JP5660786B2 - パターニング位相差フィルムとその製造方法、偏光眼鏡、映像表示システムとその製造方法 - Google Patents

パターニング位相差フィルムとその製造方法、偏光眼鏡、映像表示システムとその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、パターニング位相差フィルムとその製造方法、偏光眼鏡、映像表示システムとその製造方法に関する。また、立体映像を表示でき、かつ二次元映像も表示できる2D−3D併用映像表示システムにも関する。
映し出された映像が浮き出るように立体視でき、迫力ある映像を楽しむことができる3D立体映像表示分野において、近年、3D映画が急速に一般に受け入れられたことに伴い、より身近な場面であるフラットパネルディスプレイにおける3D立体映像表示が大きな注目を浴び始めている。従来、立体表示には裸眼で立体視する種々の方式や専用眼鏡を用いる種々の方式が知られているが、3D映画を映画館で座って鑑賞する場合と同等な画質が要求される上に、日常生活において動きのある中で映像を見ることができる観点から、専用眼鏡を用いる方式が注目されている。
一方、フラットパネルディスプレイ用の3D映像のコンテンツはいまだ十分とは言えないのが現状である。そのため、2D表示と3D表示間の切り替えが容易に可能であり、かつ、2D映像および3D立体映像がともに高画質で表示できるような映像表示方式が求められている。これらの要望を満たす方式として、眼鏡シャッター方式(アクティブ眼鏡方式)と偏光眼鏡方式(パッシブ眼鏡方式)の2つの方式が特に注目されている。また、近年高画質化が進んだフラットパネルディスプレイ分野においては、これら2つの方式しか従来のフラットパネルディスプレイにおける高画質を維持し、高品位な3D立体映像を提供することができないと考えられているのが実情である。
眼鏡シャッター方式と偏光眼鏡方式では、あらかじめ互いに視差が設けられている左眼用の画像と右眼用の画像をディスプレイに表示し、各専用眼鏡を通じてディスプレイを見ることで左右の眼でそれぞれ左眼用の画像および右眼用の画像のみを見ることで立体感を得ることができる。
眼鏡シャッター方式は、ディスプレイ上に左眼用の画像と右眼用の画像を高速で切り替えて時分割表示し、ディスプレイから全画面分の左眼用の画像光と全画面分の右眼用の画像光を交互に出射し、対応する画像光が一方の眼のみに入射できるように画像の切り替えに同期して一方のシャッターを閉じ、他方のシャッターを開ける動作を高速で繰り返す液晶シャッター眼鏡を通してディスプレイを観察することで立体感が得られる方式である。
しかしながら、フリッカーが多く眼が疲れる問題、一般的な比較的応答速度の遅い液晶表示装置では人間が通常見ているように自然な画像を得ることができないという問題、常にいずれかの片目で観るという負担、得られる3D映像が暗く、ちらつき(または違和感)が大きく眼が疲れるという問題、液晶シャッター眼鏡自体が高価であるという問題があった。
一方、偏光眼鏡方式は、ディスプレイ上に左眼用の画像と右眼用の画像を表示し、ディスプレイから出射された左眼用の画像光と右眼用の画像光をそれぞれ異なる2種の偏光状態(例えば、右円偏光と左円偏光)とし、右円偏光透過偏光板と左円偏光透過偏光板から構成される偏光眼鏡を通す構成である。また、偏光眼鏡方式におけるディスプレイへの左眼用の画像と右眼用の画像の表示方法として、左眼用の画像と右眼用の画像について、それぞれ元画像の半分ずつをディスプレイの半分に表示する画面分割方式が採用されている。画面分割方式としては、ラインバイライン方式が広く採用されており、ディスプレイの走査線(以下、ラインとも言う)の奇数ラインと偶数ラインに、それぞれ左眼用の元画像の1ラインおきとなるように画素数を半分にした左眼用画像の半分と右眼用の元画像の1ラインおきとなるように画素数を半分にした右眼用画像の半分を表示する。このような構成により、なるべく右眼には右眼用の画像光のみを通し、左眼には左眼用の画像光のみを通すことで、左右の眼で一つのディスプレイから異なる画像(立体的に見えるように視差が付けられている画像)をそれぞれ観察することで、立体感を得るものである。
偏光眼鏡方式は、常に両目で観ることによる負担軽減、フリッカーがほとんどないため眼が疲れにくい点、シャッター眼鏡方式と比較すれば得られる3D映像が明るい点、比較的応答速度の遅い液晶表示装置にも適している点で優れているものである。
偏光眼鏡方式の映像表示装置において、ディスプレイから出射された左眼用の画像光と右眼用の画像光をそれぞれ異なる2種の偏光状態にする手段としては、ライン幅に合わせて異なる位相差の領域が繰り返し帯状にパターニング配置されているパターニング位相差フィルム(以下、パターニング位相差フィルムとも言う)をディスプレイ上に貼る方法が広く採用されている。従来、このようなパターニング位相差フィルムでは、各位相差領域において位相差を発現させるための分子の配向方向がフィルム厚み方向において一定方向となるように並べられていた(例えば、特許文献1〜3参照)。具体的には、遅相軸または進相軸を有する一般的なλ/4位相差板およびλ/2位相差板などが、パターニング位相差フィルムの材料として各文献では採用されている。また、偏光状態を変換された左眼用の画像光と右眼用の画像光の偏光状態を再度変換するための偏光眼鏡についても、従来、位相差を発現させるための分子の配向方向がフィルム厚み方向において一定方向となるように並べられている偏光フィルムが用いられていた。
ここで、左右の眼にそれぞれ対応する画像光以外の別の眼用の画像光が入射し、いわゆるクロストークという現象が生じると、3Dの画質は著しく低下してしまう。このようなクロストークを改善するため、入射する光の波長に応じた波長分散まで考慮した上で、パターニング位相差フィルムや偏光眼鏡の位相差の絶対値が等しくなるように位相差を精密に制御する必要がある。しかしながら、特許文献1〜3に記載されている上記の材料はいずれも薄膜であるため、膜厚の微妙なずれによって位相差の大きさが変わってしまい、精密な位相差の制御は困難であるのが実情であった。例えば、特許文献3には理想的なλ/4位相差がパターニング位相差フィルムの各領域で同等に発現されていることや、また、製造ロットごとの品質のバラツキがないことを前提としており、波長分散の影響を軽減できているものの、主映像またはクロストーク映像(右眼に入射する左眼用映像)のどちらかに波長分散の影響は生じてしまっている。そのため、特許文献3に記載の方法を含め、従来、クロストークの発生を完全に抑えることは困難であった。そのため、クロストークを完全に改良するには至っておらず、また、同様に位相差のパターニング位相差フィルムや偏光眼鏡の製造時の歩留まりが悪く、さらなる改善が求められていた。
米国特許第5,327,285号 特開平10−153707号公報 特開平10−232365号公報
本発明は上記の実情を改善することを目的とするものである。すなわち、本発明が解決しようとする課題は、クロストークが小さいパターニング位相差フィルム、偏光眼鏡および映像表示装置を提供することにある。また、製造時の歩留まりが高く、製造コストが低い、前記パターニング位相差フィルムの製造方法および前記映像表示装置の製造方法を提供することにある。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、従来パターニング位相差フィルムや偏光眼鏡の位相差領域の材料として用いられていなかったツイスト構造を有する光学機能層を採用した結果、膜厚を比較的厚くすることができ、上記課題を解決できることを見出すに至った。具体的には、以下の構成によって上記課題が解決されることを見出し、本発明の完成に至った。
[1] 複数の右眼用位相差領域と複数の左眼用位相差領域が交互に形成され、前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域の少なくとも一方が、ツイスト構造を有する光学機能層であることを特徴とするパターニング位相差フィルム。
[2] 前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域を含む層が、熱可塑性樹脂から構成される支持体上に形成されていることを特徴とする[1]に記載のパターニング位相差フィルム。
[3] 前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域がともにツイスト構造を有する光学機能層であることを特徴とする[1]または[2]に記載のパターニング位相差フィルム。
[4] 前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域のいずれか一方のみがツイスト構造を有する光学機能層であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載のパターニング位相差フィルム。
[5] 前記右眼用位相差領域のツイスト角と前記左眼用位相差領域のツイスト角について、各ツイスト角の絶対値の和が90度であり、各ツイスト角の方向が異なることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載のパターニング位相差フィルム。
[6] 前記右眼用位相差領域に対応する位相差値と前記左眼用位相差領域に対応する位相差値がそれぞれ2層以上の位相差層の各位相差値の総和からなり、少なくとも一層が略λ/4の位相差値を有する層であり、別の一層が前記右眼用位相差領域では略λ/2か0のいずれか一方の位相差値を有する層であり前記左眼用位相差領域ではその他方の位相差値を有する層であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載のパターニング位相差フィルム。
[7] 右眼鏡と左眼鏡の少なくとも一方がツイスト構造を有する光学機能層を含むことを特徴とする偏光眼鏡。
[8] [1]〜[6]のいずれか一項に記載のパターニング位相差フィルムと、右眼用画像を前記右眼用位相差領域に表示し、かつ、左眼用画像を前記左眼用位相差領域に表示する映像表示パネルとを含む映像表示装置と、前記右眼用画像を視認しうる右眼鏡と、前記左眼用画像を視認しうる左眼鏡とを有する偏光眼鏡と、を含むことを特徴とする映像表示システム。
[9] 前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域がともに、ツイスト構造を有する光学機能層であることを特徴とする[8]に記載の映像表示システム。
[10] 前記偏光眼鏡の前記右眼鏡と前記左眼鏡がともに、ツイスト構造を有する光学機能層を含むことを特徴とする[8]または[9]に記載の映像表示システム。
[11] 前記パターニング位相差フィルムの右眼用位相差領域のツイスト角の絶対値と前記偏光眼鏡の右眼鏡のツイスト角の絶対値の和が90度であり、前記パターニング位相差フィルムの左眼用位相差領域のツイスト角の絶対値と前記偏光眼鏡の左眼鏡のツイスト角の絶対値の和が90度であることを特徴とする[8]〜[10]のいずれか一項に記載の映像表示システム(但し、前記位相差領域または前記眼鏡がツイスト構造を有さない場合はツイスト角0度とする)。
[12] 前記偏光眼鏡の前記右眼鏡と前記左眼鏡の少なくとも一方が遅相軸を有する光学機能層を含むことを特徴とする[9]に記載の映像表示システム。
[13] 前記偏光眼鏡の前記右眼鏡と前記左眼鏡がいずれも直線偏光子のみからなることを特徴とする[9]に記載の映像表示システム。
[14] 前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域のいずれか一方のみが、ツイスト構造を有する光学機能層であることを特徴とする[8]に記載の映像表示システム。
[15] 前記偏光眼鏡の前記右眼鏡と前記左眼鏡のいずれか一方のみが位相差を有する光学機能層を含むことを特徴とする[14]に記載の映像表示システム。
