JP5659190B2 - 液晶表示装置及び光学フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、中間調を表示した際における斜め及び横方向からの黄色味を改善した液晶表示装置及び光学フィルムに関する。
液晶表示装置は、テレビやパーソナルコンピュータなど様々な表示部として利用されているが、液晶表示装置は、中間調を表示し斜め及び横方向から観察したときに画面が黄色味を帯びて見える場合がある。特に、液晶表示装置をテレビとして使用する場合、液晶表示装置を複数の観察者が様々な位置から観察することが多いため、中間調を表示した際における斜め及び横方向からの黄色味を改善する必要がある。
このため、例えば、特許文献1及び2では、透明支持体上に高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に複数積層させ、最表面を低屈折率材料層とした光学フィルターを液晶表示装置内に配置させることで、振幅の大きな干渉スペクトルを生成させ、方向ごとの色味を変えることで横方向から見たときの色味の変化を抑制する方法が提案されている。
しかし、振幅の大きな干渉スペクトルを生成させるには3層以上の多層膜を用いる必要があり、工程数が増えコストが高くなるという問題があった。
特開2007−316156号公報 特開2007−4104号公報
本発明は、上記した問題を解決するためになされたものであり、中間調を表示した際における斜め及び横方向からの黄色味を改善した液晶表示装置、及び光学フィルムを提供することを課題とする。
具体的には、斜め及び横方向からの黄色味が改善され、透過率が向上した画像表示装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] バックライト、並びにバックライト側から偏光子及び液晶セルをこの順で少なくとも有する液晶表示装置であって、
前記バックライトと前記偏光子との間に、バックライト側から、高屈折率層及び低屈折率層の順に配置された屈折率差のある界面が存在し、且つ前記高屈折率層と前記バックライトとの間には、前記高屈折率層と比較して低屈折率の層が存在しない光学フィルムを有し、
前記高屈折率層の光学膜厚(波長550nm)が530〜580nmであり、且つ前記低屈折率層の光学膜厚(波長550nm)が100〜210nmであることを特徴とする液晶表示装置。
[2] 前記光学フィルムの波長450nmにおける層面の正面方向の透過率(A)と斜め60度方向の透過率(B)との比(A/B)が0.7〜0.99であり、波長550nmにおける層面の正面方向の透過率(C)と斜め60度方向の透過率(D)との比(C/D)が1.1〜1.4であり、透過率(C)が97.5%以上である[1]の液晶表示装置。
[3] 前記高屈折率層の屈折率(波長550nm)が、1.5〜2.6である[1]又は[2]の液晶表示装置。
[4] 前記低屈折率層の屈折率(波長550nm)が、1.2〜1.4である[1]〜[3]のいずれかの液晶表示装置。
[5] 前記高屈折率層及び前記低屈折率層の支持体フィルムを、前記低屈折率層と偏光子との間に有する[1]〜[4]のいずれかの液晶表示装置。
[6] 表示面法線方向(極角0°、方位角0°)と、表示面横方向(極角60°、方位角0°)の色差Δu’v’が0.065未満である[1]〜[5]のいずれかの液晶表示装置。
[7] 前記バックライトと前記光学フィルムとの間に集光シートを有し、
前記バックライトと集光シートからなるバックライトユニットが出射した光量を測定したとき、該液晶表示装置の表示画面の法線に対して、観察者が前記液晶表示画面を視認するときの鉛直方向または水平方向に傾けられた出射角度50°から85°の範囲の光量の平均値が、該法線方向の光量に対して12%以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
[8] 前記液晶セルを光学補償するための光学補償フィルムが、偏光子と前記液晶セルとの間に配置され、該光学補償フィルムの波長590nmにおける面内レターデーションReが1〜200nmであり、波長590nmにおける厚み方向レターデーションRthが80〜400nmである[1]〜[7]のいずれかの液晶表示装置。
[9] 前記液晶セルがTNモードである[1]〜[8]のいずれかの液晶表示装置。
[10] 支持体フィルムと、その上に、低屈折率層及び高屈折率層をこの順で有し、前記高屈折率層上に高屈折率層よりも低屈折率の層が存在せず、前記高屈折率層の光学膜厚(波長550nm)が530〜580nmであり、且つ前記低屈折率層の光学膜厚(波長550nm)が100〜210nmである光学フィルム。
[11] 波長450nmにおける層面の正面方向の透過率(A)と斜め60度方向の透過率(B)との比(A/B)が0.7〜0.99であり、波長550nmにおける層面の正面方向の透過率(C)と斜め60度方向の透過率(D)との比(C/D)が1.1〜1.4であり、透過率(C)が97.5%以上である[10]の光学フィルム。
[12] 偏光板の保護フィルムが[10]又は[11]に記載の光学フィルムである、バックライト側の偏光板。
[13] [10]又は[11]に記載の光学フィルムにおいて、前記低屈折率層及び高屈折率層が形成された支持体フィルムの反対面に、さらに集光機能を有する凹凸が形成された集光シート。
本発明によれば、中間調を表示した際における斜め及び横方向からの黄色味を改善した液晶表示装置、及び光学フィルムを提供することができる。
具体的には、斜め及び横方向からの黄色味が改善され、透過率が向上した画像表示装置を提供することができる。
本発明の液晶表示装置の一例の断面模式図である。 光学シートにおける光路の一例を示す断面図である。 光度と出射角度の関係を各プリズムシートについて正面(0°)で測定した光度(cd)を基準に規格化したグラフである。 プリズムシートの製造装置の一例を示す概略図である。 支持体2の第二の表面4上にポジ型感光層8を形成したプリズムシートAの模式断面図である。 支持体2の第二の表面4上にポジ型感光層8を形成したプリズムシートAを露光した様子を示した模式断面図である。 図6の露光後、露光部を洗い流した様子を示した模式断面図である。 支持体2に白色反射シート10を配置した様子を示した模式断面図である。 白色反射シートを支持体2から剥離した様子を示した模式断面図である。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。まず、本明細書で用いられる用語について説明する。
Re(λ)、Rth(λ)は、各々、波長λにおける面内のレターデーション、及び厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH、又はWR(王子計測機器(株)製)において、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。測定されるフィルムが、1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)が算出される。
Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50°まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH、又はWRが算出する。なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値、及び入力された膜厚値を基に、以下の式(A)、及び式(B)よりRthを算出することもできる。
Figure 0005659190
なお、上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。また、式(A)におけるnxは、面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは、面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzは、nx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dは測定フィルムの厚みを示す。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d・・・・・・・・・・・式(B)
測定されるフィルムが、1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法により、Rth(λ)は算出される。Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として、フィルム法線方向に対して−50°から+50°まで10°ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。また、上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについては、アッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
なお、本明細書では、測定波長について特に付記がない場合は、測定波長は550nmである。
また、本明細書において、角度(例えば「90°」等の角度)、及びその関係(例えば「直交」、「平行」、及び「45°で交差」等)については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、厳密な角度±10°未満の範囲内であることなどを意味し、厳密な角度との誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。
また、本発明では、「高屈折率層」、「中屈折率層」及び「低屈折率層」等の屈折率により特定された層についての用語は、厚みが20nm以上の層に対して用いるものとする。層の厚みが20nm未満であると、光学干渉層としてほとんど作用しなくなるため、本明細書では、屈折率で特定される層、「高屈折率層」及び「低屈折率層」等には含めないものとする。
本発明は、バックライト、並びにバックライト側から偏光子及び液晶セルをこの順で少なくとも有する液晶表示装置であって、
前記バックライトと前記偏光子との間に、バックライト側から、高屈折率層及び低屈折率層の順に配置された屈折率差のある界面が存在し、且つ前記高屈折率層と前記バックライトとの間には、前記高屈折率層と比較して低屈折率の層が存在しない光学フィルムを有し、
前記高屈折率層の光学膜厚(波長550nm)が530〜580nmであり、且つ前記低屈折率層の光学膜厚(波長550nm)が100〜210nmであることを特徴とする液晶表示装置に関する。
方向ごとの色味を変えるためには振幅の大きな干渉スペクトルを作る必要があるが、更に透過率を高めるために、最表面に低屈折率の材料を積層させた積層体を用いるのが一般的であった。しかし、最表面に低屈折率の材料を用いて振幅の大きな干渉スペクトルを実現するためには低屈折率の材料と高屈折率の材料とを複数層積層させる必要があり、少なくとも3層以上の多層膜とする必要があった。しかし、これでは工程数が増えコストが高くなる。
本発明者は、バックライト側偏光子のさらに外側に配置されている光学フィルム等の最表面(バックライト側最表面)の反射率を高め、低屈折率層を内部に配置して内部の反射率も高めることで、反射スペクトルに振幅の大きな干渉スペクトルを発現できることを着想した。さらには、前記最表面の反射率と内部の反射率とを同等にすることで透過率を向上できることを着想した。これらの着想に基づき、さらに検討した結果、バックライトと偏光子との間に、バックライト側から高屈折率層及び低屈折率層の順で屈折率差のある界面を存在させ、高屈折率層とバックライトとの間には、高屈折率層よりも低屈折率の層が存在しないようにすることで、強めあう干渉が引き起こされ、振幅の大きな干渉スペクトルを得られることを見出し、本発明を完成するに至った。これにより、二層構造の薄膜であっても振幅の大きな干渉スペクトルにより横斜め方向の色味付きが顕著に軽減され、また透過率も向上させることができる。
本発明の効果は、視感度の高い波長域(波長550nm)で強めあう干渉が引き起こされる場合に特に顕著になる。そのためには、波長550nmにおける高屈折率層及び低屈折率層の光学膜厚を調整することが有効である。波長550nmで強めあう干渉を引き起こすためには、波長550nmにおける光学膜厚がλ程度の高屈折率層、及び波長550nmにおける光学膜厚がλ/4程度の低屈折率層を有する態様である。
具体的には、高屈折率層、低屈折率層及び支持体フィルムを少なくとも有し、高屈折率層上には、高屈折率層よりも低屈折率の層が存在しない光学フィルムを、バックライトと偏光子との間に、バックライト側の最表面が高屈折率層となるように配置し、前記高屈折率層の光学膜厚(波長550nm)が530〜580nmであり、且つ前記低屈折率層の光学膜厚(波長550nm)が100〜210nmにすることで、波長550nmで強めあう干渉を引き起こすことができ、本発明の効果が得られる。
以下、図面を用いて、本発明のいくつかの実施形態を説明するが、図中の各層の厚みの相対的関係は、実際の相対的関係を反映しているわけではない。また、図中、同一の部材については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する場合がある。
本発明の液晶表示装置の一例の断面模式図を図1に示す。図1に示す液晶表示装置は、一対の視認側偏光子16及びバックライト側偏光子18、その間に配置される液晶セルLC、並びに一対の偏光子16及び18の双方と液晶セルLCとの間に、光学補償フィルム20をそれぞれ有し、バックライト側偏光子18のさらに外側にバックライト30を有している。バックライト側偏光子18とバックライト30との間に光学フィルム40を有する。視認側偏光子16は、各表面にそれぞれ光学補償フィルム20及び保護フィルム24を貼付された偏光板PL1として組み込まれていてもよい。バックライト側偏光子18についても、各表面にそれぞれ光学補償フィルム20及び保護フィルム24を貼付された偏光板PL2として組み込まれていてもよい。
また、光学フィルム40とバックライト30との間に集光シート(図示せず)を有していてもよく、光学フィルム40と偏光板PL2との間に集光シート(図示せず)を有していてもよい。
液晶セルLCは、一対の基板12及び14、並びにその間に配置されるネマチック液晶材料を含む液晶層10を有する。基板12及び14の内面にはラビング配向膜(不図示)が配置されていて、ネマチック液晶の配向が、それぞれのラビング方向によって制御され、捩れ配向している。また、基板12及び14の内面には電極層(不図示)が形成されていて、電圧印加時には、ネマチック液晶の捩れ配向が解消され、基板面に対して垂直配向するように構成されている。液晶セルLCは、カラーフィルタ等の他の部材を含んでいてもよい。
