JP2003066231A - 偏光ビームスプリッタ - Google Patents

偏光ビームスプリッタ

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JP2003066231A
JP2003066231A JP2001253387A JP2001253387A JP2003066231A JP 2003066231 A JP2003066231 A JP 2003066231A JP 2001253387 A JP2001253387 A JP 2001253387A JP 2001253387 A JP2001253387 A JP 2001253387A JP 2003066231 A JP2003066231 A JP 2003066231A
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light
incident
film
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JP2001253387A
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English (en)
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Masaki Kagawa
正毅 香川
Junichi Iwai
順一 岩井
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 単純な膜構成と少ない積層数により広い帯域
の偏光分離機能を有する安価な偏光ビームスプリッタを
提供する。 【解決手段】 所定の角度をもって入射する入射光L0
の第1の偏光L1を透過させ、入射光L0の第2の偏光
L2を透過方向とは異なる方向に反射する偏光ビームス
プリッタ1において、入射光L0の基準波長550nm
をλ0 とするとき、いずれもλ0 /4とほぼ等しい光学
的厚さの高屈折率層H及び低屈折率層Lとから構成され
る基本構造膜LHLの繰り返し構造(LHL)m (ただ
しmは3〜7の整数)から成る偏光分離膜2と、この偏
光分離膜2の光入射面2A側と光出射面2B側にそれぞ
れ配置され入射光L0の偏光分離膜2への入射角θが4
5度のときに充分な偏光分離が可能なように屈折率が選
定された透明基板3A,3Bとを有する構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の透明基板の
間に偏光分離膜を配置して成る偏光ビームスプリッタに
係わる。
【0002】
【従来の技術】通常の光は、完全な偏光状態でも完全な
無偏光状態でもなく、両者の状態が混在している。その
中から特定の偏光状態を得るために、これまで様々な形
態の偏光子が研究されてきた。
【0003】上述の偏光子としては、例えば結晶の複屈
折を利用する複屈折型偏光子や、高分子の光2色性を利
用する2色性偏光子、S偏光の反射光を利用する反射型
偏光子等がある。
【0004】そして、この種の偏光子の作用を有する光
学素子として、例えば所定の角度をもって入射する入射
光の第1の偏光であるP偏光を透過させ、第2の偏光で
あるS偏光を透過方向とは異なる方向に反射する偏光分
離素子を、透明基板例えばガラス基板で挟むように構成
した偏光ビームスプリッタ(PBS)が知られている。
【0005】この偏光ビームスプリッタ(PBS)に関
する文献は数多く知られており、例えば「光・薄膜技術
マニュアル 増補改訂版」(平成4年、株式会社オプト
ロニクス社発行)の302〜309頁において、偏光ビ
ームスプリッタについて解説がなされている。
【0006】上記文献において、高屈折率材料から成る
高屈折率層と低屈折材料から成る低屈折率層とを交互に
積層することにより構成される薄膜積層型の偏光分離素
子が示されている。そして、この薄膜積層型の偏光分離
素子については、入射光の基準波長550nmをλ0
して、λ0 /4の光学的厚さ(光学膜厚:屈折率×厚
さ)を有する低屈折率層をLと記述し、λ0 /4の光学
的厚さを有する高屈折率層をHと記述するとき、下記
(1)式または(2)式等で示す設計指針を与えてい
る。
