JP5659933B2 - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、耐衝撃性に優れ、自動車、車両用などの構造用接着剤として用いることができるエポキシ樹脂組成物に関する。
エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物は作業性及びその硬化物の優れた電気特性、耐熱性、接着性、耐湿性(耐水性)、成形性等に優れている。そのため、従来より、エポキシ樹脂組成物は、電気・電子部品、自動車部品、電気機器、繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics;FRP)、スポーツ用品、構造用材料、塗料等の分野において様々な異なる基板を結合するための接着剤として広く使用されている。
このような接着剤に用いられるエポキシ樹脂組成物のエポキシ樹脂は脆いため衝撃を受けると簡単に破壊してしまう。そのため、従来より、エポキシ樹脂にエラストマーを添加することがエポキシ樹脂組成物の強靱化に有効であるとされている。例えば、エラストマーとして、両末端にカルボキシル基を有するブタジエン−アクリロニトリルゴム(カルボキシル基末端ポリブタジエン−アクリロニトリルゴム(carboxyl-terminated butadiene-nitrile:CTBN))をエポキシ樹脂に添加した付加体がゴム変性エポキシ樹脂として使用されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1には、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体と、エポキシ樹脂と、ビスフェノール化合物とを含むプレポリマーを用いた構造用接着剤が記載されている。
特許文献2には、エポキシ樹脂と、ウレタン変性エポキシ樹脂および/またはアクリロニトリル・ブタジエン変性エポキシ樹脂とを含む混合物を用いた自動車構造用1液型エポキシ系接着剤が記載されている。
特許文献3には、エポキシ樹脂と、カルボキシル基含有ゴム質ポリマーを反応させて得られるゴム変性エポキシ樹脂とを含む液状エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物が記載されている。
特開平4−185686号公報 特開昭59−196376号公報 特開昭59−115322号公報
ここで、エポキシ樹脂組成物を自動車用などの構造用接着剤として用いていく上で、構造用接着剤の剥離強度など接着特性の向上を図る改良が進められており、更に高い剥離強度を有する構造用接着剤が得られるエポキシ樹脂組成物が求めている。
本発明は、前記問題に鑑み、耐衝撃性に優れた硬化物を得ることができるエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は、次に示す(1)〜(5)である。
(1) 1種またはそれ以上のエポキシ樹脂(A)と、
エポキシ当量220g/eq以上400g/eq以下のエポキシ樹脂に、両末端にカルボキシル末端とアミノ基との何れか一方又は両方を有するアクリロニトリル−ブタジエンゴムを反応させて得られるゴム変性エポキシ樹脂(B)と、
1種またはそれ以上の硬化剤(C)と、
1種又はそれ以上のウレタンプレポリマー末端のイソシアネートが、ε−ポリカプロラクタム、オキシム、及びピラゾールからなる群から選択された少なくとも1つでブロックされたウレタン樹脂(D)とを含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
(2) ゴム変性エポキシ樹脂(B)の両末端にカルボキシル末端とアミノ基との何れか一方又は両方を有するアクリロニトリル−ブタジエンゴム中のアクリロニトリル含有量が、20%以上である上記(1)に記載のエポキシ樹脂組成物。
) ウレタン樹脂(D)のウレタンプレポリマーが、ビスフェノールA化合物と、ポリテトラメチレングリコール、ポリカーボネートポリオールから選ばれる1種またはそれ以上のポリオール化合物と、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートから選ばれる1種またはそれ以上のイソシアネート化合物とを反応させて得られることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のエポキシ樹脂組成物。
) ウレタン樹脂(D)のビスフェノールA化合物の含有量は、ポリオール化合物の水酸基のモル数とビスフェノールA化合物の水酸基のモル数とのモル比([ポリオール−OH]/[BisA−OH])が1/0.1以上1/3.0以下である上記(3)に記載のエポキシ樹脂組成物。
) ウレタン樹脂(D)の含有量が、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して10質量部以上80質量部以下である上記()から()の何れか1つに記載のエポキシ樹脂組成物。
本発明によれば、耐衝撃性に優れた硬化物を得ることができる、という効果を奏する。
以下、この発明について詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
本実施形態に係るエポキシ樹脂組成物(以下、「本実施形態に係る組成物」という。)は、1種またはそれ以上のエポキシ樹脂(A)と、エポキシ当量220g/eq以上400g/eq以下のエポキシ樹脂に、両末端にカルボキシル末端とアミノ基との何れか一方又は両方を有するアクリロニトリル−ブタジエンゴムを反応させて得られるゴム変性エポキシ樹脂(B)と、1種またはそれ以上の硬化剤(C)と、を含むエポキシ樹脂組成物である。
<エポキシ樹脂(A)>
