JP5711071B2 - 積層体、低反射性積層体、偏光板、画像表示装置、及び3d画像表示システム - Google Patents

積層体、低反射性積層体、偏光板、画像表示装置、及び3d画像表示システム Download PDF

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Description

本発明は、明室環境下におけるクリア感に優れ、且つ干渉ムラの発生が少ない積層体、並びにそれを用いた、低反射性積層体、偏光板、画像表示装置、及び3D画像表示システムに関する。
従来、画像表示装置では、外光の反射によるコントラスト比の低下や像の映り込みを防止し、画像の視認性を向上させるために、視認側の最表面に反射防止フィルムなどの表面層を配置するのが一般的である。
例えば、特許文献1では、透明支持体、中間層、屈折率が1.55の高屈折率ハードコート層、及び屈折率が1.17〜1.40の中空シリカ微粒子を含有する低屈折率層の順で積層され、中間層の屈折率を透明支持体の屈折率と高屈折率ハードコート層の屈折率との中間の屈折率とした、表面粗さRaが0.10μm以下の反射防止フィルムが提案されている。
ところで、表示パネルの視認側前方であって、偏光膜のさらに視認側にλ/4板を有する3D画像表示装置が提案されている。λ/4板は、偏光膜とともに、円偏光画像を形成するのに利用され、λ/4板は、透明フィルムからなる支持体上に、配向膜、及び液晶化合物を利用して形成された光学異方性層を有する態様が一般的である。
このようなλ/4板を視認側前方で使用すると、支持体、配向膜及び光学異方性層の各界面の屈折率差に起因する干渉が発生し、干渉ムラにより表示性能が劣るという問題がある。特許文献2では、画像表示パネル内に、ハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層の順で積層した外光反射防止膜を設けることが提案されているが、特許文献1及び特許文献2で提案されている反射防止フィルムを使用しても、λ/4板で発生する干渉ムラを抑制することができないという問題があった。
特許文献3では、液晶パネルの観察者側の面に、低屈折率物質と高屈折率物質を交互に複数層形成させたアンチリフレクション膜及びアンチグレア膜等から選択される反射防止膜を設けることが提案されている。
このような反射防止膜等を使用すると、干渉ムラを抑制することができるが、明室環境下におけるクリア感(黒しまり)がなくなり、立体感や輝度が劣ってしまうという問題があった。また、クロストークが発生しやすくなるという問題もあった。
特開2006−106715号公報 特開2009−139593号公報 特開平11−295682号公報
本発明は、上記した問題を解決するためになされたものであり、干渉ムラが抑制され、且つクリア感の高い積層体、並びにそれを用いた低反射性積層体、偏光板、画像表示装置及び3D画像表示システムを提供することを課題とする。
具体的には、干渉ムラが抑制され、クリア感に優れた画像表示装置、並びにそれに用いられる偏光板、積層体、及び3D画像表示システムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 屈折率の異なる複数の層が積層された積層体であって、
前記複数の層のうち、互いに隣接する層との屈折率差の最大値をΔnとしたとき、前記積層体の一方の最表面の層の表面粗さRaが、(0.4×Δn)〜0.05μmであることを特徴とする積層体。
[2] 前記複数の層が、透明支持体、配向膜、及び光学異方性層の順で積層された層を少なくとも有する[1]の積層体。
[3] 前記最表面の層が、ハードコート層である[1]又は[2]の積層体。
[4] 前記ハードコート層が、前記透明支持体の前記配向膜と積層している側の表面と反対側の表面に積層している[3]の積層体。
[5] 前記光学異方性層が、最も屈折率の高い層であり、且つ液晶化合物を含有する組成物からなる[2]〜[4]のいずれかの積層体。
[6] 前記液晶化合物が、円盤状又は棒状液晶化合物である[5]の積層体。
[7] 前記光学異方性層が、面内遅相軸方向及び面内レターデーションの少なくとも一方が互いに異なる第1位相差領域及び第2位相差領域を含み、且つ前記第1及び第2位相差領域が、面内において交互に配置されているパターン光学異方性層である[2]〜[6]のいずれかの積層体。
[8] 前記積層体の反射率Rが、2.7%以下である[1]〜[7]のいずれかの積層体。
[9] [1]〜[8]のいずれかの積層体と、その最表面の層上に、反射防止膜とを有する低反射性積層体。
[10] 前記反射防止膜が、低屈折率層である[9]の低反射性積層体。
[11] 前記反射防止膜が、前記最表面の層の表面の形状に追従している[9]又は[10]の低反射性積層体。
[12] 前記反射防止膜の屈折率が、前記最表面の層の屈折率よりも低い[9]〜[11]のいずれかの低反射性積層体。
[13] 偏光膜と、[1]〜[8]のいずれかの積層体又は[9]〜[12]のいずれかの低反射性積層体と、を少なくとも有する偏光板。
[14] 前記積層体又は低反射性積層体の光学異方性層と前記偏光膜とが貼合されている[13]の偏光板。
[15] 画像信号に基づいて駆動される表示パネルと、前記表示パネルの視認側に配置される[1]〜[8]のいずれかの積層体又は[9]〜[12]のいずれかの低反射性積層体と、を少なくとも有する画像表示装置。
[16] 前記表示パネルが液晶セルを有する[15]の画像表示装置。
[17] 3D画像用である[15]又は[16]の画像表示装置。
[18] [15]〜[17]のいずれかの画像表示装置と、該3D用画像表示装置の視認側に配置される偏光板とを少なくとも備え、該偏光板を通じて立体画像を視認させる3D画像表示システム。
本発明によれば、干渉ムラが抑制され、且つクリア感の高い積層体、並びにそれを用いた、低反射性積層体、偏光板、画像表示装置及び3D画像表示システムを提供することができる。
具体的には、干渉ムラが抑制され、クリア感に優れた画像表示装置、並びにそれに用いられる偏光板、積層体、及び3D画像表示システムを提供することができる。