【0007】 (HL)m (1) (0.5HL0.5H)m (2) ただし、mは任意の正の整数である。また、0.5H
は、厚さλ0 /4の高屈折率層Hの0.5倍の光学的厚
さ(λ 0 /8)を有する高屈折率層を示す。
【0008】上記各式(1)(2)において、mは通常
4以上に設定される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述の薄膜
積層型の偏光分離素子を用いたビームスプリッタでは、
偏光分離素子に対する入射光の入射角を特定の角度、主
として45度とすることが望ましい。
【0010】しかしながら、この場合、所望の特性を満
たすために、偏光分離素子を構成する多層膜として、3
0層以上に及ぶ膜を形成する必要があり、総膜厚が4μ
m以上と厚くなってしまう。また、高屈折率層及び低屈
折率層の基本的な繰り返しパターンは単純であるが、実
際には事細かに係数をかけて各層の膜厚を微調整しなけ
ればならない。
【0011】このような多層膜は製造が難しく、安価な
供給が不可能であるという不利益がある。また、製造コ
ストも高くなってしまう。
【0012】上述した問題の解決のために、本発明にお
いては、単純な膜構成と少ない積層数により広い帯域の
偏光分離機能を有する安価な偏光ビームスプリッタを提
供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の偏光ビームスプ
リッタは、所定の角度をもって入射する入射光の第1の
偏光を透過させ、入射光の第2の偏光を透過方向とは異
なる方向に反射するものであって、入射光に対して所定
の屈折率を有する光学的に透明な高屈折率層Hと、この
高屈折率層Hを挟むように配置され高屈折率層Hより低
い屈折率の光学的に透明な2層の低屈折率層Lとから成
る基本構造膜LHLを含み、この基本構造膜の繰り返し
構造(LHL)m (ただしmは3〜7の整数)を有する
多層膜から成る偏光分離膜と、この偏光分離膜の光入射
面側と光出射面側にそれぞれ配置された透明基板とを有
し、入射光の基準波長550nmをλ0 とするとき、高
屈折率層H及び低屈折率層Lがいずれもλ0 /4とほぼ
等しい光学的厚さとされ、入射光の偏光分離膜への入射
角が45度のときに、充分な偏光分離が可能なように、
光入射面側の透明基板の屈折率及び光出射面側の透明基
板の屈折率が選定されているものである。
【0014】上述の本発明の偏光ビームスプリッタの構
成によれば、基本構造膜LHLの繰り返し構造(LH
L)m (ただしmは3〜7の整数)を有する多層膜から
成る偏光分離膜の高屈折率層H及び低屈折率層Lがいず
れもλ0 /4とほぼ等しい光学的厚さとされ、入射光の
偏光分離膜への入射角が45度のときに、充分な偏光分
離が可能なように、偏光分離膜の光入射面側と光出射面
側にそれぞれ配置された透明基板の屈折率が選定されて
いることにより、入射光の偏光分離膜への入射角が45
度のときに充分な偏光分離特性を実現することが可能に
なる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明は、所定の角度をもって入
射する入射光の第1の偏光を透過させ、入射光の第2の
偏光を透過方向とは異なる方向に反射する偏光ビームス
プリッタであって、入射光に対して所定の屈折率を有す
る光学的に透明な高屈折率層Hと、この高屈折率層Hを
挟むように配置され高屈折率層Hより低い屈折率の光学
的に透明な2層の低屈折率層Lとから成る基本構造膜L
HLを含み、この基本構造膜の繰り返し構造(LHL)
m (ただしmは3〜7の整数)を有する多層膜から成る
偏光分離膜と、この偏光分離膜の光入射面側と光出射面
側にそれぞれ配置された透明基板とを有し、入射光の基
準波長550nmをλ0 とするとき、高屈折率層H及び
低屈折率層Lがいずれもλ0 /4とほぼ等しい光学的厚
さとされ、入射光の偏光分離膜への入射角が45度のと
きに、充分な偏光分離が可能なように、光入射面側の透
明基板の屈折率及び光出射面側の透明基板の屈折率が選
定されている偏光ビームスプリッタである。
【0016】また本発明は、上記偏光ビームスプリッタ
において、高屈折率層HがTiO2から成り、低屈折率
層LがSiO2 から成り、光入射面側の透明基板の屈折
率及び光出射面側の透明基板の屈折率が共に約1.8と
されている構成とする。
