親水性ポリアミド樹脂を含有する強化繊維用サイジング剤であれば、上記課題を解決出来るという知見を得て、本発明に到達した。
すなわち本発明は、熱可塑性マトリックス樹脂を補強するために用いられる強化繊維用サイジング剤であって、N−アルコキシメチル化ポリアミド樹脂を親水性ビニルモノマーで変性した親水性ポリアミド樹脂を必須に含有する、強化繊維用サイジング剤である。
前記親水性ビニルモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、イタコン酸、アクリルアミドおよびN−メチロールアクリルアミドから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
前記熱可塑性マトリックス樹脂は、ポリアミド系樹脂であることが好ましい。
また、本発明の強化繊維用サイジング剤は、さらに分子構造内に2個以上の水酸基または分子構造内に2個以上のアミノ基を有するアミン化合物を、前記親水性ポリアミド樹脂に対して0.5〜10重量%含有することが好ましい。
本発明の強化繊維用サイジング剤は、さらに水を含有し、サイジング剤全体に占める不揮発分の重量割合が10〜60重量%であり、水と不揮発分の合計の重量割合が90重量%以上であることが好ましい。
本発明の合成繊維ストランドは、原料合成繊維ストランドに対して、前記の強化繊維用サイジング剤を付着させたものである。
前記合成繊維は、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリアリレート繊維、ポリアセタール繊維、PBO繊維、ポリフェニレンサルフィド繊維およびポリケトン繊維から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の合成繊維ストランドの製造方法は、前記の強化繊維用サイジング剤を含み、不揮発分の重量割合が0.5〜10重量%であり、水と不揮発分の合計の重量割合が90重量%以上である処理液を調製する調製工程と、原料合成繊維ストランドに対して不揮発分が0.1〜20重量%となるよう、原料合成繊維ストランドに該処理液を付着させる付着工程とを含むものである。
本発明の繊維強化複合材料は、熱可塑性マトリックス樹脂と、前記の合成繊維ストランドまたは前記の製造方法で得られた合成繊維ストランドとを含むものである。
本発明の強化繊維用サイジング剤は、熱可塑性マトリックス樹脂を補強するために用いられる強化繊維に対して、優れた接着性を付与できる。
本発明の強化繊維用サイジング剤で処理して得られる合成繊維ストランドは、熱可塑性マトリックス樹脂に対して優れた接着性を有する。本発明の合成繊維ストランドを使用することにより、優れた物性を有する繊維強化複合材料が得られる。
本発明は、熱可塑性マトリックス樹脂を補強するために用いられる強化繊維用のサイジング剤であり、特定の親水性ポリアミド樹脂を必須に含有するものである。以下に詳細に説明する。
[親水性ポリアミド樹脂]
本発明の強化繊維用サイジング剤は、N−アルコキシメチル化ポリアミド樹脂を親水性ビニルモノマーで変性した親水性ポリアミド樹脂を必須に含有する。
N−アルコキシメチル化ポリアミド樹脂とは、ポリアミド樹脂の結晶性を低下させたもので、ポリアミド樹脂のアミド結合の一部をアルコキシメチル基により変性したもの(ポリアミド樹脂の窒素原子の一部にアルコキシメチル基が結合したもの)をいう。
ポリアミド樹脂としては、6−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、66ナイロン、610ナイロン、またはこれらの共重合体などが挙げられる。アルコキシメチル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、ブトキシメチル基などが挙げられる。N−アルコキシメチル化ポリアミド樹脂の製造方法については特に限定はなく、公知の方法で製造できる。例えば、N−メトキシメチル化ポリアミド樹脂の場合、アミド樹脂にホルムアルデヒトとメタノールを反応させて得ることができる。
アルコキシメチル基による変性率としては、結晶性の制御の観点から、10〜50%が好ましく、20〜40%がより好ましく、25〜35%がさらに好ましい。なお、このアルコキシメチル基による変性率とは、ポリアミド樹脂のアミド結合−CONH−の水素原子がアルコキシメチル基に置換された比率をいい(全ての水素原子が置換された場合を100%)、リン酸分解法などにより定量できる。
本発明の親水性ポリアミド樹脂は、上記N−アルコキシメチル化ポリアミド樹脂に親水性ビニルモノマーをグラフト重合し、親水基を付与することにより得られる。その変性方法は、特に限定はなく、公知の方法を採用できる。
親水性ビニルモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、イタコン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド又はこれらの混合物などが挙げられる。