偏光子16及び18は、それぞれの透過軸を互いに直交に配置されている。一例では、偏光子16の透過軸は、基板12のラビング軸と平行であり、且つ偏光子18の透過軸は、基板14のラビング軸と平行である。
偏光子16及び18と液晶セルLCとの間には、通常、視野角補償のための光学補償フィルム20が配置される。光学補償フィルム20は、液晶セルLCを光学補償して、左右の黒輝度を低減し、横視野角特性を改善する作用がある。そのためには、光学補償フィルム20の面内遅相軸は、基板12及び14の内面に施されたラビング方向に対して、それぞれ平行又は直交で配置することが好ましく、平行に配置することがより好ましい。光学補償フィルム20は、光学的に二軸性のフィルムであってもよく、支持体フィルムと棒状又はディスコティック液晶化合物を硬化させた光学異方性層とからなるフィルムであってもよい。なお、光学補償フィルム20の代わりに保護フィルム24を使用してもよい。光学補償フィルムについての詳細は後述する。
保護フィルム24は、偏光子18の背面側(バックライト側)表面、及び偏光子16の視認側表面に配置される。
保護フィルム24については特に制限はなく、種々のポリマーフィルムを用いることができ、偏光板の保護フィルムとして汎用されているセルロースアシレート系フィルム、アクリル系ポリマー、又は環状オレフィン樹脂を主成分として含有するフィルムであってもよい。
光学フィルム40は、バックライト30と偏光子18との間に配置されており、中間調を表示した際における斜め及び横方向からの黄色味を改善し、透過率も向上させる作用がある。即ち、本発明の液晶表示装置の表示面法線方向(極角0°、方位角0°)と、表示面横方向(極角60°、方位角0°)の色差Δu’v’を0.065未満とすることができる。光学フィルム40は、バックライト側から高屈折率層43、及び低屈折率層42、及び支持体フィルム41の順で配置され、高屈折率層43と低屈折率層42との間には屈折率差のある界面が存在する。また、バックライト30と高屈折率層43との間には、高屈折率層と比較して低屈折率の層が存在していない。即ち、バックライト側の最表面が高屈折率層43である。
光学フィルム40の一例は、図1に示すように、偏光板PL2とバックライト30との間に配置され、偏光板PL2の保護フィルム24上に、支持体フィルム41、低屈折率層42、高屈折率層43の順で配置されている。支持体フィルム41は、低屈折率層42及び高屈折率層43を支持するポリマーフィルム等からなり、高屈折率層43とバックライトとの間には、高屈折率層よりも低屈折率の層が存在していない。支持体フィルム41は、保護フィルム24と公知の接着剤又は粘着剤を介して貼合されている。
また、支持体フィルム41とバックライト側の偏光板PL2の保護フィルム24を共通化すること、即ち、バックライト側の偏光板PL2の保護フィルムが本発明の光学フィルム40であることは、偏光板の高機能化の観点で好ましい。
低屈折率層42は、波長が550nm程度で振幅の大きな干渉スペクトルを得るために光学膜厚(波長550nm)がλ/4程度、即ち100〜210nmにすることが好ましく、120〜180nmにすることがより好ましく、140〜160nmにすることが特に好ましい。ここで光学膜厚は波長550nmでの屈折率に厚みを積算した値を表す。
高屈折率層43は、波長が550nm程度で振幅の大きな干渉スペクトルを得るために光学膜厚(波長550nm)がλ程度、即ち530〜580nmにすることが好ましく、535〜575nmにすることがより好ましく、540〜570nmにすることが特に好ましい。
高屈折率層の屈折率(波長550nm)は、1.5〜2.6が好ましく、1.6〜2.3がより好ましく、1.7〜2.0が特に好ましい。従って、前記高屈折率層の厚みは、200〜390nmであるのが好ましい。
低屈折率層の屈折率(波長550nm)は、1.2〜1.4が好ましく、1.25〜1.35がより好ましい。従って、前記低屈折率層の厚みは、70〜175nmであるのが好ましい。
また、高屈折率層43と低屈折率層42との屈折率差は、波長550nmにおいて、0.15以上が好ましく、0.24以上がより好ましく、0.33以上が特に好ましい。
光学フィルム40は、特に視感度の高い波長550nmの光の透過率が、正面方向(層面に対する法線方向)において高くなっているという特徴がある。具体的には、波長450nmにおける層面の正面方向の透過率(A)と斜め60度方向の透過率(B)との比(A/B)は、0.7〜0.99であるのに対して、波長550nmにおける層面の正面方向の透過率(C)と斜め60度方向の透過率(D)との比(C/D)は、1.1〜1.4を達成可能である。更に透過率(C)は97.5%以上を達成可能である。
光学フィルム40は、図1に示す態様に限定されるものではない。本発明の効果を損なわない限り、他の層を含んでいてもよい。例えば、低屈折率層と支持体フィルムとの間に、ハードコート層、反射防止層、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層等が配置されていてもよい。また、厚みが20nm未満の層であれば、高屈折率層のさらに外側に他の層が配置されていてもよいし、また高屈折率層と低屈折率層との間に配置されていてもよい。
また、支持体フィルム41の代わりに、保護フィルム24上に低屈折率層42、高屈折率層43の順で形成させてもよく、バックライト側の偏光板PL2の保護フィルムが光学フィルム40であることは偏光板の高機能化の観点で好ましい。
光学フィルムの詳細については、後述する。
バックライト30は、光源を少なくとも有し、必要に応じて導光板が配置されていてもよい。
バックライトで使用される光源については、特に制限はなく、電球、発光ダイオード(LED)、エレクトロルミネッセンスパネル(ELP)、1本又は複数の冷陰極管(CCFL)及び熱陰極蛍光灯(HCFL)等いずれも用いることができる。また、バックライトには、光の利用効率を上げるために反射板、輝度向上膜(輝度上昇フィルム)等の部材を用いることができる。さらに、上述の部材以外に例えば、プリズムシート、レンズアレイシート、光拡散板等の部品を適宜1層又は2層以上配置することができる。
本発明の液晶表示装置は、図1に示す態様に限定されるものではなく、他の部材を含んでいてもよい。例えば、外側最表面には、光学補償フィルム、散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層等が配置されていてもよい。
以下、本発明に用いられる種々の部材等について詳細に説明する。
1.光学フィルム
光学フィルムは、支持体フィルムと、その上に、低屈折率層及び高屈折率層をこの順で少なくとも有する。該光学フィルムは、他の層を有していてもよいが、但し、前記高屈折率層上に、高屈折率層よりも低屈折率の層は存在せず(即ち、厚みが20nm以上である低屈折率層は存在せず)、また低屈折率層と高屈折率層との間にも厚みが20nm以上の層は存在しない。
<高屈折率層>
高屈折率層は、形成される層を高屈折率化するための無機粒子、およびマトリックスを形成するバインダーおよび溶媒、並びに必要性にあわせて重合開始剤を含有する塗布組成物を塗布し、溶媒を乾燥させた後、加熱、電離放射線照射あるいは両手段の併用により硬化して形成されたものであるのが好ましい。硬化性樹脂や開始剤を用いる場合は、塗布後に熱/または電離放射線による重合反応により硬化性樹脂を硬化させて高屈折率層を形成することができる。
高屈折率層に用いられる無機粒子の具体例としては、TiO2、ZrO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITOとSiO2等が挙げられる。TiO2及びZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。該無機粒子は、表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
高屈折率層における無機粒子の含有量は、高屈折率層の質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜75質量%である。無機粒子は高屈折率層内で2種類以上を併用してもよい。
高屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下がより好ましく、1%以下が特に好ましい。
<低屈折率層>
低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。
低屈折率層を形成するための好ましい硬化物組成の態様としては、(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物を含有する組成物、(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物を主成分とする組成物、(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと中空構造を有する無機微粒子を含有する組成物、が挙げられる。
(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物を含有する組成物
架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物としては、含フッ素モノマーと架橋性または重合性の官能基を有するモノマーの共重合体を挙げることができる。これら含フッ素ポリマーの具体例は、特開2003−222702号公報、特開2003−183322号公報等に記載されている。
上記のポリマーに対しては、特開2000−17028号公報に記載のごとく適宜重合性不飽和基を有する硬化剤を併用してもよい。また、特開2002−145952号に記載のごとく含フッ素の多官能の重合性不飽和基を有する化合物との併用も好ましい。多官能の重合性不飽和基を有する化合物の例としては、上記の2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。また、特開2004−170901号公報に記載のオルガノシランの加水分解縮合物も好ましく、特に(メタ)アクリロイル基を含有するオルガノシランの加水分解縮合物が好ましい。これら化合物は、特にポリマー本体に重合性不飽和基を有する化合物を用いた場合に耐擦傷性改良に対する併用効果が大きく好ましい。
ポリマー自身が単独で十分な硬化性を有しない場合には、架橋性化合物を配合することにより、必要な硬化性を付与することができる。例えばポリマー本体に水酸基が含有する場合には、各種アミノ化合物を硬化剤として用いることが好ましい。架橋性化合物として用いられるアミノ化合物は、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。これら化合物の硬化には、有機酸又はその塩を用いるのが好ましい。
(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物を主成分とする組成物
含フッ素のオルガノシラン化合物の加水分解縮合物を主成分とする組成物も屈折率が低く、塗膜表面の硬度が高く好ましい。フッ素化アルキル基に対して片末端又は両末端に加水分解性のシラノールを含有する化合物とテトラアルコキシシランの縮合物が好ましい。具体的組成物は、特開2002−265866号公報、317152号公報に記載されている。
(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと中空構造を有する無機微粒子を含有する組成物
更に別の好ましい態様として、低屈折率の粒子とバインダーからなる低屈折率層が挙げられる。低屈折率粒子としては、有機でも無機でも良いが、内部に空孔を有する粒子が好ましい。中空粒子の具体例は、特開2002−79616号公報に記載のシリカ系粒子に記載されている。粒子屈折率は1.15〜1.40が好ましく、1.20〜1.30が更に好ましい。バインダーとしては、2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。
低屈折率層には、重合開始剤を添加することが好ましい。ラジカル重合性化合物を含有する場合には、該化合物に対して1〜10質量部、好ましくは1〜5質量部の重合開始剤を使用できる。
低屈折率層には、無機粒子を併用することができる。耐擦傷性を付与するために、低屈折率層の厚みの15%〜150%、好ましくは30%〜100%、更に好ましくは45%〜60%の粒径を有する微粒子を使用することができる。
低屈折率層には、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のポリシロキサン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することができる。
低屈折率層及び高屈折率層の詳細については、特開2010−79101号公報の[0067]〜[0177]、特開2009−98657号公報の[0066]〜[0075]、及び特開2009−98657号公報の[0072]〜[0089]、特開2009−86341号公報の[0118]〜[0149]などに記載があり、本発明に利用可能な低屈折率層及び高屈折率層についても好ましい特性、好ましい材料等について同様である。
低屈折率層及び高屈折率層の形成方法は、特に制限はなく、例えば、塗布法、気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)等により形成することができる。安価に製造できる点で塗布法が好ましい。
<支持体フィルム>
支持体フィルムの製造方法については特に制限はない。溶液製膜法及び溶融製膜法のいずれも利用することができる。溶液製膜法が好ましい。支持体フィルムとしては、低Reのポリマーフィルムを用いるのが好ましく、支持体フィルムの好ましい組み合わせは、Reの差が小さい組み合わせである。
支持体フィルムの材料については特に制限はなく、例えば、ポリエステル系ポリマー、アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマーなどがあげられる。また、ポリオレフィン系ポリマー、アミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、又は前記ポリマーを混合したポリマーも例としてあげられる。また本発明の高分子フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の紫外線硬化型、熱硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