エポキシ樹脂(A)は、分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に限定されず使用することができる。エポキシ樹脂(A)としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型のようなビスフェニル基を有するエポキシ化合物、ポリアルキレングリコール型、アルキレングリコール型のエポキシ化合物、ナフタレン環を有するエポキシ化合物、フルオレン基を有するエポキシ化合物等の二官能型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型のような多官能型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ダイマー酸のような合成脂肪酸のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;N,N,N′,N′−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N−ジグリシジルアニリンのようなグリシジルアミノ基を有する芳香族エポキシ樹脂;トリシクロデカン環を有するエポキシ化合物(例えば、ジシクロペンタジエンとm−クレゾールのようなクレゾール類またはフェノール類を重合させた後、エピクロルヒドリンを反応させる製造方法によって得られるエポキシ化合物)等を挙げることができる。エポキシ樹脂(A)は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
エポキシ樹脂(A)は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、およびウレタン変性エポキシ樹脂からなる群から選ばれるのが好ましい。硬化後の貯蔵弾性率が−20℃で1.0GPa以下、かつ80℃で0.2〜0.7GPaとなる組成である組成物を得やすいからである。
(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、エポキシ当量が180g/eq〜300g/eqの範囲内であるものが好ましい。ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、1種類を単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、具体的には、例えば、ジャパンエポキシレジン社製jERシリーズ(827、828、834等)、DIC社製エピクロンシリーズ(840、850等)、ADEKA社製アデカレジンEP−4100シリーズ等から適宜選択して使用することができる。
(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、エポキシ当量が150g/eq〜200g/eqの範囲内であるものが好ましい。ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、1種類を単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、具体的には、例えば、ジャパンエポキシレジン社製jERシリーズ(806、807等)、DIC社製エピクロンシリーズ(830、835等)、ADEKA社製アデカレジンEP−4900シリーズ等から適宜選択して使用することができる。
(ウレタン変性エポキシ樹脂)
ウレタン変性エポキシ樹脂は、分子中にウレタン結合と2個以上のエポキシ基とを有する樹脂であれば、その構造として特に限定されるものではない。ウレタン変性エポキシ樹脂は、1種類を単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。ウレタン変性エポキシ樹脂としては、具体的には、例えば、三井化学社製エポギーシリーズ(803、802−30CX、820−40CX、834等)、ADEKA社製アデカレジンEPUシリーズ等から適宜選択して使用することができる。
<ゴム変性エポキシ樹脂(B)>
ゴム変性エポキシ樹脂(B)は、分子内にエポキシ基を2個以上有し、骨格がゴムであるエポキシ樹脂である。骨格を形成するゴムとしては、例えば、ポリブタジエン、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、末端にカルボキシル末端とアミノ基との何れか一方又は両方を有するアクリロニトリル−ブタジエンゴムなどが挙げられる。末端にカルボキシル末端とアミノ基との何れか一方又は両方を有するアクリロニトリル−ブタジエンゴムとは、両末端にカルボキシル基を有するブタジエン−アクリロニトリルゴム(カルボキシル基末端ポリブタジエン−アクリロニトリルゴム(carboxyl-terminated butadiene-nitrile:CTBN))、両末端にアミノ基を有するブタジエン−アクリロニトリルゴム(アミノ基末端ポリブタジエン−アクリロニトリルゴム(amino-terminated butadiene nitrile rubber:ATBN))、両末端にカルボキシル基およびアミノ基を有するブタジエン−アクリロニトリルゴム(カルボキシル末端及びアミノ基末端ポリブタジエン−アクリロニトリルゴム)である。本実施形態では、ゴム変性エポキシ樹脂(B)は、CTBN、ATBN、カルボキシル末端及びアミノ基末端ポリブタジエン−アクリロニトリルゴムのいずれか1種類を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本実施形態において含まれるゴム変性エポキシ樹脂(B)は、エポキシ当量220g/eq以上400g/eq以下のエポキシ樹脂と、末端にカルボキシル末端とアミノ基との何れか一方又は両方を有するアクリロニトリル−ブタジエンゴムとを反応させて得られるものである。本実施形態においては、エポキシ当量220g/eq以上400g/eq以下のエポキシ樹脂は、半固形エポキシ樹脂として用いられる。エポキシ樹脂は、液状エポキシ樹脂、固形エポキシ樹脂、半固形エポキシ樹脂に分類される。これらの分類は、例えば、エポキシ樹脂のエポキシ当量などに応じて分類される。エポキシ樹脂を、エポキシ当量に応じて分類する場合、例えば、エポキシ当量が200g/eqよりも小さいエポキシ樹脂は、液状エポキシ樹脂とされ、エポキシ当量が200g/eq以上400g/eq以下のエポキシ樹脂は半固形エポキシ樹脂とされ、エポキシ当量が400よりも大きいエポキシ樹脂は固形エポキシ樹脂とされる。本実施形態において、ゴム変性エポキシ樹脂(B)に含まれるエポキシ当量220g/eq以上400g/eq以下のエポキシ樹脂は、液状に近い半固形エポキシ樹脂、または半固形エポキシ樹脂として用いられる。
