JP5655439B2 - 光配向性の新規な液晶配向剤、及び新規なジアミン化合物 - Google Patents

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本発明は、光配向性の新規な液晶配向剤に関する。
現在、液晶表示素子の液晶配向膜としては、ポリアミド酸などのポリイミド前駆体や可溶性ポリイミドの溶液を主成分とする液晶配向処理剤(液晶配向剤とも云う)をガラス基板等に塗布して焼成した、いわゆるポリイミド系の液晶配向膜が主として用いられている。
液晶配向膜は、液晶の配向状態を制御する目的で使用されるが、液晶表示素子の高精細化に伴い、液晶表示素子のコントラスト低下の抑制や残像現象の低減といった要求から、使用される液晶配向膜においては、電圧保持率が高いことや、直流電圧を印加した際の残留電荷が少ない、及び/又は直流電圧により蓄積した残留電荷の緩和が早いという特性が次第に重要となっている。
一方、液晶配向膜は、多くの場合、電極基板上に形成された液晶配向剤からの得られるポリマー被膜を、レーヨンなどを素材とする布によって圧力をかけて擦る、いわゆるラビング処理が施される。しかし、ラビング処理の過程において、ポリマー被膜の一部が剥離したり、液晶配向膜の表面にラビング処理に伴う傷が生じたりする、いわゆる膜削れと呼ばれる問題が発生する場合があり、これらの問題は、液晶表示素子の特性を低下させ、更には歩留まりの低下を招く原因の一つとされている。
ラビング処理に変わる別の方法として、ポリマー被膜に偏光又は非偏光の紫外線を照射する光配向と呼ばれる方法がある(例えば、特許文献1参照)。この方法で使用される液晶配向膜のポリマーには、一般的に、シンナメート、クマリン、アゾベンゼンなどの光反応性基が導入されている。この方法では、ラビンク処理にともなう上記した膜削れなどの問題が発生しない。
また、液晶を配向させる別の方法として、液晶パネルを作製後、液晶分子に電界を印加しながら紫外線を照射する方法がある。この方法では、予め、液晶組成物中に光重合性化合物を添加するのが一般的である(例えば、特許文献2参照)。また、上記の光照射による配向と同様に、液晶配向膜のポリマーに光反応性基を導入する方法も知られている(例えば、非特許文献1参照)
特開2003−114437号公報 特開2003−307720号公報 SIDダイジェスト(Society of Information, Digest)2010年、メタノール(144g)、595頁
本発明は、液晶配向膜を形成するポリマーが光照射による配向性を有する新規な液晶配向剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、光反応性基としてウラシル、又はチミン(5−メチルウラシルとも言う。)を有する新規なジアミン化合物を使用するポリイミド前駆体及び/又は該ポリイミド前駆体から得られるポリイミドを含有する液晶配向剤が優れた特性を有することを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成するに至った。
本発明は以下に記載する要旨を有するものである。
1.ジアミン化合物とテトラカルボン酸誘導体とを反応させて得られるポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、及び/又はポリイミドを含有する液晶配向剤であって、上記ジアミン化合物が、下記式[1]又は、下記式[2]で表されるジアミン化合物のいずれかを含有することを特徴とする液晶配向剤。
Figure 0005655439
(式中、Rは単結合、−CH−、又は−CHCH−を表し、Rは単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、−N(CH)−、−CON(CH)−、又は−N(CH)CO−を表し、Rは単結合、非置換又はフッ素原子によって置換されている炭素数1〜20のアルキレンを表し、Rは水素原子、又は、非置換又はフッ素原子によって置換されている炭素数1〜20のアルキル基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。なお、上記アルキレン中及び上記アルキル基中の任意の−CH−は、−CF−、1,2−エテニレン、又はエチニレンで置き換えられていてもよく、また、互いに隣り合わないように次に挙げるいずれかの基により置き換えられてもよい。;−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、−N(CH)−、−CON(CH)−、−N(CH)CO−、炭素環、複素環。)
2.上記式[1]又は、上記式[2]で表されるいずれかのジアミン化合物を、全ジアミン化合物中、5〜100モル%含有される上記1に記載の液晶配向剤。
3.ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、及びポリイミドの合計含有量が、2〜20重量%である上記1又は2に記載の液晶配向剤。
Figure 0005655439
本発明によれば、光反応性基としてウラシル、又はチミン(5−メチルウラシルとも言う。)を有する新規なジアミン化合物を使用するポリイミド前駆体及び/又は該ポリイミド前駆体から得られるポリイミドを含有する新規な液晶配向剤が提供される。
〔ジアミン化合物〕
本発明のジアミン化合物は、上記の式[1]又は式[2]で表される。
式[1]及び式[2]中、ベンゼン環における二つのアミノ基(−NH)の結合位置は限定されない。具体的には、側鎖の結合基に対して、ベンゼン環上の2,3の位置、2,4の位置、2,5の位置、2,6の位置、3,4の位置、又は3,5の位置が挙げられる。なかでも、ポリアミック酸を合成する際の反応性の点から、2,4の位置、2,5の位置、又は3,5の位置が好ましい。ジアミン化合物を合成する際の容易性も加味すると、2,4の位置、又は3,5の位置がより好ましい。
式[1]及び式[2]中のRは、好ましくは、合成の容易性から、単結合又は−CH−である。
式[1]及び式[2]中のRは、通常の有機合成的手法で形成させることが出来るが、合成の容易性の点から、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、又は−NH−が好ましい。
式[1]及び式[2]中のRは、好ましくは、炭素数1〜6のアルキレン、1,4−フェニレン、単結合である。
また、炭素環、又は複素環としては、具体的には、以下のような例が挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 0005655439
Figure 0005655439
式[1]及び式[2]中のRは、好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基である。また、垂直配向用の液晶配向剤の原料として用いる場合には、垂直配向性を高めるために、直鎖状の炭素数1〜20のアルキル基、又は以下のような炭素環を含む構造が好ましい。
炭素環、複素環の具体例は、Rで示した具体例と同じである。垂直配向用の液晶配向剤の原料として用いる場合には、垂直配向性を高めるために、直鎖状の炭素数1〜20のアルキル基、又は、以下のような炭素環を含む構造が好ましい。
Figure 0005655439

また、式[1]及び式[2]中のRは水素原子又はメチル基である。
式[1]又は式[2]で表されるジアミン化合物の中でも、下記の式[3]〜[5]のジアミン化合物は、比較的容易に合成できるため、特に好ましい化合物である。
Figure 0005655439
[特定ジアミンの合成方法]
前記式[1]で表されるジアミン化合物を合成する方法は特に限定されないが、例えば下記式[6]で表されるジニトロ化合物を合成し、次いで、該ジニトロ化合物のニトロ基を還元してアミノ基に変換することで得ることができる。式[6]中のR〜Rは、式[1]のR〜Rの定義と同じである。
Figure 0005655439
式(6)で表わされるジニトロ化合物のニトロ基を還元する方法には特に制限はないが、例えば、パラジウムー炭素、酸化白金、ラネーニッケル、白金黒、ロジウムーアルミナ、硫化白金炭素、還元鉄、塩化鉄、スズ、塩化スズ、亜鉛などを触媒として用い、酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アルコール系溶剤、水などの溶媒中、水素ガス、ヒドラジン、塩化水素、塩化アンモニウムなどによって還元する方法がある。