[16] 前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域のうち、ツイスト構造を有する方の位相差領域の位相差値が略λ/2であり、ツイスト構造を有さない方の位相差領域の位相差値が0であり、前記偏光眼鏡のうち、位相差を有する光学機能層を含む方の眼鏡の光学機能層の位相差値が略λ/2であることを特徴とする[15]に記載の映像表示システム。
[17] 前記偏光眼鏡の前記右眼鏡と前記左眼鏡の少なくとも一方が遅相軸を有する光学機能層を含むことを特徴とする[15]または[16]に記載の映像表示システム。
[18] 前記偏光眼鏡の前記右眼鏡と前記左眼鏡がいずれも直線偏光子のみからなることを特徴とする[14]に記載の映像表示システム。
[19] 前記右眼用位相差領域の位相差値の絶対値と前記左眼用位相差領域に対応する位相差値の絶対値が異なり、前記右眼用位相差領域の位相差値の絶対値と前記偏光眼鏡の左眼鏡の位相差値が実質的に同じであり、前記左眼用位相差領域の位相差値の絶対値と前記偏光眼鏡の右眼鏡の位相差値が実質的に同じであることを特徴とする[8]に記載の映像表示システム。
[20] 配向膜上に、カイラル剤と、光重合性液晶または光重合性の屈折率異方性物質を含む組成物を塗布する工程と、得られた塗布膜を露光処理する工程を含むことを特徴とするパターニング位相差フィルムの製造方法。
[21] 前記露光処理工程後に加熱処理工程を含むことを特徴とする[20]に記載のパターニング位相差フィルムの製造方法。
[22] 映像表示パネル上に、[20]または[21]に記載のパターニング位相差フィルムの製造方法によってパターニング位相差フィルムを形成する工程を含むことを特徴とする映像表示システムの製造方法。
[23] 前記露光処理工程を、前記映像表示パネル上に前記塗布膜を形成した後に行うことを特徴とする[22]に記載の映像表示システムの製造方法。
[24] 右眼鏡と左眼鏡を有する偏光眼鏡の製造方法であって、配向膜上に、カイラル剤と、光重合性液晶または光重合性の屈折率異方性物質を含む組成物を塗布する工程と、得られた塗布膜を露光処理してツイスト構造を有する光学機能層を形成する工程と、得られたツイスト構造を有する光学機能層を前記右眼鏡または左眼鏡の少なくとも一方に配置する工程とを含むことを特徴とする偏光眼鏡の製造方法。
本発明によれば、クロストークが小さいパターニング位相差フィルム、偏光眼鏡および映像表示装置することができる。また、製造時の歩留まりが高く、製造コストが低い、前記パターニング位相差フィルムの製造方法および前記映像表示装置の製造方法を提供することができる。
また、本発明の映像表示システムは、構成を変えずに2D画像も3D画像も表示することができる。
図1は、本発明のパターニング位相差フィルムにおけるツイスト構造の概略図である。図1の上図では下方が映像表示パネルのリア側であり、下方から上方へ向けて画像光は透過する。 図2は、パターニング位相差フィルムの右眼用位相差領域および左眼位相差領域、偏光眼鏡の右眼鏡および左眼鏡が、いずれもツイスト構造を有する態様の映像表示システムの構成を表す概略図である。 図3は、パターニング位相差フィルムの右眼用位相差領域および左眼位相差領域、偏光眼鏡の右眼鏡および左眼鏡が、いずれもツイスト構造を有し、パターニング位相差フィルムの右眼用位相差領域および左眼位相差領域への入射光の偏光面が映像表示パネルの透過軸と平行ではない態様の映像表示システムの構成を表す概略図である。 図4は、パターニング位相差フィルムの右眼用位相差領域および左眼位相差領域のいずれか一方がツイスト構造を有し、偏光眼鏡の右眼鏡および左眼鏡がいずれもツイスト構造を有さず、かつ、位相差を有しない態様の映像表示システムの構成を表す概略図である。 図5は、パターニング位相差フィルムの右眼用位相差領域および左眼位相差領域のいずれか一方がツイスト構造を有し、偏光眼鏡の右眼鏡および左眼鏡がいずれもツイスト構造を有さず、かつ、λ/2の位相差を有する態様の映像表示システムの構成を表す概略図である。 図6は、本発明のパターニング位相差フィルムにおけるツイスト構造を形成する方法を示す概略図である。 図7は、本発明のパターニング位相差フィルムにおけるツイスト構造を形成する方法のうち、光配向により配向処理を行う態様を示す概略図である。 図8は、各熱可塑性樹脂について、波長と波長分散の関係を示す概略図である。 図9は、図4において偏光眼鏡の右眼鏡および左眼鏡のいずれか一方がλ/2の位相差を有する態様の映像表示システムの構成を表す概略図である。 図10は、図5において偏光眼鏡の右眼鏡および左眼鏡が位相差を有さない態様の映像表示システムの構成を表す概略図である。 図11は本発明のパターニング位相差フィルムが、λ/4位相差板を含む態様を表す概略図である。 図12は本発明の映像表示システムの製造方法の基本工程フローを表す概念図である。 図13は本発明のパターニング位相差フィルムと映像表示パネルを組み合わせたときの、視差のずれにより生じる位置ズレを説明するための概略図である。 図14は液晶セルにおける、TN配向の場合とホモジニアス配向の場合のΔndと、出射偏光の楕円率の関係を表す概略図である。
以下において、本発明のパターニング位相差フィルム、偏光眼鏡、映像表示装置やその製造方法などについて詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
なお、本明細書中、位相差を有する物体とは、位相差発生機能を有する物体のことで、対象とする光に対して、その物体を通過する光の位相が、通過により前後で変化する物体を表す。また、2つの物体の位相差が異なるとは、同じ偏光の光を、ある物体ともう一方の物体をそれぞれ通過させたときに、前記ある物体を通過した光の位相の変化と、前記もう一方の物体を通過した光の位相の変化が異なることを意味する。このように、ここでは、簡便に位相差発生機能を有する物体のことを、位相差を有する物体のような表現をする。このような位相差発生機能を有する物体には、特定方向の光軸を有する物体(例えば、全ての液晶分子が特定方向に配向している状態の物体)に加え、実効的に特定方向の光軸を有する物体と同等の作用である偏光変換機能(例えば、直線偏光面を回転させる機能)を有する物体(例えば、Twisted Nematic液晶層などのように特定方向に液晶分子が配向せずにツイスト配向している状態の物体)も含まれる。すなわち、位相差を有する物体を、何らかの偏光変換機能を有する物体と定義することもできる。
同様に、2つの物体の「位相差が異なる」とは、位相差発生機能が異なる又は偏光変換機能が異なることを意味する。それらの物体に遅相軸がないときは2つの物体を通過した光の偏光の変化が互いに異なるように偏光を変換することを意味する。位相差が異なる物体とは、上記のようにある物体が有する位相差発生機能と実効的に同等の作用を呈する偏光変換機能層(例えば、Twisted Nematic液晶層などのように直線偏光面を回転させる層)の特徴を代表して表現するものである。
また、ツイスト構造を有する光学機能層とは、偏光変換機能を有する層のうち、特定方向に液晶分子が配向せずにツイスト配向している状態の直線偏光面を回転させる層のことを言う。ツイスト構造を有する光学機能層には、Twisted Nematic液晶層などが含まれる。
さらに、「位相差フィルム」とは、広く位相差層(偏光変換機能層を含む位相差機能層)を有するものであり、別途ガラス基板などの支持体を有する形態をも含んでいる。すなわち、位相差フィルムには、単層の位相差層、位相差層どうしの積層体であって実効的な位相差がゼロではない積層体、位相差層と位相差を有しない層の積層体の全てが含まれる。また、位相差フィルムには、その一部の領域のみに位相差機能(偏光変換機能)を有し、その他の領域に位相差機能(偏光変換機能)を有しない位相差ゼロの領域を有する態様も含まれる。なお、フィルムという単語に膜厚上の意味は無く、例えば位相差フィルムには、位相差板も含まれる。
本明細書中、具体的にレターデーションを測定できる場合には、「ほぼ」や「略」などの語句を位相差に対して用いたときには、その値を中心にして±20nmの範囲(好ましくは、±3nmの範囲)のことを指して「ほぼ」などと言う。なお、遅相軸を有しない場合には、その位相差変換機能として、遅相軸を有する場合の上記範囲に相当することを指して「ほぼ」と解釈する。なお、レターデーション(面内方向のレターデーション)は、KOBRA 21ADH又はWR(王子計測機器(株)製)において、波長λnm(本明細書中、特に断りが無い限りにおいて550nmとする。実施例においても同じ)の光を、フィルム状の測定対象物の法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。また、「ほぼ」や「略」などの語句が表す位相差の好ましい範囲は、測定波長によって適宜変動する範囲である。
[パターニング位相差フィルム]
本発明のパターニング位相差フィルムは、複数の右眼用位相差領域と複数の左眼用位相差領域が交互に形成され、前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域の少なくとも一方が、ツイスト構造を有する光学機能層であることを特徴とする。
パターニング位相差フィルムに用いられる代表的な材料の波長分散特性は、図8に示したとおりである。ここで、図8中、Psuはポリサルフォンを表し、PAはポリアリレートを表し、PCはポリカーボネートを表し、PVAはポリビニルアルコールを表す。すなわち、波長を特定の波長に限定すれば、位相差フィルムの位相差値は、任意の値に設定することが可能である。例えば、円偏光を用いる場合にはλ/4位相差板を緑の波長に合わせて得ることができ、直線偏光を用いる場合にはλ/2位相差板を緑の波長に合わせて得ることができる。しかしながら、カラーディスプレイでは、緑のほかに赤、青も重要であり、これら全ての波長に渡って位相差を制御するには困難を要する。例えば、PCの場合、緑色で位相差値を設定しても、青色では10%程度、赤色では5%程度のズレが生じる。
以上は波長分散、位相差自体の絶対値についても同様である。なぜなら、波長分散の議論は波長を特定した場合の、位相差の絶対値の議論に他ならないからである。具体的には、波長分散は主として、パターニング位相差と偏光眼鏡に用いる位相差フィルムの材質種に関することであり、位相差の絶対値は、材料種とともに、製造技術及び制御性に関わる問題である。
ここで、位相差フィルムとしてツイスト構造のものを用いた場合の効果を直線偏光が位相差層に入射し、その偏光度の変化を比較したもので概説する。図14から明らかなようにΔnd即ち、位相差層の膜厚を1〜4割まで変化させた場合、ツイスト構造を有する場合と、一様な方向に配列した場合とで直線偏光の偏光度は大きく異なることがわかる。即ち、ツイスト構造体(TN)の場合には、その偏光度は緩やかに変化するのに対し、一軸性の構造体(ホモジニアス)においては、急激な偏光度の低下が見られ、直線偏光からのズレが大きいことがわかる。直線偏光の偏光度においてと同様に、他の偏光状態においても同様の変化を示し、ツイスト構造体の偏光変換が導波路的であることがわかる。
以上のことは、ツイスト構造体においては、膜厚の変化に対してマージンが広いことを意味し、実際の製品製造の観点からは、非常に望ましいことであり、高画質の画像表示を可能とするものである。
偏光眼鏡を用いた3D表示の場合、画質を左右する重要な特性としてクロストークなる指標がある。眼鏡を通して右眼に入るべき右眼用画像光(情報光)の光量に対して、右眼に入って欲しくない左眼用画像光の光量の割合を示すものであり、0%であることが理想である。
本発明のパターニング位相差フィルムは、液晶ディスプレイなどの映像表示装置上に設置して偏光眼鏡と適切に組み合わせて3D表示を行った場合に、ツイスト構造を有する光学機能層を採用するものである。これにより、位相差の絶対値のズレや位相差の波長分散に起因するクロストークを低減することができる。このようにパターニング位相差フィルムの位相差領域においてツイスト構造を有する光学機能層を用いた例は従来知られておらず、本発明により初めて3D映像表示システムに用いたときに好ましいことがわかったものである。
以下、本発明の好ましい態様を参照しつつ、本発明を具体的に説明する。
<位相差領域>
(パターニング方式)