本発明の積層体の一例の断面模式図である。 本発明の積層体を有する画像表示装置の一例の断面模式図である。 本発明の積層体の他の一例の断面模式図である。 本発明の低反射性積層体の一例の断面模式図である。 本発明の低反射性積層体を有する画像表示装置の一例の断面模式図である。 偏光膜と光学異方性層との関係の一例の概略図である。 偏光膜と光学異方性層との関係の他の一例の概略図である。 実施例で行った評価方法を説明するために用いた概略図である。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。まず、本明細書で用いられる用語について説明する。
Re(λ)、Rth(λ)は、各々、波長λにおける面内のレターデーション、及び厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH、又はWR(王子計測機器(株)製)において、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。測定されるフィルムが、1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)が算出される。
Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50°まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH、又はWRが算出する。なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値、及び入力された膜厚値を基に、以下の式(A)、及び式(B)よりRthを算出することもできる。
Figure 0005711071
なお、上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。また、式(A)におけるnxは、面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは、面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzは、nx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dは測定フィルムの厚みを示す。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d・・・・・・・・・・・式(B)
測定されるフィルムが、1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法により、Rth(λ)は算出される。Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として、フィルム法線方向に対して−50°から+50°まで10°ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。また、上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについては、アッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
なお、本明細書では、測定波長について特に付記がない場合は、測定波長は550nmである。
また、本明細書において、角度(例えば「90°」等の角度)、及びその関係(例えば「直交」、「平行」、及び「45°で交差」等)については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、厳密な角度±10°未満の範囲内であることなどを意味し、厳密な角度との誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。
本明細書では、表面粗さRaとは、JIS B 0601(2001)における算術平均粗さのことを意味し、特に断りがない限り、単位は、(μm)である。
反射率とは、分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプター(ARV−474)を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5゜の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率のことを意味する。
本発明は、屈折率の異なる複数の層が積層された積層体であって、
前記複数の層のうち、互いに隣接する層との屈折率差の最大値をΔnとしたとき、前記積層体の一方の最表面の層の表面粗さRaが、(0.4×Δn)〜0.05μmであることを特徴とする積層体に関する。
本発明の積層体の一実施形態は、視認側偏光板の視認側に配置され、立体画像の表示に利用される積層体である。具体的には、偏光膜とともに表示パネルの視認側外側(表示パネルが視認側に偏光膜を有する場合には、表示パネルの視認側偏光膜のさらに外側)に配置され、当該積層体を通過した偏光画像が、偏光眼鏡等を介して右眼用又は左眼用の画像として、認識される。
従来、視認側の最表面に反射防止フィルムなどの表面層を配置し、外光の反射によるコントラスト比の低下や像の映り込みを防止し、画像の視認性を向上させていたが、従来の表面層を配置しただけでは、表示パネルの視認側前方であって、偏光膜のさらに視認側にλ/4板を有する3D画像表示装置は、λ/4板の各層の屈折率差に起因する干渉ムラを抑制することができなかった。また、干渉ムラを抑制しようとすると、明室環境下におけるクリア感がなくなり、立体感や輝度が劣ってしまう。
本発明者は、種々の検討の結果、屈折率の異なる複数の層が積層され、視認側最表面側の層の表面粗さRaをλ/4板の各層の屈折率差に起因する干渉ムラを考慮した範囲、即ち(0.4×Δn)〜0.05μmとすることで、干渉ムラが抑制されるとともにクリア感に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。表面層の最表面の表面粗さRaを(0.4×Δn)〜0.05μmとすることで、干渉ムラが抑制されるとともにクリア感に優れることは、波長よりも表面粗さRaが小さな領域において、表面反射光の中に拡散反射光成分と鏡面反射光成分が混在するという理論に基づいて説明することができる。