上記親水性ビニルモノマーは、接着性の観点より、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含有化合物を1種以上必須に含んでいることが好ましい。なお、これらカルボキシル基含有化合物を親水性ビニルモノマーとして用いた場合、サイジング剤を水エマルジョンとして使用する場合のエマルジョン安定性の観点から、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの塩基化合物を添加することが好ましい。
N−アルコキシメチル化ポリアミド樹脂の親水性ビニルモノマーによる変性割合としては、N−アルコキシメチル化ポリアミド樹脂100重量%に対して、親水性ビニルモノマー25〜90重量%が好ましく、30〜75重量%がより好ましい。親水性ビニルモノマーの比率が25重量%を下回ると、ポリアミド樹脂の親水性が不十分となることがある。また、親水性ビニルモノマーの比率が90重量%を上回ると、本発明の接着性が低くなる可能性がある。
[アミン化合物]
本発明の強化繊維用サイジング剤においては、さらに分子構造内に2個以上の水酸基または分子構造内に2個以上のアミノ基を有するアミン化合物を含有することが好ましい。含有の重量割合としては、前記親水性ポリアミド樹脂に対して0.5〜10重量%含有することが好ましく、0.5〜7.5重量%がより好ましく、1〜5重量%がさらに好ましい。アミン化合物を所定量含有することにより、高い接着性強度を付与できる。また、優れた乾燥性を付与でき、その結果、操業工程での乾燥時間を短縮でき、操業速度を速めることができる。さらに、乾燥時間を短縮できることによってサイジング剤の熱劣化を抑制でき、マトリックス樹脂との優れた接着性を付与できる。
分子構造内に2個以上の水酸基を有するアミン化合物としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、t-ブチルジエタノールアミン、n-ブチルジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、脂肪酸アルカノールアミドなどのアミン類が挙げられる。
分子構造内に2個以上のアミノ基を有するアミン化合物としては、N-アミノエチルエタノールアミン、N−アミノエチルイソプロパノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルエチレンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンエキサミンなどのアミン類が挙げられる。
本発明のアミン化合物の沸点は、240〜340℃であることが好ましく、250〜330℃がより好ましく、260〜320℃がさらに好ましい。マトリックス樹脂と補強繊維を混練する際の加熱によりアミン化合物が揮散せず、ボイドとなりにくい為、繊維とマトリックス樹脂との接着性が向上する。
これら上記のアミン化合物の中でも、繊維とマトリックス樹脂との接着性が向上する点から、アミン化合物は、下記一般式(1)および/または下記一般式(2)で示される化合物であることが好ましく、下記一般式(1)で示されるアミン化合物がさらに好ましい。
N(CHCHOH) (1)
式(1)中、Rは、水素原子、−CHCHOH、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、または炭素数1〜18の脂肪酸からOH基を除いた残基である。これらの中でも、Rは、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基、または炭素数5〜18の脂肪酸からOH基を除いた残基が好ましく、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、または炭素数8〜15の脂肪酸からOH基を除いた残基がさらに好ましい。
炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよく、直鎖であっても分岐を有していてもよい。脂肪族炭化水素基の炭素数は、繊維とマトリックス樹脂との接着性が向上する点及び乳化安定性の点から、1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましい。炭素数1〜18の脂肪酸からOH基を除いた残基において、脂肪酸の炭素数は5〜18が好ましく、8〜15がさらに好ましい。
NHNH(CHCHOH) (2)
式(2)中、Rは炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基である。炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよく、直鎖であっても分岐を有していてもよい。脂肪族炭化水素基の炭素数は、繊維とマトリックス樹脂との接着性が向上する点及び乳化安定性の点から、1〜3が好ましく、1〜2がさらに好ましい。