また、前記支持体フィルムの材料としては、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を好ましく用いることが出来る。熱可塑性ノルボルネン系樹脂としては、日本ゼオン(株)製のゼオネックス、ゼオノア、JSR(株)製のアートン等があげられる。
また、前記支持体フィルムの材料としては、従来偏光板の透明保護フィルムとして用いられてきた、トリアセチルセルロースに代表される、セルロース系ポリマー(以下、セルロースアシレートという)を好ましく用いることが出来る。
前記支持体フィルムの厚さは、10〜1000μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、30〜80μmが更に好ましい。また、支持体フィルムとして用いるポリマーフィルムの好ましい一例は、Reが0〜10nmであり、且つRthの絶対値が0〜20nmのフィルムである。
2.偏光子
本発明では、偏光子として、一般的な直線偏光子を用いることができる。偏光子は延伸フィルムからなっていても、塗布により形成される層であってもよい。前者の例には、ポリビニルアルコールの延伸フィルムをヨウ素又は二色性染料等で染色したフィルムが挙げられる。後者の例には、二色性液晶性色素を含む組成物を塗布して、所定の配向状態に固定した層が挙げられる。
なお、本明細書では、「偏光子」という場合は、直線偏光子を意味するものとする。
3.液晶セル
本発明に利用される液晶セルは、VAモード、OCBモード、IPSモード、又はTNモードであることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、更に60〜120゜にねじれ配向している。TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech.Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)及び(4)SURVIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。また、PVA(Patterned Vertical Alignment)型、光配向型(Optical Alignment)、及びPSA(Polymer-Sustained Alignment)のいずれであってもよい。これらのモードの詳細については、特開2006−215326号公報、及び特表2008−538819号公報に詳細な記載がある。
IPSモードの液晶セルは、棒状液晶分子が基板に対して実質的に平行に配向しており、基板面に平行な電界が印加することで液晶分子が平面的に応答する。IPSモードは電界無印加状態で黒表示となり、上下一対の偏光板の透過軸は直交している。光学補償シートを用いて、斜め方向での黒表示時の漏れ光を低減させ、視野角を改良する方法が、特開平10−54982号公報、特開平11−202323号公報、特開平9−292522号公報、特開平11−133408号公報、特開平11−305217号公報、特開平10−307291号公報などに開示されている。
4.集光シート
本発明においては、バックライト30と光学フィルム40との間に集光シートを用いてもよく、バックライト30と集光シートからなるバックライトユニットであってもよく、集光シートと光学フィルム40が一体化していてもよいが、特に本発明の光学フィルム40において、低屈折率層42及び高屈折率層43が形成された支持体フィルム41の反対面にプリズムやレンズ等の集光機能を有する凹凸が形成された集光シートが好ましい。
集光シートとしては、プリズムシートやレンズシートなどが挙げられ、表面に凹凸が形成されたシートであって、その材料や作製方法は様々なものを用いることができる。
[集光シートの材料及び製法]
集光シートを構成する材料及び製法について説明する。
本発明における集光シートを製造する方法に関しては、微細な凹凸パターンのプリズムシートを形成することができる方法であればよく、製造方法は限定されない。
例えば、ダイより押し出したシート状の樹脂材料を、この樹脂材料の押し出し速度と略同速度で回転する転写ローラ(例えばプリズムシートに形成される凹凸パターンと反転パターンが表面に形成されている)と、この転写ローラに対向配置され同速度で回転するニップローラ板とで挟圧し、転写ローラ表面の凹凸パターンを樹脂材料に転写する製造方法を用いることができる。
上記製造方法に使用されるプリズムシートを構成する樹脂材料としては、熱可塑性樹脂が用いられる。具体的には、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、MS樹脂、AS樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、セルロースアシレート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースダイアセテート、熱可塑性エラストマー、又はこれらの共重合体、シクロオレフィンポリマー等を使用することができる。
[プリズムシート]
本発明に用いられる集光シートとして、特に好ましいプリズムシートについて詳述する。
本発明の液晶表示装置は、面光源と集光シートからなるバックライトユニットが出射した光量を測定したとき、該液晶表示装置の表示画面の法線に対して、観察者が前記液晶表示画面を視認するときの鉛直方向に傾けられた出射角度50°から85°の範囲の光量の平均値が、該法線方向の光量に対して12%以下であることが好ましい。
図2は、光学シート41における光路を示す一例の断面図である。図2に示すように、入射した光は、光学シート41を屈折透過する際に、正面方向に屈折する成分Aと、正面方向ではなく、正面から離れる方向に屈折する成分Bと、表面で反射する成分Cに分けられる。これらの光の成分のうち、前記成分Aは、正面方向即ち観察方向に出射されるものであり、実際に利用される光である。前記反射される成分Cは、底面で拡散反射して、プリズムシートに入射する角度を変え、一部は成分Aに変換され正面方向に出射する。この反射を繰り返すことにより、成分Cの多くは成分Aに変換され、出射面の正面方向の輝度を増加させる。
これに対して、図2のX部分を通過する光の成分Bは、液晶表示装置等の有効な視野角外に広角度で出射する光(以下、サイドローブ光と称する)であり、正面輝度の増加には寄与しない。
さらに、サイドローブ光は、画面の法線方向から極端にかけ離れた角度で液晶パネルに入射し、液晶セルの液晶分子、カラーフィルター、位相差フィルム等により正面に散乱された光成分は、黒表示輝度の著しい増加させ、コントラスト低下の原因となっていた。
本発明の液晶表示装置に好ましく用いられるプリズムシートは、サイドローブ光を少なくすることができ、黒表示の輝度上昇を防止し、コントラストが向上する効果を奏する。
前記集光シート及び前記面光源からなるバックライトユニットから出射された光量を測定したとき、該液晶表示装置の表示画面の法線に対して、観察者が前記液晶表示画面を視認するときの鉛直方向または水平方向に傾けられた出射角度50°から85°の範囲の光量の平均値が、該法線方向の光量に対して12%以下であることが好ましく、8%以下であることがさらに好ましく、4%以下であることがコントラストの観点で特に好ましい。
特に本発明の液晶表示装置がTNモード液晶セルを用いる場合、視認者側から見てTNモード液晶セルの表示画面は、通常、横長画面の長辺を水平方向として、液晶セル内の液晶分子の配向方向を45°から135°にツイストし、前記TNモード液晶セルの面内位相差が最大となる方向が鉛直方向となるよう画面を配置するが、用途によっては逆に配置した液晶表示装置であってもよい。
特に本発明の液晶表示装置がTNモード液晶セルを用いる場合、上記集光シートが前記TNモード液晶セルの面内位相差が最大となる方向に集光し、且つその方向のサイドローブ光が少ない場合に顕著な効果を奏し、好ましいが、液晶セルの画素とのモアレを防止するためにプリズムの稜線を画素のブラックマトリックスに対して1〜20°の範囲で傾けてもよい。
前記プリズム断面の凹凸パターンとしては、三角形状が好ましく、とりわけ二等辺三角形状がより好ましく、凸部を液晶セル側へ向けたプリズムシートであることが好ましい。
形状の特徴としては、三角形状の頂角が95〜130°が好ましく、100〜120°がより好ましい。前記頂角が95°未満であると、サイドローブ光の影響により、黒表示輝度の著しい増加の原因となりやすい。
一方、前記頂角が130°を超えると、集光効果が低下し、正面方向の輝度が低下することがある。
特に、本発明の光学フィルムにおいて、低屈折率層及び高屈折率層を形成した支持体の反対面に、断面が二等辺三角形状であり、その頂角が95〜130°であるプリズムが形成された集光シートは、高機能化の観点で好ましい。
また、該プリズム断面の三角形状の頂角が95°未満であっても、プリズム部とは別に光学調整部を支持体に設けることにより、サイドローブ光を低減することができ、もう一つの好ましい態様である。
また、前記支持体上の面内に所定の間隔をもって光学調整部が複数に配設されたプリズムシートも好ましい態様であり、該光学調整部としては、光反射性を有するもの、光拡散性を有するもの、屈折率差を利用するものがあり、特に光反射性を有する光学調整部であることが好ましい。
これら光学調整部は、特開2008−003515号公報、特開2008−176197号公報に記載された光学シートの光学調整部と同義である。
(プリズムシートの製造方法)
プリズムシートの製造方法は、感光層形成工程と、露光工程と、光学調整部形成工程とを少なくとも含む単位工程を複数回含み、必要に応じて、凹凸部形成工程、現像工程(液体現像工程)、第二の支持体形成工程などのその他の工程を含んでなる。
なお、本実施形態におけるプリズムシートの製造方法では、感光層形成工程、露光工程、及び光学調整部形成工程が、少なくともこの順で行われる単位工程を複数回行うため、例えば、第1の感光層形成工程、第1の露光工程、及び第1の光学調整部形成工程が行われた後に、前記支持体と略同じ光学特性を示す支持層を形成する支持層形成工程が行われ、該支持層に再び感光層を形成する第2の感光層形成工程、第2の露光工程、及び第2の光学調整部形成工程が行われることとなる。したがって、感光層、及び光学調整部は、前記支持体の厚さ方向において所定間隔をもって複数回形成されることとなる。
<凹凸部形成工程>
前記凹凸部形成工程は、支持体の少なくとも一方の表面(第一の表面)に、光を集光乃至散乱させる凹凸部を形成する工程である。市販のプリズムシート、レンチキュラーレンズシート、フライアイレンズシート、拡散シートなどを用いる場合は、該凹凸部形成工程を省くことができる。
前記凹凸部は、プリズムシートにおける支持体の第一の表面とは反対側に位置する面(後述する第四の表面)にも形成してもよい。
前記凹凸部の形成方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができ、例えば、支持体上に、光硬化性樹脂などを含む塗布液を塗布し、凹凸を形成した金型などに押し付けた状態で、露光し、前記光硬化性樹脂を硬化させた後、金型を外すことにより形成することができる。
また、前記凹凸部は、ポリカーボネートなどの熱可塑性のシートが溶融状態のうちに金属製の鋸歯状のプリズムシート原盤ロールを押し当てる方法、同じく熱可塑性の樹脂を片側に鋸歯状の形状をもった原盤の中に押し出し成型する方法などによっても形成することができる。
また、凹凸部が粒子などにより形成され、拡散性を有する場合は、前記拡散シートの説明で述べたような方法で凹凸部を形成することができる。
また、凹凸部が形成された支持体の製造方法としては、下記のようなプリズムシートの製造方法を用いてもよい。
前記支持体及び凹凸部の素材、その他の詳細は、前記プリズムシートの説明中で述べたとおりである。
−プリズムシートの製造方法−
前記プリズムシートの製造方法の一例について図面を参照して説明する。図4は、本発明が適用されるプリズムシートの製造装置80の構成を示す概念図である。このプリズムシートの製造装置80は、シート状体供給手段81と、塗布手段82と、乾燥手段89と、凹凸ロールであるエンボスロール83と、ニップロール84と、樹脂硬化手段85と、剥離ロール86と、保護フィルム供給手段87と、シート巻き取り手段88等とから構成される。
シート状体供給手段であるシート供給手段81は、シート状体であるシートWを送り出すもので、シートWが巻回された送り出しロール等より構成される。
シートWの幅としては、0.1〜3mが、シートWの長さとしては、1,000〜100,000mが、シートWの厚さとしては、1〜300μmのものがそれぞれ一般的に採用される。ただし、これ以外のサイズの適用も妨げられるものではない。
これらのシートWは、あらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理などを行っておいてもよい。シートWの表面粗さRaは、カットオフ値0.25mmにおいて、3〜10nmが好ましい。
また、シートWには、あらかじめ接着層等の下地層を設け乾燥硬化させたもの、裏面に他の機能層があらかじめ形成されたもの等を用いてもよい。同様に、シートWとして1層構成のもののみならず、2層以上の構成のものも採用できる。また、シートWは、光が透過できるような透明体、反透明体であることが好ましい。
塗布手段82は、シートWの表面に放射線硬化樹脂を塗布する装置であり、放射線硬化樹脂を供給する供給源82Aと、供給装置(ポンプ)82Bと、塗布ヘッド82Cと、塗布の際にシートWを巻き掛けて支持する支持ロール82Dと、放射線硬化樹脂供給源82Aを塗布ヘッド82Cに供給するための配管より構成される。なお、図4では、塗布ヘッドとして、エクストリュージョン型のダイコータの塗布ヘッドを用いている。
乾燥手段89は、例えば、図4に示すトンネル状の乾燥装置のように、シートWに塗布された塗布液を均一に乾燥させることができるものであれば、公知の各種方式のものが採用できる。例えば、ヒータによる輻射加熱方式のもの、熱風循環方式のもの、遠赤外線方式のもの、真空方式のもの等が採用できる。
エンボスロール83としては、シートWの表面に、ロール表面の凹凸を転写形成できる、凹凸パターンの精度、機械的強度、真円度等を有することが求められる。このようなエンボスロール83としては、金属製のロールが好ましい。