具体的には、本発明の積層体は、複数の層のうち一方の最表面の層の表面粗さRaを(0.4×Δn)〜0.05μmとし、本発明の積層体を画像表示装置に使用する場合は、前記最表面の層を視認側最表面側に配置する。
Δnは、複数の層のうち、互いに隣接する層との屈折率差の最大値であり、一例は、複数の層が3層の場合、上側の層と中央の層の屈折率差、及び中央の層と下側の層の屈折率差を測定し、それらの最大値をΔnとする。屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを用いて測定することができる。
屈折率差の最大値Δnは、本発明の効果を奏するために、0.03〜0.1であることが好ましい。
以下、図面を用いて、本発明のいくつかの実施形態を説明するが、図中の各層の厚みの相対的関係は、実際の相対的関係を反映しているわけではない。また、図中、同一の部材については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する場合がある。
本発明の積層体の一例の断面模式図を図1に示す。図1に示す積層体は、屈折率の異なる複数の層が積層されており、前記複数の層は、光学異方性層1、配向膜2、光学異方性層1並びに配向膜2を支持する透明支持体3、及び積層体の一方の最表面の層である表面層4を有し、表面層4の表面には、所定の表面粗さRaを有する。
本発明の積層体は、図2に示すように、直線偏光膜5とともに表示パネルの視認側に配置され、表面層4は、視認側の最表面となる。
光学異方性層1は、単独又は透明支持体と配向膜と共に、λ/4層としての機能を有することが好ましく、一例は、一様な光学異方性層であり、図6(a)及び(b)に示す通り、偏光膜5の面内遅相軸aを偏光膜5の吸収軸pと直交にして配置する。図6の左右方向を表示面左右方向とした場合に、図6(a)に示す様に、光学異方性層1の面内遅相軸aが画面45°(又は135°)の方向であって、偏光膜5の吸収軸pを画面左右方向又は上下方向にしてもよいし、また、図6(b)に示す様に、光学異方性層1の面内遅相軸aが画面左右方向(又は上下方向)であって、偏光膜5の吸収軸pを画面45°方向又は135°方向にしてもよい。
光学異方性層1は、面内遅相軸方向及び面内レターデーションの少なくとも一方が互いに異なる第1の位相差領域及び第2の位相差領域を含むパターン光学異方性層であってもよい。第1及び第2の位相差領域のそれぞれを通過した偏光画像が、偏光眼鏡等を介して右眼用又は左眼用の画像として、認識される。従って、左右画像が不均一とならないように、第1及び第2の位相差領域は、互いに等しい形状であるのが好ましく、また、それぞれの配置は、均等且つ対称的であるのが好ましい。
パターン光学異方性層の一例は、図7(a)及び(b)にそれぞれ示すように、第1及び第2位相差領域1a及び1bの面内遅相軸a及びbをそれぞれ、偏光膜5の透過軸pと±45°にして配置する。本明細書では、厳密に±45°であることを要求するものではなく、第1及び第2位相差領域1a及び1bのいずれか一方については、40〜50°であることが好ましく、他方は、−50〜−40°であることが好ましい。この構成により右眼用及び左眼用の円偏光画像を分離することができる。また、λ/2板をさらに積層することで、視野角をより拡大してもよい。
パターン光学異方性層は、単層構造であっても、2層以上の積層構造であってもよい。パターン光学異方性層は、重合性基を有する液晶化合物を主成分とする組成物の1種又は2種から形成することができる。
また、光学異方性層の各パターンの面内遅相軸は、パターン配向膜等を利用することで、互いに異なる方向、例えば互いに直交する方向、に調整することができる。パターン配向膜としては、マスク露光によりパターニング配向膜を形成可能な光配向膜、及びマスクラビングによりパターニング配向膜を形成可能なラビング配向膜のいずれも利用することができる。また、パターン配向膜を利用せずに、ナノインプリントによる配向制御技術を利用することもできる。
また、表面層4の一例は、ハードコート層である。表面層4の最表面の表面粗さRaが、(0.4×Δn)〜0.05μmであり、(0.45×Δn)〜0.045μmであることがより好ましい。これにより、光学異方性層1と配向膜2との界面で起こる干渉ムラが抑制されるとともにクリア感に優れるようになる。
本発明の積層体の反射率Rは、5.0%以下であることが好ましく、2.7%以下がより好ましく、1.3%以下が特に好ましい。
反射率が5.0%を超えると、外光の映り込みが目立って表示装置の視認性を損なうことがある。
図3に、本発明の積層体の他の例を示す。図1と同一の部材には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。他の図についても同様である。図3に示す積層体は、表面層4を支持するポリマーフィルム等からなる支持体6を有する。表面層4は、例えば、ハードコート層のように、硬化性組成物を塗布・硬化させることで形成する層である場合は、表面層4を支持する支持体6を別途有しているのが、製造上好ましい。図3に示す例は、支持体6上に表面層4を形成した後、光学異方性層1と支持体6の裏面(表面層4が形成されていない側の面)とを接着剤を介して貼合した態様である。勿論、可能であれば、表面層4の支持体6を省略して、光学異方性層1上に塗布等により直接、表面層4を形成してもよい。また、接着剤層7には、公知の接着剤、粘着剤を使用することができる。
本発明の積層体は、図1及び図3に示す態様に限定されるものではなく、他の部材を含んでいてもよい。例えば、外側最表面には、表面層とともに、散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層等が配置されていてもよい。
本発明は、低反射性積層体にも関する。本発明の低反射性積層体は、本発明の積層体と、その表面層上に、反射防止膜とを有する。反射防止膜を最表面上に配置することで、外光の反射によるコントラスト比の低下や像の映り込みをより効果的に防止し、画像の視認性をさらに向上させることができる。
図4に本発明の低反射性積層体の一例の断面模式図を示す。図4に示す低反射性積層体は、図1に示す積層体の表面層4上に、反射防止膜8を有する。表面層4と反射防止膜8との間には、他の層が配置されていないか、又は光学的に等方性の層(例えば、粘着剤層)のみが配置されているのが好ましい。