[サイジング剤]
サイジング剤の不揮発分に占める前記親水性ポリアミド樹脂の重量割合は、70〜100重量%が好ましく、90〜99.5重量%がより好ましく、95〜99重量%がさらに好ましい。70重量%未満の場合、接着性が不十分となることがある。
本発明のサイジング剤は、前記親水性ポリアミド樹脂をメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン等の有機溶剤に分散させた状態や溶解させた状態のものも使用できるが、取扱い時の人体への安全性や、火災等の災害防止、自然環境の汚染防止等の観点から、さらに水を含有し、前記親水性ポリアミド樹脂が水に分散した状態(水分散体)または水に溶解した状態(水溶液)であることが好ましい。つまり水を主溶媒とすることが好ましい。
本発明のサイジング剤が水分散体又は水溶液の場合、その不揮発分の濃度については、特に限定はなく、そのサイジング剤の不揮発分組成により、水分散体としての安定性や、製品として取り扱いやすい粘度等を考慮して適宜選択されるものである。製品の輸送コスト等を考慮すれば、サイジング剤全体に占める不揮発分の重量割合は、10〜60重量%が好ましく、15〜60重量%がさらに好ましく、20〜50重量%が特に好ましい。なお、本発明における不揮発分とは、サイジング剤を105℃で熱処理して溶媒等を除去し、恒量に達した時の絶乾成分をいう。
また、サイジング剤全体に占める水と不揮発分の合計の重量割合は、90重量%以上であることが好ましく、95重量%以上であることがより好ましく、99重量%以上であることがさらに好ましく、100重量%が特に好ましい。90重量%未満の場合、すなわち、熱処理時に不揮発分として残存しない前述の有機溶剤やその他低沸点化合物を10重量%以上含有する場合、取扱い時の人体への安全性や、自然環境の汚染防止の観点で好ましくないことがある。
本発明のサイジング剤を製造する方法については、特に限定はなく、公知の手法が採用できる。たとえば、サイジング剤を構成する各成分を攪拌下の温水中に投入して乳化分散または溶解する方法や、サイジング剤を構成する各成分を混合し、得られた混合物を軟化点以上に加温後、ホモジナイザー、ホモミキサー、ボールミル等を用いて機械せん断力を加えつつ、水を徐々に投入して転相乳化する方法等が挙げられる。
なお、上記水分散体や水溶液には、前述の人体安全性や環境汚染防止の観点に加え、水分散体や水溶液の経時増粘・固化防止の観点から、有機溶剤等の水以外の溶媒を含有しないか、含有する場合であってもサイジング剤全体に対して10重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがより好ましく、1重量%以下であることが更に好ましい。本発明の親水性ポリアミド樹脂は、ポリアミドとしての結晶性をある程度保持しているため、特にアルコール類などの有機溶剤を水分散体や水溶液中に大量に含有していると、長時間の静置で該水分散体や水溶液が増粘またはゲル状に固化する場合があり好ましくない。
有機溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールまたはグリコールエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類が例示できる。
本発明のサイジング剤を構成する上記で説明した以外の成分としては、たとえば、各種界面活性剤や、各種平滑剤、酸化防止剤、難燃剤、抗菌剤、結晶核剤、消泡剤等を挙げることができ、1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特に、界面活性剤は、本発明のサイジング剤中に水不溶性または難溶性である樹脂成分を有する場合に、乳化剤として使用することによって、水系乳化を効率よく実施することができる。よって、サイジング剤を水分散体にすることができる。界面活性剤を使用するときの不揮発分全体に占める重量割合は、5〜40重量%が好ましく、10〜30重量%がより好ましく、15〜25重量%がさらに好ましい。
界面活性剤としては、特に限定されず、非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤および両性界面活性剤から、公知のものを適宜選択して使用することができる。界面活性剤は、1種または2種以上を併用してもよい。
非イオン系界面活性剤としては、たとえば、アルキレンオキサイド付加非イオン系界面活性剤(高級アルコール、高級脂肪酸、アルキルフェノール、スチレン化フェノール、ベンジルフェノール、ソルビタン、ソルビタンエステル、ヒマシ油、硬化ヒマシ油等にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド(2種以上の併用可)を付加させたもの)、ポリアルキレングリコールに高級脂肪酸等を付加させたもの、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体等を挙げることができる。