エンボスロール83の外周面には、規則的な微細凹凸パターンが形成されている。このような規則的な微細凹凸パターンは、製品としてのプリズムシート表面の微細凹凸パターンを反転した形状であることが求められる。
プリズムシートとしては、微細凹凸パターンが二次元配列された、例えばレンチキュラーレンズや、プリズムレンズ、微細凹凸パターンが三次元配列された、例えばフライアイレンズ、円錐、角錐等の微細な錐体をXY方向に敷きつめた平板レンズ等が対象となり、エンボスロール83の外周面の規則的な微細凹凸パターンをこれに対応させる。
エンボスロール83の外周面の規則的な微細凹凸パターンの形成方法としては、エンボスロール83の表面をダイヤモンドバイト(シングルポイント)で切削加工する方法、エンボスロール83の表面にフォトエッチング、電子線描画、レーザー加工等で直接凹凸を形成する方法が採用でき、また、薄い金属製の板状体の表面にフォトエッチング、電子線描画、レーザー加工、光造形法等で凹凸を形成し、この板状体をロールの周囲に巻き付け固定し、エンボスロール83とする方法が採用できる。その他、金属より加工しやすい素材の表面にフォトエッチング、電子線描画、レーザー加工、光造形法等で凹凸を形成し、この形状の反転型を電鋳等により形成して薄い金属製の板状体を形成し、この板状体をロールの周囲に巻き付け固定し、エンボスロール83とする方法も採用できる。特に反転型を電鋳等により形成する場合には、1つの原版(マザー)より複数の同一形状の板状体が得られるという特長がある。
エンボスロール83の表面には、離型処理を施すことが好ましい。このように、エンボスロール83の表面に離型処理を施すことにより、微細凹凸パターンの形状が良好に維持できる。離型処理としては、公知の各種方法、例えば、フッ素樹脂によるコーティング処理が採用できる。なお、エンボスロール83には駆動手段が設けられていることが好ましい。エンボスロール83は、図示の矢印のように、反時計方向(CCW)に回転する。
ニップロール84は、エンボスロール83と対になってシートWを押圧しながらロール成形加工するもので、所定の機械的強度、真円度等を有することが求められる。ニップロール84表面の縦弾性係数(ヤング率)は、小さ過ぎるとロール成形加工が不十分となり、大き過ぎるとゴミ等の異物の巻き込みに敏感に反応し欠点を生じやすいことより、適宜の値とすることが好ましい。なお、ニップロール84には駆動手段が設けられていることが好ましい。ニップロール84は、図示の矢印のように、時計方向(CW)に回転する。
エンボスロール83とニップロール84との間に所定の押圧力を付与するべく、エンボスロール83とニップロール84のいずれかに加圧手段を設けることが好ましい。同様に、エンボスロール83とニップロール84との隙間(クリアランス)や圧力を正確に制御できるような微調整手段を、エンボスロール83とニップロール84のいずれかに設けることが好ましい。
樹脂硬化手段85は、ニップロール84の下流側においてエンボスロール83に対向して設けられる放射線照射手段である。この樹脂硬化手段85は、放射線照射によってシートWを透過して樹脂層を硬化させるもので、樹脂の硬化特性に応じた放射線を照射でき、シートWの搬送速度に応じた量の放射線を照射できることが好ましい。樹脂硬化手段85として、例えば、シートWの幅と略同一長さの円柱状照射ランプが採用できる。また、この円柱状照射ランプを複数本平行に設けることもでき、この円柱状ランプの背面に反射板を設けることもできる。
剥離ロール86は、エンボスロール83と対になってエンボスロール83からシートWを剥離させるもので、所定の機械的強度、真円度等を有することが求められる。剥離箇所において、エンボスロール83の周面上に巻き掛けられたシートWを回転するエンボスロール83と剥離ロール86とで挟みながら、シートWをエンボスロール83から剥離させて剥離ロール86に巻き掛ける。この動作を確実にすべく、剥離ロール86には駆動手段が設けられていることが好ましい。剥離ロール86は、図示の矢印のように、時計方向(CW)に回転する。
なお、硬化により樹脂等の温度が上昇するような場合には、剥離時にシートWを冷却させて剥離を確実にすべく、剥離ロール86に冷却手段を設ける構成も採用できる。
なお、図示は省略したが、エンボスロール83の押圧箇所(9時の位置)から剥離箇所(3時の位置)までの間に複数のバックアップロールを対向して設け、この複数のバックアップロールとエンボスロール83とでシートWを押圧しながら硬化処理を行う構成も採用できる。
シート巻き取り手段88は、剥離後のシートWを収納するもので、シートWを巻き取る巻き取りロール等より構成される。このシート巻き取り手段88において、隣接して設けられる保護フィルム供給手段87より供給される保護フィルムHがシートWの表面に供給され、両フィルムが重なった状態で、シート巻き取り手段88に収納される。
プリズムシートの製造装置80において、塗布手段82とエンボスロール83との間、剥離ロール86とシート巻き取り手段88との間等に、シートWの搬送路を形成するガイドロール等を設けてもよく、その他、必要に応じてシートWの搬送中の弛みを吸収すべく、テンションロール等を設けることもできる。
以上により、プリズム形状の単位レンズが一軸方向に形成されたレンズ列が隣接して略全面に配列されたプリズムシートを作製することができる。
前記の各種モードの液晶セルには視野角や色味を補償する目的で偏光子と液晶セルの間に光学補償フィルムを用いることができる。
本発明においては、特にTNモード液晶セルに光学補償フィルムを用いる態様が顕著な効果を奏し、好ましい。
《光学補償フィルム》
〈フィルムを形成するポリマー材料〉
光学補償フィルムを形成するポリマー材料としては、特に限定されないが、例えば、セルロースエステル、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー等を利用することができる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ノルボルネン等のシクロポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、又は前記ポリマーを混合したポリマー等から1種又は2種以上のポリマーを選択し、主成分として用いてポリマーフィルムを作製し利用することができる。また汎用されている市販品のポリマーフィルムを用いることもできる。
この中で、セルロースエステルを用いることが好ましく、偏光板加工適正、光学発現性、透明性、機械特性、耐久性、コスト等の観点から、アセチル基等のアシル基を有するセルロースアシレートを用いることが特に好ましい。
〈セルロースアシレート〉
前記光学補償フィルムの材料としてセルロースアシレートを使用する場合、前記光学補償フィルムは、1種又は2種以上のセルロースアシレートを主成分として含有する。ここで「主成分として含有する」とは、フィルムの材料として用いられているセルロースアシレートが1種である場合は、当該セルロースアシレートをいい、複数種である場合は、最も高い割合で含有されるセルロースアシレートをいう。
セルロースには、β−1,4結合しているグルコース単位当り、2位、3位及び6位に遊離の水酸基がある。セルロースアシレートは特に限定はされないが、セルロースアセテート、またはアセチル基と他のアシル基を有するセルロースアシレートを用いることが好ましい。
これらの3つの水酸基のうち平均で2.00〜2.80の水酸基の水素原子がアシル基に置換され、好ましい第一の態様としては、全てがアセチル基であることである。
また、好ましい第二の態様としては、3つの水酸基のうち平均で2.00〜2.80の水酸基の水素原子がアシル基に置換され、且つそのうち0.50〜1.50がプロピオニル基及び/又はブチリル基で置換されているセルロースアセテート・プロピオネート、セルロースアセテート・ブチレート、又はセルロースアセテート・プロピオネート・ブチレートを用いることである。
好ましい第二の態様としては、セルロースアセテート・プロピオネートを用いることが特に好ましい。
総アシル基置換度が2.00未満であると、無置換のヒドロキシ基が多く存在し、フィルムの湿度依存性が大きくなり、液晶表示装置の光学部材としての用途等、湿度に対する耐久性を必要とされる用途には適さなくなる。一方、総アシル基置換度が、2.80を超えてしまうと、Re及びRthの発現性が低下し、好ましくない。双方の観点では、好ましい第一の態様、第二の態様ともに総アシル基置換度は、2.20〜2.70であるのがより好ましく、2.40〜2.60であるのがさらに好ましい。
3層共流延法により製造する場合は、コア層のセルロースアシレートの総アシル基置換度が上記範囲であることが好ましく、それより外側の層(以下ではスキン層という)のセルロースアシレートの総アシル置換度は、2.70を超え3.00以下であることが好ましく、2.75〜2.90であることが特に好ましい。
一方、好ましい第二の態様としてセルロースアシレートのプロピオニル基及び/又はブチリル基の置換度は、フィルムのRe及びRthの発現性に影響するとともに、フィルムの湿度依存性及び弾性率にも影響する。プロピオニル基及び/又はブチリル基の置換度を0.5〜1.5とすることで、これらの両立した好ましい特性を得ることができる。プロピオニル基及び/又はブチリル基置換度は0.60〜1.10がより好ましく、0.80〜1.00であるのがさらに好ましい。
なお、本明細書では、セルロースアシレートのアシル基置換度は、セルロースの構成単位質量当りの結合脂肪酸量を測定して算出することができる。測定方法は、「ASTM D817−91」に準じて実施する。
前記セルロースアシレートは、350〜800の質量平均重合度を有することが好ましく、370〜600の質量平均重合度を有することがさらに好ましい。また本発明に用いるセルロースアシレートは、60000〜230000の数平均分子量を有することが好ましく、70000〜230000の数平均分子量を有することがさらに好ましく、78000〜120000の数平均分子量を有することがよりさらに好ましい。
〈可塑剤〉
前記光学補償フィルムは、可塑剤を含有していてもよい。前記光学補償フィルムの主成分(例えばセルロースアシレート)との相溶性が良い可塑剤は、ブリードアウトが生じ難く、低ヘイズであり、更に含水率及び透湿度を低減させるので、高品質で高耐久性を有するフィルムを得るのに有効である。
前記光学補償フィルムに使用可能な可塑剤としては特に限定しないが、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、カルボン酸エステル系可塑剤、ポリエステルオリゴマー系可塑剤、糖エステル系可塑剤、エチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤などが挙げられる。
好ましくはリン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系化合物、多価アルコールエステル系可塑剤、ポリエステルオリゴマー系可塑剤、糖エステル系可塑剤、エチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤であり、より好ましくは多価アルコール系可塑剤、ポリエステルオリゴマー系可塑剤、糖エステル系可塑剤、エチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤であり、さらに好ましくは糖エステル系可塑剤である。
特に多価アルコールエステル系可塑剤、ポリエステルオリゴマー系可塑剤、糖エステル系可塑剤、及びエチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤はセルロースアシレートとの相溶性が高く、ブリードアウト低減、低ヘイズ及び低透湿度の効果が高く、また温湿度変化や経時による可塑剤の分解及びフィルムの変質や変形が生じ難いため、好ましい。
光学補償フィルムとして二軸性フィルムを用いる態様では、中でも、可塑剤として、糖エステル系可塑剤、ポリエステルオリゴマー系可塑剤、及び多価アルコール系可塑剤は、光学発現性に優れるために特に好ましく、糖エステル系可塑剤はさらにセルロースアシレートと構造が近いために、非常に低ヘイズなフィルムの作製が可能となるため、最も好ましい。
本発明において、可塑剤は1種のみで用いてもよいし、2種以上を混合して使用することもできる。可塑剤を2種類以上混合して使用する場合、1種類のみを用いることよりも相溶性が良好となり、ブリードアウト低減、低ヘイズとなる可能性が高い。これは、セルロースアシレートフィルムとの1種の可塑剤との相溶性を、他の1種の可塑剤が相溶化剤的に働くことで改善させるからであると推定している。
可塑剤を2種類以上混合して使用する場合、少なくとも1種は糖エステル系可塑剤、またはポリエステルオリゴマー系可塑剤であることが好ましく、糖エステル系可塑剤であることがさらに好ましい。
前記光学補償フィルムにおいて、可塑剤の含有量は、主成分ポリマー(例えばセルロースアシレート)に対して0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることが更に好ましく、7〜15質量%であることが特に好ましい。
〈多価アルコールエステル系可塑剤〉
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環又はシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
本発明に好ましく用いることのできる多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。
特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖又は側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、メトキシ基或いはエトキシ基などのアルコキシ基を1〜3個を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが更に好ましい。分子量がこの範囲であると、低揮散で、透湿性、セルロースエステルとの相溶性も良好であって好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化されていてもよいし、一部がOH基のままのこっていてもよい。
〈ポリエステルオリゴマー系可塑剤〉
本発明におけるポリエステルオリゴマーは、ジオールとジカルボン酸とから、例えば、混合して得られる重縮合体である。
ポリエステルオリゴマーの数平均分子量は300〜3000であることが好ましい。