反射防止膜8は、積層体の表面層4の表面の形状と追従していることが好ましい。反射防止膜8が、表面層4の表面の形状と追従していることで、反射率をさらに低減させ、干渉ムラをより効果的に抑制することができる。また、表面層4の表面粗さRaと同等の表面粗さRaを有していることが好ましい。
反射防止膜8の一例は、外光の映りこみを軽減する低屈折率層である。また、反射防止膜8は、全体として反射防止性能を有していれば、その構造については特に制限はなく、単層構造であっても、2以上の層を含む積層構造であってもよい。また、反射防止膜8は、自己支持性のある膜であってもよく、また自己支持性のない塗布、転写、蒸着等で形成される膜であってもよい。
反射防止膜6の屈折率は、積層体の表面層4の屈折率よりも低い方が好ましく、表面層の屈折率の平方根程度であることが最も好ましい。反射防止膜8の屈折率は、具体的には、1.5以下であるのが好ましく、1.25〜1.4であるのがより好ましい。
本発明の低反射性積層体は、図4に示す態様に限定されるものではなく、他の部材を含んでいてもよい。例えば、外側最表面には、反射防止膜とともに、散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層等が配置されていてもよい。
本発明は、偏光板にも関する。本発明の偏光板は、偏光膜と、本発明の積層体又は本発明の低反射性積層体とを少なくとも有する。好ましくは、本発明の積層体又は本発明の低反射性積層体の光学異方性層(又はパターン光学異方性層)と偏光膜とが貼合されている態様である。
図2に、本発明の積層体を有する偏光板の一例を、及び図5に本発明の低反射性積層体を有する偏光板の一例の断面模式図をそれぞれ示す。図2及び図5に示す偏光板は、偏光膜5が、積層体及び低反射性積層体それぞれの光学異方性層1の表面に配置された態様である。光学異方性層1と偏光膜5との間には、他の層が配置されていないか、又は光学的に等方性の層(例えば、粘着剤層)のみが配置されているのが好ましい。
また、本発明は、本発明の積層体又は本発明の低反射性積層体と、表示パネルとを少なくとも有する画像表示装置にも関する。積層体又は低反射性積層体は、表示パネルの視認側表面に配置され、入射する偏光を円偏光画像に変換する。なお、本発明の画像表示装置は、立体画像表示装置であってもよく、この場合、積層体又は低反射性積層体は、右眼用及び左眼用の偏光画像(例えば円偏光画像)に分離する。観察者は、これらの偏光画像を、偏光眼鏡(例えば円偏光眼鏡)等の偏光板を介して観察し、立体画像として認識する。
図2及び図5にそれぞれに示す様に、本発明の積層体又は低反射性積層体は、偏光膜とともに、表示パネルの視認側表面に配置されるが、表示パネルが、視認側に偏光膜を有する場合には、偏光膜はなくてもよい。また、視認側に偏光膜を有する表示パネル上に、図2及び図5に示す通り、偏光膜とともに、本発明の積層体又は低反射性積層体をそれぞれ配置する態様では、該偏光膜の透過軸を、表示パネルの視認側に配置されている偏光膜の透過軸と一致させて配置する。
本発明では、表示パネルについてなんら制限はない。例えば、液晶層を含む液晶パネルであっても、有機EL層を含む有機EL表示パネルであっても、プラズマディスプレイパネルであってもよい。いずれの態様についても、種々の可能な構成を採用することができる。また、液晶パネル等は、視認側表面に画像表示のための偏光膜を有するが、上記した通り、当該偏光膜との組み合わせによって、本発明の積層体が上記機能を達成してもよい。
表示パネルの一例は、透過モードの液晶パネルであり、一対の偏光膜とその間に液晶セルとを有する。偏光膜と液晶セルとの間には、通常、視野角補償のための位相差フィルムが配置される。液晶セルの構成については特に制限はなく、一般的な構成の液晶セルを採用することができる。液晶セルは、例えば、対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に挟持された液晶層とを含み、必要に応じて、カラーフィルタ層などを含んでいてもよい。液晶セルの駆動モードについても特に制限はなく、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等の種々のモードを利用することができる。
また、本発明では、アクティブリターダー用のセルとして機能する液晶セルの視認側に積層体を配置させてもよい。
本発明は、本発明の立体画像表示装置と、該立体用画像表示装置の視認側に配置される偏光板とを少なくとも備え、該偏光板を通じて立体画像を視認させる立体画像表示システムにも関する。立体用画像表示装置の視認側外側に配置される前記偏光板の一例は、観察者が装着する偏光眼鏡である。観察者は、立体画像表示装置が表示する右眼用及び左眼用の偏光画像を円偏光又は直線偏光眼鏡を介して観察し、立体画像として認識する。
以下、本発明の積層体又は本発明の低反射性積層体に用いられる種々の部材等について詳細に説明する。
<表面層>
表面層は、光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して設計された反射防止層であり、少なくとも一層以上の層からなる層である。
表面層は、図1に一例を示すように、積層体の最表面にハードコート層のみを塗設した構成が好ましい。
上記ハードコート層を構成する各層の詳細については、特開2007−254699号公報の[0182]〜[0220]に記載があり、本発明に利用可能なハードコート層についても好ましい特性、好ましい材料等について、同様である。
ハードコート層の屈折率は、反射防止能を有するために1.45〜1.7であることが好ましい。
<反射防止膜>