本発明のパターニング位相差フィルムにおいて、前記複数の右眼用位相差領域と前記複数の左眼用位相差領域が交互に形成されている態様については、特に制限はなく、公知のパターニングを採用することができる。パターニングの方式としては千鳥パターンまたはそれに類似のパターンであっても、ライン状のパターンであってもよいが、ライン状のパターンであることが横方向の視角特性を広くする上で好ましい。すなわち、前記複数の右眼用位相差領域がライン状位相差領域であり、前記複数の左眼用位相差領域パターニング領域がライン状位相差領域であることが好ましい。
交互に形成された複数の右眼用ライン状位相差機能領域と複数の左眼用ライン状位相差機能領域は、水平方向に設けられていることが好ましく、このように交互に形成された複数の右眼用ライン状位相差機能領域と複数の左眼用ライン状位相差機能領域が水平方向に設けられた態様とすることで、映像表示パネルの左右方向のクロストークが発生せず、良好な3D立体映像を表示できる角度を大きくすることができる。ただし、視野角として上下方向を重視する場合には、縦ストライプパターンの形状が好ましく、又、左右及び上下の視野角のバランスを重視する場合は、千鳥パターンまたはそれに類似のパターンを選択してもよい。この場合には、パターンに応じた画像データの変換が必要になる。
(ツイスト構造)
図1に本発明のパターニング位相差フィルムにおける前記ツイスト構造の光学機能層の構造を示す。
前記ツイスト構造の光学機能層は、TN液晶ディスプレイ(の非印加時)と同様に、該光学機能層の厚み方向の一方の面から他方の面に向かって、屈折率異方性の分子がねじれ構造をともなった形で配向しているものである。
すなわち、前記ツイスト構造の光学機能層の光学的性質は、TNモードの液晶の配向に応じた機能と同様である。TN液晶中の偏光の伝播は導波路モードと言われ、いかなる理論に拘泥するものでもないが、液晶分子に平行または垂直に入射した直線偏光は、おおむね液晶分子のねじれ構造に沿って、直線偏光を大きく乱すことなく、偏光軸を回転させることができるとされている(図14参照)。一般の一軸性位相差フィルムは、例えば延伸フィルムであっても、塗布型フィルムであっても、直線偏光をλ/2変調する場合、円偏光を経由して偏光軸を90度回転させる。これに対して、ツイスト構造を含む光学機能層は、その層の厚さの設定にもよるが、直線偏光の状態をある程度維持しながら、90度の旋光回転を行うことができる。さらに、直線偏光が前記ツイスト構造を含む光学機能層を厚み方向に透過した後の旋光性自体は、ツイスト構造のどの方位の角度から直線偏光が入射してもΔndが適切に設定されれば、同じとなり液晶の配列に対する入射偏光の偏光軸が液晶分子と平行または直交している場合には、特に、偏光度の変化も極めて小さい。前記ツイスト構造を含む光学機能層が前記5μm程度以上の層厚さで、90度ツイスト構造をとる場合には前記旋光性、即ち90度の旋光性が失われることはない。
ツイスト構造の位相差機能は、延伸フィルムや一軸性の塗布膜に比較し、その構造上、同じ位相差機能(旋光機能)を付与するのに、厚さを余分に必要とすることを特徴とする。例えば、λ/2の機能(直線偏光軸を90度回転)を付与するためには液晶層のΔnをΔn=0.094とすると、下記表1のようになり、ツイスト角の増加に伴い、厚さが必要となる。
表1に示したようにツイスト角90度のツイスト構造では、厚さ5μm程度となる。すなわち、ツイスト角0度の従来の一軸製の位相差フィルムに比較して、約2倍の厚さを要する。これにより、従来よりもパターニング位相差フィルムを製造する場合の厚さに対する制御がより容易となる。
また、直線偏光を用いる場合は、光学機能層を通過する際、ツイスト構造を有する光学機能層は導波路モードと言われるように偏光度の変化または低下が、従来の位相差層に比較して大きくはない(図14参照)。そのため、厚さ変動に対する偏光度の変化も比較的に穏やかになるため、3D画質への影響が小さいというメリットがある。このことは、他の偏光状態の光を用いた場合にも同様に成り立つものである。
以上より、ツイスト構造を有する光学機能層を採用することで、従来にない製造マージンの拡大がはかれ、また、クロストークを低減して3D画質を改善することができる。
前記TN構造の光学機能層を用いてパターニング位相差フィルムの各位相差領域を形成することで、従来の一軸性の位相差フィルムに比較して、大幅に位相差の絶対値精度を改善することができる。
本発明のパターニング位相差フィルムは、前記右眼用位相差領域のツイスト角と前記左眼用位相差領域のツイスト角について、各ツイスト角の絶対値の和が90度であり、各ツイスト角の方向が異なることが好ましい。
ここで本明細書中、前記ツイスト角とは、ツイスト構造を有する光学機能層の厚み方向において、一方の表面からもう一方の表面へ向けて光学異方性分子が回転する角度のことを言う。但し、この構造においては、偏光が通過したときに偏光面が旋光回転する角度とも概略対応する。ツイストしていない場合は、ツイスト角は0度とする。また、ツイスト角の方向が異なるとは、ツイスト角の符号(正負)が異なることを言う。ここで、ツイスト角が0度の場合には、適宜、ツイスト角の方向を正負と解釈しても良い。
(I)第1の好ましい態様
本発明のパターニング位相差フィルムの第1の好ましい態様は、前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域がともに、ツイスト構造を有する光学機能層である態様である。
また、本発明のパターニング位相差フィルムは、前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域がともに、ツイスト構造を有する光学機能層であり、かつ、前記右眼用位相差領域のツイスト角と前記左眼用位相差領域のツイスト角について、各ツイスト角の絶対値の和が90度であり、各ツイスト角の方向が異なることが好ましい。
具体的には、本発明のパターニング位相差フィルムにおける前記ツイスト構造の光学機能層は、この回転角を図2のように右眼用位相差領域でα1、左眼用位相差領域でα2としたとき、α1とα2のうちの一方を時計回り、もう一方を半時計回りとして回転方向を異なる方向に設定する態様が好ましい。
(II)第2の好ましい態様
本発明のパターニング位相差フィルムの第2の好ましい態様は、前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域のいずれか一方のみが、ツイスト構造を有する光学機能層である。
また、前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域のうち、ツイスト構造を有しない光学機能層は位相差機能を有しないことが好ましく、具体的には位相差値が略ゼロであることが好ましい。
(支持体)
本発明のパターニング位相差フィルムは、前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域を含む層のみであっても、支持体上に形成されていてもよいが、支持体上に形成されていることが好ましい。
本発明のパターニング位相差フィルムは、熱可塑性樹脂から構成される支持体を含んでいても、ガラスから構成される支持体を含んでいてもよいが、熱可塑性樹脂から構成される支持体上を含むことが、ガラスから構成される支持体を含む態様と比べて軽量化できる観点から、好ましい。
前記支持体は、位相差を有していても有していなくてもよい。
本発明のパターニング位相差フィルムの第1の好ましい態様では、前記支持体は位相差を有していないことが好ましい。具体的には、ツイスト構造の光学機能層(液晶層)のみで所望の旋光効果を得るためには、前記支持体としてリターデーションが極めて小さいフィルムを選択することが好ましく、ゼオノア(商品名、株式会社ゼオン製)、Z-TAC(商品名、富士フイルム製)などを用いることができる。
一方、本発明のパターニング位相差フィルムの第2の好ましい態様では、前記支持体は位相差を有していることが好ましく、略λ/4の位相差値を有する層であることがより好ましい。
さらに、前記TN構造の光学機能層を、支持体として従来の位相差フィルム、例えば一軸性位相差フィルム(より広くは遅相軸を有する位相差フィルム)と適宜組み合わせて用いることもできる。この場合、ディスプレイ側に設けるパターニング位相差と偏光眼鏡を広く対象とすると種々の組み合わせ構成が考えられる。
本発明のパターニング位相差フィルムは、前記右眼用位相差領域に対応する位相差値と前記左眼用位相差領域に対応する位相差値がそれぞれ2層以上の位相差層の総和からなり、少なくとも一層が略λ/4の位相差値を有する層であり、別の一層が前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域がそれぞれ略λ/2と0のいずれか一方の位相差値を有する層であることが好ましい。
具体的には、ベースフィルムとして略λ/4位相差板を用い、右眼用位相差領域および左眼用位相差領域はそれぞれ位相差値が略λ/2の領域とゼロの領域となるようにパターニングされ、該λ/4位相差板の遅相軸と該λ/2位相差板の遅相軸は直交し、該λ/4位相差板の遅相軸と該λ/2位相差板の遅相軸はともにディスプレイの出射光の偏光軸に対して時計回りに45度または−45度の角度である積層構成のパターニング位相差フィルムを好ましく挙げることができる。
また、従来の位相差フィルムのほかに、その他の支持体を設けてもよい。
[パターニング位相差フィルムの製造方法]
本発明のパターニング位相差フィルムの製造方法は、配向膜上に、カイラル剤と、光重合性液晶または光重合性の屈折率異方性物質を含む組成物(以下、塗布液とも言う)を塗布する工程と、得られた塗布膜を露光処理する工程を含むことを特徴とする。
以下、本発明のパターニング位相差フィルムの製造方法を説明する。
(配向処理)
前記基板上に配向処理を施すことが好ましい。配向処理としては特に制限はなく、公知の配向処理を行うことができるが、その中でもラビング処理を行うことが簡便の上で好ましい。前記基板上にラビング処理で配向処理をする場合には、前記基板上にPVA他、通常、液晶材料を水平配向させることができる材料を0.3〜0.1μm程度の厚さで形成できるように塗布し、焼成し、ラビング処理を行うことが好ましい。前記焼成温度は、材料によるが、150℃〜200℃に通常設定する。ここで前記ラビング処理の方向は、前記基板が遅相軸を有する場合はその遅相軸方向と90度を成すように(位相差機能を打ち消すように)行うことが好ましい。なお、ラビングの方法については特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
また、右眼用位相差領域および左眼用位相差領域がともにツイスト構造である場合は、後述する部分ラビングを行うことが好ましい。
一方、右眼用位相差領域および左眼用位相差領域の一方のみがツイスト構造である場合は、フィルム全面へのラビングを行うことが好ましい。また、ラビング方向については、求めるトータルの位相差機能に応じて適切に設定する必要がある。
(塗布工程)
ツイスト構造を有する領域を形成する場合、まず、カイラル剤を含む塗布液を準備する。前記カイラル剤を含む塗布液としては、カイラル剤によってツイスト構造を形成できる分子が含まれていれば特に制限はないが、例えばカイラル剤を含む重合性液晶であることが好ましい。なお、カイラル剤を含む重合性液晶に同等な塗布液であってもよい。また、前記カイラル剤の種類については、本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限はない。
設定する膜厚は目的とするツイスト角または位相差値に応じて任意に設定することができる。なお、材料の複屈折(異方性)の強さに応じて膜厚は変更させる必要がある。90度ツイスト構造を形成する場合、カイラル剤の添加量は90度ツイストになるよう、適宜調整する。
前記基板上に配向処理を施した後、前記基板上にツイスト構造を有する光学機能層がパターニングされた位相差層を、所望の実効的な位相差が得られるような膜厚で成膜して積層することで本発明のパターニング位相差フィルムを製造することができる。
