JP5651443B2 - 回路付ラベル - Google Patents
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こうしたICラベルは、セキュリティーの保持を念頭に置き、それぞれの材料が強度を有した壊れ難いものから構成されており、貼付後にラベルを剥がすことは想定していない。反面、例えば、引用文献2〜4のように、破壊しやすい基材上に電子回路(特にアンテナ部)を形成することで、これを用いたラベルを使用した後に剥がそうとするとアンテナ部が切断、破断することから、不正な開封や剥離を検地できるとするラベルも提案されている。
同様に引用文献3のデータキャリア、および引用文献4の脆弱ラベルもまた、回路の破断を実施するためにそれぞれラベルの基材の面方向、または厚み方向にミシン目、切り込み、隙間等を設けることを要件としている。
しかしこうした追加の加工は、用いる刃の切れ味の低下等の問題に伴って確実に回路の破断を実施することが困難になる傾向があり、またその際に電気回路まで変形を受けて元より使用不能となることから、歩留まりが低下しやすいといった問題点があった。また精密なミシン目や切り込みの形成のために、回路付きラベルの製造において工程数は確実に多くなることから、総じてその単価が高くなるといった問題点があった。
即ち本発明は、基材層(A)、脆性な易破壊層(B)、電気回路(C)、および感圧接着剤層(D)を含み、この順に積層してなる回路付ラベルであって、基材層(A)と易破壊層(B)と感圧接着剤層(D)のそれぞれの層において易破壊層(B)の凝集力が最も小さく、且つ感圧接着剤層(D)を、電気回路(C)上に部分的に設け、更に易破壊層(B)上に電気回路(C)を形成する前に易破壊層(B)上に裏印刷(G)を施し、該裏印刷(G)は回路付ラベルを剥離した後に視認可能となすことを特徴とする回路付ラベルに関するものである。
また本発明の別様態では、基材層(A)、脆性な易破壊層(B)、電気回路(C)、感圧接着剤層(D)、および糊殺し(E)を含み、この順に積層してなる回路付ラベルであって、基材層(A)と易破壊層(B)と感圧接着剤層(D)のそれぞれの層の凝集力が、(A)>(D)>(B)の関係にあり、且つ糊殺し(E)を、感圧接着剤層(D)上に部分的に設け、更に易破壊層(B)上に電気回路(C)を形成する前に易破壊層(B)上に裏印刷(G)を施し、該裏印刷(G)は回路付ラベルを剥離した後に視認可能となすことを特徴とする回路付ラベルに関するものである。
基材層(A)が、熱可塑性樹脂、ならびに無機微細粉末および有機フィラーの少なくとも一方を3〜50重量%含み、易破壊層(B)の無機微細粉末および有機フィラーの少なくとも一方の含有量よりも8重量%以上少ない樹脂フィルム層であり、その凝集力が50〜15000g/cm幅であることが好ましく、
感圧接着剤層(D)が、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤よりなる群より選ばれた少なくとも一つの粘着剤を含み、その凝集力が20〜1000g/cm幅であることが好ましい。
脆性な易破壊層(B)に用いる熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましい。
回路付ラベルの基材層(A)側表面には、印刷(F)を設けても良く、
回路付ラベルの感圧接着剤層(D)側表面に、剥離紙(H)を設けても良い。
本発明の回路付ラベルは、基材層(A)、脆性な易破壊層(B)、電気回路(C)、および感圧接着剤層(D)を含み、この順に積層してなるものである。
基材層(A)は回路付ラベルにおいてそれ自体の強度が高く、(A)層を持って引き剥がしたときに、それ自体は破壊しないものである。
また基材層(A)は、回路付ラベルを被着体に貼付している際に最外層となるものであり、その表面に更に印刷等を施し、目視で情報を提供するラベルとしての機能を有するものである。またその強度の高さから、回路付ラベルを成形する際に強度を担保する支持体としての機能をも有するものである。