積層体の反射率をさらに低下させるには、反射防止膜を表面層上に配置するのが好ましく、反射防止膜として屈折率の低い低屈折率層を表面層上に配置するのが好ましい。表面層としては、上記した通り、ハードコート層が好ましい。さらに、屈折率の高い高屈折率層と、屈折率の低い低屈折率層を表面層(例えばハードコート層上)に配置してもよい。構成例としては、下側から順に、高屈折率層/低屈折率層の2層のものや、屈折率の異なる3層を、中屈折率層(下層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているもの等があり、更に多くの反射防止層を積層するものも提案されている。中でも、耐久性、光学特性、コストや生産性等から、ハードコート層上に、中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の順に有することが好ましく、例えば、特開平8−122504号公報、特開平8−110401号公報、特開平10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等に記載の構成が挙げられる。また、膜厚変動に対するロバスト性に優れる3層構成の反射防止フィルムは特開2008−262187号公報に記載されている。上記3層構成の反射防止フィルムは、画像表示装置の表面に設置した場合、反射率の平均値を0.5%以下とすることができ、映り込みを著しく低減することができ、立体感に優れる画像を得ることができる。また、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層、帯電防止性のハードコート層、防眩性のハードコート層としたもの(例、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報、特開2007−264113号公報等)等が挙げられる。
反射防止膜の屈折率は、表面層の屈折率よりも低い方が好ましいが、低すぎると効果が少なくなる。表面層の屈折率の平方根程度であることが最も好ましい。具体的には1.5以下であるのが好ましく、1.25〜1.4であるのがより好ましい。
<透明支持体>
支持体の製造方法については特に制限はない。溶液製膜法及び溶融製膜法のいずれも利用することができる。溶液製膜法が好ましい。支持体としては、低Reのポリマーフィルムを用いるのが好ましく、支持体の好ましい組み合わせは、Reの差が小さい組み合わせである。
支持体の材料については特に制限はなく、例えば、ポリエステル系ポリマー、アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマーなどがあげられる。また、ポリオレフィン系ポリマー、アミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、又は前記ポリマーを混合したポリマーも例としてあげられる。また本発明の高分子フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の紫外線硬化型、熱硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
また、前記支持体の材料としては、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を好ましく用いることが出来る。熱可塑性ノルボルネン系樹脂としては、日本ゼオン(株)製のゼオネックス、ゼオノア、JSR(株)製のアートン等があげられる。
また、前記支持体の材料としては、従来偏光板の透明保護フィルムとして用いられてきた、トリアセチルセルロースに代表される、セルロース系ポリマー(以下、セルロースアシレートという)を好ましく用いることが出来る。
<配向膜>
光学異方性層の液晶化合物が均一に配向した状態を実現するためには、配向膜を利用するのが好ましい。配向膜は、ポリマー膜(例えば、ポリビニルアルコール膜及びイミド膜等)の表面をラビング処理することで形成されるものが好ましい。本発明に利用するのに好ましい配向膜の例には、特開2006−276203号公報の[0130]〜[0175]に記載のあるアクリル酸コポリマー又はメタクリル酸コポリマーの配向膜が含まれる。当該配向膜を利用すると、液晶化合物のゆらぎを抑制でき高コントラスト化が達成できるので好ましい。
<光学異方性層>
光学異方性層は、複屈折性が大きい方が好ましい。複屈折性は、Δn=ne−no、(Δnは、複屈折率性を表し、noは、通常光線についての屈折率を表し、neは、異常光線についての屈折率を表す。)で表され、光学異方性層の複屈折性Δnは、0.01以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましく、0.1以上であることが特に好ましい。複屈折性が大きい方が薄い膜厚で高い位相差を発現できるため、部材コスト、塗布適正の観点から好ましい。
光学異方性層の材料については特に制限はないが、液晶化合物を使用することができる。使用する液晶化合物については特に制限はない。液晶化合物は、その分子の形状に応じて、棒状液晶化合物及び円盤状液晶化合物に分類される。本発明では、いずれを用いてもよい。例えば、棒状液晶化合物については、その長軸を層面に対して水平にして配向させ、その状態に固定することで、及び円盤状液晶化合物については、その円盤面を層面に対して垂直にして配向させ、その状態に固定することで、λ/4層等、Reが任意の範囲の光学異方性層を形成することができる。
液晶化合物を利用して形成される光学異方性層の面内遅相軸は、配向膜に対して施された配向処理の方向によって制御することができる。一例は、配向膜の表面に施されるラビング処理であり、一般的には、液晶化合物の分子は、その長軸を、当該ラビング処理の方向に水平に又は直交にして配向する。また、他の例は、光配向膜に対する光照射処理である。照射される光の偏光方向に応じて、又は光照射の方向に応じて、配向能が発現された光配向膜を利用して、液晶化合物の配向を制御し、遅相軸を所望の方向に制御してもよい。また、液晶化合物とともに添加剤として配向制御剤を使用して、配向制御剤によって、液晶化合物の配向を制御してもよい。これらについては、従来、光学補償フィルムの作製や、液晶セルの液晶層の作製に利用されている技術を、種々利用することができる。
光学異方性層は、パターン光学異方性層であってもよく、その態様では、パターニングが必要であるので、パターニングが容易であるという観点では、重合性基を有する液晶化合物を主成分とする組成物を利用するのが好ましい。
前記光学異方性層は、配向膜を利用した種々の方法で形成でき、その製法については特に制限はない。