アニオン系界面活性剤としては、たとえば、カルボン酸(塩)、高級アルコール・高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩、スルホン酸塩、高級アルコール・高級アルコールエーテルの燐酸エステル塩等を挙げることができる。
カチオン系界面活性剤としては、たとえば、第4級アンモニウム塩型カチオン系界面活性剤(ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、オレイルメチルエチルアンモニウムエトサルフェート等)、アミン塩型カチオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルアミン乳酸塩等)等を挙げることができる。
両性界面活性剤としては、たとえば、アミノ酸型両性界面活性剤(ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等)、ベタイン型両性界面活性剤(ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン等)等を挙げることができる。
〔合成繊維ストランド及びその製造方法〕
本発明の合成繊維ストランドは、原料合成繊維ストランドに対して、上記の強化繊維用サイジング剤を付着させた(サイジング処理した)ものであり、熱可塑性マトリックス樹脂を補強するための強化繊維である。
原料合成繊維ストランドへのサイジング剤の不揮発分の付着量は適宜選択でき、合成繊維ストランドが所望の機能を有するための必要量とすればよいが、その付着量は原料合成繊維ストランドに対して0.1〜20重量%であることが好ましい。連続繊維の状態の合成繊維ストランドにおいては、その付着量は原料合成繊維ストランドに対して0.1〜10重量%であることがより好ましく、0.5〜5重量%がさらに好ましい。また、所定の長さに切断された状態のストランドにおいては0.5〜20重量%であることがより好ましく、1〜10重量%がさらに好ましい。
サイジング剤の付着量が少ないと、樹脂含浸性、接着性に関する本発明の効果が得られにくく、また、合成繊維ストランドの集束性が不足し、取扱い性が悪くなることがある。また、サイジング剤の付着量が多過ぎると、合成繊維ストランドが剛直になり過ぎて、かえって取扱い性が悪くなったり、コンポジット成型の際に樹脂含浸性が悪くなったりすることがあり好ましくない。
本発明の合成繊維ストランドの製造方法は、前述のサイジング剤を含み、不揮発分の重量割合が0.5〜10重量%であり、水と不揮発分の合計の重量割合が90重量%以上である処理液を調製する調製工程と、原料合成繊維ストランドに対して不揮発分の付着量が0.1〜20重量%となるよう、原料合成繊維ストランドに該処理液を付着させる付着工程とを含むものである。
調製工程において、処理液に占める不揮発分の重量割合は、1〜10重量%がより好ましく、2〜5重量%がさらに好ましい。水と不揮発分の合計の重量割合は、95重量%以上であることがより好ましく、99重量%以上であることがさらに好ましく、100重量%が特に好ましい。
付着工程において、好ましい不揮発分の付着量については、前段落の通りである。サイジング剤を原料合成繊維ストランドに付着させる方法については、特に限定はないが、サイジング剤をキスローラー法、ローラー浸漬法、スプレー法その他公知の方法で、原料合成繊維ストランドに付着させる方法であればよい。これらの方法のうちでも、ローラー浸漬法が、サイジング剤を原料合成繊維ストランドに均一付着できるので好ましい。
得られた付着物の乾燥方法については、特に限定はなく、例えば、加熱ローラー、熱風、熱板等で加熱乾燥することができる。
なお、本発明のサイジング剤の原料合成繊維ストランドへの付着にあたっては、サイジング剤の構成成分全てを混合後に付着させてもよいし、構成成分を別々に二段階以上に分けて付着させてもよい。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂および/または本発明のポリマー成分以外のウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、アクリル系樹脂などの熱可塑性樹脂を原料合成繊維ストランドに付着させてもよい。
本発明の合成繊維ストランドは、各種熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とする複合材料の強化繊維として使用され、使用させる形態としては、連続繊維の状態でも、所定の長さに切断された状態でもよい。