基材層(A)は、強度、耐水性、耐久性を有する紙材、樹脂フィルム等を採用しうるが、電気回路(C)の保護等の観点から熱可塑性樹脂からなる層であることが好ましい。
無機微細粉末としては、粒径が通常0.01〜15μm、好ましくは0.01〜8μm
、更に好ましくは0.03〜4μmのものを使用する。具体的には、炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナなどの微細粉末を使用することができる。
また基材層(A)における無機微細粉末および有機フィラーの含有量は、後述する易破壊層(B)の無機微細粉末および有機フィラーの含有量よりも8重量%以上少ないことが好ましく、10重量%以上少ないことがより好ましい。
上記範囲内であれば基材層(A)に隠蔽性を付与しつつ、基材層(A)の強度を後述する易破壊層(B)や感圧接着剤層(D)と比べて高く保持し得る。
その結果、基材層(A)はその凝集力は50〜15000g/cm幅であることが好ましく、100〜12000g/cm幅であることがより好ましい。
ただし易破壊層(B)と接する側の層を層(A1)としたとき、少なくとも同層(A1)の無機微細粉末および有機フィラーの含有量は、上記同様に易破壊層(B)よりも8重量%以上少ないことが好ましく、10重量%以上少ないことがより好ましい。
易破壊層(B)は本発明の回路付ラベルを構成する層の中でそれ自体の凝集力が最も弱く、(A)層を持って引き剥がしたときに、容易にそれ自体が凝集破壊する層である。従ってラベルを剥離する際に、(B)層の凝集破壊が同層内部で起こり、引き剥がした(A)層側と感圧接着剤層(D)側にそれぞれ(B)層の分離したものが追随する。
易破壊層(B)の形成手法には様々な手法があるが、易破壊層(B)に熱可塑性樹脂ならびに無機微細粉末および有機フィラーの少なくとも一方を含有させることにより、同層(B)の凝集力を低下させてより安定した剥離性を得ることが可能であり、本発明ではこの手法に従う。
。易破壊層(B)の無機微細粉末および有機フィラーの少なくとも一方の含有量が20重量%未満では十分な剥離性が得られず、75重量%を越えては同層の成形安定性が損なわれる。
その結果、易破壊層(B)は、その凝集力が5〜150g/cm幅であることが好ましく、10〜140g/cm幅であることがより好ましい。
電気回路(C)は、本発明の回路付ラベルにおいて、無線でデータの送受信を行うアンテナを含むものである。電気回路(C)は易破壊層(B)表面に直接設けられるものであり、易破壊層(B)の凝集破壊に従ってともに破壊(断線)することから、回路付ラベルを構成するものの中で最も強度の弱いものである。
感圧接着剤層(D)は回路付ラベルにおいて、易破壊層(B)よりもその凝集力が強いことを特徴とする。従って回路付ラベルを被着体に貼付した後に、被着体より(A)層を引き剥がそうとしたとき、感圧接着剤層(D)内で凝集破壊することなく(B)層を効果的に破壊することができる。
特に本発明における感圧接着剤層(D)は、電気回路(C)を介して易破壊層(B)上に設けられるものであるが、易破壊層(B)の全面には設けずに電気回路(C)上に部分的に掛かるように設けるか、あるいは易破壊層(B)全面に設けた後に更に糊殺し(E)を感圧接着剤層(D)上に部分的に(電気回路(C)上に部分的に掛かるように)設けることを特徴とする。
感圧接着剤に凹凸を有するパターンを形成して感圧接着剤層(D)を形成する場合には、グラビアコート塗工やスクリーン塗工等の手法を用いても良く、予めエンボスを付与した剥離紙に塗工または積層して、エンボスパターンを感圧接着剤層(D)に転写する手法を用いても良い。後者はその後剥離紙を剥がして感圧接着剤層(D)の凹凸面を積層フィルムの易破壊層(B)面に接するように積層すれば感圧接着剤層(D)が電気回路(C)上に部分的に設けた回路付ラベルを得ることができる。
感圧接着剤は、所期の目的を達成するためにその凝集力が20〜1000g/cm幅であることが好ましく、25〜500g/cm幅であることがより好ましい。感圧接着剤の凝集力が20g/cm幅未満では、強度が不十分で易破壊層(B)を充分に破壊できずに所期の目的を達成しづらい傾向がある。逆に感圧接着剤の凝集力が1000g/cm幅を超えては、特に糊殺し(E)を設ける様態において感圧接着剤層(D)をパターン状に剥離することが困難となり、所期の目的を達成しづらい傾向がある。