ゴム変性エポキシ樹脂(B)の製造方法については、特に制限されない。例えば、エポキシ樹脂と、末端にカルボキシル末端とアミノ基との何れか一方又は両方を有するアクリロニトリル−ブタジエンゴムとを反応させて製造することができる。
ゴム変性エポキシ樹脂(B)を製造する際に使用されるエポキシ樹脂は、エポキシ当量が200g/eq以上400g/eq以下であれば、特に制限されるものではなく、従来公知のものが挙げられる。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は220g/eq以上400g/eq以下であり、好ましくは220g/eq以上350g/eq以下であり、より好ましくは250g/eq以上300g/eqである。エポキシ樹脂のエポキシ当量を上記範囲内とすることで、エポキシ当量が所定範囲のエポキシ樹脂を、両末端にカルボキシル末端とアミノ基との何れか一方又は両方を有するアクリロニトリル−ブタジエンゴムと反応させて得られるゴム変性エポキシ樹脂(B)を含むエポキシ樹脂組成物は、粘度や接着性、さらには耐衝撃性に優れた硬化物とすることができる。
ゴム変性エポキシ樹脂(B)に含まれる末端にカルボキシル末端とアミノ基との何れか一方又は両方を有するアクリロニトリル−ブタジエンゴム中のアクリロニトリルの含有量は、15%以上35%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以上30%以下である。アクリロニトリルの含有量が少ないとエポキシ樹脂との相溶性が低下し、分離してしまう。また多すぎると相溶性がよすぎるために硬化物の耐熱性が低下する懸念がある。
なお、本実施形態において、ゴム変性エポキシ樹脂(B)のエポキシ当量およびその添加量は製造時に用いる過剰のエポキシ樹脂が含まれるため“そのエポキシを含んだゴム変性エポキシ樹脂”としての量を示すものとする。
エポキシ樹脂組成物は、一般に、エラストマーとして、ゴム変性エポキシ樹脂やウレタン樹脂などが添加されるが、ウレタン樹脂(D)は極性が高い成分であるため、本実施形態に係る組成物は油面を有する鋼板等に対して接着性が低下する。一方、ゴム変性エポキシ樹脂(B)は、油成分と馴染みやすい性質を有する。本実施形態に係る組成物はエポキシ樹脂(A)の他にゴム変性エポキシ樹脂(B)を含むため、油面を有する鋼板等に対しても安定した接着性を維持することができる。
<硬化剤(C)>
本発明の組成物に含有される硬化剤(C)は、特に限定されず、通常、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられるものを用いることができる。硬化剤としては、例えばジシアンジアミド、4,4−ジアミノジフェニルスルホン、2−n−ヘプタデシルイミダゾールのようなイミダゾール誘導体、イソフタル酸ジヒドラジド、N,N−ジアルキル尿素誘導体、N,N−ジアルキルチオ尿素誘導体、テトラヒドロ無水フタル酸のような酸無水物、イソホロンジアミン、m−フェニレンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、メラミン、グアナミン、三フッ化ホウ素錯化合物、トリスジメチルアミノメチルフェノール、ポリチオールなどを用いることができる。
ポリチオールはメルカプト基を2個以上有する化合物であれば特に制限されない。メルカプト基を2個有するチオールとしては、例えば、エタンジチオール、プロパンジチオール、ブタンジチオール、ペンタンジチオール、ヘキサンジチオールのようなアルキレンジチオール;ベンゼンジチオール、トルエン−3,4−ジチオール、3,6−ジクロロ−1,2−ベンゼンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、4,4′−チオビスベンゼンチオールのような芳香族ジチオール;ベンゼンジメタンチオールのような芳香族を有する炭化水素化合物のジチオール;2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンのような複素環化合物;2−メルカプト−3−チアヘキサン−1,6−ジチオール、5,5−ビス(メルカプトメチル)−3,7−ジチアノナン−1,9−ジチオール、5−(2−メルカプトエチル)−3,7−ジチアノナン−1,9−ジチオールのようなチア化合物;ジメルカプトプロパノール、ジチオエリトリトールのようなヒドロキシ基を有する化合物が挙げられる。
メルカプト基を3個以上有するチオールとしては、例えば、トリチオグリセリン、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール(トリメルカプト−トリアジン)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、2,4,6−トリス(メルカプトメチル)メシチレン、トリス(メルカプトメチル)イソシアヌレート、トリス(3−メルカプトプロピル)イソシアヌレート、2,4,5−トリス(メルカプトメチル)−1,3−ジチオランのようなトリチオール;ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、テトラメルカプトブタン、ペンタエリトリチオールのようなテトラチオールが挙げられる。
ポリチオールとして、例えば、ポリエーテル(例えば、ポリオキシプロピレングリコール)の末端にメルカプト基を導入したポリチオール(例えば、東レ・ファインケミカル社製「QE−340M」)が挙げられる。