本発明のサイジング剤を適用し得る(原料)合成繊維ストランドの合成繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維などの各種無機繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリアリレート繊維、ポリアセタール繊維、PBO繊維、ポリフェニレンサルフィド繊維、ポリケトン繊維などの各種有機繊維が挙げられる。得られる繊維強化複合材料としての物性の観点から、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリアリレート繊維、ポリアセタール繊維、PBO繊維、ポリフェニレンサルフィド繊維およびポリケトン繊維から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
〔繊維強化複合材料〕
本発明の繊維強化複合材料は、熱可塑性マトリックス樹脂と前述の強化繊維としての合成繊維ストランドを含むものである。合成繊維ストランドは本発明のサイジング剤により処理されているので、合成繊維ストランドおよび熱可塑性マトリックス樹脂との親和性が良好となり、接着性に優れた繊維強化複合材料となる。
ここで、本発明の熱可塑性マトリックス樹脂とは、熱可塑性樹脂からなるマトリックス樹脂をいい、1種または2種以上含んでいてもよい。熱可塑性マトリックス樹脂としては特に制限はなく、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂、フェノキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリフェニレンサルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂等が挙げられるが、中でも本発明のサイジング剤による接着性向上効果がより高いポリアミド系樹脂が好ましい。ここで、ポリアミド系樹脂とは、二塩基性脂肪酸とジアミン、ω−アミノ酸、ラクタムあるいはこれらの誘導体から合成される、主鎖に複数のアミド基を有する高分子化合物であり、ホモポリマーやコポリマー(共重合体)なども含まれる。また、主鎖や末端に置換基を導入した変性体でもよい。
これら熱可塑性マトリックス樹脂は、合成繊維ストランドとの接着性をさらに向上させるなどの目的で、その一部または全部が変性したものであっても差し支えない。
繊維強化複合材料の製造方法としては、特に限定はなく、チョップドファイバー、長繊維ペレットなどによるコンパウンド射出成型、UDシート、織物シートなどによるプレス成型、その他フィラメントワインディング成型など公知の方法を採用できる。
繊維強化複合材料中の合成繊維ストランドの含有量についても特に限定はなく、繊維の種類、形態、熱可塑性マトリックス樹脂の種類などにより適宜選択すればよいが、得られる繊維強化複合材料に対して、5〜70重量%が好ましく、20〜60重量%がより好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、ここに記載した実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例に示されるパーセント(%)は特に限定しない限り、「重量%」を示す。各特性値の測定は以下に示す方法に基づいて行った。なお、実施例1、5、7及び9は、参考例1、5、7、及び9とする。
<接着性>
複合材料界面特性評価装置HM410(東栄産業株式会社製)を使用し、マイクロドロップレット法により接着性を評価した。
実施例および比較例で製造した炭素繊維ストランドより、炭素繊維フィラメントを取り出し、複合材料界面特性評価装置にセッティングする。装置上で溶融したポリアミド樹脂T−860(東洋紡社製)のドロップを炭素繊維フィラメント上に形成させ、室温で十分に冷却し、測定用の試料を得た。再度測定試料を装置にセッティングし、ドロップを装置ブレードで挟み、炭素繊維フィラメントを装置上で0.06mm/分の速度で走行させ、炭素繊維フィラメントからドロップを引き抜く際の最大引き抜き荷重Fを測定した。
次式により界面剪断強度τを算出し、炭素繊維フィラメントとポリプロピレン樹脂との接着性を評価した。
界面剪断強度τ(単位:MPa)=F/πdl
(F:最大引き抜き荷重 d:炭素繊維フィラメント直径 l:ドロップの引き抜き方向の粒子径)
<マトリックス樹脂濡れ性>
上述の接着性評価における測定用試料について、引き抜き方向のドロップ径が100〜120μmの範囲にあるドロップを20個選定し、炭素繊維フィラメントに対する接触角を測定、その平均値を得た。サイジング剤未処理炭素繊維ストランドより取り出した炭素繊維フィラメントを用いて同様にして得た接触角と比較して、下記基準に従いマトリックス樹脂の濡れ性を評価した。
○:サイジング剤未処理炭素繊維の接触角に比較して1°以上接触角が小さい。
△:サイジング剤未処理炭素繊維の接触角とほぼ同等(接触角の差が±1°未満)
×:サイジング剤未処理炭素繊維の接触角に比較して1°以上接触角が大きい。
〔実施例1〕