感圧接着剤の塗工量は特に限定されないが、通常は固形分量で3〜60g/m2、好ましくは10〜40g/m2 の範囲である。
どの有機溶剤、または水に溶解して使用される。アンカーコート剤の塗布量は、塗布・乾燥後の固形分量で0.01〜5g/m2 、好ましくは0.02〜2g/m2 の範囲である。こうしたアンカーコート処理を施すことは、電気回路(C)と易破壊層(B)との接着力を高めるうえでも有用である。
糊殺し(E)は回路付ラベルの一様態において、感圧接着剤層(D)上に部分的に設けて、感圧接着剤が該部分において被着体に接着しないようにするものである。
被着体に回路付ラベルを貼着し、しかる後にラベルを剥がす際に、糊殺し(E)の無い部分は被着体に接着しているので易破壊層(B)の破壊が生じ、被着体上に感圧接着剤層(D)ごと残留するが、感圧接着剤層(D)上に糊殺し(E)を設けた部分は被着体に接着していないため、(A)〜(D)層全て併せて剥離する。そのため、糊殺し(E)有無の境界においてこれに掛かる電気回路(C)を破断することが可能となる。
かかる糊殺しとしては、非粘着性の印刷インキやニス、シリコーン剤等が挙げられ、印刷等の手法を用いてこれらを感圧接着剤層(D)上に部分的に、例えば電気回路(C)の一部に掛かるように、好適にはパターンで、設けることにより、糊殺し(E)を形成することができる。
本発明の回路付ラベルは、基材層(A)、脆性な易破壊層(B)を積層した積層フィルムを形成し、次いでこれに印刷等の手法により電気回路(C)を形成し、更にこれに感圧接着剤層(D)を積層することで、形成することができる。印刷等の手法により電気回路(C)を形成する際に、同時に印刷(F)及び裏印刷(G)を形成することが好ましい。
基材層(A)および易破壊層(B)をシート状に形成する成形方法は特に限定されず、公知の種々の方法が使用できるが、具体例としては、スクリュー型押出機に接続された単層または多層のTダイやIダイを使用して溶融樹脂をシート状に押し出すキャスト成形、円形ダイを使用し溶融樹脂をチューブ状に押し出し内部の空気圧力で膨張させるインフレ−ション成形、混練された材料を複数の熱ロールで圧延しシート状に加工するカレンダー成形、圧延成形などが挙げられる。
基材層(A)および易破壊層(B)を積層する方法についても公知の種々の方法が使用できるが、具体例としては、フィードブロック、マルチマニホールドを使用した多層ダイス内で積層して共押出する方式と、複数のダイスを使用する押出しラミネーション方式等がある。又、基材層(A)が多層構造である場合などは多層ダイスと押出しラミネーションを組み合わせて使用することも可能である。
基材層(A)および易破壊層(B)は積層して積層フィルムとした後に、これを少なくとも1軸方向に延伸して各層を延伸することが好ましい。本発明の脆性な易破壊層(B)は脆弱で強度が低く、通常肉厚も薄い為、易破壊層(B)単層での延伸成形は極めて困難である。基材層(A)は支持体として易破壊層(B)を積層した後にこれを延伸することにより、易破壊層(B)の延伸が可能となる。
。例えば、熱可塑性樹脂としてプロピレン単独重合体ないしはその共重合体を使用する時には一方向に延伸する場合は約1.2〜12倍、好ましくは2〜10倍であり、二軸延伸の場合には面積倍率で1.5〜60倍、好ましくは4〜50倍である。その他の熱可塑性樹脂を使用する時には一方向に延伸する場合は1.2〜10倍、好ましくは2〜5倍であり、二軸延伸の場合には面積倍率で1.5〜20倍、好ましくは4〜12倍である。
本発明の回路付ラベルの基材層(A)側の表面には、目視で情報を提供する目的から、必要によりロゴマーク、商品名、会社名、使用期限、注意書き、キャラクター等の意匠、バーコード、パターン等を印刷して印刷(F)を設けることも可能である。
こうした印刷は、易剥離性積層フィルム単体の状態で行ってもよいし、離型紙を貼着した感圧粘着ラベル構造とした後、印刷を施してもよい。