前記基板上にツイスト構造を有する光学機能層がパターニングされた位相差層を成膜する方法としては、重合性液晶または重合性異方性発現物質を溶剤に溶解させた(希釈した)塗布液を、配向処理を施した前記基板上に塗布し、該重合性液晶または重合性異方性発現物質を重合させる方法が好ましい。
前記重合性液晶または重合性異方性発現物質を塗布するために溶解させる溶剤としては特に制限はなく、公知の溶剤を用いることができる。具体的には、例えばメチルエチルケトン(以下、MEKとも言う)などを挙げることができる。
前記重合性液晶または重合性異方性発現物質を重合させるために、重合開始剤を用いることが好ましい。前記重合開始剤としては特に制限はないが、光重合開始剤を好ましく用いることができる。前記光重合開始剤としては例えば、EP1388538A1、page21に記載のLC−1−1を用いることができる。
(露光工程)
本発明のパターニング位相差フィルムの製造方法では、得られた塗布膜を光重合により重合させる露光工程を含む。すなわち、前記重合性液晶または重合性異方性発現物質を含む組成物(以下、塗布液とも言う)を塗布して得られた塗布膜を光重合により重合させる露光工程を含む。
本発明のパターニング位相差フィルムを製造するときに用いることができる前記重合性液晶または重合性異方性発現物質としては、特に制限はなく、公知の重合性液晶を用いることができる。具体例としては、LC242他(BASF社製)、RMシリーズ(メルク社製)、ULCシリーズ(DIC社製)、又、特許第4232441記載の材料など種々のものが適用可能である。また、前記重合性液晶または重合性異方性発現物質は1種のみ用いることも可能であるが、諸特性を整えるために2種以上を混合して用いてもよい。
前記重合性液晶または重合性異方性発現物質を光照射により光重合させる場合、光重合する前に、必要に応じて前処理として熟成加熱(プレベーク処理)をしてもよい。この加熱は、重合性の液晶分子または重合性の異方性発現分子の配列をより均一にするためのものであり、用いる配向膜、重合性液晶または重合性異方性発現物質の組み合わせによっては、不要な場合もある。
前記重合性液晶または重合性異方性発現物質を含む塗布液を光照射により光重合させる場合、前記塗布液中に用いる材料や処方によっては、照射雰囲気の酸素濃度が低いほど硬化性は高まる。
また、照射波長と照射量(および照射時間)については目的とする位相差値によって適宜変更することができるが、例えば、照射波長として300〜450nmの波長の光照射を1J程度は照射する態様が好ましい。特に前記重合性液晶または重合性異方性発現物質を重合させた後に、後述の熱処理をする場合は、その後の熱処理で位相差値が大きく変化しないように十分硬化する必要がある。
また、前記重合性液晶または重合性異方性発現物質を含む塗布液の等方相転移温度Tisoより、低い温度で前記塗布液を前記基板上に塗布し、光(紫外線)硬化することが好ましい。なお、前記等方相転移温度Tisoとは、液晶性を示す液晶分子の単体、又は混合体が、一定の方向に配列した状態(いわゆる液晶状態)になる温度から、配向秩序のない状態(いわゆる等方性状態)に切り替わる温度を示す。この等方相転移温度は、偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって求めることができる。液晶化合物をガラス板上に載せ、加温しながら偏光顕微鏡で観察し、視野が明るく見える液晶状態から、暗く見えるようになった液体状態(光学的に等方性を示す状態)に転移したときの温度とした。
本発明のパターニング位相差フィルムの製造方法では、前記露光工程として、塗布膜全面に露光をしても、部分的に露光してもよい。
右眼用位相差領域および左眼用位相差領域がともにツイスト構造である場合は、いずれの露光方法でも構わないが、個々の領域で塗布材料を塗り分ける又は配向制御を個別に行うことで全面に露光することも可能である。
一方、右眼用位相差領域および左眼用位相差領域の一方のみがツイスト構造である場合は、部分的に露光することが好ましい。
前記ツイスト構造を有する光学機能層がパターニングされた位相差層を前記重合性液晶または重合性異方性発現物質を含む塗布液の光重合により形成するためには、該塗布液に部分的に露光をすることが好ましい。また、部分的な露光を行うためには、フォトマスクを用いることが好ましい。前記フォトマスクとしては照射部(光透過部)と、遮光部がパターニングされたフォトマスクを用いることができる。前記パターニング位相差層を形成する場合における露光の態様についても本発明の製造方法では特に制限はないが、2種類のフォトマスクを用いて2回以上露光する態様でもよい。
前記重合性液晶または重合性異方性発現物質を含む塗布液に部分的に光(紫外線)を照射することで、照射部の重合性液晶は、光重合し、配向状態を保ったまま固化することになる。
本発明のパターニング位相差フィルムの製造方法は、前記露光処理工程後に加熱処理工程を含むことが好ましい。
前記露光工程後、さらに熱処理を行うことによって、各領域の位相差を適宜制御することができる。また、未照射領域の重合性液晶は、次のステップの熱処理により、等方相化による位相差の解消および強制的な熱重合により硬化がある程度進み、塗布後に有していた位相差が解消した状態で安定化する。
露光後の熱処理条件は本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限はなく、適当な重合条件で行うことができる。その中でも、熱処理温度は、前記等方相転移温度Tisoを超えても超えなくてもよいが、超えることが好ましい。
以上の処理で位相差値がパターニングされた位相差層の反応安定化が十分でない場合には、全面にわたり一括紫外線照射を後処理(安定化処理)として行うことが好ましい。
紫外線により十分な硬化がなされた位相差領域では、その後の熱処理(NI点以上の温度)を経た後においても、十分な分子配列を維持し、結果としてツイスト構造を得ることができる。なお、ここでいうNI点とは、前記重合性液晶または重合性異方性発現物質がネマティック相から等方相に変化する転移点温度を表し、前述の等方層転移温度Tisoとは、同じ温度である。
一方、紫外線を照射しなかった位相差領域においては、NI点以上の温度による等方処理(熱処理)により、液晶性分子の配列が乱され、実質、等方の層とすることができる。
光照射に用いられる光としては用いる重合性液晶材料に適したものを用いる必要があるが、通常、紫外線などを好ましく用いることができる。
<第1の好ましい態様のパターニング位相差フィルムの製造方法>
本発明のパターニング位相差フィルムの製造方法中、前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域がともにツイスト構造を有する光学機能層である第1の好ましい態様のパターニング位相差フィルムの製造方法に独特の点を説明する。
その中でも、前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域が互いに異なる方向のツイスト構造であるより好ましい態様の本発明のパターニング位相差フィルム(より好ましくは一方が時計回りであり、もう一方が半時計回りである2方向のツイスト構造)の作製方法について以下に説明する。
前記ツイスト構造の製造方法としては、特に制限はないが、光配光膜を用いた方法または部分ラビングを用いることが好ましく、光配光膜を用いる方法がより好ましい。ラビング処理を用いた一般的な方法を図6に示す。一般的に、一対のフィルム基板に各々配向膜を形成し、ラビング処理を矢印の方向に施したセル構造とし、液晶を基板間に注入すれば任意のツイスト角αを有したツイスト構造の光学異方性素子ができる。
ここで、前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域がともにツイスト構造である本発明の第1の好ましい態様のパターニング位相差フィルムのような2方向のツイスト構造を作るためには、光学機能層の一方の基板(例えば、フロント側の基板)の配向膜のラビング方向を2方向に制御すればよく、光配向膜を用いて形成することが好ましい。この時には、図7に示したように、目的とする異なる2方向を偏光面とした2種類の直線偏光の光を用い、マスクを介して、前記右眼用位相差領域への露光処理と前記左眼用位相差領域への露光処理の計2度の露光処理が必要となる。前記光配光膜としては特に制限はないが、例えば、Rolic technologies社製の商品名LPP−JP265CPなどを用いることができる。この場合、光源としては直線偏光したものを用い、配向膜面に対して斜めからの照射を行うことができる。
また、メカニカルな従来ラビングで光学機能層の一方の基板(例えば、フロント側の基板)の配向膜のラビング方向を2方向に制御する場合は、マスクラビング(ラビングの際に、部分的なマスキングをしてラビングを行う)を用いることができる。
マスキングについては、半導体、LCD他で広く利用されているフォトレジストで行う方法と、メタルマスク他の取り外し可能なマスクを用いる方法のいずれも採用することができ、前者の方が解像度の点で優れるという利点があり、後者の方が塗布、露光、現像、剥離などのプロセスが不要である点で利点がある。
また、第1の好ましい態様のパターニング位相差フィルムの製造方法では、露光処理は部分的に行わず、前記塗布膜全面に露光することが好ましい。
<第2の好ましい態様のパターニング位相差フィルムの製造方法>
本発明のパターニング位相差フィルムの製造方法中、前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域のいずれか一方のみが、ツイスト構造を有する光学機能層である第2の好ましい態様のパターニング位相差フィルムの製造方法に独特の点を説明する。
前記一方のみがツイスト構造を有するパターニング位相差フィルムの製造方法としては、特に制限はないが、フィルム基板の全面に前記塗布液を塗布し、必要に応じて配向膜を用いて、一度全面90度ツイスト構造を形成することが好ましい。具体的には、前記塗布液を、配向膜を形成したフィルム支持体上へ前記塗布液塗布した後、記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域のいずれか一方のみへの部分的な固化を、フォトマスクを介した紫外線などの露光により行い、さらに前記塗布液の等方相転移温度以上の温度で加熱処理を行うことが好ましい。
このようなプロセスにてあらかじめ紫外線で固化されていない方の位相差領域の位相差機能は消失し、前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域のいずれか一方のみが、ツイスト構造を有する光学機能層を得ることができる。
[偏光眼鏡]
(ツイスト構造を有する光学機能層)
本発明の偏光眼鏡は、右眼鏡と左眼鏡の少なくとも一方がツイスト構造を有する光学機能層を含むことを特徴とする。このようなツイスト構造を有する光学機能層を、偏光眼鏡方式において採用した例は従来知られていない。
(その他の層)
本発明の偏光眼鏡は、ツイスト構造を有する光学機能層の他にその他の層が積層されていてもよい。
本発明の偏光眼鏡は、パターニング位相差フィルムから出射され、該偏光眼鏡によって旋光された偏光を通過、遮断させるために、直線偏光子を含むことが好ましい。
また、本発明の偏光眼鏡は、前記ツイスト構造を有する光学機能層と前記直線偏光子の他にその他の層を有していないことが、軽量化の観点から好ましく、本発明の偏光眼鏡は、前記ツイスト構造を有する光学機能層と前記直線偏光子の2要素層からなることが好ましい。具体的には、本発明の偏光眼鏡は、前記ツイスト構造を有する光学機能層として重合固化したTN液晶構造を用いることがあるが、該TN液晶構造に対して印圧して配向変化が可能なTN構造(重合固化しない)、その他の機能層(例えば、保護層、反射防止層)を有していても有していなくともよい。
(偏光眼鏡の製造方法)
本発明の偏光眼鏡を製造するための製造方法については、特に制限はなく、公知のツイスト構造を有する光学機能層の製造方法を利用することができる。また、本明細書中に記載の、本発明のパターニング位相差フィルムにおけるツイスト構造を有する光学機能層の製造方法に順じて製造することもできる。