第1の態様は、液晶の配向制御に影響を与える複数の作用を利用し、その後、外部刺激(熱処理等)によりいずれかの作用を消失させて、所定の配向制御作用を支配的にする方法である。例えば、配向膜による配向制御能と、液晶組成物中に添加される配向制御剤の配向制御能との複合作用により、液晶を所定の配向状態とし、それを固定して一方の位相差領域を形成した後、外部刺激(熱処理等)により、いずれかの作用(例えば配向制御剤による作用)を消失させて、他の配向制御作用(配向膜による作用)を支配的にし、それによって他の配向状態を実現し、それを固定して他方の位相差領域を形成する。例えば、所定のピリジニウム化合物又はイミダゾリウム化合物は、ピリジニウム基又はイミダリウム基が親水的であるため前記親水的なポリビニルアルコール配向膜表面に偏在する。特に、ピリジニウム基が、さらに、水素原子のアクセプターの置換基であるアミノ基が置換されていると、ポリビニルアルコールとの間に分子間水素結合が発生し、より高密度に配向膜表面に偏在すると共に、水素結合の効果により、ピリジニウム誘導体がポリビニルアルコールの主鎖と直交する方向に配向するため、ラビング方向に対して液晶の直交配向を促進する。前記ピリジニウム誘導体は、分子内に複数個の芳香環を有しているため、前述した、液晶、特にディスコティック液晶との間に強い分子間π−π相互作用が起こり、ディスコティック液晶の配向膜界面近傍における直交配向を誘起する。特に、親水的なピリジニウム基に疎水的な芳香環が連結されていると、その疎水性の効果により垂直配向を誘起する効果も有する。しかし、その効果は、ある温度を超えて加熱すると、水素結合が切断され、前記ピリジニウム化合物等の配向膜表面における密度が低下し、その作用を消失する。その結果、ラビング配向膜そのものの規制力により液晶が配向し、液晶は平行配向状態になる。この方法の詳細については、特願2010−141345号明細書に記載があり、その内容は本明細書に参照として取り込まれる。
第2の態様は、パターン配向膜を利用する態様である。この態様では、互いに異なる配向制御能を有するパターン配向膜を形成し、その上に、液晶組成物を配置し、液晶を配向させる。液晶は、パターン配向膜のそれぞれの配向制御能によって配向規制され、互いに異なる配向状態を達成する。それぞれの配向状態を固定することで、配向膜のパターンに応じて第1及び第2の位相差領域のパターンが形成される。パターン配向膜は、印刷法、ラビング配向膜に対するマスクラビング、光配向膜に対するマスク露光等を利用して形成することができる。また、配向膜を一様に形成し、配向制御能に影響を与える添加剤(例えば、上記オニウム塩等)を別途所定のパターンで印刷することによって、パターン配向膜を形成することもできる。大掛かりな設備が不要である点や製造容易な点で、印刷法を利用する方法が好ましい。この方法の詳細については、特願2010−173077号明細書に記載があり、その内容は本明細書に参照として取り込まれる。
また、第1及び第2の態様を併用してもよい。一例は、配向膜中に光酸発生剤を添加する例である。この例では、配向膜中に光酸発生剤を添加し、パターン露光により、光酸発生剤が分解して酸性化合物が発生した領域と、発生していない領域とを形成する。光未照射部分では光酸発生剤はほぼ未分解のままであり、配向膜材料、液晶、及び所望により添加される配向制御剤の相互作用が配向状態を支配し、液晶を、その遅相軸がラビング方向と直交する方向に配向させる。配向膜へ光照射し、酸性化合物が発生すると、その相互作用はもはや支配的ではなくなり、ラビング配向膜のラビング方向が配向状態を支配し、液晶は、その遅相軸をラビング方向と平行にして平行配向する。前記配向膜に用いられる光酸発生剤としては、水溶性の化合物が好ましく用いられる。使用可能な光酸発生剤の例には、Prog. Polym. Sci., 23巻、1485頁(1998年)に記載の化合物が含まれる。前記光酸発生剤としては、ピリジニウム塩、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩が特に好ましく用いられる。この方法の詳細については、特願2010−289360号明細書に記載があり、その内容は本明細書に参照として取り込まれる。
さらに、第3の態様として、重合性が互いに異なる重合性基(例えば、オキセタニル基及び重合性エチレン性不飽和基)を有するディスコティック液晶を利用する方法がある。この態様では、ディスコティック液晶を所定の配向状態にした後、一方の重合性基のみの重合反応が進行する条件で、光照射等を行い、プレ光学異方性層を形成する。次に、他方の重合性基の重合を可能にする条件で(例えば他方の重合性基の重合を開始させる重合開始剤の存在下で、マスク露光を行う。露光部の配向状態は完全に固定され、所定のReを有する一方の位相差領域が形成される。未露光領域は、一方の反応性基の反応が進行しているものの、他方の反応性基は未反応のままとなっている。よって、等方相温度を超え、他方の反応性基の反応が進行可能な温度まで加熱すると、未露光領域は、等方相状態に固定され、即ち、Reが0nmになる。
<偏光膜>
本発明では、偏光膜として、一般的な直線偏光膜を用いることができる。偏光膜は延伸フィルムからなっていても、塗布により形成される層であってもよい。前者の例には、ポリビニルアルコールの延伸フィルムをヨウ素又は二色性染料等で染色したフィルムが挙げられる。後者の例には、二色性液晶性色素を含む組成物を塗布して、所定の配向状態に固定した層が挙げられる。
なお、本明細書では、「偏光膜」という場合は、直線偏光膜を意味するものとする。
<液晶セル>
本発明の立体用画像表示システムに用いられる立体用画像表示装置に利用される液晶セルは、VAモード、OCBモード、IPSモード、又はTNモードであることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、更に60〜120゜にねじれ配向している。TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech.Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)及び(4)SURVIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。また、PVA(Patterned Vertical Alignment)型、光配向型(Optical Alignment)、及びPSA(Polymer-Sustained Alignment)のいずれであってもよい。これらのモードの詳細については、特開2006−215326号公報、及び特表2008−538819号公報に詳細な記載がある。