また、式[6]中のR、又はRに非芳香族不飽和結合を含む場合には、非芳香族不飽和結合が水素化されない還元反応を用いることができる。非芳香族不飽和結合が水素化されなければ、その方法に特に制限はないが、例えば、還元鉄、塩化鉄、スズ、塩化スズ、亜鉛などを触媒として用い、酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アルコール系溶剤、水などの溶媒中、ヒドラジン、塩化水素、塩化アンモニウムなどによって還元する方法がある。
式[6]のR、R及びRが全て単結合である場合に、式[6]のジニトロ化合物を得る方法は、対応するジニトロフェニル基含有ハロゲン置換誘導体と、Rを含むウラシル誘導体とをアルカリ存在下で反応させる方法が挙げられる。ここで、Rを導入する段階はジニトロフェニル基含有化合物とウラシル構造を有する化合物を反応させる前でも、反応させた後でもよいが、副生成物の生成を避けることを優先する場合には、反応前に導入するか、あるいは、Rの導入されるウラシル構造の窒素原子をtert−ブトキシカルボニル基などの保護基で保護した状態で反応を行い、その後に導入するほうが好ましく、一方、合成上の簡便性を優先する場合には反応後に導入するほうが好ましい。
式[6]のR及びRが共に単結合でない場合に、式[6]のジニトロ化合物を得る方法は、Rを含むジニトロフェニル基含有化合物に対して、Rを介して、Rを結合させる方法が挙げられる。
式[6]のRが単結合でない場合には、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、−N(CH)−、−CON(CH)−、及び−N(CH)CO−より選ばれる結合基であり、これらの結合基は通常の有機合成化学的手法で形成させることができる。
例えば、式[6]のRが−O−の場合は、対応するジニトロフェニル基含有ハロゲン置換体、あるいはジニトロフェニル基含有スルホナート基置換体と、R、及びRを含むウラシル構造を有する水酸基置換体とをアルカリ存在下で反応させる方法、又はジニトロフェニル基含有水酸基置換体と、R、及びRを含むウラシル構造を有するハロゲン又はスルホナート置換誘導体とをアルカリ存在下で反応させる方法などが挙げられる。
式[6]のRが−NH−、又は−N(CH)−の場合は、対応するジニトロフェニル基含有ハロゲン基置換体、あるいはジニトロフェニル基含有スルホナート基置換体と、R、及びRを含むウラシル構造を有するアミノ基置換体とをアルカリ存在下で反応させる方法、又はジニトロフェニル基含有アミノ基置換体と、R、及びRを含むウラシル構造を有するアミノ基置換体とをアルカリ存在下で反応させる方法などが挙げられる。
式[6]のRが−CONH−、又は−CON(CH)−の場合は、対応するジニトロフェニル基含有酸クロリドと、R、及びRを含むウラシル構造を有するアミノ基置換体とをアルカリ存在下で反応させる方法、又は対応するジニトロフェニル基含有カルボン酸と、R、及びRを含むウラシル構造を有するアミノ基置換体とを脱水縮合剤存在下で反応させる方法などが挙げられる。
式[6]のRが−NHCO−、又は−N(CH)CO−の場合は、対応するジニトロフェニル基含有アミノ基置換体と、R、及びRを含むウラシル構造を有する酸クロリド体とをアルカリ存在下で反応させる方法、又は対応するジニトロフェニル基含有アミノ基置換体と、R、及びRを含むウラシル構造を有するカルボン酸とを脱水縮合剤存在下で反応させる方法などが挙げられる。
式[6]のRが−COO−の場合は、対応するジニトロフェニル基含有酸クロリドと、R、及びRを含むウラシル構造を有する水酸基置換体とをアルカリ存在下で反応させる方法、又は対応するジニトロフェニル基含有カルボン酸と、R及びRを含むウラシル構造を有する水酸基置換体とを脱水縮合剤存在下で反応させる方法などが挙げられる。
式[6]のRが−OCO−の場合は、対応するジニトロフェニル基含有水酸基置換体と、R及びRを含むウラシル構造を有する酸クロリド体とをアルカリ存在下で反応させる方法、又は対応するジニトロフェニル基含有水酸基置換体と、R及びRを含むウラシル構造を有するカルボン酸とを脱水縮合剤存在下で反応させる方法が挙げられる。
上記のように、Rを含むジニトロフェニル基含有化合物に対して、Rを介して、Rを結合させる場合に、Rを導入する段階はジニトロフェニル基含有化合物とウラシル構造を有する化合物を反応させる前でも、反応させた後でもよいが、副生成物の生成を避けるために、反応前に導入するか、あるいは、Rの導入されるウラシル構造の窒素原子をtert−ブトキシカルボニル基などの保護基で保護した状態で反応を行い、その後に導入することが好ましい。
式[6]のR及びRが共に単結合でない場合に、式[6]のジニトロ体を得る方法の別の方法として、R、R、及びRを含むジニトロフェニル基含有化合物に対して、RにRを含むウラシル構造を有する化合物を直接、結合させる方法が挙げられる。
この方法の具体的な例としては、R、R、及びRを含むジニトロフェニル基含有ハロゲン又はスルホナート置換体と、Rを含むウラシル構造を有する化合物をアルカリ存在下で反応する方法などが挙げられる。
また、ウラシル基と結合するRの炭素原子がエテニレン基、又はフェニレン基などのsp混成炭素原子、あるいはエチニレン基などのsp混成炭素原子の場合は、R、R、及びRを含むジニトロフェニル基含有ハロゲン又はスルホナート置換体と、Rを含むウラシル構造を有する化合物をパラジウム触媒とアルカリの存在下で反応する方法、又は、R、R、及びRを含むジニトロフェニル基含有ホウ酸とRを含むウラシル構造を有する化合物を銅触媒存在下で反応するなどが挙げられる。
上記のように、R、R、及びRを含むジニトロフェニル基含有化合物に対して、Rに直接、Rを含むウラシル構造を有する化合物を結合させる場合に、Rを導入する段階は、ジニトロフェニル基含有化合物とウラシル構造を有する化合物とを反応させる前でも、反応させた後でもよいが、副生成物の生成を避けるために、反応前に導入するか、あるいは、Rの導入されるウラシル構造の窒素原子をtert−ブトキシカルボニル基などの保護基で保護した状態で反応を行い、その後に導入することが好ましい。
ウラシル構造の窒素原子上にRを結合させる方法は、特に制限されないが、たとえば、ウラシル構造を有する化合物と、Rのハロゲン又はスルホナート置換体とをアルカリ存在下で反応する方法が挙げられる。
また、ウラシル構造と結合するRの炭素原子がエテニレン基、又はフェニレン基などのsp混成炭素原子、あるいはエチニレン基のようなsp混成炭素原子の場合は、ウラシル構造を有する化合物と、Rのハロゲン又はスルホナート置換体とをパラジウム触媒とアルカリの存在下で反応する方法、又は、ウラシル構造を有する化合物と、Rのホウ酸誘導体とを銅触媒存在下で反応する方法などが挙げられる。
一方、前記式[2]で表されるジアミン化合物を合成する方法は特に限定されないが、例えば下記式[7]で表されるジニトロ化合物を合成し、次いで、該ジニトロ化合物のニトロ基を還元してアミノ基に変換することで得ることができる。式[7]中のR〜Rは、式[2]のR〜Rの定義と同じである。
Figure 0005655439
式[7]で表される該ジニトロ化合物のニトロ基を還元する方法は、特に制限はなく、式[6]で表されるニトロ基を還元する方法で例示したものと同様の方法を用いることができる。
式[7]のジニトロ体を得る方法に特に制限はなく、式[6]のジニトロ体を得る方法において、ウラシル構造上のR及びRの位置が交換されたウラシル構造を有する化合物を用いる以外は、式[6]のジニトロ体を得る方法において、例示した方法を用いることができる。
[液晶配向剤]
本発明の液晶配向剤は、上記の式[1]及び上記式[2]で表されるジアミン化合物のいずれかを含有するジアミン化合物と、テトラカルボン酸誘導体と、を反応させて得られるポリイミド前駆体、及び/又はポリイミドを含有する。
以下に、ジアミン化合物を含むジアミン化合物と反応させるテトラカルボン酸誘導体について説明する。
[テトラカルボン酸誘導体]