硬化剤(C)はこれらの中の2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化剤(C)の本発明の組成物中における含有量は特に限定されず、最適な量は硬化剤の種類によって異なる。例えば従来公知である各硬化剤ごとの最適量を好ましく用いることができる。この最適量は、例えば「総説 エポキシ樹脂 基礎編」(エポキシ樹脂技術協会、2003年発行)の第3章に記載されている。
<ウレタン樹脂(D)>
ウレタン樹脂(D)は、ウレタンプレポリマーと、ビスフェノールAとを含む樹脂である。ウレタン樹脂(D)は、ウレタンプレポリマー末端のイソシアネートがε−ポリカプロラクタム、オキシム類、ピラゾール類の少なくとも1つでブロックされている樹脂である。また、ウレタンプレポリマーは、ウレタンプレポリマーの骨格にビスフェノールAを含んでいる。
[ウレタンプレポリマー]
ウレタン樹脂(D)に用いられるウレタンプレポリマーは、従来公知のものを用いることができる。ウレタンプレポリマーは、例えば、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを、ポリオール化合物の水酸基(OH基)に対してポリイソシアネート化合物のイソシアネート基(NCO基)が過剰となるように反応させることにより得られる反応生成物である。また、上記ウレタンプレポリマーは、0.5質量%以上10質量%以下のNCO基を分子末端に含有するのが好ましい。
(ポリオール化合物)
ウレタンプレポリマーの製造の際に使用されるポリオール化合物は、水酸基を2個以上有するものであれば特に限定されない。ポリオール化合物としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオール、およびこれらの混合ポリオール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4′−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4′−ジヒドロキシフェニルメタンおよびペンタエリスリトール等から選択される多価アルコールの少なくとも1種に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキサイドおよびポリオキシテトラメチレンオキシドからなる群から選択される少なくとも1種を付加させて得られるポリエーテルポリオール;ポリオキシテトラメチレンオキサイド等が挙げられる。上記ポリエーテルポリオールの具体例としては、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレントリオール等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールは、カーボネート結合(−O−CO−O−)と2個以上のヒドロキシ基とを有するものであれば特に限定されない。例えば、ジアルキルカーボネートのアルコキシ基と、ポリオール化合物のヒドロキシ基から水素原子を除いた基とのエステル交換反応により得られうるものが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールの製造方法は、特に限定されるものではなく。例えば、従来公知の方法に従って行うことができる。ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、HO〔(CH26−O−C(=O)−O〕(CH26−OH(mは、2〜50の整数である。)が挙げられる。具体的には、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオールのような炭素数2〜10の鎖状脂肪族炭化水素化合物のジオール体から得られうるポリカーボネートポリオール、シクロヘキサンジオールのような炭素数3〜10の脂環式炭化水素化合物のジオール体から得られうるポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。中でも、密着性、ぬれ性、原料の入手のしやすさの観点から、炭素数2〜10の脂肪族炭化水素化合物のジオール体から誘導されるポリカーボネートポリオールであるのが好ましい。また、ポリカーボネートポリオールは、密着性、ぬれ性の観点から、その重量平均分子量が1000以上であるのが好ましい。ポリカーボネートポリオールは、密着性、ぬれ性の観点から、炭素数6以上の鎖状脂肪族炭化水素化合物のジオール体から誘導され、分子量が1000以上のものであるのがより好ましい。ポリカーボネートポリオールは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリエステルポリオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、およびその他の低分子ポリオールからなる群から選択される少なくとも1種と、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸またはその他の低分子カルボン酸やオリゴマー酸からなる群から選択される少なくとも1種との縮合重合体;プロピオンラクトン、バレロラクトン、カプロラクトンなどの開環重合体;等が挙げられる。
その他のポリオールとしては、具体的には、例えば、ポリマーポリオール;ポリブタジエンポリオール;水素添加されたポリブタジエンポリオール;アクリルポリオール等;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等のような低分子量のポリオール;等が挙げられる。
上述したポリオールの中でも、ガラス転移温度、硬化後の物性の点から、数平均分子量1000〜15000、特に1000〜10000のポリエーテルポリオールが好ましい。