[映像表示システム]
本発明の映像表示システムは、本発明のパターニング位相差フィルムと、右眼用画像を前記右眼用位相差領域に表示し、かつ、左眼用画像を前記左眼用位相差領域に表示する映像表示パネルとを含む映像表示装置と、前記右眼用画像を視認しうる右眼鏡と、前記左眼用画像を視認しうる左眼鏡とを有する偏光眼鏡と、を含むことを特徴とする。
以下、本発明の映像表示システムの好ましい態様や実施例を参照しつつ、本発明を具体的に説明する。
<映像表示装置>
(映像表示パネル)
本発明の映像表示装置に用いられる映像表示パネルは特に制限はなく、CRTであってもフラットパネルディスプレイであってもよいが、フラットパネルディスプレイであることが好ましい。フラットパネルディスプレイとしては、PDP、LCD、有機ELなどを用いることができるが、本発明は前記映像表示パネルが液晶表示パネルである場合に特に好ましく適用することができる。前記映像表示パネルを液晶表示パネルとすることで、フラットパネルディスプレイの中でも高画質かつ安価な映像表示システムとすることができる。
前記液晶表示装置としては、特に制限はなく、公知の液晶表示装置を用いることができる。本発明に好ましく用いられる液晶表示装置としては、例えば特表2009−517697号に記載のものを挙げることができる。
(2D−3D併用ディスプレイ)
本発明に用いられる映像表示パネルは、3D映像を表示する手段を有していれば特に制限はないが、さらに2次元映像を表示する手段を有することが好ましい。前記2次元映像を表示する手段は、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。現状では3D専用のTV放送などは充実しておらず、依然として2次元映像が主流であることから、3Dコンテンツのみに対応した映像表示装置であるよりも、2D−3D併用ディスプレイである方が産業上の利用可能性が高い。
(周波数)
本発明の映像表示システムでは、前記映像表示装置の周波数は特に制限はないが、1秒間に60フレームからなる一般的な60fpsの右眼用映像および左眼用映像を用いるときは60Hz以上であることが好ましく、120Hz以上であることが好ましい。
<偏光眼鏡>
本発明の映像表示システムは、前記右眼用画像を視認しうる右眼鏡と、前記左眼用画像を視認しうる左眼鏡とを有する偏光眼鏡を用いることを特徴とする。前記右眼用画像を視認しうる右眼鏡は、前記左目用画像を実質的に視認し得ないことが好ましい。また、前記左眼用画像を視認しうる左眼鏡は、前記右目用画像を実質的に視認し得ないことが好ましい。
ここで、本発明の映像表示システムでは、本発明の偏光眼鏡のほか、本発明の趣旨に反しない限りにおいて偏光眼鏡として公知のものを用いることができる。また、本発明の趣旨に反しない限り、偏光眼鏡は位相差機能を有していなくてもよい。
従来公知の偏光眼鏡の例としては、特開平10-232365号公報に記載のものや、市販品として、3DGLASSESGREY(Hyundai株式会社)、円偏光メガネ、型番なし(ソリッドレイ研究所社製)を挙げることができる。
その中でも、本発明の映像表示システムは、前記右眼鏡と前記左眼鏡の少なくとも一方が位相差を有する光学機能層を含む偏光眼鏡を含むことが好ましく、前記偏光眼鏡の前記右眼鏡と前記左眼鏡の少なくとも一方がツイスト構造を有する光学機能層を含む偏光眼鏡(すなわち本発明の偏光眼鏡)を含むことがより好ましい。
また、例えば前記映像表示パネルが液晶表示パネルである場合、液晶表示パネルのフロント側偏光板の吸収軸方向が水平方向であり、前記偏光眼鏡の直線偏光子の吸収軸が該フロント側偏光板の吸収軸方向に直交する方向であることが好ましく、前記偏光眼鏡の直線偏光子の吸収軸は鉛直方向であることがより好ましい。
<パターニング位相差フィルム>
本発明の映像表示システムは、本発明のパターニング位相差フィルムを用いることを特徴とする。
また、本発明のパターニング位相差フィルムは、前記映像表示パネルの前方(フロント側)に配置されていることが好ましい。
<パターニング位相差フィルムと偏光眼鏡の光学的対応関係>
本発明の映像表示システムは、前記パターニング位相差フィルムの右眼用位相差領域のツイスト角の絶対値と前記偏光眼鏡の右眼鏡のツイスト角の絶対値の和が90度であり、前記パターニング位相差フィルムの左眼用位相差領域のツイスト角の絶対値と前記偏光眼鏡の左眼鏡のツイスト角の絶対値の和が90度であることが好ましい(但し、前記位相差領域または前記眼鏡がツイスト構造を有さない場合は、ツイスト角0度とする)。
但し、このようなパターニング位相差フィルムと偏光眼鏡の光学的対応関係が好ましく成立する場合は、前記位相差領域または前記眼鏡が遅相軸を有する光学機能層を含まない場合である。前記位相差領域または前記眼鏡が遅相軸を有する光学機能層を含む場合については、別途説明する。
本発明の映像表示システムは、上述の光学的対応関係、すなわち、前記パターニング位相差フィルムの右眼用位相差領域のツイスト角の絶対値と前記偏光眼鏡の右眼鏡のツイスト角の絶対値の和が90度であり、前記パターニング位相差フィルムの左眼用位相差領域のツイスト角の絶対値と前記偏光眼鏡の左眼鏡のツイスト角の絶対値の和が90度であることに加え、同時に、前記右眼用位相差領域のツイスト角と前記左眼用位相差領域のツイスト角について、各ツイスト角の絶対値の和が90度であり、各ツイスト角の方向が異なることがより好ましい。
(1)第1の好ましい態様
本発明の映像表示システムの第1の好ましい態様は、前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域がともに、ツイスト構造を有する光学機能層である。
この場合、前記偏光眼鏡は、前記右眼鏡と前記左眼鏡がともにツイスト構造を有する光学機能層を含む構成であっても、前記右眼鏡と前記左眼鏡のいずれか一方のみがツイスト構造を有する光学機能層を含む構成であっても、前記右眼鏡と前記左眼鏡がいずれもツイスト構造を有していない構成であってもよい。
また、本発明の映像表示システムの第1の好ましい態様では、前記偏光眼鏡の前記右眼鏡と前記左眼鏡の少なくとも一方が遅相軸を有する光学機能層を含む態様も場合により好ましく用いることができ、その場合、前記右眼鏡と前記左眼鏡の両方が遅相軸を有していても、前記右眼鏡と前記左眼鏡のいずれか一方のみが遅相軸を有していてもよい。
以下、本発明の映像表示システムの第1の好ましい態様について順に説明する。
(1−A)右眼鏡と左眼鏡がともにツイスト構造を有する光学機能層を含む態様
本発明の映像表示システムは、前記偏光眼鏡の前記右眼鏡と前記左眼鏡がともに、ツイスト構造を有する光学機能層を含み、前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域がともに、ツイスト構造を有する光学機能層である態様も好ましい。
具体的には、図2の構成の映像表示装置の構成において、パターニング位相差フィルムの右眼用位相差領域のツイスト角がα1度であり、左眼用位相差領域のツイスト角がα2度である場合、偏光眼鏡について右眼鏡がツイスト角α2の光学機能層を含み、左眼鏡がツイスト角α1の光学機能層を含む構成としてα1+α2=90度とすることが好ましい。
ここでα1+α2=90度とすることで、右眼には左眼画像光を遮断する方向に、左眼には右眼画像光を遮断するように、ディスプレイ上のパターニング位相差フィルムの光学機能層と前記偏光眼鏡上の光学機能層とが働く。なお、この時、主映像(右眼への右眼映像、左眼への左映像)は、輝度が最大となるように設定されているため、2D表示時の半分程度の輝度となる(右眼、左眼にディスプレイ面をパターニング位相差機能で分割しているため半減する)。
ここでクロストークを最小にする観点から、前記α1と前記α2がそれぞれ独立に40度〜50度の範囲にあることが好ましく、α1=α2=45度とすることが特に好ましい。α1=α2=45度とすることで、クロストークが少ない(好ましくは1%以下の)高画質の3D画像を鑑賞することができる。
図2の態様では、偏光眼鏡には右眼鏡、左眼鏡ともに吸収軸が鉛直(上下)方向、透過軸が水平方向の直線偏光子を積層してある。
図2の態様では、パターニング位相差フィルムの位相差領域において、ツイスト構造を構成するための液晶分子の画像光の入射する側の配向方向(以下、液晶分子の始点と呼ぶ)を液晶ディスプレイの直線偏光子の吸収軸に垂直(透過軸に平行)としてある。
一方、本発明の映像表示システムは、図3に示すように液晶ディスプレイの直線偏光子の吸収軸に直交する方向(透過軸に平行な方向)に対するパターニング位相差フィルムの液晶分子の始点を任意の角度に設定した場合であっても、本発明のクロストーク低減効果を得ることができる。任意の偏光軸角度で入射した直線偏光が、90度のツイスト構造をもつ光学機能層を通過すると90度軸が回転した直線偏光として出射することを利用したものである。具体的には、図3の構成の映像表示装置の構成において、右眼用位相差領域では半時計回りに|α1−β1|度、左眼用位相差領域では時計回りに|α2−β2|度に設定した場合であっても、本発明のクロストーク低減効果を得ることができる。
また、図3の態様では、パターニング位相差フィルムの右眼用位相差領域のツイスト角がα1度であり、左眼用位相差領域のツイスト角がα2度である場合、偏光眼鏡について右眼鏡がツイスト角α2の光学機能層を含み、左眼鏡がツイスト角α1の光学機能層を含む構成とし、α1+α2=90度とすることが好ましい。また、図3の態様におけるα1とα2の好ましい範囲は、図2の態様の好ましい範囲と同様である。
さらに、図3の態様では、パターニング位相差フィルムの右眼用位相差領域から出射された画像光の偏光面の角度β1と、右眼鏡のツイスト構造における液晶分子の始点の方向β2は一致していてもしていなくてもよく、同様にパターニング位相差フィルムの左眼用位相差領域から出射された画像光の偏光面の角度と、左眼鏡のツイスト構造における液晶分子の始点の方向を一致していてもしていなくてもよい。β1とβ2が等しくない場合であっても本発明の映像表示システムは3D画像のクロストークを低減させることができるため、従来の一般的な遅相軸を有するパターニング位相差フィルムおよび偏光眼鏡の組合せを用いて遅相軸が直交するように設定する場合に比較して、パターニング位相差フィルムと偏光眼鏡の光学関係に関わる角度を厳密に制御しなくてもクロストークを低減できる観点から、好ましい。任意の偏光軸角度で入射した直線偏光が、90度のツイスト構造をもつ光学機能層を通過すると90度軸が回転した直線偏光として出射することを利用したものである。
さらに、図3の態様では偏光眼鏡には直線偏光子を積層してあるが、該直線偏光子の吸収軸は液晶表示ディスプレイの吸収軸とさえ直交していればクロストークを十分に低減できる。すなわち、従来の一般的な遅相軸を有するパターニング位相差フィルムおよび偏光眼鏡の組合せを用いて遅相軸が直交するように設定する場合に比較して、偏光眼鏡の各眼鏡の光学機能層と直線偏光子間の光学関係に関わる角度を厳密に制御しなくてもクロストークを低減できる観点から、好ましい。
(1−B)右眼鏡と左眼鏡のいずれか一方がツイスト構造を有する光学機能層を含む態様
本発明の映像表示システムは、前記偏光眼鏡の前記右眼鏡と前記左眼鏡のいずれか一方がツイスト構造を有する光学機能層を含み、前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域がともに、ツイスト構造を有する光学機能層である態様も好ましい。
このような態様における具体的な構成として、以下の構成を好ましく挙げることができる。
図2をもとに説明する。例として右眼鏡をツイスト構造とした場合、パターニング位相差及び右眼鏡については図2と同様にし、90°−α1/2の方位、又は−α1/2の方位にλ/2の遅相軸を配置する位相差層を有した左眼鏡を準備すればよい。但し、直線偏光子の軸は図2と同様に配置する。このようにすることで、左眼鏡についても、クロストークを十分に抑えることが出来る。
(1−C)右眼鏡と左眼鏡がいずれもツイスト構造を有しない光学機能層を含む態様