テトラカルボン酸誘導体の好ましい例は、下記の式[8]〜[10]のいずれかで表される。
Figure 0005655439
上記テトラカルボン酸誘導体のうち、式[8]で表されるテトラカルボン酸無水物とジアミンとを反応させることで、ポリアミック酸が得られる。また、式[9]で表されるテトラカルボン酸ジエステルジクロリド、又は、式[10]で表されるテトラカルボン酸ジエステルとジアミンとを反応させることでポリアミック酸エステルが得られる。そして、ポリイミドは、かかるポリアミック酸あるいはポリアミック酸エステルをイミド化することにより合成することができる。
式[9]及び式[10]中、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。アルキル基の具体的例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、2−プロピル基、ブチル基、t−ブチル基が挙げられる。一般に、ポリアミック酸エステルは、その有するアルキル基の炭素数が増えるに従ってイミド化が進行する温度が高くなる。従って、該アルキル基は、熱によるイミド化のしやすさの点から、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
式[8]〜[10]中、Xは4価の有機基であり、特に限定されるものではない。Xの好ましい具体例としては、以下に示す(X−1)〜(X−46)が挙げられる。
Figure 0005655439
Figure 0005655439
Figure 0005655439
Figure 0005655439
[その他のジアミン化合物]
本発明の液晶配向剤を得る場合、本発明の効果を損なわない限りにおいて、ジアミン成分として、上記特定のジアミン化合物以外の下記式[11]で表されるその他のジアミン化合物を併用することができる。
Figure 0005655439
式[11]中、Yは2価の有機基であり、特に限定されるものではない。Yの好ましい具体例を示すならば、(Y−1)〜(Y−97)が挙げられる。
Figure 0005655439
Figure 0005655439
Figure 0005655439
Figure 0005655439
Figure 0005655439
Figure 0005655439
Figure 0005655439
Figure 0005655439
Figure 0005655439
Figure 0005655439
Figure 0005655439
Figure 0005655439
[ポリイミド前駆体1(ポリアミック酸)の合成]
ポリアミック酸(以下、ポリマーともいう)は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物(以下、モノマーともいう)との縮重合反応により合成することができる。
Figure 0005655439
具体的には、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを有機溶媒存在下で−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜12時間反応させることによって合成することができる。
上記の反応に用いる溶媒は、モノマー及び得られるポリマーの溶解性からN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。反応系におけるポリマーの濃度は、ポリマーの析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという点から、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
上記のようにして得られたポリアミック酸は、反応溶液をよく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、ポリマーを析出させて回収することができる。また、析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥することで精製されたポリアミック酸の粉末を得ることができる。貧溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、ブチルセロソルブ、アセトン、トルエンなどが挙げられる。
[ポリイミド前駆体2(ポリアミック酸エステル)の合成]
ポリアミック酸エステルは、以下に示す(A)〜(C)のいずれかの方法で合成することができる。
(A)ポリアミック酸からポリアミック酸エステルを合成する場合
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンから得られるポリアミック酸をエステル化することによって合成することができる。
Figure 0005655439
具体的には、ポリアミック酸とエステル化剤を有機溶剤の存在下で−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜4時間反応させることによって合成することができる。
エステル化剤としては、精製によって容易に除去できるものが好ましく、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジプロピルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジネオペンチルブチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジ−t−ブチルアセタール、1−メチル−3−p−トリルトリアゼン、1−エチル−3−p−トリルトリアゼン、1−プロピル−3−p−トリルトリアゼンなどが挙げられる。エステル化剤の添加量は、ポリアミック酸の繰り返し単位1モルに対して、2〜6モル当量が好ましい。
上記の反応に用いる溶媒は、ポリマーの溶解性からN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。合成時の濃度は、ポリマーの析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという点から、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
(B)テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンからポリアミック酸エステル合成する場合
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンから合成することができる。
Figure 0005655439
具体的には、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンとを塩基と有機溶剤の存在下で−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜4時間反応させることによって合成することができる。
前記塩基には、ピリジン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジンが使用できるが、反応が穏和に進行するためにピリジンが好ましい。塩基の添加量は、除去が容易な量で、かつ高分子量体が得やすいという点から、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドに対して、2〜4倍モルであることが好ましい。
上記の反応に用いる溶媒は、モノマー及びポリマーの溶解性からN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。合成時の濃度は、ポリマーの析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという点から、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。また、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドの加水分解を防ぐため、ポリアミック酸エステルの合成に用いる溶媒はできるだけ脱水されていることが良く、窒素雰囲気中で、外気の混入を防ぐのが好ましい。