IPSモードの液晶セルは、棒状液晶分子が基板に対して実質的に平行に配向しており、基板面に平行な電界が印加することで液晶分子が平面的に応答する。IPSモードは電界無印加状態で黒表示となり、上下一対の偏光板の透過軸は直交している。光学補償シートを用いて、斜め方向での黒表示時の漏れ光を低減させ、視野角を改良する方法が、特開平10−54982号公報、特開平11−202323号公報、特開平9−292522号公報、特開平11−133408号公報、特開平11−305217号公報、特開平10−307291号公報などに開示されている。
<立体画像表示システム用偏光板>
本発明の立体画像表示システムでは、特に3D映像とよばれる立体画像を視認者に認識させるため、偏光板を通して画像を認識する。偏光板の一態様は、偏光眼鏡である。前記位相差板によって右眼用及び左眼用の円偏光画像を形成する態様では、円偏光眼鏡が用いられ、直線偏光画像を形成する態様では、直線眼鏡が用いられる。光学異方性層の前記第1及び第2の位相差領域のいずれか一方から出射された右眼用画像光が右眼鏡を透過し、且つ左眼鏡で遮光され、前記第1及び第2位相差領域の他方から出射された左眼用画像光が左眼鏡を透過し、且つ右眼鏡で遮光されるように構成されていることが好ましい。
前記偏光眼鏡は、位相差機能層と直線偏光子を含むことで偏光眼鏡を形成している。なお、直線偏光子と同等の機能を有するその他の部材を用いてもよい。
偏光眼鏡を含め、本発明の立体用画像表示システムの具体的な構成について説明する。まず、光学異方性層は、映像表示パネルの交互に繰り返されている複数の第一ライン上と複数の第二ライン上(例えば、ラインが水平方向であれば水平方向の奇数ライン上と偶数ライン上であり、ラインが垂直方向であれば垂直方向の奇数ライン上と偶数ライン上でもよい)に偏光変換機能が異なる前記第1位相差領域と前記第2位相差領域が設けられている。円偏光を表示に利用する場合には、上述の前記第1位相差領域と前記第2位相差領域の位相差は、ともにλ/4であることが好ましく、前記第1位相差領域と前記第2位相差領域は遅相軸が直交していることがより好ましい。
円偏光を利用する場合、前記第1位相差領域と前記第2位相差領域の位相差値をともにλ/4とし、画像表示パネルの奇数ラインに右眼用画像を表示し、奇数ライン位相差領域の遅相軸が45度方向であるならば、偏光眼鏡の右眼鏡と左眼鏡にともにλ/4板を配置することが好ましく、偏光眼鏡の右眼鏡のλ/4板の遅相軸は具体的には略45度に固定すればよい。また、上記の状況であれば、同様に、画像表示パネルの偶数ラインに左眼用画像を表示し、偶数ライン位相差領域の遅相軸が135度方向であるならば、偏光眼鏡の左眼鏡の遅相軸は具体的には略135度に固定すればよい。
更に、一度前記パターン光学異方性層において円偏光として画像光を出射し、偏光眼鏡により偏光状態を元に戻す観点からは、上記の例の場合の右眼鏡の固定する遅相軸の角度は正確に水平方向45度に近いほど好ましい。また、左眼鏡の固定する遅相軸の角度は正確に水平135度(又は−45度)に近いほど好ましい。
また、例えば前記画像表示パネルが液晶表示パネルである場合、液晶表示パネルのフロント側偏光板の吸収軸方向が通常、水平方向であり、前記偏光眼鏡の直線偏光子の吸収軸が該フロント側偏光板の吸収軸方向に直交する方向であることが好ましく、前記偏光眼鏡の直線偏光子の吸収軸は鉛直方向であることがより好ましい。
また、前記液晶表示パネルのフロント側偏光板の吸収軸方向と、前記パターン光学異方性層の奇数ライン位相差領域と偶数ライン位相差領域の各遅相軸は、偏光変換の効率上、45度をなすことが好ましい。
なお、このような偏光眼鏡と、パターン光学異方性層及び液晶表示装置の好ましい配置については、例えば特開2004−170693号公報に開示がある。
偏光眼鏡の例としては、特開2004−170693号公報に記載のものや、市販品として、Zalman製、ZM−M220Wの付属品を挙げることができる。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
マスク露光処理により作製したパターン光配向膜、マスクラビング処理により作製したパターンラビング配向膜、又は上記した、添加剤等と配向膜との相互作用のON−OFFを利用して形成されたパターン配向膜等を種々利用して、液晶組成物の配向を制御し、配向状態を固定することで、透明支持体上にパターン光学異方性層をそれぞれ形成した。なお、液晶組成物には、重合性棒状液晶または重合性ディスコティック液晶を利用し、所望により配向制御のための添加剤を添加し、また重合を進行させるための重合開始剤も添加した。このパターン光学異方性層は、図7(a)に示す例と同様のパターンλ/4層であり、第1及び第2の位相差領域がそれぞれλ/4を示していた。
透明支持体の表面に、常法により、ハードコート層を形成して表面層を作製し、該表面層上に、常法により、低屈折率層を形成した。なお、下記表の実施例4、比較例1以外の低屈折率層は、ハードコート層の表面の形状に追従していた。
Figure 0005711071
(クロストークの評価)
作製した実施例1〜4、及び比較例1〜5の積層体を積層させたVAモード液晶表示装置において、図8に示したように液晶表示パネルの奇数ライン(水平方向)上にパターン光学異方性層の右眼用画像を透過する領域(第1位相差領域)となるように配置し、偶数ライン上にパターン光学異方性層の左眼用画像を透過する領域(第2位相差領域)となるように配置した。この液晶表示装置を高温高湿環境下(温度60℃/湿度90%)に一日置いた。この画面に対し、全ライン白表示とした「表示0」と、奇数ラインを黒表示、偶数ラインを白表示とした「表示1」と、奇数ラインを白表示、偶数ラインを黒表示とした「表示2」の3パターンの表示を行い、正面、および正面から斜め45度方向、極角5°の方向から、左右の眼鏡を透過した透過光の強度を測定した。このとき、各場所でのクロストーク量は下記式(1)および(2)を計算して求めたクロストーク(右眼)とクロストーク(左眼)の平均値として求めることができる。
式(1):
クロストーク(右眼)=(表示2での右眼鏡透過光)/(表示0での右眼鏡透過光)×100%
