JP5658716B2 - 上衣 - Google Patents
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Description
この従来の技術によれば、腕の前後左右の運動や肘の屈伸運動の際に上着が身体になじみ、運動性能が良好である、としている。
この従来の技術によれば、アドレス位置およびトップ、フィニッシュ位置で、着用者(ゴルファー)は、スムーズにアドレスおよびスイングを行うことができる、としている。
そのため、この従来技術では、例えば、ゴルフのアドレス姿勢、サイクリング,サイクルスポーツ等での自転車への乗車姿勢、野球,テニス,バレーボール,バトミントンでの相手側の攻撃に対する初期的身構え姿勢に見られるように、運動を開始する基本動作の姿勢(以下、「基本姿勢」という。)が、前傾姿勢で、且つ、両腕を体幹の前方斜め下に出す姿勢であって、当該基本姿勢をとる挙動の際に、肩峰および三角筋を中心とした肩周りに突っ張り感が生じ、スムーズに当該基本姿勢をとることに支障を来たすものであった。
すなわち、上記した前者および後者の従来技術による上衣では、前傾姿勢で、且つ、両腕を体幹の前方で斜め下に出す基本姿勢をとる際の運動機能および当該基本姿勢から次の運動に移行する際の運動機能が未だ満足する構造に至っていないという課題を有するものであった。
請求項1にかかる本発明の上衣では、前袖をセットイン仕様とし、後ろ袖をラグラン仕様とすると共に、袖下の切替えポイントが、矢状軸(人体の前後方向の軸)の方向で見て、身頃部の脇線よりも体幹の前面側に近い位置に配置されるようにパターンを設定することによって、袖部は、体幹の前方、つまり、前身頃の前方で斜め下に突き出る態様となる。そのため、運動を開始する基本姿勢として、前傾姿勢で且つ両腕を体幹の前方斜め下に出す姿勢をスムーズにとることが可能となっている。すなわち、上衣の着用者が前傾姿勢で且つ両腕を体幹の前方で斜め下に出す基本姿勢をとる際に、腕の動きに上衣の袖および身頃の動きが追従することができるため、従来の技術のように、身頃が袖に引っ張られて上腕および前椀を動かすときの抵抗となることもない。
この場合、身頃部は前傾姿勢をとるため、この上衣では、後ろ身頃の着丈を前身頃よりも長くすることで、上衣を着用した際の後ろ身頃のズレ上がりによる背中の露出が防止され、反対に、前身頃の着丈は後ろ身頃の着丈よりも短くなっているため、上衣を着用した際の前身頃のダブツキも解消される。
さらに、この上衣では、身頃部と袖部が縫着される縫着位置(袖付け線)を、前額軸方向(人体の左右方向の軸)で見て、両肩の肩峰よりも内側に配置し、それと共に、前袖が両肩の肩峰および三角筋前部を包み込み、後ろ袖が三角筋後部を包み込むようにパターンを形成することによって、肩の関節部分(特に、前肩部位)に、袖部と身頃部の縫着部位によるストレスが掛からないようにしているので、肩関節の可動域を狭めることもなく、肩周りの運動を阻害することがない。そのため、この上衣の着用者は、運動を開始する基本姿勢から次の動作への移行もスムーズに行うことが可能な運動機能に優れたものとなっている。
請求項2にかかる本発明の上衣は、請求項1にかかる発明に従属する発明であって、前袖および後ろ袖は、前額軸方向(人体の左右方向の軸)で見て、袖部の袖口側が正中矢状面側(前記前身頃の内側)に位置するように、袖刳り側から袖口側にかけて弓弧状に湾曲され、且つ、後ろ袖の長さは、前袖の長さよりも長くなる分量に形成され、袖部の肘の高さが、腕の肘頭よりも高い位置となるように設定されていることを特徴とする、上衣である。