(C)テトラカルボン酸ジエステルとジアミンからポリアミック酸を合成する場合
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンを縮合剤により縮合することにより合成することができる。
Figure 0005655439
具体的には、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンを縮合剤、塩基、有機溶剤の存在下で0℃〜150℃、好ましくは0℃〜100℃において、30分〜24時間、好ましくは3〜15時間反応させることによって合成することができる。
前記縮合剤には、トリフェニルホスファイト、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N'−カルボニルジイミダゾール、ジメトキシ−1,3,5−トリアジニルメチルモルホリニウム、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、(2,3−ジヒドロ−2−チオキソ−3−ベンゾオキサゾリル)ホスホン酸ジフェニルなどが使用できる。縮合剤の添加量は、テトラカルボン酸ジエステルに対して2〜3倍モルであることが好ましい。
前記塩基には、ピリジン、トリエチルアミンなどの3級アミンが使用できる。塩基の添加量は、除去が容易な量で、かつかつ高分子量体が得やすいという点から、ジアミン成分に対して2〜4倍モルであることが好ましい。
また、上記反応において、ルイス酸を添加剤として加えることで反応が効率的に進行する。ルイス酸としては、塩化リチウム、臭化リチウムなどのハロゲン化リチウムが好ましい。ルイス酸の添加量はジアミン成分に対して0〜1.0倍モルであることが好ましい。
上記3つのポリアミック酸エステルの合成方法の中でも、高分子量のポリアミック酸エステルが得られるため、(A)及び(B)の合成法が特に好ましい。
以上のようにして得られるポリアミック酸エステルの溶液は、よく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、ポリマーを析出させることができる。析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥して精製されたポリアミック酸エステルの粉末を得ることができる。貧溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、ブチルセロソルブ、アセトン、トルエンなどが挙げられる。
[ポリイミド前駆体の分子量]
ポリイミド前駆体の分子量は、ワニスの粘度や、ポリイミド膜の物理的な強度に影響を与える。ワニスの良好な塗布作業性や塗膜の良好な均一性を得るという点からは重量平均分子量で500,000以下が好ましく、十分な強度のポリイミド膜を得るという点からは2,000以上が好ましい。同様の点で、より好ましくは2,000〜300,000であり、さらに好ましくは、5,000〜100,000である。ポリイミド前駆体の分子量は、前記重合反応に用いるジアミン成分とテトラカルボン酸誘導体の比率を調整することで制御できる。この比率としてはモル比で1:0.7〜1.2を例示することができる。このモル比が1:1に近いほど得られるポリイミド前駆体の分子量は大きくなる。
[ポリイミドの合成]
本発明のポリイミドは、前記ポリイミド前駆体をイミド化することにより合成することができる。ポリイミド前駆体からポリイミドを合成する簡便で好ましい方法としては、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応で得られた前記ポリアミック酸の溶液に触媒を添加する化学的イミド化であり、比較的低温でイミド化反応が進行し、イミド化の過程で重合体の分子量低下が起こりにくいので好ましい。
化学的イミド化は、イミド化させたい重合体を、有機溶媒中において塩基性触媒と酸無水物の存在下で攪拌することにより行うことができる。有機溶媒としては前述した重合反応時に用いる溶媒を使用することができる。塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミンなどを挙げることができる。中でもピリジンは反応を進行させるのに適度な塩基性を持つので好ましい。また、酸無水物としては無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などを挙げることができ、中でも無水酢酸を用いると反応終了後の精製が容易となるので好ましい。
イミド化反応を行うときの温度は−20〜200℃、好ましくは0〜180℃であり、反応時間は1〜100時間で行うことができる。塩基性触媒の量はアミック酸基の0.5〜30モル倍、好ましくは2〜20モル倍であり、酸無水物の量はアミック酸基の1〜50モル倍、好ましくは3〜30モル倍である。得られる重合体のイミド化率は、触媒量、温度、反応時間を調節することで制御することができる。イミド化反応後の溶液には、添加した触媒などが残存しているので、以下に述べる手段により、得られたイミド化重合体を回収し、有機溶媒で再溶解して、本発明の液晶配向剤とすることが好ましい。
上記の方法で得られるポリイミドの溶液は、よく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、ポリマーを析出させることができる。析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥することで、精製されたポリイミドの粉末を得ることができる。貧溶媒は、ポリマーを析出させるものであれば特に限定されないが、メタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼンなどが挙げられる。
[液晶配向剤]
本発明の液晶配向剤は、上記のようにして得られたポリイミド前駆体及び/又はポリイミド(以下、これらをポリマー成分ともいう。)を含有するワニス状の溶液であり、これから液晶配向膜を形成するのに用いられる。
本発明の液晶配向剤は、2種類以上のポリイミド前駆体や2種類以上のポリイミドを含有していてもよく、ポリイミド前駆体とポリイミドの両方を含有していてもよい。更には、液晶配向剤は、本発明のポリイミド前駆体又は本発明のポリイミド以外のポリマーを含有してもよい。
本発明の液晶配向剤の最も単純な構成例としては、上記のポリイミド前駆体及び/又はポリイミドのポリマー成分と、これを溶解させるための有機溶媒からなる組成物が挙げられる。この組成物は、ポリイミド前駆体又はポリイミドを合成した際の反応溶液そのものであってもよく、この反応溶液を後述する溶媒で希釈したものであっても構わない。また、ポリイミド前駆体又はポリイミドを粉末として回収した場合は、これを有機溶媒に溶解させて、ポリマー溶液としたものであっても構わない。
ポリイミド前駆体又はポリイミドの粉末を有機溶媒に溶解させる場合のポリマー成分の濃度は10〜30質量%が好ましく、10〜15質量%が特に好ましい。また、これらを溶解させる際に加熱してもよい。加熱温度は、20℃〜150℃が好ましく、20℃〜80℃が特に好ましい。
ポリイミド前駆体又はポリイミドを溶解させるための有機溶媒としては、ポリマー成分が均一に溶解するものであれは特に限定されない。あえて、その具体例を挙げるならば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドなどを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。また、単独ではポリマー成分を均一に溶解できない溶媒であっても、重合体が析出しない範囲であれば、上記の有機溶媒に混合してもよい。
本発明の液晶配向剤の溶媒成分は、ポリマー成分を溶解させるための有機溶媒の他に、液晶配向剤を基板へ塗布する際の塗膜均一性を向上させるための溶媒を含有してもよい。このような溶媒は、一般的に上記の有機溶媒よりも低表面張力の溶媒が用いられる。その具体例を挙げるならば、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコール、2−(2−エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステルなどが挙げられる。これらの溶媒は2種類上を併用してもよい。