【0017】まず、本発明の具体的な実施の形態に先立
ち、本発明の概要を説明する。本発明においては、入射
光に対して所定の屈折率を有する光学的に透明な高屈折
率層Hと、この高屈折率層Hを挟むように配置され高屈
折率層Hより低い屈折率の光学的に透明な2層の低屈折
率層Lとから成るLHLを基本構造として採用する。高
屈折率層H及び低屈折率層Lは、入射光の基準波長55
0nmをλ0 とするとき、いずれもλ0 /4とほぼ等し
い光学的厚さ(光学膜厚:屈折率×厚さ)とする。
【0018】そして、偏光分離膜を前述の式(1)及び
式(2)に示した構成の代わりに下記の式(3)に示す
構成とする。
【0019】 (LHL)m (3) ただし、mは3以上の整数とする。好ましくはmを3〜
7の範囲の整数として層数があまり多くならないように
する。
【0020】さらに、この偏光分離膜の光入射側及び光
出射側にそれぞれ透明基板を配置して偏光ビームスプリ
ッタを構成する。
【0021】ところで、一般に、偏光ビームスプリッタ
の偏光分離膜は、入射角45度において最善の偏光分離
特性を発揮することが期待されている。
【0022】上述の(LHL)m 型の偏光分離膜を用い
た偏光ビームスプリッタにおいて、透明基板として最も
一般的な屈折率n=1.52の白板ガラス(例えばいわ
ゆるBK7等)を用いた場合には、最善の偏光分離特性
を示す入射角が56度となってしまう。
【0023】この屈折率n=1.52の透明基板を用い
た構成の偏光ビームスプリッタを偏光分離変換素子に適
用した場合、偏光分離膜への入射角を56度とする必要
があることから、偏光分離変換素子の厚さを従来品より
も厚くする必要が生じる。このため、光学系を構成する
他の光学部品との関係が変わってしまい、従来品と互換
性がとれない可能性が高くなる。
【0024】偏光ビームスプリッタの偏光分離膜(PB
S膜)における偏光分離特性の入射角依存性は、特に光
入射側の透明基板の屈折率に支配される。そこで、本発
明では、(LHL)m 型の偏光分離膜を用いた偏光ビー
ムスプリッタにおいて、さらに透明基板の屈折率を選定
して、45度の入射角で充分な偏光分離が可能なよう
に、より好ましくは45度の入射角で最善の偏光分離特
性が得られるようにするものである。
【0025】一般に入手可能な光学ガラスは、上述の屈
折率n=1.52の白板ガラス(BK7)以外にも多様
な特性を持つものが存在し、その屈折率は1.44〜
2.05と広い範囲に及ぶ。
【0026】ここで、(LHL)m 型の偏光分離膜を用
いた偏光ビームスプリッタにおいて、m=4とした場合
の透明基板の屈折率と最適な偏光分離特性を示す入射角
との関係を図1に示す。
【0027】図1より、透明基板の屈折率を高くするに
従って、浅い(小さい)入射角で最適な偏光分離特性を
与えるようになることがわかる。そして、図1より、入
射角45度で最適な偏光分離特性が得られるようにする
ためには、屈折率n=1.8の透明基板を選択すればよ
いことがわかる。このような透明基板としては、例えば
(株)オハラ製のS−LAH52や、HOYA社製のN
bFD12という型番の光学ガラスが該当する。
【0028】続いて、本発明の具体的な実施の形態につ
いて説明する。図2は、本発明の一実施の形態として、
偏光ビームスプリッタの概略構成図(偏光分離膜付近の
拡大図)を示す。この偏光ビームスプリッタ1は、偏光
分離膜2の両側即ち光入射面2A側及び光出射面2B側
にそれぞれ透明基板3(3A,3B)が配置されて構成
されている。
【0029】偏光分離膜2は、上述した低屈折率層L及
び高屈折率層Hによる基本構造膜LHLから成る繰り返
し構造(LHL)m (mは3〜7の整数)により構成さ
れる。
【0030】低屈折率層Lを構成する低屈折率材料とし
ては、例えばSiO2 (n=1.454〜1.473)
やMgF2 (n=1.38)、LiF(n=1.4)、
AlF3 (n=1.4)、Na3 AlF6 (n=1.3
3)等を用いることができる。
【0031】高屈折率層Hを構成する高屈折率材料とし
ては、例えばTiO2 (n=2.35〜2.8)やIT
O(n=1.9)、ZnO(n=1.9)、CeO
2 (n=1.95)、SnO2 (n=1.95)、Al
2 3 (n=1.63)、La23 (n=1.9
5)、ZrO2 (n=2.05)、Y2 3 (n=1.