冷却還流装置を備えた反応容器中にN−メトキシメチル化ポリアミド(DIC社製“ラッカマイド(登録商標)5003”、メトキシメチル化率:30%)200g、メタノール800gを仕込み、50〜60℃で撹拌溶解した。次いで、アクリル酸100g、アゾビスイソブチロニトリル2.4gを加え、窒素雰囲気下50〜60℃で4時間グラフト重合した。水860g、13.6%アンモニア水175gを加え、メタノールを留去(メタノール残留量は0.63%)し、不揮発分20重量%の水エマルジョンである親水性ポリアミド樹脂PA−1を得た。得られたPA−1を水で希釈して、不揮発分濃度10重量%のサイジング剤エマルジョンS−1を調製し、サイジング剤未処理炭素繊維ストランド(繊度800tex、フィラメント数12000本)を浸漬・含浸させた後、105℃で15分間熱風乾燥させて、理論付着量が5%であるサイジング剤処理炭素繊維ストランドを得た。本ストランドについて、前述の方法によりマトリックス樹脂濡れ性、接着性を評価した。その結果を表1に示した。
〔実施例2〕
実施例1における親水性ポリアミド樹脂PA−1に、ジエタノールアミンおよび水を加え撹拌混合し、不揮発分組成比率として親水性ポリアミド樹脂PA−1/ジエタノールアミン=98/2となる、不揮発分濃度10重量%のサイジング剤エマルジョンS−2を調製した。次いで、実施例1と同様にしてサイジング剤処理炭素繊維ストランドを得、各特性を評価した。その結果を表1に示した。
〔実施例3〕
実施例2における不揮発分組成比率を親水性ポリアミド樹脂PA−1/ジエタノールアミン=95/5となる様にサイジング剤エマルジョンS−3を調製した以外は、実施例2と同様にしてサイジング剤処理炭素繊維ストランドを得、各特性を評価した。その結果を表1に示した。
〔実施例4〕
実施例2における不揮発分組成比率を親水性ポリアミド樹脂PA−1/アミノエチルエタノールアミン=95/5となる様にサイジング剤エマルジョンS−4を調製した以外は、実施例2と同様にしてサイジング剤処理炭素繊維ストランドを得、各特性を評価した。その結果を表1に示した。
〔実施例5〕
実施例1における“ラッカマイド(登録商標)5003”に替えて、メトキシメチル化率:25%であるN−メトキシメチル化ポリアミドを使用した以外は、実施例1と同様にして不揮発分20重量%の水エマルジョンである親水性ポリアミド樹脂PA−2を得た。得られたPA−2を水で希釈して、不揮発分濃度10重量%のサイジング剤エマルジョンS−5を調製した以外は、実施例1と同様にしてサイジング剤処理炭素繊維ストランドを得、各特性を評価した。その結果を表1に示した。
〔実施例6〕
実施例5における親水性ポリアミド樹脂PA−2に、ジエタノールアミンおよび水を加え撹拌混合し、不揮発分組成比率として親水性ポリアミド樹脂PA−2/ジエタノールアミン=98/2となる、不揮発分濃度10重量%のサイジング剤エマルジョンS−6を調製した。次いで、実施例2と同様にしてサイジング剤処理炭素繊維ストランドを得、各特性を評価した。その結果を表1に示した。
〔実施例7〕
実施例1におけるアクリル酸100gに替えて、アクリル酸60g、ポリエチレングリコールモノメタクリレート20gの混合物を使用して同様にグラフト重合した。次いで、水860g、13.6%アンモニア水105gを加え、メタノールを留去(メタノール残留量は0.51%)し、不揮発分20重量%の水エマルジョンである親水性ポリアミド樹脂PA−3を得た。得られたPA−3を水で希釈して、不揮発分濃度10重量%のサイジング剤エマルジョンS−7を調製した以外は、実施例1と同様にしてサイジング剤処理炭素繊維ストランドを得、各特性を評価した。その結果を表1に示した。
〔実施例8〕
実施例7における親水性ポリアミド樹脂PA−3に、ジエタノールアミンおよび水を加え撹拌混合し、不揮発分組成比率として親水性ポリアミド樹脂PA−3/ジエタノールアミン=97/3となる、不揮発分濃度10重量%のサイジング剤エマルジョンS−8を調製した。次いで、実施例2と同様にしてサイジング剤処理炭素繊維ストランドを得、各特性を評価した。その結果を表1に示した。
〔実施例9〕
実施例1におけるアクリル酸100gに替えて、アクリルアミド100gを用いてグラフト重合を行い、得られた反応溶液に水1250gを加えてメタノールを留去(メタノール残留量は0.25%)し、不揮発分20重量%の水エマルジョンである親水性ポリアミド樹脂PA−4を得た。得られたPA−4を水で希釈して、不揮発分濃度10重量%のサイジング剤エマルジョンS−9を調製した以外は、実施例1と同様にしてサイジング剤処理炭素繊維ストランドを得、各特性を評価した。その結果を表1に示した。
〔実施例10〕
実施例9における親水性ポリアミド樹脂PA−4に、ジエタノールアミンおよび水を加え撹拌混合し、不揮発分組成比率として親水性ポリアミド樹脂PA−2/ジエタノールアミン=95/5となる、不揮発分濃度10重量%のサイジング剤エマルジョンS−10を調製した。次いで、実施例9と同様にしてサイジング剤処理炭素繊維ストランドを得、各特性を評価した。その結果を表1に示した。