ポリエステルオリゴマーの数平均分子量はGPC(Gel Permeation Chromatography)を用いて通常の方法で測定することができる。
例えば、カラム(東ソー(株)製 TSKgel Super HZM−H、TSKgel Super HZ4000及びTSKgel Super HZ2000)の温度を40℃として、溶離液としてTHFを用い、流速を0.35ml/minとし、検出をRI、注入量を10μl、試料濃度を1g/lとし、また標準試料としてポリスチレンを用いて行うことができる。
ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。これらジカルボン酸は、ポリエステルオリゴマー中には、ジオール残基とのエステル結合するジカルボン酸残基として含まれる。
芳香族ジカルボン酸残基:
芳香族ジカルボン酸残基は、ジオールと芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸とから得られた重縮合体に含まれる。
芳香族ジカルボン酸残基とはポリエステルオリゴマーの部分構造で、ポリエステルオリゴマーを形成している単量体の特徴を有する部分構造を表す。例えばジカルボン酸HOOC−R−COOHより形成されるジカルボン酸残基は−OC−R−COーである。
本発明に用いるポリエステルオリゴマーを構成する全ジカルボン酸残基中の芳香族ジカルボン酸残基比率は特に限定されないが、40mol%〜100mol%であることが好ましい。
芳香族ジカルボン酸残基比率を40mol%以上とすることで、十分な光学異方性を示すセルロースアシレートフィルムが得られる。
本発明に用いる芳香族ジカルボン酸は、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,8−ナフタレンジカルボン酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸等を挙げることができる。
ポリエステルオリゴマーには混合に用いた芳香族ジカルボン酸により芳香族ジカルボン酸残基が形成される。
芳香族ジカルボン酸は、平均炭素数が8.0〜12.0であることが好ましく、8.0〜10.0であることがより好ましく、8.0であることが更に好ましい。この範囲であれば、セルロースアシレートとの相溶性に優れ、セルロースアシレートフィルムの製膜時及び加熱延伸時においてもブリードアウトを生じにくいため好ましい。また、光学用途として光学補償フィルムに用いるに適した異方性を十分に発現し得るセルロースアシレートフィルムとすることができるため好ましい。
具体的には、芳香族ジカルボン酸は、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸の少なくとも1種を含むことが好ましく、より好ましくはフタル酸、テレフタル酸の少なくとも1種を含み、更に好ましくはテレフタル酸を含む。すなわち、ポリエステルオリゴマーの形成における混合に、芳香族ジカルボン酸としてテレフタル酸を用いることで、よりセルロースアシレートとの相溶性に優れ、セルロースアシレートフィルムの製膜時及び加熱延伸時においてもブリードアウトを生じにくいセルロースアシレートフィルムとすることができる。また、芳香族ジカルボン酸は1種でも、2種以上を用いてもよい。2種用いる場合は、フタル酸とテレフタル酸を用いることが好ましい。
脂肪族ジカルボン酸残基:
脂肪族ジカルボン酸残基は、ジオールと脂肪族ジカルボン酸を含むジカルボン酸とから得られた重縮合体に含まれる。
本明細書中では、脂肪族ジカルボン酸残基とはポリエステルオリゴマーの部分構造で、ポリエステルオリゴマーを形成している単量体の特徴を有する部分構造を表す。例えばジカルボン酸HOOC−R−COOHより形成されるジカルボン酸残基は−OC−R−CO−である。
本発明で好ましく用いられる脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
重縮合体には混合に用いた脂肪族ジカルボン酸より脂肪族ジカルボン酸残基が形成される。
脂肪族ジカルボン酸残基は、平均炭素数は特に限定されないが、4.0〜6.0であることが好ましく、4.0〜5.0であることがより好ましく、4.0〜4.8であることが更に好ましい。この範囲であれば、セルロースアシレートとの相溶性に優れ、セルロースアシレートフィルムの製膜時及び加熱延伸時においてもブリードアウトを生じにくいため好ましい。
具体的には、コハク酸残基を含むことが好ましく、2種用いる場合は、コハク酸残基とアジピン酸残基を含むことが好ましい。
すなわち、ポリエステルオリゴマーの形成における混合に、脂肪族ジカルボン酸は1種でも、2種以上を用いてもよく、2種用いる場合は、コハク酸とアジピン酸を用いることが好ましい。
コハク酸とアジピン酸の2種の脂肪族ジカルボン酸を用いることにより、ジオール残基の平均炭素数を少なくすることができ、セルロースアシレートとの相溶性の点で好ましい。
また、脂肪族ジカルボン酸残基の平均炭素数が4.0未満では合成が困難となるため、使用できない。
ジオール:
ジオール残基は、ジオールとジカルボン酸とから得られたポリエステルオリゴマーに含まれる。
本明細書中では、ジオール残基とはポリエステルオリゴマーの部分構造で、ポリエステルオリオゴマーを形成している単量体の特徴を有する部分構造を表す。例えばジオールHO−R−OHより形成されるジカルボン酸残基は−O−R−O−である。
ポリエステルオリゴマーを形成するジオールとしては芳香族ジオール及び脂肪族ジオールが挙げられ、特に限定はされないが、脂肪族ジオールが好ましい。
ポリエステルオリゴマーのジオールは特に限定はされないが、平均炭素数が2.0以上3.0以下の脂肪族ジオール残基を含むことが好ましい。脂肪族ジオール残基の平均炭素数が3.0より大きいとセルロースアシレートとの相溶性が低く、ブリードアウトが生じやすくなり、また、化合物の加熱減量が増大し、セルロースアシレートェブの乾燥時の工程汚染が原因と考えられる面状故障が発生する可能性が高まる。また、脂肪族ジオール残基の平均炭素数が2.0未満では合成が困難となるため、使用できない。
前記脂肪族ジオールとしては、アルキルジオール又は脂環式ジオール類を挙げることができ、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール、ジエチレングリコール等があり、これらはエチレングリコールとともに1種又は2種以上の混合物として使用されることが好ましい。
好ましい脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、及び1,3−プロパンジオールの少なくとも1種であり、特に好ましくはエチレングリコール、及び1,2−プロパンジオールの少なくとも1種である。2種用いる場合は、エチレングリコール、及び1,2−プロパンジオールを用いることが好ましい。
ポリエステルオリゴマーには混合に用いたジオールによりジオール残基が形成される。
封止:
前記ポリエステルオリゴマーの両末端は封止、未封止を問わないが、より好ましくは封止しているものである。
ポリエステルオリゴマーの両末端が未封止の場合、重縮合体はポリエステルポリオールであることが好ましい。
ポリエステルオリゴマーの両末端が封止されている場合、モノカルボン酸と反応させて封止することが好ましい。このとき、該重縮合体の両末端はモノカルボン酸残基となっている。
本明細書中では、モノカルボン酸残基とはポリエステルオリゴマーの部分構造で、ポリエステルオリゴマーを形成している単量体の特徴を有する部分構造を表す。例えばモノカルボン酸R−COOHより形成されるモノカルボン酸残基はR−CO−である。モノカルボン酸封止は芳香族モノカルボン酸、脂肪族カルボン酸のどちらを用いてもよい。モノカルボン酸は、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、安息香酸及びその誘導体等が好ましい。封止に用いるモノカルボン酸は2種以上を混合してもよい。
本発明に係るポリエステルオリゴマーの合成は、常法によりジオールとジカルボン酸とのポリエステル化反応又はエステル交換反応による熱溶融縮合法か、あるいはこれら酸の酸クロライドとグリコール類との界面縮合法のいずれかの方法によっても容易に合成し得るものである。また、本発明に係るポリエステルオリゴマーについては、村井孝一編者「可塑剤 その理論と応用」(株式会社幸書房、昭和48年3月1日初版第1版発行)に詳細な記載がある。また、特開平05−155809号、特開平05−155810号、特開平5−197073号、特開2006−259494号、特開平07−330670号、特開2006−342227号、特開2007−003679号各公報などに記載されている素材を利用することもできる。
本発明のポリエステルオリゴマーが含有する原料の脂肪族ジオール、ジカルボン酸エステル、又はジオールエステルのセルロースアシレートフィルム中の含有量は、1質量%未満が好ましく、0.5質量%未満がより好ましい。ジカルボン酸エステルとしては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジ(ヒドロキシエチル)、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジ(ヒドロキシエチル)、アジピン酸ジ(ヒドロキシエチル)、コハク酸ジ(ヒドロキシエチル)等が挙げられる。ジオールエステルとしては、エチレンジアセテート、プロピレンジアセテート等が挙げられる。
ポリエステルオリゴマーの水酸基価の測定は、日本工業規格 JIS K3342(廃止)に記載の無水酢酸法当を適用できる。ポリエステルオリゴマーがポリエステルポリオールである場合は、水酸基価が55以上220以下であることが好ましく、100以上140以下であることが更に好ましい。
以下に、本発明に利用可能なポリエステルオリゴマー系可塑剤の具体例を示すが、以下の具体例に限定されるものではない。
Figure 0005659190
〈糖エステル系可塑剤〉
糖エステル系可塑剤で好ましいものとしては、フラノース構造又はピラノース構造を1個以上12個以下有する化合物中の水酸基の少なくとも1つをエステル化したエステル化合物が挙げられる。
フラノース構造又はピラノース構造を1個以上12個以下有する化合物中の水酸基の少なくとも1つをエステル化したエステル化合物としては、
フラノース構造又はピラノース構造を1個有する化合物(化合物(A))中の水酸基の全てもしくは一部をエステル化したエステル化化合物;及び
フラノース構造又はピラノース構造の少なくとも1種を2個以上12個以下結合した化合物(化合物(B))中の水酸基の全てもしくは一部をエステル化したエステル化化合物;が挙げられる。
以下、化合物(A)のエステル化化合物、及び化合物(B)のエステル化化合物を総称して、糖エステル化合物とも称す。
また、前記エステル化化合物が単糖類(α−グルコース、β−フルクトース)の安息香酸エステル、若しくは下記一般式(5)で表される単糖類の−OR512、−OR515、−OR522、−OR525の任意の2つ以上が脱水縮合して生成したm5+n5=2〜12の多糖類の安息香酸エステルであることが好ましい。
Figure 0005659190
前記一般式中の安息香酸は更に置換基を有していてもよく、例えばアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、フェニル基が挙げられ、更にこれらのアルキル基、アルケニル基、フェニル基は置換基を有していてもよい。
好ましい化合物(A)及び化合物(B)の例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
化合物(A)の例としては、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、或いはアラビノースが挙げられる。
化合物(B)の例としては、ラクトース、スクロース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノース或いはケストース挙げられる。このほか、ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース、キシロトリオース、ガラクトシルスクロースなども挙げられる。
これらの化合物(A)及び化合物(B)の中で、特にフラノース構造とピラノース構造を両方有する化合物が好ましい。例としてはスクロース、ケストース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオースなどが好ましく、更に好ましくは、スクロースである。また、化合物(B)において、フラノース構造若しくはピラノース構造の少なくとも1種を2個以上3個以下結合した化合物であることも、好ましい態様の1つである。
本発明における化合物(A)及び化合物(B)中の水酸基の全て若しくは一部をエステル化するのに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、アルコキシ基を導入した芳香族モノカルボン酸、ケイ皮酸、ベンジル酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができ、より、具体的には、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、γ−イソジュリル酸、ジュリル酸、メシト酸、α−イソジュリル酸、クミン酸、α−トルイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、サリチル酸、o−アニス酸、m−アニス酸、p−アニス酸、クレオソート酸、o−ホモサリチル酸、m−ホモサリチル酸、p−ホモサリチル酸、o−ピロカテク酸、β−レソルシル酸、バニリン酸、イソバニリン酸、ベラトルム酸、o−ベラトルム酸、没食子酸、アサロン酸、マンデル酸、ホモアニス酸、ホモバニリン酸、ホモベラトルム酸、o−ホモベラトルム酸、フタロン酸、p−クマル酸を挙げることができるが、特に安息香酸が好ましい。
上記化合物(A)及び化合物(B)をエステル化したエステル化化合物の中では、エステル化によりアセチル基が導入されたアセチル化化合物またはベンゾイル基が導入されたベンゾイル化化合物、またはアセチル基とベンジル基の両方が導入された化合物が好ましい。
上記化合物(A)及び化合物(B)のエステル化化合物に加えて、オリゴ糖のエステル化化合物を、フラノース構造若しくはピラノース構造の少なくとも1種を3〜12個結合した化合物として適用できる。
オリゴ糖は、澱粉、ショ糖等にアミラーゼ等の酵素を作用させて製造されるもので、本発明に適用できるオリゴ糖としては、例えば、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖が挙げられる。