87)等を用いることができる。
【0032】低屈折率層L及び高屈折率層Hの光学的厚
さは、上述したように、入射光L0の基準波長λ0 =5
50nmに対してλ0 /4=137.5nmとほぼ等し
い光学的厚さとする。即ち低屈折率層Lの材料に例えば
SiO2 (基準波長λ0 でn=1.46)を用いた場合
には、低屈折率層Lの膜厚D1(図3参照)を94.2
nmとする。高屈折率層Hの材料に例えばTiO2 (基
準波長λ0 でn=2.44)を用いた場合には、高屈折
率層Hの膜厚D0(図3参照)を56.4nmとする。
【0033】また、基本構造膜LHLの繰り返し数mは
3〜7の整数とする。このうち、基本構造膜LHLの繰
り返し数mを4とした場合の偏光分離膜2の構成を図3
に示す。
【0034】図3に示すように、この偏光分離膜2は、
光入射面2A側から第1の低屈折率層L1、高屈折率層
H、及び第2の低屈折率層L2からなる基本構造を単純
に4回繰り返して積層した構造を有する。即ち、光入射
面2A側から第1の基本構造膜LHL1、第2の基本構
造膜LHL2、第3の基本構造膜LHL3、及び第4の
基本構造膜LHL4が順番に積層した構造で、基本構造
になんらの補正を加える必要がなく、極めて単純な構成
となっている。
【0035】そして、3層から成る基本構造膜LHLを
4つ積層することから、単純に考察すると12層とな
る。しかし、実際には図3に示すように、第1の基本構
造膜LHL1の第2の低屈折率層L2と第2の基本構造
膜LHL2の第1の低屈折率層L1を共有させるように
同一の層として形成することができる。同様に、第2の
基本構造膜LHL2の第2の低屈折率層L2と第3の基
本構造膜LHL3の第1の低屈折率層L1を共有させる
ように同一の層として形成し、第3の基本構造膜LHL
3の第2の低屈折率層L2と第4の基本構造膜LHL4
の第1の低屈折率層L1を共有させるように同一の層と
して形成することができる。これにより、実際の層数
は、9層となる。
【0036】m=3,5,6,7の場合も、図示しない
が同様にして偏光分離膜2を構成することができる。
【0037】即ち偏光分離膜2の積層数Mは、次式
(4)で与えられる。 M=3m−(m−1)=2m+1 (4)
【0038】そして、図2の構成の偏光ビームスプリッ
タ1においては、次のように偏光分離がなされる。第1
の偏光(例えばP偏光)及び第2の偏光(例えばS偏
光)を含む入射光L0は、透明基板3A内を伝搬され
て、偏光分離膜2の光入射面2Aに到達し、光入射面2
Aに対して所定の入射角θをもって入射する。偏光分離
膜2に入射した光は、偏光分離膜2内を伝搬されてい
く。第1の偏光L1は、偏光分離膜2内を直進して、光
出射面2Bから出射され、さらに透明基板2B内を伝搬
されて出射される。第2の偏光L2は、偏光分離膜2内
で伝搬方向(透過方向)に対して所定角度をもって反射
され、透明基板3A内を伝搬されて出射される。
【0039】尚、第2の偏光L2は、例えば図3に示す
構成の多層膜の途中の層、例えば第2の基本構造膜LH
L2と第3の基本構造膜LHL3との境界である低屈折
率層Lで反射される。
【0040】本実施の形態では、特に透明基板3A及び
3Bは、いずれも屈折率が1.8である構成とする。こ
れにより、図1から、入射光L0の入射角θ=45度と
したときに最善の偏光分離特性が得られるようになる。
【0041】このように透明基板3A及び3Bの屈折率
を1.8とした場合の偏光分離特性として、透過率の波
長分布を図4に示し、反射率の波長分布を図5に示す。
図4及び図5は、入射側の透明基板3A及び出射側の透
明基板3Bが共に屈折率n=1.8であり、かつ繰り返
し数m=4である構成(図3の構成)として計算してい
る。図4及び図5においては、いずれも実線がS偏光、
破線がP偏光の場合を示している。図4及び図5より、
広い波長範囲において良好な偏光分離特性を持つことが
わかる。