本発明の液晶配向剤中のポリマー濃度は、形成する液晶配向膜の厚みによって適宜変更することができるが、均一で欠陥のない塗膜を形成させるという点からは1質量%以上であることが好ましく、溶液の保存安定性の点からは10質量%以下とすることが好ましい。その他、本発明の液晶配向剤にはシランカップリング剤や架橋剤などの各種添加剤を含有してもよい。
シランカップリング剤は、液晶配向剤が形成される基板と、そこに形成される液晶配向膜との密着性を向上させる目的で添加される。以下にその具体例を挙げるが、本発明の液晶配向剤に使用可能なシランカップリング剤はこれに限定されるものではない。
3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシランなどのアミン系シランカップリング剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシランなどのビニル系シランカップリング剤;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ系シランカップリング剤;3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどのメタクリル系シランカップリング剤;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリル系シランカップリング剤;3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのウレイド系シランカップリング剤;ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィドなどのスルフィド系シランカップリング剤;3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシランなどのメルカプト系シランカップリング剤;3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランなどのイソシアネート系シランカップリング剤;トリエトキシシリルブチルアルデヒドなどのアルデヒド系シランカップリング剤;トリエトキシシリルプロピルメチルカルバメート、(3−トリエトキシシリルプロピル)−t−ブチルカルバメートなどのカルバメート系シランカップリング剤。
シランカップリング剤の添加量は、未反応のものが液晶配向性に悪影響を及ぼさず、かつ密着性の効果が現れるという点から、ポリマー成分に対して0.01〜5.0質量%が好ましく、0.1〜1.0質量%がより好ましい。シランカップリング剤を添加する場合は、ポリマーの析出を防ぐため、前記した塗膜均一性を向上させるための溶媒を加える前に添加するのが好ましい。
[液晶配向膜]
上記のようにして得られた液晶配向剤を基板に塗布し、乾燥、焼成して得られた塗膜であり、必要に応じてこの塗膜面に既知の配向処理をする。本発明の液晶配向剤を塗布する基板としては透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、窒化珪素基板、アクリル基板やポリカーボネート基板などのプラスチック基板などを用いることができ、液晶駆動のためのITO電極などが形成された基板を用いることがプロセスの簡素化の点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では片側の基板のみにならばシリコンウエハーなどの不透明な物でも使用でき、この場合の電極はアルミニウムなどの光を反射する材料も使用できる。
本発明の液晶配向剤の塗布方法としては、スピンコート法、印刷法、インクジェット法などが挙げられる。本発明の液晶配向剤を塗布した後の乾燥、焼成工程は、任意の温度と時間を選択することができる。通常は、含有される有機溶媒を十分に除去するために50℃〜120℃で1分〜10分乾燥させ、その後150℃〜300℃で5分〜120分焼成される。焼成後の塗膜の厚みは、特に限定されないが、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、5〜300nm、好ましくは10〜200nmである。液晶を水平配向、又は傾斜配向させる場合は、焼成後の塗膜をラビング、又は光配向処理される。
[液晶表示素子]
上記した手法により本発明の液晶配向剤から液晶配向膜付き基板を得た後、既知の方法で液晶セルを作製し、液晶表示素子としたものである。
液晶セルの製造方法は特に限定されないが、一例を挙げるならば、液晶配向膜が形成された1対の基板を液晶配向膜面を内側にして、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜10μmのスペーサーを挟んで設置した後、周囲をシール剤で固定し、液晶を注入して封止する方法が一般的である。液晶封入の方法については特に制限されず、作製した液晶セル内を減圧にした後液晶を注入する真空法、液晶を滴下した後封止を行う滴下法などが例示できる。
液晶セルを製造する別の方法としては、液晶配向剤を2枚の基板上に塗布して液晶配向層を形成し、この液晶配向層が対向するように2枚の基板を配置し、この2枚の基板の間に液晶層を狭持し、液晶層に電界を印加しながら紫外線を照射することで作製する方法が挙げられる。用いられる基板は、透明性の高い基板であれば特に限定されないが、通常は、基板上に液晶を駆動するための透明電極が形成された基板であり、電極パターンや突起パターンが設けられた基板を用いても良い。液晶セルの片側基板に1〜10μmのライン/スリット電極パターンを形成し、対向基板にはスリットパターンや突起パターンを形成していない電極構造のものを用いると、製造時のプロセスを簡略化でき、高い透過率を得ることができるため好ましい。
上記の液晶配向層とは、液晶を配向させる為の樹脂膜であり、前記の液晶配向剤を用いて形成される基板上に液晶配向層を形成する工程は、前記[液晶配向膜]で記載した塗布方法及び塗布した後の焼成方法が適用できる。
液晶層に電界を印加しながら紫外線を照射する工程は、例えば基板上に設置されている電極間に電圧をかけることで液晶層に電界を印加し、この電界を保持したまま紫外線を照射する方法が挙げられる。ここで、電極間にかける電圧としては、例えば、5〜30Vp−p、好ましくは、5〜20Vp−pである。紫外線の照射量は、例えば1〜60J,好ましくは、40J以下であり、紫外線が少ないほうが、液晶表示素子を構成する部材の破壊の原因となる信頼性低下を抑制でき、かつ紫外線照射時間を選らせることで製造効率が上がるので好適である。
以下、本発明の実施例によりさらに具体的に説明するが、これらに限定して解釈されるものではない。以下に本実施例で行った分子量の各測定方法を示す。
[分子量]
ポリマーの分子量はGPC(常温ゲル浸透クロマトグラフィー)装置によって測定し、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド換算値として数平均分子量を算出した。
GPC装置:昭和電工社製(GPC−101)
カラム:昭和電工社製(KD803、KD805の直列)
カラム温度:50℃
溶離液:N,N−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・HO)が30mmol/L(リットル)、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフランが10mL/L)
流速:1.0mL/分
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(重量平均分子量(Mw) 約900,000、150,000、100,000、30,000)、及び、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(ピークトップ分子量(Mp) 約12,000、4,000、1,000)。測定は、ピークが重なるのを避けるため、900,000、100,000、12,000、1,000の4種類を混合したサンプル、及び150,000、30,000、4,000の3種類を混合したサンプルの2サンプルを別々に測定した。