このようなポリオール化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、特に、ポリテトラメチレングリコールやポリカーボネートポリオールが好ましい。ポリテトラメチレングリコールやポリカーボネートポリオールは、エポキシ樹脂(A)に対する相溶性を良好にすることができ、このウレタンプレポリマーを用いて得られる本実施形態に係る組成物からなる硬化物は高い強度および伸びを有することができる。
(ポリイソシアネート化合物)
ウレタンプレポリマーを製造する際に使用されるポリイソシアネート化合物は、分子内にイソシアネート基を2個以上有するものであれば特に限定されない。
ポリイソシアネート化合物としては、具体的には、例えば、TDI(例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI))、MDI(例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−MDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI))、1,4−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネートこれらの水素添加化合物;エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)のような脂肪族ポリイソシアネート;トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)等のような脂環式ポリイソシアネート;これらのカルボジイミド変性ポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート;キシリレンジイソシアネート等のアリール脂肪族ポリイソシアネートおよびこれらの水素添加化合物;等が挙げられる。このようなポリイソシアネート化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、特に、ポリイソシアネート化合物は、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが好ましい。
ウレタン樹脂(D)に用いられるウレタンプレポリマーは、上述したポリオール化合物と過剰のポリイソシアネート化合物とを反応させて製造することができる。ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との混合比は、ポリオール化合物中のヒドロキシ基に対するポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基のモル比(NCO/OH)が、1.2〜2.5であるのが好ましく、1.5〜2.0であるのがより好ましい。この範囲であれば、ウレタンプレポリマーの粘度および硬化物の物性が適当な範囲になる。また、上記ウレタンプレポリマーの製造は、通常のウレタンプレポリマーと同様の方法で行うことができる。例えば、上述した混合比のポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを、50℃〜100℃で加熱撹拌することによってウレタンプレポリマーを得ることができる。また、必要に応じて、有機スズ化合物、有機ビスマス、アミン等のウレタン化触媒を用いることもできる。
本実施形態においては、ウレタン樹脂(D)は、ポリテトラメチレングリコール、ポリカーボネートポリオールから選ばれる1種またはそれ以上のポリオール化合物と、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートから選ばれる1種またはそれ以上のイソシアネート化合物とを反応させて得られるものであることが好ましい。
また、ウレタンプレポリマーを製造する際のポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との量は、NCO基/OH基(当量比)が、1.2〜2.5となるのが好ましく、1.5〜2.0となるのがより好ましい。当量比がこのような範囲である場合、得られるウレタンプレポリマーの粘度が適当となり、ウレタンプレポリマー中の未反応のポリイソシアネート化合物の残存量を低減することができる。
ウレタンプレポリマーの製造方法は特に限定されず、例えば、上述の当量比のポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを、50℃〜130℃で加熱攪拌することによって製造することができる。また、必要に応じて、例えば、有機錫化合物、有機ビスマス、アミンのようなウレタン化触媒を用いることができる。
このようなウレタンプレポリマーは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記ウレタンプレポリマーの平均官能価(イソシアネート基数)は、1分子当たり2.2〜3.0が好ましく、2.4〜2.8がより好ましく、質量%の割合にすると0.4%以上が好ましく、0.5%以上であることがより好ましい。上記ウレタンプレポリマーの質量平均分子量は2,000〜1,000,000が好ましく、2,000〜70,000がより好ましい。この範囲であると、得られる本発明の組成物の粘度、接着性、硬化後の特性(例えば、硬度、モジュラス)に優れる。
ウレタン樹脂(D)では、ウレタンプレポリマー末端のイソシアネートが、ε−ポリカプロラクタム、オキシム類、ピラゾール類の少なくとも1つをブロック剤として用いてブロックされている。ブロック剤としては、ε−ポリカプロラクタム、オキシム類、ピラゾール類の中でもε−ポリカプロラクタムが好ましい。
ウレタンプレポリマー末端のイソシアネートが、ε−ポリカプロラクタム、オキシム類、ピラゾール類の少なくとも1つのブロック剤を用いてブロックしておくことで、組成物を硬化させる際、ブロック剤が外れてイソシアネートがエポキシ樹脂(A)や硬化剤に組み込まれて架橋する。