印刷としては、オフセット印刷、凸版印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、レタープレス印刷、インクジェット記録方式、感熱記録方式、熱転写記録方式、電子写真記録方式などの公知の手法を用いることが可能である。
裏印刷(G)は印刷(F)と同様の手法を用いることが可能であり、印刷(F)と同じ印刷プロセス中に行っても良い。更にはこれらの印刷と、上記電気回路(C)の形成とを同じ印刷プロセス中で行っても良い。
回路付ラベルの取り扱いを容易とするため、回路付ラベルを被着体に貼着する以前に、必要に応じて、回路付ラベルの感圧接着剤層(D)の外側に離型紙(H)を設けることも可能である。回路付ラベルに感圧接着剤層(D)を介し設けられる離型紙(H)は、感圧接着剤層(D)との剥離性を良好にするため、感圧接着剤層(D)に接触する面にシリコーン処理が施されるのが一般的である。離型紙は、通常一般的なものが使用でき、上質紙やクラフト紙をそのまま、あるいはカレンダー処理したり樹脂を塗工したりフィルムラミネートしたもの、グラシン紙、コート紙、プラスチックフィルムなどにシリコーン処理を施したものが使用できる。
回路付ラベルを構成する基材層(A)、易破壊層(B)、感圧接着剤層(D)それぞれの層の剥離に対する強度を本発明では凝集力で整理する。凝集力は何れも剥離強度試験から求めた剥離強度とした。具体的には、基材層(A)および易破壊層(B)の剥離強度は
下記の手法により求めて、感圧接着剤層(D)の剥離強度はJIS−K−6854−2:1999の180度剥離による剥離接着強さ試験方法に従って剥離強度を求めた。
厚み1mmのアルミ板に接着剤(東洋モートン社製、商品名「TM595」および「CAT56」標準混合物)を25g/m2となるように、且つ端部の約30mm幅は未塗工とし把持部(つかみしろ)を形成するように塗工し、これに基材層(A)および脆性な易破壊層(B)の積層フィルムの基材層(A)面に貼り付け、圧着し、これを恒温室(温度20℃、相対湿度65%)に1週間保管した後、これを幅10mm、長さ300mmに切り取り、引張試験機((株)島津製作所製、商品名:AUTOGRAPH)を使用し、引張速度300mm/分にて、アルミ板側と積層フィルム側それぞれの把持部を180゜の角度で剥離させ、基材層(A)の剥離が安定している時の応力を、または基材層(A)の凝集力が非常に強く安定して剥離せずに破断してしまう場合には破断直前の最大応力を、ロードセルにより測定する。
基材層(A)が多層構造である場合は、易破壊層(B)と接する層を層(A1)とし、これの剥離強度を測定した。具体的には同様の樹脂組成物や延伸条件から、層(A1)と易破壊層(B)の2層構造からなる積層フィルムを別途成形して、上記手法により測定をした。
基材層(A)および脆性な易破壊層(B)の積層フィルムを、恒温室(温度20℃、相対湿度65%)に12時間保管した後、易破壊層(B)面に粘着テープ(ニチバン(株)製、商品名:セロテープ CT−18)を貼着し、これを幅10mm、長さ300mmに切り取り、その一端の粘着テープを手で約30mm剥がして粘着テープ側と積層フィルム側の把持部を形成する。引張試験機((株)島津製作所製、商品名:AUTOGRAPH)を使用し、引張速度300mm/分にて、それぞれの把持部を180゜の角度で剥離させ、易破壊層(B)の剥離が安定している時の応力をロードセルにより測定する。
易破壊層(B)の剥離強度(凝集力)は5〜150g/cm幅であり、好ましくは10〜140g/cm幅である。剥離強度が5g/cm幅未満では、印刷、印字、断才等の二次加工時において簡単に剥離が生じる可能性があり、二次加工性に問題が生じる。150g/cm幅を超えては、易破壊層(B)が剥離しないか、剥離に要する応力を高くする必要があり実用的でない。
また各実施例で使用する基材層(A)および脆性な易破壊層(B)の原料を表1にまとめて示す。
表1に記載の原料を表2に記載の配合比率で混合したものを、210℃に設定した2軸混練機にて溶融混練し、次いで230℃に設定した押出機にてストランド状に押し出し、冷却後にストランドカッターにて切断して表2に記載の樹脂組成物(a〜f)のペレットを作成して、以降の製造例で使用した。