〔比較例1〕
加圧反応器中に、アミノエチルピペラジンとアジピン酸からなる塩の50%水溶液160gとビスアミノプロピルポリエチレングリコールとアジピン酸からなる塩の50%水溶液40gを仕込み、窒素置換後、250℃で1MPaの加圧下で2時間重合した。その後系内を常圧まで放圧後、さらに2時間重合し、反応を終了した。その後撹拌下で冷却しつつ水を88g添加して3時間撹拌溶解し、不揮発分50重量%の水エマルジョンである親水性ポリアミド樹脂PA−5を得た。得られたPA−5を水で希釈して、不揮発分濃度10重量%のサイジング剤エマルジョンR−1を調製した以外は、実施例1と同様にしてサイジング剤処理炭素繊維ストランドを得、各特性を評価した。その結果を表1に示した。
〔比較例2〕
乳化器中にN−メトキシメチル化ポリアミド(DIC社製“ラッカマイド(登録商標)5003”、メトキシメチル化率:30%)105g、ポリオキシエチレン3〜10モル付加ラウリルジエタノールアミドエーテル45g、エチレングリコール120gを仕込み、90〜100℃で溶融、撹拌均一化した。その後70〜80℃まで冷却し、ホモミキサーによる撹拌下で、水730gを徐々に投入し、不揮発分15重量%の水エマルジョンであるポリアミド水分散体PA−6を得た。得られたPA−6を水で希釈して、不揮発分濃度10重量%のサイジング剤エマルジョンR−2を調製した以外は、実施例1と同様にしてサイジング剤処理炭素繊維ストランドを得、各特性を評価した。その結果を表1に示した。
〔比較例3〕
撹拌装置を備えたオートクレーブ中に、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(プロピレン/無水マレイン酸グラフト共重合比率(重量%):95/5、重量平均分子量:30000)228g、ポリオキシエチレン8モル付加オレイルエーテル57g、および水酸化ナトリウム15gを仕込み、窒素ガス還流、撹拌下で170〜180℃まで昇温した。ついで撹拌下水700gを徐々に投入、170〜180℃で2時間撹拌し、内容物を均一溶解した。その後常温まで冷却し、水分調整を行い、不揮発分30重量%の水エマルジョンであるポリプロピレン水分散体PP−1を得た。得られたPP−1を水で希釈して、不揮発分濃度10重量%のサイジング剤エマルジョンR−3を調製した以外は、実施例1と同様にしてサイジング剤処理炭素繊維ストランドを得、各特性を評価した。その結果を表1に示した。
〔比較例4〕
不揮発分30重量%のウレタン樹脂水エマルジョンであるDIC社製“ハイドラン(登録商標)HW−310”を水で希釈して、不揮発分濃度10重量%のサイジング剤エマルジョンR−4を調製した以外は、実施例1と同様にしてサイジング剤処理炭素繊維ストランドを得、各特性を評価した。その結果を表1に示した。
Figure 0005665416
表1から明らかなように、比較例と比較して実施例ではいずれもマトリックス樹脂濡れ性および接着性に関し良好な結果が得られた。

Claims (7)

  1. 熱可塑性マトリックス樹脂を補強するために用いられる強化繊維用サイジング剤であって、
    N−アルコキシメチル化ポリアミド樹脂を親水性ビニルモノマーで変性した親水性ポリアミド樹脂を必須に含有
    さらに分子構造内に2個以上の水酸基または分子構造内に2個以上のアミノ基を有するアミン化合物を、前記親水性ポリアミド樹脂に対して0.5〜10重量%含有する、
    強化繊維用サイジング剤。
  2. 前記親水性ビニルモノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、イタコン酸、アクリルアミドおよびN−メチロールアクリルアミドから選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の強化繊維用サイジング剤。
  3. 前記熱可塑性マトリックス樹脂が、ポリアミド系樹脂である、請求項1または2に記載の強化繊維用サイジング剤。
  4. さらに水を含有し、サイジング剤全体に占める不揮発分の重量割合が10〜60重量%であり、水と不揮発分の合計の重量割合が90重量%以上である、請求項1〜のいずれかに記載の強化繊維用サイジング剤。
  5. 原料合成繊維ストランドに対して、請求項1〜のいずれかに記載の強化繊維用サイジング剤を付着させた、合成繊維ストランド。
  6. 前記合成繊維が、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリアリレート繊維、ポリアセタール繊維、PBO繊維、ポリフェニレンサルフィド繊維およびポリケトン繊維から選ばれる少なくとも1種である、請求項に記載の合成繊維ストランド。
  7. 熱可塑性マトリックス樹脂と、請求項5または6に記載の合成繊維ストランドを含む、繊維強化複合材料。
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