本実施形態においては、ウレタン樹脂(D)のビスフェノールAの含有量は、ポリオール化合物の水酸基のモル数とビスフェノールAの水酸基のモル数とのモル比([ポリオール−OH]/[BisA−OH])が1/0.1以上1/3.0以下であることが好ましく、1/0.5以上1/2.5以下であることがより好ましく、1/1.0以上1/2.0以下であることがさらに好ましい。ビスフェノールAの含有量が少ないと、エポキシ樹脂(A)とのなじみが悪くなり、本実施形態に係る組成物から得られる硬化物は脆くなり易い。ビスフェノールAの含有量が多すぎると、ε−ポリカプロラクタムなどのブロック剤の量が多くなってしまい、加熱によりブロック剤が外れなかったり、またブロック剤が組成物中に残存してしまうため十分な強度が得られず物性が低下してしまう。そこで、ウレタン樹脂(D)のビスフェノールAの含有量を上記範囲内とすることで、エポキシ樹脂(A)との相溶性を良好にすることができ、本実施形態に係る組成物から得られる硬化物の強度を維持することができると共に、耐衝撃性を向上させることができる。また、メッキを施した鋼板等に対しても安定して耐衝撃性を維持することができる。
ウレタン樹脂(D)は、エポキシ樹脂(A)100質量部に対し、10質量部以上80質量部以下含むのが好ましく、より好ましくは30質量部以上70質量部以下であり、更に好ましくは40質量部以上70質量部以下である。ウレタン樹脂(D)の含有量を上記範囲内とすることで、ウレタン樹脂(D)による効果を維持することができる。
このように、本実施形態に係る組成物は、エポキシ樹脂(A)と、エポキシ当量220g/eq以上400g/eq以下のエポキシ樹脂に、両末端にカルボキシル末端とアミノ基との何れか一方又は両方を有するアクリロニトリル−ブタジエンゴムを反応させて得られるゴム変性エポキシ樹脂(B)と、硬化剤(C)とを含むエポキシ樹脂組成物である。ゴム変性エポキシ樹脂(B)に含まれるエポキシ樹脂として、エポキシ当量220g/eq以上400g/eq以下であって、形態が液状、液状に近い半固形、または半固形のエポキシ樹脂を用い、このエポキシ当量が所定範囲のエポキシ樹脂に、両末端にカルボキシル末端とアミノ基との何れか一方又は両方を有するアクリロニトリル−ブタジエンゴムと反応させて得られる付加体をゴム変性エポキシ樹脂(B)として用いる。これにより、本実施形態に係る組成物から得られる硬化物の強度を維持することができると共に、十分な伸びを付与することができ、メッキを施していない鋼板、メッキした鋼板等に対して安定して耐衝撃性を向上させ、安定した接着性を維持することができる。
本実施形態に係る組成物は、上述したエポキシ樹脂(A)、ウレタン樹脂(D)、および硬化剤(C)の他に、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、添加剤を含むことができる。添加剤としては、例えば、可塑剤、充填剤、反応性希釈剤、硬化触媒、チクソトロピー性付与剤、シランカップリング剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、乾性油、接着性付与剤、分散剤、脱水剤、紫外線吸収剤、溶剤などが挙げられる。これらの中の2種類以上を含有してもよい。
本実施形態に係る組成物の製造方法は特に限定されず、例えば従来公知の方法で製造することができる。例えばエポキシ樹脂(A)、ウレタン樹脂(D)、および硬化剤(C)および必要に応じて硬化促進剤等のその他の成分を、室温で均質に混合することで得ることができる。
本実施形態に係る組成物は耐衝撃性に優れることから、本実施形態に係る組成物は構造用接着剤として好ましく用いることができる。ここで「構造用接着剤」とは、長時間大きな荷重がかかっても接着特性の低下が少なく、信頼性の高い接着剤(JIS K6800)である。例えば、自動車や車両(新幹線、電車)、土木、建築、エレクトロニクス、航空機、宇宙産業分野の構造部材の接着剤として用いることができる。本実施形態に係る組成物は、特に自動車や車両(新幹線、電車)などの自動車構造用接着剤や車両構造用接着剤として好適に用いることができる。
また、本実施形態に係る組成物は構造用接着剤のほかに一般事務用、医療用、炭素繊維、電子材料用などの接着剤としても用いることができる。電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、光学部品接合用接着剤、光ディスク貼り合わせ用接着剤、プリント配線板実装用接着剤、ダイボンディング接着剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)、異方性導電性ペースト(ACP)等の実装用接着剤等が挙げられる。
また、本実施形態に係る組成物は接着剤として用いる他に、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される一般用途向けの物品にも用いることができる。例えば、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、封止剤、フラットパネルディスプレー用シール剤、繊維の結束剤等が挙げられる。
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
<ゴム変性エポキシ樹脂(B)1〜(B)4の作製>
[ゴム変性エポキシ樹脂(B)1(エポキシ樹脂(エポキシ当量:250g/eq)、カルボキシル末端アクリロニトリル−ブタジエンゴム(CTBN)(アクリロニトリル(AN)含有量:26%))の作製]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:「JER834」、ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量:250g/eq)100質量部と、CTBN(商品名:「Hycar1300×13」、アクリロニトリル含有量:26%、PITジャパン社製)50質量部と、触媒としてトリフェニルホスフィン(東京化成社製)1質量部とを混合し、110℃で2時間反応させて、ゴム変性エポキシ樹脂(B)1を得た。