本発明の映像表示システムは、前記偏光眼鏡の前記右眼鏡と前記左眼鏡がいずれもツイスト構造を有する光学機能層を含まず、前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域がともに、ツイスト構造を有する光学機能層である態様も好ましい。
前記右眼鏡と前記左眼鏡がいずれもツイスト構造を有しない光学機能層である場合、少なくとも一方が遅相軸を有する光学機能層を含む態様も場合により好ましく用いることができ、その場合、前記右眼鏡と前記左眼鏡の両方が遅相軸を有していても、前記右眼鏡と前記左眼鏡のいずれか一方のみが遅相軸を有していてもよい。
前記右眼鏡と前記左眼鏡の両方が遅相軸を有している光学機能層である場合の構成について、図5に示す。
図5に示すように液晶ディスプレイ表面上にパターニング配置したツイスト構造を有する光学機能層からの出射光を、右眼用位相差領域では時計回りにα1度、左眼用位相差領域では半時計回りにα2度の2種の偏光状態(好ましくは、概ね直線偏光)とし、右眼用位相差領域からの光については、偏光眼鏡の右眼鏡により更に位相差を追加して、最終的に90度偏光軸が回転した直線偏光として、右眼に主映像を映すことになる。一方、左眼用位相差領域からの半時計回りにα2度の出射光は、偏光眼鏡の右眼鏡に設けた位相差により、できるだけ右眼鏡を透過しないようにすることで右眼に入射させず、クロストークを低減させることができる。なお、左眼に入射する光についても同様である。
なお、ツイスト構造を有する光学機能層からの出射光は、該光学機能層への入射光が直線偏光であれば、一般的に直線偏光となると考えてよい。
図5に、右眼鏡として位相差値がλ/2であり、かつ、遅相軸が液晶ディスプレイの吸収軸に対して半時計回りにα2/2又は(180+α2)/2度の角度をなす光学異方性層を採用し、左眼鏡として位相差値がλ/2であり、かつ、遅相軸が液晶ディスプレイの吸収軸に対して時計回りにα1/2又は(180+α1)/2度の光学異方性層を採用した態様を示した。このように位相差値がλ/2位相差板を偏光眼鏡の光学異方性層として用いたときは、上記の遅相軸の角度に制御することが好ましい。
なお、図5の構成では、最もシンプルなα1、α2をともに45度とする態様で良好な3D映像を得ることができる。
また、前記右眼鏡と前記左眼鏡がいずれもツイスト構造を有しない光学機能層である場合、前記偏光眼鏡の前記右眼鏡と前記左眼鏡はいずれも位相差を有していなくてもよい。前記偏光眼鏡の前記右眼鏡と前記左眼鏡はいずれも位相差を有していない場合の構成について、図10に示す。
図10は、偏光眼鏡として直線偏光子のみからなる眼鏡を用いた態様であり、右眼鏡の直線偏光子の吸収軸を液晶ディスプレイの吸収軸に対してα1だけ時計回りに回転させてあり、左眼鏡の直線偏光子の吸収軸を液晶ディスプレイの吸収軸に対してα2だけ半時計回りに回転させてある態様である。
すなわち、本発明の映像表示システムは、前記偏光眼鏡の前記右眼鏡と前記左眼鏡がいずれも直線偏光子のみからなることが、軽量化と製造コストを低減する観点から好ましい。
(2)第2の好ましい態様
本発明の映像表示システムの第2の好ましい態様は、前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域のいずれか一方がツイスト構造を有する光学機能層を含む態様である。
この場合、前記偏光眼鏡は、前記右眼鏡と前記左眼鏡がともにツイスト構造を有する光学機能層を含む構成であっても、前記右眼鏡と前記左眼鏡のいずれか一方のみがツイスト構造を有する光学機能層を含む構成であっても、前記右眼鏡と前記左眼鏡がいずれもツイスト構造を有していない構成であってもよい。
また、本発明の映像表示システムの第2の好ましい態様では、前記偏光眼鏡の前記右眼鏡と前記左眼鏡の少なくとも一方が遅相軸を有する光学機能層を含む態様も場合により好ましく用いることができ、その場合、前記右眼鏡と前記左眼鏡の両方が遅相軸を有していても、前記右眼鏡と前記左眼鏡のいずれか一方のみが遅相軸を有していてもよい。
以下、本発明の映像表示システムの第2の好ましい態様について順に説明する。
(2−A)右眼鏡と左眼鏡がともにツイスト構造を有する光学機能層を含む態様
本発明の映像表示システムの第2の好ましい態様は、前記偏光眼鏡の前記右眼鏡と前記左眼鏡がともにツイスト構造を有する光学機能層を含み、前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域のいずれか一方のみが、ツイスト構造を有する光学機能層であることも好ましい。
このような態様における具体的な構成として、以下の構成を好ましく挙げることができる。
図2をもとに簡単に説明する。パターニング位相差として右眼用位相差領域がツイスト構造を有し、左眼用位相差領域がツイスト構造では無い場合とする。各ツイスト構造については、図2に示す通りとし、左眼用位相差領域のみが90+α2/2度の方位に遅相軸を有する形でλ/2の位相差領域を設ける。
このようにすることで、左眼鏡についても、クロストークを十分に抑えることが出来る。
(2−B)右眼鏡と左眼鏡のいずれか一方がツイスト構造を有する光学機能層を含む態様
本発明の映像表示システムの第2の好ましい態様は、前記偏光眼鏡の前記右眼鏡と前記左眼鏡のいずれか一方がツイスト構造を有する光学機能層を含み、前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域のいずれか一方のみがツイスト構造を有する光学機能層であることも好ましい。
このような態様における具体的な構成として、以下の構成を好ましく挙げることができる。
図2をもとに簡単に説明する。パターニング位相差として右眼用位相差領域がツイスト構造であり、左眼鏡がツイスト構造である場合は、図2におけるα1の角度のツイスト構造が右眼用位相差領域の位相差及び左眼鏡の位相差機能層となる。この場合、左眼用位相差領域としては90+α2/2度の方位に遅相軸を有するλ/2位相差領域を設けるとともに、右眼鏡としてはα2/2度の方位にλ/2位相差板を配置すればよい。
右眼用位相差領域及び右眼眼鏡がツイスト構造を有する場合においては、左眼用位相差領域のパターニング位相差を90+α2/2度、左眼鏡の位相差板を90−α1/2度の方位に遅相軸をそれぞれ有するλ/2位相差板を配置すればよい。
(2−C)右眼鏡と左眼鏡がいずれもツイスト構造を有しない光学機能層を含む態様
本発明の映像表示システムは、前記偏光眼鏡の前記右眼鏡と前記左眼鏡がいずれもツイスト構造を有しない光学機能層を含み、前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域のいずれか一方のみが、ツイスト構造を有する光学機能層であることも好ましい。
前記右眼鏡と前記左眼鏡がいずれもツイスト構造を有しない光学機能層である場合、少なくとも一方が遅相軸を有する光学機能層を含む態様も場合により好ましく用いることができ、その場合、前記右眼鏡と前記左眼鏡の両方が遅相軸を有していても、前記右眼鏡と前記左眼鏡のいずれか一方のみが遅相軸を有していてもよい。
前記右眼鏡と前記左眼鏡の両方が遅相軸を有している光学機能層である場合の構成については、図11に示した構成のパターニング位相差フィルムを用い、右眼用位相差領域および左眼用位相差領域からそれぞれ右円偏光および左円偏光を出射する態様が挙げられる。
具体的には、このツイスト構造を有する方の位相差領域の位相差値を略λ/2、もう一方の位相差値を0とした構造に、さらにλ/4位相差フィルムを積層して、ディスプレイから円偏光で出射させ、眼鏡側で右円偏光と左円偏光を分離し、3D画像を観賞する態様を挙げることができる。
本発明の映像表示システムは、前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域のうち、ツイスト構造を有する方の位相差領域の位相差値が略λ/2であり、ツイスト構造を有さない方の位相差領域の位相差値が0であり、前記偏光眼鏡のうち、位相差を有する光学機能層を含む方の眼鏡の光学機能層の位相差値が略λ/2であることが好ましい。
また、前記右眼鏡と前記左眼鏡がいずれもツイスト構造を有しない光学機能層である場合、前記偏光眼鏡の前記右眼鏡と前記左眼鏡はいずれも位相差を有していなくてもよい。
その中でも、例えば、本発明の映像表示システムは、前記偏光眼鏡の前記右眼鏡と前記左眼鏡がいずれも直線偏光子のみからなることが好ましい。
右眼用位相差領域がツイスト構造を有する光学機能層であり、左眼用位相差領域がツイスト構造を有さない層であり、前記偏光眼鏡の前記右眼鏡と前記左眼鏡がいずれも位相差を有していない場合の構成について、図4に示す。
図4のような構成により、前記右眼用位相差領域に入射した右眼用画像光を、ツイスト構造により偏光軸を90度回転させて出射し、前記左眼用位相差領域に入射した左眼用画像光はその偏光軸を回転させずにそのまま出射することができる。
このような態様は、より安価な3D映像観賞用の眼鏡を用いて3D映像を観賞できる観点から好ましい。具体的には、偏光軸の90度異なる偏光子を左眼鏡と右眼鏡にそれぞれ用いた3D映像観賞用の眼鏡を用いることで、偏光変換機能を有する光学機能層を積層した偏光眼鏡を用いずとも、クロストークをある程度低減し、主映像を効率良く観賞することができる。
<位相差値の絶対値>
本発明の映像表示システムは、前記右眼用位相差領域の位相差値の絶対値と前記左眼用位相差領域に対応する位相差値の絶対値が異なり、前記右眼用位相差領域の位相差値の絶対値と前記偏光眼鏡の左眼鏡の位相差値が実質的に同じであり、前記左眼用位相差領域の位相差値の絶対値と前記偏光眼鏡の右眼鏡の位相差値が実質的に同じであることが好ましい。ここで「位相差値の絶対値が等しい」なる表現は、波長分散特性まで含めた特性が等しいことがより好ましい。
このような態様とすることで、クロストークをより低減することができる。
[映像表示システムの製造方法]
本発明の映像表示システムの製造方法は、映像表示パネル上に、本発明のパターニング位相差フィルムの製造方法によってパターニング位相差フィルムを形成する工程を含むことを特徴とする。
すなわち、本発明の映像表示システムの製造方法は、(ア)映像表示パネル上にパターニング位相差フィルムを形成する工程と、(イ)配向膜上に、カイラル剤と、光重合性液晶または光重合性の屈折率異方性物質を含む組成物(以下、塗布液とも言う)を塗布する工程と、(ウ)得られた塗布膜を露光処理する工程を含む。
前記(ア)〜(ウ)の各工程の順序は(イ)の後に(ウ)を行う以外は任意であり、互いに組み込まれていてもよい。例えば、(ア)、(イ)、(ウ)の順に行っても、(イ)、(ウ)、(ア)の順に行ってもよく、(イ)、(ア)、(ウ)の順に行ってもよい。
その中でも好ましくは(イ)、(ア)、(ウ)の順に行う態様であり、具体的には、配向膜上に、カイラル剤と、光重合性液晶または光重合性の屈折率異方性物質を含む組成物(以下、塗布液とも言う)を塗布する工程により塗布膜を形成し、映像表示パネル上に前記塗布膜を設置した後、露光処理する工程を行う態様である。
すなわち、本発明の映像表示システムの製造方法は、前記露光処理工程を、前記映像表示パネル上にパターニング位相差フィルムを形成した後に行うことが、高精度の位相差パターニングおよび高精度の画像表示装置の画素との位置合わせができる観点から、好ましい。
このような工程で映像表示システムを製造することで、アライメントを一般的な液小表示装置の製造工程における露光工程と同レベルの性能で行うことができるため、パターニング位相差フィルムのパターニング位置と液晶表示パネルの画素との位置ズレを非常に小さくすることができる。
実際に本発明の映像表示システムを用いて3D映像表示を行う場合、映像表示パネル(好ましくは液晶表示装置)の画素とパターニング位相差フィルムとの位置合わせが非常に重要となる。液晶表示装置を例に説明すると、液晶表示装置用のスイッチング画素とパターニング位相差フィルムとの距離は、最小でも(液晶保持用のガラス基板の厚さ)+(偏光板の厚さ)分だけ離れており、映像表示装置を斜めから観察する場合には、対応すべきスイッチング画素と対応すべきパターニング位相差との間に、視差による大きなズレが生じる。例えば、図13に示したようにパターニング位相差フィルムとして横ストライプ状に加工したフィルムを液晶表示装置表面に配置し、該液晶表示装置の各画素からなる水平方向の走査線(ライン)幅に合わせた場合には、一般的なサイズとしてガラス基板厚さを0.7mm、偏光板を0.16mmと考えると、ディスプレイを上下方向1度斜め方向から観察すれば、画素部とパターニング位相差フィルム部とのシフト量d1は約10μm程度まで及ぶ。