請求項2にかかる本発明の上衣では、前袖および後ろ袖が、前額軸方向(人体の左右方向の軸)で見て、袖部の袖口側が正中矢状面側(前記前身頃の内側)に位置するように、袖刳り側から袖口側にかけて弓弧状に湾曲するようにパターンが設定されているため、上記基本姿勢での肘の曲げ動作をスムーズに行うことが可能となっている。また、後ろ袖の長さが前袖の長さよりも長くなる分量に形成されているので、後ろ袖は前袖の動きに効果的に順応する。そして、前袖および後ろ袖は、それらの協働作用により、肩峰および三角筋をより一層効果的に包み込むように配設されるため、この上衣では、肘および肩周りの運動を阻害することがない。さらに、袖部の肘の高さが、腕の肘頭よりも高い位置となるように設定されているため、この上衣では、上記基本動作を行う際の肘部周りのストレスが掛からず、肘の突っ張り感および引っ掛り感が解消されるものとなっている。
請求項3にかかる本発明の上衣は、請求項1にかかる発明に従属する発明であって、身頃部と袖部の袖下との接合部に袖部の可動域を広げるための脇下襠部を含むことを特徴とする、上衣である。
請求項3にかかる本発明の上衣では、身頃部と袖部の袖下との接合部に脇下襠部が配設されているので、袖部の可動域を広げることが可能となっている。そのため、この上衣では、体幹前面での腕の曲げ伸ばしに起因する体幹後ろ面側のストレスおよび腕の上げ下ろしに起因する袖部の脇下に掛かるストレスを吸収することができ、肩および腕の動きに対する袖部および身頃部の追従性、つまり、自由度が優れたものとなっている。
すなわち、前身頃および前身頃よりも着丈の長い後ろ身頃を有する身頃部と、セットイン仕様の前袖およびラグラン仕様の後ろ袖を有し、袖下の切替えポイントが、矢状軸(人体の前後方向の軸)の方向で見て、身頃部の脇線よりも体幹の前面側に近い位置に配置される袖部とを含み、身頃部と袖部が縫着される縫着位置は、前額軸方向で見て、両肩の肩峰よりも内側に位置するように形成され、さらに、前袖は両肩の肩峰および三角筋前部を包み込み、後ろ袖は三角筋後部を包み込むように形成されるパターンを形成することによって、本発明にかかる上衣では、身頃部が前傾姿勢となり、且つ、袖部が前身頃の前方で斜め下に突き出る姿勢となる。
この実施の形態にかかる上衣10は、図1の(A),(B)(C)に示すように、主として、上衣本体12と、上衣本体12に縫着された袖部14および襟部16で構成され、上衣本体12、袖部14および襟部16は、布,織物等の生地で形成されている。
身頃部18は、図1の(B)に示すように、たとえば前額面に対しての傾斜角度が10°〜20°の範囲に設定されるのが好ましく、10°〜15°の範囲に設定されるのがさらに好ましいものとなっている。この実施の形態では、例えば、裾線(Bottom Line)BLの略中央部とショルダーポイントSPを結ぶ直線が、前額軸(Frontal Line)FL−FLに対して傾斜している角度θ1を、通常の上衣に対する身頃部18の傾斜角度(前傾角度)としている。
この実施の形態にかかる上衣10では、たとえば図1および図2に示すように、左前袖28f,左後ろ袖28bおよび左脇袖28sが、それらの袖幅方向の側端縁に沿って縫着されることにより、筒状の左袖部28が形成され、同様に、右前袖30f,右後ろ袖30bおよび右脇袖30sが、それらの袖幅方向の側端縁に沿って縫着されることにより、筒状の右袖部30が形成される。
同様に、袖部14の右袖部30の袖下の切替え線と袖刳り(アームホール)AHとの接点(交点)が、矢状軸方向(人体の前後方向の軸)で見て、身頃部18の脇線32よりも体幹の前面側に近い位置に配置されるように、右袖部30のパターンが設定されている。
この実施の形態では、例えば、身頃部18の左右のサイドネックポイントSNPを結ぶ直線が、身頃部18の左側のサイドネックポイントSNPと左側のショルダーポイントSPとを結ぶ直線、および、身頃部18の右側のサイドネックポイントSNPと右側のショルダーポイントSPとを結ぶ直線に、それぞれ、交差する角度θ2を、左袖部28および右袖部30を正中矢状面側(前身頃の内側)に向ける角度としている。