〈光学補償フィルムの製造方法〉
前記光学補償フィルムとして用いられるセルロースアシレートフィルムは、溶液製膜法(ソルベントキャスト法)によって製膜されたフィルムであるのが好ましい。以下、具体例として、セルロースアシレートフィルムの製造方法について説明するが、本発明に用いられる光学補償フィルムは、セルロースアシレートフィルムに限定されるものではない。
(ソルベントキャスト法)
ソルベントキャスト法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解して調製されたドープを、金属等からなる支持体の表面にキャストして、乾燥して製膜し、その後、膜を支持体面から剥ぎ取り、所望により延伸処理することで製造される。
ソルベントキャスト法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。該ドープの調製に用いられる溶媒は、有機溶媒から選択することができる。有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステル、及び炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を少なくとも含むことが好ましい。
エーテル、ケトン及びエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトン及びエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する溶媒の上記した好ましい炭素原子数範囲内であることが好ましい。
炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトールが含まれる。
炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート及びペンチルアセテートが含まれる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール及び2−ブトキシエタノールが含まれる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1又は2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることがよりさらに好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造する。ドープには前記の可塑剤等の添加剤を添加することが好ましい。
ドープは、ドラム又はバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラム又はバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ドープは、表面温度が10℃以下のドラム又はバンド上に流延することが好ましい。
ドープ(セルロースアシレート溶液)をバンド上に流延する場合、剥ぎ取り前乾燥の前半において10秒以上90秒以下、好ましくは15秒以上90秒以下の時間、実質的に無風で乾燥する工程を行う。また、ドラム上に流延する場合、剥ぎ取り前乾燥の前半において1秒以上10秒以下、好ましくは2秒以上5秒以下の時間、実質的に無風で乾燥する工程を行うことが好ましい。
本明細書において、「剥ぎ取り前乾燥」とはバンドもしくはドラム上にドープが塗布されてからフィルムとして剥ぎ取られるまでの乾燥を指すものとする。また、「前半」とはドープ塗布から剥ぎ取りまでに要する全時間の半分より前の工程を指すものとする。「実質的に無風」であるとは、バンド表面もしくはドラム表面から200mm以内の距離において0.5m/s以上の風速が検出されない(風速が0.5m/s未満である)ことである。
剥ぎ取り前乾燥の前半は、バンド上の場合通常30〜300秒程度の時間であるが、その内の10秒以上90秒以下、好ましくは15秒以上90秒以下の時間、無風で乾燥する。ドラム上の場合は通常5〜30秒程度の時間であるが、その内の1秒以上10秒以下、好ましくは2秒以上5秒以下の時間、無風で乾燥する。雰囲気温度は0℃〜180℃が好ましく、40℃〜150℃がさらに好ましい。無風で乾燥する操作は剥ぎ取り前乾燥の前半の任意の段階で行うことができるが、好ましくは流延直後から行うことが好ましい。無風で乾燥する時間が、バンド上の場合に10秒未満(ドラム上の場合に1秒未満)であると、添加剤がフィルム内に均一に分布することが難しく、90秒を超えると(ドラム上の場合10秒を超えると)乾燥不十分で剥ぎ取られることになり、フィルムの面状が悪化する。
剥ぎ取り前乾燥における無風で乾燥する以外の時間は、不活性ガスを送風することにより乾燥を行なうことができる。このときの風温は0℃〜180℃が好ましく、40℃〜150℃がさらに好ましい。
調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)を用いて二層以上の流延を行いフィルム化することもできる。この場合、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを作製することが好ましい。ドープは、ドラム又はバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40%の範囲となるように濃度を調整することが好ましい。ドラム又はバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
二層以上の複数のセルロースアシレート液を流延する場合、複数のセルロースアシレート溶液を流延することが可能で、支持体の進行方向に間隔をおいて設けられた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよい。例えば、特開昭61−158414号、特開平1−122419号、及び、特開平11−198285号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによってもフィルム化することができる。例えば、特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、及び、特開平6−134933号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高、低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押し出すセルロースアシレートフィルムの流延方法を用いることもできる。
また、二個の流延口を用いて、第一の流延口により支持体に成形したフィルムを剥ぎ取り、支持体面に接していた側に第二の流延を行うことにより、フィルムを作製することもできる。例えば、特公昭44−20235号公報に記載の方法を挙げることができる。
流延するセルロースアシレート溶液は同一の溶液を用いてもよいし、異なるセルロースアシレート溶液を用いてもよい。複数のセルロースアシレート層に機能をもたせるために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押し出せばよい。さらに本発明のセルロースアシレート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、紫外線吸収層、偏光層など)と同時に流延することもできる。
従来の単層液では、必要なフィルムの厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースアシレート溶液を押し出すことが必要である。その場合セルロースアシレート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良となったりして問題となることが多かった。この問題の解決方法として、複数のセルロースアシレート溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に支持体上に押し出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアシレート溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができる。
とりわけ、3層以上の積層構造を有していることが、寸法安定性や環境湿熱変化に伴うカール量低減の観点から好ましい。また、前記低置換度層の両面に前記高置換度層を有する場合、所望の光学特性を実現させる工程における自由度向上の観点から好ましい。
なお、3層以上の積層構造を有している場合に限り、フィルム製膜時に支持体と接していない側の表面層のことをスキンA層とも言う。
特に、スキンB層/コア層/スキンA層の3層構造であることが好ましい。3層構造の場合、高置換度層/低置換度層/高置換度層という構成であっても低置換度層/高置換度層/低置換度層という構成であってもよいが、高置換度層/低置換度層/高置換度層の構成であることが、溶液製膜時の支持体からの剥離性を改善する観点および寸法安定性の観点から好ましい。
3層構造であるとき、両面の表面層に含まれるセルロースアシレートは同じアシル置換度のセルロースアシレートを用いることが、製造コスト、寸法安定性および環境湿熱変化に伴うカール量低減の観点から好ましい。
前記セルロースアシレートフィルムは、例えば、幅は0.5〜5mであり、より好ましくは0.7〜3mの形態として作製されてもよい。また、前記セルロースアシレートフィルムは、巻長300〜30000m、より好ましくは500〜10000m、さらに好ましくは1000〜7000mの形態として作製されてもよい。
〈延伸〉
前記光学補償フィルムとして、上記方法で作製されたセルロースアシレートフィルムに、さらに延伸処理を施し、そのレターデーションを調整した延伸フィルムを用いてもよい。積極的に幅方向(製膜時の流延方向と直交する方向)に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、特開平4−284211号、特開平4−298310号、及び特開平11−48271号の各公報などに記載されている。フィルムの延伸は、常温又は加熱条件下で実施する。加熱温度は、フィルムのガラス転移温度を挟む±20℃であることが好ましい。これは、ガラス転移温度より極端に低い温度で延伸すると、破断しやすくなり所望の光学特性を発現させることができない。また、ガラス転移温度より極端に高い温度で延伸すると、延伸により分子配向したものが熱固定される前に、延伸時の熱で緩和し配向を固定化することができず、光学特性の発現性が悪くなる。
さらに、延伸ゾーン(例えばテンターゾーン)において、フィルムを噛み込み、搬送し最大拡幅率を経た後に、通常緩和させるゾーンを設ける。これは軸ずれを低減するのに必要なゾーンである。通常の延伸ではこの最大拡幅率を経た後の緩和率ゾーンでは、テンターゾーンを通過させるまでの時間は1分より短く、フィルムの延伸は、搬送方向あるいは幅方向だけの一軸延伸でもよく同時あるいは逐次2軸延伸でもよいが、幅方向により多く延伸することが好ましい。幅方向、即ち製膜時の流延方向と直交する方向、に1.4倍〜2倍の倍率で延伸処理するのが好ましく、より好ましくは延伸倍率が1.4倍〜1.6倍であり、さらに好ましくは延伸倍率が1.4倍〜1.5倍である。
延伸処理は製膜工程の途中で行ってもよいし、製膜して巻き取った原反を延伸処理してもよい。前者の場合には残留溶剤量を含んだ状態で延伸を行ってもよく、残留溶剤量(残留溶剤量/(残留溶剤量+固形分量))が0.05〜50%で好ましく延伸することができる。残留溶剤量が0.05〜5%の状態で5〜80%延伸を行うことが特に好ましい。
また、前記光学補償フィルムとして、上記方法で作製されたセルロースアシレートフィルムに二軸延伸処理を施した二軸延伸処理フィルムを用いてもよい。
二軸延伸には、同時二軸延伸法と逐次二軸延伸法があるが、連続製造の観点から逐次二軸延伸方法が好ましく、ドープを流延した後、バンドもしくはドラムよりフィルムを剥ぎ取り、幅方向(長手方法)に延伸した後、長手方向(幅方向)に延伸される。
〈光学特性〉
本発明に使用する前記光学補償フィルムの好ましい例は、光学補償フィルムの3方向の屈折率において、面内最大方向をnx、nxと垂直方向の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnzとした場合、nx>ny>nzを満足する光学補償フィルムである。
また、前記光学補償フィルムの面内レターデーションRe(=(nx−ny)×d;dはフィルムの膜厚を表す。)は、波長590nmにおいて1〜200nmが好ましく、より好ましくは5〜100nm、さらに好ましくは15〜80nm、特に好ましくは30〜60nmである。また、前記光学補償フィルムの厚み方向レターデーションRth(={(nx+ny)/2−nz}×d;dはフィルムの膜厚を表す。)は、波長590nmにおいて、80〜400nmが好ましく、より好ましくは75nm〜200nm、さらに好ましくは80〜150nm、特に好ましくは90〜140nmである。
〈膜厚〉
前記光学補償フィルムの膜厚は、特に限定されないが、10〜200μmであることが好ましい。薄型化の観点では、膜厚は薄いほどよいが、10μm未満であると、取り扱い性が損なわれる傾向がある。より好ましくは10〜80μm、さらに好ましくは10〜60μm、特に好ましくは10〜50μm、最も好ましくは10〜40μmである。
スキンB層/コア層/スキンA層の3層構造であって、順に高置換度層/低置換度層/高置換度層という好ましい態様においては、前記高置換度層の平均膜厚が0.1μm以上10μm未満の範囲が好ましく、0.5μm以上5μm未満の範囲がより好ましい。スキン層が0.1μm未満になると、剥離性が不十分となり、スジ状のムラ、フィルムの膜厚不均一あるいは光学特性不均一を招きやすい。
また、スキン層が10μm以上になると、全体の膜厚を薄形する上でコア層の厚みが制限されるため、コア層の光学発現性を有効に利用することが難しくなる。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
(高屈折率層用塗布液Aの調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して高屈折率層用塗布液Aとした。