[ゴム変性エポキシ樹脂(B)2(エポキシ樹脂(エポキシ当量:250g/eq)、CTBN(AN含有量:18%))の作製]
CTBNとして、「Hycar1300×13」を「Hycar1300×8」(AN含有量:18%、PITジャパン社製)に変更したこと以外は、上記ゴム変性エポキシ樹脂(B)1を作製する場合と同様に合成した。
[ゴム変性エポキシ樹脂(B)3(エポキシ樹脂(エポキシ当量:190g/eq)、CTBN(AN含有量:26%))の作製]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂に代えて、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:「EP4100E」、ADEKA社製、エポキシ当量:190g/eq)に変更したこと以外は、上記ゴム変性エポキシ樹脂(B)1を作製する場合と同様に合成した。
[ゴム変性エポキシ樹脂(B)4(エポキシ樹脂(エポキシ当量:450g/eq)、CTBN(AN含有量:26%))の作製]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂に代えて、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:「エピコート1001」、ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量:450g/eq)に変更したこと以外は、上記ゴム変性エポキシ樹脂(B)1を作製する場合と同様に合成した。
ゴム変性エポキシ樹脂(B)1〜(B)4の各々のエポキシ樹脂の形態と、エポキシ当量と、CTBNのAN含有量とを表1に示す。
<ウレタン樹脂(D)1〜(D)3の作製>
[ウレタン樹脂(D)1([ポリオール−OH]/[BisA−OH]=1/2.5、ブロック剤:ε−カプロラクタム)の作製]
ポリテトラメチレングリコール(PTMG−2000、三菱化学社製)100質量部と、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(東京化成社製)31.1質量部と、トリメチロールプロパン(東京化成社製)0.45質量部とを、減圧下で110℃で5時間脱水した。その後、60℃まで冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネート(50M−HDI、旭化成ケミカルズ社製)を48.3質量部と、ジブチルシンジラウレート(東京化成社製)を5ppm添加し、窒素雰囲気下で90℃、3時間反応させた。反応後60℃まで冷却し、ブロック剤としてε−カプロラクタム(東京化成社製)21.7質量部を添加、90℃で1時間反応させた。反応後FT−IR測定を行ったところ、イソシアネート基に帰属される2265cm-1のピークは観察されなかった。これにより、[ポリオール−OH]/[BisA−OH]比が1/2.5であるウレタン樹脂(D)1を得た。
[ウレタン樹脂(D)2([ポリオール−OH]/[BisA−OH]=1/1.5、ブロック剤:ε−カプロラクタム)の作製]
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを17.4質量部に、ヘキサメチレンジイソシアネートを33.3質量部に、ε−カプロラクタムを15.0質量部に変更したこと以外は、上記のウレタン樹脂(D)1を作製する場合と同様に合成した。これにより、[ポリオール−OH]/[BisA−OH]比が1/1.5であるウレタン樹脂(D)2を得た。
[ウレタン樹脂(D)3([ポリオール−OH]/[BisA−OH]=1/1.0、ブロック剤:ε−カプロラクタム)の作製]
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを11.7質量部に、ヘキサメチレンジイソシアネートを27.0質量部に、ε−カプロラクタムを12.1質量部に変更したこと以外は、上記のウレタン樹脂(D)1を作製する場合と同様に合成した。これにより、[ポリオール−OH]/[BisA−OH]比が1/1.0であるウレタン樹脂(D)3を得た。
ウレタン樹脂(D)1〜(D)3の各々の[ポリオール−OH]/[BisA−OH]と、ウレタンプレポリマーの末端のイソシアネートをブロックするために用いたブロック剤とを表1に示す。
<エポキシ樹脂組成物の作製>
表1に示す各成分を同表に示す添加量(質量部)で配合し、これらを均一に混合して、表1に示される各組成物を調製した。各々の実施例、比較例における各成分の添加量(質量部)を表1に示す。
<耐衝撃性の評価>
上記のようにして得られたエポキシ樹脂組成物を、減圧下で5分間攪拌した。非メッキ鋼板(鋼板)、亜鉛溶融メッキ鋼板を被着体とし、エポキシ樹脂組成物を被着体の表面に接着剤の厚さが0.15mm程度となるように塗布した後、170℃で20分間、接着剤を硬化させ、試験片を得た。衝撃剥離強度の試験は、ISO 11343のくさび衝撃法にしたがって、衝撃剥離強度(N/mm)を測定した。被着体は0.8mm×25mm×100mmのものを用いた。衝撃剥離強度の試験結果を表1に示す。
Figure 0005659933
上記表1に示されるゴム変性エポキシ樹脂(B)1〜(B)4、ウレタン樹脂(D)1〜(D)3以外の各成分は、以下のとおりである。
・エポキシ樹脂(A):エポキシ樹脂(商品名:「JER834」、ジャパンエポキシレジン社製)
・硬化剤(C):ジシアンジアミド(商品名:「DICY15」、ジャパンエポキシレジン社製)
・硬化促進剤:3,4−ジクロロフェニル−1,1−ジメチルウレア(「DCMU」、保土谷化学工業社製)
・揺変性付与剤:アエロジル(「RY−200S」、日本アエロジル社製(全樹脂分に対して3質量部添加))
・接着性付与剤:エポキシシラン(「KBM−403」、信越化学社製(全樹脂分に対して1質量部添加))