【0042】一般に、偏光分離特性は、P偏光の反射率
をRp、S偏光の反射率をRsとしたときに消光比(R
p/Rs)で評価される。図5の場合の消光比の波長分
布を図6に示す。図6より、広い波長範囲で充分小さい
消光比が得られることがわかる。
【0043】ここで、消光比が10%以下である範囲を
充分に偏光分離されている波長領域とみなすとき、図5
の場合について、その有効波長範囲幅と入射角θとの関
係を図7に示す。図7の横軸は45度(標準入射角)を
基準とした入射角θ(度)即ち(θ−45)(度)を示
す。
【0044】図7より、45度(標準入射角)±2度の
範囲で、充分な偏光分離性能を示していることがわか
る。
【0045】ここで、図7に示す有効範囲(標準入射角
±2度)内で最適入射角(本発明の場合には標準入射角
と一致する)からずれたときの例として、入射角θが最
適入射角+1度である場合の反射率Rp,Rs及び消光
比Rp/Rsの波長分布を図8に示す。同様に、有効範
囲ぎりぎりの入射角の例として、入射角θが最適入射角
+1.5度である場合の反射率Rp,Rs及び消光比R
p/Rsの波長分布を図9に示す。同様に、有効範囲以
上に入射角がずれたときの例として、入射角θが最適入
射角+3度である場合の反射率Rp,Rs及び消光比R
p/Rsの波長分布を図10に示す。
【0046】図6〜図8より、入射角θがずれるに従
い、充分な偏光分離特性が得られる波長範囲が狭くなっ
ていくことがわかる。長波長側では消光比の小さい範囲
の限界が短波長側にシフトしていく。短波長側では46
0nm前後の消光比が増大して偏光分離特性が低下して
いく。
【0047】上述の本実施の形態によれば、透明基板3
A,3Bとして屈折率n=1.8のガラスを使用するこ
とにより、入射角45度近傍で最適の偏光分離特性を実
現することができる。これにより、従来の偏光ビームス
プリッタと互換性のある構成の偏光ビームスプリッタ1
を構成することができる。
【0048】また、LHLを基本構造膜としていること
により、単純な膜構成とすることができる。しかも、繰
り返し数mを3〜7としているため、積層数M(=2m
+1)を7〜15と少なくすることができる。
【0049】尚、図1及び図4〜図10に示したデータ
は、いずれも低屈折率層Lの材料としてSiO2 を、高
屈折率層Hの材料としてTiO2 を各々用い、繰り返し
数m=4(9層構造)である場合を想定して、計算によ
り求めたデータである。その他、前述した各種高屈折率
材料及び低屈折率材料の組み合わせにより偏光分離膜2
を構成しても、45度の入射角で最適な偏光分離特性が
得られる透明基板の屈折率nの値が多少変わるものの、
同様の傾向となるものである。
【0050】尚、上述の実施の形態において、高屈折率
層H及び低屈折率層Lの光学的厚さはλ0 /4、透明基
板の屈折率nは1.8とすることが望ましい。しかしな
がら、広い帯域で良好な偏光分離特性が得られるのであ
れば、これらの値(λ0 /4及び1.8)から若干シフ
トしていてもよい。
【0051】上述の実施の形態では、高屈折率層HにT
iO2 を用い、低屈折率層LにSiO2 を用い、透明基
板の屈折率nを1.8とした場合について説明したが、
本発明はこの構成に限定されるものではない。本発明で
は、高屈折率層H及び低屈折率層Lからなる(LHL)
m 構造の偏光分離膜に対して、偏光分離膜を挟む透明基
板の屈折率を選定して、45度の入射角で充分な偏光分
離が可能になるようにすればよい。
【0052】また、本発明を応用することにより、偏光
分離膜を挟む透明基板について、適切な屈折率の材料を
選択して、任意の入射角に対応した偏光ビームスプリッ
タを設計することができる。
【0053】本発明は、上述の実施の形態に限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他
様々な構成が取り得る。
【0054】