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、日本化薬(株)製)750.0質量部に、重量平均分子量15000のポリ(グリシジルメタクリレート)270.0質量部、メチルエチルケトン730.0質量部、シクロヘキサノン500.0質量部及び光重合開始剤(イルガキュア184、日本チバガイギー(株)製)50.0質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用塗布液Aを調製した。
(高屈折率層用塗布液Bの調製)
ZrO2微粒子含有ハードコート剤(デソライトZ7404[屈折率1.72、固形分濃度:60質量%、酸化ジルコニウム微粒子含量:70質量%(対固形分)、酸化ジルコニウム微粒子の平均粒子径:約20nm、溶剤組成:MIBK/MEK=9/1、JSR(株)製])10.0質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA)3.0質量部、光重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.1質量部、下記式で表されるSP−13を0.1質量部、メチルイソブチルケトン86.9.質量部を添加して攪拌した。十分に攪拌したのち、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用塗布液Bを調製した。
Figure 0005659190
(高屈折率層用塗布液Cの調製)
ZrO2微粒子含有ハードコート剤(デソライトZ7404[屈折率1.72、固形分濃度:60質量%、酸化ジルコニウム微粒子含量:70質量%(対固形分)、酸化ジルコニウム微粒子の平均粒子径:約20nm、溶剤組成:MIBK/MEK=9/1、JSR(株)製])15.0質量部、SP−13を0.1質量部、メチルイソブチルケトン85.0質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用塗布液Cを調製した。
(低屈折率層用塗布液の調製)
<中空シリカ粒子分散液の調製>
中空シリカ粒子微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、触媒化成工業(株)製CS60−IPA、平均粒子径60nm、シエル厚み10nm、シリカ濃度20%、シリカ粒子の屈折率1.31)500質量部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン20質量部、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5質量部加え混合した後に、イオン交換水9質量部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8質量部を添加し、分散液を得た。その後、シリカの含率がほぼ一定になるようにシクロヘキサノンを添加しながら、圧力30Torrで減圧蒸留による溶媒置換を行い、最後に濃度調整により固形分濃度18.2%の分散液を得た。得られた分散液のIPA残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ0.5%以下であった。
得られた中空シリカ粒子分散液を用いて下記組成の低屈折率層用塗布液を調製した。
低屈折率層用塗布液の組成
DPHA 1.0質量部
P−1 1.6質量部
中空シリカ粒子分散液(18.2%) 26.4質量部
RMS−033 0.4質量部
イルガキュア907 0.3質量部
M−1 1.9質量部
MEK 168.4質量部
「P−1」:特開2004−45462号公報に記載の含フッ素共重合体P−3(重量平均分子量約50000)
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物、日本化薬(株)製
イルガキュア907:重合開始剤(日本チバガイギー(株)製)
RMS−033:メタクリロキシ変性シリコーン(Gelest(株)製)
Figure 0005659190
(光学フィルム1〜12の作製)
膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD−80UF、富士フイルム(株)製)上に、低屈折率層用塗布液をスロットルダイを有するコーターを用いて直接押し出して表2に示す構成で塗布した。次に低屈折率層上に、高屈折率層用塗布液A〜Cの中から表1に従って選択した高屈折率層用塗布液をスロットルダイを有するコーターを用いて直接押し出して下記表に示す構成で塗布した。
各層の塗布液量は、予めPETフィルム上に同液を塗布した際に所望の膜厚になる液量をそのままトリアセチルセルロースフィルム上にも適用した。このPETフィルム上の膜厚を実際の膜厚として下記表に記載する。PETフィルム上の膜厚は反射分光膜厚計“FE−3000”(大塚電子(株)製)を用いて算出した。なお、各層の屈折率の測定は各層の塗布液を約4μmの厚みになるようにガラス板に塗布し、アッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定した。
高屈折率層用塗布液Aの乾燥条件は、100℃、30秒とし、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ高屈折率層を形成した。
高屈折率層用塗布液Bの乾燥条件は、90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら180W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量60mJ/cm2の照射量とした。
高屈折率層用塗布液Cの乾燥条件は、90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量240mJ/cm2の照射量とした。
低屈折率層用塗布液の乾燥条件は、60℃、60秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が0.1体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm2、照射量600mJ/cm2の照射量とした。
Figure 0005659190
Figure 0005659190
(評価)
<光学フィルムの透過率>
光学フィルムを株式会社村上色彩研究所製変角分光測色システムGCMS−3Bを用い、入射角0°及び60°における波長450nmの透過率、及び入射角0°及び60°における波長550nmの透過率をそれぞれ測定した。透過率を測定するため、透過率測定モードを用い、入射角0°の測定の時は計測器の設定を、入射角0°、検出角0°とし、入射角60°の測定の時は計測器の設定を、入射角60°、検出角60°とした。
Figure 0005659190
表中、透過率Aは、波長450nmにおける表示面の正面方向の透過率を表し、透過率Bは、波長450nmにおける表示面の斜め60度方向の透過率を表し、A/Bは、透過率A/透過率Bを表す。透過率Cは、波長550nmにおける表示面の正面の透過率を表し、透過率Dは、波長550nmにおける表示面の斜め60度方向の透過率を表し、C/Dは、透過率C/透過率Dを表す。
(液晶表示装置への実装)
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(MRT−191S、三菱電機(株)製)のバックライト側の偏光板の保護フィルム上に、光学フィルム1のトリアセチルセルロース側の面が前記保護フィルム側となるように貼り合せることで実施例1の液晶表示装置を作製した。
実施例2〜8として、それぞれ光学フィルム2〜8のトリアセチルセルロースフィルム側の面が保護フィルム側となるように貼り合わせた以外は実施例1と同様にして実施例2〜8の液晶表示装置を作製した。
比較例1として、膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD−80UF、富士フイルム(株)製)をバックライト側の偏光板の保護フィルム上に貼り合せた以外は実施例1と同様にして比較例1の液晶表示装置を作製した。
比較例2〜5として、それぞれ光学フィルム9〜12のトリアセチルセルロースフィルム側の面が保護フィルム側となるように貼り合わせた以外は実施例1と同様にして比較例2〜5の液晶表示装置を作製した。
(評価)
<横黄色味の大きさ>
作製したTN型液晶表示装置に、RGB全てが215の中間調の信号(RGB全てが0で黒表示、RGB全てが255で白表示)を送り、正面(表示面法線方向:極角0°、方位角0°)と横方向(極角60度、方位角0度)の色度値をBM-5A(Topcon社製)で
測定した。
ここで、色差Δu’v’は以下の式に基づいて算出される。
Figure 0005659190
ここで、「u’正面(横)」及び「v’正面(横)」は、それぞれ、正面(斜め)方向での色味(CIE1976u’v’色度図)を示す。
この値が小さいほど中間調の横黄色味着色が少なく、表示性能が好ましい。
<正面輝度の大きさ>
作製したTN型液晶表示装置に、RGB全てが255の信号を送って白表示とし、正面の輝度値をBM-5A(Topcon社製)で測定した。この値が大きいほど光学フィルムの透過率が高く、光利用効率が高い。
Figure 0005659190
表5から、実施例1〜8は、色差Δu’v’が小さいことから中間調の横方向の黄色味が改善され、また、正面輝度が大きいことから、光学フィルムの透過率が高く、光利用効率が高いことがわかる。一方、比較例1では、実施例1〜8と比較して色差Δu’v’が大きく、正面輝度が小さいことから、実施例1〜8より表示性能が劣ることがわかる。また、比較例2〜5は、実施例1〜8と比較して色差Δu’v'は同等だが、正面輝度が小さいことから、実施例1〜8より表示性能が劣ることが分かる。
(光学補償フィルム1の作製)
<セルロースアシレート溶液1Cの調製>
セルロースアシレートおよび下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液1Cを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液1Cの組成
―――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレートCE−1 100.0質量部
ポリエステルオリゴマーA−1 10.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 403.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.2質量部
―――――――――――――――――――――――――――
*CE−1:アセチル置換度2.42、全置換度2.42
<セルロースアシレート溶液1Sの調製>
セルロースアシレートおよび下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液1Sを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液1Sの組成
―――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレートCE−2 100.0質量部
ポリエステルオリゴマーA−1 5.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 403.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.2質量部
―――――――――――――――――――――――――――
*CE−2:アセチル置換度2.81、全置換度2.81
Figure 0005659190
<マット剤溶液1の調製>
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液1を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液1の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ16nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、 日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 72.4質量部
メタノール(第2溶媒) 10.8質量部
セルロースアシレート溶液1S 10.3質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
流延方法としては、ドープを金属製のバンド流涎機で外層(バンド層)用ドープ/コア層用ドープ/外層(エア層)用ドープの順に三層共流延を行い、乾燥させた後、剥ぎ取りドラムによりフィルムをバンドから剥ぎ取った。
コア層用ドープはセルロースアシレート溶液1C、外層用ドープは、セルロースアシレート溶液1Sの100質量部に対して、上記マット剤溶液1を1.35質量部を混合したものとした。
185℃の雰囲気温度で残留溶媒含量1%未満の上記フィルムを固定端一軸延伸で延伸倍率1.05倍のMD延伸を行った後、185℃の雰囲気温度で残留溶媒含量1%未満の上記フィルムをテンターゾーンで延伸倍率1.30倍のTD延伸を行った。
その後、クリップを外して乾燥させ、幅2000mmの光学補償フィルム1を製造した。作製された光学補償フィルム1の残留溶媒量は0.1%であり、膜厚は50μmであった。
得られた光学補償フィルムの面内位相差Re、厚さ方向位相差Rth、全ヘイズ、を本願に記載の方法で測定した。測定条件は25℃60%相対湿度で、フィルムをこの環境に十分な時間置いた後で測定を行った。
結果を下記表に記載する。
(偏光板1の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製した。
次に、作製した光学補償フィルム1を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光子の片側に貼り付け、さらに偏光子の反対側に保護用TACフィルムを貼り付けた。このとき、ポリビニルアルコールの長手方向と光学補償フィルム1の長手方向が一致するように貼り付け、光学補償フィルム1の遅相軸および偏光子の透過軸が平行になるように配置した。
本発明品であるリア側用の偏光板1のバックライト側には、高屈折率層をバックライト側へ向けて、実施例1で用いた光学フィルム1を貼り付けた。
この様にして、偏光板1を作製した。
(偏光板2の作製)
比較例である偏光板2は、リア側用の偏光板2のバックライト側に、光学フィルム1に代えて膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルムを貼り付けた。この様にして、偏光板2を作製した。