なお、右袖部30が前身頃20の前方で且つ斜め下方に突き出る角度は、上記した左袖部28と同様である。
なお、上衣10の左半身(左身)における右脇下襠部44の構成も、上記した左脇下襠部42の構成と同様である。
したがって、この上衣10では、運動を開始する基本姿勢として、前傾姿勢で且つ両腕を体幹の前方斜め下に出す姿勢をスムーズにとることができる。つまり、上衣10の着用者が前傾姿勢で且つ両腕を体幹の前方で斜め下に出す基本姿勢をとる際に、腕の動きに上衣10の袖部14および身頃部18の動きを追従させることができる。そのため、従来の技術のように、身頃部18が袖部14に引っ張られて上腕および前椀を動かすときの抵抗となることを防止することができる。この上衣10では、身頃部18は前傾姿勢をとるため、後ろ身頃22の着丈を前身頃20よりも長くすることで、上衣10を着用した際の後ろ身頃22のズレ上がりによる背中の露出が防止される。反対に、前身頃20の着丈は後ろ身頃22の着丈よりも短くなっているため、上衣を着用した際の前身頃20のダブツキも解消することができる。
したがって、この上衣10の着用者は、肩関節の可動域を狭めることがなく、肩周りの運動を阻害されることもない。すなわち、この上衣10は、運動を開始する基本姿勢から次の動作への移行もスムーズに行うことができる運動機能に優れたものとなっている。
12 上衣本体
14 袖部
16 襟部
18 身頃部
20 前身頃
22 後ろ身頃
24 左前身頃
26 右前身頃
28 左袖部
28f 左前袖
28b 左後ろ袖
28s 左脇袖
30 右袖部
30f 右前袖
30b 右後ろ袖
30s 右脇袖
32 脇線
32Up,34Cp 接点(交点)
33 擬似脇線
34 袖下の切替え線
36 左袖口
38 右袖口
40 ダーツ部
42 左脇下襠部
42f 左脇下前襠部
42b 左脇下後ろ襠部
44 右脇下襠部
44b 右脇下後ろ襠部
AH アームホール
BL 裾線
SP ショルダーポイント
Ac 肩峰
FL−FL 前額軸(Frontal Line)
SNP サイドネックポイント
θ1 身頃部の傾斜角度(前傾角度)
θ2 袖部を正中矢状面側(前身頃の内側)に向ける角度
θ3 袖部が前身頃(体幹)の前方で且つ斜め下方に突き出る角度
Claims (3)
- 前身頃と前記前身頃よりも着丈の長い後ろ身頃を有する身頃部、および
セットイン仕様の前袖とラグラン仕様の後ろ袖を有し、袖下の切替えポイントが、矢状軸方向で見て、前記身頃部の脇線よりも体幹の前面側に近い位置に配置される袖部を含み、
前記身頃部と前記袖部が縫着される縫着位置は、前額軸方向で見て、両肩の肩峰よりも内側に位置するように形成され、
前記前袖は前記両肩の肩峰および三角筋前部を包み込み、前記後ろ袖は三角筋後部を包み込むように形成されていることを特徴とする、上衣。 - 前記前袖および前記後ろ袖は、前額軸方向で見て、前記袖部の袖口側が正中矢状面側に位置するように、袖刳り側から袖口側にかけて弓弧状に湾曲され、且つ、前記後ろ袖の長さは、前記前袖の長さよりも長くなる分量に形成され、
前記袖部の肘の高さが、腕の肘頭よりも高い位置となるように設定されていることを特徴とする、請求項1に記載の上衣。 - 前記身頃部と前記袖部の前記袖下との接合部に前記袖部の可動域を広げるための脇下襠部を含むことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の上衣。
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