以下に使用した化合物の略号を示した。
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
THF:テトラヒドロフラン
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
BCS:エチレングリコールモノブチルエーテル
CBDA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
APC18:2,4−ジアミノ−1−オクタデシルオキシベンゼン
[ジアミン化合物[3][5]の合成]
<実施例1> ジアミン化合物:1−(2,4−ジアミノフェニル)−3−メチルチミンの合成
Figure 0005655439
以下に示す3ステップの経路でジアミン化合物[3]を合成した。
第1ステップ:1−(2,4−ジニトロフェニル)チミンの合成
Figure 0005655439
2,4−ジニトロフルオロベンゼン(26.6g、143mmol)、DMF(500mL)、及びトリエチルアミン(29.9mL、215mmol)の混合物を70℃に加熱した溶液に、DMF(100mL)に溶解させたチミン(16.0g、143mmol)を1時間かけて滴下した。70℃で2時間反応させた後、減圧下でDMF(420g)を留去し、残った溶液を水(500mL)へ注いだ。
析出した固体を吸引ろ過により回収し、水(300mL)で3回洗浄した。得られた個体に1,2−ジクロロエタン200gを加え、70℃に加熱して溶解させ、室温まで放冷した後、30分間静置した。析出した固体を吸引ろ過で回収し、1,2−ジクロロエタン(50g×1)、及び、1,2−ジクロロエタン/酢酸エチル=1/1(50g)で洗浄し、40℃で4時間減圧乾燥を行うことで、1−(2,4−ジニトロフェニル)チミン(26.8g)を黄色固体として得た(収率66%)。
第2ステップ:1−(2,4−ジニトロフェニル)−3−メチルチミンの合成
Figure 0005655439
1−(2,4−ジニトロフェニル)チミン(23.1g、82.9mmol)、炭酸カリウム(17.2g、124mmol)、DMF(127mL)、及びヨウ化メチル(11.5g、100mmol)の混合物を2時間、室温で反応させた後、固体を吸引ろ過で除き、減圧下でDMFを留去した。そこへ、酢酸エチル(250mL)を加え、水/飽和食塩水=1/1の混合液(100mL)で4回、及び飽和食塩水(100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過により硫酸マグネシウムを除き、溶媒を減圧下留去し、40℃で4時間減圧乾燥を行うことで、1−(2,4−ジニトロフェニル)−3−メチルチミン(22.6g)を黄色固体として得た(収率89%)。
第3ステップ:1−(2,4−ジアミノフェニル)−3−メチルチミンの合成
Figure 0005655439
1−(2,4−ジニトロフェニル)−3−メチルチミン(20.2g、65.9mmol)、及びエタノール(329mmol)の混合物を脱気し、窒素雰囲気として、塩化第一スズ(125g、659mmol)を加え、2時間加熱還流を行い、室温まで放冷し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1.4L)をゆっくりと加えた。吸引ろ過により固体を除き、約500gの水/エタノール混合溶媒を減圧留去し、酢酸エチル(100mL×10)で抽出し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過により硫酸マグネシウムを除き、溶媒を減圧下留去し、40℃で4時間減圧乾燥を行うことで、1−(2,4−ジアミノフェニル)−3−メチルチミン(12.1g)を紫色固体として得た(収率60%)。
<実施例2> ジアミン化合物(4):1−{4−(2,4−ジアミノフェニノキシ)フェニル}−3−ヘプチルチミンの合成
Figure 0005655439
以下に示す6ステップの経路でジアミン化合物[4]を合成した。
第1ステップ:1−tert−ブトキシカルボニルチミンの合成
Figure 0005655439
チミン(25.3g、226mmol)、アセトニトリル(1.13L)、二炭酸ジ−tert−ブチル(49.3g、226mmol)、及び4−(N、N−ジメチルアミノ)ピリジン(0.254g、2.26mmol)の混合物を室温で24時間攪拌した後、溶媒を減圧留去し、真空下乾燥することで1−tert−ブトキシカルボニルチミン(45.3g)を白色固体として得た(収率87%)。
第2ステップ:1−tert−ブトキシカルボニル−3−ヘプチルチミンの合成
Figure 0005655439
1−tert−ブトキシカルボニルチミン(28.7g、127mmol)、DMF(190mL)、1−ブロモヘプタン(23.9g、133mmol)、及び炭酸カリウム(26.4g、191mmol)の混合物を室温で17時間攪拌した後、水(1.9L)に注ぎ、30分間攪拌した。析出した固体を吸引ろ過により回収し、水(100mL)で2回洗浄し、60℃で3時間真空下で乾燥することで1−tert−ブトキシカルボニル−3−ヘプチルチミン(37.6g)を白色固体として得た(収率95%)。
第3ステップ:3−ヘプチルチミンの合成
Figure 0005655439
1−tert−ブトキシカルボニル−3−ヘプチルチミン(37.1g、114mmol)、メタノール(228mL)、及び炭酸カリウム(7.90g、57.2mmol)の混合物を室温で18時間攪拌した後、メタノールを減圧留去し、水(200mL)を加え、酢酸エチル(250mL)で3回抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過により硫酸マグネシウムを除き、溶媒を減圧下留去し、40℃で2時間減圧乾燥を行うことで、3−ヘプチルチミン(25.6g)を無色油状物として得た(収率100%)。
第4ステップ:4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)フェニルボロン酸の合成
Figure 0005655439
マグネシウム(削り節状)(24.3g、97.2mmol)とヨウ素の結晶を2粒(任意量)にTHF(10mL)を加え、室温で1分ほど攪拌した後、4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ブロモベンゼン(25.0g、97.2mmol)のTHF溶液(THF40.0mL)をゆっくり加え、窒素雰囲気下、室温で5分間攪拌し2時間還流させ、室温に戻すことでグリニャール試薬を調製した。別の4口フラスコにトリエチルボレート(31.3g、292mmol)、THF(600mL)を加え、窒素置換した後、−15℃まで冷却した。
調製したグリニャール試薬を0℃に冷却し、キャヌラを用いて30分かけてトリエチルボレートのTHF溶液に滴下した。滴下終了後0℃を保ったまま1時間反応させると灰色の固体が析出した。
そこに塩化アンモニウム水溶液(10重量%、150mL)を加え、室温で16時間攪拌した。酢酸エチル(200mL)を加え、しばらく攪拌し、有機層を抽出し、水、及び飽和食塩水にて洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過により硫酸マグネシウムを除き、溶媒を減圧下留去すると薄ピンク色の固体が得られた。これを酢酸エチルとヘキサン1:10(体積比)の混合溶媒にて再結晶することで4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)フェニルボロン酸(18.3g)を白色固体として得た(収率83%)。
第5ステップ:1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヘプチルチミンの合成
Figure 0005655439