Figure 0005659190
さらにバックライトに用いるためのプリズムシートを下記のように作製した。
<集光シートの作製>
下記のようにしてプリズムシートを作製した。
〔プリズム層塗布液の調整〕
下記処方のプリズム層塗布液を調整した。
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、50℃に加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、塗布液を調製した。なお、硬化後のプリズム層の屈折率は1.59であった。前記プリズム層の屈折率は、同一の液を平坦な塗布膜として形成し、プリズムカプラー屈折率測定機(SPA4000 Sairon Technology Inc.)により測定した。
・エベクリル3700(ダイセルUBC(株)製) 2.55質量部
・NKエステルBPE−200(新中村化学(株)製) 0.85質量部
・アロニックスM−110(東亞合成(株)製) 0.85質量部
・ニューフロンティアBR−31(第一工業製薬(株)製) 4.25質量部
・メチルエチルケトン 2.89質量部
・ルシリンTPO−L(BASF(株)製) 0.17質量部
〔プリズムシートAの作製〕
両面に易接着処理を施した厚み25μmの透明PET製の支持体の第一の表面に、前記で調製したプリズム層塗布液を乾燥質量で14g/m2となるように塗布し、80℃で1分間乾燥させた後、該プリズム層を、断面形状が頂角90°の二等辺三角形であり、ピッチ(底辺の長さ)50μmのストライプ状にプリズム形状が彫刻された金属の型(金型)に押し当てた。この押し当て状態で、前記支持体の第二の表面側から、高圧水銀灯により露光し、膜を硬化させ、金型から剥離し、プリズムシートA(凹凸部を形成した支持体)を得た。
<白色反射層用塗布液の調製>
下記処方で、光学調整部形成用の白色反射層用塗布液を調整した。
[ホワイト顔料分散母液の組成]
・ポリビニルブチラール
(エスレックB BL−SH、積水化学工業(株)製) 2.7質量部
・ルチル型酸化チタン
(JR805、テイカ(株)製、質量平均粒子径0.29μm) 35.0質量部
・分散助剤(ソルスパース20000、アビシア(株)製) 0.35質量部
・n−プロピルアルコール 62.0質量部
上記組成物を、アイガー社製モーターミルM50によりジルコニアビーズを用いて分散し、ホワイト顔料分散母液を調製した。
[白色反射層塗布液の組成]
・上記で調製されたホワイト顔料分散母液 1,200質量部
・ワックス系化合物
ステアリン酸アミド(ニュートロン2、日本精化(株)製) 5.7質量部
ベヘン酸アミド(ダイヤミッドBM、日本化成(株)製) 5.7質量部
ラウリン酸アミド(ダイヤミッドY、日本化成(株)製) 5.7質量部
パルミチン酸アミド(ダイヤミンドKP、日本化成(株)製) 5.7質量部
エルカ酸アミド(ダイヤミッドL−200、日本化成(株)製) 5.7質量部
オレイン酸アミド(ダイヤミッドO−200、日本化成(株)製) 5.7質量部
・ロジン(KE−311、荒川化学(株)製、成分:樹脂酸80〜97%;樹脂酸成分:アビエチン酸30〜40%、ネオアビエチン酸10〜20%、ジヒドロアビエチン酸14%、テトラヒドロアビエチン酸14%) 80.0質量部
・界面活性剤(メガファックF−780F、固形分30%、大日本インキ化学工業社製) 16.0質量部
・n−プロピルアルコール 1,600質量部
・メチルエチルケトン 580質量部
<白色反射シートの作製>
厚み25μmのPET製支持体上に、前記で調製した白色反射層塗布液を、乾燥膜厚が2μmになるように塗布し、100℃で2分間乾燥させ、白色反射シートを作製した。
<ポジ型感光層用塗布液の調製>
下記処方のポジ型感光層用塗布液を調製した。
・フェノールノボラック樹脂
(住友デュレズ株式会社製、PR−50716、融点:76℃) 2.5質量部
・フェノールノボラック樹脂
(住友デュレズ株式会社製、PR−51600B、融点:55℃) 3.5質量部
・1,2−ナフトキノン(2)
ジアジド−4−スルフォン酸クミルフェノールエステル 2.0質量部
・メチルエチルケトン 40質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 20質量部
・界面活性剤
(大日本インキ株式会社製、メガファックF−176PF) 0.1質量部
<アルカリ現像液の調製>
下記組成のアルカリ現像液を調製した。
・炭酸ナトリウム 59質量部
・重炭酸ナトリウム 32質量部
・水 720質量部
・ブチルセロソルブ 1質量部
<集光性の光学シート:プリズムシートBの作製>
図5に示すように、前記で作製したプリズムシートA(凹凸部5を形成した支持体2)の平坦な第二の表面4側に、前記で調製したポジ型感光層用塗布液を、乾燥膜厚が0.5μmになるように塗布し、100℃で2分間乾燥させ、前記支持体2の第二の表面4上にポジ型感光層8を形成した。
次に、図6に示すように、前記支持体2の凹凸部5を形成した第一の表面3側から、平行光線照射機(マスクアライメント装置M−2L、ミカサ(株)製)を用いて、平坦な前記第二の表面4の法線方向に平行に紫外線照射し、前記ポジ型感光層を露光した。図6に符号6で示す部分が、光の不通過部(光束密度の低い部分)である。
次いで、前記で調製したアルカリ現像液を用いて、ポジ型感光層の露光部を洗い流し、図7に示すように、支持体2の第二の表面4であって光の不通過部6に、部分的にポジ型感光層8を有する支持体2を得た。
上記部分的にポジ型感光層8を有する支持体2の、前記ポジ感光層8が形成された第二の表面4に、図8に示すように、前記で作製した白色反射層9を設けた白色反射シート10を、粘着性を有する前記ポジ型感光層8に第二の表面4に白色反射層9が接触するように配置し、ラミネート装置にて熱ラミネート(速度:0.5m/min.加熱温度:80℃)した。その後、図9に示すように、白色反射シート10を支持体2から剥離することにより、前記ポジ型感光層8の形成部に12μm巾のストライプ状に、白色反射層9が転写された支持体2を得て、プリズムシートBを形成した。該白色反射層9が、サイドローブ防止部7であり、その光反射率は、70%であった。
〔プリズムシートCの作製〕
両面に易接着処理を施した厚み25μmの透明PET製の支持体の第一の表面に、前記で調製したプリズム層塗布液を乾燥質量で14g/m2となるように塗布し、80℃で1分間乾燥させた後、該プリズム層を、断面形状が頂角110°の二等辺三角形であり、ピッチ(底辺の長さ)50μmのストライプ状にプリズム形状が彫刻された金属の型(金型)に押し当てた。この押し当て状態で、前記支持体の第二の表面側から、高圧水銀灯により露光し、膜を硬化させ、金型から剥離し、プリズムシートC(凹凸部を形成した支持体)を得た。
<バックライトユニットの作製>
市販品の液晶表示装置から取り外した面光源上に上記の各プリズムシートを配置したバックライトユニットを作製した。
作製した頂角が90°であるプリズムシートA、頂角が90°であるプリズムシートであって、さらに部分的に光反射性を有するサイドローブ防止部7が複数形成された集光性の光学シートであるプリズムシートB、頂角が110°であるプリズムシートCを、表9の内容となるように配置した。
<正面輝度の評価方法>
上記プリズムシートを設置した各バックライトユニット平面光源上に、輝度計(BM−7:トプコン(株))を設置し、光度の測定を行った。プリズムシートのないバックライト平面光源のみの正面輝度を1としたときの、光学シートを敷いた場合の正面輝度の倍率を用いて輝度評価を行い、以下のように分類した。
A: 1.3以上
B: 1.1以上、1.3未満
C: 1.1未満
<バックライト光の出射角度分布の測定>
上記プリズムシートを設置したバックライトユニットについて、輝度計(BM−7:トプコン(株))にて、光度の測定を行った。
正面を0°として、プリズムシートの集光方向に対して受光機を5°刻みで±85°走査し、プリズムシートから出射される光度の角度分布を測定し、出射角度50°から85°の範囲で測定した光量の平均値を求め、表9に記載した。
なお、光度と出射角度の関係を各プリズムシートについて正面(0°)で測定した光度(cd)を基準に規格化して図3に示す。
<液晶表示装置の作製>
液晶セルと偏光板が表8に記載した内容となるように、さらに各プリズムシートを組み込んだバックライトユニットが表9に記載した内容となるように液晶表示装置(ディスプレイ20〜28)を組み立てた。
なお、液晶セルはTNモードの市販品であるサムスン製LS−XL2370KFを使用し、画面の長辺方向を水平方向、短辺方向が鉛直方向とし、上記の偏光板1又は偏光板2に偏光板を貼り替えた。その際、各偏光板はEモード配置にした。
各プリズムシートは、凸部を液晶セル側へ向けてあり、その集光方向は、表8、表9に記載するように鉛直方向、又は水平方向となるように配置した。
横黄色味の評価として、実施例1と同じ方法で測定した色差Δu’v’、及び正面輝度の評価結果を表9に示した。
Figure 0005659190
Figure 0005659190
上記表から、プリズムシートA〜Cを使用したディスプレイの性能が特に優れていることがわかる。
[偏光板の実施例]
膜厚が40μmであるトリアセチルセルロースフィルム(フジタック)の一方の表面に、光学フィルム4と同一処方、同一方法で低屈折率層及び高屈折率層を形成し、光学フィルム30とした。
光学補償フィルム1を用いた偏光板1の保護フィルムの代わりに前記光学フィルム30を用いて作製した偏光板30を得た。
前記ディスプレイ23の光学補償フィルム1を貼付した偏光板1の代わりに、偏光板30をバックライト側偏光板として用いたTNモード液晶表示装置30の色差、正面輝度はディスプレイ23と同等の優れたものであった。
[集光シートの実施例]
両面に易接着処理を施した厚み25μmの透明PET製の支持体の第一の表面に、光学フィルム4と同一処方、同一方法で低屈折率層及び高屈折率層を形成し、光学フィルム40とした。
光学フィルム40の第二の表面に前記で調製したプリズム層塗布液を乾燥質量で14g/m2となるように塗布し、80℃で1分間乾燥させた後、該プリズム層を、断面形状が頂角110°の二等辺三角形であり、ピッチ(底辺の長さ)50μmのストライプ状にプリズム形状が彫刻された金属の型(金型)に押し当てた。この押し当て状態で、前記支持体の第一の表面側から、高圧水銀灯により露光し、膜を硬化させ、金型から剥離し、プリズムシート40を得た。このプリズムシート40のプリズム形状はプリズムシートCと同じである。
集光方向が鉛直方向となるようにプリズムシート40を配置したTNモード液晶表示装置40は、測定された鉛直方向50°〜80°の平均の光度は正面光度の1.8%であった。
さらにTNモード液晶表示装置40を評価した結果、色差、正面輝度はディスプレイ23と同等の優れたものであった。
10 液晶層
12、14 基板
16、18 偏光子
20 光学補償フィルム
24 保護フィルム
30 バックライト
PL1、PL2 偏光板
LC 液晶セル
40 光学フィルム
41 支持体フィルム
42 低屈折率層
43 高屈折率層
1 プリズムシート
2 支持体
3 第一の表面
4 第二の表面
5 凹凸部
6 不通過部
7 サイドローブ防止部
8 ポジ型感光層
9 白色反射層
80 プリズムシート製造装置
81 シート供給手段
82 塗布手段
83 エンボスロール
84 ニップロール
85 樹脂硬化手段
86 剥離ロール
87 保護フィルム供給手段
88 シート巻取り手段
89 乾燥手段
W 支持体

Claims (10)

  1. バックライト、並びにバックライト側から偏光子及び液晶セルをこの順で少なくとも有する液晶表示装置であって、
    前記バックライトと前記偏光子との間に、バックライト側から、高屈折率層及び低屈折率層の順に配置された屈折率差のある界面が存在し、且つ前記高屈折率層と前記バックライトとの間には、前記高屈折率層と比較して低屈折率の層が存在しない光学フィルムを有し、
    前記高屈折率層の光学膜厚(波長550nm)が530〜580nmであり、且つ前記低屈折率層の光学膜厚(波長550nm)が100〜210nmであることを特徴とする液晶表示装置。
  2. 前記光学フィルムの波長450nmにおける層面の正面方向の透過率(A)と斜め60度方向の透過率(B)との比(A/B)が0.7〜0.99であり、波長550nmにおける層面の正面方向の透過率(C)と斜め60度方向の透過率(D)との比(C/D)が1.1〜1.4であり、透過率(C)が97.5%以上である請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記高屈折率層の屈折率(波長550nm)が、1.5〜2.6である請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
  4. 前記低屈折率層の屈折率(波長550nm)が、1.2〜1.4である請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  5. 前記高屈折率層及び前記低屈折率層の支持体フィルムを、前記低屈折率層と偏光子との間に有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  6. 表示面法線方向(極角0°、方位角0°)と、表示面横方向(極角60°、方位角0°)の色差Δu’v’が0.065未満である請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  7. 支持体フィルムと、その上に、低屈折率層及び高屈折率層をこの順で有し、前記高屈折率層上に高屈折率層よりも低屈折率の層が存在せず、前記高屈折率層の光学膜厚(波長550nm)が530〜580nmであり、且つ前記低屈折率層の光学膜厚(波長550nm)が100〜210nmである光学フィルム。
  8. 波長450nmにおける層面の正面方向の透過率(A)と斜め60度方向の透過率(B)との比(A/B)が0.7〜0.99であり、波長550nmにおける層面の正面方向の透過率(C)と斜め60度方向の透過率(D)との比(C/D)が1.1〜1.4であり、透過率(C)が97.5%以上である請求項に記載の光学フィルム。
  9. 偏光板の保護フィルムが請求項7又は8に記載の光学フィルムである、バックライト側の偏光板。
  10. 請求項7又は8に記載の光学フィルムにおいて、前記低屈折率層及び高屈折率層が形成された支持体フィルムの反対面に、さらに集光機能を有する凹凸が形成された集光シート。
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