式(2):
クロストーク(左眼)=(表示1での左眼鏡透過光)/(表示0での左眼鏡透過光)×100%
(干渉ムラの評価)
作製した実施例1〜4、及び比較例1〜5の積層体を積層させたVAモード液晶表示装置の表面に三波長蛍光灯(東芝ライテック株式会社製FL10EX-D-Z)を写り込ませ、そこに現れる虹色の干渉模様を観察した。評点は下記三段階を目視評価で行った。
◎:干渉模様が見えない
○:干渉模様が僅かに見える
×:干渉模様がはっきりと見える
(黒しまり(クリア感)の評価)
作製した実施例1〜4、及び比較例1〜5の積層体を積層させたVAモード液晶表示装置の表面に三波長蛍光灯(東芝ライテック株式会社製FL10EX-D-Z)を写り込ませ、蛍光灯のボケ具合からクリア感を評価した。評点は下記三段階を目視評価で行った。
◎:蛍光灯が全くボケない
○:蛍光灯が僅かにボケる
×:蛍光灯がボケ、クリア感がない
Figure 0005711071
表2から、表面層の最表面の表面粗さRaが所定の範囲内であると、クロストーク、干渉ムラ、及び黒しまり(クリア感)の全てが良好であることがわかる。一方、比較例1〜5のように表面層の最表面の表面粗さRaが所定の範囲外であると、クロストーク、干渉ムラ、及び黒しまりのいずれかが実施例よりも劣ることがわかる。
1 光学異方性層
2 配向膜
3 支持体
4 表面層
5 偏光膜
6 支持体
7 接着剤層
8 反射防止膜
a 面内遅相軸
b 面内遅相軸
1a 第1位相差領域
1b 第2位相差領域

Claims (21)

  1. 屈折率の異なる複数の層が積層された積層体であって、
    前記複数の層のうち、互いに隣接する層との屈折率差の最大値をΔnとしたとき、前記積層体の一方の最表面の層の表面粗さRaが、(0.4×Δn)〜0.05μmであり、前記複数の層が、透明支持体、配向膜、及び光学異方性層の順で積層された層を少なくとも有し、前記光学異方性層が、最も屈折率の高い層であり、且つ液晶化合物を含有する組成物からなることを特徴とする積層体。
  2. 前記最表面の層が、ハードコート層である請求項1に記載の積層体。
  3. 前記ハードコート層が、前記透明支持体の前記配向膜と積層している側の表面と反対側の表面に積層している請求項に記載の積層体。
  4. 前記液晶化合物が、円盤状又は棒状液晶化合物である請求項1〜3の何れか1項に記載の積層体。
  5. 前記光学異方性層が、面内遅相軸方向及び面内レターデーションの少なくとも一方が互いに異なる第1位相差領域及び第2位相差領域を含み、且つ前記第1及び第2位相差領域が、面内において交互に配置されているパターン光学異方性層である請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記積層体の反射率Rが、2.7%以下である請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体と、その最表面の層上に、反射防止膜とを有する低反射性積層体。
  8. 前記反射防止膜が、屈折率1.25〜1.4である低屈折率層である請求項に記載の低反射性積層体。
  9. 前記反射防止膜が、前記最表面の層の表面の形状に追従している請求項7又は8に記載の低反射性積層体。
  10. 前記反射防止膜の屈折率が、前記最表面の層の屈折率よりも低い請求項7〜9のいずれか1項に記載の低反射性積層体。
  11. 屈折率の異なる複数の層が積層された積層体であって、前記複数の層のうち、互いに隣接する層との屈折率差の最大値をΔnとしたとき、前記積層体の一方の最表面の層の表面粗さRaが、(0.4×Δn)〜0.05μmであることを特徴とする積層体と、その最表面の層上に、反射防止膜とを有する低反射性積層体であって、前記反射防止膜が、前記最表面の層の表面の形状に追従している低反射性積層体。
  12. 前記複数の層が、透明支持体、配向膜、及び光学異方性層の順で積層された層を少なくとも有し、前記光学異方性層が、最も屈折率の高い層であり、且つ液晶化合物を含有する組成物からなる、請求項11に記載の低反射性積層体。
  13. 前記反射防止膜が、屈折率1.25〜1.4である低屈折率層である請求項11又は12に記載の低反射性積層体。
  14. 偏光膜と、請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体又は請求項7〜13のいずれか1項に記載の低反射性積層体と、を少なくとも有する偏光板。
  15. 前記積層体又は低反射性積層体の光学異方性層と前記偏光膜とが貼合されている請求項14に記載の偏光板。
  16. 画像信号に基づいて駆動される表示パネルと、前記表示パネルの視認側に配置される請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体又は請求項7〜13のいずれか1項に記載の低反射性積層体と、を少なくとも有する画像表示装置。
  17. 前記表示パネルが液晶セルを有する請求項16に記載の画像表示装置。
  18. 3D画像用である請求項16又は17に記載の画像表示装置。
  19. (1)画像信号に基づいて駆動される表示パネルと、
    (2)前記表示パネルの視認側に配置される、積層体、又は積層体とその最表面の層上に反射防止膜とを有する低反射性積層体と、
    を少なくとも有する、3D画像用である画像表示装置であって、
    前記積層体が、屈折率の異なる複数の層が積層された積層体であって、前記複数の層のうち、互いに隣接する層との屈折率差の最大値をΔnとしたとき、前記積層体の一方の最表面の層の表面粗さRaが、(0.4×Δn)〜0.05μmであることを特徴とする積層体である、画像表示装置。
  20. 前記複数の層が、透明支持体、配向膜、及び光学異方性層の順で積層された層を少なくとも有し、前記光学異方性層が、最も屈折率の高い層であり、且つ液晶化合物を含有する組成物からなる、請求項19に記載の画像表示装置。
  21. 請求項16〜20のいずれか1項に記載の画像表示装置と、該3D用画像表示装置の視認側に配置される偏光板とを少なくとも備え、該偏光板を通じて立体画像を視認させる3D画像表示システム。
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