200mL4口フラスコに、3−ヘプチルチミン(14.9g、62.7mmol)、4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)フェニルボロン酸(11.6g、52.2mmol)、酢酸銅(8.20g、104mmol)、モレキュラーシーブス3Å(15g)、及び脱水ジクロロエタン(100mL)を加え、乾燥空気を送りながら2日間激しく攪拌した。反応終了後、酢酸銅やモレキュラーシーブスなどの固形物をろ過により除き、ろ液に酢酸エチル(100mL)を加え、水(100mL×5)、及び飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過により硫酸マグネシウムを除き、溶媒を減圧下留去すると赤褐色の粘体が得られた。
これに酢酸エチルとヘキサン1:10(体積比)の混合溶媒にて再結晶することにより1−[4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)フェニル]−3−ヘプチルチミン(12.3g)を白色固体として得た。これをTHF(100mL)に溶解させ1N塩酸水溶液を加え、窒素雰囲気下60℃で3時間攪拌した。その後、炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて反応溶液のpHを4〜5にした後、酢酸エチル(100mL)を加え、水(100mL×5)、及び飽和食塩水にて洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過により硫酸マグネシウムを除き、溶媒を減圧下留去し、真空下40℃で乾燥することで1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヘプチルチミン(9.6g)を薄黄色の粘体として得た(59%)。
第6ステップ:1−{4−(2,4−ジニトロフェノキシ)フェニル)−3−ヘプチルチミンの合成
Figure 0005655439
200mL4口フラスコに、1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヘプチルチミン(5.28g、28.4mmol)、2,4−ジニトロフルオロベンゼン(9.0g、28mmol)、及びTHF(100mL)を加え、最後にトリエチルアミン(3.5g、34mmol)をゆっくり加え、室温で1日攪拌した。薄層クロマトグラフィーにて原料の消失を確認した後、溶媒を減圧留去し、酢酸エチル(100mL)を加え、水(100ml×10)、及び飽和食塩水にて洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過により硫酸マグネシウムを除き、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:2体積比)にて精製し、溶媒を減圧下留去し、真空下40℃で乾燥することで1−{4−(2,4−ジニトロフェノキシ)フェニル)−3−ヘプチルチミン(12.0g)を薄黄色のガラス状固体として得た。(収率87%)
第7ステップ:1−{4−(2,4−ジアミノフェノキシ)フェニル)−3−ヘプチルチミンの合成
Figure 0005655439
200mL4口フラスコに1−{4−(2,4−ジニトロフェノキシ)フェニル)−3−ヘプチルチミン(10.0g、20.7mmol)、酸化白金(1.0g)、及び1、4−ジオキサンを加え、系内を水素雰囲気にした後、室温で1日激しく攪拌した。反応終了後、酸化白金をろ別し、溶媒を減圧留去し、酢酸エチルとヘキサン1:10(体積比)の混合溶媒にて再結晶することで1−{4−(2,4−ジアミノフェノキシ)ブチル}−3−ヘプチルチミン(8.4g)を白色繊維状固体として得た(収率97%)。
<実施例3> ジアミン化合物(5):1−{4−(2,4−ジアミノフェノキシ)ブチル}−3−ヘプチルチミンの合成
Figure 0005655439
以下に示す6ステップの経路でジアミン化合物[5]を合成した。
第1ステップ:4−(2,4−ジニトロフェノキシ)ブタノールの合成
Figure 0005655439
2,4−ジニトロフルオロベンゼン(18.6g、100mmol)、トルエン(100mL)、1,4−ブタンジオール(45.1g、500mmol)、及びトリエチルアミン(12.1g、120mmol)の混合物を100℃に加熱し21時間反応させ、減圧下でトルエンを留去し、酢酸エチル(500mL)を加え、水(250mL)で1回、水(150mL)で2回、及び、飽和食塩水(150mL)で洗浄した。その後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過により硫酸マグネシウムを除き、溶媒を減圧下留去し、40℃で4時間減圧乾燥を行うことで、4−(2,4−ジニトロフェノキシ)ブタノール(19.8g)を黄色油状物として得た(収率77%)。
第2ステップ:メタンスルホン酸4−(2,4−ジニトロフェノキシ)ブチル の合成
Figure 0005655439
4−(2,4−ジニトロフェノキシ)ブタノール(18.0g、70.1mmol)、ジクロロメタン(175mL)、及びトリエチルアミン(24.3mL、175mmol)の混合物を0℃に冷却し、メタンスルホニルクロリド(9.63g、84.7mmol)を加え、そのまま0℃で1時間撹拌した後、室温で15時間撹拌した。析出物をセライトろ過で除き、ろ液を減圧留去し、水(150mL)を加え、酢酸エチル(150mL×3)で抽出し、有機相を飽和食塩水(150mL)で洗浄した。
次いで、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過により硫酸マグネシウムを除き、溶媒を減圧下留去し、40℃で4時間減圧乾燥を行うことで、メタンスルホン酸4−(2,4−ジニトロフェノキシ)ブチル(24.5g)を黄色油状物として得た(収率>99%)。
第3ステップ〜第5ステップは、実施例2における第1ステップ〜第3ステップと同様にして、3−ヘプチルチミンを合成した。
第6ステップ:1−{4−(2,4−ジニトロフェノキシ)ブチル}−3−ヘプチルチミンの合成
Figure 0005655439
メタンスルホン酸4−(2,4−ジニトロフェノキシ)ブチル(22.3g、66.7mmol)、DMF(166mL)、3−ヘプチルチミン(15.0g、66.7mmol)、及び炭酸カリウム(13.8g、100mmol)を加え、80℃で20時間撹拌した。その後、反応溶液に酢酸エチル(1L)を加え、水(500mL×3)、及び、飽和食塩水(500mL×1)で洗浄し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過により硫酸マグネシウムを除き、溶媒を減圧下留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1,2−ジクロロエタン/酢酸エチル=9/1、Rf=0.38)で精製し、溶媒を減圧留去し、60℃で5時間真空乾燥を行うことで、1−{4−(2,4−ジニトロフェノキシ)ブチル}−3−ヘプチルチミン(21.7g)を黄色油状物として得た(収率70%)。
第7ステップ:1−{4−(2,4−ジアミノフェノキシ)ブチル}−3−ヘプチルチミンの合成
Figure 0005655439
1−{4−(2,4−ジニトロフェノキシ)ブチル}−3−ヘプチルチミン(21.7g、46.8mmol)、1,4−ジオキサン(188mL)、及び5%−パラジウム/炭素(2.17g)の混合物を脱気し、水素雰囲気下、室温で69時間撹拌した。その後、セライトろ過により固形物を除き、溶媒を減圧留去し、残渣にトルエン60mLを加え、90℃で加熱溶解させ、熱いうちにろ過し、溶液を室温で24時間静置した。析出した固体を吸引ろ過で回収し、40℃で5時間真空乾燥することで、1−{4−(2,4−ジアミノフェノキシ)ブチル}−3−ヘプチルチミン(12.4g)を茶色粉末として得た(収率66%)。
[ポリアミドの合成]
<実施例4> ポリアミドPA−A[アジピン酸クロリド/ジアミン(3)]の合成
ジアミン化合物(3)(1.00g、4.06mmol)をNMP(8.0mL)に溶解し、ピリジン(0.78mL)を加え、0℃に冷却し、アジピン酸クロリド(0.729g、3.98mmol)を加えた。0℃で4時間撹拌後、室温で24時間撹拌した。その後、反応溶液にNMP(18.7mL)を加え、水(144mL)に注ぎ、ポリマーを析出させた。析出したポリマーを吸引ろ過で回収し、水(144g)で1回、メタノール(144g)で1回、メタノール(36g)で3回洗浄し、40℃で6時間真空乾燥することで、ポリアミドPA−Aを黄色粉末として得た(1.05g)。ポリマーの数平均分子量は5,204であった。