したがって、画素部とパターニング位相差フィルムがずれると、クロストークが発生してしまうため、パターニング位相差フィルムと映像表示パネルの位置合わせズレを少なくすることは、3D表示品質上、極めて重要である。
このような高精度な位置合わせは、特に従来支持体として熱可塑性樹脂フィルムを用いていた場合には困難であったが、本発明の映像表示システムの製造方法の好ましい態様では、ガラス基板を支持体として用いない場合であっても可能となる。
本発明の映像表示システムの製造方法の好ましい工程を図12に示す。なお、本発明は以下の工程の全てを必須とするものではなく、また、図12に記載の好ましい態様に限定して解釈されるべきではない。
まず、ベースフィルムに配向膜を塗布し硬化させることが好ましい(1st step)。
次に、ラビングまたは光配向処理により、配向処理を施すことが好ましい(2nd step)。
次に、光重合性液晶または光重合性の屈折率異方性物質を塗布し、プリキュア(例えば、乾燥)させることが好ましい(3rd step)。
次に、プリキュア処理をして得られた塗布膜(仮位相差フィルム)を液晶表示パネルなどの映像表示パネルへの貼り付ける処理を行うことが好ましい。ここで、本発明のパターニング位相差フィルムの第1の好ましい態様を製造する場合には、その前後に、アライメント処理(例えば、配向処理された塗布膜と液晶表示パネルの画素との位置合わせ)を行うことが好ましい(4th step)。
その後、露光工程として紫外線照射処理を行うことが好ましい。ここで、本発明のパターニング位相差フィルムの第2の好ましい態様を製造する場合には、その前後に、アライメント処理(例えば、フォトマスクと液晶表示パネルの画素との位置合わせおよび部分的かつ段階的な紫外線照射処理)を行うことが好ましい(5th step)。
さらに、必要に応じて熱処理工程を行うことが好ましく(6th step)、最後に熱処理工程後のパターニング位相差フィルム全面への紫外線照射工程(7th step)を行ってもよい。
従来の工程と大きく異なるポイントは、3D表示のための最終的なパターニング位相差フィルムを形成した後に、映像表示パネルとの精密な位置合わせおよび貼り合わせを行わない点にある。すなわち、3D表示のための仮位相差フィルムを作製してから、映像表示パネルと貼合し、その後に、最終の位相差値およびツイスト角に制御したパターニング位相差フィルムを形成するためのUV照射などの露光工程や、必要に応じて加熱工程を行う点にある。
なお、本発明のパターニング位相差フィルムの第1の好ましい態様を製造する場合には、あらかじめツイスト構造を得るための配向膜へのパターニング配向処理を行うことになるため、重合性液晶を塗布した後の塗布膜(仮位相差フィルム)は位置合わせをしながら映像表示パネルに貼り付ける工程が必要となる。一方、その後の露光工程では部分的な露光処理をする必要がないため、フォトマスクとの位置合わせは不用となる。
これに対し、本発明のパターニング位相差フィルムの第2の好ましい態様を製造する場合には、ツイスト構造のパターニングは映像表示パネルとの貼り合わせの後となるため、重合性液晶を塗布した後の塗布膜(仮位相差フィルム)を映像表示パネルに貼り付けるときの位置合わせ工程は不要となる。一方、その後の露光工程では部分的な露光処理をするため、フォトマスクとの位置合わせが必要となる。
このような観点から、本発明のパターニング位相差フィルムの第2の好ましい態様を製造するときの方が、本発明のパターニング位相差フィルムの第1の好ましい態様を製造するときよりも、さらに高精度に位置合わせをすることができる。
前記塗布膜は、支持体がガラスではないことが好ましく、熱可塑性樹脂であることがより好ましい。このような態様とすることで、偏光制御用の部材としてガラス基板が無く、ベースフィルムが表面側に配置された本発明の映像表示システムを得ることができる。
前記塗布膜(仮位相差フィルム)を液晶表示パネルなどの映像表示パネルへの貼り付ける方法としては、特に制限はなく、例えばラミネート等の一般的案接着処理を行うことができる。
照射波長として300〜450nmの波長の光照射を1J程度照射し、その後の熱処理で位相差値が大きく変化しないように十分硬化することが好ましい。また、塗布膜の等方相転移温度Tisoより低い温度で塗布し、紫外線硬化を行うことが好ましい。
さらに紫外線未照射領域の位相差をゼロにする必要がある場合は、映像表示パネルの偏光板に大きなダメージを与えない範囲での加熱処理を行うことが好ましい。
この加熱処理は、光重合性液晶または光重合性の屈折率異方性物質の等方相転移温度Tisoより、高い温度で行うことが好ましい。
この熱処理により、該部分的な紫外線照射処理にて、紫外線未照射領域の位相差は、略ゼロとなり、目的のパターニング位相差フィルムと映像表示パネルの積層体が得られることになる。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。
以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
なお、実施例2、3は、本願発明の参考例である。
[測定方法]
(クロストーク量の測定)
本明細書中において、クロストーク量は以下の方法で求めた。
液晶表示装置の液晶表示パネル上に液晶表示パネルの奇数ライン(水平方向)上にパターニング位相差フィルムの右眼用画像を透過する領域(前記第一領域または第二領域のいずれか一方)が、偶数ライン上にパターニング位相差フィルムの左眼用画像を透過する領域(残りの一方の領域)がくるように配置した。この画面に対し、全ライン白表示とした「表示0」と、奇数ラインを黒表示、偶数ラインを白表示とした「表示1」と、奇数ラインを白表示、偶数ラインを黒表示とした「表示2」の3パターンの表示を行い、左右の眼鏡を透過した透過光の強度を測定した。このとき、各場所でのクロストーク量は下記式(1)および(2)を計算して求めたクロストーク(右眼)とクロストーク(左眼)の平均値として求めることができる。
式(1):
表示2での右眼鏡透過光
クロストーク(右眼)=―――――――――――――×100%
表示0での右眼鏡透過光
式(2):
表示1での左眼鏡透過光
クロストーク(左眼)=―――――――――――――×100%
表示0での左眼鏡透過光
[実施例1]
<右眼用位相差領域と左眼用位相差領域がともにツイスト構造を有するパターニング位相差機能層の製造>
図2に示した、ツイスト角が右眼用位相差領域で時計回りに45度、左眼用位相差領域で半時計回りに45度であるパターニング位相差フィルムを製造した。
まず、パターニング位相差フィルムの基板としてアートン(JSR製)を選択した。このフィルム(膜厚100μm)の上に、塗布性改善処理として、酸素プラズマ処理を行い、配向膜として、Rolic technologies社製の商品名LPP−JP265CPを用い部分的な配向処理を行った。配向膜の固化にはライン&スペースが282μm/282μmのフォトマスクを用いた。ここで上記配向処理方向は(偏光紫外線の偏光方向)、パターニング方向に対して、時計回りに45度と半時計回りに45度の方向とした。
その後、塵埃等を必要に応じて除去し、下記の組成の光重合性の異方性物質を塗布した。フィルム全面について硬化時の位相差が45度旋光能となり、ツイスト角が45度となるように膜厚は約2.5μmに調整した。
塗布液の主な成分はBASF製棒状液晶:LC242を主成分とする重合性液晶のミクスチャーであり、溶剤としてMEKを用いた。光重合開始剤としてEP1388538A1、page21記載のLC−1−1を用い、カイラル剤として特開2003−313187掲載の材料を用いた。なお、カイラル剤の添加量は90度ツイストになるように、適宜調整して決定するとともに、左右ツイストに対応するものとした。 ここで、用いる各種材料については特開2003−313187、特開2007−133299などで開示されている材料を適宜選択可能である。
市販の3Dモニター(Zalman製、ZM-M220W)のパターニング位相差フィルムを剥がし、その映像表示パネルのフロント側偏光板の上に、接着剤として瞬間接着剤(アロンアルファ)/東亜合成(株)を用い4コーナー固定にて、得られた塗布膜を貼り合わせた。このとき、映像表示パネルの水平方向の画素(走査線)の幅にあわせて、パターニング配向処理された塗布膜との位置合わせを行った。このときの位置合わせは、偏光顕微鏡を用いて行った。
その後、フォトマスクを用いずにフィルム全面への露光を行うため、後述する実施例2の態様とは異なり、フォトマスクとの位置合わせは不用であった。
右眼用位相差領域と左眼用位相差領域を安定固化するために塗布膜の全面に紫外線照射を実施した。
光源として350〜400nmに強い発光スペクトルを有するD−Bulbを搭載したマイクロウェーブ発光方式の紫外線照射装置(Fusion UV Systems社製)を利用した。照度100mW/cm2で、5Jの照射を実施した。
その後、熱処理を100℃×30分の条件でオーブン内の放置により実施した。
偏光眼鏡は、右眼用としては時計回りに45度のツイスト角を有する構造とし、左眼用としては半時計回りに45度のツイスト構造とした。また、本実施例においては、ディスプレイ上にパターニング配置する位相差機能層において、液晶分子の始点を液晶ディスプレイの直線偏光子の吸収軸に垂直(透過軸に平行)とした。
実施例1のパターニング位相差フィルムを用いた場合、得られる3D画像の波長550nmにおけるクロストークは1%以下であった。すなわち、本発明により、高画質の3Dを鑑賞することができることがわかった。
[実施例2]
<右眼用位相差領域と左眼用位相差領域の一方のみがツイスト構造を有するパターニング位相差機能層の製造>
まず、パターニング位相差フィルムの基板としてアートン(JSR製)を選択した。このフィルム(膜厚100μm)の上に、塗布性改善処理として、酸素プラズマ処理を行い、配向膜としてPVAを1000Åの厚さにコートした(主成分PVA、PVA205/クラレ(株)製、略3%水溶液を利用)。
配向膜は100℃で熱硬化させ、その後、ラビング処理を通常の液晶セルを作る方法と同様にして、ラビングロールを用いてフィルム全面に対して施した。
ここで上記ラビング方向は、45度方向とした。
その後、塵埃等を必要に応じて除去し、下記の組成の光重合性の異方性物質を塗布した。フィルム全面について硬化時の位相差機能がλ/2となり、ツイスト角が90度となるように膜厚は約5μmに調整した。
塗布液の主な成分はBASF製棒状液晶:LC242を主成分とする重合性液晶のミクスチャーであり、溶剤としてMEKを用いた。光重合開始剤としてEP1388538A1、page21記載のLC−1−1を用い、カイラル剤として特開2003−313187掲載の材料を用いた。なお、カイラル剤の添加量は90度ツイストになるように、適宜調整して決定した。ここで、用いる各種材料については特開2003−313187、特開2007−133299などで開示されている材料を適宜選択可能である。
市販の3Dモニター(Zalman製、ZM-M220W)のパターニング位相差フィルムを剥がし、その映像表示パネルのフロント側偏光板の上に、接着剤としてアロンアルファを4コーナー固定で用いて、得られた塗布膜を貼り合わせた。なお、実施例1の態様とは異なり、実施例2の態様では塗布膜を映像表示パネルに貼り合わせるときの位置合わせは不要となる。
部分的な露光を行うために、ライン&スペースが282μm/282μmのフォトマスクを用い、引き続いて、映像表示パネルの水平方向の画素(走査線)の幅にあわせて、フォトマスクとの位置合わせを行った。このときの位置合わせは、偏光顕微鏡を用いて行った。