(製造例1〜6)
表2に記載の樹脂組成物(a〜f)を、基材層(A)、易破壊層(B)を構成するものとして表3に記載の組合せで採用し、これを230℃に設定した2台の押出機にてそれぞれ溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給し、ダイ内で積層してシート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。
この無延伸シートを140℃まで加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向(MD)に5倍延伸した。次いで、この5倍延伸シートを、テンターオーブンを用いて再び約145℃まで加熱して横方向(TD)に8倍延伸した後、更に160℃まで加熱して熱処理を行い、2軸延伸フィルムを得た。
製造例5として易破壊層(B)に樹脂組成物fを用いたものは、延伸成形時に易破壊層(B)側に粗大な破れが多発し、安定して製膜をすることができなかった。そのため後の評価を行わなかった。
表2に記載の樹脂組成物を、基材層(A)、易破壊層(B)を構成するものとして表3
に記載の組合せで採用し、これを230℃に設定した2台の押出機にてそれぞれ溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給し、ダイ内で積層してシート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。
この無延伸シートを130℃まで加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向(MD)に5倍延伸した後、更に160℃まで加熱して熱処理を行い、1軸延伸フィルムを得た。
次いで60℃まで冷却し、耳部をスリットした後、この1軸延伸フィルムの両面にコロナ放電による表面処理を施し、表3の製造例7、8に記載の層厚みと凝集力を有する2層構造(基材層(A)/易破壊層(B)、延伸軸数:1軸/1軸)の積層フィルムを得た。
表2に記載の樹脂組成物bを、250℃に設定した押出機で溶融混練して、Tダイよりシート状に押し出し、これを冷却装置にて60℃まで冷却して無延伸シートを得た。
この無延伸シートを140℃まで加熱した後、ロール群の周速差を利用して縦方向(MD)に5倍延伸して1軸延伸フィルムを得た。次いで、表2に記載の樹脂組成物cと樹脂組成物eをそれぞれ個別の250℃に設定した2台の押出機で溶融混練して、Tダイよりシート状に押し出し、1軸延伸フィルムの表面および裏面にそれぞれ溶融ラミネートし、基材層(A2)/基材層(A1)/易破壊層(B)の積層構造を有する樹脂シートを得た。
次いで60℃まで冷却し、耳部をスリットした後、この2軸延伸フィルムの両面にコロナ放電による表面処理を施し、表3の製造例9に記載の層厚みと凝集力を有する3層構造(基材層(A2)/基材層(A1)/易破壊層(B)、延伸軸数:1軸/2軸/1軸)の積層フィルムを得た。
上記製造例で得た表4に記載の積層フィルムの基材層(A)もしくは層(A2)側の表面に、輪転シール印刷機を用いて商品名や希望小売価格を含む印刷(F)を施した。次いでこれを共振ラベルとするべく易破壊層(B)側表面に、銀含有インク(DOWAエレクトロニクス(株)製、商品名:PChem/DOWA 銀ナノインク)を用い、フレキソ印刷にてアンテナパターンを形成し、100℃で50秒間焼結乾燥させて電気回路(C)を設けた。
次いで、表4に記載の感圧接着剤(東洋インキ製造(株)製、商品名:オリバイン BPS8170、商品名:オリバイン BPS1109、商品名:オリバイン BPS5448)を表4に記載の組合せで採用し、これを剥離紙(H)(王子タック(株)製、上質紙系ポリラミシート、商品名:L7C)のシリコーン塗工面側にシルクスクリーンを用いて25g/m2となるように筋状に塗工し、乾燥させて感圧接着剤層(D)を形成した後、積層フィルムの易破壊層(B)側表面の電気回路(C)にかかるようにこれを積層して、印刷(F)/基材層(A)(もしくは基材層(A2/A1))/易破壊層(B)/電気回路(C)/感圧接着剤層(D)/剥離紙(H)の順に積層した回路付ラベルを得た。