<実施例5> ポリアミドPA−B[アジピン酸クロリド/ジアミン(5)]の合成
ジアミン化合物(5)(0.800g、1.99mmol)をNMP(8.9mL)に溶解し、ピリジン(0.38mL)を加え、0℃に冷却し、アジピン酸クロリド(0.373g、1.97mmol)を加え、室温に戻し4時間撹した。その後、反応溶液にNMP(9.9mL)を加え、水(102mL)に注ぎ、ポリマーを析出させた。析出したポリマーを吸引ろ過で回収し、水(102g×1)、メタノール(102g×1、25g×3)で洗浄し、40℃で6時間真空乾燥することで、ポリアミドPA−Bを紫色粉末として得た(0.87g)。ポリマーの数平均分子量は5,948であった。
[ポリアミドワニスPAの調製]
<実施例6> ポリアミドワニスPA−A−1の調製
ポリアミドA(0.97g)をNMP(8.74g)に溶解し、BCS(2.43g)を加え、8重量%のポリアミドワニスPA−A−1とした。
<実施例7> ポリアミドワニスPA−B−1の調製
ポリアミドB(0.18g)をNMP(1.59g)に溶解し、BCS(0.44g)を加え、8重量%のポリアミドワニスPB−B−1とした。
[ポリアミック酸PAAの合成]
<実施例8> ポリアミック酸PAA−A[CBDA/ジアミン(1)(90)、APC18(10)]の合成
ジアミン(1)(0.66g、2.7mmol)、APC18(0.11g、0.30mmol)をNMP(5.45mL)に溶解し、CBDA(0.59g、3.0mmol)を加え、室温で17時間反応させ、ポリアミック酸Aを合成した。ポリマーの数平均分子量は6,865であった。
<実施例9> ポリアミック酸PAA−B[CBDA/ジアミン(2)(90)、APC18(10)]の合成
ジアミン(2)(0.76g、1.8mmol)、APC18(0.075g、0.20mmol)をNMP(4.9mL)に溶解し、CBDA(0.38g、2.0mmol)を加え、室温で18時間反応させ、ポリアミック酸Bを合成した。ポリマーの数平均分子量は13,753であった。
<実施例10> ポリアミック酸PAA−C[CBDA/ジアミン(3)(90)、APC18(10)]の合成
ジアミン(3)(0.98g、2.4mmol)、APC18(0.10g、0.30mmol)をNMP(6.4mL)に溶解し、CBDA(0.53g、0.99mmol)を加え、室温で18時間反応させ、ポリアミック酸Cを合成した。ポリマーの数平均分子は量14,571であった。
[ポリアミック酸ワニスの調製]
<実施例11> ポリアミック酸ワニスPAA−A−1の調製
20重量%のPAA−AのNMP溶液(4.48g)に、NMP(7.22g)、BCS(2.94g)を加え、6重量%のポリアミック酸ワニスPAA−A−1を調製した。
<実施例12> ポリアミック酸ワニスPAA−B−1の調製
20重量%のPAA−BのNMP溶液(4.90g)に、NMP(3.92g)、BCS(2.44g)を加え、8重量%のポリアミック酸ワニスPAA−B−1を調製した。
<実施例13> ポリアミック酸ワニスPAA−C−1の調製
18重量%のPAA−CのNMP溶液(4.30g)に、NMP(6.15g)、BCS(2.61g)を加え、6重量%のポリアミック酸ワニスPAA−C−1を調製した。
[液晶セルの作製と評価]
<実施例14>
実施例11で調製したポリアミック酸ワニスPAA−A−1を、画素サイズが100×300ミクロンで、ライン/スペースがそれぞれ5ミクロンのITO電極パターンが形成されているITO電極基板のITO面にスピンコートした。80℃で90秒間、さらに160℃で60分間加熱し、膜厚100nmの液晶配向膜を作製した。また、同様のポリアミック酸ワニスPAA−A−1を、電極パターンが形成されていないITO面にスピンコートし、80℃で90秒間、さらに160℃で60分間加熱し、膜厚100nmの液晶配向膜を作製した。これらの2枚の基板の一方の液晶配向膜面上に、6μmのビーズスペーサーを散布した後、その上からシール剤を印刷した。ここへ、他方の基板を液晶配向膜面を内側にして張り合わせた後、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに液晶MLC−6608(メルク社製商品名)を減圧注入法によって注入し、液晶セルを作製した。
この液晶セルに、電圧±4V、周波数1kHzの矩形波を印加した際の、液晶パネルの輝度の時間変化をオシロスコープにて取り込んだ。電圧印加前の輝度を0%、電圧を印加し、飽和した時の輝度を100%として、輝度が10%〜90%まで変化する時間を応答速度として測定した。その結果、800msであった。
次に、この液晶セルに20Vp−pの電圧を印加した状態で、液晶セルの外側から紫外光を20J照射した。その後、再び応答速度を測定した。その結果を190msであり、応答速度の向上が確認された。
<実施例15>
ポリアミック酸ワニスPAA−B−1を用いて実施例14と同様の手法で応答速度を測定した。その結果、初期の応答速度は770ms、紫外光照射後の応答速度は160msであり、応答速度の向上が確認された。
<実施例16>
ポリアミック酸ワニスPAA−C−1を用いて実施例14と同様の手法で応答速度を測定した。その結果、初期の応答速度は760ms、紫外光照射後の応答速度は57msであり、応答速度の向上が確認された。
本発明で提供される光配向性の液晶配向剤は、紫外光を使用して作製する液晶ディスプレイなどの液晶表示素子に広く使用される。また、本発明で提供される新規なジアミン化合物は、上記光配向性の液晶配向剤を構成する、ポリアミド、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステルなどして原料モノマー、更には、自動車部品、家電製品分野で広く使用される、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなどの高分子物質材料の原料モノマーとして広く使用される。

Claims (3)

  1. ジアミン化合物とテトラカルボン酸誘導体とを反応させて得られるポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、及び/又はポリイミドを含有する液晶配向剤であって、上記ジアミン化合物が、下記式[1]又は、下記式[2]で表されるジアミン化合物のいずれかを含有することを特徴とする液晶配向剤。
    Figure 0005655439

    Figure 0005655439
    (式中、Rは単結合、−CH−、又は−CHCH−を表し、Rは単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、−N(CH)−、−CON(CH)−、又は−N(CH)CO−を表し、Rは単結合、非置換又はフッ素原子によって置換されている炭素数1〜20のアルキレンを表し、Rは水素原子、又は、非置換又はフッ素原子によって置換されている炭素数1〜20のアルキル基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。なお、上記アルキレン中及び上記アルキル基中の任意の−CH−は、−CF−、1,2−エテニレン、又はエチニレンで置き換えられていてもよく、互いに隣り合わないように次に挙げるいずれかの基により置き換えられてもよい;−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、−N(CH)−、−CON(CH)−、−N(CH)CO−、炭素環、複素環。)
  2. 上記式[1]又は、上記式[2]で表されるいずれかのジアミン化合物を、全ジアミン化合物中、5〜100モル%含有される請求項1に記載の液晶配向剤。
  3. ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、及びポリイミドの合計含有量が、2〜20質量%である請求項1又は2に記載の液晶配向剤。
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