光源として350〜400nmに強い発光スペクトルを有するD−Bulbを搭載したマイクロウェーブ発光方式の紫外線照射装置(Fusion UV Systems社製)を利用した。照度100mW/cm2で、5Jの照射を実施した。
その後、熱処理を100℃×30分の条件でオーブン内の放置により実施した。
このようなプロセスにて予め紫外線で固化されていない左眼用位相差領域の光学異方性機能は消失し、右眼用位相差領域からの出射光の偏光軸を90度回転させ、左眼用位相差領域からの出射光は回転しない構成(等方的)である、図4の態様、すなわち実施例2のパターニング位相差フィルムを得た。
得られたサンプルを偏光顕微鏡により観察した結果、部分露光部で約250nm、未露光部で位相差無し(1〜2nm以下)であることを確認した。すなわち、本発明のパターニング位相差フィルムの製造方法により、良好に図4の態様の位相差がパターニングできていることがわかった。
また、偏光眼鏡として、図4の態様の右眼鏡として吸収軸が鉛直上下方向の直線偏光子のみからなり、左眼鏡として吸収軸が水平方向の直線偏光子のみからなる偏光眼鏡を製造し、実施例2の映像表示システムを得た。
[実施例3]
図9に示したように、右眼鏡が実施例2と同様であり、左眼鏡が遅相軸45を45度に配置したλ/2の位相差板と吸収軸が鉛直上下方向の直線偏光子の積層体を用いた偏光眼鏡に変更した以外は実施例2と同様にして、実施例3の映像表示システムを製造した。
[実施例4]
<ツイスト構造のパターニング位相差フィルムと、遅相軸を有する位相差板を用いた偏光眼鏡の組み合わせの態様の映像表示システムの製造>
図5に示した構成のツイスト構造のパターニング位相差フィルム(α1=α2=45度とした)を実施例1と同様にして製造し、遅相軸を有するλ/2位相差板を用いた偏光眼鏡を組み合わせた映像表示システムを製造した。
[実施例5]
図10に示したように偏光眼鏡側を右眼鏡および左眼鏡がいずれも互いに吸収軸が直交する直線偏光子のみとした以外は実施例4と同様にして、実施例5の映像表示システムを製造した
[実施例6]
(図11に記載のパターニング位相差フィルムの製造)
図11に記載のパターニング位相差フィルムを実施例1において以下のようにパターニング位相差フィルムの支持体を変更した以外は同様にして、実施例6のλ/4位相差板とツイスト構造の光学機能層が積層されたパターニング位相差フィルム、パターニング位相差フィルムを用いたおよび該映像表示装置を製造した。
パターニング位相差フィルムの支持体として、耐熱性、低吸水性など光学用途として種々の優れた特性を有するノルボルネン系のものを選択し、略λ/4の位相差値を有する位相差フィルム(JSR、ARTONフィルム、Gタイプ:略100μm厚)をベース位相差フィルムとして用いた。
[比較例1]
従来の3D表示システムの代表としてZalman社製の3Dモニター(型:ZM-M220M)をそのまま用いてクロストーク及び画素とパターニング位相差との合せズレについて評価を実施した。
なお、上記製品は、ガラス基板上にパターニング位相差として遅相軸を±45度の方位にパターニング配置したものを、液晶ディスプレイの前面に設けた構成となっている。各々の領域はλ/4の位相差値を有し、282μm幅でパターニングされている。
(映像表示システムの評価)
得られた実施例1〜5の映像表示システムにより3D画像を表示させた結果、良好な3D表示が得られることを、目視にて確認できた。
また、具体的に波長550nmにてクロストークを測定した結果、クロストークが1%以下であることがわかった。同様に主映像への影響については色調にずれもなく、違和感がないことを確認した。一方、比較例1の映像表示システムでは、主映像またはクロストークのいずれか一方において、実施例1〜5の映像表示システムと比較して、大きな色ずれまたはクロストーク量が生じていることがわかった。
さらに、実施例2〜3の映像表示装置において、パターニング位相差フィルムのパターニング位置と画素とのズレを顕微鏡で確認した結果、いずれも4台についてのズレの平均値が±4μmと高精度の位相差パターニング及び位置合わせが実現出来ていることが明らかになった。
一方、市販の3D映像表示装置(Zalman社製、型番ZM−M220W)のパターニング位相差フィルムのパターニング位置と画素とのズレを顕微鏡で確認した結果2台についてのズレの平均値が±10μmであることがわかった。
高精度の貼り合せができるということは、すなわち、高画質の3D表示ができるということを意味する。
以上より、本発明の映像表示システムは良好な3D表示ができることがわかった。
1 ツイスト構造を有する光学機能層
2 出射光側の屈折率異方性分子
3 ツイスト構造中の任意の屈折率異方性分子
4 入射光側の屈折率異方性分子
5 ツイスト角
11 右眼用位相差領域
12 左眼用位相差領域
13 パターニング位相差フィルム
21 右眼用画像光
22 左眼用画像光
23 直線偏光子
24 液晶表示装置の直線偏光子の吸収軸
25 液晶表示装置の直線偏光子の透過軸
26 右眼用位相差領域(ツイスト構造)の入射光側の屈折率異方性分子
27 右眼用位相差領域(ツイスト構造)の出射光側の屈折率異方性分子
28 左眼用位相差領域(ツイスト構造)の入射光側の屈折率異方性分子
29 左眼用位相差領域(ツイスト構造)の出射光側の屈折率異方性分子
31 右眼鏡
32 左眼鏡
33 偏光眼鏡
34 右眼鏡の位相差領域(ツイスト構造)の入射光側の屈折率異方性分子
35 右眼鏡の位相差領域(ツイスト構造)の出射光側の屈折率異方性分子
36 右眼鏡の直線偏光子(不図示)の透過軸
37 右眼鏡の直線偏光子(不図示)の吸収軸
38 左眼鏡の位相差領域(ツイスト構造)の入射光側の屈折率異方性分子
39 左眼鏡の位相差領域(ツイスト構造)の出射光側の屈折率異方性分子
40 左眼鏡の直線偏光子(不図示)の透過軸
41 左眼鏡の直線偏光子(不図示)の吸収軸
42 右眼鏡にλ/2板(不図示)を積層時のλ/2板の遅相軸
43 右眼鏡のλ/2板(不図示)の遅相軸角度
44 左眼鏡にλ/2板(不図示)を積層時のλ/2板の遅相軸
45 右眼鏡のλ/2板(不図示)の遅相軸角度
46 液晶表示装置の直線偏光子の吸収軸の方位
47 液晶表示装置の直線偏光子の透過軸の方位
51 ポリスチレンの波長分散
52 ポリアクリレートの波長分散
53 ポリカーボネートの波長分散
54 ポリビニルアルコールの波長分散
61 ラビング処理用の上基板
62 ラビング処理用の下基板
63 出射光側の配向膜のラビング方向
64 入射光側の配向膜のラビング方向
71 第1の直線偏光
72 第1の直線偏光の偏光方向
73 第1のフォトマスク
74 第2の直線偏光
75 第2の直線偏光の偏光方向
76 第2のフォトマスク
77 光配向膜
78 基板
79 光配向膜の第1の溝の方向
80 光配向膜の第2の溝の方向
81 λ/4位相差フィルム
82 液晶ディスプレイの偏光板(フロント側)
83 液晶ディスプレイのガラス基板(フロント側)
84 液晶層
85 液晶ディスプレイのガラス基板(リア側)
86 液晶ディスプレイの偏光版(リア側)
87 バックライトユニット
88 画像光
89 液晶表示装置のディスプレイに垂直な方向と観察方位とがなす角度
1 液晶表示装置のディスプレイに垂直な方向と観察方位とがなす角度に対する、液晶層を通過する画像光がずれる幅
101 ホモジニアス配向
102 TN配向

Claims (15)

  1. 異なる2方向の配向処理が施された配向膜を備えた、熱可塑性樹脂から構成される支持体の、前記配向膜上に、複数の右眼用位相差領域と複数の左眼用位相差領域が交互に形成され、
    前記右眼用位相差領域と前記左眼用位相差領域がともにツイスト構造を有する光学機能層であり、
    前記光学機能層の厚さが5.3μm以下であり、
    前記配向膜の、前記右眼用位相差領域をなす光学機能層に対応する領域の配向方向と、前記左眼用位相差領域をなす光学機能層に対応する領域の配向方向が異なる、
    ことを特徴とするパターニング位相差フィルム。
  2. 前記右眼用位相差領域のツイスト角と前記左眼用位相差領域のツイスト角について、各ツイスト角の絶対値の和が90度であり、各ツイスト角の方向が異なることを特徴とする請求項に記載のパターニング位相差フィルム。
  3. 前記右眼用位相差領域に対応する位相差値と前記左眼用位相差領域に対応する位相差値がそれぞれ2層以上の位相差層の各位相差値の総和からなり、少なくとも一層が略λ/4の位相差値を有する層であり、別の一層が前記右眼用位相差領域では略λ/2か0のいずれか一方の位相差値を有する層であり前記左眼用位相差領域では略λ/2か0の位相差値のうち前記右眼用位相差領域の位相差値とは異なる位相差値を有する層であることを特徴とする請求項1または2に記載のパターニング位相差フィルム。
  4. 右眼鏡と左眼鏡の少なくとも一方がツイスト構造を有する光学機能層を含み、
    前記ツイスト構造を有する光学機能層が重合固化したTN液晶構造であることを特徴とする偏光眼鏡。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載のパターニング位相差フィルムと、右眼用画像を前記右眼用位相差領域に表示し、かつ、左眼用画像を前記左眼用位相差領域に表示する映像表示パネルとを含む映像表示装置と、
    前記右眼用画像を視認しうる右眼鏡と、前記左眼用画像を視認しうる左眼鏡とを有する偏光眼鏡と、
    を含むことを特徴とする映像表示システム。
  6. 前記偏光眼鏡の前記右眼鏡と前記左眼鏡がともに、ツイスト構造を有する光学機能層を含むことを特徴とする請求項に記載の映像表示システム。
  7. 前記パターニング位相差フィルムの右眼用位相差領域のツイスト角の絶対値と前記偏光眼鏡の右眼鏡のツイスト角の絶対値の和が90度であり、前記パターニング位相差フィルムの左眼用位相差領域のツイスト角の絶対値と前記偏光眼鏡の左眼鏡のツイスト角の絶対値の和が90度であることを特徴とする請求項5または6に記載の映像表示システム。
  8. 前記偏光眼鏡の前記右眼鏡と前記左眼鏡の少なくとも一方が遅相軸を有する光学機能層を含むことを特徴とする請求項に記載の映像表示システム。
  9. 前記偏光眼鏡の前記右眼鏡と前記左眼鏡がいずれも直線偏光子のみからなることを特徴とする請求項に記載の映像表示システム。
  10. 前記右眼用位相差領域の位相差値の絶対値と前記左眼用位相差領域に対応する位相差値の絶対値が異なり、
    前記右眼用位相差領域の位相差値の絶対値と前記偏光眼鏡の左眼鏡の位相差値が実質的に同じであり、
    前記左眼用位相差領域の位相差値の絶対値と前記偏光眼鏡の右眼鏡の位相差値が実質的に同じであることを特徴とする請求項に記載の映像表示システム。
  11. 異なる2方向に配向処理が施された配向膜上に、カイラル剤と、光重合性液晶または光重合性の屈折率異方性物質を含む組成物を塗布する工程と、
    得られた塗布膜を露光処理する工程を含むことを特徴とするパターニング位相差フィルムの製造方法。
  12. 前記露光処理工程後に加熱処理工程を含むことを特徴とする請求項11に記載のパターニング位相差フィルムの製造方法。
  13. 映像表示パネル上に、請求項11または12に記載のパターニング位相差フィルムの製造方法によってパターニング位相差フィルムを形成する工程を含むことを特徴とする映像表示システムの製造方法。
  14. 前記露光処理工程を、前記映像表示パネル上に前記塗布膜を形成した後に行うことを特徴とする請求項13に記載の映像表示システムの製造方法。
  15. 右眼鏡と左眼鏡を有する偏光眼鏡の製造方法であって、
    配向膜上に、カイラル剤と、光重合性液晶または光重合性の屈折率異方性物質を含む組成物を塗布する工程と、
    得られた塗布膜を露光処理してツイスト構造を有する光学機能層を形成する工程と、
    得られたツイスト構造を有する光学機能層を前記右眼鏡または左眼鏡の少なくとも一方に配置する工程と、
    を含むことを特徴とする偏光眼鏡の製造方法。
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