比較例1、4は、感圧接着剤層(D)の凝集力が最も小さいものである。
上記製造例5で得た易破壊層(B)に樹脂組成物fを用いた積層フィルムは、2軸延伸成形時に易破壊層(B)側に粗大な破れが多発し、安定して製膜をすることができなかったため、後の評価および回路付ラベルの成形を行わなかった。
(比較例3)
上記製造例8で得た易破壊層(B)に樹脂組成物fを用いた積層フィルムは、1軸延伸成形による製膜は可能であったものの、易破壊層(B)側表面に、銀含有インク(DOWAエレクトロニクス(株)製、商品名:PChem/DOWA 銀ナノインク)を用い、フレキソ印刷にてアンテナパターンを形成しようとした際に、フレキソ版側に易破壊層(B)の一部がとられてしまい、電気回路(C)を形成することができなかった。そのため、後の回路付ラベルの成形を行わなかった。
上記製造例2で得た積層フィルムの基材層(A)側表面に、輪転シール印刷機を用いて商品名や希望小売価格を含む印刷(F)を施した。次いでこれを共振ラベルとするべく易破壊層(B)側表面に、銀含有インク(DOWAエレクトロニクス(株)製、商品名:PChem/DOWA 銀ナノインク)を用い、フレキソ印刷にてアンテナパターンを形成し、100℃で50秒間焼結乾燥させて電気回路(C)を設けた。
次いで、感圧接着剤(東洋インキ製造(株)製、商品名:オリバイン BPS1109)を剥離紙(H)(王子タック(株)製、上質紙系ポリラミシート、商品名:L7C)のシリコーン塗工面側にロールコータを用いて25g/m2となるように全面に塗工し、乾燥させて感圧接着剤層(D)を形成した後、積層フィルムの易破壊層(B)側表面にこれを積層して、印刷(F)/基材層(A)/易破壊層(B)/電気回路(C)/感圧接着剤層(D)/剥離紙(H)の順に積層した回路付ラベルを得た。
上記製造例で得た表4に記載の積層フィルムの基材層(A)側表面に、輪転シール印刷機を用いて商品名や希望小売価格を含む印刷(F)を施した。次いでこれを共振ラベルとするべく易破壊層(B)側表面に、導電性銀ペースト(東洋インキ製造(株)製、商品名:REXALPHA、RA−FL FDタイプ)を用い、スクリーン印刷にてアンテナパターンを形成し、紫外線硬化させて電気回路(C)を設けた。
次いで、表4に記載の感圧接着剤(東洋インキ製造(株)製、商品名:オリバイン BPS8170、商品名:オリバイン BPS1109)を表4に記載の組合せで採用し、これを積層フィルムの易破壊層(B)側表面にロールコータを用いて25g/m2となるように全面に塗工し、乾燥させて感圧接着剤層(D)を形成した後、感圧接着剤層(D)上にUVニス((株)ティーアンドケイ東華製、商品名:UV ハクリOPニス UP−2)をUVシール印刷により筋状に設けて、紫外線硬化させて糊殺し(E)を形成した。
次いで剥離紙(H)(王子タック(株)製、上質紙系ポリラミシート、商品名:L7C)のシリコーン塗工面側に感圧接着剤層(D)を接するように積層して、印刷(F)/基材層(A)/易破壊層(B)/電気回路(C)/感圧接着剤層(D)/糊殺し(E)/剥
離紙(H)の順に積層した回路付ラベルを得た。
上記製造例2で得た積層フィルムに、輪転シール印刷機を用いてその基材層(A)側表面に商品名や希望小売価格を含む印刷(F)を施し、更に易破壊層(B)側表面に「支払済」の逆文字を含む裏印刷(G)を施した。次いでこれを共振ラベルとするべく易破壊層(B)側表面に、導電性銀ペースト(東洋インキ製造(株)製、商品名:REXALPHA、RA−FL FDタイプ)を用い、スクリーン印刷にてアンテナパターンを形成し、紫外線硬化させて電気回路(C)を設けた。
上記の実施例1〜7および比較例1、4〜6で得た回路付ラベルより剥離紙(H)を除去し、これの感圧接着剤層(D)を平滑なSUS板上に接するように重ね、手で圧着した後に、手で積層フィルム部分を引き剥がし、電気回路(C)の破壊の可否を目視にて確認した。