表1に示す結果から明らかなように、比較例1、3は鋼板、合金化亜鉛溶融メッキ鋼板のいずれの被着体に対しても衝撃剥離強度を測定することはできなかった。また、比較例2は、鋼板に対しては衝撃剥離強度を測定することはできたが、20N/mm以下と低く、合金化亜鉛溶融メッキ鋼板に対して衝撃剥離強度を測定することはできなかった。ゴム変性エポキシ樹脂(B)1〜(B)4、ウレタン樹脂(D)1〜(D)3のいずれも樹脂組成物の成分として含んでいないと、樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物は十分な耐衝撃性を有することはできないといえる(比較例1参照)。また、エポキシ当量が190g/eq程度のエポキシ樹脂を用いて作製したゴム変性エポキシ樹脂(B)3を用いると、樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物は、鋼板に対してはある程度の耐衝撃性を有することはできるがその耐衝撃性は低く、合金化亜鉛溶融メッキ鋼板に対しては耐衝撃性を有することはできないといえる(比較例2参照)。また、エポキシ当量が450g/eq程度のエポキシ樹脂を用いて作製したゴム変性エポキシ樹脂(B)4を用いると、樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物は十分な耐衝撃性を有することはできないといえる(比較例3参照)。
これに対し、実施例1〜5は、鋼板、合金化亜鉛溶融メッキ鋼板のいずれの被着体に対しても衝撃剥離強度は20N/mm以上であり、耐衝撃性を有していた。エポキシ当量が250g/eq程度のエポキシ樹脂を用いて作製したゴム変性エポキシ樹脂(B)1、(B)2を用い、所定量含んだ樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物は十分な耐衝撃性を有することは可能となるといえる(実施例1〜5参照)。また、実施例1、2を比較すると、実施例1は、実施例2より鋼板、合金化亜鉛溶融メッキ鋼板のいずれの被着体に対しても衝撃剥離強度は高かった。よって、CTBNのAN含有量が多いほど、衝撃剥離強度は向上し、耐衝撃性に優れるといえる。
また、実施例1、3〜5を比較すると、実施例3〜5は、実施例1より鋼板、合金化亜鉛溶融メッキ鋼板のいずれの被着体に対しても衝撃剥離強度が高かった。これは、樹脂組成物を硬化させる際に、ウレタンプレポリマー末端のイソシアネート基をブロックしていたε−ポリカプロラクタムが外れることで、イソシアネート基がエポキシ樹脂(A)と反応することができると考えられる。そのため、実施例3〜5のほうが実施例1より被着体に対する衝撃剥離強度が高くなったといえる。よって、エポキシ樹脂組成物に含まれる成分として、ウレタンプレポリマー末端のイソシアネート基をε−ポリカプロラクタムでブロックし、ウレタンプレポリマーの骨格にビスフェノールAを含むウレタン樹脂(D)を含めることで、更に衝撃剥離強度を高め、耐衝撃性に優れるといえる。
よって、本発明のエポキシ樹脂組成物から得られる硬化物は、鋼板、合金化亜鉛溶融メッキ鋼板のいずれの被着体に対しても衝撃剥離強度が安定して高められ、耐衝撃性に優れることが分かった。さらに、メッキした鋼板のように、自動車や車両の構造部材のような塗装板に対しても安定して高い耐衝撃性を有する。従って、本発明のエポキシ樹脂組成物から得られる硬化物は、安定して優れた耐衝撃性を有することから、信頼性の高い接着剤、特に構造用接着剤を得ることができる。

Claims (5)

  1. 1種またはそれ以上のエポキシ樹脂(A)と、
    エポキシ当量220g/eq以上400g/eq以下のエポキシ樹脂に、両末端にカルボキシル末端とアミノ基との何れか一方又は両方を有するアクリロニトリル−ブタジエンゴムを反応させて得られるゴム変性エポキシ樹脂(B)と、
    1種またはそれ以上の硬化剤(C)と、
    1種又はそれ以上のウレタンプレポリマー末端のイソシアネートが、ε−ポリカプロラクタム、オキシム、及びピラゾールからなる群から選択された少なくとも1つでブロックされたウレタン樹脂(D)とを含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. ゴム変性エポキシ樹脂(B)の両末端にカルボキシル末端とアミノ基との何れか一方又は両方を有するアクリロニトリル−ブタジエンゴム中のアクリロニトリル含有量が、20%以上である請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. ウレタン樹脂(D)のウレタンプレポリマーが、ビスフェノールA化合物と、ポリテトラメチレングリコール、ポリカーボネートポリオールから選ばれる1種またはそれ以上のポリオール化合物と、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートから選ばれる1種またはそれ以上のイソシアネート化合物とを反応させて得られることを特徴とする請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. ウレタン樹脂(D)のビスフェノールA化合物の含有量は、ポリオール化合物の水酸基のモル数とビスフェノールA化合物の水酸基のモル数とのモル比([ポリオール−OH]/[BisA−OH])が1/0.1以上1/3.0以下である請求項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. ウレタン樹脂(D)の含有量が、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して10質量部以上80質量部以下である請求項からの何れか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
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