【発明の効果】上述の本発明によれば、単純な膜構成と
少ない積層数により広帯域の偏光分離機能を有する安価
な偏光ビームスプリッタを実現することができる。
【0055】また、本発明によれば、入射角45度近傍
で最適の偏光分離特性を得ることが可能となるため、従
来の偏光ビームスプリッタと互換性のある構成とするこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】透明基板の屈折率と最適な偏光分離特性を示す
入射角との関係を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態の偏光ビームスプリッタ
の概略構成図(偏光分離膜付近の拡大図)である。
【図3】基本構造膜の繰り返し数を4とした場合の図2
の偏光分離膜の概略構成図である。
【図4】透明基板の屈折率が1.8である場合の入射光
の波長と透過率との関係を示す図である。
【図5】透明基板の屈折率が1.8である場合の入射光
の波長と反射率との関係を示す図である。
【図6】図5の場合の入射光の波長と消光比との関係を
示す図である。
【図7】図5の場合の入射角と偏光分離特性の有効波長
範囲幅との関係を示す図である。
【図8】入射角が最適入射角+1度である場合の反射率
及び消光比の波長分布を示す図である。
【図9】入射角が最適入射角+1.5度である場合の反
射率及び消光比の波長分布を示す図である。
【図10】入射角が最適入射角+3度である場合の反射
率及び消光比の波長分布を示す図である。
【符号の説明】
1 偏光ビームスプリッタ、2 偏光分離膜、3,3
A,3B 透明基板、L0入射光、L1 第1の偏光、
L2 第2の偏光

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の角度をもって入射する入射光の第
    1の偏光を透過させ、該入射光の第2の偏光を透過方向
    とは異なる方向に反射する偏光ビームスプリッタであっ
    て、 上記入射光に対して所定の屈折率を有する光学的に透明
    な高屈折率層Hと、該高屈折率層Hを挟むように配置さ
    れ該高屈折率層Hより低い屈折率の光学的に透明な2層
    の低屈折率層Lとから成る基本構造膜LHLを含み、該
    基本構造膜の繰り返し構造(LHL)m (ただしmは3
    〜7の整数)を有する多層膜から成る偏光分離膜と、 上記偏光分離膜の光入射面側と光出射面側にそれぞれ配
    置された透明基板とを有し、 上記入射光の基準波長550nmをλ0 とするとき、上
    記高屈折率層H及び上記低屈折率層Lが、いずれもλ0
    /4とほぼ等しい光学的膜厚とされ、 上記入射光の上記偏光分離膜への入射角が45度のとき
    に、充分な偏光分離が可能なように、上記光入射面側の
    上記透明基板の屈折率及び上記光出射面側の上記透明基
    板の屈折率が選定されていることを特徴とする偏光ビー
    ムスプリッタ。
  2. 【請求項2】 上記高屈折率層HがTiO2 から成り、
    上記低屈折率層LがSiO2 から成り、上記光入射面側
    の上記透明基板の屈折率及び上記光出射面側の上記透明
    基板の屈折率が共に約1.8とされていることを特徴と
    する請求項1に記載の偏光ビームスプリッタ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007323073A (ja) * 2006-06-02 2007-12-13 Jds Uniphase Corp ポジティブおよび/またはネガティブcプレートのための薄膜設計
JP2013083922A (ja) * 2011-09-30 2013-05-09 Fujifilm Corp 液晶表示装置及び光学フィルム

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