実施例1〜7より得た回路付ラベルは、何れもSUS板上に筋状の感圧接着剤層(D)、破断した電気回路(C)、および凝集破壊した易破壊層(B)の一部が残留し、電気回路(C)の破壊が確認できた。
比較例5より得た回路付ラベルは、何れもSUS板上に感圧接着剤層(D)、電気回路(C)、および凝集破壊した易破壊層(B)が全面的に残留し、電気回路(C)の破壊は確認できなかった。
比較例6より得た回路付ラベルは、手による積層フィルム部分の引き剥がしの際に、糊殺し(E)の印刷パターンに従った感圧接着剤層(D)の破断が起こり難く、途中で積層フィルム自体が破断してしまい、結果として電気回路(C)の破壊は確認できたものの、ラベル全体をきれいに引き剥がすことができなかった。
Claims (9)
- 基材層(A)、脆性な易破壊層(B)、電気回路(C)、および感圧接着剤層(D)を含み、この順に積層してなる回路付ラベルであって、
基材層(A)と易破壊層(B)と感圧接着剤層(D)のそれぞれの層において易破壊層(B)の凝集力が最も小さく、
且つ感圧接着剤層(D)を、電気回路(C)上に部分的に設け、
更に易破壊層(B)上に電気回路(C)を形成する前に易破壊層(B)上に裏印刷(G)を施し、該裏印刷(G)は回路付ラベルを剥離した後に視認可能となすことを特徴とする回路付ラベル。 - 基材層(A)、脆性な易破壊層(B)、電気回路(C)、感圧接着剤層(D)、および糊殺し(E)を含み、この順に積層してなる回路付ラベルであって、
基材層(A)と易破壊層(B)と感圧接着剤層(D)のそれぞれの層の凝集力が、(A)>(D)>(B)の関係にあり、
且つ糊殺し(E)を、感圧接着剤層(D)上に部分的に設け、
更に易破壊層(B)上に電気回路(C)を形成する前に易破壊層(B)上に裏印刷(G)を施し、該裏印刷(G)は回路付ラベルを剥離した後に視認可能となすことを特徴とする回路付ラベル。 - 脆性な易破壊層(B)が、熱可塑性樹脂、ならびに無機微細粉末および有機フィラーの少なくとも一方を20〜75重量%含み、少なくとも一軸方向に延伸された多孔質の樹脂フィルム層であり、その凝集力が5〜150g/cm幅であることを特徴とする請求項1または2に記載の回路付ラベル。
- 基材層(A)が、熱可塑性樹脂、ならびに無機微細粉末および有機フィラーの少なくとも一方を3〜50重量%含み、易破壊層(B)の無機微細粉末および有機フィラーの少なくとも一方の含有量よりも8重量%以上少ない樹脂フィルム層であり、その凝集力が50〜15000g/cm幅であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の回路付ラベル。
- 感圧接着剤層(D)が、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤よりなる群より選ばれた少なくとも一つの粘着剤を含み、その凝集力が20〜1000g/cm幅であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の回路付ラベル。
- 電気回路(C)が、易破壊層(B)表面に、導電インキ、導電塗料、または導電ペーストを印刷、或いは金属箔を転写、或いは金属をエッチングまたはメッキすることにより形成されることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の回路付ラベル。
- 脆性な易破壊層(B)に用いる熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の回路付ラベル。
- 回路付ラベルの基材層(A)側表面に、印刷(F)を設けることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の回路付ラベル。
- 回路付ラベルの感圧接着剤層(D)側表面に、剥離紙(H)を設けることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の回路付ラベル。
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